JP2018051878A - 成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒部の切断端の変形を抑制することができる、成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、溶融樹脂を成形することによって、一端に閉塞部が設けられた筒部を有する成形体を形成する成形体形成工程と、前記筒部を切断することによって前記閉塞部を切除する切除工程を備え、前記切除工程において、前記切除は、外力により前記筒部の側壁を面内で歪ませた状態で行われる、成形品の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形品の製造方法に関する。
例えば、自動車等の空調装置では、空気を通風させるための管状の空調用ダクトが用いられている。
空調用ダクトの製造方法としては、溶融状態の樹脂を分割金型で型締めし、内部に空気を吹き込んで膨張させるブロー成形方法が広く知られている(特許文献1を参照)。
特開2012−207837号公報
ブロー成形において成形体に開口部を形成する場合は、通常、筒部の一端に閉塞部が設けられて構成される捨て袋という部位を形成し、閉塞部を切除することによって開口部を形成する。通常、捨て袋を構成する筒部の側壁には残留応力が存在しており、閉塞部が設けられた状態で残留応力のバランスが保たれて捨て袋の形状が維持されている。このため、閉塞部を切除すると、残留応力のバランスが崩れることによって筒部の切断端が開口面に垂直な方向に変形する場合がある。筒部の切断端が変形すると、他の部材との接合において不具合が生じる等の問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、筒部の切断端の変形を抑制することができる、成形品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、溶融樹脂を成形することによって、一端に閉塞部が設けられた筒部を有する成形体を形成する成形体形成工程と、前記筒部を切断することによって前記閉塞部を切除する切除工程を備え、前記切除工程において、前記切除は、外力により前記筒部の側壁を面内で歪ませた状態で行われる、成形品の製造方法が提供される。
筒部の側壁を面内で歪ませない状態で閉塞部を切除すると、筒部の断面形状によっては筒部の側壁に存在する残留応力によって筒部の側壁を面内で歪ませようとする力が筒部の側壁に加わる場合がある。一方、外力により筒部の側壁を面内で歪ませると、筒部の側壁に面内方向の復元力が発生する。そこで、残留応力を打ち消す復元力が発生するように外力により筒部の側壁を面内で歪ませた状態で閉塞部を切除すると、残留応力と復元力が打ち消し合って筒部の切断端の変形が抑制される。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記筒部の側壁は、一対の角部を有する断面形状を有し、前記切除工程において、前記一対の角部の中央が前記閉塞部から離れる方向に向かうように前記筒部の側壁が面内で歪まされる。
好ましくは、前記筒部の側壁は、互いに対向する一対の長辺部と、前記一対の長辺部を連結するように設けられる一対の短辺部を備え、前記切除工程において、前記長辺部の中央が前記閉塞部から離れる方向に向かうように前記長辺部が前記面内で歪まされる。
好ましくは、前記成形体は、基部を備え、前記筒部は、前記基部から立ち上がるように設けられる。
好ましくは、前記基部は、前記筒部の周縁に設けられた周縁部と、前記周縁部に隣接して設けられた隣接壁を備え、前記隣接壁は、周縁部に対する角度が75度以下である。
好ましくは、前記切除工程において、前記基部を押圧することによって前記筒部の側壁が面内で歪まされる。
好ましくは、前記基部は、前記筒部の周縁に周縁部を備え、前記周縁部は、前記筒部の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されており、前記切除工程において、前記周縁部を押圧することによって前記筒部の側壁が面内で歪まされる。
好ましくは、前記切除工程は、切除治具に前記成形体を設置し、その状態で前記閉塞部を切除する工程を備え、前記切除治具は、前記筒部を収容可能な治具開口部を備え、前記成形体は、前記筒部が前記治具開口部に収容され且つ前記周縁部が前記切除治具に当接するように設置され、前記閉塞部は、前記周縁部を前記切除治具に押し付けて変形させた状態で切除される。
好ましくは、前記切除工程において、前記成形体が直線的に切断される。
好ましくは、前記成形体は、ブロー成形によって形成される。
好ましくは、前記溶融樹脂が発泡剤を含有し、前記成形体は、発泡成形体である。
