JP2018046766A - 核酸増幅反応容器、核酸増幅反応装置、および核酸増幅反応方法 - Google Patents
核酸増幅反応容器、核酸増幅反応装置、および核酸増幅反応方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】非特異的な増幅が生じることを抑制することができる核酸増幅反応容器を提供する。【解決手段】反応液が移動する流路を含み、前記流路は、第1領域と、前記第1領域と離間した第2領域と、を有し、前記第1領域には、プライマーが配置され、前記第2領域には、逆転写酵素が配置されている、核酸増幅反応容器。【選択図】図1
Description
本発明は、核酸増幅反応容器、核酸増幅反応装置、および核酸増幅反応方法に関する。
近年、遺伝子の利用技術の発展により、遺伝子診断や遺伝子治療など遺伝子を利用した医療が注目されている他、農畜産分野においても品種判別や品種改良に遺伝子を用いた手法が多く開発されている。遺伝子を利用するための技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法などの技術が広く普及している。今日では、PCR法は生体物質の情報解明において必要不可欠な技術となっている。
PCR法は、増幅の対象とする核酸(標的核酸)および試薬を含む溶液(反応液)に熱サイクルを施すことで、標的核酸を増幅させる手法である。熱サイクルは、2段階以上の温度を周期的に反応溶液に施す処理である。PCR法においては、2段階または3段階の熱サイクルを施す手法が一般的である。
核酸には、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)およびRNA(Ribo Nucleic Acid)の大きく2種類が存在する。標的核酸を含む鋳型核酸がRNAの場合、PCR(核酸増幅反応)の前に、逆転写反応(Reverse Transcription)により、RNAをcDNAに逆転写することが知られている(例えば特許文献1参照)。
ここで、PCRに用いられるプライマーは、温度が低いと、鋳型核酸に非特異的にアニーリング(標的配列以外の配列にアニーリング)しやすい。そのため、例えば、低温(例えば室温)から温度を上げて逆転写反応を行うと、プライマーが非特異的にアニーリングし、核酸増幅反応において非特異的な増幅(標的配列以外の配列が増幅すること)が生じる場合がある。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる核酸増幅反応容器を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記核酸増幅反応容器を含む核酸増幅反応装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記核酸増幅反応容器を用いた核酸増幅反応方法を提供することにある。
本発明に係る核酸増幅反応容器は、
反応液が移動する流路を含み、
前記流路は、
第1領域と、前記第1領域と離間した第2領域と、を有し、
前記第1領域には、プライマーが配置され、
前記第2領域には、逆転写酵素が配置されている。
反応液が移動する流路を含み、
前記流路は、
第1領域と、前記第1領域と離間した第2領域と、を有し、
前記第1領域には、プライマーが配置され、
前記第2領域には、逆転写酵素が配置されている。
このような核酸増幅反応容器では、例えば、第1領域においてプライマーを変性させた後に、第2領域において逆転写反応を行うことができる。したがって、核酸増幅反応容器では、逆転写反応において、プライマーの鋳型核酸への非特異的なアニーリングや、プライマー同士の結合であるプライマーダイマーを抑制することができる。よって、このような核酸増幅反応容器では、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第2領域には、ポリメラーゼが配置されていてもよい。
前記第2領域には、ポリメラーゼが配置されていてもよい。
このような核酸増幅反応容器は、第1領域および第2領域を所定の温度まで加熱する前の状態(低温(例えば室温)の状態)でポリメラーゼとプライマーとが共存する(接触する)ことがなく、所定の温度まで加熱した後にポリメラーゼとプライマーと接触させることができる。これにより、このような核酸増幅反応容器では、例えば低温の状態でプライマーが非特異的にアニーリングし伸長反応が起こって非特異的な増幅が生じることを、より確実に抑制することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第1領域に、プローブが配置されていてもよい。
前記第1領域に、プローブが配置されていてもよい。
このような核酸増幅反応容器では、核酸の増幅量を定量することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第1領域に、dNTPが配置されていてもよい。
前記第1領域に、dNTPが配置されていてもよい。
このような核酸増幅反応容器では、核酸増幅反応において、ポリメラーゼは、アニーリングしたプライマーの末端に、新たなDNAを形成することができる。また、逆転写反応において、逆転写酵素は、アニーリングしたプライマーの末端に、新たなDNAを形成することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第1領域に、バッファーが配置されていてもよい。
前記第1領域に、バッファーが配置されていてもよい。
このような核酸増幅反応容器では、反応液のpHを調整することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、乾燥状態で配置されていてもよい。
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、乾燥状態で配置されていてもよい。
このよう核酸増幅反応容器では、プライマーおよび逆転写酵素が液体の状態で配置されている場合に比べて、プライマーと逆転写酵素とを、より確実に互いに離間させた状態で配置させておくことができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、凍結乾燥状態で配置されていてもよい。
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、凍結乾燥状態で配置されていてもよい。
このよう核酸増幅反応容器では、プライマーおよび逆転写酵素が液体の状態で配置されている場合に比べて、プライマーと逆転写酵素とを、さらにより確実に互いに離間させた状態で配置させておくことができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第1領域は、標的核酸を導入する導入口と連通してもよい。
前記第1領域は、標的核酸を導入する導入口と連通してもよい。
このような核酸増幅反応容器では、標的核酸を導入口から第1領域へ導入することができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記反応液を、前記第1領域と前記第2領域との間で往復させて核酸増幅反応を行ってもよい。
前記反応液を、前記第1領域と前記第2領域との間で往復させて核酸増幅反応を行ってもよい。
このような核酸増幅反応容器では、反応液を第1領域と第2領域との間で往復させて、核酸を増幅させることができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記流路は、
前記第1領域および前記第2領域と離間した第3領域と、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域と離間した第4領域と、
を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、前記第1領域と前記第4領域との間の前記流路に位置し、
前記第2領域および前記第3領域は、屈曲した形状を有してもよい。
前記流路は、
前記第1領域および前記第2領域と離間した第3領域と、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域と離間した第4領域と、
を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、前記第1領域と前記第4領域との間の前記流路に位置し、
前記第2領域および前記第3領域は、屈曲した形状を有してもよい。
このような核酸増幅反応容器では、逆転写反応のための温度と、プライマーのアニーリングおよび伸長反応の温度と、を別々に設定することができ、効率よく逆転写反応および核酸増幅反応を行うことができる。
本発明に係る核酸増幅反応容器において、
前記第3領域は、前記流路において、前記第2領域よりも前記第4領域側に位置し、
前記反応液を、前記第3領域と前記第4領域との間で往復させて核酸増幅反応を行ってもよい。
前記第3領域は、前記流路において、前記第2領域よりも前記第4領域側に位置し、
前記反応液を、前記第3領域と前記第4領域との間で往復させて核酸増幅反応を行ってもよい。
このような核酸増幅反応容器では、反応液を第3領域と第4領域との間で往復させて、核酸を増幅させることができる。
本発明に係る核酸増幅反応装置は、
本発明に係る核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域および前記第2領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む。
本発明に係る核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域および前記第2領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む。
このような核酸増幅反応装置では、本発明に係る核酸増幅反応容器を含むため、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる。
本発明に係る核酸増幅反応装置は、
本発明に係る核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記第3領域を、前記第2温度よりも高い第3温度に加熱する第3加熱部と、
前記第4領域を、前記第3温度よりも低い第4温度に加熱する第4加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、および前記第4領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む。
