JP2018044719A - 循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法、装置及びプログラム、並びに原料供給量の演算方法、装置及びプログラム - Google Patents

循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法、装置及びプログラム、並びに原料供給量の演算方法、装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度を高精度に予測できるようにする。【解決手段】熱ガス発生装置と、ミルと、バグフィルターとを備え、循環ファンを用いて、バグフィルターからの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、ミル入口温度TINは、バーナーにより発生する熱量ΔQHGGと、循環ファンによる仕事量ΔQFANと、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、ガスの比熱C、バグフィルターの出口排ガス流量Fbug、放散ガス流量Fexh、ミル出口温度TOUT、外気温T0を用いて、式(102)により、計算する。C・(Fbug−Fexh)・(TIN—TOUT)=ΔQHGG+ΔQFAN+C・Fexh・(TOUT−T0)・・・(102)【選択図】図2

Description

本発明は、循環系粉砕プラントにおいて粉砕機の入口温度を予測するのに利用して好適な循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法、装置及びプログラム、並びに原料供給量の演算方法、装置及びプログラムに関する。
微粉炭やセメント等を製造するための粉砕プラントとして、負圧式の循環系粉砕プラントが知られている(例えば特許文献1を参照)。負圧式の循環系粉砕プラントでは、燃料ガスと燃焼エアとを熱ガス発生装置に供給し、熱ガス発生装置において、熱風を排ガスとして発生させる。排ガスは、原料の粉砕を行う粉砕機の内部に供給される。粉砕機で粉砕された原料は、排ガスと共にバグフィルターに供給され、バグフィルターで捕集される。その後、排ガスは、循環ファンで昇圧されて循環ガスとして再び熱ガス発生装置に供給される。このように熱ガス発生装置で発生した排ガス(熱風)は、熱ガス発生装置から、粉砕機、バグフィルターを経由して熱ガス発生装置に循環される。
特開2014−114994号公報
この種の循環系粉砕プラントにおいて、粉砕機の入口温度は、石炭の含有水分、外気温、石炭粉砕量等によって大きく変化するため、プラント設計の段階で事前評価しておく必要がある。プラントの運転条件に応じて粉砕機の入口温度を高精度に予測できれば、設備仕様を適正化することが可能となる。
特に循環系粉砕プラントでは、加熱された排ガスがライン内を循環するため、排ガスを全て排気する1パス式の粉砕プラントに比べると、粉砕機の入口温度が高くなる傾向がある。また、排ガス循環によって排ガス排出量を抑制できる構造から粉砕量を大型化することがあり、やはり粉砕機の入口温度が高くなる傾向にある。そのため、循環系粉砕プラントにおいては、粉砕機の入口温度を高精度に予測し、運転条件を適正化することへの要求が1パス式の粉砕プラントよりも高いと言える。
また、循環系粉砕プラントの操業中においても、粉砕機の入口温度を高精度に予測できれば、プラント制御に有効活用することができる。
しかしながら、循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測手法は十分に確立されているとは言い難い。
特許文献1では、循環系粉砕プラントにおいて熱・物質収支計算を行うことが開示されているが、粉砕機の入口温度を予測することは開示されていない。
また、循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度を、1パス式の粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法に倣って予測することが行われているが、実際の温度に比較して遥かに低い温度を計算してしまうことが多いという実情がある。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度を高精度に予測できるようにすることを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測する方法であって、
前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算することを特徴とする循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
[2] 大気中への排ガスの放散による排熱量は、放散ガスを外気温から前記粉砕機の出口温度まで加熱するのに必要な熱量として表わすことを特徴とする[1]に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
[3] 前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGGは、燃料ガスカロリーが
一定であるとして、式(101)によりで与えられ、
ΔQHGG=燃料ガスカロリー×燃料ガス流量・・・(101)
前記循環ファンによる仕事量は、既知の値が与えられることを特徴とする[1]又は[2]に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
