JP2016168018A - 核酸増幅反応装置及び核酸増幅方法 - Google Patents

核酸増幅反応装置及び核酸増幅方法 Download PDF

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明美 山口
松田 和之
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Takayuki Honda
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Abstract

【課題】核酸増幅反応装置を提供する。
【解決手段】核酸増幅反応液と、当該反応液とは比重が異なり混和しない液体とが充填された容器の第1、第2領域の温度を其々調整する第1、第2の温度調整部と、重力の作用方向に対し、第1領域が第2領域より下の第1配置と第2領域が第1領域より下の第2配置とを切換える駆動部とを含み、反応液は標的核酸増幅用第1プライマー対及びその増幅産物増幅用第2プライマー対を含み、核酸に対する第1プライマー対のアニーリング可能温度領域と増幅産物に対する第2プライマー対のアニーリング可能温度領域の重なりが10℃以下で、第1、第2の温度調整部と駆動部が、第1、第2領域の温度を其々第1の温度、第1温度より低い第2温度にし、第1と第2配置とを切換えた後、第1、第2領域の温度を其々第3温度、第3温度より低く第2温度と10℃以上異なる第4温度にし、第1と第2配置とを切換える、核酸増幅反応装置とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅反応装置及び核酸増幅方法に関する。
PCR(Polymerase Chain Reaction)法による核酸増幅反応は、しばしば、非特異的産物が問題になる。また、鋳型となる核酸が少量であると、増幅産物が十分量得られないこともある。そこで、標的遺伝子以外の遺伝子が多く存在する検体から、微量な標的遺伝子だけを検出する方法として、nested PCRが採用されている。nested PCR法は、検出したい標的遺伝子の量が微量である場合、1対のプライマーの内側にもう1対のプライマーを設定し2回核酸増幅を行うことで、PCRの感度と特異度を上げる方法である。しかし、nested PCRは、2種類のプライマー対を用いるために、通常、1つのプライマー対を用いた1回目のPCR終了後に、反応液の希釈、別の反応容器への移し替え、もう一方のプライマー等の試薬追加などを行うために、コンタミネーションのリスクがあり、且つ操作が煩雑なものだった。
特許文献1には、相異なるTm値を有する複数のプライマー対を用いて、一つの反応容器で逆転写反応及びnested PCRを行う技術が開示されている。しかしこの技術は、1回目のPCRから2回目のPCRへ移行する際等に、反応容器を開けて反応試薬を容器に加える必要があり、反応液中のプライマー量も細かく調整する必要があるなど、依然としてコンタミネーションのリスクと操作の煩雑さがあった。
よって、よりコンタミネーションのリスクが低く、操作も簡便なnested PCRを可能とする核酸増幅反応装置や核酸増幅方法が求められていた。
特開平4−222184号公報
本発明は、コンタミネーションのリスクを低減し、短時間で簡便に微量の核酸を増幅できる核酸増幅装置及び核酸増幅方法を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
本発明の一実施形態は、核酸増幅反応液と、核酸増幅反応液と比重が異なり、核酸増幅反応液とは混和しない液体とが充填された核酸増幅反応容器を装着可能な装着部と、核酸増幅反応容器の第1領域の温度を調整する第1の温度調整部と、核酸増幅反応容器の第2領域の温度を調整する第2の温度調整部と、第1領域が前記第2領域より重力の作用する方向に対し下になる第1の配置と第2領域が前記第1領域より重力の作用する方向に対し下になる第2の配置とを切換える駆動部と、第1の温度調整部、第2の温度調整部、及び駆動部を制御する制御部と、を含む核酸増幅反応装置であって、核酸増幅反応液は、標的核酸を増幅させるための第1のプライマー対、及び第1のプライマー対を用いた核酸増幅反応の増幅産物を増幅させるための第2のプライマー対、を含み、第1のプライマー対の核酸に対するアニーリング可能温度領域と、第2のプライマー対の増幅産物に対するアニーリング可能温度領域との重なりが10℃以下であり、制御部は、第1の温度調整部を制御して第1の領域の温度を第1の温度に調整し、第2の温度調整部を制御して第2の領域の温度を第1の温度より低い第2の温度に調整し、駆動部を制御して第1の配置と第2の配置とを切換えて第1の熱サイクルを行った後、
第1の温度調整部を制御して前記第1の領域の温度を第3の温度に調整し、第2の温度調整部を制御して前記第2の領域の温度を前記第3の温度より低く前記2の温度とは10℃以上異なる第4の温度に調整し、前記駆動部を制御して前記第1の配置と前記第2の配置とを切換えて第2の熱サイクルを行う、核酸増幅反応装置である。
第2の温度が前記第4の温度より高くてもよい。また、第2の温度と、前記第1のプライマー対と前記標的核酸との最適アニーリング温度との温度差が5℃以内、又は1℃以内であってもよい。
第4の温度と、前記第2のプライマー対と前記増幅産物との最適アニーリング温度との温度差が5℃以内、又は1℃以内であってもよい。
第1の熱サイクルが、第1の温度と第2の温度の2段階の温度変化を繰り返す熱サイクルであって、第2の温度では、前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅が起こり、第2のプライマー対を用いた核酸増幅が起こらなくてもよく、第2の熱サイクルが、第3の温度と第4の温度の2段階の温度変化を繰り返す熱サイクルであって、第4の温度では、第2のプライマー対を用いた核酸増幅が起こり、前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅が起こらなくてもよい。
本発明の他の実施態様は、標的核酸を増幅させるための第1のプライマー対、及び第1のプライマー対を用いた核酸増幅反応の増幅産物を増幅させるための第2のプライマー対、を含む核酸増幅反応液と、核酸増幅反応液と比重が異なり前記核酸増幅反応液とは混和しない液体、を核酸増幅反応容器に充填し、核酸増幅反応容器の第1の領域の温度を第1の温度に調整し、核酸増幅反応容器の第2の領域の温度を前記第1の温度より低い第2の温度に調整し、第1領域が第2領域より重力の作用する方向に対し下になる第1の配置と、第2領域が前記第1領域より重力の作用する方向に対し下になる第2の配置と、を切換えて第1の熱サイクルを行った後、第1の領域の温度を第3の温度に調整し、第2の領域の温度を第3の温度より低く第2の温度とは10℃以上異なる第4の温度に調整し、第1の配置と第2の配置とを切り替えて第2の熱サイクルを行う、核酸増幅方法であって、第1のプライマー対の核酸に対するアニーリング可能温度領域と、第2のプライマー対の前記増幅産物に対するアニーリング可能温度領域との重なりが10℃以下である、核酸増幅方法である。
アニーリング可能温度領域の重なりが5℃以下である、又は重なりがなくてもよい。
標的核酸と前記第1のプライマー対の最適アニーリング温度と、前記増幅産物と前記第2のプライマー対の最適アニーリング温度とが、3℃以上離れていてもよい。
第1の熱サイクル及び第2の熱サイクルを行っている間に、前記核酸増幅反応液から放射される蛍光をモニタリングしてもよい。
本発明によって、コンタミネーションのリスクを低減し、短時間で簡便に微量の核酸を増幅できる核酸増幅装置及び核酸増幅方法を提供することができるようになった。
