JP2018046220A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 均一な厚さが確保された固体電解質層が形成されることによって、コンデンサ素子における漏れ電流の発生を抑制することが可能な固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供する。【解決手段】 弁作用金属からなり、かつ陽極を構成する多孔質焼結体21と、一部が多孔質焼結体21の内部に挿入された陽極ワイヤ22と、多孔質焼結体21を覆う誘電体層23と、誘電体層23を覆い、かつ陰極を構成する陰極部24と、を備えるコンデンサ素子Bと、陽極ワイヤ22に接続された陽極端子31と、陰極部24に接続された陰極端子32と、を備え、コンデンサ素子Bは、誘電体層23の表面上に形成された突状体25を複数備え、複数の突状体25は、前記陰極部に覆われている。【選択図】 図6
Description
本発明は、特に弁作用金属の焼結体からなる陽極を有するコンデンサ素子を備え、かつ表面実装される樹脂パッケージ形式の固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年における電子機器の小型化や高機能化の進展によって、電子機器に供給される電源には高周波領域での駆動が要求されている。それに伴い、ノイズ対策や電源電圧の平滑化が必要となり、電子回路におけるコンデンサが果たす役割が重要になってきている。こうした中で、小型で静電容量が大きく、かつ高周波におけるインピーダンスが低い固体電解コンデンサの需要が高まっている。
ここで、弁作用金属(TaまたはNb)の焼結体を陽極部の一部とした固体電解コンデンサのコンデンサ素子は、焼結体の表面に形成された酸化皮膜を誘電体層とすることが一般的である。また、誘電体層は、陰極部の一部である固体電解質層に覆われている。固体電解質層は、従来はMnO2から構成されることが一般的であったが、近年は導電性が高く漏れ電流(リーク電流)が少ないポリピロールなどの導電性ポリマーから構成されることが多くなってきている。導電性ポリマーから構成される固体電解質層の形成方法は、化学重合法による方法と、電解重合法による方法と、導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させる方法とに大別される。このうち、導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させる方法は、比較的簡易な設備規模で、かつ少ない工数で固体電解質層を形成することが可能であるという利点を有する。ただし、当該方法によると、弁作用金属の焼結体の角部などの一部の部分ではコロイド溶液の付着が不十分となりやすく、固体電解質層の厚さを均一に確保することが困難となる場合がある。固体電解質層の厚さが不均一であると、コンデンサ素子の漏れ電流が増加することが懸念される。
そこで、特許文献1では、固体電解質層の厚さが十分に確保されたコンデンサ素子の形成方法について開示されている。当該方法に基づく固体電解質層の形成は、以下の手順により行われる。まず、化学重合法により誘電体層を覆う第1固体電解質層を形成する。次いで、電解重合法により第1固体電解質層を覆う第2固体電解質層を形成する。最後に化学重合法により第2固体電解質層を覆う第3固体電解質層を形成する。当該方法によると、均一な厚さが確保された固体電解質層を形成することができる。また、当該方法は、弁作用金属の焼結体をより小型化にした場合であっても、良質な固体電解質層を形成することができるという利点を有する。ただし、当該方法は、導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させる方法と比較して、設備規模が多大となり、かつ工数が多くなるという課題がある。
本発明は上記事情に鑑み、均一な厚さが確保された固体電解質層が形成されることによって、コンデンサ素子における漏れ電流の発生を抑制することが可能な固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属からなり、かつ陽極を構成する多孔質焼結体と、一部が前記多孔質焼結体の内部に挿入された陽極ワイヤと、前記多孔質焼結体を覆う誘電体層と、前記誘電体層を覆い、かつ陰極を構成する陰極部と、を備えるコンデンサ素子と、前記陽極ワイヤに接続された陽極端子と、前記陰極部に接続された陰極端子と、を備える固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ素子は、前記誘電体層の表面上に形成された突状体を複数備え、複数の前記突状体は、前記陰極部に覆われていることを特徴としている。
本発明の実施において好ましくは、前記陰極部は、前記誘電体層を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層を覆う第1陰極引出層と、前記第1陰極引出層を覆う第2陰極引出層と、を含み、前記突状体は、前記固体電解質層に覆われている。
本発明の実施において好ましくは、前記固体電解質層は、導電性ポリマーまたはMnO2から構成される。
本発明の実施において好ましくは、前記導電性ポリマーは、ポリピロールである。
本発明の実施において好ましくは、前記突状体は、導電性モノマーのデンドライト結晶である。
本発明の実施において好ましくは、前記導電性モノマーは、前記固体電解質層を構成する前記導電性ポリマーの単量体である。
本発明の実施において好ましくは、前記突状体は、カーボンナノチューブである。
本発明の実施において好ましくは、前記第1陰極引出層は、グラファイトから構成される。
本発明の実施において好ましくは、前記第2陰極引出層は、Agから構成される。
本発明の実施において好ましくは、前記多孔質焼結体の形状は、前記陽極ワイヤの軸方向に対して直角である幅方向の長さよりも、前記軸方向および前記幅方向の双方に対して直角である厚さ方向の長さが短い扁平状である。
本発明の実施において好ましくは、前記弁作用金属は、TaまたはNbである。
本発明の実施において好ましくは、前記陽極ワイヤは、前記多孔質焼結体と同一の金属からなる。
本発明の実施において好ましくは、前記陽極端子は、外部に接続される端子部と、前記端子部から前記コンデンサ素子の厚さ方向に起立し、かつ前記陽極ワイヤを支持する支持部と、を有する。
本発明の実施において好ましくは、前記陰極端子および前記陰極部の双方に接し、かつ導電性を有する接合層を備える。
本発明の実施において好ましくは、前記陽極端子および前記陰極端子は、ともに同一の金属材料から構成される。
本発明の実施において好ましくは、前記金属材料は、FeおよびNiを含む合金またはCuを含む合金である。
本発明の実施において好ましくは、前記コンデンサ素子と、前記陽極端子および前記陰極端子の各々一部ずつと、を覆う封止樹脂とを備える。
