JP2018045790A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる非水電解質電池を提供すること。【解決手段】実施形態によると、非水電解質電池100が提供される。この非水電解質電池100は、正極3と負極2と非水電解質とを具備する。正極3は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む。負極2は、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む。負極2は、表面2cに対する光電子分光測定によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。負極2の作動電位範囲RAを1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極3の作動電位範囲RCは、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、非水電解質電池に関する。
現在、CO2削減及び燃費改善の要請といった背景から、従来の鉛蓄電池とリチウムイオン電池とを並列に繋いだアイドリングストップシステム(以下、ISS)の普及が進んできている。ISSで既存の制御システムを利用するためには、リチウムイオン電池の作動電圧範囲を鉛蓄電池のそれに合わせこむ必要がある。そのため、電極組成や正極容量pと負極容量nとの比(以下、p/n比)を変更するなど、リチウムイオン電池の設計を変更しなければならない。
優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる非水電解質電池を提供することを目的とする。
実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質とを具備する。正極は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む。ここで、添字x、y及びzは、不等式0.1≦x/(y+z)≦1.3を満たし、0≦a≦1である。負極は、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む。負極は、表面に対する光電子分光測定によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。N原子存在比率ANは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて390〜410eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。Ti原子存在比率ATiは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて452〜462eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(実施形態)
実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質とを具備する。正極は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む。ここで、添字x、y及びzは、不等式0.1≦x/(y+z)≦1.3を満たし、0≦a≦1である。負極は、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む。負極は、表面に対する光電子分光測定によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。N原子存在比率ANは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて390〜410eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。Ti原子存在比率ATiは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて452〜462eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。
実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質とを具備する。正極は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む。ここで、添字x、y及びzは、不等式0.1≦x/(y+z)≦1.3を満たし、0≦a≦1である。負極は、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む。負極は、表面に対する光電子分光測定によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。N原子存在比率ANは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて390〜410eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。Ti原子存在比率ATiは、負極表面に対する光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて452〜462eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される。負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。
例えば、正極にニッケルコバルトマンガン酸リチウムを用い、負極にスピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを用いて作製した非水電解質電池をアイドリングストップシステムに組み込む場合、非水電解質電池を直列に接続して組電池を構成し、この組電池をアイドリングストップシステムに組み込むこととなる。しかしながら、非水電解質電池のp/n比が1に近い値をとる場合、このような非水電解質電池からなる組電池の作動電圧範囲は、鉛蓄電池のそれよりも高くなり得る。このような組電池を搭載したアイドリングストップシステムは、自動車を利用する上で不具合が生じる可能性がある。
例えば、組電池の作動電圧範囲を下げるには、各非水電解質電池の開回路電圧(open circuit voltage:OCV)を下げる必要がある。そして、非水電解質電池の開回路電圧を下げるには、p/n比が1を大きく超えるように非水電解質電池を設計する必要がある。しかしながら、このような設計によると、充放電サイクルを繰り返すことにより、抵抗上昇が大きくなる。発明者らは、鋭意研究の結果、抵抗上昇の要因は、このような設計では、負極規制で電圧範囲が決まるため、正極の作動電位範囲が低電位側でのみ推移し、電位の低い状態で正極が充放電サイクルに繰り返し供されることにあることを見出した。そして、このような充放電サイクルによると、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの膨張及び収縮が多く起こり、構造劣化による容量劣化や抵抗上昇が大きくなることが分かった。
また、正極容量pと負極容量nとの容量比p/nが大きい非水電解質電池では、エネルギー密度が負極の容量で規制されることになる。このような非水電解質電池でエネルギー密度を大きくする方策としては、充電の際に負極がより卑な電位になるまで充電することが挙げられる。しかしながら、負極を低い電位に達するように充電することを含む充放電サイクルでは、開回路電圧が変動しやすい。負極を低い電位に達するように充電することを含む充放電サイクルでは、負極と電解液との副反応によって、徐々に開回路電圧が変化していくことを見出した。利用している途中で非水電解質電池の開回路電圧が変わると、非水電解質電池の回生能力及び出力能力が変化し、自動車を利用する際に不具合を生じる可能性がある。
発明者らは、以上の知見を踏まえて鋭意研究した結果、実施形態に係る非水電解質電池を実現させた。
実施形態に係る非水電解質電池では、負極が、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含み、表面についての光電子分光法(photoelectron spectroscopy)によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。
このような負極は、Nを含有する被膜が表面に適度に形成された状態にあるということができる。このような表面状態を有する負極を具備する実施形態に係る非水電解質電池は、負極の抵抗値の上昇を抑制しながら、充電の際の負極と非水電解質との反応、特に低い電位状態にある負極と非水電解質との反応を抑制することができる。その結果、実施形態に係る非水電解質電池は、充放電サイクルを繰り返すことによる開回路電圧の変動を防ぐことができる。また、実施形態に係る非水電解質電池は、負極の抵抗値の上昇を抑制することができるので、低温での優れた入力及び出力特性、すなわち優れた低温特性を示すことができる。
比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態の負極を具備した非水電解質電池は、以下に詳細に説明するが、例えば非水電解質電池の初充電及びエージング処理の際に、非水電解質に含まれている添加剤と負極とが反応することにより得ることができる。非水電解質に含まれている添加剤と負極との反応のためには、負極の自己放電が必要となる。したがって、負極の表面状態を比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態にすることで、正極の充電状態と負極の充電状態とを意図的にずらすことができる。
負極の自己放電が進行していない非水電解質電池では、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)未満の範囲を含む。したがって、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲が3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある実施形態に係る非水電解質電池は、負極の自己放電が選択的に進行している状態にあるということができる。
このような実施形態に係る非水電解質電池は、充電の際の負極と非水電解質との反応を抑制することができると共に、電位の低い状態で正極が充放電サイクルに供されることを防ぐことができる。
以上の結果、実施形態に係る非水電解質電池は、優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる。
負極の表面についての比AN/ATiが0.05未満である場合、Nを含有する被膜が負極の表面に十分に形成されていない。この場合、負極と非水電解質との反応を十分に抑えることができず、その結果、開回路電圧の変動を十分に抑えることができない。一方、負極の表面についての比AN/ATiが0.5よりも大きい場合、Nを含有する被膜が負極の表面に過剰に形成されている。この場合、負極の抵抗値が高くなる。このような表面状態の負極を具備する非水電解質電池は、特に低温での入力及び出力特性に劣る。比AN/ATiは、0.1以上0.3以下であることがより好ましい。比AN/ATiが0.1以上0.3以下の範囲内にあると、充放電サイクル特性、低温特性及び開回路電圧変動抑制のバランスが取れた優れたセル特性を有することができる。
負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲が3.14V(vs. Li/Li+)未満の範囲を含む非水電解質電池では、低い電位にある状態で正極が充放電サイクルが繰り返し供されることになる。先に説明したように、このような非水電解質電池では、充放電サイクルを繰り返すことにより、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの膨張及び収縮が多く起こり、構造劣化による容量劣化や抵抗上昇が大きくなる。
一方、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲が4V(vs. Li/Li+)よりも高い範囲を含む非水電解質電池では、電解液の酸化分解が促進されるため、ガス発生が多く起こり、容量劣化及び入出力特性の劣化に影響を及ぼす。
負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.15V(vs. Li/Li+)以上3.95V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にあることが好ましく、3.16V(vs. Li/Li+)以上3.95V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にあることがより好ましい。
なお、非水電解質電池において負極の自己放電を選択的に進行させても、負極の表面についての比AN/ATiが0.05以下である場合、充放電サイクル後も、負極と非水電解質との反応が起こり続け、非水電解質電池の開回路電圧は安定しない。
次に、実施形態に係る一例の非水電解質電池の正極及び負極の充電状態の関係を、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る一例の非水電解質電池が具備する正極及び負極の電位曲線を示している。記号(1)を付した曲線が正極の電位曲線であり、記号(2)を付した曲線が負極の電位曲線である。
図1に電位曲線(1)及び(2)を示す非水電解質電池では、正極の電位曲線(1)が開始する非水電解質電池の充電容量Q1と、負極の電位曲線(2)が開始する非水電解質電池の充電容量Q2とが異なる。すなわち、この非水電解質電池では、充電容量Q1と充電容量Q2との差ΔQだけ、負極の自己放電が選択的に進行している。
このように負極の自己放電が選択的に進行していることにより、図1のような電池では負極の電位が1.64V(vs. Li/Li+)の際、正極の電位は、3.14V(vs. Li/Li+)となる。また、負極の電位が1.5(vs. Li/Li+)の際、正極の電位は4V(vs. Li/Li+)となる。したがって、図1に電位曲線(1)及び(2)を示した非水電解質電池では、負極の作動電位範囲RAを1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲RCが、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下となる。
なお、図1を参照した以上の説明から明らかなように、或る非水電解質電池において、負極の作動電位範囲を定めると、正極の作動電位範囲も定まる。逆に、正極の作動電位を定めると、負極の作動電位範囲も定まる。
実施形態に係る非水電解質電池は、容量比DC/DAについての下記式(1)を満たすことが好ましい。
1.15 ≦DC/DA≦ 1.8 (1)
ここで、容量DC[mAh/cm2]は、正極の1cm2当たりの単極容量である。また、容量DA[mAh/cm2]は、負極の1cm2当たりの単極容量である。