本発明の一実施形態に係る核酸増幅反応容器の断面図である。gは重力の方向を表す。 本発明の一実施形態に係る昇降式PCR装置の斜視図である。(A)は蓋を閉じた状態、(B)は蓋を開けた状態を示す。 本発明の一実施形態に係る昇降式PCR装置における本体の分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る昇降式PCR装置における本体の、図2(A)のA−A線における断面を模式的に示す断面図である。(A)は第1の配置、(B)は第2の配置を示す。 本発明の一実施形態に係るプライマー対のアニーリング可能温度領域を示す図である。 本発明の一実施形態に係るプライマー対のアニーリング可能温度領域を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、それぞれアニーリング温度が異なる2回の核酸増幅反応の結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、RT−nested PCRの結果を示す図である。
以下、実施例を挙げながら、本発明の実施形態を詳細に述べる。
本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
(1)核酸増幅反応容器
本発明の方法で使用する核酸増幅反応容器は、反応液と、反応液と比重が異なり、反応液と混和しない液体と、を含む、密閉された容器を有し、反応液が液滴状であり、液体が、オイルと添加剤を含む核酸増幅反応容器である。
図1は、核酸増幅反応容器100の断面図である。図1は、核酸増幅反応容器に反応液を入れた状態を表す。
本発明に使用する核酸増幅反応容器100は、容器150及び封止部120を含んで構成されている。核酸増幅反応容器100の大きさや形状は、特に限定されないが、例えば、反応液140と混和しない液体130の量、熱伝導率、容器150及び封止部120の形状、あるいは取り扱いの容易さの少なくとも1つを考慮して設計されてもよい。
核酸増幅反応容器100の容器150は透明な材質から形成することができる。それによって、核酸増幅反応容器100の外部から、容器150内の反応液140の移動を観察したり、リアルタイムPCR等の、容器150の外部から測定等を行うような用途に使用したりすることができる。なお、本明細書において「透明」という場合には、容器150の外部から容器150内の反応液140を観察できる程度の視認性が確保できるものとし、この条件が満たされる限り、必ずしも核酸増幅反応容器100の全体が透明でなくても良いものとする。
核酸増幅反応容器100の用途は特に限定されないが、例えばリアルタイムPCRのような、蛍光測定を伴う用途に使用する場合には、容器150は、自発蛍光の小さい材質で形成されることが望ましい。容器150はPCRにおける加熱に耐えられる材質であることが好ましい。また、容器150の材質は、核酸やタンパク質の吸着が少なく、ポリメラーゼ等による酵素反応を阻害しない材質であることが好ましい。これらの条件を満たす材質としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー(例えば、ZEONEX(登録商標)480R)、耐熱ガラス(例えばPYREX(登録商標)ガラス)等やこれらの複合材料であってもよいが、ポリプロピレンが好ましい。
図1に示す核酸増幅反応容器100では、容器150は円筒状に形成されており、中心軸方向(図1における上下方向)が長手方向となっている。ここで用いる容器150は、チューブであることが好ましく、小型遠心用チューブや、PCR用に設計されたチューブであってもよいが、長手方向を有する、即ち細長い形状であることにより、例えば、後述する昇降式の核酸増幅反応装置を用いて、容器150内の液体130に温度の異なる領域が形成されるように核酸増幅反応容器100を温度制御する場合に、異なる温度の領域の間の距離を長くしやすくなる。これにより、容器150内の領域毎に、液体130を異なる温度に制御することが容易となるので、PCRに適した熱サイクルを実現できる。なお、昇降式の核酸増幅反応装置とは、容器150を満たした液体130中に少なくとも2つの温度領域を形成し、液体130と混和しない反応液140をこれらの温度領域間で往復移動させることによって熱サイクルを実現する装置である。この装置を用いた核酸増幅反応を、以下、昇降式PCRとも称する。
容器150の形状は、長手方向を有する限り、特に限定されないが、昇降式PCRに用いる場合には、略円筒形状で内径Dと長手方向の長さLとの比が1:5〜1.5:20の範囲であることが好ましい。さらには、内径Dが1.5〜2mm、長さLが10〜20mmであることがより好ましい。
容器150は、開口部及び開口部を封止する封止部120を有し、容器150中は反応液140と、反応液140と比重が異なり、反応液140と混和しない液体130を含む。開口部を封止部120により封止した場合に、容器150内に空気が残らないことが好ましい。容器150内に気泡が残ると、反応液140の移動が妨げられることがあるからである。封止部120は、容器150と同様の材質から形成することができる。封止部120の構造は、容器150を密閉できる構造であればよく、例えば、ねじ蓋、栓、はめ込み等の構造とすることができる。図1においては、封止部120はねじ蓋の構造である。
反応液140(以下、核酸増幅反応液140とも記す)は、核酸増幅反応用試薬、及び増幅対象の標的核酸を含んでもよい。標的核酸としては、例えば、血液、尿、唾液、髄液、組織などの検体から調製されたDNA、又は、それらの検体から調製されたRNAを逆転写したcDNAなどが挙げられる。核酸増幅反応用試薬は、標的核酸を増幅するためのプライマー対、バッファー、ポリメラーゼ、dNTP、MgCl及び、標的核酸の増幅産物を検出するための蛍光標識などを含んでいてもよい。核酸増幅反応容器100中でRT−PCRを行う場合は、逆転写酵素や逆転写用プライマーなどを含んでいてもよい。DNAポリメラーゼは特に限定されないが、耐熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば、Taqポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改良型など、非常に多数の市販品があるが、ホットスタートを行えるDNAポリメラーゼが好ましい。dNTPや塩の濃度は、用いる酵素について適した濃度にすれば良いが、通常、dNTPを10〜1000μM、好ましくは100〜500μM、Mg2+を1〜100mM、好ましくは5〜10mM、Clを1〜2000mM、好ましくは200〜700mM、とすれば良く、総イオン濃度は、特に限定されないが、50mMより高い濃度であってもよく、100mMより高い濃度が好ましく、120mMより高い濃度がより好ましく、150mMより高い濃度がさらに好ましく、200mMより高い濃度がさらに好ましい。上限は、500mM以下が好ましく、300mM以下がより好ましく、200mM以下がさらに好ましい。プライマー用オリゴヌクレオチドは、それぞれ0.1〜10μM、好ましくは0.1〜1μMが用いられる。標的核酸の増幅産物を検出するための蛍光標識は、特に限定されず、Taqman(登録商標)MGBプローブ(Applied Biosystems)などの蛍光プローブや、SYBR Green(登録商標)などのインターカレーターなど、目的に応じて入試可能なものから任意に選択されてよい。
反応液140はまた、界面活性剤を含んでよい。界面活性剤は特に限定されないが、NP40、Triton-X100、Tween20などが例示できる。界面活性剤の濃度は特に限定されないが、核酸増幅反応を阻害しない濃度が好ましく、0.001%〜0.1%以下であってもよく、0.002%〜0.02%であることが好ましく、0.005%〜0.01%であることが最も好ましい。界面活性剤は、上述の酵素のストック溶液からの持ち込みであってもよいが、それとは独立に界面活性剤溶液を反応液140に添加してもよい。
液体130は、反応液140とは混和しないものを用いることにより、容器150に反応液140を入れた場合に、反応液140と液体130とが混和しないため、液体130中において反応液140を液滴状にすることができる。こうして、反応液140が液体130中に液滴状で保持されている。