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂は、ガラスフリットが含有されたエポキシ樹脂から構成される。
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂は、前記コンデンサ素子の厚さ方向において互いに反対側を向く樹脂主面および樹脂裏面を有し、前記陽極端子および前記陰極端子の各々一部ずつが前記樹脂裏面から露出している。
本発明の実施において好ましくは、前記陽極端子および前記陰極端子には、前記封止樹脂から露出した各々の部分を覆う導電層が形成されている。
本発明の実施において好ましくは、前記導電層は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成される。
本発明の第2の側面によって提供される固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属からなり、かつ陽極を構成する多孔質焼結体を陽極ワイヤに形成する工程と、前記多孔質焼結体を覆う誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層を覆い、かつ陰極を構成する陰極部を形成する工程と、を含むコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子を導電性基材に搭載する工程と、前記導電性基材の一部および前記コンデンサ素子を覆う封止樹脂を形成する工程と、を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、前記陰極部を形成する工程では、前記誘電体層を覆う固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層を覆う陰極引出層を形成する工程と、を含み、前記コンデンサ素子を形成する工程では、前記誘電体層を形成する工程と前記固体電解質層を形成する工程との間に、前記誘電体層の表面から外側に突出する突状体を形成する工程を備えることを特徴としている。
本発明の実施において好ましくは、前記突状体を形成する工程では、前記誘電体層に覆われた前記多孔質焼結体を導電性モノマー溶液に浸漬させた後、電解重合法により前記誘電体層の表面上にデンドライト結晶を成長させることによって前記突状体が形成される。
本発明の実施において好ましくは、前記突状体を形成する工程では、前記多孔質焼結体を覆う前記誘電体層の表面に金属触媒を付着させた後、CVD法により前記金属触媒の上にカーボンナノチューブを成長させることによって前記突状体が形成される。
本発明の実施において好ましくは、前記金属触媒は、Fe、CoまたはNiのいずれかである。
本発明の実施において好ましくは、前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させた後、乾燥処理を行うことによって前記固体電解質層が形成される。
本発明の実施において好ましくは、前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を前記導電性モノマー溶液に浸漬させた後、前記突状体を形成したときよりも低い印加電圧とした電解重合法により前記突状体を覆う導電性ポリマーを生成することによって前記固体電解質層が形成される。
本発明の実施において好ましくは、前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を硝酸マンガン水溶液に浸漬させた後、焼成処理を行うことによって前記固体電解質層が形成される。
本発明の第1の側面である固体電解コンデンサによれば、コンデンサ素子は、多孔質焼結体を覆う誘電体層の表面に形成された突状体を複数備え、複数の突状体は、陰極部に覆われている。当該突状体は、本発明の第2の側面である固体電解コンデンサの製造方法のうちコンデンサ素子を形成する工程において、誘電体層を形成する工程と陰極部の固体電解質層を形成する工程との間に形成される。このような構成をとることによって、固体電解質層の形成対象となる表面積が従来よりも増加し、かつ多孔質焼結体の部分によって偏りなく表面積が増加する。このため、多孔質焼結体の角部においても平坦部と同様に均一な厚さが確保された固体電解質層を形成することができる。したがって、コンデンサ素子における漏れ電流の発生を抑制することが可能となる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図6に基づき、本発明の第1実施形態にかかる固体電解コンデンサA10について説明する。本実施形態にかかる固体電解コンデンサA10は、コンデンサ素子B、陽極端子31、陰極端子32、接合層33および封止樹脂4を備える。
図1〜図6に基づき、本発明の第1実施形態にかかる固体電解コンデンサA10について説明する。本実施形態にかかる固体電解コンデンサA10は、コンデンサ素子B、陽極端子31、陰極端子32、接合層33および封止樹脂4を備える。
図1は、固体電解コンデンサA10の平面図である。図2は、固体電解コンデンサA10の底面図である。図3は、固体電解コンデンサA10の右側面図である。図4は、図1のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図1のV−V線に沿う断面図である。図6は、固体電解コンデンサA10のコンデンサ素子Bの部分拡大断面図である。なお、図1は、理解の便宜上、封止樹脂4を透過して示している。透過した封止樹脂4の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
これらの図に示す固体電解コンデンサA10は、様々な電子機器の回路基板に表面実装される樹脂パッケージ形式のものである。ここで、説明の便宜上、後述するコンデンサ素子Bの陽極ワイヤ22の軸に沿った方向を軸方向X(図1における左右方向)と、軸方向Xに対して直角であるコンデンサ素子Bの幅に沿った方向を幅方向Y(図1における上下方向)と呼ぶ。なお、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zは、軸方向Xおよび幅方向Yの双方に対して直角である。図1に示すように、固体電解コンデンサA10のコンデンサ素子Bの厚さ方向Z視である平面視(以下、単に「平面視」という。)の形状は、矩形状である。
[コンデンサ素子Bについて]
固体電解コンデンサA10の主たる構成要素であるコンデンサ素子Bについて説明する。コンデンサ素子Bは、図1〜図4に示すように、素子主面11、素子裏面12、一対の素子第1側面131および一対の素子第2側面132を有する。また、図5および図6に示すように、コンデンサ素子Bは、多孔質焼結体21、陽極ワイヤ22、誘電体層23、陰極部24および突状体25を備える。図3および図4に示すように、コンデンサ素子Bにおいては、陽極ワイヤ22に陽極端子31が、素子裏面12にあたる陰極部24に陰極端子32がそれぞれ接続されている。本実施形態にかかるコンデンサ素子Bの形状は、直方体状であり、かつ厚さ方向Zの長さが軸方向Xおよび幅方向Yの各々の長さよりも短い扁平状である。また、コンデンサ素子Bは、軸方向Xの長さよりも幅方向Yの長さの方が短い。
