JP2018048238A - 熱硬化性樹脂組成物、成形材料、繊維強化複合材料、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、成形材料、繊維強化複合材料、及びシートモールディングコンパウンドの製造方法 Download PDF

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泰彦 鍋島
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隼人 小笠原
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靖則 村野
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Akihiro Hanabusa
明宏 花房
和行 峠
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和行 峠
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Tomotsune Kaneko
智恒 金子
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Abstract

【課題】カーボンブラックを含有する熱硬化性樹脂組成物であって、優れた耐候性を有する繊維強化複合材料を製造するために用い得る熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含む、熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物を用いて製造される成形材料及び繊維強化複合材料、並びに当該熱硬化性樹脂組成物を用いたシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
近年、強化繊維を含む成形材料を成形して繊維強化複合材料を製造する技術が開発されている。
例えば、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCという)は、熱硬化性樹脂等の主樹脂及び硬化剤を配合したマトリクス樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)をガラス繊維等の短繊維の強化繊維束に含浸させ、シート状にした成形材料である。SMCは、その成形品が呈する優れた成形性や機械特性、耐水性、耐食性等により、住宅設備や自動車、電気等の分野に広く利用されている。SMCは、使用する強化繊維の繊維長が短いため、強化繊維として連続繊維を使用するプリプレグに比べて、成形により得られる複合材料の機械物性が低くなる傾向はあるものの、成形時にSMCを流動させて型内に充填させることができるため、連続繊維を使用するプリプレグでは成形が困難な板厚差のある形状や細かい凹凸を有する複雑な形状を形成するのに好適である。
また、強化繊維のなかでも、炭素繊維は比強度及び比弾性率が最も高く、成形品(繊維強化複合材料)を大幅に軽量化できることから、様々な分野で実用化が進んでおり、SMCに使用される強化繊維も従来のガラス繊維から炭素繊維への置き換えが進んでいる(特許文献1)。なお、強化繊維として炭素繊維を使用したシートモールディングコンパウンドを以下、CF−SMCと称することがある。
特開2001−348440号公報 特開2009−13306号公報 特開2011−195723号公報 特開2013−166917号公報
ところで、繊維強化複合材料の外観品位を向上させる方法として、強化繊維を含む成形材料を製造するために用いる熱硬化性樹脂組成物をカーボンブラック等の顔料で着色しておく方法が提案されている(特許文献2〜4)。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、強化繊維を含む成形材料がカーボンブラックを含有していた場合、カーボンブラックを含有していない場合に比べて、当該成形材料によって製造された繊維強化複合材料の耐候性が劣化する傾向にあることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、カーボンブラックを含有する熱硬化性樹脂組成物であって、優れた耐候性を有する繊維強化複合材料を製造するために用い得る熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物を用いて製造される成形材料及び繊維強化複合材料、並びに当該熱硬化性樹脂組成物を用いたシートモールディングコンパウンドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、pHが特定の範囲にあるカーボンブラックを含有する熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた耐候性を有する繊維強化複合材料を製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含む。
また、本発明に係るシートモールディングコンパウンドの製造方法は、(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(D)ブラックトナーを混合して熱硬化性樹脂組成物を調製する工程、前記熱硬化性樹脂組成物を、(A’)繊維長が5mm以上の炭素繊維からなる強化繊維基材に含浸させてシートモールディングコンパウンド前駆体を製造する含浸工程、並びに前記シートモールディングコンパウンド前駆体に含まれる前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘工程を含み、前記成分(D)が、(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含む。
本発明によれば、優れた耐候性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。
SMCの製造工程の一例を示す概念図である。
