JP2018052893A - 植物の耐塩性向上剤 - Google Patents

植物の耐塩性向上剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2018052893A
JP2018052893A JP2016193311A JP2016193311A JP2018052893A JP 2018052893 A JP2018052893 A JP 2018052893A JP 2016193311 A JP2016193311 A JP 2016193311A JP 2016193311 A JP2016193311 A JP 2016193311A JP 2018052893 A JP2018052893 A JP 2018052893A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substituted
unsubstituted
plant
salt
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016193311A
Other languages
English (en)
Inventor
関 原明
Genmei Seki
原明 関
香織 佐古
Kaori Sako
香織 佐古
長田 裕之
Hiroyuki Osada
裕之 長田
清水 猛
Takeshi Shimizu
猛 清水
平野 弘之
Hiroyuki Hirano
弘之 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority to JP2016193311A priority Critical patent/JP2018052893A/ja
Publication of JP2018052893A publication Critical patent/JP2018052893A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】植物における塩ストレスのような環境ストレス耐性を向上させる化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物、該化合物を有効成分として含有する植物の環境ストレス耐性向上剤、及び該化合物の製造方法に関する。
Figure 2018052893

【選択図】なし

Description

本発明は、植物の環境ストレス耐性向上活性を有する新規化合物、該化合物を有効成分として含有する植物の環境ストレス耐性向上剤、及び該化合物の製造方法に関する。
塩ストレス、乾燥ストレス及び低温ストレスのような環境ストレスは、植物の成長及び生命維持に重大な制約を与える。環境ストレスは、光合成及び呼吸等にも影響を及ぼすため、作物の品質低下及び収穫量減少等、農業において重大な被害をもたらす。環境ストレス応答に関する研究から、植物においては、様々な環境ストレス応答性遺伝子群が存在し、環境ストレスに対する抵抗性の獲得に関与していることが示唆されている。
塩ストレスは、土壌中の塩類集積によって引き起こされる環境ストレスの一種である。灌漑技術の発達による圃場面積の増大、或いは津波又は高潮による圃場の海水浸漬に伴い、塩ストレスに起因する農業上の被害も増大している。植物における塩ストレスの影響は、浸透圧ストレス及びイオンストレスに分類することができる。浸透圧ストレスは、土壌中の塩類集積によって土壌の浸透圧が上昇し、根における吸水が制限され、結果として細胞レベルで水が欠乏する現象を意味する。イオンストレスは、最も豊富に存在する塩であるNaClによって引き起こされる、酵素活性の低下、及びK+等の無機イオンの吸収阻害等の現象を意味する(非特許文献1)。
植物に対する環境ストレスは、原因となる環境要因を取り除くことが困難であるか、又は多額の費用を要するため、回避することが困難な場合がある。特に、塩ストレスの場合、塩類集積した圃場の除塩が必要となるが、灌漑による除塩を行うためには、対象圃場に用排水設備を準備する必要がある。また、土壌成分によっては、灌漑による除塩を行っても、土壌中の塩濃度が十分に低下しない場合がある。
このような場合、植物自体の環境ストレス耐性を向上させることにより、該環境ストレスによる影響を回避できる可能性がある。植物自体の環境ストレス耐性を向上させる手段として、環境ストレス応答性遺伝子を改変した遺伝子組み換え植物の作出、及び環境ストレス耐性を向上させる化学的又は生物学的調節剤の施用を挙げることができる。
例えば、特許文献1は、5-アミノレブリン酸、その誘導体及びそれらの塩、並びにヘミン類から選ばれる1種又は2種以上の化合物を有効成分とする植物の耐塩性向上剤を記載する。
特許文献2は、一般式(I)で表されるヘテロ環化合物を有効成分として含有することを特徴とする栽培植物用の植物成長調節剤を記載する。当該文献は、前記化合物が植物の耐塩性の増加に使用し得ることを記載する。
特許文献3は、パエニバチルス属に属する細菌若しくはその培養上清を含有してなる、植物の生長促進及び/又は耐塩性向上剤を記載する。
特許文献4は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含有する、植物の耐塩性向上剤を記載する。
特許第2896963号公報 特開2014-88322号公報 特開2013-75881号公報 特開2016-69380号公報
小柴共一ら編, 「植物ホルモンの分子細胞生物学」, 講談社, 2006年, p. 233-246
前記のように、塩ストレスのような環境ストレス耐性を向上させる化学的又は生物学的調節剤が知られている。しかしながら、これら公知の化学的又は生物学的調節剤は、効果及び/又はコストの観点から改良の余地が存在した。
それ故、本発明は、植物における塩ストレスのような環境ストレス耐性を向上させる化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、天然物及び合成化合物を含む化合物バンクの中に、植物の耐塩性を向上させる活性を有する化合物が存在することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I):
Figure 2018052893
[式中、
R1は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキル、又はヒドロキシルであり、
R2は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(2) R2が、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールである、前記実施形態(1)に記載の化合物。
(3) R2が、4-メチルフェニルである、前記実施形態(2)に記載の化合物。
(4) R1が、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又はヒドロキシルである、前記実施形態(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物。
(5) R1が、ピリジニウム-1-イル又はヒドロキシルである、前記実施形態(4)に記載の化合物。
(6) R1が、ピリジニウム-1-イルである、前記実施形態(5)に記載の化合物。
(7) R1が、ピリジニウム-1-イルであり、且つR2が、4-メチルフェニルである、前記実施形態(6)に記載の化合物。
(8) 前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、植物の耐塩性向上剤。
(9) 前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、植物の耐塩性を向上させるための農業化学製剤。
(10) 前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の農業上許容される成分とを含有する、植物の耐塩性を向上させるための農業化学組成物。
(11) 農業上有効な量の前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を、植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することを含む、該植物の耐塩性を向上する方法。
(12) 式(V):
Figure 2018052893
[式中、
R3及びR4は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
で表される化合物を還元して、式(VI):
Figure 2018052893
[式中、
R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
で表される化合物を得る、還元工程;
式(VI)で表される化合物と、式(VII-1)又は(VII-2):
Figure 2018052893
[式中、
R2は、前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の意味を有し、
X1は、ハロゲンである。]
で表される化合物と、式(VIII):
R1-L1 (VIII)
[式中、
L1は、非共有電子対、アルカリ金属又はMg-X2であり、
X2は、ハロゲンである。]
