JP2018043958A - 排便改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】糞便の改善(性状改善、腐敗産物含有量改善)及び腸内フローラの改善を行う新規な排便改善用組成物の提供。【解決手段】ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物。糞便中のフェノール含有量を減少させ、クロストリジウムのサブクラスターXIVaを増加させる、及び/又はクロストリジウムのクラスターXIを減少させる、排便改善用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、糞便の改善(性状改善、腐敗産物含有量の改善)および腸内フローラを改善する排便改善用組成物に関する。
近年、食習慣の変化や、食物繊維の摂取不足、運動不足や無理なダイエット、ストレス、薬物、胃や腸、肝臓の機能障害等などが原因となり、便秘や下痢等の腸内環境の不具合に悩む人が増加しつつある。便秘は、数日程度で自然に回復し、正常な排便パターンに戻れば、お腹の張りや圧迫感、不快感、痛みといった一過性の不快症状のみで済むが、慢性化すると、腸内においてウエルシュ菌、大腸菌、腸球菌等の繁殖が活発化しやすくなり腸内フローラが好ましくない状態になり、腸内物質の腐敗することによる腐敗性物質などの毒素や発癌性物質の産生等が起こる。一方、愁訴の観点からは、胸やけや食欲不振、ニキビ、肌あれ、肩こり、頭痛、めまい、発熱、不眠、不安感増大や集中力低下等などの美容面や健康面における様々な身体的及び精神的症状が発現する間接的な原因となることも知られている。特に高齢者では、咀嚼力の低下、摂食量の減少、運動量の不足、筋力の低下、消化管や神経系の機能障害などの悪条件が重なって便秘が誘発されやすく、便秘から食欲不振、低栄養へと進み、更なる体力低下を招くという悪循環が形成されてしまう危険性がある。
便性を改善することで便通を改善したり、腸内フローラを改善することにより腸内環境の改善を行うためには、大腸管腔内における水分量の供給や保持、腸組織の蠕動運動の亢進、有用細菌の経口補完や生育促進物質の経口摂取などが知られており、それら作用を有する物質を経口摂取することにより改善する手段が提案されている。例えば、ε−ヴィニフェリンの経口摂取による消化管のイオンチャネル刺激し大腸管腔内における水分を供給する方法(特許文献1)、腸の蠕動運動の亢進効果を有するレインアンスロンを生成させるためにセンノイドとビフィドバクテリウムを経口摂取する方法(特許文献2)、大腸管腔内の水分量を増加させたり、腸内フローラを改善するなどのためにヒドロキシプロピル化澱粉を経口摂取する方法(特許文献3)、その他高アミロース含有米穀(特許文献4)、カッシア・アラタを含有する茶成分(特許文献5)、ハナビラタケ子実体の水エキス(特許文献6)などの植物や菌類由来の成分を経口摂取する方法などが挙げられる。
しかしながら、ポリフェノール類やキノン類などの芳香環構造を有する物質を比較的多量に長期間摂取すると副作用が発生する可能性があったり、腸内フローラの改善効果が得られない。また、食物繊維や難消化性澱粉などを用いる場合には、多量の成分の摂取を長期間継続しなければ十分な効果を得られない。しかし、摂取手段としての前記成分を豊富に含む経口組成物は、一般的に外観、味、歯触り、滑らかさ等の食感の観点で十分な嗜好性を確保できないため、そのような経口組成物を摂取すること自体に苦痛を伴うことから、長期間実施することが困難という問題があった。
特開2015−178481号公報 特開2015−097494号公報 特開2010−047606号公報 特開2015−097494号公報 特開2013−005730号公報 特開2010−100576号公報
本発明は、糞便の改善(性状改善、腐敗産物含有量の改善)および腸内フローラを改善する排便改善用組成物の提供を課題とする。
本発明者らは、ラクトフェリンを継続的に経口摂取することで、腸内フローラを改善し、糞便を改善(性状改善、腐敗産物含有量の改善)し排便を改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物。
項2.
糞便中のフェノール含有量を減少させる項1に記載の排便改善用組成物。
項3.
糞便中に存在するクロストリジウムのサブクラスターXIVaを増加させる、及び/またはクロストリジウムのクラスターXIを減少させる項1または項2の何れか1項に記載の排便改善用組成物。
項4.