〔定義〕
本明細書において、「カーボンブラックの平均粒径」は、以下の測定方法によって求められる算術平均粒子径を指す。まず、カーボブラック試料を150KHz、0.4kWの超音波分散器により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作製し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、50,000〜200,000倍に拡大した画像をEndterの装置を用いてランダムに1,000個以上のカーボンブラックの粒子の直径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
本明細書において、「揺変度」は、チキソトロピー性を意味し、25℃における5rpm粘度/50rpm粘度の比で表される。揺変度が大きいものほど、チキソトロピー性が高いことを示す。
本明細書において、「炭素繊維からなる強化繊維基材」は、炭素繊維からなる繊維束が、二次元ランダムに積み重なったシート状物を指す。
〔熱硬化性樹脂組成物〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含む。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに(e)重合性ビニル単量体等の他の成分を含んでいてもよい。
以下、各成分につき詳細に説明する。
[(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方(「成分(a)」と称すことがある。)を含有する。
本発明におけるビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂成分と不飽和一塩基酸成分との反応から得られる不飽和酸エポキシエステルである。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂成分としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が使用され、例えば、ビスフェノールA、ビスフノールF、ブロム化ビスフェノールAで代表されるビスフェノール化合物を主骨格としたジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールもしくはクレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラックで代表される多核フェノール化合物を主骨格としたポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸、トリメリット酸で代表される有機多塩基酸を主骨格とするポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリコール、及び水添ビスフェノールA等のジオール化合物を主骨格としたグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、などのエポキシ樹脂が挙げられる。中でもビスフェノールAを主骨格としたグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分として単独又は併用で使用することができる。
不飽和基一塩基酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの重合性不飽和基を持つ一塩基酸が挙げられ、これらの重合性不飽和基を持つ一塩基酸は不飽和基一塩基酸成分として単独又は併用で使用することができる。中でもアクリル酸が好ましい。
ビニルエステル樹脂は、特定の樹脂を単独で使用してもよく、また複数種の樹脂を併用してもよい。
また本発明における不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と2価のグリコールとの縮合で合成されるものである。前記ポリエステルの合成には、これら2成分のほかに飽和ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸あるいはジカルボン酸と反応するジシクロペンタジエンなども併用することができる。
不飽和ポリエステル樹脂の原料となるα,β−オレフィン系不飽和カルボン酸の例としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。中でもフマル酸が好ましい。これらα,β−オレフィン系ジカルボン酸と併用されるジカルボン酸の例としては、例えばアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルコン酸、フタル酸無水物、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸などが挙げられる。中でもイソフタル酸が好ましい。
2価のグリコールとしては、例えばアルカンジオール、オキサアルカンジオール、ビスフェノールAにエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキサイドを付加したジオール等が用いられる。これに加えてモノオールや3価トリオールを用いてもよい。
アルカンジオールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。オキサアルカンジオールとしては、例えばジオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。中でもネオペンチルグリコール及びジプロピレングリコールが好ましい。これらグリコールと併用される1価あるいは3価のアルコールとしては、例えばオクチルアルコール、オレイルアルコール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、特定の樹脂を単独で使用してもよく、また複数種の樹脂を併用してもよい。
