JP2018044063A - 光学用樹脂組成物、並びにそれを用いた光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性樹脂ならびにジルコニア粒子を含む加工性に優れた低粘度の光学用樹脂組成物であって、該光学用樹脂組成物の硬化物が高屈折率かつ高透明等の光学特性を有する光学用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】硬化性樹脂とジルコニア粒子を含有する光学用樹脂組成物であり、前記ジルコニア粒子の含有量は前記光学用樹脂組成物に対して14〜21体積%であり、前記光学用樹脂組成物は、式1で示されるコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および式2で示される[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を含む光学用樹脂組成物。【選択図】図1
Description
本発明はレンズやフィルター等の光学素子に用いられる光学用樹脂組成物に関するものである。
近年、有機材料と無機材料の両方の特徴を兼ね備えた有機無機複合材料は、従来の無機材料・有機材料のいずれにも無い物性を実現できることから、幅広い分野に応用されている。
特に、光学分野では、有機材料と無機材料をナノメートルのオーダーで複合化したナノコンポジット材料が光学材料として期待されている。有機樹脂中にナノメートルレベルの粒子径をもつ無機粒子を分散させることで、屈折率や波長分散性等において従来の有機光学材料単独では達成し得ないような物性を実現できることが知られている。
中でもジルコニアやチタニアといった高屈折率の無機酸化物粒子を無機材料に用い、硬化性樹脂中に分散させた光学用樹脂組成物を光学素子の材料として用いることで、従来の硬化性樹脂の良加工性に加え、光の屈折を利用して光学素子の小型化や高性能化が期待できる。
しかし、これらの光学用樹脂組成物を光学素子の材料として用いるためには、光学用樹脂組成物の硬化物が従来使用されてきたガラス材料や有機材料と同程度の高い透明性を有することが必要である。特に、レンズ等の光学素子においては光学材料の成形体の厚みが大きいため、無機酸化物粒子の凝集物による光散乱は光学素子の性能に影響する。したがって、高い透明性を有する光学素子を得るためには、有機樹脂中に無機粒子を一次粒子の状態で均一に分散させることで、材料の光散乱を低減する必要がある。非特許文献1には、ナノメートルレベルの無機粒子は凝集しやすいため、無機粒子を表面処理することで、無機粒子表面に有機樹脂と親和しやすい成分を導入し、有機樹脂に対する無機粒子の分散性を向上させる方法が記載されている。
また、特許文献1には、炭化水素基で一方の末端にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有し、もう一方の末端には無機粒子表面と共有結合またはイオン結合を形成する官能基、例えばカルボキシル基またはヒドロキシホスホリル基若しくはホスホノ基などを有する表面処理剤を使用することで、硬化性樹脂中に無機粒子として、ジルコニア粒子を高濃度添加しても低散乱でかつ高屈折率の光学素子を得ることができる、硬化性樹脂材料−微粒子複合材料が示されている。特許文献2には、ポリエーテルカルボン酸を表面処理剤として使用することで、イットリウムで結晶形を安定化したジルコニアを含む粒子をポリマー材料に分散した、調光フィルムが記載されている。
「光学用透明樹脂における材料設計と応用技術」、技術情報協会、2007年、p.65−70
しかしながら、使用する表面処理剤の種類により得られる光学樹脂材料の粘度が高い場合がある。具体的には、光学樹脂材料から得られる硬化物を高屈折率化するために、硬化性樹脂に対し無機粒子を高濃度に添加した場合、光学用樹脂組成物の粘度が著しく増加する。
例えば硬化性樹脂にジルコニア粒子を分散させた光学用樹脂組成物の場合、型などに光学用樹脂組成物を充填した後に、紫外線硬化することで硬化物を得ることができる。本プロセスにおいて、光学用樹脂組成物の粘度は充填時間に大きく影響を与える。したがって、光学用樹脂組成物の粘度の増加は光学素子を得るための加工性を低下させる。可塑剤を添加することで光学用樹脂組成物の低粘度化が可能であるが、無機粒子成分の減少により得られる硬化物の屈折率が低下するという問題を生じる。例えば、本発明の発明者らの検討の結果、特許文献1に記載の硬化性樹脂材料−微粒子複合材料は、光学用樹脂組成物として用いるには粘度が高すぎるという課題を有していた。また、特許文献2に記載の調光フィルムも、光学素子として用いるには散乱率が高すぎるという課題を有していた。
本発明の目的は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、加工性に優れた低粘度の光学用樹脂組成物、および該光学用樹脂組成物より得られる高屈折率、低散乱率を有する硬化物を提供することにある。
本発明によれば、高屈折率かつ高透明な光学特性を有する硬化物を得ることができ、良加工性を有する低粘度の光学用樹脂組成物を提供することができる。
本発明の光学用樹脂組成物を用いた硬化物は、カメラや光学フィルター等の光学素子に用いることができる。
本発明の光学用樹脂組成物を用いた硬化物は、カメラや光学フィルター等の光学素子に用いることができる。
[ジルコニア粒子]
本発明の光学用樹脂組成物において、ジルコニア粒子は光学材料として用いられるため、光散乱や透過性能を満足する程度に小さい粒子径にする必要がある。一般に光散乱、透過性能に影響を及ぼさないとされている粒子の平均一次粒子径は、透過波長の1/10以下である。また、凝集物も含め、粒径が20nmを超えると、散乱が顕著に増大する。例えばジルコニア粒子の一次粒子の個数平均粒径が20nm以下であっても、粒子の凝集した場合も含めて、粒径の分布が幅広く30nmより大きな粒径の粒子が体積分率で全粒子の5%以上の割合になると光学散乱に大きな悪化の影響を及ぼす。さらに、1nmよりも粒子の平均一次粒子径が小さい場合には、粒子の表面エネルギーが大きくなるため再凝集が進行し、分散が困難になる。したがって、本発明において、ジルコニア粒子の一次粒子の個数平均粒径は、1nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下である。なお、光学用樹脂組成物中に粒径が20nmを超える粒子が存在する場合、遠心処理や限外濾過などの工程により、そのような粒径の粒子を除去することができる。