本発明に係る核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記第3領域を、前記第2温度よりも高い第3温度に加熱する第3加熱部と、
前記第4領域を、前記第3温度よりも低い第4温度に加熱する第4加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、および前記第4領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む。
このような核酸増幅反応装置では、逆転写反応のための温度と、プライマーのアニーリングおよび伸長反応の温度と、を別々に設定することができ、効率よく逆転写反応および核酸増幅反応を行うことができる。
本発明に係る核酸増幅反応装置において、
前記反応液からの蛍光を検出する検出機構を含んでもよい。
前記反応液からの蛍光を検出する検出機構を含んでもよい。
このような核酸増幅反応装置では、反応液からの蛍光を検出することができる。
本発明に係る核酸増幅反応方法は、
鋳型核酸およびプライマーを含む反応液を、第1温度で加熱して変性する変性工程と、
前記変性工程の後に、逆転写酵素を前記反応液に添加し、前記反応液を第1温度よりも低い第2温度で加熱して、逆転写反応を行う逆転写反応工程と、
前記逆転写反応工程の後に、前記反応液に熱サイクルを付与して、核酸増幅反応を行う核酸増幅反応工程と、
を含む。
鋳型核酸およびプライマーを含む反応液を、第1温度で加熱して変性する変性工程と、
前記変性工程の後に、逆転写酵素を前記反応液に添加し、前記反応液を第1温度よりも低い第2温度で加熱して、逆転写反応を行う逆転写反応工程と、
前記逆転写反応工程の後に、前記反応液に熱サイクルを付与して、核酸増幅反応を行う核酸増幅反応工程と、
を含む。
このような核酸増幅反応方法では、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 核酸増幅反応容器
まず、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。
1.1. 核酸増幅反応容器
まず、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。
核酸増幅反応容器100は、図1および図2に示すように、容器本体10を含む。容器本体10の材質は、例えば、ガラス、高分子、金属などである。核酸増幅反応容器100は、容器本体10によって形成された流路20を含む。流路20には、第1試薬2および第2試薬4が設けられている。
1.1.1. 流路
流路20は、反応液6が移動することができる流路である。なお、図1では、流路20に反応液6が配置される前の状態を示し、図2では、流路20に反応液6が配置された状態を示している。
流路20は、反応液6が移動することができる流路である。なお、図1では、流路20に反応液6が配置される前の状態を示し、図2では、流路20に反応液6が配置された状態を示している。
反応液6は、標的核酸(標的配列を含む核酸)を含む鋳型核酸溶液と、容器本体10内に配置された第1試薬2と、が接触することによって調整(生成)される。したがって、反応液6は、鋳型核酸および第1試薬2を(鋳型核酸の成分および第1試薬2の成分を)含むこととなり、核酸増幅反応を進行させる場となる。さらに、反応液6は、第2試薬4と接触し、第2試薬4を(第2試薬4の成分を)含む。鋳型核酸は、RNAであり、インフルエンザウイルスやRS(respiratory syncytial)ウイルスから得ることができる。
流路20には、液体(図示せず)が収容されている。液体は、反応液6とは混和しない、すなわち混ざり合わない液体である。液体は、反応液6と異なる比重を有している。具体的には、液体の比重は、反応液6の比重よりも小さい。液体は、例えば、ジメチルシリコーンオイル、パラフィンオイルなどである。液体は、容器本体10の内壁を覆っており、流路20に反応液6が配置された際に反応液6の表面を覆う。液体は、流路20に充填されていない。これにより、核酸増幅反応容器100では、液体が流路20を充填する場合に比べて、反応液6を速く移動させることができる。
流路20は、例えば、直線状の流路である。流路20の形状は、例えば、直方体である。流路20は、第1領域30と、第1領域30と離間した第2領域32と、を有している。
第1領域30は、例えば、流路20の一方側の端部である。第1領域30は、第1温度に加熱される領域である。第1領域30に反応液6が位置した場合、反応液6は、例えば、第1温度に加熱される。第1温度は、二本鎖DNAの解離(変性)に適した温度であり、例えば、80℃以上105℃以下である。第1領域30は、例えば、流路20の、第1加熱部40(図3参照)に設けられた開口部40a内に位置する部分である。図1に示す例では、第1領域30の形状は、長方形である。
第1領域30は、図2に示すように、標的核酸を含む鋳型核酸溶液を導入する導入口31と連通する。図示の例では、導入口31は、蓋12によって塞がれている。核酸増幅反応容器100では、蓋12を開けて鋳型核酸溶液を流路20に導入することができる。容器本体10および蓋12によって、流路20は、密封されている。
第2領域32は、例えば、流路20の他方側の端部(第1領域30とは反対側の端部)である。第2領域32は、第1温度よりも低い第2温度に加熱される領域である。第2領域32に反応液6が位置した場合、反応液6は、例えば、第2温度に加熱される。第2温度は、例えば、逆転写反応に適した温度であり、45℃以上75℃以下である。第2温度は、逆転写反応に適した温度であり、かつ、プライマーのアニーリングおよび伸長反応に適した温度であってもよい。第2領域32は、例えば、流路20の、第2加熱部42(図3参照)に設けられた開口部42a内に位置する部分である。図1に示す例では、第2領域32の形状は、長方形である。
流路20は、図2に示すように、第1内壁10aと、第1内壁10aに対向する第2内壁10bと、に挟まれている。第1内壁10aおよび第2内壁10bは、容器本体10の内壁である。内壁10a,10bによって、流路20は形成されている。第1内壁10aと第2内壁10bとの間の距離Dは、流路20に反応液6が導入された場合に、反応液6が第1内壁10aおよび第2内壁10bに接触する長さである。具体的には、距離Dは、0.5mm以上3mm以下である。距離Dを0.5mm以上とすることにより、核酸増幅反応容器100の製造が困難になることを抑制することができる。距離Dを3mm以下とすることにより、加熱部の熱を反応液6に十分に伝えることができる。
核酸増幅反応容器100は、第1試薬2および第2試薬4を含む反応液6を、第1領域30と第2領域32との間で往復させて核酸増幅反応を行うための容器である。
1.1.2. 第1試薬
第1試薬2は、図1に示すように、第1領域30に配置されている。第1試薬2は、第2試薬4と離間した状態で配置されている。第1試薬2は、導入口31から第1領域30に導入されてもよい。導入口31は、第1試薬2が導入された後、蓋12によって塞がれてもよい。第1試薬2は、例えば、乾燥状態(乾燥された状態)で配置されている。より具体的には、第1試薬2は、凍結乾燥状態(凍結乾燥された状態)で配置されている。これにより、第1試薬2は、第1領域30を規定する容器本体10の内壁に貼り付くことができる。
第1試薬2は、図1に示すように、第1領域30に配置されている。第1試薬2は、第2試薬4と離間した状態で配置されている。第1試薬2は、導入口31から第1領域30に導入されてもよい。導入口31は、第1試薬2が導入された後、蓋12によって塞がれてもよい。第1試薬2は、例えば、乾燥状態(乾燥された状態)で配置されている。より具体的には、第1試薬2は、凍結乾燥状態(凍結乾燥された状態)で配置されている。これにより、第1試薬2は、第1領域30を規定する容器本体10の内壁に貼り付くことができる。
第1試薬2は、例えば、プライマーと、dNTPと、プローブと、バッファーと、を含む。
プライマーは、核酸にアニーリングするよう設計されている。第1試薬2は、プライマーとして、二本鎖構造の核酸(二本鎖DNA)が変性した後に、一方の一本鎖構造の核酸(一本鎖DNA)にアニーリングするフォワードプライマー(Forward Primer)と、他方の一本鎖DNAにアニーリングするリバースプライマー(Reverse Primer)と、を含む。第1試薬2および第2試薬4が混合された反応液6に含まれるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの濃度は、それぞれ、例えば、0.4μM以上12.8μM以下であり、好ましくは1.6μM以上9.6μM以下である。
dNTPは、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphate)の混合物を表す。すなわち、dNTPは、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの混合物を表す。ポリメラーゼは、アニーリングしたプライマーの末端に、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをつなぎ合わせて、新たなDNAを形成する(伸長反応)。また、逆転写酵素は、アニーリングしたプライマーの末端に、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをつなぎ合わせて、新たなDNAを形成する(逆転写反応)。第1試薬2および第2試薬4が混合された反応液6に含まれるdNTPの濃度は、例えば、0.06mM以上0.75mM以下であり、好ましくは0.125mM以上0.5mM以下である。
プローブは、レポーター色素およびクエンチャー色素を含む加水分解プローブであってもよい。具体的には、プローブは、TaqMan(登録商標)プローブであってもよい。加水分解プローブは、一本鎖DNAにハイブリダイゼーションして二本鎖構造を形成していている間、レポーター色素は、該レポーター色素に近接しているクエンチャー色素によって(クエンチング効果によって)、発光が抑制されている。しかし、ポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ活性によってプローブが分解されると、クエンチング効果が解消し、レポーター色素は、発光する。この発光により、核酸の増幅量を定量することができる。プローブとして加水分解プローブを用いる場合は、ポリメラーゼとして5´−3´エキソヌクレアーゼ活性を有しているポリメラーゼを用いる。