本発明における成分(a)としては、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のうち、一方のみ使用してもよく、両方を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における成分(a)の含有量は、通常30質量%以上70質量%以下、好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
[(b)増粘剤]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(b)増粘剤(「成分(b)」と称すことがある。)を含有する。
本発明における(b)増粘剤は、成分(a)であるビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂の増粘剤として通常使用されるものから適宜選択して使用することができる。
具体的には、成分(b)として使用することができる増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の金属酸化物や金属水酸化物、イソシアネート化合物等が挙げられる。増粘剤の種類は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の取り扱い性によって適宜選択することができる。また成形材料の硬さは、これらの増粘剤の添加量によって調整することができる。これらの増粘剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの増粘剤の中でも、酸化マグネシウム又はイソシアネート化合物が好ましく、増粘時の粘度制御が容易であり、また硬化物の機械的強度が高い点からイソシアネート化合物が特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートや、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの末端水酸基とジイソシアネートとを反応させたイソシアネートプレポリマー等の他、これらのポリイソシアネート化合物とモノイソシアネート化合物との混合物等が好適である。
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、水素添加4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)等が挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリエンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。
なお、これらのポリイソシアネート化合物のアロファネート体、ビュレット体、トリマー体等を使用することもできる。
上記モノイソシアネート化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、イソシアネートエチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、前記成分(a)に対する成分(b)の好ましい含有量は、成分(b)の種類により異なるが、例えば成分(b)が酸化マグネシウムの場合は、前記成分(a)100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下の範囲が好ましい。また、成分(b)がイソシアネート化合物の場合は、前記成分(a)が有する水酸基に対する前記イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比が、0.2以上0.8以下の範囲内であることが好ましい。
[(c)硬化剤]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(c)硬化剤(「成分(c)」と称すことがある。)を含有する。
本発明における(c)硬化剤は、前記成分(a)であるビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂を硬化させるものであれば特に制約はなく、従来公知の硬化剤から選択し使用することができる。
成分(c)としては有機過酸化物が好ましく、具遺体的には、例えば1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキイシイソプロピルカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。重合開始剤は1種を用いても、複数種を併用しても良い。
前記成分(c)の含有量は、(i)熱硬化性樹脂組成物が(e)重合性ビニル単量体(「成分(e)」と称すことがある。)を含んでいる場合には、前記成分(a)及び成分(e)の合計100質量部に対し、(ii)熱硬化性樹脂組成物が成分(e)を含んでいない場合には、前記成分(a)100質量部に対し、通常0.1質量部以上5質量部以下、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。前記成分(c)の含有量を0.5質量部以上とすることにより成形材料の硬化性が良好となるため好ましく、前記成分(c)の含有量を3質量部以下とすることにより保存安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られるため好ましい。
[(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラック]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラック(「成分(d)」と称すことがある。)を含有する。
熱硬化性樹脂組成物が含有するカーボンブラックのpHが6.0以上であることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化不良や、繊維強化複合材料中で、熱硬化性樹脂組成物の硬化物と触媒的に分解反応を引き起こすこともなく、耐候性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。また、熱硬化性樹脂組成物が含有するカーボンブラックのpHが8.0以下であれば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における開環等の分解反応を引き起こすこともなく、耐候性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。成分(d)としてより好ましくは、pH7.0以上8.0以下のカーボンブラックである。
