JP2018053135A - ナフタロシアニン化合物ナノ粒子の製造方法、並びに該ナノ粒子の用途 - Google Patents

ナフタロシアニン化合物ナノ粒子の製造方法、並びに該ナノ粒子の用途 Download PDF

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文二 澤野
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斗志彦 高木
浩 籔
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浩 籔
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裕太郎 平井
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Abstract

【課題】アスペクト比が小さく、均一な形状を有するナフタロシアニンナノ粒子の製造方法の提供。【解決手段】1)塩基性触媒を含む有機溶媒中で、1,3-ジイミノベンゾイソインドリン等に紫外線を照射してナフタロシアニン前躯体を合成し、2)該前躯体、金属塩(所望により)、及び2種類の混じり合わない有機溶媒とをノニオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤とに混合してミセルを形成し、3)前記ミセルに対して紫外線照射してナフタロシアニン粒子を形成する、下記具体例で例示されるナフタロシアニン化合物からなるナフタロシアニンナノ粒子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明はナフタロシアニン化合物粒子の製造方法、並びに該ナノ粒子を用いた含む近赤外線吸収材料、着色組成物、分散インキ、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、及びフラッシュトナーに関する。
従来より700〜2000nmの近赤外領域に吸収を有する近赤外吸収色素は、産業上様々な用途への応用が検討されている。CD−R等の光情報記録媒体用途、サーマルCTP、フラッシュトナー定着レーザー感熱記録等の印刷用途、または熱遮蔽フィルム等にも利用されている。また、コピーやプリントアウトに使用した画像形成装置を特定するため、記録紙等の画像出力媒体の表面に可視画像と共に目視により認識し難い画像、すなわち不可視画像を形成することが知られている。このような不可視画像形成用材料としては、近赤外領域に光吸収性を有し、可視光領域では光吸収性がない物質が用いられ、電子写真法やインクジェット記録法等によって画像出力媒体の表面に記録されている。
さらに、近年、半導体レーザやLEDなどの近赤外光源を用いるバーコードリーダー、近赤外光通信、リモコンの普及により、プラズマディスプレイ等、誤動作の原因となる近赤外光の発熱体からの熱線遮断対策強く求められるようになった。これらの熱線遮断対策としては、温度上昇の要因である赤外光を吸収し、可視光を透過する赤外光吸収組成物からなる薄膜により赤外光を遮断する方法や、ガラスやフィルム上に金属を蒸着し赤外光を反射する層を形成し赤外光を反射して遮光する方法が開発されている。地上に到達する太陽光は可視光から近赤外光領域が強く、長波長部の赤外光は弱くなっている。また、赤外用の半導体レーザやLEDの光は800〜1000nmの範囲の近赤外光が多く、近赤外光を効果的に吸収することが熱線遮断の効果が大きくなることから、近赤外光の吸収強度の大きな種々の有機色素を用いた熱線遮断膜が開発されている。
また金属ナフタロシアニン化合物は有機溶媒に難溶性の有機顔料であるため、製造工程、精製工程、粉砕及び微細工程の検討が行われている。ナフタロシアニン化合物の製造方法として、例えば、特許文献1には、有機溶媒中、ナフタレンジカルボン酸誘導体と金属塩を反応させることにより、金属ナフタロシアニン化合物を得る方法が開示されている。しかし、これらの方法によって、得られた金属ナフタロシアニン化合物は塊状の粗製顔料であり、近赤外吸収インクとして使用する場合、乾式粉砕や湿式粉砕により微粒化する必要があり、微粒化時粒子の再凝集が起こり、特殊な加工が必要である。
特許文献2には金属フタロシアニンを含む顔料粒子の製造方法が記載されているが、フタロシアニン前駆体を合成する工程において、使用する有機溶剤としてメタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類があげられており、無置換のフタロニトリルであれば前駆体が形成されるが、ナフタロシアニン前駆体は形成されないためナフタロシアニン化合物を得ることはできなかった。また得られたフタロシアニンには、原料由来成分の反応中間体が残存するため耐久性に劣るなどの問題があり高純度化が課題であった。
特開平10−88017号公報 特開2016−79218号公報
本発明は、アスペクト比が小さく、均一な形状を有するナフタロシアニン化合物粒子の製造方法、並びに該粒子を用いた近赤外線吸収材料、着色組成物、分散インキ、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、及びフラッシュトナーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、下記一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物からなるナフタロシアニン粒子を製造する方法であって、
[式(1)中、R1〜R24は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表す。Mは2個の水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。]
前記ナフタロシアニン化合物は、
第一工程:塩基性触媒を含む有機溶媒中にて、式(2)の化合物、式(3)の化合物、またはそれらの混合物、
[式中、R27〜R29は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表し、jは0〜6、k及びlは0〜5の整数であり、
R25及びR26はシアノ基または一緒になって以下の式の基を形成する。]
あるいは、尿素と式(4)の化合物、式(5)の化合物、またはそれらの混合物
[式中、R27〜R29、並びにj、k及びlは前記と同じ意味を表し、R30及びR31はカルボキシまたはカルボキサミドであるか、一緒になって以下の式の基を形成する。]
に紫外線を照射してナフタロシアニン前躯体を合成する工程と、
第二工程
ノニオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤とに、2種類の混じり合わない有機溶媒と前記ナフタロシアニン前躯体と金属塩(必要な場合)とを混合することでミセルを形成する工程と、
第三工程
前記ミセルに対して紫外線を照射して顔料粒子を形成し、得られた粗ナフタロシアニン粒子を必要によりケトン溶媒にて処理する工程
を有するナフタロシアニン化合物粒子の製造方法である。
また、前記製造方法で得られたナフタロシアニン化合物は、アスペクト比10以下であり、300nm以下の粒径を有し、表面を有機分子で被覆されたことを特徴とする粒子である。
さらに、前記該ナフタロシアニンナノ粒子を用いた含む近赤外線吸収材料、着色組成物、分散インキ、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、熱線遮蔽材フィルム、及びフラッシュトナーである。
本発明の一態様であれば、アスペクト比が小さく、均一な形状を有するナフタロシアニン粒子の製造方法、並びに、該ナフタロシアニン粒子を用いた近赤外線吸収材料、着色組成物、分散インキ、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、及びフラッシュトナーを提供することが可能となる。