プローブは、加水分解プローブ以外の非加水分解プローブであってもよい。具体的には、プローブは、蛍光消光現象を利用したQ(Quenching)プローブであってもよい。具体的には、プローブは、SYBR Green Iであってもよい。Qプローブは、一本鎖DNAにハイブリダイゼーションしていない状態で発光し、一本鎖DNAにハイブリダイゼーションすると消光する。この発光強度の差により、核酸の増幅量を定量することができる。プローブとしてQプローブを用いる場合は、ポリメラーゼとしてポリメラーゼとして5´−3´エキソヌクレアーゼ活性を有していないポリメラーゼを用いる。5´−3´エキソヌクレアーゼ活性を有していないポリメラーゼとしては、例えば、KODポリメラーゼがあるが、この酵素は、Taqポリメラーゼよりも伸長反応の速度が大きく、熱サイクルの高速化を図ることができる。
バッファーは、例えば、塩を含む緩衝剤である。バッファーに含まれる塩としては、例えば、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が挙げられる。これらの塩により、反応液6のpHを調整することができる。バッファーは、2価の陽イオンを含む。2価の陽イオンとしては、例えば、Mn、Co,Mgが挙げられる。第1試薬2および第2試薬4が混合された反応液6に含まれる2価の陽イオンの濃度は、例えば、2mM以上7.5mM以下である。
第1試薬2は、キレート剤を含んでいてもよい。キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。キレート剤は、第1領域30が第1温度に加熱された場合に、RNAである鋳型核酸が熱によって分解されることを抑制することができる。
第1試薬2は、ダミーDNAを含んでいてもよい。ダミーDNAは、鋳型核酸と異なる配列を有し、逆転写反応に影響を及ぼさない配列を有していることが好ましい。鋳型核酸であるRNAは、末端に長いアデノシン(adenosine)の繰り返しでできている。したがって、ダミーDNAは、チミジン(thymidine)の連続配列を有していないことが好ましい。ダミーDNAは、第1領域30が第1温度に加熱された場合に、RNAである鋳型核酸が熱によって分解されることを抑制することができる。これは、熱による分解にかかわる化学種が、鋳型核酸を分解する代わりに、ダミーDNAを分解するためのである。
第1試薬2が凍結乾燥されている場合、第1試薬2は、糖を含む。糖としては、例えば、二糖類および三糖類のうち、非還元糖であるスクロース、トレハロース、ラフィノース、メレジトース等が挙げられる。二糖類および三糖類の中でも、特にトレハロースは、凍結保護剤としての機能が高く、強力な水和力により、凍結乾燥試薬が水分子と接触することを防止し、凍結乾燥試薬の保存安定性を向上させることができる。凍結乾燥試薬は、第1試薬2の各成分を含む混合試薬溶液を凍結乾燥することにより調整することができる。凍結乾燥の際の温度は、例えば、−80℃程度である。
1.1.3. 第2試薬
第2試薬4は、第2領域32に配置されている。第2試薬4は、第2領域32と連通する導入口(図示せず)から第2領域32に導入されてもよい。該導入口は、第2試薬4が導入された後、蓋(図示せず)によって塞がれてもよい。第2試薬4は、例えば、乾燥状態(乾燥された状態)で配置されている。より具体的には、第2試薬4は、凍結乾燥状態(凍結乾燥された状態)で配置されている。これにより、第2試薬4は、第2領域32を規定する容器本体10の内壁に貼り付くことができる。
第2試薬4は、第2領域32に配置されている。第2試薬4は、第2領域32と連通する導入口(図示せず)から第2領域32に導入されてもよい。該導入口は、第2試薬4が導入された後、蓋(図示せず)によって塞がれてもよい。第2試薬4は、例えば、乾燥状態(乾燥された状態)で配置されている。より具体的には、第2試薬4は、凍結乾燥状態(凍結乾燥された状態)で配置されている。これにより、第2試薬4は、第2領域32を規定する容器本体10の内壁に貼り付くことができる。
第2試薬4は、例えば、ポリメラーゼと、逆転写酵素と、を含む。
ポリメラーゼとしては、特に限定されないが、DNAポリメラーゼが挙げられる。DNAポリメラーゼは、一本鎖構造の核酸(一本鎖DNA)にアニーリングしたプライマーの末端に、一本鎖DNAの塩基と相補的なヌクレオチドを重合する。DNAポリメラーゼとしては、耐熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば、Taqポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改良型などを用いる。第1試薬2および第2試薬4が混合された反応液6に含まれるポリメラーゼの量は、例えば、0.5U以上である。
ポリメラーゼは、ホットスタート型であってもよいし、非ホットスタート型であってもよい。ホットスタート型とは、ホットスタートPCRを行うためのホットスタート処置が行われたポリメラーゼのことであり、所定の温度より高い温度で一定時間晒されることにより、活性を有する。ホットスタート処理としては、例えば、抗体をポリメラーゼと反応させて複合体を形成する処理(抗体形成処理)、化学物質をポリメラーゼのアミノ酸と共有結合させる処理(化学修飾処理)、ワックスをポリメラーゼに付着させる処理、金属イオンをポリメラーゼと反応させる処理などがある。非ホットスタート型とは、ホットスタート処置が行われていないポリメラーゼのことである。非ホットスタート型は、例えば、ホットスタート型に比べて安価である。
逆転写酵素は、RNAの塩基配列を鋳型としてcDNAを合成する酵素である。逆転写反応は、逆転写酵素により、RNAの塩基配列を鋳型としてcDNAを合成する反応のことである。逆転写反応では、PCRで用いるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの一方をRNAにアニーリングさせて、cDNAを合成することができる。
逆転写酵素としては、例えば、アビアンミエロブラストウイルス(Avian Myeloblast Virus)、ラスアソシエーテッドウイルス2型(Ras Associated Virus2型)、マウスモロニーミュリーンリューケミアウイルス(Mouse Molony Murine Leukemia Virus)、ヒト免疫不全ウイルス1型(Human Immunodefficiency Virus1型)由来の逆転写酵素を用いる。第1試薬2および第2試薬4が混合された反応液6に逆転写酵素の量は、例えば、5ユニット以上60ユニット以下であり、好ましくは30ユニット以上60ユニット以下である。
なお、第2試薬4は、第1試薬2と同様に、dNTPを含んでいてもよい。また、第2試薬4が凍結乾燥されている場合、第2試薬4は、第1試薬2と同様に、糖を含んでもよい。
核酸増幅反応容器100は、例えば、以下の特徴を有する。
核酸増幅反応容器100では、流路20は、第1領域30と、第1領域30と離間した第2領域32と、を有し、第1領域30には、プライマーが配置され、第2領域32には、逆転写酵素が配置されている。そのため、核酸増幅反応容器100では、例えば、第1温度に加熱された第1領域30においてプライマーを変性させた後に、第2温度に加熱された第2領域32において逆転写反応を行うことができる。したがって、核酸増幅反応容器100では、低温(例えば室温)から温度を上げて逆転写反応を行わないので、逆転写反応において、プライマーの鋳型核酸への非特異的なアニーリングや、プライマー同士の結合であるプライマーダイマーを抑制することができる。よって、核酸増幅反応容器100では、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる。
特に、逆転写反応の反応温度は、核酸増幅反応の反応温度よりも低い場合があり、逆転写反応では、鋳型核酸が二本鎖構造をとり易く、またプライマー同時の結合によるプライマーダイマーなどが起こり易い。しかし、核酸増幅反応容器100では、プライマーを変性させた後に逆転写反応を行うことができるため、上記のような問題を解消することができる。
さらに、核酸増幅反応容器100では、逆転写酵素は、第2領域32に配置されている。そのため、核酸増幅反応容器100では、耐熱性の低い逆転転写酵素を、第1温度に加熱させずに、逆転写反応を行うことができる。
さらに、核酸増幅反応容器100では、逆転写反応および核酸増幅反応を、1つの核酸増幅反応容器100で行うことができる。そのため、逆転写反応を行った反応液を、ピペット操作により容器から取り出し、別の容器に移し替えて別の容器で核酸増幅反応を行う場合に比べて、反応液6に異物が混入する可能性を低くすることができる。
核酸増幅反応容器100では、第2領域32には、ポリメラーゼが配置されている。そのため、核酸増幅反応容器100では、第1領域30および第2領域32を所定の温度まで加熱する前の状態(低温(例えば室温)の状態)でポリメラーゼとプライマーとが共存する(接触する)ことがなく、第1温度まで加熱した後にポリメラーゼとプライマーと接触させることができる。これにより、核酸増幅反応容器100では、例えば低温の状態でプライマーが非特異的にアニーリングし伸長反応が起こって非特異的な増幅が生じることを、より確実に抑制することができる。
核酸増幅反応容器100では、第1領域30に、プローブが配置されている。これにより、核酸増幅反応容器100では、核酸の増幅量を定量することができる。
核酸増幅反応容器100では、第1領域30に、dNTPが配置されている。これにより、核酸増幅反応容器100では、核酸増幅反応において、ポリメラーゼは、アニーリングしたプライマーの末端に、新たなDNAを形成することができる。また、逆転写反応において、逆転写酵素は、アニーリングしたプライマーの末端に、新たなDNAを形成することができる。
核酸増幅反応容器100では、第1領域30に、バッファーが配置されている。これにより、核酸増幅反応容器100では、反応液6のpHを調整することができる。
核酸増幅反応容器100では、プライマーおよび逆転写酵素は、乾燥状態で配置されている。具体的には、プライマーおよびポリメラーゼは、凍結乾燥状態で配置されている。そのため、核酸増幅反応容器100では、プライマーおよび逆転写酵素が液体の状態で配置されている場合に比べて、プライマーと逆転写酵素とを、より確実に互いに離間させた状態で配置させておくことができる。さらに、核酸増幅反応容器100では、プライマーおよび逆転写酵素の保存安定性を高めることができる。
なお、第1試薬2と第2試薬4とを、互いに離間させた状態で配置させておくことができれば、第1試薬2および第2試薬4の少なくとも一方は、液体の状態で配置されていてもよい。
核酸増幅反応容器100では、第1領域30は、標的核酸を導入する導入口31と連通する。そのため、核酸増幅反応容器100では、標的核酸を導入口31から第1領域30へ導入することができる。
核酸増幅反応容器100では、反応液6を、第1領域30と第2領域32との間で往復させて核酸増幅反応を行う。これにより、核酸増幅反応容器100では、反応液6を第1領域30と第2領域32との間で往復させて、核酸を増幅させることができる。
