以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における「周方向」とは、シャフトの周方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「半径方向」とは、シャフトの半径方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸方向」とは、シャフトの軸方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸垂直方向」とは、シャフトの軸方向に対して直角に交わる方向を意味する。特に説明しない限り、本願における断面とは、シャフトの軸線に対して垂直な平面に沿った断面を意味する。特に説明しない限り、シャフトの軸方向におけるグリップ側が上側とされ、シャフトの軸方向におけるソール側が下側とされる。
図1は、本発明の第1実施形態であるゴルフクラブ100を示す。図1は、ゴルフクラブ100のヘッド近傍のみを示している。図2は、ゴルフクラブ100をソール側から見た斜視図である。図3は、ゴルフクラブ100の分解斜視図である。
ゴルフクラブ100は、ヘッド200、シャフト300、スリーブ400及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400により、逆テーパー係合部RTが構成されている。逆テーパー係合部RTは、シャフト300の先端部に配置されている。逆テーパー係合部RTの外面は、スリーブ400によって形成されている。
ヘッド200のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド200は、ウッド型ヘッドである。ヘッド200は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
シャフト300は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。一般に市販されているシャフトが用いられうる。スリーブ400の内径に対応して、シャフト300の先端径が設定される。
図示されていないが、シャフト300の直径は、軸方向位置によって変化している。グリップ側にいくにつれて、シャフト300の直径は大きくなっている。シャフト300の先端部は、シャフト300において最も細い部分である。
この第1実施形態に係るゴルフクラブ100は、スペーサー(後述)を有さない。したがって、逆テーパー係合部RTは、スリーブ400のみによって構成される。なお、後述されるように、スリーブとヘッドとの間にスペーサーが設けられてもよい。
ヘッド200は、ホーゼル部202を有している。ホーゼル部202は、ホーゼル孔204を有する(図3参照)。このホーゼル孔204は、逆テーパー内面を構成している。この逆テーパー内面204の形状は、逆テーパー係合部RTの外面の形状に対応している。換言すれば、この逆テーパー内面204の形状は、スリーブ400の外面の形状に対応している。係合状態において、逆テーパー係合部RTの外面(スリーブ400の外面)は、ホーゼル孔204に面接触している。逆テーパー係合部RTの外面は複数(8つ)の平面を有するが、これらの平面のうちの半数(4つ)が、ホーゼル孔204に面接触している。この点の詳細については、後述される。
ホーゼル部202は、ホーゼルスリット206を有する。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202の側方に設けられている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル孔204の内部とヘッドの外部との間を連通する開口である。ホーゼルスリット206は、軸方向上側に開放されており、且つ、軸方向下側にも開放されている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202のヒール側に設けられている。ホーゼルスリット206により、逆テーパー内面204の一部が欠落しているが、逆テーパー係合部RTの保持には支障がない。
図3には、ホーゼルスリット206の幅Wsが示されている。幅Wsは、シャフト300の直径よりも大きい。幅Wsは、少なくとも、シャフト300の最も細い部分の直径よりも大きい。このため、ホーゼルスリット206は、シャフト300を通過させうる。ホーゼルスリット206は、軸直角方向に移動するシャフト300を通過させうる。軸直角方向とは、シャフト300の軸線に対して直角の方向である。
ホーゼルスリット206により、ホーゼル孔204の周方向における一部が欠落している。逆テーパー係合部RTの保持性を高める観点から、幅Wsは小さいほうが好ましい。例えば、幅Wsは、シャフト300の露出部の最も細い部分(例えば、逆テーパー係合部RTに隣接した部分)よりも大きければよい。シャフト300の露出部とは、スリーブ及びグリップが取り付けられておらず、外部に露出している部分を意味する。言うまでも無いが、幅Wsは、逆テーパー係合部RTが通過できないように設定される。逆テーパー係合部RTは、ホーゼルスリット206を通過できない。
通常のヘッドと同様に、ヘッド200は、クラウン208、ソール210及びフェース212を有している(図1から3を参照)。
図3が示すように、スリーブ400は、内面402と外面404とを有する。内面402は、シャフト孔を形成している。内面402の断面形状は、円形である。内面402の形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402は、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
外面404は、逆テーパー外面である。外面404は、角錐外面である。外面404は、八角錐面である。外面404の断面形状は、非円形である。外面404の断面形状は、多角形である。後述するように、外面404の断面形状は、略多角形(略正多角形)である。この「略」とは、後述される長さ調整機構が付加されていることを意味する。この「略」の定義は、本願の全体に適用される。
なお、本願において「角錐面」とは、長さ調整機構(後述)が付加された角錐面(略角錐面)を含む概念である。
逆テーパー外面404の断面線を外縁とする図形(略正多角形)の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400は逆テーパー形状である。外面404の断面線を外縁とする図形の形状は、軸方向位置に関わらず同じである。
図4は、ゴルフクラブ100のシャフト300がヘッド200に装着される工程を示す。
この装着工程では、先ず、シャフトアッセンブリ500が用意される(図4の(a);第1ステップ)。シャフトアッセンブリ500は、シャフト300と、スリーブ400とを有する。スリーブ400がシャフト300の先端部に固定されて、シャフトアッセンブリ500が得られる。
次に、シャフト300にホーゼルスリット206を通過させ、シャフト300を逆テーパー内面204の内側に移動させる(図4の(b);第2ステップ)。このシャフト300の移動の結果、逆テーパー係合部RTは、ヘッド200のソール210側に移動する。
最後に、シャフト300(シャフトアッセンブリ500)を軸方向に沿ってグリップ側に移動させ、逆テーパー係合部RTを逆テーパー内面204にはめ込む(図4の(c);第3ステップ)。このはめ込みにより、ヘッド200に対するシャフト300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ100が使用可能なように、逆テーパー係合部RTと逆テーパー内面204とが係合した状態を意味する。係合状態では、逆テーパー嵌合が達成されている。
このように、ゴルフクラブ100では、シャフト300がヘッド200に取り外し可能に取り付けられている。シャフト300(シャフトアッセンブリ500)をヘッド200に取り付けるのは容易である。加えて、シャフト300(シャフトアッセンブリ500)をヘッド200から取り外すのも容易である。
図5は、ヘッド200をソール側から見た斜視図である。ヘッド200は、脱落防止部220を有する。脱落防止部220は、設置面222に設けられている。設置面222は、軸方向に沿った面である。脱落防止部220は、複数(2つ)の位置、でシャフトアッセンブリ500の底面E1を支持しうる。脱落防止部220は、逆テーパー係合部RTの係合解除方向への移動を規制する。
