JP2018052505A - インク補給容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】中栓の開栓時や、インナーシールの引き剥がし時に、インクの液飛びを防止し、開栓や引き剥がしのし易さを向上させるインク補給容器を提供する。
【解決手段】インク補給容器15は、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、側壁部22或いは底面部23に結合された開栓用の把持部材24と、を有する中栓20を備え、底面部23にはシールブレーク用のスコア26が形成されている。また、底面部23にはシールブレーク用の突起27が形成され、シールブレーク用の突起27の付け根28にはシールブレーク用のスコア26が形成されている。
【選択図】図4
【解決手段】インク補給容器15は、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、側壁部22或いは底面部23に結合された開栓用の把持部材24と、を有する中栓20を備え、底面部23にはシールブレーク用のスコア26が形成されている。また、底面部23にはシールブレーク用の突起27が形成され、シールブレーク用の突起27の付け根28にはシールブレーク用のスコア26が形成されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、インク補給容器に関する。
従来、インク噴射装置の一例として、記録ヘッドから記録用紙などの記録媒体に向けてインクを吐出することによって、記録媒体にインクで印刷を行うことができるインクジェットプリンターが知られている。このようなインクジェットプリンターには、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するタンクに、利用者がインクを補給することができるものがある。そして、特許文献1には、タンクへのインクの注入に適したボトル(インク補給容器)が開示されている。
インク補給容器は、流通時の密封性を向上させる目的で、中栓付きキャップが広く使用されている。この中栓付きキャップには、中栓の開栓性を向上させるために中栓の内側に把持部材を設けたものもある。
また、インクの劣化を防止する目的で、インク補給容器の開口部にシール材を貼り付け、インク補給容器内部を封緘して気密にしている構造のものもある。この構造では、シール材を容器の開口部の外径と同寸に裁断し、開口部に接着したときに開口部の外縁からシール材がはみ出ることがないようにしたものや、開口部の外径と同寸に裁断すると共に、周縁の一部にシール剥がし用の舌片(つまみ部)を延出させたものなどが知られている。
なお、シール剥がし用の舌片が設けられている場合、その大きさは指先で持つには十分な大きさとは言い難いものが大半である。その理由として、舌片の形状と大きさは、貼り付けたシール部材の上にキャップをする際にねじ山に干渉する原因となり、また、キャップをしない場合は、搬送の際に引っかかる原因となるため、これを避けるために止むを得なかったことによる。
なお、シール剥がし用の舌片が設けられている場合、その大きさは指先で持つには十分な大きさとは言い難いものが大半である。その理由として、舌片の形状と大きさは、貼り付けたシール部材の上にキャップをする際にねじ山に干渉する原因となり、また、キャップをしない場合は、搬送の際に引っかかる原因となるため、これを避けるために止むを得なかったことによる。
中栓付きキャップを用いるインク補給容器では、中栓をキャップ内にセットして打栓を行えるという利点があるが、中栓の開栓が必ずしも容易ではなく、しかも開栓に際して、インクの液飛びが発生する等の問題がある。すなわち、中栓付きキャップを用いるインク補給容器では、中栓の開栓に際して、中栓に結合しているリング等の把持部材を指で把持し、これを引き上げることにより開栓を行うが、このタイプの開栓方式では、シールブレークと同時に開栓が進行するため、液面の変化や容器の内容積の変化が急激に進行して、インクが容器外に飛び出るという現象が発生し易い。また、密封信頼性のある中栓では、中栓の開栓のし易さも問題であり、前述した従来技術にみられる、リングと中栓とを連結片で接続した中栓では、連結片の部分で破断が生じ、開栓操作が失敗するという事態も生じている。
これにより、中栓付きキャップを用いるインク補給容器では、把持部材による中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として、開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消される中栓を備えるインク補給容器が要望されている。
シール材を開口部に貼り付けるインク補給容器では、シール材を容器の開口部の外径と同寸に裁断し、シール材が開口部の外縁からはみ出ることがないようにしたインナーシールの場合、つまみ部がまったくないため、作業者はシールの開封に際して先鋭な部材などで突き刺して破った後、引き剥がすようにしていた。しかし、このような方法で引き剥がした場合、剥がし残りが出やすく、長期間の使用の間には、この剥がし残りの部分にインクが付着固化して品質を損なう要因にもなり、使い勝手のよいものではなかった。また、シール材を開口部の外径と同寸に裁断するとともに、周縁の一部にシール剥がし用の舌片を延出したインナーシールの場合、舌片をつまんで引き剥がす際、舌片部分のみが引きちぎれてしまい、シールを引き剥がすことができないことがあった。
更に、上記いずれの方法の場合においても、製造者は、シール強度(貼り付け強度)をできるだけ高くし、容器の密封性が不完全になることを避ける傾向にある。しかしながら、シール強度を高くすると剥がしにくくなり、逆にシール強度を低くすると剥がし易くはなるが、密封性の保持が不安になるという、相反する性質を有する。このため、密封性を高度に維持しながら同時に剥がし易いインナーシールを得ることはなかなか困難であった。
これにより、シール材を開口部に貼り付けるインク補給容器では、簡単かつ確実にシールを全面剥離することができるインナーシールを備えるインク補給容器が要望されている。
特許文献1のボトルも含め、上述したように、インク補給容器の中栓の開栓時やインナーシールの引き剥がし時に、容器内の充填されたインクが開口部から飛び出し易いという課題があった。また、開栓のし易さや、引き剥がしのし易さにも改善の余地があるという課題があった。
従って、中栓の開栓時や、インナーシールの引き剥がし時に、インクの液飛びを防止し、開栓や引き剥がしのし易さを向上させるインク補給容器が要望されていた。
従って、中栓の開栓時や、インナーシールの引き剥がし時に、インクの液飛びを防止し、開栓や引き剥がしのし易さを向上させるインク補給容器が要望されていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、中栓の開栓時や、インナーシールの引き剥がし時に、インクの液飛びを防止し、開栓や引き剥がしのし易さを向上させるインク補給容器を提供することを目的とする。この目的を達成するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るインク補給容器は、容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、側壁部或いは底面部に結合された開栓用把持部材と、を有する中栓を備え、底面部にはシールブレーク用スコアが形成されていることを特徴とする。
本適用例のインク補給容器によれば、中栓の開栓時に、開栓用把持部材を指で把持して引き上げることで、底面部に形成されるシールブレーク用スコアにより、開栓に先立ってスコア切断によるシールブレークが行われ、インク補給容器内の内圧と外圧とを等しくして、開栓時における液面の変化やインク補給容器内の容積の変化を防止し、インクが容器外に飛び出る現象、いわゆるインクの液飛びを回避することができる。また、そのまま開栓用把持部材を引き上げることで容易に開栓することができ、開栓のし易さを向上させることができる。
[適用例2]上記適用例に記載のインク補給容器は、底面部にシールブレーク用突起が形成され、シールブレーク用突起の付け根にシールブレーク用スコアが形成されることが好ましい。
本適用例のインク補給容器によれば、シールブレーク用突起を倒すことでシールブレーク用スコアが破断する。そして、シールブレーク用スコアの破断は、底面部のシールブレーク用突起が形成される部分で行われる。一方、開栓は、側壁部に近い底面部の端を支点として行われるため、シールブレーク用スコアの破断が中栓の開栓性に何ら悪影響を与えないという利点がある。
[適用例3]上記適用例に記載のインク補給容器は、底面部には開栓用把持部材が結合部を介して設けられ、結合部の付け根に連なるようにシールブレーク用スコアが形成されることが好ましい。
本適用例のインク補給容器によれば、開栓用把持部材を傾けてシールブレーク用スコアを破断することで、インクの液飛びを回避することができ、そのまま開栓用把持部材を引き上げることで容易に開栓することができる。
[適用例4]上記適用例に記載のインク補給容器は、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、蓋体と容器口部の開口端面との間で挟持される合成樹脂製の中栓と、を有し、蓋体には、開閉可能な弁機構が設けられていることが好ましい。
本適用例のインク補給容器によれば、蓋体に開閉可能な弁機構が設けられることにより、弁機構を開放することで容器内のインクをタンクに補給することができ、また、弁機構を閉塞することで容器内のインクが外部に漏れだすことを防止することができる。容器内のインクをタンクに注入する場合や、保管する場合において極めて効果的である。
[適用例5]上記適用例に記載のインク補給容器において、中栓は、フランジ部外周に薄肉周縁部を備え、蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、螺条よりも上方であって且つ水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、水平フランジ部の内面には、蓋体を容器口部に装着して螺子固定した時に、薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることが好ましい。
本適用例のインク補給容器によれば、中栓を蓋体と共に同時に容器口部に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓を開栓する際には、それに先だって蓋体のみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
[適用例6]本適用例に係るインク補給容器は、容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、開栓用把持部材と、開栓用把持部材の側壁部或いは側壁部近傍の底面部における結合部と、を有する中栓を備え、側壁部は、周状に分布した相対的に厚肉の部分と相対的に薄肉の部分とを有し、薄肉部分は、側壁部の結合部に隣接する側或いは底面部の結合部に最も近い側壁部分の側に配置され、且つ厚肉部分は、薄肉部分の反対側に配置されていることを特徴とする。
本適用例のインク補給容器によれば、側壁部に周状に分布した薄肉部分が、側壁部の結合部に隣接する側或いは底面部の結合部に最も近い側壁部分の側に配置される。これにより、中栓の開栓に際し、常に中栓のシールブレークが優先して行われ、その後開栓、即ち中栓の取り外しが進行するので、開栓に際してインクの液飛びが発生するのが完全に抑制され、しかも中栓の容器からの取り外し開始点が薄肉部分に設定されるため、開栓操作も至って容易且つ確実に行われる。
[適用例7]本適用例に係るインク補給容器は、容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、を有する中栓を備え、弧状の開栓用把持部材が側壁部に一対の離隔した内側が滑らかな連結部を介して一体に設けられ、且つ開栓用把持部材は、連結部間の周の内、長い方の周の側に延びていることを特徴とする。
本適用例のインク補給容器によれば、中栓の側壁部に開栓用把持部材を特定の関係に設けることにより、開栓用把持部材による中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消される。また、中栓を容器蓋と共に同時に容器口部に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
[適用例8]本適用例に係るインク補給容器は、容器口部の開口端面に固着され、容器内を気密に封緘するインナーシールを備え、インナーシールの一部を容器外側に向かって山折りに折り曲げまたは突設し、折り曲げまたは突設した部分をインナーシールの引き剥がし時のつまみ部としたことを特徴とする。
本適用例のインク補給容器によれば、インナーシールの折り曲げまたは突設したつまみ部を引き起こし、つまみ部をつかんでシールを引き剥がすことにより、充分な力をかけて開封することができる。このため、インナーシールを簡単に全面剥離することができ、先鋭な部材などを使ってこじ開ける必要も無くなるので、剥離残りが発生するようなことがなくなる。従って、インナーシールの剥離時に、インクの液飛びを防止し、剥離のし易さを向上させる。
[適用例9]本適用例に係るインク補給容器は、容器口部の開口端面に固着され、容器内を気密に封緘し、且つつまみ部を有するインナーシールを備え、インナーシールは、開口端面にシール材を載置した状態で、シール材の一部を開口端面の一側に所定つまみ長さの略2倍に延長し、延長部分を容器口部の上方へ谷折りし、更に、折り曲げた延長部分のシール面を内側にして略半分に山折りし、シール材の断面が略Z形状に折り返した状態で容器口部の開口端面に剥離可能に固着されることを特徴とする。
本適用例のインク補給容器によれば、つまみ部がインナーシールの延長であるのでシール引き剥がしの際につまみ部が引きちぎれてしまう問題もなくなり、インナーシールを確実に剥離することが出来る。従って、インナーシールの引き剥がし時に、インクの液飛びを防止し、引き剥がしのし易さを向上させる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明を行う。なお、以下の各図においては、説明の便宜上、各部材の尺度を実際とは異ならせて図示している。
図1は、以降での実施形態におけるインク噴射システム1の主要構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1は、相互に直交する座標軸であるXYZ軸を付記し、水平面に一致するXY平面にインク噴射システム1を配置した場合の使用状態を図示している。この場合、X軸はキャリッジ7を往復移動させる方向に一致し、Y(Y(+))軸は、記録媒体Pを搬送させる方向に一致し、Z軸はインク噴射システム1の高さ方向に一致している。
本実施形態のインク噴射システム1は、図1に示すように、インク噴射装置の一例であるプリンター2と、インク供給装置3と、を有している。プリンター2は、記録部5と、制御部4と、を有している。プリンター2において、記録部5と制御部4とは筐体6に収容されている。記録部5は、搬送装置(図示省略)でY軸方向に搬送される記録媒体Pに、インクで記録を行う。なお、図示省略する搬送装置は、記録用紙などの記録媒体Pを、Y(+)方向に間欠的に搬送する。記録部5は、移動装置(図示省略)によって、X軸に沿って往復移動可能に構成されている。インク供給装置3は記録部5にインクを供給する。制御部4は上記の各構成の駆動を制御する。
記録部5は、キャリッジ7と記録ヘッド8とを備えている。記録ヘッド8はインク噴射部の一例であり、インクをインク滴として吐出して、記録媒体Pに記録を行う。キャリッジ7は記録ヘッド8を搭載している。なお、記録ヘッド8は制御部4に電気的に接続されている。記録ヘッド8からのインク滴の吐出は、制御部4によって制御される。
インク供給装置3は、タンク9を有している。本実施形態のインク供給装置3は、複数の(本実施形態では4つ)タンク9を有している。複数のタンク9は、筐体10の内部に収容されている。これにより、タンク9を筐体10で保護することができる。なお、筐体10と筐体6とは、互いに別体であっても一体であってもよい。筐体10と筐体6とが一体である場合、複数のタンク9は、記録ヘッド8やインク供給チューブ12と共に筐体6の内部に収容させることができる。
タンク9内部にはインクが収容(貯留)されている。タンク9にはインク注入部11が形成されている。タンク9には、インク注入部11を介してタンク9の外部からタンク9の内部にインクを注入(補給)することができる。なお、作業者は、筐体10の外側からタンク9のインク注入部11にアクセスすることができる。また、インク注入部11は、蓋(図示省略)で封止されている。作業者は、タンク9にインクを注入(補給)する場合、蓋を開けてインク注入部11を開放してから、後述するインク補給容器15によりインクを注入(補給)する。
