JP6776881B2 - 粉砕プラントにおける処理装置、方法、およびプログラム - Google Patents

粉砕プラントにおける処理装置、方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、粉砕プラントにおける処理装置、方法、およびプログラムに関し、特に、粉砕プラントに用いて好適なものである。
微粉炭やセメント等を製造するための粉砕プラントとの一例として、高炉への微粉炭の吹込み(PCI;Pulverized Coal Injection)を行うために石炭を粉砕するPCIプラントがある。
PCIプラントでは、まず、燃料ガス(燃焼ガス)と燃焼エアとを熱ガス発生装置に供給し、熱ガス発生装置において、熱風を排ガスとして発生させる。排ガスは、原料の粉砕を行う粉砕機の内部に供給される。粉砕機で粉砕された原料(粉体)は、排ガスと共にバグフィルター(濾布(繊布や不織布))に供給され、バグフィルターで捕集される。
負圧式・排ガス循環系のPCIプラントでは、熱風(排ガス)は、循環ファンで昇圧されて循環ガスとして再び熱ガス発生装置に供給される。一方、1パス方式のPCIプラントでは、熱風(排ガス)は、循環されずにそのまま煙突から大気中に放散される。
何れのPCIプラントにおいても、粉砕機の入口側の配管内のガスの温度であるミル入口温度と、粉砕機の出側の配管内の微粉炭の温度であるミル出口温度を管理して操業が行われる。ミル入口温度が高くなり過ぎると、配管を繋ぐ伸縮管が燃焼したり、粉砕機に供給された原料(石炭)が発火したりする虞がある。そこで、ミル入口温度には上限値が設定される。
一方、原料(石炭)を粉砕してできる微粉炭内に含まれる水分を一定に保つために、ミル出口温度は、一定に保たれることが望ましい。そこで、特許文献1に記載されているように、ミル出口温度を一定に保つためのミル出口温度制御が行われる。ミル出口温度制御とは、ミル出口温度を目標温度に追従させるために熱ガス発生装置を構成するバーナーの負荷を操作する制御である。尚、特許文献1では、ヒートアップが終了して給炭を開始するとミル出口温度が目標値に低下するまで、操業条件に応じた一定の流量のバーナー負荷を熱ガス発生装置に与え、ミル出口温度が目標値に低下した後にミル出口温度制御を行う。
以上のようにミル入口温度には上限値があり、且つ、ミル出口温度が一定になるように熱ガス発生装置が操作されるので、ミル入口温度が高くなる場合には、給炭量を下げることになる。給炭量を下げると微粉炭の生産量が低下する。そのため、ミル入口温度が、その上限値を上回らない範囲で給炭量を自動または手動で制御する。ミル入口温度が一定になるように給炭量を制御しても、給炭量が正確に設定値の通りにならないこと等に起因して、PCIプラントには常に外乱が入る。その結果、ミル入口温度にはばらつきが生じる。ミル入口温度を制御する目的は、ミル入口温度が上限値を上回らないようにすることであるので、一般に、ミル入口温度の目標値をこのようなばらつきを見越した値に設定する手法が採られる。このとき、ミル入口温度のばらつきを小さく見積もりすぎればミル入口温度の目標値は必要以上に高くなり、ミル入口温度が上限値を上回る危険性が高まる。逆に、ばらつきを大きく見積もりすぎればミル入口温度の目標値は必要以上に低くなり、微粉炭の生産量を十分に上げることができない。
そこで、ミル入口温度のばらつきを予測し、このばらつきに応じてミル入口温度の目標値を設定する方法が考えられる。プラントにおける目標値を設定する方法として特許文献2、3に記載の技術がある。
特許文献2には、プラントの制御系を模擬する模擬制御系(モデル)を設け、この模擬制御系に参考軌道に基づき参考目標値を供給して予測応答を求め、求めた予測応答を評価した結果に基づいて参考軌道を修正して最適目標軌道を求め、求めた最適目標軌道に基づき最適目標値を決定することが開示されている。
特許文献3には、プラントの運転状態ごとに計測信号のばらつき量を求め、求めた計測信号のばらつき量とプラントの運転上の制約値とに基づいてプラントの運転効率が大きくなる制御目標値を求めることが開示されている。
特開2014−114994号公報 特開2002−207503号公報 特開2013−206363号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、プラントの制御系を模擬する模擬制御系(モデル)を用いる。前述したように、ミル入口温度のばらつきには外乱に起因するものがある。したがって、特許文献2に記載の技術を用いても、外乱をモデルに表すことが容易ではないため、ミル入口温度のばらつきを正確に予測することが容易ではない。
また、特許文献3に記載の技術では、運転状態ごとの計測信号は定常値を基準として変動することを前提とする。ミル入口温度の定常値は給炭量、原料水分、外気温と強い相関があるが、これらは時々刻々と変化する。したがって、特許文献2に記載の技術を用いても、定常値を正確に定めることが容易ではないため、ミル入口温度のばらつきを正確に予測することが容易ではない。
以上のように従来の技術では、ミル入口温度のばらつきを正確に予測することが容易ではないため、ミル入口温度が上限値を可及的に上回らないようにすることと、原料の供給量を可及的に多くすることを両立させることが容易ではなかった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ミル入口温度が上限値を可及的に上回らないようにすることと、原料の供給量を可及的に多くすることを両立させることを目的とする。
本発明の粉砕プラントにおける処理装置は、熱風を排ガスとして発生する熱風発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機に原料を供給する原料供給装置と、前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、を有し、前記粉砕機の出口側の所定の位置における温度であるミル出口温度の測定値と目標値との偏差に応じて前記熱風発生装置を操作する制御が行われる粉砕プラントに対する処理を行う、粉砕プラントにおける処理装置であって、前記ミル出口温度のばらつき、または、前記ミル出口温度の測定値と目標値との偏差のばらつきをミル出口温度ばらつきとして導出するミル出口温度ばらつき導出手段と、前記粉砕機の入口側の所定の位置における温度であるミル入口温度の上限値と、前記ミル出口温度ばらつき導出手段により導出された前記ミル出口温度ばらつきを前記ミル入口温度のばらつきに換算した値と、を用いて、前記ミル入口温度の設定値を導出するミル入口温度設定値導出手段と、を有し、前記ミル入口温度設定値導出手段により導出された前記ミル入口温度の設定値は、前記ミル入口温度の測定値が前記ミル入口温度の設定値を上回らないように、前記原料供給装置から前記粉砕機に供給される前記原料の単位時間当たりの供給量を導出するために用いられることを特徴とする。
