JP2018048674A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】内周に複列の外側転走面であるインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dが一体に形成された外方部材である外輪2と、ハブ輪3、およびこのハブ輪3に設けられた少なくとも一つの内輪4からなり、外周にインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dに対向する複列の内側転走面3g・4aが形成された内方部材であるハブ輪3と内輪4と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体であるインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bと、を備えた車輪用軸受装置1において、ハブ輪3の小径段部3aにハブ輪側ねじ3bが形成され、内輪4の内周に内輪側ねじ4bが形成され、ハブ輪側ねじ3bが内輪側ねじ4bにねじ込まれることでハブ輪3と内輪4とがねじ締結される。【選択図】図2
Description
本発明は車輪用軸受装置に関する。詳しくはハブ輪に内輪が組み合わされた車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続されるハブ輪が転動体を介して外輪に回転自在に支持されている。車輪用軸受装置は、車両のナックルに外輪の取り付けフランジを介して固定されている。つまり、車輪用軸受装置は、外輪が車両のナックルに固定された状態で車輪が接続されているハブ輪を回転自在に支持している。ハブ輪には、転動体に予圧をあたえるための内輪が嵌合されている。内輪は、ハブ輪に圧入嵌合され、かつハブ輪の端部が径方向外側に塑性変形されることでハブ輪にかしめられている。
このような車輪用軸受装置において、ハブ輪にかしめ固定される内輪は、ハブ輪に圧入嵌合によって引っ張り応力(フープ応力)が発生している。このため、内輪は、内周面または外周面に傷等が生じている場合、フープ応力によってその傷を起点とする割れ等が生じる可能性がある。そこで、ハブ輪に圧入嵌合された内輪の外径を治具で拘束した状態でかしめ加工が行われる車輪用軸受装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、内輪にハブ輪が圧入嵌合されるとともに、ハブ輪の端部が径方向外側に塑性変形されて内輪がハブ輪にかしめられている。内輪は、複数のパーツに分割された環状の治具によって外周面が締め付けられた状態でかしめられる。これにより、車輪用軸受装置は、かしめ加工時に加えられる外力による内輪の径方向外側への変形が治具によって抑制される。従って、車輪用軸受装置は、治具が装着されていない場合に比べてかしめ加工時に内輪に発生するフープ応力が減少し、内輪の変形や割れの発生を防止することができる。しかし、特許文献1の技術は、かしめ加工によって内輪に外力がくわえられるため、治具によって内輪を締め付けても内輪の径方向外側への変形を完全に防止できない。つまり、車輪用軸受装置は、かしめ加工時に内輪にフープ応力が発生している。このため、車輪用軸受装置は、かしめ加工時に内輪の変形や割れが発生する可能性があった。また、治具は、適切な締め付け力で内輪を締め付けられる状態を維持するために定期的に交換しなければならない。このため、車輪用軸受装置は、治具の性能を維持するためのコストが発生する点で不利であった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、車輪用軸受装置においては、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、ハブ輪、およびこのハブ輪に設けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の外周に軸方向に延びる小径段部が形成され、前記小径段部の外周にハブ輪側ねじが形成され、前記内輪の内周に内輪側ねじが形成され、前記ハブ輪側ねじが前記内輪側ねじにねじ込まれることで前記ハブ輪と前記内輪とがねじ締結されるものである。
車輪用軸受装置においては、前記ハブ輪の前記小径段部の端面にハブ輪側係合部が形成され、前記内輪のハブ輪側軸方向端面に内輪側係合部が形成され、前記ハブ輪側ねじが前記内輪側ねじにねじ込まれ、前記小径段部の端面と前記ハブ輪側軸方向端面とが接触した際、前記ハブ輪側係合部と前記内輪側係合部とが係合するものである。
車輪用軸受装置においては、前記ハブ輪側係合部と前記内輪側係合部とが周方向に複数形成されるものである。
車輪用軸受装置においては、前記ハブ輪側係合部が周方向に等間隔で複数形成される凸部から構成され、前記内輪側係合部が周方向に等間隔で複数形成される凸部から構成され、前記ハブ輪側係合部を構成する複数の凸部と前記内輪側係合部を構成する複数の凸部とのうち、少なくとも一方の複数の凸部が他方の複数の凸部の間にそれぞれ嵌合されるものである。
