JP2018047552A - ウェーハ保持用キャリアの評価方法及び設計方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両面研磨装置において、研磨布が貼付された上定盤と下定盤との間に配置され、ウェーハを収容して保持するためのウェーハ保持孔と、研磨剤を通過させるための複数の研磨剤通過孔とを有するウェーハ保持用キャリアの評価方法であって、前記ウェーハ保持用キャリアの前記ウェーハ保持孔に、前記ウェーハ保持用キャリアの水平方向に力が掛かった際に、前記ウェーハ保持用キャリアが該ウェーハ保持用キャリアの垂直方向へ変位する量を、有限要素法を用いた応力解析により評価することを特徴とするウェーハ保持用キャリアの評価方法。
【選択図】 図7
Description
図1は、従来から用いられている一般的な両面研磨装置10によるウェーハWの両面研磨を説明する概略図である。図1に示すように、ウェーハWより薄い厚みに形成されている、ウェーハ保持用キャリア101によってウェーハWが保持されている。
そこで、図2や、特許文献1に記載されているように、ウェーハ保持用キャリアにウェーハ保持孔5以外に、色々な研磨剤通過孔9を設けることで、研磨剤の供給量を増やし、両面研磨後のウェーハの平坦度が良くなるようにしていた。
これは、研磨剤通過孔の面積を最大限大きくすることで、研磨剤の供給が不足する点については改善されるが、一方でウェーハ保持用キャリアの強度が低下してしまうからである。
前記研磨剤通過孔の直径が10〜20mmであり、
隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔が、前記研磨剤通過孔の直径の1〜2倍の範囲であることを特徴とするウェーハ保持用キャリアを提供する。
このようなものであれば、より確実に両面研磨時のウェーハ保持用キャリアの変位量を抑えることができるものとなる。
研磨布が貼付された上定盤と下定盤との間に、上記本発明のウェーハ保持用キャリアを配置し、該ウェーハ保持用キャリアに形成された前記ウェーハ保持孔に前記ウェーハを保持して両面研磨することを特徴とするウェーハの両面研磨方法が提供される。
前記ウェーハ保持用キャリアの前記ウェーハ保持孔に、前記ウェーハ保持用キャリアの水平方向に力が掛かった際に、前記ウェーハ保持用キャリアが該ウェーハ保持用キャリアの垂直方向へ変位する量を、有限要素法を用いた応力解析により評価することを特徴とするウェーハ保持用キャリアの評価方法を提供する。
前記研磨剤通過孔の直径と、前記ウェーハ保持用キャリアが前記変位する量の関係を求め、前記研磨剤通過孔の直径を前記求めた変位する量が極小値をとる範囲の長さに設計し、
該直径の範囲内において、隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔と、前記ウェーハ保持用キャリアが前記変位する量との関係を求め、隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔を前記求めた変位する量が極小値をとる範囲の距離に設計することを特徴とするウェーハ保持キャリアの設計方法を提供する。
上記したように、ウェーハ保持用キャリアを用いたウェーハの両面研磨において、ウェーハの外周にダレが発生するなど、研磨されたウェーハの平坦度が悪化するという問題があった。
そこで本発明者は、このような問題の発生する原因について調査するための実験を行い、検討を重ねた。その結果、両面研磨時に、ウェーハ保持用キャリアに局所的な変位が生じることで、ウェーハの外周ダレが生じるということを知見した。また、変位量が小さいウェーハ保持用キャリアを用いることで、平坦度の高い両面研磨ができることが明らかになった。
これにより、両面研磨時のウェーハ保持用キャリアの変位量を抑えつつ、研磨剤を十分に通過させて、下定盤8上に供給することができる。
本発明のウェーハの両面研磨方法では、上述したような本発明のウェーハ保持用キャリア1aを、両面研磨装置10に配置する。
次に、研磨布3でウェーハWの上下表面を挟み込み、その研磨面に研磨剤11を供給しながら上下定盤を回転させて、ウェーハWの両面研磨を行う。
このようにしてウェーハWを両面研磨すれば、両面研磨時のウェーハ保持用キャリア1aの変位量を抑えつつ、研磨剤11を十分に供給することができる本発明のウェーハ保持用キャリア1aを用いるので、ウェーハ外周部にダレの発生を抑制して、平坦度の高いウェーハを得ることができる。