固体電解コンデンサA10の主たる構成要素であるコンデンサ素子Bについて説明する。コンデンサ素子Bは、図1〜図4に示すように、素子主面11、素子裏面12、一対の素子第1側面131および一対の素子第2側面132を有する。また、図5および図6に示すように、コンデンサ素子Bは、多孔質焼結体21、陽極ワイヤ22、誘電体層23、陰極部24および突状体25を備える。図3および図4に示すように、コンデンサ素子Bにおいては、陽極ワイヤ22に陽極端子31が、素子裏面12にあたる陰極部24に陰極端子32がそれぞれ接続されている。本実施形態にかかるコンデンサ素子Bの形状は、直方体状であり、かつ厚さ方向Zの長さが軸方向Xおよび幅方向Yの各々の長さよりも短い扁平状である。また、コンデンサ素子Bは、軸方向Xの長さよりも幅方向Yの長さの方が短い。
図1〜図5に示すように、素子主面11は図3〜図5に示すコンデンサ素子Bの厚さ方向Zのうち上方を向く面であり、素子裏面12はコンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおいて素子主面11とは反対側を向く面である。素子主面11および素子裏面12の大きさは、ともに同一である。
図1、図3および図4に示すように、一対の素子第1側面131は、素子主面11と素子裏面12との間に位置し、かつ軸方向Xにおいて互いに離間した面である。各々の素子第1側面131は、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zに並行している。一対の素子第1側面131のうち、一方の素子第1側面131(図1の左側に位置)から陽極ワイヤ22が軸方向Xに沿って突出している。また、図1、図2および図5に示すように、一対の素子第2側面132は、素子主面11と素子裏面12との間に位置し、かつ幅方向Yにおいて互いに離間した面である。各々の素子第2側面132は、一対の素子第1側面131と同様にコンデンサ素子Bの厚さ方向Zに並行している。本実施形態においては、素子第2側面132の大きさは、素子第1側面131の大きさよりも大である。
多孔質焼結体21は、陽極ワイヤ22とともにコンデンサ素子Bの陽極を構成する部分である。図4および図5に示すように、多孔質焼結体21は、形状が直方体状であるとともに、陽極ワイヤ22の一部を覆い、かつ誘電体層23および陰極部24に覆われている。コンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおける多孔質焼結体21の長さは一様であり、かつ誘電体層23および陰極部24の厚さ方向Zの長さよりも十分に長く設定されている。このため、コンデンサ素子Bの形状は、素子第1側面131から突出した陽極ワイヤ22の部分を除けば、多孔質焼結体21の形状に基づいたものとなっている。多孔質焼結体21は弁作用金属からなり、本実施形態にかかる当該弁作用金属は、TaまたはNbである。図6に示すように、多孔質焼結体21の表面において多数の細孔211が形成されている。このため、多孔質焼結体21の表面積は、細孔211によって拡大されている。
陽極ワイヤ22は、図4および図5に示すように、その一部が多孔質焼結体21の内部に挿入された棒状の部分である。本実施形態にかかる陽極ワイヤ22は、幅方向Yおよびコンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおいてそれぞれ中央に位置するように、軸方向Xに沿って配置されている。このため、陽極ワイヤ22の一部は、素子第1側面131の中央から突出している。また、本実施形態にかかる陽極ワイヤ22は、多孔質焼結体21と同一の金属、すなわち同一の弁作用金属であるTaまたはNbからなる。
誘電体層23は、図6に示すように、多孔質焼結体21を覆う薄膜の部分である。誘電体層23は、多孔質焼結体21の細孔211の表面に沿って形成されている。誘電体層23は、多孔質焼結体21の酸化物からなる。すなわち、本実施形態にかかる誘電体層23は、Ta2O5またはNb2O5からなる。誘電体層23は、多孔質焼結体21と陰極部24との間に挟まれている。
陰極部24は、コンデンサ素子Bの陰極を構成する部分である。図4〜図6に示すように、陰極部24は、誘電体層23を覆う固体電解質層241と、固体電解質層241を覆う第1陰極引出層242と、第1陰極引出層242を覆う第2陰極引出層243とを含み、これらが互いに積層されている。
図6に示すように、固体電解質層241は、誘電体層23を覆いつつ、多孔質焼結体21の細孔211を埋める部分である。本実施形態にかかる固体電解質層241は、導電性ポリマーまたはMnO2から構成される。このうち導電性ポリマーは、ポリピロールやポリチオフェンなどの複素環式化合物であり、ポリピロールが当該導電性ポリマーとして特に好ましい。固体電解コンデンサA10の使用時は、誘電体層23と固体電解質層241との界面に電荷が蓄積される。
図6に示すように、第1陰極引出層242は、固体電解質層241を覆い、かつ固体電解質層241に導通する部分である。本実施形態にかかる第1陰極引出層242は、グラファイト(黒鉛)から構成される。また、図6に示すように、第2陰極引出層243は、第1陰極引出層242を覆い、かつ第1陰極引出層242を介して固体電解質層241に導通する部分である。図4および図5に示すように、コンデンサ素子Bの表面は、陽極ワイヤ22の一部が突出する素子第1側面131を除き、第2陰極引出層243が露出したものとなっている。本実施形態にかかる第2陰極引出層243は、Agから構成される。
突状体25は、図6に示すように、誘電体層23の表面上に形成された部分であり、複数からなる。本実施形態にかかる突状体25は、導電性モノマーのデンドライト結晶である。このため、突状体25の形状は樹枝状となっている。当該導電性モノマーは、ピロールやチオフェンなどの複素環式化合物であり、先述した固体電解質層241を構成する導電性ポリマーの単量体である。したがって、本実施形態にかかる突状体25は、導電性を有する。
[その他の構成要素について]
次に、固体電解コンデンサA10の構成要素のうち、コンデンサ素子B以外である陽極端子31、陰極端子32、接合層33および封止樹脂4について説明する。
次に、固体電解コンデンサA10の構成要素のうち、コンデンサ素子B以外である陽極端子31、陰極端子32、接合層33および封止樹脂4について説明する。
陽極端子31は、図1〜図4に示すように、導電性を有し、かつコンデンサ素子Bの陽極ワイヤ22に接続されることにより固体電解コンデンサA10の陽極を構成する部材である。陽極端子31は、端子部311および支持部312を有する。本実施形態においては、端子部311および支持部312は、ともに同一の金属材料からなる。当該金属材料は、FeおよびNiを含む合金(いわゆる42アロイ)またはCuを含む合金である。