医薬品組成物又は食品組成物である、項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
項5.
ラクトフェリンの一部が少なくともリポソームに内包されている項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
項6.
ラクトフェリンの一部がリポソームに内包されている項5に記載の組成物。
本発明によれば、腸内フローラを改善し、腸内フローラの適正化による便性や便通の改善、糞便中の腐敗性産物含有量の低減することにより腸内環境を改善することができる。また、健常者においては、より良好な腸内環境に整え、良好な状態を維持することが期待できる。特に、便秘の悩みを持っている人、野菜類や根菜類などの摂取が少ないなどの偏食する人や高齢者において有効である。
実施例において、試験開始前、開始後2週間目と4週間目における便性状評価において、「1」(硬い、コロコロ状)と評価した被験者数の全体数に対する占有比率(%)を示す。n=60。
ラクトフェリンは、分子量が約8万の鉄結合性の糖蛋白質であり、哺乳動物の乳汁、唾液、涙、精液、種々の粘液等に存在する。ヒトにおいても母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される初乳に多く存在し、新生児の免疫獲得など健康維持に関して重要な役割を果たしていると考えられている。また、ラクトフェリンは、新生児以降でも体内にも広く分布している。例えば、唾液、涙、十二指腸などの分泌液中に含まれており、新生児以外にとっても重要な役割を担っていると考えられている。本発明に用いるラクトフェリンは、コスト面から牛乳から抽出されたものが好適に用いられるが、由来は特に限定されない。また、アポラクトフェリン、天然型ラクトフェリンまたはホロラクトフェリンであってもよい。具体的には、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、水牛、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、これらの処理物である脱脂乳、ホエー等からイオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリン、ラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属を一部キレートさせた金属結合ラクトフェリン、または前記金属を完全にキレートさせた金属飽和ラクトフェリン、等を使用することができる。 特にウシ由来又はヒト由来のラクトフェリンが好ましい。市販品としては、例えば、森永ラクトフェリンMLF−EX(森永乳業株式会社製)、「Bioferrin」(Glanbia Nutritionals社製)、「Lactoferrin」(Fonterra社製)を好ましく用いることができる。
本発明に用いるラクトフェリンはリポソームに内包された態様(以下、「ラクトフェリンを含んだリポソーム」、「ラクトフェリンを内包したリポソーム」という場合がある。)であってもよい。つまり、ラクトフェリンを含んだリポソームも好ましく用いることができ、ラクトフェリンの一部がリポソームに内包されている態様が最も好ましい。本発明はラクトフェリンを含んだリポソームも有効成分として含む、排便改善用組成物も包含する。
リポソームは脂質小胞体であり、リン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される。一般的に、脂質二重層の数に基づいて分類され、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)などに分類される。本発明のリポソームは、これらのいずれであってもよい。好ましいのはMLVである。本発明では、リポソームの大きさは、通常30〜1000nm、好ましくは30〜600nm、より好ましくは50〜200nmである。
リン脂質としては、通常レシチンが使用できる。レシチンとしては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチンなどを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができるがこれらに限定されない。本発明では、これらの水素添加物を用いることもできる。レシチンはホスファチジルコリン又は1,2−ジアシルグリセロール 3−ホスホコリンとも称され、一般的に、グリセロールの1位及び2位に脂肪酸が結合している。本発明では、上記例示のレシチンに加えて、1位及び2位の両方又は片方に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが好ましく、1位に炭素数12〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが特に好ましい。ここで、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は直鎖状及び分枝状のいずれでもよい。好ましい不飽和脂肪酸としては、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を使用できる。特に2位にオレイン酸、リノール酸が多く結合したレシチンが好ましい。具体的には、卵黄レシチン、大豆レシチンが好ましい。