[4] 前記粉砕機の入口温度TINを、ガスの比熱C、前記捕集機の出口排ガス流量Fbug、放散ガス流量Fexh、前記粉砕機の出口温度TOUT、前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGG、前記循環ファンによる仕事量ΔQFAN、外気温T0を用いて、式(102)により、
C・(Fbug−Fexh)・(TIN―TOUT)=
ΔQHGG+ΔQFAN+C・Fexh・(TOUT−T0)・・・(102)
計算することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
[5] 前記ガスの比熱C、前記循環ファンによる仕事量ΔQFANは、既知の値が与えられ、
前記放散ガス流量Fexh、前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGGは、運転条件として設定される、前記捕集機の出口排ガス流量Fbug、前記粉砕機の出口温度TOUT、及び前記外気温T0を含む条件を用いて、熱及び物質収支に基づいて計算されることを特徴とする[4]に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
[6] 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測する装置であって、
前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算する手段を備えたことを特徴とする循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測装置。
[7] 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測するためのプログラムであって、
前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
[8] [1]乃至[5]のいずれか一つに記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得るステップと、
前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求めるステップとを有することを特徴とする循環系粉砕プラントにおける原料供給量の演算方法。
[9] [1]乃至[5]のいずれか一つに記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得る手段と、
前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求める手段とを備えたことを特徴とする循環系粉砕プラントにおける原料供給量の演算装置。
[10] [1]乃至[5]のいずれか一つに記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得る処理と、
前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求める処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
本発明によれば、循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度は、熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、粉砕機の入口温度を計算することにより、粉砕機の入口温度を高精度に予測することができる。
負圧式の循環系粉砕プラントの構成例を示す図である。 第1の実施形態におけるミル入口温度の予測方法を示すフローチャートである。 熱収支モデルのイメージを示す図である。 第1の実施形態においてミル入口温度を計算するモデルを示す図である。 1パス式の粉砕プラントに倣ってミル入口温度を計算するモデルを示す図である。 本発明を適用したミル入口温度の予測手法と、1パス式に倣ったミル入口温度の予測手法とを比較した結果を示す特性図である。 本発明を適用したミル入口温度の予測手法と、1パス式に倣ったミル入口温度の予測手法とを比較した結果を示す特性図である。 第2の実施形態における最大給炭量の演算方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるパラメータの関係を説明するための図である。 ミル入口温度の予測装置及び給炭量演算装置の機能構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、高炉への微粉炭の吹込み(PCI:Pulverized Coal Injection)を行うために石炭を粉砕する、負圧式の循環系粉砕プラント(以下、単に循環系粉砕プラントと呼ぶ)の構成例を示す図である。図1において、各構成要素を繋ぐ実線は配管を示し、矢印線は配管内のガスや石炭の進行方向を示す。
