JP2018054708A - 絞り装置、光学装置および撮像装置 - Google Patents

絞り装置、光学装置および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持できること。
【解決手段】この絞り装置100は、カム盤130の駆動レバー133を矢印アの方向へスライドさせると、カム盤130がベース120の当接部125に対して摺動しながらベース120に対して矢印アの方向へ回転し始める。すると、各絞り羽根110の駆動ピン112がカム盤130のカム溝132に案内されて移動し、開口形成部110aが開口中心の方向へ向かって移動することにより、ほぼ中間状態で凸包形状から長手方向を有するY字形状の開口に変化した後、最後は三角形の開口になって閉じる。
【選択図】図10

Description

本発明は、開口の形状・大きさを変化させて光量を調整する絞り装置、この絞り装置を備えた光学装置および撮像装置に関する。
光量を調整するため、光軸に直交する面上に配置された複数枚の絞り羽根を駆動させて、開口の大きさを制御する技術がある(たとえば、特許文献1〜3を参照。)。
特開2003−15043号公報 特開平3−296027号公報 特開2004−12479号公報
CCDやC−MOSなどの固体撮像素子の高画素化に伴い、撮像レンズの高解像化も進んでいる。さらに、近年では、一眼レフカメラなどの大型撮像装置のみならず、コンパクトカメラやCCTVなどの小型撮像装置においても4k2kや8k4kなどの高画素化に対応できるものが登場してきている。
一般に、撮像装置は野外や高輝度照明などの明暗差が激しい環境下で使用されることもあり、レンズを透過する光量を調整するため開口の大きさを制御する絞り装置が搭載されている。特に、小型撮像装置においては必要な空間周波数が高く、十分な回折限界を確保することが難しいため、絞りを一定以上絞り込むと、高周波領域のMTF(Modulation Transfer Function)の低下による解像力の劣化が問題になる。この問題は、レンズ設計で対処することは極めて困難であるため、絞りをあまり絞り込むことができないという問題がかねてからあったものが、近年のさらなる高解像化によってよりいっそう顕在化してきた。
たとえば、特許文献1に記載の技術は、開口を四角形にすることで2枚の絞り羽根で光量調整を実現しているが、十分な回折限界を確保することはできていない。したがって、高周波領域のMTFの低下を回避しきれないため、高解像力を維持することは難しい。加えて、四方向の目立つ線フレアが発生するという問題がある。
図19は、特許文献1に記載の技術をはじめとする、一般的に四角形の開口を有する絞りを用いた場合における点像強度分布PSF(Point Spread Function)特性を示す図である。同図から、四角形の開口を有する絞りを用いた場合、非常に強いスパイク状フレアが発生することがわかる。
特許文献2に記載の技術は、最終的な開口形状を円形にすることでフレアの発生を目立たなくしているが、十分な回折限界を確保することはできていない。したがって、高周波領域のMTFの低下を回避できず、解像力の劣化を防ぐことはできないという問題がある。
図20は、特許文献2に記載の技術をはじめとする、一般的に円形の開口を有する絞りを用いた場合における点像強度分布(PSF:Point Spread Function)特性を示す図である。同図から、円形の開口を有する絞りを用いた場合、回折方向がバランスよく散らばるため、きれいな円形の点像強度分布となるが、開口を絞り込んでいくにつれて開口幅が小さくなり回折限界が落ちていく。
特許文献3に記載の技術は、NDフィルタを付加することで同じ光量でも開口を大きく確保して十分な回折限界を確保することに成功している。加えて、NDフィルタの位置、形状を工夫することで解像力の劣化を回避している。しかし、NDフィルタを用いた場合、NDフィルタの面精度、NDフィルタ透過による光路差のずれなどの影響が無視できない。特に、高画素の固体撮像素子が搭載された撮像装置では、重大な悪影響を受けることが危惧される。このため、現在はNDフィルタを含まない装置が要求されている。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持しうる絞り装置を提供することを目的とする。また、当該絞り装置を備えた、高解像の光学像が得られる光学装置を提供することを目的とする。さらに、当該レンズ装置を備えた、高解像の画像が得られる撮像装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる絞り装置は、光学系の光路中に設けられた絞り手段の開口の形状・大きさを変化させて光量を調整する絞り装置であって、前記絞り手段の変化により、前記開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包様形状から長手方向を有する形状に変化することを特徴とする。
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、凸包様形状時の光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRout(単位はmm)、凸包様形状時の光軸を中心とする前記開口形状の内接円の半径をRin(単位はmm)とするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) Rin/Rout>0.8
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、一長手端面の接線と該長手端面と対向する他の長手端面の接線とのなす角をai(単位はdeg)とするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(2) 0<|ai|<90
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、一長手方向を有する形状の動径方向の長さをL(単位はmm)、該長手方向を有する形状の円周方向の長さをW(単位はmm)とするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(3) 1 <L/W<10
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、光軸中心から見た長手方向に延びる任意の2辺の端点と光軸との3点を結んだ線がなす内角をθ、長手の数をn(ただし、n≧3とする)とするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(4) 360/(n+1)<θ<180
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRout−star(単位はmm)、開放状態における光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRfo(単位はmm)とするとき、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程で、以下に示す条件式を満足する開口状態を経由することを特徴とする。
(5) Rout−star/Rfo>0.8
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が奇数であることを特徴とする。
さらに、本発明にかかる絞り装置は、前記発明において、前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が3または5であることを特徴とする。
また、本発明にかかる光学装置は、前記絞り装置を備え、該絞り装置を介して外光を撮影用の固体撮像素子へ入射させることを特徴とする。
また、本発明にかかる光学装置は、前記発明において、前記開口の凸包様形状から長手方向を有する形状に変化する過程における、最小の凸包様形状開口時の光学系のF値をFNOとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(7) FNO<4
さらに、本発明にかかる撮像装置は、前記光学装置と、該光学装置を介して受光した外光を電気的信号に変換する固体撮像素子と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持しうる絞り装置を提供することができるという効果を奏する。また、当該絞り装置を備えた、高解像の光学像が得られる光学装置を提供することができるという効果を奏する。さらに、当該光学装置を備えた、高解像の画像が得られる撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明にかかる絞り装置の一実施形態を説明するための図である。 Y字形状の開口が形成された一例を示す図である。 Y字形状の開口が形成された他の一例を示す図である。 T字形状の開口が形成された一例を示す図である。 本発明にかかる絞り装置の一実施形態を説明するための図である。 図2に示したY字形状の開口における点像強度分布(PSF)特性を示す図である。 本発明にかかる絞り装置を適用した場合の解像の様子を説明するための図である。 図4に示したT字形状の開口における点像強度分布(PSF)特性を示す図である。 実施例1にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。 絞り装置100の動作を説明するための要部透視図である。 実施例1にかかる絞り装置の変形例を示す要部透視図である。 実施例2にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。 絞り装置300の動作を説明するための要部透視図である。 実施例3にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。 絞り装置400の動作を説明するための要部透視図である。 実施例3にかかる絞り装置の変形例における絞り羽根の一例を示す図である。 絞り装置500の動作を説明するための要部透視図である。 本発明にかかる撮像装置の一実施例を示す図である。 四角形の開口を有する絞りを用いた場合における点像強度分布(PSF)特性を示す図である。 円形の開口を有する絞りを用いた場合における点像強度分布(PSF)特性を示す図である。
