JP2018054302A - イオンクロマトグラフィー分析方法 - Google Patents

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英幸 近藤
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Abstract

【課題】高圧力に対応する専用装置やカラムオーブンを用いることなく、短時間で陰イオンを分析することができるイオンクロマトグラフィー分析方法を提供する。【解決手段】本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法は、充填剤が充填されたカラムに、移動相を通液しながら、該移動相に試料を導入し、前記カラムにて、前記試料に含まれる、陰イオンを分離するイオンクロマトグラフィー分析法であって、前記移動相として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液を用い、前記充填剤は、体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmの、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子からなり、前記カラムの液体クロマトグラフィー用ハウジングの長さが5.0cm以下であり、前記カラムは、カラム長さ1cm当たりにおいて、前記充填剤が圧力2.0MPa/cm以上で充填されてなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、イオンクロマトグラフィー分析方法に関する。
イオンクロマトグラフィーは、イオンクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムに溶離液(移動相)を送液しながら、その溶離液にイオン種を含む試料を注入し、各イオン種をカラム内での保持時間(溶出時間)の差を利用して分離し、分離したイオンを、電気伝導度検出器等を用いて検出・定量する分析手法である。また、イオンクロマトグラフィーは、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等の標準無機陰イオンの分析において、効率的かつ高精度・高感度な手段として利用されている。
このイオンクロマトグラフィーとしては、サプレッサーを使う「サプレッサー法」と、サプレッサーを使わない「ノンサプレッサー法」とが挙げられる。サプレッサーは、電気伝導度検出器の前段、かつカラムの後段に接続されて、電気伝導度検出器でイオンを検出する際のバックグラウンドを下げ、測定感度を上げる働きを持つ。このサプレッサー法は、ノンサプレッサー法に比較して、専用の装置を必要とするため、経済性に劣る。一方、サプレッサー法は、ノンサプレッサー法に比較して、より高感度が得られるため、半導体業界等で用いる純水、薬品等を始め、水道水、温泉水、下水等の環境分析等において必要不可欠な分析手法となっている。サプレッサー法では、移動相として、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が用いられる。サプレッサー法では、カラムにこれらの移動相を流し、カラムにおいて試料に含まれるイオン種を分離した後、サプレッサーを介して、電気伝導度検出器でイオン種を検出する。
サプレッサー法に用いられるカラムにおいては、充填剤としては、主に第4級アンモニウムが導入された粒子径が5μm〜10μmのスチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂またはポリヒドロキシ(メタ)アクリレート樹脂等が用いられる。これらのポリマー系粒子は、比較的pHが高い(pH約9〜12)場合において安定であり、アルカリ性移動相を用いる陰イオン分析用イオンクロマトグラフィーにおいて耐久性に優れている。
しかし、比較的粒子径が大きいこれらのポリマー系粒子を充填したカラムにおいて、上記の標準無機陰イオンを良好に分離分析するためには、カラムサイズを大きくする必要がある。ポリマー系粒子を充填したカラムの中でも、市販のカラムにおいては、長さが15.0cm〜25.0cm、内径が2.0mm〜4.6mmのハウジングが用いられている(例えば、特許文献1参照)。これらのカラムでは、上記の標準無機陰イオンを完全に溶出させるために10分〜30分の分析時間を必要とすることが多い。この場合、移動相である炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムの濃度を上げることで溶出時間を早めることも可能ではある。ところが、移動相の濃度を著しく上げてしまうと、分離パターンに変化が生じて、上記の標準無機陰イオンを完全に分離することが難しくなる。
また、サプレッサー法によるイオンクロマトグラフィーでは、一般的な液体クロマトグラフ分析装置(HPLC)とは異なり、サプレッサーを内蔵した専用の装置を用いることが多い。しかしながら、その装置は、HPLCと比べると使用圧力に制限があることや、カラムを加温、保温するための温調機能を内蔵していないことも多いため、移動相の流量による分析時間の短縮化や、移動相の昇温によりカラム圧力を低減させること等も難しかった。
