JP5237928B2

JP5237928B2 - ゴルフクラブヘッド

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Publication number: JP5237928B2
Application number: JP2009289440A
Authority: JP
Inventors: 智哉平野
Original assignee: Dunlop Sports Co Ltd
Current assignee: Dunlop Sports Co Ltd
Priority date: 2009-12-21
Filing date: 2009-12-21
Publication date: 2013-07-17
Anticipated expiration: 2029-12-21
Also published as: US20110152001A1; US8591352B2; JP2011125623A

Description

本発明は、比重が大きい錘部材と、比重が小さい軽量部材との位置を交換することで、重心の位置を大きく変化させることができるゴルフクラブヘッドに関する。

ゴルフクラブヘッドの性能は、重心位置を変えることにより、大きく変化する。例えば、クラブヘッドの重心と、クラブフェースのスイートスポットとの距離である重心深度が浅い（小さい）ヘッドの場合、ヘッドの向きを変えやすく、ひいてはゴルファは、打球の方向を自在に操り易い。他方、重心深度が深い（大きい）ヘッドの場合、ミスショット時でもヘッドの向きが変わりにくいため、打球の方向性を安定させやすい。従って、近年では、ゴルファのコンディションやコースレイアウト等に応じて、ゴルファが、予めクラブヘッドの重心を自由に変えることができるいわゆるカスタムフィッティング仕様のゴルフクラブヘッドが提案されている。

下記特許文献１には、このようなゴルフクラブヘッドが提案されている。該ゴルフクラブヘッドは、凹部が形成されたヘッド本体と、前記凹部に収容される錘と、この錘の収容位置を調整する緩衝材とを含んで構成されている。

特開２００４−１５９６８０号公報

しかしながら、特許文献１のゴルフクラブヘッドでは、錘及び緩衝材の形状や大きさに関して具体的に記載されていないので、ゴルフクラブヘッドの重心位置を大きく変更させることについてはさらなる改善の余地があった。

本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、比重が大きい錘部材と、この錘部材よりも比重が小さい軽量部材との長さをそれぞれ規定するとともに、これらの位置を交換可能とすることで、重心の位置を大きく変化させることができるゴルフクラブヘッド、特にウッド型ゴルフクラブヘッドを提供することを主たる目的としている。

また本発明のうち請求項１記載の発明は、内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、ヘッド外面で開口する挿入口を有するとともに前記中空部内をのびる有底かつ円筒状の凹部を有する筒状部と、前記凹部に挿入されることによりヘッドの重心を調節する重心調整体と、前記挿入口に装着されかつ前記重心調整体を前記凹部から抜け止めするカバー体とを含み、前記重心調整体は、前記凹部の軸方向に沿った長さＬ２を有しかつ比重が大きい錘部材と、この錘部材よりも比重が小かつ前記長さＬ２よりも大きい軸方向の長さＬ１を有する軽量部材とを含み、かつ前記錘部材と前記軽量部材とは、互いの位置を交換可能であり、前記錘部材は、半円柱状で構成され、前記軽量部材は、前記錘部材と接合されて円柱状をなす半円柱状をなす第１の部分を含むことを特徴とする。

本発明のゴルフクラブヘッドは、ヘッド外面で開口する挿入口を有するとともに中空部内をのびる有底の凹部を有する筒状部と、前記凹部に挿入されることによりヘッドの重心を調節する重心調整体とを含む。また、重心調整体は、長さＬ２を有しかつ比重が大きい錘部材と、この錘部材よりも比重が小かつ長さＬ２よりも大きい長さＬ１を有する軽量部材とを含む。さらに、前記錘部材と前記軽量部材とは、ヘッド互いの位置を交換可能に設けられる。このようなゴルフクラブヘッドは、重心調整体の相互の位置交換により、ヘッド重心の変化により大きく寄与しうる比重が大きい錘部材の重心移動量をより大きく確保することができる。従って、ヘッドの重心位置を大きく変化させること（調節）ができ、カスタムフィッティング性に優れたゴルフクラブヘッドを提供できる。