以下、本発明にかかる絞り装置、光学装置および撮像装置の基本原理を示しながら、好適な実施の形態を説明する。
本発明にかかる絞り装置は、光学系の光路中に設けられた絞り手段の開口の形状・大きさを変化させて光量を調整する。本発明にかかる絞り装置の最も特徴とするところは、絞り手段の変化により、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程中、凸包様形状から長手方向を有する形状に変化する地点が存在することである。
なお、「凸包様形状」としたのは、開口に小さな切れ欠きが入っており、凸包とは云えない凸包様形状であっても、本発明にかかる絞り装置では、切り欠きがもたらす悪影響は考慮するまでもないくらい僅であり、十分使用に耐えうるからである。切れ欠きがない完全な凸包形状であることが最も望ましいことは、勿論である。
また、長手方向を有する形状とは、光軸を中心とする開口形状の外接円よりその内接円が小さい凹包形状のことであり、開口形状の光軸を中心とする内接円と開口形状の隣り合う2つの接点と、その中間にある、開口形状の光軸を中心とする外接円との接点を含む半島状形状のことを長手と呼称する。より具体的には、光軸中心から動径方向に向かって開口の端までの距離が長短あるような開口形状において、距離が長い方向の構造部分を指す。長手方向を有する形状としては、たとえば、Y字形状、T字形状などが考えられる。
本発明にかかる絞り装置は、絞り手段の変化により、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程中、光軸からの開口端までの最長基線長を維持したままの状態で凸包形状から長手方向を有する形状に変化することがより好ましい。なぜならば、回折限界による高周波コントラストの低下は最大の開口基線に大きく影響されるため、基線長を維持していなければ高周波コントラストの維持ができないためである。
図1は、本発明にかかる絞り装置の一実施形態を説明するための図である。同図は、3枚の絞り羽根で絞り手段を構成した絞り装置における絞り手段の動作を説明するための模式図である。図1(a)は開放状態よりやや絞った開口形状、図1(b)はほぼ中間状態の開口形状、図1(c)は最小絞り状態の開口形状を示している。
図1(a)〜図1(c)に示すように、この絞り装置は、光軸に直交する面上に第1絞り羽根と、第2絞り羽根と、第3絞り羽根とが配置され、絞り込んだ際に各絞り羽根がローレット様に回転しながら均一に光軸方向へせり出していき、開口が、凸包様状態→長手方向を有する形状の状態(「Y」字形状の開口を形成)→凸包多角形状態(三角形の開口)を経て、最後は閉じる。図示されているように、遮蔽される部分の位相は回転してもかまわない。
本発明にかかる絞り装置では、開放状態から最小絞り状態に至るまでの一地点において図1(b)に示したような長手方向を有する形状の開口が現れればよい。一般に、開放状態から最小絞り状態に至るまでの過程において、回折限界が解像力の低下に影響しはじめるのは、中間状態あたりだと考えられる。そこで、中間状態で長手方向を有する形状の開口を作出することで、回折限界が分解能を下げるF値の領域を広げることが可能になり、高周波側のMTFの低下を抑えることができる。このように、本発明にかかる絞り装置によれば、光量の調整をしつつも高周波領域の回折限界の低下を防いで高解像を維持し、同時に発生するフレア発生を抑えることができる。
本発明にかかる絞り装置では、開放状態から最小絞り状態に至るまでの少なくとも一地点において開口形状に長手方向をもたせることによって、開口面積を小さくしても回折限界による高周波側のMTF低下を防止することができる。特に、長手方向をもたせることによって基線長を長くとることができ、同じ開口面積でも円形開口に比べて回折限界高周波数のコントラストを大きく設定することができる。
なお、長手方向を有する形状としては、前述のY字形状や星形形状などの軸対称な形状が好ましいが、T字形状やK字形状のような軸対称性が崩れた形状でも構わない。ただし、軸対称性が崩れた形状である場合、光軸からの距離を保つため、光軸が開口形状の外接円の中心付近にくるように設定することがより好ましい。
本発明において好ましい凸包様形状を数値的に定義するならば、図1(a)に示すように、凸包様形状時の光軸を中心とする開口形状の外接円の半径をRout(単位はmm)、凸包様形状時の光軸を中心とする開口形状の内接円の半径をRin(単位はmm)とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(1) Rin/Rout>0.8
なお、図1に示した実施形態では、開口の凸包様形状からの変化が円形である開放状態から始まっているため、Routの値とRinの値は等しくなり、条件式(1)はRin/Rout=1となる。しかし、開口の凸包様形状からの変化が開放状態よりやや絞られた状態から始まる場合は、条件式(1)はRin/Rout<1となる。
条件式(1)を満足することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することが容易になる。
条件式(1)においてその下限を下回ると、切り欠きが大きくなりすぎ、絞り手段の変化開始時(開放状態)の開口面積が小さくなりすぎるため、本発明で説明する長手方向を有する形状に変化しても開口面積の変化に乏しく、効果が薄くなってしまう。
なお、前述の効果を得る上で、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足するとさらに好ましい。
(1a) Rin/Rout>0.9
さらに、本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する開口形状を形成する各辺の角度を一定の法則のもとに散らばせることによって、フレアの発生をより効果的に抑制することが可能になる。図2、図3、図4は本発明にかかる絞り装置における、長手方向を有する開口形状の一例を示す図である。
図2は、Y字形状の開口が形成された一例を示す図である。同図中、aiは長手方向を有する形状の開口における、一長手端面の接線とこの長手端面と対向する他の長手端面の接線とのなす角(単位はdeg)を示す。また、θは長手方向を有する形状の開口における、光軸中心から見た長手方向に延びる任意の2辺の端点と光軸との3点を結んだ線がなす角(単位はdeg)を示す。
図3は、Y字形状の開口が形成された他の一例を示す図である。同図中、Lは一長手方向を有する形状の動径方向の長さ(単位はmm)、Wはその長手方向を有する形状の円周方向の長さを(単位はmm)を示す。
図4は、T字形状の開口が形成された一例を示す図である。同図中、θは長手方向を有する形状の開口における、光軸中心から見た長手方向に延びる任意の2辺の端点と光軸との3点を結んだ線がなす角(単位はdeg)を示す。
本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する形状の開口における、一長手端面の接線とこの長手端面と対向する他の長手端面の接線とのなす角をai(単位はdeg)とするとき(図2を参照)、次の条件式を満足することにより、フレアの発生を効果的に抑制することができる。
(2) 0<|ai|<90
|ai|の値を条件式(2)の上限以内に抑えることで、長手の基線長を大きく取るのに有利となり、本発明の効果を得やすくなる。
なお、上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2a) 5<|ai|<30
|ai|の値を条件式(2a)の下限以内に抑えることで、絞り端面で発生するフレア同士が離れてフレアが弱くなり、より好ましい像形成が期待できる。また、|ai|の値を条件式(2a)の上限以内に抑えることで、絞りの開口形状のアスペクト比が高くなり、基線長を大きく取りながら開口面積をより小さく抑えることができるようになるため、本発明の効果をより強く得やすくなる。
さらに、本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する形状の開口における、一長手方向を有する形状の動径方向の長さをL(単位はmm)、その長手方向を有する形状の円周方向の長さをW(単位はmm)とするとき(図3を参照)、次の条件式を満足することにより、フレアの発生をより効果的に抑制することができる。
(3) 1 <L/W<10
条件式(3)においてその下限を下回ると、長手の基線長対面積比を大きく保つことができず、本発明の目的の一つである光量を抑えつつ回折限界による高周波MTFを維持するという目的が果たせなくなる。一方、条件式(3)においてその上限を超えると、長手が細くなりすぎ、回折の影響で大域的フレアが大きくなってしまう。
なお、上記条件式(3)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(3a) 1.3<L/W<5