近年、粒子径を3.5μm〜4.0μm程度まで小さくした粒子を充填した高性能なカラムとして、例えば、TSK−GEL SuperIC−Anion HS(商品名、長さ10cm、内径4.0mm、東ソー株式会社製)、Dionex IonPac AS22−Fast−4μm(商品名、長さ15cm、内径4.0mm、サーモサイエンティフィック株式会社製)等が市販されている。これらのカラムでは、非常に大きな圧力がかかるため、HPLC並みの高圧力に対応し、また、温調機能が内蔵されたカラム専用のイオンクロマトグラフィー分析装置として、例えば、イオンクロマトグラフIC−2010(商品名、東ソー株式会社製)、Dionex Integrion HPICシステム(商品名、サーモサイエンティフィック株式会社製)等が必要となる。そのため、多くのユーザーにとっては、上記の高性能なカラムは必ずしも一般的ではなかった。
特開2001−40032号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高圧力に対応する専用装置やカラムオーブンを用いることなく、短時間で陰イオンを分析することができるイオンクロマトグラフィー分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、充填剤として体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmの、第4級アンモニウムが導入された親水性ポリマー粒子を用い、長さ5.0cm以下の液体クロマトグラフィー用ハウジングの長さ1cm当たりにおいて、充填剤が圧力2.0MPa/cmで充填されてなるカラムを用いることにより、高圧力に対応する専用装置やカラムオーブン等を必要とせずに、移動相の線流速が7.5cm/min以上の高流量で測定を行ってもカラム圧力が低く、理論段数も良好であるため、短時間で陰イオンを分離することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]充填剤が充填されたカラムに、移動相を通液しながら、該移動相に試料を導入し、前記カラムにて、前記試料に含まれる、陰イオンを分離するイオンクロマトグラフィー分析法であって、前記移動相として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液を用い、前記充填剤は、体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmの、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子からなり、前記カラムの液体クロマトグラフィー用ハウジングの長さが5.0cm以下であり、前記カラムは、カラム長さ1cm当たりにおいて、前記充填剤が圧力2.0MPa/cm以上で充填されてなることを特徴とするイオンクロマトグラフィー分析方法。
[2]前記陰イオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機陰イオンである[1]に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
[3]前記移動相の線流速は、7.5cm/min以上である[1]または[2]に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
[4]前記充填剤は、第4級アンモニウム基が導入されたポリビニルアルコール樹脂または第4級アンモニウム基が導入されたポリヒドロキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる[1]〜[3]のいずれかに記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
[5]前記液体クロマトグラフィー用ハウジングの内径は、2.0mm〜4.6mmである[1]〜[4]のいずれかに記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
本発明によれば、高圧力に対応する専用装置やカラムオーブンを用いることなく、短時間で陰イオンを分析することができるイオンクロマトグラフィー分析方法を提供することができる。
実施例1における7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムである。 実施例2における7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムである。 比較例1における7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムである。 比較例2における7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムである。 比較例3における7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムである。
以下、本発明を適用したイオンクロマトグラフィー分析方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[イオンクロマトグラフィー分析方法]
