JP2018055866A - 導電性ファイバー、導電性組成物、導電性材料ならびに導電性ファイバーおよび導電性材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温和な反応条件で製造可能であり、かつ製造コストを安価に抑えられるセルロースベースの導電性ファイバーを提供すること。
【解決手段】導電性ファイバーは、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる。また、セルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバーの製造方法では、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと、前記導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとが接触した状態で前記モノマーを重合させる。
【選択図】図1
【解決手段】導電性ファイバーは、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる。また、セルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバーの製造方法では、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと、前記導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとが接触した状態で前記モノマーを重合させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電性ファイバー、導電性組成物、導電性材料ならびに導電性ファイバーおよび導電性材料の製造方法に関する。
セルロースファイバーは低線膨張係数と高弾性率と高強度とを発現することが知られており、近年、セルロースファイバーを樹脂と複合化した材料の研究が行われている。導電性有機材料としても、天然高分子材料であるセルロースを導電性物質と複合化した導電性ファイバーの検討がなされている。このような導電性ファイバーとして、例えば特許文献1には、微細化されたセルロース繊維表面に金属を被覆した金属/セルロース複合化繊維が開示されている。
特許文献1では、銀アンモニア錯体による銀鏡反応を利用して、微細化されたセルロース繊維表面を銀で被覆している。しかしながら、貴金属であり高価な銀を用いていること、および銀アンモニア錯体の調製には強い刺激臭のするアンモニア水を必要とすることから、コストや環境負荷の点で問題を有する。
一方、特許文献2には、導電性ポリマーであるポリチオフェンと、硫酸化セルロースを複合化して得られる導電性材料が開示されている。
特許文献2に記載の導電性材料において使用される硫酸化セルロースは、セルロースをクロロスルホン酸と反応させることで調製されている。しかしながら、クロロスルホン酸には金属腐食性があるため、商業的製造には特殊な設備を必要とすること、また強酸性物質であることから、なおコストや環境負荷の点で問題を有していた。
本発明は、温和な反応条件で製造可能であり、かつ製造コストを安価に抑えられるセルロースベースの導電性ファイバーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者らは、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバーを提案する。また、セルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバーの製造方法として、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと、前記導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとが接触した状態で前記モノマーを重合させる導電性ファイバーの製造方法を提案する。
本発明により、安価で、かつ温和な反応条件で製造可能な導電性ファイバー、導電性組成物および導電性材料を得ることができる。
<導電性ファイバー>
本発明の導電性ファイバーは、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバー(以下、単に「置換セルロースファイバー」という場合がある。)と導電性ポリマーとが複合化してなるものである。
置換セルロースファイバーは、セルロースファイバーに酸化重合に関与しうる少なくとも一つの置換基を導入したものである。本発明において、セルロースファイバーとは、木材、綿、麻、竹、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナツ、海草、茶葉などの植物由来の繊維から分離したセルロースファイバー;海産動物であるホヤが産生する動物由来の繊維から分離したセルロースファイバー;酢酸菌より産出させたバクテリアセルロース;などを指す。これらの中でも、植物由来の繊維から分離したセルロースファイバーが好ましい。セルロースファイバーは、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により調製したものを用いてもよい。
セルロースファイバーとしては、数平均繊維径が1μm未満のものを用いることが好ましい。本明細書においては、数平均繊維径が1μm未満のセルロースファイバーを特に「セルロースナノファイバー」と呼称する。本発明においては、数平均繊維径が200nm以下のセルロースナノファイバーを用いることが特に好ましい。セルロースナノファイバーの数平均繊維径の下限値は特に限定されないが、1nm以上であることが好ましい。セルロースナノファイバーも市販されているので、市販のものを用いることもできる。
セルロースナノファイバーの製造方法には、物理的製造方法と化学的製造方法とがある。物理的製造方法は、セルロース原料に直接物理的処理を施してセルロースファイバーを解繊する方法である。化学的製造方法は、セルロース原料に対し、解繊しやすくするための化学的処理(酸化等)を施した後、物理的処理を施してセルロースファイバーを解繊する方法である。本発明においては、いずれの製造方法にて作製したセルロースナノファイバーも用いることができる。
酸化重合に関与しうる置換基とは、導電性ポリマーの構成単位であるモノマーを酸化重合する際に、ラジカル化することができる官能基のことであり、例えば、ホルミル基もしくはその誘導体、二価の硫黄原子を含む基、アミノ基もしくはその誘導体が挙げられる。ホルミル基の誘導体としては、ヒドラゾン基またはオキシム基が好ましい。二価の硫黄原子を含む基としては、チエニル基またはメルカプト基が好ましい。アミノ基の誘導体としては、ピロリニル基が好ましい。これらのうち、ホルミル基は、温和な反応条件で製造可能であり、かつ製造コストを安価に抑えられることのみならず、ラジカル化して導電性ポリマーと共有結合を形成し、導電性に優れたファイバーが得られるという効果が得られるので特に好ましい。