本発明のウェーハ保持用キャリアの評価方法では、両面研磨装置10において、研磨布3が貼付された上定盤7と下定盤8との間に配置され、ウェーハWを収容して保持するためのウェーハ保持孔5と、研磨剤11を通過させるための複数の研磨剤通過孔9とを有するウェーハ保持用キャリアの評価を行う。
このとき、図6に示すような方向に、ウェーハ保持孔5のウェーハWと接する面に力Fが掛かるとすることができる。この際に、ウェーハ保持孔5にかかる力Fの大きさを例えば、それぞれ1000Nとすることができる。
ここで、有限要素法とは、複雑な形状や性質を持つ物体を、単純な形状や性質の小部分(要素)に分割して、そのひとつひとつの要素の特性を数学的な方程式を用いて、近似的に表現した後、この単純な方程式を組み合わせ、すべての方程式が成立する解を求めることによって、全体の挙動を予想するものである。なお、物体全体の挙動とは、例えば、変形や応力分布のことを指す。
まず、上述した本発明のウェーハ保持用キャリアの評価方法によって、研磨剤通過孔の直径とウェーハ保持用キャリアが変位する量の関係を求める。
そして、研磨剤通過孔の直径を、求めたウェーハ保持用キャリアの変位する量が極小値をとる範囲の長さに設計する。
ここで、極小値をとる範囲の長さとは、極小値を含み、変位量が問題とならない値(ほぼ同等とみなすことができる値)となる範囲のことである。具体的には、例えば後述する実施例1で求めた図7の場合であれば、極小値をとる範囲の長さを、研磨剤通過孔の直径が10〜20mmの範囲とすることができる。
そして、隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔を前記求めた変位する量が極小値をとる範囲の距離に設計する。
ここで、極小値をとる範囲の距離は、上記と同様の定義であり、具体的には、例えば後述する実施例1で求めた図9の場合であれば、研磨剤通過孔の直径の1〜2倍、ここでは研磨剤通過孔が15mmであるので、研磨剤通過孔同士の間隔が15〜30mmの範囲とすることができる。
両面研磨装置を用いてウェーハの両面研磨を行った際に、ウェーハ保持用キャリアが変位する量を、有限要素法を用いたシミュレーションを行うことにより評価し、さらに、ウェーハ保持用キャリアの設計を行った。
解析メッシュサイズの設定で5mmを選択し、材質の選択画面から適用材質としてTi(チタン)を選択した。すると、Femtetの既存情報からポアソン比0.32、ヤング率1.157E11等が抽出された。
その際に、図5に示すようなウェーハ保持用キャリア1aの研磨剤通過孔9の直径を、5mmから40mmまで変化させた。このときの研磨剤通過孔9同士の間隔、及び、研磨剤通過孔9と隣合うウェーハ保持孔5の距離は、研磨剤通過孔9の直径と同じ距離に設定した。
また、図2に示すような、直径が50mmと135mmの研磨剤通過孔9を有するウェーハ保持用キャリア101についても上記と同様にしてシミュレーションを行い、評価を行った。
これらのシミュレーションした結果を表1及び表2さらに、図7に示した。
そして、研磨剤通過孔の直径が15mmのときに、ウェーハ保持用キャリアの変位量が最も小さく、31.4μmであった。そこで、研磨剤通過孔の直径を15mmとして設計をする。
また、図8には、研磨剤通過孔の直径が30mmの際のウェーハ保持用キャリアの変位量の結果についても示した。
つまり、図9に示したように、研磨剤通過孔同士の距離が、研磨剤通過孔の直径の1〜2倍の範囲の距離で、ウェーハ保持用キャリアの変位量が極小値をとることが分かった。
そして、研磨剤通過孔同士の間隔が22mmのときに、ウェーハ保持用キャリアの変位量が最も小さく31.1μmであった。
実施例1で設計した、研磨剤通過孔9の直径が15mm、研磨剤通過孔9同士の間隔、及び、研磨剤通過孔9と隣合うウェーハ保持孔5の距離が15mmのウェーハ保持用キャリア1aと、研磨剤通過孔9の直径が15mm、研磨剤通過孔9同士の間隔、及び、研磨剤通過孔9と隣合うウェーハ保持孔5の距離が22mmのウェーハ保持用キャリア1bを用いて直径300mmのウェーハWを各45枚ずつ両面研磨を行った(実施例2)。
また、図2に示すようなウェーハ保持用キャリア101についても同様にウェーハWを各45枚両面研磨を行った(比較例1)。
研磨する際の両面研磨装置の条件は、上定盤の回転数を−5〜−15rpmとし、下定盤の回転数を10〜25rpmとし、サンギアの回転数を10〜20rpmとし、インターナルギアの回転数を0〜10rpmとし、研磨圧を100〜150g/cm2として両面研磨を行った。