図1〜図4に示すように、端子部311は、回路基板などの外部に接続される部分である。端子部311の形状は、平板状である。端子部311の一部は、封止樹脂4から露出している。図1、図3および図4に示すように、支持部312は、端子部311からコンデンサ素子Bの厚さ方向Zに起立し、かつコンデンサ素子Bの陽極ワイヤ22を図3の下方から支持する部分である。支持部312の形状は、直方体状である。図3に示す支持部312の下端は、スポット溶接などにより端子部311に固定されている。また、図3に示す支持部312の上端には、スポット溶接などにより陽極ワイヤ22が固定されている。端子部311は、支持部312を介して陽極ワイヤ22と相互に導通している。
陰極端子32は、図1〜図5に示すように、導電性を有し、かつコンデンサ素子Bの陰極部24(コンデンサ素子Bの素子裏面12)に接続されることにより固体電解コンデンサA10の陰極を構成する部分である。本実施形態においては、陰極端子32は、陽極端子31の端子部311および支持部312と同一の金属材料からなる。したがって、陰極端子32は、FeおよびNiを含む合金またはCuを含む合金からなる。陰極端子32は、陰極部24に接続されるとともに、回路基板などの外部に接続される。陰極端子32は、陽極端子31の端子部311と同様の平板状である。また、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおける陰極端子32の長さ(厚さ)は、端子部311の当該長さと同一である。陰極端子32の一部は、封止樹脂4から露出している。
接合層33は、図3〜図5に示すように、陰極端子32およびコンデンサ素子Bの陰極部24(コンデンサ素子Bの素子裏面12)の双方に接し、かつ導電性を有する部分である。接合層33によって、陰極部24は陰極端子32に固着され、かつ陰極部24および陰極端子32が相互に導通している。本実施形態にかかる接合層33は、Agを含むエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂(いわゆるAgペースト)から構成される。
図1〜図5に示すように、陽極端子31の端子部311および陰極端子32には、封止樹脂4から露出した各々の部分を覆う導電層39が形成されている。本実施形態にかかる導電層39は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成される。
封止樹脂4は、図2〜図5に示すように、コンデンサ素子Bと、陽極端子31および陰極端子32の各々一部ずつとを覆う部分である。封止樹脂4は、熱硬化性の合成樹脂からなる。本実施形態にかかる封止樹脂4は、ガラスフリットが含有されたエポキシ樹脂から構成される。封止樹脂4は、樹脂主面41、樹脂裏面42、一対の樹脂第1側面431および一対の樹脂第2側面432を有する。樹脂主面41および樹脂裏面42は、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く面である。樹脂主面41は、図3に示す封止樹脂4の上面である。樹脂裏面42は、図3に示す封止樹脂4の下面である。図2〜図4に示すように、陽極端子31の端子部311および陰極端子32の各々一部ずつが、樹脂裏面42から露出している。なお、樹脂主面41からは何も露出していない。
図3および図4に示すように、一対の樹脂第1側面431は、樹脂主面41と樹脂裏面42との間に位置し、かつ軸方向Xにおいて互いに離間した面である。各々の樹脂第1側面431は、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zに並行している。一対の樹脂第1側面431のうち、一方の樹脂第1側面431(図4の左側に位置)から陽極端子31の端子部311の一部が露出している。また、他方の樹脂第1側面431(図4の右側に位置)から陰極端子32の一部が露出している。また、図2および図5に示すように、一対の樹脂第2側面432は、樹脂主面41と樹脂裏面42との間に位置し、かつ幅方向Yにおいて互いに離間した面である。各々の樹脂第2側面432は、一対の樹脂第1側面431と同様にコンデンサ素子Bの厚さ方向Zに並行している。本実施形態においては、樹脂第2側面432の大きさは、樹脂第1側面431の大きさよりも大である。なお、一対の樹脂第2側面432からは、樹脂主面41と同様に何も露出していない。
次に、図7〜図18に基づき、固体電解コンデンサA10の製造方法の一例について説明する。
図7、図11および図13〜図18は、固体電解コンデンサA10の製造方法を説明する断面図であり、その断面位置が図4と同様に軸方向Xに沿った断面である。図8、図10および図12は、固体電解コンデンサA10の製造方法を説明する部分拡大断面図である。図9は、固体電解コンデンサA10の製造方法を説明する概要図である。なお、これらの図において示されるコンデンサ素子Bの厚さ方向Zおよび軸方向Xは、図1〜図5において示されるコンデンサ素子Bの厚さ方向Zおよび軸方向Xと同一の方向である。
最初に、コンデンサ素子Bを形成する。まず、図7に示すように、弁作用金属からなり、かつコンデンサ素子Bの陽極を構成する多孔質焼結体81を陽極ワイヤ811に形成する。多孔質焼結体81および陽極ワイヤ811が、コンデンサ素子Bの多孔質焼結体21および陽極ワイヤ22に対応する。多孔質焼結体81は、TaまたはNbなどの弁作用金属の微粉末を陽極ワイヤ811とともに金型に装填した後、加圧成型することによって形成される。この場合において、陽極ワイヤ811は、多孔質焼結体81と同一の弁作用金属であることが好ましい。多孔質焼結体81は、陽極ワイヤ811の一部を覆うように形成される。その後、溶接などにより陽極ワイヤ811の先端を棒状の支持部材89に固定する。支持部材89は、たとえばCuなど、導電性を有する金属材料からなる。このとき、多孔質焼結体81は、陽極ワイヤ811により支持部材89に吊り下げ支持される。
次いで、図8に示すように、多孔質焼結体81を覆う誘電体層82を形成する。誘電体層82が、コンデンサ素子Bの誘電体層23に対応する。誘電体層82は、多孔質焼結体81をリン酸水溶液などの化成処理液に浸漬させて、多孔質焼結体21の表面を酸化処理することにより形成される。
次いで、誘電体層82の表面から外側に突出する突状体83を形成する。突状体83が、コンデンサ素子Bの突状体25に対応する。本実施形態にかかる突状体83は、以下の手順により形成される。まず、図9に示すように、誘電体層82に覆われた多孔質焼結体81を導電性モノマー溶液881に浸漬させる。本実施形態にかかる導電性モノマー溶液881は、ピロールやチオフェンなどの複素環式化合物の単量体の水溶液である。また、導電性モノマー溶液881には、たとえばp−トルエンスルホン酸ナトリウムなどの電解質が溶解されている。当該電解質は、電解重合を促進させるためのドーパントである。
