本発明は、鞍乗型車両のアクセサリソケット構造に係り、特に、車体の外装部品に設けられて電気機器に電力を供給する鞍乗型車両のアクセサリソケット構造に関する。
従来から、車両の周辺で用いる照明機器や携帯端末等の電源を車載バッテリから得るためのアクセサリソケットが知られている。
特許文献1には、車幅方向に延びる棒状の操向ハンドルの中央にメータ装置が配置された鞍乗型の四輪バギーにおいて、メータ装置のハウジングの側面にアクセサリソケットを設けた構造が開示されている。
また、特許文献2には、アクセサリソケットの挿入口にヒンジによって開閉する蓋を設けると共に、蓋の開状態または閉状態を保つためにヒンジ部分にばね部材を組み込んだ構造が開示されている。
特開2003−95170号公報
特開2013−155825号公報
しかし、特許文献1に記載されたアクセサリソケットは、その挿入口の蓋が薄板状の連結部によって本体側と連結されており、電気機器側のプラグを挿入する際に蓋が閉じないようにユーザが手で押さえておく必要があった。この課題には、引用文献2に記載されたばねによる付勢で対処できるが、鞍乗型車両の外装部品のように水分や砂等に触れる場所には適さないという課題が生じる。また、車体前部にアクセサリソケットが設けられていると、操向ハンドルの転舵位置によっては、ユーザによるリッド操作がしにくくなる可能性があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、簡単な構造で挿入口を覆う蓋を開状態に保持できると共に、操作性のよい位置に配設するようにした鞍乗型車両のアクセサリソケット構造を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、電気機器側のプラグを挿入するための挿入口(Sa)を有する有底円筒状のソケット(S)と、該ソケット(S)に取り付けられると共に前記挿入口(Sa)を塞ぐためのリッド部材(40)とを、鞍乗型車両(1)の外装部品(30)に設けられた開口(32)に配置するようにした鞍乗型車両のアクセサリソケット構造において、前記ソケット(S)の前記挿入口(Sa)側の端部が、前記開口(32)の内周部との間に所定の隙間(T)を有して車体下方から車体上方に向けて前記開口(32)に挿通されており、前記リッド部材(40)が、前記ソケット(S)の前記挿入口(Sa)側の端部に被せられる固定部(50)と、該固定部(50)と一体に形成された連結部(45)と、該連結部(45)と一体に形成されて前記ソケット(S)の挿入口(Sa)を塞ぐ蓋部(41)とを含み、前記連結部(45)に、前記隙間(T)を通過できる厚さの支持凸部(45b)が形成されており、前記支持凸部(45b)が、前記蓋部(41)を開いた際に前記固定部(50)に当接して前記蓋部(41)の開状態を保持するように構成されている点に第1の特徴がある。
また、前記ソケット(S)の軸線(O)が、車体鉛直方向に対して後方に傾斜するように配設されており、前記連結部(45)は、車体前方寄りの位置に設けられている点に第2の特徴がある。
また、前記外装部品(30)が、燃料タンク(3)の車幅方向外側に位置するサイドカウル(30)であり、前記サイドカウル(30)には、前記開口(32)の車体前方の位置に立設する立設壁(31)が設けられており、前記立設壁(31)が、前記ソケット(S)の軸線(O)と略平行に形成されている点に第3の特徴がある。
また、前記サイドカウル(30)に、車幅方向に所定の幅を有すると共に車体後下方に傾斜する上面部(30a)が形成されており、前記開口(32)が、前記上面部(30a)に設けられると共に、前記ソケット(S)が挿通される円形部分の径方向外側に延びる切り欠き(32a)を有し、前記蓋部(41)が、車体平面視で、2辺が車体前後方向に指向する菱形に形成されており、前記蓋部(41)の菱形の鋭角部分の下面に、前記切り欠き(32a)に係合する位置決め突起(42a)が設けられている点に第4の特徴がある。