本発明の粉砕プラントにおける処理方法は、熱風を排ガスとして発生する熱風発生装置と、原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、前記粉砕機に原料を供給する原料供給装置と、前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、を有し、前記粉砕機の出口側の所定の位置における温度であるミル出口温度の測定値と目標値との偏差に応じて前記熱風発生装置を操作する制御が行われる粉砕プラントに対する処理を行う、粉砕プラントにおける処理方法であって、前記ミル出口温度のばらつき、または、前記ミル出口温度の測定値と目標値との偏差のばらつきをミル出口温度ばらつきとして導出するミル出口温度ばらつき導出工程と、前記粉砕機の入口側の所定の位置における温度であるミル入口温度の上限値と、前記ミル出口温度ばらつき導出工程により導出された前記ミル出口温度ばらつきを前記ミル入口温度のばらつきに換算した値と、を用いて、前記ミル入口温度の設定値を導出するミル入口温度設定値導出工程と、を有し、前記ミル入口温度設定値導出工程により導出された前記ミル入口温度の設定値は、前記ミル入口温度の測定値が前記ミル入口温度の設定値を上回らないように、前記原料供給装置から前記粉砕機に供給される前記原料の単位時間当たりの供給量を導出するために用いられることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記粉砕プラントにおける処理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、ミル入口温度が上限値を可及的に上回らないようにすることと、原料の供給量を可及的に多くすることを両立させることができる。
負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成の一例を示す図である。 粉砕制御装置の機能構成の一例を示す図である。 粉砕制御装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 ミル入口温度の測定値と時間との関係の一例を示す図である。 ミル出口温度の測定値と時間との関係の一例を示す図である。 ミル入口温度の標準偏差と時間との関係の一例を示す図である。 ミル入口温度の設定値と時間との関係の一例を示す図である。 実施例1における給炭量と時間との関係の一例を示す図である。 発明例におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。 比較例1におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。 比較例2におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。 ミル入口温度突破頻度を示す図である。 実施例2における給炭量と時間との関係の一例を示す図である。 比較例3におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。 平均給炭量を示す図である。 1パス方式のPCIプラントの構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、粉砕プラントが、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントである場合を例に挙げて説明する。尚、後述するように、本実施形態の適用範囲は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに限定されない。
(負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成)
図1は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成の一例を示す図である。図1において、各構成要素を繋ぐ実線は配管を示し、破線は信号の伝達経路を示す。また、矢印線は、配管内のガスや石炭の進行方向を示す。尚、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成は、例えば、特許文献1に記載の技術等の公知の技術で実現できるので、ここでは、各構成について簡単に説明し、詳細な説明を省略する。
図1において、熱ガス発生装置(HGG)101は、バーナーを有し、燃料ガスおよび燃焼エア(空気)をバーナーへの入力として、バーナーの空燃比を制御し、排ガス(熱風)を発生させる。本実施形態では、燃料ガスとしてBFG(Blast Furnace Gas)を利用する。尚、燃焼エアは、燃焼エアファン102により熱ガス発生装置101に送り込まれる。
バンカー103は、原料である石炭を貯蔵する。
給炭機104は、チェーンコンベアを有し、バンカー103内に貯蔵されている石炭をチェーンコンベアにより切り出してミル105に投入する。
ミル105は、給炭機104から投入された石炭を粉砕する粉砕機である。ミル105の入側の位置における圧力が負圧に保たれるようにすることにより、ミル105の内部の圧力は負圧に保たれる。ミル105は、例えば、ロールミル105aと粉砕テーブル105bとを有する。ミル105の上部から投入された石炭をロールミル105aと粉砕テーブル105bとの間に供給する。回転している粉砕テーブル105bに対してロールミル105aを押し付けながら回転させることにより、石炭は押し潰されて粉砕される。粉砕された石炭は、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れにのって、ミル105の上部に供給され、分級機で分級された後、外部に放出される。
この際、シールエアファン106からミル105の内部(粉砕テーブル105bの軸受部)の隙間にシールエアを供給することにより、その隙間から外部に放出されようとする微粉炭を、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れに押し戻す。ミル105の内部の圧力がシールエアの圧力未満になるように、シールエアの流速が定められる。このように、シールエアは、粉砕テーブル105bの軸受部に微粉炭が進入し、その結果として、粉砕テーブル105bの軸受部の潤滑不良が起こることと、粉砕テーブル105bの軸受部から外部に放出されることとを防止するためのものである。
ミル入口温度計120は、ミル105の入口側(熱ガス発生装置101とミル105との間)の所定の位置における(配管内の(ガスの))温度であるミル入口温度を測定する。
バグフィルター107は、ミル105から放出された微粉炭を、濾布を用いて捕集する濾過式の捕集機である。ミル105と同様に、バグフィルター107の内部の圧力も負圧に保たれている。微粉炭以外の異物がバグフィルター107で捕集されることがある。異物除去装置108は、この異物を除去するためのものである。このように異物除去装置108で異物が除去された後、リザーバタンク109に微粉炭が貯蔵される。リザーバタンク109に貯蔵された微粉炭は、高炉の羽口から高炉の内部に吹き込まれる(微粉炭吹き込みが行われる)。
ミル出口温度計110は、ミル105の出口側(ミル105とバグフィルター107との間)の所定の位置における(配管内の(微粉炭の))温度であるミル出口温度を測定する。
ベンチュリ管111は、バグフィルター107を通過した排ガスの流量を測定する。
ダンパー112は、バグフィルター107を通過した排ガスの流量を調整する。
循環ファン113は、ダンパー112を通過した排ガスを熱ガス発生装置101に循環させることができるように、排ガスを昇圧する。
循環ファン113により昇圧された排ガスの一部は、煙突114を介して大気中に放出される。放散系圧力調整弁115は、このようにして大気中に放出される排ガスの圧力を調整するためのものである。