ここで、容量DC[mAh/cm2]は、正極の1cm2当たりの単極容量である。また、容量DA[mAh/cm2]は、負極の1cm2当たりの単極容量である。
実施形態に係る非水電解質電池のうち容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にある電池は鉛蓄電池との優れた電圧適合性を示すことができる。このような非水電解質電池を用いて構成した組電池と鉛蓄電池と並列に接続することによって構成したアイドリングストップシステムは、電圧の相違を原因とした不具合が発生することを防ぐことができる。また、実施形態に係る非水電解質電池のうち、容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にある電池は、優れたエネルギー密度を示すことができる。
容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にある非水電解質電池では、エネルギー密度が負極の容量で規制されることになる。このような非水電解質電池のエネルギー密度を高める方策としては、非水電解質電池を、負極がより低い電位の状態になるまで充電することが挙げられる。何の方策も講じていない場合、このような非水電解質電池を、負極の電位が例えば1.5V(vs. Li/Li+)に達するまで充電すると、負極と非水電解質との間の反応が起こり続け、負極の充電状態と正極の充電状態との差が広がり続ける。その結果、非水電解質電池の開回路電圧が変動する。
一方、実施形態に係る非水電解質電池では、負極表面についての光電子分光測定によって得られる比AN/ATiが0.05以上である表面状態を負極が有することにより、先に説明したように充電の際の負極と非水電解質との反応を抑制することができる。よって、実施形態に係る非水電解質電池は、容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にあっても、充放電サイクルにより開回路電圧が変動するのを防ぐことができる。
また、容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にある好ましい態様の非水電解質電池は、車両に搭載した場合、制動の際に生じたエネルギーを電気エネルギーとしてより効率的に充電できる。すなわち、このような好ましい態様の非水電解質電池は、車両において、制動の際に生じたエネルギーをより効率的に回生することができ、より優れた回生特性(充電特性)を発揮することができる。
更に、容量比DC/DAが1.15以上1.8以下の範囲内にある好ましい態様の非水電解質電池は、出力特性に優れるため、車両に搭載した場合、発進の際にエンジンにかかる負担を低減することができる。
図1には、正極の単極容量を「DC×S」[mAh]として示しており、負極の単極容量を「DA×S」[mAh]として示している。ここで、「S」は、負極のうち正極と向き合っている部分の面積[cm2]である。すなわち、「S」は、正極のうち負極と向き合っている部分の面積[cm2]でもある。
容量比DC/DAは、1.2以上1.7以下の範囲内にあることがより好ましく、1.3以上1.6以下の範囲内にあることが更に好ましい。
次に、実施形態に係る非水電解質電池をより具体的に説明する。
実施形態に係る非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質とを具備する。
実施形態に係る非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質とを具備する。
正極は、例えば、正極集電体と、正極集電体上に設けられた正極層とを具備することができる。正極層は、正極集電体の片面に形成されていても良いし、又は両面に形成されていても良い。正極集電体は、表面に正極層を担持していない部分を含むこともできる。この部分は、例えば、正極タブとして働くこともできる。或いは、正極は、正極集電体とは別体の、正極タブを含むこともできる。
正極層は、正極活物質を含むことができる。一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物は、正極活物質として、正極層に含まれることができる。正極層は、導電助剤及び結着剤を更に含むこともできる。
負極は、負極集電体と、負極集電体上に設けられた負極層とを具備することができる。負極層は、負極集電体の何れか一方の面に設けられていてもよいし又はその両面に設けられていてもよい。
負極集電体は、表面に負極層を担持していない部分を含むこともできる。この部分は、例えば、負極タブとして働くこともできる。或いは、負極は、負極集電体とは別体の負極タブを含むこともできる。
負極層は、負極活物質を含むことができる。スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムは、負極活物質として、負極層に含まれることができる。負極層は、導電助剤及び結着剤を更に含むこともできる。
正極及び負極は、正極層と負極層とが対向するように配置されて、電極群を構成することができる。正極層と負極層との間には、リチウムイオンは透過させるが電気を通さない部材、例えばセパレータを配置することができる。
電極群の形態は、特に限定されない。電極群は、スタック型構造を有していても良いし、又は捲回型構造を有していても良い。スタック型構造は、例えば、複数の負極及び複数の正極を、負極と正極との間にセパレータを挟んで積層させた構造を有する。捲回型構造の電極群は、例えば、負極及び正極をこれらの間にセパレータを挟んで積層させたものを捲回した缶型構造体でも良いし、又はこの缶型構造体をプレスすることによって得られる扁平型構造体でも良い。
正極タブは、正極端子に電気的に接続することができる。同様に、負極集電タブは、負極端子に電気的に接続することができる。正極端子及び負極端子は、電極群から延出することができる。
電極群は、外装部材に収納され得る。外装部材は、正極端子の一部及び負極端子の一部をその外側に延出させることができるような構造を有していても良い。或いは、外装部材は、2つの外部端子を具備し、これらのそれぞれが正極端子及び負極端子のそれぞれに電気的に接続されるように構成されていても良い。或いは、外装部材自体が、正極端子又は負極端子の何れかとして働くこともできる。
非水電解質、電極群に含浸され得る。また、非水電解質は、外装部材に収納され得る。
以下、実施形態に係る非水電解質電池において用いることができる各部材の材料について、説明する。
1.正極
正極集電体としては、電気伝導性の高い材料を含むシートを使用することができる。例えば、正極集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
正極集電体としては、電気伝導性の高い材料を含むシートを使用することができる。例えば、正極集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
正極に含まれる複合酸化物についての一般式Li1-aNixCoyMnzO2において、添字x、y及びzが不等式0.1≦x/(y+z)≦1.3を満たし、0≦a≦1である。添字x、y及びzは、不等式0.3≦x/(y+z)≦1.3及びy≧zを満たすことが好ましく、不等式0.6≦x/(y+z)≦1及びy≧zを満たすことがより好ましい
正極は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物以外の正極活物質を含むことができる。用いることができる正極活物質としては、例えば、LiCoO2及びLiMn2O4が挙げられる。正極活物質に占める一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物の重量割合は、正極活物質の重量に対して80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
正極は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物以外の正極活物質を含むことができる。用いることができる正極活物質としては、例えば、LiCoO2及びLiMn2O4が挙げられる。正極活物質に占める一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物の重量割合は、正極活物質の重量に対して80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
正極活物質は、例えば粒子の形態で正極層に含まれることができる。正極活物質の粒子は、一次粒子でもよいし、又は一次粒子が凝集してなる二次粒子でもよい。正極活物質の粒子の平均一次粒子径は、0.1μm以上1μm以下の範囲内にあることが好ましい。正極活物質の平均二次粒子径は、3μm以上8μm以下の範囲内にあることが好ましい。
導電助剤は、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラファイトからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
結着剤は、正極活物質と正極集電体とを結合するために用いられる。結着剤の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル系共重合体を主成分とする結着剤及びカルボキシメチルセルロース(CMC)である。
正極層に含まれる正極活物質、導電助剤及び結着剤の割合は、それぞれ、80〜95重量%、3〜20重量%及び2〜7重量%であることが好ましい。
2.負極
負極集電体としては、電気伝導性の高く、負極の作動電位範囲において腐食を抑えることができる材料を含むシートを使用することができる。例えば、負極集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
負極集電体としては、電気伝導性の高く、負極の作動電位範囲において腐食を抑えることができる材料を含むシートを使用することができる。例えば、負極集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
負極に含まれるスピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムは、例えば、一般式Li4+lTi5O12で表すことができる。添字lは、チタン酸リチウムの充電状態に応じて、0≦l≦3の範囲内で変化する。先にも述べたが、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムは、負極活物質として、負極層に含まれることができる。
負極活物質は、例えば、粒子の形態で負極層に含まれることができる。負極活物質の粒子の平均一次粒子径は0.5μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。このような平均粒子径を有する負極活物質の粒子を用いることにより、添加剤との反応性が高くなり、より安定した被膜を形成することが可能になる。
粒子の平均粒子径は、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社のマイクロトラックMT3000IIシリーズで算出することができる。平均粒子径の算出は、同様の結果が得られる方法であれば、特に限定されるものではない。
負極層が含むことができる導電助剤としては、例えば、炭素材料を用いることができる。炭素材料の例としては、例えば、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤は、負極活物質と負極集電体とを結合するために用いられる。負極層が含むことができる結着剤としては、正極層で用いることができるものと同様のものを用いることができる。
負極層に含まれる負極活物質、導電助剤及び結着剤は、それぞれ70重量%以上96重量%以下、2重量%以上20重量%以下及び2重量%以上10重量%以下の割合で配合することが好ましい。導電助剤の量を2重量%以上とすることにより、負極層の導電性及び機械物性を向上させることが出来る。また、結着剤の量を1質量%以上とすることにより、負極層と負極集電体との結着性を高めることができ、優れたサイクル特性を期待できる。一方、導電助剤及び結着剤はそれぞれ16質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
3.セパレータ
セパレータは、絶縁性材料からなり、正極と負極との電気的な接触を防止することができる。好ましくは、セパレータは、非水電解質が通過できる材料からなるか、又は非水電解質が通過できる形状を有する。セパレータの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、天然パルプ及びビニロンからなる群より選択される1種類又は2種類からなる多孔質フィルム又は不織布のセパレータである。
セパレータは、絶縁性材料からなり、正極と負極との電気的な接触を防止することができる。好ましくは、セパレータは、非水電解質が通過できる材料からなるか、又は非水電解質が通過できる形状を有する。セパレータの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、天然パルプ及びビニロンからなる群より選択される1種類又は2種類からなる多孔質フィルム又は不織布のセパレータである。
4.非水電解質
非水電解質は、例えば、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質及び添加剤とを含むことができる。
非水電解質は、例えば、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質及び添加剤とを含むことができる。
非水溶媒は、非水電解質電池に用いられる公知の非水溶媒であってよい。非水溶媒の第1例は、エチレンカーボネート(EC)及びプロピレンカーボネート(PC)といった環状カーボネートである。非水溶媒の第2例は、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートといった鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル;テトラヒドロフラン及び2−メチルテトラヒドロフランといった環状エーテル;並びに、ジメトキシエタン及びジエトキシエタンといった鎖状エーテルである。第2例の溶媒は、第1例の溶媒と比較して一般に低粘度である。また、非水溶媒は、上記の第1例の溶媒と、第2例の溶媒とを混合した溶媒であってよい。
電解質は、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)などのリチウム塩を挙げる。電解質は単独で使用しても、2種以上からなる混合物として使用してもよい。電解質は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含むことが好ましい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.2mol/L〜3mol/Lの範囲内とすることが望ましい。