本発明の光学用樹脂組成物において、ジルコニア粒子は光学材料として用いられるため、光散乱や透過性能を満足する程度に小さい粒子径にする必要がある。一般に光散乱、透過性能に影響を及ぼさないとされている粒子の平均一次粒子径は、透過波長の1/10以下である。また、凝集物も含め、粒径が20nmを超えると、散乱が顕著に増大する。例えばジルコニア粒子の一次粒子の個数平均粒径が20nm以下であっても、粒子の凝集した場合も含めて、粒径の分布が幅広く30nmより大きな粒径の粒子が体積分率で全粒子の5%以上の割合になると光学散乱に大きな悪化の影響を及ぼす。さらに、1nmよりも粒子の平均一次粒子径が小さい場合には、粒子の表面エネルギーが大きくなるため再凝集が進行し、分散が困難になる。したがって、本発明において、ジルコニア粒子の一次粒子の個数平均粒径は、1nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下である。なお、光学用樹脂組成物中に粒径が20nmを超える粒子が存在する場合、遠心処理や限外濾過などの工程により、そのような粒径の粒子を除去することができる。
ジルコニア粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法としては、動的光散乱方式による粒度分布計、例えばELSZ−2000ZS(大塚電子社製)などで測定を行うことができる。
本発明において、ジルコニア粒子の結晶形は特に限定されるものではなく、正方晶、単斜晶などのジルコニア粒子を1種類または複数種類用いることができる。
また、ジルコニア粒子に対し、表面処理を適宜行うこともできる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタンなどの金属アルコキシドなどを用いて表面処理を行ってもよい。特に、金属アルコキシドとしては、アルコキシシラン、シラザンで構成される一群のケイ素化合物などが好適に用いられる。また、これらの金属アルコキシドは分散溶媒あるいは溶媒中に混合した樹脂への相溶性を考慮した官能基を有していてもよい。例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基などの官能基をジルコニア粒子の表面に有するように、表面処理を行ってもよい。
本発明の光学用樹脂組成物において、ジルコニア粒子の含有量は、光学用樹脂組成物に対して14体積%以上21体積%以下であることが好ましい。ジルコニア粒子の含有量が上記範囲である場合、光学用樹脂組成物は良加工性を有する低粘度の光学用樹脂組成物となり、光学用樹脂組成物の硬化物は高屈折率かつ高透明な光学特性を有する硬化物となる。一方、ジルコニア粒子の含有量が、光学用樹脂組成物に対して14体積%未満である場合、光学用樹脂組成物の硬化物は散乱率が高くなり透明性が不十分な硬化物となる。また、ジルコニア粒子の含有量が、光学用樹脂組成物に対して21体積%より多い場合、光学用樹脂組成物の粘度が高くなり加工が困難となる。
[硬化性樹脂]
本発明の光学用樹脂組成物において、硬化性樹脂は、室温で液体である硬化性樹脂であり、光重合開始剤または熱重合開始剤といった重合開始剤を利用したラジカル生成機構により硬化する。そのため、本発明の光学用樹脂組成物は、レンズ等の光学素子のレプリカ成形に好適に用いることができる。
本発明の光学用樹脂組成物において、硬化性樹脂は、室温で液体である硬化性樹脂であり、光重合開始剤または熱重合開始剤といった重合開始剤を利用したラジカル生成機構により硬化する。そのため、本発明の光学用樹脂組成物は、レンズ等の光学素子のレプリカ成形に好適に用いることができる。
本発明の光学用樹脂組成物に含有される硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。硬化性樹脂は、1種類のみを使用することもでき、2種類以上を併用することもできる。特に、(メタ)アクリル系樹脂は以下に述べるコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)との光重合の反応速度を適宜制御できる点から好ましい。硬化性樹脂としての(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレート基を含む化合物の単量体、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物を使用することができる。
(メタ)アクリル系樹脂の単量体としては、(メタ)アクリレート基を含む化合物であればいかなる化合物を用いることができるが、(メタ)アクリレート基を2個以上含む化合物が好ましい。(メタ)アクリレート基を2個以上含む化合物の具体的な例としては、プロポキシ化ビスフェノールAジビニルエーテルのアクリレートやメタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。(メタ)アクリル基を2個以上含む化合物は1種類のみを使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。また、(メタ)アクリル基を2個以上含む化合物として、分子内にさらに炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合を有する重合官能基を有する化合物を用いることもできる。
重合開始剤は、硬化性樹脂の硬化条件(照射波長、照射量)に応じて適宜選択することができる。例えば、光重合開始剤として、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤などが挙げられる。具体的には、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、4−フェニルベンゾフェノンなどを挙げることができる。また、熱重合開始剤として、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、1,1−ジメチルブチルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物などを挙げることができる。
