JP2018048285A - 多孔質体 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機フィラーを充填した多孔質体において、圧縮強度を低くする。【解決手段】本発明の多孔質体は、ある範囲に限定される粘度を持つエラストマーと、前記エラストマー中に分散された無機フィラーとを含む多孔質体であって、気泡を含まない状態とし、かつ240℃、歪み速度0.2 /秒で測定したときの破断時の伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、無機フィラーが充填された多孔質体に関する。
従来、エラストマーに電気伝導性、熱伝導性等の各種性質を付与するために、付与する性質に応じた特性を有する無機フィラーをエラストマーや熱可塑性樹脂に配合することが一般的に行われている。また、無機フィラーを配合したエラストマー又は熱可塑性樹脂にさらに柔軟性等を付与する必要がある場合には、内部に多数の気泡を設けた多孔質体とすることがある。そのような多孔質体としては、例えば、特許文献1、2に記載されるように、エラストマーや熱可塑性樹脂に多数の無機フィラーを練り込んだ組成物を発泡させることで製造することが知られている。
ここで、特許文献1では、無機フィラーとしては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などの熱伝導体フィラーを使用するとともに、エラストマーとして、アクリルブタジエンゴムやエチレン−プロピレン−ゴムなどを使用している。また、特許文献2では、無機フィラーとしてカーボンブラックなどの導電性フィラーを使用するとともに、熱可塑性樹脂としてハイメルトストレングスポリエチレンを含むオレフィン樹脂を使用している。ハイメルトストレングスポリエチレンは、低密度及び高密度ポリエチレンの混合物であって、110℃、歪み角速度0.5rad/minで伸長粘度を測定したとき、破断時間が3〜4.5秒、破断時の伸長粘度が1.0×106〜1.8×106Pa・sとなるものである。
WO2014/083890号 特開2013−213103号公報
ところで、無機フィラーを配合した多孔質体においては、電気伝導性、熱伝導性などの各種性能をさらに向上させることが求められることがある。そのため、無機フィラーの充填率を高めたり、電気伝導性、熱伝導性等が一方向に高くなる板状フィラーなど、特殊な形状を有する無機フィラーを使用したりすることが検討されている。また、窒化ホウ素等の比較的密度が低い無機フィラーは、熱伝導性が高いものの、少ない配合量で充填率が高くなりやすく、フィラーの充填率を高くすることが難しいことがある。さらに、多孔質体は、薄い状態での柔軟性をより高くするために、圧縮強度をより低くすることも求められている。
しかし、無機フィラーの充填率を高くしたり、また、特殊な形状、材質の無機フィラーを使用したりすると、発泡成形時に発泡不良が生じやすくなる。発泡不良が生じると、高い発泡倍率や平滑な表面を有する多孔質体を製造することが難しく、このことにより、圧縮強度が低下することがある。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、多孔質体に無機フィラーを充填し、その充填率を高くしたり、無機フィラーとして特殊な形状、種類のものを使用したりした場合であっても、使用に好適な低い圧縮強度をもった多孔質体を得ることである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ある範囲内に限定された粘度を持つエラストマーを用い、かつ多孔質体の破断時の伸長粘度を一定の範囲とすることで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]エラストマーと、前記エラストマー中に分散された無機フィラーとを含む多孔質体であって、気泡を含まない状態とし、かつ240℃、歪み速度0.2/秒で測定したときの破断時の伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下であり、前記エラストマーがムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマーを含む多孔質体。
[2]多孔質体におけるエラストマーが、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下である第1のエラストマーと、23℃における粘度が1Pa・s以上5000Pa・s以下である第2のエラストマーとを含む請求項1に記載の多孔質体。
[3]30%圧縮強度が、200Pa以下であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の多孔質体。
[4]前記無機フィラーの充填率が30体積%以上である上記[1]〜[3]に記載の多孔質体。
[5]前記無機フィラーの熱伝導率が30W/m・K以上である上記[1]〜[4]の多孔質体。
[6]多孔質体におけるエラストマーが、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを30質量%以上含む上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の多孔質体。
[7]多孔質体の見かけ密度が0.2g/cm3以上3.0g/cm3以下である上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の多孔質体。
[8]エラストマーに、少なくとも無機フィラーを配合させ樹脂組成物を得て、その樹脂組成物を発泡させて多孔質体を得る多孔質体の製造方法であって、
前記樹脂組成物は、240℃、歪み速度0.2/秒で測定したときの破断時の伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下であり、かつ前記エラストマーがムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマーを含む多孔質体の製造方法。