次いで、図9に示すように、多孔質焼結体81を吊り下げ支持する支持部材89をアノードに、多孔質焼結体81から離間させ、かつ導電性モノマー溶液881に浸漬させた対向電極882をカソードに設定し、電解重合法により突状体83を形成する。この場合において、誘電体層82における電位勾配が5〜100V/cmとなるように設定する。また、対向電極882の材料は、金属材料、グラファイトなど、導電性を有し、かつ電気分解に適用されるものである。このとき、図10に示すように、誘電体層82の表面上に突状体83が複数形成される。本実施形態においては、電解重合法により成長させた導電性モノマーのデンドライト結晶が突状体83である。
次いで、誘電体層82および突状体83を覆い、かつコンデンサ素子Bの陰極を構成する陰極部84を形成する。陰極部84が、コンデンサ素子Bの陰極部24に対応する。陰極部24を形成する工程では、誘電体層82および突状体83を覆う固体電解質層841を形成する工程と、固体電解質層841を覆う陰極引出層842を形成する工程とを含む。本実施形態にかかる陰極部84は、以下の手順により形成される。
まず、図11に示すように、誘電体層82および突状体83を覆う固体電解質層841を形成する。固体電解質層841が、コンデンサ素子Bの固体電解質層241に対応する。固体電解質層241は、導電性ポリマーから構成されるものと、MnO2から構成されるものとの2種類がある。
導電性ポリマーから構成される固体電解質層841は、以下2つの方法により形成される。1つ目の方法は、突状体83が形成された多孔質焼結体81を導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させた後、乾燥処理を行うことによって固体電解質層841を形成する方法である。本実施形態にかかる当該導電性ポリマーは、ポリピロールやポリチオフェンなどの複素環式化合物であり、ポリピロールが当該導電性ポリマーとして特に好ましい。
2つ目の方法は、図9に示す方法と同様に、突状体83が形成された多孔質焼結体81を導電性モノマー溶液881に浸漬させた後、電解重合法により突状体83を覆う導電性ポリマーを生成することによって固体電解質層841を形成する方法である。本実施形態において固体電解質層841の形成に用いる導電性モノマー溶液881は、突状体83を形成したときに用いた導電性モノマー溶液881と同一の溶液である。この場合において、突状体83における電位勾配が1V/cm未満となるように設定する。したがって、当該電解重合法は、突状体83を形成したときよりも低い印加電圧で行われる。
MnO2から構成される固体電解質層841は、突状体83が形成された多孔質焼結体81を硝酸マンガン水溶液に浸漬させた後、焼成処理を行うことによって形成される。
最後に、図13に示すように、固体電解質層841を覆う陰極引出層842を形成する。陰極引出層842が、コンデンサ素子Bの第1陰極引出層242および第2陰極引出層243に相当する。まず、有機溶剤を溶媒としたグラファイト溶液に、誘電体層82および固体電解質層841に覆われた多孔質焼結体81を浸漬させた後、乾燥処理または焼成処理を行う。このとき、コンデンサ素子Bの第1陰極引出層242に対応するグラファイト層が固体電解質層841を覆って形成される。次いで、有機溶剤を溶媒としたAgフィラー溶液に、誘電体層82、固体電解質層841および当該グラファイト層に覆われた多孔質焼結体81を浸漬させた後、乾燥処理または焼成処理を行う。以上の工程を経ることによって、陰極部84が形成され、かつコンデンサ素子Bの形成が完了する。
次いで、図14に示すように、導電性を有し、かつコンデンサ素子Bを搭載する導電性基材85を用意する。導電性基材85は、軸方向Xにおいて互いに離間した第1導電部851および第2導電部852を有する。第1導電部851が、固体電解コンデンサA10の陽極端子31の端子部311に対応する。第2導電部852が、固体電解コンデンサA10の陰極端子32に対応する。第1導電部851および第2導電部852は、FeおよびNiを含む合金(いわゆる42アロイ)またはCuを含む合金から構成される金属板に、打ち抜き加工またはエッチングを施すことにより形成された部分である。このため、本実施形態においては、第1導電部851および第2導電部852は、ともに同一の金属材料からなる。第1導電部851には、導電性基材85の厚さ方向Zに起立する支持体853が固定されている。支持体853が、固体電解コンデンサA10の陽極端子31の支持部312に対応する。支持体853の固定は、たとえばスポット溶接により行われる。本実施形態にかかる支持体853は、第1導電部851および第2導電部852と同一の金属材料からなる。
次いで、図15に示すように、コンデンサ素子Bを導電性基材85に搭載する。コンデンサ素子Bの搭載は、以下の手順により行われる。まず、導電性基材85の第2導電部852に導電性接着剤859を塗布する。導電性接着剤859を硬化させたものが、固体電解コンデンサA10の接合層33に対応する。本実施形態にかかる導電性接着剤859は、Agを含むエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。次いで、導電性接着剤859にコンデンサ素子Bの陰極部84を接着させた後、コンデンサ素子Bの陽極ワイヤ811を導電性基材85の支持体853に固定する。陽極ワイヤ811の固定は、たとえばスポット溶接などにより行われる。最後に、キュア炉内で導電性接着剤859を硬化させた後、支持部材89に接続された陽極ワイヤ811を支持体853との固定位置で切断する。以上の工程を経ることによって、コンデンサ素子Bが導電性基材85に搭載される。
次いで、図16に示すように、導電性基材85の一部およびコンデンサ素子Bを覆う封止樹脂86を形成する。封止樹脂86が、固体電解コンデンサA10の封止樹脂4に対応する。封止樹脂86は、トランスファモールド成形により合成樹脂を熱硬化させることによって形成される。本実施形態にかかる当該合成樹脂は、ガラスフリットが含有されたエポキシ樹脂である。このとき、コンデンサ素子Bの厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く樹脂主面861および樹脂裏面862が樹脂裏面862に形成される。図16に示す封止樹脂86の下面である樹脂裏面862から、導電性基材85の第1導電部851および第2導電部852のそれぞれ一部が露出する。
次いで、図17に示すように、導電性基材85の第1導電部851および第2導電部852と、封止樹脂86とを切断線CLに沿って切断し、封止樹脂86に覆われた導電性基材85を1つのコンデンサ素子Bを含む個片に分割する。当該切断は、たとえばプラズマダイシングにより樹脂裏面862から行われる。