本発明の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの基準状態の正面図である。図１のＡ−Ａ断面図である。図１のＢ−Ｂ断面図である。図１の背面図である。図１の分解斜視図である。（ａ）は、重心深度が深いゴルフクラブヘッド、（ｂ）は、重心深度が浅いゴルフクラブヘッドを表す断面図である。（ａ）は、本実施形態の軽量部材を示す斜視図、（ｂ）は、他の実施形態の軽量部材を示す斜視図である。は、重心調整体を筒状部に固定する前の側面断面図である。（ａ）乃至（ｃ）は、本発明の他の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの斜視図である。（ａ）は、錘部材の他の実施形態、（ｂ）は、錘部材及び軽量部材の他の実施形態を示す斜視図である。（ａ）は、本発明の他の実施形態を示す重心調整体の斜視図、（ｂ）は、さらに他の実施形態を示す重心調整体の斜視図である。

以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図１乃至４には、本実施形態のゴルフクラブヘッド（以下、単に「ヘッド」又は「クラブヘッド」ということがある。）１の基準状態が示される。ここで、クラブヘッド１の基準状態とは、ヘッド１をそのライ角α及びロフト角β（図２に示す）に保持して水平面ＨＰに接地させた状態とする。特に言及されていない場合、クラブヘッド１は、この基準状態にあるものとする。

本実施形態のクラブヘッド１は、ボールを打撃するフェース２を前面に有するフェース部３と、前記フェース２の上縁２ａに連なりヘッド上面をなすクラウン部４と、前記フェース２の下縁２ｂに連なりヘッド底面をなすソール部５と、前記クラウン部４と前記ソール部５との間を継ぎかつフェース２のトウ側縁２ｃからバックフェースＢＦを通ってヒール側縁２ｄにのびるサイド部６と、クラウン部４のヒール側に設けられかつ図示しないシャフトが装着されるシャフト差込孔７ａを有するホーゼル部７とを含む。なお、シャフト差込孔７ａの軸中心線ＣＬは、ライ角を定める際にシャフトの軸線として代用される。

前記クラブヘッド１は、図２又は図３に示されるように、内部には中空部ｉが設けられた中空構造を有し、好ましくは、ドライバー（＃１）又はフェアウェイウッドといったウッド型として作られる。

前記クラブヘッド１は、本実施形態では金属材料から構成される。金属材料としては、特に限定はされないが、例えばアルミニウム合金、チタン合金、ステンレス鋼などの各種の材料が使用できる。このようなヘッド１は、２種以上の部品を鍛造、鋳造又はプレス加工などによって成形するとともに、これらを溶接、接着、カシメ又はロウ付け等の各種の接合手段により固着することにより製造できる。本実施形態のヘッド１は、図５に示されるように、前記フェース部３の主要部を構成する例えばチタン合金の圧延材等からなるフェース板１ａと、このフェース板１ａと溶着される開口部Ｏが前面に設けられたロストワックス精密鋳造品からなるヘッド本体１ｂとから構成されたものが示されている。

また、前記クラブヘッド１の体積は、大きな慣性モーメント、打球の方向性の改善及びスイングバランスの向上の観点より、好ましくは３８０cm³ 以上、より好ましくは４００cm³以上が望ましく、また、好ましくは４６０cm³以下、より好ましくは４５０cm³以下が望ましい。同様の観点より、ヘッドの全質量は、好ましくは１７５ｇ以上、より好ましくは１８０ｇ以上が望ましく、また、好ましくは２２０ｇ以下、より好ましくは２１５ｇ以下が望ましい。

また、図２〜４に示されるように、本実施形態のクラブヘッド１は、ヘッド外面１Ａで開口する挿入口１２と有底の凹部１１とを有する筒状部１０と、前記凹部１１に挿入されることによりヘッド１の重心を調節する重心調整体１４と、前記挿入口１２に装着されるカバー体１３とを含んで構成される。

前記筒状部１０は、図２に示されるように、前記ソール部５の内面に例えば鋳造により一体成形されている。このような筒状部１０は、打球時の衝撃等によってソール部５から外れることがない点で好ましい。

また、本実施形態の筒状部１０は、ヘッド１の前後方向にのびており、その前端は、フェース２の裏面に接触することなく、中空部ｉ内で終端している。また、筒状部１０の後端は、サイド部６と一体に接続されて開口している。これにより、筒状部１０の内部には、サイド部６のバックフェースＢＦ側のヘッド外面１Ａで開口する挿入口１２からフェース２側の底部１１ｂまでのびる凹部１１が区画される。

本実施形態の凹部１１は、略円筒状の空間であり、その内周面はほぼ平滑な表面で形成されている。ただし、凹部１１の挿入口１２から一定の軸方向の距離Ｌｉの後端側の内周面には、雌ねじ部１１ｎ(図８に示す)が形成されている。

