JP2018053345A - メタルマスクの製造方法 - Google Patents

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【課題】レーザを用いて開口部を形成するメタルマスクの製造において、メタルマスクを作製する金属基板の表面を保護するとともに、付着したデブリやドロスを一括除去することができるメタルマスクの製造方法を提供する。【解決手段】次の1)、2)、3)、4)の工程を順次含むことを特徴とするメタルマスクの製造方法とする。1)前記金属基板の第1面側にエッチングにより凹部を形成する工程。2)前記凹部を含む前記第1面側、及び前記金属基板の第2面側に保護膜を形成する工程。3)前記保護膜が形成された前記凹部、または前記第2面側で前記凹部に対向する部分にレーザを照射し、開口部を形成する工程。4)前記第1面側の保護膜、及び第2面側の保護膜を除去する工程。【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL表示装置等の製造に使用されるメタルマスクの製造方法に関する。
近年、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置が、液晶表示装置と比較して応答時間が早い、視野角が広い、バックライトが不要であるため薄型化が図れる、等の理由から注目を集めている。有機EL表示装置に使用される有機EL素子の製造では、透明基板上にITO等の透明電極を形成した後、密着保持したメタルマスクを介し、蒸着法により有機電界発光層のパターンを形成する方法が採られる。通常の微細パターン形成法であるフォトリソグラフィ法では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト剥離の工程を経るため、空気あるいは熱、水分に不安定である有機電界発光層に損傷を与えてしまい、作製が困難なためである。有機電界発光層パターンの寸法精度は、蒸着用のメタルマスクの精度に依存するため、寸法精度の良いメタルマスクを安定して製造することが望まれている。
メタルマスクは、一般的にフォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより金属基板や箔に開口部(貫通孔)を形成することにより製造される。代表的な例としては、20μm〜100μm程度の厚さのインバー材(Fe、Niの合金)を金属基板とし、図2に示す形態例では、大孔側スリット42の幅Wは70μm〜130μm、大孔側スリット42と小孔側スリット41で形成される開口部47のもっとも狭い部分の幅(開口幅)Wは30μm〜50μm、小孔側スリット41面側のライン幅Lは50μm〜100μmである。
開口部47を形成する方法としては、金属基板の片側ないし表裏両側からエッチングする方法が一般的である(例えば特許文献1)。開口幅が高精細な場合には、通常エッチングを二段階に分けて表裏両側から行うエッチングによる製造方法が用いられている。図3に表裏両側からエッチングを行う製造工程を示す。金属基板51の両面を脱脂、整面、洗浄処理した後、フォトレジスト52を両面に塗布し(図3(a))、第1面側(図3では小孔面側)を、第1のフォトマスク(図示せず)を通して露光、現像し、スペース部53aをもつレジストパターン52aを転写形成する(図3(b))。その後、1次エッチング工程として開口部までは形成しないハーフエッチングを行い、凹部55aを形成する(図3(c))。
次に、凹部55aを形成した面側に、後工程である第2面側のエッチングに対する保護層56とする樹脂を塗布して硬化させ十分に密着させる。保護層56の樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を用いる。次に、第2の面側を第2のフォトマスク(図示せず)を通して露光、現像し、前記スペース部53aよりも広いスペース部53bをもつレジストパターン52bを転写形成する(図3(d))。その後、2次エッチング工程としてのエッチングを行い(図3(e))、1次エッチング工程で形成した凹部55aと貫通する開口部57を形成した後、保護層56、及びレジストパターン52a、52bを除去してメタルマスク50の形態とする(図3(f))。
上記のような、金属基板の表裏両側または片側からエッチングのみで製造する方法では、終始等方的なエッチングであるため、微細な開口寸法や形状をコントロールし、好適なアスペクト比を得ることが難しい。そこで寸法精度の向上を目的として、仕様値よりも縮小された開口部を形成し、測定値と仕様値とのずれ量だけレーザ光を照射して開口寸法を調整する方法(特許文献2)や、バリ(加工残り)の低減を目的として、大孔面側を先にハーフエッチングした後はレーザで開口部を形成する方法(特許文献3)が開示されている。特許文献2、及び特許文献3では、いずれも熱の影響や熱損傷を低減するために、パルス幅が1ナノ秒より短いピコ秒レーザやフェムト秒レーザなどの短パルスレーザを用いるようにしている。