また、前記蓋部(41)は、菱形の鋭角部分のひとつが車幅方向外側の前方に位置するように配設されており、前記連結部(45)が、前記蓋部(41)の菱形の車幅方向内側の鈍角部分に位置し、前記位置決め突起(42a)が、車幅方向内側の後方に位置する点に第5の特徴がある。
また、前記鞍乗型車両(1)の車幅方向左側にサイドスタンド(25)が設けられており、前記開口(32)が、車幅方向左側の前記サイドカウル(30)に設けられている点に第6の特徴がある。
また、電気機器側のプラグの挿入口(Sa)を有する有底円筒状のソケット(S)と、該ソケット(S)に取り付けられると共に前記挿入口(Sa)を塞ぐためのリッド部材(40)とを有する鞍乗型車両のアクセサリソケット構造において、前記鞍乗型車両(1)の車幅方向左側に、サイドスタンド(25)および燃料タンク(3)の側方を覆うサイドカウル(30)が設けられており、前記ソケット(S)が、前記鞍乗型車両(1)の操向ハンドル(4)が中立位置の場合に、車体側面視で、操向ハンドル(4)の後端より後方で、かつシート(23)の前端より前方で、かつシート(23)の上端より下方で、かつ前輪(WF)の上端より上方の位置において、前記サイドカウル(30)に設けられている点に第7の特徴がある。
また、前記サイドカウル(30)には、車幅方向に延出する上面部(30a)と、該上面部(30a)の車幅方向外側端部から下方に延出する側面部(30b)とを有し、前記ソケット(S)が、前記上面部(30a)に設けられた開口(32)に設けられると共に、前記側面部(30b)により側方を覆われており、前記リッド部材(40)が、前記挿入口(Sa)および前記開口(32)を同時に塞ぐように構成されている点に第8の特徴がある。
さらに、前記操向ハンドル(4)が中立位置の場合に成立する、前記操向ハンドル(4)の後端から該操向ハンドル(4)の下方に位置する外装部品(8)の上面部(8a)までの第1距離(L1)に比して、前記操向ハンドル(4)を左方の限度位置まで転舵した場合に成立する、前記操向ハンドル(4)の後端から該操向ハンドル(4)の下方に位置する外装部品(30)の上面部(30a)までの第2距離(L2)の方が大きい点に第9の特徴がある。
第1の特徴によれば、前記ソケット(S)の前記挿入口(Sa)側の端部が、前記開口(32)の内周部との間に所定の隙間(T)を有して車体下方から車体上方に向けて前記開口(32)に挿通されており、前記リッド部材(40)が、前記ソケット(S)の前記挿入口(Sa)側の端部に被せられる固定部(50)と、該固定部(50)と一体に形成された連結部(45)と、該連結部(45)と一体に形成されて前記ソケット(S)の挿入口(Sa)を塞ぐ蓋部(41)とを含み、前記連結部(45)に、前記隙間(T)を通過できる厚さの支持凸部(45b)が形成されており、前記支持凸部(45b)が、前記蓋部(41)を開いた際に前記固定部(50)に当接して前記蓋部(41)の開状態を保持するように構成されているので、連結部に形成された支持凸部によって蓋部の開状態を保持することができ、電気機器側のプラグをソケットに挿入する際にユーザが手で支持する必要がなくなり、部品点数を増やすことなく簡単な構造でアクセサリソケットの使い勝手を向上させることが可能となる。
第2の特徴によれば、前記ソケット(S)の軸線(O)が、車体鉛直方向に対して後方に傾斜するように配設されており、前記連結部(45)は、車体前方寄りの位置に設けられているので、蓋部を開いた状態で、ソケットに車体後方上方から電気機器側のプラグを近づけて挿入することが容易となる。また、ソケットにプラグを挿入することでプラグの車体前方側に蓋部が当接することとなり、蓋部の開状態をより安定的に保持することが可能となる。
第3の特徴によれば、前記外装部品(30)が、燃料タンク(3)の車幅方向外側に位置するサイドカウル(30)であり、前記サイドカウル(30)には、前記開口(32)の車体前方の位置に立設する立設壁(31)が設けられており、前記立設壁(31)が、前記ソケット(S)の軸線(O)と略平行に形成されているので、開いた蓋部が、ソケットに挿入したプラグとサイドカウルの立設壁との間に挟まれることとなり、走行時に使用した場合でも蓋部の揺れを抑えることが可能となる。