最後に、図18に示すように、分割した個片に対し、封止樹脂86から露出する導電性基材85の第1導電部851および第2導電部852を覆う導電層87を形成する。導電層87が、固体電解コンデンサA10の導電層39に対応する。導電層87は、バレル方法による電解めっきにより形成される。本実施形態にかかる導電層87は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成され、先にNi層を形成した後にSnを含む合金層を形成する。以上の工程を経ることによって、固体電解コンデンサA10が製造される。
次に、固体電解コンデンサA10およびその製造方法の作用効果について説明する。
固体電解コンデンサA10のコンデンサ素子Bは、多孔質焼結体21を覆う誘電体層23の表面に形成された突状体25を複数備え、複数の突状体25は、陰極部24の固体電解質層241に覆われている。誘電体層23の表面に複数の突状体25を形成することによって、陰極部24の固体電解質層241の形成対象となる表面積が従来技術よりも増加し、かつ多孔質焼結体21の角部などの部分によって偏りなく表面積が増加する。このため、多孔質焼結体21の角部においても平坦部と同様に均一な厚さが確保された固体電解質層241を形成することができる。したがって、コンデンサ素子Bにおける漏れ電流の発生を抑制することが可能となる。
本実施形態にかかる突状体25は、導電性モノマーのデンドライト結晶である。このため、突状体25は導電性を有することから、固体電解質層241に覆われた複数の突状体25は、陰極部24の一部として機能する。
固体電解コンデンサA10の製造において、コンデンサ素子Bを形成する工程では、誘電体層82を形成する工程と陰極部84の固体電解質層841を形成する工程との間に、誘電体層82の表面から外側に突出する突状体83を形成する工程を有する。突状体83を形成する工程では、誘電体層82に覆われた多孔質焼結体81を導電性モノマー溶液881に浸漬させた後、電解重合法により誘電体層82の表面上にデンドライト結晶を成長させる。当該電解重合法は、固体電解質層841を形成する方法の一つでもあり、固体電解質層841を形成するときよりも高い印加電圧とした電解重合法により突状体83を形成することができる。
多孔質焼結体81を溶液に浸漬させて焼成または乾燥処理により固体電解質層841を形成する場合は、突状体83に起因した表面張力が当該溶液に作用する。このため、固体電解質層841の形成がより促進される。
また、電解重合法により固体電解質層841を形成する場合は、突状体83を形成するときの製造設備の構成と同一であるため、突状体83を形成するための新たな製造設備を整える必要がなくなり、既存の製造設備を活用することができる。
コンデンサ素子Bの多孔質焼結体81の形状は、幅方向Yの長さよりも厚さ方向Zの長さが短い直方体状および扁平状である。このようなコンデンサ素子Bの形状をとることによって、固体電解コンデンサA10の低背化を図ることができる。
コンデンサ素子Bを覆う封止樹脂4に亀裂が発生し、当該亀裂がコンデンサ素子Bの固体電解質層241の内部まで進展すると、固体電解コンデンサA10のESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)が増加するおそれがある。そこで、封止樹脂4の構成をガラスフリットが混入されたエポキシ樹脂とすることによって、封止樹脂4の強度の増加を図りつつ、封止樹脂4への亀裂発生を抑止することができる。
陽極端子31および陰極端子32には、封止樹脂4から露出した各々の部分を覆う導電層39が形成されている。導電層39は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成される。このような導電層39を形成することによって、固体電解コンデンサA10を回路基板に実装する際、陽極端子31および陰極端子32を熱衝撃から保護しつつ、陽極端子31および陰極端子32とはんだとの付着が良好となる。
〔第2実施形態〕
図19および図20に基づき、本発明の第2実施形態にかかる固体電解コンデンサA20について説明する。図19は、固体電解コンデンサA20の断面図である。図19は、図4と同様に軸方向Xに沿った断面図である。図20は、固体電解コンデンサA20のコンデンサ素子Bの部分拡大断面図である。なお、これらの図において、先述した固体電解コンデンサA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図19および図20に基づき、本発明の第2実施形態にかかる固体電解コンデンサA20について説明する。図19は、固体電解コンデンサA20の断面図である。図19は、図4と同様に軸方向Xに沿った断面図である。図20は、固体電解コンデンサA20のコンデンサ素子Bの部分拡大断面図である。なお、これらの図において、先述した固体電解コンデンサA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA20は、先述した固体電解コンデンサA10に対し、突状体25の構成が異なる。図19に示すように、固体電解コンデンサA20において、突状体25を除くコンデンサ素子Bの構成や、陽極端子31、陰極端子32、接合層33および封止樹脂4の構成は、固体電解コンデンサA10と同一である。したがって、固体電解コンデンサA20の形状および寸法は、固体電解コンデンサA10の形状および寸法と同一である。
図20に示すように、本実施形態にかかる突状体25は、コンデンサ素子Bの誘電体層23の表面から外側に向かって延出し、かつ形状が円筒状のカーボンナノチューブ(CNT)である。突状体25は、形状が円錐状のカーボンナノホーン(CNH)であってもよい。突状体25は、固体電解コンデンサA10と同様に、複数からなり、かつコンデンサ素子Bの陰極部24の固体電解質層241に覆われている。本実施形態においては、各々の突状体25の長さは、いずれも同一である。また、突状体25は、導電性を有する。
次に、図21〜図23に基づき、固体電解コンデンサA20の製造方法の一例について説明する。
図21〜図23は、いずれも固体電解コンデンサA20の製造方法を説明する部分拡大断面図で、その断面位置は図20と同一である。なお、これらの図において、先述した固体電解コンデンサA10の製造方法の一例と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA20の製造方法は、固体電解コンデンサA10の製造方法に対し、コンデンサ素子Bを形成する工程における突状体83の形成方法が異なる。したがって、固体電解コンデンサA20の製法方法の一例についての説明は、突状体83の形成方法についてのみ示し、他の工程の説明は省略する。