また、図３に示される基準状態の平面視において、本実施形態の筒状部１０は、凹部１１の軸方向（長手方向とも言え、以下同様である。）が、フェース２に対して略直角の向きで直線状にのびている。なお、前記「略直角」とは、基準状態の平面視において、シャフト差込孔７ａの軸中心線ＣＬが配される垂直面ＶＰと、筒状部１０の軸方向線とのなす角度θが９０±１０度を少なくとも包含する。

前記重心調整体１４は、図５及び図６（ａ）に示されるように、比重が大きい錘部材１５と、この錘部材１５よりも比重が小さい軽量部材１６と、前記錘部材１５よりも低比重でかつ錘部材１５及び前記軽量部材１６よりも低弾性の弾性部材１７とを含んでいる。

前記錘部材１５は、重心調整体１４の中でも最も大きな比重かつ質量を有する。本実施形態の錘部材１５は、前記凹部１１に挿入可能な略円柱状で形成されており、凹部１１の軸方向に沿った長さＬ２を有する。他方、前記軽量部材１６は、錘部材１５の前記長さＬ２よりも大きい軸方向の長さＬ１を有している。

また、図６（ａ）、（ｂ）に示されるように、錘部材１５と軽量部材１６とは、互いの位置を交換可能に凹部１１内に配置できる。勿論、弾性部材１７も含めれば、重心調整体１４の３つの部材１５乃至１７は、６通りの配置順で凹部１１内に収容される。

前記カバー体１３は、本実施形態では、略円盤状をなし、その外周面には、凹部１１に設けられた雌ねじ部に螺着される雄ねじ部１３ｓが形成される。また、カバー体１３のヘッド外面１Ａ側には、図４に示されるように、例えば六角ボルト、ドライバー又は専用工具などで回転可能にできる例えば六角形状の溝部１３ａが設けられるのが望ましい。

このようなカバー体１３は、ヘッド外側より凹部１１の挿入口１２に容易に取り付けされ、かつ、ヘッド本体１ｂに一体に固着される。とりわけ、ゴルファ自身の手によりカバー体１３の取付け、取り外しが容易に行えるため、重心調整体１４をゴルファの好みの位置に調整できる。また、雌ねじ部の軸方向の形成長さ等が予め規制されることにより、カバー体１３のねじ込み量（凹部１１内への軸方向の進入量）も一定範囲に規制される。従って、カバー体１３は、凹部１１内に予め挿入されている重心調整体１４を過度に圧縮させることはない。

なお、カバー体１３の挿入口１２への装着は、容易に脱落しないものであれば、このようなネジ手段に限定されるものではなく種々の態様に変形でき、例えば、ばね等の圧縮力を用いたワンプッシュ継手接続なども好適に用い得る。

以上のように構成されたゴルフクラブヘッド１は、凹部１１内に、重心調整体１４が所定の配置パターンで挿入され、かつ、カバー体１３が挿入口１２に装着されることにより完成する。そして、重心調整体１４の錘部材１５と軽量部材１６との相互の位置を交換することにより、ヘッド重心を大きく変化させることができる。即ち、ヘッド重心の変化により大きく寄与しうるのは、比重が大きい錘部材１５であるため、その長さＬ２を相対的に小さく、かつ、軽量部材１６の長さＬ１を相対的に大きくすることにより、これら相互の位置によって錘部材１５自体の重心位置をより大きく移動させ、ひいてはヘッド１の重心の位置を大きく変化させることができる。

例えば、図６（ａ）に示されるように、凹部１１内に、比重の小さい軽量部材１６をフェース２側に、かつ、比重が大きい錘部材１５をバックフェース側にそれぞれ配置することにより、重心深度が深い（大きい）クラブヘッド１が得られる。逆に、図６（ｂ）に示されるように、比重の大きい錘部材１５をフェース２側に、かつ、比重が小さい軽量部材１６をバックフェース側にそれぞれ配置することにより、重心深度が浅い（小さい）クラブヘッド１が得られる。なお、重心深度は、図６に示されるように、基準状態において、ヘッド重心とリーディングエッジ（ヘッド１の最も前方の位置）との間の水平距離ＧＬとする。

このように本発明のゴルフクラブヘッド１は、長さの大小関係が規定された重心調整体１４の錘部材１５と軽量部材１６との位置を変えることにより、大きな重心移動を実現でき、カスタムフィッティング性に優れる。とりわけ、前記長さの比Ｌ１／Ｌ２は、好ましくは２．０以上、より好ましくは３．０以上とすることで、より大きな重心の変化量（例えば２０mm以上）を得ることができる点で望ましい。