循環系圧力調整弁116は、循環ファン113により昇圧された排ガスのうち、煙突114を介して大気中に放出されずに熱ガス発生装置101に循環させる排ガスの圧力を調整するためのものである。このようにして、熱ガス発生装置101で発生した排ガスは、循環ガスとして再び熱ガス発生装置101に供給され、熱ガス発生装置101、ミル105、バグフィルター107、ベンチュリ管111、ダンパー112、循環ファン113、循環系圧力調整弁116、熱ガス発生装置101の経路を循環する。
本実施形態では、大気中の空気(エア)を、希釈エアとして、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに供給する。オリフィス流量計117は、この希釈エアの流量を測定する。エア流量調整弁118は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに供給される希釈エアの流量を調整するためのものである。希釈エアファン119は、エア流量調整弁118で流量が調整された希釈エアを昇圧し、希釈エアを熱ガス発生装置101の入側の配管に押し込む。これにより、循環ガスの酸素濃度を調整することができる。
粉砕制御装置200は、PID制御を行うことにより、ミル出口温度計110で測定されたミル出口温度の目標値に対する偏差が0(ゼロ)になるようなバーナー負荷を導出して熱ガス発生装置101に出力する。また、粉砕制御装置200は、ミル入口温度計120で測定されたミル入口温度が可及的に上限値を上回らない給炭量を導出して給炭機104に出力する。
(粉砕制御装置200の機能構成)
図2は、粉砕制御装置200の機能構成の一例を示す図である。粉砕制御装置200は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置(PC)や、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<ミル出口温度目標値記憶部201>
ミル出口温度目標値記憶部201は、ミル出口温度の目標値[℃]を記憶する。ミル出口温度の目標値は、微粉炭の乾燥度等に応じて、オペレータにより設定される。
<ミル出口温度測定値取得部202>
ミル出口温度測定値取得部202は、ミル出口温度計110で測定されたミル出口温度[℃]を、例えば一定周期で取得する。一定周期としては、例えば、1[分]を採用することができる。
<ミル出口温度偏差導出部203>
ミル出口温度偏差導出部203は、ミル出口温度目標値記憶部201に記憶されたミル出口温度の目標値から、ミル出口温度測定値取得部202で取得されたミル出口温度の測定値を減算して、ミル出口温度の測定値の目標値に対する偏差[℃]を導出する。尚、以下の説明では、ミル出口温度の測定値の目標値に対する偏差を必要に応じてミル出口温度偏差と称する。
<PID制御部204>
PID制御部204は、ミル出口温度偏差導出部203で導出されたミル出口温度偏差を入力として、比例動作、積分動作、および微分動作を行い、操作量としてバーナー負荷を導出して熱ガス発生装置101に出力することを繰り返して、ミル出口温度の測定値を目標値に近づける制御(すなわちPID制御)を行う。
<ミル出口温度記憶部205>
ミル出口温度記憶部205は、ミル出口温度測定値取得部202で取得されたミル出口温度の測定値であって、一定時間分のミル出口温度の測定値を記憶する。すなわち、ミル出口温度記憶部205は、ミル出口温度測定値取得部202により新たなミル出口温度の測定値が取得されると、ミル出口温度記憶部205に記憶されているミル出口温度の測定値のうち最古に記憶したミル出口温度の測定値を破棄し、当該新たなミル出口温度の測定値を記憶する。一定時間としては、例えば1000[分]を採用することができる。
<ミル出口温度ばらつき導出部206>
ミル出口温度ばらつき導出部206は、ミル出口温度記憶部205に記憶されている一定時間分のミル出口温度の測定値を用いて、ミル出口温度のばらつき[℃]を導出する。本実施形態では、ばらつきとして標準偏差を用いる場合を例に挙げて説明する。尚、ミル出口温度ばらつき導出部206は、ミル出口温度の測定値の標準偏差を導出する際に、必ずしもミル出口温度記憶部205に記憶されている一定時間分のミル出口温度の測定値の全てを用いる必要はない。
<ミル入口温度ばらつき導出部207>
ミル入口温度ばらつき導出部207は、ミル出口温度ばらつき導出部206で導出されたミル出口温度の測定値のばらつきに、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数を乗算した値をミル入口温度のばらつきの推定値[℃]として導出する。
本実施形態では、PID制御部204のゲインを用いて、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数を定める。
石炭の粉砕が安定して行われている場合、ミル出口温度の目標値は一定であり、ミル出口温度の測定値は、PID制御部204による制御によって目標値に近い値になる。一方、ミル入口温度は、バーナー負荷の変動によりばらつきが生じる。このバーナー負荷の変動は、PID制御部204によるミル出口温度の制御の結果として現れる。したがって、PID制御部204のゲインが大きいほど、バーナー負荷を大きく変動させることになり、その結果、ミル入口温度のばらつきも大きくなる。このことから、本実施形態では、PID制御部204のゲインを基準にして、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数を定める。ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数として、PID制御部204のゲインそのものを用いてもよいし、PID制御部204のゲインに調整値を加算または減算した値を用いてもよい。また、PID制御部204のゲインと積分時間とを用いて、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数を定めてもよい。
また、前述したように本実施形態では、ばらつきとして標準偏差を用いる。
したがって、本実施形態では、ミル入口温度ばらつき導出部207は、以下の(1)式により、ミル入口温度の標準偏差の推定値を導出する。
ミル入口温度の標準偏差の推定値=ミル出口温度の測定値の標準偏差×係数 ・・・(1)
<ミル入口温度上限値記憶部208>
ミル入口温度上限値記憶部208は、ミル入口温度の上限値[℃]を記憶する。ミル入口温度の上限値としては、配管を繋ぐ伸縮管の燃焼やミル105に供給された原料(石炭)の発火などが生じない範囲の温度が、オペレータにより設定される。ミル入口温度の上限値は、例えば、300[℃]〜400[℃]の範囲で設定される。
<外気温取得部209>
外気温取得部209は、外気温の現在値[℃]を取得する。外気温は、大気中の温度を測定する温度計で測定された測定値であっても推定値であってもよい。例えば、希釈エアの温度から所定の温度を増減した値を外気温の推定値として用いることができる。
<石炭水分取得部210>