各タンク9には、インク供給チューブ12が接続される。タンク9内のインクは、インク供給装置3からインク供給チューブ12を介して記録ヘッド8に供給される。そして、記録ヘッド8に供給されたインクが、記録媒体P側に向けられたノズル(図示省略)からインク滴として吐出される。なお、上記の例では、プリンター2とインク供給装置3とを個別の構成として説明したが、インク供給装置3をプリンター2の構成に含めることもできる。
なお、インク供給装置3は、本実施形態では、プリンター2のX(+)側の側面に設置されている。しかし、インク供給装置3(タンク9)の設置位置は、これに限られず、プリンター2のX(−)側の側面や、プリンター2のY(+)側の側面(前面側の側面)などに設置してもよい。
上記の構成を有するインク噴射システム1では、記録媒体PをY軸方向(Y(+)方向)に搬送させ、且つキャリッジ7をX軸に沿って往復移動させながら、記録ヘッド8に所定の位置でインク滴を吐出させることによって、記録媒体Pに記録が行われる。これらの動作は、制御部4によって制御される。
インクは、水性インクと油性インクのいずれか一方に限定されるものではない。また、水性インクは、水性溶媒に染料などの溶質が溶解した構成を有するもの、水性分散媒に顔料などの分散質が分散した構成を有するもののいずれでもよい。また、油性インクは、油性溶媒に染料などの溶質が溶解した構成を有するもの、油性分散媒に顔料などの分散質が分散した構成を有するもののいずれでもよい。
本実施形態では、タンク9へのインクの注入に、インク補給容器15が活用される。以下に、インク補給容器15の種々の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
図2は、本実施形態のインク補給容器15を示す外観図である。図3及び図4は、インク補給容器15を示す分解図である。本実施形態のインク補給容器15について説明する。
図2は、本実施形態のインク補給容器15を示す外観図である。図3及び図4は、インク補給容器15を示す分解図である。本実施形態のインク補給容器15について説明する。
タンク9へのインクの注入に、図2に示す第1実施形態のインク補給容器15が活用される。本実施形態のインク補給容器15には、タンク9へ注入するためのインクが収容されている。インク補給容器15は、容器16と蓋体31とオーバーキャップ33とを含む。オーバーキャップ33は、図3に示すように、蓋体31に対して着脱可能に構成されている。蓋体31は、図4に示すように、容器16に対して着脱可能に構成されている。容器16は、図4に示すように、インク収容部17と容器口部18とを含む。インク収容部17は、インクを収容可能な部分である。容器口部18は、蓋体31と併せて、インク収容部17内のインクを容器16の外に流出可能な部分である。
容器口部18の外周面には螺条19が形成されており、蓋体31のスカート部36の内周面に形成される螺条40と螺合することで、蓋体31が容器口部18に固定される。この時、後述する中栓20は、容器口部18の開口端面18aと、蓋体31(水平フランジ部37)とに挟持された状態となり、インクの漏れがなく固定される。
蓋体31には、図3、図4に示す図において、上下方向に移動可能な弁部材50が設置されており、段差部32(スカート部36)に対して上方向に移動することにより、後述する柱状体46を含む他の部材との兼ね合いで、隙間ができる構造となっている。その隙間からインクが流出することになる。なお、弁部材50を下方向に移動すること(図3、図4に示す状態)により、隙間は閉塞されてインクの流出を止める。
従って、作業者は、容器16から中栓20を開栓した(取り去った)後、図3に示すように、容器口部18に蓋体31を固定した状態で、弁部材50を上方向に移動させ、その弁部材50を含む領域を、図1に示すインク注入部11内に挿入することにより、隙間からインクが流出してタンク9内にインクを注入(補充)することができる。補充が終了した場合、弁部材50を移動させて元に戻すことで、インクの流出を止める。
次に、中栓20の構成に関して説明する。
図5は、中栓20の概略構造を示す拡大斜視図である。図6は、中栓20の概略構造を示す側断面図である。図7は、中栓20の概略構造を示す上面図である。
図5は、中栓20の概略構造を示す拡大斜視図である。図6は、中栓20の概略構造を示す側断面図である。図7は、中栓20の概略構造を示す上面図である。
中栓20は、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23と、開栓用の把持部材24と、把持部材24を底面部23に結合する結合部25とを備えている。結合部25は、側壁部22に近接して設けられている。本実施形態の中栓20は、底面部23にシールブレーク用のスコア26を形成したことが特徴である。
即ち、開栓に先立って、このシールブレーク用のスコア26の部分で底面部23を破断することにより、開栓前に容器内の内圧と外圧とを等しくして、開栓時における液面の変化や容器内容積の変化を防止し、内溶液(インク)が容器外に飛び出る現象となるいわゆるインクの液飛びを回避することができる。
容器におけるシールブレークは、極めて微細な開口部であっても極めて短時間の内に生じることは経験的によく知られていることであり、従って、スコア26は最低限0.2mm程度のごく短いものであってよく、スコアの破断に面倒な操作を必要とするものではない。
本実施形態において、シールブレーク操作を、開栓操作とは別の前操作として行うようにすることもでき、またシールブレーク操作を、開栓操作と一連の前操作として行うようにすることもできる。
図5〜図7に示す具体例では、シールブレーク操作を、開栓操作とは別の前操作として行うようにするものであり、底面部23の略中央には、底面部23と一体にシールブレーク用の突起27が形成されている。このシールブレーク用の突起27の付け根28の一方の側(具体例においては結合部25の側)には、シールブレーク用のスコア26が形成されている。なお、スコア26は、突起27の付け根28の他、付け根28から少し外側にずれた位置に形成してもよい。
この中栓20においては、中栓20を取り外す際には、突起27を把持部材24の結合部25の側に倒す。これにより、スコア26が破断して、シールブレークが行われる。次いで、把持部材24を指で把持し、結合部25と反対側に、且つ上方にこれを引き上げることにより、中栓20の取り外し、即ち開栓が行われる。この場合、スコア26の破断は、底面部23の中心近傍で行われる。一方、開栓は、側壁部22に近い底面部23の端を支点として行われるため、スコア26の破断が中栓20の開栓性に何ら悪影響を与えないという利点がある。また、開栓操作に先立って、突起27が結合部25の側に倒れているので、把持部材24の指による把持に妨げとならないという利点をも与えるものである。
図13、図14、及び図15に示す具体例では、シールブレーク操作を、開栓操作と一連の前操作として行うようにするものであり、把持部材24の結合部25の付け根28の端から開栓用の把持部材24の反対側の方へ小間隔だけ延びるシールブレーク用のスコア26が、底面部23に設けられている。
この中栓20においては、中栓20を取り外す際には、把持部材24を指で把持し、結合部25の反対側に且つ上方に引き上げる。これにより、スコア26が先ず破断して、シールブレークが行われる。次いで、上記引き上げを更に続行することにより、中栓20が持ち上げられ、開栓が行われる。この具体例では、把持部材24の引き上げというワンタッチ操作で、スコア26の破断とそれに続く中栓20の取り外しとが、一定のタイムラグをおいて確実に行われるという利点がある。
本実施形態の中栓20において、底面部23に設けるスコア26は、突起27に加えられる押し倒し力、或いは把持部材24の結合部25に加えられる引張力が、スコア26に集中してその破断を生じるものであればよい。一般的にいって、スコア部以外の底面部23の厚さをt0 及びスコア26の厚さをt1 としたとき、両者の厚み比(t1 /t0 )が0.1〜0.6の範囲にあり、また、t1 が0.15〜0.35mmの範囲にあることがシールブレーク性の点で好ましい。
t1 が上記範囲よりも薄い場合、打栓に際してスコア部が破損してシール不良を生じる傾向があり、また上記範囲よりも厚い場合、開栓に先立ってシールブレークが安定に行われなくなる傾向がある。両者の厚み比(t1 /t0 )は、スコア26に対する応力集中の程度に関連しており、上記範囲よりも小さい場合には、やはり打栓に際してスコア部が破損してシール不良を生じる傾向があり、また上記範囲よりも大きい場合には、スコア26に応力集中させることが困難となったり、或いは引き裂きがスコア26以外に伝搬したりする傾向がある。
また、スコア26の長さは、シールブレークが安定に行われるものであり、一般に0.2mm以上設けることは必要であるが、10mmよりも長い長さで設けても格別の利点はなく、開栓性の点ではかえって不利となる。
本実施形態を次の例を参照しつつ、更に説明する。上述したように、図5は、中栓20の概略構造を示す拡大斜視図であり、図6は、中栓20の概略構造を示す側断面図であり、図7は、中栓20の概略構造を示す上面図である。また、図8は、中栓20を備えた中栓付容器蓋の打栓前の状態を示す側断面図であり、図9は、図8の打栓された中栓付容器蓋を容器口部18と共に示す側断面図であり、図10は、図8の容器蓋における中空筒45と柱状体46との関係を示す部分平断面図であり、図11は、図8の容器蓋における弁部材50の上昇によって注出路48が開放され、インクの注出が可能となっている状態を示す部分拡大側断面図であり、図12は、図9の容器蓋の機能を説明するための要部拡大断面図である。また、図13は、他の実施例の中栓20の斜視図であり、図14は、図13の実施例の中栓20の側断面図であり、図15は、図13の中栓20の上面図であり、図16は、図13の中栓20を備えた中栓付容器蓋の打栓前の状態を示す側断面図であり、図17は、図16の打栓された中栓付容器蓋を容器口部18と共に示す側断面図である。
図5〜図7に示すように、中栓20は、既に説明したとおり、容器口部18の開口端面18a(図4参照)と係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面(図9参照)と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23とを備えている。この中栓20では、リング状の把持部材24がT字型の結合部25により底面部23に固定されており、更にシールブレーク用のスコア26及びシールブレーク用の突起27が設けられている。
側壁部22の外周面は全体として円周状に形成されており、その内周面29は、型抜きが容易に行えるように、下向きに径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。一方、その外周面60には、フランジ部21よりも下方に離隔した位置に、径外方向に最も膨出した膨出部61が形成されている。膨出部61の下方には、下向きに径が縮小するテーパー部が形成されていて、容器口部18への打栓が容易に行えるようになっている。
一方、把持部材24は、結合部25と一体にリング状に形成されているが、この把持部材24は、側壁部22の内径よりも小さな外径の環状部材として形成されている。把持部材24の内周面は、側壁部22の内周面とほぼ同様に下向きに径が小さくなるテーパー面を形成しており、また把持部材24の外周面も下向きに径の小さくなるテーパー面を形成しているが、外周面のテーパー角度の方が大きく、把持部材24の径方向の厚みは下向きに次第に小さくなっている。上記の厚み分布を持たせた把持部材24では、成形時の型抜きが容易であり、例えば、把持部材24の内周面より内側の型を先ず抜き、次いで外側の型を無理抜きすることにより、型抜きを容易に行うことができる。
把持部材24の内周面の略中央には、指の掛かりをよくするためのリブ62が少なくとも1本、周方向に伸びるように設けられている。また、把持部材24の中央は成形に際して、2分された樹脂流が合流するウェルドラインとなるが、開栓に際してこの部分が破壊するのを防止するため、相対的に厚肉の補強部となっている。
この具体例においては、中栓20のフランジ部21の外周(周縁)に、薄肉でしかも幅が狭く延出する薄肉周縁部63(図6参照)が形成されており、この薄肉周縁部63は、中栓20を蓋体31内にセットした状態で同時に打栓を可能にし、中栓20を開栓する際には、それに先だって蓋体31のみの取り外しを可能とするものであるが、その作用については、後から詳述する。
本実施形態の中栓20において、把持部材24の内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。また、把持部材24の径方向の厚みは、上面部で0.7〜1.05mmの範囲にあることが、開栓性の点で好適である。
シールブレーク用の突起27の形状は、図5に示す直方体形状のものの他に、円柱状、楕円柱状のものであってよい。突起27の付け根28に設けるスコア26は付け根28の周囲の半分以上の長さで設けるのがよく、図5の具体例においては、直方体状の突起27の結合部25側長辺と両短辺とにスコア26が形成されていて、突起27の結合部25側あるいは結合部25と反対側への押し倒しを容易にしている。突起27の断面積は一般に7〜50mm2 程度の範囲にあるのが好ましい。また、突起27の高さは、把持部材24の高さ以下であることが好ましく、更にはフランジ部21の高さ以下であることがより好ましい。
中栓20を構成する樹脂材料は、それ自体公知の任意のプラスチックで形成されていることができるが、比較的柔らかい樹脂材料、例えばオレフィン系樹脂で形成されていることが望ましい。特に弾性率(JISK7203)が2000〜10000kg/cm2 のオレフィン系樹脂、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)や線状超低密度ポリエチレン(LUDPE)から形成されていると、シールブレークと開栓とにタイムラグを設けた開栓を容易に行うことが可能となる。
本発明は、蓋体に中栓が設置される任意の中栓付容器蓋に適用でき、特に流通時には中栓を密栓状態に維持し、内容物の使用時には、中栓のみを取り外すような容器蓋に広く適用することができる。
本発明が好適に適用される中栓付容器蓋の一例として、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられているものを挙げることができる。この場合、前記中栓はフランジ部外周に薄肉周縁部を有する中栓であり、前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、前記水平フランジ部の内面には、該蓋体を容器口部に装着して螺子固定した時に前記薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることが好ましい。以下この例について説明する。
図8及び図9において、この容器蓋は、合成樹脂製の蓋体31と、合成樹脂製の中栓20とから構成されており、さらに必要によりオーバーキャップ33を備えている。蓋体31は、おおまかに言って頂板部35と、スカート部36とから成っている。
頂板部35には水平フランジ部37が形成されており、この水平フランジ部37の外側端部からスカート部36が下方に垂下している。水平フランジ部37の内面には、形状調整用突起38が形成されている。更に形状調整用突起38の内側となる位置に中栓押さえ用の環状突起39を形成しておくのが好ましい。これら突起38,39の機能については後述する。
スカート部36の内面には螺条40が形成されており、この螺条40により、蓋体31が容器口部18へ着脱自在に係合固定される。即ち、容器口部18の外面には、螺条19が形成されており、上記の螺条40とこの螺条19との螺合により、蓋体31が容器口部18に固定される。また、スカート部36の内面の螺条40よりも上方部分には、水平フランジ部37とは小間隔を置いて中栓係止用突起41が形成されている。この中栓係止用突起41の機能についても後述する。
上記の容器蓋において、蓋体31の頂板部35の中央部分には、上方に直立した中空筒45が形成されており、この中空筒45内の中空空間は、頂板部35の下側空間と連通しており、中栓20がなければ容器内に通じている。一方、中空筒45内には、柱状体46が上方に延びており、その上端は、中空筒45から突出している。この柱状体46と中空筒45との位置関係を示す平断面図を図10に示した。この図10に示されている様に、柱状体46は、一定間隔で設けられているブリッジ47によって中空筒45の内側に保持されており、中空筒45内の空間は、このブリッジ47によっては閉じられておらず、従って、中空筒45の内面と柱状体46の外面との間の空間が注出路48を形成し、この注出路48を通して、インクの注ぎ出しが行われる。
再び、図9に戻って、中空筒45には、弁部材50が上下にスライド可能に嵌め込まれている。この弁部材50の上下動によって、上述した注出路48が開放されたり、或いは閉じられたりする。図11には、この弁部材50が上昇して注出路48が開放された状態の部分拡大側断面図を示した。図9から図11に示すように、弁部材50は、天井壁51と、天井壁51から下方に延びているインナーリング52及び外側筒状壁53とから構成されており、インナーリング52と外側筒状壁53との間に中空筒45がスライド可能に嵌め込まれている。また天井壁51の中央部分には、開口54が形成されている。