本実施形態の脱落防止部220は、複数の位置において底面E1を支持することができる。設置面222には、第1のネジ穴h1と、第2のネジ穴h2とが設けられている。これらのネジ穴h1,h2の何れかに、脱落防止ネジ(図2及び図5では図示されず)がネジ止めされる。この脱落防止ネジ(後述の図8におけるネジsc1)がシャフトアッセンブリ500の底面E1(図2)に当接することで、シャフトアッセンブリ500の脱落が防止されている。
本願では、係合解除方向及び係合方向が定義される。本願において係合解除方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部RTが逆テーパー内面204に対してソール側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合解除方向とは、逆テーパー内面204が逆テーパー係合部RTに対してグリップ側に移動する方向を意味する。逆テーパー係合部RTが係合解除方向に移動すると、逆テーパー係合部RTは逆テーパー内面204から抜ける。一方、本願において係合方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部RTが逆テーパー内面204に対してグリップ側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合方向とは、逆テーパー内面204が逆テーパー係合部RTに対してソール側に移動する方向を意味する。
係合状態のゴルフクラブ100では、逆テーパー係合部RTと逆テーパー内面204との間で逆テーパー嵌合が形成されている。係合方向の力は、この逆テーパー嵌合を解除することはできず、逆にこの逆テーパー嵌合の接触圧力を高める。係合方向の力は、逆テーパー係合部RTと逆テーパー内面204との係合をより一層確実とする。
ゴルフクラブ100のヘッド200に作用する大きな力は、スイング中の遠心力、及び、インパクトでの衝撃力である。これらのうち、遠心力は、上述した係合方向の力である。また、ヘッド200のロフト角に起因して、上記衝撃力の軸方向における分力も、係合方向の力である。よって、遠心力及び衝撃力は、逆テーパー係合部RTと逆テーパー内面204との係合を解除することはできず、逆にこの係合をより一層確実とする。また、逆テーパー係合部RT及び逆テーパー内面204は、断面形状が非円形であることから、両者の間で相対回転が生じることはない。結果として、逆テーパー係合部RTと逆テーパー内面204の間が接着剤等で固定されていないにも関わらず、ゴルフクラブとして必要な抜け止め及び回り止めが達成される。この逆テーパー嵌合の構造は、結合性と着脱容易性とを両立しうる。
したがって、ショット(スイング)の局面においては、脱落防止部220は必ずしも必要ではない。
一方、スイング以外の場面では、ゴルフクラブ100に係合解除方向の力が作用する場合がある。例えば、ゴルフクラブ100がゴルフバックに差し込まれている状態である。この状態では、ゴルフクラブ100は、ヘッド200を上側にして立てられている。この場合、ヘッド200に作用する重力は、上記係合解除方向の力として作用する。脱落防止部220により、この係合解除方向の力が作用しても、ヘッド200は脱落しない。
遠心力、衝撃力等に起因する係合方向の力に比べて、この係合解除方向の力は小さい。よって、脱落防止部220には、大きな力は作用しない。脱落防止部220は、簡易的な機構でよい。
図6は、ゴルフクラブ100の2つの状態を示す。図6の(a)は、第1状態のゴルフクラブ100を示す。図6の(b)は、第2状態のゴルフクラブ100を示す。第1状態のゴルフクラブ100のクラブ長さは、第2状態に比べて短い。ゴルフクラブ100では、2種類の長さが選択されうる。
図7は、ゴルフクラブ100のホーゼル部202での断面図であり、長さ調整機構を説明するための断面図である。
図7の(a)は、第1状態(短い状態)における断面図である。図7の(a)が示すように、ホーゼル孔(逆テーパー内面)204は、第1当接面S1と、第2当接面S2とを有する。
複数(4つ)の第1当接面S1が設けられている。複数(4つ)の第2当接面S2が設けられている。第1当接面S1と第2当接面S2とは交互に配置されている。本実施形態では、第1当接面S1の数は4であり、第2当接面S2の数は4である。第1当接面S1の数と第2当接面S2の数との和が8である。
図7(a)の断面図において、第1当接面S1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この第1当接面S1と重なる正多角形(正八角形)が第1の仮想正多角形(図示されず)と定義される。図7(a)の断面図において、第2当接面S2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この第2当接面S2と重なる正多角形(正八角形)が第2の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
第2当接面S2の半径方向位置は、第1当接面S1の半径方向位置よりも外側である。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第2の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも小さい。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)と第2の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
このように、第1当接面S1及び第2当接面S2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、第1当接面S1の半径方向位置が第2当接面S2の半径方向位置よりも(若干)外側である。第1当接面S1と第2当接面S2との境界には、段差面S3が形成されている。段差面S3は、無くてもよい。
図7の(a)が示すように、スリーブ400の外面404は、当接係合面T1と非当接係合面T2とを有する。
複数(4つ)の当接係合面T1が設けられている。複数(4つ)の非当接係合面T2が設けられている。当接係合面T1と非当接係合面T2とは交互に配置されている。本実施形態では、当接係合面T1の数は4であり、非当接係合面T2の数は4である。当接係合面T1の数と非当接係合面T2の数との和が8である。
図7(a)の断面図において、当接係合面T1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この当接係合面T1と重なる正多角形(正八角形)が第3の仮想正多角形(図示されず)と定義される。図7(a)の断面図において、非当接係合面T2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この非当接係合面T2と重なる正多角形(正八角形)が第4の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
当接係合面T1の半径方向位置は、非当接係合面T2の半径方向位置よりも外側である。したがって、第3の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第4の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも大きい。第3の仮想正多角形(仮想正八角形)と第4の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
このように、当接係合面T1及び非当接係合面T2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、当接係合面T1の半径方向位置が非当接係合面T2の半径方向位置よりも(若干)外側である。当接係合面T1と非当接係合面T2との境界には、段差面T3が形成されている。段差面T3は、無くてもよい。
図7の(a)は、第1状態(クラブ長さが短い状態)における断面図である。この第1状態(a)では、スリーブ400(逆テーパー外面404)は、第1回転位置にある。
この第1状態(a)では、当接係合面T1が第1当接面S1に当接している。第1状態(a)では、当接係合面T1が第1当接面S1に対向しており、非当接係合面T2が第2当接面S2に対向している。当接係合面T1は第1当接面S1に当接しているのに対して、非当接係合面T2は第2当接面S2に当接していない。非当接係合面T2と第2当接面S2との間に隙間が形成されている。