本発明によれば、多孔質体に無機フィラーを充填し、その充填率を高くしたり、無機フィラーとして特殊な形状、種類のものを使用したりした場合であっても、発泡倍率を高くすることができ、圧縮強度の低い柔軟な多孔質体を得ることが可能になる。
<多孔質体>
本発明の多孔質体は、エラストマーと、エラストマー中に分散された無機フィラーとを含み、エラストマー中に気泡を多数有する多孔質体である。多孔質体は、気泡を含まない状態とし、かつ240℃、歪み速度0.2/秒で測定したときの破断時の伸長粘度(以下、“破断伸長粘度”ともいう)が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下となるものである。多孔質体においては、上記破断伸長粘度が、5×106Pa・sより高くなると、多孔質体の発泡性が悪くなり、多孔質体を製造する際の歩留まりが低下し、多孔質体の表面平滑性が悪くなりやすい。さらには、高い発泡倍率を有する多孔質体を製造することが難しくなる。一方、1×104Pa・s未満とすると、発泡倍率を高くすることが困難である。
発泡倍率、及び表面平滑性を高くし、圧縮強度を低くするためには、上記破断伸長粘度は、5×104Pa・s以上2×106Pa・s以下であることが好ましく、1×105Pa・s以上1×106Pa・s以下であることがより好ましい。
ここで、破断伸長粘度とは、多孔質体中の気泡が完全に潰れるように多孔質体を圧縮しかつ加熱し、気泡が全て潰れた状態に固定されたサンプルを得て、そのサンプルを用いて240℃、歪み速度0.2/秒で伸長粘度を測定し、サンプルが破断したときの伸長粘度である。
なお、破断伸長粘度は、多孔質体を形成するための樹脂組成物を発泡させず、かつ多孔質体が架橋される場合には同様の条件で樹脂組成物を架橋させた、樹脂組成物のサンプルの伸長粘度を測定することで代替的に確認することも可能である。このような方法によって破断伸長粘度を確認することで、多孔質体を製造しなくても発泡体の発泡倍率や発泡体の圧縮強度などを予測できる。
多孔質体は、樹脂組成物に配合された発泡剤により発泡される発泡体であることが好ましい。多孔質体の発泡倍率は、通常、1.6倍以上であるが、好ましくは2.1倍以上6.0倍以下、より好ましくは2.8倍以上5.0倍以下である。本発明においては、後述するように、例えば無機フィラーが高充填となり、かつ特殊な形状、種類のフィラーを使用したとしても、破断伸長粘度を一定の範囲とすることで、上記のように高発泡倍率の多孔質体を得ることが可能である。また、多孔質体を高倍率とすると、柔軟性等を高めやすくなる。
多孔質体は、さらに架橋かつ発泡された架橋発泡体であることがより好ましい。多孔質体は架橋されることで、上記した破断伸長粘度が高くなりやすく、また、各種機械性能等を良好にしやすくなる。
多孔質体は、その見かけ密度が0.2g/cm3以上3.0g/cm3以下であることが好ましく、0.3g/cm3以上2.0g/cm3以下であることがより好ましい。見かけ密度をこれら範囲内とすることで、発泡体シートの柔軟性、機械強度、熱伝導性等を良好にしやすくなる。
多孔質体の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。シート状の多孔質体の厚さは、例えば、0.01mm以上10mm以下、好ましくは0.05mm以上1mm以下である。
(圧縮強度)
多孔質体は一般に、圧縮強度が低いと柔軟性が向上する。圧縮強度は、発泡倍率が高くなると圧縮強度が低下する傾向にある。多孔質体が上記厚み範囲にある場合、好適に使用できる柔軟性を確保するためには、例えば、30%圧縮したときの圧縮強度が、200kPa以下、好ましくは10kPa以上150kPa以下、より好ましくは20kPa以上100kPa以下であることが求められる。
さらに、表面が平滑であることにより、圧縮時の応力が均一に多孔質体にかかることによって、圧縮応力が低下する。
本発明では、伸長粘度の範囲とエラストマーの粘度を適切に制御することによって、発泡倍率と表面平滑性を制御でき、そのために圧縮強度を低くすることが可能である。
[エラストマー]
多孔質体に使用するエラストマーは、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマー(以下、第1のエラストマーともいう)を含む。本発明では、第1のエラストマーのムーニー粘度が上記範囲外となると発泡性が悪化して、発泡倍率、表面平滑性等が十分に高くならずに、発泡体の圧縮強度を低くするのが難しくなる。
エラストマーは、上記第1のエラストマーに加えて、第1のエラストマーとは異なる第2のエラストマーを含むことが好ましい。例えば、第1のエラストマーは、室温(23℃)、かつ常圧下で固体状となるとともに、第2のエラストマーは、室温、かつ常圧下で液状となる液状エラストマーである。
第2のエラストマーは、より具体的には、23℃における粘度が1Pa・s以上5000Pa・s以下であるエラストマーが挙げられる。多孔質体のエラストマーとして、第1のエラストマーに加えて、第2のエラストマーを使用すると、多孔質体の成形性、発泡性、機械強度等を良好にしやすくなる。
本発明では、エラストマー全量基準で、第1のエラストマーの含有量は40質量%以上70質量%未満であることが好ましい。第1のエラストマーの含有量を40質量%以上とすることで多孔質体の機械強度を良好にし、かつ圧縮強度を良好にしやすくなる。また、70質量%未満とすることで、第2のエラストマーをある程度の量含有させることができる。一方で、第2のエラストマーの含有量を多くすることで、破断伸長粘度を低くしやすくなる。そのため、第2のエラストマーの含有量は、エラストマー全量基準で、30質量%より多く60質量%以下であることが好ましい。