液体130は、反応液140よりも比重が小さいものが好ましい。この場合、液体130中に反応液140を入れた場合に、反応液140の液滴は液体130よりも比重が大きいので、重力の作用によって重力の作用する方向に移動する。また、液体130は、反応液140よりも比重が大きい液体であってもよい。この場合には、反応液140の液滴は液体130よりも比重が小さいので、重力の作用によって重力の作用する方向とは反対方向に移動する。
液体130はオイルを含むことが好ましく、例えば、シリコーンオイル又はミネラルオイルを使用することができる。ここで、シリコーンとは、主骨格としてシロキサン結合を有するオリゴマーまたはポリマーを意味する。本明細書においては、シリコーンのうち熱サイクル処理に使用する温度帯において液体の状態であるものを特にシリコーンオイルと称する。また、本明細書においては、石油から精製され、熱サイクル処理に使用する温度帯において液体であるものをミネラルオイルと称する。これらのオイルは熱に対する安定性が高く、例えば粘度が5×10Nsm−2以下の製品も入手しやすいので、昇降式のPCRに好適である。
シリコーンオイルとしては、信越シリコーン社製のKF−96L−0.65cs、KF−96L−1cs、KF−96L−2cs、KF−96L−5cs、東レ・ダウコーニング社製のSH200 C FLUID 5 CS、あるいはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF451−5A、TSF451−10等のジメチルシリコーンオイルが例示される。ミネラルオイルとしては、主成分として炭素数14から20程度のアルカンを含有するものが例示される。すなわち、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−テトラコサンが例示される。
液体130は、添加剤を含んでよい。添加剤としては、例えば、X-22-160AS、X-22-3701E、KF-857、KF-859、KF-862、KF-867、 KF-6017 、KF-8005(以上、信越シリコーン社)などの変性シリコーンオイル、SR1000、SS4230、SS4267、YR3370(以上、Momentive社)などのシリコーンレジン、XS66-C1191(Momentive社)などのフルオロ変性シリコーンレジン、などのほか、TSF4703、TSF4708、XF42-C5196、XF42-C5197(以上、Momentive社)などの変性シリコーンオイルを使用することができる。添加剤の濃度は、特に限定されないが、容器の構造、材質、形状などを考慮して決定することができる。例えば、1%(v/v)以上50%(v/v)以下であることが好ましく、2%(v/v)以上20%(v/v)以下であることがより好ましく、5%(v/v)であることがさらに好ましい。
(2)昇降式核酸増幅反応装置の装置構成
本実施形態では、核酸増幅反応を行う核酸増幅反応容器100として、チューブ型の核酸増幅反応用チューブ100を用いる。以下、PCRを核酸増幅反応の一例とし、核酸増幅反応用チューブ100に適した昇降式核酸増幅反応装置(以下、昇降式PCR装置とも記す)の一例について、詳細に述べる。
図2は、昇降式PCR装置1の一例を示す。(A)は昇降式PCR装置1の蓋50を閉じた状態、(B)は昇降式PCR装置1の蓋50を開けた状態であり、装着部11に核酸増幅反応用チューブ100が装着された状態を表す。図3は、実施形態に係る昇降式PCR装置1における本体10の分解斜視図である。図4は、実施形態に係る昇降式PCR装置1における本体10の、図2(A)のA−A線における断面を模式的に示す断面図である。
この昇降式PCR装置1は、図2(A)に示すように、本体10及び駆動部20を含む。図3に示すように、本体10は、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13を含む。第1温度調整部12と第2温度調整部13との間にはスペーサー14が設けられている。本実施形態の本体10においては、第1温度調整部12が底板17の側、第2温度調整部13が蓋50の側に配置されている。本実施形態の本体10においては、第1温度調整部12、第2温度調整部13、及びスペーサー14はフランジ16、底板17及び固定板19に固定されている。
装着部11は、後述する核酸増幅反応用チューブ100を装着する構造である。図2(B)および図2に示すように、本実施形態の装着部11は、核酸増幅反応用チューブ100を差し込んで装着するスロット構造であり、第1温度調整部12の第1ヒートブロック12b、スペーサー14、及び第2温度調整部13の第2ヒートブロック13bを貫通する穴に核酸増幅反応用チューブ100を差し込む構造となっている。装着部11の数は複数であってもよく、図2(B)の例では、20個の装着部11が本体10に設けられている。
この昇降式PCR装置1は、核酸増幅反応用チューブ100を第1温度調整部12及び第2温度調整部13に対して所定の位置に保持する構造を含む。より具体的には、図4に示すように、後述する核酸増幅反応用チューブ100を構成する流路110の、第1領域111の温度を第1温度調整部12によって、第2領域112の温度を第2温度調整部13によって、調整できる。本実施形態においては核酸増幅反応用チューブ100の位置を定める構造は底板17であり、図4(A)に示すように、核酸増幅反応用チューブ100を底板17に接触する位置まで差し込むことで、第1温度調整部12及び第2温度調整部13に対して核酸増幅反応用チューブ100を所定の位置に保持できる。
第1温度調整部12は、装着部11に核酸増幅反応用チューブ100を装着した場合に、後述する核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111の温度を第1の温度に調整する。図4(A)に示す例では、第1温度調整部12は本体10において、核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111を加熱する位置に配置されている。
第1温度調整部12は、熱を発生させる機構と、発生した熱を核酸増幅反応用チューブ100に伝える部材とを含んでもよい。図3に示す例では、第1温度調整部12は第1ヒーター12a及び第1ヒートブロック12bを含む。本実施形態においては、第1ヒーター12aはカートリッジヒーターであり、導線15によって図示しない外部電源に接続されている。第1ヒーター12aは第1ヒートブロック12bに挿入されており、第1ヒーター12aが発熱することで第1ヒートブロック12bが加熱される。第1ヒートブロック12bは、第1ヒーター12aから発生した熱を核酸増幅反応用チューブ100に伝える部材である。本実施形態においてはアルミニウム製のブロックである。
第2温度調整部13は、装着部11に核酸増幅反応用チューブ100を装着した場合に、核酸増幅反応用チューブ100の第2領域112の温度を、第1の温度とは異なる第2の温度に調整する。図4(A)に示す例では、第2温度調整部13は本体10において、核酸増幅反応用チューブ100の第2領域112を加熱する位置に配置されている。図3に示すように、第2温度調整部13は、第2ヒーター13a及び第2ヒートブロック13bを含む。第2温度調整部13は、加熱する核酸増幅反応用チューブ100の領域及び加熱する温度が第1温度調整部12と異なる以外は、第1温度調整部12と同様である。
本実施形態においては、第1温度調整部12及び第2温度調整部13の温度は、図示しない温度センサー及び後述する制御部によって制御される。第1温度調整部12及び第2温度調整部13の温度は、核酸増幅反応用チューブ100の第1及び第2領域の温度が所望の温度に調整されるように設定されることが好ましい。本実施形態においては、第1温度調整部12を第1の温度に、第2温度調整部13を第2の温度に制御することで、核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111を第1の温度に、第2領域112を第2の温度に加熱できる。本実施形態における温度センサーは熱電対である。