図1において、熱ガス発生装置101は、一又は複数のバーナーを有し、燃料ガス及び燃焼エア(空気)をバーナーへの入力として、バーナーの空燃比を制御し、熱風を排ガスとして発生させる。排ガスの酸素濃度は略0%である。本実施形態では、燃料ガスとしてBFG(Blast Furnace Gas)を利用する。空燃比制御は、温度制御装置200から送信されるバーナー負荷と、バーナーに供給されている燃料ガス及び燃焼エアの流量とを入力として、空燃比を制御(例えばフィードバック制御)して、バーナーに供給する燃料ガス・燃焼エアの流量を調整する弁の開度をそれぞれ調整することにより行われる。ここで、バーナー負荷とは、バーナーに供給できる燃料ガスの流量の最大値に対する、バーナーに供給する燃料ガスの流量の割合を示すものである。また、空燃比制御は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を用いることにより公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
燃焼エアファン102は、熱ガス発生装置101に燃焼エアを送り込む。
バンカー103は、原料である石炭を貯蔵する。なお、系内の圧力は一定の微負圧に保たれるため、バンカー103から系内にエアが侵入する(バンカー侵入エア)。
給炭機104は、チェーンコンベアを有し、バンカー103内に貯蔵されている石炭をチェーンコンベアにより切り出してミル105に投入する。
ミル105は、給炭機104から投入された石炭を粉砕する粉砕機である。ミル105は、例えばロールミル105aと粉砕テーブル105bとを有する。ミル105の上部から投入された石炭をロールミル105aと粉砕テーブル105bとの間に供給する。回転している粉砕テーブル105bに対してロールミル105aを押し付けながら回転させることにより、石炭は押し潰されて粉砕される。粉砕された石炭(以下、微粉炭と称する)は、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れにのって、ミル105の上部に供給され、分級機で分級された後、外部に放出される。
シールエアファン106は、ミル105の内部(粉砕テーブル105bの軸受部)の隙間にシールエアを供給することにより、その隙間から外部に放出されようとする微粉炭を、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れに押し戻す。ミル105の内部の圧力がシールエアの圧力未満になるように、シールエアの流速が定められる。このように、シールエアファン106は、粉砕テーブル105bの軸受部に微粉炭が進入し、その結果として、粉砕テーブル105bの軸受部の潤滑不良が起こることと、粉砕テーブル105bの軸受部から外部に放出されることとを防止する。
バグフィルター107は、ミル105から放出された微粉炭を、濾布を用いて捕集する濾過式の捕集機である。微粉炭以外の異物がバグフィルター107で捕集されることがある。
異物除去装置108は、バグフィルター107で捕集された異物を除去する。
リザーブタンク109は、異物除去装置108で異物が除去された微粉炭を貯蔵する。リザーブタンク109に貯蔵された微粉炭は、高炉の羽口から高炉の内部に吹き込まれる(微粉炭吹き込みが行われる)。
ダンパー112は、バグフィルター107を通過した排ガスの流量を調整する。
循環ファン113は、ダンパー112を通過した排ガスを熱ガス発生装置101に循環させることができるように、排ガスを昇圧する。
放散塔(煙突)114は、循環ファン113により昇圧された排ガスの一部(放散ガス)を大気中に放散する。
放散系圧力調整弁115は、放散塔114から大気中に放散される排ガスの圧力を調整する。
循環系圧力調整弁116は、循環ファン113により昇圧された排ガスのうち、放散塔114を介して大気中に放散されずに熱ガス発生装置101に循環させる排ガスの圧力を調整する。このようにして、熱ガス発生装置101で発生した排ガスは、循環ガスとして再び熱ガス発生装置101に供給され、熱ガス発生装置101、ミル105、バグフィルター107、ダンパー112、循環ファン113、循環系圧力調整弁116、熱ガス発生装置101の経路を循環する。
オリフィス流量計117は、大気中の空気(希釈エア)を、循環系粉砕プラントに供給すべく、希釈エアの流量を調整する。
エア流量調整弁118は、循環系粉砕プラントに供給されるエアの流量を調整する。
希釈エアファン119は、エア流量調整弁118で流量が調整された希釈エアを昇圧し、希釈エアを熱ガス発生装置101の入側の配管に押し込む。これにより、循環ガスの酸素濃度を大きくすることができる。
このような循環系粉砕プラントを管理するための指標として、ミル105の入口温度(以下、「ミル入口温度」と称する)と、ミル105の出口温度(以下、「ミル出口温度」と称する)とがある。
ミル入口温度は、熱ガス過熱防止のための管理指標として用いられる。ミル入口伸縮管の耐熱温度や石炭の発火温度の関係から、ミル入口温度には上限が設定される。
ミル出口温度は、石炭乾燥のための管理指標として用いられる。ミル出口温度が下がると石炭を十分に乾燥できなくなるため、ミル出口温度は一定にすることが好ましい。ミル出口温度を一定に保つため、ミル出口温度制御を行う。ミル出口温度制御とは、ミル出口温度を目標温度に追従させるためにバーナー負荷を操作するものを指し、ミル出口温度計で測定されたミル出口温度の偏差からフィードバック制御を行う。フィードバック制御としては、PID制御が一般的である。
以下、上述した循環系粉砕プラントにおけるミル入口温度の予測手法を説明する。
既述したように、プラントの運転条件に応じて粉砕機の入口温度を高精度に予測できれば、設備仕様を適正化することが可能となる。本実施形態では、プラント設計の事前評価に有効活用できるように、循環系粉砕プラントにおけるミル入口温度を、オフラインの熱・物質収支モデルに基づいて計算する。