セルロースファイバーへの酸化重合に関与しうる置換基の導入は、公知の方法で行うことができる。例えば、市販のセルロースファイバーを蒸留水に懸濁し、(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムと反応させることで、ホルミル基を有するセルロースファイバーを水分散液として得ることができる。この場合、セルロースファイバーと(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムとの混合比率は、通常、セルロースファイバー100重量部に対して(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムが1重量部〜10,000重量部程度、好ましくは10重量部〜1,000重量部程度、反応開始時の反応混合液中のセルロースファイバーの濃度は、通常、0.10重量%〜50重量%程度、好ましくは、0.50重量%〜10重量%程度、反応温度は、通常、0℃〜80℃程度、好ましくは10℃〜40℃程度である。また、前記ホルミル基を有するセルロースファイバーを、ヒドラジン一水和物と反応させることで、ヒドラゾン基を有するセルロースファイバーを水分散液として得ることができる。この場合、ホルミル基を有するセルロースファイバーとヒドラジン一水和物との混合比率は、通常、ホルミル基を有するセルロースファイバー100重量部に対してヒドラジン一水和物が1重量部〜10,000重量部程度、好ましくは10重量部〜1,000重量部程度、反応開始時の反応混合液中のホルミル基を有するセルロースファイバーの濃度は、通常、0.10重量%〜50重量%程度、好ましくは、0.5重量%〜10重量%程度、反応温度は、通常、0℃〜200℃程度、好ましくは20℃〜100℃程度である。さらに、前記ホルミル基を有するセルロースファイバーをヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させることで、オキシム基を有するセルロースファイバーを水分散液として得ることができる。この場合、ホルミル基を有するセルロースファイバーとヒドロキシルアミン塩酸塩との混合比率は、通常、ホルミル基を有するセルロースファイバー100重量部に対してヒドロキシルアミン塩酸塩が1重量部〜10,000重量部程度、好ましくは10重量部〜1,000重量部程度、反応開始時の反応混合液中のセルロースファイバーの濃度は、通常、0.10重量%〜50重量%程度、好ましくは、0.50重量%〜10重量%程度、反応温度は、通常、0℃〜200℃程度、好ましくは20℃〜100℃程度である。
一方、二価の硫黄原子を含む基を有するセルロースファイバーとして、例えば、セルロースアセタートメルカプトアセタートの合成方法が、Biomacromolecules, 2007, Vol.8, No.12, 3749-3757に記載されている。また、市販のセルロースファイバーを3−チオフェンカルボン酸クロリドと反応させることで、チエニル基を有するセルロースファイバーを得ることができる。さらに、アミノ基を有するセルロースファイバーとして、キトサンが挙げられる。また、アミノ化セルロースの製造方法が、例えば、特開2009−167307号公報に記載されている。特開2010−1397号公報には、ピロリニル基を有する置換基で置換されたセルロースの製造方法が記載されている。また、6位水酸基を選択的にハロゲン化したセルロース誘導体とピロリニル基を有する化合物とを反応させることで、ピロリニル基を有するセルロースファイバーを得ることができる。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリフェニレン系、ポリアニリン系またはポリアセチレン系の導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリチオフェン系が好ましい。
ポリチオフェン系の導電性ポリマーとは、置換もしくは無置換のチオフェンを重合して得られるポリマーである。ポリチオフェン系の導電性ポリマーを形成するモノマーとしては、好ましくは、チオフェン骨格の3位および4位に、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基および/または炭素数1〜8のアルコキシ基が置換した化合物;チオフェン骨格の3位と4位に炭素数1〜8のジオキシアルキレン基が形成された3,4−ジ置換チオフェンが挙げられる。より具体的には、3,4−ジアルキルチオフェン、3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−アルキレンジオキシチオフェン等が挙げられる。これらの中でも、3,4−アルキレンジオキシチオフェンが好ましい。
ポリチオフェン系の導電性ポリマーを形成するモノマー(導電性モノマー)は、酸化重合可能なモノマーであることが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、3,4−ジヘキシルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ジプロピルチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン等が挙げられる。これらの中でも、3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
ポリピロール系の導電性ポリマーとは、置換もしくは無置換のピロールを重合して得られるポリマーである。ポリピロール系の導電性ポリマーを形成するモノマーとしては、好ましくは、ピロール骨格の1位、3位および/または4位に、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基および/または水酸基が置換した化合物等が挙げられる。より具体的には、N−アルキルピロール、3−アルキルピロール、3,4−ジアルキルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−アルコキシピロール、3−アルキル−4−アルコキシピロール等が挙げられる。
ポリピロール系の導電性ポリマーを形成するモノマーの好適な具体例としては、例えば、ピロール、N−メチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール等が挙げられる。
ポリフェニレン系の導電性ポリマーとは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素を重合して得られるポリマーである。ポリフェニレン系の導電性ポリマーを形成するモノマーとしては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等が挙げられる。
