以下、本発明の一実施形態による乾燥装置について図1から図21を用いて説明する。本実施形態による乾燥装置1は、布団や衣類などの生活用品を乾燥する装置である。
まず、本実施形態による乾燥装置1の全体構成について図1から図4を用いて説明する。図1は、乾燥装置1の外観を示す斜視図である。図1(a)は、右正面下方から見た乾燥装置1の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、右背面下方から見た乾燥装置1の外観を示す斜視図である。図2は、乾燥装置1の外観を示す正投影図である。図2中上段には、乾燥装置1の平面図が図示され、図2中中段には、左から乾燥装置1の左側面図、正面図、右側面図及び背面図がこの順に図示され、図2中下段には、乾燥装置1の底面図が図示されている。図3は、乾燥装置1に備えられた筐体3の分解斜視図である。図4は、乾燥装置1の分解斜視図である。図5は、乾燥装置1に備えられた主回路基板350及び操作回路基板323の回路ブロック図である。なお、図5では、理解を容易にするため、主回路基板350に接続された商用交流電源101、モータ91、ヒータ611、サーモスタット614及び温度ヒューズ613と、操作回路基板323に接続されたサーミスタ81,621とが併せて図示されている。図6は、操作回路基板323に設けられた抵抗値測定回路の回路ブロック図である。なお、図6では、理解を容易にするため、商用交流電源101と、主回路基板350に実装されているAC/DCコンバータ75と、サーミスタ81,621とが併せて図示されている。
図1及び図2に示すように、乾燥装置1は、全体的に直方体形状を有する筐体3と、筐体3の上面側に突出して設けられたホース5とを有している。筐体3は、正面側に配置される正面パネル(筐体の正面部の一例)32と、ホース5が設けられて背面側に配置される本体部31とを有している。ホース5は、筐体3の外側に伸びて筐体3に形成された吐出口317(詳細は後述)に一端が取り付けられている。
図3に示すように、本体部31は、正面パネル32側が開口した箱形状を有している。本体部31は、乾燥対象物に温風を吐出するための種々の装置(詳細は後述する)を収容する収容空間300を有している。収容空間300は、第1側壁31a、底面部31e、第2側壁31b、上面部(吐出口が形成された側壁の一例)31d及び背面部31cとで囲まれて形成されている。第1側壁31aは、筐体3の右側面側に配置されている。第2側壁31bは、筐体3の左側面側であって第1側壁31aに対向して配置されている。底面部31eは、筐体3の底面側に配置されて第1及び第2側壁31a,31bに挟まれて配置されている。底面部31eは、第1及び第2側壁31a,31bに直交している。上面部31dは、筐体3の平面側(上面側)に配置されて第2側壁31b及び第1側壁31aの間に配置されている。背面部31cは、筐体3の背面側に配置されて第1及び第2側壁31a,31b、底面部31e並びに上面部31dに直交して配置されている。背面部31cは、第1及び第2側壁31a,31bのそれぞれの長辺側の一辺から延出されて形成されている。背面部31cは、第1及び第2側壁31a,31b並びに上面部31d及び底面部31eと隣接している。
第1及び第2側壁31a,31b並びに背面部31c及び底面部31eは、ほぼ平坦な外表面を有している。第1及び第2側壁31a,31b並びに背面部31c及び底面部31eが互いに接するそれぞれの角部は、丸みを帯びた形状に形成されている。上面部31dの角部には、後述するホース収容部8が設けられている。このため、上面部31dは、一部が底面部31e側に落ち込んだ段差形状を有している。また、第1側壁31aは、ホース収容部8の設けられた領域分だけ上面部31d及び背面部31c側が切り欠かれた形状を有している。また、背面部31cも同様に、ホース収容部8の設けられた領域分だけ上面部31d及び第1側壁31a側が切り欠かれた形状を有している。