図2は、ミル入口温度の予測方法を示すフローチャートである。
<熱・物質収支モデルに基づくガス流量及び熱量の計算>
まず、熱・物質収支モデルに基づくガス(エアを含む)流量及び熱量の計算を行う(ステップS1)。ミル入口温度の計算を行うには、プロセス全体として熱・物質収支を満足するガス流量、熱量が必要である。
そこで、以下に述べる[A]〜[D]のモデルを連立して、BFG流量Fbfg、燃焼エア流量Fcair、希釈エア流量Fpairを計算する。
[操業条件]
次のパラメータが与えられたとする。
ミル出口温度(製品温度) :TOUT=90[℃]
給炭量 :[ton/hr]
バグフィルター出口排ガス流量 :Fbug[Nm3/hr]
バグフィルター出口のO2濃度 :10[%]
石炭水分 :[%] ※粉砕前の石炭に含まれる水分
製品水分 :1.5[%] ※粉砕・乾燥後の微粉炭の水分
外気温 :T0[℃]
バンカー侵入エア流量 :Fbair[Nm3/hr]
シールエア流量 :Fsair[Nm3/hr]
これらのパラメータの中で、給炭量は、人為的に変更可能な代表的なパラメータである。
一方、バグフィルター出口排ガス流量Fbugは、例えば循環ファン113の吸引能力を上限とした適切な設定値が与えられる。また、ミル出口温度TOUT、バグフィルター出口のO2濃度は、プラントが爆発せず、かつ、プラント内を循環する水蒸気が液滴化して配管に付着・腐食しない範囲での最適な設定値が与えられる。
製品水分は、例えばバグフィルター107で捕集された微粉炭のサンプリングを行って、平均値を設定すればよい。一例としては経験的に1.5[%]が与えられる。
外気温T0は、例えば夏場及び冬場それぞれの温度を設定してもよいし、その中間の温度を設定してもよい。
オフライン計算では、バンカー侵入エア流量Fbair、シールエア流量Fsair、石炭水分の3つが不明量であるが、既知として値を与えた上で計算を行うことにする。例えば石炭水分は、原料サンプリングを行って、その平均値を設定すればよい。
[計算前提]
全ての物質は初期温度が外気温T0であり、バーナーが排出する熱風によって全てのガス(水蒸気含む)、微粉炭の温度がミル出口温度TOUTになる。
また、系内に注入、或いは発生するガスは、全て放散塔114から放散され、系内の圧力は一定の微負圧に保たれている。
[計算方法]
熱・物質収支モデルに基づくガス流量の計算方法を示す。
[A]放散ガス流量モデル
放散塔114からの放散ガス流量Fexhは、式(1)で表わされる。Fcvは石炭由来の蒸気流量である。
exh=Fbfg+Fcair+Fcv+Fsair+Fbair+Fpair・・・(1)
[B]O2濃度モデル
バグフィルター出口のO2濃度は、上記のガス成分によって、式(2)で表わされる。O2濃度目標値は例えば10[%]であるとする。
2濃度=(Fpair+Fbair+Fsair+Fcair×0.1)×21/Fexh・・・(2)
[C]石炭水分モデル
石炭由来の蒸気流量Fcvと、水蒸気として存在する水の単位時間あたりの重量WVを紐付けることができる。製品水分は例えば1.5[%]であるとする。
cv=WV×18/22.4
WV=給炭量×1000×{石炭水分/(100−石炭水分)−製品水分/(100−製品水分)}・・・(3)
[D]熱収支モデル
[A]〜[C]のモデルに加えて、以下の熱収支式を連立して、BFG流量Fbfg、燃焼エア流量Fcair、希釈エア流量Fpairを計算することができる。
図3に、熱収支モデルのイメージを示す。図3に示すように、バーナーにより発生する熱量ΔQHGG、循環ファン113による仕事量(圧縮熱)ΔQFANについて、式(4)が成立する。
ΔQHGG+ΔQFAN
=ΔQ潜熱+ΔQ顕熱+ΔQ石炭+ΣΔQGAS(i)・・・(4)
ここで、各種ガスをガス注入温度(=外気温)から製品温度(=ミル出口温度)まで加熱するのに必要な熱量ΔQGAS(i)は、式(5)で表わされる。iはガスの種類を表わす。
ΔQGAS(i)=ガス比熱(i)[kcal/Nm3/℃]×ガス流量(i)×(製品温度−ガス注入温度(i))・・・(5)
具体的には、i=1〜5を考える。i=1はBFGガス、i=2はバーナー燃焼エア、i=3はシールエア、i=4はバンカー侵入エア、i=5は希釈エアであるとすれば、以下のように解釈することができる。
ガス比熱(1)はBFGの比熱、ガス比熱(2)〜(5)は空気の比熱とする。ガス流量は以下のようになる。
ガス流量(1)=Fbfg
ガス流量(2)=Fcair
ガス流量(3)=Fsair
ガス流量(4)=Fbair
ガス流量(5)=Fpair
なお、ガス注入温度(1)〜(5)は外気温T0とする。
ここで、
cair=Fbfg×理論空気量×過剰空気量
である。例えば、BFGガスの理論空気量=0.638、過剰空気量=1.1とする。
また、石炭を原料温度(=外気温)から製品温度(=ミル出口温度)まで加熱するのに必要な熱量ΔQ石炭は、式(6)で表わされる。
ΔQ石炭=石炭比熱[kcal/kg/℃]×給炭量×1000×(製品温度−原料温度)・・・(6)
なお、原料温度は外気温T0とする。
また、石炭水分を原料温度(=外気温)から製品温度(=ミル出口温度)まで加熱するのに必要な熱量ΔQ顕熱は、式(7)で表わされる。
ΔQ顕熱=水比熱[kcal/kg/℃]×WM×(製品温度−原料温度)・・・(7)
ここで、石炭持ち込みの水の単位時間あたりの重量WMは、式(8)で表わされる。
WM=給炭量×1000×石炭水分/(100−石炭水分)・・・(8)
なお、原料温度は外気温T0とする。
