JP2018051185A - ゴルフスイング解析装置 - Google Patents

ゴルフスイング解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018051185A
JP2018051185A JP2016193739A JP2016193739A JP2018051185A JP 2018051185 A JP2018051185 A JP 2018051185A JP 2016193739 A JP2016193739 A JP 2016193739A JP 2016193739 A JP2016193739 A JP 2016193739A JP 2018051185 A JP2018051185 A JP 2018051185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
club
swing
golf
golfer
optimum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016193739A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6809100B2 (ja
Inventor
弘祐 岡崎
Hirosuke Okazaki
弘祐 岡崎
植田 勝彦
Katsuhiko Ueda
勝彦 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Dunlop Sports Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Dunlop Sports Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd, Dunlop Sports Co Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2016193739A priority Critical patent/JP6809100B2/ja
Publication of JP2018051185A publication Critical patent/JP2018051185A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6809100B2 publication Critical patent/JP6809100B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Golf Clubs (AREA)

Abstract

【課題】実際にスイングしていないゴルフクラブのスイング動作を精度よく推定することができるゴルフスイング解析装置を提供する。【解決手段】ゴルフスイング解析装置は、取得部と、決定部と、シミュレーション部とを備える。取得部は、ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得する。決定部は、計測データに基づいて、ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定する。シミュレーション部は、ゴルファーによる最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、最適クラブスイングデータと、ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、ゴルファーによる仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定する。【選択図】図16

Description

本発明は、ゴルフスイング解析装置に関する。
従来より、ゴルファーによるゴルフクラブのスイング動作を計測装置により計測した計測データに基づいて、スイング動作を解析する装置が公知である(特許文献1等)。特許文献1には、ゴルファーに普段使用しているゴルフクラブをスイングさせ、このときのスイング動作を解析してゴルフクラブのグリップエンドの軌跡を算出し、これを様々なゴルフクラブでのスイング動作に適用することで、実際にスイングしていないゴルフクラブのヘッドの挙動やシャフトの変形等をシミュレーションする方法が開示されている。
特開2011−168650号公報
ところで、ゴルフクラブが変われば、ゴルファーのスイングも変化する。例えば、重いゴルフクラブをスイングすれば、スイング速度は低下し得るし、逆に軽いゴルフクラブをスイングすれば、スイング速度は上昇し得る。また、スイングするゴルフフクラブに応じて、スイングの軌跡も変化し得る。この点、特許文献1の方法では、ゴルフクラブに関わらず、グリップエンドの軌跡が常に一定であるとして、シミュレーションを行っている。そのため、実際にスイングしていないゴルフクラブのスイング動作をシミュレーションできるとしても、ゴルフクラブに応じたスイングの変化が考慮されておらず、解析の精度の点でさらなる改良が望まれる。
本発明は、実際にスイングしていないゴルフクラブのスイング動作を精度よく推定することができるゴルフスイング解析装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
第1観点に係るゴルフスイング解析装置は、ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析装置であって、取得部と、決定部と、シミュレーション部とを備える。前記取得部は、ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得する。前記決定部は、前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定する。前記シミュレーション部は、前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定する。
第2観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点に係るゴルフスイング解析装置であって、前記シミュレーション部は、前記仮想クラブが前記最適クラブよりもクラブ特性が小さい場合、前記ゴルファーのスイングが前記仮想クラブの物性に関わらず一定であるとの仮定の下、前記仮想クラブスイングデータを推定する。
第3観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点又は第2観点に係るゴルフスイング解析装置であって、前記シミュレーション部は、前記仮想クラブが前記最適クラブよりもクラブ特性が大きい場合、前記ゴルファーがスイング動作時に発揮する力が前記仮想クラブの物性に関わらず一定であるとの仮定の下、前記仮想クラブスイングデータを推定する。
第4観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係るゴルフスイング解析装置であって、前記シミュレーション部は、前記最適クラブと前記基準クラブのクラブ特性を比較し、前記比較の結果に応じて選択されるアルゴリズムに従って、前記仮想クラブスイングデータを推定する。
第5観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係るゴルフスイング解析装置であって、前記仮想クラブスイングデータには、前記仮想クラブのスイング動作時に前記ゴルファーにより発揮されるトルクが含まれる。
第6観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係るゴルフスイング解析装置であって、前記仮想クラブスイングデータには、前記仮想クラブのスイング動作時のスイング軌道及びヘッド速度の少なくとも一方が含まれる。
第7観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係るゴルフスイング解析装置であって、前記決定部は、前記計測データに基づいて、前記基準クラブのスイング動作時のスイング指標を導出し、前記スイング指標に応じて、前記最適クラブ特性を導出する。
第8観点に係るゴルフスイング解析装置は、第7観点に係るゴルフスイング解析装置であって、前記スイング指標には、前記ゴルファーの腕が出力するパワー、前記基準クラブに入力されるパワー、前記ゴルファーにより発揮されるエネルギー、前記ゴルファーにより発揮されるトルク、及び、インパクト直前のヘッド速度の少なくとも1つが含まれる。
第9観点に係るゴルフスイング解析装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係るゴルフスイング解析装置であって、前記最適クラブ特性は、前記ゴルファーに適したゴルフクラブの振り易さ指標である。
第10観点に係るゴルフスイング解析装置は、第9観点に係るゴルフスイング解析装置であって、前記最適クラブ特性には、前記ゴルファーに適したクラブ重量、シャフト重量、前記ゴルファーの肩回りの慣性モーメント、ゴルフクラブの慣性モーメントの少なくとも1つが含まれる。
第11観点に係るゴルフスイング解析方法は、ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析方法であって、以下のステップを含む。
(1)ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得するステップ。
(2)前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定するステップ。
(3)前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定するステップ。