成分(d)の平均粒径は、30nm以上100nm以下であることが好ましく、50nm以上90nm以下であることがより好ましい。成分(d)の平均粒径を30nm以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物と炭素繊維とを用いて製造される繊維強化複合材料、特にSMCを経て製造される繊維強化複合材料に特有のランダムに配置された繊維の凹凸が浮き出た外観(繊維の凹凸外観)を目立たなくさせる効果がより顕著になり、表面に光沢があり、黄変が抑制された繊維強化複合材料を得ることができる。成分(d)の平均粒径が30nm以上であると、散乱効果が増すことから、繊維強化複合材料の表面における繊維の凹凸外観を隠蔽しやすく、また十分な耐候性を有することができる。一方、成分(d)の平均粒径を100nm以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物中における成分(d)の分散性が良好になり、より高強度の繊維強化複合材料が得られる。
成分(d)として用いられるカーボンブラックとしては、例えば特開2008−285632号公報に記載の材料等が使用できるが、特に限定されない。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における前記成分(d)の含有量は、前記成分(a)100質量部に対して、通常0.05質量部以上2質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上1質量部以下である。前記成分(d)の含有量を0.05質量部以上とすることにより、繊維の凹凸外観を十分に隠蔽できるため好ましく、また前記成分(d)の含有量を2質量部以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐候性が良好となるため好ましい。
[(e)重合性ビニル単量体]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(e)重合性ビニル単量体(成分(e))を含有していてもよい。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物において、成分(e)は反応性希釈剤に相当し、前記成分(a)は、成分(e)に溶解した形で用いることにより、成形材料の製造時における含浸性が向上するため好ましい。
上記成分(e)としてはモノビニル単量体を用いることが好ましく、例えば、スチレン、p−クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノビニル単量体、アクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルエステル、アクリロニトリル等のアクリル系モノビニル単量体等が挙げられる。中でもスチレンが好ましい。
本発明における成分(e)は、前記成分(a)と成分(e)との合計100質量部中、5〜60質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。5質量部以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の粘度を下げ、含浸性が向上しやすくなるため好ましく、60質量部以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の機械物性を損なわないため好ましい。
[その他の成分]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分(a)〜(e)以外の成分をさらに含有していても良い。
成分(a)〜(e)以外の成分としては、通常、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂組成物中に含まれる各種成分が挙げられ、例えば、無機充填剤、重合禁止剤、離型剤、顔料、減粘剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、安定剤、補強材、光硬化剤等が挙げられる。
〔熱硬化性樹脂組成物の製造方法〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、前記熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分を同時に混合して調製してもよく、或いは後述するように、予め成分(d)を含む液状黒色着色剤(ブラックトナー)を調製し、これを他の成分と混合することにより調製してもよい。また、混練による剪断発熱等で、系内の温度が上がる場合には、混練速度を調整したり、混練釜を水冷する等、混練中に温度を上げない工夫をすることが好ましい。混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ニーダー、万能攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスペンサー、ボールミル及びビーズミルが挙げられる。また、これらは2種以上を併用することができる。
[(D)ブラックトナー]
本発明の熱硬化性樹脂組成物を調製する際に、前記成分(d)はこれを含む(D)ブラックトナーとして、他の成分と混合することが好ましい。
本発明における(D)ブラックトナーは液状黒色着色剤であり、ベヒクル(展色材)と前記成分(d)カーボンブラックからなる。該成分(D)は、前記成分(a)との相溶性に優れ、成分(D)に含まれる成分(d)の分散性が良好で、成形材料及び繊維強化複合材料の着色力に優れている。よって前述した成分(d)が有する効果、すなわち繊維強化複合材料成形品の表面における繊維の凹凸外観の高い隠蔽性や、高い耐候性がより顕著になるため好ましい。