ポリアニリン系の導電性ポリマーとは、置換もしくは無置換のアニリンを重合して得られるポリマーである。ポリアニリン系の導電性ポリマーを形成するモノマーとしては、好ましくは、アニリン骨格の2位および/または3位に、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基および/または炭素数1〜8のアルコキシ基が置換した化合物等が挙げられる。より具体的には、2−アルキルピロール、3−アルキルピロール、2−アルコキシピロール等が挙げられる。
ポリアニリン系の導電性ポリマーを形成するモノマーの好適な具体例としては、例えば、アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、2−イソブチルアニリン、2−メトキシアニリン、2−エトキシアニリン、2−クロロアニリン、N−メチルアニリン等が挙げられる。
ポリアセチレン系の導電性ポリマーとは、アセチレンを重合して得られるポリマーである。
酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと導電性ポリマーとが複合化している、とは、導電性ファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際、セルロースファイバーの周囲に導電性ポリマーを含む付着物が存在する様子が観察されること(例として図1参照)、好ましくは、セルロースファイバーと導電性ポリマーが少なくとも部分的に共有結合していることを意味する。以下、置換セルロースファイバーと導電性ポリマーとが複合化してなるこのような導電性ファイバーを指して、単に「導電性ファイバー」という場合がある。
導電性ファイバーは、導電性をより高めるため、あるいは相溶性をより高めるため、さらにドーパントと複合化されていてもよい。ドーパントとしては、スルホン酸基やカルボン酸基を有する有機化合物を用いることが好ましい。この場合、スルホン酸基やカルボン酸基の一部は、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等と塩を形成していてもよい。このようなドーパントとしては、例えば、2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート(PSS)等が挙げられる。これらの中でも、PSSが特に好ましい。
本発明の導電性ファイバーは、一例として、酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと、導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとが接触した状態でモノマーを重合させる方法により製造することができる。なお、以下本明細書においては、「導電性ポリマーの構成単位となるモノマー」を単に「導電性モノマー」と記述する場合があるが、本明細書における「導電性モノマー」はモノマー自体が導電性を有することを意味するものではなく、あくまで導電性ポリマーの構成単位となるモノマーを指す用語として便宜的に使用するものである。
当該製造方法においては、典型的には、置換セルロースファイバーと導電性モノマーとの混合懸濁液中で導電性モノマーを重合させる。導電性モノマーを重合させるためには、重合開始剤を添加することが好ましい。このとき、重合開始剤によってラジカル化されたセルロースファイバーの置換基の一部が、導電性モノマーのラジカルや、複数の導電性モノマーが結合して形成された中間体のラジカルと化学結合を生成することで、セルロースファイバーと導電性ポリマーとが結合された状態を形成するものと考えられる。しかしながら、本発明はこのような反応機構の仮説に拘束されるものではない。
導電性モノマーとして酸化重合可能なモノマーを用いた場合、重合開始剤としては酸化剤が用いられる。このような酸化剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ペルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、無機酸化第二鉄塩、有機酸化第二鉄塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、過ホウ酸アルカリ塩、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、トリス(有機スルホン酸)鉄(III)およびそれらの水和物などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)およびそれらの水和物が挙げられる。これらの酸化剤は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。酸化剤の使用量は特に制限されないが、モノマー1モル当たり、0.001〜5当量、好ましくは、0.003〜2当量が挙げられる。
反応時間および反応温度は、原料化合物として使用するモノマーや置換セルロースファイバー、酸化剤の種類、ドーパントの種類などによって適宜設定されるが、例えば、10〜90℃、好ましくは20〜80℃で、1〜96時間、好ましくは5〜72時間が挙げられる。
重合溶媒としては、置換セルロースファイバーを分散でき、モノマーの重合反応を行い得るものであれば特に限定されないが、水系溶媒が好ましく、中でも水が特に好ましい。また、メタノール、エタノール等の低級アルコールや、アセトン、アセトニトリルなどの極性有機溶媒を水と混合した水系溶媒も好ましく用いられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合反応は、置換セルロースファイバーの濃度が0.1〜10質量%となる状態で行うことが好ましい。モノマーの配合量は、特に限定されるものではないが、置換セルロースファイバーの質量に対して10〜1000質量%、好ましくは50〜500質量%である。
また、重合反応時にドーパントを添加することで、導電性ポリマーとともにドーパントが複合化された導電性ファイバーを得ることができる。ドーパントの添加量は特に限定されないが、一般的に導電性ポリマーの構成単位となるモノマーに対して10〜1000質量%であり、好ましくは30〜300質量%である。ドーパントとしては、前述の本発明の導電性ファイバーについての説明において挙げたものを用いることができる。
上記のような製造方法により、導電性ファイバーは重合溶媒に分散した状態、すなわち導電性ファイバーを含む導電性組成物の状態で得られる。このような導電性組成物は、特に限定されるものではないが、1.0×10−2S/cm以上の導電率を有することが好ましい。
また、加熱乾燥、真空乾燥あるいは凍結乾燥等により導電性組成物から重合溶媒を除去することで、導電性ファイバーを単離することができる。このように得られた導電性ファイバーは、特に限定されるものではないが、1.0×10−2S/cm以上の導電率を有することが好ましい。
<導電性材料>
<導電性材料>