石炭水分取得部210は、粉砕中の石炭の(単位質量当たりの)水分量[質量%]の現在値を取得する。以下の説明では、石炭の水分量を必要に応じて石炭水分と称する。石炭水分は、測定値であっても推定値であってもよい。例えば、特開2011−133450号公報に記載のようにして石炭水分の測定値を得ることができる。また、例えば、特開平9−4839号公報に記載のようにして石炭水分の推定値を得ることができる。このように石炭水分を得る方法は公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。また、この他に、特願2014−189252号明細書に記載のように、燃料ガス(BFG)の流量、燃焼エアの流量、希釈エアの流量、煙突114から大気中に放出されるガス(放散ガス)の流量、外気温、燃料ガスの温度、燃焼エアの温度、希釈エアの温度、および石炭水分を含む物理量を変数として有する計算式であって、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントにおける熱の収支のバランスをとる計算を行うための複数の計算式の計算を行うことにより、石炭水分の推定値を得ることができる。
<給炭量取得部211>
給炭量取得部211は、給炭量[t/h]の現在値を取得する。給炭量は、給炭機104からミル105に供給される石炭の単位時間当たり(ここでは1時間当たり)の重量である。
本実施形態では、オペレータが、給炭機104に対して給炭量を手動で設定できるものとする。オペレータは、例えば、操業計画に基づく生産量を達成できるかどうかと、設備の損傷が発生しないかどうかとを指標として、給炭量を決定し、決定した給炭量に応じて、例えば、給炭機104に備わるチェーンコンベアのモータの回転数を設定する。このようにして設定された回転数でチェーンコンベアのモータが動作することにより、所望の給炭量で石炭がミル105に供給される。
<最大給炭可能量導出部212>
最大給炭可能量導出部212は、ミル入口温度ばらつき導出部207により導出されたミル入口温度のばらつきと、ミル入口温度上限値記憶部208により記憶されたミル入口温度の上限値とに基づいて、ミル入口温度の設定値[℃]を導出する。ミル入口温度の設定値は、ミル入口温度の測定値がミル入口温度の上限値を上回らないにようするためのミル入口温度の目標値である。
前述したように本実施形態では、ばらつきとして標準偏差を用いる。また、本実施形態では、ミル入口温度は、定常値に対し正規分布に従ってばらつくものと仮定する。そこで、本実施形態では、ミル入口温度の測定値のうち、約99[%]が上限値以下になるような目標値をミル入口温度の設定値とする。以上のことから本実施形態では、最大給炭可能量導出部212は、以下の(2)式により、ミル入口温度の設定値を導出する。
ミル入口温度の設定値=ミル入口温度の上限値−3×ミル入口温度の標準偏差の推定値 ・・・(2)
次に、最大給炭可能量導出部212は、ミル入口温度の設定値と、外気温取得部209で取得された外気温と、石炭水分取得部210で取得された石炭水分と、を入力として、最大給炭可能量[t/h]を導出する。最大給炭可能量とは、ミル入口温度の測定値がミル入口温度の設定値を上回らない範囲で最大となる定常時の給炭量をいう。
本実施形態では、以下の(3)式で表されるミル入口温度の予測式に基づいて最大可能給炭量の計算式を定める。
ミル入口温度の予測値=α×給炭量×石炭水分+β×給炭量×石炭水分×外気温+γ×給炭量×外気温+ε ・・・(3)
(3)式は、ミル入口温度の予測値[℃]は、給炭量×水分と、給炭量×水分×外気温と、給炭量×外気温に影響していると考えられることに基づいて得られるものである。すなわち、ミル105の前後の熱バランスに基づいている。ミル入口温度予測係数(水分潜熱)α[℃/t・h]、ミル入口温度予測係数(水分顕熱)β[kcal/(Nm3・℃)]、ミル入口温度予測係数(石炭顕熱)γ[℃/%・t・h]は、それぞれ、これらの係数である。また、ミル入口温度予測係数(定数補正)ε[kcal/(Nm3・℃)]は補正項である。
ミル入口温度予測係数α、β、γ、εは、例えば、過去の操業データ(例えば6か月分の操業データ)を用いて重回帰分析を行うことにより導出される値である。したがって、ミル入口温度予測係数α、β、γ、εは、オペレータにより予め最大給炭可能量導出部212に設定される。
(3)式のミル入口温度の予測値をミル入口温度の設定値に、給炭量を最大給炭可能量にそれぞれ置き換えることにより、以下の(4)式が得られる。
最大給炭可能量=(ミル入口温度の設定値−ε)/{(α×石炭水分)+β×石炭水分×外気温+γ×外気温} ・・・(4)
本実施形態では、最大給炭可能量導出部212は、(4)式の計算を行う事により、最大給炭可能量を導出する。
<給炭量設定部213>
給炭量設定部213は、最大給炭可能量導出部212により導出された最大可能給炭量と、給炭量取得部211により取得された給炭量(の現在値)とを比較し、比較した結果に基づいて、給炭量の設定を変更するか否かを判定し、給炭量を手動で変更する場合には給炭量の設定の変更を指示する情報を出力する。
本実施形態では、給炭量設定部213は、最大給炭可能量が給炭量(の現在値)を上回る状態が一定時間継続した場合、(最新の)最大給炭可能量の小数点以下を切り捨てた値を給炭量の変更値として導出する。また、給炭量設定部213は、最大給炭可能量が給炭量(の現在値)を下回る状態が一定時間継続した場合にも、(最新の)最大給炭可能量の小数点以下を切り捨てた値を給炭量の変更値として導出する。ここで、本実施形態では、最大給炭可能量が給炭量(の現在値)を上回る状態が継続しているか否かを判定するための前記一定時間を、最大給炭可能量が給炭量(の現在値)を下回る状態が継続しているか否かを判定するための前記一定時間よりも長くする。例えば、前者の一定時間として300[分]を、後者の一定時間といて120[分]をそれぞれ採用することができる。
本実施形態では、これら以外の場合には、給炭量(の現在値)を変更しない。
給炭量設定部213は、以上のようにして導出した変更値で石炭が給炭機104からミル105に供給されるように給炭量の設定の変更を指示する情報を出力する。粉砕制御装置200が自動的に給炭量を変更する場合、給炭量設定部213は、導出した変更値に対応する回転数で給炭機104に備わるチェーンコンベアを動作させることを指示する制御信号を、給炭機104に備わるチェーンコンベア、または、給炭機104に備わるチェーンコンベアの駆動装置に送信する。また、オペレータが手動で給炭量を変更する場合、給炭量設定部213は、導出した変更値を示す情報を表示する。オペレータは、この表示に基づいて、変更値に対応する回転数で給炭機104に備わるチェーンコンベアを動作させるための操作を行う。
(動作フローチャート)
次に、図3のフローチャートを参照しながら、給炭量を変更するための処理を行う際の粉砕制御装置200の動作の一例を説明する。
まず、ステップS301において、ミル出口温度測定値取得部202は、ミル出口温度の測定値を取得する。前述したように、ミル出口温度の測定値は、例えば1[分]周期で繰り返し取得される。この場合、図3のフローチャートは、1[分]周期で繰り返し行われる。
次に、ステップS302において、ミル出口温度記憶部205は、ステップS301で取得された(最新の)ミル出口温度の測定値を記憶すると共に、既に記憶しているミル出口温度の測定値のうち最古に記憶したミル出口温度の測定値を破棄する。これにより、一定時間分のミル出口温度の測定値が記憶される。
次に、ステップS303において、ミル出口温度ばらつき導出部206は、ミル出口温度記憶部205に記憶されている一定時間分のミル出口温度の測定値を用いて、ミル出口温度の測定値の標準偏差を導出する。