添加剤としては、例えば、その分子構造中にスルホニル基を含んだアミド塩(R1−S(=O)−N−R2))、スルホニル基を含んだアミド化合物((R1−S(=O)−N(−R3)−R2))、スルホニル基を含んだイミド塩(R1−S(=O)−N−S(=O)−R2)、スルホニル基を含んだイミド化合物(R1−S(=O)−N(−R3)−S(=O)−R2)、ホスホリル基を含んだアミド塩(R4−P(-R5)(=O)−N−−R6)、ホスホリル基を含んだアミド化合物(R4−P(-R5)(=O)−N(−R7)−R6)、ホスホリル基を含んだイミド塩(R4−P(-R5)−N−P(-R8)(=O)−R7)、及びホスホリル基を含んだイミド化合物(R4−P(-R5)−N(−R7)−P(-R8)(=O)−R7)からなる群より選択することができる。スルホニル基を含んだイミド塩およびイミド化合物の一般式において、R1及びR2は、それぞれ独立して、ハロゲン基(−X)、アルコキシ基(−OR)、イソシアン基(−NCO)及び炭化水素基から成る群より選択することができる。R1及びR2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここでのハロゲン基は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、又はヨード基(−I)が好ましく、フルオロ基がより好ましい。ここでのアルコキシ基に含まれる炭化水素基は環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合、ハロゲン置換基を含んでいても構わない。ここでの炭化水素基は環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合を含んでいても構わない。R3は水素基又は炭化水素基である。ここでの炭化水素基は環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合、ハロゲン置換基を含んでいても構わない。ホスホリル基を含んだイミド塩の一般式において、R4、R5、R6、およびR8は、それぞれ独立して、ハロゲン基、アルコキシ基、炭化水素基から選択することができる。ここでのハロゲン基は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、又はヨード基(−I)が好ましく、フルオロ基がより好ましいフルオロ基が好ましい。R4、R5、R6及びR8は、全て同じであってもよいし、全て異なっていてもよい。或いは、R4、R5、R6及びR8のうちの2つ又は3つが同じものであってもよい。ここでのアルコキシ基に含まれる炭化水素基は環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合を含んでいても構わない。R3は水素基又は炭化水素基である。ここでの炭化水素基は環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合を含んでいても構わない。R7は、水素基又は炭化水素基である。ここでの炭化水素基は、環状でもよいし、鎖状でもよく、不飽和結合を含んでいても構わない。
より好ましくは、ホスホリル基を含んだアミド塩、アミド化合物、イミド塩又はイミド化合物である。また、これらのアミド塩およびイミド塩の対カチオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種の対イオンであることが好ましい。その中でも、対カチオンはリチウムイオンであることがより好ましい。
スルホニル基を含んだイミド塩の例としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)などが挙げられる。
スルホニル基を含んだアミド化合物の例としては、例えば、式(1)〜(3)で表される化合物などが挙げられる。
ホスホリル基を含んだイミド塩の例としては、例えば、式(4)〜(6)で表される部分を含む化合物などが挙げられる。
ホスホリル基を含んだアミド化合物の例としては、例えば、式(7)〜(9)で表される化合物などが挙げられる。
但し、用いることができる添加剤は、以上の例示により何ら制限を受けるものではない。
5.負極集電タブ、正極集電タブ、負極端子及び正極端子
負極集電タブ、正極集電タブ、負極端子及び正極端子は、電気伝導性の高い材料から形成されていることが好ましい。正極集電体又は負極集電体に接続する場合、接触抵抗を低減させるために、これらの部材は、接続する集電体と同様の材料からなるものであることが好ましい。
負極集電タブ、正極集電タブ、負極端子及び正極端子は、電気伝導性の高い材料から形成されていることが好ましい。正極集電体又は負極集電体に接続する場合、接触抵抗を低減させるために、これらの部材は、接続する集電体と同様の材料からなるものであることが好ましい。
6.外装部材
外装部材としては、例えば金属製容器又はラミネートフィルム製容器を用いることができるが、特に限定されない。
外装部材としては、例えば金属製容器又はラミネートフィルム製容器を用いることができるが、特に限定されない。
外装部材として金属製容器を用いることにより、耐衝撃性及び長期信頼性に優れた非水電解質電池を実現することができる。外装部材としてラミネートフィルム製容器を用いることにより、耐腐食性に優れた非水電解質電池を実現することができると共に、非水電解質電池の軽量化を図ることができる。
金属製容器は、例えば、壁厚が0.2〜5mmの範囲内にあるものを用いることができる。金属製容器は、壁厚が0.5mm以下であることがより好ましい。
金属製容器は、Fe、Ni、Cu、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作ることができる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は1重量%以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性及び耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
ラミネートフィルム製容器は、例えば、壁厚が0.1〜2mmの範囲内にあるものを用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下であることがより好ましい。
ラミネートフィルムは、金属層と、この金属層を挟み込んだ樹脂層を含む多層フィルムが用いられる。金属層は、Fe、Ni、Cu、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属を含むことが好ましい。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。
ラミネートフィルムは、金属層と、この金属層を挟み込んだ樹脂層を含む多層フィルムが用いられる。金属層は、Fe、Ni、Cu、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属を含むことが好ましい。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。
外装部材の形状としては、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型等が挙げられる。外装部材は、用途に応じて様々な寸法を採ることができる。例えば、実施形態に係る非水電解質電池が携帯用電子機器の用途に用いられる場合、外装部材は、搭載する電子機器の大きさに合わせて小型のものにすることができる。或いは、二輪乃至四輪の自動車等に積載される非水電解質電池である場合、容器は大型電池用容器であり得る。
(製造方法)
実施形態に係る非水電解質電池は、例えば、以下の方法により製造することができる。
実施形態に係る非水電解質電池は、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、正極及び負極を作製する。
正極は、例えば、以下の手順で作製することができる。まず、正極活物質、導電助剤及び結着剤を適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに混合して、スラリーを調製する。調製したスラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布する。この際、正極集電体に、表面にスラリーが塗布されていない部分を残すこともできる。次いで、塗膜を乾燥させ、乾燥させた塗膜をプレスする。かくして、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極層とを含む正極を得ることができる。
負極は、例えば、以下の手順で作製することができる。まず、負極活物質、導電助剤及び結着剤を適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに混合して、スラリーを調製する。調製したスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。この際、負極集電体に、表面にスラリーが塗布されていない部分を残すこともできる。次いで、塗膜を乾燥させ、乾燥させた塗膜をプレスする。かくして、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極層とを含む負極を得ることができる。
正極は、例えば、以下の手順で作製することができる。まず、正極活物質、導電助剤及び結着剤を適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに混合して、スラリーを調製する。調製したスラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布する。この際、正極集電体に、表面にスラリーが塗布されていない部分を残すこともできる。次いで、塗膜を乾燥させ、乾燥させた塗膜をプレスする。かくして、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極層とを含む正極を得ることができる。
負極は、例えば、以下の手順で作製することができる。まず、負極活物質、導電助剤及び結着剤を適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに混合して、スラリーを調製する。調製したスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。この際、負極集電体に、表面にスラリーが塗布されていない部分を残すこともできる。次いで、塗膜を乾燥させ、乾燥させた塗膜をプレスする。かくして、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極層とを含む負極を得ることができる。
次いで、作製した正極及び負極、並びにセパレータを用いて、電極群を作製する。必要に応じて、正極と正極端子とを接続し、負極と負極端子とを接続する。
一方で、非水電解質を調製する。非水電解質は、先に説明した非水溶媒に、同じく先に説明した電解質及び添加剤を溶解させることによって調製することができる。
繰り返しになるが、電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.2mol/L〜3mol/Lの範囲内とすることが望ましい。また、添加剤の非水溶媒に対する溶解量は、0.1重量%〜0.8重量の範囲内とすることが好ましく、0.3重量%〜0.5重量の範囲内とすることがより好ましい。
次いで、先の通り作製した電極群を外装部材内に収容する。次いで、先の通り調製した非水電解質を外装部材内に注入する。最後に外装部材を封止することによって、調整前の電池ユニットを得ることができる。
次に、以上のようにして得られた電池ユニットを、初充電及びエージング処理に供する。
初充電は、以下の手順で行う。まず、調整前の電池ユニットを、電池ユニットの電圧が2.00以上2.50V以下の範囲の値に達するまで、1Cレートで定電流充電に供する。好ましくは、定電流充電を、電池ユニットの電圧が2.10V以上の範囲内の値に達するまで行う。次いで、電池ユニットを、電流値が0.05Cとなるまで定電圧充電に供する。かくして、初充電した電池ユニットが得られる。
次に、初充電した電池ユニットを、エージング処理に供する。エージング処理では、初充電した電池ユニットを、60〜90℃の範囲内に含まれる一定の温度環境下で、少なくとも10時間以上に亘ってエージング処理に供する。
例えば、以下の実施例に記載した条件で作製した調整前の電池ユニットを、同じく以下の実施例に記載した条件で初充電及びエージング処理に供することにより、例えば、負極活物質と非水電解質に含まれる添加剤とが反応して、負極の表面にNを含有する被膜を形成することができる。このように被膜が形成する際、負極の自己放電が選択的に進行し、正極の充電状態と負極の充電状態とがずれる。その結果、表面に対するXPS測定によって得られる比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を負極が有するようになり且つ負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲が3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内になる。すなわち、例えば実施例において具体的に説明した方法によると、実施形態に係る非水電解質電池の例を得ることができる。
得られた非水電解質電池を更に追充電及び容量確認に供し、その後出荷状態に調整することもできる。
なお、先に説明した容量比DC/DAは、例えば、正極に含まれる正極活物質の種類及び量、負極に含まれる負極活物質の量の影響を受け得る。
以上に説明した方法によると、非水電解質電池の製造段階において、負極の自己放電を促し、正極と負極との充電状態を意図的にずらすことができると共に、負極の表面にNを含んだ被膜を形成することができる。かくして得られた実施形態に係る非水電解質電池は、先に説明したように、優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる。
一方、例えばB含有添加剤を含んだ非水電解質を用いて電池ユニットを作製し、この電池ユニットを初充電に供し、次いで任意に充電、例えば出荷前充電に供し、この電池ユニットをエージング処理に供することにより、B含有添加剤と負極との反応を促し、正極と負極との充電状態を意図的にずらすこともできる。しかしながら、このような方法で得られた非水電解質電池は、負極の表面にNを含んだ被膜を形成することができないため、充放電サイクル中に負極と電解液との反応が進行し、開回路電圧が徐々に変化し得る。
また、負極は、負極活物質が異なると、例えば作動電位及び表面状態も異なるようになる。そのため、例えばカーボン負極の表面に被膜を形成する条件と、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含んだ負極の表面に被膜を形成する条件とは異なる。
<光電子分光測定>
次に、非水電解質電池が具備する負極の表面状態の光電子分光法による観察方法について説明する。
次に、非水電解質電池が具備する負極の表面状態の光電子分光法による観察方法について説明する。