本発明の製造工程を図示したフローチャート 実施例1に係る顔料粒子の水分散液の紫外・可視分光分析(UV−vis測定)結果を示す 実施例3に係る顔料粒子の水分散液の紫外・可視分光分析(UV−vis測定)結果を示す 実施例1に係る顔料粒子の粒子径分布測定結果を示す図 実施例1に係る顔料粒子の透過型電子顕微鏡写真
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について説明する。
(ナフタロシアニン粒子の製造方法)
本実施形態に係るナフタロシアニン粒子は、下記一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物からなる。
[式(1)中、R1〜R24は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表す。Mは2個の水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。]
R1〜R24がハロゲン原子の例としては塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
R1〜R24がアルキル基である場合は炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基が特に好ましい。例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、tert−ペンチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
R1〜R24がアリール基である場合はフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が好ましい。
R1〜R24がアルコキシ基である場合は総炭素数1〜15のアルコキシ基が好ましく、特に総炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。例としてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチル基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシプロポキシ基、エトキシブトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、(2−メトキシエトキシ)メトキシ基、(2−エトキシエトキシ)メトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−(1−メトキシエトキシ)エトキシ基、−(2−エトキシエトキシ)エトキシ基、2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ基、3−(2−メトキシエトキシ)プロポキシ基、3−(2−エトキシエトキシ)プロポキシ基、2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−ジメチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基等が挙げられる。
R1〜R24がアルキルチオ基である場合は炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状アルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状アルキルチオ基が特に好ましい。例としてメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基等が挙げられる。
R1〜R24がアリールチオ基である場合はフェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、p−tert−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
R1〜R24がジアルキルアミノ基である場合のアルキル基は炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状アルキル基が特に好ましい。例としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−イソプロピル−N−エチルアミノ基、N−sec−ブチル−N−エチルアミノ基、N−イソアミル−N−エチルアミノ基、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ基、N−sec−ヘプチル−N−エチルアミノ基、N−(2−エチルヘキシル)−N−ブチルアミノ基等が挙げられる。
R1〜R24がアリールオキシ基である場合は、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、4−n−プロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、4−n−ブチルフェニルオキシ基、4−イソブチルフェニルオキシ基、4−tert−ブチルフェニルオキシ基、4−n−ペンチルフェニルオキシ基、4−イソペンチルフェニルオキシ基、4−tert−ペンチルフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−n−ヘプチルフェニルオキシ基、4−n−オクチルフェニルオキシ基等が挙げられる。
R1〜R24がアルコキシアルキル基である場合は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ブトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基等が挙げられる。
R1〜R24がアリールアミノ基である場合は、アニリノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、2−ビフェニルアミノ基、3−ビフェニルアミノ基、4−ビフェニルアミノ基、1−フルオレンアミノ基、2−フルオレンアミノ基、2−チアゾールアミノ基、p−ターフェニルアミノ基等が挙げられる。
その他の好ましいR1〜R24の具体例としては、ニトロ基も挙げられる。
一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合
物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記ナフタロシアニン化合物は
第一工程
塩基性触媒を含む有機溶媒中にて、式(2)の化合物、式(3)の化合物、またはそれらの混合物、
[式中、R27〜R29は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表し、jは0〜6、k及びlは0〜5の整数であり、R25及びR26はシアノ基または一緒になって以下の式の基を形成する。]
あるいは、尿素と式(4)の化合物、式(5)の化合物、またはそれらの混合物
[式中、R27〜R29並びにj、k及びlは前記と同じ意味を表し、R30及びR31はカルボキシまたはカルボキサミドであるか、一緒になって以下の式の基を形成する。]
に紫外線を照射してナフタロシアニン前躯体を合成する工程と
第二工程
混じり合わない2種類の有機溶媒からなる混合溶媒と、ナフタロシアニン前躯体と、ノニオン性界面活性剤と、イオン性界面活性剤と、金属塩(必要な場合)とを混合することでミセルを形成する工程
第三工程
前記ミセルに対して紫外線を照射して顔料粒子を形成し、得られた粗ナフタロシアニン粒子を所望によりケトン溶媒にて処理する工程を有する。
(第一工程:ナフタロシアニン前躯体を合成する工程)
式(2)の化合物、式(3)の化合物、式(4)の化合物あるいは式(5)の化合物の例を以下に示す。
