JP2018051783A - 混練押出機 - Google Patents

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森 一也
Kazuya Mori
一也 森
秋次 瀬戸
Akitsugu Seto
秋次 瀬戸
敬弘 山下
Takahiro Yamashita
敬弘 山下
祐太 佐伯
Yuta Saeki
祐太 佐伯
原 敬
Takashi Hara
敬 原
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Abstract

【課題】複数のスクリューエレメントを有するスクリューを備え、スクリューエレメントの長手方向の配置が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定できる混練押出機を提供する。【解決手段】複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12と、スクリュー12を収容するバレル20と、スクリュー12を回転させる動力を発生させる回転駆動装置30と、動力を回転駆動装置30からスクリューシャフト18に伝達する動力伝達機構40と、スクリューの回転軸の長手方向及び径方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段60とを備える混練押出機10である。【選択図】図1

Description

本発明は、混練押出機に関する。
混練押出機は、回転自在に設けられたスクリューと、スクリューを収容するバレルと、スクリューが回転する動力を発生させる回転駆動装置と、動力を回転駆動装置からスクリューに伝達する動力伝達機構とを有している。 回転駆動装置でスクリューを回転させつつ、バレルの一端に設けられた投入口から樹脂等の被混練物を投入すると、被混練物はスクリューの回転により混練されながら圧送され、バレルの他端にある排出口から排出される。
特許文献1には、材料の投入口及び取出口を有するチャンバ内に、翼を有するロータが回転可能に設けられ、該ロータがその一端側に接続される回転駆動装置によって駆動可能になされた連続混練押出機において、ロータと回転駆動装置との接続間に固有振動調整手段が設けられている連続混練押出機が記載されている。
特許文献2には、モータからの動力が伝達される入力軸部を有し且つ被混練物を混練するスクリュー軸を備えた混練処理装置の負荷監視装置であって、スクリュー軸の入力軸部に設けられて当該入力軸部に対する負荷を検出する負荷検出装置と、検出された負荷を予め定められた時間区間に亘って平均し負荷平均値を求めると共に、当該時間区間における負荷の最大値と最小値との差をとり負荷振幅値を求める特性抽出部と、求めた負荷平均値及び負荷振幅値が、予め定められた正常範囲内にある場合は正常状態と判定し、正常範囲内に無いときは過負荷状態であると判定する判定部と、過負荷状態である場合には過負荷状態に維持されている時間を示す過負荷継続時間を積算する時間積算部と、正常状態である場合には過負荷継続時間をリセットするリセット部と、過負荷継続時間が予め与えられた設定時間を超えたときに、異常警報の報知及び/又はスクリュー軸の回転停止を行う保護部とを有している混練処理装置の負荷監視装置が記載されている。
特許文献3には、バレル内の混練室に挿通され且つ回転駆動装置で回転駆動される第1スクリュー及び第2スクリューとを備えた二軸混練押出機において、第1スクリュー又は第2スクリューに作用するスラスト荷重を検出する軸力検出部と、第1スクリューにスラスト力を付与可能な第1軸力付与部と、軸力検出部が検出したスラスト荷重に抗するスラスト力を第1軸力付与部に発生させる軸力制御部と、を有している二軸混練押出機が記載されている。
特開平11−138528号公報 特開2009−131965号公報 特開2009−220433号公報
混練押出機に用いるスクリューとして、被処理物に対する供給、圧縮、混合(混練)及び計量等の各処理を担当する複数のスクリューエレメントによって構成されているスクリューが知られている。スクリュー全体の外周面の形状は被混練物及び処理内容等に応じて予め設計される。複数のスクリューエレメントのそれぞれは、当該設計に従った外周面(凹凸、溝又は翼等)及び長手方向の長さ等を有している。このようなスクリューにおけるスクリューエレメントの形状及び配置等は、所望の目的及び被混練物の特性等に応じて予め設計されているところ、スクリューエレメントの配置に関して、例えば、スクリューエレメントの取り付け角度が設計と異なる場合及びスクリューエレメント同士の長手方向の間隔が広がる場合等の不具合があると、混練押出機に過剰振動が発生することがあると考えられる。
本発明の目的は、複数のスクリューエレメントを有するスクリューを備え、スクリューエレメントの取り付け角度が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定できる混練押出機を提供することにある。また、本発明の目的は、複数のスクリューエレメントを有するスクリューを備え、スクリューエレメント同士の長手方向の間隔が設計された間隔よりも広がることによって発生する過剰振動の有無を判定できる多軸混練押出機を提供することにある。
請求項1に係る発明は、複数のスクリューエレメントを有するスクリューと、前記スクリューを収容するバレルと、前記スクリューを回転させる動力を発生させる回転駆動装置と、前記動力を前記回転駆動装置から前記スクリューに伝達する動力伝達機構と、前記スクリューの回転軸の長手方向及び径方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段とを備える、混練押出機である。
請求項2に係る発明は、前記スクリューとして第1スクリュー及び第2スクリューを少なくとも備え、前記振動測定手段が、前記第1スクリューの回転軸の長手方向の振動と、前記第1スクリューの回転軸の径方向であって、前記第1スクリューの回転軸及び前記第2スクリューの回転軸を含む平面に含まれる方向の振動を測定する、請求項1に記載の混練押出機である。
請求項3に係る発明は、前記振動測定手段が互いに直交する3方向の振動を測定する3軸振動計であって、前記3方向の少なくとも一つが、前記スクリューの回転軸の長手方向であるか、又は、前記第1スクリューの回転軸の径方向であって、前記第1スクリューの回転軸及び前記第2スクリューの回転軸を含む第1平面に含まれる方向である、請求項1または2に記載の混練押出機である。