車輪用軸受装置においては、前記小径段部の外周の一部にハブ輪側嵌合部が形成され、前記内輪の内周の一部に内輪側嵌合部が形成され、互いの軸心を一致させるように前記ハブ輪側嵌合部が前記内輪側嵌合部に嵌合されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、車輪用軸受装置は、内輪をハブ輪によってかしめる必要がないので内輪に径方向外側の力が加わらない。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。
車輪用軸受装置は、内輪がハブ輪にかしめられることなくハブ輪の軸方向における所定の位置に配置される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。
車輪用軸受装置は、内輪がハブ輪にかしめられることなくハブ輪の軸方向における所定の位置に固定される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。また、ハブ輪の外周を内輪が周方向に移動(回転)するクリープ現象も防止することができる。
車輪用軸受装置は、内輪がハブ輪にかしめられることなくハブ輪の軸方向における所定の位置に確実に固定される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。また、ハブ輪の外周を内輪が周方向に移動(回転)するクリープ現象も防止することができる。
車輪用軸受装置は、内輪がハブ輪にかしめられることなくハブ輪の軸方向および径方向における所定の位置に確実に固定される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。また、ハブ輪の外周を内輪が周方向に移動(回転)するクリープ現象も防止することができる。
以下に、図1と図2とを用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2、内方部材を構成するハブ輪3、内方部材を構成する内輪4、転動列であるインナー側ボール列5a(図2参照)、アウター側ボール列5b(図2参照)、インナー側シール部材6、アウター側シール部材7(図2参照)を具備する。ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
図2に示すように、外方部材である外輪2は、内方部材(ハブ輪3と内輪4)を支持するものである。外輪2は、略円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2において、車載時に車体側に配置されるインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2において、車載時に車輪側に配置されるアウター側端部には、アウター側シール部材7が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとが周方向に互いに平行になるように形成されている。インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとのピッチ円直径は、等しい大きさに構成されている。なお、インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとのピッチ円直径は、異なる大きさに構成してもよい。インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとには、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。外輪2の外周面には、図示しない車両の懸架装置のナックルに取り付けられるための車体取り付けフランジ2eがインナー側開口部2aの近傍に一体に形成されている。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪3は、円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3において、車載時に車体側に配置されるインナー側端部には、インナー側端から軸方向に所定の範囲だけ外径が小さい部分である小径段部3aが形成されている。小径段部3aの外周には、雄ねじであるハブ輪側ねじ3bが形成されている。ハブ輪側ねじ3bは、ねじ径M22以上、ピッチ1.0〜2.0が望ましく、ねじの巻き方向は限定しない。また、小径段部3aの端面である段差面3cには、ハブ輪側係合部として複数のハブ輪側凸部3dが形成されている(図3参照)。ハブ輪3において、車載時に車輪側に配置されるアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3eが一体的に形成されている。ハブ輪3のアウター側(車輪取り付けフランジ3e側)の外周面には、周方向に環状のシール摺動面3fと環状の内側転走面3gとが形成されている。ハブ輪3は、アウター側に形成されている内側転走面3gが外輪2のアウター側の外側転走面2dに対向するように配置されている。