例えば無水2,3−ナフタレンジカルボン酸化合物、2,3−ナフタレンジカルボン酸化合物、2,3−ナフタレンジアミド化合物、2,3−ナフタレンイミド化合物、2,3−ナフタレンジニトリル化合物、無水1−フェニル-2,3−ナフタレンジカルボン酸化合物1−フェニル-2,3−ナフタレンジカルボン酸化合物、1−フェニル-2,3−ナフタレンジアミド化合物、1−フェニル-2,3−ナフタレンイミド化合物、2,3−ナフタレンジニトリル化合物、1−フェニル-2,3−ナフタレンジニトリル化合物が挙げられる。
式(2)の化合物、式(3)の化合物、式(4)の化合物あるいは式(5)の化合物において、R27〜R29がハロゲン原子の例としては塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
R27〜R29がアルキル基である場合は炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基が特に好ましい。例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、tert−ペンチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
R27〜R29がアリール基である場合はフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が好ましい。
R27〜R29がアルコキシ基である場合は総炭素数1〜15のアルコキシ基が好ましく、特に総炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。例としてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチル基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシプロポキシ基、エトキシブトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、(2−メトキシエトキシ)メトキシ基、(2−エトキシエトキシ)メトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−(1−メトキシエトキシ)エトキシ基、−(2−エトキシエトキシ)エトキシ基、2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ基、3−(2−メトキシエトキシ)プロポキシ基、3−(2−エトキシエトキシ)プロポキシ基、2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−ジメチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基等が挙げられる。
R27〜R29がアルキルチオ基である場合は炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状アルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状アルキルチオ基が特に好ましい。例としてメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基等が挙げられる。
R27〜R29がアリールチオ基である場合はフェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、p−tert−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
R27〜R29がジアルキルアミノ基である場合のアルキル基は炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状アルキル基が特に好ましい。例としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−イソプロピル−N−エチルアミノ基、N−sec−ブチル−N−エチルアミノ基、N−イソアミル−N−エチルアミノ基、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ基、N−sec−ヘプチル−N−エチルアミノ基、N−(2−エチルヘキシル)−N−ブチルアミノ基等が挙げられる。
R27〜R29がアリールオキシ基である場合は、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、4−n−プロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、4−n−ブチルフェニルオキシ基、4−イソブチルフェニルオキシ基、4−tert−ブチルフェニルオキシ基、4−n−ペンチルフェニルオキシ基、4−イソペンチルフェニルオキシ基、4−tert−ペンチルフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−n−ヘプチルフェニルオキシ基、4−n−オクチルフェニルオキシ基等が挙げられる。
R27〜R29がアルコキシアルキル基である場合は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ブトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基等が挙げられる。
R27〜R29がアリールアミノ基である場合は、アニリノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、2−ビフェニルアミノ基、3−ビフェニルアミノ基、4−ビフェニルアミノ基、1−フルオレンアミノ基、2−フルオレンアミノ基、2−チアゾールアミノ基、p−ターフェニルアミノ基等が挙げられる。
その他の好ましいR27〜R29の具体例としては、ニトロ基も挙げられる。
これらのナフタルアミド化合物誘導体は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
また、塩基性触媒としては、例えば、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]
ウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,5,7−トリアザビシクロデセン等を用いること
が可能である。これらの塩基性触媒は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用い
ることも可能である。
また、有機溶媒としては、極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMSO、DMAC,DMI等を用いることが可能である。これらの有機溶媒は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
式(2)の化合物または式(3)のナフタルアミド化合物を出発原料とするナフタロシアニン前躯体は、ナフタルアミド化合物と塩基性触媒を含む有機溶媒溶液(極性非プロトン性溶媒)を混合し、加熱または紫外線照射により合成する。また、ナフタル酸化合物と尿素を出発原料とするナフタロシアニン前駆体は、ナフタル酸化合物と尿素を有機溶媒に溶解後、加熱し、中間生成物(ナフタルイミドまたはナフタル酸ジアミド)を形成する。次に塩基性触媒を含む有機溶液を混合し、加熱または紫外線照射により合成する。
紫外線は200から400nm、好ましくは320から380nmの波長範囲が好適である。この波長範囲の紫外線を発生させるランプや光源を有する紫外線照射装置を特に限定なく使用することができる。
(第二工程:ミセルを形成する工程)
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキルエーテルや両親媒性のブロック共重合体など特に限定なく、公知のものを用いることが可能である。