第12観点に係るゴルフスイング解析プログラムは、ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析プログラムであって、以下のステップをコンピュータに実行させる。
(1)ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得するステップ。
(2)前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定するステップ。
(3)前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定するステップ。
第1観点によれば、ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測した計測データに基づいて、ゴルファーに適した最適クラブが決定される。そして、ゴルファーによる最適クラブのスイング動作と、ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、ゴルファーによる仮想クラブのスイング動作が推定される。すなわち、仮想クラブのスイング動作を推定するに当たり、最適クラブによるスイング動作が考慮されることにより、ゴルフクラブに応じたスイングの変化が考慮される。その結果、仮想クラブのスイング動作を精度よく推定することができる。
本発明の一実施形態に係るゴルフスイング解析装置を備えるゴルフスイング解析システムを示す図。 ゴルフスイング解析システムの機能ブロック図。 ゴルフクラブのグリップを基準とするxyz局所座標系を説明する図。 (A)アドレス状態を示す図。(B)トップ状態を示す図。(C)インパクト状態を示す図。(D)フィニッシュ状態を示す図。 ゴルフスイング解析処理の流れを示すフローチャート。 ゴルフスイング解析処理に含まれる最適クラブ決定工程の流れを示すフローチャート。 スイング平面を説明する図。 二重振り子モデルを概念的に説明する図。 肩挙動導出工程を概念的に説明する図。 スイング指標算出工程の流れを示すフローチャート。 二重振り子モデルを概念的に説明する別の図。 最適クラブ特性導出工程の流れを示すフローチャート。 複数の最適シャフト重量帯に対応する領域に分割された腕出力パワー−クラブ入力パワー平面を示す図。 振り易さ指標と、ヘッド速度との関係を示す図。 振り易さ指標と、ゴルファーによる発揮力との関係を示す図。 基準クラブが最適クラブよりも振り易さ指標が小さい場合の指標の関係を示す図。 基準クラブが最適クラブよりも振り易さ指標が大きい場合の指標の関係を示す図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るについて説明する。
<1.ゴルフスイング解析システムの概略構成>
図1及び図2に、本実施形態に係るゴルフスイング解析装置2を備えるゴルフスイング解析システム100の全体構成を示す。ゴルフスイング解析装置2は、ゴルファー7によるゴルフクラブ4のスイング動作を計測した計測データに基づいて、スイング動作の解析を行う。解析の結果は、ゴルファー7に適したゴルフクラブ4を選択するゴルフクラブ4のフィッティングや、ゴルファー7のフォームの改善、ゴルフ用品の開発等、様々な用途で利用される。本実施形態では、スイング動作の計測は、慣性センサユニット1により行われ、ゴルフスイング解析装置2は、慣性センサユニット1とともに、ゴルフスイング解析システム100を構成する。以下、慣性センサユニット1及びゴルフスイング解析装置2の構成について説明した後、ゴルフスイング解析処理の流れについて説明する。
<1−1.慣性センサユニットの構成>
慣性センサユニット1は、図1及び図3に示す通り、ゴルフクラブ4のグリップ42におけるヘッド41と反対側の端部に取り付けられており、グリップ42の挙動を計測する。なお、ゴルフクラブ4は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト40と、シャフト40の一端に設けられたヘッド41と、シャフト40の他端に設けられたグリップ42とから構成される。慣性センサユニット1は、スイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。また、慣性センサユニット1は、ゴルフクラブ4に対して着脱自在であり、ゴルフクラブ4の外側に取り付けることができる。
図2に示すように、慣性センサユニット1には、加速度センサ11、角速度センサ12及び地磁気センサ13が搭載されている。また、慣性センサユニット1には、これらのセンサ11〜13から出力される計測データを外部のゴルフスイング解析装置2に送信するための通信装置10も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置10は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式にゴルフスイング解析装置2に接続するようにしてもよい。
加速度センサ11、角速度センサ12及び地磁気センサ13はそれぞれ、グリップ42を基準としたxyz局所座標系におけるグリップ42の加速度、角速度及び地磁気を計測する。より具体的には、加速度センサ11は、x軸、y軸及びz軸方向の加速度ax,ay,azを計測する。角速度センサ12は、x軸、y軸及びz軸周りの角速度ωx,ωy,ωzを計測する。地磁気センサ13は、x軸、y軸及びz軸方向の地磁気mx,my,mzを計測する。これらの計測データは、所定のサンプリング周期Δtの時系列データとして取得される。なお、xyz局所座標系は、図3に示す通りに定義される3軸直交座標系である。すなわち、z軸は、シャフト40の延びる方向に一致し、ヘッド41からグリップ42に向かう方向が、z軸正方向である。x軸は、ヘッド41のトゥ−ヒール方向にできる限り沿うように配向され、y軸は、ヘッド41のフェース面の法線方向にできる限り沿うように配向される。
本実施形態では、加速度センサ11、角速度センサ12及び地磁気センサ13による計測データは、通信装置10を介してリアルタイムにゴルフスイング解析装置2に送信される。しかしながら、例えば、慣性センサユニット1内の記憶装置に計測データを格納しておき、スイング動作の終了後に当該記憶装置から計測データを取り出して、ゴルフスイング解析装置2に受け渡すようにしてもよい。
<1−2.ゴルフスイング解析装置の構成>
図2を参照しつつ、ゴルフスイング解析装置2の構成について説明する。ゴルフスイング解析装置2は、CD−ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体20に格納されたゴルフスイング解析プログラム3を、当該記録媒体20から汎用のパーソナルコンピュータにインストールすることにより製造される。ゴルフスイング解析プログラム3は、慣性センサユニット1から送られてくる計測データに基づいてスイング動作を解析し、解析の結果を表示するためのソフトウェアである。ゴルフスイング解析プログラム3は、ゴルフスイング解析装置2に後述する動作を実行させる。
ゴルフスイング解析装置2は、表示部21、入力部22、記憶部23、制御部24及び通信部25を備える。そして、これらの部21〜25は、バス線26を介して接続されており、相互に通信可能である。本実施形態では、表示部21は、液晶ディスプレイ等で構成され、後述する情報をユーザに対し表示する。なお、ここでいうユーザとは、ゴルファー7自身やそのインストラクター、ゴルフ用品の開発者等の、解析の結果を必要とする者の総称である。また、入力部22は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、ゴルフスイング解析装置2に対するユーザからの操作を受け付ける。通信部25は、ゴルフスイング解析装置2と外部装置との通信を可能にする通信インターフェースであり、慣性センサユニット1から計測データを受信する。
記憶部23は、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置により構成される。記憶部23内には、ゴルフスイング解析プログラム3が格納されている他、慣性センサユニット1から送られてくる計測データが保存される。また、記憶部23内には、対応関係データ28、ヘッドデータベース(DB)27及びシャフトデータベース(DB)29が格納されている。ヘッドDB27には、多数のヘッド41のスペックを示す情報が、ヘッド41の種類を特定する情報に関連付けて格納されている。ヘッド41のスペックを示す情報には、製造メーカー、型番、ヘッド41の重量、重心の位置、慣性モーメント等を示す情報が含まれる。シャフトDB29には、多数のシャフト40のスペックを示す情報が、シャフト40の種類を特定する情報に関連付けて格納されている。シャフト40のスペックを示す情報には、製造メーカー、型番、シャフト40の重量、長さ、重心の位置、フレックス、トルク、調子等を示す情報が含まれる。対応関係データ28については、後述する。
制御部24は、CPU、ROMおよびRAM等から構成することができる。制御部24は、記憶部23内のゴルフスイング解析プログラム3を読み出して実行することにより、仮想的に取得部24A、決定部24B、シミュレーション部24C及び表示制御部24Dとして動作する。各部24A〜24Dの動作の詳細については、後述する。
<2.ゴルフスイング解析処理>
次に、図5を参照しつつ、ゴルフスイング解析システム100により実行されるゴルフスイング解析処理について説明する。ゴルフスイング解析処理では、まず、慣性センサユニット1により、ゴルファー7によるゴルフクラブ4のスイング動作が計測される(ステップS1;計測工程)。以下、計測工程で使用されるゴルフクラブ4を、基準クラブと呼ぶ。