1.サンプリング
まず、測定対象たる非水電解質電池を用意する。用意した非水電解質電池を、負極の電位が1.64V(vs.Li/Li+)以上になるまで放電する。次いで、放電した非水電解質電池を、アルゴンなどの不活性雰囲気下において解体する。解体した非水電解質電池から、電極群を取り出す。この際、正極と負極とが電気的に接触しないように注意する。また、電極群は、―正極―セパレータ―負極―セパレータ―正極―の繰り返し構造が保持された状態で取り出す。取り出した電極群を、例えばピンセットを用いるなどして、セパレータと、正極と、負極とに分離する。かくして得られた負極を、エチルメチルカーボネートなどの有機溶剤に浸して、洗浄する。洗浄後、負極を乾燥させる。
まず、測定対象たる非水電解質電池を用意する。用意した非水電解質電池を、負極の電位が1.64V(vs.Li/Li+)以上になるまで放電する。次いで、放電した非水電解質電池を、アルゴンなどの不活性雰囲気下において解体する。解体した非水電解質電池から、電極群を取り出す。この際、正極と負極とが電気的に接触しないように注意する。また、電極群は、―正極―セパレータ―負極―セパレータ―正極―の繰り返し構造が保持された状態で取り出す。取り出した電極群を、例えばピンセットを用いるなどして、セパレータと、正極と、負極とに分離する。かくして得られた負極を、エチルメチルカーボネートなどの有機溶剤に浸して、洗浄する。洗浄後、負極を乾燥させる。
次に、乾燥させた負極から、5mm四方程度の大きさの電極片を、カッターを用いて切り取る。これをサンプルとする。
2.測定
サンプルとしての先に準備した電極片を、測定ステージに設置する。次いで、電極片を設置した測定ステージを、光電子分光測定装置(例えば、Thermo Fisher Scientific社製 VG Theta Probe)に導入し、装置内を真空にする。この装置において、励起X線としてAl Kα線を用い、X線スポット径を800×400μmとして、測定を実施する。かくして、サンプルについての光電子分光スペクトルが得られる。
サンプルとしての先に準備した電極片を、測定ステージに設置する。次いで、電極片を設置した測定ステージを、光電子分光測定装置(例えば、Thermo Fisher Scientific社製 VG Theta Probe)に導入し、装置内を真空にする。この装置において、励起X線としてAl Kα線を用い、X線スポット径を800×400μmとして、測定を実施する。かくして、サンプルについての光電子分光スペクトルが得られる。
3.解析
得られた光電子分光スペクトルから、Nの1s軌道に帰属されるピーク面積から算出される原子存在比率ANと、Tiの2p軌道に帰属されるピーク面積から算出される原子存在比率ATiとの間の比AN/ATiを算出する。各原子存在比率は以下のとおりに算出する。まず、母数となる構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、酸素(O)、リチウム(Li)、窒素(N)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及びニオブ(Nb)とする。ついで、各元素の原子存在比率を、ISO 18118に記載の平均マトリックス相対感度係数法を用いて算出する。算出に用いる各元素の内核スペクトルはそれぞれ以下のように定める。Bは185eV〜200eVの結合エネルギー領域に出現するB 1sピークとし、Cは280eV〜295eVの結合エネルギー領域に出現するC 1sピークとし、Oは520eV〜545eVの結合エネルギー領域に出現するO 1sピークとし、Liは50eV〜60eVの結合エネルギー領域に出現するLi 1sピークとし、Nは390eV〜410eVの結合エネルギー領域に出現するN 1sピークとし、Fは675eV〜695eVの結合エネルギー領域に出現するF 1sピークとし、Pは125eV〜145eVの結合エネルギー領域に出現するP 2pピークとし、Sは160eV〜180eVの結合エネルギー領域に出現するS 2pピークとし、Tiは452eV〜462eVの結合エネルギー領域に出現するTi 2pピークとし、Mnは630eV〜660eVの結合エネルギー領域に出現するMn 2pピークとし、Coは780eV〜810eVの結合エネルギー領域に出現するCo 2pピークとし、Niは64eV〜72eVの結合エネルギー領域に出現するNi 3pピークとし、Nbは355eV〜385eVの結合エネルギー領域に出現するNb 3pピークとする。
得られた光電子分光スペクトルから、Nの1s軌道に帰属されるピーク面積から算出される原子存在比率ANと、Tiの2p軌道に帰属されるピーク面積から算出される原子存在比率ATiとの間の比AN/ATiを算出する。各原子存在比率は以下のとおりに算出する。まず、母数となる構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、酸素(O)、リチウム(Li)、窒素(N)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及びニオブ(Nb)とする。ついで、各元素の原子存在比率を、ISO 18118に記載の平均マトリックス相対感度係数法を用いて算出する。算出に用いる各元素の内核スペクトルはそれぞれ以下のように定める。Bは185eV〜200eVの結合エネルギー領域に出現するB 1sピークとし、Cは280eV〜295eVの結合エネルギー領域に出現するC 1sピークとし、Oは520eV〜545eVの結合エネルギー領域に出現するO 1sピークとし、Liは50eV〜60eVの結合エネルギー領域に出現するLi 1sピークとし、Nは390eV〜410eVの結合エネルギー領域に出現するN 1sピークとし、Fは675eV〜695eVの結合エネルギー領域に出現するF 1sピークとし、Pは125eV〜145eVの結合エネルギー領域に出現するP 2pピークとし、Sは160eV〜180eVの結合エネルギー領域に出現するS 2pピークとし、Tiは452eV〜462eVの結合エネルギー領域に出現するTi 2pピークとし、Mnは630eV〜660eVの結合エネルギー領域に出現するMn 2pピークとし、Coは780eV〜810eVの結合エネルギー領域に出現するCo 2pピークとし、Niは64eV〜72eVの結合エネルギー領域に出現するNi 3pピークとし、Nbは355eV〜385eVの結合エネルギー領域に出現するNb 3pピークとする。
例として、図2及び図3に、実施形態に係る一例の非水電解質電池が具備する負極の表面についての光電子スペクトルを示す。図2に示す、390eV〜410eVの結合エネルギー領域に出現しているピークが、Nの1s軌道に帰属されるピークである。また、図3に示す、452eV〜462eVの結合エネルギー領域に出現しているピークが、Tiの2p軌道に帰属されるピークである。
このようにして得られたスペクトルから、それぞれのサンプルについての原子存在比率AN及び原子存在比率ATi、並びに比AN/ATiを算出することができる。
<正極及び負極の電位の測定方法>
非水電解質電池の充放電中の正極及び負極の電位は、以下の手順で測定することができる。
まず、測定対象たる非水電解質電池を、電池電圧が1Vに達するまで1Cの定電流で放電し、完全放電状態にする。次いで、この非水電解質電池を、Ar雰囲気で満たしたグローブボックスの中で開く。この際、非水電解質を保持した正極、負極、セパレータを含む電極群と端子(正極端子及び負極端子)とが接続されたままの状態で外装部材を開く。次に、電極群の中心部にLi金属参照極を挿入し、外装部材を閉じる。Li金属参照極を用いることにより、充放電中の非水電解質電池に組み込まれた正極及び負極のそれぞれの電位(単位:vs. Li/Li+)を知ることができる。例えば、Li金属参照極を挿入した非水電解質電池を、負極及び正極の電位をモニタしながら充放電に供することにより、負極の電位を特定の範囲で変化させながら非水電解質電池を充放電させることができる。更に、負極の電位を特定の範囲内で変化させながら充放電させた際の正極の電位変化の範囲、すなわち正極の作動電位範囲を知ることもできる。
非水電解質電池の充放電中の正極及び負極の電位は、以下の手順で測定することができる。
まず、測定対象たる非水電解質電池を、電池電圧が1Vに達するまで1Cの定電流で放電し、完全放電状態にする。次いで、この非水電解質電池を、Ar雰囲気で満たしたグローブボックスの中で開く。この際、非水電解質を保持した正極、負極、セパレータを含む電極群と端子(正極端子及び負極端子)とが接続されたままの状態で外装部材を開く。次に、電極群の中心部にLi金属参照極を挿入し、外装部材を閉じる。Li金属参照極を用いることにより、充放電中の非水電解質電池に組み込まれた正極及び負極のそれぞれの電位(単位:vs. Li/Li+)を知ることができる。例えば、Li金属参照極を挿入した非水電解質電池を、負極及び正極の電位をモニタしながら充放電に供することにより、負極の電位を特定の範囲で変化させながら非水電解質電池を充放電させることができる。更に、負極の電位を特定の範囲内で変化させながら充放電させた際の正極の電位変化の範囲、すなわち正極の作動電位範囲を知ることもできる。
例えば、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下の範囲内とした際の正極の作動電位範囲は、以下のように測定する。まず、Li金属参照極を挿入した非水電解質電池を、25℃において、負極の電位が1.5V(vs. Li/Li+)に達するまで、0.05Cのレートで定電流充電する。次いで、非水電解質電池を、1.5V(vs. Li/Li+)の定電圧で、電流値が0.01Cとなるまで充電する。次に、非水電解質電池を、25℃において、負極の電位が1.64V(vs. Li/Li+)に達するまで、0.05Cのレートで放電する。この充放電の際に正極の電位をモニタすることで、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲を確認することができる。なお、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とすることは、負極の実効範囲(電位曲線におけるプラトー(平坦)部分)を無駄なく利用していることを意味する。
<正極の1cm2当たりの単極容量DC及び負極の1cm2当たりの単極容量DAの測定方法>
正極の1cm2当たりの単極容量DCは、以下の手順で測定する。
まず、測定対象の非水電解質電池を、先に説明した手順と同じ手順で、完全放電状態にする。次に、非水電解質電池を、アルゴンなどの不活性雰囲気下において解体する。次に、解体した非水電解質電池から電極群を取り出す。次に、正極層と負極層とが対向している箇所の正極から、1cm角の正方形の平面形状を有する板状の正極試料を切り出す。この正極試料を第1の作用極として用い、Li金属を対極として用いて、第1の三極式電池を作製する。対極のLi金属の面積は、第1の作用極の正極試料のそれと同じく1cm2以上とする。第1の三極式電池の構造については、後に詳述する。
正極の1cm2当たりの単極容量DCは、以下の手順で測定する。
まず、測定対象の非水電解質電池を、先に説明した手順と同じ手順で、完全放電状態にする。次に、非水電解質電池を、アルゴンなどの不活性雰囲気下において解体する。次に、解体した非水電解質電池から電極群を取り出す。次に、正極層と負極層とが対向している箇所の正極から、1cm角の正方形の平面形状を有する板状の正極試料を切り出す。この正極試料を第1の作用極として用い、Li金属を対極として用いて、第1の三極式電池を作製する。対極のLi金属の面積は、第1の作用極の正極試料のそれと同じく1cm2以上とする。第1の三極式電池の構造については、後に詳述する。
作製した第1の三極式電池を、25℃において、第1の作用極の電位が4.2V(vs. Li/Li+)に達するまで、0.05Cのレートで定電流充電する。次に、第1の三極式電池を、4.2V(vs. Li/Li+)の定電圧で、電流値が0.01Cとなるまで充電する。次に、第1の三極式電池を、25℃において、0.05Cのレートで、第1の作用極の電位が3.0V(vs.Li/Li+)に達するまで放電させる。この放電によって放電することができた電気量を測定する。測定した電気量を、正極の1cm2当たりの単極容量DC[mAh/cm2]とする。
負極の1cm2当たりの単極容量DAは、例えば以下の手順により測定することができる。
まず、正極の1cm2当たりの単極容量DCを得るために解体して取り出した電極群の正極層と負極層とが対向している箇所の負極から、1cm角の正方形の平面形状を有する板状の負極試料を切り出す。この負極試料を第2の作用極として用い、Li金属を対極として用いて、第2の三極式電池を作製する。対極のLi金属の面積は、第2の作用極の負極試料のそれと同じく1cm2とする。第2の三極式電池の構造については、後に詳述する。
まず、正極の1cm2当たりの単極容量DCを得るために解体して取り出した電極群の正極層と負極層とが対向している箇所の負極から、1cm角の正方形の平面形状を有する板状の負極試料を切り出す。この負極試料を第2の作用極として用い、Li金属を対極として用いて、第2の三極式電池を作製する。対極のLi金属の面積は、第2の作用極の負極試料のそれと同じく1cm2とする。第2の三極式電池の構造については、後に詳述する。
作製した第2の三極式電池を、25℃において、第2の作用極の電位が1.4V(vs. Li/Li+)に達するまで、0.05Cのレートで定電流充電する。次に、第2の三極式電池を、1.4V(vs. Li/Li+)の定電圧で、電流値が0.01Cとなるまで充電する。次に、第2の三極式電池を、25℃において、第2の作用極の電位が2.0V(vs.Li/Li+)に達するまで放電させる。この放電によって放電できた電気量を測定する。測定した放電量を、負極の1cm2当たりの単極容量DA[mAh/cm2]とする。
なお、正極の作動電位範囲、単極容量DC及び単極容量DAを測定する際に低いレートで充放電を行うのは、電池内部抵抗などの影響を抑え、非水電解質電池、正極及び負極の潜在的な単極容量に近い容量を測定するためである。
<正極活物質及び負極活物質の同定方法>
非水電解質電池に含まれている正極活物質及び負極活物質の組成及び結晶構造は、以下の手順で同定をすることができる。
非水電解質電池に含まれている正極活物質及び負極活物質の組成及び結晶構造は、以下の手順で同定をすることができる。
1.非水電解質電池の解体
光電子分光分析の説明で述べたのと同様の手順で、非水電解質電池を解体し、正極及び負極を取り出し、それぞれ洗浄及び乾燥に供する。
光電子分光分析の説明で述べたのと同様の手順で、非水電解質電池を解体し、正極及び負極を取り出し、それぞれ洗浄及び乾燥に供する。
2.誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析
乾燥させた正極から、正極層を、例えばスパチュラを用いて剥がす。
剥がした正極層を酸加熱処理し、結着剤及び導電助剤を取り除く。かくして得られた試料に対し、ICP測定を実施する。
乾燥させた正極から、正極層を、例えばスパチュラを用いて剥がす。
剥がした正極層を酸加熱処理し、結着剤及び導電助剤を取り除く。かくして得られた試料に対し、ICP測定を実施する。