成分(D)に含まれる展色材としては、フタル酸エステルや脂肪酸エステル等の可塑剤や飽和および不飽和ポリエステル等が使用されるが、成形用樹脂との相溶性や物性を考慮すると不飽和ポリエステルが好ましい。不飽和ポリエステルはグリコール類及びα,β−不飽和二塩基酸から、必要に応じて芳香族飽和二塩基酸、または脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造される。展色材中には架橋性モノマーを混合する場合があり、代表的架橋性モノマーとしてはスチレンモノマーが使用されている。またビニルトルエン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジブチルマレート、ジブチルフマレート、ジアリルフタレート等を混合しても良い。
成分(D)における前記(d)カーボンブラックの含有量は、10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。成分(d)の含有量が10質量%以上20質量%以下の場合、前記成分(a)との相溶性にすぐれ、成分(D)中における分散性が良好で、着色力に優れたブラックトナーが得られる。
また成分(D)の揺変度は1.0以上3.0以下であることが好ましい。ブラックトナーの揺変度が3.0以下であれば、流動性が良好であるため、熱硬化性樹脂組成物を構成する他の成分(前記成分(a)を含む)と混合する際の取扱い性が良くなり、均一に混合することが容易になる。これにより、均質な繊維強化複合材料を得ることができる。また前記成分(a)との粘度差が大きく異なることを避け、熱硬化性樹脂組成物における成分(d)の分散性を十分なものとすることができる。すなわち、ブラックトナーの揺変度が1.0以上3.0以下の場合、取扱い性が良好であり、前記成分(d)のブラックトナー中及び熱硬化性樹脂組成物中の分散性にも優れるため好ましい。
また成分(D)の25℃における粘度は10000mPa・s以上32000mPa・s以下であることが好ましい。前記成分(D)の25℃における粘度が10000mPa・s以上であれば、熱硬化性樹脂組成物を構成する他の成分(前記成分(a)を含む)と混合する際の取扱い性が良くなり、前記成分(D)の25℃における粘度が32000mPa・s以下であれば、熱硬化性樹脂組成物を構成する他の成分(前記成分(a)を含む)と均一に混合することが容易になる。これにより、均質な繊維強化複合材料を得ることができる。
〔成形材料〕
本発明に係る成形材料は、(A)繊維長が5mm以上の炭素繊維と、(B)上述した本発明の熱硬化性樹脂組成物の増粘物、を含む。該成形材料としてはプリプレグ、トウプリプレグ、SMC、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等が挙げられるが、例えば本発明の熱硬化性樹脂組成物における成分(d)の効果は、特にSMCやBMC、及びこれらを用いて製造された繊維強化複合材料にて顕著に発揮されるため、本発明の成形材料としてはSMC及びBMCが好ましく、SMCが特に好ましい。
[(A)繊維長が5mm以上の炭素繊維〕
本発明の成形材料は、繊維長が5mm以上の炭素繊維(「成分(A)」と称すことがある。)を含有する。
炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系、及びピッチ系の炭素繊維が挙げられる。これらの中でも圧縮強度に優れることからPAN系炭素繊維が好ましい。
繊維長が5mm以上の炭素繊維の形態は、炭素繊維束(トウ)を特定の長さに切断してなる短繊維束であってもよく、また連続繊維を一方向に引き揃えた形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、複数枚の一方向の強化繊維のシートを異なる方向に重ねて補助糸でステッチして留めマルチアキシャルワープニットとした形態、強化繊維を不織布とした形態などであってもよい。特に、炭素繊維トウを特定の長さに切断してなる短繊維束を使用し、これを含む成形材料、すなわちSMCまたはBMCとすることが好ましい。一般に、SMCやBMCを用いて製造された繊維強化複合材料は、プリプレグ等を用いて製造させた繊維強化複合材料と比べて外観の平滑性に劣る傾向があるが、カーボンブラック、特に特定粒径のカーボンブラックを含む熱硬化性樹脂組成物を用いて製造した成形材料を経て繊維強化複合材料を製造することにより、繊維の凹凸外観を目立たなくさせることができる。
上記いずれの形態であっても、成分(A)である炭素繊維は、通常3000本以上60000本以下の単繊維からなる繊維束の状態で使用され、成形材料中ではその繊維束の形状を保ったまま存在している場合もあるが、より少ない繊維からなる束に分かれて存在する場合もある。後述するSMCやBMC中では一般に、より少ない束に分かれて存在する。またSMCやBMCにおいては、束を構成する炭素繊維が、繊維長5mm以上10cm以下程度の短繊維であることが好ましく、該短繊維は、繊維長5mm以上60mm以下であることがより好ましい。またSMCにおいては、炭素繊維が、強化繊維基材(すなわち後述する(A’))を構成していることがより好ましい。
また成分(A)として、前記短繊維からなる繊維束と、前述した連続繊維からなる他の形態の炭素繊維基材を併用することもできる。併用することにより、SMCとプリプレグの長所を併せ持つ成形材料とすることができ、例えば細かい凹凸部を有する大型の成形品を製造する際に、成形品全体の機械的特性を向上させることができる。
[(B)熱硬化性樹脂組成物の増粘物]
本発明の成形材料は、前述した本発明の熱硬化性樹脂組成物の増粘物(「成分(B)」と称すことがある。)を含有する。
具体的には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、前記成分(A)からなる強化繊維束や基材に、その形態に合った周知の方法により含浸させた後、10〜50℃程度の温度で数日間熟成することにより、前記成分(a)が有する水酸基やカルボキシ基と、前記成分(b)とが反応し、樹脂組成物が増粘して成分(B)の熱硬化性樹脂組成物の増粘物となる。