光学用樹脂組成物中の重合開始剤の添加比率は、光照射量または加熱温度に応じて適宜選択することができ、また、得られる重合体の目標とする平均分子量に応じて、調整することもできる。
光学用樹脂組成物中の重合開始剤の添加比率は、光照射量または加熱温度に応じて適宜選択することができ、また、得られる重合体の目標とする平均分子量に応じて、調整することもできる。
本発明の光学用樹脂組成物において、重合開始剤の含有量は、ジルコニア粒子の含有量により変わりうるが、硬化性樹脂並びにコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸の合計質量に対して0.01質量%以上10.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以上5.00質量%以下の範囲に選択することが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲とすることで、本発明の光学用樹脂組成物の重合体を良好な成形性で得ることができ、また着色による外観不良や透明性の悪化を避けることができる。重合開始剤は有機成分との反応性、光照射の波長、加熱温度によって1種類のみを使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
[分散剤]
本発明の光学用樹脂組成物において、ジルコニア粒子の分散を促し、再凝集を抑制するために、少なくとも式1で示されるコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および式2で示される[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸が分散剤として含まれる。
本発明の光学用樹脂組成物において、ジルコニア粒子の分散を促し、再凝集を抑制するために、少なくとも式1で示されるコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および式2で示される[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸が分散剤として含まれる。
また、上記2つの化合物の他に分散剤をさらに使用することができる。その他の分散剤は特に限定されるものではないが、高分子型分散剤、界面活性剤を好適に使用することができる。中でも、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が好適に用いられる。特に、ポリエステル系界面活性剤、ε−カプロラクトン系界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ハイドロステアリン酸塩、アミドスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、オレフィン−マレイン酸塩共重合物、アクリル−マレイン酸塩共重合物、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル類、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることができる。
コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸の添加量はジルコニア粒子に対し合計で20質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下であることが望ましい。コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸の添加量が多いとジルコニア粒子の濃度が低下するため、本発明の硬化物の屈折率が低下する。また、これらの添加量が少ないとジルコニア粒子の凝集により本発明の光学用樹脂組成物の硬化物の散乱率が著しく増加し、本発明の光学用樹脂組成物の材料粘度が著しく増加する。
さらに、本発明の光学用樹脂組成物におけるコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)と[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸との混合比は質量比で1:2〜2:1であることが好ましい。この範囲よりコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)が多いと光学用樹脂組成物が相分離してしまい、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸が多いとジルコニア粒子が凝集してしまうからである。
[光学用樹脂組成物の製造方法]
本発明の光学用樹脂組成物の調製方法について以下に述べる。
まず、有機溶媒にコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を適量溶解させ、ジルコニア粒子を加えた後にせん断力を加えることによりジルコニア粒子の凝集粒子を破砕する。残った凝集粒子は、遠心分離またはフィルター処理により取り除き、均一なジルコニア粒子分散液を得る。この際に、貧溶媒等を使用してジルコニア粒子を再沈殿させて固液分離した後、貧溶媒により粒子を洗浄し、有機溶媒に再分散させることで、ジルコニア粒子の表面に吸着していない余剰のコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)または[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を取り除くこともできる。その後、硬化性樹脂および光重合開始剤を溶解させる。均一に混合していることを確認した後、エバポレータや濃縮器を使用し、有機溶媒を除去する。この際、有機溶媒の沸点、残留溶媒量等に応じて減圧度を適宜調整することが望ましい。急激な溶媒の蒸発により無機酸化物微粒子の分散性が損なわれる可能性があるため、減圧による溶媒除去の際には、必要に応じて分散性を損なわない程度に加熱を行ってもよい。得られた光学用樹脂組成物中に有機溶媒が残留している場合、成形品の耐久性や光学特性等に影響を及ぼす可能性があるため、残留溶媒を可能な限り減らすことが望ましい。有機溶媒の含有率は光学用樹脂組成物の質量に対して、0.50質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.025質量%以下の範囲であることが望ましい。