第4の特徴によれば、前記サイドカウル(30)に、車幅方向に所定の幅を有すると共に車体後下方に傾斜する上面部(30a)が形成されており、前記開口(32)が、前記上面部(30a)に設けられると共に、前記ソケット(S)が挿通される円形部分の径方向外側に延びる切り欠き(32a)を有し、前記蓋部(41)が、車体平面視で、2辺が車体前後方向に指向する菱形に形成されており、前記蓋部(41)の菱形の鋭角部分の下面に、前記切り欠き(32a)に係合する位置決め突起(42a)が設けられているので、簡単な構造によって、蓋部を閉じた際に蓋部が回転することを防ぐと共に蓋部と立設壁とのクリアランスを維持することが可能となる。
第5の特徴によれば、前記蓋部(41)は、菱形の鋭角部分のひとつが車幅方向外側の前方に位置するように配設されており、前記連結部(45)が、前記蓋部(41)の菱形の車幅方向内側の鈍角部分に位置し、前記位置決め突起(42a)が、車幅方向内側の後方に位置するので、蓋部の車幅方向外側に手をかけて持ち上げることで蓋部を簡単に開くことが可能となる。また、蓋部の開閉方向と異なる方向に位置決め突起が形成されていることで、蓋部の開閉時に摩擦抵抗を生じにくく操作性が向上する。
第6の特徴によれば、前記鞍乗型車両(1)の車幅方向左側にサイドスタンド(25)が設けられており、前記開口(32)が、車幅方向左側の前記サイドカウル(30)に設けられているので、鞍乗型車両をサイドスタンドを用いて停車して車体が左側に傾いている場合でも、車体左側から簡単にアクセサリソケットにアクセスすることができる。
第7の特徴によれば、電気機器側のプラグの挿入口(Sa)を有する有底円筒状のソケット(S)と、該ソケット(S)に取り付けられると共に前記挿入口(Sa)を塞ぐためのリッド部材(40)とを有する鞍乗型車両のアクセサリソケット構造において、前記鞍乗型車両(1)の車幅方向左側に、サイドスタンド(25)および燃料タンク(3)の側方を覆うサイドカウル(30)が設けられており、前記ソケット(S)が、前記鞍乗型車両(1)の操向ハンドル(4)が中立位置の場合に、車体側面視で、前記操向ハンドル(4)の後端より後方で、かつシート(23)の前端より前方で、かつシート(23)の上端より下方で、かつ前輪(WF)の上端より上方の位置において、前記サイドカウル(30)に設けられているので、鞍乗型車両を車幅方向左側のサイドスタンドで自立させた場合でも使い勝手のよいアクセサリソケットを得ることができる。
第8の特徴によれば、前記サイドカウル(30)には、車幅方向に延出する上面部(30a)と、該上面部(30a)の車幅方向外側端部から下方に延出する側面部(30b)とを有し、前記ソケット(S)が、前記上面部(30a)に設けられた開口(32)に設けられると共に、前記側面部(30b)により側方を覆われており、前記リッド部材(40)が、前記挿入口(Sa)および前記開口(32)を同時に塞ぐように構成されているので、部品点数を増やすことなく、サイドカウルによってソケットの上方および側方を覆うことができる。また、リッド部材によってソケットの挿入口を塞ぐことでサイドカウルの開口も塞がれるので、サイドカウル内への水分の侵入を防ぐことができる。
第9の特徴によれば、前記操向ハンドル(4)が中立位置の場合に成立する、前記操向ハンドル(4)の後端から該操向ハンドル(4)の下方に位置する外装部品(8)の上面部(8a)までの第1距離(L1)に比して、前記操向ハンドル(4)を左方の限度位置まで転舵した場合に成立する、前記操向ハンドル(4)の後端から該操向ハンドル(4)の下方に位置する外装部品(30)の上面部(30a)までの第2距離(L2)の方が大きいので、車体左側に設けられるサイドスタンドで車体を支持した場合は、操向ハンドルが左側にフル転舵されることが多いが、この場合において、操向ハンドルとアクセサリソケットとの距離が大きく確保されているため、アクセサリソケットの良好な操作性を得ることができる。