ラクトフェリンを含んだリポソームは、従来の方法により製造することができる。例えば、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量のステロールを、例えばエタノールなどの適当な有機溶媒で可溶化し、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これにラクトフェリンや任意の生理活性物質を含む水溶液を添加して、例えば、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム懸濁液を調製することにより、ラクトフェリンを封入したリポソームを得ることができる。
また、この方法とは別に、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量ステロールを少量のエタノールに溶解後、水溶液又は緩衝液に分散して予備乳化を行った後、高圧で分散させて脂質二重層を形成させてリポソーム懸濁液を調製することによってもラクトフェリンを封入したリポソームを得ることができる。
ステロールとしては、コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール;β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、エルゴスタディエノール、シトステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましく用いられる。
リポソームにおけるレシチンとステロールのモル比は、55:45〜95:5程度が好ましく、60:40〜90:10程度がより好ましく、75:25〜85:15程度が最も好ましい。モル比がこれらの範囲にあるとリポソーム膜の安定性が向上する。なお、レシチン又はステロールの含有量は既知の方法で測定できる。例えば、レシチンの含有量はFiske−Subbarow法など、ステロールの含有量はHPLC、比色法などによって定量できる。
本発明において使用される、ラクトフェリンを内包したリポソームにおいて、ラクトフェリンはリポソーム膜に囲まれる空間に封入されていることが好ましいが、ラクトフェリンがリポソーム膜構成成分として含まれていてもよいし、多重膜リポソームを構成する多重膜の間に含まれていてもよいし、リポソーム膜のうちの最も外側の膜にラクトフェリンが付着又は結合する形態で含まれていてもよい。
得られたラクトフェリンを内包したリポソームの懸濁液は、必要に応じて、リポソーム外液中のラクトフェリンを除去する操作、例えば懸濁液を濾過後,得られた濾液を透析する操作を行ってもよい。また、リポソームの懸濁液は、液状のままでも使用できるが、凍結乾燥した乾燥物として使用することもできる。リポソームは、その乾燥物を錠剤やカプセル化したものをはじめ、様々な経口摂取に適した形態とすることが可能である。
ラクトフェリンを内包したリポソームの懸濁液中におけるラクトフェリン、レシチンおよびステロールの含有量は、以下のとおりである。ラクトフェリンの含有量は好ましくは10〜99質量%程度、より好ましくは20〜95質量%程度、さらに好ましくは30〜90質量%程度。レシチンの含有量は、好ましくは1〜80質量%程度、より好ましくは3〜65質量%程度、さらに好ましくは5〜50質量%程度。ステロールの含有量は、好ましくは0〜40質量%程度、より好ましくは0.1〜30質量%程度、さらに好ましくは1〜20質量%程度である。また、ラクトフェリンを内含したリポソームに含まれるラクトフェリンの量としては、リポソームの総脂質量の50〜2000質量%であることが好ましく、100〜1000質量%であることがより好ましい。なお、リポソームの総脂質量とは、リポソームを構成する油分の総和であり、当該油分にはレシチンやステロールだけでなく、油溶性ビタミンであるビタミンEおよび類縁化合物も含まれる。
さらに、ラクトフェリンを内含したリポソームの表面をコーティングすることができ、このコーティング物も有効成分として利用できる。好ましいコーティングとしては、硫酸基を含有する多糖類によるコーティングがあげられる。硫酸基含有多糖類としては、フコイダン、カラギーナン、寒天、ヘパリンなどが挙げられる。また、該硫酸基含有多糖類としては、硫酸基を含まない多糖を硫酸化したものも包含され、例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などであってもよい。
硫酸基含有多糖類としては、分子量が5000〜300000程度のものが好ましく用いられる。これらの硫酸基含有多糖類の中でもフコイダン及びカラギーナンを好ましく用いることができ、特にフコイダンが好ましい。硫酸基含有多糖類の使用量は、例えば、リポソームに含有されるレシチン100質量部に対して、10〜500質量部程度が好ましく、20〜200質量部程度がより好ましい。
コーティングは、例えば、ラクトフェリンを含んだリポソームを含む懸濁液に、硫酸基含有多糖類を加え、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌することにより行うことができる。また、1つのコーティング膜の中に複数のリポソームが含まれていてもよい。なお、リポソームが硫酸基含有多糖類でコーティングされていることは、例えば、リポソーム溶液のゼータ電位が、硫酸基含有多糖類を添加して撹拌した際に変化することにより確認できる。