本発明の光学用樹脂組成物の調製方法について以下に述べる。
まず、有機溶媒にコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を適量溶解させ、ジルコニア粒子を加えた後にせん断力を加えることによりジルコニア粒子の凝集粒子を破砕する。残った凝集粒子は、遠心分離またはフィルター処理により取り除き、均一なジルコニア粒子分散液を得る。この際に、貧溶媒等を使用してジルコニア粒子を再沈殿させて固液分離した後、貧溶媒により粒子を洗浄し、有機溶媒に再分散させることで、ジルコニア粒子の表面に吸着していない余剰のコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)または[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を取り除くこともできる。その後、硬化性樹脂および光重合開始剤を溶解させる。均一に混合していることを確認した後、エバポレータや濃縮器を使用し、有機溶媒を除去する。この際、有機溶媒の沸点、残留溶媒量等に応じて減圧度を適宜調整することが望ましい。急激な溶媒の蒸発により無機酸化物微粒子の分散性が損なわれる可能性があるため、減圧による溶媒除去の際には、必要に応じて分散性を損なわない程度に加熱を行ってもよい。得られた光学用樹脂組成物中に有機溶媒が残留している場合、成形品の耐久性や光学特性等に影響を及ぼす可能性があるため、残留溶媒を可能な限り減らすことが望ましい。有機溶媒の含有率は光学用樹脂組成物の質量に対して、0.50質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.025質量%以下の範囲であることが望ましい。
本発明の光学用樹脂組成物の調製に用いることのできる有機溶媒としては、硬化性樹脂並びにコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を溶解することができる限りいかなる溶媒を用いることができる。例えば、トルエン、キシレン等の低沸点芳香族化合物、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどを用いることができる。これら有機溶媒は1種類のみを使用することもでき、2種類以上を併用することもできる。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子は、透明基材と、前記透明基材上に形成された本発明の光学用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
本発明の光学素子は、透明基材と、前記透明基材上に形成された本発明の光学用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
以下に、本発明の光学素子の製造方法について述べる。ただし、製造方法は以下に述べる方法に限られない。
まず、上記[光学用樹脂組成物の製造方法]に従い、本発明の光学用樹脂組成物を準備する。次に、2つの透明基材の間に光学用樹脂組成物を充填する。光学用樹脂組成物の充填の際には、必要に応じて基材に対し加圧または加熱を行ってもよい。ただし、光学用樹脂組成物が熱重合開始剤を含む場合、加熱は重合が進行しない温度で行う。また、充填の際に2つの基材の間にスペーサーを配置することにより、本発明の光学素子の厚みを調整することができる。重合開始剤が光重合開始剤である場合、紫外線の照射により光学用樹脂組成物中の光重合開始剤を活性化し、充填された光学用樹脂組成物を硬化する。紫外線照射に使用する紫外線光源は、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が挙げられる。また、硬化の際には必要に応じて熱や超音波等の活性エネルギーを付与してもよい。重合開始剤が熱重合開始剤である場合、好適には、例えば80℃以上180℃以下で加熱することで重合が行われる。また、いずれの硬化方法においても、酸素による光学用樹脂組成物の硬化阻害を抑制するため、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中や真空中で硬化を行ってもよい。
まず、上記[光学用樹脂組成物の製造方法]に従い、本発明の光学用樹脂組成物を準備する。次に、2つの透明基材の間に光学用樹脂組成物を充填する。光学用樹脂組成物の充填の際には、必要に応じて基材に対し加圧または加熱を行ってもよい。ただし、光学用樹脂組成物が熱重合開始剤を含む場合、加熱は重合が進行しない温度で行う。また、充填の際に2つの基材の間にスペーサーを配置することにより、本発明の光学素子の厚みを調整することができる。重合開始剤が光重合開始剤である場合、紫外線の照射により光学用樹脂組成物中の光重合開始剤を活性化し、充填された光学用樹脂組成物を硬化する。紫外線照射に使用する紫外線光源は、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が挙げられる。また、硬化の際には必要に応じて熱や超音波等の活性エネルギーを付与してもよい。重合開始剤が熱重合開始剤である場合、好適には、例えば80℃以上180℃以下で加熱することで重合が行われる。また、いずれの硬化方法においても、酸素による光学用樹脂組成物の硬化阻害を抑制するため、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中や真空中で硬化を行ってもよい。
本発明の光学素子において、前記透明基材は透明基材層となり、その表面の形状は、平面形状であっても、球面形状であっても、非球面形状であってもよい。このとき、透明基材の表面が回折格子形状を有することで、表面に回折格子形状を有する回折光学素子を製造することができる。また、硬化後に透明基材を剥離し、光学用樹脂組成物の硬化物の表面が開放された光学素子とすることもできる。
本発明の光学素子に用いられる透明基材としては、例えば、ガラスやプラスチックなどを用いることができ、酸化インジウムスズ(ITO)を含有した樹脂が好ましい。