請求項4に係る発明は、前記振動測定手段により得られた振動測定結果が過剰振動を示す場合に、前記スクリューの停止、警告の表示もしくは通知、及び前記スクリューの回転速度の変更からなる群から選択される少なくとも1つを行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混練押出機である。
請求項5に係る発明は、前記振動測定手段により測定された振動加速度データの周波数解析結果が過剰振動を示す場合に、前記スクリューの停止、警告の表示もしくは通知、及び前記スクリューの回転速度の変更からなる群から選択される少なくとも1つを行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混練押出機である。
請求項1に係る発明によれば、複数のスクリューエレメントを有するスクリューを備え、スクリューエレメントの長手方向の配置が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定できる混練押出機が提供される。
請求項2に係る発明によれば、複数のスクリューエレメントを有するスクリューを備え、スクリューエレメントの長手方向の配置が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定でき、なお且つ、スクリューエレメントの取り付け角度が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定できる混練押出機が提供される。
請求項3に係る発明によれば、部品点数を削減し、且つ、異常部位を特定できる混練押出機が提供される。
請求項4に係る発明によれば、過剰振動を引き起こす要因を速やかに排除できる混練押出機が提供される。
請求項5に係る発明によれば、過剰振動を引き起こす要因をより精度よく且つ速やかに排除できる混練押出機が提供される。
本発明の実施形態に係る混練押出機の一例の概略構成を示す正面図である。 図1に示す混練押出機の概略構成を示す上面図である。 本発明の実施形態に係る混練押出機が備える動力伝達機構の他の例を示す図である。 本発明の実施形態に係る混練押出機が備える動力伝達機構の他の例を示す図である。 図1及び図2に示す混練押出機の振動加速度データの周波数解析結果を示す図である。 図1及び図2に示す混練押出機の振動加速度データの周波数解析結果を示す図である。 図1及び図2に示す混練押出機の振動加速度データの周波数解析結果を示す図である。 図1及び図2に示す混練押出機の振動加速度データを示す図である。
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る混練押出機10の一例の概略構成を示す正面図である。図2は、図1に示す混練押出機10の概略構成を示す上面図である。図1及び図2に示す混練押出機10は、2軸混練押出機である。図1及び図2に示す本実施形態に係る混練押出機10は、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12として第1スクリュー14と第2スクリュー16と、スクリュー12を収容するバレル20と、スクリュー12を回転させる動力を発生させる回転駆動装置30と、動力を回転駆動装置30からスクリューシャフト18に伝達する動力伝達機構40と、少なくともスクリュー12の長手方向の振動を測定する振動測定手段60とにより、主要部が構成されている。
なお、本明細書における「本実施形態に係る混練押出機」又は「混練押出機」との記載は、特に明示しない限り、1本のスクリューを備える一軸混練押出機、及び、複数(2本以上)のスクリューを備える多軸混練押出機のいずれをも含むものであって、図1等で示す2本のスクリュー12(第1スクリュー14及び第2スクリュー16)を備える2軸混練押出機等の多軸混練押出機のみに限定されない。
本明細書における「多軸混練押出機」との記載は、特に明示しない限り、図1及び図2に示すような、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12である第1スクリュー14と、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12である第2スクリュー16とを少なくとも備える混練押出機を意味する。また、本明細書における「2軸混練押出機」との記載は、図1及び図2に示すような、当該第1スクリュー14及び当該第2スクリュー16を備える混練押出機10を意味する。
振動測定手段60は、スクリュー12の回転軸の長手方向及び径方向の振動を少なくとも測定するものであるか、または、第1スクリュー14の回転軸の径方向であって、第1スクリュー14の回転軸及び第2スクリュー16の回転軸を含む第1平面に含まれる方向の振動、並びに、第1スクリュー14の回転軸の長手方向及び第1平面の法線方向を含む第2平面に含まれるいずれかの方向の振動を少なくとも測定するものである。
本明細書において「長手方向」とは、特に明示しない限り、スクリュー12の回転軸に沿った方向を意味する。図1〜図4に示すx軸方向は長手方向であり、本明細書において「x軸方向」とは長手方向であることを意味する。本明細書において「径方向」とは、特に明示しない限り、スクリュー12の回転軸(即ち長手方向)と直交する方向を意味する。図1及び図2に示すy軸方向及びz軸方向は径方向である。
本明細書において「直交する」とは、「スクリュー12の回転軸と直交する」を例に説明すると、スクリュー12の回転軸となす角度が85°以上95°以下の範囲に含まれる方向であることを意味する。例えば、図1及び図2に示すx軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
[混練押出機の構成]
本実施形態に係る混練押出機10が備えるスクリュー12は、回転可能な状態でバレル20に収容されている。スクリュー12は、スクリューシャフト18及び複数のスクリューエレメントによって構成されている。複数のスクリューエレメントはスクリュー12の長手方向に並んで配置され、スクリューシャフト18は各スクリューエレメントの内部を貫通している。