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法は、充填剤が充填されたカラムに、移動相を通液しながら、その移動相に試料を導入し、カラムにて、試料に含まれる、陰イオンを分離するイオンクロマトグラフィー分析法であって、移動相として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液を用い、充填剤は、体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmの、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子からなり、カラムの液体クロマトグラフィー用ハウジングの長さが5.0cm以下であり、カラムは、カラム長さ1cm当たりにおいて、充填剤が圧力2.0MPa/cm以上で充填されてなる。
ここで、本明細書において親水性ポリマー粒子の体積平均粒子径とは、コールターカウンターまたは画像解析式粒度分布測定装置によって得られた値である。親水性ポリマー粒子の体積平均粒子径に画像解析式粒度分布測定装置を用いる場合、2000個以上の親水性ポリマー粒子を画像解析式粒度分布測定装置で撮像して得られた二次元の粒子像(静止画像が好ましい)から各粒子の円相当径(粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を得て、その円相当径から各粒子の体積を算出して、体積を基準に平均化した粒子径である。このとき、各粒子は、上記の円相当径と同一の直径の球体とみなす。
前記画像解析式粒度分布測定装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置(商品名:FPIA−3000、シスメックス株式会社製)を用いることができる。
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法は、固定相を第4級アンモニウム基からなる陰イオン交換基、移動相を炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液からなる緩衝液とする、陰イオンクロマトグラフィー分析方法である。また、本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法は、水道水の水質管理に用いられる、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオンの7種類の標準無機陰イオンを含む陰イオンの分離分析に用いられる。
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法では、例えば、円筒形状をなす液体クロマトグラフィー用ハウジング(以下、「ハウジング」と言うこともある。)と、そのハウジングの内部に充填された、体積平均粒子径が制御された親水性ポリマー粒子からなる充填剤とを備えるカラムが用いられる。
ハウジングの材質は、特に限定されない。ハウジングとしては、十分なカラム性能を得るために高耐圧性および低デッドボリューム構造(分離に関係ない空間が小さい構造)であり、ステンレス管またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の管を用いることが好ましい。ステンレス管としては、その内面が高分子化合物で被覆されたものを用いることもできる。
ハウジングの長さは、5.0cm以下であり、3.5cm〜5.0cmであることが好ましい。これにより、陰イオンを短時間で分離溶出させることができる。ハウジングの長さが5.0cmを超えると、カラム圧力が高くなることから、移動相の流量に制約が生じて、分析時間を短縮する効果が十分に得られない可能性がある。また、ハウジングの長さが3.5cm未満では、カラムにおける陰イオンの溶出時間(保持時間)を十分に確保することができないため、陰イオンを十分に分離できない可能性がある。
ハウジングの内径は、移動相の使用量を削減する観点から、4.6mm以下であることが好ましく、2.0mm〜4.6mmであることがより好ましく、2.0mmであることがさらに好ましい。
本発明におけるカラム性能としては、陰イオン含有液に含まれるフッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオン等を短時間に分離溶出させる性能であり、特に5分以内に、これら7種類の標準無機陰イオンを分離溶出させる性能である。
カラム性能の指標としては、例えば、理論段数(半値幅法、N)が挙げられる。理論段数(N)は、5.54×(ピークの溶出時間/ピーク高さの50%におけるピーク幅)の計算式から算出することができる(2006年4月改正の日本薬局方)。
本発明において、上記の7種類の標準無機陰イオンを十分に分離溶出させるためには、理論段数は3000段/本以上であることが好ましく、3500段/本以上であることがより好ましく、4000段/本以上であることがさらに好ましい。
本発明における充填剤をなす親水性ポリマー粒子は、強酸あるいは強アルカリに対しても化学的に安定で、かつ表面を様々な官能基で化学的に修飾可能な親水性ポリマーを基材とし、その基材表面に第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒である。
本発明における第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂またはポリヒドロキシ(メタ)アクリレート樹脂に、直接またはエピクロルヒドリン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種のスペーサーを介して、第4級アンモニウム基が導入されたものが挙げられる。