前記成分(a)と成分(b)との反応条件は、例えば、反応後に得られる成分(B)の23℃における粘度が、5000Pa・s以上150000Pa・s以下程度になるよう選択すればよい。
成分(B)の23℃における粘度は、より好ましくは8000Pa・s以上100000Pa・s以下である。成分(B)の23℃における粘度を5000Pa・s以上とすることにより、表面のタック性が低く良好な取り扱い性と優れた成形性を有する成形材料が得られるため好ましく、成分(B)の23℃における粘度を150000Pa・s以下とすることによりカット性が良好で取り扱い性に優れ、保存安定性にも優れた成形材料が得られるため好ましい。
〔成形材料の製造方法〕
本発明の成形材料は、成形材料の種類に応じた公知の方法で調製することができる。以下に本発明の成形材料がSMC又はBMCである場合の製造方法の一例を示す。
〔シートモールディングコンパウンドの製造方法〕
本発明のシートモールディングコンパウンド(SMC)の製造方法に特に制限は無く、前述した本発明の熱硬化性樹脂組成物を、(A’)繊維長が5mm以上の炭素繊維からなる強化繊維基材、に含浸させて、更に該熱硬化性樹脂組成物を増粘させることにより製造することができる。
熱硬化性樹脂組成物の調製時には、前述のようにブラックトナーを使用することが好ましい。具体的には、
・(a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(D)ブラックトナーを混合して熱硬化性樹脂組成物を調製する工程、
・前記熱硬化性樹脂組成物を、(A’)繊維長が5mm以上の炭素繊維からなる強化繊維基材、に含浸させてシートモールディングコンパウンド前駆体を製造する含浸工程、
・前記シートモールディングコンパウンド前駆体に含まれる前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘工程、
を含むシートモールディングコンパウンドの製造方法が好ましい。なお前述した様に、成分(D)であるブラックトナーは、前記成分(d)、すなわちpHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含有する。
熱硬化性樹脂組成物を調製する工程については、前述のとおりである。
次に、得られた熱硬化性樹脂組成物を、成分(A’)すなわち長さ5mm以上の炭素繊維からなる炭素繊維基材に含浸させて、SMC前駆体を製造する含浸工程について説明する。
前記含浸工程における前記成分(A’)とは、成分(A)が強化繊維基材を構成したものであり、より好ましくは繊維長5mm以上10cm以下の短繊維である炭素繊維が強化繊維基材を構成したものであり得る。
まず、ポリエチレンフィルム等からなる第一のキャリアフィルム上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布して第一の樹脂組成物層を形成する。さらに、第一の樹脂組成物層上に、前記成分(A)、好ましくは繊維長5mm以上10cm以下の炭素繊維からなる短繊維束を散布し、前記成分(A’)を形成する。また、別途、ポリエチレンフィルム等からなる第二のキャリアフィルム上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布して第二の樹脂組成物層を形成する。そして、第一のキャリアフィルムと第二のキャリアフィルムとを、前記成分(A’)と第二の樹脂組成物層とが対向するように重ね、積層フィルムを形成し、これを加圧することにより、前記成分(A’)に前記樹脂組成物を含浸させて、SMC前駆体を製造する。
続いて、前記SMC前駆体に含まれる前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘工程を行う。例えば、得られたSMC前駆体を、10℃以上50℃以下程度の温度で数日間熟成することにより、当該SMC前駆体に含まれる熱硬化性樹脂組成物が増粘し、SMCが製造される。
このような製造方法は、例えば図1に示されるようなSMCマシーン等の公知の装置にて実施することができる。詳しくは、前記樹脂組成物層の表面に、前記炭素繊維からなる短繊維束を散布して、二次元ランダムに配向した短い炭素繊維束が堆積したシート(すなわち前記成分(A’))を製造し、これに樹脂組成物を含浸させ、その後に例えば10℃以上50℃以下の温度で数日間熟成し、増粘させることでシートモールディングコンパウンドを製造することができる。なお、図1について説明すれば、巻き取りロール7によって巻き取られるキャリアフィルム2上に、ドクターブレード3を用いて、樹脂組成物1が塗布され、その上に、チョッパー5によってチョップされた炭素繊維束4が散布される。そして、炭素繊維束4が堆積したシート(すなわち前記成分(A’))を、樹脂組成物1が塗布された2つのキャリアフィルム2が対になって挟み込み、含浸ロール6によって押圧することにより、樹脂組成物1を当該シートに含浸させることができる。
図1に示されるようなSMCマシーンを用いる場合は、本発明の熱硬化性樹脂組成物は炭素繊維への含浸が可能であり、かつ、キャリアフィルム2の脇から液ダレが起こらないような粘度であることが好ましい。また、熟成後の熱硬化性樹脂組成物の粘度は、キャリアフィルム2を容易に剥がすことができるような粘度に増粘していることが好ましい。
〔バルクモールディングコンパウンドの製造方法〕
本発明に係るバルクモールディングコンパウンド(BMC)は、繊維長5mm以上の炭素繊維、より具体的には繊維長5mm以上10cm以下の炭素繊維からなる短繊維束である成分(A)と、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の増粘物である成分(B)とを含有する。例えば、前述した炭素繊維の短繊維束と、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物とを十分に混合してバルク状にし、該熱硬化性脂組成物を増粘させることにより製造することができる。