測定対象元素は、Li、Al、Mn、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Hf、K、La、Mg、Na、Ni、Pb、Si、Ti、Y、Zn及びZrとする。測定結果から各元素のモル分率を算出することで、正極活物質の組成を同定することができる。
負極活物質についても、同様の測定を行うことで、組成を同定することができる。
3.X線回折(X-ray Diffraction:XRD)測定
乾燥させた正極についてXRD測定を実施する。回折角(2θ)の範囲を10°から90°とし、0.02°ずつX線回折強度を測定する。かくして、XRD測定結果が得られる。
乾燥させた正極についてXRD測定を実施する。回折角(2θ)の範囲を10°から90°とし、0.02°ずつX線回折強度を測定する。かくして、XRD測定結果が得られる。
一方、ICP分析による組成の同定結果に基づき、データベースから、活物質組成から推定される活物質の固有ピークのパターンを推定する。
推定したX線パターンと、実測のX線パターンとを比較することにより、正極層に含まれている正極活物質の結晶構造を同定することができる。負極活物質の結晶構造についても、同様に同定することができる。
次に、実施形態に係る非水電解質電池の具体例を、図面を参照しながら説明する。
図4は、実施形態に係る一例の非水電解質電池の一部切欠き斜視図である。図5は、図4のA部の拡大断面図である。
図4及び図5に示す非水電解質電池100は、扁平型の電極群1を具備する。
扁平型の電極群1は、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。
負極2は、図5に示すように、負極集電体2aと、負極集電体2a上に担持された負極層2bとを具備する。また、負極層2bの表面2cが、負極の表面である。正極3は、図5に示すように、正極集電体3aと、正極集電体3a上に担持された正極層3bとを具備する。
電極群1では、図5に示すように、負極2と正極3とが、負極層2bと正極層3bとの間にセパレータ4が介在した状態で積層されている。このような電極群1は、以下の手順により得ることができる。まず、一枚の平板状の負極2と一枚の平板状の正極3とを間にセパレータ4を介在させて積層させる。次に、もう一枚のセパレータ4を負極2に対向していない方の正極層3bに積層させて、積層体を作る。この積層体を、負極2を外側にして巻回する。ついで、巻き芯を抜いたのち、プレスして、扁平形状にする。かくして、図4及び図5に示す電極群1を得ることができる。
負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。
図4及び図5に示す非水電解質電池100は、容器としてのラミネートフィルム製の外装袋7を更に具備している。
電極群1は、ラミネートフィルム製の外装袋7内に負極端子5及び正極端子6の端部を外装袋7から延出させた状態で収容されている。ラミネートフィルム製外装袋7内には、図示しない非水電解質が収容されている。非水電解質は、電極群1に含浸されている。外装袋7は、周縁部がヒートシールされており、それにより、電極群1及び非水電解質を封止している。
次に、実施形態に係る非水電解質電池の第2の例を、図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は、実施形態に係る第2の例の非水電解質電池の一部切欠き斜視図である。
図6に示す非水電解質電池100は、外装部材が金属製容器7a及び封口板7bから構成されている点で、第1の例の非水電解質電池100と大きく異なる。
図6に示す非水電解質電池100は、第1の例の非水電解質電池100の電極群1と同様の電極群1を具備する。第1の例との相違点は、図6に示す第2の例では、第1の例で負極端子5として用いていた部材5aを負極タブとして用いている点と、第1の例で正極端子6として用いていた部材6aを正極タブとして用いている点とにある。
図6に示す非水電解質電池100では、このような電極群1が、金属製容器7aの中に収容されている。金属製容器7aは、非水電解質を更に収納している。金属製容器7aは、金属製の封口板7bにより封止されている。
封口板7bには、負極端子5及び正極端子6が備え付けられている。正極端子6と封口板7bとの間には、絶縁部材7cが配されている。それにより、正極端子6と封口板7bとが電気的に絶縁されている。
負極端子5は、図6に示すように、負極タブ5aに接続されている。同様に、正極端子6は、正極タブ6aに接続されている。
次に、実施形態に係る非水電解質電池の正極の1cm2当たりの単極容量DCを測定するために作製される一例の第1の三極式電池を、図面を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係る非水電解質二次電池の正極の単極容量DCを測定するために作製される一例の第1の三極式電池の概略図断面図である。
図2に示す第1の三極式電池10は、第1の作用極103と対極104とを備える。作用極103は、正極の単極容量DCの測定の説明において述べた手順で非水電解質電池から取り出した、正極試料3cを含む。正極試料3cは一方の面にのみ正極層(図示しない)が形成されている。
対極104は、Li金属104aを備える。
第1の三極式電池10は、参照極102を更に備える。参照極102は金属リチウム(図示しない)を含む。
参照極102は、セパレータ4に接続されている。セパレータ4は、特に限定されないが、例えば、微多孔性の膜、織布及び不織布、並びにこれらのうちの同一材又は異種剤の積層物などを用いることができる。セパレータ4は、正極試料3cの正極材料層とLi金属104aとの間に配置されている。
第1の三極式電池10は、2枚のガラスフィルタ105及び2枚のポリプロピレン板(PP板)を更に備える。
作用極103は、セパレータ4と1枚のガラスフィルタ105との間に配置されている。対極104は、セパレータともう1枚のガラスフィルタ105との間に配置されている。
1枚のガラスフィルタ105は、作用極103と1枚のPP板106の間に配置されている。もう1枚のガラスフィルタ105は、対極104ともう1枚のPP板106の間に配置されている。
作用極103、対極104、セパレータ4、2枚のガラスフィルタ105及び2枚のPP板106は、ガラス製の容器101に収納されている。ガラス製の容器101は、非水電解質(図示しない)を更に収納している。作用極103、対極104、セパレータ4、2枚のガラスフィルタ105及び2枚のPP板106は、非水電解質中に浸漬されている。非水電解質は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより調製されたものを用いることができる。ここで用いる非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートやエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートを用いることができる。非水溶媒として、1種類の環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いてもよいし、又は複数種類の非水溶媒を混合してなる混合溶媒を用いてもよい。非水溶媒として、混合溶媒を用いることが好ましい。更に好ましくは、環状カーボネートと鎖状カーボネートの比率が1:1〜1:3である混合溶媒を用いる。また、ここで用いる電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が挙げられる。
第2の三極式電池は、以下の点を除いて、図7に例として示した第1の三極式電池と同様の構造のものを用いることができる。すなわち、第2の三極式電池では、第1の作用極103の代わりに、第2の作用極を用いる。第2の作用極は、正極の単極容量DCの測定の説明において述べた手順で非水電解質電池から取り出した、負極試料を含む。負極試料は、一方の面のみに負極層が形成されている。
実施形態に係る非水電解質電池は、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む正極と、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む負極とを具備する。また、負極は、表面に対する光電子分光測定によって得られる比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。この非水電解質電池を、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。この非水電解質電池は、負極の抵抗値が上がることと、充電の際の負極と非水電解質との反応とを抑制することができると共に、電位の低い状態で正極が充放電サイクルに供されることを防ぐことができる。その結果、実施形態に係る非水電解質電池は、優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて上記実施形態を更に詳細に説明する。
以下、実施例に基づいて上記実施形態を更に詳細に説明する。
(実施例1−1)
実施例1−1では、以下の手順により、実施例1−1の非水電解質電池を作製した。
実施例1−1では、以下の手順により、実施例1−1の非水電解質電池を作製した。
(1)正極の作製
正極活物質としてのLiNi5/10Co2/10Mn3/10O2と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを用意した。これらの材料を、活物質:導電助剤:バインダの重量比が90:5:5となるように用意した。これらを、溶媒としてのN−メチルピロリドン中に溶解させ、混合させた。かくして、ペースト状の正極塗料を調製した。
正極活物質としてのLiNi5/10Co2/10Mn3/10O2と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを用意した。これらの材料を、活物質:導電助剤:バインダの重量比が90:5:5となるように用意した。これらを、溶媒としてのN−メチルピロリドン中に溶解させ、混合させた。かくして、ペースト状の正極塗料を調製した。
このペースト状の正極塗料を、帯状の厚さが20μmであるアルミニウム箔からなる正極集電体の表裏両面に均一に塗布し、塗膜を乾燥させた。塗料の塗工量は50g/m2とした。また、塗布の際、正極集電体に、表裏いずれにも塗料が塗布されていない領域を残した。塗料乾燥後の塗膜及び正極集電体をプレスし、所定の寸法に切断した。次いで、正極塗料未塗工部に、正極タブを溶接した。かくして、正極集電体と、正極集電体の両面上に形成された正極層とを具備した正極が得られた。
(2)負極の作製
まず、負極活物質としての平均一次粒子径が1μmであるチタン酸リチウムLi4Ti5O12と、導電助剤としてのグラファイトと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを用意した。これらの材料を、活物質:導電助剤:バインダの重量比が90:5:5になるように混合した。かくして得られた混合物を、溶媒としてのN−メチルピロリドン中に溶解させ、混合させた。かくして、ペースト状の負極塗料を調製した。
まず、負極活物質としての平均一次粒子径が1μmであるチタン酸リチウムLi4Ti5O12と、導電助剤としてのグラファイトと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを用意した。これらの材料を、活物質:導電助剤:バインダの重量比が90:5:5になるように混合した。かくして得られた混合物を、溶媒としてのN−メチルピロリドン中に溶解させ、混合させた。かくして、ペースト状の負極塗料を調製した。
このペースト状の負極塗料を、帯状の厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる負極集電体の表裏両面に均一に塗布し、塗膜を乾燥させた。塗料の塗工量は35g/m2とした。また、塗布の際、負極集電体に、表裏いずれにも塗料が塗布されていない領域を残した。塗料乾燥後の塗膜及び負極集電体をプレスし、所定の寸法に切断した。次いで、負極塗料未塗工部に、負極タブを溶接した。かくして、負極集電体と、負極集電体の両面上に形成された負極層とを具備した負極が得られた。
(3)電極群の作製
上記のようにして得られた正極及び負極を、間にセパレータを介して捲回した。セパレータとしては、厚さが20μmのポリエチレンフィルムを2枚用いた。かくして、捲回型構造を有する電極群を作製した。
上記のようにして得られた正極及び負極を、間にセパレータを介して捲回した。セパレータとしては、厚さが20μmのポリエチレンフィルムを2枚用いた。かくして、捲回型構造を有する電極群を作製した。
(4)非水電解質の調製
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒を用意した。この混合溶媒において、EC:EMCの重量比は1:2であった。この混合溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.0Mの濃度で溶解させた。また、この混合溶媒に、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を、0.6重量%の濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒を用意した。この混合溶媒において、EC:EMCの重量比は1:2であった。この混合溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.0Mの濃度で溶解させた。また、この混合溶媒に、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を、0.6重量%の濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
(5)電池ユニットの組み立て
次に、幅が80mmであり、高さが110mmであり、壁厚が3mmであり、開口部を有するラミネートフィルム製の容器と、正極端子及び負極端子を備えた封口体とを用意した。封口体は、注液口及び安全弁を更に具備していた。
次に、幅が80mmであり、高さが110mmであり、壁厚が3mmであり、開口部を有するラミネートフィルム製の容器と、正極端子及び負極端子を備えた封口体とを用意した。封口体は、注液口及び安全弁を更に具備していた。
次に、封口体の正極端子に、先に作製した電極群の正極タブを接続した。同様に、封口体の負極端子に、先に作製した電極群の負極タブを接続した。
次に、電極群を、用意した容器内に収納した。次いで、容器の開口部を封口体で封止した。次いで、封口体の注液口を通して、先に調製した非水電解質を、容器内に注入し、電極群に含浸させた。かくして、電池ユニットが得られた。
(6)初充電及びエージング処理
次に、得られた電池ユニットを、以下の手順で初充電に供した。まず、電池ユニットを、25℃の温度環境下において、電圧が2.3Vになるまで、1Cレートの定電流で充電した。次いで、電池ユニットを、電流値が0.05Cとなるまで、2.3Vの定電圧で充電した。