本実施形態に係る鞍乗型車両のアクセサリソケット構造を適用した自動二輪車の左側面図である。
図1の一部拡大図である。
自動二輪車の一部拡大平面図である。
図3の一部拡大図である。
ソケットの開状態を示す平面図である。
ソケットの開状態を示す斜視図である。
リッド部材の断面図である。
リッド部材の断面図である(開状態)。
リッド部材の断面図である(閉状態)。
ソケットに電気機器のプラグを挿入した状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る鞍乗型車両のアクセサリソケットを適用した自動二輪車1の左側面図である。自動二輪車1は、エンジンEの駆動力を後輪WRに伝達して走行する鞍乗型車両である。トップブリッジ5およびボトムブリッジ10によって支持される左右一対のフロントフォーク13は、車体フレーム2の前端に設けられるヘッドパイプ9によって操舵可能に軸支されている。フロントフォーク13の下端部には前輪WFが回転可能に軸支されており、トップブリッジ5の上部には操向ハンドル4が取り付けられている。後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム18の前端部は、エンジンEの後端に設けられたピボット16によって揺動可能に軸支される。エンジンEの駆動力は、ドライブチェーン17を介して後輪WRに伝達される。ピボット16の下方には、車体を少し左側に傾けて自立させるためのサイドスタンド25が取り付けられている。
操向ハンドル4の前方には、防風スクリーン7およびヘッドライト11を有するフロントカウル8が設けられている。外装部品としてのフロントカウル8の後方下部には、左右一対のセンタカウル14が連結されており、センタカウル14の下端部には左右一対のアンダカウル15が連結されている。フロントカウル4の上部には、ウインカ装置を内蔵するバックミラー6が左右一対で取り付けられている。
シート23と操向ハンドル4との間には燃料タンク3が配設されており、シート23の後方下部にはシートカウル24が配設されている。シートカウル24の後部には、後部シートの乗員が把持するグラブバー22および尾灯装置20が設けられており、その周囲には左右一対のパニアケース19およびトップボックス21が取り付けられている。
センタカウル14の後方上部で、燃料タンク3の下方の位置には、センタカウル14に連なる左右一対の外装部品としてのサイドカウル30が連結されている。本願発明に係るアクセサリソケット構造を構成するアクセサリソケットは、車幅方向左側のサイドカウル30の上面部に配設されている。
図2は、図1の一部拡大図である。また、図3は自動二輪車1の一部拡大平面図であり、図4は図3の一部拡大図である。図4では、説明のためにアクセサリソケットS(以下、単にソケットSと示す)の蓋部41を除去した状態を示している。
合成樹脂の薄板等からなるサイドカウル30は、センタカウルの略中央で車体前方に指向する大きなV字型の切れ込みに収まる形状とされており、車体上方に指向する上面部30aと、上面部30の車幅方向外側端部から下方に延出する側面部30bとを有する。電気機器側のプラグ(不図示)を挿入する有底円筒状のソケットS(図5参照)は、サイドカウル30の上面部30aに形成された開口32に収められている。
ソケットSには、プラグの挿入口Saを塞ぐためのリッド部材40が取り付けられている。リッド部材40は、ゴム等の合成樹脂で一体形成されており、ソケットSの蓋となる開閉部分は車体平面視で菱形形状をなしている。
サイドカウル30の上面部30aの前端には、車体上方に向けて立設する立設壁31が設けられている。立設壁31は、車体側面視で、鉛直方向に対して少し車体後方側に傾斜している。一方、円筒形状のソケットSの軸線Oも車体側面視で車体後方側に傾斜しており、両者は略平行をなしている。