核酸増幅反応容器100では、流路20は、第1内壁10aと、第1内壁10aに対向する第2内壁10bと、に挟まれ、第1内壁10aと第2内壁10bとの間の距離Dは、流路20に反応液6が導入された場合に、反応液6が第1内壁10aおよび第2内壁10bに接触する長さである。そのため、核酸増幅反応容器100では、加熱部の熱を反応液6に十分に伝えることができる。
1.2. 核酸増幅反応装置
次に、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110を模式的に示す断面図である。図4は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110を模式的に示す図3のIV−IV線断面図である。図5は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110の機能ブロック図である。
次に、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110を模式的に示す断面図である。図4は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110を模式的に示す図3のIV−IV線断面図である。図5は、第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110の機能ブロック図である。
本発明に係る核酸増幅反応装置は、本発明に係る核酸増幅反応容器を含む。以下では、本発明に係る核酸増幅反応容器として核酸増幅反応容器100を含む核酸増幅反応装置110について説明する。
核酸増幅反応装置110は、図3〜図5に示すように、第1加熱部40と、第2加熱部42と、駆動機構50と、検出機構60と、処理部70と、操作部72と、表示部74と、記憶部76と、核酸増幅反応容器100と、を含む。
なお、便宜上、図3および図4では、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76の図示を省略している。また、図5では、核酸増幅反応容器100および加熱部40,42の図示を省略している。
第1加熱部40および第2加熱部42は、核酸増幅反応容器100に接して設けられている。加熱部40,42は、例えば、図示しないヒーターから発生した熱を、核酸増幅反応容器100に伝えるアルミニウム製のヒートブロックである。加熱部40,42の温度は、図示せぬ温度センサーおよび処理部70によって制御されていてもよい。
第1加熱部40は、流路20の第1領域30を第1温度に加熱する。第1加熱部40は、例えば、第1領域30に反応液6が位置した場合、反応液6を第1温度に加熱する。第1加熱部40には、開口部40aが設けられている。図示の例では、開口部40aは、有底の穴である。第1領域30は、開口部40aに挿入された領域である。開口部40aは、核酸増幅反応容器100を装着可能な装着部である。
第2加熱部42は、流路20の第2領域32を、第1温度よりも低い第2温度に加熱する。第2加熱部42は、例えば、第2領域32に反応液6が位置した場合、反応液6を第2温度に加熱する。第2加熱部42には、開口部42aが設けられている。図示の例では、開口部42aは、有底の穴である。第2領域32は、開口部42aに挿入された領域である。開口部42aは、核酸増幅反応容器100を装着可能な装着部である。第2加熱部42には、開口部42bが設けられている。開口部42bは、開口部42aと連通している。開口部42bは、後述する検出機構60からの励起光を第2領域32に導き、かつ、反応液6からの蛍光を検出機構60に導くための開口部である。
駆動機構50は、反応液6が、第1領域30および第2領域32に移動するように、核酸増幅反応容器100および加熱部40,42を動かす機構である。駆動機構50は、例えば、処理部70からの入力信号に基づいて、核酸増幅反応容器100および加熱部40,42を動かす。駆動機構50は、図示はしないが、核酸増幅反応容器100および加熱部40,42を支持する支持部と、該支持部を動かすモーターと、を有していてもよい。
検出機構60は、反応液6からの蛍光を検出する機構である。検出機構60は、例えば、処理部70からの入力信号に基づいて、反応液6に励起光を照射し、反応液6からの蛍光を検出する。検出機構60としては、蛍光を検出することができれば特に限定されず、例えば、公知の蛍光測定器を用いる。
処理部70は、例えば記憶部76に記憶されているプログラムに従って、加熱部40,42、駆動機構50、および検出機構60を制御するための処理を行う。処理部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサー等により実現される。
操作部72は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、操作信号を処理部70に送る処理を行う。操作部72は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイク等により実現される。
表示部74は、処理部70によって生成された画像を表示する。表示部74は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等により実現される。
記憶部76は、処理部70が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部76は、処理部70の作業領域として用いられ、処理部70が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部76は、例えば、RAM(Random Access Memory)等によって実現される。
核酸増幅反応装置110では、核酸増幅反応容器100を含むため、非特異的な増幅が生じることを抑制することができることができる。
1.3. 核酸増幅反応方法
次に、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャートである。図7および図8は、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するための断面図である。なお、便宜上、図7および図8では、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76の図示を省略している。また、図7および図8では、重力が作用する方向(重力作用方向)を矢印gで示している。以下では、一例として、核酸増幅反応容器100を含む核酸増幅反応装置110を用いた核酸増幅反応方法について説明する。
次に、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャートである。図7および図8は、第1実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するための断面図である。なお、便宜上、図7および図8では、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76の図示を省略している。また、図7および図8では、重力が作用する方向(重力作用方向)を矢印gで示している。以下では、一例として、核酸増幅反応容器100を含む核酸増幅反応装置110を用いた核酸増幅反応方法について説明する。
まず、処理部70は、操作部72から処理を開始する旨の信号を受けると、核酸増幅反応容器100が装着された核酸増幅反応装置110の加熱部40,42を制御して、第1領域30を第1温度に設定し、第2領域32を第2温度に設定する処理を行う(ステップS1)。本工程により、第1領域30と第2領域32との間には、第1温度と第2温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成される。本工程では、核酸増幅反応容器100の配置は、第1配置である。第1配置では、図7に示すように、第1領域30は、第2領域32よりも重力作用方向において下方に位置する。図示の例では、流路20の延出方向(長手方向)は、重力作用方向と平行ではなく、重力作用方向に対して傾いている。処理部70は、例えば、第1領域30および第2領域32がそれぞれ第1温度および第2温度に達したら、表示部74に鋳型核酸を導入する旨を表示させる処理を行う。
次に、例えば、表示部74の表示を確認下の後に、核酸増幅反応容器100の蓋12を開けて、流路20の第1領域30に鋳型核酸溶液を導入し、該鋳型核酸溶液と第1試薬2とを接触させて、図7に示すように、反応液6を調製する(ステップS2)。
次に、処理部70は、例えば、操作部72から反応液6を調整した旨の信号を受けると、処理部70は、核酸増幅反応容器100の配置を、第1の時間(第1の期間)、第1配置に保持する処理を行う(ステップS3)。反応液6は、第1領域30において第1温度に加熱される。これにより、反応液6に対して、変性(鋳型核酸、プライマー、およびプローブの変性)を行うことができる。第1の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。処理部70は、タイマーを内蔵していてもよい。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置から第2配置へ切換える処理を行う(ステップS4)。第2配置では、図8に示すように、第2領域32は、第1領域30よりも重力作用方向において下方に位置する。そのため、反応液6は、第1領域30から第2領域32に移動する。これにより、第2領域32において、反応液6と第2試薬4とを接触させて(第2試薬4を反応液6に添加し)、第1試薬2および第2試薬4を含む反応液6を調整することができる。そして、反応液6を第2温度で加熱して、逆転写反応を行うことができる(逆転写反応工程)。処理部70は、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置とした後に駆動機構50の動作を第2の時間(第2の期間)停止させる。第2の時間は、逆転写反応を行うための時間であり、例えば、1秒以上30分以下である。図示の例では、流路20の延出方向は、重力作用方向と平行ではなく、重力作用方向に対して傾いている。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置から第1配置へ切換える処理を行う(ステップS5)。反応液6は、第2領域32から第1領域30に移動する。反応液6は、第1領域30において第1温度に加熱される。