次に、得られた電池ユニットを、以下の手順で初充電に供した。まず、電池ユニットを、25℃の温度環境下において、電圧が2.3Vになるまで、1Cレートの定電流で充電した。次いで、電池ユニットを、電流値が0.05Cとなるまで、2.3Vの定電圧で充電した。
次に、初充電した電池ユニットを、エージング槽に移し、その状態で80℃の一定温度環境下で60時間に亘ってエージング処理した。エージング処理後、電池ユニットを、エージング槽から取出し、常温になるまで冷やした。かくして、実施例1−1の非水電解質電池を得た。
(7)出荷状態への調整
その後、実施例1−1の非水電解質電池を、25℃の環境下で、電圧が2.7Vになるまで1Cレートの定電流で充電した。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、電流値が0.05Cとなるまで、2.7Vの定電圧で充電した。その後、実施例1−1の非水電解質電池を、電圧が1.5Vになるまで1Cレートの定電流で放電し、この放電での放電容量を測定した。ここでの放電容量を検査容量とした。検査容量を測定したあと、実施例1−1の非水電解質電池を、検査容量に対して50%の容量まで、すなわちSOC50%に達するまで、1Cのレートで定電流充電し、出荷状態とした。
その後、実施例1−1の非水電解質電池を、25℃の環境下で、電圧が2.7Vになるまで1Cレートの定電流で充電した。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、電流値が0.05Cとなるまで、2.7Vの定電圧で充電した。その後、実施例1−1の非水電解質電池を、電圧が1.5Vになるまで1Cレートの定電流で放電し、この放電での放電容量を測定した。ここでの放電容量を検査容量とした。検査容量を測定したあと、実施例1−1の非水電解質電池を、検査容量に対して50%の容量まで、すなわちSOC50%に達するまで、1Cのレートで定電流充電し、出荷状態とした。
[評価]
<エネルギー密度の算出>
実施例1−1の非水電解質電池について先の方法で測定した検査容量に平均作動電圧をかけて得られた積を電池重量で除した値(単位:Wh/kg)を、非水電解質電池1−1のエネルギー密度とした。実施例1−1の非水電解質電池のエネルギー密度を以下の表3に示す。
<エネルギー密度の算出>
実施例1−1の非水電解質電池について先の方法で測定した検査容量に平均作動電圧をかけて得られた積を電池重量で除した値(単位:Wh/kg)を、非水電解質電池1−1のエネルギー密度とした。実施例1−1の非水電解質電池のエネルギー密度を以下の表3に示す。
平均作動電圧は、検査容量を得るときに求めた1Cのレートで定電圧放電した際の作動電圧の平均値により求めた。
<パルス放電抵抗測定>
出荷状態(SOC50%)にある実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順でパルス抵抗測定に供した。まず、実施例1−1の非水電解質電池を、環境温度25℃の状態で1時間待機した。次いで、この状態の実施例1−1の非水電解質電池に対し、10Cの定電流放電を10秒間行った。この定電流放電による電圧降下分を定電流放電した際の電流値で割った値を、抵抗値とした。
出荷状態(SOC50%)にある実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順でパルス抵抗測定に供した。まず、実施例1−1の非水電解質電池を、環境温度25℃の状態で1時間待機した。次いで、この状態の実施例1−1の非水電解質電池に対し、10Cの定電流放電を10秒間行った。この定電流放電による電圧降下分を定電流放電した際の電流値で割った値を、抵抗値とした。
<SOC−OCV試験>
パルス抵抗測定に供した実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順でSOC−OCV試験に供した。
パルス抵抗測定に供した実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順でSOC−OCV試験に供した。
まず、実施例1−1の非水電解質電池を、パルス抵抗測定に供した後の状態から、電池電圧が2.7Vに達するまで、25℃の環境下で、1Cのレートで定電流充電した。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、電流値が0.05Cになるまで、定電圧充電した。この充電により、実施例1−1の非水電解質電池のSOCを100%にした。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、1Cレートで定電流放電し、検査容量の10%に相当する電気量を放電した。この放電により、実施例1−1の非水電解質電池のSOCを90%にした。放電後、実施例1−1の非水電解質電池を、1時間静置した。その後、実施例1−1の非水電解質電池の電圧を測定した。この電圧を、SOC90%での開回路電圧(OCV)とした。実施例1−1の非水電解質電池に対して、SOC10%分の定電流放電、1時間静置及び電圧測定からなるサイクルを、実施例1−1の非水電解質電池がSOC0%(1.5V)になるまで繰り返した。かくして、SOC0%から100%までの10%刻みで、実施例1−1の非水電解質電池についての充電状態と開回路電圧との関係(SOC−OCV)を取得した。
<低温出力試験>
SOC−OCV試験に供した実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順で低温出力試験に供した。
SOC−OCV試験に供した実施例1−1の非水電解質電池を、以下の手順で低温出力試験に供した。
まず、実施例1−1の非水電解質電池を、1.5Vの電池電圧を示す状態から、電池電圧が2.7Vに達するまで、25℃の環境下で、1Cで定電流充電した。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、電流値が0.05Cになるまで、定電圧充電した。次いで、実施例1−1の非水電解質電池を、SOC50%の状態に達するまで、25℃の環境下で1Cで放電した。次いで、環境温度を−30℃にして、実施例1−1の非水電解質電池を3時間静置した。実施例1−1の非水電解質電池の温度が−30℃になったことを確認した後、実施例1−1の非水電解質電池に対して、電池電圧が1.3Vになるまで、10Cレートで定電流放電試験を行った。この定電流放電試験で得られた出力時間を以下の表3に示す。
<サイクル特性評価試験>
次に、低温出力試験に供した実施例1−1の非水電解質電池を、5Cのレート及び2.7V〜1.5Vの電圧範囲での充放電サイクルに300回供した。実施例1−1の非水電解質電池について、300サイクル後の抵抗値を確認した。実施例1−1の非水電解質電池について確認した300サイクル後の抵抗値の0サイクル時の初期抵抗値に対する相対値を、抵抗上昇率として、以下の表3に示す。
次に、低温出力試験に供した実施例1−1の非水電解質電池を、5Cのレート及び2.7V〜1.5Vの電圧範囲での充放電サイクルに300回供した。実施例1−1の非水電解質電池について、300サイクル後の抵抗値を確認した。実施例1−1の非水電解質電池について確認した300サイクル後の抵抗値の0サイクル時の初期抵抗値に対する相対値を、抵抗上昇率として、以下の表3に示す。
<OCV上昇値の測定>
サイクル特性評価試験後の実施例1−1の非水電解質電池を、先に説明したのと同様の手順で、再度SOC−OCV試験に供した。300サイクル後の電池のSOC80%でのOCVから、出荷状態にあった電池で測定したSOC80%でのOCVを引いた値を、OCV上昇値とした。実施例1−1の非水電解質電池についてのOCV上昇値を、以下の表3に示す。
サイクル特性評価試験後の実施例1−1の非水電解質電池を、先に説明したのと同様の手順で、再度SOC−OCV試験に供した。300サイクル後の電池のSOC80%でのOCVから、出荷状態にあった電池で測定したSOC80%でのOCVを引いた値を、OCV上昇値とした。実施例1−1の非水電解質電池についてのOCV上昇値を、以下の表3に示す。
<正極作動電位範囲の測定>
実施例1−1の非水電解質電池について、先に説明したのと同様の手順で、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲を確認した。その結果を以下の表3に示す。
実施例1−1の非水電解質電池について、先に説明したのと同様の手順で、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲を確認した。その結果を以下の表3に示す。
<負極の表面状態の光電子分光法による観察>
実施例1−1の非水電解質電池が具備する負極の表面状態を、先に説明した手順により、光電子分光測定により観察した。測定装置としては、光電子分光測定装置(Thermo Fisher Scientific社製 VG Theta Probe)を用いた。得られた結果を以下の表3に示す。実施例1−1の非水電解質電池の負極の表面についての比AN/ATiは、0.09であった。
実施例1−1の非水電解質電池が具備する負極の表面状態を、先に説明した手順により、光電子分光測定により観察した。測定装置としては、光電子分光測定装置(Thermo Fisher Scientific社製 VG Theta Probe)を用いた。得られた結果を以下の表3に示す。実施例1−1の非水電解質電池の負極の表面についての比AN/ATiは、0.09であった。
<正極の1cm2当たりの単極容量DC及び負極の1cm2当たりの単極容量DAの測定>
実施例1−1の非水電解質電池について、正極の1cm2当たりの単極容量DC及び負極の1cm2当たりの単極容量DAを、先に説明した手順で測定した。この結果により得られた比DC/DAの値を以下の表3に示す。
実施例1−1の非水電解質電池について、正極の1cm2当たりの単極容量DC及び負極の1cm2当たりの単極容量DAを、先に説明した手順で測定した。この結果により得られた比DC/DAの値を以下の表3に示す。
(実施例1−2)
実施例1−2では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−2の非水電解質電池を作製した。
実施例1−2では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−2の非水電解質電池を作製した。
(実施例1−3)
実施例1−3では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi4/10Co4/10Mn2/10O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−3の非水電解質電池を作製した。
実施例1−3では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi4/10Co4/10Mn2/10O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−3の非水電解質電池を作製した。
(実施例1−4)
実施例1−4では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi5/10Co3/10Mn2/10O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−4の非水電解質電池を作製した。
実施例1−4では、正極活物質として、LiNi5/10Co2/10Mn3/10O2の代わりに、LiNi5/10Co3/10Mn2/10O2を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例1−4の非水電解質電池を作製した。
(実施例2−1)
実施例2−1では、負極活物質として、平均粒子径が1μmであるチタン酸リチウムの代わりに、平均粒子径が2.5μmであるチタン酸リチウムを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例2−1の非水電解質電池を作製した。
実施例2−1では、負極活物質として、平均粒子径が1μmであるチタン酸リチウムの代わりに、平均粒子径が2.5μmであるチタン酸リチウムを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例2−1の非水電解質電池を作製した。
(実施例2−2)
実施例2−2では、負極活物質として、平均粒子径が1μmであるチタン酸リチウムの代わりに、平均粒子径が0.4μmであるチタン酸リチウムを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例2−2の非水電解質電池を作製した。
実施例2−2では、負極活物質として、平均粒子径が1μmであるチタン酸リチウムの代わりに、平均粒子径が0.4μmであるチタン酸リチウムを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例2−2の非水電解質電池を作製した。
(実施例3−1)
実施例3−1では、正極塗料の塗工量を57g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−1の非水電解質電池を作製した。
実施例3−1では、正極塗料の塗工量を57g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−1の非水電解質電池を作製した。
(実施例3−2)
実施例3−2では、正極塗料の塗工量を41g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−2の非水電解質電池を作製した。
実施例3−2では、正極塗料の塗工量を41g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−2の非水電解質電池を作製した。
(実施例3−3)
実施例3−3では、正極塗料の塗工量を63.5g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−3の非水電解質電池を作製した。
実施例3−3では、正極塗料の塗工量を63.5g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−3の非水電解質電池を作製した。
(実施例3−4)
実施例3−4では、正極塗料の塗工量を39g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−4の非水電解質電池を作製した。
実施例3−4では、正極塗料の塗工量を39g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−4の非水電解質電池を作製した。
(実施例3−5)
実施例3−5では、正極塗料の塗工量を67.5g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−3の非水電解質電池を作製した。
実施例3−5では、正極塗料の塗工量を67.5g/m2に変更したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例3−3の非水電解質電池を作製した。