上記の観点から、第1のエラストマーの含有量が50質量%以上65質量%以下であるとともに、第2のエラストマーの含有量が35質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、第1のエラストマーの含有量が55質量%以上65質量%以下であるとともに、第2のエラストマーの含有量が35質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、第1のエラストマーのムーニー粘度によって、多孔質体の破断伸長粘度の調整が可能であり、例えば、第1のエラストマーのムーニー粘度を低くすることで破断伸長粘度を低くすることが可能である。ここで、破断伸長粘度を上記した範囲に調整しやすくするためには、第1のエラストマーのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、10以上50以下とすることがより好ましい。第1のエラストマーは、このように比較的低いムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有することで、第1のエラストマーの含有量を比較的多くしても(例えば、50質量%以上65質量%以下)、破断伸長粘度を上記した範囲に調整しやすくなる。さらに、ムーニー粘度をこのような範囲とすると、発泡性が良好となって、圧縮強度をより低くしやすくなる。
また、エラストマーにEPDM等の二重結合を有するものを使用し、かつ多孔質体を架橋したものとすると、破断伸長粘度は高くなりすぎることがあるが、第1のエラストマーのムーニー粘度が低いと、破断伸長粘度が高くなりすぎるのを防止する。さらに、ムーニー粘度を低くすると、プロセスオイルなどの軟化剤を使用しなくても、破断伸長粘度を所定の範囲に調整しやすくなる。
また、第1のエラストマーのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、10以上23以下とすることがさらに好ましい。第1のエラストマーは、このようなムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有することで、第1のエラストマーの含有量をさらに多くしても(例えば、55質量%以上65質量%以下)、破断伸長粘度を上記した範囲とすることが可能である。
また、第1及び第2のエラストマーの含有量を調整することでも、多孔質体の破断伸長粘度を低くすることが可能である。具体的には、第1のエラストマーの含有量を少なくするとともに、第2のエラストマーの含有量を多くすることで破断伸長粘度を低くすることが可能である。例えば、第1のエラストマーが45質量%以上55質量%以下とするとともに、第2のエラストマーが45質量%以上55質量%以下である場合などには、第1のムーニー粘度をそれほど低くしなくても(例えば、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)を23より大きくしても)、伸長粘度を上記した所定の範囲としやすくなる。
なお、第2のエラストマーの23℃における動粘度は、好ましくは5Pa・s以上1000Pa・s以下、より好ましくは8Pa・s以上500Pa・s以下である。第2のエラストマーの動粘度をこれら範囲内とすることで、無機フィラーをエラストマーに混練するときの混練性等が良好になる。
エラストマーは、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、オレフィン系動的架橋型熱可塑性エラストマー等が挙げられる。エラストマーは、熱可塑性を有する熱可塑性エラストマーであることが望ましい。これらエラストマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を選択して使用してもよい。
これらの中では、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体など、二重結合を有するエラストマーが好ましい。これらエラストマーは分子中に二重結合を有するため、多孔質体の架橋度を高めやすくなり、破断伸長粘度を上記した下限値以上に設定しやすくなる。
また、破断伸長粘度を上記した所望の範囲に設定しやすくする観点から、エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを使用することが特に好ましい。
エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを使用する場合、エラストマーとしてエチレン−プロピレン−ジエンゴムを単独で使用してもよいが、上記した他のエラストマーと組み合わせて使用してもよい。エラストマーは、エラストマー全量基準で、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、60質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。
第1及び第2のエラストマーは、上記した各種のエラストマーの中から適宜選択して使用すればよいが、第1及び第2のエラストマーは、同種のエラストマーを使用することが好ましい。したがって、第1及び第2のエラストマーは、いずれもエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことがより好ましい。また、第1及び第2のエラストマーがエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含む場合、第1及び第2のエラストマーそれぞれにおけるエチレン−プロピレン−ジエンゴムの含有量は、30質量%以上が好ましく、60質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましく、第1及び第2のエラストマーがいずれもエチレン−プロピレン−ジエンゴムからなるものでもよい。
なお、エラストマーは、特に限定されないが、通常、多孔質体を形成するための樹脂組成物の全体積基準で30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上60体積%以下がより好ましく、40体積%以上57体積%以下であることがさらに好ましい。
[軟化剤]