で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、置換工程;
を含む、前記実施形態(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
本発明により、植物における塩ストレスのような環境ストレス耐性を向上させる化合物を提供することが可能となる。
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、野生型のシロイヌナズナ(Col-0)に化合物3を添加した場合の化合物3の濃度と塩ストレス条件下における生存率との関係を示す図である。 図2は、所定量の化合物3で処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を示す図である。 図3は、野生型のシロイヌナズナ(Col-0)に試験化合物を添加した場合のシロイヌナズナ植物体の生存率を示す図である。 図4は、所定量の試験化合物で処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を示す図である。A:化合物4を添加した場合の表現型、B:化合物3を添加した場合の表現型、C:対照として同量のDMSOを添加した場合の表現型。 図5は、所定量のp-トルエンスルホン酸で処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1:新規化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1〜C20アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても20個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-ペンチル等の直鎖又は分枝鎖のC1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-ペンテニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3〜C20シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても20個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3〜C6シクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4〜C6シクロアルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4〜C6シクロアルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド若しくはN+、又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3〜6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7〜C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1〜C5アルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3〜C6シクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6〜C18アリールを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7〜C20アリールアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド若しくはN+、又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリジニウム-1-イル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5〜15員のヘテロアリールを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6〜C15アリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7〜C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5〜15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1〜C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7〜C16芳香族アシルを挙げることができる。
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の前記で説明した1価基によってさらに置換することもできる。
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
本発明において、「環境ストレス」は、対象となる植物の外部環境に起因して、植物が被るストレスを意味する。本発明において、環境ストレスは、1個以上のS-アデノシル-L-メチオニン依存性メチルトランスフェラーゼの活性を向上させることにより、それに対する耐性が増強される任意の環境ストレスを包含する。本発明の対象となる環境ストレスとしては、限定するものではないが、例えば、塩ストレス、乾燥ストレス及び低温ストレスを挙げることができる。環境ストレスは、対象となる植物の好適な生育条件に依存して、様々な外部環境がその要因となる。当業者であれば、対象となる植物に基づき、環境ストレスの要因となる外部環境の具体的な条件を容易に決定することができる。
本発明において、「環境ストレス耐性」は、環境ストレスを被る生育条件下であっても、生育不能(枯死)、生育不良(例えば、植物体の白化若しくは黄化、根長の減少若しくは葉数の減少)、生育速度の低下、又は植物体重量若しくは作物収量の減少のような望ましくない影響を実質的に受けることなく、正常に生育できる形質を意味する。本明細書において、「塩ストレス耐性」を「耐塩性」と記載する場合がある。本発明により、植物の環境ストレス耐性を向上させることにより、通常の植物では生育に望ましくない影響を受ける外部環境においても、植物を正常に生育させることができる。
本発明者らは、天然物及び合成化合物を含む化合物バンクであるRIKEN NP Depo(理化学研究所 環境資源科学研究センター)の中に、植物の耐塩性を向上させる活性を有する新規化合物が存在することを見出した。それ故、本発明の一態様は、式(I):
Figure 2018052893
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。本態様の式(I)で表される化合物を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
式(I)において、R1は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキル、又はヒドロキシルである。R1は、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、又はヒドロキシルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又はヒドロキシルであることがより好ましく、ピリジニウム-1-イル又はヒドロキシルであることがさらに好ましく、ピリジニウム-1-イルであることが特に好ましい。R1が前記特徴を有する場合、本態様の式(I)で表される化合物を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
式(I)において、R2は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。R2は、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールであることがより好ましく、4-メチルフェニルであることがさらに好ましい。R2が前記特徴を有する場合、本態様の式(I)で表される化合物を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基であることがより好ましい。前記1価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基からさらに選択されることができる。
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、ピリジニウム-1-イル又はヒドロキシルであり、且つ
R2が、4-メチルフェニルであり、
より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、ピリジニウム-1-イルであり、且つ
R2が、4-メチルフェニルである。
特に好ましい式(I)で表される化合物は、以下:
1-((2-((トシルオキシ)メチル)-2H-クロメン-3-イル)メチル)ピリジン-1-イウム(化合物3);及び
(2-((トシルオキシ)メチル)-2H-クロメン-3-イル)メタノール(化合物4);