特開2003−272839号公報 特開2009−068082号公報 特開2015−21179号公報
目黒和幸「超短パルスレーザ微細加工の最適加工条件探索に関する研究」、平成23年度一般研究開発助成 AP−2011216
短パルスレーザを用いた加工はアブレーションを利用する加工であり、加工部周辺への熱の影響が小さく、熱損傷の少ない加工法であるが、アブレーションによる非熱加工ではデブリの発生を避けることができない。ここで、デブリとは一般に、被加工材料(メタルマスクでは金属基板)や、被加工材料がレーザ光を吸収、反応してできる生成物からなる微小パーティクルである。
すなわち、アブレーション加工では、被加工材料の分子は励起状態となり、瞬間的に分子間結合を開裂させ、固体状態にある分子を昇華、放出して飛散、拡散する。しかし、飛散、拡散した分子の一部は、レーザ光路より外側で再結合するため、金属基板の加工部周辺の表裏面にデブリとなって付着し堆積する。特に反応生成物は、金属基板に付着すると熱を奪われて凝着し、洗浄しても取り切れなくなる。図4(a)にレーザで開口部を形成する際のデブリ72の付着の様態を示す。
一方、レーザ加工において、連続発振や長波長レーザ、もしくはパルス幅が長いパルス幅が長いパルスレーザの場合は、熱の影響が大きくなり、金属基板は溶融されながら加工されるため、特に貫通したときに溶融物(ドロス)の飛沫が基板下部に付着する。図4(b)にドロス73が付着した様態を示す。前記のデブリやドロスが付着すると、メタルマスクは所望の形状や寸法を得られなくなり、有機EL表示装置の製品不良の原因となる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、レーザを用いて開口部を形成するメタルマスクの製造において、メタルマスクを作製する金属基板の表面を保護するとともに、付着したデブリやドロスを一括除去することができ、従って外観不良がなくかつ精度の高い開口部を有するメタルマスクの製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、金属基板にレーザを用いて開口部(貫通孔)を形成するメタルマスクの製造方法であって、次の1)、2)、3)、4)の工程を順次含むことを特徴とするメタルマスクの製造方法としたものである。
1)前記金属基板の第1面側にエッチングにより凹部を形成する工程。
2)前記凹部を含む前記第1面側、及び前記金属基板の第2面側に保護膜を形成する工程。
3)前記保護膜が形成された前記凹部、または前記第2面側で前記凹部に対向する部分にレーザを照射し、開口部を形成する工程。
4)前記第1面側の保護膜、及び第2面側の保護膜を除去する工程。
請求項2に記載の発明は、前記保護膜は水溶性であることを特徴とする請求項1に記載のメタルマスクの製造方法としたものである。
請求項3に記載の発明は、前記第2面側の保護膜の形成は、保護シートの貼り付けによることを特徴とする請求項1、または2に記載のメタルマスクの製造方法としたものである。
請求項4に記載の発明は、前記レーザを照射する条件は、前記第1面側の保護膜を近接面として照射するときのエネルギー密度が、前記金属基板を近接面として照射するときのエネルギー密度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタルマスクの製造方法としたものである。
請求項5に記載の発明は、前記レーザのパルス幅を10ピコ秒より短い超短パルスで発振して照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタルマスクの製造方法としたものである。
本発明の製造方法によると、金属基板の第1面側にエッチングにより凹部を形成し、前記第1面側、及び平坦な第2面側に保護膜を形成した後、レーザを照射して開口部を形成するので、デブリやドロスは金属基板に直接付着せず保護膜上に堆積する。その後表裏面の保護膜を除去するため、デブリやドロスは保護膜とともに一括して除去されるので、外観不良がなくかつ精度の高い開口部を有するメタルマスクを製造することができる。