スクリュー12は、回転駆動装置30からの動力を動力伝達機構40がスクリューシャフト18に伝達することにより、スクリューシャフト18を中心に回転する。スクリュー12が回転すると、被混練物は、各スクリューエレメントによる処理を受けつつ、下流側へ向けて圧送される。混練押出機10が多軸混練押出機である場合、複数のスクリュー12の回転方向は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
複数のスクリューエレメントによって形成されるスクリュー12全体の外周面の形状は、混練押出処理の目的、被混練物の特性及び用途等に応じて予め設計される。複数のスクリューエレメントのそれぞれは、当該設計に従い、被処理物に対して、例えば、供給、圧縮、混合(混練)及び計量等の処理を行うための外周面の形状(凹凸、溝又は翼等)及び長手方向の長さ等を有している。スクリューエレメントの具体例としては、例えば、Nディスク、Rディスク及びLディスク等と称される部材が挙げられる。
複数のスクリューエレメントを備えるスクリュー12の具体例としては、例えば、動力伝達機構40側から、搬送混合処理、加熱融解処理、乳化分散処理を行うスクリューエレメントがこの順で並んで配置され、動力伝達機構40側の端部から他方の端部に被処理物を圧送するように設計されているスクリュー12等が挙げられる。
バレル20は、シリンダーとも称され、内部にスクリュー12を収容する混練室を有する筒状部材である。混練室の形状は、スクリュー12の形状及び本数に対応している。混練押出機10が多軸混練押出機であるとき、複数のスクリュー12はいずれもバレル20に収容されている。バレル20の長手方向の一方の端部には、被混練物を投入する投入口22が設けられ、他方の端部には圧送された被混練物が排出される排出口(図示しない)が設けられている。バレル20は、被混練物を加熱または冷却する公知の加熱・冷却手段を備えていてもよい。加熱・冷却手段としては、例えば、電気式加熱ブロック、加熱ジャケット、バレルに埋め込まれた冷却水通過管等が挙げられる。
スクリュー12は、その動力伝達機構40とは反対側の長手方向の端部が、バレル20の内壁に設けられた軸受け部によって、回転可能に支持されていてもよい。また、スクリュー12の動力伝達機構40とは反対側の長手方向の端部は、軸受け部等によって支持されずに自由な状態であってもよい。
回転駆動装置30は、スクリュー12を回転させる動力を発生させる装置である限り、特に制限されない。回転駆動装置30としては、例えば、公知の回転モータ等が挙げられる。
動力伝達機構40は、回転駆動装置30が発生させたスクリュー12を回転させる動力をスクリュー12のスクリューシャフト18に伝達する構造を有する限り、その構造は特に限定されない。例えば、図1及び図2に示す動力伝達機構40は、回転駆動装置30のシャフト32と接続する減速部44と、減速部44と接続するシャフト48と、減速部44及びシャフト48を収容するギヤボックス42とを備える。図1及び図2に示す動力伝達機構40においては、回転駆動装置30により生じた回転動力は、減速部44によって回転速度が減速されてトルクを向上させられた上で、シャフト48及び連結器46を介してスクリューシャフト18に伝達される。
図3及び図4は、本実施形態に係る混練押出機10が備える動力伝達機構40の他の例を示す概略構成図である。減速部44の構造は、回転駆動装置30から得られた回転動力を減速してスクリューシャフト18に伝達する限り制限されず、図2に示すギヤ構造であってもよいし、図3に示す通り、ベルトを介して回転動力を伝達する構造であってもよい。
混練押出機10が多軸混練押出機である場合、動力伝達機構40は、減速部44により伝達された回転動力を複数のスクリュー12に分配する連動部を備えていてもよい。連動部の具体例としては、例えば、図2に示す、シャフト48の回転を第1スクリュー14及び第2スクリュー16に分配する連動用ギヤ部50が挙げられる。図2に示す混練押出機10では、連動用ギヤ部50により、第1スクリュー14及び第2スクリュー16の回転方向が一致する。
混練押出機10が多軸混練押出機である場合に動力伝達機構40が備える連動部は、例えば、図4に示す連動用ギヤ部50であってもよい。図4に示す連動用ギヤ部50を備える2軸混練押出機では、第1スクリュー14及び第2スクリュー16の回転方向が逆方向になる。
本実施形態に係る混練押出機10は、複数の方向成分の振動加速度を測定する振動測定手段60を備える。振動測定手段60は、例えば、複数の方向の振動を測定する1つの振動計であってもよいし、1つの方向の振動を測定する単軸振動計の組合せであってもよいし、これらの更なる組合せであってもよい。
本実施形態に係る混練押出機10に使用される振動測定手段60としては、混練押出機10に備わる部品点数の削減、及び、異常部位特定の観点から、互いに直交する3方向の振動を測定する3軸振動計を用いることが好ましい。振動測定手段60として用いられる3軸振動計が振動を計測する3方向の少なくとも一つは、スクリュー12の回転軸の長手方向であるか、又は、第1スクリュー14の回転軸の径方向であって、第1スクリュー14の回転軸及び第2スクリュー16の回転軸を含む第1平面に含まれる方向である。3軸振動計には、互いに直交する3軸の振動に加えて、当該3軸のそれぞれを回転軸とする回転成分(ねじれ成分)の振動も測定する6軸振動計も含まれる。
振動測定手段60を設置する位置は、混練押出機10において標的とする方向の振動を測定できる限りにおいて特に限定されない。振動測定手段60は、例えば、混練押出機10において、動力伝達機構40のギヤボックス42に設置してもよいし、バレル20の外周面に設置してもよい。測定する振動方向の位置決めが容易になることから、ギヤボックス42又はバレル20の外周面において、振動測定手段60が測定する振動方向の延長線上にスクリューシャフト18又はシャフト48が存在する位置に、振動測定手段60を設けることが好ましい。
[混練押出機における過剰振動]