本発明において多孔質体は、軟化剤を含んでいてもよい。軟化剤によって破断伸長粘度を低くすることが可能であるため、軟化剤を使用することで破断伸長粘度を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。軟化剤としては、エラストマーと相溶性が良好であるものが使用され、具体的にはプロセスオイル、より詳細にはパラフィンオイルなどの鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤、さらにはプロセスオイル以外の合成軟化剤等が挙げられ、これらの中ではプロセスオイルが好ましい。
プロセルオイルを使用する場合、上記した第1のエラストマーにプロセルオイルを予め加えた油展エラストマーを使用することが好ましい。油展エラストマーを使用することでプロセルオイルをエラストマー中に均一に混合させやすくなる。
軟化剤の含有量は、破断伸長粘度が上記の範囲内となるように調整すればよいが、軟化剤がプロセルオイルである場合には、プロセスオイルの含有量は、エラストマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上50質量部以下である。プロセルオイルを1質量部以上使用することで、プロセスオイルによって破断伸長粘度を低くしやすくなる。また、50質量部以下であると、プロセルオイルによって多孔質体の機械強度等の各種物性が低下することを防止する。
これら観点から、プロセルオイルの含有量は、より好ましくは10質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以上50質量部以下である。また、プロセスオイルをこれら含有量で含有させると、第1のエラストマーのムーニー粘度が高くても(例えば、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が40より大きくても)、破断伸長粘度を上記した所定の範囲に調整しやすくなる。
[無機フィラー]
無機フィラーとしては、熱伝導性が高く、多孔質体の熱伝導性を向上させる熱伝導性フィラーや、導電性が高く、多孔質体の導電性を向上させる導電性フィラーなどが挙げられる。
具体的な無機フィラーとしては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びこれらの酸化物を含む複合酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及びこれらの窒化物を含む複合窒化物、タルク、並びに炭素系フィラー、又はチタン、銅、ニッケル、スズ、銀、及び金、並びにこれらの金属を含む合金からなる各種金属フィラーから選ばれる少なくとも1種が使用される。炭素系フィラーとしては、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これら無機フィラーは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらのうち、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、タルク、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブなどは熱伝導性フィラーとして使用できるものである。一方、カーボンブラック、黒鉛や各種金属フィラーなどは、導電性フィラーとして使用できる。
無機フィラーとしては、熱伝導性フィラーであることが好ましい。熱伝導性フィラーとして使用される無機フィラーは、熱伝導率が30W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは40W/m・K以上100W/m・K以下である。
また、無機フィラーは、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、又はこれらの両方であることが好ましい。酸化マグネシウム及び窒化ホウ素は、一般的に熱伝導率が30W/m・K以上となるものであり、多孔質体の熱伝導性を良好にしやすくなる。
無機フィラーは、いかなる形状を有してもよいが、例えば、球形フィラー、板状フィラーが挙げられる。球形フィラーは、フィラー形状が球形及び球形に近いもので、各フィラーの長径の短径に対する比が1又は1に近いものであり、その比が例えば0.6以上1.7以下、好ましくは0.8以上1.5以下となるものである。また、板状フィラーとは、フィラー形状が薄片状、鱗片状のフィラーで、各フィラーの長径が、厚さよりも十分に大きいものであり、例えば長径に対する厚さの比が2以上、好ましくは3以上となるものである。
一般的に、板状フィラーは、熱伝導性、電気伝導性などの性能を向上させやすいが、発泡性を悪化する要因になりやすい。しかし、本発明では、上記したように破断伸長粘度を上記した範囲に設定することで、板状フィラーが要因となって発泡性が悪化することを防止する。一方で、球形フィラーを使用することで、熱伝導性、電気伝導性などの多孔質体の各種性能を良好に維持しつつ、破断伸長粘度を低くして、破断伸長粘度を上記の範囲内に調整しやすくなる。
以上の観点から、無機フィラーは、板状フィラー及び球形フィラーのうち少なくともいずれか一方を含むことが好ましいが、板状フィラーを含むことがより好ましく、これら両方を含むことがさらに好ましい。
無機フィラーの直径は、例えば10μm以上150μm以下である。無機フィラーの直径を上記範囲内とすることで、破断伸長粘度を所定の範囲としつつ、熱伝導性を良好としやすくなる。また、無機フィラーの直径の好適値はフィラーの形状によって異なり、球形フィラーの直径は、好ましくは20μm以上150μm以下、板状フィラーの直径は好ましくは10μm以上100μm以下である。
本発明では、無機フィラーの直径によっても破断伸長粘度を調整することが可能である。例えば、球形フィラーの直径を大きくすると、無機フィラーの比表面積が小さくなり、それにより、破断伸長粘度を小さくすることができる。破断伸長粘度を所望の範囲とする観点から、球形フィラーの直径は、30μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μmより大きく80μm以下であることがさらに好ましい。
