JP2018047532A - ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル - Google Patents
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Abstract
【課題】クラックの発生を抑制したドリル用インサートの提供を目的とする。【解決手段】軸線回りに回転させるドリル本体の先端部に固定部材により着脱可能に取り付けられるドリル用インサートであって、固定部材が挿通される取付孔が設けられた主面と、主面の辺稜部に位置しドリル本体に取り付けられた状態でドリル回転方向に向けられドリル本体の径方向に沿って延びる切刃と、を備え、主面には、切刃の両端部に沿って配置され取付孔の軸方向に突出する一対の土手部と、一対の土手部の間に位置する溝部と、が設けられ、土手部と切刃との間には、ブレーカ溝が形成され、溝部の底面は、切刃の延在方向に直交する断面において、切刃から取付孔に向かうに従って土手部の突出方向と反対側に向かって傾斜する傾斜部および取付孔の軸方向に直交する平坦部のうち何れか一方又は両方からなる、ドリル用インサート。【選択図】図1
Description
本発明は、ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリルに関するものである。
特許文献1には、回転内周側から回転外周側の端部に向かうに従い漸次幅が狭くなるブレーカ溝を有するドリル用インサートが記載されている。このドリル用インサートによれば、回転外周側に向かって漸次幅を広くすることで、切屑をスムーズに排出する。
特許文献1に記載のドリル用インサートでは、切刃の中央近傍であって切刃と取付孔が近接する部分で、取付孔とブレーカ溝との距離が短くなり、ブレーカ溝を構成する土手部が薄肉に形成される。土手部は、薄肉となる部分で局所的に強度が低くなるため、切屑の擦過によりクラックが発生しやすくなるという問題があった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切屑排出性を確保するとともにクラックの発生を抑制したドリル用インサートの提供を目的とする。
上述の目的を達成するために本発明のドリル用インサートは、軸線回りに回転させるドリル本体の先端部に固定部材により着脱可能に取り付けられるドリル用インサートであって、上記固定部材が挿通される取付孔が設けられた主面と、上記主面の辺稜部に位置し上記ドリル本体に取り付けられた状態でドリル回転方向に向けられ上記ドリル本体の径方向に沿って延びる切刃と、を備え、上記主面には、上記切刃の両端部に沿って配置され上記取付孔の軸方向に突出する一対の土手部と、一対の上記土手部の間に位置する溝部と、が設けられ、上記土手部と上記切刃との間には、ブレーカ溝が形成され、上記溝部の底面は、上記切刃の延在方向に直交する断面において、上記切刃から上記取付孔に向かうに従って上記土手部の突出方向と反対側に向かって傾斜する傾斜部および上記取付孔の軸方向に直交する平坦部のうち何れか一方又は両方からなる。
上述のドリル用インサートにおいて、上記切刃に沿う方向における上記溝部の幅をaとし、上記ドリル本体に取り付けられた状態でドリル本体の回転外周側に位置する一方の土手部の上記切刃に沿う方向における幅をbとし、上記ドリル本体に取り付けられた状態でドリル本体の回転内周側に位置する他方の土手部の上記切刃に沿う方向における幅をcとしたとき、以下の式を満たす、構成を採用できる。
0.20≦a/(a+b+c)≦0.60
0.20≦a/(a+b+c)≦0.60
上述のドリル用インサートにおいて、以下の式を満たす、構成を採用できる。
0.40≦b/(a+b+c)
0.40≦c/(a+b+c)
0.40≦b/(a+b+c)
0.40≦c/(a+b+c)
上述のドリル用インサートにおいて、上記主面が、矩形面であって、上記主面の4つの辺稜部にそれぞれ上記切刃が形成され、上記主面の4隅部に上記土手部が設けられている、構成としてもよい。
上述のドリル用インサートにおいて、上記主面が、矩形面であって、上記主面の互いに反対側を向く2つ辺稜部にそれぞれ上記切刃が形成され、上記主面の上記切刃が設けられていない2辺の辺稜部に沿ってそれぞれ上記土手部が設けられている、構成としてもよい。
上記のドリル用インサートと、先端部に上記ドリル用インサートが着脱可能に取り付けられ、軸線を中心として回転するドリル本体と、を備えた、刃先交換式ドリル。
本発明の一態様の刃先交換式ドリルは、上記のドリル用インサートと、先端部に前記ドリル用インサートが着脱可能に取り付けられ、軸線を中心として回転するドリル本体と、を備える。