次に、ステップS304において、ミル入口温度ばらつき導出部207は、(1)式の計算を行うことにより、ミル入口温度の標準偏差の推定値を導出する。
次に、ステップS305において、最大給炭可能量導出部212は、ステップS304で導出されたミル入口温度の標準偏差の推定値と、ミル入口温度上限値記憶部208により記憶されたミル入口温度の上限値とに基づいて、(2)式の計算を行うことにより、ミル入口温度の設定値を導出する。
次に、ステップS306において、外気温取得部209は、外気温の現在値を取得する。
次に、ステップS307において、石炭水分取得部210は、石炭水分の現在値を取得する。
次に、ステップS308において、給炭量取得部211は、給炭量の現在値を取得する。
次に、ステップS309において、最大給炭可能量導出部212は、ステップS305で導出されたミル入口温度の設定値と、ステップS306で取得された外気温と、ステップS307で取得された石炭水分と、ステップS308で取得された給炭量とに基づいて、(4)式の計算を行うことにより、最大給炭可能量を導出する。
次に、ステップS310において、給炭量設定部213は、ステップS309で導出された最大給炭可能量が、ステップS308で取得された給炭量を上回る状態が一定時間継続したか否かを判定する。この判定の結果、最大給炭可能量が給炭量を上回る状態が一定時間継続した場合には、ステップS311に進む。ステップS311に進むと、給炭量設定部213は、ステップS309で導出された最大給炭可能量の小数点以下を切り捨てた値を給炭量の変更値として導出し、導出した変更値で石炭が給炭機104からミル105に供給されるように給炭量の設定の変更を指示する情報を出力する。そして、後述するステップS313に進む。
ステップS310において、最大給炭可能量が給炭量を上回る状態が一定時間継続していないと判定された場合には、ステップS312に進む。ステップS312に進むと、給炭量設定部213は、ステップS309で導出された最大給炭可能量が、ステップS308で取得された給炭量を下回る状態が一定時間継続したか否かを判定する。この判定の結果、最大給炭可能量が給炭量を下回る状態が一定時間継続した場合には、ステップS311に進む。ステップS311に進むと、前述したように、給炭量設定部213は、ステップS309で導出された最大給炭可能量の小数点以下を切り捨てた値を給炭量の変更値として導出し、導出した変更値で石炭が給炭機104からミル105に供給されるように給炭量の設定の変更を指示する情報を出力する。そして、後述するステップS313に進む。
一方、最大給炭可能量が給炭量を下回る状態が一定時間継続していない場合には、ステップS311の処理を行わずにステップS313に進む。ステップS313に進むと、粉砕制御装置200は、粉砕を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの操業を管理する上位のコンピュータから送信される情報に基づいて行うことができる。
この判定の結果、粉砕を終了する場合には、図3のフローチャートによる処理を終了する。一方、粉砕を終了しない場合には、ステップS301に戻り、粉砕を終了すると判定するまで、ステップS301〜S313を繰り返し行う。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
図4は、ミル入口温度の測定値と時間との関係の一例を示す図である。
図4に示すように、一般にミル入口温度の測定値には、10[分]〜15[分]程度の短周期の変動の他に、給炭量の設定値の変更や石炭水分の変化などによる緩やかな定常値の変化が生じる。
図5は、ミル出口温度の測定値と時間との関係の一例を示す図である。ここでは、ミル出口温度の目標値が一定である間は、図5に示すように、一般にミル出口温度の測定値には、短周期の変動のみが生じる(ミル入口温度の測定値に生じる緩やかな定常値の変化が生じない)。
図6は、ミル入口温度の標準偏差と時間との関係の一例を示す図である。
図6において、グラフ601は、図5に示したミル出口温度の測定値から、(1)式の計算を行うことにより得られるミル入口温度の標準偏差の推定値を示すグラフである。グラフ601は発明例である。一方、グラフ602は、図4に示したミル入口温度の測定値から得られるミル入口温度の標準偏差を示すグラフである。グラフ602は比較例である。
尚、本実施例では、何れの場合も(1)式の係数として同じ値(実際の操業で想定される値)を使用した。また、何れの場合も、直近の1日分の実績(1440サンプル)から標準偏差を計算した。
図4に示したようにミル入口温度の測定値には緩やかな定常値の変化がある。したがって、グラフ602に示すように、ミル入口温度の測定値からミル入口温度の標準偏差を導出すると、ミル入口温度の測定値に緩やかな定常値の変化があることにより、ミル入口温度の標準偏差(ばらつき量)が大きく見積もられる。これに対し、グラフ601に示すように、図5に示したミル出口温度の測定値からミル入口温度の標準偏差を導出すると、グラフ602に比べ、ミル入口温度の標準偏差(ばらつき量)が過大に見積まれることはない。前述したように、図5に示したミル出口温度の測定値には、短周期の変動のみが生じる(ミル入口温度の測定値に生じる緩やかな定常値の変化が生じない)からである。
本実施例では、以上のようなミル入口温度の測定値、ミル出口温度の測定値、およびミル入口温度の標準偏差を用いて、コンピュータシミュレーションを行った。
<実施例1>
実施例1では、以下の3つの場合について、どの程度の割合でミル入口温度が、その上限値を上回るのかを比較した。
(A) ミル出口温度の測定値に基づいてミル入口温度の設定値を導出した場合:発明例
(B) ミル入口温度の測定値に基づいてミル入口温度の設定値を導出した場合:比較例1
(C) ミル入口温度の設定値を固定値とした場合:比較例2
図7は、ミル入口温度の設定値と時間との関係の一例を示す図である。
図7において、グラフ701は、図6に示したグラフ601のミル入口温度の標準偏差の推定値から(2)式の計算を行うことにより得られるミル入口温度の設定値を示すグラフである。グラフ701は発明例(前記(A)の場合)である。一方、グラフ702は、図6に示したグラフ602のミル入口温度の測定値の標準偏差を(2)式の右辺のミル入口温度の標準偏差の推定値として与えることにより得られるミル入口温度の設定値を示すグラフである。グラフ702は比較例1(前記(B)の場合)である。本実施例では、何れの場合も(2)式のミル入口温度の上限値を350[℃]とした。
グラフ702に示すように、ミル入口温度の測定値の標準偏差からミル入口温度の設定値を導出すると、ミル入口温度の測定値に緩やかな定常値の変化があることにより(図4を参照)、ミル入口温度の設定値が小さく見積もられる。これに対し、グラフ701に示すように、ミル入口温度の標準偏差の推定値からミル入口温度の設定値を導出すると、グラフ702に比べ、ミル入口温度の設定値が過小に見積まれることはない。
図8は、実施例1における給炭量と時間との関係の一例を示す図である。