図7の(b1)は、第2状態に移行するための移行状態を示す断面図である。図7の(b1)では、スリーブ400(逆テーパー外面404)は、第2回転位置にある。
移行状態(b1)とは、ホーゼル部202に対するスリーブ400の軸方向位置を変化させずに、スリーブ400(シャフトアッセンブリ500)が所定角度θ(45°)回転された状態を意味する。このような移行状態(b1)を記載するのは、この長さ調整機構の理解を容易とするためである。なお、実際に上記所定角度θの回転を行うには、逆テーパー係合部RTを係合解除方向に一旦移動させた上で当該回転を行うことになる。スリーブ400(逆テーパー外面404)を上記所定角度θだけ回転することで、スリーブ400(逆テーパー外面404)の回転位置が、第1回転位置から第2回転位置に移行する。
この移行状態(b1)では、当接係合面T1が第2当接面S2に対向しており、非当接係合面T2が第1当接面S1に対向している。この状態では、当接係合面T1は第2当接面S2に当接していない。もちろん、非当接係合面T2も第1当接面S1に当接していない。当接係合面T1と第2当接面S2との間の隙間gpの幅は、非当接係合面T2と第1当接面S1との間の隙間の幅よりも小さい。
この図7の移行状態(b1)において、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接していないことが、2つのクラブ長さの実現性を示している。すなわち、隙間gpにより、第2のクラブ長さ(より大きなクラブ長さ)が実現する。この点について、次の図8を用いて説明する。
図8の(a)は、図7の(a)のA−A線に沿った断面図である。図8の(b1)は、図7の(b1)のB−B線に沿った断面図である。この図8の(b1)にも示されるように、移行状態では、当接係合面T1と第2当接面S2との間に隙間gpが存在する。この隙間gpを解消して、当接係合面T1と第2当接面S2とを当接させるには、シャフトアッセンブリ500(逆テーパー係合部RT)を軸方向上側に移動させればよい。すなわち、移行状態から、シャフトアッセンブリ500をホーゼル部202に対して軸方向上方に移動することで、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接する。この結果、第2状態が実現する。この図8の(b2)が、この第2状態を示している。
以上の通り、ゴルフクラブ100では、第1状態と第2状態との間で、逆テーパー内面204に対する逆テーパー外面404の軸方向位置が相違している。この相違に起因して、クラブ長さが短い第1状態(a)と、クラブ長さが長い第2状態(b2)とが実現されている。ゴルフクラブ100では、逆テーパー係合部RTを逆テーパー内面204に対して回転させることで、上記第1状態と上記第2状態との相互移行が可能とされている。
図8が示すように、脱落防止部220は、複数のネジ穴h1、h2と、これらのネジ穴h1,h2にネジ止めされうるネジsc1とを有する。図8では、ネジsc1の頭部の平面図が2点鎖線で示されている。ネジsc1の頭部が、シャフトアッセンブリ500の下端面E1に当接している。図8の(a)が示すように、クラブが短い第1状態では、ネジsc1は第1のネジ穴h1にネジ止めされ、第1状態における下端面E1に当接する。図8の(b2)が示すように、クラブが長い第2状態では、ネジsc1は、第2のネジ穴h2にネジ止めされ、第2状態における下端面E1に当接する。このように、脱落防止部220は、複数の軸方向位置においてシャフトアッセンブリ500の端面E1を支持しうる。
図9は、本発明の第2実施形態であるゴルフクラブ600を示す。図9は、ゴルフクラブ600のヘッド近傍のみを示している。図10は、ゴルフクラブ600をソール側から見た斜視図である。図11は、ゴルフクラブ600の分解斜視図である。
ゴルフクラブ600は、ヘッド700、シャフト800、スリーブ900、スペーサー1000及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ900とスペーサー1000とにより、逆テーパー係合部RTが構成されている。逆テーパー係合部RTは、シャフト800の先端部に配置されている。逆テーパー係合部RTの外面は、スペーサー1000によって形成されている。
上述したゴルフクラブ100では、スペーサーは設けられていない。これに対してゴルフクラブ600では、スペーサー1000が設けられている。スペーサー1000の数は1個である。2個以上のスペーサー1000が設けられてもよい。
ヘッド700のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド700は、ウッド型ヘッドである。ヘッド700は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
シャフト800は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。一般に市販されているシャフトが用いられうる。スリーブ900の内径に対応して、シャフト800の先端径が設定される。
図示されていないが、シャフト800の直径は、軸方向位置によって変化している。グリップ側にいくにつれて、シャフト800の直径は大きくなっている。スペーサー1000は、シャフト800の先端部に固定されたスリーブ900の外側に配置されている。シャフト800の先端部は、シャフト800において最も細い部分である。
ヘッド700は、ホーゼル部702を有している。ホーゼル部702は、ホーゼル孔704を有する(図11参照)。このホーゼル孔(逆テーパー内面)704の形状は、逆テーパー係合部RTの外面の形状に対応している。換言すれば、このホーゼル孔(逆テーパー内面)704の形状は、スペーサー1000の外面の形状に対応している。係合状態において、逆テーパー係合部RTの外面(スペーサー1000の外面)は、ホーゼル孔704に面接触している。逆テーパー係合部RTの外面は複数(8つ)の平面を有するが、これらの平面のうちの半数(4つ)が、ホーゼル孔704に面接触している。
ホーゼル部702は、ホーゼルスリット706を有する。ホーゼルスリット706は、ホーゼル部702の側方に設けられている。ホーゼルスリット706は、ホーゼル孔704の内部とヘッドの外部との間を連通する開口である。ホーゼルスリット706は、軸方向上側に開放されており、且つ、軸方向下側にも開放されている。ホーゼルスリット706は、ホーゼル部702のヒール側に設けられている。ホーゼルスリット706により、逆テーパー内面704の一部が欠落しているが、逆テーパー係合部RTの保持には支障がない。
図11には、ホーゼルスリット706の幅Wsが示されている。幅Wsは、シャフト800の直径よりも大きい。幅Wsは、少なくとも、シャフト800の最も細い部分の直径よりも大きい。このため、ホーゼルスリット706は、シャフト800を通過させうる。ホーゼルスリット706は、軸直角方向に移動するシャフト800を通過させうる。
ホーゼルスリット706により、ホーゼル孔704の周方向における一部が欠落している。逆テーパー係合部RTの保持性を高める観点から、幅Wsは小さいほうが好ましい。例えば、幅Wsは、シャフト800の露出部の最も細い部分(例えば、逆テーパー係合部RTに隣接した部分)よりも大きければよい。シャフト800の露出部とは、スリーブ及びグリップが取り付けられておらず、外部に露出している部分を意味する。言うまでも無いが、幅Wsは、逆テーパー係合部RTが通過できないように設定される。逆テーパー係合部RTは、ホーゼルスリット706を通過できない。
通常のヘッドと同様に、ヘッド700は、クラウン708、ソール710及びフェース712を有している(図9から11を参照)。
図11が示すように、スリーブ900は、内面902と外面904とを有する。内面902は、シャフト孔を形成している。内面902の断面形状は、円形である。内面902の形状は、シャフト800の外面に対応している。内面902は、シャフト800の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ900は、シャフト800の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
スリーブ900の外面904は、逆テーパー外面である。外面904は、角錐外面である。外面904は、八角錐面である。外面904の断面形状は、非円形である。外面904の断面形状は、多角形である。後述するように、外面904の断面形状は、略正多角形である。「略」とは、前述した長さ可変形状が付加されていることを意味する。