混練押出機10が備えるスクリュー12が有するスクリューエレメントの形状及び配置等は、所望の目的及び被混練物の特性等に応じて予め設計され、当該設計に従って複数のスクリューエレメントが配置されたスクリュー12が作製される。一方、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12を備える混練押出機10において、スクリューエレメントの配置に関する不具合等によって混練押出機10に過剰振動が発生することがある。本発明者らは、スクリューエレメントの配置に関する不具合または装置の固有振動等によって混練押出機10に生じる過剰振動が、不具合の内容によっては固有の特徴を有することを見出した。以下、混練押出機10における、(1)エレメントの緩みの不具合により引き起こされる過剰振動、(2)スクリューの取り付け角度の不具合により引き起こされる過剰振動、及び(3)装置の固有振動により引き起こされる過剰振動のそれぞれについて、発生の有無を判定する例について説明する。
<(1)エレメントの緩みの不具合>
混練押出機10に過剰振動を引き起こす要因となるスクリューエレメントの配置に関する不具合の一つの例として、スクリューエレメントの長手方向の設置が設計と異なる事象が挙げられる。
複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12を備える混練押出機10においては、隣接するスクリューエレメントは密接して配置されるように設計されている。スクリューエレメントをスクリューシャフト18に取り付ける際は、作製されるスクリュー12が設計に従ったものとなるよう、例えば、長手方向の端部側のスクリューエレメントから順に、スクリューシャフト18に取り付けられる。このとき、スクリューシャフト18の先端にスクリューエレメント(スクリューヘッド)を取り付ける際、トルクを掛けて締め付けることによって、スクリューエレメント同士が密接したスクリュー12が作製される。
このように、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12において、スクリューエレメントの締め付けに緩みが生じて、隣接するスクリューエレメントとの間隔が広がることにより、スクリューエレメントの長手方向の設置が設計と異なるものとなる事象(本明細書において「エレメントの緩みの不具合」ともいう)が生じることがある。スクリューエレメントの締め付けに緩みが生じる要因としては、例えば、スクリューエレメントを取り付ける際の過誤、及び、スクリュー12の長期間の使用等が挙げられる。
複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12において生じたエレメントの緩みの不具合が、スクリューエレメント同士の隔たりを目視で判別できないような程度であっても、混練押出機10に過剰振動が発生するおそれがある。そして、エレメントの緩みの不具合が生じ、過剰振動が発生した混練押出機10において被混練物の混練押出処理を行うと、例えば、混練時間、せん断力の強度、供給速度、計量等が設計通りに行われず、所望の品質を有する生成物が得られないおそれがある。
複数のスクリュー12を備える多軸混練押出機においては、エレメントの緩みの不具合の影響は更に深刻である。多軸混練押出機において対向する2つのスクリューエレメントは、互いのスクリュー12の回転を妨げず、且つ、割り当てられた処理を協力して行うために、各処理を行う長手方向の区間に応じた形状をそれぞれ有している。もし、一方のスクリューエレメントの長手方向の配置がずれれば、ずれたスクリューエレメントが、互いに対向するように設計されていないスクリューエレメントと接触するおそれがある。その場合、2本のスクリュー12が接触してスクリュー12の回転が妨げられることによって、過剰振動が発生し、装置が故障するおそれがある。また、スクリュー12の回転の強制的な停止により混練押出処理が中止され、或いは、スクリュー12、バレル20、連動用ギヤ部50及び回転駆動装置30等が損傷を受けて交換を余儀なくされるおそれも考えられる。
本発明者らは、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12を備える混練押出機10において、エレメントの緩みの不具合がある場合に生じる過剰振動について検討した結果、当該過剰振動は、スクリュー12の回転軸の長手方向において顕著に生じる一方、スクリュー12の回転軸の径方向には、過剰振動が測定されないか、少なくとも長手方向に生じた振動よりも小さい振動しか測定されないことを見出した。即ち、混練押出機10において、長手方向の振動と径方向の振動とを測定することにより、エレメントの緩みの不具合の有無を判定することが可能となる。
本実施形態において、混練押出機10のエレメントの緩みの不具合の測定に使用される振動測定手段60は、長手方向及び径方向のそれぞれの振動を測定する振動測定手段60であればよい。混練押出機10のエレメントの緩みの不具合の測定に使用される振動測定手段60の具体例としては、図1及び図2に示す多軸混練押出機に設ける場合を例にすると、例えば、長手方向であるx方向、並びに、径方向であるy方向及びz方向で構成される互いに直交する3軸の振動を測定する3軸振動計、並びに、x方向の振動を測定する第1の単軸振動計とyz平面のいずれかの方向の振動を測定する第2の単軸振動計とを少なくとも含む複数の単軸振動計の組合せ等が挙げられる。
振動測定手段60によって測定された混練押出機10の振動測定結果に基づいて、過剰振動の有無を判定するための基準は、混練押出機10の構造、運転条件、過剰振動の許容範囲等によって異なるため、一概には特定できないと考えられる。本実施形態に係る混練押出機10においては、例えば、振動測定手段60によって測定されたいずれかの方向の振動加速度データの振動幅の基準値に対して1.5倍以上であるとき、過剰振動が発生したとする判定を行ってもよい。
上記の判定における基準値は、過剰振動が発生していないか、少なくとも過剰振動に基づく振動成分が少ないと考えられる条件下における、振動加速度データの振動幅であってもよい。例えば、スクリュー12を備えていない混練押出機10や、設計通りに正しく組み上げられたスクリュー12を備えている場合等、過剰振動が発生しないことが明らかである条件下での振動測定を予め行い、得られた振動加速度データの振動幅を当該基準値としてもよい。また、エレメントの緩みの不具合を要因とする過剰振動等、過剰振動が発生しない方向又は回転速度等の運転条件が明らかである過剰振動について判定する場合は、当該過剰振動が発生しない条件下での振動加速度データの振動幅を、当該基準値としてもよい。
混練押出機10の振動測定結果に基づく過剰振動の有無の判定は、例えば、振動測定手段60によって行われてもよいし、或いは、振動測定手段60に電気的に接続され、振動測定手段60から送信された振動測定結果を示す信号を受信することができる制御手段等によって行われてもよい。