L/Wの値を条件式(3a)の下限以内に抑えることで、基線長に対する面積比がより好ましくなり、光量を抑えつつ回折限界による影響を回避し高周波MTFを維持するという目的を達成しやすくなる。また、L/Wの値を条件式(3a)の上限以内に抑えることで、大域フレアの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに、本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する形状の開口における、光軸中心から見た長手方向に延びる任意の2辺の端点と光軸との3点を結んだ線がなす内角をθ(単位はdeg)、長手の数をnとするとき(図2、図4を参照)、次の条件式を満足することにより、フレアの発生をさらに効果的に抑制することができる。
(4) 360/(n+1)<θ<180
なお、このとき、n=1である場合は基線長維持に不利となり、n=2である場合は解像のバランスを取りにくくなるため、n≧3であることが好ましい。
θの値が条件式(4)で定めた範囲を逸脱すると、長手方向が一方によってしまい、基線長維持の効果が得られにくくなるほか、大域的フレアが重なり合う危険性が増大するといった問題が発生する。
なお、上記条件式(4)は、次に示す範囲を満足すると、より基線長維持の効果を得やすくなり、大域的フレアの影響を回避しやすくなる。
(4a) 360/(n+1)+30/n<θ<180−30/n
本発明にかかる絞り装置において、条件式(1)〜(4)のいずれか一つを満足することで、フレアの発生を効果的に抑制することができるが、条件式(1)〜(4)をすべて満足すれば、極めて効果的にフレアの発生を抑制することが可能になる。
また、本発明は、通常開口状から光量を絞ってもコントラストを維持できるようにすることも目的としているため、なるべく開口の変形スタート時は開放状態であることが最適であると考えられるが、開放状態のF値が小さい場合、開口を絞る途中の段階から本発明の内容を適用しても良い。以下では、開口を絞る途中の段階から本発明の内容を適用する場合の一例を説明する。
図5は、本発明にかかる絞り装置の一実施形態を説明するための図である。同図は、5枚の絞り羽根で絞り手段を構成した絞り装置における絞り手段の動作を説明するための模式図である。図5(a)〜図5(d)に示すように、この絞り装置は、光軸に直交する面上に5枚の絞り羽根が配置され、絞り込んだ際に各絞り羽根がローレット様に回転しながら均一に光軸方向へせり出していき、開口が、凸包様状態→長手方向を有する形状の状態→凸包多角形状態を経て、最後は閉じる。
図5(a)は、開放状態の開口形状を示している。この開口形状では、Rout、Rin、Rfo(開放状態における光軸を中心とする開口形状の外接円の半径)がともに等しくなる。
図5(b)は、凸包様形状状態の開口形状を示している。この開口形状では、Rfo=Routであり、Rin/Rout>0.8(条件式(1))になる。また、1>Rin/Routであることは明らかである。
図5(c)は、長手方向を有する開口形状であり、凸包様形状の状態から最長基線長を維持したままの状態で開口面積を縮小して長手方向を有する形状に変化した状態を示している。この開口形状では、Rfo=Rout−star(長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする開口形状の外接円の半径)であり、Rout−star>Rin−star(長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする開口形状の内接円の半径)になる。
図5(d)は、同図(c)の状態からさらに絞った状態である長手方向を有する開口形状を示している。この開口形状では、Rout−star>Rin−starは維持されたまま、Rfo>Rout−starとなり、図5(c)に示した状態と比べて基線長は短くなる。
ここで、本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする開口形状の外接円の半径をRout−star(単位はmm)、開放状態における光軸を中心とする開口形状の外接円の半径をRfo(単位はmm)とするとき、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程で、次の条件式を満足する開口状態を経由することが好ましい。
(5) Rout−star/Rfo>0.8
なお、図5(a)に示した状態では、開口の凸包様形状からの変化が円形である開放状態から始まっているため、Rout−starの値とRfoの値は等しくなり、条件式(5)はRout−star/Rfo=1となる。しかし、図5(b)に示したように、開口の凸包様形状からの変化が開放状態よりやや絞られた状態から始まる場合は、条件式(5)はRout−star/Rfo<1となる。
本発明では、条件式(5)を満足する状態が、開口が長手方向を有する形状に変化した際に一瞬でも存在すればよく、条件式(5)を満足することにより、F値が大きい暗い開放状態から開口の変形をスタートさせても、十分な効果を得ることができる。なお、条件式(5)においてその下限を下回ると、開口の開放時に不要なフレアが発生することが危惧される。
なお、上記条件式(5)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(5a) Rout−star/Rfo>0.9
ところで、前述したように、高周波コントラストを維持するためには最長基線長が長いほど有利になるので、本発明にかかる絞り装置では、開口が開放状態から最小絞り状態へ変化する過程において、光軸からの開口端までの最長基線長を維持したままの状態で開口面積を縮小して凸包形状から長手方向を有する形状に変化させることが好ましい。特に、図5(c),(d)に示したように、開口面積を抑えつつ開口基線を長く保つために、長手方向を有する形状時において、長手の形状は一般的な円や凸包から逸脱した形状になるようにすることが好ましい。
そこで、本発明にかかる絞り装置では、長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする開口形状の内接円の半径をRin−star(単位はmm)、長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする開口形状の外接円の半径をRout−star(単位はmm)とするとき、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程で、次の条件式を満足する開口状態を経由することが好ましい。
(6) Rin−star/Rout−star<0.5
条件式(6)においてその上限を超えると、高周波コントラストを維持することが困難になることが危惧される。
なお、上記条件式(6)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(6a) Rin−star/Rout−star<0.4
図6は、図2に示したY字形状の開口における点像強度分布PSF(Point Spread Function)特性を示す図である。図2に示した例においても、開口の凸包様形状からの変化が円形である開放状態から始まっている。なお、当該Y字形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=8.4,Rout=8.4)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=27.7
(条件式(3)に関する数値)
L/W=3.4(L=7.65,W=2.2)
(条件式(4)に関する数値)
θ=120
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=8.4,Rfo=8.4)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.24(Rin−star=2.0,Rout−star=8.4)
図6に示すように、本発明にかかる絞り装置において、Y字形状の開口が形成されるようにした場合、放射状のフレアが小さく発生するが、従来に比べてはるかに小さいものであるため、実使用上問題となるレベルのものではない。このように、従来よりも発生するフレアを効果的に抑制できることがわかる。
図7は、本発明にかかる絞り装置を適用した場合の解像の様子を説明するための図である。同図(a)は図2に示したY字形状の開口が形成される絞り装置においてF値が11相当である場合の解像を示す図、同図(b)は比較のため特許文献2に示された技術の円形状の開口が形成される絞り装置においてF値が11である場合の解像を示す図である。
図7の(a)、(b)を比較すると、従来の絞り装置を適用した場合は全体像がぼやけてしまうのに対し、本発明の絞り装置を適用した場合は高周波での解像度を維持できていることがわかる。本発明にかかる絞り装置を適用した場合でも、フレアにより全体のコントラストはやや落ちているが、僅かであり、気になるレベルではない。
図6、図7から、本発明にかかる絞り装置のように、開口面積を小さくしつつも一定の開口幅を保持した開口形状が形成されるようにすると、僅かながら(実使用上問題とはならないレベル)のフレアは発生するが、高周波側の回折限界を引き上げることができる。
図8は、図4に示したT字形状の開口における点像強度分布PSF(Point Spread Function)特性を示す図である。図4に示した例においても、開口の凸包様形状からの変化が円形である開放状態から始まっている。なお、当該T字形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=4.7,Rout=4.7)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=0.1