本発明はまた、マトリックスポリマーと、マトリックスポリマー中に分散した前記導電性ファイバーとを含む導電性材料(以下、単に「導電性材料」ということがある。)を提供する。すなわち、本発明における導電性材料は、マトリックスポリマーを分散媒とし、導電性ファイバーを分散質とする固体(ゲルを含む)分散系を構成するものである。このような導電性材料は、一例として、本発明の導電性ファイバーまたは本発明の導電性ファイバーを含む導電性組成物と、マトリックスポリマーの構成単位となる重合性モノマーとを混合した後に、当該重合性モノマーを重合させる製造方法により製造することができる。なお、以下本明細書においては、「マトリックスポリマーの構成単位となる重合性モノマー」を単に「マトリックスモノマー」と記述する場合があるが、本明細書における「マトリックス」はモノマー自体がマトリックスを形成することを意味するものではなく、あくまでマトリックスポリマーの構成単位となるモノマーを指す用語として便宜的に使用するものである。
導電性材料のマトリックスポリマーは、特に限定されるものではないが、生体適合性ポリマーを用いた場合、本発明の導電性ファイバーの特長である生体安全性の高さを生かした生体安全性の高い導電性材料を得ることができる。このようなマトリックスポリマーとしては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを構成単位として含むポリマーが好ましい。さらに、生体適合性を高めるためには、マトリックスポリマーをゲル状に重合させることにより、ゲル状の導電性材料(導電性ゲル)とすることが好ましい。
生体適合性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリ(3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリ(N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、グリセロール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を組合せた共重合体として用いることができる。これらの中で、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)が好ましく、中でも、生体適合性の点で最も好ましいのはポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)である。なお、本明細書において(メタ)アクリルという語はメタクリルおよびアクリルの両方を表すものとし、(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリレートなどの語も同様に解釈されるものとする。
本発明の導電性材料を得る際は、導電性ファイバーと、ラジカル重合性基を有するマトリックスモノマーの混合物に、マトリックスモノマーの重合を促進するための重合開始剤を添加することが好ましい。重合開始剤としては、過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤が好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有する熱重合開始剤を選択して使用するが、一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤又は過酸化物系開始剤が好ましい。光重合開始剤としてはカルボニル系化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、金属塩等が挙げられる。
熱重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。
光重合開始剤の例としては、芳香族α‐ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び第三級アミン+ジケトン、これらの混合物などが挙げられる。光重合開始剤の例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(登録商標)819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエーテル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組合せが挙げられる。
市販の光重合開始剤としては、イルガキュア(登録商標)819、イルガキュア(登録商標)1700、イルガキュア(登録商標)1800、イルガキュア(登録商標)1850(以上、BASF製)、及びルシリンTPO開始剤(BASF製)が挙げられる。市販の紫外光開始剤としては、ダロキュア(登録商標)1173及びダロキュア(登録商標)2959(BASF製)が挙げられる。これらの重合開始剤は単独でも混合してもよく、使用量はモノマー成分100質量%に対して1質量%くらいまでの量で使用される。
本発明の導電性材料における導電性ファイバーの含有量は、特に限定されないが、少なすぎると導電性が低下することから、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。上限も特に限定されないが、多すぎると導電性材料の柔軟性が低下する傾向にあり、生体適合性を高める観点からは30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
マトリックスモノマーを重合する際に架橋させる場合には、架橋剤を用いることが好ましい。架橋剤は多官能性であって、水、有機溶媒またはマトリックスモノマーに溶解する性質を有するものであればよい。このような架橋剤としては、ラジカル重合で反応可能な重合性基を二つ以上有する化合物が好ましく、ラジカル重合で反応可能な重合性基を二つ有する化合物が特に好ましい。このような重合性基の好適な例としては、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。マトリックスポリマーとしてポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)を用いた場合、架橋剤としては(メタ)アクリレート基を有する化合物を用いることが好ましい。
このような架橋剤の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの二官能もしくは多官能アクリレート類、N,N’‐メチレンビスアクリルアミド、N,N’‐エチレンビスアクリルアミド、N,N’‐プロピレンビスアクリルアミドなどのビスアクリルアミド類が挙げられる。これらの中で、溶解性の点および良好な柔軟性を有する導電性ハイドロゲルが得られる点で、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