からなる群より選択される。化合物3は、RIKEN NP Depoの中から見出された新規化合物であり、化合物4は、化合物3の類縁体である新規化合物である。
本発明において、式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(IV)、(V)、(VI)、(VII-1)、(VII-2)及び(VIII)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の前記各式で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩の形態である場合、耐塩性のような植物の環境ストレス耐性向上活性及び植物に対する安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物が前記の塩の形態である場合、以下において説明する本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(IV)、(V)、(VI)、(VII-1)、(VII-2)及び(VIII)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1〜6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。式(I)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、耐塩性のような植物の環境ストレス耐性向上活性及び植物に対する安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、以下において説明する本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(IV)、(V)、(VI)、(VII-1)、(VII-2)及び(VIII)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基(例えばヒドロキシル基又はカルボン酸基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記各式で表される化合物の保護形態を、前記各式で表される化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、カルボン酸基の保護基の場合、アルキルエステル(例えばメチル、エチル若しくはイソプロピルエステル)、アリールアルキルエステル(例えばベンジルエステル)、又はアミド(例えばオキサゾリジノン類とのアミド)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。前記各式で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、以下において説明する本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(IV)、(V)、(VI)、(VII-1)、(VII-2)及び(VIII)で表される化合物が1又は複数の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。式(I)で表される化合物又はその塩が互変異性体の形態である場合、耐塩性のような植物の環境ストレス耐性向上活性及び植物に対する安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物又はその塩が互変異性体の形態である場合、以下において説明する本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
また、式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(IV)、(V)、(VI)、(VII-1)、(VII-2)及び(VIII)で表される化合物が1又は複数の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。式(I)で表される化合物又はその塩がエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のような形態である場合、耐塩性のような植物の環境ストレス耐性向上活性及び植物に対する安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物又はその塩がエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のような形態である場合、以下において説明する本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
<2:新規化合物の農業用途>
本発明の別の一態様は、前記で説明した本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、植物の環境ストレス耐性向上剤に関する。前記環境ストレスは、塩ストレス、乾燥ストレス又は低温ストレスであることが好ましく、塩ストレスであることがより好ましい。本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本発明において、「植物の環境ストレス耐性を向上させる」とは、前記で説明した環境ストレスを被る生育条件下の植物集団に本発明を適用することにより、該処理植物集団の60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%が、環境ストレスに耐性を示すことを意味する。植物の環境ストレス耐性は、以下で説明する手段によって評価することができる。
本発明による植物の環境ストレス耐性向上効果は、植物の生育自体に対する効果、例えば、茎葉部若しくは根部の伸張、葉数の増加、植物体重量若しくは作物収量の増加、緑化、又は分蘖の促進のような生育の促進効果を包含してもよく、包含しなくてもよい。例えば、本発明による植物の環境ストレス耐性向上効果は、植物の生育を実質的に促進しつつ、塩ストレスのような環境ストレスに対する植物の耐性を特異的に向上させることを包含する。或いは、本発明による植物の環境ストレス耐性向上効果は、植物の生育を実質的に促進することなく、塩ストレスのような環境ストレスに対する植物の耐性を特異的に向上させることを包含する。いずれの場合も本発明の実施形態に包含される。
本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤において、有効成分である式(I)で表される化合物に包含される特定の化合物は、RIKEN NP Depoに登録されている。しかしながら、式(I)で表される化合物の化学構造及び生理作用は、これまでに明らかにされていなかった。本発明者らは、式(I)で表される化合物を植物に施用することにより、塩ストレスのような環境ストレスに対する該植物の耐性を向上させることができることを見出した。それ故、式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する本態様の環境ストレス耐性向上剤を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を顕著に向上させることができる。
前記で説明したように、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物、或いは該化合物を有効成分として含有する植物の環境ストレス耐性向上剤を植物に施用することにより、該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。それ故、本発明の別の一態様は、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する農業化学製剤又は農薬に関する。本発明の別の一態様はまた、農業上有効な量の本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を、植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することを含む、該植物の環境ストレス耐性を向上する方法に関する。
本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬は、植物の環境ストレス耐性を向上させるために使用することができる。前記環境ストレスは、塩ストレス、乾燥ストレス又は低温ストレスであることが好ましく、塩ストレスであることがより好ましい。本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本発明において、植物の環境ストレス耐性は、限定するものではないが、以下の手段によって評価することができる。例えば、塩ストレス耐性は、対象となる植物を、適当な濃度で塩を添加した培地又は土壌中で、該植物にとって好適な状態の生育温度及び生育期間(例えば、シロイヌナズナの場合、気温22℃、2〜3週間)の条件で生育させ、その表現型を評価することにより、決定すればよい。乾燥ストレス耐性は、対象となる植物を、該植物にとって乾燥状態の生育温度、生育湿度及び生育期間(例えば、シロイヌナズナの場合、気温22℃、湿度50%以下、2〜3週間)の条件で生育させ、その表現型を評価することにより、決定すればよい。また、凍結ストレス耐性は、対象となる植物を、凍らない程度の低温で馴化させた後、-2℃以下の温度条件下で凍結処理を施し、その後、該植物にとって好適な状態の生育温度及び生育期間(例えば、シロイヌナズナの場合、気温22℃、1〜2週間)の条件で生育させ、その表現型を評価することにより、決定すればよい。