(条件式(3)に関する数値)
L/W=2(L=4.01,W=2.0)
(条件式(4)に関する数値)
θ=120
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=4.7,Rfo=4.7)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.22(Rin−star=1.96,Rout−star=4.7)
本発明にかかる絞り装置において、T字形状の開口が形成されるようにした場合、図8に示すようなセンサーのピクセル配列方向にフレアが発生するが、実使用上問題となるレベルのものではなく、前述のY字形状の開口が形成される場合と同様に高周波側の回折限界を引き上げることができる。
ところで、開口形状の長手方向が偶数だと、条件式(1)〜(6)を満たすために開口が非対称な形状になりがちである。この場合、発生するフレアが非対称になり、解像度は問題ないが得られる画像の印象が悪くなるおそれがある。そこで、本発明にかかる絞り装置では、形成される開口における、長手方向を有する形状の数は奇数であることが好ましい。
また、一般に、開口部を細くするとフレアの発生量が増える傾向がある。このため、フレアを等方的にしようとするあまり、開口の長手方向を増やしすぎると、発生するフレアが増大することが危惧される。そこで、形成される長手方向の数はできるだけ少なくすることが好ましい。
長手方向の数は3が最適であると考えられるが、7以下、さらに好ましくは5以下であれば十分実用に耐えうる。そこで、本発明にかかる絞り装置では、形成される開口における、長手方向を有する形状の数は3または5であることが好ましい。
また、本発明にかかる絞り装置では、所望の長手方向を有する形状の開口を形成するためには、液晶絞り等の自由変形絞りや、3枚以上の絞り羽根を用いて構成することが好適であるが、製造コストや大きさなどの面から2枚の絞り羽根を用いて簡便に長手方向を有する形状の開口が形成されるようにしてもよい。
以上説明したように、本発明にかかる絞り装置によれば、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包様形状からたとえばY字形状やT字形状のような長手方向を有する形状に変化することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができる。特に、開口が長手方向を有する形状に変化したとき、上記条件式(1)〜(6)を満足することで、発生するフレアをより効果的に抑制することができる。
ここでは、本発明の一実施形態として、絞り羽根を複数枚組み合わせて移動させる形態をとった絞り手段を備えた絞り装置を提示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、他の絞り手段、たとえば液晶のような自由変形絞り機構や切り替え機構を用いて絞り装置を実現してもよく、同様の効果が得られることは自明である。なぜならば、本発明は光の波動性を利用したものなので、絞り装置を構成する材質や絞り過程にかかわらず同一開口形状ならば回折の様子は同一であり、効果も同様に得られるからである。
また、本発明にかかる絞り装置を備え、当該絞り装置を介して外光を撮影用の固体撮像素子へ入射させる光学装置を構成すれば、暗いF値状態においても高解像の光学像が得られる。
この光学装置においては、開口の凸包様形状から長手方向を有する形状に変化する過程における、最小の凸包様形状開口時の光学系のF値をFNOとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(7) FNO<4
本発明にかかる絞り装置を用いた光学装置を構成する場合、開口の開放時や多少絞った程度では回折限界は致命的な影響を与えず、開口を普通に絞った場合に回折限界の影響を受けてしまい分解能が大きく低下する状態が前提になる。このため、開口が凸包形状から長手方向を有する形状に変化するスタート時点での光学系の分解能が固体撮像素子の位置分解能に対して十分でなければならない。加えて、光学系の分解能が固体撮像素子の位置分解能に比べてある程度の余裕があることが望ましい。以上から、開放開口の円形状ないし類似形状である凸包様形状の回折限界はF値で決まるため、本発明で言及する変形スタート時のF値(FNO)は一定程度明るいことが必要であり、それは4未満、好ましくは2.8以下であることが理想である。
さらに、当該光学装置と、当該光学装置を介して受光した外光を電気的信号に変換する固体撮像素子と、を備えて撮像装置を構成することにより、高解像の画像が得られる。
ここでは、本発明の一実施形態として、可視光を想定した絞り装置、光学装置、撮像装置を提示して説明した。しかし、本発明は可視光に限られるものではない。本発明は、前述のように、光の波動性を利用したものであるので、結像光学系を有効に構成できる波長帯域に光に対して可視光と同様の効果が得られる。たとえば、近赤外、中間赤外はもちろんのこと遠赤外、テラヘルツ、紫外等についても可視光を用いた場合と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
図9は、実施例1にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、3枚の絞り羽根を備えた絞り装置であって、開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が3である場合の例を示す。図9は、図示しない被写体(図の右側)側から見た状態を示している。絞り装置100は、各種撮像装置において撮影用の固体撮像素子へ入射させる光量を制御するために用いられる。
図9に示すように、絞り装置100は、3枚の絞り羽根110と、ベース120と、カム盤130と、規制部材140と、を備えており、絞り羽根110がベース120とカム盤130との間に保持される。
3枚の絞り羽根110は、透過光量を制御するための可変開口絞りを形成する。3枚の絞り羽根110は、すべて同一形状であり、開口中心部に向けた位置に凸状の開口形成部110aが設けられている。3枚の絞り羽根110を絞り込んだ際に各絞り羽根がローレット様に回転しながら均一に光軸方向へせり出していき、各絞り羽根の開口形成部110aによって、開放状態から最小絞り状態に至るまでの一地点において開口部にY字形状が形成される。3枚の絞り羽根110のベース120側の面には、回動ピン111が凸設されている。回動ピン111は、絞り羽根110をベース120に対して回動可能に取り付けるためのものである。一方、絞り羽根110のカム盤130側の面(回動ピン111とは反対側)には、駆動ピン112が凸設されている。駆動ピン112は、カム盤130に対して絞り羽根110を係合させるためのものである。
ベース120は円盤状の板であり、その中央部に光を通過させる略円形の開口121が形成されている。開口121は、3枚の絞り羽根110によって形成される可変開口絞りの最大径と同等の大きさに形成されている。また、開口121を中心にその周囲には、3枚の絞り羽根110を収容する収容部122が形成されている。収容部122内の開口121の周囲には、羽根穴123が3箇所形成されている。この羽根穴123には、絞り羽根110の回動ピン111が挿入されることによって、3枚の絞り羽根110がベース120に対して回動可能に取り付けられる。また、収容部122の外周部に位置規制ピン124が3箇所凸設されている。位置規制ピン124は、絞り羽根110がベース120に対して回動されたとき、絞り羽根110のベース120の外周方向への移動を規制するための部材である。また、収容部122の外周部には、カム盤130をベース120に当て付けるための当接部125が設けられている。カム盤130が当接部125に当接されることで、カム盤130がベース120に対して回動可能に保持される。さらに、当接部125の外側には、取付部126が3箇所設けられている。取付部126は、ベース120の他の部位より高く形成されており、3つの取付部126でカム盤130がベース120から外れないように保持する。さらに、取付部126のそれぞれ中央部には、取付ネジ穴126aが形成されている。取付ネジ穴126aは、規制部材140をベース120にネジ止めするためのものである。また、取付部126において、取付ネジ穴126aのそれぞれ両側には、ネジ穴126b形成されている。ネジ穴126bは、絞り装置100をレンズ鏡筒(不図示)にネジ止めするためのものである。
カム盤130は、ベース120との間に保持した3枚の絞り羽根110を駆動するための駆動部材であり、その外周縁がベース120の当接部125の当て付けられることでベース120に対して回動可能に保持される。カム盤130の中央部には、光を通過させる略円形の開口131が形成されている。開口131は、ベース120の開口121と同等の大きさになっている。開口131の周囲には、弓状のカム溝132が3箇所形成されている。カム溝132は、すべて同じ形状である。各カム溝132は、それぞれ絞り羽根110の駆動ピン112と係合される。また、カム盤130の外周縁には、駆動レバー133が設けられている。カム盤130はベース120に対して回動可能に保持されるので、この駆動レバー133をカム盤130の外周方向へスライドさせることにより、カム盤130をベース120に対して回動させることができる。これにより、絞り羽根110がカム盤130の回動に連動して駆動され開口の開閉を行うことができる。なお、駆動レバー133のスライドは、ステッピングモータなどの一般的な駆動手段によって行う。