ポリオキシアルキルエーテルとしては、例えば、テトラエチレングリコールモノドデシ
ルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコー
ルモノドデシルエーテル、ニューコール(日本乳化剤株式会社製)、エマルゲン(登録商
標、花王株式会社製)などを用いることが可能である。
両親媒性のブロック共重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロ
ピレン−ポリオキシエチレンからなるブロック共重合体Pluronic(登録商標、B
ASF社製)を用いることが可能である。
イオン性界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、テト
ラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチル
ベンジルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルト
リメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチル
トリメチルアンモニウムブロミド、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデ
シルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリ
ウム、ラウリル硫酸ナトリウム、などを用いることが可能である。
また、混じり合わない2種類の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系各種溶媒と、炭化水素系、ケトン系、エーテル系、エステル系等の各種溶媒を用いることが可能であり、混じりあわない2種類の有機溶媒の組み合わせとしては、例えば、メタノールとヘキサン、メタノールとオレイン酸、エチレングリコールと流動パラフィン、グリセリンとテトラデカンなどの組み合わせを用いることが可能である。
金属塩としては、金属フタロシアニンの中心金属となり得る全ての金属の塩を用いることができ、鉄、ニッケル、亜鉛、銅、マグネシウム、パラジウム、バナジウムなどのハロゲン化物や硫酸塩、アセチルアセトナト錯体など、公知のものとして、例えば、塩化鉄(II)、塩化ニッケル(II)、塩化亜鉛、塩化銅(II)、バナジルアセチルアセトナート、マグネシウムアセチルアセトナート、パラジウムアセチルアセトナート、硫酸鉄(II)、硫酸銅(II)、硫酸亜鉛などを用いることが可能である。また金属塩を使用しなければ無金属ナフタロシアニンが得られる。
ミセルはノニオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤に、2種類の混じり合わない有機溶媒とフタロシアニン前躯体と金属塩とを混合することで形成する。
混合方法としては、マグネチックスーラー、メカニカルスターラー、プロペラ攪拌機、ホモジナイザーなどを用いることが可能である。
(第三工程:ナフタロシアニン粒子を形成する工程)
ミセルに対して紫外線を照射して顔料粒子を形成する。
紫外線は200から400nm、好ましくは320から380nmの波長範囲が好適である。この波長範囲の紫外線を発生させるランプや光源を有する紫外線照射装置を特に限定なく使用することができる。フローセルを使用した流通プロセスを使用することは紫外線照射の効率が向上し、スケールアップの際、極めて有効な手段である。
得られた粗ナフタロシアニン粒子をケトン系溶媒にて分散処理することにより高純度なナフタロシアニンナノ粒子を得る。
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
得られたナフタロシアニン粒子は、アスペクト比10以下であり、粒径が300nm以下である。また、ナフタロシアニン粒子表面は有機分子で被覆されており、ナフタロシアニン粒子の凝集がなく、樹脂などの顔料担体への分散性がより良好となる。本発明に係るナフタロシアニン粒子は分散インキだけでなく、近赤外線吸収材料、着色組成物、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、及びフラッシュトナーとして好適である。
一般に、フィルタの透明性は、使用するフィルタ用分散インキ中での分散状態における顔料の粒径に依存する。近年、フィルタに求められている高透明性を達成するためには、粒子径は300nm以下が好ましい。粒子径が300nmを超える場合は、これを使用したフィルタの透明性が低下してしまう。
[分散インキ]
以下、分散インキについて説明する。分散インキは顔料粒子と樹脂またはその前躯体と有機溶剤からなる混合物であり、顔料粒子5〜20重量部、樹脂またはその前躯体5〜30重量部、有機溶剤60〜90重量部を含む。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂等を用いることが可能である。また、樹脂の前躯体としては、紫外線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーがあげられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどがあげられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。
フィルタ用顔料分散インキの場合、使用する樹脂として、可視光領域400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上の透明樹脂を用いることが好ましく、さらには95%以上の透明樹脂を用いることが最適である。また、感光性を付与しフォトリソグラフィ法にて所定のパターンでカラーフィルタを形成する場合には、アクリル樹脂5〜30重量部に対して、更に、光重合性モノマーまたはオリゴマーを20〜150重量部と、光重合開始剤を5〜50重量部添加し、感光性分散インキとする。
アクリル樹脂としては、例えば(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルモノマーや(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルモノマーなどから選ばれるモノマーを二種以上、好ましくは3〜5種程度用いて、重量平均分子量5,000〜100,000程度に重合した樹脂を使用することができる。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」なる用語は、アクリル酸とメタクリル酸の総称として用いる。
また、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル等を用いることが可能である。
また、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類、前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類のε−カプロラクトン縮合物、モノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ペンタ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール等がある。
光重合性モノマーとしては、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能モノマーまたは
多官能モノマーを使用することができる。単官能モノマーとしては、アクリル酸ノニルフェニルカルビトール、アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−エチルヘキシルカルビトール等を使用することができ、2官能モノマーとしては、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等を使用することができ、3官能モノマーとしては、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等を使用することができる。