処理部70は、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置とした後に駆動機構50の動作を第3の時間(第3の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器100の配置は、第3の時間、第1配置に保持される。これにより、反応液6を、第1温度で加熱して変性(逆転写酵素の変性、標的核酸の変性)行うことができる。第3の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上60秒以下である。ホットスタートを行うことができるポリメラーゼを用いている場合は、本工程において、ポリメラーゼを賦活化させることができる(ホットスタート)。本工程において、反応液6を第1温度に加熱することにより、逆転写酵素を不活化することができ、逆転写酵素が核酸増幅反応に影響を及ぼすことを抑制することができる。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、第2領域32の温度(第2温度)をプライマーのアニーリングおよび伸長反応に適した温度に調整する(ステップS6)。処理部70は、例えば、ステップS5の処理を行ってから所定の時間経過後に、ステップS6の処理を行う。なお、ステップS1において、第2温度を、逆転写反応に適した温度であり、かつ、プライマーのアニーリングおよび伸長反応に適した温度に設定することができる場合は、本工程を省略することができる。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置から第2配置へ切換える処理を行う(ステップS7)。反応液6は、第1領域30から第2領域32に移動する。反応液6は、第2領域32において第2温度に加熱される。処理部70は、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置とした後に駆動機構50の動作を第4の時間(第4の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器100の配置は、第4の時間、第2配置に保持される。これにより、反応液6を、第2温度で加熱してプライマーのアニーリングおよび伸長反応を行うことができる。第4の時間は、プライマーのアニーリングおよび伸長反応のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。
次に、処理部70は、第1配置から第2配置へ切換えた回数(サイクル数、具体的にはステップS7の処理を行った回数)が、予め記憶部76に記憶されている所定の回数に達したか否か判定する処理を行う(ステップS8)。処理部70は、ステップS7の処理を行うたびに、サイクル数を記憶部76に記憶させ、該サイクル数と、予め記憶部76に記憶されている所定の回数と、を比較する。予め記憶部76に記憶されている所定の回数は、特に限定されないが、例えば、20回以上60回以下である。
処理部70は、ステップS8においてサイクル数が所定の回数に達したと判定した場合(図6において「Yes」の場合)、処理を終了する。
一方、処理部70は、ステップS7においてサイクル数が所定の回数に達していないと判定した場合(図6において「No」の場合)、ステップS9に移行する。
ステップS8では、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置から第1配置へ切換える処理を行う。反応液6は、第2領域32から第1領域30に移動する。反応液6は、第1領域30において第1温度に加熱される。処理部70は、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置とした後に駆動機構50の動作を第5の時間(第5の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器100の配置は、第5の時間、第1配置に保持される。これにより、反応液6に対して、変性(標的核酸の変性)を行うことができる。第5の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。
そして、処理部70は、再び、ステップS7へ移行し、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置から第2配置へ切換える処理を行う。
以上のように、処理部70は、サイクル数が所定の回数となるまで、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置と第2配置とに切換える処理を行う。これにより、反応液6を、第1領域30と第2領域32との間で往復させて、反応液6に熱サイクルを付与し、核酸増幅反応を行うことができる(核酸増幅反応工程)。処理部70は、例えば、駆動機構50を制御して核酸増幅反応容器100をシーソー運動させ、核酸増幅反応容器100の配置を第1配置と第2配置とに切換える処理を行う。
処理部70は、さらに、ステップS7において、例えば、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置とした後に駆動機構50の動作を第4の時間停止させる処理を行うと同時に、増幅解析処理を行う。これにより、核酸増幅反応装置110では、リアルタイムPCRを行うことができる。具体的には、処理部70は、ステップS6において、核酸増幅反応容器100の配置を第2配置に保持するごとに検出機構60に対して測定指示を与えるための信号を入力する。そして、処理部70は、検出機構60の測定結果として検出機構60から蛍光強度を取得し、該蛍光強度を記憶部76に記憶する。処理部70は、予め記憶部76に記憶させた増幅曲線を読み出し、該増幅曲線と取得した蛍光強度とにより、核酸の増幅量を算出する処理を行ってもよい。処理部70は、算出した核酸の増幅量を、表示部74に表示させる処理を行ってもよい。
ここで、図9は、核酸増幅反応装置110を模式的に示す図8のIX−IX線断面図である。図9に示すように、第2配置では、第2領域32は、検出機構60と対向した位置にある。検出機構60からの励起光は、開口部42bを通って反応液6に至り、反応液6からの蛍光は、開口部42bを通って検出機構60に至る。
核酸増幅反応方法では、逆転写反応工程の前に、第1温度で加熱して変性する変性工程を含む。そのため、核酸増幅反応方法では、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。さらに、核酸増幅反応方法では、核酸増幅反応容器100を用いるため、非特異的な増幅が生じることを抑制することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 核酸増幅反応容器
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応容器について、図面を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係る核酸増幅反応容器200を模式的に示す断面図である。以下、第2本実施形態に係る核酸増幅反応容器200において、上述した第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
2.1. 核酸増幅反応容器
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応容器について、図面を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係る核酸増幅反応容器200を模式的に示す断面図である。以下、第2本実施形態に係る核酸増幅反応容器200において、上述した第1実施形態に係る核酸増幅反応容器100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
核酸増幅反応容器200では、図10に示すように、第1領域30および第2領域32に加え、第3領域34および第4領域36を有している点において、上述した核酸増幅反応容器100と異なる。すなわち、核酸増幅反応容器200では、流路20は、第1領域30と、第2領域32と、第3領域34と、第4領域36と、を有している。
第2領域32および第3領域34は、第1領域30と第4領域36との間の流路20に位置している。第2領域32は、流路20において、第3領域34よりも第1領域30側に位置している。第3領域34は、流路20において、第2領域32よりも第4領域36側に位置している。すなわち、領域30,32,34,36は、流路20に沿って、第1領域30、第2領域32、第3領域34、第4領域36の順で配置されている。
第2領域32は、屈曲した形状を有している。第2領域32は、例えば、角度αで屈曲した形状を有している。角度αは、例えば、70°以上110°以下であり、図示の例では、90°である。図示はしないが、第2領域32は、曲線(例えば円弧状)を有する形状であってもよい。第2領域32は、第2温度に加熱される領域である。第2温度は、逆転写反応に適した温度である。
第3領域34は、領域30,32と離間している。第3領域34は、屈曲した形状を有している。第3領域34は、例えば、角度βで屈曲した形状を有している。角度βは、例えば、70°以上110°以下であり、図示の例では、90°である。図示はしないが、第3領域34は、曲線(例えば円弧状)を有する形状であってもよい。
第3領域34は、第2温度よりも高い第3温度に加熱される領域である。第3領域34に反応液6が位置した場合、反応液6は、例えば、第3温度に加熱される。第3温度は、変性に適した温度であり、例えば、85℃以上105℃以下である。第3温度は、第1温度と同じ温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。第3領域34は、例えば、流路20の、第3加熱部44(図11参照)に設けられた開口部44a内に位置する部分である。
第4領域36は、領域30,32,34と離間している。第4領域36は、第3温度よりも低い第4温度に加熱される領域である。第4領域36に位置する反応液6は、例えば、第4温度に加熱される。第3温度は、プライマーのアニーリングおよび伸長反応に適した温度であり、例えば、45℃以上75℃以下である。第4温度は、第2温度と同じ温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。第4領域36は、例えば、流路20の、第4加熱部46(図11参照)に設けられた開口部46a内に位置する部分である。図示の例では、第4領域36の形状は、長方形である。
流路20は、図10に示すように、第1流路22と、第2流路24と、第3流路26と、を有している。
第1流路22は、一方の端部から他方の端部まで直線状に延出している。第1流路22は、一方の端部において第1領域30を有し、他方の端部において第2領域32を有している。