即ち、図9に示されている様に、弁部材50が最下方位置にある時(常態)には、柱状体46の上端部が開口54を閉じており、従って、この状態では、注出路48が塞がれ、インクの注出を行うことができない。一方、図11に示した様に、弁部材50を上昇させると、開口54が開放され、注出路48が外部に通じる。従って、この状態でインクの注ぎ出しを行うことが可能となる。このような構造では、一般の作業者は、例えば一方の手で容器を持ちながら、他方の手で弁部材50を引っ張り上げることができるので、インクを注入する際に極めて便利である。
特に、図11に示すように、弁部材50の外側筒状壁53の下端内面には、アンダーカット55が形成されており、一方、中空筒45の上方部分外面には段差部56を設けることが好ましい。即ち、アンダーカット55と段差部56との係合により、弁部材50が上昇し過ぎて外れてしまうというトラブルを防止できる。さらに、中空筒45の下方部分外面に係止用突起を設けると、アンダーカット55と係止用突起との係合により、弁部材50を最下方位置(常態)に安定に保持することもでき、また弁部材50の上昇或いは降下による開閉感を作業者に与えることもできる。
また、図9から明らかな様に、本実施形態の容器蓋は、弁機構への外部衝撃からの保護、或いは、衛生性、商品価値などの点で、オーバーキャップ33を設けた形で市販に供される。このために、頂板部35の中空筒45の外側部分には、略直立した段差部32を形成しておき、この部分にオーバーキャップ33を係止する様な構造とすることが望ましい。
中栓20の構造は、既に、図5から図7を引用して説明したとおりのものである。本実施形態においては、中栓20に薄肉周縁部63が形成されていることが重要であり、この薄肉周縁部63と蓋体31のスカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41(図8、図9)との係合関係が、頂板部35の水平フランジ部37の内面に形成されている形状調整用突起38によりコントロールされる。これにより、キャッピング前では、中栓20が蓋体31内に安定して保持され、キャッピング終了後、蓋体31の開封にあたっては、中栓20の保持が解除され、中栓20と分離して蓋体31のみを容器口部18の開口端面18aから取り除くことができるのである。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図12に基づいて説明する。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図12に基づいて説明する。
本実施形態の容器蓋では、キャッピングに先立って中栓20は蓋体31内に挿入されるが、この状態において、中栓20の薄肉周縁部63は、図8及び図12に示されている様に、スカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41と係合するようになっている。従って、中栓20の蓋体31からの脱落が有効に防止され、キャッピング工程への搬送及びキャッピングを確実に行うことができる。
次いで、図12の状態で、インクが充填された容器口部18へのキャッピングが行われる。蓋体31を閉栓方向に旋回させてキャッピングを行っていくと、蓋体31の降下によって中栓20も押し下げられ、キャッピング終了時には、図9及び図12に示されている様に、中栓20は容器口部18内に嵌め込まれる。容器口部18内に嵌め込まれた中栓20では、その筒状の側壁部22が容器口部18によって絞られているから、薄肉周縁部63の外径(中栓20の最外径)は若干縮小している。また、この状態において、水平フランジ部37の内面に形成されている中栓押さえ用の環状突起39は、中栓20の水平環状部(フランジ部21)にがっちりと食い込み、従って、中栓20はしっかりと容器口部18に固定され、密封が確実なものとなる。一方、中栓20の水平環状部(フランジ部21)の外側に位置している薄肉周縁部63には、その付け根部分からその近傍に形状調整用突起38が食い込み、この結果、薄肉周縁部63が下向きの状態に傾斜し、その外径は一層小さくなっている。即ち、キャッピングが完全に終了した図12の状態では、薄肉周縁部63の外径が小さくなっているため、このままの状態で蓋体31を上昇させた時、薄肉周縁部63は、中栓係止用突起41とは係合しないようになっている。
図12のように、蓋体31及び中栓20が容器口部18に装着された容器は、この状態で市販され、これを購入した一般作業者は、先ず、蓋体31を開栓方向に旋回させて蓋体31を上昇させ、蓋体31を容器口部18から取り除く。蓋体31を開栓方向に旋回して上昇させると、当然のことながら、形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢は解除される。ところで、キャッピング終了時から一般の作業者が蓋体31の開栓を行うまでは長時間が経過しており、この間、ずっと図12に示された形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢が行われている。薄肉周縁部63は合成樹脂製であり、薄肉であることも関連して、極めて変形し易い。即ち、一般作業者が蓋体31を開栓する時点では薄肉周縁部63は永久変形しており、形状調整用突起38による押圧賦勢が解除された後も、薄肉周縁部63は下向きの状態のままの形状を保持しており、依然として、薄肉周縁部63の外径は、図12のように小さいままになっている。従って、蓋体31が開栓により上昇しても、中栓係止用突起41は薄肉周縁部63と接触せず、両者の係合は生じないのである。かくして本実施形態によれば、蓋体31の開栓によって、蓋体31のみが上昇して容器口部18から取り除かれ、中栓20は、容器口部18にそのまま残存することになる。
蓋体31を容器口部18から取り除いた後は、既に説明したとおり、把持部材24を手で持って引っ張り上げることにより、容器口部18に残存している中栓20を取り出して廃棄する。次いで、再び蓋体31を容器口部18に装着する。中栓20を取り除いた容器口部18に蓋体31を装着すると、形状調整用突起38及び中栓押さえ用の環状突起39が開口端面18aに圧接することになり、特に環状突起39が環状に形成されていることから、容器内の密封性は十分に確保される。また、この状態では、容器内空間は蓋体31に形成されている注出路48に連通しているため、一般の作業者は、弁部材50を上昇させてインクの注ぎ出しを行うことができ、弁部材50を降下させることにより、注出路48を閉じることができる。
上述した本実施形態において、形状調整用突起38は、押圧賦勢により中栓20の薄肉周縁部63が全体的に下向きとなるように設定すべきであり、このために、この形状調整用突起38はリング状に形成されていることが好ましい。この場合には、中栓20を取り除いた容器口部18に蓋体31を装着したときの密封性の点でも有利である。形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、中栓20を除去した後のシール性が、形状調整用突起38と開口端面18aとの圧着により確保されるため、前述した環状突起39を形成しないでもよいこともある。勿論、薄肉周縁部63が全体的に下向きとなる限りにおいて、適当な間隔で多数の形状調整用突起38をリング状にバランスよく配置することもできる。また、形状調整用突起38の位置は、図12に示されている様に、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20の薄肉周縁部63の付け根部或いはその近傍で、形状調整用突起38が薄肉周縁部63に当接するような位置とするのがよい。このような位置に形状調整用突起38を配置した時に、押圧賦勢による薄肉周縁部63の下向き化を最も有効に行うことができる。従って、形状調整用突起38の位置は、容器口部18内に中栓20を嵌め込んだ時に生じる薄肉周縁部63の外径の縮小の程度も考慮して設定すべきである。
また、形状調整用突起38の内側の中栓押さえ用の環状突起39は、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20の水平環状部(フランジ部21)を開口端面18aと接触し得る位置に配置する。更に、この環状突起39は、蓋体31をリシールした時に開口端面18aと密着し、これにより、密封性を確保するという機能を有するものである。従って、この環状突起39は環状でなければならない。なお、形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、この環状突起39は必ずしも必須でないことは前述した通りである。ただし、中栓20を取り除く前の水の侵入等を防止する点で、この場合も環状の中栓押さえ用の環状突起39を設けた方が好ましい。
また、薄肉周縁部63の厚みや長さ等も、形状調整用突起38の押圧賦勢による下向き化及びその永久変形が有効に行われ、且つ、この下向きの永久変形によって、中栓係止用突起41と薄肉周縁部63との係合が生じない様に設定される。例えば、薄肉周縁部63の厚みは、100〜200μm 程度が好適である。また、容器口部18内に中栓20が嵌合された状態において、薄肉周縁部63と開口端面18aとの間には、下向き化に十分な空間が形成されているべきであり、この点を考慮すると、薄肉周縁部63が連なっている水平環状部(フランジ部21)の厚みは、少なくとも0.5mm以上とするのが好ましい。
また、上述した構造の蓋体31及びオーバーキャップ33は、種々のプラスチックにより形成することができる。具体的には、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等、特に好ましくは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができ、これらのプラスチックを用いての射出成形、圧縮成形等により、各部材を成形することができる。
本実施形態の中栓付容器蓋は、キャッピング前の段階では中栓20を容器蓋内に保持し、キャッピング後に容器蓋を容器口部18から取り外すと中栓20が容器口部18に残るタイプの容器蓋であり、図9等に示した構造のプッシュプルタイプのキャップとして、各種のインクを充填したスクイズボトルに特に有効に適用される。また、蓋体31の構造も、図9に示した構造に限定されるものではなく、種々の形状乃至構造でインク注出用開口が形成されたものであってよい。
本実施形態の中栓の他の実施例を示す図13、図14及び図15において、この中栓20は、開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23と、開栓用の把持部材24とを備えていること、及び底面部23にシールブレーク用のスコア26が形成されていることにおいて、図5から図7に示したものと共通している。しかしながら、図5〜図7のものでは、シールブレーク用の突起27が開栓用の把持部材24とは別個に設けられているのに対して、図13〜図15のものでは、開栓用の把持部材24の結合部25がスコアブレークの役目をも果たすものであり、その引張或いは引き上げによりスコア26の破断が進行する点で図5〜図7のものとは相違している。
この中栓20でも、開栓に先立ってシールブレークが発生し、次いで中栓20の開栓が進行するが、結合部25の近傍でスコアの切断が進行するため、開栓力の側壁に対する伝達性がその分低くなる傾向がある。これを防止するため、この実施例の中栓20では、側壁部22を周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とから構成し、薄肉部分65を、底面部23の結合部25に最も近い側壁部分Aの側に配置し、且つ厚肉部分64を前記側壁部分Aの反対側となる側壁部分Bに配置しており、中栓20の開栓が比較的小さな力でも行われるようにしている。
即ち、この実施例では、側壁部22に、厚肉部分64と薄肉部分65とを周状に分布させて設けるが、この周状分布構造では、容器内周面に対する嵌合力にも周方向で相違があり、厚肉部分64が中栓20のシール性保持に役立つ一方で、薄肉部分65が開栓性の向上に役立つものである。
この具体例では、薄肉部分65を、底面部23の結合部25に最も近い側壁部分Aの側に配置し、且つ厚肉部分64を、側壁部分Aの反対側となる側壁部分Bに配置するが、この配置を採用することにより、中栓20の開栓に際して開栓用の把持部材24を引き上げたとき、薄肉部分65の中心部分A1が径中心側に最も移動して、その外周面と容器口部18の内周面との間のシール力を弱める。これには、把持部材24により薄肉部分65の中心部分A1に加えられる引張による変形と、中栓20の側壁部分Bの中心部分B1を支点とした引き上げに伴う回転とが役立つものと認められる。
この実施例の中栓20では、易開栓性とシール性との両方を維持することに関して、薄肉部分65の厚みと厚肉部分64の厚みの比、及び薄肉部分65の周の角度には一定の好適範囲がある。一般に、側壁部22の薄肉部分65が側壁部22の厚肉部分64の厚みの0.20〜0.75、特に0.30〜0.60の厚みを有することが好ましい。また、側壁部22の薄肉部分65が側壁部22の全周の内の40〜180度、特に60〜120度の角度にわたって設けられていることが好ましい。
薄肉部分65の厚みが上記比率より小さいと中栓20のシール性が低下する傾向があり、一方上記比率より大きいと易開栓性も低下する傾向がある。
更に、薄肉部分65の開き角度が上記範囲よりも大きいと中栓20のシール性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも小さいと易開栓性が低下する傾向がある。
この実施例の中栓20では、密封信頼性の点で、側壁部22はその外周に外向きの膨出部61を有することが好ましく、この膨出部61の形状及び寸法は、厚肉部分64でも薄肉部分65でも同一であることがシール性の点で好ましい。これを達成するため、この中栓20では、次のように厚みの変化をもたせている。即ち、側壁部22は容器口部18の内周面と係合する外周面と内周面とを備えているが、内周面を相対的に径の小さい小径部66と、小径部66に段差部67を介して連なる相対的に径の大きな大径部68とから形成し、外周面と小径部66との間に厚肉部分64を形成し、外周面と大径部68との間に薄肉部分65を形成するようにする。
図13、図14及び図15の中栓20を中栓付容器蓋に適用した場合を、図16及び図17に示す。中栓20以外の容器蓋の構造及び動作は、図8〜図12において既に説明したものと同様であるので、図16及び図17についてもこれらの説明を参照されたい(図16及び図17については図8〜図12と共通の引照数字が付されている)。
第1実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、開栓用の把持部材24とを有する中栓20を備え、中栓20の底面部23にシールブレーク用のスコア26を設けたことにより、開栓に先立ってスコア切断によるシールブレークが行われる。これにより、インク補給容器15(容器16)内の内圧と外圧とを等しくして、開栓時における液面の変化やインク補給容器15(容器16)内の容積の変化を防止し、インクが容器外に飛び出る現象、いわゆるインクの液飛びを回避することができる。また、そのまま開栓用の把持部材24を引き上げることで容易に開栓することができ、開栓のし易さを向上させることができる。
また、中栓20を容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、開栓用の把持部材24とを有する中栓20を備え、中栓20の底面部23にシールブレーク用のスコア26を設けたことにより、開栓に先立ってスコア切断によるシールブレークが行われる。これにより、インク補給容器15(容器16)内の内圧と外圧とを等しくして、開栓時における液面の変化やインク補給容器15(容器16)内の容積の変化を防止し、インクが容器外に飛び出る現象、いわゆるインクの液飛びを回避することができる。また、そのまま開栓用の把持部材24を引き上げることで容易に開栓することができ、開栓のし易さを向上させることができる。
また、中栓20を容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
(2)本実施形態のインク補給容器15によれば、底面部23にシールブレーク用の突起27が形成され、シールブレーク用の突起27の付け根28にシールブレーク用のスコア26が形成されている。この構成により、突起27を倒すことでスコア26が破断する。スコア26の破断は、底面部23の中心近傍(突起27が形成される部分)で行われる。一方、開栓は、側壁部22に近い底面部23の端を支点として行われるため、スコア26の破断が中栓20の開栓性に何ら悪影響を与えないという利点がある。
(3)本実施形態のインク補給容器15によれば、底面部23には開栓用の把持部材24が結合部25を介して設けられ、結合部25の付け根28に連なるようにシールブレーク用のスコア26が形成されている。この構成によっても、開栓用の把持部材24を傾けてスコア26を破断することで、インクの液飛びを回避することができ、そのまま把持部材24を引き上げることで容易に開栓することができる。