図8において、グラフ801は、図7に示したグラフ701のミル入口温度の設定値から(4)式の計算を行うことにより最大給炭可能量を導出し、導出した最大給炭可能量からステップS310〜S312の処理を行うことにより設定される給炭量を示すグラフである。グラフ801は発明例(前記(A)の場合)である。グラフ802は、図7に示したグラフ702のミル入口温度の設定値から(4)式の計算を行うことにより最大給炭可能量を導出し、導出した最大給炭可能量からステップS310〜S312の処理を行うことにより設定される給炭量を示すグラフである。グラフ802は比較例1(前記(B)の場合)である。グラフ803は、ミル入口温度の設定値を固定値として(4)式の計算を行うことにより最大給炭可能量を導出し、導出した最大給炭可能量からステップS310〜S312の処理を行うことにより設定される給炭量を示すグラフである。グラフ803は比較例2(前記(C)の場合)である。比較例2(前記(C))では、前記固定値として、グラフ801に示す給炭量の平均値と同等の給炭量が得られるような値を用いた。
また、何れの場合でも、ステップS310における一定時間を300[分]とし、ステップS312における一定時間を120[分]とした。
図9は、発明例におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。
図9に示すグラフ901は、ミル入口温度のシミュレーション結果を示すグラフである。このときのミル入口温度は、グラフ801に示す給炭量から、(3)式の計算式に基づいて算出した。グラフ901は発明例である。
図10は、比較例1におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。
図10に示すグラフ1001は、ミル入口温度のシミュレーション結果を示すグラフである。このときのミル入口温度は、グラフ802に示す給炭量から、(3)式の計算式に基づいて算出した。グラフ1001は比較例1である。
図11は、比較例2におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。
図11に示すグラフ1101は、ミル入口温度のシミュレーション結果を示すグラフである。このときのミル入口温度は、グラフ803に示す給炭量から、(3)式の計算式に基づいて算出した。グラフ1101は比較例2である。
図12は、ミル入口温度突破頻度を示す図である。
ミル入口温度突破頻度は、図9、図10、図11に示すグラフ901、1001、1101の値のうち、ミル入口温度の上限値を上回る値の割合[%]である。図12に示すようにミル入口温度突破頻度は、グラフ901、1001、1101のそれぞれについて個別に導出される。
図12に示すように、高い平均給炭量を確保する場合、ミル入口温度の設定値を固定値とするよりも(比較例2よりも)、ミル入口温度の標準偏差の推定値からミル入口温度の設定値を導出した方が(発明例の方が)、設備保全性能が高く、ミル入口温度突破頻度は、ミル入口温度の設定値を固定値とする場合の1割程度になる。
<実施例2>
実施例2では、以下の3つの場合について、平均給炭量を比較した。
(A) ミル出口温度の測定値に基づいてミル入口温度の設定値を導出した場合:発明例
(B) ミル入口温度の測定値に基づいてミル入口温度の設定値を導出した場合:比較例1
(D) ミル入口温度の設定値を固定値とした場合:比較例3
図13は、実施例2における給炭量と時間との関係の一例を示す図である。
図13において、グラフ1301、1302は、それぞれ図8に示したグラフ801、802と同じである。
一方、グラフ1303は、ミル入口温度の設定値を固定値とした場合のグラフである。グラフ1303は比較例3(前記(D)の場合)である。
ここで、比較例3(前記(D))では、前記固定値として、図12に示したミル入口温度突破頻度が発明例と同じ値(0.04[%])になるような値を用いた。
図14は、比較例3におけるミル入口温度と時間との関係を示す図である。
図14に示すグラフ1401は、グラフ1303に示す給炭量から(3)式の計算を行うことにより得られるミル入口温度の予測値のグラフである。グラフ1401は比較例3である。尚、発明例および比較例1におけるミル入口温度と時間との関係は、それぞれ、図9に示したグラフ901、図10に示したグラフ1001と同じである。
図15は、平均給炭量を示す図である。
図15に示すように、ミル入口温度の標準偏差の推定値からミル入口温度の設定値を導出すると(すなわち発明例では)、ミル入口温度の設定値を固定値とする場合(すなわち比較例3の場合)、ミル入口温度の測定値の標準偏差からミル入口温度の設定値を導出する場合(すなわち比較例1の場合)に対し、それぞれ5[%]、7[%]高い生産量を確保することができる。
以上の実施例1、2より、発明例では、比較例と比較して、設備保全性能の向上と平均給炭量の上昇との両立を図ることができることが分かる。
ミル入口温度の測定値の標準偏差を導出する場合(すなわち比較例1の場合)、図4に示したようなミル入口温度の測定値の定常値の変化が、ミル入口温度の標準偏差(ばらつき量)に反映される。このため、図7に示したように、無用にミル入口温度を下げた運転になる。その結果として、図15に示すように、平均給炭量が小さくなる。一方、ミル出口温度の測定値からミル入口温度の標準偏差を推定する場合(すなわち発明例の場合)には、このような定常値の変化の影響を受けることなくミル入口温度の標準偏差(ばらつき量)を評価できる。このため、比較例1に比べ発明例では、ミル入口温度を上限値以下に維持することと給炭量を大きくすることとの両立を図ることができる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、一定時間分のミル出口温度の測定値の標準偏差にPID制御のゲインを乗算してミル入口温度の標準偏差の推定値を導出し、ミル入口温度の上限値とミル入口温度の標準偏差の推定値とに基づいてミル入口温度の設定値を導出する。そして、このミル入口温度の設定値と、外気温と、石炭水分とに基づいて、最大給炭可能量を導出し、給炭量が最大給炭可能量を上回るまたは下回る状態が一定時間継続した場合に、給炭量が最大給炭可能量に近づくように給炭量の設定値を変更する。このように、目標値になるようにフィードバック制御されるミル出口温度の測定値を用いて、ミル入口温度の標準偏差の推定値を導出するので、給炭量の設定値や石炭水分の変化等の影響を大きく受けることなく、ミル入口温度の標準偏差を導出することができる。したがって、ミル入口温度のばらつきを正確に予測し、ミル入口温度が上限値を可及的に上回らないようにすることと、原料の供給量を可及的に多くすることを両立させることができる。
(変形例)
<変形例1>
本実施形態では、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに粉砕制御装置200を適用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、負圧式・排ガス循環系のPCIプラント以外の負圧式・排ガス循環系の粉砕プラントにも粉砕制御装置200を適用することができる。例えば、セメントを製造するための負圧式・排ガス循環系の粉砕プラントにも粉砕制御装置200を適用することができる。
<変形例2>
本実施形態では、粉砕プラントが負圧式・排ガス循環系の粉砕プラントである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、粉砕プラントは1パス方式の粉砕プラントであってもよい。