便秘状態になり、腸内に糞便が長期時間滞留すると腸内細菌により糞便の腐敗分解が進み、フェノールなどの腐敗産物が生成する。フェノールの産生量は腸内細菌叢の状態によっても増減する。便秘により腸内細菌叢が変化することが知られており、慢性的な便秘状態においては、糞便の腸滞留時間だけでなく、腸内細菌叢の変化が原因で、腐敗産物であるフェノールが多く発生すると考えられている。腸内で発生したフェノールは、その多くが糞便中に含まれて排泄されるほか、一部は腸管から吸収される。その過程において、腸内細菌叢のバランスを変化させ便秘症状を悪化させたり、腸管バリアに損傷を与えるなど腸内における悪影響をもたらすだけでなく、肌荒れなど全身にも悪影響を与えるといわれている。本願発明のラクトフェリンを含有する排便改善用組成物を摂取すると糞便中のフェノール含有量が減少することから、便通を改善したり、腸内細菌叢を好ましいバランス状態にする効果が期待できる。
上記の通り、当該ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物を経口摂取すると、好ましい腸内細菌叢のバランスになるよう促進することができる。特に、クロストリジウムのサブクラスターXIVaに属する細菌種を増加させる効果、及びクロストリジウムのクラスターXIに属する細菌種を減少させる効果、を好ましく奏する。
クロストリジウムのサブクラスターXIVaは、腸内環境の恒常性維持に寄与するサブクラスターと考えられており、特に酪酸産生菌のほとんどを含むとされる。そして、産生された酪酸は、大腸Treg細胞を誘導して腸管粘膜の炎症を抑制するとされている。また、クロストリジウムのサブクラスターXIVaに属する最優性菌種は、腸管内ポリアミンを産生する。ポリアミンは、炎症抑制作用や腸管バリア機能維持作用があるとされている。
クロストリジウムのクラスターXIは、いわゆる腐敗菌を多く含むとされており、その中には病原性のある菌も存在すると考えられている。クロストリジウムのクラスターXIに属する細菌種により、タンパク質に含まれているアミノ酸の一種であるチロシンからフェノール類が産生されるとされる。前記の通り、そのフェノール類の一部は腸から吸収され、血液を介して体内を循環し、生体内で様々な悪影響を示すことから、腸内におけるフェノール類の産生を抑制することは、腸の状態を健全にするだけでなく、全身における健康維持にも効果を発揮できる可能性があるものと考えられている。
本発明に包含されるラクトフェリンを含有する排便改善用組成物は、経口摂取することにより、クロストリジウムのサブクラスターXIVaの腸内細菌叢に対する占有率を増加させるだけではなく、併せてクロストリジウムのクラスターXIの腸内細菌叢に対する占有率を減少させることもできる点で、優れている。このために、腸内炎症抑制作用や腸管バリア機能維持作用のみならず、腸内のフェノール類産生抑制作用も奏することができる。腸内のフェノール類産生により、肌荒れ(特に保湿性低下、ハリ喪失、吹き出物、ターンオーバー低下等)が起こるおそれが知られており、よってフェノール産生抑制により肌荒れ改善効果が期待できる。また、腸内炎症は、生活習慣病の引き金になる可能性があることが近年わかってきており、例えば動脈硬化、糖尿病、肝臓病といった生活習慣病の予防にも効果を発揮するものと考えられる。
当該ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物におけるラクトフェリンの含有量は本発明の効果が奏される範囲であれば特に制限されない。例えば、1〜10000mg、5〜5000mg、10〜2000mg、又は20〜1000mg程度が例示できる。また、含有割合も特に制限はされず、例えば0.1〜100質量%、1〜99質量%、又は10〜80質量%程度、が例示できる。またさらに、当該排便改善用組成物を摂取する場合のラクトフェリンの摂取量も特に制限はされず、例えば成人一日あたり10〜10000mg、20〜5000mg、30〜2000mg、又は50〜1000mg程度が例示できる。
また、当該ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物は、成人1日当たり1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて摂取することが好ましい。子供の場合は、年齢に応じて摂取回数を制限したり、1回当たりの摂取量を制限する事が好ましい。制限の方法としては例えば、成人であれば複数個摂取するところを摂取する個数を減らしたり、タブレットや打錠剤に割線を設け、摂取量に応じて分割してから摂取する方法などが挙げられる。摂取量を適用対象はヒトが好ましいが、ヒト以外の非ヒト哺乳動物であってもよい。適用対象が非ヒト哺乳動物(例えばペット又は家畜、より具体的には、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ等)の場合も、当該ヒトの投与又は摂取量を参考として適宜設定することができる。
当該ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物は、医薬組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物(飲料組成物及び食品添加物組成物を包含する)として好ましく用いることができる。