逆テーパー外面904の断面線を外縁とする図形(略正多角形)の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スリーブ900は逆テーパー形状である。外面904の断面線を外縁とする図形の形状は、軸方向位置に関わらず同じである。
図11には、スリーブ900の断面図が付記されている。この断面図が示すように、内面902の軸線は、外面904の軸線に対して傾斜している。
図11が示すように、スペーサー1000は、内面1002と外面1004とを有する。図11では分かりにくいが、内面1002は、逆テーパー内面である。内面1002の断面形状は、スリーブ900の外面904の断面形状に対応している。スペーサー1000は、スリーブ900の外側にはめ込まれている。スペーサー1000は、スリーブ900に接着されていない。スペーサー1000は、スリーブ900に接触しているだけである。
スペーサー1000の外面1004は、逆テーパー外面である。外面1004は、角錐外面である。外面1004は、八角錐面である。外面1004の断面形状は、非円形である。外面1004の断面形状は、多角形である。後述するように、外面1004の断面形状は、略正多角形である。
図11には、スペーサー1000の断面図が付記されている。この断面図が示すように、内面1002の軸線Z2は、外面1004の軸線に対して傾斜している。
本実施形態では、スリーブ900の軸方向長さが、スペーサー1000の軸方向長さよりも大きい。
図12は、シャフト800をヘッド700に装着する工程を説明するための図である。
この装着工程では、先ず、シャフトアッセンブリ1100が用意される(図12の(a);第1ステップ)。シャフトアッセンブリ1100は、シャフト800と、スリーブ900と、スペーサー1000とを有する。スペーサー1000にシャフト900が挿通された後に、スリーブ900がシャフト800の先端部に固定されて、シャフトアッセンブリ1100が得られる。シャフトアッセンブリ1100において、スリーブ900はシャフト800に固定されているが、スペーサー1000はシャフト800に固定されていない。スペーサー1000は、シャフト800が挿通された状態で、軸方向に移動しうる(図12の(a)を参照)。ただし、スリーブ900の存在により、スペーサー1000がシャフト800から脱落することはない。
次に、このシャフトアッセンブリ1100において、スペーサー1000がスリーブ900の外面に当接するまで移動される(図12の(b);第2ステップ)。即ち、スペーサー1000は、シャフトアッセンブリ1100の最も先端側に移動される。この移動により、スリーブ900にスペーサー1000が係合し、逆テーパー係合部RTが完成する。
次に、シャフト800にホーゼルスリット706を通過させ、シャフト800を逆テーパー内面704の内側に移動させる(図12の(c);第3ステップ)。このシャフト800の移動の結果、逆テーパー係合部RTは、ヘッド700のソール710側に移動する。
最後に、シャフト800(シャフトアッセンブリ1100)を軸方向に沿ってグリップ側に移動させ、逆テーパー係合部RTを逆テーパー内面704にはめ込む(図12の(d);第4ステップ)。このはめ込みにより、ヘッド700に対するシャフト800の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ600が使用可能な状態である。係合状態では、全ての逆テーパー嵌合が達成されている。即ち、スリーブ900の逆テーパー外面904とスペーサー1000の逆テーパー内面1002との間で逆テーパー嵌合が達成され、且つ、スペーサー1000の逆テーパー外面1004とホーゼル702の逆テーパー内面704との間で逆テーパー嵌合が達成されている。
このように、シャフト800(シャフトアッセンブリ1100)をヘッド700に取り付けるのは容易である。加えて、シャフト800(シャフトアッセンブリ1100)をヘッド700から取り外すのも容易である。ゴルフクラブ600では、シャフト800がヘッド700に取り外し可能に取り付けられている。
第1実施形態では、スペーサーは設けられておらず、長さ調整機構は、ホーゼル部202の逆テーパー内面204とスリーブ400の逆テーパー外面404との間で構成されている。これに対して、本第2実施形態では、長さ調整機構は、スペーサー1000の逆テーパー内面1002とスリーブ900の逆テーパー外面904との間で構成されている。逆テーパー内面1002の断面形状は前述の逆テーパー内面204と同じである。逆テーパー外面904の断面形状は前述の逆テーパー外面404と同じである。この長さ調整機構により、クラブ長さが短い第1状態(図12の(e))と、クラブ長さが長い第2状態(図12の(d))との相互移行が可能である。スペーサー1000の位置は変わること無く、スリーブ900(シャフトアッセンブリ1100)の位置が軸方向に移動することで、クラブ長さが変化する。
図13は、ヘッド700をソール側から見た斜視図である。ヘッド700は、脱落防止部720を有する。脱落防止部720は、設置面722に設けられている。設置面722は、軸方向に沿った面である。設置面722には、第1のネジ穴h1と、第2のネジ穴h2とが設けられている。脱落防止部720は、これらのネジ穴h1,h2と、ネジsc1(図8参照)とによって構成される。脱落防止部720の構成及び機能は、前述した脱落防止部220と同じである。
以上に説明されたように、第1実施形態及び第2実施形態は、共に、逆テーパー外面と逆テーパー内面との間に、長さ調整機構が形成されている。
スペーサーの無い第1実施形態では、長さ調整機構は、スリーブ400(逆テーパー係合部RT)の逆テーパー外面404とホーゼル部202の逆テーパー内面204との間で形成されている。
スペーサーが1個の第2実施形態では、長さ調整機構は、スリーブ900の逆テーパー外面904とスペーサー1000の逆テーパー内面1002との間で形成されている。もちろん、この第2実施形態において、スペーサー1000の逆テーパー外面1004とホーゼル部702の逆テーパー内面704との間で長さ調整機構が形成されてもよい。2つの長さ調整機構が設けられる場合、クラブ長さの調整の自由度が高まる。
スペーサーが2個以上の場合、より多くの長さ調整機構が設けられ得る。例えばスペーサーが2個である場合、長さ調整機構は、(1)スリーブと内側のスペーサーとの間、(2)内側のスペーサーと外側のスペーサーとの間、(3)外側のスペーサーとホーゼル孔との間、からなる群から選ばれる1又は2以上に設けられうる。
つまり、逆テーパー外面と逆テーパー内面との逆テーパー嵌合が形成されている当接面間の全てで、長さ調整機構が形成されうる。前述の通り、クラブ長さの調整の自由度の観点からは、長さ調整機構の数は多い方がよく、例えば2つ又は3つの長さ調整機構が設けられてもよい。構造の複雑さを回避する観点からは、長さ調整機構の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
図14から図17は、ゴルフクラブ600における逆テーパー係合部の端面(下端面)の平面図である。ただし、図16及び図17は、前述の移行状態を示す。前述の通り、スリーブ900において、内面902の軸線Z1は、外面904の軸線に対して傾斜している。加えて、スペーサー1000において、内面1002の軸線Z2は、外面1004の軸線に対して傾斜している(図11参照)。
これらの傾斜に起因して、ゴルフクラブ600は、シャフト角度調整機構を備えている。スリーブ900の回転位置によってシャフト軸線の方向が3次元的に変化し、シャフト角度が調整される。加えて、スペーサー1000の回転位置によってシャフト軸線の方向が3次元的に変化し、シャフト角度が調整される。2つのシャフト角度調整機構の組み合わせにより、シャフト角度の調整の自由度が高められている。
スリーブ900は、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スリーブ900の回転位置が変化する。係合状態において、スリーブは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スリーブ900の外面の形状に基づいて定まる。
スペーサー1000は、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スペーサー1000の回転位置が変化する。係合状態において、スペーサー1000は、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スペーサー1000の外面の形状に基づいて定まる。