本発明のドリル用インサートによれば、切刃の両端に対応して形成された土手部の間であって切刃と取付孔とが近接する部分に、切屑の通過を阻害することがない溝部が設けられている。溝部が設けられたドリル用インサートは、切屑から負荷を受ける薄肉部分を有さないため、クラックの発生が抑制される。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態のドリル用インサート(以下、単にインサート)1の斜視図であり、図2は、インサート1の平面図であり、図3は、インサート1の正面図であり、図4は、図2の部分拡大図である。
図1は、第1の実施形態のドリル用インサート(以下、単にインサート)1の斜視図であり、図2は、インサート1の平面図であり、図3は、インサート1の正面図であり、図4は、図2の部分拡大図である。
インサート1は、軸線O回りに回転するドリル本体11の先端部に2つ、着脱可能に取り付けられる(後段の図7参照)。なお、本明細書において、インサート1がドリル本体11に取り付けられた状態における回転軌跡の外周側を回転外周側とし、内周側を回転内周側と呼ぶ(図4参照)。
<ドリル用インサート>
図1に示すように、インサート1は、平面視多角形(本実施形態では矩形)の平板状に形成されている。インサート1は、超硬合金等の硬質材料から形成されている。インサート1は、表側に位置する第1の面(主面、すくい面)1aと、裏側に位置する第2の面(着座面)1bと、第1および第2の面1a、1bの間を厚さ方向に繋ぐ側面部1cと、を備える。第1の面1aは、多角形状(本実施形態では正方形状)に形成されている。第1の面1aは、外周を構成する複数(本実施形態では4つ)の辺に対応して設けられた辺稜部1dを有する。辺稜部1dは、第1の面1aと側面部1cとの境界に位置する。
なお、以下のインサート1の説明において、第1の面1a側を前方、第2の面1b側を後方と呼ぶ場合がある。
図1に示すように、インサート1は、平面視多角形(本実施形態では矩形)の平板状に形成されている。インサート1は、超硬合金等の硬質材料から形成されている。インサート1は、表側に位置する第1の面(主面、すくい面)1aと、裏側に位置する第2の面(着座面)1bと、第1および第2の面1a、1bの間を厚さ方向に繋ぐ側面部1cと、を備える。第1の面1aは、多角形状(本実施形態では正方形状)に形成されている。第1の面1aは、外周を構成する複数(本実施形態では4つ)の辺に対応して設けられた辺稜部1dを有する。辺稜部1dは、第1の面1aと側面部1cとの境界に位置する。
なお、以下のインサート1の説明において、第1の面1a側を前方、第2の面1b側を後方と呼ぶ場合がある。
インサート1には、第1の面1aおよび第2の面1bの略中央に位置し厚さ方向に貫通する取付孔5が設けられている。インサート1は、取付孔5にクランプネジ(固定部材)14を挿入してドリル本体11に固定される(図8および図9参照)。すなわち、第1の面1aおよび第2の面1bには、クランプネジ14を挿通させる取付孔5が設けられている。
インサート1の側面部1cには辺稜部1dに連なる逃げ面6が形成されている。逃げ面6は、切刃3から第2の面1b側に向かうに従い、インサート1の内側に漸次後退する逃げ角が付されている。
インサート1は、第1の面1aの辺稜部1dに位置する切刃3を備える。本実施形態のインサート1は、第1の面(主面)1aが、矩形面である。したがって、第1の面1aは、4つの辺稜部1dを有し、それぞれの辺稜部1dに切刃3が形成されている。また、第1の面1aには、複数(本実施形態では4つ)の土手部4と、土手部4同士の間に位置する溝部10と、が設けられている。土手部4は、第1の面1aの4隅部にそれぞれ設けられている。溝部10は、取付孔5の周方向において隣り合う土手部4同士の間に設けられている。
第1の面1aは、取付孔5の中心線C周りに90°ごとに回転対称な形状とされている。切刃3は、取付孔5の中心線周りに4つ連なって形成されている。また、4つの土手部4および4つの溝部10は、取付孔5の周囲に90°ごとに回転対称に形成されている。なお、切刃3、土手部4および溝部10は、必ずしも回転対称に配置されていなくてもよい。
第1の面1aは、取付孔5の中心線C周りに90°ごとに回転対称な形状とされている。切刃3は、取付孔5の中心線周りに4つ連なって形成されている。また、4つの土手部4および4つの溝部10は、取付孔5の周囲に90°ごとに回転対称に形成されている。なお、切刃3、土手部4および溝部10は、必ずしも回転対称に配置されていなくてもよい。