また、本発明の光学用樹脂組成物を型と透明基材の間に配置した後、圧力をかけることにより、前記光学用樹脂組成物を型と透明基材層の間に充填させる。その状態に保ったまま、前記光学用樹脂組成物を光照射または加熱により硬化を行う。その後、前記型から離型することで透明基材上に任意の型形状が転写された本発明の光学素子を製造することができる。
こうして、製造された本発明の光学素子は光学機器に組み込んで用いることができる。特に好適には、カメラのレンズとして用いることができる。
[回折光学素子]
本発明の回折光学素子の全体構成について図1を用いて説明する。
この回折光学素子は、ガラスやプラスチックからなる透明基材層3の上に、回折格子形状を有する樹脂層としての高屈折低分散層1と低屈折高分散層2とが、隙間無く積層されている。なお、低屈折高分散層2と、高屈折低分散層1の積層順は逆であってもかまわない。また、透明基材層3は低屈折高分散層2と、高屈折低分散層1の積層物を挟み込むように積層されてもかまわない。
本発明の回折光学素子の全体構成について図1を用いて説明する。
この回折光学素子は、ガラスやプラスチックからなる透明基材層3の上に、回折格子形状を有する樹脂層としての高屈折低分散層1と低屈折高分散層2とが、隙間無く積層されている。なお、低屈折高分散層2と、高屈折低分散層1の積層順は逆であってもかまわない。また、透明基材層3は低屈折高分散層2と、高屈折低分散層1の積層物を挟み込むように積層されてもかまわない。
透明基材層3の両面は、平面であっても、球面形状であっても、非球面形状であってもよい。本発明の回折光学素子は、高屈折低分散層1が本発明の光学用樹脂組成物からなることを特徴とする。
続いて、上記回折光学素子の製造方法について述べる。ただし、製造方法は以下に述べる方法に限られない。
まず、任意の形状の型と透明基材層3の間に、低屈折高分散層2の材料を充填する。低屈折高分散層2用の材料の充填の際には、必要に応じて型および/または透明基材層3に対し加圧または加熱を行ってもよい。充填の際に2つの透明基材の間にスペーサーを配置することにより、本発明の回折光学素子の厚みを調整することができる。続いて、充填された低屈折高分散層2の材料を硬化し、低屈折高分散層2を形成する。前記硬化には、上記[光学素子の製造方法]と同様の方法を用いることができる。これを型より離形し、低屈折高分散層2を透明基材層3上に形成する。
まず、任意の形状の型と透明基材層3の間に、低屈折高分散層2の材料を充填する。低屈折高分散層2用の材料の充填の際には、必要に応じて型および/または透明基材層3に対し加圧または加熱を行ってもよい。充填の際に2つの透明基材の間にスペーサーを配置することにより、本発明の回折光学素子の厚みを調整することができる。続いて、充填された低屈折高分散層2の材料を硬化し、低屈折高分散層2を形成する。前記硬化には、上記[光学素子の製造方法]と同様の方法を用いることができる。これを型より離形し、低屈折高分散層2を透明基材層3上に形成する。
さらに、回折格子形状を表面に有する型と低屈折高分散層2と透明基材層3からなる基材との間に本発明の光学用樹脂組成物を充填し、上記[光学素子の製造方法]と同様の方法で光学用樹脂組成物を硬化した。こうして得られた回折光学素子は、高屈折低分散層1が回折格子形状を有する樹脂層となっている回折光学素子である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明をする。ただし、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
[光学用樹脂組成物の製造方法]
〔実施例1〕
ジルコニア−メタノール分散液(SZR−M/堺化学工業製、個数平均粒子径3nm、分散液中ジルコニア粒子濃度30質量%)100質量部に対し、分散剤として、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)[HOA−MS(N)/共栄社化学製]を4.5質量部、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(アルドリッチ製)を4.5質量部加え、撹拌し溶解させた。硬化性樹脂として、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを4.2質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.68質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを8.2部、並びに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.5質量部、分散液に溶解させた。その後、オイルバスで加熱しながらエバポレータにより40℃で減圧濃縮を行い、メタノールを除去し、光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例1〕
ジルコニア−メタノール分散液(SZR−M/堺化学工業製、個数平均粒子径3nm、分散液中ジルコニア粒子濃度30質量%)100質量部に対し、分散剤として、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)[HOA−MS(N)/共栄社化学製]を4.5質量部、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(アルドリッチ製)を4.5質量部加え、撹拌し溶解させた。硬化性樹脂として、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを4.2質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.68質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを8.2部、並びに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.5質量部、分散液に溶解させた。その後、オイルバスで加熱しながらエバポレータにより40℃で減圧濃縮を行い、メタノールを除去し、光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例2〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例3〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例4〕