炭素繊維の短繊維束と本発明に係る熱硬化性樹脂組成物とを混合してバルク状にする方法については、従来公知の様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、繊維束への樹脂の含浸性、繊維の分散性など、生産性の点から加圧ニーダーによって行うことが好ましい。この際、必要に応じて加熱しながら行っても良いが、樹脂が硬化を始める温度以下、好ましくは10℃以上50℃以下で行うことが望ましい。またこの際、圧力は大気圧以上にかける必要は特にないが、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高い場合、該樹脂組成物が空気を取り込み混練され、繊維への樹脂含浸が困難になる場合は大気圧以上の圧力をかけて行っても良い。
熱硬化性樹脂組成物を増粘することで、BMC表面のタックが抑制され、成形作業に適したBMCを得ることができる。
〔繊維強化複合材料〕
本発明に係る繊維強化複合材料は、本発明に係るSMCやBMC等の成形材料を加熱硬化させることで得られる。
SMCを用いた繊維強化複合材料は、例えば、1枚のSMCあるいは複数枚のSMCを重ねて、1対の成形型の間にセットし、例えば、120℃以上160℃以下にて、例えば、1MPa以上10MPa以下の成形圧力を、目的とする成形品(繊維強化複合材料)の厚さ1mm当たり1〜2分間として算出された時間保持して、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、成形品である繊維強化複合材料を得ることができる。また、本発明のSMCは、ダンボール等のハニカム構造体を芯材とし、その両面又は片面にSMCを配して製造される成形品(繊維強化複合材料)にも適用することができる。
またBMCを用いた繊維強化複合材料は、圧縮成形、移送成形、射出成形等のいずれの成形方法によっても得ることができるが、所定の形状の金型などに本発明のBMCを圧入した後、金型を加熱及び加圧することで硬化せしめる圧縮成形を用いることで、複雑な形状の成形品であっても短時間で得ることが可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<1.ブラックトナーの調製>
水添ビスフェノール型不飽和ポリエステル(成分(a)の一部)80質量部、カーボンブラック1(pH8.0、平均粒径30nm、成分(d))15質量部、及び高分子分散剤5質量部を十分に混合攪拌した後、三本ロールを使用して練肉分散することにより、ブラックトナー1(成分(D))を調製した。得られたブラックトナー1の25℃における粘度は25900mPa・sであり、揺変度は1.1であった。
<2.熱硬化性樹脂組成物の調製>
ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール8051、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物(成分(a)の一部、反応性希釈材(成分(e))としてスチレンを33質量%含む))100質量部、硬化剤(成分(c))として1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの75%溶液(日本油脂株式会社製、製品名:パーヘキサC−75(EB))0.5質量部とt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの74%溶液(化薬アクゾ株式会社製、製品名:カヤカルボンBIC−75)0.5質量部、内部離型剤としてリン酸エステル系誘導体組成物(アクセルプラスチックリサーチラボラトリー社製、製品名:MOLD WIZINT−EQ−6)0.35質量部、増粘剤(成分(b))として変性ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学株式会社製、製品名:コスモネートLL)15.5質量部、安定剤として1,4−ベンゾキノン0.02質量部、補強材として炭素繊維ミルドファイバー(日本ポリマー産業株式会社製、製品名:MP30X、重量平均繊維長95μm)5質量部、及びブラックトナー1(成分(D))3.5質量部をそれぞれ用いて、それらを十分に混合撹拌し、25℃で1週間静置することにより増粘し、樹脂ペースト(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
<3.平板状樹脂板の成形>
得られた樹脂ペーストを、成形用金型にチャージ率(金型面積に対するチャージ材の面積の割合)65%でチャージし、金型温度140℃、圧力4MPaの条件で2分間加熱加圧硬化させ、厚さ1mm、300mm角の平板状の樹脂板(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)を得た。
<4.樹脂板の耐候性試験>
得られた樹脂板から、長さ60mm、幅70mmの耐候性試験片を切り出し、キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機(スガ試験機(株)製、SX−2D−75)にて耐候性試験を実施した。試験条件は、放射照度180W/m(300〜400nm)、試料台のブラックパネル温度63℃、相対湿度:50%RH、試験時間:200時間とした。
次いで、耐候性試験前後の光沢保持率と色差(ΔE)を評価した。光沢計は「鏡面光沢度−測定方法(JIS Z 8741)」に準拠した平行光方式の光沢計(NIPPON DENSHOKO製 Gloss Meter VG7000)を使用し、測定光の入射角60°の耐候性試験前後の光沢を測定し、光沢保持率を算出した。
樹脂板の色調は、JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表色系において測定され、L*で明度を表し、a*とb*で色度を表す。多光源分光測色計(KONICA MINOLTA試験機製、SPECTROHOTO METER CM−5)を用いて耐候性試験前後のLabを測定し、色差ΔEとして(ΔL+Δa+Δb1/2を測定した。