図1及び図2に戻って、筐体3は、第1側壁31aに着脱自在に設けられた蓋部2を有している。蓋部2は、後述するコード収納部314(図3参照)に収納した電源コード(不図示)が筐体3の外部に飛び出すのを防止するために設けられている。蓋部2は、第1側壁31aのほぼ中央部から背面部31c及び底面部31eと隣接する各辺にまで至る薄板矩形状を有している。蓋部2には、長方形状に形成された複数の貫通穴で構成された吸気口21が形成されている。吸気口21は、乾燥対象物に送風する温風を生成するための空気を筐体3の収容空間300に吸気するために設けられている。また、蓋部2には、正面パネル32側にツマミ部22が設けられている。ツマミ部22は、第1側壁31aに形成された穴部315(図3参照)と係止可能に形成されている。ツマミ部22を吸気口21側に引き寄せることにより、ツマミ部22と穴部315との係止状態が解除されて、蓋部2は筐体3から外れるようになっている。蓋部2は、底面部31e及び背面部31cとが交わる角部に切欠き部23を有している。蓋部2が第1側壁31aに取り付けられていると、切欠き部23は、背面部31cとともに開口を形成する。この開口は、電源コードの引き出し部となる。このため、乾燥装置1を使用する際にコード収納部314から引き出された電源コードをこの開口に通すことにより、蓋部2を第1側壁31aに取り付けた状態でも電源コードを乾燥装置1の外部に引き出すことができる。これにより、乾燥装置1は、蓋部2を第1側壁31aに取り付けた状態で動作することができる。
図3に示すように、蓋部2(図3では不図示)によって覆われる第1側壁31aの領域には、吸気口(第1吸気口の一例)312と、コード収納部314を外部に向けて開口する開口部314aとが設けられている。吸気口312は、乾燥対象物に送風する温風を生成するための空気を筐体3の収容空間300に吸気するために設けられている。吸気口312は、長方形状に形成された複数の貫通穴で構成されている。吸気口312は、蓋部2を筐体3に取り付けた際に、吸気口21と対応する位置に設けられている。また、吸気口312を構成する複数の貫通穴は、蓋部2を筐体3に取り付けた際に、蓋部2を構成する複数の貫通穴と重なるようになっている。これにより、蓋部2を筐体3に取り付けた状態で乾燥装置1を動作させても、乾燥装置1は、効率よく外気を収容空間300に吸気することができる。
底面部31eには、吸気口(第2吸気口の一例)313が設けられている。吸気口313は、長方形状に形成された複数の貫通穴によって構成されている。吸気口313は、乾燥対象物に送風する温風を生成するための空気を筐体3の収容空間300に吸気するために設けられている。底面部31eは、吸気口313の周囲に設けられた複数(本例では4つ)の脚部(凸部の一例)33を有している。脚部33は、底面部31eから筐体3の外部に向かって突出して形成されている。脚部33は、筐体3の外部に向かって突出して形成されているため、乾燥装置1を所定場所に載置したときに、底面部31eと当該所定場所との間に脚部33の高さ分だけの隙間を形成できる。このため、底面部31eを所定場所に対面させて乾燥装置1を使用する場合にも、乾燥装置1は、脚部33によって形成される隙間から吸気口313を介して筐体3の収容空間300に空気を吸気できる。
乾燥装置1は、筺体3の設置状態によって自機(すなわち乾燥装置1)の動作を停止又は継続させる動作スイッチ部73(図5参照)を有している。動作スイッチ部73は、例えば後述する主回路基板350に設けられている。また、乾燥装置1は、乾燥装置1の設置状態を検知するセンサ(図5参照)を例えば主回路基板350に備えている。このセンサは、筐体3の傾斜角度を検出する傾斜センサ13(図5参照)を備えている。動作スイッチ部73は、吸気口312又は吸気口21が被載置面に対面する設置状態を検知して乾燥装置1の動作を停止させる。また、動作スイッチ部73は、吸気口313が被載置面に対面する設置状態のときにも乾燥装置1の動作を継続させる。乾燥装置1が布団を乾燥する場合には、被載置面は乾燥装置1が載置される例えば敷布団の表面となる。乾燥装置1が靴などを乾燥する場合には、被載置面は乾燥装置1が載置される例えば床面となる。動作スイッチ部73の構成及び傾斜センサ13の他の構成との接続関係は後述する。