(4)本実施形態のインク補給容器15によれば、蓋体31に開閉可能な弁機構(中空筒45、柱状体46、ブリッジ47、注出路48、弁部材50等)が設けられることにより、弁機構を開放することで容器内のインクをタンク9に補給することができ、また、弁機構を閉塞することで容器内のインクが外部に漏れだすことを防止することができる。容器内のインクをタンク9に注入する場合や、保管する場合において極めて効果的である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(1)上記第1実施形態では、底面部23にシールブレーク用の突起27が形成され、この突起27の付け根28に、シールブレーク用のスコア26が形成されている。本実施形態では、1つのスコア26が形成されているが、これには限られず、突起27の付け根28の全周に複数のスコアを形成することでもよい。また、同様に、結合部25の付け根28にシールブレーク用のスコア26が形成されている。本実施形態では、1つのスコア26が形成されているが、これには限られず、結合部25の付け根28の全周に複数のスコアを形成することでもよい。
(2)上記第1実施形態では、シールブレーク用のスコア26は、底面部23の上面(突起27が形成される面)に形成されているが、これには限られず、底面部23の下面(突起27が形成される面とは反対側の面)に形成されていてもよい。また、同様に、シールブレーク用のスコア26は、底面部23の上面(結合部25が形成される面)に形成されているが、これには限られず、底面部23の下面(結合部25が形成される面とは反対側の面)に形成されていてもよい。
(3)上記第1実施形態では、把持部材24の上面からの形状は内径(Rb)が一定の円形状に形成されている。しかし、これに限らず、指の挿入が可能な楕円形状であってもよい。
〔第2実施形態〕
図18は、本実施形態の中栓20Aの概略構造を示す拡大斜視図である。図19は、中栓20Aの概略構造を示す側断面図である。図20は、中栓20Aの概略構造を示す上面図である。
図18は、本実施形態の中栓20Aの概略構造を示す拡大斜視図である。図19は、中栓20Aの概略構造を示す側断面図である。図20は、中栓20Aの概略構造を示す上面図である。
本実施形態の中栓20Aは、第1実施形態の中栓20と部分的に若干異なっている。その他の構成は、第1実施形態と略同様となっている。
中栓20Aは、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23と、開栓用の把持部材24と、把持部材24の側壁部22近傍の底面部23における結合部25とを備えている。この中栓20Aでは、側壁部22は周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とを有し、薄肉部分65は、底面部23の結合部25に最も近い側壁部分Aの側に配置され、且つ厚肉部分64は、側壁部分Aの反対側となる側壁部分Bに配置されていることが特徴である。
即ち、本実施形態では、側壁部22に、厚肉部分64と薄肉部分65とを周状に分布させて設けるが、この周状分布構造では、容器内周面に対する嵌合力にも周方向で相違があり、厚肉部分64が中栓20Aのシール性保持に役立つ一方で、薄肉部分65が後述する配置と相まってシールブレークに役立つものである。
本実施形態のこの具体例では、この薄肉部分65を、底面部23の結合部25に最も近い側壁部分Aの側に配置し、且つ厚肉部分64を側壁部分Aの反対側の側壁部分Bに配置する。この配置を採用することにより、中栓20Aの開栓時に、把持部材24を引き上げたとき、薄肉部分65の中心部分A1が径中心側に最も移動して、その外周面と容器口部18内周面との間に隙間が形成される。この隙間の形成には、把持部材24により薄肉部分65の中心部分A1に加えられる引張による変形と、中栓20Aの反対側中心部分B1を支点とした引き上げに伴う回転とが役立つものと認められる。この隙間の形成により、開栓、即ち中栓20Aの離脱に先立って、シールブレークが発生する。
このため、本実施形態によれば、中栓20Aの開栓に際して、常に中栓20Aのシールブレークが優先して行われ、その後開栓、即ち中栓20Aの取り外しが進行するので、開栓に際してインクの液飛びが発生するのが完全に抑制され、しかも中栓20Aの容器16からの取り外し開始点が薄肉部分65に設定されているので、開栓操作も至って容易且つ確実に行われるという利点が達成されるものである。
本実施形態の中栓20Aでは、シールブレークと開栓との間にインクの液飛びを防止するようなタイムラグを設けること、及び易開栓性とシール性とを維持することに関して、薄肉部分65の厚みと厚肉部分64の厚みの比、及び薄肉部分65の周の角度には一定の好適範囲がある。一般に、側壁部22の薄肉部分65が側壁部22の厚肉部分64の厚みの0.20〜0.75、特に0.30〜0.60の厚みを有することが好ましい。また、側壁部22の薄肉部分65が側壁部22の全周の内の40〜180度、特に60〜120度の角度にわたって設けられていることが好ましい。
薄肉部分65の厚みが上記比率より小さいと中栓20Aのシール性が低下する傾向があり、一方上記比率より大きいとシールブレークと開栓とが近づきすぎてインクの液飛びが発生する傾向があり、また易開栓性も低下する傾向がある。
更に、薄肉部分65の開き角度が上記範囲よりも大きいと中栓20Aのシール性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも小さいとシールブレークと開栓とが近づきすぎてインクの液飛びが発生する傾向があり、また易開栓性も低下する傾向がある。
本実施形態に用いる中栓20Aでは、密封信頼性の点で、側壁部22はその外周に外向きの膨出部61を有することが好ましく、この膨出部61の形状及び寸法は、厚肉部分64でも薄肉部分65でも同一であることがシール性の点で好ましい。これを達成するため、本実施形態では、次のように厚みの変化をもたせている。即ち、側壁部22は容器口部18の内周面と係合する外周面と内周面とを備えているが、内周面を相対的に径の小さい小径部66と、小径部66に段差部67を介して連なる相対的に径の大きな大径部68とから形成し、外周面と小径部66との間に厚肉部分64を形成し、外周面と大径部68との間に薄肉部分65を形成するようにする。
図18に示した中栓20Aでは、開栓用の把持部材24はTの字型の結合部25により底面部23に固定されているが、後の実施例に示すとおり、この開栓用の把持部材24は側壁部22に直接取り付けることができる。また、図18に示した中栓20Aでは、開栓用の把持部材24は、フランジ部21よりも外方に突出するように設けられているが、後の実施例に示すとおり、この開栓用の把持部材24は、フランジ部21の面内に収まるように設けることもできる。更に、側壁部22の結合部25の中心或いは底面部23の結合部25に最も近い側壁部分の中心と、周状に配置された薄肉部分65の中心とは一致していることが、シールブレーク及び易開栓性の点で有利である。側壁部22に把持部材24の結合部25が2個ある場合は、2個の結合部25の中心を結合部25の中心と理解すればよい。
本実施形態を次の例を参照しつつ、更に説明する。上述したように、図18は、本実施形態の中栓20Aの概略構造を示す拡大斜視図であり、図19は、中栓20Aの概略構造を示す側断面図であり、図20は、中栓20Aの概略構造を示す上面図である。また、図21は、中栓20Aを備えた中栓付容器蓋の打栓前の状態を示す側断面図であり、図22は、図21の打栓された中栓付容器蓋を容器口部18と共に示す側断面図であり、図23は、図21の容器蓋における中空筒45と柱状体46との関係を示す部分平断面図であり、図24は、図21の容器蓋における弁部材50の上昇によって注出路48が開放され、インクの注出が可能となっている状態を示す部分拡大側断面図であり、図25は、図22の容器蓋の機能を説明するための要部拡大断面図である。また、図26は、他の実施例の中栓20Aの側断面図であり、図27は、図26の中栓20Aの上面図であり、図28は、図26の中栓20Aを備えた中栓付容器蓋の打栓前の状態を示す側断面図であり、図29は、図28の打栓された中栓付容器蓋を容器口部18と共に示す側断面図である。また、図30は、更に他の実施例の中栓20Aの側断面図であり、図31は、図30の中栓20Aの上面図であり、図32は、図30の中栓20Aを備えた中栓付容器蓋の打栓前の状態を示す側断面図であり、図33は、図32の打栓された中栓付容器蓋を容器口部18と共に示す側断面図である。
本実施形態の中栓20Aの一実施例を示す図18〜図20において、この中栓20Aは、既に説明したとおり、容器口部18の開口端面18a(図22参照)と係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面(図22参照)と係合する側壁部22と、底面部23とを備えている。この中栓20Aでは、リング状の把持部材24がT字型の結合部25により底面部23に固定されている。
側壁部22の外周面は全体として円周状に形成されており、その内周面である小径部66及び大径部68は共に、型抜きが容易に行えるように、下向きに径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。一方、その外周面には、フランジ部21よりも下方に離隔した位置に、径外方向に最も膨出した膨出部61が形成されている。膨出部61の下方には、下向きに径が縮小するテーパー部が形成されていて、容器口部18への打栓が容易に行えるようになっている。
一方、把持部材24は、結合部25と一体にリング状に形成されているが、把持部材24は、側壁部22の内径よりも小さな外径の環状部材として形成されている。把持部材24の内周面は、側壁部22の内周面とほぼ同様に下向きに径が小さくなるテーパー面を形成しており、また把持部材24の外周面も下向きに径の小さくなるテーパー面を形成しているが、外周面のテーパー角度の方が大きく、把持部材24の径方向の厚みは下向きに次第に小さくなっている。上記の厚み分布を持たせた把持部材24では、成形時の型抜きが容易であり、例えば、把持部材24の内周面より内側の型を先ず抜き、次いで外側の型を無理抜きすることにより、型抜きを容易に行うことができる。
把持部材24の内周面のほぼ中央には、指の掛かりをよくするためのリブ62が少なくとも1本周方向に伸びるように設けられている。また、把持部材24の中央は成形に際して、2分された樹脂流が合流するウェルドラインとなるが、開栓に際してこの部分が破壊するのを防止するため、相対的に厚肉の補強部となっている。
この具体例においては、中栓20Aのフランジ部21の外周(周縁)に、薄肉でしかも幅が狭く延出する薄肉周縁部63(図19参照)が形成されており、この薄肉周縁部63は、中栓20Aを蓋体31内にセットした状態で同時に打栓を可能にし、中栓20Aを開栓する際には、それに先だって蓋体31のみの取り外しを可能とするものであるが、その作用については、後から詳述する。
本実施形態の中栓20Aにおいて、把持部材24の内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。また、把持部材24の径方向の厚みは、上面部で0.7〜1.05mmの範囲にあることが、開栓性の点で好適である。
なお、本実施形態の把持部材24の上面からの形状は内径(Rb)が一定の円形状に形成されている。しかし、これに限らず、指の挿入が可能な楕円形状であってもよい。
中栓20Aを構成する樹脂材料は、それ自体公知の任意のプラスチックで形成されていることができるが、比較的柔らかい樹脂材料、例えばオレフィン系樹脂で形成されていることが望ましい。特に弾性率(JISK7203)が2000〜10000kg/cm2 のオレフィン系樹脂、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)や線状超低密度ポリエチレン(LUDPE)から形成されていると、シールブレークと開栓とにタイムラグをもうけた開栓を容易に行うことが可能となる。
本発明は、任意の中栓付容器蓋に適用でき、特に流通時には中栓を密栓状態に維持し、内容物の使用時には、中栓のみを取り外すような容器蓋に広く適用することができる。
本発明が好適に適用される中栓付容器蓋の一例として、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられているものを挙げることができる。この場合、前記中栓はフランジ部外周に薄肉周縁部を有する中栓であり、前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、前記水平フランジ部の内面には、該蓋体を容器口部に装着して螺子固定した時に前記薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることが好ましい。以下この例について説明する。
図21及び図22において、この容器蓋は、合成樹脂製の蓋体31と、合成樹脂製の中栓20Aとから構成されており、さらに必要によりオーバーキャップ33を備えている。蓋体31は、おおまかに言って頂板部35と、スカート部36とから成っている。
頂板部35には水平フランジ部37が形成されており、この水平フランジ部37の外側端部からスカート部36が下方に垂下している。水平フランジ部37の内面には、形状調整用突起38が形成されている。更に形状調整用突起38の内側となる位置に中栓押さえ用の環状突起39を形成しておくのが好ましい。これら突起38,39の機能については後述する。
スカート部36の内面には螺条40が形成されており、この螺条40により、蓋体31が容器口部18へ着脱自在に係合固定される。即ち、容器口部18の外面には、螺条19が形成されており、上記の螺条40とこの螺条19との螺合により、蓋体31が容器口部18に固定される。また、スカート部36の内面の螺条40よりも上方部分には、水平フランジ部37とは小間隔を置いて中栓係止用突起41が形成されている。この中栓係止用突起41の機能についても後述する。
上記の容器蓋において、蓋体31の頂板部35の中央部分には、上方に直立した中空筒45が形成されており、この中空筒45内の中空空間は、頂板部35の下側空間と連通しており、中栓20Aがなければ、容器内に通じている。一方、中空筒45内には、柱状体46が上方に延びており、その上端は、中空筒45から突出している。この柱状体46と中空筒45との位置関係を示す平断面図を図23に示した。この図23に示されている様に、柱状体46は、一定間隔で設けられているブリッジ47によって中空筒45の内側に保持されており、中空筒45内の空間は、このブリッジ47によっては閉じられておらず、従って、中空筒45の内面と柱状体46の外面との間の空間が注出路48を形成し、この注出路48を通して、インクの注ぎ出しが行われる。
再び、図22に戻って、中空筒45には、弁部材50が上下にスライド可能に嵌め込まれている。この弁部材50の上下動によって、上述した注出路48が開放されたり、或いは閉じられたりするのであり、図24には、この弁部材50が上昇して注出路48が開放された状態の部分拡大側断面図を示した。図22と共に図24に示すように、弁部材50は、天井壁51と、天井壁51から下方に延びているインナーリング52及び外側筒状壁53とから構成されており、インナーリング52と外側筒状壁53との間に中空筒45がスライド可能に嵌め込まれている。また天井壁51の中央部分には、開口54が形成されている。
即ち、図22に示されている様に、弁部材50が最下方位置にある時(常態)には、柱状体46の上端部が開口54を閉じており、従って、この状態では、注出路48が塞がれ、インクの注出を行うことができない。一方、図24に示した様に、弁部材50を上昇させると、開口54が開放され、注出路48が外部に通じる。従って、この状態でインクの注ぎ出しを行うことが可能となるわけである。このような構造では、一般の作業者は、例えば一方の手で容器を持ちながら、他方の手で弁部材50を引っ張り上げることができるので、インクを注入する際に極めて便利である。
特に、図24を参照して、弁部材50の外側筒状壁53の下端内面には、アンダーカット55が形成されており、一方、中空筒45の上方部分外面には段差部56を設けることが好ましい。即ち、アンダーカット55と段差部56との係合により、弁部材50が上昇し過ぎて外れてしまうというトラブルを防止できる。さらに、中空筒45の下方部分外面に係止用突起を設けると、アンダーカット55と係止用突起との係合により、弁部材50を最下方位置(常態)に安定に保持することもでき、また弁部材50の上昇或いは降下による開閉感を作業者に与えることもできる。
また、図22から明らかな様に、本実施形態の容器蓋は、弁機構への外部衝撃からの保護、或いは、衛生性、商品価値などの点で、オーバーキャップ33を設けた形で市販に供される。このために、頂板部35の中空筒45の外側部分には、略直立した段差部32を形成しておき、この部分にオーバーキャップ33を係止する様な構造とすることが望ましい。