次に、計測データに基づいて、ゴルファー7に適したゴルフクラブ4(以下、最適クラブという)の特性である最適クラブ特性が導出され、最適クラブ特性に合致するゴルフクラブ4である最適クラブが決定される(ステップS2;最適クラブ決定工程)。
続いて、基準クラブと最適クラブとが比較され、どちらが振り易さ指標が大きいゴルフクラブであるかが判定される(ステップS3;比較工程)。その後、当該比較の結果に応じて選択されるアルゴリズムに従って、ゴルファー7による最適クラブのスイング動作を表すスイングデータ(以下、最適クラブスイングデータという)が推定されるとともに、最適クラブスイングデータに基づいて、ゴルファー7による仮想クラブのスイング動作を表すスイングデータ(以下、仮想クラブスイングデータという)が推定される(ステップS4,S5;シミュレーション工程)。ステップS4は、基準クラブの方が振り易さ指標が小さいゴルフクラブであると判定された場合に実行され、ステップS5は、最適クラブの方が振り易さ指標が小さいゴルフクラブであると判定された場合に実行される。なお、仮想クラブとは、ゴルファー7が実際にスイングしていないゴルフクラブ4である。
その後、以上の解析の結果が表示部21上に表示される(ステップS6;出力工程)。以下、ステップS1〜S6の詳細について順に説明する。
<2−1.計測工程(S1)>
計測工程(S1)では、ゴルファー7により、上述の慣性センサユニット1付きゴルフクラブ4である基準クラブがスイングされる。このとき、基準クラブのスイング動作中の加速度ax,ay,az、角速度ωx,ωy,ωz及び地磁気mx,my,mzに関する計測データが、慣性センサユニット1により収集される。この計測データは、通信装置10を介してゴルフスイング解析装置2に送信される。一方、ゴルフスイング解析装置2側では、取得部24Aが通信部25を介して計測データを受信し、これを記憶部23内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスからインパクトまでの時系列の計測データが計測される。計測工程では、基準クラブが複数回、好ましくは2回〜5回程度試打されることが好ましい。この場合、計測データに基づいて算出される各種値の平均値を算出することができ、以降の計算にこの平均値を使用することにより、解析の結果のバラつきを低減することができる。
なお、ゴルフスイングは、一般に、アドレス、トップ、インパクト、フィニッシュの順に進む。アドレスとは、図4(A)に示すとおり、ゴルフクラブ4のヘッド41をボール近くに配置した静止状態を意味し、トップとは、図4(B)に示すとおり、アドレスからゴルフクラブ4をテイクバックし、最もヘッド41が振り上げられた状態を意味する。インパクトとは、図4(C)に示すとおり、トップからゴルフクラブ4が振り下ろされ、ヘッド41がボールと衝突した瞬間の状態を意味し、フィニッシュとは、図4(D)に示すとおり、インパクト後、ゴルフクラブ4を前方へ振り抜いた状態を意味する。
<2−2.最適クラブ決定工程(S2)>
最適クラブ決定工程(S2)は、上述した通り、最適クラブ特性を導出し、最適クラブを決定する工程であり、図6の通りに進行する。なお、本実施形態の最適クラブ特性とは、ゴルファーに適したシャフト40の重量(以下、最適シャフト重量という)である。
まず、計測工程で取得されたxyz局所座標系での加速度ax,ay,az及び角速度ωx,ωy,ωzに関する計測データが、XYZ全体座標系での加速度aX,aY,aZ及び角速度ωX,ωY,ωZに変換される(ステップS21;第1変換工程)。なお、XYZ全体座標系は、図1に示す通りに定義される3軸直交座標系である。すなわち、Z軸は、鉛直下方から上方に向かう方向であり、X軸は、ゴルファー7の背から腹に向かう方向であり、Y軸は、地平面に平行でボールの打球地点から目標地点に向かう方向である。続いて、XYZ全体座標系でのグリップ42の挙動が、スイング平面P(後述する)内でのグリップ42の挙動へと変換される(ステップS22;第2変換工程)。
次に、スイング平面P内でのグリップ42の挙動に基づいて、スイング平面P内でのゴルファー7の疑似的な肩の挙動が導出される(ステップS23;肩挙動導出工程)。続いて、スイング平面P内でのグリップ42の挙動及び疑似的な肩の挙動に基づいて、基準クラブのスイング動作時のスイング指標(本実施形態では、後述する腕出力パワーP1_AVE及びクラブ入力パワーP2_AVE)が算出される(ステップS24;スイング指標算出工程)。
その後、スイング指標に基づいて、最適クラブ特性(本実施形態では、最適シャフト重量)が導出され(ステップS25;最適クラブ特性導出工程)、最適クラブ特性に合致する最適クラブが選択される(ステップS26;最適クラブ選択工程)。以下、ステップS21〜26の詳細について順に説明する。
<2−2−1.第1変換工程(S21)>
第1変換工程(S21)では、xyz局所座標系でのグリップ42の挙動が、XYZ全体座標系でのグリップの挙動に変換される。具体的には、決定部24Bが、記憶部23内に格納されている加速度ax,ay,az、角速度ωx,ωy,ωz及び地磁気mx,my,mzの時系列データを読み出し、これらの時系列データに基づいて、アドレスからインパクトまでの加速度ax,ay,az及び角速度ωx,ωy,ωzを、XYZ全体座標系での時系列データに変換する。以下、変換後のXYZ全体座標系での加速度及び角速度を、加速度aX,aY,aZ及び角速度ωX,ωY,ωZと表す。なお、局所座標系から全体座標系への値の変換方法については、様々知られている。従って、ここでは詳細な説明を省略するが、必要であれば、同出願人らによる特開2016−2429号公報や特開2016−2430号公報等に記載の方法に従うことができる。また、第1変換工程では、決定部24Bは、加速度aX,aY,aZの時系列データを積分することにより、XYZ全体座標系でのグリップ速度vX,vY,vZを導出する。
<2−2−2.第2変換工程(S22)>
第2変換工程(S22)では、決定部24Bは、第1変換工程(S21)で算出されたXYZ全体座標系でのグリップ42の挙動を、スイング平面P内でのグリップ42の挙動へと変換する。本実施形態では、スイング平面Pは、XYZ全体座標系の原点を含み、Y軸及びインパクト時のシャフト40と平行な面として定義される(図7参照)。決定部24Bは、アドレスからインパクトまでのXYZ全体座標系でのグリップ速度vX,vY,vZをスイング平面P内へ射影したグリップ速度(vpY,vpZ)を算出するとともに、以下の式に従って、アドレスからインパクトまでのスイング平面P内でのグリップ速度VGE(スカラー)を算出する。
また、決定部24Bは、グリップ速度(vpY,vpZ)を積分することにより、スイング平面P内でのグリップ42の軌道を算出する。さらに、決定部24Bは、スイング平面Pに直交する軸周りのグリップ角速度ωpXを算出する。なお、第2変換工程の具体的な計算方法は、適宜選択することができるが、必要であれば、同出願人らによる特開2016−2429号公報や特開2016−2430号公報等に記載の方法に従うことができる。
<2−2−3.肩挙動導出工程(S23)>
以下、スイング平面P内でのグリップの挙動に基づいて、スイング平面P内の疑似的な肩の挙動を導出する肩挙動導出工程(S23)について説明する。本実施形態では、ゴルフクラブ4の挙動は、ゴルファー7の肩及びグリップ42(或いは、これを握るゴルファーの手首)を節点とし、ゴルファー7の腕及びゴルフクラブ4をリンクとする二重振り子モデル(図8参照)に基づいて解析される。ただし、肩の挙動は直接的に実測されるのではなく、実測されたグリップの挙動に基づいて、疑似的な肩の挙動として導出される。以下では、特に断らない限り、単に「肩」という場合も、このような疑似的な肩を意味し得るものとする。疑似的な肩とグリップ42(手首)との間を直線的に延びるものとして定義される疑似的な「腕」についても同様である。
グリップの挙動から肩の挙動を特定するに当たり、二重振り子モデルは、以下の(1)〜(3)を前提とする。図8は、以下の前提条件を概念的に説明する図である。
(1)スイング平面P上において、グリップ42(手首)は肩を中心として円運動する。
(2)スイング平面P上において、肩とグリップ42との距離(半径)Rは、一定である。
(3)肩は、スイング動作中は動かない(ただし、回転する)。
以上の前提の下、決定部24Bは、第2変換工程(S22)で得られたスイング平面P内でのグリップ42の軌道を、円弧(円)に近似する(図9参照)。そして、当該円弧(円)の中心を肩の位置Ps=(PsX,PsY)として導出し、当該円弧(円)の中心からグリップ42の軌道までの平均的な距離を、腕長さ(肩とグリップ42との距離)Rとする。次に、決定部24Bは、この腕長さRに基づいて、スイング平面P内におけるトップからインパクトまでの肩周りの角速度(腕の角速度)ω1=VGE/Rを算出する。
<2−2−4.スイング指標算出工程(S24)>
以下、図10を参照しつつ、グリップ42及び肩の挙動に基づいて、基準クラブのスイング動作時のスイング指標を算出するスイング指標算出工程(S24)について説明する。ここでいうスイング指標とは、最適クラブ特性を決定するための指標であり、ゴルファー7によるスイング動作を特徴付ける特徴量であり、典型的には、最適クラブ特性と相関がある指標である。本実施形態のスイング指標は、最適クラブ特性である最適シャフト重量と相関のある腕出力パワーP1_AVE、及びクラブ入力パワーP2_AVEである。