乾燥装置1が吸気口313を被載置面に対面させた設置状態で動作しても、脚部33の高さ分だけ吸気口313と被載置面との間に隙間が形成されているため、乾燥装置1は、この隙間及び吸気口313を介して筐体3内に空気を吸気できる。また、このとき、吸気口21,312からも筐体3内に空気が吸気される。このため、モータ91(詳細は後述)が過動作することはない。したがって、動作スイッチ部73は、この設置状態であってもオン状態を維持し、乾燥装置1の動作を継続する。
蓋部2が筐体3に取り付けられたときに、蓋部2の表面は、第1側壁31aの表面とほぼ面一になる。また、吸気口21の周囲には、脚部33のように第1側壁31aから外部に向かって突出する部材が形成されていない。このため、乾燥装置1が、吸気口21を被載置面に対面させた設置状態にあると、吸気口313と被載置面との間に隙間がほとんど生じない。また、蓋部2を筐体3から取り外して第1側壁31aと被載置面とを対面させた設置状態では、蓋部2が取り外されている分だけ、吸気口312と被載置面との間には隙間が生じる。しかしながら、この隙間は極僅かである。また、乾燥装置1の被載置面が敷布団のような柔らかい面である場合、蓋部2が外されていても、吸気口312がこの柔らかい面に潜り込んで塞がれるおそれがある。このため、この隙間を介する吸気口313と、吸気口312とから筐体3内に吸気される空気の量は、乾燥装置1の設計上の吸気量に対して十分でない。その結果、蓋部2が筐体3から取り外され、かつ吸気口312が被載置面に対面した設置状態で乾燥装置1が動作すると、乾燥装置1は、設計上設定された量の空気を筐体3内に吸気しようとするため、モータ91を過動作させてしまう可能性がある。このため、動作スイッチ部73は、この設置状態ではオフ状態となり、乾燥装置1の動作を停止し、モータ91の過動作やこの過動作に起因する乾燥装置1の破損を防止するようになっている。
上面部31dには、筐体3に吸気した空気から生成した温風が吐出される吐出口317と、吐出口317に並んで設けられたホース収容部8が形成されている。ホース収容部8は、上面部31d、背面部31c及び第1側壁31aが互いに隣接する角部(筐体3の角部)を切り欠いて形成されている。ホース収容部8は、直方体形状の空間である。ホース収容部8は、ホース5(図1参照)に設けられたホース先端部材53(詳細は後述)をホース収容部8に収容したときに、ホース先端部材53の側面が第1側壁31a及び背面部31cの表面を含む平面からはみ出さない大きさに形成されている。
吐出口317の下方であって背面部31cの一部には、後述するヒータケース612の露出面612aが露出する開口部319が形成されている。
図1及び図2に戻って、正面パネル32は、第1側壁31a及び第2側壁31bの互いに対向する辺(すなわち、本体部31の開口端の一部)に跨って設けられている。正面パネル32は、第1側壁31a及び第2側壁31bの互いに対向する辺であって正面パネル32が跨る辺に対向する辺に跨って設けられた背面部31cと対向して配置されている。正面パネル32は、本体部31に対向して配置される正面部32aと、正面部32aの端部の周囲に設けられた側壁32bとを有している。側壁32bは、本体部31の開口形状に倣う形状を有している。正面パネル32は、側壁32bを本体部31の開口に当接するとともに、この開口を塞いだ状態で本体部31に固定される。正面パネル32の正面部32aの中央上側寄りには、使用者が温度設定などの操作を行う操作ボタンを備えた操作パネル321と、LEDの発光状態を確認するためのLED表示窓322とが設けられている。
筐体3は、背面部31cに対向する正面パネル32側からホース5の一端と同方向に延出する把持部330を有している。より具体的に、把持部330は、本体部31に設けられたアーチ状の突出部と、正面パネル32に設けられたアーチ状の突出部とで構成されている。本体部31の突出部と、正面パネル32の突出部とは、本体部31と正面パネル32とを向い合せると重なり合うようになっている。これにより、第1側壁31a側から第2側壁31b側に向かうアーチ状の把持部330が形成される。把持部330は、ホース5が設けられた領域よりも正面側に配置され、使用者が乾燥装置1を持ち運ぶ際に把持する部分である。把持部330は、ホース5が突出する方向と同方向に延出して設けられている。正面パネル32側からホース取付部材52(詳細は後述)と同方向に延出する把持部330の長さは、同方向のホース取付部材52の長さより短くなっている。