このように、シャフト孔の軸線(シャフト800の軸線)は、スリーブ900の外面の軸線に対して傾斜していてもよい。加えて、これらの軸線は、互いに平行でズレていてもよい(平行偏心)。更に、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スリーブ900の回転位置によって、シャフトの軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。
スペーサー1000についても同様である。スペーサー1000の内面の軸線は、スペーサー1000の外面の軸線に対して傾斜していてもよいし、これらの軸線が互いに平行でズレていてもよい(平行偏心)。更に、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スペーサー1000の回転位置によって、シャフト800の軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。
なお、平行偏心とは、軸線同士が互いに平行である偏心を意味する。
スリーブ900の回転とスペーサー1000の回転とは、互いに独立している。スペーサー1000の回転位置は、スリーブ900の回転位置とは独立して選択されうる。よって、調整の自由度が高められている。
図14から図17は、ゴルフクラブ600における逆テーパー係合部の端面(下端面)の平面図である。ただし、図16及び図17は、前述の移行状態を示す。各図において、一点鎖線の交点は、ホーゼル孔(逆テーパー内面)704の軸線の位置を示す。また、破線の交点は、シャフト軸線Z1の位置を示す。図14から図17において、シャフトの記載は省略されている。
第2実施形態において、スリーブ900が採りうる回転位置の数は、8つである。このうち4つは第1状態(クラブが短い状態)を形成し、残りの4つは第2状態(クラブが長い状態)を形成する。スペーサー1000スペーサー1000が採りうる回転位置の数は、8つである。スリーブ900とスペーサー1000との回転位置の組み合わせは、64通り(8×8=64)である。図14から17では、このうち32通りが示されている。図14及び図15において、ゴルフクラブ600は第1状態(クラブ長さが短い状態)にある。図16及び図17において、ゴルフクラブ600は第2状態(クラブ長さが長い状態)にある。
以下では、スリーブ900及びスペーサー1000の回転位置が、時計回りで順に、第1位置、第2位置、・・・と称される。
図14の(a)では、スリーブ900の回転位置が第1位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図14の(b)では、スリーブ900の回転位置が第3位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図14の(c)では、スリーブ900の回転位置が第5位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図14の(d)では、スリーブ900の回転位置が第7位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図14の(e)では、スリーブ900の回転位置が第1位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図14の(f)では、スリーブ900の回転位置が第3位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図14の(g)では、スリーブ900の回転位置が第5位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図14の(h)では、スリーブ900の回転位置が第7位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図15の(a)では、スリーブ900の回転位置が第1位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図15の(b)では、スリーブ900の回転位置が第3位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図15の(c)では、スリーブ900の回転位置が第5位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図15の(d)では、スリーブ900の回転位置が第7位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図15の(e)では、スリーブ900の回転位置が第1位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図15の(f)では、スリーブ900の回転位置が第3位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図15の(g)では、スリーブ900の回転位置が第5位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図15の(h)では、スリーブ900の回転位置が第7位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図16の(a)では、スリーブ900の回転位置が第8位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図16の(b)では、スリーブ900の回転位置が第2位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図16の(c)では、スリーブ900の回転位置が第4位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図16の(d)では、スリーブ900の回転位置が第6位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第1位置にある。
図16の(e)では、スリーブ900の回転位置が第8位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図16の(f)では、スリーブ900の回転位置が第2位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図16の(g)では、スリーブ900の回転位置が第4位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図16の(h)では、スリーブ900の回転位置が第6位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第3位置にある。
図17の(a)では、スリーブ900の回転位置が第8位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図17の(b)では、スリーブ900の回転位置が第2位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図17の(c)では、スリーブ900の回転位置が第4位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図17の(d)では、スリーブ900の回転位置が第6位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第5位置にある。
図17の(e)では、スリーブ900の回転位置が第8位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図17の(f)では、スリーブ900の回転位置が第2位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図17の(g)では、スリーブ900の回転位置が第4位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
図17の(h)では、スリーブ900の回転位置が第6位置にあり、スペーサー1000の回転位置が第7位置にある。
前述した通り、図14から図17に示される以外に、更に32通りの組み合わせが可能であり、合計64通りのシャフト角度が選択されうる。第1状態及び第2状態のそれぞれで考えても、32通りずつのシャフト角度が選択されうる。シャフト角度(リアルロフト角及びライ角)の調整自由度は高い。