本発明における親水性ポリマー粒子は、材質および形状が特に限定されない。ただし、本発明における親水性ポリマー粒子は、体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmであり、好ましくは3.0μm〜3.8μmであり、さらに好ましくは3.5μm〜3.8μmであり、十分な分離性能および高感度を得るためには、その形状は、カラム圧力の過剰な上昇を引き起こし難い点から、球状が好ましい。所望の粒子径の親水性ポリマー粒子を得るためには、メッシュを用いた篩分級や、風力分級機を用いた粒径制御を行うこともできる。
第4級アンモニウム基としては、例えば、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、N,N−ジメチルアリルアンモニウム基、N−メチルジアリルアンモニウム基、トリアリルアンモニウム基、N,N−ジメチルベンジルアンモニウム基、N,N−ジメチルフェネチルアンモニウム基等が挙げられる。これらの中でも、上記の7種類の標準無機陰イオンの分離が良好な点から、N,N−ジメチルベンジルアンモニウム基またはN,N−ジメチルアリルアンモニウム基が好ましい。
本発明におけるカラムは、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子が、上記のハウジングに充填されたものである。上記の7種類の標準無機陰イオンの分離溶出およびそのバランス性能を得るためには、湿式スラリー法により、親水性ポリマー粒子が充填されていることが好ましい。
湿式スラリー法では、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子を液体に分散させて充填剤スラリーを調製する。その後、ポンプを用いて、ハウジング内に、その充填剤スラリーを注入し、ハウジングの入口側から出口側に向かって、充填剤スラリーの調製に用いたものと同様の液体を通液することにより、充填剤スラリーを所定の圧力にて、所定の時間加圧し、ハウジング内に第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子からなる充填層を形成し、カラムを得る。
このとき、充填剤スラリーの調製に用いられる液体としては、親水性ポリマー粒子が収縮することなく、分散し易い水が好ましく用いられる。
さらに、親水性ポリマー粒子は細孔を有するため、その細孔中に水が浸透し、適度な水和状態を形成しながら良好な分散状態を達成するために、液体に塩を添加することが好ましい。
充填剤スラリーの調製に用いられる液体としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のアンモニウム塩が含まれる水溶液が好ましい。
また、充填剤スラリーにおける親水性ポリマー粒子の分散性を改善するためには、上記の液体に、水と相溶する有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等)が少量添加されてもよい。ただし、有機溶媒の添加量が多過ぎると、上記のアンモニウム塩の溶解度が低下して、上記のアンモニウム塩が析出するおそれがある。充填剤スラリーの調製に用いられる液体中にアンモニウム塩が析出すると、本発明の本質を損なう。
充填剤スラリーにおける親水性ポリマー粒子の濃度は、充填剤スラリーの流動性が維持される範囲であれば、特に限定されない。ただし、親水性ポリマー粒子の濃度が過度に高過ぎると、そもそも充填剤スラリーにおいて親水性ポリマー粒子が十分に分散せず、カラムの理論段数を高くすることが難しくなる。そのため、親水性ポリマー粒子の種類に応じて、充填剤スラリーにおける親水性ポリマー粒子の濃度を最適化する必要がある。
本発明において、充填剤スラリーにおける親水性ポリマー粒子の濃度は、親水性ポリマー粒子を均一に分散させるためには、2質量%〜20質量%であることが好ましい。
また、湿式スラリー法によるカラム充填では、充填剤スラリーの圧力を一定とする方法、充填剤スラリーの流量を一定とする方法、あるいは、充填開始からの時間の経過に伴って充填剤スラリーの圧力または流量を傾斜的に変化させる方法等が用いられる。これらの方法は、ハウジング中での親水性ポリマー粒子の沈降や堆積を発生させないようにするために、親水性ポリマー粒子の種類やハウジングの長さ等に応じて適宜選択される。本発明において、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子の充填では、充填剤スラリーの圧力を一定とした上で、かつ充填剤スラリーの流量の変動が最終的な定常値を超えないことが好ましい。
本発明におけるカラムは、カラム長さ1cm当たりにおいて、充填剤(親水性ポリマー粒子)が圧力2.0MPa/cm以上(カラム長さが5.0cmである場合、10.0MPa以上)で充填されてなり、圧力2.5MPa/cm〜6.0MPa/cm(カラム長さが5.0cmである場合、12.5MPa〜30.0MPa)で充填されてなることが好ましく、圧力3.0MPa/cm〜5.0MPa/cm(カラム長さが5.0cmである場合、15.0MPa〜25.0MPa)で充填されてなることがより好ましい。