ピボット16のシャフトを車幅方向外側から押さえる板部材の後部には、運転者の足乗せステップ26が支持されている。車幅方向右側の足乗せステップ26の前方には後輪ブレーキを操作するブレーキペダル27が配設されており、左側の足乗せステップ26の前方にはシフトペダル28が配設されている。
操向ハンドル4の右側には、前輪ブレーキを操作するブレーキレバー4aが設けられ、一方の左側にはクラッチレバー4bが設けられている。燃料タンク3の上面にはヒンジ機構で開閉自在な燃料キャップ3aが設けられている。
前記したように、ソケットSおよびリッド部材40は、車幅方向左側のサイドカウル30の上面部30aに設けられている。これは、自動二輪車1の運転者が、シート23にまたがったまま左手を伸ばしてアクセスするのに好適な位置となる。さらに、図2を参照して、ソケットSは、車体側面視で、操向ハンドル4の後端より後方で、かつシート23の前端より前方で、かつシート23の上端より下方で、かつ前輪WFの上端より上方の位置に設けられている。これにより、自動二輪車を車幅方向左側のサイドスタンド25で自立させた場合でも使い勝手のよいアクセサリソケットを得ることができる。
図4を参照して、立設壁31は、車体平面視で、車幅方向内側が車体後方に位置するように傾斜している。一方、リッド部材40の蓋部41は、菱形形状の2辺が車体前後方向に指向すると共に、菱形の鋭角部分のひとつが車幅方向外側の前方に位置するように配設されているので、車幅方向に指向する菱形の2辺は、概ね立設壁31に沿って指向している。これにより、円形の蓋部のような外観上の違和感を与えることがなく、統一されたデザイン性によってアクセサリソケットの商品性を高めることができる。
リッド部材40は、菱形形状の蓋部41と、蓋部41をソケットS側に支持するための固定部50とを含む。ソケットSの挿入口Saは、円環状の固定部50の中央から外方にのぞいている。
また、図2に示すように、操向ハンドル4が中立位置の場合には、操向ハンドル4の後端から該操向ハンドル4の下方に位置するフロントカウル8の上面部8aまでの距離が第1距離L1となる。一方、操向ハンドル4を左方の限度位置まで転舵した場合には、操向ハンドル4の後端から該操向ハンドル4の下方に位置するサイドカウル30の上面部30aまでの距離が第2距離L2となり、操向ハンドル4とアクセサリソケット40との距離が大きくなる。図3に示すように、車体左側に設けられるサイドスタンド25で車体を支持した場合は、ハンドルロックの使用時を含んで操向ハンドル4が左側にフル転舵されることが多いが、この場合でも、操向ハンドル4とアクセサリソケット40との距離が大きく確保されることで、操向ハンドル4がアクセサリソケット40へのアクセスに影響を与えることがなく、アクセサリソケット40の操作性が確保される。さらに、アクセサリソケット40の上方に操向ハンドル4の後端が位置するため、落下物等からリッド部分を保護することが可能となる。
図5は、本実施形態に係るアクセサリソケットSの開状態を示す平面図である。 また、図6はアクセサリソケットSの開状態を示す斜視図である。ソケットSに被せられる固定部50は、その上端部がサイドカウル30の上面部30aから上方に少し突出している。リッド部材40の蓋部41は、連結部45を介して固定部50に連結されている。蓋部41には、ソケットSの挿入口Saに挿入される円筒部43、蓋部41の内側に収まる外径を有する円環凸部42、円筒部43と円環部42との間に形成される円環凹部46、円環凸部42の径方向外側に延出する位置決め突起42aが設けられている。一方、サイドカウル30の上面部30aに設けられる開口32には、径方向外側に延びる切り欠き32aが形成されている。
蓋部41を閉じると、蓋部41の円筒部43がソケットSの挿入口Saに挿入されると共に、固定部50の上端面が円環凹部46に挿入され、かつ円環凸部42がサイドカウル30の開口32に挿入されるので、ソケットSへの水分等が侵入を防ぐと共に、サイドカウル30の開口32からサイドカウル30の内側に水分等が侵入することも防がれる。