ハブ輪3は、インナー側の小径段部3aからアウター側の内側転走面3gまでを高周波焼入れにより表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3eに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪3の耐久性が向上する。ハブ輪3には、小径段部3aに内輪4が設けられる。ハブ輪3の内周は、トルク伝達用のセレーション(またはスプライン)が形成されている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪4は、円筒状に形成されている。内輪4は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側転走面4aが形成されている。内輪4の内周には、ハブ輪3の小径段部3aに形成されているハブ輪側ねじ3bと同一の巻き方向、ねじ径およびピッチからなる雌ねじである内輪側ねじ4bが形成されている。また、内輪4のアウター側(ハブ輪3側)端面4cには、内輪側係合部として複数の内輪側凸部4dが形成されている(図4参照)。内輪4は、内輪側ねじ4bにハブ輪3のハブ輪側ねじ3bがねじ込まれてハブ輪3に締結されている。つまり、内輪4は、ハブ輪3にねじ締結によって固定されている。内輪4は、ハブ輪3の小径段部3aに固定されることでハブ輪3のインナー側に内側転走面4aを構成している。内輪4は、内側転走面4aが外輪2のインナー側の外側転走面2cに対向するように配置されている。
転動列であるインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、ハブ輪3を回転自在に支持するものである。車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。インナー側ボール列5aは、内輪4に形成されている内側転走面4aと、それに対向している外輪2のインナー側の外側転走面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列5bは、ハブ輪3に形成されている内側転走面3gと、それに対向している外輪2のアウター側の外側転走面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、外輪2に対してハブ輪3と内輪4とを回転自在に支持している。
車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているがこれに限定されるものではなく、複列円錐ころ軸受等で構成されていても良い。
インナー側シール部材6は、外輪2と内輪4との隙間を塞ぐものである。インナー側シール部材6は、略円筒状のシール板と略円筒状のスリンガとを具備する。インナー側シール部材6は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)等から構成されているシール板に、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数のインナー側シールリップが加硫接着されている。スリンガは、シール板と同等の鋼板から構成されている。インナー側シール部材6は、シール板が外輪2のインナー側開口部2aに嵌合され、スリンガの円筒部分が内輪4に嵌合され、パックシールを構成している。スリンガは、その鍔部分が外側(インナー側)に向くようにして内輪4に固定されている。インナー側シール部材6は、シール板のインナー側シールリップが油膜を介してスリンガと接触することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、インナー側シール部材6は、外輪2のインナー側開口部2aからのグリースの漏れ、および雨水や粉塵等の内部への入り込みを防止する。
アウター側シール部材7は、外輪2とハブ輪3との隙間を塞ぐものである。アウター側シール部材7はニトリルゴム等の合成ゴムからなる複数のアウター側シールリップが加硫接着によって略円筒状に形成された芯金に一体に接合されている。アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3の外周面に複数のアウター側シールリップが接触している。アウター側シール部材7は、アウター側シールリップが油膜を介してハブ輪3の外周面と接触することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。これにより、アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bからのグリースの漏れ、および雨水や粉塵等の内部への入り込みを防止する。
このように構成される車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成され、ハブ輪3がインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bを介して外輪2に回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との隙間をインナー側シール部材6で塞がれ、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間をアウター側シール部材7で塞がれている。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からのグリースの漏れ、および雨水や粉塵等の内部への入り込みを防止しつつ外輪2に支持されているハブ輪3が回転可能に構成されている。