一方で、板状フィラーは、その直径が大きくなりすぎると、発泡性を阻害する要因となりやすい。したがって、板状フィラーの直径は、球形フィラーの直径よりも小さいことが好ましく、具体的には、板状フィラーの直径は、10μm以上50μm以下であることがより好ましく、15μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
多孔質体において、無機フィラーの充填率は、30体積%以上であることが好ましい。なお、充填率とは、多孔質体成分の全体積基準の無機フィラーの体積%を意味する。無機フィラーの充填率を高くすると、無機フィラーによって熱伝導性、導電性等の無機フィラーによって付与される性能を高めやすくなる。熱伝導性、導電性等の観点からは、無機フィラーの充填率は高いほうがよいが、充填率を高くしすぎると、破断伸長粘度も同様に高くなる傾向にある。そのため、破断伸長粘度を上記した所定の範囲内に調整する観点から、無機フィラーの充填率は70体積%以下であることが好ましい。
また、破断伸長粘度を所望の範囲内に調整しつつ、無機フィラーによって付与される各種性能を良好にするために、無機フィラーの充填率は、35体積%以上60体積%以下がより好ましく、40体積%以上50体積%以下がさらに好ましい。
なお、樹脂組成物に配合される各成分の体積は、配合される各成分の質量から算出可能であり、例えば、各成分の質量に各成分の23℃における密度を乗じることによって算出可能である。無機フィラーの充填率は、樹脂組成物に配合される全ての成分の体積の和に対する無機フィラーの体積の和の比率で算出可能である。上記したエラストマーの体積%も同様に算出可能である。
また、無機フィラーとして、上記したように球形フィラーと板状フィラーを使用する場合には、全無機フィラー基準で球形フィラーの体積割合が50%以上90%以下であるとともに、板状フィラーの体積割合が10%以上50%以下であることが好ましく、球形フィラーの体積割合が65%以上85%以下であるとともに、板状フィラーの体積割合が15%以上35%以下であることがより好ましい。
球形フィラー及び板状フィラーとして使用されるフィラーの材質は、上記したもののなから適宜選択して使用すればよいが、球形フィラーが酸化マグネシウムであるとともに、板状フィラーが窒化ホウ素であることが好ましい。
[発泡剤]
多孔質体は、樹脂組成物に配合された発泡剤により発泡されたものであることが好ましい。ここで、使用される発泡剤としては熱分解型発泡剤が好ましい。熱分解型発泡剤等の発泡剤を使用することで、多孔質体を発泡して成形するときの発泡性が良好となる。さらには、多孔質体の気泡を概ね独立気泡とすることが可能になり、各種機械強度が良好になる。
熱分解型発泡剤の具体例としては、分解温度が140〜270℃程度の有機系又は無機系の化学発泡剤が挙げられる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
熱分解型発泡剤の配合量は、発泡体シートの気泡が破裂せずに適切に発泡ができるように、エラストマー(A)100質量部に対して1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上25質量部以下がより好ましく、10質量部以上25質量部以下がさらに好ましい。
[任意成分]
樹脂組成物は、エラストマー、無機フィラー、及び好ましくは配合される発泡剤からなるものでもよいが、これら成分以外の成分を含有してもよく、例えば上記した軟化剤や、以下の各種の添加剤を含有してもよい。添加剤の種類は特に限定されず、発泡体に通常使用される各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、発泡助剤、滑剤、収縮防止剤、気泡核剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、上記フィラー以外の充填剤、補強剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、及び表面処理剤等が挙げられる。かかる添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物に配合される任意成分は、酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらの中では、フェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上が併用してもよい。
酸化防止剤の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上6質量部以下がより好ましい。
エラストマー、無機フィラー、及び発泡剤以外の任意成分の配合量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の樹脂の発泡及び成形に用いられる添加量を採用できる。
<多孔質体の製造方法>
本発明の多孔質体の製造方法としては、エラストマーに、少なくとも無機フィラーを配合させて樹脂組成物を得て、その樹脂組成物を発泡させて、多孔質体を得る方法が挙げられる。
本製造方法では、樹脂組成物は、例えば、エラストマー、無機フィラー、さらに、必要に応じて発泡剤、その他の任意成分を押出機に供給して溶融混練し、押出機から押し出すことによって樹脂組成物に成形すればよい。このとき、樹脂組成物はシート状に押出成形することが好ましい。あるいは、エラストマー、無機フィラー、さらに、必要に応じて発泡剤、その他の任意成分を、カレンダー、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより、シート状の樹脂組成物を得てもよい。