光重合開始剤としては、特に制限なく、公知のものを使用でき、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物又はベンゾフェノン系化合物を使用することが好ましい。トリアジン系化合物としては、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ピペロニル−s−トリアジン等を使用することができる。イミダゾール系化合物としては、2,2´−ビス−(2−クロロフェニル)−4,4´,5,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール、2,2´−ビス−(2−クロロフェニル)−4,4´,5,5´−テトラ(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,1´−ビ−1H−イミダゾールをあげることができる。また、ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン等を使用することができる。これら各種の光重合開始剤は、一種のみ使用してもよく、複数種を使用してもよい。
有機溶剤としては、使用するアクリル系樹脂のモノマー組成、光重合性モノマーの種類
、光重合開始剤の種類等に応じて適宜選択する。通常は、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、エタノール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン等から選ばれる一種または複数種を使用する。
[近赤外線吸収インク、セキュリティインク]
一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物からなるナフタロシアニン粒子は、近赤外線吸収材として使用することができ、近赤外線吸収インク、特に手書き入力システム用ペン型入力装置検出マーカー用近赤外線吸収インクとして使用することもできる。
可視領域には着色の少ない隠しインクとしてインクジェット記録用に使用されるが、インクジェット記録方式は特に限定されず、サーマル方式やピエゾ方式等のいずれの方式のインクジェット印刷にも用いることができる。インクの性状は、記録方式により異なるが、通常、粘度は1〜20mPa・s、表面張力は25〜50mN/m、pHは5〜12の範囲である。また、インク中のナフタロシアニンは、印刷システム等によって異なるが、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
更に、本願発明における近赤外線吸収インクは、インクジェット記録用顔料インクに用いられる手法として、ナフタロシアニンを表面処理やマイクロカプセル化して用いることもできる。本願発明の近赤外線吸収インクで印刷された印刷物は、可視領域での着色が少なく目立たないため、目視或いは可視センサーでは検出しにくい。近赤外線発振・検出器を用いることで検出する事ができる。
[フラッシュトナー]
オフィスなどで文書の印刷、複写などを行う画像形成装置としては、エレクトロフォトグラフィやイオノグラフィ方式を描画原理としたものが常用されている。
上記2つの画像形成方式について定着プロセスは略同様であり、記録媒体上に形成されたトナー粉像は、加圧、加熱、溶剤蒸気、光等により溶融されて、記録媒体に固着される。最近、この定着プロセスに関して、トナー粉像に強力な光を照射しトナーを溶融させる光定着方式が、注目を集めている。
なお、現在、この光定着方式において最も一般的な方法は光源にキセノンフラッシュランプを使用するフラッシュ定着法である。
前記フラッシュ定着法においてトナーが記録紙に定着する過程は次の通りある。トナー画像が感光体ドラム等から記録紙等の記録媒体( 以下、単に記録紙とする) 上に転写される。上記トナー粉像に、キセノンフラッシュ等のフラッシュ光(閃光) を照射すると、トナーは閃光の光エネルギを吸収することで、昇温して軟化し、記録紙に密着する。閃光照射後に温度が下がると、トナー像は固化し、定着像が完成する。
また、光定着法に一般的に用いられるキセノンフラッシュランプは、紫外から赤外まで広い領域に渡って発光分布を有する。特に発光強度が強いのは8 0 0 〜 10 5 0 n m の近赤外線領域であり、定着性能が高いトナーの開発のためには、この近赤外線領域の光エネルギを効率よく利用する技術、すなわち使用する光エネルギを低減させる技術の確立も求められている。トナーとして、バインダー樹脂、着色剤および前記一般式(1)で表されるナフタロシアニンを含有するフラッシュ固定トナー(flash fixing toner)が好適に挙げられる。ここで、一般式(I)で表されるナフタロシアニンの含有量としては、トナーの総質量に対して約0.01〜5.0質量%(より好ましくは0.1〜3.0質量%)が好ましい。
このナフタロシアニンはトナー粒子のマトリックスを形成するバインダー樹脂と好適に分散する。 前記バインダー樹脂は、フラッシュ固定トナー(flash fixing toner)で使用するのに適切な任意の樹脂、例えば、ポリスチレン類;スチレンと(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル若しくはマレイン酸エステルとのコポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエステル類;ポリアミド類;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;炭化水素樹脂;および石油樹脂が挙げられ、これらは単独でまたは他の樹脂もしくは添加剤と組み合わせて用いることができる。好ましいバインダー樹脂は、ビスフェノールAおよびエピクロロヒドリンのポリエステル樹脂、エポキシ樹脂である。 前記着色剤は、フラッシュ固定トナーで使用するのに適切な任意のものであってよい。例えば、クローム・イエロー、カドミウム・イエロー、イエロー酸化鉄(yellow iron oxide)、チタン・イエロー、ナフトール・イエロー、ハンザ・イエロー(Hanza yellow)、顔料イエロー、ベンジジン・イエロー、パーマネント・イエロー、キノリン・イエロー、アントラピリミジン・イエロー、パーマネント・オレンジ、モリブデン・オレンジ、バルカン・ファスト・オレンジ(vulcan fast orange)、ベンジジン・オレンジ、インダンスリーン・ブリリアント・オレンジ、酸化鉄、琥珀、パーマネントブラウン、ローズ・アイアン・オキシド・レッド(rose iron oxide red)、アンチモン粉末、パーマネント・レッド、ファイアー・レッド(fire red)、ブリリアント・カーマイン、ライト・ファスト・レッド・トナー(light fast red toner)、パーマネント・カーマイン、ピラゾロン・レッド、ボルドー(Bordeaux)、ヘリオ−ボルドー(helio-Bordeaux)、ローダミン・レーキ、DuPontオイル・レッド、チオインディゴ・レッド、チオインディゴ・マロン、ウォッチング・レッド・ストロンチウム(watching red strontium)、コバルト・パープル、ファスト・バイオレット、ジオキサン・バイオレット、メチル・バイオレット・レーキ、メチレン・ブルー、アニリン・ブルー、コバルト・ブルー、セルレアン・ブルー、カルコ・オイル・ブルー(chalco oil blue)、非金属フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・ブルー、ウルトラマリン・ブルー、インダントレン・ブルー、インディゴ、クローム・グリーン、コバルト・グリーン、顔料グリーンB、グリーン・ゴールド、フタロシアニン・グリーン、マラカイト・グリーン・オキサレート、およびポリクロモ−ブロモ銅フタロシアニンなどの各種顔料および着色剤が挙げられる。