架橋剤の配合量により導電性材料の硬さを調製することができるため、架橋剤の配合量は導電性材料の適用用途に応じて適宜決定される。例えば、フィルム状の導電性ゲルとして得る場合には、架橋剤の配合量は、マトリックスモノマー100質量%に対して0.1〜10質量%が好ましい。
導電性材料を作製する際にはまず、本発明の導電性ファイバーを、マトリックスモノマーと、必要に応じ架橋剤、重合開始剤、重合溶媒などと混合して、重合原液を調製する。この重合原液を、作製しようとする導電性材料の形状に応じた容器や枠に流し込み、熱や光を当てることにより重合させて硬化させた後、得られた硬化物を容器や枠から剥離する。
重合溶媒を用いる場合には、有機系、無機系の各種溶媒が使用可能である。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3,7−ジメチル−3−オクタノールなどの各種アルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコールランダム共重合体などの各種グリコールエーテル系溶媒であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。これらの中で水、アルコール系溶媒およびグリコールエーテル系溶媒は、得られた導電性材料中から溶媒を水による洗浄で容易に除去できる点で好ましい。
重合溶媒の使用量は、多すぎるとマトリックスモノマーが重合しにくくなることから、溶媒の濃度を90質量%以下にすることが好ましい。
ゲル状の導電性材料を得る場合には、重合原液を重合させた際にゲル化するように、当業者は原料や反応条件を容易に調整し得る。また、生体適合性を高めるためには、重合溶媒として水以外を用いた場合には重合後に水により置換を行うことが好ましい。
重合に用いた容器から剥離する際の剥離方法としては、公知の方法が適用可能であるが、例として、ヘラ状のものを用いて剥がす方法、剥離溶液に浸漬し膨潤させて剥離する方法などが挙げられる。これらの中で、導電性材料が破れにくい点で好ましいのは、剥離溶液に浸漬し膨潤させて剥離する方法である。剥離溶液としては、重合溶媒として挙げたものと同様のものを用いることができる。剥離溶媒として水以外を用いた場合には、さらに水により置換を行うことが好ましい。
本発明の導電性材料の形状は特に限定されず、用途に応じた様々な形態とすることができる。例えば、生体の凹凸に追従するフレキシブルセンサーとしての用途を想定した場合には、フィルム状とすることが好ましい。その場合、フィルムが厚すぎると柔軟性が低下し、薄すぎるとハンドリング性が悪くなることから、厚みは0.1μm〜1000μmが好ましく、1μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmがさらに好ましい。
また、導電性材料は、1.0×10−6S/cm以上の導電率を有することが好ましい。
本発明の導電性材料の用途は特に限定されないが、特に生体に適用する電子デバイスに好適に用いられる。具体的には、筋電計、血圧計、脈拍計、体組成計などのフレキシブルセンサーデバイス;心電計、ステント、カテーテルなどのインプランタブルセンサーデバイス;人工義手・義足、人工眼などのブレインマシンインターフェイスデバイスなどが挙げられるが、中でも、筋電計、血圧計、脈拍計、体組成計などのフレキシブルセンサーデバイス;心電計、ステント、カテーテルなどのインプランタブルセンサーデバイスに特に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[分析方法および評価方法]
(1)膜厚
(株)ミツトヨ製 ABSデジマチックインジケータID−CX(機種名:ID−C112X)を用いて測定した。導電性材料は、直径8mmのポンチを用いて円盤状に打ち抜いて、表面水分をクッキングペーパーで拭き取ったものを測定試料とした。
(1)膜厚
(株)ミツトヨ製 ABSデジマチックインジケータID−CX(機種名:ID−C112X)を用いて測定した。導電性材料は、直径8mmのポンチを用いて円盤状に打ち抜いて、表面水分をクッキングペーパーで拭き取ったものを測定試料とした。
(2)導電率(四端子法)
(株)三菱化学アナリテック製 ロレスタ−GXを用いて測定した。測定試料の膜厚を装置に入力した後、試料の中央部にプローブ(PSPプローブ)を当てて測定した。試料は約120°ずつ回転させて3回計測し、3回の計測値の平均値をもって測定値とした。
(株)三菱化学アナリテック製 ロレスタ−GXを用いて測定した。測定試料の膜厚を装置に入力した後、試料の中央部にプローブ(PSPプローブ)を当てて測定した。試料は約120°ずつ回転させて3回計測し、3回の計測値の平均値をもって測定値とした。
測定試料は以下のように調製した。導電性ファイバーは、合成後の導電性組成物を70℃にて3時間加熱乾燥した後、乳鉢に移し、乳棒で粉末状に粉砕した。テーブルプレス(S.T.Japan社製)に直径7mmのダイセットをセットし、得られた粉末約30mgを入れて30秒間加圧して、円盤状の測定試料を得た。また、導電性材料は、直径8mmのポンチを用いて円盤状に打ち抜いて、表面水分をクッキングペーパーで拭き取ったものを測定試料とした。
(3)走査型電子顕微鏡(SEM)観察
導電性ファイバーを含む合成後の導電性組成物を70℃にて加熱乾燥した後、(株)日立ハイテクノロジーズ製走査電子顕微鏡S−5500形を用いて観察した。
導電性ファイバーを含む合成後の導電性組成物を70℃にて加熱乾燥した後、(株)日立ハイテクノロジーズ製走査電子顕微鏡S−5500形を用いて観察した。
含水状態での測定は、FEI社製Quanta走査型電子顕微鏡を用い、超低真空モードにて測定した。
(4)赤外吸収スペクトル(FT−IR)
導電性ファイバーを含む合成後の導電性組成物を70℃にて加熱乾燥した後、Nicolet社製FT−IR Avatar 360を用い、ATR法にて測定した。
導電性ファイバーを含む合成後の導電性組成物を70℃にて加熱乾燥した後、Nicolet社製FT−IR Avatar 360を用い、ATR法にて測定した。
(5)固形分濃度
ペースト状またはゲル状固体の一部(0.1g〜1.0g)を取り出して測定試料とし、質量(Ww)を測定した。その後、試料を真空乾燥器で70℃、2時間乾燥させ、質量(Wd)を測定した。次式にて固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=100×(Ww−Wd)/Ww
ペースト状またはゲル状固体の一部(0.1g〜1.0g)を取り出して測定試料とし、質量(Ww)を測定した。その後、試料を真空乾燥器で70℃、2時間乾燥させ、質量(Wd)を測定した。次式にて固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=100×(Ww−Wd)/Ww
[CellNF−CHO(A)の合成]