(実施例4−1)
実施例4−1では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−1の非水電解質電池を作製した。
実施例4−1では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−1の非水電解質電池を作製した。
実施例4−1では、LiTFSIを、EC及びEMCの混合溶媒に、0.6重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−2)
実施例4−2では、非水電解質の調製の際、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−2の非水電解質電池を作製した。
実施例4−2では、非水電解質の調製の際、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−2の非水電解質電池を作製した。
実施例4−2では、LiBETIを、EC及びEMCの混合溶媒に、0.6重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−3)
実施例4−3では、非水電解質の調整の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(1)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−3の非水電解質電池を作製した。
実施例4−3では、非水電解質の調整の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(1)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−3の非水電解質電池を作製した。
実施例4−3では、式(1)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.6重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−4)
実施例4−4では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(2)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−4の非水電解質電池を作製した。
実施例4−4では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(2)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−4の非水電解質電池を作製した。
実施例4−4では、式(2)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.6重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−5)
実施例4−5では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(3)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−5の非水電解質電池を作製した。
実施例4−5では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(3)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−5の非水電解質電池を作製した。
実施例4−5では、式(3)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.6重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−6)
実施例4−6では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(4)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−6の非水電解質電池を作製した。
実施例4−6では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(4)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−6の非水電解質電池を作製した。
実施例4−6では、式(4)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.3重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−7)
実施例4−7では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(5)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−7の非水電解質電池を作製した。
実施例4−7では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(5)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−7の非水電解質電池を作製した。
実施例4−7では、式(5)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.3重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−8)
実施例4−8では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(6)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−8の非水電解質電池を作製した。
実施例4−8では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(6)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−8の非水電解質電池を作製した。
実施例4−8では、式(6)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.3重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−9)
実施例4−9では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(7)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−9の非水電解質電池を作製した。
実施例4−9では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(7)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−9の非水電解質電池を作製した。
実施例4−9では、式(7)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.5重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−10)
実施例4−10では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(8)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−10の非水電解質電池を作製した。
実施例4−10では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(8)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−10の非水電解質電池を作製した。
実施例4−10では、式(8)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.5重量%の濃度で溶解させた。
(実施例4−11)
実施例4−11では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(9)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−11の非水電解質電池を作製した。
実施例4−11では、非水電解質の調製の際、添加剤として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、式(9)で表される部分を含むリチウム塩を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例4−11の非水電解質電池を作製した。
実施例4−11では、式(9)で表される部分を含むリチウム塩を、EC及びEMCの混合溶媒に、0.5重量%の濃度で溶解させた。
(実施例5−1)
実施例5−1では、非水電解質電池の調整の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を2重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例5−1の非水電解質電池を作製した。
実施例5−1では、非水電解質電池の調整の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を2重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例5−1の非水電解質電池を作製した。
(実施例5−2)
実施例5−2では、非水電解質電池の調整の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.1重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例5−2の非水電解質電池を作製した。
実施例5−2では、非水電解質電池の調整の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.1重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例5−2の非水電解質電池を作製した。
(実施例6−1)
実施例6−1では、電池ユニットの初充電の電圧を2.5Vとしたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例6−1の非水電解質電池を作製した。
実施例6−1では、電池ユニットの初充電の電圧を2.5Vとしたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例6−1の非水電解質電池を作製した。
(実施例6−2)
実施例6−2では、電池ユニットの初充電の電圧を2.0Vとしたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例6−2の非水電解質電池を作製した。
実施例6−2では、電池ユニットの初充電の電圧を2.0Vとしたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例6−2の非水電解質電池を作製した。
(実施例7−1)
実施例7−1では、初充電した電池ユニットを、90℃の一定温度環境下で、20時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例7−1の非水電解質電池を作製した。
実施例7−1では、初充電した電池ユニットを、90℃の一定温度環境下で、20時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例7−1の非水電解質電池を作製した。
(実施例7−2)
実施例7−2では、初充電した電池ユニットを、80℃の一定温度環境下で、75時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例7−2の非水電解質電池を作製した。
実施例7−2では、初充電した電池ユニットを、80℃の一定温度環境下で、75時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、実施例7−2の非水電解質電池を作製した。
(比較例4−1)
比較例4−1では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、テトラフルオロホウ酸リチウム(四フッ化ホウ酸リチウム)(LiBF4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−1の非水電解質電池を作製した。比較例4−1では、LiBF4を、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
比較例4−1では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、テトラフルオロホウ酸リチウム(四フッ化ホウ酸リチウム)(LiBF4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−1の非水電解質電池を作製した。比較例4−1では、LiBF4を、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
(比較例4−2)
比較例4−2では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、1,3−プロパンスルトンを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−2の非水電解質電池を作製した。比較例4−2では、1,3−プロパンスルトンを、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
比較例4−2では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、1,3−プロパンスルトンを用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−2の非水電解質電池を作製した。比較例4−2では、1,3−プロパンスルトンを、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
(比較例4−3)
比較例4−3では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、ビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−3の非水電解質電池を作製した。比較例4−3では、ビニレンカーボネートを、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