図18及び図19は、第3実施形態に係るクラブにおけるシャフトアッセンブリ1200の下端面を示す平面図である。図18及び図19において、シャフトの記載は省略されている。なお、図19は、前述の移行状態を示す。このシャフトアッセンブリ1200は、1つのスリーブ1300と、2つのスペーサー1400,1500とを有する。第1のスペーサー1400は、第2のスペーサー1500の内側に位置する。第1のスペーサー1400は、スリーブ1300と第2のスペーサー1500との間に位置する。第2のスペーサー1500は、第1のスペーサー1400の外側に位置する。
長さ調整機構は、スリーブ1300(の外面)とスペーサー1400(の内面)との間に設けられている。この長さ調整機構は、前述の第1及び第2実施形態における長さ調整機構と同じである。
シャフト角度調整機構は、スペーサー1400及びスペーサー1500に設けられている。図示しないが、スペーサー1400では、内面の軸線が外面の軸線に対して傾斜している。加えて、スペーサー1500では、内面の軸線が外面の軸線に対して傾斜している。
図18は、第1状態(クラブ長さが小さい)におけるシャフト角度のバリエーションのうちの、2つの例を示す。図19は、第2状態(クラブ長さが大きい)場合のシャフト角度のバリエーションのうちの、2つの例を示す。本実施形態では、スペーサー1400及びスペーサー1500に角度調整機構が設けられている。即ち、2つの角度調整機構が設けられている。シャフト軸線Z1の角度のバリエーションは64通り(8×8=64)である。
このように、スペーサーの数を増やすことにより、シャフト角度・位置調整機構とシャフト長さ調整機構の設置部位及び設置数の選択自由度が拡大する。この観点からは、スペーサーの数は、1又は2以上が好ましい。調節の複雑性及びホーゼル部の小型化を考慮すると、スペーサーの数は、1又は2がより好ましい。
図20、図21(a)及び図21(b)は、変形例に係る脱落防止部1600を示す。この脱落防止部1600は、スライドレール部1620と、スライド体1640とを有する。
スライドレール部1620は、ヘッド200の設置面222(図5参照)に設けられる。図20が示すように、スライドレール部1620は、スライド溝1622と、第1係合部1624と、第2係合部1626とを有する。スライド溝1622は、アンダーカット溝1628と底面1630とを有する。アンダーカット溝1628は、スライド溝1622の両側に設けられている。第1係合部1624及び第2係合部1626のそれぞれは、スライド溝1622の両側に設けられた凹部である。
図21(a)はスライド体1640の平面図であり、図21(b)はスライド体1640の背面図である。スライド体1640は、摺動部1642と、係合突起1644と、操作部1646と、当接体1648と、当接体支持部1650と、弾性体1652とを有する。
摺動部1642は、スライド体1640の底部を構成している。底面1660と、アンダーカット係合部1662とを有する。摺動部1642の断面形状は、スライド溝1622の断面形状に対応している。アンダーカット係合部1662の断面形状は、アンダーカット溝1628の断面形状に対応している。
係合突起1644は、スライド体1640の両側に設けられている。弾性体1652は、係合突起1644のそれぞれを、突出方向に付勢している。
操作部1646は、係合突起1644に連結されている。操作部1646を操作することで、弾性体1652の付勢力に反して、係合突起1644のそれぞれを退行方向に移動させることができる。
当接体1648は、全体として円筒状の部材である。当接体1648は、当接面1670と背面1672とを有する。背面1672は、回転係合孔1674を有する。工具(図示されない)を回転係合孔1674に係合させることで、当接体1648を回転させることができる。上記ネジ結合に起因して、前記回転に伴い当接体1648が軸方向に移動する。
このような当接体1648が、スライド溝1622にスライド挿入される。当接体1648は、スライド溝1622において軸方向にスライドしうる。このスライドでは、底面1660が底面1630に対して摺動する。このスライドでは、アンダーカット係合部1662がアンダーカット溝1628に対して摺動する。アンダーカット係合部1662とアンダーカット溝1628との係合により、スライド体1640は脱落しない。
第1係合部1624の軸方向位置は、第2係合部1626の軸方向位置と相違している。係合突起1644が第1係合部1624の位置に達したとき、係合突起1644が第1係合部1624に係合する。摺動部1642に付勢力に起因して、この係合は自動的に生ずる。この係合を解除するためには、操作部1646を操作して、係合突起1644を退行させる。同様に、係合突起1644が第2係合部1626の位置に達したとき、係合突起1644が第2係合部1626に係合する。
係合突起1644が第1係合部1624に係合しているとき、第1状態(クラブが短い状態:図8の(a)参照)のクラブにおける下端面E1に、当接面1670が当接する。係合突起1644が第2係合部1626に係合しているとき、第2状態(クラブが長い状態:図8の(b2))のクラブにおける下端面E1に、当接面1670が当接する。当接体1648を軸回転させることで、当接面1670の軸方向位置が微調整されうる。また、当接体1648を軸回転させることで、当接面1670に下端面E1を押圧させることができる。
このように、脱落防止部1600は、スライド溝1622と、スライド溝1622においてスライドし且つ当接面1670を有するスライド体1640と、複数の軸方向位置でスライド体1640を固定しうる係合機構と、を有している。前記係合機構に起因して、スライド体1640は、第1状態におけるシャフトアッセンブリ500の下端面E1に当接面1670が当接する第1位置と、第2状態におけるシャフトアッセンブリ500の下端面E1に当接面1670が当接する第2位置とを採ることが出来る。脱落防止部1600は、逆テーパー係合部の係合解除方向への移動を確実に規制する。
本願において、逆テーパー係合部とは、スペーサーとスリーブとの組み合わせであってもよく、スリーブのみであってもよい概念である。長さ調整機構は、この逆テーパー係合部の外面(スリーブ又はスペーサーの外面)とホーゼル孔との間で形成されてもよい。長さ調整機構は、この逆テーパー係合部の内部における逆テーパー内面と逆テーパー外面との間で形成されてもよい。
上述した第1実施形態では、逆テーパー外面が当接係合面T1及び非当接係合面T2を有し、逆テーパー内面が第1当接面S1及び第2当接面S2を有する。当然ながら、この逆も可能である。即ち、逆テーパー内面が当接係合面T1及び非当接係合面T2を有し、逆テーパー外面が第1当接面S1及び第2当接面S2を有していてもよい。
非当接係合面T2は、第1状態(a)においては、対向面に当接しない。非当接係合面T2は、第2状態(b2)においては、対向面に当接してもよい。
逆テーパー内面及び逆テーパー外面は、角錐面に限定されない。逆テーパー外面が第1回転位置にあるときには当接係合面が第1当接面に当接した第1状態となり、且つ、逆テーパー外面が第2回転位置にあるときには当接係合面が第2当接面に当接した第2状態となればよい。第1状態と第2状態との間で、逆テーパー内面に対する逆テーパー外面の軸方向位置が相違していればよい。この構成により、シャフト(シャフトアッセンブリ)を回転するだけで、クラブ長さの調整が可能となる。シャフトを回転させるためには、シャフトを係合解除方向に動かして逆テーパー係合部RTとホーゼル孔との係合を一旦解除し、シャフトを回転させ、そしてシャフトを係合方向に戻すだけでよい。クラブ長さの調整は容易である。
シャフト角度の調整の観点からは、スリーブの内面の軸線Z1が、スリーブの外面の軸線に対して傾斜又は平行偏心しているのが好ましい。第2実施形態では軸線Z1が傾斜している場合を例示したが、平行偏心であってもよい。平行偏心の場合、リアルロフト角及びライ角を変えることなく、フェースプログレッション又は重心距離を調整することができる。重心距離とは、シャフト軸線とヘッド重心との間の距離である。第1実施形態では軸線Z1が傾斜も平行偏心もしていないが、言うまでもなく、第1実施形態においても、軸線Z1が傾斜及び/又は平行偏心していてもよい。シャフト角度の調整の観点からは、スペーサーが設けられている場合、スペーサーの内面の軸線が、スペーサーの外面の軸線に対して傾斜又は平行偏心しているのが好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブの外面の軸線に対するシャフト軸線の傾斜角度は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この傾斜角度は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーの外面の軸線に対する当該スペーサーの内面の軸線の傾斜角度は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この傾斜角度は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