本実施形態にかかる突状体83は、以下の手順により形成される。最初に、図21に示すように、多孔質焼結体81を覆う誘電体層82の表面に金属触媒883を付着させる。本実施形態にかかる金属触媒883は、Fe、CoまたはNiのいずれかである。金属触媒883の付着方法は特に限定されないが、たとえば以下の方法をとることができる。まず、誘電体層82に覆われた多孔質焼結体81に対し、フォトリソグラフィによりマスクを形成する。この場合において、金属触媒883を付着させる誘電体層82の表面が露出するように当該マスクを形成する。次いで、当該マスクが形成された多孔質焼結体81に対し、スパッタリング法により金属触媒883と同一の金属材料の薄膜を形成する。最後に、当該マスクを除去する、すなわちリフトオフにより金属触媒883の付着が完了する。
次いで、図22に示すように、CVD法により金属触媒883の上にカーボンナノチューブを成長させることによって突状体83を形成する。当該CVD法は、たとえば熱CVD法である。以上の工程を経ることによって、誘電体層82の表面から外側に突出する突状体83が形成される。
図23は、陰極部84の固体電解質層841を形成したときの状態を示している。誘電体層82および突状体83は、ともに固体電解質層841に覆われる。なお、固体電解質層841の形成方法は、先述した固体電解コンデンサA10の製造方法の一例において示される固体電解質層841の形成方法と同一である。
次に、固体電解コンデンサA20およびその製造方法の作用効果について説明する。
固体電解コンデンサA20のコンデンサ素子Bは、固体電解コンデンサA10と同様に、多孔質焼結体21を覆う誘電体層23の表面に形成された突状体25を複数備え、複数の突状体25は、陰極部24の固体電解質層241に覆われている。したがって、固体電解コンデンサA20によっても、均一な厚さが確保された固体電解質層241を形成することができ、コンデンサ素子Bにおける漏れ電流の発生を抑制することが可能となる。
本実施形態にかかる突状体25は、カーボンナノチューブである。このため、突状体25は導電性を有することから、固体電解質層241に覆われた複数の突状体25は、固体電解コンデンサA10と同様に陰極部24の一部として機能する。また、カーボンナノチューブは、高強度の素材である。したがって、複数の突状体25は、固体電解質層241の補強材として機能するため、固体電解質層241への亀裂発生を抑止する効果がある。
固体電解コンデンサA20の製造において、コンデンサ素子Bを形成する工程では、誘電体層82を形成する工程と陰極部84の固体電解質層841を形成する工程との間に、誘電体層82の表面から外側に突出する突状体83を形成する工程を有する。突状体83を形成する工程では、多孔質焼結体81を覆う誘電体層82の表面に金属触媒883を付着させた後、CVD法により金属触媒883の上にカーボンナノチューブを成長させる。固体電解コンデンサA10と異なり、多孔質焼結体81に対する金属触媒883の付着位置を自在に設定することができるため、突状体83の形成位置を自在に調整することができる。また、カーボンナノチューブである突状体83の長さも自在に設定することができるため、固体電解質層841の厚さを自在に調整することができる。
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A10,A20:固体電解コンデンサ
B:コンデンサ素子
11:素子主面
12:素子底面
131:素子第1側面
132:素子第2側面
21:多孔質焼結体
211:細孔
22:陽極ワイヤ
23:誘電体層
24:陰極部
241:固体電解質層
242:第1陰極引出層
243:第2陰極引出層
25:突状体
31:陽極端子
311:端子部
312:支持部
32:陰極端子
33:接合層
39:導電層
4:封止樹脂
41:樹脂主面
42:樹脂裏面
431:樹脂第1側面
432:樹脂第2側面
81:多孔質焼結体
811:陽極ワイヤ
82:誘電体層
83:突状体
84:陰極部
841:固体電解質層
842:陰極引出層
85:導電性基材
851:第1導電部
852:第2導電部
853:支持体
859:導電性接着剤
86:封止樹脂
861:樹脂主面
862:樹脂裏面
87:導電層
881:導電性モノマー溶液
882:対向電極
883:金属触媒
89:支持部材
CL:切断線
Z:厚さ方向
X:軸方向
Y:幅方向
B:コンデンサ素子
11:素子主面
12:素子底面
131:素子第1側面
132:素子第2側面
21:多孔質焼結体
211:細孔
22:陽極ワイヤ
23:誘電体層
24:陰極部
241:固体電解質層
242:第1陰極引出層
243:第2陰極引出層
25:突状体
31:陽極端子
311:端子部
312:支持部
32:陰極端子
33:接合層
39:導電層
4:封止樹脂
41:樹脂主面
42:樹脂裏面
431:樹脂第1側面
432:樹脂第2側面
81:多孔質焼結体
811:陽極ワイヤ
82:誘電体層
83:突状体
84:陰極部
841:固体電解質層
842:陰極引出層
85:導電性基材
851:第1導電部
852:第2導電部
853:支持体
859:導電性接着剤
86:封止樹脂
861:樹脂主面
862:樹脂裏面
87:導電層
881:導電性モノマー溶液
882:対向電極
883:金属触媒
89:支持部材
CL:切断線
Z:厚さ方向
X:軸方向
Y:幅方向
Claims (28)
- 弁作用金属からなり、かつ陽極を構成する多孔質焼結体と、一部が前記多孔質焼結体の内部に挿入された陽極ワイヤと、前記多孔質焼結体を覆う誘電体層と、前記誘電体層を覆い、かつ陰極を構成する陰極部と、を備えるコンデンサ素子と、
前記陽極ワイヤに接続された陽極端子と、
前記陰極部に接続された陰極端子と、を備える固体電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、前記誘電体層の表面上に形成された突状体を複数備え、
複数の前記突状体は、前記陰極部に覆われていることを特徴とする、固体電解コンデンサ。 - 前記陰極部は、前記誘電体層を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層を覆う第1陰極引出層と、前記第1陰極引出層を覆う第2陰極引出層と、を含み、
前記突状体は、前記固体電解質層に覆われている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記固体電解質層は、導電性ポリマーまたはMnO2から構成される、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記導電性ポリマーは、ポリピロールである、請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記突状体は、導電性モノマーのデンドライト結晶である、請求項3または4に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記導電性モノマーは、前記固体電解質層を構成する前記導電性ポリマーの単量体である、請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記突状体は、カーボンナノチューブである、請求項3または4に