本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬は、例えば、固体(例えば粉末若しくは粒状物)、液体(例えば溶液若しくは懸濁液)、又は気体のような任意の形態で使用することができる。本態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬がいずれの形態であっても、該環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を植物に施用することにより、耐塩性のような該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本態様の農業化学製剤又は農薬において、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を単独で使用してもよく、1種以上の農業上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の農業化学製剤又は農薬は、所望の施用方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の農業化学製剤又は農薬はまた、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の農業上許容される成分とを含有する農業化学組成物の形態で提供されることもできる。本態様の農業化学組成物に使用される農業上許容される成分としては、担体、賦形剤、結合剤、溶解補助剤、安定剤、増粘剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、油性液、緩衝剤、殺菌剤、不凍剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、及びさらなる活性成分等を挙げることができる。農業上許容される担体としては、水、ケロセン若しくはディーゼル油のような鉱油画分、植物若しくは動物由来の油、環状若しくは芳香族炭化水素(例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類若しくはそれらの誘導体、又はアルキル化ベンゼン類若しくはそれらの誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はシクロヘキサノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、若しくはアミン(例えばN-メチルピロリドン)、又はこれらの混合物のような農業上許容される液体担体が好ましい。
本態様の農業化学組成物が1種以上のさらなる活性成分を含有する場合、該さらなる活性成分としては、当該技術分野で公知の様々な環境ストレス耐性向上活性を有する化合物を適用することができる。本態様の農業化学組成物が前記のような1種以上のさらなる活性成分を含有することにより、耐塩性のような植物の環境ストレス耐性をさらに向上させることができる。
本発明の対象となる植物は、特に限定されない。被子植物及び裸子植物を含む様々な植物に対して、本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を施用することができる。本発明の施用対象となる植物としては、限定するものではないが、例えば、シロイヌナズナ及びアブラナのようなアブラナ科植物、ダイズのようなマメ科植物、イネ、トウモロコシ、コムギ及びオオムギのようなイネ科植物、アサガオのようなヒルガオ科植物、ポプラのようなヤナギ科植物、トウゴマ、キャッサバ及びジャトロファのようなトウダイグサ科植物、ブドウのようなブドウ科植物、並びにトマトのようなナス科植物を挙げることができる。前記植物は、該植物自体だけでなく、組織、器官(例えば、根茎、塊根、球茎若しくはランナー等の栄養繁殖器官)、培養細胞及び/又はカルス等の該植物の部分であってもよい。前記のような植物に本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を施用することにより、該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬は、発芽前又は発芽後を含む任意の生育段階にある前記植物又はその部分(例えば、種子、幼苗又は成熟植物体)に施用することができる。また、本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬は、前記植物自体だけでなく、そこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することができる。前記のような生育段階にある植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を施用することにより、該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
一態様において、本発明の方法は、所望により、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に加えて、さらなる薬剤を植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、さらなる薬剤とを、植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用する順序は特に限定されない。例えば、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物とさらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用してもよく、又は逐次的に施用してもよい。本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に加えて、さらなる薬剤を植物等に施用することにより、該植物の環境ストレス耐性をより顕著に向上させることができる。
本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬の剤形は、特に限定されない。当該技術分野で通常使用される、乳剤、水和剤、液剤、水溶剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤又は粒剤等の剤形に製剤することができる。本発明の各態様において、有効成分として含有される本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の含有量は、例えば、施用時の体積1 Lあたり0.01〜500 mgの範囲であり、通常は、施用時の体積1 Lあたり0.01〜200 mgの範囲であり、典型的には、施用時の体積1 Lあたり0.1〜200 mgの範囲であり、特に、施用時の体積1 Lあたり1〜200 mgの範囲である。
本明細書の開示に基づき、本発明の一態様の植物の環境ストレス耐性向上剤、農業化学製剤又は農薬を植物に施用することにより、該植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。
<3:新規化合物の製造方法>
本発明の別の一態様は、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を製造する方法に関する。本態様の方法は、還元工程及び置換工程を含む。本態様の方法はまた、所望により環化工程を含むことができる。以下、各工程について、詳細に説明する。
[3-1:環化工程]
本態様の方法は、所望により、2-ヒドロキシベンズアルデヒド:
Figure 2018052893
と、式(IV):
Figure 2018052893
で表される化合物とを反応させて、式(V):
Figure 2018052893
で表される化合物を得る、環化工程を含むことできる。
式(IV)及び(V)において、R3及びR4は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。R3及びR4は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、又は置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであることが好ましく、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルであることがより好ましく、水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルであることがさらに好ましく、メチルであることが特に好ましい。
本工程は、例えば、PPh3等の反応剤を用いて実施することができる。反応剤は、PPh3が好ましい。