次に、図3から図5を用いて、車輪用軸受装置1におけるハブ輪3と内輪4との締結の態様について詳細に説明する。
図3に示すように、ハブ輪3の小径段部3aの外周には、雄ねじであるハブ輪側ねじ3bが形成されている。ハブ輪3の小径段部3aの段差面3cには、ハブ輪側係合部である複数のハブ輪側凸部3dが軸方向に突出して複数形成されている。ハブ輪側凸部3dは、ハブ輪3の軸心を中心とする直径Dの円周上に等間隔で配置されている。本実施形態において、各ハブ輪側凸部3dは、突出高さ0.5mm以上で所定の幅および周長L1からなる円弧形状から構成され、直径Dの円周における周長L2の間隔で30°毎に形成されている。
図4に示すように、内輪4の内周には、雌ねじである内輪側ねじ4bが形成されている。内輪4のアウター側端面4cには、内輪側係合部である複数の内輪側凸部4dが軸方向に突出して複数形成されている。内輪側凸部4dは、内輪4の軸心を中心とする直径Dの円周上に等間隔で配置されている。本実施形態において、各内輪側凸部4dは、突出高さ0.5mm以上で所定の幅および周長L2からなる円弧形状から構成され、直径Dの円周における周長L1の間隔で30°毎に形成されている。
図5(a)に示すように、内輪4は、内輪側ねじ4bにハブ輪3のハブ輪側ねじ3bがねじ込まれる。内輪4は、内輪側ねじ4bがハブ輪側ねじ3bに係合することで回転運動から直進運動に変換されてハブ輪3の小径段部3aの段差面3cに向かって移動される。つまり、内輪4は、ハブ輪3の小径段部3aがねじ締結されながら挿入されている。内輪4は、アウター側端面4cに形成されている内輪側凸部4dが小径段部3aの段差面3cに形成されているハブ輪側凸部3dに接触するまでねじ込まれる。内輪4は、各内輪側凸部4dの一部分がハブ輪3の各ハブ輪側凸部3dにそれぞれ接触する。
図5(b)に示すように、内輪4は、各内輪側凸部4d(薄墨部分)の一部分が各ハブ輪側凸部3dにそれぞれ接触した状態でハブ輪3の小径段部3aにねじ込まれる(白塗矢印参照)。各内輪側凸部4dは、内輪4のねじ込みにより発生する軸力によってハブ輪側凸部3dに押圧される(黒塗矢印参照)。同時に、内輪側凸部4dは、内輪4のねじ込みによる回転角度に応じてハブ輪側凸部3dの表面を周方向に摺動される。この際、ハブ輪側凸部3dと内輪側凸部4dとは、内輪4のねじ込みにより発生する軸力に応じて軸方向に弾性変形される。
図5(c)に示すように、内輪4は、内輪側凸部4d(薄墨部分)がハブ輪側凸部3dに押圧された状態から更にハブ輪3の小径段部3aにねじ込まれる(白塗矢印参照)。周長L2に形成されている各内輪側凸部4dは、周方向の移動によって周長L2の間隔を空けて隣り合うように形成されているハブ輪側凸部3dとハブ輪側凸部3dとの間に入り込む。同時に、周長L1に形成されている各ハブ輪側凸部3dは、各内輪側凸部4dの周方向の移動によって周長L1の間隔を空けて隣り合うように形成されている内輪側凸部4dと内輪側凸部4dとの間に入り込む。
ハブ輪側凸部3dの周長L1と隣り合う内輪側凸部4dの間隔である周長L1とは、略同一の周長に構成されている。また、隣り合うハブ輪側凸部3dの間隔である周長L2と内輪側凸部4dの周長L2とは、略同一の周長に構成されている。すなわち、内輪4は、隣り合う内輪側凸部4dの間にハブ輪側凸部3dがそれぞれ嵌合されるとともに、各内輪側凸部4dがハブ輪3の隣り合うハブ輪側凸部3dの間にそれぞれ嵌合されることによって、ハブ輪3に対する周方向の移動が規制される。さらに、内輪4は、内輪側凸部4dがハブ輪3の小径段部3aの段差面3cに接触するとともに、内輪4のアウター側端面4cにハブ輪側凸部3dが接触することによって、ハブ輪3に対する軸方向の移動が規制される。
このように構成することで、車輪用軸受装置1は、ハブ輪3と内輪4とがねじ締結されるとともに、複数のハブ輪側凸部3dと複数の内輪側凸部4dとが互いに嵌合し合うことで内輪4の緩みを防止し、ハブ輪3に対する内輪4の軸方向の位置を決定することができる。つまり、車輪用軸受装置1は、内輪4をハブ輪3ねじ込むだけでハブ輪3の所定の位置に内輪4が固定される。従って、車輪用軸受装置1は、内輪4にかしめ加工による径方向外側の力が加わらない。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。また、ハブ輪の外周を内輪が周方向に移動(回転)するクリープ現象も防止することができる。
なお、本実施形態において、ハブ輪3のハブ輪側凸部3dと内輪4の内輪側凸部4dとは、等間隔で直径Dの円周の全周に渡って形成されているがこれに限定するものではなく、内輪4が振動やたわみ等によって緩まない程度の強度を有する程度の数、配置であればよい。また、ハブ輪側凸部3dと内輪側凸部4dとは、所定の幅および所定の周長からなる円弧形状の凸部から形成されているが、軸方向の側面が斜面に形成されているテーパ形状に形成してもよい。