まず、ステップS31では、決定部24Bは、腕の角速度ω1を積分し、トップからインパクトまでの腕の回転角度θ1を算出する。なお、回転角度θ1は、図11のように定義され、図11の紙面は、スイング平面Pに等しい。以下では、図11に示されるスイング平面P内での新たなXY座標系に基づいて、解析が進められる。スイング平面P内での新たなX軸は、上述したXYZ全体座標系のY軸に等しく、新たなY軸は、XYZ全体座標系のZ軸をスイング平面P内に投影した軸である。
また、決定部24Bは、腕の角速度ω1を微分し、トップからインパクトまでの角加速度ω1’を算出する。次に、決定部24Bは、トップからインパクトまでの腕の重心の位置(X1,Y1)、速度(VX1,VY1)及び加速度(AX1,AY1)を算出する。これらの値は、上述した計算結果を以下の式に代入することにより算出される。ただし、rは、肩から腕の重心までの距離である。本実施形態では、腕の重心は、腕の中心にあるものと仮定される。従って、R=2rである。
次に、ステップS32では、決定部24Bは、ステップS31と同様の演算をグリップ42周りについても行う。すなわち、グリップ角速度ωpX=グリップ42周りのゴルフクラブ4の角速度ω2を積分し、トップからインパクトまでのグリップ42周りのゴルフクラブ4(シャフト40)の回転角度θ2を算出する。回転角度θ2は、図11のように定義される。
続いて、決定部24Bは、ゴルフクラブ4の角速度ω2を微分し、トップからインパクトまでの角加速度ω2’を算出する。次に、決定部24Bは、トップからインパクトまでのゴルフクラブ4の重心の位置(X2,Y2)、速度(VX2,VY2)及び加速度(AX2,AY2)を算出する。これらの値は、上述した計算結果を以下の式に代入することにより算出される。ただし、Lは、グリップ42からゴルフクラブ4の重心までの距離である。Lの値は、ゴルフクラブ4のスペックであり、予め定められている。
次に、ステップS33では、決定部24Bは、上述した計算結果を以下の式に代入することにより、トップからインパクトまでの肩に発生する拘束力R1=(RX1,RY1)を算出するとともに、トップからインパクトまでのグリップ42に発生する拘束力R2=(RX2,RY2)を算出する。以下の式は、並進方向の力の釣り合いに基づくものである。ただし、m1は、腕の質量であり、本実施形態では、腕の質量m1は、適宜予め定められているものとする。例えば、解析を開始する前に、ゴルファー7の体重を入力しておき、入力された体重に所定の係数を掛ける等して、自動的に腕の質量が算出される。m2は、ゴルフクラブ4全体の質量(以下、クラブ重量という)であり、gは、重力加速度である。また、m2は、ゴルフクラブ4のスペックであり、予め定められているものとする。αは、スイング平面Pの傾きを表す角度であり、図7のように定義される(図7において、α=90°−α’である)。
続くステップS34では、決定部24Bは、上述した計算結果を以下の式に代入することにより、トップからインパクトまでの腕の重心周りのトルクTg1及びゴルフクラブ4の重心周りのトルクTg2を算出する。
ただし、I1は、腕の重心周りの慣性モーメントであり、I2は、ゴルフクラブ4の重心周りの慣性モーメントである。本実施形態では、腕の重心周りの慣性モーメントI1は、腕の重心が腕の中心にあるとの仮定の下、I1=m12/3として算出される。また、I2は、ゴルフクラブ4のスペックであり、予め定められているものとする。
続くステップS35では、決定部24Bは、以下の式に従って、上述した計算結果に基づいて、トップからインパクトまでの腕出力パワーP1及びクラブ入力パワーP2を算出する。なお、以下のvgは、グリップ42の速度ベクトルであり、グリップ42の位置ベクトルdg=(2X1,2Y1)を一回微分することにより算出可能である。
ゴルフスイングにおいて、ゴルフクラブ4の先端(ヘッド41)を最も加速させるためには、まず腕を十分に加速させて、その後、腕の動きを止めてゴルフクラブ4に勢いを与えることが求められると考えられる。腕が出力するパワー(腕出力パワー)P1とは、ここでいう腕の加速具合に相当し、ゴルフクラブ4に入力されるパワー(クラブ入力パワー)P2とは、ゴルフクラブ4に与える勢いに相当する。
続くステップS36では、決定部24Bは、トップの時刻から腕出力パワーP1が最大値をとる時刻までの区間で腕出力パワーP1を積分し、この積分値D1をこの積分区間で除算することで、スイング動作中の平均的な腕出力パワーP1_AVEを算出する。この積分値D1は、スイング動作中にゴルファーの腕が行う仕事量である。同様に、決定部24Bは、トップの時刻からクラブ入力パワーP2が最大値をとる時刻までの区間でクラブ入力パワーP2を積分し、この積分値D2をこの積分区間で除算することで、スイング動作中の平均的なクラブ入力パワーP2_AVEを算出する。この積分値D2は、スイング動作中のゴルフクラブ4に対してされる仕事量である。なお、ここで示した積分区間は例示であり、例えば、時刻からインパクトの時刻までの区間等、適宜設定し得る。
以上の腕出力パワーP1,P1_AVEとは、スイング動作中にゴルファー7がコックを溜める強さを表す指標であると言い換えることができる。また、クラブ入力パワーP2,P2_AVEとは、スイング動作中にゴルファー7がコックを解放する強さを表す指標であると言い換えることができる。
<2−2−5.最適クラブ特性導出工程(S25)>
次に、図12を参照しつつ、最適クラブ特性導出工程(S25)の流れについて説明する。最適クラブ特性導出工程は、スイング指標算出工程(S24)で算出されたスイング指標である腕出力パワーP1_AVE及びクラブ入力パワーP2_AVEに応じて、最適クラブ特性を決定するステップである。本実施形態の最適クラブ特性は、最適シャフト重量であり、P1_AVE,P2_AVEの値が大きい程、最適シャフト重量は段階的に大きな値に設定される。なお、本実施形態では、最適シャフト重量は、幅を持って導出されるため、以下、最適シャフト重量を最適シャフト重量帯と言うことがある。
また、本実施形態では、ヘッド41の種類を固定した上で、ゴルファー7が実際にスイングしているゴルフクラブ4である仮想クラブのスイング動作がシミュレーションされる。ところで、ゴルフクラブ4の特性は、主として、ヘッド41、シャフト40、グリップ42及びフェラル等の各部の特性に応じて決定されるが、このうち、ゴルフクラブ4の特性に大きく寄与するのは、典型的には、ヘッド41及びシャフト40の特性である。そのため、本実施形態では、最適クラブ特性として、ゴルファーに適したシャフト40(以下、最適シャフトという)の特性、より具体的には、最適シャフト重量が決定される。
まず、ステップS40では、決定部24Bは、ヘッド41(以下、固定ヘッド)の種類を決定する。固定ヘッドの種類の決定は、例えば、表示部21及び入力部22を介して、ユーザに固定ヘッドの種類を直接的に指定させることにより行うこともできるし、ユーザに各種質問を行うとともにその回答を受け付け、当該回答から所定のアルゴリズムに従って固定ヘッドを絞り込むことにより行うこともできる。例えば、ゴルファー7に適したゴルフクラブ4をフィッティングしている場面であれば、ゴルファー7のお好みのヘッド41を特定する情報を、固定ヘッドの種類を特定する情報として入力する。
次に、ステップS41では、決定部24Bは、スイング指標算出工程で算出された(P1_AVE,P2_AVE)で表される点が、図13に示すP1_AVE−P2_AVE平面において直線L1の上側にあるか、すなわち、領域A1に属するか否か(以下、条件1)を判定する。そして、条件1が満たされる場合には、80g以上が最適シャフト重量帯であると判定する。一方、ステップS41で条件1が満たされない場合には、ステップS42に進む。ステップS42では、決定部24Bは、スイング指標算出工程で算出された(P1_AVE,P2_AVE)で表される点が、図13に示すP1_AVE−P2_AVE平面において直線L2の上側かつ直線L1よりも下側にあるか、すなわち、領域A2に属するか否か(以下、条件2)を判定する。そして、条件2が満たされる場合には、70g以上、80g未満が最適シャフト重量帯であると判定する。一方、ステップS42で条件2が満たされない場合には、ステップS43に進む。ステップS43では、決定部24Bは、スイング指標算出工程で算出された(P1_AVE,P2_AVE)で表される点が、図13に示すP1_AVE−P2_AVE平面において直線L3の上側かつ直線L2よりも下側にあるか、すなわち、領域A3に属するか否か(以下、条件3)を判定する。そして、条件3が満たされる場合には、60g以上、70g未満が最適シャフト重量帯であると判定する。一方、ステップS43で条件3が満たされない場合には、ステップS44に進む。ステップS44では、決定部24Bは、スイング指標算出工程で算出された(P1_AVE,P2_AVE)で表される点が、図13に示すP1_AVE−P2_AVE平面において直線L4の上側かつ直線L3よりも下側にあるか、すなわち、領域A4に属するか否か(以下、条件4)を判定する。そして、条件4が満たされる場合には、50g以上、60g未満が最適シャフト重量帯であると判定する。一方、ステップS44で条件4が満たされない場合、すなわち、スイング指標算出工程で算出された(P1_AVE,P2_AVE)で表される点が、図13に示すP1_AVE−P2_AVE平面において直線L4よりも下側にあり、領域A5に属する場合には、55g以下が最適シャフト重量帯であると判定する。
本実施形態の最適クラブ特性導出工程は、以下の知見に基づく。すなわち、本発明者らは、多数のゴルファーにテストクラブをスイングさせ、このときの腕出力パワーP1_AVE及びクラブ入力パワーP2_AVEを算出した。また、同じゴルファーに、ヘッドを固定した上で、様々な重量のシャフトを有するテストクラブをスイングさせ、最大の飛距離を与えるシャフト重量を算出し、これを最適シャフト重量とした。