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを6.4質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを4.0質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを12.5部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの添加量を0.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを6.4質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを4.0質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを12.5部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの添加量を0.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例5〕
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを7.9質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを5.0質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを15.5部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.9質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを7.9質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを5.0質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを15.5部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.9質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔実施例6〕
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを3.8質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.4質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを7.4部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを3.8質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.4質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを7.4部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例1〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例2〕
比較例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
比較例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例3〕
比較例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
比較例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例4〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例5〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例6〕
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例7〕
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを8.9質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを5.6質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを17.4部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを8.9質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを5.6質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを17.4部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
〔比較例8〕
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを3.4質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.1質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを6.7部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
実施例1の硬化性樹脂の含有量をトリス(2−アクロリクシエチル)イソシアヌレートを3.4質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.1質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを6.7部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で光学用樹脂組成物を得た。
[評価]
(屈折率)
各光学用樹脂組成物より得られた硬化物の屈折率を次のように測定した。厚さ1mmのガラス基材の上に、厚さ50μmのスペーサーを配置し、実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物を充填した。その上に厚みが1mmのガラス基材を載せ、光学用樹脂組成物を押し広げ、15mW/cm2、3000秒の条件で高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、光学用樹脂組成物を硬化した。得られた硬化物の屈折率を屈折計(KPR−30、(株)島津製作所)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。ただし、比較例2および比較例5で調製した光学用樹脂組成物はジルコニウム粒子の凝集により硬化しなかったため、また屈折率の比較例6で調製した光学用樹脂組成物は相分離してしまったため、硬化物の屈折率を測定できなかった。
(屈折率)
各光学用樹脂組成物より得られた硬化物の屈折率を次のように測定した。厚さ1mmのガラス基材の上に、厚さ50μmのスペーサーを配置し、実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物を充填した。その上に厚みが1mmのガラス基材を載せ、光学用樹脂組成物を押し広げ、15mW/cm2、3000秒の条件で高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、光学用樹脂組成物を硬化した。得られた硬化物の屈折率を屈折計(KPR−30、(株)島津製作所)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。ただし、比較例2および比較例5で調製した光学用樹脂組成物はジルコニウム粒子の凝集により硬化しなかったため、また屈折率の比較例6で調製した光学用樹脂組成物は相分離してしまったため、硬化物の屈折率を測定できなかった。
(散乱率)
光学用樹脂組成物より得られた硬化物の散乱率を次のように測定した。厚さ1mmのガラス基材の上に、厚さ500μmのスペーサーを配置し、実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物を充填した。その上に厚みが1mmのガラス基材を載せ、光学用樹脂組成物を押し広げ、15mW/cm2、3000秒の条件で高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、光学用樹脂組成物を硬化した。硬化物の散乱率を、分光光度計(U4000、日立製作所)にて測定し、散乱率を算出した。測定結果を表2に示す。ただし、比較例2および比較例5で調製した光学用樹脂組成物はジルコニウム粒子の凝集により白濁したため、また屈折率の比較例6で調製した光学用樹脂組成物は相分離してしまったため、硬化物の散乱率を測定できなかった。
光学用樹脂組成物より得られた硬化物の散乱率を次のように測定した。厚さ1mmのガラス基材の上に、厚さ500μmのスペーサーを配置し、実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物を充填した。その上に厚みが1mmのガラス基材を載せ、光学用樹脂組成物を押し広げ、15mW/cm2、3000秒の条件で高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、光学用樹脂組成物を硬化した。硬化物の散乱率を、分光光度計(U4000、日立製作所)にて測定し、散乱率を算出した。測定結果を表2に示す。ただし、比較例2および比較例5で調製した光学用樹脂組成物はジルコニウム粒子の凝集により白濁したため、また屈折率の比較例6で調製した光学用樹脂組成物は相分離してしまったため、硬化物の散乱率を測定できなかった。
(粘度)
実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物の粘度を日本ルフト(株)製、微小サンプル粘度計m−VROCを用いて、測定温度22.5±0.5℃の条件で測定した。
測定結果を表2に示す。ただし、比較例2〜6および比較例8で調製した光学用樹脂組成物は、粘度が非常に高かったため、測定ができなかった。
実施例1〜6および比較例1〜8で調製した各光学用樹脂組成物の粘度を日本ルフト(株)製、微小サンプル粘度計m−VROCを用いて、測定温度22.5±0.5℃の条件で測定した。
測定結果を表2に示す。ただし、比較例2〜6および比較例8で調製した光学用樹脂組成物は、粘度が非常に高かったため、測定ができなかった。
表2に示された結果から、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を質量比で1.0:1.25〜1.25:1.0の割合で含有し、光学用樹脂組成物中のジルコニア粒子の含有量が14体積%以上21体積%以下である光学用樹脂組成物は低粘度であり、該光学用樹脂組成物の硬化物は高屈折率かつ低散乱であることが分かる。
[回折光学素子の製造]
図1に示す本発明に係る回折光学素子を以下のように製造した。
キシレン126.3gに分散剤としてポリカプロラクトン2.9gを溶解させ、続いて金属酸化物微粒子として個数平均粒径15nmのITO微粒子14.4gを添加し、分散剤とITO微粒子の混合液を得た。得られた混合液を平均粒径30nmのジルコニア製ビーズを用いて、ビーズミル分散処理後、細孔が100nmのフィルターで濾過処理して、キシレンにITO微粒子が10質量%分散したスラリを得た。続いて前記スラリに、光重合開始剤が混合された紫外線硬化樹脂HV153(株式会社アーデル製)6.1gを溶解した。この混合液をエバポレータで、45℃、100ヘクトパスカルから徐々に圧力を下げ、最終的には3ヘクトパスカルへと減圧した。キシレンを12時間かけて十分に除去し、低屈折高分散層2のための低屈折率高分散材料を調製した。