また、前記凹部１１の軸方向の長さＬは、好ましくは５５mm以上、より好ましくは６０mm以上が望ましく、また好ましくは１００mm以下、より好ましくは９０mm以下が望ましい。このように、凹部１１の長さＬを十分に大きく確保することにより、ヘッド１の重心位置を大きく変更するのに効果的である。なお、凹部１１の長さＬは、該凹部１１の底部１１ｂから挿入口１２に装着された状態でのカバー体１３の前端までの長さ、即ち、雌ねじ部を含まない重心調整体１４を収容しうる実効収容長さとする。

また、前記錘部材１５の軸方向の長さＬ２も、特に限定されるものではないが、大きすぎると軽量部材１６と互いの位置を交換しても、重心位置を大きく調整しづらい傾向があり、逆に小さすぎても錘部材１５自体が小さくなって重心位置を調整しづらい傾向にある。このような観点により、前記錘部材１５の長さＬ２は、好ましくは７mm以上、より好ましくは９mm以上が望ましく、また好ましくは２５mm以下、より好ましくは２３mm以下が望ましい。

また、前記錘部材１５の比重ρｏ及び／又は質量Ｗｏは、小さすぎると、その位置を変えてもヘッド１の重心を大きく変更できないおそれがあり、逆に、大きすぎると、クラブヘッド１自体の質量が過度に大きくなり、スイングバランスが悪化するおそれがある。このような観点により、前記錘部材１５の比重ρｏは、好ましくは６．０以上、より好ましくは７．０以上が望ましく、また好ましくは１８．０以下、より好ましくは１６．０以下が望ましい。同様に、錘部材１５の質量Ｗｏは、好ましくは８．０ｇ以上、より好ましくは９．５ｇ以上が望ましく、また好ましくは２０．０ｇ以下、より好ましくは１８．０ｇ以下が望ましい。

上述のような錘部材１５としては、例えば、ステンレス、タングステン、タングステン合金、銅合金、ニッケル合金などの１種又は２種以上の金属材料が好適である。

また、前記軽量部材１６の長さＬ１は、位置交換時における錘部材１５の十分な移動量を確保するために、好ましくは３０mm以上、より好ましくは３５mm以上が望ましい。他方、雌ねじ部を除いた凹部１１の長さＬには限りがあるため、軽量部材１６の長さＬ１が過度に大きくなると、錘部材１５の長さＬ２が過度に小さくなるおそれがある。このような観点より、軽量部材１６の長さＬ１は、好ましくは７０mm以下、より好ましくは６５mm以下が望ましい。

さらに、軽量部材１６の比重ρｋ及び質量Ｗｋは、錘部材１５により多くの重量を配分しうるよう小さいほど好ましいが、十分な強度と適度な剛性を発揮させるために、比重ρｋは、好ましくは０．９以上が望ましく、また好ましくは１．７以下が望ましい。同様に、軽量部材１６の質量Ｗｋは、好ましくは２．５ｇ以上が望ましく、また好ましくは４．５ｇ以下が望ましい。

また、軽量部材１６の硬さについては、小さすぎると、カバー体１３の装着により、軽量部材１６が容易に塑性変形し、凹部１１内での位置が安定しないおそれがある。このような観点より、軽量部材１６のショアＤ硬度Ｈｋは、好ましくは６０度以上、より好ましくは６７度以上が望ましい。なお、軽量部材１６のショアＤ硬度Ｈｋの上限は、概ね９５度以下、より好ましくは９０度以下とする。

軽量部材１６の形状も、特に限定されるものではないが、例えば、図７（ａ）に示されるように、円柱状体の外側面に、軸方向にのびる複数の凹溝１６ｇが形成された柱状が好適である。この実施形態においては、軽量部材１６は、断面略十字状の柱状で形成されている。このような軽量部材１６は、体積が小さく軽量化であり、より多くの重量マージンを確保して、大きな錘部材１５の装着が可能とする点で望ましい。また、図７（ｂ）に示されるように、軽量部材１６は、内部に中空部ｋを有する中空体として形成されても良い。このような軽量部材１６も効果的に軽量化を実現できる。

さらに、軽量部材１６の軽量化を図りつつ適度な剛性を確保するために、断面積Ｓｋと、凹部１１の断面積Ｓｂとの比Ｓｋ／Ｓｂは、好ましくは０．４５以上、より好ましくは０．５以上が望ましく、また好ましくは０．８以下、より好ましくは０．７５以下が望ましい。