駆動部20は、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13を制御する機構であり、それにより第1領域と第2領域の配置を制御する。本実施形態においては、駆動部20は図示しないモーター及び駆動軸を含み、駆動軸と本体10のフランジ16とが接続されている。本実施形態における駆動軸は、装着部11の長手方向に対して垂直に設けられており、モーターを動作させると駆動軸を回転の軸として本体10が回転する。
本実施形態の昇降式PCR装置1は、図示しない制御部を含む。制御部は、後述する第1の温度、第2の温度、第1の時間、第2の時間、及び熱サイクルのサイクル数のうち、少なくとも1つを制御する。制御部が第1の時間または第2の時間を制御する場合には、制御部は駆動部20の動作を制御することによって、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13が所定の配置に保持される時間を制御する。制御部は、制御する項目ごとに異なる機構を設けても、全項目を一括して制御するものであってもよいが、本実施形態の昇降式PCR装置1における制御部は電子制御であり、上記項目を全て制御する。本実施形態の制御部は図示しないCPU等のプロセッサー、及び、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を含む。記憶装置には上記各項目を制御するための各種プログラム、データ等が記憶されている。また、記憶装置は各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
本実施形態の本体10は、図3及び図4(A)の例に示すように、第1温度調整部12と第2温度調整部13との間にスペーサー14が設けられている。本実施形態のスペーサー14は、第1温度調整部12または第2温度調整部13を保持する部材である。本実施形態においては、スペーサー14は断熱材であり、図4(A)の例においては、装着部11はスペーサー14を貫通している。
本実施形態の本体10は、固定板19を含む。固定板19は、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13を保持する部材である。図2(B)及び図3に示す例においては、2枚の固定板19がフランジ16に嵌め合わされており、第1温度調整部12、第2温度調整部13及び底板17が固定されている。
本実施形態の昇降式PCR装置1は、蓋50を含む。図2(A)及び図4(A)の例では、装着部11は蓋50によって覆われている。蓋50は、固定部51によって本体10に固定されてもよい。本実施形態においては、固定部51は磁石である。図2(B)及び図3の例に示すように、本体10の蓋50の接触する面には磁石が設けられている。図2(B)及び図3には示されていないが、蓋50にも、本体10の磁石が接触する位置に磁石が設けられており、蓋50で装着部11を覆うと、磁力によって蓋50が本体10に固定される。
なお、固定板19、底板17、蓋50、フランジ16は断熱材を用いて形成されることが好ましい。
(3)昇降式PCR装置を用いた熱サイクル処理
図4(A)及び図4(B)は、昇降式PCR装置1の、図2(A)のA−A線における断面を模式的に示す断面図である。図4(A)及び図4(B)は、昇降式PCR装置1に核酸増幅反応用チューブ100が装着された状態を示す。図4(A)は第1の配置、図4(B)は第2の配置を示す。以下では、核酸増幅反応用チューブ100を用いた場合の、実施形態に係る昇降式PCR装置1を用いた熱サイクル処理について説明する。
図1の例に示すように、実施形態に係る核酸増幅反応用チューブ100は流路110及び封止部120を含む。流路110には、反応液140と、反応液140よりも比重が小さく、かつ、反応液140とは混和しないオイル130とが充填され、封止部120によって封止されている。
流路110は、対向する内壁に近接して反応液140が移動するように形成されている。ここで、流路110の「対向する内壁」とは、流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域を意味する。「近接」とは、反応液140と流路110の壁面との距離が近いことを意味し、反応液140が流路110の壁面に接触する場合を含む。したがって、「対向する内壁に近接して反応液140が移動する」とは、「流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域の両方に対して距離が近い状態で、反応液140が移動する」こと、すなわち、対向する内壁に沿って反応液140が移動することを意味する。
図1の例では、核酸増幅反応用チューブ100の外形は円柱状であり、中心軸方向(図1における上下方向)に流路110が形成されている。流路110の形状は、流路110の長手方向に対して垂直な方向の断面、すなわち流路110のある領域における反応液140が移動する方向に対して垂直な断面(これを流路110の「断面」とする)が円形の筒状である。したがって、本実施形態の核酸増幅反応用チューブ100においては、流路110の対向する内壁は、流路110の断面の直径を構成する流路110の壁面上の2点を含む領域であり、対向する内壁に沿って反応液140が流路110の長手方向に移動する。
核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111は、第1温度調整部12によって第1の温度に調整される、流路110の一部の領域である。第2領域112は、第2温度調整部13によって第2の温度に調整される、第1領域111とは異なる流路110の一部の領域である。本実施形態の核酸増幅反応用チューブ100においては、第1領域111は、流路110の長手方向における一方の端部を含む領域であり、第2領域112は、流路110の長手方向における他方の端部を含む領域である。図4(A)及び図4(B)に示す例では、流路110の封止部120側の端部を含む点線で囲まれた領域が第2領域112であり、封止部120から遠い側の端部を含む点線で囲まれた領域が第1領域111である。
図1に示すように、流路110は、オイル130と、反応液140の液滴とを含む。オイル130と反応液140は、(1)核酸増幅反応容器の記載に従って準備される。
以下、図4(A)及び図4(B)を参照しながら、実施形態に係る昇降式PCR装置1を用いた熱サイクル処理を説明する。図4(A)及び図4(B)においては、矢印gの方向(図における下方向)が重力の作用する方向である。本実施形態においては、熱サイクル処理の例としてシャトルPCR(2段階温度PCR)を行う場合を説明する。なお、以下に説明する各工程は熱サイクル処理の一例を示すものである。必要に応じて工程の順序を入れ替えたり、2以上の工程を連続的にあるいは並行して行ったり、工程を追加したりしてもよい。
シャトルPCRは、高温と低温の2段階の温度処理を繰り返し反応液に施すことにより、反応液中の核酸を増幅させる手法である。高温の処理においては2本鎖DNAの解離が、低温の処理においてはアニーリング(プライマーが1本鎖DNAに結合する反応)及び伸長反応(プライマーを始点としてDNAの相補鎖が合成される反応)が起こる。
一般に、シャトルPCRにおける高温は80℃から100℃の間の温度、低温は50℃から70℃の間の温度である。各温度における処理は所定時間行われ、高温に保持する時間は低温に保持する時間よりも短いことが一般的である。例えば、高温が1秒から10秒程度、低温が4秒から60秒程度としてもよく、反応の条件によってはこれよりも長い又は短い時間であってもよい。
なお、使用する試薬の種類や量によって、適切な時間、温度およびサイクル数(高温と低温を繰り返す回数)は異なるので、試薬の種類や反応液140の量を考慮して適切なプロトコールを決定した上で反応を行うことが好ましい。