100mL三角フラスコにセルロースナノファイバー(スギノマシン BiNFi−s(登録商標))20g(固形分濃度:2.5質量%、固形分質量:0.5g)、メタ過ヨウ素酸ナトリウム0.5gおよび蒸留水20gを加え、遮光下、室温にて18時間撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、卓上型遠心分離機で遠心分離処理(4,000rpm×10分間)を行った。上澄み液を除き、イオン交換水約35mLを加えて超音波を10分間照射した後、先と同じ条件にて再度遠心分離を行った。この操作をもう1回繰り返した。上澄み液を除去して得られたCellNF−CHO(A)ペーストの質量は3.11g(固形分濃度:11.3質量%)であった。
100mL三角フラスコにセルロースナノファイバー(スギノマシン BiNFi−s(登録商標))20g(固形分濃度:2.5質量%、固形分質量:0.5g)、メタ過ヨウ素酸ナトリウム0.5gおよび蒸留水20gを加え、遮光下、室温にて18時間撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、卓上型遠心分離機で遠心分離処理(4,000rpm×10分間)を行った。上澄み液を除き、イオン交換水約35mLを加えて超音波を10分間照射した後、先と同じ条件にて再度遠心分離を行った。この操作をもう1回繰り返した。上澄み液を除去して得られたCellNF−CHO(A)ペーストの質量は3.11g(固形分濃度:11.3質量%)であった。
[CellNF−CHO(B)の合成]
100mL三角フラスコにセルロースナノファイバー(ダイセルファインケム社 セリッシュ(登録商標)FD100G)19.2g(固形分濃度:10.4質量%、固形分質量:2.0g)、メタ過ヨウ素酸ナトリウム2.0gおよび蒸留水42.8gを加え、遮光下、室温にて3日間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られたCellNF−CHO(B)ペーストの質量は14.3g(固形分濃度:10.0質量%)であった。
100mL三角フラスコにセルロースナノファイバー(ダイセルファインケム社 セリッシュ(登録商標)FD100G)19.2g(固形分濃度:10.4質量%、固形分質量:2.0g)、メタ過ヨウ素酸ナトリウム2.0gおよび蒸留水42.8gを加え、遮光下、室温にて3日間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られたCellNF−CHO(B)ペーストの質量は14.3g(固形分濃度:10.0質量%)であった。
[CellNF−CHO(C)の合成]
200mL三角フラスコに、CellNF−CHO(B)ペースト14.3g(固形分濃度:10.0質量%、固形分質量:1.43g)、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(亜硫酸水素ナトリウム1.0gと蒸留水70gより調製)71gを加え、室温にて64時間撹拌した。反応混合物を遠沈管2本に分画し、イオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去し、残渣にイオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、再び遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去して得られた残渣(ゲル状物)を遠沈管4本に分画し、イオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去して、ゲル状固体を45.4g(固形分濃度:3.2質量%)得た。
200mL三角フラスコに、CellNF−CHO(B)ペースト14.3g(固形分濃度:10.0質量%、固形分質量:1.43g)、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(亜硫酸水素ナトリウム1.0gと蒸留水70gより調製)71gを加え、室温にて64時間撹拌した。反応混合物を遠沈管2本に分画し、イオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去し、残渣にイオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、再び遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去して得られた残渣(ゲル状物)を遠沈管4本に分画し、イオン交換水を加えて、それぞれ約50mLの溶液とした後、遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去して、ゲル状固体を45.4g(固形分濃度:3.2質量%)得た。
上記ゲル状固体36.8g(固形分濃度:3.2質量%)に1.0mol/L硫酸15mLを加え、室温にて10分間撹拌した。反応混合物を遠沈管3本に分画し、遠心分離処理(4,000rpm×30分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水を加えて、それぞれ約45mLの溶液とした後、遠心分離処理(4,000rpm×10分間)する操作を、3回行った。上澄み液を除去して得られた残渣を1本の遠沈管にまとめ、再度遠心分離処理(4,000rpm×20分間)を行った。上澄み液を除去して得られたCellNF−CHO(C)ペーストの質量は35.8g(固形分濃度:1.76質量%)であった。
<導電性ファイバーの製造>
[実施例1−1]CellNF−CHO(A)のPEDOT化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(A)ペースト3.77g(固形分濃度:5.3質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水6.43gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(A)をペースト状組成物として5.28g(固形分濃度:8.2%、正味固形分量:0.43g)得た。
[実施例1−1]CellNF−CHO(A)のPEDOT化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(A)ペースト3.77g(固形分濃度:5.3質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水6.43gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(A)をペースト状組成物として5.28g(固形分濃度:8.2%、正味固形分量:0.43g)得た。
得られたPEDOT化CellNF−CHO(A)のFT−IRスペクトルを図1に示す。
FT−IR(cm-1):3350(O-H), 1559, 1514(C=C), 1472, 1457, 1315, 1199(C-O-C), 1144, 1052, 1032, 979, 936, 922, 835.