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記第1陰極引出層は、グラファイトから構成される、請求項2ないし7のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記第2陰極引出層は、Agから構成される、請求項2ないし8のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記多孔質焼結体の形状は、前記陽極ワイヤの軸方向に対して直角である幅方向の長さよりも、前記軸方向および前記幅方向の双方に対して直角である厚さ方向の長さが短い扁平状である、請求項1ないし9のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記弁作用金属は、TaまたはNbである、請求項1ないし10のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陽極ワイヤは、前記多孔質焼結体と同一の金属からなる、請求項11に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陽極端子は、外部に接続される端子部と、前記端子部から前記コンデンサ素子の厚さ方向に起立し、かつ前記陽極ワイヤを支持する支持部と、を有する、請求項1ないし12のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陰極端子および前記陰極部の双方に接し、かつ導電性を有する接合層を備える、請求項13に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陽極端子および前記陰極端子は、ともに同一の金属材料から構成される、請求項13または14に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属材料は、FeおよびNiを含む合金またはCuを含む合金である、請求項15に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記コンデンサ素子と、前記陽極端子および前記陰極端子の各々一部ずつと、を覆う封止樹脂とを備える、請求項1ないし16のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記封止樹脂は、ガラスフリットが含有されたエポキシ樹脂から構成される、請求項17に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記封止樹脂は、前記コンデンサ素子の厚さ方向において互いに反対側を向く樹脂主面および樹脂裏面を有し、前記陽極端子および前記陰極端子の各々一部ずつが前記樹脂裏面から露出している、請求項17または18に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陽極端子および前記陰極端子には、前記封止樹脂から露出した各々の部分を覆う導電層が形成されている、請求項19に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記導電層は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成される、請求項20に記載の固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属からなり、かつ陽極を構成する多孔質焼結体を陽極ワイヤに形成する工程と、前記多孔質焼結体を覆う誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層を覆い、かつ陰極を構成する陰極部を形成する工程と、を含むコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子を導電性基材に搭載する工程と、
前記導電性基材の一部および前記コンデンサ素子を覆う封止樹脂を形成する工程と、を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記陰極部を形成する工程では、前記誘電体層を覆う固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層を覆う陰極引出層を形成する工程と、を含み、
前記コンデンサ素子を形成する工程では、前記誘電体層を形成する工程と前記固体電解質層を形成する工程との間に、前記誘電体層の表面から外側に突出する突状体を形成する工程を備えることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記突状体を形成する工程では、前記誘電体層に覆われた前記多孔質焼結体を導電性モノマー溶液に浸漬させた後、電解重合法により前記誘電体層の表面上にデンドライト結晶を成長させることによって前記突状体が形成される、請求項22に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記突状体を形成する工程では、前記多孔質焼結体を覆う前記誘電体層の表面に金属触媒を付着させた後、CVD法により前記金属触媒の上にカーボンナノチューブを成長させることによって前記突状体が形成される、請求項22に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記金属触媒は、Fe、CoまたはNiのいずれかである、請求項24に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を導電性ポリマーのコロイド溶液に浸漬させた後、乾燥処理を行うことによって前記固体電解質層が形成される、請求項23ないし25のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を前記導電性モノマー溶液に浸漬させた後、前記突状体を形成したときよりも低い印加電圧とした電解重合法により前記突状体を覆う導電性ポリマーを生成することによって前記固体電解質層が形成される、請求項23に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記固体電解質層を形成する工程では、前記突状体が形成された前記多孔質焼結体を硝酸マンガン水溶液に浸漬させた後、焼成処理を行うことによって前記固体電解質層が形成される、請求項23ないし25のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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CN113380550A (zh) * | 2021-04-28 | 2021-09-10 | 西安交通大学 | 一种在固态铝电解电容器中制备导电聚合物阴极的方法 |
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