まず、核酸増幅反応用チューブ100を、装着部11に装着する。本実施形態では、オイル130が充填された流路110に反応液140を導入後、封止部120によって封止された核酸増幅反応用チューブ100を装着部11に装着する。反応液140の導入は、マイクロピペットやインクジェット方式の分注装置等を用いて行うことができる。装着部11に核酸増幅反応用チューブ100を装着した状態においては、第1温度調整部12は第1領域111を、第2温度調整部13は第2領域112を、それぞれ含む位置において核酸増幅反応用チューブ100に接している。
ここで、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13、の配置は第1の配置である。図4(A)に示すように、第1の配置は、核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111を、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置させる。第1の配置においては、重力の作用する方向における流路110の最下部に第1領域111が位置するので、オイル130よりも比重の大きい反応液140は、第1領域111に位置する。本実施形態においては、装着部11に核酸増幅反応用チューブ100を装着したら、蓋50によって装着部11を覆い、昇降式PCR装置1を作動させる。
次に、第1温度調整部12及び第2温度調整部13により核酸増幅反応用チューブ100を加熱する。第1温度調整部12と第2温度調整部13とは、核酸増幅反応用チューブ100の異なる領域の温度を異なる温度に調整する。すなわち、第1温度調整部12は第1領域111の温度を第1の温度に調整し、第2温度調整部13は第2領域112の温度を第2の温度に調整する。これにより、流路110の第1領域111と第2領域112との間には、第1の温度と第2の温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成される。ここでは、第1領域111から第2領域112へ向けて温度が低くなる温度勾配が形成される。本実施形態の熱サイクル処理はシャトルPCRであるので、第1の温度は2本鎖DNAの解離に適した温度、第2の温度はアニーリング及び伸長反応に適した温度とする。
装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13の配置は第1の配置であるので、核酸増幅反応用チューブ100を加熱すると、反応液140は第1の温度に加熱される。第1の時間が経過したら、駆動部20によって本体10を駆動し、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13の配置を第1の配置から第2の配置へ切換える。第2の配置は、第2領域112を重力の作用する方向において流路110の最下部に位置させる配置である。換言すると、第2領域112は、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13が、第1の配置とは異なる所定の配置にある場合に、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する領域である。本実施形態の熱サイクル装置1においては、制御部の制御によって駆動部20が本体10を回転駆動する。駆動軸を回転の軸として、モーターによってフランジ16を回転駆動すると、フランジ16に固定されている装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13が回転する。駆動軸は装着部11の長手方向に対して垂直な方向の軸であるので、モーターの動作によって駆動軸が回転すると、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13が回転する。図4(A)及び図4(B)に示す例では、本体10を180°回転させる。これにより、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13の配置が第1の配置から第2の配置へ切換えられる。
ここで、第1領域111と第2領域112との重力の作用する方向における位置関係が第1の配置とは逆になるので、反応液140は重力の作用によって第1領域111から第2領域112へと移動する。装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13の配置が第2の配置に達した場合に、駆動部20の動作が停止すると、装着部11、第1温度調整部12並びに第2温度調整部13の配置が第2の配置に保持される。第2の配置において、第2の時間が経過したら、再度回転し、所定の回数が来るまで、このようにして第1の位置と第2の位置を入れ替えながら回転することにより、核酸増幅反応が行われる。第1の位置と第2の位置を一回入れ替えることを、1サイクルとする。
核酸増幅反応液140が、第1領域から第2領域へ移動する時間は任意に設定できるが、より短い方が好ましい。例えば、その時間は5秒以内であってもよいが、2秒以内であることがより好ましく、1秒以内であることが最も好ましい。
上述の核酸増幅反応容器及び昇降式PCR装置を用いてこの熱サイクル処理を行うことで、微小な液滴である反応液の温度を、従来のPCR装置に比べて素早く変えることできる。例えばシャトルPCRにおいて、反応液の温度が、高温からアニーリング及び伸長反応に適した設定温度へ下降する時間、またはその逆が非常に短いために、アニーリング可能な温度以外の温度である時間も非常に短い。よって核酸増幅反応液中に、アニーリング可能温度領域の相異なる複数のプライマー対が存在していても、非特異的増幅が抑えられ、目的の増幅を効率的に行うことができる。
(4)本発明の核酸増幅方法
本発明に係る核酸増幅方法として、シャトルPCR法による、上述の熱サイクル方法を用いたnested PCR法を説明する。
ここでは、核酸増幅反応液140に含まれる標的核酸を第1のプライマー対を用いて第1の核酸増幅反応を行い、次いで第1のプライマー対より内側にアニーリングする、すなわち第1のプライマー対を用いて得た増幅産物にアニーリングするよう設計された第2のプライマー対を用いて第2の核酸増幅反応を行う例を説明する。本発明の核酸増幅反応装置として、(1)、(2)に記載の昇降式PCR装置を用い、熱サイクル処理は(3)に記載の例に準じる。なお、本方法を用いることで、3種以上のプライマー対を用いて3つ以上の核酸増幅反応を行うことができるが、その場合、以下の記載は、そのうちの2つの核酸増幅反応について説明したものとする。
核酸増幅反応液140は、ポリメラーゼ、dNTP、MgCl、核酸、核酸を増幅させるための第1及び第2のプライマー対、並びに核酸増幅の指標である蛍光標識を含み、必要に応じて界面活性剤等を含んでもよい。蛍光標識は、1種類でも2種類でもよい。本方法では、この核酸増幅反応液140に対し、第1の温度と第2の温度で第1の熱サイクルを行った後で、第3の温度と第4の温度で、第2の熱サイクルを行う。第1及び第3の温度は、核酸変性に適した(3)の第1の温度、第2及び第4の温度は、アニーリング及び伸長反応に適した(3)の第2の温度に相当する。なお、第1及び第2のプライマー対は、以下のような特性を満たすように設計する。
まず、第1のプライマー対と第2のプライマー対は、それぞれ核酸に対するアニーリング可能温度領域が重なっていてもよいが、重なっていないことが最も好ましい。アニーリング可能温度領域が重なる場合、10℃以下であることが好ましく、7℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがより好ましく、3℃以下であることがより好ましく、1℃以下であることがさらに好ましい。ここで、アニーリング可能温度領域とは、所定の条件で各プライマー対を単独で用いて核酸を増幅させた場合、核酸の増幅が認められる温度領域のことをいう。
また、核酸と第1のプライマー対の最適アニーリング温度と、核酸と第2のプライマー対の最適アニーリング温度とは、異なっていることが好ましく。1℃以上離れていることが好ましく、3℃以上離れていることがより好ましく、5℃以上離れていることがより好ましい。ここで、最適アニーリング温度とは、所定の条件で各プライマー対を単独で用いて核酸を増幅させた場合に、核酸が最も多量に増幅される温度のことをいう。