着色剤の量は広範囲を選択し得るが、前記バインダー樹脂100質量部に対して、3質量部〜5質量部の範囲が好ましい。 フラッシュ固定トナーは、他の成分、例えば、ワックス(蝋)、電荷制御剤(charge control agent)、および/または、易流動剤(flow-enhancer)を含むことができる。
前記ワックスは、ポリオレフィンタイプまたは天然ワックス、例えばカルナウバワックス、モンタンワックスおよび天然パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、エチレン−ペンテンコポリマー、エチレン−3−メチル−1−ブテンコポリマー並びに、オレフィン類と他のモノマー、例えばビニルエステル類、ハロ−オレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸または誘導体とのコポリマーであってもよい。ワックスの重量平均分子量は1,000〜45,000ダルトンであるのが好ましい。前記電荷制御剤の例としては、ニグロシン(nigrosine)、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルスクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステル若しくはアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリアジン類およびサリチル酸の金属錯体が挙げられる。黒以外の着色剤の場合には、電荷制御剤が実質的に無色であるのが好ましい。 前記易流動性剤の例としては、無機物質、例えば、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニアおよびタルクの微粒子、並びに有機物質、例えばポリスチレンビーズおよび(メタ)アクリル酸ビーズの微粒子が挙げられる。 ナフタロシアニンがバインダー樹脂に可溶性または分散可能である場合、カップリング剤およびナフタロシアニン(並びに上記の任意の他の成分)をコンパウンドし、共に混練りするのが好ましい。得られた混合物を冷却し、粉砕化した後、粒子を分類する。
[近赤外線吸収フィルタ]
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子であるCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、その際近赤外線吸収フィルタを用いることが多い。
近赤外線吸収フィルタは、光透過率が以下の(1)〜(6)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、(1)〜(6)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。 (1)波長500nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、99.9%以上が特に好ましい。 (2)波長600nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、99.9%以上が特に好ましい。 (3)波長700nmでの光透過率は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。 (4)波長750nmでの光透過率は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。 (5)波長800nmでの光透過率は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。 (6)波長900nmでの光透過率は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。
近赤外線吸収フィルタは、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましく、5μm以下とすることがさらに好ましい。膜厚の下限は、例えば、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がより好ましい。本発明の組成物によれば、高い近赤外線遮蔽性を有することから、近赤外線吸収フィルタの膜厚を薄くすることができる。 近赤外線吸収フィルタは、膜厚20μm以下で、波長400〜550nmの全ての範囲での可視光透過率が75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、波長700nm以上900nm未満の範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましい。
以下、本発明を具体的に実施した実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の
実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例に使用した具体的な材料および合成方法等について、以下に記載する。
(実施例1)銅-ナフタロシアニンの製造:具体例1
1,3-ジイミノベンゾイソインドリン48.8mg、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン20.0mgおよびDMSO 1500mgを試験管に投入した。このDMSO溶液を攪拌しながら、紫外光(365nm、23mW/cm2)を10分間照射して、ナフタロシアニン前躯体を得た。このナフタロシアニン前躯体のDMSO溶液にメタノール250mgおよびヘキサン5000mgの混合溶媒中にヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド250mgを溶解させた界面活性剤溶液を加えた。その後、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル550mgおよび塩化銅(II)二水和物21.0mgを溶解させたメタノール溶液を加えた。その後再び紫外光(365nm、23mW/cm)を6時間照射した。反応時間経過後、反応液にキシレン4mlと水20mlを加えた。加えた後撹拌すると水層および油層の中間に黄褐色の中間層が生成する。この中間層を回収し、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析にて目的物である具体例1の化合物であることを確認した。また反応中間体である原料2量体の残存を確認した。アセトン10mlおよびヘキサン5mlにて5分間撹拌後、遠心分離(6200rpm、30sec)した。この作業を3回繰り返し、その沈殿物のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析により反応中間体が除去されたことを確認した。
最後に10g/lポリエチレングリコール水溶液10ml中に分散させ、ろ過(孔径200nm)しナフタロシアニン化合物分散水溶液を得た。遠心分離器にて分離後凍結乾燥し、緑褐色粉末20mg得た。
分析結果
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析: m/z M+776 水分散液の吸収波長は、紫外線可視光光度計(日本分光製V−670)を用いて測定し、λmax 700nmであった。顔料粒子の分散液の紫外・可視分光分析(UV−vis測定)結果を図-2に示す。
平均粒子径は、動的光散乱式粒子径分布計(マルバーン製ゼータサイザー ナノ ZS)を用いて測定:粒径174±64nm
顔料粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製H−7650)を用