医薬組成物や医薬部外品として用いる場合、他の成分としては、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が例示できる。また、当該医薬組成物の形態も特に制限されず、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤等が例示できる。これらの形態の医薬製剤は、必要に応じて当該他の成分と、ラクトフェリンを組み合わせて常法により調製することができる。
食品組成物として用いる場合、他の成分としては、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料が例示できる。また、当該食品組成物の形態も特に制限されず、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの保健機能食品;病者用食品、妊産婦授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳などの特別用途食品;栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、サプリメントなどの、いわゆる健康食品;病者向け調理済み食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。これらは常法により調製することができる。特に、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの保健機能食品;病者用食品、妊産婦授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳などの特別用途食品;栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、サプリメントなどの、いわゆる健康食品として、食品組成物を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(飲料パウダー、ドリンク剤等)等の形態で調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤、飲料パウダー、ドリンク剤の形態が摂取の簡便さの点からは好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。なお、食品組成物の中でも食品添加物組成物として用いる場合には、その形態として、例えば液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられる。
特に制限はされないが、当該ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物の上記その他の成分としては、デキストリン、セルロース、レシチン(特に大豆由来)、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム等が特に好ましく例示される。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
排便回数および便性状にラクトフェリンが与える影響の検討
試験組成物として、森永ラクトフェリンMLF−EX(森永乳業株式会社製)を用いた。 MLF−EXは、既存の天然食品添加物であるウシ由来LFを90%以上含む食品用原料である。MLF−EX以外に、デキストリン、セルロース、レシチン(大豆由来)、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウムを配合し、打錠して錠剤(300mg)を製造した。製造時、当該錠剤6錠あたり、LFとして270mgを含むように原材料量を調整した(すなわち、1錠300mgあたりラクトフェリン45mgを含有する)。また、プラセボとして、MLF−EXをデキストリンで置き換えた錠剤も同様に製造した。これらの錠剤を一日6錠ずつ、4週間被験者に摂取させた。試験開始2週間前から試験開始時の2週間、試験開始後から2週目までと試験開始後2週間目から4週目までにおいて、排便の日にちとその回数および各排便時の便性状に関して、被験者の目視による評価を実施した。便性状は、「1」硬い、コロコロ状、「2」やや硬い、「3」バナナ状、半練状、「4」柔らかめ、トグロ状、「5」泥状、水状、の5段階評価とした。なお、当該試験の被験者は、60名(男性31名、女性29名、年齢40.5±11.0歳)であった。当該被験者は、2週間の事前調査において、排便回数が1週間に3〜5回程度であった者を選出した。また、当該試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較法で実施した。
得られた結果について、被験者毎に、排便回数は各期間における1週間当たりの平均排便数を算出し、便性状は期間中の評価点の総計を排便回数で除した平均値を算出した。次いで、各試験期間毎に前記で算出した被験者の平均値を総括し、その中央値を求めた。さらに、求めた中央値について、試験開始2週間前から試験開始時の2週間の数値をベースとした各試験期間における変化値を算出した。変化値が正の値の場合は、試験開始前の期間の中央値より飲用試験開始後の期間の中央値の方が大きい値であることを示している。得られた結果を表1に示す。また、各評価において、便性状の評価を「1」硬い、コロコロ状、とした被験者数の総被験者数に対する占有比率(%)を求め、得られた結果を図1に示す。