本工程の反応条件は、前記の反応剤を使用する公知の反応条件、例えばTetrahedron Lett., 第51巻, p. 1873, 2010年等に記載の反応条件に基づき、当業者が適宜設定することができる。本工程の反応は、例えば、2-ヒドロキシベンズアルデヒドと式(IV)で表される化合物とを、前記の反応剤の存在下、トルエン、ジクロロメタン又はクロロホルム等の溶媒中で反応させることにより、実施することができる。この場合、反応温度は、20〜100℃の範囲であることが好ましい。例えば、-50〜0℃の範囲で原料及び反応剤を混合し、その後20〜100℃の範囲、好ましくは20〜50℃の範囲で反応させることができる。反応時間は、12時間以上であることが好ましく、12〜48時間の範囲であることがより好ましい。前記条件で本工程を実施することにより、式(V)で表される化合物を得ることができる。
[3-2:還元工程]
本態様の方法は、式(V)で表される化合物を還元して、式(VI):
Figure 2018052893
で表される化合物を得る、還元工程を含む。
本態様の方法において、式(V)で表される化合物は、前記で説明した環化工程を実施することにより、準備することができる。或いは、本態様の方法において、式(V)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよい。いずれの場合も、本態様の方法の実施形態に包含される。
式(VI)において、R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、又は置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであることが好ましく、いずれも水素であることがより好ましい。
本工程の還元反応は、例えば、LiAlH4又は水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)等の還元剤を用いて実施することができる。還元剤は、LiAlH4が好ましい。
本工程の反応は、例えば、式(V)で表される化合物を、前記の還元剤の存在下、テトラヒドロフラン(THF)又はジエチルエーテル等の溶媒中で反応させることにより、実施することができる。この場合、反応温度は、0℃以上であることが好ましく、0〜30℃の範囲であることがより好ましい。反応時間は1〜12時間の範囲であることが好ましく、1〜6時間の範囲であることがより好ましい。前記条件で本工程を実施することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。
[3-3:置換工程]
本態様の方法は、式(VI)で表される化合物と、式(VII-1)又は(VII-2):
Figure 2018052893
で表される化合物と、式(VIII):
R1-L1 (VIII)
で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、置換工程を含む。
式(VII-1)及び(VII-2)において、R2は、前記と同義である。
式(VII-1)において、X1は、ハロゲンである。X1は、Cl又はBrが好ましく、Clがより好ましい。
式(VIII)において、L1は、非共有電子対、アルカリ金属又はMg-X2である。例えば、R1が、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール(例えばピリジニウム-1-イル)の場合、L1は、ヘテロ原子(例えばN)の非共有電子対であることが好ましい。この場合、式(VIII)で表される化合物は、前記基に対応する、置換若しくは非置換の3〜6員の複素環式化合物又は置換若しくは非置換の5〜15員の複素環式芳香族化合物であり、ピリジンであることが好ましい。
式(VIII)において、X2は、ハロゲンである。X2は、Cl又はBrが好ましく、Brがより好ましい。
例えば、R1が置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルの場合、L1は、アルカリ金属(例えばLi)又はMg-X2であることが好ましい。この場合、式(VIII)で表される化合物は、前記基に対応する、有機金属化合物(例えば有機リチウム化合物)、又はグリニヤール試薬としても知られる化合物である。この場合、式(VIII)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、有機金属化合物又はグリニヤール試薬の調製方法として当該技術分野で公知の反応条件に基づき調製してもよい。
式(VIII)で表される化合物が、前記基に対応する、置換若しくは非置換の3〜6員の複素環式化合物又は置換若しくは非置換の5〜15員の複素環式芳香族化合物である場合、本工程の反応は、例えば、式(VI)で表される化合物と、式(VII-1)又は(VII-2)で表される化合物と、式(VIII)で表される化合物とを、1,2-ジクロロエタン又はジクロロメタン等の溶媒中で反応させることにより、実施することができる。この場合、反応温度は、室温以上であることが好ましく、使用する溶媒の環流温度であることがより好ましい。反応時間は、1〜12時間の範囲であることが好ましく、1〜6時間の範囲であることがより好ましい。或いは、式(VIII)で表される化合物が、前記基に対応する、有機金属化合物(例えば有機リチウム化合物)、又はグリニヤール試薬である場合、本工程の反応は、有機金属化合物(例えば有機リチウム化合物)の反応又はグリニヤール反応の公知の反応条件に基づき、当業者が適宜設定することができる。前記条件で本工程を実施することにより、式(I)で表される化合物を得ることができる。
式(VIII)で表される化合物が、前記基に対応する、置換若しくは非置換の3〜6員の複素環式化合物又は置換若しくは非置換の5〜15員の複素環式芳香族化合物である場合、本工程によって得られる式(I)で表される化合物は、R1が、通常は、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又はヒドロキシルであり、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又はヒドロキシルであることが好ましく、ピリジニウム-1-イル又はヒドロキシルであることがより好ましい。R1がピリジニウム-1-イルである場合、式(I)で表される化合物は、通常は、前記で説明した無機酸又は有機酸アニオンとの塩、例えばp-トルエンスルホン酸との塩の形態で存在する。
式(VIII)で表される化合物が、前記基に対応する、有機金属化合物(例えば有機リチウム化合物)、又はグリニヤール試薬である場合、本工程によって得られる式(I)で表される化合物は、R1が、通常は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルであり、置換若しくは非置換のC6〜C18アリールであることが好ましく、フェニルであることがより好ましい。
本態様に係る方法により、本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を製造することができる。それ故、本態様に係る方法により、植物の環境ストレス耐性を向上させることができる本発明の一態様に係る式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を、高純度で大量に提供することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:化合物の合成>
[I-1:ジメチル2H-クロメン-2,3-ジカルボキシレート(1)]
Figure 2018052893
ジメチル アセチレンジカルボキシレート(5.06 g, 35.0 mmol)のジクロロメタン溶液(10 mL)を、N2雰囲気下、-40℃で、攪拌している2-ヒドロキシベンズアルデヒド(2.30 g, 18.8 mmol)及びトリフェニルホスフィン(PPh3)(8.88 g, 33.8 mmol)のジクロロメタン溶液(10 mL)にゆっくりと加えた。混合物を40℃に温め、次いで混合物を24時間攪拌した。室温まで冷却後、有機層を、飽和K2CO3(10 mL)及び飽和食塩水で順番に洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、濃縮した。得られた油状物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン:EtOAc = 10 : 1)で精製することにより、ジメチル2H-クロメン-2,3-ジカルボキシレート1を無色固体(1.56 g, 33%)として得た。
化合物1 : 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.70 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 5.82 (s, 1H), 6.97 (ddd, J = 9.0, 7.4, 1.1 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 7.4, 1.1 Hz, 1H), 7.23 (ddd, J = 9.0, 7.4, 1.1 Hz, 1H), 7.54 (s, 1H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 52.2, 52.6, 71.5, 116.5, 119.6, 120.7, 122.3, 129.2, 132.6, 133.8, 153.8, 164.7, 169.5.