また、エラストマー、無機フィラー、さらに、必要に応じて発泡剤、その他の任意成分を上記以外の方法で混練することで樹脂組成物を得てもよい。そのような樹脂組成物は、例えばプレスすることでシート状とすることが好ましい。
樹脂組成物を発泡する方法は、上記のように熱分解型発泡剤等の発泡剤により発泡させることが好ましい。熱分解型発泡剤により発泡させる場合には、樹脂組成物を熱分解型発泡剤の分解温度よりも高い温度で、樹脂組成物を加熱すればよい。加熱温度は、具体的には、200〜400℃程度である。
熱分解型発泡剤を分解させて発泡させる方法としては、特に制限はなく、例えば、樹脂組成物を熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。
本製造方法では、発泡前の樹脂組成物を架橋処理することが好ましい。樹脂組成物を架橋処理する方法としては、例えば、樹脂組成物に電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法、樹脂組成物に予め有機過酸化物又は硫黄化合物を配合しておき、樹脂組成物を加熱し、有機過酸化物を分解させ若しくは硫黄化合物により加硫する方法等が挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。これらの中では、電離性放射線を照射する方法が好ましい。
さらに、多孔質体(又は樹脂組成物)は、シート状である場合には、発泡後又は発泡しながら延伸させてもよい。
なお、発泡体シートの製造方法は、上記方法に限定されず、他の方法により製造してもよい。
本発明において、樹脂組成物は、多孔質体を製造するにあたり、破断伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下、好ましくは5×104Pa・s以上2×106Pa・s以下、より好ましく1×105Pa・s以上1×106Pa・s以下でとなるように調整すればよい。なお、多孔質体は上記したように架橋することが好ましいが、架橋する場合には、架橋後の樹脂組成物の破断伸長粘度を上記範囲内となるように調整すればよい。
本発明の樹脂組成物においては、第1または第2のエラストマーの粘度、及び、無機フィラーの充填率及びサイズ、エラストマーの種類、第1及び第2のエラストマーの含有量、軟化剤の有無、軟化剤の含有量、架橋の有無、並びに架橋の程度の少なくとも1つのファクターを適宜調整することで、破断伸長粘度が上記範囲となるように樹脂組成物を調整すればよい。
具体的には、無機フィラーの充填率を高くすれば破断伸長粘度が高くなる一方で、充填率を低くすれば破断伸長粘度が低くなるので、無機フィラーの充填率を適宜調整することで破断伸長粘度を上記範囲内となるようにすることが可能である。また、例えば、球形フィラーの粒径を大きくすれば破断伸長粘度が低くなる一方で、粒径を小さくすれば、破断伸長粘度が高くなるので、球形フィラーの粒径を調整することで、破断伸長粘度を調整することが可能である。
さらには、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴムのように、二重結合を有するエラストマーを使用し、かつ多孔質体を架橋することで、破断伸長粘度が高くなる傾向にある一方で、第2のエラストマーの含有量を相対的に高くしたりすることで、破断伸長粘度は低くなる傾向にある。そのため、エラストマーの種類、第1及び第2のエラストマーの含有量、多孔質体の架橋の有無やその程度を適宜調整することでも破断伸長粘度を調整することが可能である。さらには、軟化剤を配合し、かつ軟化剤の含有量を多くすればするほど、破断伸長粘度は低くなるので、軟化剤の有無、軟化剤の含有量により破断伸長粘度を調整可能である。
なお、無機フィラーの充填率、第1及び第2のエラストマーの含有量など各ファクターの好ましい態様は、上記した通りであるので、その詳細は省略する。
また、樹脂組成物におけるエラストマーは、上記したように少なくともムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマーを含むものであるが、詳細は上記と同様であるので、その記載は省略する。
<多孔質体の使用方法>
本発明の多孔質体は、無機フィラーが熱伝導性フィラーである場合には、例えば、放熱材として使用することが可能である。放熱材は、例えば、電子機器用途に使用する。電子機器としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット型端末、電子ペーパー、ノート型PC、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の携帯機器が好ましい。
放熱材は、電子機器内部において熱源の近傍に配置され、熱源から発した熱を拡散させたり、放熱させたりする。具体的には、放熱材は、例えば、熱源と、ヒートシンクとの間のスペースに配置され、ヒートシンクとともに、熱源からの発熱を放熱させる放熱機構を構成する。熱源は、駆動又は使用するときに発熱する電子部品であり、具体的には、CPU、バッテリー、パワーアンプ等が挙げられる。また、ヒートシンクとしては、鉄、ステンレス鋼等の金属部材、グラファイト等の熱伝導性の高い材料、又はこれらの複合物、積層体等が挙げられ、好ましくは電子機器の筐体を構成する。
本発明の多孔質体は、気泡を有することで柔軟性が高いため、他の部材と密着した状態で電子機器等の内部に配置することが可能であり、また、シート状にすると狭いスペースにも配置可能である。さらに、本発明の多孔質体は、平滑性に優れるため、他の部材に密着しやすくなり、さらには、スマートフォン等の携帯機器において、放熱材が配置されるスペースが狭い場合であっても、適切に配置することが可能である。
また、本発明の多孔質体は、無機フィラーが導電性フィラーである場合には、圧縮されない状態では、導電性フィラー同士が離れているため電気抵抗が大きいが、圧縮されると導電性フィラー同士が接触し、導電パスが形成されて電気抵抗が減少する。したがって、そのような性質を利用して、圧力や圧力分布等を検出する各種センサとして用いることが可能である。