ホース5は、筐体3の上面部31dに設けられている。ホース5は、筺体3の外側で上面部31dに設けられた吐出口317(図3参照)に一端が取り付けられている。吐出口317に取り付けられるホース5の一端には、筒状のホース取付部材52が設けられている。また、吐出口317に取り付けられていない側のホース取付部材52の端部には、屈曲自在な筒状の屈曲部材51が取り付けられている。さらに、ホース取付部材52が取り付けられていない側の屈曲部材51の端部には、筒状のホース先端部材53が取り付けられている。ホース先端部材53は、ホース5の他端に設けられている。また、ホース先端部材53は、屈曲部材51が設けられていない側の端部にノズル54を有している。ノズル54は、筐体3から吐出口317を介してホース5に送風された温風が吐出する吐出部である。ノズル54の詳細は後述する。図2中の背面図に示すように、ホース先端部材53の長さは、ホース取付部材52の長さとホース収容部8の深さとの和とほぼ同一長である。ホース収容部8の深さは、上面部31dの吐出口317が形成された面から底面部31e側に向かう方向の長さである。乾燥装置1は、ホース5の一端(ホース取付部材52)と他端(ホース先端部材53)とを隣合せて他端をホース収容部8に収容した状態で、収納場所に収納できるようになっている。
図2に示すように、ホース5と把持部330との間には空間部4が形成されている。把持部330の正面パネル32の正面側(操作パネル321が設けられている面側)に対向する第1面S1と、ホース取付部材52の背面部31cに対向する第2面S2とは平行である。乾燥装置1の正面側から投影視で、把持部330の外縁に囲まれる領域であって第1面S1を含む平面と第2面S2を含む平面とで挟まれる空間が空間部4である。
次に、乾燥装置1の内部の全体構成について図1から図3を参照しつつ図4を用いて説明する。
図4に示すように、吸気口312(図3参照)の全面には、筐体3の収容空間300側にフィルタ327が設けられている。また、吸気口313の全面には、筐体3の収容空間300側にフィルタ328が設けられている。吸気口312,313の全面にフィルタ327,328を設けることにより、吸気中に異物が収容空間300内に進入するのを防止できる。
乾燥装置1は、吸気口312と吐出口317(図3参照)とを有する筐体3と、筐体3の収容空間300に収容されたモータ91及びファン92bを含む送風部(送風手段の一例)9とを有している。送風部9は、外部から吸気口312,313を介して空気を吸気し、吐出口317側へ送風するようになっている。ファン92bは、ファンケース92aに回転自在の状態で収納されている。ファン92bは、ファンケース92aが固定部93に固定された状態で筐体3の収容空間300に収容されている。固定部93は、本体部31の背面部31c側から正面パネル32側に向かって突出して形成されたボス311c(図3参照)にねじ止めされて本体部31に固定される。
乾燥装置1は、筐体3の収容空間300に収容されてファン92bと吐出口317との間に設置された加熱部61と、ファン92bから吐出口317まで直線状に形成された送風路6とを有している。加熱部61は、送風部9から送風された空気を温めて温風を生成するようになっている。送風路6は、加熱部61で生成された温風を送風部9が生じさせた気流に乗せて下流側のホース5に流通させるようになっている。加熱部61は、送風部9と吐出口317との間に配置されている。送風路6には、送風部9側に設けられた加熱部61と、吐出口317側に設けられた通風路62とが含まれる。加熱部61は、ヒータケース612と、ヒータケース612に収容されたヒータ(加熱手段の一例)611と、ヒータケース612に設けられた温度ヒューズ613及びサーモスタット614とを有している。