Figure 2018043958
便性状に関しては、図1に示したとおり、ラクトフェリン飲用群(LLF)はプラセボ群と比較して、飲用期間が長くなるほど排便障害を引き起こしやすい、いわゆる硬い(カチカチ、コロコロ)糞便性状と評価する被験者数が大幅に減少したことが分かった。加えて、被験者全員における便性状の評価点を比較しても、表1に示したとおり、ラクトフェリン飲用群(LLF)はプラセボ群と比較して、飲用期間が長くなるほど便性状は柔らかくなる変化を認めた。また、表1に示したとおり排便回数は、飲用試験開始後2週間の時点ではラクトフェリン飲用群(LLF)とプラセボ群との間に差を認めなかったが、飲用開始後4週間目においては、明らかにラクトフェリン飲用群(LLF)の排便回数が増加し、便性状の変化が実際の排便状態の改善に影響を与えていることが分かった。
糞便中のフェノール含有量と腸内細菌叢におけるクロストリジウムクラスターにラクトフェリンが与える影響の検討
試験組成物として、森永ラクトフェリンMLF−EX(森永乳業株式会社製)を用いた。 MLF−EXは、既存の天然食品添加物であるウシ由来LFを90%以上含む食品用原料である。MLF−EX以外に、デキストリン、セルロース、レシチン(大豆由来)、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウムを配合し、打錠して錠剤(300mg)を製造した。製造時、当該錠剤6錠あたり、LFとして270mgを含むように原材料量を調整した(すなわち、1錠300mgあたりラクトフェリン45mgを含有する)。また、プラセボとして、MLF−EXをデキストリンで置き換えた錠剤も同様に製造した。これらの錠剤を一日6錠ずつ、4週間被験者に摂取させた。また試験開始0、2、4週後を検査日として、各検査日の前後3日間以内において、採便キットを用いて各被験者に自身の糞便検体約1gを採取させ、凍結した状態で回収した。そして、当該糞便検体を用いて、腸内フローラの細菌種の解析、及び糞便中のフェノールの濃度測定を行った。腸内フローラの細菌種の解析は、T−RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism Analysis)法を用いて行った。フェノール濃度測定はGC−MSで行った。これらの解析及び測定は、いずれも株式会社テクノスルガ・ラボ(静岡県静岡市)に委託した。なお、当該試験の被験者は、60名(男性31名、女性29名、年齢40.5±11.0歳)であった。当該被験者は、2週間の事前調査において、排便回数が1週間に3〜5回程度であった者を選出した。また、当該試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較法で実施した。
得られた結果を表2にそれぞれ示す。表2において、糞便中のフェノール含有量については、試験開始時と飲用開始後4週間目の分析結果を示した。また、腸内細菌叢におけるクロストリジウムの(サブ)クラスターの占有率の変化については、試験開始時の腸内細菌叢における占有率と飲用開始後4週間目の腸内細菌叢における占有率を比較し、試験開始時の腸内細菌叢における占有率を100としたときの飲用開始後4週間目の腸内細菌叢における占有率の相対値を求め、その結果を示した。なお、クロストリジウムのクラスターとは、16SrDNAの塩基配列に基づき、分子系統的にクラスター分けしたものであり、未整理の分類群も存在するため、クロストリジウム属以外の属も一部含まれる。
Figure 2018043958
表2に示したとおり、糞便中に含有されるフェノール量は、プラセボ群において試験開始時と飲用開始後4週間目の含有量は殆ど変化していなかったが、ラクトフェリン飲用群(LLF)においては、試験開始時に比べ飲用開始後4週間目の含有量は明らかに減少した。また、腸内細菌叢におけるクロストリジウムの(サブ)クラスターの占有率の変化については、人体に有用と考えられる細菌が多く含まれているクロストリジウムのサブクラスターXIVaにおいて、プラセボ群は変化が見られなかったがラクトフェリン飲用群(LLF)は増加傾向にあった。一方、人体に悪影響を与えると考えられる細菌が多く含まれているクロストリジウムのクラスターXIにおいて、プラセボ群は増加していたがラクトフェリン飲用群(LLF)は逆に減少していた。糞便中に含まれるフェノールは腸内細菌によって産生されることが知られており、前記の各クラスターの変化が寄与していると考えられる。

Claims (4)

  1. ラクトフェリンを含有する排便改善用組成物。
  2. 糞便中のフェノール含有量を減少させる請求項1に記載の排便改善用組成物。
  3. 糞便中に存在するクロストリジウムのサブクラスターXIVaを増加させる、及び/またはクロストリジウムのクラスターXIを減少させる請求項1または2の何れか1項に記載の排便改善用組成物。
  4. 医薬品組成物又は食品組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
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