いて観察し、撮影した画像から、顔料粒子の長径と短径を測長し、アスペクト比(=長径
/短径)=3.3であった。
分析の結果、具体例 のナノ粒子であることを確認した。
アセトン処理前の中間層の分析
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析: m/z M+776
反応中間体 m/z M+383
(実施例2)テトラフェニル-銅-ナフタロシアニンの製造:具体例3
4-フェニル−1,3−ジイミノベンゾイソインドリン67.75mg、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン20.0mgおよびDMSO 1500mgを試験管に投入した。このDMSO溶液を攪拌しながら、紫外光(365nm、23mW/cm2)を10分間照射して、ナフタロシアニン前躯体を得た。このナフタロシアニン前躯体のDMSO溶液にメタノール250mgおよびヘキサン5000mgの混合溶媒中にヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド250mgを溶解させた界面活性剤溶液を加えた。その後、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル550mgおよび塩化銅(II)二水和物21.0mgを溶解させたメタノール溶液を加えた。その溶液を図―1に示すシリンジポンプにセットし流速 0.01ml/minで フローセル(流路)に導入、そのフローセルに紫外光(365nm、23mW/cm)を照射した。その反応液を再度シリンジポンプにセットし同様の操作を10回行った。その後得られた反応液にキシレン4mlと水20mlを加えた。加えた後撹拌すると水層および油層の中間に黄褐色の中間層が生成する。この中間層を回収し、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析にて目的物である具体例3の化合物であることを確認した。また反応中間体である原料2量体の残存を確認した。アセトン10mlおよびヘキサン5mlにて5分間撹拌後、遠心分離(6200rpm、30sec)した。この作業を3回繰り返し、その沈殿物のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析により反応中間体が除去されたことを確認した。
最後に10g/lポリエチレングリコール水溶液10ml中に分散させ、ろ過(孔径200nm)しナフタロシアニン化合物分散水溶液を得た。遠心分離器にて分離後凍結乾燥し、緑褐色粉末15mg得た。
分析結果
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析: m/z M+1081
反応中間体 m/z M+535
水分散液の吸収波長は、紫外線可視光光度計(日本分光製V−670)を用いて測定し、λmax 720nmであった。
平均粒子径は、動的光散乱式粒子径分布計(マルバーン製ゼータサイザー ナノ ZS)を用いて測定した。:粒径142±48nm
顔料粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製H−7650)を用
いて観察し、撮影した画像から、顔料粒子の長径と短径を測長し、アスペクト比(=長径
/短径)=3.1であった。
(実施例3)亜鉛ナフタロシアニンの製造:具体例2の化合物
実施例1において、塩化銅(II)二水和物42.0mgの代わりに塩化亜鉛33.6mgを用いた以外は実施例1と同様に行って緑褐色粉末20mgを得た。
分析結果
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析: m/z M+778
水分散液の吸収波長は、紫外線可視光光度計(日本分光製V−670)を用いて測定し、λmax700nm,790nmであった。
平均粒子径は、動的光散乱式粒子径分布計(マルバーン製ゼータサイザー ナノ ZS)を用いて測定した。:粒径155±29nm
顔料粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製H−7650)を用
いて観察し、撮影した画像から、顔料粒子の長径と短径を測長し、アスペクト比(=長径
/短径)=3.2であった。
(比較例1)特開2016−79218号公報記載の製造方法−1(前駆体の形成)
1,3-ジイミノベンゾイソインドリン48.8mg、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン20.0mgおよび実施例1で使用したDMSO の代わりに特開2016−79218号公報記載のメタノール1500mgを試験管に投入した。このメタノール溶液を攪拌しながら、紫外光(365nm、23mW/cm2)を10分間照射したが、1,3−ジイミノベンゾイソインドリンに変化はなく、ナフタロシアニン前駆体を得ることはできなかった。
(比較例2):顔料粒子:特開2016−79218号公報記載の製造方法−2(精製法)
実施例1において同様に行って反応液を得た。反応液にキシレン2mlと水10mlを加えた。加えた後撹拌すると水層および油層の中間に中間層が生成する。この中間層を回収し、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析にて目的物である実施例1と同一の化合物であることを確認した。また反応中間体である原料2量体の残存を確認した。その中間層に実施例1で使用したアセトンの代わりに特開2016−79218号公報記載のヘキサン、メタノールおよび水を加え撹拌後、再度中間層を回収し、この作業を3回繰り返した。最後に10g/lポリエチレングリコール水溶液5ml中に中間層を分散させ、ろ過(孔径200nm)し遠心分離器にて分離後凍結乾燥し、緑褐色粉末43mg得た。
分析結果
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析
:m/zM+776
:m/zM+383 (反応中間体、原料2量体)
2種のピークを観測した。原料中間体が除かれていないことを確認した。
水分散液の吸収波長は、紫外線可視光光度計(日本分光製V−670)を用いて測定した。λmax 700nmであった。
平均粒子径は、動的光散乱式粒子径分布計(マルバーン製ゼータサイザー ナノ ZS)を用いて測定:粒径180±50nm
顔料粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製H−7650)を用
いて観察し、撮影した画像から、顔料粒子の長径と短径を測長し、アスペクト比(=長径
/短径)=4.0であった。
(比較例3):顔料粒子:特開平10−88017号公報記載の実施例2化合物の合成
窒素気流下、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物60g、尿素137g、モリブデン酸アンモニウム4水和物1g、スルフォラン300g及び塩化銅10.0gを185〜190℃にて5時間攪拌した。100℃に冷却して濾過し、濾取物をメタノールで十分洗浄し乾燥して暗緑色粉末51gを得た。
分析結果
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)MS分析: m/zM+776
平均粒子径は、動的光散乱式粒子径分布計(マルバーン製ゼータサイザー ナノ ZS)を用いて測定した。:粒径1600±35nm
得られた粗顔料粒子を下記条件で3回、微粒化した
微粒化条件:
試験機:UVX-2(横型湿式超微粒分散粉砕器;アイメックス製)
容器及びディスク材質:ジルコニア製
容器の容量:2.2L
ディスク回転数:1430rpm
ビーズ:粒径0.3・(ジルコニア製)、1.57L充填
試料:比較例1のサンプル
溶媒:メタノール
吐出液量:200mL/min
結果:
平均粒径(nm)
処理前 1635
1・Pass 543
2・Pass 356
3・Pass 349