本発明の一実施形態の製造方法で利用可能な成形機1の一例を示す。 空調用ダクトを製造するための成形体10を示し、(a)は筒部4側から見た平面図であり、(b)は右側面図である。 (a)は、図2(a)中の領域Aの拡大図であり、(b)は図2(b)中の領域Bの拡大図である。 図2の成形体10から閉塞部3a,4aを除去して得られる成形品5を示し、(a)は筒部4側から見た平面図であり、(b)は右側面図である。 (a)は、図4(a)中の領域Aの拡大図であり、(b)は図4(b)中の領域Bの拡大図である。 筒部4の長辺部4cの中央が開口部4bから離れる方向に長辺部4cが湾曲された状態の成形体10を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図2(a)の領域A及び図2(b)の領域Bに対応する部位の拡大図であり、(c)は、(b)中の切断線Sでの端面図である。 図6の成形体10から閉塞部4aを除去して得られる成形品5を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図3(a)の領域A及び図3(b)の領域Bに対応する部位の拡大図である。 閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されるように形成された成形体10を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図2(a)の領域A及び図2(b)の領域Bに対応する部位の拡大図であり、(c)は、(a)中のG−G断面図である。 図8の成形体10から閉塞部4aを除去して得られる成形品5を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図3(a)の領域A及び図3(b)の領域Bに対応する部位の拡大図である。 (a)〜(c)は、外力Fにより周縁部6aを押圧しながら筒部4を切断する工程を示す右側面図である。 切除治具7の平面図である。 切除治具7に成形体10が設置された状態を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図11中のX−X断面及びY−Y断面に対応する断面図である。 図12の状態から周縁部6aが切除治具7に外力Fによって押し付けられた状態を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図11中のX−X断面及びY−Y断面に対応する断面図である。 (a)〜(b)は、閉塞部4aが平坦であり且つ周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されるように形成された成形体10を示す右側面図であり、(a)は外力Fを加える前の状態、(b)は周縁部6aに外力Fを加えている状態を示す。 (a)〜(b)は、閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されるように形成された成形体10を示す右側面図であり、(a)は外力Fを加える前の状態、(b)は閉塞部4aに外力Fを加えている状態を示す。 (a)〜(b)は、閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されるように形成された成形体10を示す右側面図であり、(a)は外力Fを加える前の状態、(b)は成形体10の全体を湾曲させるように外力Fを加えている状態を示す。 (a)は図10(a)中のC−C断面図であり、(b)は図10(c)中のD−D断面図である。 (a)〜(b)は、それぞれ、周縁部6aに対する隣接壁6bの角度が75度以下である成形体10及び成形品5を示し、(a)〜(b)は、それぞれ、図17(a)〜(b)に対応する断面図である。 筒部4の全体が切除されて形成された成形品5を示す、図17(b)に対応する断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
1.成形機1の構成
最初に、図1を用いて、本発明の一実施形態の成形品の製造方法の実施に利用可能な成形機1について説明する。成形機1は、樹脂供給装置2と、ヘッド18と、分割金型19を備える。樹脂供給装置2は、ホッパー12と、押出機13と、インジェクタ16と、アキュームレータ17を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管25を介して連結される。アキュームレータ17とヘッド18は、連結管27を介して連結される。
以下、各構成について詳細に説明する。
<ホッパー12,押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂11は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ13a内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
<インジェクタ16>
シリンダ13aには、シリンダ13a内に発泡剤を注入するためのインジェクタ16が設けられる。原料樹脂11を発泡させない場合は、インジェクタ16は省略可能である。インジェクタ16から注入される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、及びその混合物が挙げられるが、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。化学発泡剤としては、酸(例:クエン酸又はその塩)と塩基(例:重曹)との化学反応により炭酸ガスを発生させるものが挙げられる。化学発泡剤は、インジェクタ16から注入する代わりに、ホッパー12から投入してもよい。
<アキュームレータ17、ヘッド18>
発泡剤が添加されている又は添加されていない溶融樹脂11aは、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管27を通じて溶融樹脂11aをヘッド18内に設けられたダイスリットから押し出して垂下させてパリソン23を形成する。パリソン23の形状は、特に限定されず、円筒状であってもよく、シート状であってもよい。