以上のような軽量部材１６には、軽量かつ適度な剛性を有する材料として、例えば、ポリエチレン（ＰＥ)、ポリアミド（ナイロン樹脂）、ポリウレタン（ＰＵ)、フッ素系樹脂（テフロン（登録商標））などの樹脂材料が好ましい。

本実施形態の重心調整体１４は、凹部１１に挿入される前の自由状態において、錘部材１５の長さＬ２と、軽量部材１６の長さＬ１と、弾性部材１７の長さＬ３との合計長さ（Ｌ１＋Ｌ２＋Ｌ３）は、凹部の雌ねじ部１１ｎを除いた長さＬよりも大である。このため、重心調整体１４を凹部１１内に収容し、かつ、カバー体１３を挿入口１２に装着することにより、重心調整体１４には圧縮力が生じる。これにより、最も低弾性である弾性部材１７が軸方向で最も大きく弾性域で圧縮変形し、この弾性部材１７の反力により、錘部材１５及び軽量部材１６が強固に凹部１１内で位置固定される。従って、本実施形態のクラブヘッド１では、上述の大きな重心調節を確保しつつ、打球時の衝撃による錘部材１５及び／又は軽量部材１６の位置ズレをも確実に防ぎ、ひいてはスイング時の異音の発生（音鳴り）を効果的に抑制できる。

前記重心調整体１４をより安定的に固定させるために、弾性部材１７の圧縮前の長さＬ３と、圧縮後の長さＬ３’との比Ｌ３’／Ｌ３は、一定範囲に規制されるのが望ましい。即ち、前記比Ｌ３’／Ｌ３が過度に小さくなる場合、弾性部材１７の剛性が非常に小さいと考えられ、錘部材１５及び軽量部材１６の位置が安定せず、スイング時の遠心力等によって音鳴りが生じるおそれがある。逆に、前記比Ｌ３’／Ｌ３が大きすぎる場合、弾性部材１７から十分な反力が得られにくく、やはり音鳴りを抑制できない傾向にある。このような観点により、前記比Ｌ３’／Ｌ３は、好ましくは０．４０以上、より好ましくは０．４３以上が望ましく、さらに好ましくは０．４５以上が望ましく、また好ましくは０．７０以下、より好ましくは０．６７以下が望ましく、さらに望ましくは０．６５以下が望ましい。

また、重心調整体１４（錘部材１５及び軽量部材１６）を安定的に固定させるために、弾性部材１７の軸方向長さＬ３は、好ましくは３mm以上、より好ましくは３．８mm以上が望ましい。他方、弾性部材１７の前記長さＬ３が過度に大きくなると、他の重心調整体１４の長さが減じられるため、好ましくは７．５mm以下、より好ましくは６．７mm以下が望ましい。とりわけ、弾性部材１７の長さＬ３は、錘部材１５の長さＬ２よりも小さいことが望ましい。

また、弾性部材１７は、軸方向に圧縮されるので、図８に示されるように、圧縮される前の状態において、凹部１１の断面積よりも小さい断面積を有し、凹部１１との間に隙間Ｓが形成されるのが望ましい。これにより、カバー体１３の装着による圧縮力により、弾性部材１７は径方向に膨張でき、容易に圧縮される。従って、隙間Ｓが形成された弾性部材１７は、錘部材１５及び軽量部材１６をより強固に固定する。

前記弾性部材１７は、前記カバー体１３の装着による圧縮力により弾性変形するものであれば特に限定されるものではないが、例えばＮＢＲやＩＲを架橋剤により加硫している加硫ゴム、シリコンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等のソフトセグメントとハードセグメントとからなる熱可塑性エラストマー又はナイロン等の熱可塑性エラストマーが望ましい。また、２種以上のポリマーを混合または化学結合させて得られたポリマーアロイでもよい。

前記弾性部材１７も、錘部材１５により多くの重量を配分しうるよう小さいほど好ましいが、十分な強度と適度な剛性を発揮させるために、その比重ρｄは、好ましくは０．９以上が望ましく、また好ましくは１．７以下が望ましい。同様に、弾性部材１７の質量Ｗｄは、好ましくは２．５ｇ以上かつ４．５ｇ以下が望ましい。さらに、弾性部材１７のショアＡ硬度Ｈｄは、好ましくは３５度以上、より好ましくは４５度以上が望ましく、また好ましくは７５度以下、より好ましくは６７度以下が望ましい。