スペーサーが無い場合、逆テーパー係合部としてのスリーブが、ホーゼル孔の逆テーパー内面に係合する。この場合、スリーブと逆テーパー内面との間で逆テーパー嵌合が形成される。この逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。スイング時に作用する大きな力は、全て係合方向の力である。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
スペーサーの数が1個の場合、スリーブの外側に位置するスペーサーが、ホーゼル孔の逆テーパー内面に係合する。この場合、スペーサーと逆テーパー内面との間で逆テーパー嵌合が形成される。また、スリーブとスペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。これらの逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
スペーサーの数が2個の場合、第2スペーサー(最も外側に位置するスペーサー)が、ホーゼル孔の逆テーパー内面に係合する。この場合、第2スペーサーと逆テーパー内面との間で逆テーパー嵌合が形成される。また、第1スペーサーと第2スペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。また、スリーブと第1スペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。これらの逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
このように、スペーサーの有無及び数に関わらず、シャフトの回り止め及び抜け止めが達成される。
ホーゼル孔の逆テーパー内面の断面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー内面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、ホーゼル孔と逆テーパー係合部との間の相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー内面の断面形状は、多角形(略多角形を含む)である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。長さ調整機構の観点から、好ましくは、Nが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。長さ調整機構を考慮すると、八角形及び十二角形が好ましく、八角形がより好ましい。より好ましくは、逆テーパー内面の断面形状は、正多角形(略正多角形を含む)である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。正八角形及び正十二がより好ましく、正八角形が更に好ましい。
ホーゼル孔の逆テーパー内面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、ホーゼル孔の逆テーパー内面は、角錐内面とされるのが好ましい。この角錐内面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。長さ調整機構の観点から、八角錐面及び十二角錐面がより好ましく、八角錐面が更に好ましい。
上述の通り、本発明のクラブはスリーブを有する。スリーブの内面(シャフト孔)は、当該スリーブに挿入されるシャフトの先端部と同じ形状を有する。通常、このシャフト孔の断面形状は円形である。典型的には、スリーブの内面(シャフト孔)とシャフトの外面とが接着剤によって接着される。
スリーブの外面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スリーブの外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スリーブと当接部分との相対回転を防止する。この当接部分とは、スペーサーの内面又はホーゼル孔の逆テーパー内面である。スペーサーが複数である場合、この当接部分とは、最も内側のスペーサーの内面である。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、多角形(略多角形を含む)である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。長さ調整機構を考慮すると、八角形及び十二角形が好ましく、八角形がより好ましい。好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、正多角形(略正多角形を含む)である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、正八角形及び正十二角形がより好ましく、正八角形が更に好ましい。
スリーブの外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、スリーブの外面は、角錐外面とされるのが好ましい。この角錐外面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。長さ調整機構の観点から、八角錐面及び十二角錐面が好ましく、八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは1以上のスペーサーを有していてもよい。スペーサーの内面は、当該スペーサーの内側にはめ込まれる部材(内側部材)の外面と同じ形状を有するのが好ましい。なおここにいう「同じ形状」とは、長さ調整機構の有無に伴う差異を考慮しない概念である。上記内側部材とは、スリーブ又は他のスペーサーである。
スペーサーの内面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スペーサーの内面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スペーサーと上記内側部材との相対回転を防止する。スペーサーが複数である場合、この内側部材とは、他のスペーサーである。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、多角形(略多角形を含む)である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、八角形及び十二角形が好ましい。より好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、正多角形(略正多角形を含む)である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、正八角形及び正十二角形がより好ましく、正八角形が更に好ましい。
スペーサーの内面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、スペーサーの内面は、角錐内面とされるのが好ましい。この角錐内面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。長さ調整機構の観点から、八角錐面及び十二角錐面がより好ましく、八角錐面が更に好ましい。
スペーサーの外面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スペーサーの外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スペーサーと当接部分との相対回転を防止する。この当接部分とは、他のスペーサーの内面又はホーゼル孔の逆テーパー内面である。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スペーサーの外面の断面形状は、多角形(略多角形を含む)である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。長さ調整機構を考慮すると、八角形及び十二角形が好ましく、八角形がより好ましい。好ましくは、スペーサーの外面の断面形状は、正多角形(略正多角形を含む)である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、正八角形及び正十二角形がより好ましく、正八角形が更に好ましい。