また、石炭水分の蒸発に必要な熱量ΔQ潜熱は、式(9)で表わされる。水蒸気として存在する水の単位時間あたりの重量WVは、式(3)のとおりである。
ΔQ潜熱=水潜熱[kcal/kg]×WV・・・(9)
また、バーナーにより発生する熱量ΔQHGGは、式(10)で表わされる。BFGカロリー[kcal/Nm3]は一定であるとする。
ΔQHGG=BFGカロリー×Fbfg・・・(10)
また、循環ファン113による仕事量ΔQFANは、ハード仕様により決定される既知の値として、式(11)で表わされる。
ΔQFAN=一定・・・(11)
熱・物質収支計算は、既知の物理量(各種の比熱や水潜熱、循環ファン113による仕事量、BFGカロリー)を入力し、[A]〜[D]のモデルで記述された数式を満足するように反復計算を行うことで達成される。
具体的には、式(4)で記述される熱・物質収支計算と式(1)、式(2)で記述されるO2濃度に関する制約条件を同時に満たすFbfg、Fcair、Fpairを計算することになる。反復計算とは、以下の偏差の絶対値が一定値(例えば、ΔO2濃度が0.01%)以下になるまで、繰り返すことを指す。
ΔQ=ΔQHGG+ΔQFAN−{ΔQ潜熱+ΔQ顕熱+ΔQ石炭+ΣΔQGAS(i)}
ΔO2濃度=O2濃度目標値
−(Fpair+Fbair+Fsair+Fcair×0.1)×21/Fexh
まず、式(4)で希釈エア流量をゼロと仮定してBFG流量・燃焼エア流量を計算する。次に、式(1)に基づいて放散ガス流量Fexhを計算して、式(2)からO2濃度に関する制約条件を満足する希釈エアの流量Fpairを導出する。再び、導出した希釈エアの流量を式(4)に与えて、BFG流量・燃焼エア流量を計算する。これらの反復計算をΔO2濃度の絶対値が一定値(例えば、0.01%)以下になるまで繰り返す。
結果として、熱・物質収支を満足するBFG流量Fbfg、燃焼エア流量Fcair、希釈エア流量Fpairが計算される。
<ミル入口温度の計算>
次に、ミル入口温度の計算を行う(ステップS2)。
[A]〜[D]のモデルで計算された熱・物質収支計算の結果に基づいて、式(12)により、ミル入口温度TINを計算する。
ここで、ガスの比熱Cは、既知として扱う。ミル入口温度TIN以外のパラメータは、設定値、或いは[A]〜[D]のモデルで計算された値であるので、式(12)から直ちに「ミル入口温度」を計算することができる。
C・(Fbug−Fexh)・(TIN―TOUT)=
ΔQHGG+ΔQFAN+C・Fexh・(TOUT−T0)・・・(12)
式(12)は、図4に示すように、温度分布、流量分布を無視して集中定数化し、循環系粉砕プラントの構造を単純化した上で、その熱収支に基づいて定式化したものである。すなわち、系全体の温度はミル出口温度TOUTに代表され、ミル入口流量はFbug−Fexhで定義される。ミル入口温度TINは、バーナーにより発生する熱量ΔQHGGと、循環ファン113による仕事量ΔQFANと、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものでなければならない。そして、大気中への排ガスの放散による排熱量は、放散ガスを外気温からミル出口温度まで加熱するのに必要な熱量C・Fexh・(TOUT−T0)として表わす。
ここで、比較例として、1パス式の粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法に倣って、ミル入口温度TINを計算することを考える。
1パス式に倣った計算式は、式(13)で表わされる。Fcirは循環ガス流量、FINはミル入口流量である。
C・FIN・TIN=ΔQHGG+ΔQFAN+C・Fcir・TOUT+C・(Fpair+Fbfg+Fcair)・・・(13)
ただし、
IN=Fbug−Fexh+Fpair+Fbfg+Fcair
cir=Fbug−Fexh
式(13)は、以下のように定式化される。
まず、1パス式の場合、次のようにミル入口温度を計算する。図5(a)には、1パス式の粉砕プラントの構造を単純化したモデルを示す。ミル出口温度TOUTに見合ったΔQHGGを計算してから、式(14)のように、単純な熱収支でミル入口温度TINを計算する。
ΔQHGG+ΔQFAN=C・FIN・(TIN−T0)・・・(14)
IN=冷風流量+燃焼排ガス流量
この考え方を循環系粉砕プラントに適用すると、図5(b)に示すようにモデル化される。FHGGは燃焼排ガス流量であり、BFG流量Fbfgと燃焼エア流量Fcairの和で与えられる。
IN=Fcir+FHGG+Fpair・・・(15)
ΔQHGG+C・(Fpair+FHGG)・T0+C・Fcir・Tcir
=C.FIN・TIN・・・(16)
C・Fcir・(Tcir−TOUT)=ΔQFAN・・・(17)
これら式を整理すると、式(13)が得られる。
図6、図7には、実運転データに基づいて、式(12)に基づくミル入口温度の予測手法(発明法と呼ぶ)と、式(13)に基づく1パス式に倣ったミル入口温度の予測手法(従来法と呼ぶ)とを比較した結果を示す。
図6(a)には、実運転データにおけるBFG流量、希釈エア流量、給炭量設定変化率制限を示す。
図6(b)に、実際のミル入口温度と、発明法により計算したミル入口温度と、従来法により計算したミル入口温度とを示す。また、図7に、実際のミル入口温度に対する、発明法により計算したミル入口温度と、従来法により計算したミル入口温度との乖離度を示す。