本発明の実施形態に係る、メタルマスクの製造工程を示す模式断面図である。 一般的なメタルマスクの構造を示す(a)模式平面図(小孔面側)、(b)A−A’線で切断した模式断面図、(c)模式平面図(大孔面側)である。 従来のエッチングによるメタルマスクの製造工程を示す模式断面図である。 レーザで開口部を形成する際の(a)デブリ(b)ドロスが付着する様態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るメタルマスクの製造方法について詳細に説明する。尚、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じではない。
図1に、本発明の実施形態に係る、メタルマスクの製造工程を示す。金属基板1の両面を脱脂、整面、洗浄処理した後、片側の面側(第1面側とする)にフォトレジスト2を塗布し、遮光膜パターン17aを備えるフォトマスク16を通して露光する(図1(a))。次に現像を行い、スペース部3aをもつレジストパターン2aを形成する(図1(b))。(尚、図ではフォトレジスト2をポジレジストとしているが、ネガレジストとし、フォトマスク16を白黒反転したフォトマスクを用いてもよい。)その後、開口部(貫通孔)までは形成しないハーフエッチングを行い、凹部5aを形成し(図1(c))、さらに溶剤等によりレジストパターン2aを除去する(図1(d))。
次に、凹部5aを形成した第1面側、及び平坦な第2面側にそれぞれ保護膜6a、6bを順次形成する(図1(e))。その後、エッチング工程で形成した凹部5aのもっとも深い位置、すなわち金属基板1aがもっとも薄くなっている位置を中心に、第1面側または第2面側から(図では第1面側から)レーザ装置20によりレーザ光21を照射して加工し、凹部5aと貫通する開口部7を形成する(図1(f))。さらに、第1面側の保護膜6a、及び第2面側の保護膜6bを除去してメタルマスク10を作製する(図1(g))。
図1(f)のレーザ光21の照射による開口部7の形成時には、デブリ22やドロス23が発生するが、本発明の製造方法では、金属基板1は保護膜6a、6bで覆われているために、デブリ22やドロス23は金属基板1に直接付着せず保護膜6a、6b上に付着、堆積する。さらに本発明の製造方法では、開口部7の形成後、保護膜6a、6bを剥離除去するので、デブリ22やドロス23は保護膜6a、6bとともに除去され、残存しない。
保護膜6a、6bは、取り扱いの簡便性、及び環境負荷の低減の観点から水溶性であることが好ましい。そのためのベース樹脂としては、水等に溶解させて塗液とし、塗布・乾燥して塗膜を形成し得るものであれば、特に制限されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ブロック共重合体等を例示することができ、これらは、何れか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。有機溶剤に対する耐性が高く、温水によって除去することができるポリビニルアルコールが特に好ましい。
保護膜6a、6bの厚みは1μm〜10μmが好ましい。1μm以下であると凹部への被覆状態が不均一となり、10μm以上であると乾燥及び硬化時の膜収縮の影響により、カール等の変形が発生する。
第1面側の保護膜6aの形成は、微小な凹部5aへの塗布を含むので、塗液は凹部5aの側面全体を隙間なく被覆するために、低粘度で流動性が高いことが好ましく、具体的には5000cp以下の粘度であることが好ましい。
第2面側に形成する保護膜6bは、第1面側の保護膜6a同様、塗布・乾燥して形成してもよいが、第2面側は平坦な面であるため、貼り付け可能な保護シート(ドライフィルム)であってもよい。保護シート(ドライフィルム)である方が、工程数が少なく、短時間で施工可能である。
図1(f)のレーザ光21の照射において、レーザ光21は当初保護膜6aを近接面として照射され、保護膜6aの消失後は金属基板1を近接面として照射され、さらに金属基板1の消失後は保護膜6bを近接面として照射される。ここで、第1面側の保護膜6aを近接面として照射するエネルギー密度(J/cm)は、金属基板1を近接面として照射するエネルギー密度(J/cm)よりも小さいことが好ましい。
前記の理由は、金属基板と樹脂である保護膜とで加工に要するエネルギーを比較すると、金属基板の方が桁違いに大きく、光吸収による熱的影響も大きいからである。金属基板1上に保護膜6aがある状態で金属加工に要するエネルギーでレーザを照射すると、エネルギーは保護膜6aを透過して金属基板1で吸収され、気化した金属は行き場がないため、保護膜6aを吹き飛ばしてしまい、開口となる周辺部分の保護膜は剥離する。それ故、保護膜6aを近接面として照射するときは、樹脂加工に適したエネルギー密度で照射し保護膜6aのみを消失させ、気化した金属が抜けやすい形態にした上で、金属加工に適したエネルギー密度で金属基板1に照射することが好ましい。同様の理由により、金属基板1への照射の終わり頃(貫通間近)においては、第2面側の保護膜6bの剥離を避けるため、エネルギー密度を下げて照射することが望ましい。