前記カバー体１３の凹部の軸方向に沿った長さＬ４は、特に限定されるものではないが、大きすぎると重心調整体１４の長さが相対的に小さくなり、大きな重心の変化が得られにくい傾向があり、逆に小さすぎるとカバー体１３を凹部１１の雌ねじ部１１ｎに装着しづらい傾向がある。このような観点より、前記カバー体１３の長さＬ４（図８に示す）は、好ましくは４mm以上、より好ましくは４．７mm以上が望ましく、また好ましくは１０mm以下、より好ましくは９．３mm以下が望ましい。また、前記雌ねじ部１１ｎの軸方向の距離Ｌｉは、同様の観点により、前記長さＬ４と実質的に等しいのが好ましい。即ち、前記距離Ｌｉは、好ましくは４mm以上、より好ましくは４．７mm以上が望ましく、また好ましくは１０mm以下、より好ましくは９．３mm以下が望ましい。

また、カバー体１３は、重心調整体１４に生じさせる圧縮力の反力を受ける。このため、カバー体１３も所定の強度が求められる。このような観点により、前記カバー体１３の比重ρｃは、好ましくは４．０以上、より好ましくは４．４以上が望ましく、また好ましくは８．５以下、より好ましくは８．１以下が望ましい。また、質量Ｗｃは、好ましくは１．５ｇ以上が望ましく、また好ましくは３．５ｇ以下が望ましい。

本発明は、種々の態様に変形して実施することができる。
例えば、図２及び５に示したように、筒状部１０の中空部ｉに面する壁面１０ｈには、開口部１９が設けられるのが望ましい。これにより、筒状部１０を設けた場合でもクラブヘッド１の質量増加が抑制される。

本実施形態の開口部１９は、軸方向にのびる横長状である。前述の作用を有効に発揮させるため、開口部１９の軸方向長さＬｏは、凹部１１の前記長さＬの０．３０〜０．７５倍程度、より好ましくは０．３８〜０．６７倍程度が望ましい。

また、図９（ａ）乃至（ｃ）に示されるように、筒状部１０は、その個数や軸方向の位置に関して、種々の変更が可能である。

例えば、図９（ａ）の実施形態では、筒状部１０が、トウ側に配された第１の筒状部１０ａと、ヒール側に配された第２の筒状部１０ｂとを含む複数個（この例では２つ）が設けられている。このようなクラブヘッド１は、個々の筒状部１０ａ、１０ｂそれぞれにて重心調整体１４の配置パターンを変えることができるため、より深い又はより浅い重心深度のクラブヘッド１を形成できる。また、一方の筒状部１０ａに挿入される錘部材（図示せず）と、他方の筒状部１０ｂに挿入される錘部材（図示せず）とは、同じ形状である必要はなく、異なる形状（質量）でも良いのは言うまでもない。

また、図９（ｂ）の実施形態では、筒状部１０は、その軸方向がトウ・ヒール方向に沿って配置されている。このようなクラブヘッド１は、重心位置をヒール側又はトウ側へ大きく移動させるのに役立つ。このようなクラブヘッド１は、インパクト時のフェース２の開きを抑えたり、又は早めたりすることが可能になるので、スライスやフックボールを容易に打ち分けるのに役立つ。

また、図９（ｃ）の実施形態では、前記筒状部１０は、その長手方向が、上下方向にのびる。このようなクラブヘッド１は、重心位置を上下に調節でき、高弾道のボールや低弾道のボールを打ち分けるのに役立つ。

さらに、図１０（ａ）には、錘部材１５の他の実施形態が示される。この実施形態の錘部材１５は、比重が異なる２種の材料で構成され、第１部分１５ａと、該第１部分１５ａよりも高比重の第２部分１５ｂとから構成されている。この実施形態では、第１部分１５ａ及び第２部分１５ｂは、それぞれ錘部材１５の直径線で分割された半円柱状で構成され、これらを接合一体化することにより、錘部材１５が形成されている。このような錘部材１５は、例えば図１の実施形態のクラブヘッド１に装着し、その軸線廻りの位置を変える（回転させる）ことにより、錘部材１５の重心の高さについても変化させることができる。従って、前後方向及び上下方向同時にヘッドの重心を変更することができる。