充填剤を充填する圧力(充填圧力)が、カラム長さ1cm当たりにおいて、2.0MPa/cm未満では、充填圧力と測定時の圧力差がなくなるか、または、測定時の圧力が充填圧力を超えてしまうため、充填状態が変化してしまい、カラムの耐久性が著しく低下する可能性があるため、好ましくない。また、充填圧力が、カラム長さ1cm当たりにおいて、6.0MPa/cmを超えると、親水性ポリマー粒子が圧縮されて変形してしまう可能性がある。そのため、充填圧力は、カラム長さ1cm当たりにおいて、6.0MPa/cm以下であることが好ましい。
ハウジング内に、充填剤スラリーを充填する際、充填剤スラリーの流速は、充填圧力が上記の範囲内であるならば、線流速で60.0cm/min(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、流量2.0mL/min)以下であることが好ましい。また、定圧充填法の場合には、充填圧力が上記の範囲に到達した後、充填剤スラリーの流速が変動してもよいが、線流速で45.0cm/min(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、1.5mL/min)以下であることが好ましく、30.0cm/min(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、1.0mL/min)以下であることがより好ましい。
充填剤スラリーの流速が、線流速で60.0cm/min以下であれば、ハウジング内に親水性ポリマー粒子を細密に充填することができる上に、充填圧力が、カラム長さ1cm当たりにおいて、6.0MPa以下となる。
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法では、移動相として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液を用いるサプレッサー法により、陰イオンの分析を行う。
本発明で用いられるイオンクロマトグラフ分析装置は、サプレッサーが装置内に内蔵または据え付けられたイオンクロマトグラフ分析装置であれば、その種類、カラムオーブンの有無は、特に限定されない。本発明におけるイオンクロマトグラフ分析装置としては、HPLCに電気伝導度検出器やサプレッサーを個別に接続したものも用いることができる。
また、移動相である炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液における、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方の濃度は、特に限定されない。ただし、前記の水溶液における炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方の濃度を著しく上げると、分離パターンに変化が生じて、上記の7種類の標準無機陰イオンを完全に分離することが難しくなることがあるため、分離パターンに変化が生じない範囲で、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方の濃度は適宜調整される。例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方の濃度としては、0.5mmol/L〜4.0mmol/Lとすることができる。
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法では、分析時のカラム流速は、特に限定されない。カラム流速、すなわち、すなわち、陰イオンの分析時において、カラム内を流れる陰イオンを含む移動相の線流速は、7.5cm/min以上(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、流量は0.25mL/min)であることが好ましく、7.5cm/min〜18.0cm/min(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、0.25mL/min〜0.60mL/min)であることがより好ましく、7.5cm/min〜12.0cm/min(例えば、ハウジングの内径が2.0mmの場合、0.25mL/min〜0.40mL/min)であることがさらに好ましい。
カラム内を流れる陰イオンを含む移動相の線流速が7.5cm/min以上であれば、陰イオンを短時間で十分に分離させることができる。カラム内を流れる陰イオンを含む移動相の線流速が7.5cm/min未満の場合、陰イオンを分離することは可能であるものの、カラムから陰イオンの溶出時間が著しく遅くなるため、本発明の本質を損なう。また、カラム内を流れる陰イオンを含む移動相の線流速が18.0cm/minを超えると、陰イオンの分離が悪化する可能性があるばかりでなく、カラム圧力が高くなることから、高圧力に対応する専用装置が必要となる可能性がある。
本発明のイオンクロマトグラフィー分析方法によれば、高圧力に対応する専用装置やカラムオーブンを用いることなく、短時間で上記の7種類の標準無機陰イオンを分析することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、充填剤の体積平均粒子径は、上述した測定方法に基づいて、フロー式粒子像分析装置(型式名:FPIA−3000、シスメックス株式会社製)を用いて静止画像として撮像された粒子により、二次元的に直径を測定して算出された数値である。
[実施例1]
(充填剤の作製)
酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート150g、酢酸ブチル100g、n−デカン25gおよび2,2−アゾビスイソブチロニトリル5gからなる均一混合液と、ポリビニルアルコール12gおよびリン酸水素二ナトリウム18gを溶解した水1.2Lとを、還流冷却器を備えた5Lの三口フラスコに入れて10分攪拌した。
次いで、窒素気流下で、その混合液を攪拌しながら、60℃にて16時間重合を行うことにより、粒状重合体を得た。
その重合体を濾過、洗浄し、アセトン抽出した後、乾燥した。
次いで、この重合体をカセイソーダ3Lとともに、還流冷却器、窒素導入管および攪拌器を備えた5Lの三口フラスコに入れて、窒素気流下で15℃にて20時間攪拌して、この重合体のケン化することにより、体積平均粒子径3.5μmのポリビニルアルコール樹脂を作製した。
そのポリビニルアルコール樹脂10g、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル15g、ジメチルスルホキシド20mLおよび38%苛性ソーダ水溶液3mLをセパラブルフラスコに入れ、60℃にて2時間撹拌し、ポリビニルアルコール樹脂にグリシジル基を有する官能基を導入した。官能基を導入した後の重合体を、ジメチルスルホキシドと水で洗浄して、ウェットのまま回収した。
そのグリシジル基を導入した重合体をウェットで10g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.2gおよび水50mLをセパラブルフラスコに入れ、40℃にて2時間撹拌して、第4級アンモニウム基が導入された体積平均粒子径3.5μmの充填剤を作製した。
その充填剤を、水による洗浄をはさみながら1N塩酸および1N苛性ソーダ水溶液で洗浄し、さらに、メタノールで洗浄した後、乾燥した。
このようにして得られた充填剤を、0.5N塩化カリウム水溶液に分散させ、0.1M塩酸を用いて第4級アンモニウム基を滴定することにより、充填剤における第4級アンモニウム基の密度を測定した。その結果、第4級アンモニウム基の密度は0.15meq/gであった。
(カラムの作製)
得られた第4級アンモニウム基が導入された充填剤を、0.5mmol/L硫酸ナトリウム水溶液に加えた後、超音波バスにて分散処理を施し、ポリマー粒子濃度が12.5質量%の充填剤スラリーを調製した。
得られた充填剤スラリーを用いて、円筒形状であり、内径2.0mm、長さ5.0cmのPEEK製ハウジング(株式会社巴製作所製)に、上記の第4級アンモニウム基が導入された充填剤を充填した。
すなわち、ハウジング内に、上記の充填剤スラリーを注入し、ハウジングの入口側から出口側に向かって、上記の硫酸ナトリウム水溶液を通液することにより、充填剤スラリーをカラム長さ1cm当たり3.0MPa/cm(カラム長さ5.0cmで15.0MPa)にて20分加圧し、ハウジング内に第4級アンモニウム基が導入された充填剤からなる充填層を形成し、実施例1のカラムを得た。
(カラムの評価)
イオンクロマトグラフ分析装置としてProminenceシステム(株式会社島津製作所製)を用い、得られたカラムの評価を行った。
検出器としては、電気伝導度検出器(商品名:CDD−10A、株式会社島津製作所製)を用いて、カラムオーブンを用いずに、室温にて評価を行った(実測値:25.6℃)。
移動相としては、1.4mmol/L炭酸ナトリウムと0.5mmol/L炭酸水素ナトリウムの混合水溶液を用いた。
カラム内を流れる移動相の線流速を10.5cm/min(流量:0.35mL/min)として、7種類の陰イオンであるフッ化物イオン(F):2mg/L、塩化物イオン(Cl):2mg/L、亜硝酸イオン(NO ):5mg/L、臭化物イオン(Br):10mg/L、硝酸イオン(NO ):10mg/L、リン酸イオン(PO 3−):10mg/L、硫酸イオン(SO 2−):10mg/Lを含む水溶液(具体的には、陽イオンがナトリウムイオンおよびカリウムイオンであるイオン交換水溶液)を5μL注入して、これら7種類の標準無機陰イオンを分離分析した。
カラムの評価結果を表1に、7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムを図1に示す。なお、図1において、符号1はフッ化物イオン(F)のピークを示し、符号2は塩化物イオン(Cl)のピークを示し、符号3は亜硝酸イオン(NO )のピークを示し、符号4は臭化物イオン(Br)のピークを示し、符号5は硝酸イオン(NO )のピークを示し、符号6はリン酸イオン(PO 3−)を示し、符号7は硫酸イオン(SO 2−)のピークを示す。
[実施例2]
(充填剤の作製)
実施例1と同様の方法により、充填剤の基材として、体積平均粒子径3.8μmのポリビニルアルコール樹脂を作製した。
そのポリビニルアルコール樹脂に、実施例1と同様の方法により第4級アンモニウム基を導入し、第4級アンモニウム基が導入された体積平均粒子径3.8μmの充填剤を作製した。
このようにして得られた充填剤における第4級アンモニウム基の密度を、実施例1と同様の方法により測定した。その結果、第4級アンモニウム基の密度は0.15meq/gであった。
(カラムの作製)
得られた第4級アンモニウム基が導入された充填剤を用いて、実施例1と同様の方法により、実施例2のカラムを得た。
(カラムの評価)
実施例1と同一の装置、移動相を用いて、室温にて得られたカラムの評価を行った(実測値:26.0℃)。すなわち、実施例1と同様にして、7種類の標準無機陰イオンを分離分析した。