第1の核酸増幅反応におけるアニーリング温度と、第2の核酸増幅反応におけるアニーリング温度との差は、各プライマー対のアニーリング可能温度領域に応じて任意に決定すればよいが、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上離れた値に設定する。
アニーリング可能温度領域や最適アニーリング温度を調べる場合、PCR装置、例えば上述の昇降式PCR装置を用いた熱サイクル処理によって、決定することができるが、核酸を増幅させるのに用いるのと同じPCR装置で、かつ同じ条件で決定することが好ましい。なお、増幅反応の有無及び増幅反応産物量は、例えば、蛍光標識の呈する蛍光輝度を測定することによって調べることができる。
このようなプライマー対を含んだ核酸増幅反応液140に対し、第1の熱サイクル処理によって、まず第1の温度と第2の温度で第1の核酸増幅反応を行う。具体的には、以下の通りである。まず、第1温度調整部及び第2温度調整部を、それぞれ第1の温度及び第2の温度に設定し、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13の配置を、第1の配置とする。このとき、核酸増幅反応液140は第1領域111に存在し、第1温度調整部によって、核酸変性反応に適した第1の温度に加熱される。任意に設定された第1の時間経過後、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13を、回転によって第2の配置にすると、核酸増幅反応液140は第2領域112に移動する。第2の配置において、第2温度調整部によって、第2領域112を、第1のプライマー対と核酸とのアニーリング反応に適した第2の温度にし、アニーリング反応及び核酸伸長反応を行う。任意に設定された第2の時間経過後、再度回転し第1の位置に戻す。任意に設定された回数、第1と第2の配置を入れ替えながら回転させ、第1の核酸増幅反応を行う。第1のプライマー対と第2のプライマー対の、核酸とのアニーリング可能温度領域が重なっていない場合、実質的に第1の核酸増幅反応のみが進行する。
続いて、第2の熱サイクル処理によって第3の温度と第4の温度で第2の核酸増幅反応を行うために、第1温度調整部及び第2温度調整部を、それぞれ第3の温度及び第4の温度に設定する。第1の熱サイクル処理と同様、まず、第1の配置において、第1温度調整部によって、第1領域111に存在する核酸増幅反応液140を、核酸変性反応に適した、第3の温度にする。任意に設定された第1の時間経過後、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13を、回転によって第2の配置にし、核酸増幅反応液140を第2領域112に移動させ、第2領域112の温度を、第2のプライマー対のアニーリング反応に適した第4の温度にする。任意に設定された第2の時間経過後、装着部11、第1温度調整部12及び第2温度調整部13を、再度回転によって第1の配置にする。任意に設定された回数、第1と第2の配置を入れ替えながら回転させ、第2の核酸増幅反応を行う。第1のプライマー対と第2のプライマー対の、核酸とのアニーリング可能温度領域が重なっていない場合、実質的に第2の核酸増幅反応のみが進行する。このように、本発明の方法では、第1の核酸増幅反応と第2の核酸増幅反応を、核酸増幅反応容器への溶液添加や容器開閉等を行わずに、連続して行う。以下、このことを連続PCRと称する。
ここで、第2の温度と第4の温度は、それぞれ第1のプライマー対と第2のプライマー対の最適アニーリング温度との差が所定の温度以内になるように設定する。例えば、その温度差は5℃以内であってもよく、3℃以内であることが好ましく、1℃以内であることがより好ましいが、第2の温度及び第4の温度は、それぞれ第1のプライマー対と第2のプライマー対の最適アニーリング温度であることが最も好ましい。第2の温度及び第4の温度は、どちらが高くても構わないが、第2の温度の方が第4の温度より高い方が好ましい。
第1の温度と第3の温度は、それぞれ核酸と第1のプライマー及び核酸と第2のプライマーが十分変性できる温度である限り特に限定されず、また同じであっても異なっていてもよい。例えば、それぞれ独立に、90℃以上であってもよく、93℃以上であってもよく、95℃以上であってもよい。
第1の核酸増幅反応から第2の核酸増幅反応に移行する際に、第1温度調整部による加熱温度を第1の温度から第3の温度へと変更し、第2温度調整部による加熱温度を第2の温度から第4の温度へと変更する場合、その時の第1温度調整部及び第2温度調整部の温度変更速度は任意に設定できるが、より速い方が好ましい。例えば、その速度は1℃/秒であってもよいが、2℃/秒であることがより好ましく、5℃/秒であることがさらに好ましく、10℃/秒であることが最も好ましい。
核酸増幅反応液140が、第1領域から第2領域へ移動する時間は任意に設定できるが、より短い方が好ましい。例えば、その時間は5秒以内であってもよいが、2秒以内であることがより好ましく、1秒以内であることが最も好ましい。
好ましくは、上述の連続PCR中、蛍光検出部によって核酸増幅反応液140に含まれる蛍光標識の蛍光輝度をモニタリングする。なお、第1の核酸増幅反応または第2の核酸増幅反応において、検出される蛍光輝度が上昇した場合、それぞれ核酸の増幅が起こったと判断できる。また、所定のサイクル数、例えば40サイクル後でも蛍光輝度が上昇しない場合、核酸の増幅反応は起こらなかったと判断できる。
第2の核酸増幅反応を開始するタイミングは任意に設定できる。例えば、第1の核酸増幅反応を所定の回数のサイクル数行った時点で、第2の核酸増幅反応に切り替えるとあらかじめ決めておいてもよいが、第1の核酸増幅反応において核酸の増幅反応が起こったと判断された時点で第2の核酸増幅反応を開始してもよい。
また、本実施の形態では、PCR法としてシャトルPCRを用いたが、熱変性、アニーリング、及び伸長反応で温度を変えるPCR法(3段階温度PCR)でもよい。この場合、第1及び第2アニーリング温度に加えて伸長反応温度を設定し、核酸増幅反応液をアニーリング温度に維持した後、所定時間、伸長反応温度に維持すればよい。
なお、RT-nested PCRを行う場合は、上述の熱サイクル処理の前に、第2温度調整部13によって第2領域112を加熱し、第2領域112に存在する反応液140を約42〜55℃で処理することにより、逆転写反応を行えばよい。具体的には、例えば、第1温度調整部12によって核酸増幅反応用チューブ100の第1領域111の温度を95℃に、第2温度調整部13によって第2領域112の温度を42℃に調整し、一定期間、第2の配置とする。このとき、反応液140は第2領域112にあるので、42℃に加熱され、一定の期間RNAからDNAへの逆転写が行われ、その後第1の配置とし、95℃の第1領域111に反応液140を移動させ、逆転写酵素を失活させる。その後、得られたcDNAを鋳型に、上述の熱サイクル処理を行えばよい。逆転写反応の温度及び逆転写酵素の失活温度は特に限定されないが、一般的には、逆転写反応の温度は35〜65℃程度、逆転写酵素の失活温度はDNAポリメラーゼを失活させない温度、具体的には70〜105℃程度の範囲から、任意に選択できる。
以上説明した本発明の方法を用いれば、第1の核酸増幅反応から第2の核酸増幅反応に移行する際、RT−nested PCRを行う場合は逆転写反応から第1の核酸増幅反応、第1の核酸増幅反応から第2の核酸増幅反応に移行する際、核酸増幅反応容器への試薬の添加や容器の開閉などの必要がないため、コンタミネーションのリスクや操作の煩雑さを低減できる。また、昇降式PCR装置を用いると、核酸増幅反応液の温度変化が素早いために核酸増幅反応に要する時間が短いので、微量な核酸を短時間で増幅することが可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
<実施例1>