切刃3は、図7〜図9に示すように、インサート1をドリル本体11に取り付けることでドリル本体11の軸方向先端側を向き、ドリル本体11の径方向に沿って延びる。また、第1の面1aは、ドリル本体11の回転方向を向く。
切刃3は、回転外周側に位置する外側端部3Aと、回転内周側に位置する内側端部3Bと、を有する。図4に示すように、切刃3は、平面視において外側端部3Aから内側端部3Bに向かって略直線状、又は外側に向かって緩やかに湾曲する曲線状に形成される。また、隣接する切刃3同士が交差する4つの角部には、円弧状のコーナ刃3Dが形成されている。
切刃3の稜線は、中心線Cに垂直な1つの平面P上に位置している。また、切刃3にはランド8が設けられている。なお、切刃3の稜線とは、ランド8と逃げ面6とが交差してなす線である。
図5、図6は、それぞれ図4のV−V線、VI−VI線に沿う断面図である。
ランド8のランド角αは、中心線Cに垂直な平面Pに対して、前方側(第1の面1a側)を正の角度、−10°以上15°以下の範囲とされることが好ましい。
ランド8のランド角αは、中心線Cに垂直な平面Pに対して、前方側(第1の面1a側)を正の角度、−10°以上15°以下の範囲とされることが好ましい。
土手部4は、取付孔5の軸方向(すなわち、中心線C方向に沿う方向)に突出する。土手部4は、図3に示すように、第1の面1aにおいて最も突出している。図4に示すように一つの切刃3に着目すると、土手部4は1つの切刃3に対して一対設けられている。また、一対の土手部4は、切刃3の両端部(外側端部3Aおよび内側端部3B)に沿って配置されている。土手部4切刃3との間には、ブレーカ溝9が形成される。なお、土手部4は、第1の面1aにおいて、取付孔5の軸方向に沿って突出する部分全体を含む。また、ブレーカ溝9は、切刃3と土手部4の間の切刃3に沿って延びる凹状に形成された部分の全体を指す。ブレーカ溝9は、土手部4の切刃3側を向く面を含む。
図4に示すように、一つの切刃3に対応して設けられた一対の土手部4のうち、インサート1をドリル本体11に取り付けた状態でドリル本体11の回転外周側に位置する一方を外周側土手部4Aと呼ぶ。また、ドリル本体11の回転内周側に位置する他方を内周側土手部4Bと呼ぶ。外周側土手部4Aには、切刃3側に突出する突出部7が設けられている。突出部7は、外周側土手部4Aと切刃3との間のブレーカ溝9の幅を狭める。突出部7は、外周側土手部4Aの回転外周側寄りに位置する。切刃3は、回転外周側で回転軌跡が長くなるため、回転外周側でより多くの切屑を生成する。突出部7が設けられていることで、回転外周側から生成された多量の切屑の衝撃に対して外周側土手部4Aの強度を高めることができる。
外周側土手部4Aと内周側土手部4Bとの間には、溝部10が位置する。溝部10は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bより低く形成されている。溝部10は、外周側土手部4Aの回転内周側を向く第1の対向面4cと、内周側土手部4Bの回転外周側を向く第2の対向面4dと、第1および第2の対向面4c、4dの間を繋ぐ底面10aと、から構成される。
図6に示すように、溝部10の底面10aは、切刃3から取付孔5に向かって単調に下っている。ここで単調に下るとは、底面10aが切刃3から取付孔5に向かうに従い土手部4の突出方向と反対方向に向かって傾く場合のみならず、傾かない場合も含む。底面10aが傾かない場合とは、図6に示すように切刃3の延在方向に対して直交する方向の断面視において、底面10aが取付孔5の中心線Cと直交する場合を意味する。底面10aが、切刃3から取付孔5に向かって単調に下っていることは、底面10aは、切刃3から取付孔5に向かうに従って上る部分がないと言い換えることができる。
溝部10の底面10aは、切刃3と取付孔5の縁部5aの間に位置する。底面10aは、
平坦部10dと、第2の傾斜部10cと、第1の傾斜部10bとして機能するランド8と、からなる。第1および第2の傾斜部10b、10cは、切刃3の延在方向に直交する断面(図6に示す断面)において、切刃3から取付孔5に向かうに従って土手部4の突出方向と反対側に向かって傾斜する。なお、第1の傾斜部10bの傾斜角はαであり、第2の傾斜部10cの傾斜角はβである。また、平坦部10dは、切刃3の延在方向に直交する断面(図6に示す断面)において、取付孔5の軸方向に直交する。すなわち、溝部10の底面10aは、切刃3に直交する断面(図6に示す断面)において、切刃3から取付孔5に向かうに従って土手部4の突出方向に傾斜する部分を含まない。