規制部材140は、リング形状になっており、ベース120に当接されたカム盤130が外れないようにして、絞り羽根110およびカム盤130の光軸に沿う方向の位置を規制するためのものである。規制部材140の外縁部に、穴部141が3箇所形成されている。各穴部141をベース120の各取付ネジ穴126aに合わせてネジ(不図示)止めすることで、規制部材140をベース120に対して固定することができる。
次に、絞り装置100の組み立て手順を説明する。ベース120の羽根穴123に対して、それぞれ絞り羽根110の回動ピン111を挿通する。すべての羽根穴123に対して絞り羽根110の回動ピン111を挿通することにより、ベース120に絞り羽根110が収容される。次に、カム盤130のカム溝132にそれぞれ絞り羽根110の駆動ピン112を係合させながら、カム盤130の外周縁をベース120の当接部125に当て付ける。このようにすることで、カム盤130をベース120に対して回動させることにより、3枚の絞り羽根110の開閉駆動の制御が可能になる。最後に、カム盤130がベース120に当て付けられた状態で、規制部材140をベース120にネジ止めする。このようにすることで、カム盤130が外れないようにして、絞り羽根110およびカム盤130の光軸に沿う方向の位置を規制することができる。
次に、図10を参照し、絞り装置100の動作について説明する。図10は、絞り装置100の動作を説明するための要部透視図である。図10(a)は開放状態よりやや絞った開口形状、図10(b)はほぼ中間状態の開口形状、図10(c)は最小絞り状態の開口形状を示している。図10(a)〜(c)は、すべて物体側から見た状態を示している。図10(a)〜(c)において規制部材140の記載は省略している。符号Oは、光軸(絞り装置100の開口中心)を示す。
この絞り装置100は、図10(a)に示した状態から、カム盤130の駆動レバー133を矢印アの方向へスライドさせると、カム盤130がベース120の当接部125に対して摺動しながらベース120に対して矢印アの方向へ回転し始める。すると、各絞り羽根110の駆動ピン112がカム盤130のカム溝132に案内されて移動し、開口形成部110aが開口中心の方向へ向かって移動することにより、ほぼ中間状態でY字形状の開口を形成した後(図10(b)参照)、最後は三角形の開口になって閉じる(図10(c)参照)。図示されているように、遮蔽される部分の位相は回転してもかまわない。
一方、図10(c)に示した状態から、カム盤130の駆動レバー133を矢印イの方向へスライドさせると、カム盤130がベース120に対して矢印イの方向へ回転し始める。すると、各絞り羽根110の駆動ピン112がカム盤130のカム溝132に案内されて元の方向へ移動し、開口形成部110aが開口中心から離れる方向へ移動することにより、開口を開くことができる。
絞り装置100のY字形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=14.1,Rout=14.1)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=0.1
(条件式(3)に関する数値)
L/W=1.83(L=12.15,W=6.62)
(条件式(4)に関する数値)
θ=120
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=14.1,Rfo=14.1)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.27(Rin−star=3.8,Rout−star=14.1)
以上のように、この絞り装置100によれば、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包形状から長手方向を有するY字形状に変化することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができる。
図11は、実施例1にかかる絞り装置の変形例を示す要部透視図である。同図は、図10(b)に対応する状態の、ほぼ中間状態の開口形状を示している。図11は、物体側から見た状態を示している。
図11に示す絞り装置200は、中間状態で先端部が細くなっているY字形状の開口が形成されるようになっている。これは、絞り羽根210において開口形成部210aの凸部先端から両端へ延びる勾配が絞り装置100の絞り羽根110に比べて緩くなるように構成する(条件式(2)における|ai|の値を大きくする)ことによって可能になる。絞り装置200において、絞り羽根210の開口形成部210aの形状以外は、絞り装置100と全く同様の構成である。
絞り装置200のY字形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=14.1,Rout=14.1)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=25
(条件式(3)に関する数値)
L/W=1.83(L=12.16,W=6.62)
(条件式(4)に関する数値)
θ=120
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=14.1,Rfo=14.1)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.27(Rin−star=3.8,Rout−star=14.1)
図12は、実施例2にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、5枚の絞り羽根を備えた絞り装置であって、開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が5である場合の例を示す。図12は、図示しない被写体(図の右側)側から見た状態を示している。絞り装置300は、各種撮像装置において撮影用の固体撮像素子へ入射させる光量を制御するために用いられる。
図12に示すように、絞り装置300は、5枚の絞り羽根310と、ベース320と、カム盤330と、規制部材340と、を備えており、絞り羽根310がベース320とカム盤330との間に保持される。
5枚の絞り羽根310は、透過光量を制御するための可変開口絞りを形成する。5枚の絞り羽根310は、すべて同一形状であり、開口中心部に向けた位置に「く」の字形状の開口形成部310aが設けられている。5枚の絞り羽根310を絞り込んだ際に各絞り羽根がローレット様に回転しながら均一に光軸方向へせり出していき、各絞り羽根の開口形成部310aによって、開放状態から最小絞り状態に至るまでの一地点において開口部に星形状が形成される。5枚の絞り羽根310のベース320側の面には、第1回動ピン311aが凸設されている。第1回動ピン311aは、絞り羽根310をベース320に対して回動可能に取り付けるためのものである。一方、第1回動ピン311aの反対側の同位置には第2回動ピン311bが凸設されている。第2回動ピン311bは、カム盤330に絞り羽根310を係合させるためのものである。また、絞り羽根310のカム盤330側の面には、第2回動ピン311bとは別に駆動ピン312が凸設されている。駆動ピン312は、カム盤330および規制部材340に対して絞り羽根310を係合させるためのものである。
ベース320は円盤状の板であり、その中央部に光を通過させる略円形の開口321が形成されている。開口321は、5枚の絞り羽根310によって形成される可変開口絞りの最大径と同等の大きさに形成されている。また、開口321を中心にその周囲には、5枚の絞り羽根310を収容する収容部322が形成されている。収容部322は、絞り羽根310を収容できるように、ベース320の外縁部よりも絞り羽根310の厚み分だけ低くなるように形成されている。このため収容部322の外周部とベース320の外縁部との境界部に段差が形成される。収容部322内の開口321の周囲には、羽根穴323が5箇所形成されている。この羽根穴323には、絞り羽根310の第1回動ピン311aが挿入されることによって、5枚の絞り羽根310がベース320に対して回動可能に取り付けられる。そして、収容部322の外周部とベース320の外縁部との境界部の段差が、絞り羽根310がベース320に対して回動されたとき、絞り羽根310のベース320の外周方向への移動を規制することになる。また、ベース320の外縁部には、取付ネジ穴324が形成されている。取付ネジ穴324は、規制部材340をベース320に取り付けるためのものである。
カム盤330は、ベース320との間に保持した5枚の絞り羽根310を駆動するための駆動部材である。カム盤330の中央部には、光を通過させる略円形の開口331が形成されている。開口331は、ベース320の開口321と同等の大きさになっている。開口331の周囲には、弓状のカム溝332が5箇所形成されている。カム溝332は、すべて同じ形状である。各カム溝332は、それぞれ絞り羽根310の駆動ピン312と係合される。また、カム盤330の外縁部には、円弧状の溝333が5箇所形成されている。溝333は、すべて同じ形状である。各溝333は、それぞれ絞り羽根310の第2回動ピン311bが係合される。各溝333に絞り羽根310の第2回動ピン311bが係合されることで、ベース320に対する絞り羽根310の回動を妨げることなく、カム盤330がベース320に対して回動可能に保持されることになる。さらに、カム盤330の外周縁には、駆動レバー334が設けられている。カム盤330はベース320に対して回動可能に保持されるので、この駆動レバー334をカム盤330の外周方向へスライドさせることにより、カム盤330をベース320に対して回動させることができる。これにより、絞り羽根310がカム盤330の回動に連動して駆動され開口の開閉を行うことができる。なお、駆動レバー334のスライドは、ステッピングモータなどの一般的な駆動手段によって行う。