まず、2種類のプライマー対を用いて核酸増幅反応のアニーリング可能温度領域を上述の昇降式PCR装置を用いて調べた。PCR法は、アニーリングと伸長反応を同一温度で行うシャトルPCRを選択した。以下、アニーリング温度とは、アニーリング及び伸長反応を行う温度を意味するものとする。
(1)アニーリング可能温度領域とアニーリング温度の決定
昇降式PCR装置を用いた核酸増幅反応のためのアニーリング可能温度領域及びアニーリング温度を決定するため、まず、TA cloning(登録商標)キット(Invitrogen)を用い、標的核酸としてのBCR−ABL遺伝子の一部(配列番号1)をpCR2.1ベクターに挿入したBCR−ABLプラスミドを作製した。そして、BCR−ABLプラスミド10コピー、2つの異なる領域(第一領域及び第二領域とする)をそれぞれ増幅するためのプライマー対、及びその他核酸増幅反応に必要な試薬を含む核酸増幅反応液を調製し、下記の条件で、増幅反応をそれぞれ個別に行った。
PCR条件は以下の通りである。
第一領域の増幅のための核酸増幅反応液の組成は下記の通りである。調製した10μlから、1.6μl(10コピー)を核酸増幅反応に使用した。
Platinum(登録商標)Taq DNA Polymerase 0.2μl
5xbuffer(※) 2.0μl
dNTP(2.5 mM) 1.0μl
step2-BCRプライマー (20μM) 0.4μl
step2-ABLプライマー (20μM) 0.4μl
蛍光標識プローブ (10μM) 0.2μl
BCR-ABL plasmid(104コピー/μl) 0.625μl
水 5.175μl
計10.0μl
(※5xbufferの組成 MgCl:25mM、KCl:125mM、Tris−HCl(PH9.0):125mM)
使用したプライマー対及び蛍光標識プローブの配列は下記のとおりである。
step2-BCRプライマー: GTGAAACTCCAGACTGTCCACAGCA (配列番号2)
step2-ABLプライマー: TCCACTGGCCACAAAATCATACAGT (配列番号3)
ENP541プローブ: FAM-CCCTTCAGCGGCCAGTAGCATCTGA-TAMRA (配列番号4)
第二領域の増幅のための核酸増幅反応液の組成は下記の通りである。調製した10μlから、1.6μl(10コピー)を核酸増幅反応に使用した。
Platinum(登録商標)Taq DNA Polymerase 0.2μl
5xbuffer(※) 2.0μl
dNTP(2.5 mM) 1.0μl
2nd-BCRプライマー (20μM) 0.4μl
2nd-ABLプライマー (20μM) 0.4μl
蛍光標識プローブ (10μM) 0.2μl
BCR-ABL plasmid(104コピー/μl) 0.625μl
水 5.175μl
計10.0μl
(※5xbufferの組成 MgCl:25mM、KCl:125mM、Tris―HCl(PH9.0):125mM)
使用したプライマー対及び蛍光標識プローブの配列は下記のとおりである。
2nd-BCRプライマー: CACTGGATTTAAGCAGA (配列番号5)
2nd-ABLプライマー: TTCACTCAGACCCTGAG (配列番号6)
ENP541プローブ: FAM-CCCTTCAGCGGCCAGTAGCATCTGA-TAMRA (配列番号4)
上記2つの遺伝子の増幅と温度との関係を図5及び6に示す。図中、「1st primer」は第1のプライマー対を用いた結果、「2nd primer」は第2のプライマーを用いた結果を表し、棒グラフの縦軸はCt値を、横軸はアニーリング温度を表し、線グラフの縦軸は蛍光輝度を、横軸はサイクル数を表す。数値は、2回の試験の平均値を表す。本発明の方法で用いる昇降式PCR装置において、最もアニーリング及び伸長の効率の良い温度(最適アニーリング温度)は、第一領域が62.5℃、第二領域が50℃であった。
<実施例2>
本実施例では、1つのチューブの中でnested PCRを行ったとき、連続して各プライマー対を用いた核酸増幅(連続PCR)を行っても、それらが独立して起こることを確認した。ここでは、アニーリング温度及び伸長温度が同一である、シャトルPCR法を採用し、核酸増幅反応装置及び熱サイクル方法は、上述のものを用いた。
nested PCRにおいて、第一領域を増幅する第1の核酸増幅反応で用いるプライマー対を第1のプライマー対、第二領域を増幅する第2の核酸増幅反応で用いるプライマー対を第2のプライマー対と命名した。
両プライマー対、標的核酸としてのBCR−ABLプラスミド、及びその他反応に必要な試薬を含む核酸増幅反応液1.6μlを用いて、アニーリング及び伸長温度を65℃とし第1の核酸増幅反応を行った。また、アニーリング及び伸長温度を50℃として第2の核酸増幅反応を行った。プローブは、上述の、FAMで蛍光標識しTAMRAで修飾したENP541(配列番号3)を用いた。
また、PCR条件は以下の通りである。
核酸増幅反応液の組成は下記の通りである。調製した10μlから、1.6μl(10コピー)を核酸増幅反応に使用した。
Platinum(登録商標)Taq DNA Polymerase 0.2μl
5xbuffer(※) 2.0μl
dNTP(2.5 mM) 1.0μl
第1のプライマー対 step2-BCRプライマー (20μM) 0.4μl
step2-ABLプライマー(20μM) 0.4μl
第2のプライマー対 2nd-BCRプライマー(20μM) 0.4μl
2nd-ABLプライマー (20μM) 0.4μl
蛍光標識プローブ (10μM) 0.2μl
BCR-ABL plasmid(104コピー/μl) 0.625μl
水 4.375μl
計10.0μl
(※5xbufferの組成 MgCl:25mM、KCl:125mM、Tris−HCl(PH9.0):125mM)
第1又は第2のプライマー対と、アニーリング及び伸長温度との関係を、図7に示す。縦軸はプローブ由来の蛍光輝度を表し、数値が高いほど増幅産物が生成したことを示す。横軸はサイクル数を表す。
図7に示すように、アニーリング及び伸長温度を65℃とした第1の核酸増幅反応では、第1のプライマー対による増幅、つまり第1のプライマー対のアニーリング及び伸長のみが起こったことが確認でき、第2のプライマー対による増幅は確認できなかった。一方で、アニーリング及び伸長温度を50℃とした第2の核酸増幅反応では、第2のプライマー対による増幅、つまり第2のプライマー対のアニーリング及び伸長のみが起こったことが確認でき、第1のプライマー対による増幅は確認できなかった。つまり、あらかじめ第1及び第2のプライマー対を含んだ核酸増幅反応液を用いても、反応液の温度を素早く変化させることができる昇降式PCR装置を用いて核酸増幅反応を行うので、nested PCRにおいて各核酸増幅反応を独立して行うことができる。
<実施例3>
本実施例では、昇降式PCR装置を用いてRT−nested PCRを行った。RT−nested PCRとは、逆転写反応後、連続してnested PCRを行うことを意味する。
BCR−ABL遺伝子を持つヒトのK562細胞株から抽出したtotal RNA、及び、ネガティブコントロールとして健常人の末梢血から抽出したtotal RNAを用意した。実施例1で使用した、第1のプライマー対及び第2のプライマー対を含む核酸増幅反応液1.6μlにヒトのK562細胞株から抽出したtotal RNAを1.0ngまたは0.1ng混合した反応液と、健常人の末梢血から抽出したtotal RNAを1.0ng混合した核酸増幅反応液とをそれぞれ調製し、各反応液に対しRT−nested PCRを行った。核酸の増幅は、プローブの蛍光をリアルタイムで検出することで確認した。
RT−nested PCR条件は下記の通りである。
核酸増幅反応液の組成は下記の通りである。調製した10μlから、1.6μl(1ngまたは0.1ng total RNA)を核酸増幅反応に使用した。
SuperScript(登録商標)III RT/Platinum(登録商標)TaqMix 0.2μl
Platinum(登録商標)Taq DNA Polymerase 0.2μl
5xbuffer(※) 2.0μl