前記のように、エネルギー密度(J/cm)を変えるためには、照射面積を変えればよく、照射面積を変えるには、ビーム径調整機能を使うか、光路中のレンズと試料(金属基板)間の距離を変えればよい。照射領域を加工領域に合わせる調整は、レーザ光を走査することにより行う。
また、エネルギー密度(J/cm)は、パワー密度(W/cm)とパルス幅(sec)の積であるので、エネルギー密度(J/cm)の変更は、パルス幅(sec)の変更によっても可能である。すなわち、パルス幅(sec)を小さく(大きく)するほどエネルギー密度(J/cm)は小さく(大きく)なる。
非特許文献1に記載があるように、パルス幅が10ピコ秒以下の超短パルスレーザを用いた加工であっても、常にアブレーションによる非熱加工となる訳ではなく、パルス幅、繰返し周波数、照射パワー、走査速度などのレーザ加工パラメータによって、アブレーション加工である割合は変化する。
パルス幅が小さいほど、熱的影響が小さくなって、アブレーション加工である割合は大きくなり、デブリやドロスは減少するので、好ましい。反面、実際の製造工程では、アブレーション加工の割合が大きくなるほど加工時間が長くなり、スループットが低下するという欠点もある。従って、パルス幅を可変として適宜使い分けることが好ましい。パルス幅を可変とするには、非特許文献1のように、パルス圧縮機能を備えればよい。
特に、有機EL用メタルマスクのように微細な開口寸法や形状をコントロールする必要がある場合は、パルス幅を10ピコ秒より短い超短パルス発振が可能であるようにして、上記のように、エネルギー密度を使い分けて加工することが好ましい。発振波長としては、保護膜、及び金属基板の吸収効率と熱的影響を考慮し、Nd:YVOをレーザ媒質として使用した半導体レーザ励起の固体レーザの波長である1064nmよりも短いことが好ましい。
本発明の製造方法では、上記のように条件を好適化してレーザを使用するが、エネルギー密度を大きくすると、熱的影響が大きくなる傾向は残っている。しかしながら、本発明の製造方法では、開口部形成後に保護膜とともにデブリやドロスを剥離除去することができるので、従来よりもエネルギー密度の大きい条件まで使用でき、メタルマスクの製造時間が短縮される利点も有する。
1、51・・・・金属基板
1a、51a、61a・・・ハーフエッチングされた金属基板
2、52・・・・レジスト
2a、52a、52b・・・レジストパターン
3a、53a、53b・・・スペース部
5a、55a・・・凹部
6a、6b・・・保護膜
7、47、57・・・・開口部
10、50・・・メタルマスク
15・・・露光光
16・・・フォトマスク
17a・・遮光膜パターン
20、70・・・レーザ装置
21、71・・・レーザ光
22、72・・・デブリ
23、73・・・ドロス
40・・・金属基板
41・・・小孔側スリット
42・・・大孔側スリット
56・・・保護層

Claims (5)

  1. 金属基板にレーザを用いて開口部(貫通孔)を形成するメタルマスクの製造方法であって、次の1)、2)、3)、4)の工程を順次含むことを特徴とするメタルマスクの製造方法。
    1)前記金属基板の第1面側にエッチングにより凹部を形成する工程。
    2)前記凹部を含む前記第1面側、及び前記金属基板の第2面側に保護膜を形成する工程。
    3)前記保護膜が形成された前記凹部、または前記第2面側で前記凹部に対向する部分にレーザを照射し、開口部を形成する工程。
    4)前記第1面側の保護膜、及び第2面側の保護膜を除去する工程。
  2. 前記保護膜は水溶性であることを特徴とする請求項1に記載のメタルマスクの製造方法。
  3. 前記第2面側の保護膜の形成は、保護シートの貼り付けによることを特徴とする請求項1、または2に記載のメタルマスクの製造方法。
  4. 前記レーザを照射する条件は、前記第1面側の保護膜を近接面として照射するときのエネルギー密度が、前記金属基板を近接面として照射するときのエネルギー密度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタルマスクの製造方法。
  5. 前記レーザのパルス幅を10ピコ秒より短い超短パルスで発振して照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタルマスクの製造方法。
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