中栓20Aの構造は、既に、図18〜図20を引用して説明した通りのものである。本実施形態においては、中栓20Aに薄肉周縁部63が形成されていることが重要であり、この薄肉周縁部63と蓋体31のスカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41との係合関係が、頂板部35の水平フランジ部37の内面に形成されている形状調整用突起38によりコントロールされる。これにより、キャッピング前では、中栓20Aが蓋体31内に安定して保持され、キャッピング終了後、蓋体31の開封にあたっては、中栓20Aの保持が解除され、中栓20Aと分離して蓋体31のみを容器口部18の開口端面18aから取り除くことができるのである。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図25に基づいて説明する。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図25に基づいて説明する。
本実施形態の容器蓋では、キャッピングに先立って中栓20Aは蓋体31内に挿入されるが、この状態において、中栓20Aの薄肉周縁部63は、図21及び図25に示されている様に、スカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41と係合するようになっている。従って、中栓20Aの蓋体31からの脱落が有効に防止され、キャッピング工程への搬送及びキャッピングを確実に行うことができる。
次いで、図25の状態で、インクが充填された容器口部18へのキャッピングが行われる。蓋体31を閉栓方向に旋回させてキャッピングを行っていくと、蓋体31の降下によって中栓20Aも押し下げられ、キャッピング終了時には、図22及び図25に示されている様に、中栓20Aは容器口部18内に嵌め込まれる。容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Aでは、その筒状の側壁部22が容器口部18によって絞られているから、薄肉周縁部63の外径(中栓20Aの最外径)は若干縮小している。また、この状態において、水平フランジ部37の内面に形成されている中栓押さえ用の環状突起39は、中栓20Aの水平環状部(フランジ部21)にがっちりと食い込み、従って、中栓20Aはしっかりと容器口部18に固定され、密封が確実なものとなる。一方、中栓20Aの水平環状部(フランジ部21)の外側に位置している薄肉周縁部63には、その付け根部分からその近傍に形状調整用突起38が食い込み、この結果、薄肉周縁部63が下向きの状態に傾斜し、その外径は一層小さくなっている。即ち、キャッピングが完全に終了した図25の状態では、薄肉周縁部63の外径が小さくなっているため、このままの状態で蓋体31を上昇させた時、薄肉周縁部63は、中栓係止用突起41とは係合しないようになっている。
図25のように、蓋体31及び中栓20Aが容器口部18に装着された容器は、この状態で市販され、これを購入した一般作業者は、先ず、蓋体31を開栓方向に旋回させて蓋体31を上昇させ、蓋体31を容器口部18から取り除く。蓋体31を開栓方向に旋回して上昇させると、当然のことながら、形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢は解除される。ところで、キャッピング終了時から一般の作業者が蓋体31の開栓を行うまでは長時間が経過しており、この間、ずっと図25に示された形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢が行われている。薄肉周縁部63は合成樹脂製であり、薄肉であることも関連して、極めて変形し易い。即ち、一般作業者が蓋体31を開栓する時点では薄肉周縁部63は永久変形しており、形状調整用突起38による押圧賦勢が解除された後も、薄肉周縁部63は下向きの状態のままの形状を保持しており、依然として、薄肉周縁部63の外径は、図25のように小さいままになっている。従って、蓋体31が開栓により上昇しても、中栓係止用突起41は薄肉周縁部63と接触せず、両者の係合は生じないのである。かくして本実施形態によれば、蓋体31の開栓によって、蓋体31のみが上昇して容器口部18から取り除かれ、中栓20Aは、容器口部18にそのまま残存することになる。
蓋体31を容器口部18から取り除いた後は、既に説明したとおり、把持部材24を手で持って引っ張り上げることにより、容器口部18に残存している中栓20Aを取り出して廃棄する。次いで、再び蓋体31を容器口部18に装着する。中栓20Aを取り除いた容器口部18に蓋体31を装着すると、形状調整用突起38及び中栓押さえ用の環状突起39が開口端面18aに圧接することになり、特に環状突起39が環状に形成されていることから、容器内の密封性は十分に確保される。また、この状態では、容器内空間は蓋体31に形成されている注出路48に連通しているため、一般の作業者は、弁部材50を上昇させてインクの注ぎ出しを行うことができ、弁部材50を降下させることにより、注出路48を閉じることができる。
上述した本実施形態において、形状調整用突起38は、押圧賦勢により中栓20Aの薄肉周縁部63が全体的に下向きとなるように設定すべきであり、このために、この形状調整用突起38はリング状に形成されていることが好ましい。この場合には、中栓20Aを取り除いた容器口部18に蓋体31を装着したときの密封性の点でも有利である。形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、中栓20Aを除去した後のシール性が、形状調整用突起38と開口端面18aとの圧着により確保されるため、前述した環状突起39を形成しないでもよいこともある。勿論、薄肉周縁部63が全体的に下向きとなる限りにおいて、適当な間隔で多数の形状調整用突起38をリング状にバランスよく配置することもできる。また、形状調整用突起38の位置は、図25に示されている様に、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Aの薄肉周縁部63の付け根部或いはその近傍で、形状調整用突起38が薄肉周縁部63に当接するような位置とするのがよい。このような位置に形状調整用突起38を配置した時に、押圧賦勢による薄肉周縁部63の下向き化を最も有効に行うことができる。従って、形状調整用突起38の位置は、容器口部18内に中栓20Aを嵌め込んだ時に生じる薄肉周縁部63の外径の縮小の程度も考慮して設定すべきである。
また、形状調整用突起38の内側の中栓押さえ用の環状突起39は、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Aの水平環状部(フランジ部21)を開口端面18aと接触し得る位置に配置する。更に、この環状突起39は、蓋体31をリシールした時に開口端面18aと密着し、これにより、密封性を確保するという機能を有するものである。従って、この環状突起39は環状でなければならない。なお、形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、この環状突起39は必ずしも必須でないことは前述した通りである。ただし、中栓20Aを取り除く前の水の侵入等を防止する点で、この場合も環状の中栓押さえ用の環状突起39を設けた方が好ましい。
また、薄肉周縁部63の厚みや長さ等も、形状調整用突起38の押圧賦勢による下向き化及びその永久変形が有効に行われ、且つ、この下向きの永久変形によって、中栓係止用突起41と薄肉周縁部63との係合が生じない様に設定される。例えば、薄肉周縁部63の厚みは、100〜200μm 程度が好適である。また、容器口部18内に中栓20Aが嵌合された状態において、薄肉周縁部63と開口端面18aとの間には、下向き化に十分な空間が形成されているべきであり、この点を考慮すると、薄肉周縁部63が連なっている水平環状部(フランジ部21)の厚みは、少なくとも0.5mm以上とするのが好ましい。
また、上述した構造の蓋体31及びオーバーキャップ33は、種々のプラスチックにより形成することができる。具体的には、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等、特に好ましくは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができ、これらのプラスチックを用いての射出成形、圧縮成形等により、各部材を成形することができる。
本実施形態の中栓付容器蓋は、キャッピング前の段階では中栓20Aを容器蓋内に保持し、キャッピング後に容器蓋を容器口部18から取り外すと中栓20Aが容器口部18に残るタイプの容器蓋であり、図22等に示した構造のプッシュプルタイプのキャップとして、各種のインクを充填したスクイズボトルに特に有効に適用される。また、蓋体31の構造も、図22に示した構造に限定されるものではなく、種々の形状乃至構造でインク注出用開口が形成されたものであってよい。
本発明の中栓の他の実施例を示す図26及び図27において、この中栓20Aは、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23と、開栓用の把持部材24とを備えていること、及び側壁部22は周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とを有することにおいては、図18〜図20の実施例のものと共通している。更に、薄肉部分65が側壁部22の結合部25の側に配置され、且つ厚肉部分64が結合部25の反対側に配置されている点でも共通するところがある。
この中栓20Aでは、弧状の把持部材24が側壁部22(薄肉部分65)に一対の離隔した内側が滑らかな連結部としての結合部25,25を介して一体に設けられ、しかも把持部材24は結合部25,25間の周a,bの内、長い方の周aの側に延びている。
側壁部22の形状及び構造並びに把持部材24の断面形状は、図18〜図20のものと同様であるが、把持部材24は、好適には、側壁部22の内径よりも小さな内径の環状部材の一部として形成されており、把持部材24と側壁部22との関係は次のようになっている。即ち、側壁部22を包含する仮想的な環状体と、把持部材24を包含しその延長上にある仮想的な環状体とを考えると、両者は一方の環状体の内周面に他方の環状体の内周面が内接する偏心的な位置関係にある。これらの環状体の内部には成型用の樹脂が充満されており、中栓20Aを形成している。即ち、結合部25,25からの2個の周のうち長い方の周aの部分では側壁部22と把持部材24とが独立に存在するが、短い方の周bの部分では、前記環状体の両方を包含するように側壁部22(薄肉部分65)の内周面が規定されている。一層具体的には、把持部材24と側壁部22(薄肉部分65)とのこの連結構造では、把持部材24の側壁部22への付け根となる端において、側壁部22の厚みが最も大きく、次いで連結部間の中心に向けて厚みが徐々に減少していく部分を介して、結合部25,25間の中心に最も厚みの小さい部分69があり、更に結合部25,25の外側にも薄肉部分65,65が存在している。開栓に際してこの厚みの最も小さい部分69で容器口部18からの取り外しが容易に行われるようになっている。
本実施形態においては、この場合に決して限定されるものではないが、把持部材24の上面を中栓20Aのフランジ部21の上面と面一になるように設けておくことが好ましい。この構造では、中栓20Aの成形が最も容易であると共に、最も厚肉の把持部材24の上面とフランジ部21の上面とが接続されることにより、中栓20Aの開栓による取り外しが容易に行われる。また、この中栓20Aの構造では、把持部材24がフランジ部21の面から突出していないので、中栓付容器蓋全体の高さを低くできるという利点がある。更に、把持部材24の下端縁を通る面が側壁部22外周の膨出部61の少なくとも一部、特に膨出部61の上の部分と交わるような位置関係にしておくことが好ましい。このような配置にすると、開栓に際して、膨出部61を支点として側壁部22外周を容器口部18から離れやすくすることができ、シールブレークや中栓20Aの取り外しを容易に行うことができる。
図26及び図27の中栓20Aにおいて、把持部材24を包含する環状体Bの内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。側壁部22を包含する環状体Aの内径(Ra)との関係においても一定の好適範囲があり、Rb/Raの比は、一般に0.19〜0.86、特に0.44〜0.80の範囲にあることが望ましい。
Rb/Raの比が、上記範囲よりも大きいと、把持部材24の引張を十分に行うことが窮屈となり、開栓性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも小さいと、指の挿入がやはり窮屈となって、開栓性が低下する傾向がある。
図26及び図27の中栓20Aを中栓付容器蓋に適用した場合を、図28及び図29に示す。中栓20A以外の容器蓋の構造及び動作は、図21〜図25において既に説明したものと同様であるので、図28及び図29についてもこれらの説明を参照されたい(図28及び図29については図21〜図25と共通の引照数字が付されている)。
本発明の中栓20Aの更に他の実施例を示す図30及び図31において、この中栓20Aは、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23と、開栓用の把持部材24とを備えていること、及び側壁部22は周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とを有することにおいては、図18〜図20の実施例のものと共通している。更に、薄肉部分65が側壁部22の結合部25の側に配置され、且つ厚肉部分64が結合部25の反対側に配置されている点でも共通するところがある。
この中栓20Aでは、舌片状の把持部材24が側壁部22(薄肉部分65)の内面側コーナー部に結合部25を介して連結されている。把持部材24は結合部25の反対側に且つ上向きに傾斜して延びており、その先端には指での把持を容易にするための把持用ビード24Aが形成されている。
この中栓20Aでも、結合部25の中心と周状の薄肉部分65の中心とはほぼ一致するように構成されており、しかもこの結合部25は側壁部22のコーナー部に直接設けられているので、この結合部25に対応する薄肉部分65の外周面側でシールブレークを確実且つ容易に行うことができる。また、この中栓20Aでは、把持部材24がフランジ部21よりも上方に突き出しているので、指による把持が容易であり、シールブレークとそれに続く開栓を容易に行うことができる。
図30及び図31の中栓20Aを中栓付容器蓋に適用した場合を、図32及び図33に示す。中栓以外の容器蓋の構造及び動作は、図21〜図25において既に説明したものと同様であるので、図32及び図33についてもこれらの説明を参照されたい(図32及び図33については図21〜図25と共通の引照数字が付されている)。
第2実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、開栓用の把持部材24と、開栓用の把持部材24の側壁部22或いは側壁部22近傍の底面部23における結合部25とを備えた中栓20Aを備えている。そして、中栓20Aは、側壁部22に周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とを設け、薄肉部分65を、側壁部22の結合部25に隣接する側或いは底面部23の結合部25に最も近い側壁部分の側に配置し、且つ厚肉部分64をその反対側に配置している。これにより、把持部材24による中栓20Aの開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消されるという利点がある。
また、中栓20Aを容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20Aを開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、底面部23と、開栓用の把持部材24と、開栓用の把持部材24の側壁部22或いは側壁部22近傍の底面部23における結合部25とを備えた中栓20Aを備えている。そして、中栓20Aは、側壁部22に周状に分布した相対的に厚肉の部分64と相対的に薄肉の部分65とを設け、薄肉部分65を、側壁部22の結合部25に隣接する側或いは底面部23の結合部25に最も近い側壁部分の側に配置し、且つ厚肉部分64をその反対側に配置している。これにより、把持部材24による中栓20Aの開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消されるという利点がある。
また、中栓20Aを容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20Aを開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
〔第3実施形態〕
図34は、本実施形態の中栓20Bの概略構造を示す拡大斜視図である。
本実施形態の中栓20Bは、第1実施形態の中栓20と部分的に若干異なっている。その他の構成は、第1実施形態と略同様となっている。