平坦部10dと、第2の傾斜部10cと、第1の傾斜部10bとして機能するランド8と、からなる。第1および第2の傾斜部10b、10cは、切刃3の延在方向に直交する断面(図6に示す断面)において、切刃3から取付孔5に向かうに従って土手部4の突出方向と反対側に向かって傾斜する。なお、第1の傾斜部10bの傾斜角はαであり、第2の傾斜部10cの傾斜角はβである。また、平坦部10dは、切刃3の延在方向に直交する断面(図6に示す断面)において、取付孔5の軸方向に直交する。すなわち、溝部10の底面10aは、切刃3に直交する断面(図6に示す断面)において、切刃3から取付孔5に向かうに従って土手部4の突出方向に傾斜する部分を含まない。
上述の構成を有する溝部10は、底面10aを切屑が通過する際に、切屑の移動方向を変化させる部分を有さない。言い換えると、溝部10は、切屑に擦過されて切屑から負荷が付与される部分を有さない。溝部10を通過する切屑は、インサート1に負荷を与えることなく、切刃3から取付孔5に向かい、取付孔5の上側を通過する。
なお、本実施形態において、底面10aは、切刃3から取付孔5の縁部5aに連なる方向において単調に下るとともに、切刃3に沿う方向においては、傾斜していない。しかしながら、底面10aの切刃3に沿う方向における傾斜方向は限定されない。すなわち、底面10aは、切刃3の延在方向に対し直交する断面において、単調に下るのであって、切刃3に沿う方向においては、如何なる方向に傾いていてもよい。
溝部10は、切刃3と取付孔5の縁部5aとの距離が最も近接する位置に対応して設けられている。切刃3と取付孔5の縁部5aとの距離が最も近接する位置は、切刃3と取付孔5の縁部5aとの距離が最も近接しインサート1のが最も薄肉となる部分である。インサート1の最も薄肉となる部分を含むように溝部10を設けることで、切屑の擦過による負荷がインサート1の最も薄肉となる部分に付与されることがない。これにより、インサート1にクラックが生じることを抑制できる。
次に、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの各部寸法及び位置関係について述べる。
図4に示すように、切刃3に沿う方向において、切刃3に沿う方向における溝部10の幅をaとする。また、外周側土手部4Aの切刃3に沿う方向における幅をbとし、内周側土手部4Bの切刃3に沿う方向における幅をcとする。なお、外周側土手部4Aの幅方向両端4a、4bおよび内周側土手部4Bの幅方向両端4e、4fは、土手部4の突出方向の基端部において、切刃3に対向するとともに最も端に位置する部分である。
図4に示すように、切刃3に沿う方向において、切刃3に沿う方向における溝部10の幅をaとする。また、外周側土手部4Aの切刃3に沿う方向における幅をbとし、内周側土手部4Bの切刃3に沿う方向における幅をcとする。なお、外周側土手部4Aの幅方向両端4a、4bおよび内周側土手部4Bの幅方向両端4e、4fは、土手部4の突出方向の基端部において、切刃3に対向するとともに最も端に位置する部分である。
切刃3に沿う方向における溝部10の幅aは、以下の式を満たすことが好ましい。
0.20≦a/(a+b+c)≦0.60
上記の式によれば、切刃3に沿う方向における、溝部10の幅aは、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して20%以上60%以下である。このような範囲とすることで、インサート1の薄肉となる部分に切屑の擦過による負荷が加わることを抑制しつつ切屑をスムーズに排出できる。
なお、切刃3に沿う方向における、土手部4の頂面(突出方向の先端に位置する面)の内側の端部同士の距離は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して10%以上70%以上とすることが好ましい。
0.20≦a/(a+b+c)≦0.60
上記の式によれば、切刃3に沿う方向における、溝部10の幅aは、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して20%以上60%以下である。このような範囲とすることで、インサート1の薄肉となる部分に切屑の擦過による負荷が加わることを抑制しつつ切屑をスムーズに排出できる。
なお、切刃3に沿う方向における、土手部4の頂面(突出方向の先端に位置する面)の内側の端部同士の距離は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して10%以上70%以上とすることが好ましい。
切刃3に沿う方向における外周側土手部4Aの幅bおよび内周側土手部4Bの幅cは、以下の式を満たすことが好ましい。
0.40≦b/(a+b+c)
0.40≦c/(a+b+c)