<分割金型19>
パリソン23は、一対の分割金型19間に導かれる。分割金型19を用いてパリソン23の成形を行うことによって、図2に示すような成形体10が得られる。分割金型19を用いた成形の方法は特に限定されず、分割金型19のキャビティ内にエアーを吹き込んで成形を行うブロー成形であってもよく、分割金型19のキャビティの内面からキャビティ内を減圧してパリソン23の成形を行う真空成形であってもよく、その組み合わせであってもよい。溶融樹脂が発泡剤を含有する場合、パリソン23は、発泡パリソンとなり、成形体10は、発泡成形体となる。
図2は、空調用ダクトを製造するための成形体10を示す。成形体10は、一端に閉塞部3a,4aが設けられた筒部3,4を有する。筒部4は、筒状の基部6から立ち上がるように設けられている。筒部3は、基部6から分岐されている。
2.成形品の製造方法
ここで、図1〜図19を用いて、本発明の一実施形態の成形品の製造方法について説明する。本実施形態の方法は、成形体形成工程と切除工程を備える。以下、詳細に説明する。
2.1 成形体形成工程
この工程では、図1〜図3に示すように、溶融樹脂11aを成形することによって、一端に閉塞部3a,4aが設けられた筒部3,4を有する成形体10を形成する。この工程は、上述の成形機1を用いて実施することができる。成形体10がソリッドの成形体と発泡成形体の何れの場合でも本発明の効果は得られるが、成形体10が発泡成形体である場合には、閉塞部3a,4aの切除による筒部3,4の形状変化が顕著であるので、成形体10が発泡成形体である場合に、本発明を適用する技術的意義が特に大きい。発泡成形体の発泡倍率は、例えば、例えば1.5〜5倍であり、2〜4倍が好ましく、具体的には例えば、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。発泡成形体の肉厚は、例えば、1〜7mmであり、好ましくは1.5〜5mmであり、具体的には例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
2.2 切除工程
この工程では、図2〜図3に示すように、一点鎖線で示す直線状の切断線Sに沿って筒部3,4を切断することによって閉塞部3a,4aを切除する。これによって、図4〜図5に示すように、筒部3,4に開口部3b,4bが形成されて成形品5が得られる。
ところで、溶融樹脂11aを成形して形成された成形体10には残留応力が存在しており、閉塞部3a,4aが設けられた状態で各部位の残留応力のバランスがとれて図2〜図3に示す形状が維持されている。閉塞部3a,4aを切除すると残留応力のバランスが崩れることにより、筒部3,4及びその周縁部6aの形状が変化する。筒部3,4のどちらの形状も変化するが、一般に、開口部3b,4bの面積が大きいほど、形状の変化が大きいので、筒部4での形状変化が顕著である。そこで、以下、筒部4での形状変化を例に挙げて説明を進める。
筒部4は、開口部4bの形状が長方形状である。このため、筒部4の側壁は、互いに対向する一対の長辺部4cと、一対の長辺部4cを連結するように設けられる一対の短辺部4dを備える。長辺部4cと短辺部4dは角部4eにおいて連結される。長辺部4cの長さは、例えば100〜500mmであり、具体的には例えば、100、150、200、250、300、350、400、450、500mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。短辺部4dの長さは、例えば50〜250mmであり、具体的には例えば、50、100、150、200、250mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。長辺部4cの長さ/短辺部4dの長さの比は、例えば1.5〜5倍であり、具体的には例えば、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。角部4eの曲率半径は、例えば1〜30mmであり、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。筒部4は基部6から立ち上がるように設けられている。筒部4の高さは、例えば10〜50mmであり、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。基部6は、筒状である。また、基部6は、筒部4の周縁の周縁部6aにおいて、平坦になっている。さらに、周縁部6aに隣接した隣接壁6bは、周縁部6aに対してほぼ直角に設けられている。
図3(b)の一点鎖線で示す直線状の切断線Sに沿って筒部4を切断して閉塞部4aを切除すると、図4〜図5に示すように、開口部4bが露出する。この際に筒部4の形状が変化しなければ、開口部4bの形状は、長方形になるはずであるが、実際は、閉塞部4aの除去によって残留応力のバランスが崩れて筒部4及び周縁部6aの形状が変化する。通常、図5(a)に示すように、筒部4の長辺部4cの中央が開口部4bに向かうように長辺部4cが湾曲したり、図5(b)に示すように、長辺部4cの中央において筒部4の切断端4f及び周縁部6aが凹むように湾曲したりする。