上記の実験からは、最適シャフト重量は、腕出力パワーP1_AVE及びクラブ入力パワーP2_AVEと相関があり、これらの指標P1_AVE−P2_AVEが大きいほど、大きくなる傾向にあることが確認された。その結果、本発明者らは、腕出力パワーP1_AVE−クラブ入力パワーP2_AVE空間を、図13に示すように最適シャフト重量帯を表す領域A1〜A5に分割可能であることを発見した。すなわち、指標P1_AVE−P2_AVEを示す点が、P1_AVE−P2_AVE空間におけるどの領域にプロットされるかに応じて、最適シャフト重量帯を判定できることが分かった。記憶部23内に予め格納されている対応関係データ28とは、ステップS41〜S44での判定に使用される閾値、言い換えると、図13に示す分割領域A1〜A5の境界線L1〜L4を特定する情報である。境界線L1〜L4は、互いに概ね平行であり、いずれもP1_AVE−P2_AVE平面において負の傾きを持つ直線である。
すなわち、対応関係データ28とは、スイング指標(P1_AVE,P2_AVE)と最適クラブ特性(最適シャフト重量帯)との対応関係を定めるデータである。ステップS41〜S44では、この記憶部23内の対応関係データ28が参照され、上記の判定が行われる。なお、図2では、対応関係データ28は、ゴルフスイング解析プログラム3とは別のデータとして示されているが、同プログラム3内に組み込まれていてもよい。また、本実施形態では、対応関係データ28は、ヘッド41の種類毎に予め用意されており、ステップS40で特定されたヘッド41の種類に対応する対応関係データ28が選択され、記憶部23内から読み出され、ステップS41〜S44で使用される。
<2−2−6.最適クラブ選択工程(S26)>
次に、最適クラブ特性(本実施形態では、最適シャフト重量)に合致する最適クラブを選択する最適クラブ選択工程(S26)について説明する。まず、決定部24Bは、シャフトDB29に登録されているシャフト40の中から、最適シャフトとして、最適クラブ特性導出工程(S25)で導出された最適シャフト重量帯に属するシャフト40を全て抽出する。そして、固定ヘッドと最適シャフトとを組み合わせたゴルフクラブ4を、最適クラブとして決定する。このとき、多くの場合、多数本の最適シャフトが抽出されるが、その結果、最適クラブが多数本存在する場合には、適切な1本を選択する。
最適クラブの絞り込みの方法は、適宜選択することができる。例えば、計測データに基づいて、最適シャフト重量以外に、別の最適クラブ特性を導出し、そのような最適クラブ特性に合致することを条件として、最適クラブを絞り込むことができる。なお、ここでいう最適クラブ特性とは、勿論、シャフト40の特性に関するものに限らず、ゴルフクラブ4全体の特性に関するものであってもよいし、ヘッド41やグリップ42等のその他の部位の特性に関するものであってもよい。また、ここでいうシャフト40の特性の例としては、フレックス、トルク、調子、出願人により広く提案されているインターナショナルフレックスコード(IFC)等が挙げられる。例えば、特開2013−226375号公報や特開2014−121412号公報等には、ゴルファーに適したIFCを導出するための方法が開示されており、必要に応じてこれらの技術を参照することができる。また、ゴルファー7に適したクラブ重量m2や、重心周りの慣性モーメントI2、後述するスイング慣性モーメントIS及びグリップエンド周りの慣性モーメントIG等も、最適クラブ特性とすることができる。なお、最適シャフト重量以外の最適クラブ特性に基づいて最適クラブを決定する場合も、計測データに基づいて最適クラブ特性に相関があるスイング指標を算出し、当該スイング指標に基づいて最適クラブ特性を導出することができる。
また、最適シャフト重量を用いずに、ここで挙げた最適クラブを絞り込むための最適クラブ特性を用いて、最適クラブを決定することもできる。すなわち、最適クラブ特性とは、最適クラブを決定することができる限り、ゴルフクラブ4のどのような特性に関するものであってもよい。
<2−3.比較工程(S3)>
最適クラブ決定工程(S2)の後に実行される比較工程(S3)では、シミュレーション部24Cが、基準クラブと最適クラブのどちらがより振り易さ指標が小さいかを決定する。ここで、ゴルフクラブ4の振り易さは、様々な指標により評価することができ、その1つが、クラブ重量m2である。すなわち、一般に、ゴルフクラブ4は、クラブ重量m2が大きいほど振り易さ指標が大きくなる傾向にあり、クラブ重量m2が小さいほど振り易さ指標が小さくなる傾向にある。
ゴルフクラブ4の振り易さは、クラブ重量m2以外の指標によっても評価することができる。例えば、スイング慣性モーメントIS、グリップエンド周りの慣性モーメントIG、上述した重心周りの慣性モーメントI2等の指標によっても、振り易さを評価することができる。なお、スイング慣性モーメントISとは、スイング中の肩周りの慣性モーメントであり、例えば、以下の式に従って定義することができる。このとき、腕長さRを一定(例えば、60cm)として、スイング慣性モーメントISを定義することができる。
S=I2+m2(R+L)2
また、グリップエンド周りの慣性モーメントIGは、例えば、以下の式のように定義することができる。
G=I2+m22
本実施形態では、クラブ重量m2により振り易さが比較され、基準クラブの方が軽い、すなわち、基準クラブの方が振り易さ指標が小さいと判定される場合には、ステップS4のシミュレーション工程が実行される。一方、最適クラブの方が軽い、すなわち、最適クラブの方が振り易さ指標が小さいと判定される場合には、ステップS5のシミュレーション工程が実行される。
また、最適クラブの振り易さ指標は、ヘッドDB27に格納されている固定ヘッドのスペックを示す情報と、シャフトDB29に格納されている最適シャフトのスペックを示す情報とに基づいて、決定される。基準クラブの振り易さ指標についても同様であり、基準クラブのヘッド41及びシャフト40の種類を特定するための情報をキーに、ヘッドDB27及びシャフトDB29から、基準クラブのヘッド41及びシャフト40のスペックを示す情報が読み出され、これらの情報に基づいて決定される。なお、基準クラブのヘッド41及びシャフト40の種類を特定するための情報は、例えば、入力部22を介したユーザの入力等を介して取得される。
ところで、以上の通り、クラブ重量m2や、各種慣性モーメントIS,IG,I2等は、ゴルフクラブ4の振り易さを表す指標である。そして、このようなゴルフクラブ4の振り易さ指標と、ゴルファー7のスイング動作の特性を表す特定の指標との間には、図14又は図15に示すような関係が成立する。例えば、インパクト時のヘッド速度は、図14のモデルに当てはめることができ、スイング動作時にゴルファー7が発揮する力(以下、発揮力という)は、図15のモデルに当てはめることができる。
ゴルフクラブを選択する上で、振り易さ指標は1つの基準となるが、特開2016−19718号公報等でも開示されている通り、振り易さ指標が小さい程よいというものではない。図14に示すように、ゴルフクラブをある一定以上軽くしても、フルスイング以上の力では振ることができないし、ゴルファーはゴルフクラブを軽く感じ、無意識に力が小さくなるように調整してしまうため、ヘッド速度が頭打ちとなり、飛距離も限界に達するからである。かといって、ゴルフクラブが重くなると、ゴルファーの力ではゴルフクラブを振り切ることができなくなり、ヘッド速度が低下し、飛距離も小さくなる。また、図15に示すように、ゴルフクラブが重い程、発揮力は増加し、飛距離も大きくなるが、ある一定以上重くなると、ゴルファーの限界に達し、発揮力は頭打ちとなる。すなわち、それ以上振り易さ指標が小さくても、又は大きくても、ゴルファーの限界に達すれば、飛距離が伸びなくなる。従って、ゴルファーの限界に対応する振り易さ指標が、ゴルファーに適した振り易さ指標であり、このような振り易さ指標を有するゴルフクラブが、最適クラブであると考えることができる。また、ゴルファーの限界よりも振り易さ指標が小さい領域では、ゴルフクラブの物性に関わらず、インパクト時のヘッド速度だけでなく、観察されるスイング自体が一定となると考えられる。この意味で、以下、このような領域を「スイング一定ゾーン」と呼ぶ。また、ゴルファーの限界よりも振り易さ指標が大きい領域では、ゴルフクラブの物性に関わらず、発揮力に加え、スイング動作時にゴルファーにより発揮されるトルク(以下、発揮トルクという)等の指標も一定となると考えられる。この意味で、以下、このような領域を「発揮トルク一定ゾーン」と呼ぶ。
最適クラブの振り易さ指標を境界として、スイング一定ゾーン及び発揮トルク一定ゾーンが存在するという上記知見は、仮想クラブがスイングされたときの仮想クラブスイングデータをシミュレーションするのに役立てることができる。比較工程(S3)は、基準クラブと最適クラブの振り易さ指標の比較の結果に応じて、基準クラブがスイング一定ゾーンに属するのか発揮トルク一定ゾーンに属するのかを振り分ることにより、続くシミュレーション工程で用いられるアルゴリズムを選択する工程である。
<2−4.シミュレーション工程(S4)>
シミュレーション工程(S4)は、最適クラブより基準クラブの方が振り易さ指標が小さいと判定された場合に実行される。基準クラブが最適クラブよりも振り易さ指標が小さいと判定される場合とは、図16に示すような場合であり、基準クラブは、スイング一定ゾーンに属する。本実施形態では、様々なスペックを有する様々な仮想クラブでのスイング動作がシミュレーションされる。
まず、最適クラブよりも振り易さ指標が小さい、すなわち、スイング一定ゾーンに属する仮想クラブについての、シミュレーションのアルゴリズムを説明する。このとき、ゴルファー7による仮想クラブのスイングは、仮想クラブの物性に関わらず一定であり、基準クラブのスイングに一致すると仮定される。シミュレーション部24Cは、かかる仮定の下、仮想クラブスイングデータを推定する。