<(2)取り付け角度の不具合>
混練押出機10において過剰振動を引き起こす、スクリューエレメントの配置に関する不具合の他の例として、スクリュー12の回転軸に対する周方向の取り付け位置(本明細書において「取り付け角度」ともいう)が設計と異なる事象が挙げられる。本明細書においては、混練押出機10につき、少なくとも1つのスクリューエレメントが設計とは異なる取り付け角度で取り付けられている事象を、「取り付け角度の不具合」ともいう。
スクリューエレメントをスクリューシャフト18に取り付ける際、スクリューエレメントの内周面とスクリューシャフト18の外周面とで互いに対応する形状を有しており、この形状に合わせてスクリューエレメントがスクリューシャフト18に嵌め合わせられる。 スクリューエレメントの内周面及びスクリューシャフト18の外周面が円形又は回転対称性を有する形状等であることから、スクリューエレメントの取り付け角度が設計とは異なる角度であっても取り付け可能となることがある。
スクリューエレメントが設計と異なる取り付け角度で取り付けられても、スクリューエレメントの外周面は通常周方向に周期的な形状であることから、最終的に作製されたスクリュー12において、複数の中から1つのスクリューエレメントの取り付け角度の誤りを、目視で判別することは困難である。しかしながら、複数のスクリュー12を備える多軸混練押出機において、スクリュー12の少なくとも一方に取り付け角度の不具合が生じると、その影響は非常に深刻である。
多軸混練押出機において対向する2つのスクリューエレメントは、互いのスクリュー12の回転を妨げず、且つ、割り当てられた処理を協力して行うために、各処理を行う長手方向の区間に応じた形状をそれぞれ有している。もし、一方のスクリューエレメントの取り付け角度がずれれば、ずれたスクリューエレメントが、互いに対向するように設計されていないスクリューエレメントと接触するおそれがある。その場合、2本のスクリュー12が接触してスクリュー12の回転が妨げられることによって、過剰振動が発生し、装置が故障するおそれがある。また、スクリュー12の回転の強制的な停止により混練押出処理が中止され、或いは、スクリュー12、バレル20、連動用ギヤ部50及び回転駆動装置30が損傷を受けて交換を余儀なくされるおそれも考えられる。
本発明者らは、複数のスクリュー12を備える多軸混練押出機において取り付け角度の不具合によって引き起こされる過剰振動に、固有の特徴があることを見出した。即ち、多軸混練押出機において取り付け角度の不具合がある場合の過剰振動は、取り付け角度の不具合があるスクリュー12の径方向であって、且つ、取り付け角度の不具合があるスクリュー12の回転軸と他の1つのスクリュー12の回転軸とを含む第1平面に含まれる方向に生じ、その一方、取り付け角度の不具合があるスクリュー12の長手方向、及び、第1平面の法線方向には、取り付け角度の不具合による過剰振動は生じないことが見出された。
第1スクリュー14及び第2スクリュー16を備える多軸混練押出機において、第1スクリュー14の回転軸及び第2スクリュー16の回転軸を含む平面を「第1平面」ともいい、第1スクリュー14の回転軸の径方向であって、第1平面に含まれる方向を「スクリュー軸間方向」ともいい、第1スクリュー14の回転軸の長手方向と第1平面の法線方向とを含む平面を「第2平面」ともいう。図1及び図2に示す多軸混練押出機においては、第1平面はxy平面であり、スクリュー軸間方向はy方向であり、第2平面はzx平面である。
多軸混練押出機において、スクリュー軸間方向(図2のy方向)の振動と、第2平面(図1及び図2のzx平面)に含まれる方向の振動とを測定する振動測定手段60を用いると、取り付け角度の不具合による過剰振動は、スクリュー軸間方向の振動として測定される一方、第2平面に含まれる方向の振動としては測定されない。そのため、第1スクリュー14及び第2スクリュー16、並びに、スクリュー軸間方向の振動と第2平面に含まれる方向の振動とを少なくとも測定する振動測定手段60を備える多軸混練押出機は、振動測定手段60によって測定された過剰振動の要因が取り付け角度の不具合にあるか否かを、容易に判別することができる。
多軸混練押出機が、第1スクリュー14及び第2スクリュー16の回転軸の延長線同士が交差するように配置されている斜交型の多軸混練押出機である場合、スクリュー軸間方向は、第1平面内に含まれる、第1スクリュー14の回転軸の径方向又は第2スクリュー16の回転軸の径方向であってもよいし、また、第1平面内に含まれる、両回転軸の径方向の直線によってなす角度の範囲に含まれる方向であってもよい。
多軸混練押出機における取り付け角度の不具合の測定に使用される振動測定手段60としては、図1及び図2に示す多軸混練押出機に設ける場合を例にすると、例えば、y方向(スクリュー軸間方向)を含む互いに直交する3軸方向(x方向、y方向及びz方向)の振動を少なくとも測定する3軸振動計、並びに、y方向の振動を測定する第3の単軸振動計とzx平面に含まれる方向の振動を測定する第4の単軸振動計とを少なくとも含む複数の単軸振動計の組合せ等が挙げられる。
上述の通り、多軸混練押出機の運転中、エレメントの緩みの不具合によって生じる過剰振動は、第1スクリュー14の長手方向に現れる一方、取り付け角度の不具合によって生じる過剰振動は、スクリュー軸間方向に現れる。よって、第1スクリュー14の長手方向及びスクリュー軸間方向の2方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段60を備える多軸混練押出機は、当該多軸混練押出機において生じる過剰振動の要因が、エレメントの緩みの不具合及び取り付け角度の不具合のいずれにあるのかを容易に判別することができるため、好ましい。
第1スクリュー14の長手方向及びスクリュー軸間方向の2方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段60の具体例としては、例えば、図1及び図2に示す多軸混練押出機に設ける場合を例にすると、x方向、y方向及びz方向の振動を測定する3軸振動計、並びに、x方向の振動を測定する第1の単軸振動計とy方向の振動を測定する第3の単軸振動計を少なくとも含む単軸振動計の組合せ等が挙げられる。
<(3)装置の固有振動>