図6(b)、図7に示すように、従来法により計算したミル入口温度は実際の温度に比較して遥かに低い温度を計算してしまい、経験的には、粉砕量が大きくなるほどに実際の温度と乖離し、粉砕量によっては100℃以上の誤差が生じてしまう。それに対して、発明法により計算したミル入口温度は実際の温度の略一致しており、実運転データを良く再現できていることがわかる。
図10(a)には、上述したミル入口温度の予測方法を実現するためのミル入口温度の予測装置の機能構成を示す。
入力部1001は、ミル入口温度の予測に必要な条件、具体的には、ミル出口温度TOUT、給炭量、バグフィルター出口排ガス流量Fbug、バグフィルター出口のO2濃度、石炭水分、製品水分、外気温T0、バンカー侵入エア流量Fbair、シールエア流量Fsairを入力する。
また、入力部1001は、各種の比熱や水潜熱、循環ファン113による仕事量、BFGカロリーを入力する。
これらの情報は、不図示の入力装置を介してオペレータから入力されるようにしてもよいし、ネットワークを介して外部機器から入力されるようにしてもよい。
熱・物質収支計算部1002は、入力部1001で入力された情報に基づいて、ステップS1で述べた熱・物質収支モデルに基づくガス流量及び熱量の計算を行う。
ミル入口温度計算部1003は、熱・物質収支計算部1002での計算結果を用いて、ステップS2で述べたミル入口温度の計算を行う。
出力部1004は、ミル入口温度計算部1003で計算したミル入口温度を出力する。例えばミル入口温度を、不図示のディスプレイを表示したり、外部機器に送出したりする。
以上述べたように、本発明を適用したミル入口温度の予測手法は、従来の1パス式に倣ったものとは全く異なり、循環系粉砕プラントの特徴を反映した独自のものであり、運転データを良く表現することができる。これにより、循環ファン113の能力やミル入口伸縮管の耐熱温度等の設備仕様の適正化を行うための事前評価として活用が可能であり、プラント設計の高精度化に貢献するものである。特に粉砕量を大型化する場合においては循環ファン113の容量をどの程度にすればよいかは、設備費に関わる重要な問題であり、正しく機器選定を行えるようになる。そして、例えば天候や石炭品種により石炭水分、外気温が変化する場合においても、ミル入口温度を高精度に予測することができ、結果として、ミル入口温度が上限(例えば400℃)を超えないようなプラント運転条件を適切に設計することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、プラント設計の事前評価に有効活用できるように、オフライン計算を行う例を説明した。
第2の実施形態では、循環系粉砕プラントの操業中にプラント制御を行うのに有効活用できるように、オンライン計算を行う例を説明する。具体的には、循環系粉砕プラントにおけるミル入口温度を、オンラインの熱・物質収支モデルに基づいて計算し、ミル入口温度が上限(例えば400℃)を超えない範囲で最大となる給炭量(最大給炭量)を求める。
図8は、給炭量の演算方法を示すフローチャートである。
<石炭水分の推定>
まず、石炭水分を推定する(ステップS11)。ミル入口温度の計算を高精度に行うには、実操業における石炭水分を推定することが求められる。
ここで、図9に示すように、循環系粉砕プラントにおいては、各種ガスの流量と、バグフィルター出口のO2濃度と、ミル入口温度及びミル出口温度とが計測され、石炭水分と、バンカー侵入エア流量Fbairと、シールエア流量Fsairとが未知量となる。
[操業条件]
次のパラメータが与えられたとする。
ミル出口温度(製品温度) :実績値TOUT
給炭量 :設定値[ton/hr]
バグフィルター出口排ガス流量 :実績値Fbug[Nm3/hr]
バグフィルター出口のO2濃度 :実績値[%]
製品水分 :1.5[%] ※粉砕・乾燥後の微粉炭の水分
外気温 :実績値T0[℃]
放散ガス :実績値Fexh[Nm3/hr]
BFG流量 :実績値Fbfg[Nm3/hr]
燃焼エア流量 :実績値Fcair[Nm3/hr]
希釈エア流量 :実績値Fpair[Nm3/hr]
[計算方法]
放散塔114からの放散ガス流量Fexhは、式(1)で表わされる。
また、バグフィルター出口のO2濃度[%]は、式(2)で表わされる。
式(1)、式(2)においては、石炭由来の蒸気流量Fcvと、バンカー侵入エア流量Fbairと、シールエア流量Fsairとが未知量となる。式(1)、式(2)の連立を解くと、石炭由来の蒸気流量Fcvと、バンカー侵入エア流量Fbairとシールエア流量Fsairの和とを計算することができる。
そして、石炭由来の蒸気流量Fcvが得られると、式(3)から石炭水分を計算することができる。結果として、石炭水分と、バンカー侵入エア流量Fbairとシールエア流量Fsairの和とを計算することができる。
<熱・物質収支モデルに基づくガス流量及び熱量の計算、並びにミル入口温度の計算>
次に、ステップS11で得られた石炭水分と、バンカー侵入エア流量Fbairとシールエア流量Fsairの和とを用いて、熱・物質収支モデルに基づくガス流量及び熱量の計算を行い(ステップS12)、ミル入口温度の計算を行う(ステップS13)。
ステップS12、S13は、第1の実施形態で説明したステップS1、S2と同様であり、ここではその詳細な説明は省略するが、ここでは、給炭量を複数回にわたって変更してミル入口温度の計算を繰り返し、ミル入口温度と給炭量との複数の組み合わせを得る。
パラメータをまとめると、以下のようになる。
・複数回変更するパラメータ
給炭量 :[ton/hr]
・固定パラメータ(設定値)
ミル出口温度(製品温度) :TOUT=90[℃]