具体的には、以上の仮定の下では、基準クラブを実際にスイングしたときの計測データ(すなわち、ステップS1で取得された計測データ)に基づいてステップS2で算出された幾つかの指標(腕長さR、スイング平面Pの傾きα、腕の角速度ω1、腕の回転角度θ1、腕の角加速度ω1’、腕の重心の加速度(AX1,AY1)、ゴルフクラブ4の角速度ω2、ゴルフクラブ4の回転角度θ2、ゴルフクラブ4の角加速度ω2’、ゴルフクラブ4の重心の加速度(AX2,AY2)等。以下、一定指標という)は、仮想クラブのスイング動作時と一致する指標となる。そのため、これらの一定指標は、仮想クラブスイングデータとして流用することができる。従って、シミュレーション部24Cは、既出の一定指標と、仮想クラブの物性とに基づいて、仮想クラブスイングデータを推定する。仮想クラブの物性とは、例えば、以下に示す質量マトリクスM(及びこれを構成する要素m1,m2,I1,I2)や重心距離L等である。本実施形態では、仮想クラブの物性は、ヘッドDB27に格納されている仮想クラブを構成するヘッド41のスペックを示す情報と、シャフトDB29に格納されている仮想クラブを構成するシャフト40のスペックを示す情報とに基づいて、決定される。なお、シミュレーションの対象となる仮想クラブのヘッド41及びシャフト40の種類を特定するための情報は、例えば、入力部22を介したユーザの入力等を介して取得される。
本実施形態では、シミュレーション部24Cは、仮想クラブの物性を変化させながら、既出の一定指標と、仮想クラブの物性とを下式に代入することにより、仮想クラブスイングデータとして、肩周りのトルクT1及びグリップ42周りのトルクT2を算出する。トルクT1,T2は、発揮トルクである。
また、本実施形態では、シミュレーション部24Cは、さらなる仮想クラブスイングデータとして、ゴルファー7の腕及びゴルフクラブ4が描く軌道(以下、スイング軌道という)、及びヘッド41の挙動等を推定する。ヘッド41の挙動とは、例えば、ヘッド速度である。具体的には、シミュレーション部24Cは、仮想クラブスイングデータである既出の一定指標と、仮想クラブの物性とに基づいて、仮想クラブをスイングしたときのヘッド41の位置を導出し、さらにはスイング軌道及びヘッド41の挙動を導出する。
次に、最適クラブよりも振り易さ指標が大きい、すなわち、発揮トルク一定ゾーンに属する仮想クラブについての、シミュレーションのアルゴリズムを説明する。このとき、ゴルファー7が仮想クラブをスイングしたときの発揮トルクは、仮想クラブの物性に関わらず一定であると仮定される。また、最適クラブは、スイング一定ゾーンと発揮トルク一定ゾーンとの境界にあり、両ゾーンに属するため、ゴルファー7が最適クラブをスイングしたときの発揮トルクは、ゴルファー7が仮想クラブをスイングしたときの発揮トルクに一致すると仮定される。さらに、ゴルファー7による最適クラブのスイングは、基準クラブのスイングに一致すると仮定される。シミュレーション部24Cは、かかる仮定の下、仮想クラブスイングデータを推定する。
具体的には、以上の仮定の下では、上述した一定指標は、最適クラブスイングデータとして流用することができる。従って、シミュレーション部24Cは、既出の一定指標と、最適クラブの物性とを数8の式に代入することにより、最適クラブスイングデータとして、最適クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2を算出する。最適クラブの物性とは、例えば、上述した質量マトリクスM(及びこれを構成する要素m1,m2,I1,I2)や重心距離L等である。本実施形態では、最適クラブの物性は、ヘッドDB27に格納されている最適クラブを構成するヘッド41のスペックを示す情報と、シャフトDB29に格納されている最適クラブを構成するシャフト40のスペックを示す情報とに基づいて、決定される。なお、最適クラブのヘッド41及びシャフト40の種類を特定するための情報は、例えば、入力部22を介したユーザの入力等を介して取得される。また、ここで算出される発揮トルクT1,T2は、以上の仮定の下では、仮想クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2に一致するため、最適クラブスイングデータであると同時に、仮想クラブスイングデータでもある。
また、本実施形態では、シミュレーション部24Cは、さらなる仮想クラブスイングデータとして、スイング軌道及びヘッド41の挙動等を推定する。具体的には、シミュレーション部24Cは、仮想クラブの物性を変化させながら、仮想クラブスイングデータである既出の発揮トルクT1,T2と、仮想クラブの物性と、スイング平面Pの傾きαとを以下の式に代入することにより、様々な仮想クラブをスイングしたときの腕の回転角度θ1、腕の重心の位置(X1,Y1)、仮想クラブの回転角度θ2、仮想クラブの重心の位置(X2,Y2)を導出する。このとき、スイング平面Pの傾きαは、基準クラブのスイング時に計測された値が流用される。以下の式は、ラグランジュ未定乗数項を用いて、マルチボディダイナミクスの考え方に従って構築された拡大法モデルであり、λが未定乗数項である。また、下式中、記号の上に付されたドットは、微分を表す。
上式中の各種記号の意味は、以下の通りである。
シミュレーション部24Cは、以上の式に従って導出された仮想クラブスイングデータであるθ1、X1,Y1、θ2、X2,Y2の値と、仮想クラブの物性とに基づいて、さらなる仮想クラブスイングデータとして、ヘッド41の位置を導出し、さらにはスイング軌道及びヘッド41の挙動を導出する。
<2−5.シミュレーション工程(S5)>
シミュレーション工程(S5)は、最適クラブより基準クラブの方が振り易さ指標が大きいと判定された場合に実行される。基準クラブが最適クラブよりも振り易さ指標が大きいと判定される場合とは、図17に示すような場合であり、基準クラブは、発揮トルク一定ゾーンに属する。本実施形態では、様々なスペックを有する様々な仮想クラブでのスイング動作がシミュレーションされる。
まず、最適クラブよりも振り易さ指標の小さい、すなわち、スイング一定ゾーンに属する仮想クラブについての、シミュレーションのアルゴリズムを説明する。このとき、ゴルファー7による仮想クラブのスイングは、最適クラブのスイングに一致すると仮定される。また、基準クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2は、最適クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2に一致すると仮定される。シミュレーション部24Cは、かかる仮定の下、仮想クラブスイングデータを推定する。
具体的には、シミュレーション部24Cは、上述した一定指標と、基準クラブの物性とを数8の式に代入することにより、基準クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2を算出する。なお、ここで算出される発揮トルクT1,T2は、以上の仮定の下では、最適クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2に一致するため、最適クラブスイングデータとなる。また、基準クラブの物性とは、例えば、上述した質量マトリクスM(及びこれを構成する要素m1,m2,I1,I2)や重心距離L等である。本実施形態では、基準クラブの物性は、ヘッドDB27に格納されている基準クラブを構成するヘッド41のスペックを示す情報と、シャフトDB29に格納されている基準クラブを構成するシャフト40のスペックを示す情報とに基づいて、決定される。なお、基準クラブのヘッド41及びシャフト40の種類を特定するための情報は、例えば、入力部22を介したユーザの入力等を介して取得される。
続いて、シミュレーション部24Cは、最適クラブスイングデータである既出の発揮トルクT1,T2と、最適クラブの物性と、スイング平面Pの傾きαとを数9の式に代入することにより、最適クラブをスイングしたときの腕の回転角度θ1、腕の重心の位置(X1,Y1)、仮想クラブの回転角度θ2、仮想クラブの重心の位置(X2,Y2)を導出する。このとき、スイング平面Pの傾きαは、基準クラブのスイング時に計測された値が流用される。ここで導出されるθ1、X1,Y1、θ2、X2,Y2の値は、以上の仮定の下では、最適クラブスイングデータであると同時に、仮想クラブスイングデータでもある。そして、シミュレーション部24Cは、仮想クラブの物性を変化させながら、仮想クラブスイングデータであるθ1、X1,Y1、θ2、X2,Y2の値と、仮想クラブの物性とに基づいて、さらなる仮想クラブスイングデータとして、ヘッド41の位置を導出し、さらにはスイング軌道及びヘッド41の挙動を導出する。また、シミュレーション部24Cは、仮想クラブの物性を変化させながら、仮想クラブスイングデータであるθ1、X1,Y1、θ2、X2,Y2の値と、αの値と、仮想クラブの物性とを数8の式に代入することにより、さらなる仮想クラブスイングデータとして、発揮トルクT1,T2を算出する。
次に、最適クラブよりも振り易さ指標の大きい、すなわち、発揮トルク一定ゾーンに属する仮想クラブについての、シミュレーションのアルゴリズムを説明する。このとき、ゴルファー7が仮想クラブをスイングしたときの発揮トルクは、仮想クラブの物性に関わらず一定であり、ゴルファー7が実際に基準クラブをスイングしたときの発揮トルクに一致すると仮定される。シミュレーション部24Cは、かかる仮定の下、仮想クラブスイングデータを推定する。