混練押出機10において引き起こされる過剰振動としては、エレメントの緩みの不具合及び取り付け角度の不具合以外に、回転駆動装置30及び動力伝達装置によって生じる回転駆動と混練押出機10の装置全体とが共振する、装置の固有振動が知られている。装置の固有振動による過剰振動が生じた状態で運転(被混練物の混練押出処理)を行うと、摩耗又は損傷により各部品の交換時期が早まるおそれがある。
混練押出機10において、回転駆動装置30を運転させて、その回転速度を変化させると、特定の回転速度において振動が相対的に大きくなることがあり、このときの回転速度を固有振動回転速度という。混練押出機10における固有振動回転速度は、混練押出機10が備える各装置の材料、大きさ及び厚さ等によって異なるため、一概に言うことはできない。
混練押出機10において装置の固有振動により生じる過剰振動は、回転駆動装置30の回転速度を変化させながら、振動測定手段60として互いに直交する3方向の振動を測定する3軸振動計を用いることによって測定される。この測定により、固有振動回転速度においては、当該3方向のいずれの振動についても、固有振動回転速度以外の回転速度における振動に対して相対的に大きくなることが見出された。なお、混練押出機10における固有振動回転速度は、スクリュー12の有無により変化しないため、スクリュー12が連結器46に接続していない状態で固有振動回転速度の測定を行ってもよい。
よって、スクリュー12の回転軸の長手方向及び径方向のそれぞれの振動を測定する振動測定手段60を備える本実施形態の混練押出機10は、混練押出機10の運転中に過剰振動が生じた場合に、各方向の振動測定結果を比較することにより、過剰振動の要因が、取り付け角度の不具合及び装置の固有振動のいずれにあるのかを容易に判別できる。
また、スクリュー軸間方向の振動と、第2平面に含まれる方向の振動とを測定する振動測定手段60を備える本実施形態の多軸混練押出機は、多軸混練押出機の運転中に過剰振動が生じた場合に、各方向の振動測定結果を比較することにより、過剰振動の要因が、エレメント間隔の不具合及び装置の固有振動のいずれにあるのかを容易に判別できる。
さらに、第1スクリュー14の長手方向の振動と、スクリュー軸間方向の振動とを測定する振動測定手段60を備える本実施形態の多軸混練押出機は、多軸混練押出機の運転中に過剰振動が生じた場合に、各方向の振動測定結果を比較することにより、過剰振動の要因が、取り付け角度の不具合、エレメント間隔の不具合及び装置の固有振動のいずれにあるのかを容易に判別できる。
混練押出機10において過剰振動が発生した場合、過剰振動の要因が判明しなければ、混練押出機10からスクリュー12を取り出して、スクリュー12に取り付け角度の不具合又はエレメント間隔の不具合が無いか、目視等によって確認することになる。しかし、上述の通り、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12において、1つのスクリューエレメントの取り付け角度の誤りを目視で判別することは困難であり、また、スクリューエレメントのエレメント間隔の不具合についても目視での判別は困難である。
従って、長手方向及び径方向のそれぞれの振動を測定する振動測定手段60を備える本実施形態の混練押出機10、並びに、第1スクリュー14の長手方向の振動と、スクリュー軸間方向の振動とを測定する振動測定手段60を備える本実施形態の多軸混練押出機は、判別が困難である過剰振動の発生要因を、特定の方向の振動を測定する振動測定手段60を用いることで容易に判別できる点で、顕著に優れた利便性を有する。
[周波数解析]
本実施形態に係る混練押出機10において、振動測定手段60が測定した各方向の振動加速度データに対して、周波数解析を行ってもよい。混練押出機10において過剰振動が発生した場合、振動加速度データについて高速フーリエ変換による周波数解析を行うと、各過剰振動に対応する方向の振動加速度データに基づく当該周波数解析結果において、過剰振動の発生を示すピークが特定の周波数領域に出現するためである。
周波数解析は、特に、振動測定手段60で測定された振動加速度データにおける振動幅の、基準振動の振動幅に対する差異が大きくなく、過剰振動の判定が困難である場合に有用である。振動加速度データの振動幅では差異が大きくなくても、振動加速度データの周波数解析を行うことにより、特定の周波数領域に過剰振動を示す明らかなピークが出現するためである。即ち、本実施形態の混練押出機10において、振動測定手段60が測定した振動加速度データの周波数解析を行うことは、取り付け角度の不具合、エレメント間隔の不具合及び装置の固有振動の少なくとも一つの事象が要因となる過剰振動の有無を、より精度よく判定できるため、好ましい。
周波数解析により解析できる周波数の範囲は、振動測定手段60を用いた振動測定のサンプリング周期(測定間隔)によって異なる。例えば、振動測定のサンプリング周期(測定間隔)が1ミリ秒であれば1Hz以上500Hz以下の範囲の周波数解析が可能となり、サンプリング周期が0.5ミリ秒であれば1Hz以上1000Hz以下の範囲の周波数解析が可能となり、サンプリング周期が0.25ミリ秒であれば1Hz以上2000Hz以下の範囲の周波数解析が可能となる。
過剰振動を示すピークが出現する周波数領域は、混練押出機10が備える各装置の材料及びサイズ等、混練押出機10の運転条件及びスクリューエレメントの構成等によって異なるため、一概に範囲を特定することはできない。過剰振動を示すピークが出現する周波数領域の具体例としては、例えば、100Hz以上500Hz以下の範囲が挙げられる。
本実施形態に係る混練押出機10における、振動測定手段60を用いた振動測定のサンプリング周期は、上記の過剰振動を示すピークが出現する周波数領域を含有させる観点から、0.25ミリ秒以上2ミリ秒以下が好ましく、0.25ミリ秒以上1ミリ秒以下がより好ましい。
周波数解析結果に基づいて行う過剰振動の有無の判定は、上記の振動加速度データに基づいて行う過剰振動の有無の判定に準じて行ってもよい。例えば、振動測定手段60によって測定されたいずれかの方向の振動加速度データについて行った周波数解析結果が、基準周波数データに対して1.5倍以上であるときに過剰振動が発生したとする判定を行ってもよい。