また、蓋部41を閉じると、蓋部41の位置決め突起42aが開口32の切り欠き32aに係合することで蓋部41の回転動作が規制される。これにより、蓋部41を閉じた際に蓋部41が回転することを防ぐと共に蓋部41と立設壁31とのクリアランスを維持することが可能となる。
蓋部41は、その菱形形状の鋭角部分のひとつが、車幅方向外側の前方に位置するように配設されている。また、連結部45は、蓋部41の菱形の車幅方向内側の鈍角部分に位置し、位置決め突起32aが車幅方向内側の後方に位置する。これにより、蓋部41は、車体左後方から車体右前方へ向かう方向で開くこととなり、蓋部41の車幅方向外側に指をかけて持ち上げることで蓋部41を開くことが可能となる。さらに、本実施形態では、車幅方向外側の鈍角部分の近傍に、爪等を引っかけるための凹部44が形成されており、乗員が左手で蓋部41を開く動作がさらに容易とされている。
また、位置決め突起42aおよび切り欠き32aが、蓋部41の開閉方向と異なる方向に位置決め突起が形成されていることで、蓋部41の開閉時に位置決め突起32aの部分で摩擦抵抗を生じにくく、操作性が向上する。
本実施形態に係る蓋部41は、サイドカウル30の上面部30aに対して略垂直に開いた位置で、連結部45の後部が固定部50の前部に当接することで自立するように構成されている。これにより、電気機器側のプラグをソケットSに挿入する際に乗員が蓋部41を手で支える必要がなくなり、部品点数を増やすことなく簡単な構造でアクセサリソケットの使い勝手を向上させることができる。また、開状態とされた蓋部材41は、立設壁31に近接して、車体前方へ倒れることもなくなる。
図7,8,9は、リッド部材40の断面図である。図7は部品単体を示し、図8は車体に取り付けた際のソケットSの開状態を示し、図9は車体に取り付けた際のソケットSの閉状態を示す。
サイドカウル30の上面部30aに形成された開口32と、ソケットSに被せられた固定部50との間には、所定の隙間Tが設けられている。蓋部41と固定部50とを連結する連結部45は、蓋部41の閉状態においてサイドカウル30の裏面側に収納されると共に、蓋部41の開状態では隙間Tから外方に引き出されることとなる。
固定部50の上側貫通孔51は、ソケットSの挿入口Saに合わせた寸法とされている。一方、固定部50の下側貫通孔52は、ソケットSの外形より小さく、合成樹脂の弾性力によってソケットSにしっかり固定されるように構成されている。
リッド部材40の連結部45は、薄板状のベルト部45aと、該ベルト部45aから固定部5の方向に突出する支持凸部45bとを有する。蓋部41の開状態では、ベルト部45が隙間Tから外方に引き出される。このため、支持凸部45bの厚さ寸法は、隙間Tを通れる大きさとされている。一方、リッド部材40は、ゴム等の弾性体で形成されているので、隙間Tとほぼ同じ厚さでも通すことができる。支持凸部45bは、蓋部材41の開状態において、固定部50の上端外周部に当接する。係合凸部45には、蓋部材41を安定的に支持できるように、固定部50の上端外周部に合わせて湾曲した湾曲凹部47が形成されている。
そして、前記したように、蓋部41を閉じると、蓋部41の円筒部43がソケットSの挿入口Saに挿入されると共に、固定部50の上端面が円環凹部46に挿入され、かつ円環凸部42がサイドカウル30の開口32に挿入されるので、ソケットSへの水分等が侵入を防ぐと共に、サイドカウル30の開口32からサイドカウル30の内側に水分等が侵入することも防ぐことが可能となる。
図10は、ソケットSに電気機器のプラグ60を挿入した状態を示す斜視図である。蓋部41を開状態として、電気機器の配線61が接続されたプラグ60を挿入すると、蓋部41は、プラグ60と立設壁31との間に位置することとなる。これにより、走行中の振動が加わっても蓋部41が揺れにくく、安定した使用が可能となる。