図34は、本実施形態の中栓20Bの概略構造を示す拡大斜視図である。
本実施形態の中栓20Bは、第1実施形態の中栓20と部分的に若干異なっている。その他の構成は、第1実施形態と略同様となっている。
本実施形態の中栓20Bは、容器口部18の開口端面18aと係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23とを備えている。この中栓20Bでは、弧状の把持部材24が側壁部22に一対の離隔した内側が滑らかな結合部25,25を介して一体に設けられ、しかも把持部材24は結合部25,25間の周a,bの内、長い方の周aの側に延びている。
上記の把持部材24と側壁部22との連結構造では、これらが結合部25,25の内側において滑らかに接続されているため、結合部25,25の部分は、他の側壁部22や把持部材24に比して厚肉であり、把持部材24を引っ張ったときにも伸びにくく、引張力が側壁部22に伝達されやすい構造となっている。
また、本実施形態の中栓20Bでは、把持部材24が結合部25,25間の周a,bの内、長い方の周aの側に延びているので、把持部材24による引張力が側壁部22の短い方の周bに集中的に加わり、シールブレークと中栓20Bの開栓とがこの順序に、しかも容易に進行するという利点が得られる。
即ち、開栓に際して、把持部材24を指で摘み、開栓方向に引っ張ると、先ず、離隔した一対の結合部25,25が径内方に且つ長い方の周の側に引っ張られ、これにより、側壁部22の外周面と容器口部18の内周面とのシールブレークが発生する。次いで、この剥離力は、一対の結合部25,25或いはその近傍の両側から、側壁部22の短い方の周bに沿って、しかも短い方の周bの中心Cに向かって、シール幅が次第に狭まるように開栓操作が進行する。
このため、本実施形態によれば、中栓20Bの開栓に際して、常に中栓20Bのシールブレークが優先して行われ、その後開栓、即ち中栓20Bの取り外しが進行するので、開栓に際してインクの液飛びが発生するのが完全に抑制され、しかも中栓20Bの容器16からの取り外し点(短い方の周の中心C)に両側から応力が集中するように開栓が行われるので、開栓操作も至って容易且つ確実に行われるという利点が達成されるものである。
本実施形態の中栓20Bでは、シールブレークと開栓との間にインクの液飛びを防止するようなタイムラグを設けること、及び易開栓性を維持することに関して、結合部25,25を境界とした長い方の周aと短い方の周bとの間には、一定のバランス(一定の比率)があることが好ましい。即ち、一対の結合部25,25が、把持部材24の反対側で、即ち短い方の周bの側で、中栓20Bの中心から30〜110度、特に50〜100度の開き角度(θ)となるように設けられていることが好ましい。
即ち、この開き角度(θ)が上記範囲よりも小さいと、シールブレークと開栓(中栓20Bの取り外し)とが時間的に近接するため、開栓に際してインクの液飛びが発生する傾向があり、また開栓に際して把持部材24の変位量が大きくなりすぎて開栓しにくくなるという傾向もある。一方、この開き角度(θ)が上記範囲よりも大きいと、一対の結合部25,25間の間隔が広くなりすぎて、開栓力が大きくなりすぎ、また中栓20Bの容器16からの取り外し点(短い方の周の中心C)に両側から応力が集中するように開栓を行うことも困難となって、易開栓性が損なわれる傾向がある。
本実施形態に用いる中栓20Bでは、密封信頼性の点で、側壁部22はその外周に外向きの膨出部61を有することが好ましく、この場合にも、シールブレーク及び開栓が容易に行われるように、把持部材24の結合部25,25はその下端を含む面が膨出部61の一部と交わるように設けられていることが好ましい。この構成によれば、把持部材による開栓力が直接膨出部61に加わるので、開栓操作が円滑に行われる。
本実施形態に関し、図面を参照して更に説明する。添付図面において、図34は、本実施形態の中栓20Bの概略構造を示す拡大斜視図であり、図35は、中栓20Bの概略構造を示す側断面図であり、図36は、中栓20Bの概略構造を示す上面図である。また、図37は、中栓付容器蓋の好適例を容器口部18と共に示す側断面図であり、図38は、図37の容器蓋における中空筒45と柱状体46との関係を示す蓋体31の平面図であり、図39Aは、図37の容器蓋における弁部材50の上昇によって注出路48が開放され、容器内容液の注出が可能となっている状態を示す側断面図であり、図39Bは、段差部の他の例(段差部56A)を示す側断面図である。図40は、図37の容器蓋を容器口部18に螺合する前の状態を示す側断面図であり、図41は、図37の容器蓋の機能を説明するための要部拡大側断面図であり、図42は、図37の容器蓋における中栓20Bを取り除いた後に、再び蓋体31を容器口部18に装着した状態を示す側断面図である。
図34〜図36において、中栓20Bは、容器口部18の開口端面18a(図37参照)と係合するフランジ部21と、容器口部18の内周面(図37参照)と係合する側壁部22と、閉塞している底面部23とを備えている。この中栓20Bでは、弧状の把持部材24が側壁部22に一対の離隔した内側が滑らかな、連結部としての結合部25,25を介して一体に設けられ、しかも把持部材24は結合部25,25間の周a,bの内、長い方の周aの側に延びている。
側壁部22は全体として円周状に形成されており、その内周面29は、型抜きが容易に行えるように、下向きに径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。一方、その外周面60には、フランジ部21よりも下方に離隔した位置に、径外方向に最も膨出した膨出部61が形成されている。膨出部61の下方には、下向きに径が縮小するテーパー部が形成されていて、容器口部18への打栓が容易に行えるようになっている。
一方、把持部材24は、好適には、側壁部22の内径よりも小さな内径の環状部材の一部として形成されている。把持部材24と側壁部22との関係は次のようになっている。即ち、側壁部22を包含する仮想的な環状体Aと、把持部材24を包含しその延長上にある仮想的な環状体Bとを考えると、両者は環状体Aの内周面に環状体Bの内周面が内接する偏心的な位置関係にある。これらの環状体A及びBの内部には成型用の樹脂が充満されており、中栓20Bを形成している。即ち、結合部25,25からの2個の周のうち長い方の周aの部分では側壁部22と把持部材24とが独立に存在するが、短い方の周bの部分では、環状体A及びBの両方を包含するように側壁部22の内周面が規定されている。一層具体的には、把持部材24と側壁部22とのこの連結構造では、把持部材24の側壁部22への付け根28となる端において、側壁部22の厚みが最も大きく、次いで結合部間の中心に向けて厚みが徐々に減少していく部分22Aがあり、結合部間の中心に最も厚みの小さい部分22Bがあり、開栓に際してこの厚みの最も小さい部分22Bで容器口部18からの取り外しが容易に行われるようになっている。
把持部材24の内周面24Bは、側壁部22の内周面29とほぼ同様に下向きに径が小さくなるテーパー面を形成しており、また把持部材24の外周面24Cも下向きに径の小さくなるテーパー面を形成しているが、外周面24Cのテーパー角度の方が大きく、把持部材24の径方向の厚みは下向きに次第に小さくなっている。上記の厚み分布を持たせた把持部材24では、成形時の型抜きが容易であり、例えば、把持部材24の内周面24Bより内側の型を先ず抜き、次いで外側の型を無理抜きすることにより、型抜きを容易に行うことができる。
本実施形態においては、この場合に決して限定されるものではないが、把持部材24の上面を中栓20Bのフランジ部21の上面と面一になるように設けておくことが好ましい。この構造では、中栓20Bの成形が最も容易であると共に、最も厚肉の把持部材24の上面とフランジ部21の上面とが接続されることにより、中栓20Bの開栓による取り外しが容易に行われる。更に、把持部材24の下端縁24Dを通る面が側壁部22外周の膨出部61の少なくとも一部、特に膨出部61の上の部分と交わるような位置関係にしておくことが好ましい。このような配置にすると、開栓に際して、膨出部61を支点として側壁部22外周を容器口部18から離れやすくすることができ、シールブレークや中栓の取り外しを容易に行うことができる。
把持部材24の内周面24Bには、指の掛かりをよくするためのリブ62が2本周方向に伸びるように設けられている。また、把持部材24の中央は成形に際して、2分された樹脂流が合流するウェルドラインとなるが、開栓に際してこの部分が破壊するのを防止するため、相対的に厚肉の補強部を設けてもよい。
中栓20Bの底面部23の上面の中心には、凹部を形成して、成形時のゲート残留部が露出して指に触れるのを防止するように構成してもよい。
この具体例においては、中栓20Bのフランジ部21の外周に、薄肉でしかも幅の狭い薄肉周縁部63が形成されており、この薄肉周縁部63は、中栓20Bをキャップ内にセットした状態で同時に打栓を可能にし、中栓20Bを開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しを可能とするものであるが、その作用については、後から詳述する。
本実施形態の中栓20Bにおいて、把持部材24を包含する環状体Bの内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。側壁部22を包含する環状体Aの内径(Ra)との関係においても一定の好適範囲があり、Rb/Raの比は、一般に0.19〜0.86、特に0.44〜0.80の範囲にあることが望ましい。
Rb/Raの比が、上記範囲よりも大きいと、把持部材24の引張を十分に行うことが窮屈となり、開栓性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも小さいと、指の挿入がやはり窮屈となって、開栓性が低下する傾向がある。また、把持部材24の径方向の厚みは、上面部で0.70〜1.05mmの範囲にあることが、開栓性の点で好適である。
なお、本実施形態の把持部材24の上面からの形状は内径(Rb)が一定の円形状に形成されている。しかし、これに限らず、指の挿入が可能な楕円形状であってもよい。この場合、楕円形状の長軸方向に対応する内径をRbとした場合、Rb/Raの比は確保することが望ましい。
中栓20Bを構成する樹脂材料は、それ自体公知の任意のプラスチックで形成されていることができるが、比較的柔らかい樹脂材料、例えばオレフィン系樹脂で形成されていることが望ましい。特に弾性率(JISK7203)が2000〜10000kg/cm2のオレフィン系樹脂、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)や線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)から形成されていると、シールブレークと開栓とにタイムラグをもうけた開栓を容易に行うことが可能となる。
本発明は、任意の中栓付容器蓋に適用でき、特に流通時には中栓を密栓状態に維持し、内容物の使用時には、中栓のみを取り外すような容器蓋に広く適用することができる。
本発明が好適に適用される中栓付容器蓋の一例として、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられているものを挙げることができる。この場合、前記中栓はフランジ部外周に薄肉周縁部を有する中栓であり、前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、前記水平フランジ部の内面には、該蓋体を容器口部に装着して螺子固定した時に前記薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることが好ましい。以下、この例について説明する。
図37において、この容器蓋は、合成樹脂製の蓋体31と、合成樹脂製の中栓20Bとから構成されており、さらに必要によりオーバーキャップ33を備えている。蓋体31は、おおまかに言って頂板部35と、スカート部36とから成っている。
頂板部35には水平フランジ部37が形成されており、この水平フランジ部37の外側端部からスカート部36が下方に垂下している。水平フランジ部37の内面には、形状調整用突起38が形成されている。更に形状調整用突起38の内側となる位置に中栓押さえ用の環状突起39を形成しておくのが好ましい。これら突起38,39の機能については後述する。
スカート部36の内面には螺条40が形成されており、この螺条40により、蓋体31が容器口部18へ着脱自在に係合固定される。即ち、容器口部18の外面には、螺条19が形成されており、上記の螺条40とこの螺条19との螺合により、蓋体31が容器口部18に固定される。また、スカート部36の内面の螺条40よりも上方部分には、水平フランジ部37とは小間隔を置いて中栓係止用突起41が形成されている。この中栓係止用突起41の機能についても後述する。
上記の容器蓋において、蓋体31の頂板部35の中央部分には、上方に直立した中空筒45が形成されており、この中空筒45内の中空空間は、頂板部35の下側空間と連通しており、中栓20Bがなければ、容器内に通じている。一方、中空筒45内には、柱状体46が上方に延びており、その上端は、中空筒45から突出している。この柱状体46と中空筒45との位置関係を示す平面図を図38に示した。この図38に示されている様に、柱状体46は、一定間隔で設けられているブリッジ47によって中空筒45の内側に保持されており、中空筒45内の空間は、このブリッジ47によっては閉じられておらず、従って、中空筒45の内面と柱状体46の外面との間の空間が注出路48を形成し、この注出路48を通して、インクの注ぎ出しが行われる。
再び、図37に戻って、中空筒45には、弁部材50が上下にスライド可能に嵌め込まれている。この弁部材50の上下動によって、上述した注出路48が開放されたり、或いは閉じられたりするのであり、図39Aには、この弁部材50が上昇して注出路48が開放された状態の側断面図を示した。図37と共に図39Aを参照して、弁部材50は、天井壁51と、天井壁51から下方に延びているインナーリング52及び外側筒状壁53とから構成されており、インナーリング52と外側筒状壁53との間に中空筒45がスライド可能に嵌め込まれている。また天井壁51の中央部分には、開口54(図39A参照)が形成されている。
即ち、図37に示されている様に、弁部材50が最下方位置にある時(常態)には、柱状体46の上端部が開口54を閉じており、従って、この状態では、注出路48が塞がれ、インクの注出を行うことができない。一方、図39A,図39Bに示した様に、弁部材50を上昇させると、開口54が開放され、注出路48が外部に通じる。従って、この状態でインクの注ぎ出しを行うことが可能となるわけである。このような構造では、一般の作業者は、例えば一方の手で容器を持ちながら、他方の手で弁部材50を引っ張り上げることができるので、インクを注入する際に極めて便利である。
特に、図39Aに示すように、弁部材50の外側筒状壁53の下端内面には、アンダーカット55が形成されており、一方、中空筒45の上方部分外面には段差部56を設けることが好ましい。即ち、アンダーカット55と段差部56との係合により、弁部材50が上昇し過ぎて外れてしまうというトラブルを防止できる。
なお、段差部は、図39Aに示す段差部56のようにエッジではなく、図39Bに示す段差部56Aのように、緩やかなカーブを描く形状としてもよく、弁部材50をスムーズに動作させることができる。
また、図37から明らかな様に、本実施形態の容器蓋は、弁機構への外部衝撃からの保護、或いは、衛生性、商品価値などの点で、オーバーキャップ33を設けた形で市販に供される。このために、頂板部35の中空筒45の外側部分には、略直立した段差部32を形成しておき、この部分にオーバーキャップ33を係止する様な構造とすることが望ましい。
中栓20Bの構造は、既に、図34から図36を引用して説明したとおりのものである。本実施形態においては、中栓20Bに薄肉周縁部63が形成されていることが重要であり、この薄肉周縁部63と蓋体31のスカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41との係合関係が、頂板部35の水平フランジ部37の内面に形成されている形状調整用突起38によりコントロールされる。これにより、キャッピング前では、中栓20Bが蓋体31内に安定して保持され、キャッピング終了後、蓋体31の開封にあたっては、中栓20Bの保持が解除され、中栓20Bと分離して蓋体31のみを容器口部18の開口端面18aから取り除くことができるのである。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図40と共に図41を参照して説明する。
以下、この薄肉周縁部63と形状調整用突起38との機能を図40と共に図41を参照して説明する。
本実施形態の容器蓋では、キャッピングに先立って中栓20Bは蓋体31内に挿入されるが、この状態において、中栓20Bの薄肉周縁部63は、図40に示されている様に、スカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41と係合するようになっている。従って、中栓20Bの蓋体31からの脱落が有効に防止され、キャッピング工程への搬送及びキャッピングを確実に行うことができる。