規制部材340は、絞り羽根310やカム盤330がベース320から外れないようにして、絞り羽根310およびカム盤330の光軸に沿う方向の位置を規制するためのものである。加えて、カム盤330の回動にともなって回動する絞り羽根310の動作を補うためのものである。規制部材340の中央部には、光を通過させる略円形の開口341が形成されている。開口341は、ベース320の開口321と同等の大きさになっている。開口341の周囲には、弓状のカム溝342が5箇所形成されている。カム溝342には絞り羽根310の駆動ピン312が係合される。規制部材340がベース320に固定された状態で、絞り羽根310の駆動ピン312がカム盤330のカム溝332と規制部材340カム溝342の双方に係合されることで、ベース320に対してカム盤330を回動させることによって絞り羽根310の駆動が可能になる。規制部材340の外縁部に、穴部343が3箇所形成されている。各穴部343をベース320の各取付ネジ穴324に合わせてネジ(不図示)止めすることで、規制部材340をベース320に対して固定することができる。
次に、絞り装置300の組み立て手順を説明する。ベース320の羽根穴323に対して、それぞれ絞り羽根310の第1回動ピン311aを挿通する。すべての羽根穴323に対して絞り羽根310の第1回動ピン311aを挿通することにより、ベース320に絞り羽根310が収容される。次に、カム盤330のカム溝332および溝333に、それぞれ絞り羽根310の駆動ピン312および第2回動ピン311bを係合させる。最後に、カム盤330のカム溝332に係合されている絞り羽根310の駆動ピン312を規制部材340のカム溝342にさらに係合させて、規制部材340をベース320にネジ止めする。このようにすることで、カム盤330が外れないようにして、絞り羽根310およびカム盤330の光軸に沿う方向の位置を規制しながら、カム盤330をベース320に対して回動させることにより、5枚の絞り羽根310の開閉駆動の制御が可能になる。
次に、図13を参照し、絞り装置300の動作について説明する。図13は、絞り装置300の動作を説明するための要部透視図である。図13(a)は開放状態の開口形状、図13(b)はほぼ中間状態の開口形状、図13(c)は最小絞り状態の開口形状を示している。図13(a)〜(c)は、すべて物体側から見た状態を示している。図13(a)〜(c)において規制部材340の記載は省略している。符号Oは、光軸(絞り装置300の開口中心)を示す。
この絞り装置300は、図13(a)に示した状態から、カム盤330の駆動レバー334を矢印イの方向へスライドさせると、絞り羽根310の第2回動ピン311bに対してカム盤330の各溝333が摺動しながら、カム盤330がベース320に対し矢印イの方向へ回転し始める。すると、各絞り羽根310の駆動ピン312がカム盤330のカム溝332および規制部材140のカム溝342に案内されて移動し、開口形成部310aが開口中心の方向へ向かって移動することにより、ほぼ中間状態で星形状の開口を形成した後(図13(b)参照)、最後は最小開口になって閉じる(図13(c)参照)。図示されているように、遮蔽される部分の位相は回転してもかまわない。
一方、図13(c)に示した状態から、カム盤330の駆動レバー334を矢印アの方向へスライドさせると、カム盤330がベース320に対して矢印アの方向へ回転し始める。すると、各絞り羽根310の駆動ピン312がカム盤330のカム溝332および規制部材140のカム溝342に案内されて元の方向へ移動し、開口形成部310aが開口中心から離れる方向へ移動することにより、開口を開くことができる。
絞り装置300の星形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=20.6,Rout=20.6)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=25.2
(条件式(3)に関する数値)
L/W=2.00(L=15.3,W=7.6)
(条件式(4)に関する数値)
θ=72
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=20.6,Rfo=20.6)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.32(Rin−star=6.6,Rout−star=20.6)
以上のように、この絞り装置300によれば、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包形状から長手方向を有する星形状に変化することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができる。
図14は、実施例3にかかる絞り装置の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、2枚の絞り羽根を備えた絞り装置であって、開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が3である場合の例を示す。図14は、像(図の右側)側から見た状態を示している。絞り装置400は、各種撮像装置において撮影用の固体撮像素子へ入射させる光量を制御するために用いられる。
絞り装置400は、絞りホルダ410と、第1絞り羽根420と、第2絞り羽根430と、カバー板440と、駆動リング450と、を備えている。
絞りホルダ410の中央部には、光を通過させる略円形の開口411が形成されている。絞りホルダ410の側面と開口411と間には、それぞれ軸412a,412b,412c,412dが図示しない像側へ凸設されている。軸412bは軸412aの直下に設けられており、軸412dは軸412cの直下に設けられている。また、軸412a,412bと軸412c,412dとは、絞りホルダ410の中心線に対して線対称の位置にある。また、軸412a,412b,412c,412dよりもやや開口411側には、それぞれ軸413a,413b,413c,413dが軸412a,412b,412c,412dと同方向へ凸設されている。軸413bは軸413aの直下に設けられており、軸413dは軸413cの直下に設けられている。また、軸413a,413bと軸413c,413dとは、絞りホルダ410の中心線に対して線対称の位置にある。さらに、絞りホルダ410の左右の外側面には、絞りホルダ410をレンズ鏡筒にネジ止めするためのネジ穴414a,414bが形成されている。
第1絞り羽根420の中央部より下方に、下部が絞りホルダ410の開口411の外周部と重なり合う半円状で、上部に鋸歯部421aが設けられている開口形成部421が形成されている。開口形成部421の左側近傍に、水平なカム溝422が形成されている。カム溝422の左側の第1絞り羽根420の左端には、上下に長い直進ガイド溝423が形成されている。一方、開口形成部421の右側近傍には、円弧状のカム溝424が形成されている。カム溝424の右側の第1絞り羽根420の右端には、上下に長い直進ガイド溝425が形成されている。直進ガイド溝423と直進ガイド溝425とは、同形状で、互いに第1絞り羽根420の中心線に対して線対称の位置にある。
第2絞り羽根430の中央部より上方に、絞りホルダ410の開口411の外周部とほぼ重なり合う円形状で、下部の一部分に長手方向を有する形状の切欠部431aが設けられている開口形成部431が形成されている。開口形成部431の左側近傍に、円弧状のカム溝432が形成されている。カム溝432の左側の第2絞り羽根430の左端には、上下に長い直進ガイド溝433が形成されている。一方、開口形成部431の右側近傍には、半円状のカム溝434が形成されている。カム溝434の右側の第2絞り羽根430の右端には、上下に長い直進ガイド溝435が形成されている。直進ガイド溝433と直進ガイド溝435とは、同形状で、互いに第2絞り羽根430の中心線に対して線対称の位置にある。
カバー板440の中央部には、開口411の形状にほぼ等しい開口441が形成されている。さらに、開口441の左右近傍には、円弧状のカム溝442a,442bが形成されている。カム溝442aとカム溝442bとは、同形状で、互いにカバー板440の中心線に対して線対称の位置にある。さらに、カム溝442aの左側のカバー板440の左端には、上下に長い直進ガイド溝443が形成されている。また、カム溝442bの右側のカバー板440の右端には、上下に長い直進ガイド溝444が形成されている。直進ガイド溝443と直進ガイド溝444とは、同形状で、互いにカバー板440の中心線に対して線対称の位置にある。さらに、直進ガイド溝443よりもやや開口441よりで、カバー板440の上下方向には、取付溝445a,445bが形成されている。取付溝445bは、取付溝445aの直下に形成されている。一方、直進ガイド溝444よりもやや開口441よりで、カバー板440の上下方向には、取付溝445c,445dが形成されている。取付溝445dは、取付溝445cの直下に形成されている。取付溝445aと取付溝445cとは、同形状で、互いにカバー板440の中心線に対して線対称の位置にある。取付溝445bと取付溝445dとは、同形状で、互いにカバー板440の中心線に対して線対称の位置にある。