バグフィルター出口排ガス流量 :Fbug[Nm3/hr]
バグフィルター出口のO2濃度 :10[%]
製品水分 :1.5[%]
・固定パラメータ(実績値)
外気温 :実績値T0[℃]
・固定パラメータ(推定値)
石炭水分[%]
バンカー侵入エア流量Fbairとシールエア流量Fsairの和[Nm3/hr]
<給炭量の計算>
次に、ミル入口温度と給炭量との複数の組み合わせに基づいて、ミル入口温度が上限(例えば400℃)を超えない範囲で最大となる給炭量(最大給炭量)を求める(ステップS14)。
[計算方法]
ステップS12、S13で得られたデータ集合を作成して、Y:ミル入口温度とX:給炭量との近似関数を得て、その近似関数からミル入口温度が400℃となる給炭量を計算する。
具体的には、まず給炭量の設定値「給炭量_k」を与えて、ステップS12、S13でミル入口温度を予測する。このミル入口温度の予測値を「TIN_k」と呼ぶ。なお、ステップS12、S13を簡単に表わすと、式(18)のようになる。式(18)において、φは給炭量を変数としてミル入口温度を計算するための関数を表わす。
IN_k=φ(給炭量_k)・・・(18)
例えば以下の4つの異なる給炭量でのミル入口温度の予測値を計算する。
IN_1=φ(給炭量_1)
IN_2=φ(給炭量_2)
IN_3=φ(給炭量_3)
IN_4=φ(給炭量_4)
給炭量_1=最小給炭量(給炭機104のベルト速度の最小値で規定される量)、給炭量_4=最大給炭量(給炭機104のベルト速度の最大値で規定される量)として、
給炭量_2=(給炭量_4−給炭量_1)×1/3+給炭量_1
給炭量_3=(給炭量_4−給炭量_1)×2/3+給炭量_1
とする。
次に、データ集合(X,Y)=(給炭量_1,TIN_1)、((給炭量_2,TIN_2)、(給炭量_3,TIN_3)、((給炭量_4,TIN_4)に対して、式(19)の2次関数を仮定して、最小二乗法により係数(A,B,C)を計算する。
Y=A・X2+B・X+C・・・(19)
そして、得られた係数(A,B,C)を持つ(式19)に基づいて、
400=A・X2+B・X+C
を満足する給炭量X(>0)を計算する。
図10(b)には、上述した給炭量の演算方法を実現するための給炭量演算装置の機能構成を示す。
入力部1101は、石炭水分の推定に必要な条件、具体的には、ミル出口温度の実績値TOUT、給炭量、バグフィルター出口排ガス流量の実績値Fbug、バグフィルター出口のO2濃度の実績値、製品水分、外気温の実績値T0、放散ガスの実績値Fexh、BFG流量の実績値Fbfg、燃焼エア流量の実績値Fcair、希釈エア流量の実績値Fpairを入力する。
また、入力部1101は、ミル入口温度の予測に必要な条件、具体的には、複数回変更するパラメータである給炭量、固定パラメータ(設定値)である、製品温度(ミル出口温度)TOUT、バグフィルター出口排ガス流量Fbug、バグフィルター出口のO2濃度、製品水分を入力する。
また、入力部1101は、各種の比熱や水潜熱、循環ファン113による仕事量、BFGカロリーを入力する。
これらの情報は、不図示の入力装置を介してオペレータから入力されるようにしてもよいし、ネットワークを介して外部機器から入力されるようにしてもよい。
石炭水分計算部1102は、入力部1101で入力された条件に基づいて、ステップS11で述べた石炭水分の推定を行う。
熱・物質収支計算部1103は、石炭水分計算部1102で推定された石炭水分、及び入力部1101で入力された条件に基づいて、ステップS12で述べた熱・物質収支モデルに基づくガス流量及び熱量の計算を行う。
ミル入口温度計算部1104は、熱・物質収支計算部1103での計算結果を用いて、ステップS13で述べたミル入口温度の計算を行う。
最大給炭量計算部1105は、熱・物質収支計算部1103及びミル入口温度計算部1104での繰り返し計算により得られたミル入口温度と給炭量との複数の組み合わせに基づいて、ミル入口温度が上限を超えない範囲で最大となる給炭量を求める。
出力部1106は、最大給炭量計算部1105で求めた最大給炭量を出力する。例えば最大給炭量を、不図示のディスプレイを表示する。また、最大給炭量を、給炭量を制御する制御装置に送出し、この最大給炭量に基づいて制御装置が給炭量制御を実行するように構成してもよい。
以上述べたように、操業での実測データを入力して、石炭水分の推定を行うことができる。そして、石炭水分の推定値に基づいて、ミル入口温度値が上限値を超えない範囲で最大となる給炭量を求める。これにより、例えば天候や石炭品種により石炭水分、外気温が変化する場合においても、常に最大のスループットを実現することができ、粉砕プラントの生産性を向上することができる。
なお、ミル入口温度の予測装置、及び給炭量演算装置は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータ装置により実現可能である。CPUが、RAMを主メモリ、ワークエリアとして用いて、ROMや外部メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、図10(a)、(b)に示す各部として機能する。
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
101:熱ガス発生装置、105:ミル、107:バグフィルター、113:循環ファン、114:放散塔、1001:入力部、1002:熱・物質収支計算部、103:ミル入口温度計算部、1004:出力部、1101:入力部、1102:石炭水分計算部、1103:熱・物質収支計算部、1104:ミル入口温度計算部、1105:最大給炭量計算部、1106:出力部