上記の式によれば、切刃3に沿う方向において、外周側土手部4Aの幅および内周側土手部4Bの幅は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して、40%以上である。これにより、切刃3で生成された切屑の擦過に対して、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの強度を十分に確保することができ、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの損傷を抑制できる。
なお、切刃3に沿う方向における、土手部4の頂面(突出方向の先端に位置する面)の幅は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して15%以上とすることが好ましい。
0.40≦b/(a+b+c)
0.40≦c/(a+b+c)
上記の式によれば、切刃3に沿う方向において、外周側土手部4Aの幅および内周側土手部4Bの幅は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して、40%以上である。これにより、切刃3で生成された切屑の擦過に対して、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの強度を十分に確保することができ、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの損傷を抑制できる。
なお、切刃3に沿う方向における、土手部4の頂面(突出方向の先端に位置する面)の幅は、外周側土手部4Aおよび内周側土手部4Bの外側の端部同士の距離(a+b+c)に対して15%以上とすることが好ましい。
<刃先交換式ドリル>
図7は、刃先交換式ドリル100を軸線方向から見た図であり、図8、図9は、刃先交換式ドリル100を側方から見た図である。
本実施形態の刃先交換式ドリル100は、軸線O方向先端側から見てドリル本体11が反時計回り方向に回転して穴あけ加工を行う。したがって、本実施形態のインサート1は、いわゆる右勝手のインサートである。
図7は、刃先交換式ドリル100を軸線方向から見た図であり、図8、図9は、刃先交換式ドリル100を側方から見た図である。
本実施形態の刃先交換式ドリル100は、軸線O方向先端側から見てドリル本体11が反時計回り方向に回転して穴あけ加工を行う。したがって、本実施形態のインサート1は、いわゆる右勝手のインサートである。
刃先交換式ドリル100は、インサート1と、ドリル本体11と、を備えている。刃先交換式ドリル100は、ドリル本体11が軸線Oを中心として回転方向T(図7参照)に回転することで、金属材料よりなる被削材に穴あけ加工を行う。ドリル本体11の先端部には、径方向に沿う外周側と軸線O側とにインサート1が1つずつ合計2つ取り付けられる。すなわち、2つのインサート1は、ドリル本体の径方向にオフセットして配置される。本明細書において、2つのインサート1のうち、外周側に位置するインサートを第1のインサート1Aと呼び、軸線O側に位置するインサートを第2のインサート1Bと呼ぶ。本実施形態において、第1および第2のインサート1A、1Bは、同形状である。
ドリル本体11は、鋼材等の金属材料により形成されている。ドリル本体11の先端部は、軸線Oを中心とした外形円柱状をなしている。ドリル本体11の先端部外周には一対の切屑排出溝12A、12Bが周方向に間隔をあけて互いに反対側に形成されている。切屑排出溝12A、12Bは、後端側に向かうに従い軸線O回りにドリル回転方向Tの後方側に僅かに捩れるように形成されている。一方の切屑排出溝12Aのドリル回転方向Tを向く壁面の先端外周部には、ドリル本体11の先端面と外周面に開口する外周側インサート取付座13Aが、形成されている。また他方の切屑排出溝12Bのドリル回転方向Tを向く壁面の先端内周部には、ドリル本体11の先端面に開口する軸線側インサート取付座13Bが形成されている。インサート取付座13A、13Bには、インサート固定用のネジ14を挿入するためのネジ穴13Cが形成されている。外周側インサート取付座13Aには、ネジ14により第1のインサート1Aが固定される。軸線側インサート取付座13Bには、ネジ14により第2のインサート1Bが固定される。
第1および第2のインサート1A、1Bは、それぞれ4つの切刃3のうち1つの切刃3がドリル本体11の先端側に突出するように固定される。なお、本実施形態において、第2のインサート1Bの切刃3は、第1のインサート1Aの切刃3よりも僅かに先端側に位置するようにされている。また、第2のインサート1Bの切刃3は、内側端部3Bが外側端部3Aから離間する方向に向かうに従い僅かにドリル本体11後端側に向かうように傾斜するように固定されている。このため、第2のインサート1Bの切刃3の外側端部3Aが、刃先交換式ドリル100において軸線Oに沿った最も先端に位置することになる。また、本実施形態の刃先交換式ドリル100を用いた穴あけ加工を行うと、第2のインサート1Bの切刃3の外側端部3Aが最初に被削材に食い付く。