具体的には、シミュレーション部24Cは、上述した一定指標と、基準クラブの物性とを数8の式に代入することにより、基準クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2を算出する。なお、ここで算出される発揮トルクT1,T2は、以上の仮定の下では、仮想クラブをスイングしたときの発揮トルクT1,T2に一致するため、基準クラブのスイング動作を表すと同時に、仮想クラブスイングデータでもある。
また、シミュレーション部24Cは、仮想クラブの物性を変化させながら、仮想クラブスイングデータである既出の発揮トルクT1,T2と、スイング平面Pの傾きαと、仮想クラブの物性とを数9の式に代入することにより、様々な仮想クラブをスイングしたときの腕の回転角度θ1、腕の重心の位置(X1,Y1)、仮想クラブの回転角度θ2、仮想クラブの重心の位置(X2,Y2)を導出する。このとき、スイング平面Pの傾きαは、基準クラブのスイング時に計測された値が流用される。シミュレーション部24Cは、こうして導出された仮想クラブスイングデータであるθ1、X1,Y1、θ2、X2,Y2の値と、仮想クラブの物性とに基づいて、さらなる仮想クラブスイングデータとして、ヘッド41の位置を導出し、さらにはスイング軌道及びヘッド41の挙動を導出する。
<2−6.出力工程(S6)>
以上の解析が終了すると、表示制御部24Dは、以上の解析の結果を表示部21上に表示させる。具体的には、基準クラブ、最適クラブ及び仮想クラブの発揮トルクT1,T2、スイング軌道及びヘッド41の挙動が、グラフ等を用いて可視化される。これにより、ユーザは、ゴルファー7が最適クラブをスイングしたときの挙動を知ることができるとともに、参考として、その他の仮想クラブをスイングしたときの挙動についても知ることができる。従って、例えば、フィッティングの場面であれば、最適クラブを選択することの効果を把握することができるとともに、場合によっては、仮想クラブの中の1つを最適なゴルフクラブ4として選択することもできる。
<3.変形例>
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
上記実施形態では、ゴルファー7のスイング動作を計測する計測機器として、加速度センサ11、角速度センサ12及び地磁気センサ13の3つを有する慣性センサユニット1が使用されたが、計測機器を他の構成とすることもできる。例えば、地磁気センサ13を省略することもできる。或いは、計測機器として、測距機能を有する三次元計測カメラや、複数台のカメラからなる三次元計測カメラを使用することもできる。三次元計測カメラにより、ゴルファー7やゴルフクラブ4、ゴルフボールの挙動を計測する手法についても公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
<3−2>
上記実施形態では、腕出力パワーP1_AVE及びクラブ入力パワーP2_AVEに基づいて、最適クラブ特性が決定されたが、最適クラブ特性を決定するためのスイング指標は、勿論これらに限られない。最適クラブ特性を決定するためのスイング指標の他の例としては、例えば、同出願人らによる特開2016−34483号公報等にも開示されているような、スイング動作中にゴルファー7により発揮される各種エネルギー、ゴルファー7により発揮される各種トルク、及び、インパクト直前のヘッド速度を挙げることができる。また、これらの様々なスイング指標は、単独で、或いは任意に組み合わせて使用することができる。
1 慣性センサユニット(計測機器)
2 ゴルフスイングスイング解析装置
24A 取得部
24B 決定部
24C シミュレーション部
3 ゴルフスイングスイング解析プログラム
7 ゴルファー
4 ゴルフクラブ
40 シャフト
41 ヘッド
42 グリップ

Claims (12)

  1. ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析装置であって、
    ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得する取得部と、
    前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定する決定部と、
    前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定するシミュレーション部と
    を備える、
    ゴルフスイング解析装置。
  2. 前記シミュレーション部は、前記仮想クラブが前記最適クラブよりもクラブ特性が小さい場合、前記ゴルファーのスイングが前記仮想クラブの物性に関わらず一定であるとの仮定の下、前記仮想クラブスイングデータを推定する、
    請求項1に記載のゴルフスイング解析装置。
  3. 前記シミュレーション部は、前記仮想クラブが前記最適クラブよりもクラブ特性が大きい場合、前記ゴルファーがスイング動作時に発揮する力が前記仮想クラブの物性に関わらず一定であるとの仮定の下、前記仮想クラブスイングデータを推定する、
    請求項1又は2に記載のゴルフスイング解析装置。
  4. 前記シミュレーション部は、前記最適クラブと前記基準クラブのクラブ特性を比較し、前記比較の結果に応じて選択されるアルゴリズムに従って、前記仮想クラブスイングデータを推定する、
    請求項1から3のいずれかに記載のゴルフスイング解析装置。
  5. 前記仮想クラブスイングデータには、前記仮想クラブのスイング動作時に前記ゴルファーにより発揮されるトルクが含まれる、
    請求項1から4のいずれかに記載のゴルフスイング解析装置。
  6. 前記仮想クラブスイングデータには、前記仮想クラブのスイング動作時のスイング軌道及びヘッド速度の少なくとも一方が含まれる、
    請求項1から5のいずれかに記載のゴルフスイング解析装置。
  7. 前記決定部は、前記計測データに基づいて、前記基準クラブのスイング動作時のスイング指標を導出し、前記スイング指標に応じて、前記最適クラブ特性を導出する、
    請求項1から6のいずれかに記載のゴルフスイング解析装置。
  8. 前記スイング指標には、前記ゴルファーの腕が出力するパワー、前記基準クラブに入力されるパワー、前記ゴルファーにより発揮されるエネルギー、前記ゴルファーにより発揮されるトルク、及び、インパクト直前のヘッド速度の少なくとも1つが含まれる、
    請求項7に記載のゴルフスイング解析装置。
  9. 前記最適クラブ特性は、前記ゴルファーに適したゴルフクラブの振り易さ指標である、
    請求項1から8のいずれかに記載のゴルフスイング解析装置。
  10. 前記最適クラブ特性には、前記ゴルファーに適したクラブ重量、シャフト重量、前記ゴルファーの肩回りの慣性モーメント、ゴルフクラブの慣性モーメントの少なくとも1つが含まれる、
    請求項9に記載のゴルフスイング解析装置。
  11. ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析方法であって、
    ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得するステップと、
    前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定するステップと、
    前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定するステップと
    を含む、ゴルフスイング解析方法。
  12. ゴルフクラブのスイング動作を解析するゴルフスイング解析プログラムであって、
    ゴルファーによる基準クラブのスイング動作を計測機器により計測した計測データを取得するステップと、
    前記計測データに基づいて、前記ゴルファーに適したクラブ特性を表す最適クラブ特性を導出し、前記最適クラブ特性に合致するゴルフクラブである最適クラブを決定するステップと、
    前記ゴルファーによる前記最適クラブのスイング動作を表す最適クラブスイングデータを算出し、前記最適クラブスイングデータと、前記ゴルファーが実際にスイングしていないゴルフクラブである仮想クラブの物性とに基づいて、前記ゴルファーによる前記仮想クラブのスイング動作を表す仮想クラブスイングデータを推定するステップと
    をコンピュータに実行させる、ゴルフスイング解析プログラム。
JP2016193739A 2016-09-30 2016-09-30 ゴルフスイング解析装置 Active JP6809100B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193739A JP6809100B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 ゴルフスイング解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193739A JP6809100B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 ゴルフスイング解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018051185A true JP2018051185A (ja) 2018-04-05
JP6809100B2 JP6809100B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=61833672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016193739A Active JP6809100B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 ゴルフスイング解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6809100B2 (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03198875A (ja) * 1989-12-27 1991-08-30 Wilson Sporting Goods Co ゴルフボール