スペーサーの外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー内面との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー内面との面接触を確実とする観点から、スペーサーの外面は、角錐外面とされるのが好ましい。この角錐外面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。長さ調整機構の観点から、八角錐面及び十二角錐面がより好ましく、八角錐面が更に好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは、逆テーパー係合部を有する。逆テーパー係合部はスリーブのみから構成されていてもよいし、スリーブと1以上のスペーサーとから構成されていてもよい。スペーサーが用いられていない場合、逆テーパー係合部の外面はスリーブの外面である。1個のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面はそのスペーサーの外面である。2個以上のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面は、最も外側のスペーサーの外面である。
逆テーパー係合部の外面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー係合部の外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、逆テーパー係合部と逆テーパー内面との相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、多角形である。この多角形(略多角形を含む)として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。長さ調整機構の観点から、八角形及び十二角形が好ましく、八角形がより好ましい。より好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、正多角形(略正多角形を含む)である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。長さ調節機構の観点から、正八角形及び正十二角形が好ましく、正八角形がより好ましい。
逆テーパー係合部の外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー内面との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー内面との面接触を確実とする観点から、逆テーパー係合部の外面は、角錐外面とされるのが好ましい。この角錐外面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。長さ調整機構の観点から、八角錐面及び十二角錐面がより好ましく、八角錐面がより好ましい。
上述したNのぞれぞれは、3以上の整数であるのが好ましい。
このように、必要に応じてスペーサーが介在されつつ、スリーブと逆テーパー内面とで逆テーパー嵌合が形成されている。係合解除方向の力により、この逆テーパー嵌合の解除は容易である。同時に、係合方向の力により、この逆テーパー嵌合の形成は容易である。ヘッドに対するシャフトの取り付け及び取り外しは容易である。
なお、ゴルフルールの観点から、上記脱落防止部は、素手で解除できないように構成されるのが好ましい。ゴルフルールの観点から、上記脱落防止部には、専用の工具が必要とされるのが好ましい。
スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
スペーサーの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。成形性の観点からは、樹脂が好ましい。
上述の通り、上記各実施形態のゴルフクラブは、シャフト軸線の位置及び/又は角度を調節しうる調節機構と、クラブ長さを調節しうる調節機構とを有する。この調節機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしているのが好ましい。即ち、この調節機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調節性」で規定される要件を満たしているのが好ましい。この「1b 調節性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調節できるものでないこと。
(ii)調節可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調節後のすべての形状が規則に適合すること。
通常のゴルフクラブは、フェラルを有する。しかし、本実施形態に係るゴルフクラブにおいて、フェラルは、逆テーパー係合部と逆テーパー内面とのはめ合いにおいて障害となりうる。またフェラルは、スペーサーをシャフト上で移動させる際にも障害となりうる。よって、このゴルフクラブは、フェラルを有さないのが好ましい。フェラルに近い外観を得る観点から、係合状態においてスリーブの上端部がホーゼル端面よりも上側に露出しているのが好ましい。また、スペーサーを有する場合、係合状態においてスリーブの上端部及びスペーサーの上端部がホーゼル端面よりも上側に露出しているのが好ましい。この場合、スリーブの上端はスペーサーの上端よりも上側であるのがより好ましい。これらの露出部分は、フェラルに近い外観を呈しうる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
実施例1として、上述のゴルフクラブ100と同じゴルフクラブが作製された。
公知の方法で、チタン合金製のヘッドを得た。ホーゼル孔の逆テーパー内面は、鋳造によって形成された後、NC加工によって所定の寸法に仕上げられた。スリーブの材質は、アルミニウム合金とされた。スリーブは、NC加工により製造された。シャフトの先端部に上記スリーブを接着剤で固定して、シャフトアッセンブリを得た。
図4で説明した手順に従って、上記シャフトアッセンブリを上記ヘッドに装着し、係合状態のゴルフクラブを得た。このゴルフクラブで実際にボールを打ったところ、抜け止め及び回り止めが完全に機能し、通常のゴルフクラブと同様の打撃が得られた。また、脱落防止部により、ホーゼル孔と逆テーパー係合部との逆テーパー嵌合は維持された。アドレス時にソール面を地面に当接させた際にも、逆テーパー嵌合は維持された。
逆テーパー嵌合を一旦解除し、シャフトアッセンブリを回転させ、再び逆テーパー嵌合の状態を形成した。これにより、、第1状態と第2状態との相互移行が実現した。クラブ長さの変更は容易であった。
[実施例2]
実施例2として、上述のゴルフクラブ600と同じゴルフクラブが作製された。
公知の方法で、チタン合金製のヘッドを得た。ホーゼル孔の逆テーパー内面は、鋳造によって形成された後、NC加工によって所定の寸法に仕上げられた。スリーブの材質は、アルミニウム合金とされた。スリーブは、NC加工により製造された。スペーサーの材質は、アルミニウム合金とされた。スペーサーの製法は、NC加工であった。シャフトとして、公知のカーボンシャフトが用いられた。このシャフトを上記スペーサーに通した後、このシャフトの先端部に上記スリーブを接着剤で固定して、シャフトアッセンブリを得た。
図12で説明された手順に従って、上記シャフトアッセンブリを上記ヘッドに装着し、係合状態のゴルフクラブを得た。のゴルフクラブで実際にボールを打ったところ、抜け止め及び回り止めが完全に機能し、通常のゴルフクラブと同様の打撃が得られた。また、脱落防止部により、ホーゼル孔と逆テーパー係合部との逆テーパー嵌合は維持された。アドレス時にソール面を地面に当接させた際にも、シャフトアッセンブリの脱落は生じず、逆テーパー嵌合が維持された。
逆テーパー嵌合を一旦解除し、スリーブ及びスペーサーを回転させることで、クラブ長さの調整及びシャフト角度の調整が実現した。これらの調整は容易であった。