図１０（ｂ）には、錘部材１５及び軽量部材１６の他の実施形態が示される。この実施形態の錘部材１５は、半円柱状で構成される。また、軽量部材１６は半円柱状をなす第１の部分１６ｘと、円柱状をなす第２の部分１６ｙとから構成される。これら錘部材１５及び軽量部材１６を接合一体化することにより、一つの円柱状が形成される。従って、この実施形態の錘部材１５及び軽量部材１６を例えば図１の実施形態のクラブヘッド１に装着すると、重心深度を容易に大きく変化できるだけでなく、一つの円柱状を回転させることにより、重心の高さについても変化させることができる。なお、前記錘部材１５及び軽量部材１６は、このような形状に限定されるものではなく、錘部材１５及び軽量部材１６が組み合わさって柱状を形成する形状であればよい。

また、上記実施形態では、筒状部１０がヘッド本体１ｂと一体のものを示した。しかしながら、筒状部１０は、このような形態に限定されるわけではなく、例えばヘッド本体１ｂと別体で製造された後、溶接やネジ止め等によりソール部５に固着されたものでも良い。とりわけ、筒状部１０は、別体で形成される場合、ソール部５よりも比重の小さい材料から形成されるのが好適である。この場合、前記筒状部１０は、強度の確保及びヘッド１の質量増加を抑制する観点から、その比重ρｔは、好ましくは０．９以上、より好ましくは１．１５以上が望ましく、また好ましくは３．０以下、より好ましくは２．８以下が望ましい。

また、図１１（ａ）には、他の実施形態が示される。この実施形態では、ヘッドの重心を調節する重心調整体１４と、弾性部材１７とが前記凹部１１（図２に示す）に挿入され、カバー体１３は、ヘッド外側より凹部１１の挿入口１２（図２に示す）に取り付けされる。また、前記重心調整体１４は、凹部１１の軸方向に沿った長さＬ５を有し、かつ、該長さＬ５の中間位置よりも一端１４ａ側に重心Ｇ１を具える。このような重心調整体１４は、前記一端１４ａ側を前記凹部１１の底部１１ｂ側に向けて凹部１１内に配される第１の挿入向き（即ち、底部１１ｂ側に重心Ｇ１が配される）と、前記一端１４ａ側を前記凹部１１の挿入口１２側に向けて凹部１１内に配される第２の挿入向き（即ち、挿入口１２側に重心Ｇ１が配される）とが選択可能である。従って、このいずれかの挿入向きを選択することにより、ヘッド１の重心Ｇの位置を容易に調整することができる。

具体的には、重心調整体１４は、比重が大きい錘部材１５と、該錘部材１５よりも比重が小さい軽量部材１６とが一体に固着されて棒状に形成される。また、前記錘部材１５は、重心調整体１４の長さ方向の一端１４ａ側に配される本実施形態では、錘部材１５は、重心調整体１４の一端１４ａに面して配されている。

前記作用効果を有効に発揮させるために、錘部材の前記凹部１１の軸方向に沿った長さＬ２は、前記軽量部材１６の前記軸方向の長さＬ１よりも小さいのが望ましい。

また、図１１（ｂ）には、前記重心調整体１４のさらに好ましい態様が示される。具体的には、重心調整体１４は、軽量部材１６が、錘部材１５を被覆するとともに、前記一端１４ａ側とは反対側の他端１４ｂ側に中空部１８が設けられている。このような中空部１８が設けられた重心調整体１４は、軸方向に沿って質量の変化が大きく、さらに大きくヘッド１の重心位置を変化させることができるため望ましい。

上述の作用効果を発揮させるために、前記錘部材１５の比重は、１４．０以上が望ましく、また、１８．０以下が望ましい。また、錘部材１４の質量は、９．５ｇ以上が望ましく、また、１０．５ｇ以下が望ましい。

また、錘部材１５の前記長さＬ２は、前記中空部１８の前記凹部１１の軸方向長さＬ６よりも小さいのが望ましい。

以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく、必要に応じて種々の態様に変更しうる。例えば、上記実施形態では、ウッド型ゴルフクラブヘッドを例示したが、本発明は、ウッド型やパター型、ユーティリティー型など種々のタイプのクラブヘッドに適用し得るのは言うまでもない。

［参考例Ａ］
図１〜４のヘッド本体を基調としたウッド型ゴルフクラブヘッドが表１に基づき、試作された。各ヘッドは、Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ（比重４．４２）をロストワックス精密鋳造して成形された鋳造品からなるヘッド本体と、Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖのプレス成形品のフェース板とをプラズマ溶接により固着することにより形成された。主なヘッドの仕様は次の通りである。
ヘッド重量：１９５ｇ
ヘッド体積：４６０cm³
ロフト角：１０．５°
ライ角：５８．０°