第1および第2のインサート1A、1Bの先端側に突出する切刃3は、軸線O周りの回転軌跡が軸線O方向から見て互いに重なり合う。より具体的には、第1のインサート1Aの切刃3の内側端部3Bと第2のインサート1Bの切刃3の外側端部3Aとの回転軌跡が互いに重なり合う。
本実施形態の刃先交換式ドリル100において、ドリル本体11に取り付けられる第1および第2のインサート1A、1Bが同形同大である。したがって、インサート1を粉末冶金法によって製造する場合に、共通した金型で製造することが可能となり製造コストの削減を図ることができるとともに、インサート管理も容易となる。
<第2の実施形態>
図10に、第2の実施形態のドリル用インサート101の斜視図である。以下、図10を基に、ドリル用インサート(以下、単にインサート)101について説明する。第2の実施形態のインサート101は、第1の実施形態のインサート1と比較して、土手部104の構成が異なる。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
図10に、第2の実施形態のドリル用インサート101の斜視図である。以下、図10を基に、ドリル用インサート(以下、単にインサート)101について説明する。第2の実施形態のインサート101は、第1の実施形態のインサート1と比較して、土手部104の構成が異なる。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
インサート101は、平面視矩形の平板状に形成されている。インサート101は、主面としての第1の面101aを有する。インサート101の第1の面1aの略中央に位置し厚さ方向に貫通する取付孔105が設けられている。インサート101の第1の面101aは、4つの辺稜部を有する。4つの辺稜部のうち互いに反対側を向く2つの辺稜部には、それぞれ切刃103が形成されている。
第1の面101aには、複数(本実施形態では2つ)の土手部104と、土手部104同士の間に位置する溝部110と、が設けられている。土手部104は、第1の面101aの切刃103が設けられていない2辺の辺稜部に沿って土手部104が形成されている。一対の土手部104は、切刃103との間にブレーカ溝109を形成する。溝部110は、一対の土手部104同士の間に溝部110が設けられている。本実施形態の溝部110は、第1の実施形態の溝部10と同様の構成を有する。
第1の面101aは、取付孔105の中心線C周りに180°ごとに回転対称な形状とされている。切刃103、土手部104および溝部110は、取付孔105の周囲に180°ごとに回転対称に形成されている。本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の実施形態において、主面は矩形状であるが、主面は3以上の角部を有する多角形面であればよい。
例えば、上述の実施形態において、主面は矩形状であるが、主面は3以上の角部を有する多角形面であればよい。
101 インサート(ドリル用インサート)
1a、101a 第1の面(主面、すくい面)
1b 第2の面(着座面)
3、103 切刃
4、4A、4B、104 土手部
5、105…取付孔
9、109 ブレーカ溝
10、110…溝部
10a、110a…底面
11 ドリル本体
14 クランプネジ(固定部材)
100 刃先交換式ドリル
O 軸線
P 平面
T ドリル回転方向
1a、101a 第1の面(主面、すくい面)
1b 第2の面(着座面)
3、103 切刃
4、4A、4B、104 土手部
5、105…取付孔
9、109 ブレーカ溝
10、110…溝部
10a、110a…底面
11 ドリル本体
14 クランプネジ(固定部材)
100 刃先交換式ドリル
O 軸線
P 平面
T ドリル回転方向
Claims (6)
- 軸線回りに回転させるドリル本体の先端部に固定部材により着脱可能に取り付けられるドリル用インサートであって、
前記固定部材が挿通される取付孔が設けられた主面と、
前記主面の辺稜部に位置する切刃と、を備え、
前記主面には、前記切刃の両端部に沿って配置され前記取付孔の軸方向に突出する一対の土手部と、一対の前記土手部の間に位置する溝部と、が設けられ、
前記土手部と前記切刃との間には、ブレーカ溝が形成され、