比較例4−3では、非水電解質の調製の際、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)の代わりに、ビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−3の非水電解質電池を作製した。比較例4−3では、ビニレンカーボネートを、EC及びEMCの混合溶媒に、1重量%の濃度で溶解させた。
(比較例4−4)
比較例4−4では、非水電解質の調製の際に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を用いなかったこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−4の非水電解質電池を作製した。
比較例4−4では、非水電解質の調製の際に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を用いなかったこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例4−4の非水電解質電池を作製した。
(比較例5−1)
比較例5−1では、非水電解質の調製の際に、混合溶媒に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を3.0重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例5−1の非水電解質電池を作製した。
比較例5−1では、非水電解質の調製の際に、混合溶媒に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を3.0重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例5−1の非水電解質電池を作製した。
(比較例5−2)
比較例5−2では、非水電解質の調製の際に、混合溶媒に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.01重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例5−2の非水電解質電池を作製した。
比較例5−2では、非水電解質の調製の際に、混合溶媒に、添加剤としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.01重量%の濃度で溶解させたこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例5−2の非水電解質電池を作製した。
(比較例6−1)
比較例6−1では、初充電した電池ユニットを、90℃の一定温度環境下で、60時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例6−1の非水電解質電池を作製した。
比較例6−1では、初充電した電池ユニットを、90℃の一定温度環境下で、60時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例6−1の非水電解質電池を作製した。
(比較例6−2)
比較例7−2では、初充電した電池ユニットを、40℃の一定温度環境下で、120時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例6−2の非水電解質電池を作製した。
比較例7−2では、初充電した電池ユニットを、40℃の一定温度環境下で、120時間に亘ってエージング処理したこと以外は実施例1−1と同様の手順により、比較例6−2の非水電解質電池を作製した。
以上のようにして作製した各実施例及び各比較例の非水電解質電池を、実施例1−1の非水電解質電池に対して行ったのと同様の手順で、出荷状態へ調整した。
また、各実施例及び各比較例の非水電解質電池を、実施例1−1に対して行ったのと同様の手順で、各評価に供した。
各実施例及び各比較例の非水電解質電池の製造条件を、以下の表1及び2にまとめて記載する。また、各実施例及び各比較例の非水電解質電池の評価結果を、以下の表3にまとめて記載する。
[考察]
表3に示した結果から明らかなように、実施例1−1〜1−3、2−1〜2−2、3−1〜3−5、4−1〜4−11、5−1〜5−2、6−1〜6−2及び7−1〜7−2の各非水電解質電池は、高いエネルギー密度、優れた低温出力特性、及び優れた充放電サイクル特性を示すことができたと共に、開回路電圧の変動を抑えることができた。
表3に示した結果から明らかなように、実施例1−1〜1−3、2−1〜2−2、3−1〜3−5、4−1〜4−11、5−1〜5−2、6−1〜6−2及び7−1〜7−2の各非水電解質電池は、高いエネルギー密度、優れた低温出力特性、及び優れた充放電サイクル特性を示すことができたと共に、開回路電圧の変動を抑えることができた。
以下、各実施例の非水電解質電池と各比較例の非水電解質電池との結果の比較を具体的に説明する。
表3に示した結果から明らかなように、各実施例の非水電解質電池は、比較例4−1〜4−3の各非水電解質電池よりも、充放電サイクルによる開回路電圧の変動を抑えることができた。
表3に示した結果から、比較例4−1〜4−3の各非水電解質電池では、負極が非水電解質に含まれる添加剤が副反応を起こし、負極の自己放電が進んだため、正極の作動電位範囲が上昇したと考えられる。一方、比較例4−1〜4−3の各非水電解質電池では、負極の表面についての比AN/ATiが0.01であった。これは、比較例4−1〜4−3では、Nを含有する被膜が負極の表面に形成されなかったことを示していると考えられる。そのため、比較例4−1〜4−3の非水電解質電池では、充放電サイクル中での負極と非水電解質との反応を十分に抑えることができず、その結果、充放電サイクルによって開回路電圧が上昇したと考えられる。
また、表3に示した結果から明らかなように、各実施例の非水電解質電池は、比較例4−4の非水電解質電池よりも低いサイクル抵抗上昇率を示すことができた。
表3に示した結果から、比較例4−4の非水電解質電池は、正極の作動電位範囲の下限が各実施例の非水電解質電池のそれよりも低かったことが分かる。これは、比較例4−4の非水電解質電池では、非水電解質に添加剤を添加しなかったために、正極の作動電位範囲を高めることができなかったと考えられる。そのため、比較例4−4の非水電解質電池は、正極の電位が低い状態で、充放電サイクルに供されたと考えられる。また、表3に示した結果から、比較例4−4の非水電解質電池では、負極の表面についての比AN/ATiが0.01であったことが分かる。これは、比較例4−4では、Nを含有する被膜が負極の表面に形成されなかったことを示していると考えられる。これらの結果、比較例4−4の非水電解質電池は、各実施例の非水電解質電池よりも、充放電サイクル試験による抵抗上昇率が大きかったと考えられる。
表3に示した結果から明らかなように、各実施例の非水電解質電池は、比較例5−1の非水電解質電池よりも優れた低温出力特性を示すことができた。また、各実施例の非水電解質電池は、比較例5−2の非水電解質電池よりも低いサイクル抵抗上昇率を示すことができた。
比較例5−1の非水電解質電池は、表3に示したように、負極の表面についての比AN/ATiが0.75であった。これは、負極の表面にNを含有する被膜が過剰に形成されたと考えられる。その結果、比較例5−1の非水電解質電池は、負極の抵抗が充放電サイクル試験に供する前から高く、低温出力特性に劣っていたと考えられる。
一方、比較例5−2の非水電解質電池は、表3に示したように、負極の表面についての比AN/ATiが0.02であった。これは、負極の表面に形成されたNを含有する被膜の量が少な過ぎたことを示していると考えられる。また、比較例5−2の非水電解質電池の正極の作動電位範囲の下限が、各実施例の非水電解質電池のそれよりも低かった。そのため、比較例5−2の非水電解質電池は、正極が3.14V(vs. Li/Li+)よりも低い電位にある状態で、充放電サイクルに供されたと考えられる。これらの結果、比較例5−2の非水電解質電池は、各実施例の非水電解質電池よりも、充放電サイクル試験による抵抗上昇率が大きかったと考えられる。
表3に示した結果から明らかなように、各実施例の非水電解質電池は、比較例6−1の非水電解質電池よりも優れた低温出力特性を示すことができた。また、各実施例の非水電解質電池は、比較例6−2の非水電解質電池よりも低いサイクル抵抗上昇率を示すことができた。
比較例6−1の非水電解質電池は、表3に示したように、負極の表面についての比AN/ATiが0.62であった。これは、負極の表面にNを含有する被膜が過剰に形成されたと考えられる。その結果、比較例6−1の非水電解質電池は、負極の抵抗が充放電サイクル試験に供する前から高く、低温出力特性に劣っていたと考えられる。
一方、比較例6−2の非水電解質電池は、表3に示したように、負極の表面についての比AN/ATiが0.02であった。これは、負極の表面に形成されたNを含有する被膜の量が少な過ぎたことを示していると考えられる。また、比較例6−2の非水電解質電池の正極の作動電位範囲の下限が、各実施例の非水電解質電池のそれよりも低かった。そのため、比較例6−2の非水電解質電池は、正極が3.14V(vs. Li/Li+)よりも低い電位の状態で、充放電サイクルに供されたと考えられる。これらの結果、比較例6−2の非水電解質電池は、各実施例の非水電解質電池よりも、充放電サイクル試験による抵抗上昇率が大きかったと考えられる。
また、実施例1−1、6−1及び6−2、並びに比較例7−1及び7−2の結果の比較から、同様の材料を用いて同様に電池ユニットを作製し、同様に初充電を行っても、電池ユニットのエージング処理条件を変更すると、例えば、正極の作動電位範囲及び負極の表面についての比AN/ATiが変わり得ることが分かる。
表3に示した実施例1−1、3−1〜3−5の結果から、容量比DC/DAが変化しても、高いエネルギー密度、優れた低温出力特性、及び優れた充放電サイクル特性を示すことができたと共に、開回路電圧の変動を抑えることができたことが分かる。
表3に示した実施例1−1、6−1、6−2の結果から、初充電時の電圧を変更しても、正極が一般式Li1-aNixCoyMnzO2(0.1≦x/(y+z)≦1.3、0≦a≦1)で表される複合酸化物を含み、負極が比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有し、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の正極の作動電位範囲が3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある非水電解質電池であれば、高いエネルギー密度、優れた低温出力特性、及び優れた充放電サイクル特性を示すことができたと共に、開回路電圧の変動を抑えることができたことが分かる。
以上に説明した少なくとも一つの実施形態及び実施例によると、一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含む正極と、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む負極とを具備する非水電解質電池が提供される。また、負極は、表面に対する光電子分光測定によって得られる比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する。この非水電解質電池を、負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の前記正極の作動電位範囲は、3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にある。この非水電解質電池は、負極の抵抗値が上がることと、充電の際の負極と非水電解質との反応とを抑制することができると共に、電位の低い状態で正極が充放電サイクルに供されることを防ぐことができる。その結果、実施形態に係る非水電解質電池は、優れた充放電サイクル特性及び優れた低温特性を示すことができ且つ開回路電圧の変動を抑えることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…負極、2a…負極集電体、2b…負極層、2c…負極の表面、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極層、3c…正極試料、4…セパレータ、5…負極端子、5a…負極タブ、6…正極端子、6a…正極タブ、7…外装部材、7a…金属製容器、7b…封口板、7c…絶縁部材、100…非水電解質電池、10…第1の三極式電池、101…容器、102…参照極、103…第1の作用極、104…対極、104a…Li金属、105…ガラスフィルタ、106…PP板。
Claims (5)
- 一般式Li1-aNixCoyMnzO2で表される複合酸化物を含み、前記一般式において、添字x、y及びzが不等式0.1≦x/(y+z)≦1.3を満たし、0≦a≦1である正極と、
スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含み、表面に対する光電子分光測定によって得られるN原子存在比率ANとTi原子存在比率ATiとの比AN/ATiが0.05以上0.5以下である表面状態を有する負極であって、前記N原子存在比率ANは、前記光電子分光測定により得られる光電子スペクトルにおいて390〜410eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出され、前記Ti原子存在比率ATiは、前記光電子スペクトルにおいて452〜462eVの範囲内の結合エネルギー領域に出現するピークから算出される負極と、
非水電解質と
を具備し、
前記負極の作動電位範囲を1.5V(vs. Li/Li+)以上1.64V(vs. Li/Li+)以下とした際の前記正極の作動電位範囲が3.14V(vs. Li/Li+)以上4V(vs. Li/Li+)以下の範囲内にあることを特徴とする非水電解質電池。 - 下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池。
1.15 ≦DC/DA≦ 1.8 (1)
ここで、
前記DC[mAh/cm2]は、前記正極の1cm2当たりの単極容量であり、前記DA[mAh/cm2]は、前記負極の1cm2当たりの単極容量である。 - 前記負極は、前記スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウムを含む負極活物質の粒子を含み、
前記負極活物質の粒子の平均一次粒子径が0.5μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解質電池。 - 前記一般式Li1-aNixCoyMnzO2において、前記添字x、y及びzが不等式0.3≦x/(y+z)≦1.3及びy≧zを満たす請求項2に記載の非水電解質電池。
- 前記一般式Li1-aNixCoyMnzO2において、前記添字x、y及びzが不等式0.6≦x/(y+z)≦1及びy≧zを満たす請求項2に記載の非水電解質電池。
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