得られた分散液をエバポレーターにて乾燥した。
(実施例4):分散インキ−1
実施例1で作製した顔料粒子6.6g アクリル樹脂(ポリメタクリル酸(重量平均分子量10,000)、アクリル酸ヒドロキシエチルとメタクリル酸の共重合体(重量平均分子量30,000))12.6g、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、ペンタエリスリトールトリアクリレート 3g、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.8g、トルエンおよびシクロヘキサンの混合溶剤 77gを混合し、回転式攪拌機(回転数:500〜1,000rpm、時間:5〜10分)で攪拌して分散インキを得た。
(比較例4):分散インキ−2
実施例5において実施例1で作製した顔料粒子6.6gの代わりに比較例2で作製した顔料粒子6.6gを用いた以外は実施例5と同様に行って分散インキを得た。
(比較例5):分散インキ−3
実施例5において実施例1で作製した顔料粒子6.6gの代わりに比較例3で作製した顔料粒子6.6gを用いた以外は実施例5と同様に行って分散インキを得た。
(実施例5):近赤外線吸収フィルタ−1
ガラス基板1の上に、実施例4で作製した分散インキ-1をスピンコート(3000rpm、10sec)し、乾燥させ、70℃で20分間プリベークし、露光した(50mJ/cm2)。 次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、十分に水洗後、乾燥させ、230℃で1時間ベークし、近赤外線吸収フィルタ-1を作製した。
(比較例6):近赤外線吸収フィルタ−2
実施例5において実施例4で作製した分散インキ-1の代わりに比較例4で作製した分散インク-2を用いた以外は実施例5と同様に行って近赤外線吸収フィルタ-2を作製した。
(比較例7):近赤外線吸収フィルタ−3
実施例5において実施例4で作製した分散インキ-1の代わりに比較例5で作製した分散インク-3を用いた以外は実施例5と同様に行って近赤外線吸収フィルタ-3を作製した。

近赤外線吸収フィルタの評価結果
紫外線可視光光度計(日本分光製V−670)を用いて近赤外線吸収フィルタ透過スペクトルを測定した。
500nmの透過率
実施例5(近赤外線吸収フィルタ−1:顔料粒径175nm) 80%
比較例6(近赤外線吸収フィルタ−2:顔料粒径180nm) 79%
比較例7(近赤外線吸収フィルタ−3:顔料粒径350nm) 60%
結果
本発明で製造されたナフタロシアニン化合物を用いた近赤外線吸収フィルタは可視透過性に優れていた。
耐光性試験:
実施例5及び比較例6で作製した近赤外線吸収フィルタにカーボンアークフェードメーター(スガ試験機製)で20時間露光した時の濃度変化(ΔE)を測定した。
ΔE
実施例5(近赤外線吸収フィルタ−1:顔料粒径175nm) 9.2%
比較例6(近赤外線吸収フィルタ−2:顔料粒径180nm) 12.3%
結果
本発明で製造されたナフタロシアニン化合物を用いた近赤外線吸収フィルタ耐光性に優れていた。
(実施例6)〔フラッシュトナー製造〕
青トナーA 結着樹脂:ポリエステル樹脂(NCP−001J;日本カーバイド社製)91g、赤外光吸収剤:実施例1で合成したナフタロシアニン、 着色剤:銅フタロシアニン顔料(リオノールブルーES;東洋インキ製造社製)5g 負帯電制御剤:カリックスアレン
(ボントロンE-89;オリエント化学社製)2gをヘンシェルミキサへ投入し、予備混錬を行った後、エクストルーダにより混錬し、ついでハンマーミルにて粗粉砕した。さらに、これをジェットミルにて微粉砕し、気流分級機にて分級を行い、体積平均粒径が約8.5μmの青色トナーを得た。次いで、外添剤として疎水シリカ微粒子(H2000/4;クラリアント社製)を0.5重量部添加し、ヘンシェルミキサで外添処理を行い、外添剤を表面に被覆させた青色トナーを得た。上記青色トナー4.5gと、シリコーン系樹脂コートマグネタイトキャリア(関東電化工業社製)95.5gとをボールミルで混合したものを使用して2成分現像剤を製造した。キセノンフラッシュ定着方式を採用しているレーザプリンタ(PS2160;富士通社製)を用いて、1.8J/cm、発光時間1500μ秒の光エネルギーを付与し、青色トナーの粉像を用紙上で溶融してから固化し、定着画像を得ることができた。
本発明に係る製造方法で得られるナフタロシアニン化合物の微粒子は、近赤外線吸収材料、着色組成物、分散インキ、セキュリティインク、近赤外線吸収フィルタ、及びフラッシュトナーなどに好ましく使用できる。また、本発明の製造方法により、ナフタロシアニン化合物の微粒子を容易に製造できる。


Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物からなるナフタロシアニン粒子の製造方法であって、
    [式(1)中、R1〜R24は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表す。Mは2個の水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。]
    塩基性触媒を含む有機溶媒中にて、式(2)の化合物、式(3)の化合物、またはそれらの混合物、
    [式中、R27〜R29は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、アリールアミノ基を表し、jは0〜6、k及びlは0〜5の整数であり、R25及びR26はシアノ基または一緒になって以下の式の基を形成する。]
    あるいは、尿素と式(4)の化合物、式(5)の化合物、またはそれらの混合物
    [式中、R27〜R29及びj、k及びlは前記と同じ意味を表し、R30及びR31はカルボキシまたはカルボキサミドであるか、一緒になって以下の式の基を形成する。]
    に紫外線を照射してナフタロシアニン前躯体を合成する工程と;
    混じり合わない2種類の有機溶媒からなる混合溶媒に、ノニオン性界面活性剤と、イオン性界面活性剤と、前記ナフタロシアニン前躯体と、さらに所望により金属塩とを混合することでミセルを形成する工程と;
    前記ミセルに対して紫外光を照射してナフタロシアニン粒子を形成する工程と;
    を備えるナフタロシアニン粒子の製造方法。
  2. 前記ナフタロシアニン前躯体を合成する工程において極性非プロトン性溶媒中でナフタロシアニン前駆体を形成する請求項1の製造方法。
  3. 極性非プロトン性溶媒がDMF、DMSO、DMAC、DMIである請求項2記載の製造方法。
  4. 前記ナフタロシアニンナノ粒子を形成する工程において、フローセル中で紫外線を照射してナフタロシアニンナノ粒子を形成する請求項1〜3いずれかの製造方法。
  5. 前記ナフタロシアニン粒子をさらにケトン系溶媒にて処理する請求項1〜4いずれかの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの製造方法にて得られるナフタロシアニン粒子であって、そのアスペクト比が10以下で、粒径が300nm以下であるナフタロシアニンナノ粒子。
  7. 前記ナフタロシアニンナノ粒子の表面が、さらに有機分子で被覆されてなる請求項6のナフタロシアニンナノ粒子。
  8. 請求項6または7のナフタロシアニンナノ粒子と、印刷インキ溶剤またはワニスとを含有する分散インキ。
  9. 請求項6または7記載のナフタロシアニンナノ粒子を含有する近赤外線吸収材料及び着色組成物。
  10. 請求項6または7記載のナフタロシアニンナノ粒子を含有するフラッシュトナー。
  11. 請求項6または7記載のナフタロシアニンナノ粒子を含有する近赤外線吸収フィルタ。
  12. 請求項6または7記載のナフタロシアニンナノ粒子を含有するセキュリティインク。

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