図16は、1パス方式のPCIプラントの構成の一例を示す図である。図16において、図1に示した負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成と同じ部分については、図1に付した符号と同一の符号を付す。また、図16でも、図1と同様に、各構成要素を繋ぐ実線は配管を示し、破線は信号の伝達経路を示す。また、矢印線は、配管内のガスや石炭の進行方向を示す。
図16において、熱ガス発生装置(HGG)101は、バーナーの空燃比を制御し、排ガス(熱風)を発生させる。燃焼エアファン102は、燃焼エアを熱ガス発生装置101に送り込むために昇圧するファンである。
ダンパー121は、熱ガス発生装置101から排出される排ガスの流量を調整する。
ミル入口温度計120は、ミル105の入口側(熱ガス発生装置101とダンパー121との間)の所定の位置における(配管内の(ガスの))温度であるミル入口温度を測定する。
供給ファン122は、ダンパー121を通過した排ガスをミル105に供給させるために排ガスを昇圧するファンである。
バンカー103は、原料である石炭を貯蔵する。
給炭機104は、チェーンコンベアを有し、バンカー103内に貯蔵されている石炭をチェーンコンベアにより切り出してミル105に投入する。
ミル105は、給炭機104から投入された石炭を粉砕する粉砕機である。ミル105は、例えば、ロールミル105aと粉砕テーブル105bとを有する。
シールエアファン106は、ミル105の内部(粉砕テーブル105bの軸受部)の隙間にシールエアを供給する。
バグフィルター107は、ミル105から放出された微粉炭を、濾布を用いて捕集する濾過式の捕集機である。
異物除去装置108は、この異物を除去するためのものである。このように異物除去装置108で異物が除去された後、リザーバタンク109に微粉炭が貯蔵される。リザーバタンク109に貯蔵された微粉炭は、高炉の羽口から高炉の内部に吹き込まれる(微粉炭吹き込みが行われる)。
負圧式・排ガス循環系のPCIプラントでは、ミル105とバグフィルター107の内部の圧力は負圧に保たれているが、1パス方式のPCIプラントでは、ミル105とバグフィルター107の内部の圧力は大気圧である。
バグフィルター107を通過した排ガスは、煙突123を介して大気中に放出される。
尚、1パス方式のPCIプラントにおいても粉砕制御装置200の構成および処理は本実施形態で説明したものと同じもので実現できる。
<変形例3>
本実施形態では、ミル出口温度制御と給炭量制御とを1つの装置(粉砕制御装置200)で行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ミル出口温度制御と給炭量制御とを別々の装置で行うようにしてもよい。このようにする場合、例えば、粉砕制御装置200が、ミル出口温度制御を行う機能(ミル出口温度目標値記憶部201、ミル出口温度測定値取得部202、ミル出口温度偏差導出部203、およびPID制御部204の機能)を有さず、この機能を粉砕制御装置200と通信可能な別の装置で実現してもよい。
<変形例4>
本実施形態では、ミル出口温度のばらつきとして標準偏差を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、一般的な統計的手法で利用されるばらつきを表す指標を用いてれば、ミル出口温度のばらつきは標準偏差に限定されない。この場合、ミル入口温度のばらつきの推定値も、ミル出口温度のばらつきとして選択されたばらつきを表す指標と同じ指標の推定値になる。
<変形例5>
本実施形態では、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数が、PID制御のゲインを基準にして設定される係数である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数は、PID制御のゲインを基準にして設定される係数に限定されない。例えば、ミル出口温度制御をPID制御以外のフィードバック制御で行う場合には、ミル出口温度をミル入口温度に換算するための係数として、当該フィードバック制御を行う制御器における制御ゲインを基準して設定される係数を用いてもよい。また、ミル出口温度とミル入口温度との関係を事前に調査し、調査した結果から係数を設定してもよい。
<変形例6>
本実施形態では、ミル入口温度の上限値から、ミル入口温度の標準偏差の推定値に「3」を乗算した値(3σ)を減算した値をミル入口温度の設定値として導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ミル入口温度の設定値は、必ずしもこのようにして導出する必要はない。例えば、前述した「3」の代わりに「2」を用いてもよい。また、ミル入口温度は、定常値に対し正規分布以外の分布に従ってばらつくものと仮定してミル入口温度の設定値を導出してもよい。すなわち、ミル入口温度の上限値と、ミル入口温度のばらつきの推定値とに基づいて、ミル入口温度の測定値の所定の割合が上限値以下になるようにするためのミル入口温度の目標値をミル入口温度の設定値として導出していればよい。
<変形例7>
本実施形態では、ミル出口温度の測定値の一定時間分(例えば1000[分])のばらつき(標準偏差)を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ミル出口温度偏差の一定時間分のばらつき(標準偏差)を導出してもよい。このようにすれば、例えば、ミル出口温度の目標値に変更があっても、当該変更前後におけるミル出口温度のばらつきをそのまま比較することができる。
<変形例8>
本実施形態では、給炭量取得部211は、オペレータが手動で設定した給炭量を取得する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、給炭量取得部211は、上位のコンピュータから給炭量を受信してもよい。
<変形例9>
本実施形態では、(1)式、(2)式でそれぞれ係数を乗算する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、(1)式および(2)式の係数を乗算した値を1つの係数として用いてミル入口温度の標準偏差の推定値を導出してもよい。例えば、以下の(5)式により、ミル入口温度の標準偏差の推定値を導出してもよい。
ミル入口温度の標準偏差の推定値=ミル入口温度の上限値−係数×ミル出口温度の測定値の標準偏差 ・・・(5)
(5)式における係数は、例えば、(1)式に示す係数と(2)式に示す「3」とを乗算した値である。
このようにした場合、ミル入口温度ばらつき導出部207は不要になる。また、(2)式の右辺の第2項の値(3×ミル入口温度の標準偏差の推定値)をミル入口温度ばらつき導出部207で導出してもよい。
<変形例10>
本実施形態では、給炭量設定部213は、最大給炭可能量が給炭量(の現在値)を上回る状態または下回る状態が一定時間継続した場合に、(最新の)最大給炭可能量の小数点以下を切り捨てた値を給炭量の変更値として導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、最大給炭可能量に基づいて給炭量の変更値を導出するようにしていれば、給炭量の変更値を導出する方法は、このような方法に限定されない。例えば、給炭量が最大給炭可能量に近づくように給炭量の設定値を変更する手法は、前述した手法以外に種々の手法がある。また、給炭量が最大給炭可能量に近づくようにせず、給炭量が最大給炭可能量よりも所定の値だけ下回る値に近づくようにしてもよい。