[実施例1−2]CellNF−CHO(A)のPEDOT/PSS化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(A)ペースト3.77g(固形分濃度:5.3質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、20質量%ポリスチレンスルホン酸(PSS)水溶液0.45g(PSS質量:0.09g)、蒸留水6.43gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSS化CellNF−CHO(A)をペースト状組成物として5.36g(固形分濃度:9.6%、正味固形分量:0.51g)得たであった。
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(A)ペースト3.77g(固形分濃度:5.3質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、20質量%ポリスチレンスルホン酸(PSS)水溶液0.45g(PSS質量:0.09g)、蒸留水6.43gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSS化CellNF−CHO(A)をペースト状組成物として5.36g(固形分濃度:9.6%、正味固形分量:0.51g)得たであった。
[実施例1−3]CellNF−CHO(B)のPEDOT化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(B)ペースト2.0g(固形分濃度:10.0質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水8.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(B)をペースト状組成物として2.23g(固形分濃度:11.9%、正味固形分量:0.27g)得た。
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(B)ペースト2.0g(固形分濃度:10.0質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水8.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(B)をペースト状組成物として2.23g(固形分濃度:11.9%、正味固形分量:0.27g)得た。
得られたPEDOT化CellNF−CHO(B)のFT−IRスペクトルを図2に示す。
FT−IR(cm-1):3350(O-H), 1514(C=C), 1473, 1322, 1199(C-O-C), 1143, 1085, 1028, 979, 936, 922, 837.
[実施例1−4]CellNF−CHO(C)のPEDOT化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(C)ペースト5.67g(固形分濃度:3.5質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水4.33gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて三日間撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、イオン交換水40mLを加えて懸濁した後、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(C)をペースト状組成物として3.32g(固形分濃度:9.7%、正味固形分量:0.32g)得た。
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(C)ペースト5.67g(固形分濃度:3.5質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、蒸留水4.33gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて三日間撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、イオン交換水40mLを加えて懸濁した後、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水30mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール25mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT化CellNF−CHO(C)をペースト状組成物として3.32g(固形分濃度:9.7%、正味固形分量:0.32g)得た。
得られたPEDOT化CellNF−CHO(C)のSEM観察像を図1に示す。
[実施例1−5]CellNF−CHO(C)のPEDOT/PSS化
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(C)ペースト5.00g(固形分濃度:4.0質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、20質量%ポリスチレンスルホン酸(PSS)(濃度20wt%質量%)水溶液0.45g(PSS質量:0.09g)、蒸留水10.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一日撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、イオン交換水40mLを加えて懸濁させ、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水40mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール40mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSS化CellNF−CHO(C)をペースト状組成物として4.83g(固形分濃度:7.6%、正味固形分量:0.37g)得た。
20mLスクリュー管瓶にCellNF−CHO(C)ペースト5.00g(固形分濃度:4.0質量%、固形分質量:0.20g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、20質量%ポリスチレンスルホン酸(PSS)(濃度20wt%質量%)水溶液0.45g(PSS質量:0.09g)、蒸留水10.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一日撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、イオン交換水40mLを加えて懸濁させ、遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、イオン交換水40mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール40mLを加えて懸濁させ、超音波を10分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSS化CellNF−CHO(C)をペースト状組成物として4.83g(固形分濃度:7.6%、正味固形分量:0.37g)得た。
得られたPEDOT/PSS化CellNF−CHO(C)のFT−IRスペクトルを図2に示す。
FT−IR(cm-1):3350(O-H), 1641, 1514(C=C), 1503, 1303, 1172(C-O-C), 1139, 1078, 1049, 1029, 1004, 975, 917.
[比較例1−1]
Aldrich社製 PEDOT/PSS 1.3質量% 水分散液、conductive grade(市販品)5.2gを70℃、2.5時間乾燥させて、黒色固形物を77mg得た。該固形物を乳鉢中、粉末状に粉砕して、導電率の測定に用いた。
Aldrich社製 PEDOT/PSS 1.3質量% 水分散液、conductive grade(市販品)5.2gを70℃、2.5時間乾燥させて、黒色固形物を77mg得た。該固形物を乳鉢中、粉末状に粉砕して、導電率の測定に用いた。
実施例1−1〜1−5および比較例1−1で作製した導電性ファイバーの作製条件および導電率を表1に示す。
<導電性セルロースファイバーを含む導電性材料の製造>
[実施例2−1]