カラムの評価結果を表1に、7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムを図2に示す。なお、図2において、各符号が示すピークは図1と同様である。
[比較例1]
(充填剤の作製)
実施例1と同様の方法により、充填剤の基材として、体積平均粒子径4.2μmのポリビニルアルコール樹脂を作製した。
そのポリビニルアルコール樹脂に、実施例1と同様の方法により第4級アンモニウム基を導入し、第4級アンモニウム基が導入された体積平均粒子径4.2μmの充填剤を作製した。
このようにして得られた充填剤における第4級アンモニウム基の密度を、実施例1と同様の方法により測定した。その結果、第4級アンモニウム基の密度は0.18meq/gであった。
(カラムの作製)
得られた第4級アンモニウム基が導入された充填剤を用いて、実施例1と同様の方法により、比較例1のカラムを得た。
(カラムの評価)
実施例1と同一の装置、移動相を用いて、室温にて得られたカラムの評価を行った(実測値:26.0℃)。すなわち、実施例1と同様にして、7種類の標準無機陰イオンを分離分析した。
カラムの評価結果を表1に、7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムを図3に示す。なお、図3において、各符号が示すピークは図1と同様である。
[比較例2]
(充填剤の作製)
実施例1と同様の方法により、充填剤の基材として、体積平均粒子径5.0μmのポリビニルアルコール樹脂を作製した。
そのポリビニルアルコール樹脂に、実施例1と同様の方法により第4級アンモニウム基を導入し、第4級アンモニウム基が導入された体積平均粒子径5.0μmの充填剤を作製した。
このようにして得られた充填剤における第4級アンモニウム基の密度を、実施例1と同様の方法により測定した。その結果、第4級アンモニウム基の密度は0.17meq/gであった。
(カラムの作製)
得られた第4級アンモニウム基が導入された充填剤を、0.5mmol/L硫酸ナトリウム水溶液に加えた後、超音波バスにて分散処理を施し、充填剤スラリーを調製した。
得られた充填剤スラリーを用いて、円筒形状であり、内径2.0mm、長さ10.0cmのPEEK製ハウジング(株式会社巴製作所製)に、上記の第4級アンモニウム基が導入された充填剤を充填した。
すなわち、ハウジング内に、上記の充填剤スラリーを注入し、ハウジングの入口側から出口側に向かって、上記の硫酸ナトリウム水溶液を通液することにより、充填剤スラリーをカラム長さ1cm当たり3.0MPa(カラム長さ10.0cmで30.0MPa)にて20分加圧し、ハウジング内に第4級アンモニウム基が導入された充填剤からなる充填層を形成し、比較例2のカラムを得た。
(カラムの評価)
実施例1と同一の装置、移動相を用いて、室温にて得られたカラムの評価を行った(実測値:25.8℃)。
カラム内を流れる移動相の線流速を15.0cm/min(流量:0.50mL/min)としたこと以外は実施例1と同様にして、7種類の標準無機陰イオンを分離分析した。
カラムの評価結果を表1に、7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムを図4に示す。なお、図4において、各符号が示すピークは図1と同様である。
Figure 2018054302
表1の結果から、粒子径が3.5μmの親水性ポリマー粒子を充填剤として用いた実施例1は、硫酸イオン(SO 2−)の溶出時間が5分以内、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が約5000段/本と良好なカラム性能が得られることを確認できた。
また、粒子径が3.8μmの親水性ポリマーを充填剤として用いた実施例2は、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が約4300段/本と実施例1よりはやや低いものの、硫酸イオン(SO 2−)の溶出時間が4分以内と良好なカラム性能が得られることを確認できた。
また、図1および図2の結果から、実施例1および実施例2において、7種類の標準無機陰イオンを十分に分離することができることを確認できた。また、実施例1および実施例2において、測定圧力(カラム圧力)は10MPa以下であり、カラムオーブンが内蔵されていない汎用のイオンクロマトグラフ分析装置においても十分に使用可能な圧力であった。
一方、粒子径が4.2μmの親水性ポリマーを充填剤として用いた比較例1は、硫酸イオン(SO 2−)の溶出時間が5分以内であったものの、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が約2900段/本であり、実施例1および実施例2と比較して低くなった。また、図3の結果から、比較例1において、7種類の標準無機陰イオンを十分に分離できなかった。すなわち、比較例1のカラムは、カラム性能が不十分であった。
粒子径が5.0μmの親水性ポリマーを充填剤として用いた比較例2は、カラム長さを10.0cmとにしたにも拘らず、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が約3500段/本であり、実施例1および実施例2と比較して低くなった。また、図4の結果から、比較例2において、7種類の標準無機陰イオンを十分に分離できなかった。すなわち、比較例2のカラムは、カラム性能が不十分であった。これは、カラム長さが10.0cmであるため、7種類の標準無機陰イオンの溶出間を5分以内とするために移動相の流量を上げたため、測定圧力(カラム圧力)が14.0MPaとなり、汎用装置での使用では高めのカラム圧力となったためであると考えられる。