他にも、グランディング用途、タッチパネルの静電気除去部材、表示装置内の部品間の緩衝シール材など、導電性及び柔軟性を必要とする部材へ適応することができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、本発明における各物性の測定方法、評価方法は以下のとおりである。
[破断伸長粘度]
各実施例、比較例の架橋後の樹脂組成物からサンプルを作成して、メカニカルスペクトロメーター(TA Instruments社製ARES)を用いて、以下の条件で樹脂組成物の伸長粘度を測定した。
測定温度:240℃ 歪み速度0.2 1/秒
サンプルサイズ:縦10mm×横20mm×厚み0.2〜1mm(なお、厚みは任意で選択すればよい。)
具体的には、サンプルをオーブン内部に載置し、サンプルの温度が設定温度±0.3℃の状態が30秒間続く状態まで安定させた後、破断時の伸長粘度を測定し、それを破断伸長粘度とした。
なお、実施例、比較例では、多孔質体を200℃、20MPaの条件で2時間加圧して、多孔質体を圧縮したサンプルを作成し、そのサンプルについても破断伸長粘度を測定したところ、架橋後の樹脂組成物から得たサンプルと同一の値となることを確認できた。
[圧縮強度]
多孔質体の常温における30%圧縮強度をJIS K6767に準拠して測定した。
[無機フィラーの直径]
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HELOS/BFM,Sympatec GmbH社製)を用い、常法により粒度分布を測定し、5回測定した際の平均粒径の平均値を無機フィラーの直径とした。
[発泡倍率]
発泡倍率は、多孔質体の比重を、発泡前の樹脂組成物の比重で除することにより算出した。比重はJISK7222に準拠して測定した。
[見かけ密度]
多孔質体の見かけ密度は、JIS K 7222に準拠して測定した。
[ムーニー粘度及び23℃における粘度]
エラストマーのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、JIS K6300−1に準拠して測定した値である。
また、23℃における粘度は、B型回転粘度計により回転速度1rpmにて測定した値である。
[成功率及び表面平滑性]
各実施例、比較例に記載の方法に沿って、多孔質体を3回製造して、多孔質体を製造することができた成功率を確認した。なお、得られた多孔質体の表面を観察し、表面が平滑であったもの、あるいは、表面に凹凸があるものの実用的に問題ないレベルの多孔質体が製造できた場合には、多孔質体の製造に成功したこととした。一方で、多孔質体の表面に発泡に基づく凹凸が多数見られ、実用的に使用できないレベルである場合には多孔質体の製造に成功しなかったこととした。
また、多孔質体の製造が成功した多孔質体の表面を観察し、平滑性をさらにS,A,B,Cの4段階で評価した。なお、“S”が平滑性が最も良かったことを示し、“C”が平滑性が最も悪かったことを示す。
表1に示す発泡倍率等の各種物性は、製造に成功した多孔質体から1つの多孔質体を選択して、その1つの多孔質体において確認したものである。
実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
(第1のエラストマー)
8030M:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、三井化学株式会社製、商品名「8030M」、ムーニー粘度(ML1+4、125℃):18
EP21:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、JSR株式会社製、商品名「EP21」、ムーニー粘度(ML1+4、125℃):26
EP11:エチレン−プロピレンゴム、JSR株式会社製、商品名「EP11」、ムーニー粘度(ML1+4、125℃):28
601F:油展エラストマー、住友化学株式会社製、商品名「エスプレン 601F」、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(樹脂分)100質量部をプロセスオイル70質量部により油展したエラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4、125℃):73
(第2のエラストマー)
PX−068:液状エチレン−プロピレン−ジエンゴム、三井化学株式会社製、商品名「PX−068」、23℃における動粘度:10Pa・s
(無機フィラー)
RF−70C:酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製、商品名「RF−70C−SC」、直径:70μm、球形フィラー、熱伝導率:50W/m・K
RF−10C:酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製、商品名「RF−10C−SC」、直径:10μm、球形フィラー、熱伝導率:50W/m・K
PTX25S:窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、商品名「PTX25S」、直径:25μm、板状フィラー、熱伝導率:60W/m・K
発泡剤:アゾジカルボンアミド、大塚化学株式会社製、商品名「SO−L」
フェノール系酸化防止剤:チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、商品名「イルガノックス1010」
実施例1
第1のエラストマーとしてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(商品名「8030M」)60質量部、第2のエラストマーとして液状エチレン−プロピレン−ジエンゴム(商品名「PX−068」)40質量部、無機フィラーとしての酸化マグネシウム(商品名「RF−70C−SC」)300質量部及び窒化ホウ素(商品名「PTX25S」)55質量部、アゾジカルボンアミド16質量部、並びにフェノール系酸化防止剤4質量部を溶融混練した後、プレスすることにより厚さが0.5mmのシート状の樹脂組成物を得た。得られたシート状の樹脂組成物の両表面に加速電圧500keVにて電子線を2.0Mrad照射して樹脂組成物を架橋した。架橋後の樹脂組成物を250℃に加熱することによって、樹脂組成物を発泡させて、厚さ0.5mmのシート状の多孔質体を得た。得られた多孔質体について、表1に示すように各物性及び性能を評価した。