第2流路24は、一方の端部から他方の端部まで直線状に延出している。第2流路24は、一方の端部において第1流路22の他方の端部と接続し、他方の端部において第3領域34を有している。第2流路24の一方の端部は、図10に示すように、第2領域32の一部を構成していてもよい。第2流路24の延出方向は、例えば、第1流路22の延出方向に対して直交している。
第3流路26は、一方の端部から他方の端部まで直線状に延出している。第3流路26は、一方の端部において第2流路24の他方の端部と接続し、他方の端部において第4領域36を有している。第3流路26の一方の端部は、図10に示すように、第3領域34の一部を構成していてもよい。第3流路26の延出方向は、例えば、第1流路22の延出方向に対して平行である。流路20は、例えば、コの字状(略コの字状)の形状を有している。
核酸増幅反応容器200は、第1試薬2および第2試薬4を含む反応液6を、第3領域34と第4領域36との間で往復させて核酸増幅反応を行うための容器である。
核酸増幅反応容器200は、例えば、以下の特徴を有する。
核酸増幅反応容器200では、第2領域32および第3領域34は、第1領域30と第4領域36との間の流路20に位置し、第2領域32および第3領域34は、屈曲した形状を有する。そのため、核酸増幅反応容器200では、例えば、第2温度に加熱された第2領域において逆転写反応を行い、反応液6を、第3温度に加熱された第3領域34と、第4温度に加熱された第4領域36と、の間で往復させて核酸増幅反応を行うことができる。したがって、核酸増幅反応容器200では、逆転写反応のための温度と、プライマーのアニーリングおよび伸長反応の温度と、を別々に設定することができ、効率よく逆転写反応および核酸増幅反応を行うことができる。
核酸増幅反応容器200では、第3領域34は、流路20において、第2領域32よりも第4領域36側に位置し、反応液6を、第3領域34と第4領域36との間で往復させて核酸増幅反応を行う。これにより、核酸増幅反応容器200では、反応液6を第3領域34と第4領域36との間で往復させて、核酸を増幅させることができる。
2.2. 核酸増幅反応装置
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第2実施形態に係る核酸増幅反応装置210を模式的に示す断面図である。以下、第2本実施形態に係る核酸増幅反応装置210において、上述した第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第2実施形態に係る核酸増幅反応装置210を模式的に示す断面図である。以下、第2本実施形態に係る核酸増幅反応装置210において、上述した第1実施形態に係る核酸増幅反応装置110の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本発明に係る核酸増幅反応装置は、本発明に係る核酸増幅反応容器を含む。以下では、本発明に係る核酸増幅反応容器として核酸増幅反応容器200を装着可能な核酸増幅反応装置210について説明する。
核酸増幅反応装置210は、図11に示すように、第1加熱部40と、第2加熱部42と、第3加熱部44と、第4加熱部46と、核酸増幅反応容器200と、を含む。なお、核酸増幅反応装置210は、図5に示すように、さらに、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76を含むが、便宜上、図11では、これらの図示を省略している。
加熱部40,42,44,46は、核酸増幅反応容器200に接して設けられている。加熱部40,42,44,46は、例えば、図示しないヒーターから発生した熱を、核酸増幅反応容器200に伝えるアルミニウム製のヒートブロックである。加熱部40,42,44,46の温度は、図示せぬ温度センサーおよび処理部70によって制御されていてもよい。
第2加熱部42には、開口部42aが設けられている。図示の例では、開口部42aは、屈曲した形状の貫通孔である。なお、核酸増幅反応装置110と異なり、核酸増幅反応装置210では、第2加熱部42に、開口部42bは設けられていない。
第3加熱部44は、流路20の第3領域34を、第2温度よりも高い第3温度に加熱する。第3加熱部44は、例えば、第3領域34に反応液6が位置した場合、反応液6を第3温度に加熱する。第3加熱部44には、開口部44aが設けられている。図示の例では、開口部44aは、屈曲した形状の貫通孔である。第3領域34は、開口部44aに挿入された領域である。開口部44aは、核酸増幅反応容器200を装着可能な装着部である。
第4加熱部46は、流路20の第4領域36を、第3温度よりも低い第4温度に加熱する。第4加熱部46は、例えば、第4領域36に反応液6が位置した場合、反応液6を第4温度に加熱する。第4加熱部46には、開口部46aが設けられている。図示の例では、開口部46aは、有底の穴である。第4領域36は、開口部46aに挿入された領域である。開口部46aは、核酸増幅反応容器200を装着可能な装着部である。第4加熱部46には、開口部46bが設けられている。開口部46bは、開口部46aと連通している。開口部46bは、検出機構60からの励起光を第4領域36に導き、かつ、反応液6からの蛍光を検出機構60に導くための開口部である。
駆動機構50は、反応液6が、第1領域30、第2領域32、第3領域34、および第4領域36に移動するように、核酸増幅反応容器200および加熱部40,42,44,46を動かす機構である。
核酸増幅反応装置210では、核酸増幅反応容器200を含むため、効率よく逆転写反応および核酸増幅反応を行うことができる。
2.3. 核酸増幅反応方法
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法について、図面を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャートである。図13〜図16は、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するための断面図である。なお、便宜上、図13〜図16では、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76の図示を省略している。また、図13〜図16では、重力が作用する方向(重力作用方向)を矢印gで示している。以下では、一例として、核酸増幅反応容器200を含む核酸増幅反応装置210を用いた核酸増幅反応方法について説明する。
次に、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法について、図面を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャートである。図13〜図16は、第2実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するための断面図である。なお、便宜上、図13〜図16では、駆動機構50、検出機構60、処理部70、操作部72、表示部74、および記憶部76の図示を省略している。また、図13〜図16では、重力が作用する方向(重力作用方向)を矢印gで示している。以下では、一例として、核酸増幅反応容器200を含む核酸増幅反応装置210を用いた核酸増幅反応方法について説明する。
まず、処理部70は、操作部72から処理を開始する旨の信号を受けると、核酸増幅反応容器200が装着された核酸増幅反応装置210の加熱部40,42,44,46を制御して、第1領域30を第1温度に設定し、第2領域32を第2温度に設定し、第3領域34を第3温度に設定し、第4領域36を第4温度に設定する処理を行う(ステップS11)。本工程により、第1領域30と第2領域32との間には、第1温度と第2温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成され、第2領域32と第3領域34との間には、第2温度と第3温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成され、第3領域34と第4領域36との間には、第3温度と第4温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成される。本工程では、核酸増幅反応容器200の配置は、第1配置である。第1配置では、図13に示すように、第1領域30は、第2領域32,34,36よりも重力作用方向において下方に位置する。処理部70は、例えば、第1領域30および第2領域32がそれぞれ第1温度および第2温度に達したら、表示部74に鋳型核酸を導入する旨を表示させる処理を行う。
次に、例えば、表示部74の表示を確認下の後に、核酸増幅反応容器200の蓋12を開けて、流路20の第1領域30に鋳型核酸溶液を導入し、該鋳型核酸溶液と第1試薬2とを接触させて、図7に示すように、反応液6を調製する(ステップS12)。
次に、処理部70は、例えば、操作部72から反応液6を調整した旨の信号を受けると、処理部70は、核酸増幅反応容器200の配置を、第1の時間(第1の期間)、第1配置に保持する処理を行う(ステップS13)。反応液6は、第1領域30において第1温度に加熱される。これにより、反応液6に対して、変性(鋳型核酸、プライマー、およびプローブの変性)を行うことができる。第1の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。処理部70は、タイマーを内蔵していてもよい。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器200の配置を第1配置から第2配置へ切換える処理を行う(ステップS14)。第2配置では、図14に示すように、第2領域32は、領域30,34,36よりも重力作用方向において下方に位置する。そのため、反応液6は、第1領域30から第2領域32に移動する。これにより、第2領域32において、反応液6と第2試薬4とを接触させて(第2試薬4を反応液6に添加し)、第1試薬2および第2試薬4を含む反応液6を調整することができる。そして、反応液6を第2温度で加熱して、逆転写反応を行うことができる(逆転写反応工程)。処理部70は、核酸増幅反応容器200の配置を第2配置とした後に駆動機構50の動作を第2の時間(第2の期間)停止させる。第2の時間は、逆転写反応を行うための時間であり、例えば、1秒以上30分以下である。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器200の配置を第2配置から第3配置へ切換える処理を行う(ステップS15)。第3配置では、図15に示すように、第3領域34は、領域30,32,36よりも重力作用方向において下方に位置する。そのため、反応液6は、第2領域32から第3領域34に移動する。反応液6は、第3領域34において第3温度に加熱される。処理部70は、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置とした後に駆動機構50の動作を第3の時間(第3の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器200の配置は、第3の時間、第3配置に保持される。これにより、反応液6を、第3温度で加熱して変性(逆転写酵素の変性、標的核酸の変性)を行うことができる。第3の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上60秒以下である。ホットスタートを行うことができるポリメラーゼを用いている場合は、本工程において、ポリメラーゼを賦活化させることができる(ホットスタート)。本工程において、反応液6を第1温度に加熱することにより、逆転写酵素を不活化することができ、逆転写酵素が核酸増幅反応に影響を及ぼすことを抑制することができる。