US6537076B2 (en) * 2001-02-16 2003-03-25 Golftec Enterprises Llc Method and system for presenting information for physical motion analysis
JP2003102892A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Bridgestone Sports Co Ltd ゴルフクラブ選択方法
JP2005006755A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフボール
JP2007260317A (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Sri Sports Ltd ゴルフボール
JP2011115250A (ja) * 2009-12-01 2011-06-16 Kansai Univ ゴルフクラブの設計方法及びゴルフクラブ
JP2014124341A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Bridgestone Corp スイングのシミュレーションシステム、シミュレーション装置、およびシミュレーション方法
US8944939B2 (en) * 2012-02-07 2015-02-03 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Inertial measurement of sports motion
US20150367174A1 (en) * 2014-06-19 2015-12-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf swing analysis apparatus and golf club fitting apparatus
JP2016019718A (ja) * 2014-06-19 2016-02-04 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
JP2016123487A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 美津濃株式会社 ゴルフクラブのヘッドのフィッティング方法、およびその装置

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03198875A (ja) * 1989-12-27 1991-08-30 Wilson Sporting Goods Co ゴルフボール
US6537076B2 (en) * 2001-02-16 2003-03-25 Golftec Enterprises Llc Method and system for presenting information for physical motion analysis
JP2003102892A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Bridgestone Sports Co Ltd ゴルフクラブ選択方法
US20040127303A1 (en) * 2001-09-28 2004-07-01 Bridgestone Sports Co., Ltd. Method of selecting a golf club
JP2005006755A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフボール
JP2007260317A (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Sri Sports Ltd ゴルフボール
JP2011115250A (ja) * 2009-12-01 2011-06-16 Kansai Univ ゴルフクラブの設計方法及びゴルフクラブ
US8944939B2 (en) * 2012-02-07 2015-02-03 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Inertial measurement of sports motion
JP2014124341A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Bridgestone Corp スイングのシミュレーションシステム、シミュレーション装置、およびシミュレーション方法
US20150367174A1 (en) * 2014-06-19 2015-12-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf swing analysis apparatus and golf club fitting apparatus
JP2016019718A (ja) * 2014-06-19 2016-02-04 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
JP2016123487A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 美津濃株式会社 ゴルフクラブのヘッドのフィッティング方法、およびその装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6809100B2 (ja) 2021-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9415291B2 (en) Golf swing analyzing apparatus and method of analyzing golf swing
US10252106B2 (en) Golf swing analysis apparatus and golf club fitting apparatus
JP6300195B2 (ja) ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法
JP4184363B2 (ja) ゴルフクラブ選定方法
JP6911298B2 (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
EP2717241A2 (en) Golf swing analyzing apparatus and method of analyzing golf swing
JP6613684B2 (ja) スイング診断方法、スイング診断プログラム、記録媒体、スイング診断装置及びスイング診断システム
KR20140061281A (ko) 골프 스윙 해석 장치, 골프 스윙 해석 시스템, 기록 매체 및 골프 스윙 해석 방법
JP6613685B2 (ja) スイング診断方法、スイング診断プログラム、記録媒体、スイング診断装置及びスイング診断システム
JP2017217423A (ja) Gui表示装置
JP2017029516A (ja) ゴルフスイング解析装置
JP6753144B2 (ja) 打点推定装置
JP2016116566A (ja) 運動解析装置、運動解析方法、プログラム、及び運動解析システム
JP6672617B2 (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
US10773143B2 (en) Golf club fitting apparatus, method, and program
JP6415869B2 (ja) ゴルフスイング解析装置、ゴルフスイング解析方法及びゴルフスイング解析プログラム
JP2018175496A (ja) スイング解析装置、スイング解析方法、およびスイング解析システム
JP6798124B2 (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
JP2021100453A (ja) 情報処理装置、情報処理方法、プログラム
US10561901B2 (en) Method of evaluating stability of golf swing
JP6373736B2 (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
JP6809100B2 (ja) ゴルフスイング解析装置
JP6862848B2 (ja) 運動解析装置、運動解析方法、プログラム、及び運動解析システム
US9881137B2 (en) Golf club fitting apparatus
JP6308885B2 (ja) ゴルフスイング解析装置、方法及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201123

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6809100

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250