前記溝部の底面は、前記切刃から前記取付孔に向かうに従って前記土手部の突出方向と反対側に向かって傾斜する傾斜部および前記取付孔の軸方向に直交する平坦部のうち何れか一方又は両方からなる、
ドリル用インサート。 - 前記切刃に沿う方向における前記溝部の幅をaとし、
前記ドリル本体に取り付けられた状態で前記ドリル本体の回転外周側に位置する一方の土手部の前記切刃に沿う方向における幅をbとし、
前記ドリル本体に取り付けられた状態で前記ドリル本体の回転内周側に位置する他方の土手部の前記切刃に沿う方向における幅をcとしたとき、以下の式を満たす、請求項1に記載のドリル用インサート。
0.20≦a/(a+b+c)≦0.60 - 以下の式を満たす、請求項2に記載のドリル用インサート。
0.40≦b/(a+b+c)
0.40≦c/(a+b+c) - 前記主面が、矩形面であって、
前記主面の4つの辺稜部にそれぞれ前記切刃が形成され、
前記主面の4隅部に前記土手部が設けられている、
請求項1〜3の何れか一項に記載のドリル用インサート。 - 前記主面が、矩形面であって、
前記主面の互いに反対側を向く2つ辺稜部にそれぞれ前記切刃が形成され、
前記主面の前記切刃が設けられていない2辺の辺稜部に沿ってそれぞれ前記土手部が設けられている、
請求項1〜3の何れか一項に記載のドリル用インサート。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載のドリル用インサートと、
先端部に前記ドリル用インサートが着脱可能に取り付けられ、軸線を中心として回転するドリル本体と、を備えた、
刃先交換式ドリル。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016185003A JP2018047532A (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル |
PCT/JP2017/034073 WO2018056352A1 (ja) | 2016-09-23 | 2017-09-21 | ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016185003A JP2018047532A (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018047532A true JP2018047532A (ja) | 2018-03-29 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016185003A Pending JP2018047532A (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル |
Country Status (2)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018047532A (ja) |
WO (1) | WO2018056352A1 (ja) |
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EP2239073B1 (en) * | 2007-12-28 | 2014-07-02 | Kyocera Corporation | Insert for drill |
JP5979054B2 (ja) * | 2013-03-25 | 2016-08-24 | 三菱マテリアル株式会社 | ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル |
JP2017064797A (ja) * | 2014-02-07 | 2017-04-06 | 株式会社タンガロイ | 切削インサート |
EP3034214A1 (en) * | 2014-12-19 | 2016-06-22 | Pramet Tools, S.R.O. | Drill and drill insert with chipbreaker protrusions |
-
2016
- 2016-09-23 JP JP2016185003A patent/JP2018047532A/ja active Pending
-
2017
- 2017-09-21 WO PCT/JP2017/034073 patent/WO2018056352A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2018056352A1 (ja) | 2018-03-29 |
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