以下に、図6と図7とを用いて、車輪用軸受装置の第二実施形態である車輪用軸受装置8について説明する。なお、以下の実施形態に係る車輪用軸受装置8は、図1から図5に示す車輪用軸受装置1において、車輪用軸受装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図6に示すように、ハブ輪3の小径段部3aの外周には、雄ねじであるハブ輪側ねじ3bが形成されている。ハブ輪3の小径段部3aの段差面3cには、ハブ輪側係合部である複数のハブ輪側凹部3hが軸方向に埋没して複数形成されている。ハブ輪側凹部3hは、ハブ輪3の軸心を中心とする直径Dの円周上に等間隔で配置されている。本実施形態において、各ハブ輪側凹部3hは、埋没深さ0.5mm以上で所定の幅および周長L3からなる円弧形状から構成され、直径Dの円周における周長L4の間隔で30°毎に形成されている。
図7(a)に示すように、内輪4は、各内輪側凸部4d(薄墨部分)が小径段部3aの段差面3cに接触した状態でハブ輪3の小径段部3aにねじ込まれる(白塗矢印参照)。各内輪側凸部4dは、内輪4のねじ込みにより発生する軸力によって小径段部3aの段差面3cに押圧される(黒塗矢印参照)。同時に、各内輪側凸部4dは、内輪4のねじ込みによる回転角度に応じて小径段部3aの段差面3cの表面を周方向に摺動される。この際、内輪側凸部4dは、内輪4のねじ込みにより発生する軸力に応じて軸方向に弾性変形される。
図7(b)に示すように、内輪4は、内輪側凸部4d(薄墨部分)が小径段部3aの段差面3cに押圧された状態から更に小径段部3aにねじ込まれる。周長L3に形成されている各内輪側凸部4dは、周方向の移動によって周長L3の円弧状の凹みに形成されている各ハブ輪側凹部3hに入り込む。
ハブ輪側凹部3hの周長L3と内輪側凸部4dの周長L2とは、略同一の周長に構成されている。また、隣り合うハブ輪側凹部3hの間隔である周長L4と隣り合う内輪側凸部4dの間隔である周長L1とは、略同一の周長に構成されている。すなわち、内輪4は、各ハブ輪側凹部3hに各内輪側凸部4dが嵌合されることによって、ハブ輪3に対する周方向の移動が規制される。さらに、内輪4は、ハブ輪3の小径段部3aの段差面3cと内輪4のアウター側端面4cとが接触することによって、ハブ輪3に対する軸方向の移動が規制される。
このように構成することで、車輪用軸受装置8は、ハブ輪3と内輪4とがねじによって締結されるとともに、複数のハブ輪側凹部3hと複数の内輪側凸部4dとが互いに嵌合し合うことでハブ輪3にねじ締結されている内輪4の緩みを防止し、ハブ輪3に対する内輪4の軸方向の位置を決定することができる。つまり、車輪用軸受装置8は、内輪4をハブ輪3にねじ込むだけでハブ輪3の所定の位置に内輪4が固定される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。また、ハブ輪の外周を内輪が周方向に移動(回転)するクリープ現象も防止することができる。
なお、本実施形態において、ハブ輪3に埋没形状であるハブ輪側凹部3hが形成され、内輪4に突出形状である内輪側凸部4dが形成されているがこれに限定するものではなく、ハブ輪3に凸部からなるハブ輪側係合部が形成され、内輪4に凹部からなる内輪側係合部が形成されてもよい。
以下に、図8を用いて、車輪用軸受装置の第三実施形態である車輪用軸受装置9について説明する。
図8に示すように、車輪用軸受装置9は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置9は、外方部材である外輪2、内方部材を構成するハブ輪10、内方部材を構成する内輪11、転動列であるインナー側ボール列5a、アウター側ボール列5b、インナー側シール部材6、アウター側シール部材7を具備する。
内方部材を構成するハブ輪10は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪10のインナー側端部には、インナー側端から軸方向に所定の範囲だけ外径が小さい部分である小径段部10aが形成されている。小径段部10aの外周には、雄ねじであるハブ輪側ねじ10bが形成されている。また、小径段部10aの端面である段差面10cには、ハブ輪側係合部(図示せず)が形成されている。さらに、小径段部10aのインナー側端から軸方向に所定の範囲だけ外径が小径段部10aよりも小さい部分であるハブ輪側嵌合部10hが形成されている。
内輪11は、転動列であってインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪11の内周には、ハブ輪10の小径段部10aに形成されているハブ輪側ねじ10bと同一の巻き方向、ねじ径およびピッチからなる雌ねじである内輪側ねじ11bが形成されている。さらに、内周のインナー側端から軸方向に所定の範囲だけ内径が内輪側ねじ11bよりも小さい部分である内輪側嵌合部11eが形成されている。内輪側嵌合部11eは、ハブ輪10のハブ輪側嵌合部10hに位置決め嵌合可能な内径に形成されている。また、内輪11のアウター側(ハブ輪10側)端面には、内輪側係合部(図示せず)が形成されている。