次いで、図40の状態で、インクが充填された容器口部18へのキャッピングが行われる。蓋体31を閉栓方向に旋回させてキャッピングを行っていくと、蓋体31の降下によって中栓20Bも押し下げられ、キャッピング終了時には、図41に示されている様に、中栓20Bは容器口部18内に嵌め込まれる。容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Bでは、その筒状の側壁部22が容器口部18によって絞られているから、薄肉周縁部63の外径(中栓20Bの最外径)は若干縮小している。また、この状態において、水平フランジ部37の内面に形成されている中栓押さえ用の環状突起39は、中栓20Bの水平環状部(フランジ部21)にがっちりと食い込み、従って、中栓20Bはしっかりと容器口部18に固定され、密封が確実なものとなる。一方、中栓20Bの水平環状部(フランジ部21)の外側に位置している薄肉周縁部63には、その付け根部分からその近傍に形状調整用突起38が食い込み、この結果、薄肉周縁部63が下向きの状態に傾斜し、その外径は一層小さくなっている。即ち、キャッピングが完全に終了した図41の状態では、薄肉周縁部63の外径が小さくなっているため、このままの状態で蓋体31を上昇させた時、薄肉周縁部63は、中栓係止用突起41とは係合しないようになっている。
図41のように、蓋体31及び中栓20Bが容器口部18に装着された容器は、この状態で市販され、これを購入した一般作業者は、先ず、蓋体31を開栓方向に旋回させて蓋体31を上昇させ、蓋体31を容器口部18から取り除く。蓋体31を開栓方向に旋回して上昇させると、当然のことながら、形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢は解除される。ところで、キャッピング終了時から一般の作業者が蓋体31の開栓を行うまでは長時間が経過しており、この間、ずっと図41に示された形状調整用突起38による薄肉周縁部63の押圧賦勢が行われている。薄肉周縁部63は合成樹脂製であり、薄肉であることも関連して、極めて変形し易い。即ち、一般作業者が蓋体31を開栓する時点では薄肉周縁部63は永久変形しており、形状調整用突起38による押圧賦勢が解除された後も、薄肉周縁部63は下向きの状態のままの形状を保持しており、依然として、薄肉周縁部63の外径は、図41のように小さいままになっている。従って、蓋体31が開栓により上昇しても、中栓係止用突起41は薄肉周縁部63と接触せず、両者の係合は生じないのである。かくして本実施形態によれば、蓋体31の開栓によって、蓋体31のみが上昇して容器口部18から取り除かれ、中栓20Bは、容器口部18にそのまま残存することになる。
蓋体31を容器口部18から取り除いた後は、既に説明したとおり、把持部材24を手で持って引っ張り上げることにより、容器口部18に残存している中栓20Bを取り出して廃棄する。次いで、再び蓋体31を容器口部18に装着する。この状態を図42に示した。図42から明らかな通り、中栓20Bを取り除いた容器口部18に蓋体31を装着すると、形状調整用突起38及び中栓押さえ用の環状突起39が開口端面18aに圧接することになり、特に環状突起39が環状に形成されていることから、容器内の密封性は十分に確保される。また、この状態では、容器内空間は蓋体31に形成されている注出路48に連通しているため、一般の作業者は、弁部材50を上昇させてインクの注ぎ出しを行うことができ、弁部材50を降下させることにより、注出路48を閉じることができる。
上述した本実施形態において、形状調整用突起38は、押圧賦勢により中栓20Bの薄肉周縁部63が全体的に下向きとなるように設定すべきであり、このために、この形状調整用突起38はリング状に形成されていることが好ましい。この場合には、中栓20Bを取り除いた容器口部18に蓋体31を装着したときの密封性の点でも有利である。形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、中栓20Bを除去した後のシール性が、形状調整用突起38と開口端面18aとの圧着により確保されるため、前述した環状突起39を形成しないでもよいこともある。勿論、薄肉周縁部63が全体的に下向きとなる限りにおいて、適当な間隔で多数の形状調整用突起38をリング状にバランスよく配置することもできる。また、形状調整用突起38の位置は、図41に示されている様に、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Bの薄肉周縁部63の付け根部或いはその近傍で、形状調整用突起38が薄肉周縁部63に当接するような位置とするのがよい。このような位置に形状調整用突起38を配置した時に、押圧賦勢による薄肉周縁部63の下向き化を最も有効に行うことができる。従って、形状調整用突起38の位置は、容器口部18内に中栓20Bを嵌め込んだ時に生じる薄肉周縁部63の外径の縮小の程度も考慮して設定すべきである。
また、形状調整用突起38の内側の中栓押さえ用の環状突起39は、容器口部18内に嵌め込まれた中栓20Bの水平環状部(フランジ部21)を開口端面18aと接触し得る位置に配置する。更に、この環状突起39は、蓋体31をリシールした時に開口端面18aと密着し、これにより、密封性を確保するという機能を有するものである。従って、この環状突起39は環状でなければならない。なお、形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、この環状突起39は必ずしも必須でないことは前述した通りである。
また、薄肉周縁部63の厚みや長さ等も、形状調整用突起38の押圧賦勢による下向き化及びその永久変形が有効に行われ、且つ、この下向きの永久変形によって、中栓係止用突起41と薄肉周縁部63との係合が生じない様に設定される。例えば、薄肉周縁部63の厚みは、100〜200μm 程度が好適である。また、容器口部18内に中栓20Bが嵌合された状態において、薄肉周縁部63と開口端面18aとの間には、下向き化に十分な空間が形成されているべきであり、この点を考慮すると、薄肉周縁部63が連なっている水平環状部(フランジ部21)の厚みは、少なくとも0.5mm以上とするのが好ましい。
また、上述した構造の蓋体31及びオーバーキャップ33は、種々のプラスチックにより形成することができる。具体的には、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等、特に好ましくは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができ、これらのプラスチックを用いての射出成形、圧縮成形等により、各部材を成形することができる。
本実施形態の中栓付容器蓋は、キャッピング前の段階では中栓20Bを容器蓋内に保持し、キャッピング後に容器蓋を容器口部18から取り外すと中栓20Bが容器口部18に残るタイプの容器蓋であり、図37等に示した構造のプッシュプルタイプのキャップとして、各種のインクを充填したスクイズボトルに特に有効に適用される。また、蓋体31の構造も、図37に示した構造に限定されるものではなく、種々の形状乃至構造でインク注出用開口が形成されたものであってよい。
第3実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、中栓20Bの側壁部22に把持部材24を特定の関係に設けることにより、把持部材24による中栓20Bの開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消されるという利点がある。また、上記中栓20Bを容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20Bを開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
(1)本実施形態のインク補給容器15によれば、中栓20Bの側壁部22に把持部材24を特定の関係に設けることにより、把持部材24による中栓20Bの開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際してのインクの液飛びが有効に解消されるという利点がある。また、上記中栓20Bを容器蓋と共に同時に容器口部18に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓20Bを開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
〔第4実施形態〕
本実施形態のインク補給容器15Aに関し、図面を参照して説明する。
図43Aは、本実施形態のインク補給容器15Aにおいて、キャップ78を取り付けた状態の容器口部18の略示拡大断面図であり、図43Bは、キャップ78を取り外してつまみ部73を起立させた状態の容器口部18の略示断面斜視図である。なお、図43Aは、本実施形態のインク補給容器15Aを示しており、図43Bは、インク補給容器15Aのキャップ78を取り外した状態を示している。また、図44Aは、インナーシール70の平面図であり、図44Bは、図44A中のE−E線略示断面図であり、図44Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシールの略示断面図であり、図45A〜図45Dは、インナーシール70の製造方法の説明図である。
本実施形態のインク補給容器15Aに関し、図面を参照して説明する。
図43Aは、本実施形態のインク補給容器15Aにおいて、キャップ78を取り付けた状態の容器口部18の略示拡大断面図であり、図43Bは、キャップ78を取り外してつまみ部73を起立させた状態の容器口部18の略示断面斜視図である。なお、図43Aは、本実施形態のインク補給容器15Aを示しており、図43Bは、インク補給容器15Aのキャップ78を取り外した状態を示している。また、図44Aは、インナーシール70の平面図であり、図44Bは、図44A中のE−E線略示断面図であり、図44Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシールの略示断面図であり、図45A〜図45Dは、インナーシール70の製造方法の説明図である。
本実施形態は、第1実施形態から第3実施形態のインク補給容器15で説明した中栓20,20A,20Bと異なり、シール材をインク補給容器15A(容器16)の容器口部18(開口端面18a)に貼り付けた実施形態となる。
図43A、図43Bに示すインク補給容器15Aにおいて、18は容器口部、70は容器口部18の開口端面18aに固着されたインナーシール、78はインナーシール70の上から取り付けられた螺着式のキャップである。図示例の場合、容器口部18の開口端面18aを封緘するインナーシール70は、アルミ箔71の裏面側にポリエチレンフィルム72をコーティングまたはラミネートした2層構造の積層フィルムからなっている。そして、インナーシール70の全体は容器口部18の開口端面18aと同一径の円形状に裁断されているとともに、その表面側右寄り位置(図示において)には、積層フィルムを外側に向けて山形に折り曲げることによって形成した所定幅のつまみ部73が一体形成されている。この平面視円形状になるインナーシール70を開口端面18a上に載せ、その周縁部を開口端面18aに融着することにより、容器16の内部を気密に封緘したものである。
インナーシール70は、例えば図45A〜図45Dに示すような方法で製造される。すなわち、図45Aに示すように、アルミ箔71の裏面にポリエチレンフィルム72をコーティングまたはラミネートした2層構造となる積層フィルム74を用意する。次に、この積層フィルム74を一点鎖線L1 と点線L2 との位置で山と谷に折り曲げて、図45Bに示すように山折りすることにより、つまみ部73を形成する。次に、このつまみ部73を図45Cに示すようにシート表面に沿って折り畳んで寝かせ、このシート表面に沿って寝かされたつまみ部73の部分を加熱しながら加圧することにより、つまみ部73の内側のポリエチレンフィルム72の部分を溶融し、山折りとなっているつまみ部73を一体に溶着する。そして、図45Dに示すように、容器口部18の外径と同じ寸法の円形状に裁断することにより、図44A、図44Bに示すような形状となるインナーシール70を得る。
上記のようにして製造されたインナーシール70を用いて容器口部18の開口端面18aを封緘するには、キャップ78を外した状態において、図43Aに示すように、インナーシール70を容器口部18の開口端面18a上に載せ、この状態で上方からインナーシール70を開口端面18aに向けて加熱しながら押し付ける。これにより、インナーシール70の裏面側のポリエチレンフィルム72が溶融して、開口端面18aに融着して剥離可能に固着される。そして、最後にキャップ78を螺着する。
内容物(インク)の使用に際しては、まずキャップ78を外した後、シール表面に沿って寝かされた状態となっているつまみ部73を図43Bに示すように引き起こして起立させる。そして、この起立したつまみ部73をつかみ、インナーシール70の全体を容器口部18の開口端面18aから引き剥がせばよい。これによって容器口部18が開放される。その後、容器口部18をタンク9のインク注入部11(図1)にあてがい、インクをタンク9内に補給することができる。
本実施形態の場合、インナーシール70の表面側につまみ部73が突出しているので、このつまみ部73をつかむことにより、充分な力をかけてインナーシール70を開封することができる。このため、シール強度を高めて密封したインナーシールであっても、簡単かつ確実に全面剥離することができる。また、従来のように先鋭な部材(フォークや箸等)を使い、突き刺してこじ開ける必要が無くなるので、剥離残りが発生するようなことがない。
また、インナーシール70は、容器口部18の外径寸法と同寸とすることができるので、容器口部18の外周から突出するシール部分を完全になくすことができ、製造時にキャップ78がネジ掛かりすることもなくなり、キャップ78が斜めに締まったりすることもなくなる。また、作業者がインナーシール70を剥がす際に、周縁部から突出した鋭利な破断面で指などを切って怪我をするようなこともなくなる。
さらに、つまみ部73は、インナーシール70の表面側に位置して、2枚重ねによるかなりの厚さと、容器口部18を横切るかなりの幅からなる大きさに形成することができる。このため、周縁の一部にシール剥がし用の舌片を突出形成した従来のインナーシールのように、舌片のみが引きちぎれてインナーシールを引き剥がすことができなくなるというようなこともなくなる。
なお、本実施形態では、アルミ箔71の裏面側に積層したポリエチレンフィルム72を加熱溶融することにより、容器口部18の開口端面18aに剥離可能に固着した場合を例示したが、接着剤を用いて貼り付けてもよいものである。
また、本実施形態では、インナーシール70の製造に際し、図45Cのように積層フィルム74を折り畳んで寝かせた状態で、その上からつまみ部73の部分を加熱しながら加圧することにより、内側のポリエチレンフィルム72を溶融させ、つまみ部73の部分を一体に溶着したが、この熱溶着を省略し、図45Cのように折り畳んだ状態で、そのまま図45Dのように円形に裁断してインナーシール70としてもよい。
この場合、つまみ部73の部分は熱溶着されておらず、そのままでは山折りした隙間から空気が入り込むおそれがある。しかし、このインナーシール70を容器口部18の開口端面18a上に載せ、インナーシール70を開口端面18aに沿って加熱加圧して開口端面18aに固着する際、開口端面18aと接するつまみ部73の周縁部も同時に加熱溶着されるので、この時点でつまみ部73の隙間部分が熱融着して塞がれ、インナーシールとしての気密性を確保することができる。
〔第5実施形態〕
本実施形態のインナーシール70Aを、図46A〜図46Cに示す。図46Aは、インナーシール70Aの平面図であり、図46Bは、図46A中のF−F線略示断面図であり、図46Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシール70Aの略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Aを、図46A〜図46Cに示す。図46Aは、インナーシール70Aの平面図であり、図46Bは、図46A中のF−F線略示断面図であり、図46Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシール70Aの略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Aは、アルミ箔71を折り曲げてつまみ部73を形成した後、その裏面側にポリエチレンフィルム72をコーティングして2層構造のインナーシール70Aとしたものである。なお、その他の構成ならびに作用効果は、前記第4実施形態の場合と同様であるから、その詳細な説明は省略する。
〔第6実施形態〕