また、ミル入口温度の設定値を表示し、オペレータが、ミル入口温度の設定値に基づいて給炭量を手動で設定してもよい。
<その他の変形例>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
熱風発生装置は、例えば、熱ガス発生装置101により実現される。
粉砕機は、例えば、ミル105により実現される。
捕集機は、例えば、バグフィルター107により実現される。
処理装置は、例えば、粉砕制御装置200により実現される。
ミル出口温度ばらつき導出手段は、例えば、ミル出口温度ばらつき導出部206(ステップS303の処理)により実現される。
ミル入口温度設定値導出手段は、例えば、最大給炭可能量導出部212(ステップS305の処理)により実現される。
ミル入口温度ばらつき導出手段は、例えば、ミル入口温度ばらつき導出部207(ステップS304の処理)により実現される。
原料供給量導出手段は、例えば、給炭量設定部213(ステップS311の処理)により実現される。
最大原料供給可能量導出手段は、例えば、最大給炭可能量導出部212(ステップS309の処理)により実現される。最大原料供給可能量は、例えば、最大給炭可能量に対応する。
101:熱ガス発生装置、103:バンカー、104:給炭機、105:ミル、110:ミル出口温度計、200:粉砕制御装置、201:ミル出口温度目標値記憶部、202:ミル出口温度測定値取得部、203:ミル出口温度偏差導出部、204:PID制御部、205:ミル出口温度記憶部、206:ミル出口温度ばらつき導出部、207:ミル入口温度ばらつき導出部、208:ミル入口温度上限値記憶部、209:外気温取得部、210:石炭水分取得部、211:給炭量取得部、212:最大給炭可能量導出部、213:給炭量設定部

Claims (8)

  1. 熱風を排ガスとして発生する熱風発生装置と、
    原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、
    前記粉砕機に原料を供給する原料供給装置と、
    前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、を有し、
    前記粉砕機の出口側の所定の位置における温度であるミル出口温度の測定値と目標値との偏差に応じて前記熱風発生装置を操作する制御が行われる粉砕プラントに対する処理を行う、粉砕プラントにおける処理装置であって、
    前記ミル出口温度のばらつき、または、前記ミル出口温度の測定値と目標値との偏差のばらつきをミル出口温度ばらつきとして導出するミル出口温度ばらつき導出手段と、
    前記粉砕機の入口側の所定の位置における温度であるミル入口温度の上限値と、前記ミル出口温度ばらつき導出手段により導出された前記ミル出口温度ばらつきを前記ミル入口温度のばらつきに換算した値と、を用いて、前記ミル入口温度の設定値を導出するミル入口温度設定値導出手段と、を有し、
    前記ミル入口温度設定値導出手段により導出された前記ミル入口温度の設定値は、前記ミル入口温度の測定値が前記ミル入口温度の設定値を上回らないように、前記原料供給装置から前記粉砕機に供給される前記原料の単位時間当たりの供給量を導出するために用いられることを特徴とする粉砕プラントにおける処理装置。
  2. 前記ミル出口温度ばらつき導出手段により導出された前記ミル出口温度ばらつきと、前記ミル出口温度を前記ミル入口温度に換算する係数と、を用いて、前記ミル入口温度のばらつきの推定値を、前記ミル出口温度ばらつきを前記ミル入口温度のばらつきに換算した値として導出するミル入口温度ばらつき導出手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の粉砕プラントにおける処理装置。
  3. 前記ミル入口温度設定値導出手段は、前記ミル入口温度ばらつき導出手段により導出された前記ミル入口温度のばらつきの推定値と、前記ミル入口温度の上限値と、を用いて、前記ミル入口温度の測定値の所定の割合が当該上限値以下になるようにするための前記ミル入口温度の目標値を前記ミル入口温度の設定値として導出することを特徴とする請求項2に記載の粉砕プラントにおける処理装置。
  4. 前記ミル入口温度を前記ミル出口温度に換算する係数は、前記制御を行う制御器における制御ゲインを用いて導出される係数であることを特徴とする請求項2または3に記載の粉砕プラントにおける処理装置。
  5. 前記原料供給装置から前記粉砕機に供給される前記原料の単位時間当たりの供給量として、前記ミル入口温度の測定値が、前記ミル入口温度設定値導出手段により導出された前記ミル入口温度の設定値を上回らないようになる供給量を導出する原料供給量導出手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の粉砕プラントにおける処理装置。
  6. 前記ミル入口温度設定値導出手段により導出された前記ミル入口温度の設定値と、外気温と、前記原料に含まれる単位質量当たりの水分量と、を用いて、前記ミル入口温度の測定値が前記ミル入口温度の設定値を上回らない範囲で前記原料供給装置から前記粉砕機に供給できる原料の単位時間当たりの最大供給量である最大原料供給可能量を導出する最大原料供給可能量導出手段をさらに有し、
    前記原料供給量導出手段は、前記最大原料供給可能量導出手段により導出された前記最大原料供給可能量に基づいて、前記供給量を導出することを特徴とする請求項5に記載の粉砕プラントにおける処理装置。
  7. 熱風を排ガスとして発生する熱風発生装置と、
    原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、
    前記粉砕機に原料を供給する原料供給装置と、
    前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、を有し、
    前記粉砕機の出口側の所定の位置における温度であるミル出口温度の測定値と目標値との偏差に応じて前記熱風発生装置を操作する制御が行われる粉砕プラントに対する処理を行う、粉砕プラントにおける処理方法であって、
    前記ミル出口温度のばらつき、または、前記ミル出口温度の測定値と目標値との偏差のばらつきをミル出口温度ばらつきとして導出するミル出口温度ばらつき導出工程と、
    前記粉砕機の入口側の所定の位置における温度であるミル入口温度の上限値と、前記ミル出口温度ばらつき導出工程により導出された前記ミル出口温度ばらつきを前記ミル入口温度のばらつきに換算した値と、を用いて、前記ミル入口温度の設定値を導出するミル入口温度設定値導出工程と、を有し、
    前記ミル入口温度設定値導出工程により導出された前記ミル入口温度の設定値は、前記ミル入口温度の測定値が前記ミル入口温度の設定値を上回らないように、前記原料供給装置から前記粉砕機に供給される前記原料の単位時間当たりの供給量を導出するために用いられることを特徴とする粉砕プラントにおける処理方法。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載の粉砕プラントにおける処理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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