図1に示す本発明に係る回折光学素子を以下のように製造した。
キシレン126.3gに分散剤としてポリカプロラクトン2.9gを溶解させ、続いて金属酸化物微粒子として個数平均粒径15nmのITO微粒子14.4gを添加し、分散剤とITO微粒子の混合液を得た。得られた混合液を平均粒径30nmのジルコニア製ビーズを用いて、ビーズミル分散処理後、細孔が100nmのフィルターで濾過処理して、キシレンにITO微粒子が10質量%分散したスラリを得た。続いて前記スラリに、光重合開始剤が混合された紫外線硬化樹脂HV153(株式会社アーデル製)6.1gを溶解した。この混合液をエバポレータで、45℃、100ヘクトパスカルから徐々に圧力を下げ、最終的には3ヘクトパスカルへと減圧した。キシレンを12時間かけて十分に除去し、低屈折高分散層2のための低屈折率高分散材料を調製した。
高屈折低分散層1の形成には本発明実施例1または比較例2の光学用樹脂組成物を用い、低屈折高分散層2の形成には上記の低屈折高分散材料を使用した。
回折格子構造の形状を転写するための金型上に低屈折率高分散材料を滴下し、透明基材層3としてS−FSL5(オハラ株式会社)を乗せて低屈折率高分散材料を押し広げた。続いて前記透明基材層3を介して20mW/cm2、1000秒の条件で高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を照射し、低屈折率高分散材料を硬化させた。前記透明基材層3ごと上部に引き上げ、金型より離型することで、前記透明基材層3上に低屈折高分散層2を作成した。次に、発明実施例1または比較例2の光学用樹脂組成物を低屈折高分散層2上に滴下し、透明基材層3としてS−LAH55V(オハラ株式会社)を載せて光学用樹脂組成物を押し広げた。続いて透明基材層3(S−LAH55V)を介して20mW/cm2、1000秒の条件で高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を照射し、高屈折低分散材料を硬化させることで、回折光学素子を得た。
回折格子構造の形状を転写するための金型上に低屈折率高分散材料を滴下し、透明基材層3としてS−FSL5(オハラ株式会社)を乗せて低屈折率高分散材料を押し広げた。続いて前記透明基材層3を介して20mW/cm2、1000秒の条件で高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を照射し、低屈折率高分散材料を硬化させた。前記透明基材層3ごと上部に引き上げ、金型より離型することで、前記透明基材層3上に低屈折高分散層2を作成した。次に、発明実施例1または比較例2の光学用樹脂組成物を低屈折高分散層2上に滴下し、透明基材層3としてS−LAH55V(オハラ株式会社)を載せて光学用樹脂組成物を押し広げた。続いて透明基材層3(S−LAH55V)を介して20mW/cm2、1000秒の条件で高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を照射し、高屈折低分散材料を硬化させることで、回折光学素子を得た。
[回折光学素子の散乱評価]
上記の方法で得られた回折光学素子を治具で固定し、実写を行った。得られた画像の輝度値より、回折光学素子の散乱値を測定した。結果を表3に示す。
上記の方法で得られた回折光学素子を治具で固定し、実写を行った。得られた画像の輝度値より、回折光学素子の散乱値を測定した。結果を表3に示す。
表3によれば、分散剤としてコハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ならびに[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸を添加して得られた実施例1で調製した光学用樹脂組成物より作成された光学素子は、低散乱率を有する。このことから、前記光学素子は高透明な光学特性を有し、カメラのレンズなどに用いられた場合には、良好な画像を得ることができることが分かる。
本発明の光学用樹脂組成物によれば、高屈折率かつ高透明な光学特性、ならびに低粘度、すなわち良加工性を発現できる。この光学用樹脂組成物を硬化することにより得られた光学素子とくに回折光学素子は、光学機器、特にカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に利用することができる。
1 高屈折低分散層
2 低屈折高分散層
3 透明基材層
2 低屈折高分散層
3 透明基材層
Claims (10)
- 前記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学用樹脂組成物。
- 前記コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)および[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸の含有量の和が前記ジルコニア粒子に対して、20質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学用樹脂組成物の硬化物を有する光学素子。
- 前記光学素子が回折光学素子であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
- 前記光学素子がレンズであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学素子。
- 請求項4乃至6のいずれか一項に記載の光学素子を有することを特徴とする光学機器。
- 前記光学素子がレンズであり、
前記光学機器がカメラであることを特徴とする請求項7に記載の光学機器。 - 基材の上に、表面に回折格子形状を有する樹脂層が設けられた回折光学素子の製造方法であって、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学用樹脂組成物を準備する工程と、
基材と格子形状を有する型の間に、前記光学用樹脂組成物を充填する工程と
前記充填された光学用樹脂組成物を硬化する工程と、
を有することを特徴とする回折光学素子の製造方法。
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