内輪11は、内輪側ねじ11bにハブ輪10のハブ輪側ねじ10bがねじ込まれている。内輪11は、ハブ輪10の小径段部10aにねじ締結されている。内輪11は、内輪側ねじ11bにハブ輪10のハブ輪側ねじ10bが更にねじ込まれることで、ハブ輪10のハブ輪側嵌合部10hが内輪側嵌合部11eに挿入される。内輪11は、内輪側嵌合部11eにハブ輪側嵌合部10hが挿入されることで、ハブ輪側嵌合部10hの軸心に内輪側嵌合部11eの軸心が一致するように配置される。つまり、内輪11は、ハブ輪側嵌合部10hを基準としてハブ輪10に対する径方向の位置が決定される。これにより、内輪11は、ハブ輪10とのねじ締結による軸心のずれを抑制することができる。
このように構成することで、車輪用軸受装置9は、ハブ輪10と内輪11とがねじ締結されるとともに、ハブ輪側係合部と内輪側係合部とが互いに嵌合し合うことで内輪11の緩みを防止することができる。さらに、車輪用軸受装置9は、ハブ輪側嵌合部10hと内輪側嵌合部11eとが嵌合することにより、ねじ締結によるハブ輪10と内輪11との軸心のずれが抑制される。つまり、車輪用軸受装置9は、内輪11をハブ輪10ねじ込むだけでハブ輪10の軸方向および径方向における所定の位置に固定される。これにより、治具を使用することなくフープ応力の発生を防止することができる。
以上、発明の実施の形態について、車輪用軸受装置1、8、9は、ハブ輪10の外周にインナー側ボール列5aの内側転走面3gが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置として構成されているがこれに限定するものではなく、ハブ輪3・10に一対の内輪4・11が圧入固定された第2世代構造であっても良い。また、本発明は各実施形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c インナー側転走面
2d アウター側転走面
2b 他側開口部
3 ハブ輪
3a 小径段部
3g 内側転走面
4 内輪
4a 内側転走面
5a インナー側ボール列
5b アウター側ボール列
2 外輪
2c インナー側転走面
2d アウター側転走面
2b 他側開口部
3 ハブ輪
3a 小径段部
3g 内側転走面
4 内輪
4a 内側転走面
5a インナー側ボール列
5b アウター側ボール列
Claims (5)
- 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
ハブ輪、およびこのハブ輪に設けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記ハブ輪の外周に軸方向に延びる小径段部が形成され、前記小径段部の外周にハブ輪側ねじが形成され、前記内輪の内周に内輪側ねじが形成され、
前記ハブ輪側ねじが前記内輪側ねじにねじ込まれることで前記ハブ輪と前記内輪とがねじ締結される車輪用軸受装置。 - 前記ハブ輪の前記小径段部の端面にハブ輪側係合部が形成され、前記内輪のハブ輪側軸方向端面に内輪側係合部が形成され、
前記ハブ輪側ねじが前記内輪側ねじにねじ込まれ、前記小径段部の端面と前記ハブ輪側軸方向端面とが接触した際、前記ハブ輪側係合部と前記内輪側係合部とが係合する請求項1に記載の車輪用軸受装置。 - 前記ハブ輪側係合部と前記内輪側係合部とが周方向に複数形成される請求項2に記載の車輪用軸受装置。
- 前記ハブ輪側係合部が周方向に等間隔で複数形成される凸部から構成され、前記内輪側係合部が周方向に等間隔で複数形成される凸部から構成され、
前記ハブ輪側係合部を構成する複数の凸部と前記内輪側係合部を構成する複数の凸部とのうち、少なくとも一方の複数の凸部が他方の複数の凸部の間にそれぞれ嵌合される請求項3に記載の車輪用軸受装置。 - 前記小径段部の外周の一部にハブ輪側嵌合部が形成され、前記内輪の内周の一部に内輪側嵌合部が形成され、互いの軸心を一致させるように前記ハブ輪側嵌合部が前記内輪側嵌合部に嵌合される請求項1から請求項4に記載の車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016183115A JP2018048674A (ja) | 2016-09-20 | 2016-09-20 | 車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016183115A JP2018048674A (ja) | 2016-09-20 | 2016-09-20 | 車輪用軸受装置 |
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JP2018048674A true JP2018048674A (ja) | 2018-03-29 |
Family
ID=61766127
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016183115A Pending JP2018048674A (ja) | 2016-09-20 | 2016-09-20 | 車輪用軸受装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018048674A (ja) |
-
2016
- 2016-09-20 JP JP2016183115A patent/JP2018048674A/ja active Pending
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