上記した構成により、本実施形態に係る鞍乗型車両のアクセサリソケット構造によれば、ソケットSの挿入口Sa側の端部が、開口32の内周部との間に所定の隙間Tを有して車体下方から車体上方に向けて開口32に挿通されており、リッド部材40が、ソケットSの挿入口Sa側の端部に被せられる固定部50と、該固定部50と一体に形成された連結部45と、該連結部45と一体に形成されてソケットSの挿入口Saを塞ぐ蓋部41とを含み、連結部45に、隙間Tを通過できる厚さの支持凸部45bが形成されており、支持凸部45bが、蓋部41を開いた際に固定部50に当接して蓋部41の開状態を保持するように構成されているので、連結部45に形成された支持凸部45bによって蓋部41の開状態を保持することができ、電気機器側のプラグをソケットSに挿入する際にユーザが手で支持する必要がなくなり、部品点数を増やすことなく簡単な構造でアクセサリソケットの使い勝手を向上させることが可能となる。
なお、ソケットの寸法、サイドカウルやリッド部材の材質や形状、リッド部材の蓋部や連結部の形状、開口と固定部との間の隙間の大きさ等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ソケットを車体右側のサイドカウルに設けてもよい。本発明に係るアクセサリソケット構造は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両等に適用することが可能である。
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、2…車体フレーム、3…燃料タンク、8…フロントカウル(外装部品)、8a…上面部、14…センタカウル、30…サイドカウル(外装部品)、30a…上面部、30b…側面部、32…開口、32a…切り欠き部、40…リッド部材、41…蓋部、42a…位置決め突起、45…連結部、45a…ベルト部、45b…支持凸部、S…ソケット
また、前記サイドカウル(30)に、車幅方向に所定の幅を有すると共に車体後方下方に傾斜する上面部(30a)が形成されており、前記開口(32)が、前記上面部(30a)に設けられると共に、前記ソケット(S)が挿通される円形部分の径方向外側に延びる切り欠き(32a)を有し、前記蓋部(41)が、車体平面視で、2辺が車体前後方向に指向する菱形に形成されており、前記蓋部(41)の菱形の鋭角部分の下面に、前記切り欠き(32a)に係合する位置決め突起(42a)が設けられている点に第4の特徴がある。
第4の特徴によれば、前記サイドカウル(30)に、車幅方向に所定の幅を有すると共に車体後方下方に傾斜する上面部(30a)が形成されており、前記開口(32)が、前記上面部(30a)に設けられると共に、前記ソケット(S)が挿通される円形部分の径方向外側に延びる切り欠き(32a)を有し、前記蓋部(41)が、車体平面視で、2辺が車体前後方向に指向する菱形に形成されており、前記蓋部(41)の菱形の鋭角部分の下面に、前記切り欠き(32a)に係合する位置決め突起(42a)が設けられているので、簡単な構造によって、蓋部を閉じた際に蓋部が回転することを防ぐと共に蓋部と立設壁とのクリアランスを維持することが可能となる。
操向ハンドル4の前方には、防風スクリーン7およびヘッドライト11を有するフロントカウル8が設けられている。外装部品としてのフロントカウル8の後方下部には、左右一対のセンタカウル14が連結されており、センタカウル14の下端部には左右一対のアンダカウル15が連結されている。フロントカウル8の上部には、ウインカ装置を内蔵するバックミラー6が左右一対で取り付けられている。
合成樹脂の薄板等からなるサイドカウル30は、センタカウル14の略中央で車体前方に指向する大きなV字型の切れ込みに収まる形状とされており、車体上方に指向する上面部30aと、上面部30aの車幅方向外側端部から下方に延出する側面部30bとを有する。電気機器側のプラグ(不図示)を挿入する有底円筒状のソケットS(図5参照)は、サイドカウル30の上面部30aに形成された開口32に収められている。