[実施例3〜5、比較例3]
(カラムの作製)
実施例1で得られた第4級アンモニウム基が導入された充填剤を含む充填剤スラリーを用い、充填剤スラリーの充填圧力を表2の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3〜5および比較例3のカラムを得た。
ハウジング内に、上記の充填剤スラリーを注入し、ハウジングの入口側から出口側に向かって、上記の硫酸ナトリウム水溶液を通液することにより、充填剤スラリーをカラム長さ1cm当たり、実施例3は4.4MPa/cm(カラム長さ5.0cmで22.0MPa)にて、実施例4は5.8MPa/cm(カラム長さ5.0cmで29.0MPa)にて、実施例5は2.0MPa/cm(カラム長さ5.0cmで10.0MPa)にて、比較例3は1.8MPa/cm(カラム長さ5.0cmで9.0MPa)にて、20分加圧し、ハウジング内に第4級アンモニウム基が導入された充填剤からなる充填層を形成した。
(カラムの評価)
実施例1と同一の装置、移動相を用いて、室温にて得られたカラムの評価を行った(実測値:25.8℃)。すなわち、実施例1と同様にして、7種類の標準無機陰イオンを分離分析した。
カラムの評価結果を表2に示す。比較例3の7種類の標準無機陰イオンのクロマトグラムを図5に示す。なお、図5において、各符号が示すピークは図1と同様である。
Figure 2018054302
表2の結果から、充填剤スラリーの充填圧力をカラム長さ1cm当たり2.0MPa以上とした実施例1および実施例3〜5は、いずれも硫酸イオン(SO 2−)の溶出時間が5分以内、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が4000段/本以上と良好なカラム性能が得られ、7種類の標準無機陰イオンも十分に分離することができた。また、実施例1および実施例3〜5において、7種類の標準無機陰イオンを十分に分離することができることを確認できた。また、実施例1および実施例3〜5において、測定圧力(カラム圧力)は12MPa以下であり、カラムオーブンが内蔵されていない汎用のイオンクロマトグラフ分析装置においても十分に使用可能な圧力であった。
一方、充填剤スラリーの充填圧力をカラム長さ1cm当たり1.8MPaとした比較例3は、硫酸イオン(SO 2−)の溶出時間は5分以内であったものの、硫酸イオン(SO 2−)の理論段数が約2000段/本であり、実施例1および実施例3〜5と比較して低くなった。また、図5の結果から、比較例3において、7種類の標準無機陰イオンを十分に分離できなかった。すなわち、比較例3のカラムは、カラム性能が不十分であった。
本発明は、7種類の標準無機陰イオンを、高圧力に対応する専用装置やカラムオーブン等を用いることなく、短時間で分析するためのイオンクロマトグラフィー分析方法に関するものであり、高流量で測定を行っても、カラム圧力の上昇を抑制し、かつ7種類の標準無機陰イオンを短時間で分離させることが可能であるため、環境、食品、農学、化粧品、塗料、半導体、製薬、電力等の幅広い分野に利用できるので有用な分析方法である。

Claims (5)

  1. 充填剤が充填されたカラムに、移動相を通液しながら、該移動相に試料を導入し、前記カラムにて、前記試料に含まれる、陰イオンを分離するイオンクロマトグラフィー分析法であって、
    前記移動相として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含む水溶液を用い、
    前記充填剤は、体積平均粒子径が2.5μm〜3.9μmの、第4級アンモニウム基が導入された親水性ポリマー粒子からなり、
    前記カラムの液体クロマトグラフィー用ハウジングの長さが5.0cm以下であり、
    前記カラムは、カラム長さ1cm当たりにおいて、前記充填剤が圧力2.0MPa/cm以上で充填されてなることを特徴とするイオンクロマトグラフィー分析方法。
  2. 前記陰イオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機陰イオンである請求項1に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
  3. 前記移動相の線流速は、7.5cm/min以上である請求項1または2に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
  4. 前記充填剤は、第4級アンモニウム基が導入されたポリビニルアルコール樹脂または第4級アンモニウム基が導入されたポリヒドロキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
  5. 前記液体クロマトグラフィー用ハウジングの内径は、2.0mm〜4.6mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオンクロマトグラフィー分析方法。
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