また、重心調整体は、錘部材と軽量部材との２つとした。参考例、比較例とも、錘部材にはステンレス（比重７．８）が、また、軽量部材には、ポリエチレン（比重０．９４）がそれぞれ用いられ、いずれも円柱状に形成されている。また、参考例のものは、Ｌ１＞Ｌ２であり、比較例はＬ１＝Ｌ２である。ただし、いずれの態様も、Ｌ１＋Ｌ２は同一とした。さらに、参考例と比較例との錘部材は、同一質量となるように断面積（外径）を異ならせた。同様に、筒状部の肉厚及び内径を変化させ、ヘッド本体自体の質量及び重心が同一となるように調整された。また、カバー体は、ステンレスで形成され、参考例、比較例とも共通の質量とした。そして、「重心深度の変化量」として、筒状部の凹部に挿入される錘部材と軽量部材との位置を相互に交換して重心深度の差を測定した。数値が大きいほど、へッドの重心位置の変化を大きくすることができ、良好である。

テストの結果、参考例のものは、比較例に比べて、大きな重心変化が可能であることが確認できた。

［参考例Ｂ］
他の参考例として、図１〜４及び表２に基づき、ウッド型ゴルフクラブヘッドが試作された。ヘッド本体及びフェース板は、上記参考例と同一の構造である。また、参考例１３の筒状部の材料は１５−３−３−３Ｔｉであって、ヘッド本体にプラズマ溶接により固着された。なお、各材料のショアＡ硬度及びショアＤ硬度は以下の通りである（ショアＡ硬度は、ＡＳＴＭ−Ｄ２２４０に規定されるスプリング式硬度計ショアＡ型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計Ｐ１型を用いて測定された。また、ショアＤ硬度は、ＡＳＴＭ−Ｄ２２４０に規定されるスプリング式硬度計ショアＤ型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計Ｐ１型を用いて測定された。）。
シリコンゴム：Ａ６５°
ポリカーボネート：Ｄ９２°
ポリエチレン：Ｄ８０°
ポリウレタン：Ｄ７５°
また、各材料の比重は以下の通りである。
シリコンゴム：１．１６
ポリカーボネート：１．２０
ポリエチレン：０．９４
ポリウレタン：１．２０
ステンレス：７．８
Ｗ−Ｎｉ：１６．０

また、錘部材及びカバー体（Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ）は、ＮＣ加工による削り出しにより作製し、軽量部材及び弾性部材はインジェクション成形により作製された。

テスト方法は、前記重心深度の変化量に加え、錘部材と軽量部材との位置交換前後における打球時の音鳴りが評価された。音鳴りは、各供試ヘッドにシャフト（ＳＲＩスポーツ社製のＳＶ−３００５、フレックスＸ）を装着したゴルフクラブを試作し、これらをミヤマエ社製のスイングロボット（ＲＯＢＯ３−１）に装着し、フェース中央位置でボールをヘッドスピード５４ｍ／ｓで１０００回打撃し、その打撃中及び打撃完了後の重心調整体の音鳴りの有無が確認された。
テストの結果などを表２に示す。

テストの結果、参考例のヘッドは、いずれも重心深度の差が大きく、さらに音鳴りも解消されていることが確認できた。

１ゴルフクラブヘッド
１Ａヘッド外面
２フェース
３フェース部
４クラウン部
５ソール部
６サイド部
１０筒状部
１１凹部
１２挿入口
１３カバー体
１４重心調整体
１５錘部材
１６軽量部材
ｉ中空部

Claims

内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、
ヘッド外面で開口する挿入口を有するとともに前記中空部内をのびる有底かつ円筒状の凹部を有する筒状部と、
前記凹部に挿入されることによりヘッドの重心を調節する重心調整体と、
前記挿入口に装着されかつ前記重心調整体を前記凹部から抜け止めするカバー体とを含み、
前記重心調整体は、前記凹部の軸方向に沿った長さＬ２を有しかつ比重が大きい錘部材と、この錘部材よりも比重が小かつ前記長さＬ２よりも大きい軸方向の長さＬ１を有する軽量部材とを含み、かつ
前記錘部材と前記軽量部材とは、互いの位置を交換可能であり、
前記錘部材は、半円柱状で構成され、
前記軽量部材は、前記錘部材と接合されて円柱状をなす半円柱状をなす第１の部分を含むことを特徴とするゴルフクラブヘッド。