前記したように、ソケットSおよびリッド部材40は、車幅方向左側のサイドカウル30の上面部30aに設けられている。これは、自動二輪車1の運転者が、シート23にまたがったまま左手を伸ばしてアクセスするのに好適な位置となる。さらに、図2を参照して、ソケットSは、車体側面視で、操向ハンドル4の後端より後方で、かつシート23の前端より前方で、かつシート23の上端より下方で、かつ前輪WFの上端より上方の位置に設けられている。これにより、自動二輪車1を車幅方向左側のサイドスタンド25で自立させた場合でも使い勝手のよいアクセサリソケットを得ることができる。
また、図2に示すように、操向ハンドル4が中立位置の場合には、操向ハンドル4の後端から該操向ハンドル4の下方に位置するフロントカウル8の上面部8aまでの距離が第1距離L1となる。一方、操向ハンドル4を左方の限度位置まで転舵した場合には、操向ハンドル4の後端から該操向ハンドル4の下方に位置するサイドカウル30の上面部30aまでの距離が第2距離L2となり、操向ハンドル4とリッド部材40との距離が大きくなる。図3に示すように、車体左側に設けられるサイドスタンド25で車体を支持した場合は、ハンドルロックの使用時を含んで操向ハンドル4が左側にフル転舵されることが多いが、この場合でも、操向ハンドル4とリッド部材40との距離が大きく確保されることで、操向ハンドル4がリッド部材40へのアクセスに影響を与えることがなく、リッド部材40の操作性が確保される。さらに、リッド部材40の上方に操向ハンドル4の後端が位置するため、落下物等からリッド部分を保護することが可能となる。
図5は、本実施形態に係るアクセサリソケットSの開状態を示す平面図である。 また、図6はアクセサリソケットSの開状態を示す斜視図である。ソケットSに被せられる固定部50は、その上端部がサイドカウル30の上面部30aから上方に少し突出している。リッド部材40の蓋部41は、連結部45を介して固定部50に連結されている。蓋部41には、ソケットSの挿入口Saに挿入される円筒部43、蓋部41の内側に収まる外径を有する円環凸部42、円筒部43と円環凸部42との間に形成される円環凹部46、円環凸部42の径方向外側に延出する位置決め突起42aが設けられている。一方、サイドカウル30の上面部30aに設けられる開口32には、径方向外側に延びる切り欠き32aが形成されている。
蓋部41は、その菱形形状の鋭角部分のひとつが、車幅方向外側の前方に位置するように配設されている。また、連結部45は、蓋部41の菱形の車幅方向内側の鈍角部分に位置し、位置決め突起42aが車幅方向内側の後方に位置する。これにより、蓋部41は、車体左後方から車体右前方へ向かう方向で開くこととなり、蓋部41の車幅方向外側に指をかけて持ち上げることで蓋部41を開くことが可能となる。さらに、本実施形態では、車幅方向外側の鈍角部分の近傍に、爪等を引っかけるための凹部44が形成されており、乗員が左手で蓋部41を開く動作がさらに容易とされている。
また、位置決め突起42aおよび切り欠き32aが、蓋部41の開閉方向と異なる方向に形成されていることで、蓋部41の開閉時に位置決め突起42aの部分で摩擦抵抗を生じにくく、操作性が向上する。
リッド部材40の連結部45は、薄板状のベルト部45aと、該ベルト部45aから固定部50の方向に突出する支持凸部45bとを有する。蓋部41の開状態では、ベルト部45aが隙間Tから外方に引き出される。このため、支持凸部45bの厚さ寸法は、隙間Tを通れる大きさとされている。一方、リッド部材40は、ゴム等の弾性体で形成されているので、隙間Tとほぼ同じ厚さでも通すことができる。支持凸部45bは、蓋部41の開状態において、固定部50の上端外周部に当接する。支持凸部45bには、蓋部41を安定的に支持できるように、固定部50の上端外周部に合わせて湾曲した湾曲凹部47が形成されている。