上記の判定における基準周波数データは、過剰振動が発生していないか、少なくとも過剰振動に基づく振動成分が少ないと考えられる条件下での振動加速度データについて行った周波数解析結果であってもよい。例えば、スクリュー12を備えていない混練押出機10や、設計通りに正しく組み上げられたスクリューを備えている場合等、過剰振動が発生しないことが明らかである条件下での振動測定を予め行い、得られた振動加速度データに対して行った周波数解析結果を当該基準周波数データとしてもよい。また、過剰振動が発生しない方向又は回転速度等の運転条件が明らかである過剰振動について判定する場合は、当該過剰振動が発生しない条件下での振動加速度データに対して行った周波数解析結果を当該基準周波数データとしてもよい。
[過剰振動発生対応]
本実施形態に係る混練押出機10は、振動測定手段60による振動測定結果が過剰振動を示す場合、例えば、回転駆動装置30への通電等を停止することによって、スクリュー12の回転を停止することが好ましい。上記の場合、混練押出機10は、スクリュー12の回転を停止するとともに、或いは、それに代えて、過剰振動が発生した旨の警告を表示手段に表示させるか、又は、ユーザーもしくは管理者等に通知してもよい。これらの措置により、混練押出機10における過剰振動の要因の排除をユーザー等に促すことができる。また、振動測定手段60が検知した過剰振動の要因が装置の固有振動である場合、混練押出機10は、スクリュー12の回転を停止することに代えて、スクリュー12の回転速度を変更してもよい。
なお、振動測定手段60による振動測定結果とは、振動測定手段60が測定した混練押出機10における各方向の振動加速度データ、及び、当該データについて行った周波数解析の結果を含む。また、振動測定手段60による振動測定結果が過剰振動を示す場合とは、当該各方向の振動加速度データのいずれかが過剰振動を示す場合、及び、当該周波数解析の結果のいずれかが過剰振動を示す場合を含む。
振動測定手段60による振動測定結果が過剰振動を示す場合に、混練押出機10がスクリュー12の停止、警告の表示もしくは通知、及びスクリュー12の回転速度の変更からなる群から選択される少なくとも1つを行うことにより、過剰振動を引き起こす要因を速やかに排除して、スクリュー12、バレル20、連動用ギヤ部50及び回転駆動装置30等の摩耗及び損傷を抑制することができ、これらの部材の寿命を延長することができる。特に振動加速度データの周波数解析と組み合わせることにより、過剰振動を引き起こす要因をより精度よく、且つ、速やかに排除することができる。
振動測定手段60が過剰振動を測定した場合における、スクリュー12の停止、警告の表示もしくは通知又はスクリュー12の回転速度の変更等は、例えば、振動測定手段60によって行われてもよいし、或いは、振動測定手段60に電気的に接続され、振動測定手段60から送信された過剰振動を示す信号を受信することができる制御手段等によって行われてもよい。
以下、実施例に基づき、本実施形態をさらに具体的に説明する。なお、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例において、図1及び図2に示す混練押出機10を用いた。混練押出機10において、ギヤボックス42の上部及びバレル20の排出口付近のそれぞれに、振動測定手段60を設けた。振動測定手段60としては、長手方向(x方向)、スクリュー軸間方向(y方向)、及び、複数のスクリュー12の回転軸を含む平面の法線方向(z方向)の振動を測定する3軸振動計(高速3チャンネル小型無線振動記録計「MVP−RF3−HC」、マイクロストーン株式会社製)を用いた。
各実施例に記載の条件に設定した混練押出機10を運転しながら、混練押出機10に備えられた3軸振動計を用いて、図1及び図2に示すx方向、y方向及びz方向の振動加速度を測定した。各方向のいずれについても、振動測定のサンプリング周期を1ミリ秒に設定し、1秒間(サンプリング数1000個)の測定を1回として6000回の振動測定を繰り返し行った。
[参考例]
図1及び図2に示す第1スクリュー14及び第2スクリュー16を備える多軸混練押出機を用いた。第1スクリュー14及び第2スクリュー16として、複数のスクリューエレメントを有し、対向するスクリューエレメントの組が互いに対応する形状を有しているスクリュー12を使用した。
参考例の多軸混練押出機を、60rpmのスクリュー回転速度で運転したときのx方向、y方向及びz方向のそれぞれの振動加速度Ax、Ay及びAzを、3軸振動計を用いて測定した。次いで、各方向の振動加速度データについて、高速フーリエ変換による周波数解析を行った。図5に周波数解析結果を示す。図5から明らかな通り、参考例の多軸混練押出機においては、過剰振動を示す波形はAx、Ay及びAzのいずれの周波数解析結果においても測定されなかった。
[実施例1:エレメントの緩みの不具合に基づく過剰振動の測定]
図1及び図2に示す第1スクリュー14及び第2スクリュー16を備える多軸混練押出機を用いた。第1スクリュー14及び第2スクリュー16として、複数のスクリューエレメントを有し、対向するスクリューエレメントの組が互いに対応する形状を有しているスクリュー12を使用した。但し、第1スクリュー14の作製においては、スクリューヘッドを締め付ける際、規定量の60%のトルクで締め付けて、エレメントの緩みの不具合を有する第1スクリュー14を作製した。
エレメントの緩みの不具合がある実施例1の多軸混練押出機を、60rpmのスクリュー回転速度で運転したときのx方向、y方向及びz方向のそれぞれの振動加速度Ax、Ay及びAzを、3軸振動計を用いて測定した。次いで、各方向の振動加速度データについて、高速フーリエ変換による周波数解析を行った。図6に周波数解析結果を示す。図6から明らかな通り、実施例1の多軸混練押出機においては、Ayの周波数解析結果には過剰振動を示す波形が測定されなかったが、Axの周波数解析結果には200Hz以上400Hz以下の範囲に過剰振動を示す波形が出現した。Axの周波数解析結果に出現した波形の高さは、Ayの周波数解析結果における200Hz以上400Hz以下の範囲の波形の高さと比較して2倍以上も大きく、エレメント間隔の不具合を要因とする過剰振動を明らかに示すものであった。
[実施例2:取り付け角度の不具合に基づく過剰振動の測定]
図1及び図2に示す第1スクリュー14及び第2スクリュー16を備える多軸混練押出機を用いた。第1スクリュー14及び第2スクリュー16として、複数のスクリューエレメントを有し、対向するスクリューエレメントの組が互いに対応する形状を有しているスクリュー12を使用した。但し、第1スクリュー14としては、1つのスクリューエレメント(搬送混合処理用)を設計とは異なる角度に取り付けて作製したスクリュー12を使用した。