次に、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置から第4配置へ切換える処理を行う(ステップS16)。第4配置では、図16に示すように、第4領域36は、領域30,32,34よりも重力作用方向において下方に位置する。そのため、反応液6は、第3領域34から第4領域36に移動する。反応液6は、第4領域36において第4温度に加熱される。処理部70は、核酸増幅反応容器200の配置を第4配置とした後に駆動機構50の動作を第4の時間(第4の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器200の配置は、第4の時間、第4配置に保持される。これにより、反応液6を、第4温度で加熱してプライマーのアニーリングおよび伸長反応を行うことができる。第4の時間は、プライマーのアニーリングおよび伸長反応のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。
次に、処理部70は、第3配置から第4配置へ切換えた回数(サイクル数、具体的にはステップS16の処理を行った回数)が、予め記憶部76に記憶されている所定の回数に達したか否か判定する処理を行う(ステップS17)。処理部70は、ステップS16の処理を行うたびに、サイクル数を記憶部76に記憶させ、該サイクル数と、予め記憶部76に記憶されている所定の回数と、を比較する。予め記憶部76に記憶されている所定の回数は、特に限定されないが、例えば、20回以上60回以下である。
処理部70は、ステップS17においてサイクル数が所定の回数に達したと判定した場合(図12において「Yes」の場合)、処理を終了する。
一方、処理部70は、ステップS17においてサイクル数が所定の回数に達していないと判定した場合(図12において「No」の場合)、ステップS18に移行する。
ステップS18では、処理部70は、駆動機構50を制御して、核酸増幅反応容器200の配置を第4配置から第3配置へ切換える処理を行う。これにより、反応液6は、第4領域36から第3領域34に移動する。反応液6は、第3領域34において第3温度に加熱される。これにより、反応液6を、第3温度で加熱して変性を行うことができる。処理部70は、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置とした後に駆動機構50の動作を第5の時間(第5の期間)停止させる。そのため、核酸増幅反応容器200の配置は、第5の時間、第3配置に保持される。これにより、反応液6を、第3温度で加熱して変性(標的核酸の変性)を行うことができる。第5の時間は、変性のための加熱時間であり、例えば、0.5秒以上10秒以下である。
次に、処理部70は、ステップS16へ移行し、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置から第4配置へ切換える処理を行う。
以上のように、処理部70は、サイクル数が所定の回数となるまで、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置と第4配置とに切換える処理を行う。これにより、反応液6を、第3領域34と第4領域36との間で往復させて、反応液6に熱サイクルを付与し、核酸増幅反応を行うことができる(核酸増幅反応工程)。処理部70は、例えば、駆動機構50を制御して核酸増幅反応容器200をシーソー運動させ、核酸増幅反応容器200の配置を第3配置と第4配置とに切換える処理を行う。
処理部70は、さらに、ステップS16において、例えば、核酸増幅反応容器200の配置を第4配置とした後に駆動機構50の動作を第4の時間停止させる処理を行うと同時に、増幅解析処理を行う。これにより、核酸増幅反応装置210では、リアルタイムPCRを行うことができる。具体的には、処理部70は、ステップS16において、核酸増幅反応容器200の配置を第4配置に保持するごとに検出機構60に対して測定指示を与えるための信号を入力する。そして、処理部70は、検出機構60の測定結果として検出機構60から蛍光強度を取得し、該蛍光強度を記憶部76に記憶する。処理部70は、予め記憶部76に記憶させた増幅曲線を読み出し、該増幅曲線と取得した蛍光強度とにより、核酸の増幅量を算出する処理を行ってもよい。処理部70は、算出した核酸の増幅量を、表示部74に表示させる処理を行ってもよい。第4配置では、第4領域36は、検出機構60と対向した位置にある。
核酸増幅反応方法では、核酸増幅反応容器200を用いるため、効率よく逆転写反応および核酸増幅反応を行うことができる。
3. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
3.1. 実験条件
3.1.1. 溶液の調整
鋳型核酸(テンプレートRNA)を含む検体に、プライマーおよびプローブを添加して溶液を調製した。鋳型核酸として、A型のインフルエンザウイルスを含む溶液(InfA)と、A型のインフルエンザウイルスおよびB型のインフルエンザウイルスを含む溶液(InfA+InfB)と、の2種類を調整した。溶液(InfA)および溶液(InfA+InfB)の組成は、以下のとおりである。
3.1.1. 溶液の調整
鋳型核酸(テンプレートRNA)を含む検体に、プライマーおよびプローブを添加して溶液を調製した。鋳型核酸として、A型のインフルエンザウイルスを含む溶液(InfA)と、A型のインフルエンザウイルスおよびB型のインフルエンザウイルスを含む溶液(InfA+InfB)と、の2種類を調整した。溶液(InfA)および溶液(InfA+InfB)の組成は、以下のとおりである。
<溶液(InfA)の組成>
InfA検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用蛍光標識プローブ(10μM) 0.6μL
インフルエンザRNA(200copies/μL) 0.5μL
蒸留水 7.3μL
InfA検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用蛍光標識プローブ(10μM) 0.6μL
インフルエンザRNA(200copies/μL) 0.5μL
蒸留水 7.3μL
<溶液(InfA+InfB)の組成>
InfA検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用蛍光標識プローブ(10μM) 0.6μL
InfB検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfB検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
インフルエンザRNA(200copies/μL) 0.5μL
蒸留水 5.7μL
InfA検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
InfA検出用蛍光標識プローブ(10μM) 0.6μL
InfB検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
InfB検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
インフルエンザRNA(200copies/μL) 0.5μL
蒸留水 5.7μL
なお、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、Sigma Aldrich社製を用いた。蛍光標識プローブは、Sigma Aldrich社製のTaqMan(登録商標)プローブを用いた。蒸留水は、Roche社製を用いた。
プライマーおよびプローブの配列は、下記表1のとおりである。
3.1.2. 試薬の調整
凍結乾燥状態の試薬Aおよび試薬Bを調整した。溶液の組成は、以下のとおりである。
凍結乾燥状態の試薬Aおよび試薬Bを調整した。溶液の組成は、以下のとおりである。
<試薬Aの組成>
SuperSCriptIII逆転写酵素 0.5μL
PlatinumTaqポリメラーゼ(5units/μL) 0.6μL
バッファー 2.0μL
dNTP(10mM) 0.5μL
トレハロース(200mg/mL) 2.0μL
蒸留水 4.4μL
SuperSCriptIII逆転写酵素 0.5μL
PlatinumTaqポリメラーゼ(5units/μL) 0.6μL
バッファー 2.0μL
dNTP(10mM) 0.5μL
トレハロース(200mg/mL) 2.0μL
蒸留水 4.4μL
<試薬Bの組成>
PromeScript逆転写酵素 0.5μL
GeneTaqNT−Abポリメラーゼ 2.0μL
バッファー 2.0μL
dNTP(10mM) 0.5μL
トレハロース(200mg/mL) 2.0μL
蒸留水 3.0μL
PromeScript逆転写酵素 0.5μL
GeneTaqNT−Abポリメラーゼ 2.0μL
バッファー 2.0μL
dNTP(10mM) 0.5μL
トレハロース(200mg/mL) 2.0μL
蒸留水 3.0μL
なお、SuperSCriptIII逆転写酵素は、Thermo Fisher Scientific社製を用いた。PlatinumTaqポリメラーゼは、Sigma Aldrich社製を用いた。PromeScript逆転写酵素は、Thermo Fisher Scientific社製を用いた。GeneTaqNT−Abポリメラーゼは、GeneTaqNT−Abポリメラーゼは、抗Taq抗体でホットスタート処理(抗体形成処理)を行ったポリメラーゼであり、抗Taq抗体は、タカラバイオ株式会社製、GeneTaqNTは、株式会社ニッポンジーン社製を用いた。バッファーは、MgCl2と、Tris−HCl(PH9.0)と、KClと、を含む。