[I-2:(2H-クロメン-2,3-ジイル)ジメタノール(2)]
Figure 2018052893
ジエステル1(1.00 g, 3.62 mmol)の乾燥THF溶液(10 mL)を、N2雰囲気下、0℃で、攪拌しているLiAlH4(481 mg, 12.7 mmol)のTHF懸濁液(10 mL)に加えた。混合物を0℃で4時間攪拌した後、H2O(0.5 mL)、5N NaOH水溶液(0.5 mL)及びH2O(1.5 mL)の連続的な滴下によって反応を停止させた。混合物を室温まで温め、沈殿を濾過した。濾液を濃縮して、オレンジ色の油状物を得た。この油状物を、CHCl3(80 mL)及びH2O(20 mL)で希釈した。層分離後、有機層を、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン:EtOAc = 1 : 1)で精製することにより、アルコール2を淡黄色固体(480 mg, 62%)として得た。
化合物2 : 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.81 (dd, J = 11.5, 4.0 Hz, 2H), 3.87 (dd, J = 11.5, 5.5 Hz, 2H), 4.23 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.24 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.94 (dd, J = 5.5, 4.0 Hz, 1H), 6.49 (s, 1H), 6.84 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H) 7.00 (dd, J = 7.0, 1.5 Hz, 1H), 7.13 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 63.3, 63.7, 77.3, 115.8, 121.4, 121.6, 123.0, 126.9, 129.5, 132.8, 152.0.
[I-3:1-((2-((トシルオキシ)メチル)-2H-クロメン-3-イル)メチル)ピリジン-1-イウム(3)]
Figure 2018052893
p-トルエンスルホニルクロリド(159.7 mg, 0.84 mmol)を、N2雰囲気下、攪拌しているアルコール2(51.4 mg, 0.27 mmol)及びピリジン(109 μL, 1.35 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(1 ml)に加えた。混合物を、還流下で5時間加熱した。室温まで冷却後、混合物を濃縮して、黄色の油状物を得た。この油状物を、EtOAc(1 mL)とともに磨砕し、分離した固体を濾過してEtOAc(3 mL)で洗浄し、淡黄色の固体を得た。この固体をCHCl3(20 mL)に溶解して、H2O(5 × 3 mL)及び飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、濃縮し、ピリジニウム塩3を無色の固体(12.4 mg, 8%)として得た。濾液をH2O(5 × 3 mL)及び飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン:EtOAc = 2 : 1)で精製することにより、トシレート4を淡黄色の油状物(1.6 mg, 2%)として得た。
化合物3 : 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.31 (s, 1H), 2.40 (s, 3H), 4.14 (dd, J = 11.5, 3.0 Hz, 1H), 4.22 (dd, J = 11.0, 5.5 Hz, 1H), 4.24 (bs, 2H), 5.15 (dd, J = 5.5, 3.0 Hz, 1H), 5.85 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 6.02 (d, J = 14.5 Hz), 6.58 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 8.0, 8.0 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.00 (dd, J = 7.0, 1.1 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 8.0, 8.0 Hz, 3H), 7.24 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 8.00 (dd, J = 7.5, 5.5 Hz, 2H), 8.40 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 9.48 (d, J = 5.5 Hz, 2H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 21.2, 21.6, 62.0, 69.2, 72.8, 116.1, 119.8, 121.9, 124.0, 125.8, 127.9, 128.0, 128.3, 128.8, 129.9, 130.4, 130.9, 132.1, 139.7, 143.1, 145.1, 145.3, 145.6, 151.4.
HRMS(ESI): m/z C23H22NO4Sに対する計算値 [M]+408.1270, 測定値 408.1259.
化合物4 : 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.43 (s, 1H), 4.18 (dd, J = 10.5, 3.5 Hz, 1H), 4.23 (dd, J = 10.5, 6.0 Hz, 1H), 5.08 (dd, J = 6.0, 3.5 Hz, 1H), 6.48 (s, 1H), 6.69 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 8.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.08 (ddd, J = 8.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 21.6, 63.7, 69.2, 73.7, 116.3, 120.9, 121.6, 123.2, 126.8, 127.9, 129.7, 129.8, 130.6, 132.8, 144.8, 151.2.