このような問題を解決するために、筒部4の変形を考慮して、図6(a)に示すように、筒部4の長辺部4cの中央が開口部4bから離れる方向に長辺部4cが湾曲されるように成形体10を形成することができる。長辺部4cは、図6(c)に示すように、長辺部4cの中央での変形量E1が1〜5mmとなり、角部4eでの変形量が0mmであり、中央から角部4eに近づくにつれて変形量が徐々に小さくなるような形状に湾曲されることが好ましい。変形量E1は、具体的には例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。この状態で閉塞部4aを切断線Sに沿って切除すると、図7(a)に示すように、長辺部4cの中央が開口部4bに向かうように長辺部4cが変形することによって長辺部4cが直線状になり、開口部4bが長方形状にならないという問題が解決される。しかし、図7(b)に示すように、筒部4の切断端4f及び周縁部6aが凹むように湾曲するという問題が残っている。
図8(b)に示すように、閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されるように(より具体的には、長辺部4cの中央において閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に最も膨らんで湾曲されるように)成形体10を形成することができる。周縁部6aは、図8(c)に示すように、長辺部4cの中央での変形量E2が1〜5mmとなり、角部4eでの変形量が0mmであり、中央から角部4eに近づくにつれて変形量が徐々に小さくなるような形状に湾曲されることが好ましい。変形量E2は、具体的には例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。この成形体10の閉塞部4aを切断線Sに沿って切除すると、図9に示すように、周縁部6aの凹みが解消されて平坦になるが、切断端4fは凹むように湾曲されたままである。切断端4fが湾曲されていると、成形品5と他の部材との接合において不具合が生じる等の問題がある。
本実施形態では、この問題を解決するために、外力により筒部4の側壁(長辺部4c)を面内で歪ませた状態で筒部4を切断している。外力により筒部4の側壁を面内で歪ませると、筒部4の側壁に面内方向の復元力が発生する。そこで、残留応力を打ち消す復元力が発生するように外力により筒部4の側壁を面内で歪ませた状態で閉塞部4aを切除すると、残留応力と復元力が打ち消し合って筒部4の切断端4fの変形が抑制される。ここで、面内とは、別の表現では、開口部4bに面直な平面内である。
以下、図10を用いて、より具体的に説明する。
図10(a)は、図8と同じ成形体10を示し、閉塞部4a及び周縁部6aが筒部4の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されている。基部6は、筒部4が設けられたベース壁6dと、これに対向する対向壁6cを備えており、成形体10は、対向壁6cが載置面に当接するように載置される。
図10(b)では、周縁部6aに外力Fを加えて周縁部6aを歪ませて平坦にすると、周縁部6aに隣接した長辺部4cも同様に歪むので、長辺部4cの中央(別の表現では、一対の角部4eの中央)が閉塞部4aから離れる方向に向かうように長辺部4cが面内で歪まされる。長辺部4cが歪みことによって閉塞部4aが平坦になる。また、この状態では、外力Fとは反対方向に復元力が働くので、外力Fを除くと、成形体10は、図10(a)の形状に戻る。
次に、周縁部6aに外力Fを加えた状態で、一点鎖線で示す直線状の切断線Sに沿って筒部4を切断することによって閉塞部4aを切除して、図10(c)に示す成形品5を得る。この状態では、周縁部6a及び長辺部4cに働く残留応力と復元力が釣り合う。このため、外力Fを除いても周縁部6a及び長辺部4cは膨らんだ状態には戻らず、図10(c)に示すように、周縁部6a及び切断端4fが平坦な状態が維持されるので、切断端4fが湾曲するという上述の課題が解決される。
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・閉塞部4aの除去は、図11に示すような切除治具7を用いて行うことも可能である。切除治具7は、筒部4を収容可能に構成された治具開口部7aを備える。治具開口部7aは、筒部4の外形よりもわずかに大きい形状である。このため、図12(a)に示すように、筒部4が治具開口部7a内に収容されるように成形体10を切除治具7に設置すると、図12(b)に示すように、周縁部6aが切除治具7に当接する。この状態で、図13(b)に示すように、対向壁6cに外力Fを加えて周縁部6aを切除治具7に押し付けて周縁部6aが平坦になるように変形させると、図13(a)に示すように、長辺部4cも同様に変形して閉塞部4aが平坦になる。この状態で筒部4を切断して閉塞部4aを除去すると、外力Fを除いても周縁部6a及び長辺部4cは膨らんだ状態には戻らず、図10(c)に示すように、周縁部6a及び切断端4fが平坦な状態が維持される。
・図10の実施形態では、閉塞部4aが湾曲形状であったが、図14(a)に示すように、閉塞部4aは平坦状であってもよい。この場合でも、図14(b)に示すように、周縁部6aに外力Fを加えて周縁部6aを歪ませて平坦にした状態で切断線Sに沿って筒部4を切断することによって図10の実施形態と同様の作用効果が奏される。