本実施形態のインナーシール70Bを、図47A〜図47Cに示す。図47Aは、インナーシール70Bの平面図であり、図47Bは、図47A中のG−G線略示断面図であり、図47Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシール70Bの略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Bを、図47A〜図47Cに示す。図47Aは、インナーシール70Bの平面図であり、図47Bは、図47A中のG−G線略示断面図であり、図47Cは、つまみ部73を起立させた状態のインナーシール70Bの略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Bは、前記第5実施形態と同様な構成において、つまみ部73を円形状のインナーシール70Bの中心位置を横切るように形成した場合の例を示すものである。上述した第4実施形態および第5実施形態の場合、つまみ部73は、インナーシール70,70Aの中心位置から左右いずれかへずらし、左右非対称とすることによってインナーシール70,70Aをより引き剥がし易くした場合を例示したが、図47A〜図47Cに示すように、つまみ部73をインナーシール70Bの中心位置に設けても充分に引き剥がすことができる。
〔第7実施形態〕
本実施形態のインナーシール70Cを、図48A、図48Bに示す。
図48Aは、インナーシール70Cの斜視図であり、図48Bは、図48A中のH−H線略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Cを、図48A、図48Bに示す。
図48Aは、インナーシール70Cの斜視図であり、図48Bは、図48A中のH−H線略示断面図である。
本実施形態のインナーシール70Cは、インナーシール70Cを二分割構成とすることにより、つまみ部73(73a,73b)をシール表面の一部分のみに突設するようにした場合の例を示すものである。
すなわち、インナーシール70Cを、アルミ箔71aとポリエチレンフィルム72aの積層フィルムからなるシール片と、アルミ箔71bとポリエチレンフィルム72bの積層フィルムからなるシール片との2つのシール片に分割する。そして、この2つのシール片の突き合わせ位置に、シール表面の一部分にのみ突出するつまみ部73a,73bを形成しておき、左右のシール片をつまみ部73a,73b同士が重なるように突き合わせる。その後、つまみ部73a,73bの部分を加熱して、その内側のポリエチレンフィルム72a,72bを溶着することにより、つまみ部73がシール表面の一部にのみ存在するインナーシール70Cを形成したものである。
このような構造のインナーシール70Cとした場合、つまみ部73をインナーシール70C内の一部にのみに形成しているため、容器口部18の形状や容器口部18に被着されるキャップ78の構造に応じてつまみ部73の形状や大きさを自由に変えることができ、容器仕様に柔軟に対応することが可能となる。
なお、上述した実施形態は、いずれも、アルミ箔の裏面にポリエチレンフィルムをコーティングまたはラミネートした2層構造の積層フィルムを用いてインナーシール70,70A,70B,70Cを形成したが、2層構造に限られるものではなく、多層構造の積層フィルムを用いてもよいことは勿論である。また、積層される合成樹脂フィルムはアルミ箔の裏面側だけでなく、表側にもコーティングまたはラミネートしてもよいものである。さらに、アルミ箔に代えて、紙箔を用いても同様に実現できるものである。
上述した第4実施形態から第7実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15Aにおけるインナーシールと容器とによれば、インナーシールの一部が容器16外側に向かって山折りに折り曲げられまたは突出され、該折り曲げまたは突出された部分がシール引き剥がし時のつまみ部とされているので、このつまみ部をつかんで引き剥がすことにより、尖鋭な部材を使ってこじあげたり、破ったりすることなしに、簡単に開けることができる。このため、インナーシールの剥離残りもなく、容易に全面剥離することができる。従って、インナーシールの引き剥がし時に、引き剥がしのし易さを向上させると共に、インクの液飛びを防止することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15Aにおけるインナーシールと容器とによれば、インナーシールの一部が容器16外側に向かって山折りに折り曲げられまたは突出され、該折り曲げまたは突出された部分がシール引き剥がし時のつまみ部とされているので、このつまみ部をつかんで引き剥がすことにより、尖鋭な部材を使ってこじあげたり、破ったりすることなしに、簡単に開けることができる。このため、インナーシールの剥離残りもなく、容易に全面剥離することができる。従って、インナーシールの引き剥がし時に、引き剥がしのし易さを向上させると共に、インクの液飛びを防止することができる。
(2)本実施形態のインク補給容器15Aにおけるインナーシールは、シール表面側に厚みのあるつまみ部が形成されるため、つかみやすくなり、インナーシールを確実に剥離することができ、シールが途中で破断するようなこともなくなる。また、インナーシールの径を容器口部18と同寸とすることができるので、従来のインナーシールのように容器の口部周縁から突出するつまみ部分などの鋭利な破断面がなくなり、この部分が爪の間に入ったり、指に当たったりして、怪我をするようなこともなくなる。
(3)本実施形態のインク補給容器15Aにおけるインナーシールは、キャップを嵌める際にネジ掛かりが悪くなってキャップが斜めに締まったりするなどの問題もなくなり、製造時における不良品の発生を低減することができる。
〔第8実施形態〕
本実施形態に関し、図面を参照して説明する。
図49は、本実施形態のインク補給容器15Bにおけるインナーシール80を示す斜視図であり、図50は、シール材を剥がす説明図であり、図51は、その他の実施例を示す斜視図であり、図52は、つまみ部の断面拡大図である。なお、図49〜図52は、インク補給容器15Bからキャップ(図示省略)を取り外した状態を示している。
本実施形態に関し、図面を参照して説明する。
図49は、本実施形態のインク補給容器15Bにおけるインナーシール80を示す斜視図であり、図50は、シール材を剥がす説明図であり、図51は、その他の実施例を示す斜視図であり、図52は、つまみ部の断面拡大図である。なお、図49〜図52は、インク補給容器15Bからキャップ(図示省略)を取り外した状態を示している。
図において、インク補給容器15Bは、容器口部18の開口端面に固着され、容器内を気密に封緘し、且つつまみ部83を有するインナーシール80を備え、インナーシール80は、前記開口端面にシール材を載置した状態で、前記シール材の一部を開口端面の一側に所定つまみ長さの略2倍に延長し、延長部分を前記容器口部18の上方へ谷折りし、更に、折り曲げた延長部分のシール面(シーラント層81)を内側にして略半分に山折りし、該シール材の断面が略Z形状に折り返した状態で容器口部18の開口端面に剥離可能に固着したインナーシール80で、前記インナーシール80を用いて容器口部18を封緘した容器16であって、該インナーシール80を剥離する際に容器口部18上に折り返し形成したつまみ部83が容器口部18と略同幅にしてあるインナーシール80を用いた容器である。
容器16の容器口部18の開口端面にインナーシール80が口部形状の熱板(図示省略)により固着して、容器16内を気密に封緘しており、つまみ部83は容器口部18上面(開口端面)に形成してある。インナーシール80を剥がす際にはつまみ部83を起こして手指でつまみ上げ、上方ないし、つまみ部83と反対方向へ引き剥がすことにより簡単にしかもきれいにインナーシール80が引き剥がされる。
なお、作業者は、インナーシール80を引き剥がして、容器口部18を開放した場合、その後、容器口部18をタンク9のインク注入部11(図1)にあてがい、インクをタンク9内に補給することができる。
なお、作業者は、インナーシール80を引き剥がして、容器口部18を開放した場合、その後、容器口部18をタンク9のインク注入部11(図1)にあてがい、インクをタンク9内に補給することができる。
インナーシール80は、その構成を外方からポリエチレンテレフタレート/ナイロン/イージピールポリエチレンで、総厚みが95μmであり、幅100mmのロールシートでそのシートの長手方向に20mmの幅で山折りと谷折りを行ない、その断面は略Z形状で幅60mmの一部分が3枚重ねとし、長さを57mmで切断して一枚のシートを得た。そのシートを容器口部18(材質はポリエチレンのブロー容器)外径55mmの容器口部18の開口端面に載置し、その上部より熱板(設定温度160℃、加熱時間3秒)にて溶着した。
なお、図52に示すように、つまみ部83の山折り合わせ面はシーラント層81が相対しており、容器口部18への溶着と同時に2重に重ねられたつまみ部83の2枚が熱板で溶着される。また、谷折り部はシートを構成する樹脂フィルム82の最外層は融点の高い樹脂を選定し、熱板加熱時においても溶着されることはなくその折癖のみが付加される。
なお、インナーシール80の材質は特に限定はなく、必要に応じてEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)などのバリア層を用いることができる。
なお、インナーシール80の材質は特に限定はなく、必要に応じてEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)などのバリア層を用いることができる。
引き剥がしに要した力は、1.5kg・f((株)イマダ製 プッシュプルゲージ TypeDPSII−10R)であり、インナーシール80の引き剥がしは、つまみ部83が指先でつまむのに必要十分な大きさで、指でつまんで簡単に引き剥がすことができるものであった。
図51は、その他の実施例で、インナーシール80にキャップを併用する場合のインナーシール80を示し、つまみ部83の谷折り部の角85以外は容器口部18の形状に合わせてある。つまみ部83の谷折り部の角85はネジの方向に折りまげてキャップを螺着する。内容物(インク)の使用に際しては、キャップを外した後、容器口部18上に形成されているつまみ部83を起こして手指でつまみ、インナーシール80を引き剥がすことができる。容器口部18が小径の場合であっても、つまみ部83は必要十分な大きさが確保される。
第8実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15Bにおけるインナーシール80及びそれを用いた容器16によれば、シール材の延長部を折り曲げてつまみ部83としているので手指先でつまんでシールを剥がす際に、つまみに要する大きさを確保でき、簡単に剥がすことが出来る。また、シール強度を強くして十分な密封性のよいものを製することができるとともに、これを容易に引き剥がして開口できる。従って、インナーシールの開栓時に、引き剥がしのし易さを向上させると共に、インクの液飛びを防止することができる。
(1)本実施形態のインク補給容器15Bにおけるインナーシール80及びそれを用いた容器16によれば、シール材の延長部を折り曲げてつまみ部83としているので手指先でつまんでシールを剥がす際に、つまみに要する大きさを確保でき、簡単に剥がすことが出来る。また、シール強度を強くして十分な密封性のよいものを製することができるとともに、これを容易に引き剥がして開口できる。従って、インナーシールの開栓時に、引き剥がしのし易さを向上させると共に、インクの液飛びを防止することができる。
(2)本実施形態のインク補給容器15Bにおけるインナーシール80のつまみ部83は、折り返した状態で重ねてシールしてあるため、つまみやすくなり、シールの剥離作業をさらに簡単でかつ容易とできる。
(3)本実施形態のインク補給容器15Bにおいて、インナーシール80に上からキャップをする場合、つまみ部83の谷折り部の角85をネジの方向に折り曲げることで従来の舌片形状のシールと同様にキャップをすることができる。
1…インク噴射システム、2…プリンター、9…タンク、11…インク注入部、15…インク補給容器、16…容器、18…容器口部、18a…開口端面、20,20A,20B…中栓、21…フランジ部、22…側壁部、23…底面部、24…開栓用把持部材、26…シールブレーク用スコア、27…シールブレーク用突起、28…付け根、25…結合部、25…連結部としての結合部、31…蓋体、35…頂板部、36…スカート部、37…水平フランジ部、38…形状調整用突起、40…螺条、41…中栓係止用突起、50…弁機構を構成する弁部材、63…薄肉周縁部、64…厚肉部分、65…薄肉部分、70,70A,70B,70C…インナーシール、73,73a,73b…つまみ部、80…インナーシール、83…つまみ部。
Claims (9)
- 容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、前記容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、前記側壁部或いは前記底面部に結合された開栓用把持部材と、を有する中栓を備え、
前記底面部にはシールブレーク用スコアが形成されていることを特徴とするインク補給容器。 - 請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記底面部にはシールブレーク用突起が形成され、
前記シールブレーク用突起の付け根に前記シールブレーク用スコアが形成されていることを特徴とするインク補給容器。 - 請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記底面部には開栓用把持部材が結合部を介して設けられ、
前記結合部の付け根に連なるように前記シールブレーク用スコアが形成されていることを特徴とするインク補給容器。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のインク補給容器であって、
前記容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、
前記蓋体と前記容器口部の前記開口端面との間で挟持される合成樹脂製の前記中栓と、を有し、
前記蓋体には、開閉可能な弁機構が設けられていることを特徴とするインク補給容器。 - 請求項4に記載のインク補給容器であって、
前記中栓は、前記フランジ部外周に薄肉周縁部を備え、
前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、前記水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、
前記スカート部の内面には、前記容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、前記螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、
前記水平フランジ部の内面には、前記蓋体を前記容器口部に装着して螺子固定した時に、前記薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることを特徴とするインク補給容器。 - 容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、前記容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、開栓用把持部材と、前記開栓用把持部材の前記側壁部或いは前記側壁部近傍の前記底面部における結合部と、を有する中栓を備え、
前記側壁部は、周状に分布した相対的に厚肉の部分と相対的に薄肉の部分とを有し、
前記薄肉部分は、前記側壁部の前記結合部に隣接する側或いは前記底面部の前記結合部に最も近い側壁部分の側に配置され、且つ前記厚肉部分は、前記薄肉部分の反対側に配置されていることを特徴とするインク補給容器。 - 容器口部の開口端面と係合するフランジ部と、前記容器口部の内周面と係合する側壁部と、底面部と、を有する中栓を備え、
弧状の開栓用把持部材が前記側壁部に一対の離隔した内側が滑らかな連結部を介して一体に設けられ、且つ前記開栓用把持部材は、前記連結部間の周の内、長い方の周の側に延びていることを特徴とするインク補給容器。 - 容器口部の開口端面に固着され、容器内を気密に封緘するインナーシールを備え、
前記インナーシールの一部を容器外側に向かって山折りに折り曲げまたは突設し、前記折り曲げまたは突設した部分を前記インナーシールの引き剥がし時のつまみ部としたことを特徴とするインク補給容器。 - 容器口部の開口端面に固着され、容器内を気密に封緘し、且つつまみ部を有するインナーシールを備え、
前記インナーシールは、前記開口端面にシール材を載置した状態で、前記シール材の一部を前記開口端面の一側に所定つまみ長さの略2倍に延長し、延長部分を前記容器口部の上方へ谷折りし、更に、折り曲げた延長部分のシール面を内側にして略半分に山折りし、前記シール材の断面が略Z形状に折り返した状態で前記容器口部の前記開口端面に剥離可能に固着されることを特徴とするインク補給容器。
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