<II:本発明化合物によるシロイヌナズナの耐塩性向上>
野生型のシロイヌナズナ(Col-0)の種子を滅菌した。滅菌処理された24穴マイクロプレートの各ウェルに、1 mlの1/2 MS液体培地を添加した。滅菌処理されたシロイヌナズナ種子を、1ウェルあたり3粒ずつ、ウェル中の1/2 MS液体培地に浮かべるように播種した。播種後の種子を、4℃、暗所にて2日間低温処理した。その後、マイクロプレートを、22℃に設定されたインキュベーター内に移動し、シロイヌナズナを22℃で4日間生育させた。所定のウェルに、所定量の試験化合物を添加して、シロイヌナズナをさらに22℃で24時間生育させた。その後、所定のウェルに、100 mM NaClを添加して、シロイヌナズナを22℃で所定の期間生育させた。対照区として、試験化合物と同量のDMSOを添加して、同様の処理を行った。肉眼又は実体顕微鏡で、生育させたシロイヌナズナの表現型を観察した。NaCl非添加区のシロイヌナズナ植物体と比較して、子葉若しくは本葉の黄化又は白化が観察された植物体を、塩ストレスによる影響を受けた植物体と判定した。各試験区において、植物体の総数(3×4ウェル=12植物体)に対する塩ストレスによる影響を受けた植物体の数の百分率を、塩ストレス条件下における生存率(%)として算出した。各試験区について、それぞれ2回反復試験を行い、その平均値及び標準誤差を算出した。化合物3の濃度と塩ストレス条件下における生存率との関係を図1に示す。また、所定量の化合物3処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を図2に示す。
図1に示すように、試験化合物非処理のシロイヌナズナ植物体を塩ストレス条件下で4日間生育させると、生存率は約10%まで低下した。この場合において、5 μM以上、特に5〜40 μMの化合物3で処理したシロイヌナズナ植物体を塩ストレス条件下で4日間生育させると、生存率は30%以上、特に30〜88%の範囲まで向上した。図2に示すように、4日間の塩ストレス条件下での生育において、化合物3は、5 μMの濃度で、塩ストレスによる子葉若しくは本葉の白化又は黄化を部分的に抑制し、20 μMの濃度で、塩ストレスによる子葉若しくは本葉の白化又は黄化を略完全に抑制した。また、NaCl非添加の場合、いずれの濃度で化合物3を添加した処理区のシロイヌナズナ植物体も、対照区(すなわち化合物3の非添加区)の植物体と実質的に同一の正常な表現型を示した。それ故、化合物3は、シロイヌナズナの生育自体に影響を与えたのではなく、シロイヌナズナの耐塩性を特異的に向上させたと推測される。
各5 μg/mlの試験化合物で処理した場合のシロイヌナズナ植物体の生存率を図3に示す。また、各5 μg/mlの試験化合物で処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を図4に示す。図中、Aは、化合物4を添加した場合の表現型を、Bは、化合物3を添加した場合の表現型を、Cは、対照として同量のDMSOを添加した場合の表現型を、それぞれ示す。図3に示すように、試験化合物非処理の対照区のシロイヌナズナ植物体を塩ストレス条件下で4日間生育させると、生存率は約20%まで低下した。この場合において、5 μg/mlの化合物3又は4で処理したシロイヌナズナ植物体を塩ストレス条件下で4日間生育させると、化合物3で処理した場合の生存率は100%まで、化合物4で処理した場合の生存率は約60%まで、それぞれ向上した。図4に示すように、4日間の塩ストレス条件下での生育において、化合物3及び4は、5 μg/mlの濃度で、塩ストレスによる子葉若しくは本葉の白化又は黄化を略完全に抑制した。また、NaCl非添加の場合、いずれの濃度で化合物3又は4を添加した処理区のシロイヌナズナ植物体も、対照区(すなわち化合物3及び4の非添加区)の植物体と実質的に同一の正常な表現型を示した。それ故、化合物3及び4は、シロイヌナズナの生育自体に影響を与えたのではなく、シロイヌナズナの耐塩性を特異的に向上させたと推測される。
0.1、0.5、1、5、10、50及び100 μM、並びに1,000、5,000及び10,000 μM(1、5及び10 mM)の濃度のp-トルエンスルホン酸で処理後、NaCl存在下で4日間生育後のシロイヌナズナ植物体の表現型を図5に示す。図5に示すように、1〜10 mMの濃度のp-トルエンスルホン酸で処理した場合、NaCl添加の植物体だけでなく、NaCl非添加の植物体も枯死した。また、0.1〜100 μMの濃度のp-トルエンスルホン酸で処理した場合、対照区(すなわちp-トルエンスルホン酸の非添加区)の植物体と実質的に同一の表現型を示した。前記結果から、p-トルエンスルホン酸は、低濃度(0.1〜100 μM)の添加ではシロイヌナズナ植物体の生育に実質的な影響を与えず、高濃度(1〜10 mM)の添加ではシロイヌナズナ植物体の生育を抑制することが明らかとなった。それ故、p-トルエンスルホン酸は、シロイヌナズナ植物体の耐塩性に実質的な影響を与えないと推測される。

Claims (12)

  1. 式(I):
    Figure 2018052893
    [式中、
    R1は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキル、又はヒドロキシルであり、
    R2は、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
  2. R2が、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  3. R2が、4-メチルフェニルである、請求項2に記載の化合物。
  4. R1が、置換若しくは非置換のC6〜C18アリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又はヒドロキシルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. R1が、ピリジニウム-1-イル又はヒドロキシルである、請求項4に記載の化合物。
  6. R1が、ピリジニウム-1-イルである、請求項5に記載の化合物。
  7. R1が、ピリジニウム-1-イルであり、且つR2が、4-メチルフェニルである、請求項6に記載の化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、植物の耐塩性向上剤。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、植物の耐塩性を向上させるための農業化学製剤。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の農業上許容される成分とを含有する、植物の耐塩性を向上させるための農業化学組成物。
  11. 農業上有効な量の請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を、植物又はそこから該植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することを含む、該植物の耐塩性を向上する方法。
  12. 式(V):
    Figure 2018052893
    [式中、
    R3及びR4は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