結果、光沢保持率は9.7%、色差ΔEは10.5であった。
〔実施例2〕
カーボンブラック1の代わりにカーボンブラック2(pH7.5、平均粒径50nm)を用いた点を除いて、実施例1と同様にブラックトナーを調製した。得られたブラックトナー2の25℃における粘度は30300mPa・sであり、揺変度は1.1であった。また、ブラックトナー1の代わりにブラックトナー2を用いた点を除いて、実施例1と同様に樹脂板を製造し、耐候性試験を行った。結果、光沢保持率は8.8%、色差ΔEは9.2であった。
〔実施例3〕
カーボンブラック1の代わりにカーボンブラック3(pH7.0、平均粒径75nm)を用いた点を除いて、実施例1と同様にブラックトナーを調製した。得られたブラックトナー3の25℃における粘度は15500mPa・sであり、揺変度は1.3であった。また、ブラックトナー1の代わりにブラックトナー3を用いた点を除いて、実施例1と同様に樹脂板を製造し、耐候性試験を行った。結果、光沢保持率は9.8%、色差ΔEは9.3であった。
〔比較例1〕
カーボンブラック1の代わりにカーボンブラック4(pH3.5、平均粒径29nm)を用いた点を除いて、実施例1と同様にブラックトナーを調製した。得られたブラックトナー4の25℃における粘度は17700mPa・sであり、揺変度は1.1であった。また、ブラックトナー1の代わりにブラックトナー4を用いた点を除いて、実施例1と同様に樹脂板を製造し、耐候性試験を行った。結果、光沢保持率は5.2%、色差ΔEは11.8であった。
〔比較例2〕
カーボンブラック1の代わりにカーボンブラック5(pH3.0、平均粒径55nm)を用いた点を除いて、実施例1と同様にブラックトナーを調製した。得られたブラックトナー5の25℃における粘度は19800mPa・sであり、揺変度は1.3であった。また、ブラックトナー1の代わりにブラックトナー5を用いた点を除いて、実施例1と同様に樹脂板を製造し、耐候性試験を行った。結果、光沢保持率は2.6%、色差ΔEは9.6であった。
結果を表1にまとめる。表1に示すように、実施例では、比較例に比べて、光沢保持率が向上していた。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物(樹脂板)は優れた耐候性を有することが分かる。このような熱硬化性樹脂組成物を用いて製造された成形材料も同様に、その硬化物が良好な耐候性を有する。
Figure 2018048238
本発明は、様々な用途のための繊維強化複合材料を製造するために利用可能である。
1 樹脂組成物
2 キャリアフィルム
3 ドクターブレード
4 炭素繊維束
5 チョッパー
6 含浸ロール
7 巻き取りロール

Claims (12)

  1. (a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、
    (b)増粘剤、
    (c)硬化剤、及び
    (d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラック
    を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記成分(d)の平均粒径が30nm以上100nm以下である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. さらに(e)重合性ビニル単量体を含む、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記熱硬化性樹脂組成物における前記成分(d)の含有量が、前記成分(a)100質量部に対して0.05質量部以上2質量部以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. (A)繊維長が5mm以上の炭素繊維、及び
    (B)請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の増粘物
    を含む、成形材料。
  6. シートモールディングコンパウンドである、請求項5に記載の成形材料。
  7. バルクモールディングコンパウンドである、請求項5に記載の成形材料。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の成形材料の硬化物である、繊維強化複合材料。
  9. (a)ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方、(b)増粘剤、(c)硬化剤、及び(D)ブラックトナーを混合して熱硬化性樹脂組成物を調製する工程、
    前記熱硬化性樹脂組成物を、(A’)繊維長が5mm以上の炭素繊維からなる強化繊維基材に含浸させてシートモールディングコンパウンド前駆体を製造する含浸工程、並びに
    前記シートモールディングコンパウンド前駆体に含まれる前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘工程
    を含み、
    前記成分(D)が、(d)pHが6.0以上8.0以下であるカーボンブラックを含む、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
  10. 前記成分(d)の平均粒径が30nm以上100nm以下である、請求項9に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  11. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに(e)重合性ビニル単量体を含む、請求項9または10に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  12. 前記成分(D)における前記成分(d)の含有量が、10質量%以上20質量%以下である、請求項9〜11のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
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