また、SFQRmaxあるいはESFQRmaxとは、各サイト毎のその差のうち最大のものを示す。
同様に、比較例1のSFQRmaxと、ESFQRmaxの測定結果をそれぞれ図15、図16に示した。
また、表5、表6に、実施例2、比較例1のそれぞれのSFQRmax及びESFQRmaxの平均値、最大値、最小値をそれぞれ示した。
さらに、このときのSFQRmaxとESFQRmaxの平均値とキャリア変位量との関係を図17及び図18に示した。
同様に、ESFQRmaxの値も、比較例1のESFQRmaxの平均値を1として規格化したものを用いた。
また、図17及び図18の結果から、ウェーハ保持用キャリアの変位量が小さい方が、SFQRmax及びESFQRmaxが小さくなることが分かった。
ウェーハ保持孔の周辺の厚さのバラツキが異なるウェーハ保持用キャリアを用意して、それぞれのウェーハ保持用キャリアを用いて、ウェーハを両面研磨した後の、ウェーハの平坦度を測定した。
ウェーハ保持用キャリア101はそれぞれウェーハ保持孔5の周辺の厚さのバラツキが異なるものである。
測定位置は、図19のようにウェーハ保持孔5から5〜7mmの位置である、ウェーハ保持孔5の周辺のa〜hの8ポイントとして、厚さの測定を行った。
そして、このときのウェーハ保持孔の周辺の厚さの測定結果の最大値と最小値の差分を厚さのバラツキとした。
測定結果から、ウェーハ保持孔周辺部の厚さのバラツキと、SFQRmaxの平均値との関係を図20に示した。同様に、ウェーハ保持孔周辺部の厚さのバラツキと、平坦度ESFQRmaxの平均値との関係を図21に示した。
図5に示すような、研磨剤通過孔9の直径が15mm、研磨剤通過孔9同士の間隔、及び、研磨剤通過孔9と隣合うウェーハ保持孔5の距離が15mmのチタン製のウェーハ保持用キャリア1aを用いて、両面研磨装置でウェーハを両面研磨した。そして両面研磨終了後に、ウェーハ保持用キャリア1aのウェーハ保持孔5の周辺の厚さの測定を行った(実施例3)。
また、同様に、図2に示すような50mmと135mmの研磨剤通過孔9を有する、チタン製のウェーハ保持用キャリア101を両面研磨加工で使用後に、ウェーハ保持孔5の周辺の厚さの測定を行った(比較例3)。
また、厚さの測定は、比較例2と同様に行い、図19に示すようにウェーハ保持孔の周辺のa〜hの8ポイントについて測定を行った。
70000分使用後の比較例3でのウェーハ保持孔周辺部の厚さは図22に示すようになった。
また、実施例3でのウェーハ保持孔の周辺の厚さは図23に示ようになった。
一方で、図23に示した実施例3では、ウェーハ保持孔の周辺の厚さが全体的に均一であることが分かった。
そのため、比較例2での結果から分かるように、ウェーハ保持孔の周辺の厚さのバラツキが小さくなり、本発明のウェーハ保持用キャリアを用いて両面研磨を行えば、SFQRmax、ESFQRmaxがともに小さい、平坦度が高いウェーハを得られるということが分かった。
4…サンギア、 5…ウェーハ保持孔、 6…インターナルギア、 7…上定盤、
8…下定盤、 9…研磨剤通過孔、 10…両面研磨装置、 11…研磨剤、
12…研磨剤供給装置、 F…力、 W…ウェーハ。
Claims (2)
- 両面研磨装置において、研磨布が貼付された上定盤と下定盤との間に配置され、ウェーハを収容して保持するためのウェーハ保持孔と、研磨剤を通過させるための複数の研磨剤通過孔とを有するウェーハ保持用キャリアの評価方法であって、
前記ウェーハ保持用キャリアの前記ウェーハ保持孔に、前記ウェーハ保持用キャリアの水平方向に力が掛かった際に、前記ウェーハ保持用キャリアが該ウェーハ保持用キャリアの垂直方向へ変位する量を、有限要素法を用いた応力解析により評価することを特徴とするウェーハ保持用キャリアの評価方法。 - ウェーハ保持用キャリアの設計方法であって、
請求項1に記載の評価方法を用いて、
前記研磨剤通過孔の直径と、前記ウェーハ保持用キャリアが前記変位する量の関係を求め、前記研磨剤通過孔の直径を前記求めた変位する量が極小値をとる範囲の長さに設計し、
該直径の範囲内において、隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔と、前記ウェーハ保持用キャリアが前記変位する量との関係を求め、隣合う前記研磨剤通過孔同士の間隔を前記求めた変位する量が極小値をとる範囲の距離に設計することを特徴とするウェーハ保持キャリアの設計方法。
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