上記の試薬A,Bの各々1.6μLをチューブに注入し、凍結乾燥処理した。その後、シリコーンオイル(具体的には2CSオイル(信越化学工業株式会社製))を、チューブに充填した。
3.1.3. 実験方法
上記の溶液(InfA)および溶液(InfA+InfB)の逆転写反応前の加熱による効果を調べた。具体的は、図17に示すように、容器(InfA),(InfA+InfB)をそれぞれチューブ80に収容し、4℃の状態からヒーター82によって温度を上げて95℃で5分間加熱した。
上記の溶液(InfA)および溶液(InfA+InfB)の逆転写反応前の加熱による効果を調べた。具体的は、図17に示すように、容器(InfA),(InfA+InfB)をそれぞれチューブ80に収容し、4℃の状態からヒーター82によって温度を上げて95℃で5分間加熱した。
次に、長手方向の大きさが2mmのチューブ84に、容器(InfA),(InfA+InfB)の各々1.6μLを注入した。チューブ84には、凍結乾燥された試薬Aまたは試薬Bが配置されている。チューブ84を、予め55℃で加熱した。そして、チューブ84を攪拌して試薬A,Bを溶解し、反応液を得た。その後、チューブ84に収容された反応液に対して、one step RT−PCRを行った。one step RT−PCRは、リアルタイムPCRとして行った。
RT−PCRでは、逆転写反応として50℃で60秒間加熱し、ホットスタート処理として95℃で10秒間処理後、その後、PCRの熱サイクルとして、95℃で4秒間加熱および63℃で6秒間加熱を、50サイクル繰り返した。なお、PCRの熱サイクルの1回目のサイクルは、ホットスタートとして、95℃で10秒間加熱および63℃で6秒間加熱とした。図18に、逆転写反応前の加熱を行った場合の温度プロファイルを示す。
反応液としては、反応液(1),(2),(3),(4)の4種類を得た。各反応液の内容物は以下のとおりである。
反応液(1):溶液(InfA)+試薬A
反応液(2):溶液(InfA+InfB)+試薬A
反応液(3):溶液(InfA)+試薬B
反応液(4):溶液(InfA+InfB)+試薬B
反応液(2):溶液(InfA+InfB)+試薬A
反応液(3):溶液(InfA)+試薬B
反応液(4):溶液(InfA+InfB)+試薬B
さらに、逆転写反応前の加熱を行わないこと以外は、上記と同様の方法で、反応液(1),(2),(3),(4)を得て、one step RT−PCRを行った。図19に、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合の温度プロファイルを示す。
3.2. 実験結果
図20は、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合の熱サイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフである。図21は、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合の電気泳動(アガロースゲル電気泳動)の結果である。図22は、逆転写反応前の加熱を行った場合の熱サイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフである。図23は、逆転写反応前の加熱を行った場合の電気泳動の結果である。
図20は、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合の熱サイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフである。図21は、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合の電気泳動(アガロースゲル電気泳動)の結果である。図22は、逆転写反応前の加熱を行った場合の熱サイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフである。図23は、逆転写反応前の加熱を行った場合の電気泳動の結果である。
図20に示すように、逆転写反応前の加熱を行わなかった場合は、反応液(2),(4)は、反応液(1),(3)よりも蛍光強度(蛍光輝度)が小さかった。これは、図21に示すように、反応液(2),(4)では非特異バンド(図21において破線で囲まれたバンド)が現れていることから、InfBのプライマーを含んでいると非特異増幅が起き、目的となる核酸の増幅が妨げられていることが原因であると考えられる。
一方、図22に示すように、反応液(2),(4)は、反応液(1),(3)と同程度の蛍光強度であった。また、図23に示すように、反応液(2),(4)の非特異バンドは、図21に比べて薄くなった。したがって、逆転写反応前の加熱を行うことで、非特異的な増幅が生じることを抑制できることがわかった。特に、逆転写反応を行う場合は、逆転写酵素は耐熱性が小さいため、逆転写酵素を含む反応液を高温にすることはできないが、反応液が逆転写酵素を含む前に反応液を加熱することにより、逆転写酵素へのダメージを抑えつつ、非特異的な増幅が生じることを抑制できることがわかった。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…第1試薬、4…第2試薬、6…反応液、10…容器本体、10a…第1内壁、10b…第2内壁、12…蓋、20…流路、22…第1流路、24…第2流路、26…第3流路、30…第1領域、31…導入口、32…第2領域、34…第3領域、36…第4領域、40…第1加熱部、40a…開口部、42…第2加熱部、42a,42b…開口部、44…第3加熱部、44a…開口部、46…第4加熱部、46a,46b…開口部、50…駆動機構、60…検出機構、70…処理部、72…操作部、74…表示部、76…記憶部、80…チューブ、82…ヒーター、84…チューブ、100…核酸増幅反応容器、110…核酸増幅反応装置、200…核酸増幅反応容器、210…核酸増幅反応装置
配列番号1は、InfAのフォワードプライマーの配列である。
配列番号2は、InfAのリバースプライマーの配列である。
配列番号3は、InfAの蛍光標識プローブの配列である。
配列番号4は、InfBのフォワードプライマーの配列である。
配列番号5は、InfBのリバースプライマーの配列である。
配列番号2は、InfAのリバースプライマーの配列である。
配列番号3は、InfAの蛍光標識プローブの配列である。
配列番号4は、InfBのフォワードプライマーの配列である。
配列番号5は、InfBのリバースプライマーの配列である。
Claims (15)
- 反応液が移動する流路を含み、
前記流路は、
第1領域と、前記第1領域と離間した第2領域と、を有し、
前記第1領域には、プライマーが配置され、
前記第2領域には、逆転写酵素が配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1において、
前記第2領域には、ポリメラーゼが配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1または2において、
前記第1領域に、プローブが配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1領域に、dNTPが配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1領域に、バッファーが配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、乾燥状態で配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記プライマーおよび前記逆転写酵素は、凍結乾燥状態で配置されている、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし7のいずれか1項において、
前記第1領域は、標的核酸を導入する導入口と連通する、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし8のいずれか1項において、
前記反応液を、前記第1領域と前記第2領域との間で往復させて核酸増幅反応を行う、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし8のいずれか1項において、
前記流路は、
前記第1領域および前記第2領域と離間した第3領域と、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域と離間した第4領域と、
を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、前記第1領域と前記第4領域との間の前記流路に位置し、
前記第2領域および前記第3領域は、屈曲した形状を有する、核酸増幅反応容器。 - 請求項10において、
前記第3領域は、前記流路において、前記第2領域よりも前記第4領域側に位置し、
前記反応液を、前記第3領域と前記第4領域との間で往復させて核酸増幅反応を行う、核酸増幅反応容器。 - 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域および前記第2領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む、核酸増幅反応装置。 - 請求項10または11に記載の核酸増幅反応容器と、
前記第1領域を、第1温度に加熱する第1加熱部と、
前記第2領域を、前記第1温度よりも低い第2温度に加熱する第2加熱部と、
前記第3領域を、前記第2温度よりも高い第3温度に加熱する第3加熱部と、
前記第4領域を、前記第3温度よりも低い第4温度に加熱する第4加熱部と、
前記反応液が、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、および前記第4領域を移動するように、前記核酸増幅反応容器を動かす駆動機構と、
を含む、核酸増幅反応装置。 - 請求項12または13において、
前記反応液からの蛍光を検出する検出機構を含む、核酸増幅反応装置。 - 鋳型核酸およびプライマーを含む反応液を、第1温度で加熱して変性する変性工程と、
前記変性工程の後に、逆転写酵素を前記反応液に添加し、前記反応液を第1温度よりも低い第2温度で加熱して、逆転写反応を行う逆転写反応工程と、
前記逆転写反応工程の後に、前記反応液に熱サイクルを付与して、核酸増幅反応を行う核酸増幅反応工程と、
を含む、核酸増幅反応方法。
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