駆動リング450は、直径が開口411よりやや大きいリング状の部材で形成される。駆動リングの450の左右には駆動ピンが451a,451bが凸設されている。駆動ピン451a,451bは、第1絞り羽根420、第2絞り羽根430、カバー板440と係合され、駆動リング450が絞りホルダ410に対して回動されることによって、第1絞り羽根420および第2絞り羽根430が上下方向(光軸に対して直交する方向)へ駆動されることになる。また、駆動リング450の最上部には、絞りホルダ410の内側面に当接される当接部452が設けられている。駆動リング450の最下部には、駆動レバー453が設けられている。駆動レバー453を駆動リング450の外周方向へスライドさせることにより、駆動リング450を絞りホルダ410に対して回動させることができる。この回動に連動して、第1絞り羽根420と第2絞り羽根430が、上下方向へ接離的にスライドしながら開口形状を変化させる。なお、駆動レバー453のスライドは、ステッピングモータなどの一般的な駆動手段によって行う。
次に、絞り装置400の組み立て手順を説明する。まず、第1絞り羽根420のカム溝422に駆動リング450の駆動ピンが451aを挿入し、第1絞り羽根420のカム溝424に駆動リング450の駆動ピンが451bを挿入する。この状態で、第1絞り羽根420の直進ガイド溝423に絞りホルダ410の軸412a,412bを嵌め込み、第1絞り羽根420の直進ガイド溝425に絞りホルダ410の軸412c,412dに嵌め込んで、第1絞り羽根420と駆動リング450を絞りホルダ410に取り付ける。
次に、第1絞り羽根420と駆動リング450が絞りホルダ410に取り付けられた状態で、駆動リング450の駆動ピンが451aを第2絞り羽根430のカム溝432に挿入し、駆動リング450の駆動ピンが451bを第2絞り羽根430のカム溝434に挿入する。続けて、第2絞り羽根430の直進ガイド溝433を絞りホルダ410の軸412a,412bに嵌め込み、第2絞り羽根430の直進ガイド溝435を絞りホルダ410の軸412c,412dに嵌め込んで、第2絞り羽根430を絞りホルダ410に取り付ける。
最後に、駆動リング450の駆動ピンが451aをカバー板440のカム溝442aに挿入し、駆動リング450の駆動ピンが451bをカバー板440のカム溝442bに挿入する。続けて、カバー板440の直進ガイド溝443に絞りホルダ410の軸412a,412bを嵌め込み、カバー板440の直進ガイド溝444に絞りホルダ410の軸412c,412dを嵌め込む。さらに、取付溝445aに軸413aを嵌め込み、取付溝445bに軸413bを嵌め込み、取付溝445cに軸413cを嵌め込み、取付溝445dに軸413dを嵌め込んで、カバー板440を絞りホルダ410に取り付ける。このようにすることで、各部材が絞りホルダ410から外れないようになり、各部材の光軸に沿う方向の位置決めがなされる。
以上のような手順で、絞り装置400を組み立てることによって、駆動レバー453を駆動リング450の外周方向へスライドさせることにより、絞りホルダ410に対する駆動リング450の回動に連動して、第1絞り羽根420および第2絞り羽根430が軸412a,412b,412c,412dに対して摺動自在になる。この結果、駆動リング450の回動に連動して、第1絞り羽根420および第2絞り羽根430が上下方向へ接離的にスライドしながら開口形状を変化させることができるようになる。
次に、図15を参照し、絞り装置400の動作について説明する。図15は、絞り装置400の動作を説明するための要部透視図である。図15(a)は開放状態の開口形状、図15(b)はほぼ中間状態の開口形状、図15(c)は最小絞り状態の開口形状を示している。図15(a)〜(c)は、すべて物体側から見た状態を示している。符号Oは、光軸(絞り装置400の開口中心)を示す。
この絞り装置400は、図15(a)に示した状態から、駆動リング450の駆動レバー453を矢印イの方向へスライドさせると、駆動リング450の駆動ピン451aが第1絞り羽根420のカム溝422を下側へ押し出し、駆動リング450の駆動ピン451bが第2絞り羽根430のカム溝434を上側へ押し出す。すると、第1絞り羽根420下側へ、第2絞り羽根430が上側へ、それぞれスライド移動され、第1絞り羽根420の開口形成部421の鋸歯部421aと、第2絞り羽根430の開口形成部431の切欠部431aとが近接して、ほぼ中間状態でT字形状の開口を形成した後(図15(b)参照)、最後は最小開口になって閉じる(図15(c)参照)。
その後、駆動リング450の駆動レバー453を矢印アの方向へスライドさせると、今度は、駆動リング450の駆動ピン451aが第1絞り羽根420のカム溝422を上側へ押し出し、駆動リング450の駆動ピン451bが第2絞り羽根430のカム溝434を下側へ押し出す。すると、第1絞り羽根420上側へ、第2絞り羽根430が下側へ、それぞれスライド移動され、第1絞り羽根420の開口形成部421の鋸歯部421aと、第2絞り羽根430の開口形成部431の切欠部431aとが離れる方向へ移動することになって、開口を開くことができる。
絞り装置400の星形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=14.7,Rout=14.7)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=21.9
(条件式(3)に関する数値)
L/W=1.74(L=14.9,W=8.6)
(条件式(4)に関する数値)
θ=114.9,130.2
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=14.7,Rfo=14.7)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=1.6(Rin−star=2.4,Rout−star=14.7)
以上のように、この絞り装置400によれば、開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包形状から長手方向を有するT字形状に変化することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができる。
図16は、実施例3にかかる絞り装置の変形例における絞り羽根の一例を示す図である。この絞り装置500は、第1絞り羽根510と、第2絞り羽根520と、を備えて構成される。
第1絞り羽根510には、上方に長手方向を有する形状の切欠部511aが設けられた開口形成部511が形成されている。また、第1絞り羽根510の左端には、上下に長い直進ガイド溝512a,512bが形成されている。直進ガイド溝512a,512bは大きさ、形状とも同一であり、直進ガイド溝512bは直進ガイド溝512aの直下に形成されている。第1絞り羽根510の下端であり、直進ガイド溝512bの下側には、左右方向に長い回転連結穴513が形成されている。一方、第1絞り羽根510の右端にも上下に長い直進ガイド溝514が形成されている。直進ガイド溝514は、大きさ、形状とも直進ガイド溝512aと同一であるが、第1絞り羽根510の中心線に対し直進ガイド溝512aと線対称の位置にある。
第2絞り羽根520は、ほぼ上半分が切り欠かれるように開口形成部521が形成されている。開口形成部521の下部中央部には凸部521aが形成され、凸部521aの両端に凹部521bが形成されている。また、第2絞り羽根520の右端には、上下に長い直進ガイド溝522a,522bが形成されている。直進ガイド溝522a,522bは大きさ、形状とも同一であり、直進ガイド溝522bは直進ガイド溝522aの直下に形成されている。第2絞り羽根520の下端であり、直進ガイド溝522bの下側には、左右方向に長い回転連結穴523が形成されている。一方、第2絞り羽根520の左端にも上下に長い直進ガイド溝524が形成されている。直進ガイド溝524は、大きさ、形状とも直進ガイド溝522aと同一であるが、第2絞り羽根520の中心線に対し直進ガイド溝522aと線対称の位置にある。
図17は、絞り装置500の動作を説明するための要部透視図である。図17(a)はほぼ中間状態の開口形状、図17(b)は開放状態の開口形状を示している。第1絞り羽根510、第2絞り羽根520は、重ね合わされて図示しない絞りホルダに収容される。このとき、上記各直進ガイド溝には、絞りホルダに設けられた各軸が挿入される。また、図示しない駆動手段から延びるアームの左右両先端部にそれぞれ設けられた連結ピンが回転連結穴513,523に挿入される。駆動手段は、左右方向へ延びるアームの両端を上下方向へ駆動するもので、周知の技術により実現できる。この駆動手段の駆動により、第1絞り羽根510と、第2絞り羽根520とを互いに光軸に対して直交する方向に沿って接離的にスライドさせながら開口形状を変化させる。
以上のように、この絞り装置500によっても、開口が、凸包形状から長手方向を有するY字形状に変化することによって、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができる。
なお、図17に示したY字形状の開口における条件式(1)〜(6)に関する数値は次のとおりである。
(条件式(1)に関する数値)
Rin/Rout=1(Rin=14.9,Rout=14.9)
(条件式(2)に関する数値)
|ai|=0.1
(条件式(3)に関する数値)
L/W=3.2(L=13.8,W=4.3)
(条件式(4)に関する数値)
θ=120
(条件式(5)に関する数値)
Rout−star/Rfo=1(Rout−star=14.9,Rfo=14.9)