    で表される化合物を還元して、式(VI):
    Figure 2018052893
    [式中、
    R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C20アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C20シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C20シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C20シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C20アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C20アリール、置換若しくは非置換のC5〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C20アルキルである。]
    で表される化合物を得る、還元工程;
    式(VI)で表される化合物と、式(VII-1)又は(VII-2):
    Figure 2018052893
    [式中、
    R2は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の意味を有し、
    X1は、ハロゲンである。]
    で表される化合物と、式(VIII):
    R1-L1 (VIII)
    [式中、
    L1は、非共有電子対、アルカリ金属又はMg-X2であり、
    X2は、ハロゲンである。]
    で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、置換工程;
    を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
JP2016193311A 2016-09-30 2016-09-30 植物の耐塩性向上剤 Pending JP2018052893A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193311A JP2018052893A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 植物の耐塩性向上剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193311A JP2018052893A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 植物の耐塩性向上剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018052893A true JP2018052893A (ja) 2018-04-05

Family

ID=61835241

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016193311A Pending JP2018052893A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 植物の耐塩性向上剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018052893A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109970497A (zh) * 2019-04-04 2019-07-05 成都大学 一种用于麦类作物的抗盐胁迫剂及其制备方法
WO2020054878A1 (ja) * 2018-09-14 2020-03-19 積水化学工業株式会社 植物の耐塩性向上剤

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020054878A1 (ja) * 2018-09-14 2020-03-19 積水化学工業株式会社 植物の耐塩性向上剤
JPWO2020054878A1 (ja) * 2018-09-14 2021-09-16 積水化学工業株式会社 植物の耐塩性向上剤
JP7325429B2 (ja) 2018-09-14 2023-08-14 積水化学工業株式会社 植物の耐塩性向上剤
CN109970497A (zh) * 2019-04-04 2019-07-05 成都大学 一种用于麦类作物的抗盐胁迫剂及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2015058444A1 (zh) 含二苯醚的吡唑酰胺类化合物及其应用和农药组合物
JP2018052893A (ja) 植物の耐塩性向上剤
FR2597866A1 (fr) Derives du pyrazole, procede de preparation de ceux-ci et fongicide les contenant.
CN105130962B (zh) 一种四嗪吡唑类杀螨剂
CN110447647B (zh) 一种植物生长调节剂及其应用
JP6623015B2 (ja) 植物の耐塩性向上剤
CN111747943A (zh) 3-(2-呋喃亚甲基)喹啉酮类化合物及其制备方法和应用
JP5866710B2 (ja) 植物の乾燥耐性付与方法及びそれに用いられる植物乾燥耐性付与剤
WO2003031389A1 (fr) Inhibiteur de la biosynthese de l'acide abscissique
CN109134327B (zh) 一种醚类化合物在促进植物生长方面的应用
JP6037277B2 (ja) オーキシン生合成阻害剤
CN108863876A (zh) 一种具有赤霉素功能的硫脲类化合物及制备方法与应用
JP4456565B2 (ja) アジン誘導体、農園芸用殺菌剤、およびその製造方法
CN110963931B (zh) 2-(2-甲氧基-5-硝基-苯氧基)乙基三乙基卤化胺及其制备方法和应用
CN110698354B (zh) 2-(3,4-二氯-苯氧基)乙基三乙基卤化胺及其制备方法和应用
CN110642777B (zh) N-[2-(3,4-二氯-苯氧基)乙基]卤化吡啶及其制备方法和应用
Hayes et al. Some Furan Antihistaminic Agents
JP2015089886A (ja) 嵩高い置換基を有する化合物を用いた植物成長調整剤
CN110698389B (zh) N-[2-(2-甲氧基-5-硝基-苯氧基)乙基]卤化吡啶及其制备方法和应用
JP6120272B2 (ja) ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤
CN110724136B (zh) 酰胺类化合物及其制备方法和应用
JP7437783B2 (ja) イネいもち病防除剤
CN112939938B (zh) 2,4,6-三取代吡啶类化合物及其在农药中的用途
US4011230A (en) Dithiocarbamate ester bactericides and fungicides
CN106749199A (zh) 赤霉酸衍生物及其制备方法和应用