Claims (10)

  1. 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測する方法であって、
    前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算することを特徴とする循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
  2. 大気中への排ガスの放散による排熱量は、放散ガスを外気温から前記粉砕機の出口温度まで加熱するのに必要な熱量として表わすことを特徴とする請求項1に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
  3. 前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGGは、燃料ガスカロリーが一定であるとして、式(101)によりで与えられ、
    ΔQHGG=燃料ガスカロリー×燃料ガス流量・・・(101)
    前記循環ファンによる仕事量は、既知の値が与えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
  4. 前記粉砕機の入口温度TINを、ガスの比熱C、前記捕集機の出口排ガス流量Fbug、放散ガス流量Fexh、前記粉砕機の出口温度TOUT、前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGG、前記循環ファンによる仕事量ΔQFAN、外気温T0を用いて、式(102)により、
    C・(Fbug−Fexh)・(TIN―TOUT)=
    ΔQHGG+ΔQFAN+C・Fexh・(TOUT−T0)・・・(102)
    計算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
  5. 前記ガスの比熱C、前記循環ファンによる仕事量ΔQFANは、既知の値が与えられ、
    前記放散ガス流量Fexh、前記バーナーにより発生する熱量ΔQHGGは、運転条件として設定される、前記捕集機の出口排ガス流量Fbug、前記粉砕機の出口温度TOUT、及び前記外気温T0を含む条件を用いて、熱及び物質収支に基づいて計算されることを特徴とする請求項4に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法。
  6. 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測する装置であって、
    前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算する手段を備えたことを特徴とする循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測装置。
  7. 熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を前記熱ガス発生装置で発生する排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機から排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機とを備え、循環ファンにより、前記捕集機からの排ガスを、その一部を大気中に放散するとともに、前記熱ガス発生装置に循環させる循環系粉砕プラントにおいて、前記粉砕機の入口温度を予測するためのプログラムであって、
    前記粉砕機の入口温度は、前記熱ガス発生装置が有するバーナーにより発生する熱量と、前記循環ファンによる仕事量と、大気中への排ガスの放散による排熱量とを補うものとする熱収支に基づいて、前記粉砕機の入口温度を計算する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得るステップと、
    前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求めるステップとを有することを特徴とする循環系粉砕プラントにおける原料供給量の演算方法。
  9. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得る手段と、
    前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求める手段とを備えたことを特徴とする循環系粉砕プラントにおける原料供給量の演算装置。
  10. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の循環系粉砕プラントにおける粉砕機の入口温度の予測方法により、前記粉砕機の入口温度を原料供給量を変更して繰り返し計算し、前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせを得る処理と、
    前記粉砕機の入口温度と原料供給量との複数の組み合わせに基づいて、前記粉砕機の入口温度が上限を超えない範囲で最大となる原料供給量を求める処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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