(条件式(6)に関する数値)
Rin−star/Rout−star=0.27(Rin−star=3.8,Rout−star=14.9)
なお、実施例1〜3では、開口の凸包様形状からの変化が円形である開放状態から始まっているため、条件式(1)はすべてRin/Rout=1となる。しかし、絞り羽根を用いた実施例であるので、絞込みの途中の段階で必ずRin/Routの値が0.8から1.0の間を連続的に変化し、条件式(1)はRin/Rout>0.8の範囲のすべての領域を通過することは自明である。
このため、すべての実施例において、開口の開放状態でRin/Rout=1となる形状のみを示しているからといって、その範囲を制限するものではない。実際、実施例1〜3に示した絞り装置において、ほんの少し絞り込んだ状態を開放状態とすれば、0.8<Rin/Rout<1の範囲の値を容易に取ることを示しているのは明らかである。
また、同様に、実施例1〜3では、開口の開放状態から変形が始まっているため条件式(5)はすべてRout−star/Rfo=1であるが、開口の変形途中から使用すれば容易に値は小さくなるため、0.8<Rout−star/Rfo<1の範囲の値を網羅することは容易に想定できる。
次に、本発明にかかる絞り装置を備えた光学装置、および当該光学装置を備えた撮像装置の実施例を示す。図18は、本発明にかかる撮像装置の一実施例を示す図である。撮像装置600は、開放F値がF/1.6の光学装置610と、カメラ本体620と、により構成される。
光学装置610は、第1〜第4レンズ群611〜614と、絞り装置615と、これらを収容するレンズ鏡筒616と、を備えている。レンズ鏡筒616は、光軸Oを中心方向とする円筒形状をなしている。レンズ鏡筒616は、カメラ本体620に設けられたマウントなどに取り付けられる。レンズ鏡筒616内には、第1〜第4レンズ群611〜614が備えられている。絞り装置615は、光軸に沿う方向において第2レンズ群612と第3レンズ群613との間に、配置されている。絞り装置615は、前述の実施例1〜3のいずれか一つに示されたもので、第2レンズ群612側から第3レンズ群613側への入射光量を調整するものである(図9〜15等を参照)。
なお、本実施例にかかる光学装置は、光学系としてレンズを用いた屈折光学系を配置した例を示しているが、絞りによる回折の効果はどのような光学系でも変わらないため、特に本実施例により限定されるものではない。たとえば、反射光学系や反射屈折光学系、回折素子などを用いても同様の効果が期待できる。
また、カメラ本体620内には、CCDやCMOSなどの固体撮像素子621が配置されている。この固体撮像素子621には、高画素のものが使用可能である。固体撮像素子621は、第1〜第4レンズ群611〜614からなるレンズ系の結像位置に配置される。固体撮像素子621は、光学装置610を介して受光した外光を光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。
なお、本実施例では開放F値がF/1.6の光学系に実施例1〜3の絞り装置を挿入した例を示したが、F値は一定以下であれば回折限界の影響を受けにくくなるため、特にこの実施例の数値に限らずF/0.5やF/3.5などでも良い。好ましくはF/4未満、さらに好ましくはF/2.8以下の開口から開口基線長が維持されていればよい。
以上のように、実施例1〜3に示した絞り装置を備え、当該絞り装置を介して外光を撮影用の固体撮像素子へ入射させる光学装置を構成することにより、高解像の光学像が得られる。また、当該光学装置と、当該光学装置を介して受光した外光を電気的信号に変換する固体撮像素子と、を備えて撮像装置を構成することにより、高解像の画像が得られる。
以上のように、本発明にかかる絞り装置は、開口を通過する光量を減ずるための絞り込みに対して、高周波側のMTFの低下を抑えるとともに、フレアの発生を抑制して、高解像力を維持することができ、特に、高画素の固体撮像素子が搭載された撮像装置に適している。
100,200,300,400,500,615 絞り装置
110,210,310 絞り羽根
110a,210a,310a,421,431,511,521 開口形成部
111 回動ピン
112,312,451a,451b 駆動ピン
120,320 ベース
121,131,321,331,341,411,441 開口
122,322 収容部
123,323 羽根穴
124 位置規制ピン
125,452 当接部
126 取付部
126a,324 取付ネジ穴
126b,414a,414b ネジ穴
130,330 カム盤
132,332,342,422,424,432,434,442a,442b カム溝
133,334,453 駆動レバー
140,340 規制部材
141,343 穴部
311a 第1回動ピン
311b 第2回動ピン
333 溝
410 絞りホルダ
420,510 第1絞り羽根
430,520 第2絞り羽根
440 カバー板
450 駆動リング
412a,412b,412c,412d,413a,413b,413c,413d 軸
421a 鋸歯部
423,425,433,435,443,444,512a,512b,514,522a,522b,524 直進ガイド溝
431a,511a 切欠部
445a,445b,445c,445d 取付溝
513,523 回転連結穴
521a 凸部
521b 凹部
600 撮像装置
610 光学装置
611 第1レンズ群
612 第2レンズ群
613 第3レンズ群
614 第4レンズ群
616 レンズ鏡筒
620 カメラ本体
621 固体撮像素子
O 光軸

Claims (11)

  1. 光学系の光路中に設けられた絞り手段の開口の形状・大きさを変化させて光量を調整する絞り装置であって、
    前記絞り手段の変化により、前記開口が、開放状態から最小絞り状態へ変化する過程の少なくとも一地点で、凸包様形状から長手方向を有する形状に変化することを特徴とする絞り装置。
  2. 凸包様形状時の光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRout、凸包様形状時の光軸を中心とする前記開口形状の内接円の半径をRinとするとき、
    以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の絞り装置。
    (1) Rin/Rout>0.8
  3. 前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、一長手端面の接線と該長手端面と対向する他の長手端面の接線とのなす角をaiとするとき、
    以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の絞り装置。
    (2) 0<|ai|<90
  4. 前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、一長手方向を有する形状の動径方向の長さをL、該長手方向を有する形状の円周方向の長さをWとするとき、
    以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜3いずれか一つに記載の絞り装置。
    (3) 1 <L/W<10
  5. 前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、光軸中心から見た長手方向に延びる任意の2辺の端点と光軸との3点を結んだ線がなす内角をθ、長手の数をn(ただし、n≧3とする)とするとき、
    以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の絞り装置。
    (4) 360/(n+1)<θ<180
  6. 長手方向を有する形状に変化したときの光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRout−star、開放状態における光軸を中心とする前記開口形状の外接円の半径をRfoとするとき、
    開放状態から最小絞り状態へ変化する過程で、以下に示す条件式を満足する開口状態を経由することを特徴とする請求項1〜5いずれか一つに記載の絞り装置。
    (5) Rout−star/Rfo>0.8
  7. 前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が奇数であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の絞り装置。
  8. 前記開口が長手方向を有する形状に変化したときの、長手方向を有する形状の数が3または5であることを特徴とする請求項7に記載の絞り装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の絞り装置を備え、
    該絞り装置を介して外光を撮影用の固体撮像素子へ入射させることを特徴とする光学装置。
  10. 前記開口の凸包様形状から長手方向を有する形状に変化する過程における、最小の凸包様形状開口時の光学系のF値をFNOとするとき、
    以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項9に記載の光学装置。
    (7) FNO<4
  11. 請求項10に記載の光学装置と、
    該光学装置を介して受光した外光を電気的信号に変換する固体撮像素子と、
    を備えたことを特徴とする撮像装置。
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