・筒部4の側壁を歪ませる方法としては、図15(b)に示すように、閉塞部4aに外力Fを加える方法であってもよい。この場合でも、閉塞部4aに外力Fを加えた状態で切断線Sにそって閉塞部4aを除去することによって、図10の実施形態と同様の作用効果が奏される。
・筒部4の側壁を歪ませる方法としては、図16(b)に示すように、成形体10の全体を湾曲させるように外力Fを加えることによって周縁部6a及び閉塞部4aが平坦になるようにしてもよい。この場合でも、外力Fを加えた状態で切断線Sに沿って筒部4を切断することによって図10の実施形態と同様の作用効果が奏される。
・図10の実施形態では、図17に示すように、基部6の断面形状は、筒部4を除くと略正方形状であり、周縁部6aに隣接して設けられた隣接壁6bは、周縁部6aに対する角度αが約90度である。このため、隣接壁6bによって周縁部6aが支持されるために周縁部6aが比較的凹みにくい。一方、図18に示す実施形態では、周縁部6aに対する隣接壁6bの角度αが75度以下(具体的には45度)になっており、このような形態では、周縁部6aが隣接壁6bによって支持されにくいので、周縁部6aが凹みやすい。このような形態では、本発明を適用する技術的意義が特に大きい。角度αは、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
・図10の実施形態では、筒部4の一部(長辺部4c)が残るように筒部4を切断したが、図19に示すように、筒部4が残らないように筒部4を切断してもよい。
1 :成形機
2 :樹脂供給装置
3 :筒部
3a :閉塞部
3b :開口部
4 :筒部
4a :閉塞部
4b :開口部
4c :長辺部
4d :短辺部
4e :角部
4f :切断端
5 :成形品
6 :基部
6a :周縁部
6b :隣接壁
6c :対向壁
6d :ベース壁
7 :切除治具
7a :治具開口部
10 :成形体
11 :原料樹脂
11a :溶融樹脂
12 :ホッパー
13 :押出機
13a :シリンダ
16 :インジェクタ
17 :アキュームレータ
17a :シリンダ
17b :ピストン
18 :ヘッド
19 :分割金型
23 :パリソン
25 :連結管
27 :連結管
F :外力
S :切断線
α :角度

Claims (11)

  1. 溶融樹脂を成形することによって、一端に閉塞部が設けられた筒部を有する成形体を形成する成形体形成工程と、
    前記筒部を切断することによって前記閉塞部を切除する切除工程を備え、
    前記切除工程において、前記切除は、外力により前記筒部の側壁を面内で歪ませた状態で行われる、成形品の製造方法。
  2. 前記筒部の側壁は、一対の角部を有する断面形状を有し、
    前記切除工程において、前記一対の角部の中央が前記閉塞部から離れる方向に向かうように前記筒部の側壁が面内で歪まされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記筒部の側壁は、互いに対向する一対の長辺部と、前記一対の長辺部を連結するように設けられる一対の短辺部を備え、
    前記切除工程において、前記長辺部の中央が前記閉塞部から離れる方向に向かうように前記長辺部が前記面内で歪まされる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記成形体は、基部を備え、
    前記筒部は、前記基部から立ち上がるように設けられる、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の方法。
  5. 前記基部は、前記筒部の周縁に設けられた周縁部と、前記周縁部に隣接して設けられた隣接壁を備え、前記隣接壁は、周縁部に対する角度が75度以下である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記切除工程において、前記基部を押圧することによって前記筒部の側壁が面内で歪まされる、請求項4又は請求項5に記載の方法。
  7. 前記基部は、前記筒部の周縁に周縁部を備え、
    前記周縁部は、前記筒部の立ち上がり方向に膨らむように湾曲されており、
    前記切除工程において、前記周縁部を押圧することによって前記筒部の側壁が面内で歪まされる、請求項4〜請求項6の何れか1つに記載の方法。
  8. 前記切除工程は、切除治具に前記成形体を設置し、その状態で前記閉塞部を切除する工程を備え、
    前記切除治具は、前記筒部を収容可能な治具開口部を備え、
    前記成形体は、前記筒部が前記治具開口部に収容され且つ前記周縁部が前記切除治具に当接するように設置され、
    前記閉塞部は、前記周縁部を前記切除治具に押し付けて変形させた状態で切除される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記切除工程において、前記成形体が直線的に切断される、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の方法。
  10. 前記成形体は、ブロー成形によって形成される、請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の方法。
  11. 前記溶融樹脂が発泡剤を含有し、
    前記成形体は、発泡成形体である、請求項1〜請求項10の何れか1つに記載の方法。
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