5mLサンプル瓶にポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(PEG#600ジメタクリレート)0.16g、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20.8g、およびイルガキュア819(IC819)0.052gを加え、アルミホイルでサンプル瓶を遮光した後、超音波を10分間照射して、マトリックスモノマー溶液とした。
[実施例2−1]
5mLサンプル瓶にポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(PEG#600ジメタクリレート)0.16g、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20.8g、およびイルガキュア819(IC819)0.052gを加え、アルミホイルでサンプル瓶を遮光した後、超音波を10分間照射して、マトリックスモノマー溶液とした。
乳鉢に、当該マトリックスモノマー溶液1.0g、マトリックスモノマーに対する導電性ファイバーの含有率が2.0質量%、5.0質量%または10.0質量%となるように実施例1−1で作製した導電性ファイバーを含むペースト状組成物を加え、乳棒で混練した。この混合物の入った乳鉢をデシケーター内にて10分間減圧し、アルゴン置換して、原料分散溶液を得た。得られた原料分散溶液は、窒素雰囲気下のグローブボックス内に移した。
プラスチックパラフィンフィルム(“パラフィルム”(登録商標))を2枚に重ね、カッターで外辺長50mm×50mm、幅10mmの枠を切り出し、厚さ0.25mmのスペーサー枠とした。ガラス板(外辺長80mm×80mm)の中央部にスペーサー枠を貼り付け、重合容器とした。また、別のガラス板(外辺長80mm×80mm)の片面にフッ素フィルムを貼り付け、重合容器の蓋とした。これらを窒素雰囲気下のグローブボックス内に移した。
重合容器のスペーサー枠開口部に原料分散溶液を流し込み、スペーサー枠上に前記フッ素フィルムを貼付したガラス板を、フッ素フィルム側を下にして重ねて、ガラス板の四端をクリップで固定した。その後、光照射(フィリップスTL03、1.6mW/cm2、1時間)して重合させることにより硬化させ、フィルム状の導電性ゲルを得た。
フッ素フィルムを貼付したガラス板を重合容器からはずし、得られた導電性ゲルを室温でイオン交換水に一晩浸漬することにより、重合容器から剥離した。
[実施例2−2〜2−4]
導電性ファイバーの種類およびペースト状組成物の添加量を表2の通りに変える以外は実施例2−1と同様にして、導電性ゲルを作製した。
導電性ファイバーの種類およびペースト状組成物の添加量を表2の通りに変える以外は実施例2−1と同様にして、導電性ゲルを作製した。
[比較例2−1]
100mL三角フラスコに3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、ポリスチレンスルホン酸(PSS)(濃度20質量%)0.45g、蒸留水50.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×20分間)した。上澄み液を除去し、メタノール/イオン交換水(V/V=1/1)35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、再度メタノール/イオン交換水(V/V=1/1)35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×20分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSSをペースト状物として4.80g(固形分濃度:5.0%、正味固形分量:0.24g)得た。
100mL三角フラスコに3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.20g、ポリスチレンスルホン酸(PSS)(濃度20質量%)0.45g、蒸留水50.0gを加えて懸濁液とした後、過硫酸アンモニウム0.40g、トリス(p−トルエンスルホン酸)鉄(III)六水和物0.004gを添加し、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を遠沈管に移し、遠心分離(4,000rpm×20分間)した。上澄み液を除去し、メタノール/イオン交換水(V/V=1/1)35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、再度メタノール/イオン交換水(V/V=1/1)35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×10分間)した。上澄み液を除去し、エタノール35mLを加えて懸濁させ、超音波を5分間照射した後、再び遠心分離(4,000rpm×20分間)した。上澄み液を除去して、PEDOT/PSSをペースト状物として4.80g(固形分濃度:5.0%、正味固形分量:0.24g)得た。
PEDOT化CellNF−CHO(A)のペーストを、このように得られたPEDOT/PSSのペーストに変える以外は、実施例2−1と同様にして導電性ゲルを作製した。
実施例2−1〜2−4および比較例2−1で作製した導電性ゲルの作製条件および導電率を表2に示す。
Claims (16)
- 酸化重合に関与しうる置換基を有するセルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバー。
- 前記酸化重合に関与しうる置換基が、ホルミル基もしくはその誘導体、二価の硫黄原子を含む基、またはアミノ基もしくはその誘導体である、請求項1記載の導電性ファイバー。
- 前記酸化重合に関与しうる置換基が、ホルミル基である請求項2記載の導電性ファイバー。
- 前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリフェニレン系、ポリアニリン系またはポリアセチレン系の導電性ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ファイバー。
- 前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である、請求項4に記載の導電性ファイバー。
- さらにドーパントを複合化してなる、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ファイバー。
- 前記ドーパントがポリスチレンスルホネート(PSS)である、請求項6に記載の導電性ファイバー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ファイバーを含む導電性組成物。
- マトリックスポリマーと、該マトリックスポリマー中に分散した請求項1〜8のいずれかに記載の導電性ファイバーとを含む導電性材料。
- ゲル状の材料である、請求項9に記載の導電性材料。
- 前記マトリックスポリマーが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを構成単位として含むポリマーである、請求項9または10に記載の導電性材料。
- 導電率が1.0×10−6S/cm以上である、請求項9〜11のいずれかに記載の導電性材料。
- セルロースファイバーと導電性ポリマーが複合化してなる導電性ファイバーの製造方法であって、酸化重合に関与しうる少なくとも一つの置換基を有するセルロースファイバーと、前記導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとが接触した状態で前記モノマーを重合させる導電性ファイバーの製造方法。
- 前記導電性ポリマーの構成単位となるモノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を用いる、請求項13に記載の導電性ファイバーの製造方法。
- さらに、ポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で前記重合を行う、請求項13または14に記載の導電性ファイバーの製造方法。
- マトリックスポリマーと、該マトリックスポリマー中に分散した導電性ファイバーとを含む導電性材料の製造方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ファイバーまたは請求項8に記載の導電性組成物と、前記マトリックスポリマーの構成単位となるラジカル重合性基を有する重合性モノマーとを混合した後に、該重合性モノマーを重合させる導電性材料の製造方法。
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-
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