実施例2
第1のエラストマーの種類、及び無機フィラーの配合量を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様に実施して多孔質体を得た。
実施例3
第1及び第2のエラストマー及び無機フィラーの配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様に実施して多孔質体を得た。
実施例4
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(商品名「8030M」)60質量部の代わりに、油展エラストマー(商品名「エスプレン 601F」)102質量部を配合して樹脂組成物を得た以外は、実施例1と同様に実施して多孔質体を得た。
比較例1
第1及び第2のエラストマーの配合量及び無機フィラーの種類を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様に実施して多孔質体を得た。
比較例2、3
第1のエラストマーの種類を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様に実施して多孔質体を得た。
Figure 2018048285
※1:実施例4で使用した油展エラストマー(エスプレン 601F)は、表1においては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(樹脂分)、プロセスオイルそれぞれに分けて質量部で示す。
※2:表1において、フィラー体積%及びエラストマー体積%とは、樹脂組成物の全体積に対する、無機フィラー、エラストマーそれぞれの合計体積の割合を示す。
※3:MgO/BN(体積%/体積%)は、無機フィラー全量基準で、RF−70C又はRF−10C、及びPTX25Sそれぞれの体積%を示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4では、破断伸長粘度を所定の範囲に調整するとともに、所定のムーニー粘度のエラストマーを使用することで、高い発泡倍率と低い圧縮強度を有する多孔質体を得ることができた。一方で、比較例1、2では、破断伸長粘度が高すぎたため、高い発泡倍率と低い圧縮強度を持ち、表面平滑性に優れた多孔質体を製造することができなかった。また、比較例3では、破断伸長粘度が低すぎたため、発泡倍率が高く圧縮強度が低い多孔質体を得ることができなかった。
なお、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2の対比から明らかなように、無機フィラーのサイズや配合量を調整し、また、実施例1、3と比較例2、3の対比から明らかなように、第1のエラストマーのムーニー粘度を低くしたり、第2のエラストマーの配合量を多くしたり、第1のエラストマーの種類を調整したりすることによって、破断伸長粘度を所望の値に調整することができた。さらには、実施例4から明らかなように、第1のエラストマーのムーニー粘度が比較的高くても軟化剤を配合することで、破断伸長粘度を所望の値に調整し圧縮強度を低下することもできた。

Claims (8)

  1. エラストマーと、前記エラストマー中に分散された無機フィラーとを含む多孔質体であって、気泡を含まない状態とし、かつ240℃、歪み速度0.2/秒で測定したときの破断時の伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下であり、前記エラストマーが、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマーを含む多孔質体。
  2. 多孔質体におけるエラストマーが、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下である第1のエラストマーと、23℃における粘度が1Pa・s以上5000Pa・s以下である第2のエラストマーとを含む請求項1に記載の多孔質体。
  3. 30%圧縮強度が、200Pa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質体。
  4. 前記無機フィラーの充填率が30体積%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質体。
  5. 前記無機フィラーの熱伝導率が30W/m・K以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質体。
  6. 多孔質体におけるエラストマーが、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを30質量%以上含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質体。
  7. 多孔質体の見かけ密度が0.2g/cm3以上3.0g/cm3以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質体。
  8. エラストマーに、少なくとも無機フィラーを配合させ樹脂組成物を得て、その樹脂組成物を発泡させて多孔質体を得る多孔質体の製造方法であって、
    前記樹脂組成物は、240℃、歪み速度0.2/秒で測定したときの破断時の伸長粘度が1×104Pa・s以上5×106Pa・s以下であり、かつ前記エラストマーがムーニー粘度(ML1+4、125℃)が5以上80以下であるエラストマーを含む多孔質体の製造方法。
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