dNTP(2.5 mM) 1.0μl
第1のプライマー対 step2-BCRプライマー (20μM) 0.4μl
step2-ABLプライマー(20μM) 0.4μl
第2のプライマー対 2nd-BCRプライマー(20μM) 0.4μl
2nd-ABLプライマー (20μM) 0.4μl
蛍光標識プローブ (10μM) 0.2μl
total RNA(5ng/μL又は0.5ng/μL) 1.25μl
水 3.55μl
計10.0μl
(※5xbufferの組成 MgCl:25mM、KCl:125mM、Tris―HCl(PH9.0):125mM)
検出結果を図8に示す。図中、NCはネガティブコントロールを表し、縦軸はプローブ由来の蛍光輝度を表し、横軸はサイクル数を表す。
図8に示すように、ネガティブコントロールではプローブ由来の蛍光輝度の上昇がみられず、増幅は確認されなかった。一方でK562細胞由来のtotal RNAにおいては、1ngの場合も0.1ngの場合も、プローブ由来の蛍光輝度の上昇が確認された。
以上に示すように、本発明の方法は、RT−nested PCRにおいて、逆転写反応、第1の核酸増幅反応、第2の核酸増幅反応を、1つの容器で、1回の試薬調製で連続して行うことができた。これは、反応開始から終了までコンタミネーションのリスクがなく、且つ操作が簡便であることを意味する。さらに、本発明に係る核酸増幅反応装置を使用するため、標的核酸の増幅産物の検出までを30分以内という短時間で行うことができる。また、蛍光標識を用いた場合、輝度変化により標的核酸の増幅有無を判断できるため、融解アッセイや電気泳動などのさらなるステップが必要なく、短時間での判断が可能となる。
1…昇降式PCR装置、10…本体、11…装着部、12…第1温度調整部、12a…第1ヒーター、12b…第1ヒートブロック、13…第2温度調整部、13a…第2ヒーター、13b…第2ヒートブロック、14…スペーサー、15…導線、16…フランジ、17…底板、19…固定板、20…駆動部、50…蓋、51…固定部、100…核酸増幅反応容器又は核酸増幅反応用チューブ、110…流路、111…第1領域、112…第2領域、120…封止部、130…液体、140…核酸増幅反応液、150…容器

Claims (13)

  1. 核酸増幅反応液と、前記核酸増幅反応液と比重が異なり、前記核酸増幅反応液とは混和しない液体とが充填された核酸増幅反応容器を装着可能な装着部と、
    前記核酸増幅反応容器の第1領域の温度を調整する第1の温度調整部と、
    前記核酸増幅反応容器の第2領域の温度を調整する第2の温度調整部と、
    前記第1領域が前記第2領域より重力の作用する方向に対し下になる第1の配置と前記第2領域が前記第1領域より重力の作用する方向に対し下になる第2の配置とを切換える駆動部と、
    前記第1の温度調整部、前記第2の温度調整部、及び前記駆動部を制御する制御部と、を含む核酸増幅反応装置であって、
    前記核酸増幅反応液は、標的核酸を増幅させるための第1のプライマー対、及び前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅反応の増幅産物を増幅させるための第2のプライマー対、を含み、前記第1のプライマー対の前記標的核酸に対するアニーリング可能温度領域と、前記第2のプライマー対の前記増幅産物に対するアニーリング可能温度領域との重なりが10℃以下であり、
    前記制御部は、第1の温度調整部を制御して前記第1領域の温度を第1の温度に調整し、第2の温度調整部を制御して前記第2領域の温度を前記第1の温度より低い第2の温度に調整し、前記駆動部を制御して前記第1の配置と前記第2の配置とを切換えて第1の熱サイクルを行った後、
    第1の温度調整部を制御して前記第1領域の温度を第3の温度に調整し、第2の温度調整部を制御して前記第2領域の温度を前記第3の温度より低く前記2の温度とは10℃以上異なる第4の温度に調整し、前記駆動部を制御して前記第1の配置と前記第2の配置とを切換えて第2の熱サイクルを行う、核酸増幅反応装置。
  2. 前記第2の温度が前記第4の温度より高い、請求項1に記載の核酸増幅反応装置。
  3. 前記第2の温度と、前記第1のプライマー対と前記標的核酸との最適アニーリング温度との温度差が5℃以内である、請求項1または2に記載の核酸増幅反応装置。
  4. 前記第2の温度と、前記第1のプライマー対と前記標的核酸との最適アニーリング温度との温度差が1℃以内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸増幅反応装置。
  5. 前記第4の温度と、前記第2のプライマー対と前記増幅産物との最適アニーリング温度との温度差が5℃以内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸増幅反応装置。
  6. 前記第4の温度と、前記第2のプライマー対と前記増幅産物との最適アニーリング温度との温度差が1℃以内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸増幅反応装置。
  7. 前記第1の熱サイクルが、前記第1の温度と前記第2の温度の2段階の温度変化を繰り返す熱サイクルであって、
    前記第2の温度では、前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅が起こり、前記第2のプライマー対を用いた核酸増幅が起こらない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸増幅反応装置。
  8. 前記第2の熱サイクルが、前記第3の温度と前記第4の温度の2段階の温度変化を繰り返す熱サイクルであって、
    前記第4の温度では、前記第2のプライマー対を用いた核酸増幅が起こり、前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅が起こらない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸増幅反応装置。
  9. 標的核酸を増幅させるための第1のプライマー対、及び前記第1のプライマー対を用いた核酸増幅反応の増幅産物を増幅させるための第2のプライマー対、を含む核酸増幅反応液と、前記核酸増幅反応液と比重が異なり前記核酸増幅反応液とは混和しない液体、を核酸増幅反応容器に充填し、
    前記核酸増幅反応容器の前記第1の領域の温度を第1の温度に調整し、前記核酸増幅反応容器の第2の領域の温度を前記第1の温度より低い第2の温度に調整し、前記第1領域が前記第2領域より重力の作用する方向に対し下になる第1の配置と、前記第2領域が前記第1領域より重力の作用する方向に対し下になる第2の配置と、を切換えて第1の熱サイクルを行った後、前記第1の領域の温度を第3の温度に調整し、前記第2の領域の温度を前記第3の温度より低く前記第2の温度とは10℃以上異なる第4の温度に調整し、前記第1の配置と前記第2の配置とを切り替えて第2の熱サイクルを行う、核酸増幅方法であって、
    前記第1のプライマー対の前記核酸に対するアニーリング可能温度領域と、前記第2のプライマー対の前記増幅産物に対するアニーリング可能温度領域との重なりが10℃以下である、核酸増幅方法。
  10. 前記アニーリング可能温度領域の重なりが5℃以下である、請求項9に記載の核酸増幅方法。
  11. 前記アニーリング可能温度領域の重なりがない、請求項9又は10に記載の核酸増幅方法。
  12. 前記標的核酸と前記第1のプライマー対の最適アニーリング温度と、前記増幅産物と前記第2のプライマー対の最適アニーリング温度とが、3℃以上離れている、請求項9〜11のいずれか1項に記載の核酸増幅方法。
  13. 前記第1の熱サイクル及び前記第2の熱サイクルを行っている間に、前記核酸増幅反応液から放射される蛍光をモニタリングする、請求項9〜12に記載の核酸増幅方法。
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