取り付け角度の不具合がある実施例2の多軸混練押出機を、60rpmのスクリュー回転速度で運転したときのx方向、y方向及びz方向のそれぞれの振動加速度Ax、Ay及びAzを、3軸振動計を用いて測定した。次いで、各方向の振動加速度データについて、高速フーリエ変換による周波数解析を行った。図7に周波数解析結果を示す。図7から明らかな通り、実施例2の多軸練押出機においては、Axの周波数解析結果には過剰振動を示す波形が測定されなかったが、Ayの周波数解析結果には200Hz以上300Hz以下の範囲に過剰振動を示す波形が出現した。Ayの周波数解析結果に出現した波形の高さは、Axの周波数解析結果における200Hz以上300Hz以下の範囲の波形の高さと比較して2倍以上も大きく、取り付け角度の不具合を要因とする過剰振動を明らかに示すものであった。
[実施例3:装置の固有振動の測定]
図1及び図2に示す多軸混練押出機から、第1スクリュー14及び第2スクリュー16を連結器46から外した装置について、スクリュー回転速度を100rpmから1000rpmまで100rpm刻みで上昇させながら、運転を行った。各回転速度におけるx方向、y方向及びz方向の振動を3軸振動計を用いて振動加速度を測定した。
図8に示す通り、x方向、y方向及びz方向のそれぞれの振動加速度データAx、Ay及びAzの振動幅は、回転速度が600rpmであるとき、300rpm及び900rpm等の他の回転速度と比較していずれも1.5倍以上も大きく、装置の固有振動を要因とする過剰振動を示した。なお、図示しないが、300rpm、600rpm及び900rpm以外の振動加速度データは、300rpm及び900rpmと大差ないものであった。これにより、実施例3で使用した混練押出機10における固有振動回転速度は600rpmであることが判明した。
実施例1が示すように、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12と、バレル20と、回転駆動装置30と、動力伝達機構40と、スクリュー12の回転軸の長手方向及び径方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段60とを備える混練押出機10により、スクリューエレメントの長手方向の配置が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定することができた。
また、実施例2が示すように、複数のスクリューエレメントを有するスクリュー12である第1スクリュー14及び第2スクリュー16と、バレル20と、回転駆動装置30と、動力伝達機構40と、第1スクリュー14の回転軸の径方向であって、第1スクリュー14の回転軸及び第2スクリュー16の回転軸を含む第1平面に含まれる方向の振動、並びに、第1スクリュー14の回転軸の長手方向及び第1平面の法線方向を含む第2平面に含まれるいずれかの方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段60とを備える混練押出機10により、スクリューエレメントの取り付け角度が設計と異なることによって発生する過剰振動の有無を判定することができた。
10 混練押出機、12 スクリュー、14 第1スクリュー、16 第2スクリュー、18 スクリューシャフト、20 バレル、22 投入口、30 回転駆動装置、32,48 シャフト、40 動力伝達機構、42 ギヤボックス、44 減速部、46 連結器、50 連動用ギヤ部、60 振動測定手段。

Claims (5)

  1. 複数のスクリューエレメントを有するスクリューと、前記スクリューを収容するバレルと、前記スクリューを回転させる動力を発生させる回転駆動装置と、前記動力を前記回転駆動装置から前記スクリューに伝達する動力伝達機構と、前記スクリューの回転軸の長手方向及び径方向の振動を少なくとも測定する振動測定手段とを備えることを特徴とする、混練押出機。
  2. 前記スクリューとして第1スクリュー及び第2スクリューを少なくとも備え、前記振動測定手段が、前記第1スクリューの回転軸の長手方向の振動と、前記第1スクリューの回転軸の径方向であって、前記第1スクリューの回転軸及び前記第2スクリューの回転軸を含む平面に含まれる方向の振動を測定することを特徴とする、請求項1に記載の混練押出機。
  3. 前記振動測定手段が互いに直交する3方向の振動を測定する3軸振動計であって、前記3方向の少なくとも一つが、前記スクリューの回転軸の長手方向であるか、又は、前記第1スクリューの回転軸の径方向であって、前記第1スクリューの回転軸及び前記第2スクリューの回転軸を含む第1平面に含まれる方向であることを特徴とする、請求項1または2に記載の混練押出機。
  4. 前記振動測定手段により得られた振動測定結果が過剰振動を示す場合に、前記スクリューの停止、警告の表示もしくは通知、及び前記スクリューの回転速度の変更からなる群から選択される少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混練押出機。
  5. 前記振動測定手段により測定された振動加速度データの周波数解析結果が過剰振動を示す場合に、前記スクリューの停止、警告の表示もしくは通知、及び前記スクリューの回転速度の変更からなる群から選択される少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混練押出機。
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WO2022158073A1 (ja) * 2021-01-25 2022-07-28 株式会社日本製鋼所 コンピュータプログラム、異常検知方法、異常検知装置、成形機システム及び学習モデル生成方法

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WO2022158073A1 (ja) * 2021-01-25 2022-07-28 株式会社日本製鋼所 コンピュータプログラム、異常検知方法、異常検知装置、成形機システム及び学習モデル生成方法

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