また、筐体3には、収容空間300内にコード収納部314の領域を画定するための仕切板331が設けられている。仕切板331は、薄板形状部材を二面が直交するように折り曲げられて形成されている。仕切板331を収容空間300内に配置することにより、仕切板331と第1側壁31a(図3参照)及び背面部31cとでコード収納部314が収容空間300内に画定される。仕切板331は、モータ91を固定する固定板としても機能するようになっている。
また、筐体3の収容空間300内には、主回路基板(回路基板の一例)350が設けられている。図5に示すように、主回路基板350は、コード収納部314に収納される電源コードを介して商用交流電源101に接続されている。主回路基板350には、交流100Vの商用電源が入力するようになっている。主回路基板350は、入力する交流100Vの電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換するAC/DC(交流/直流)コンバータ75(図6参照)、動作スイッチ部73を含みモータ91やヒータ611を駆動する駆動回路、AC/DCコンバータ75や駆動回路を制御する制御部71などを有している。制御部71は、例えばマイコンで構成されている。主回路基板350は、本体部31にねじ止めされて収容空間300内に固定される。
動作スイッチ部73は、商用交流電源101の一方の端子に接続されるリレー731と、リレー731に接続されたトライアック734、リレー732及びリレー733とを有している。トライアック734はモータ91に接続され、リレー732はヒータ611に備えられた第1ヒータ611a(詳細は後述)の一方の端子に接続され、リレー733はヒータ611に備えられた第2ヒータ611b(詳細は後述)の一方の端子に接続されている。第1及び第2ヒータ611a,611bのそれぞれの他方の端子は互いに接続されてサーモスタット614の一方の端子に接続されている。サーモスタット614の他方の端子は温度ヒューズ613の一方の端子に接続され、温度ヒューズ613の他方の端子は商用交流電源101の他方の端子に接続される。トライアック73及びリレー731,732,733は、制御部71に開閉が制御され、モータ91及びヒータ611を駆動する。
図4に戻って、筐体3の収容空間300内には、操作回路基板323及びLED回路基板340が設けられている。操作回路基板323は、操作パネル321の操作に基づいてヒータ611の温度や動作時間などの設定を制御する制御回路(マイコン11(図5参照))などを有している。操作回路基板323に設けられた種々の回路は、主回路基板350から供給される電圧や電流を電源として動作するようになっている。操作回路基板323には、表示装置が設けられており、この表示装置によって運転終了までの時間などが報知される。操作回路基板323は、正面パネル32にねじ止めされて収容空間300内に固定される。
図5及び図6に示すように、操作回路基板323は、マイコン11と、手動スイッチ15と、傾斜センサ13と、抵抗値測定回路(抵抗値測定手段の一例)を構成する抵抗17及び抵抗19とを有している。手動スイッチ15は、操作パネル321(図1参照)に設けられた操作ボタンに対応付けられて操作回路基板323に設けられた、例えばタクトスイッチである。手動スイッチ15は、乾燥装置1の使用者が温度や時間設定の際に操作ボタンを介して操作するスイッチである。手動スイッチ15は、マイコン11に接続されており、使用者の操作に基づく信号をマイコン11に出力するようになっている。マイコン11は、手動スイッチ15から入力する種々の信号に対して設定温度や動作時間などの条件を選択し、選択した情報を主回路基板350の制御部71に出力する。制御部11は、マイコン11から入力する情報に基づいて、動作スイッチ部73を制御してモータ91の動作やヒータ611の温度を制御する。
傾斜センサ13は、主回路基板350に設けられた制御部71に接続され、検出信号を制御部71に出力するようになっている。傾斜センサ13は、筐体3の設置状態を検知して、検知信号を制御部71に出力する。制御部71は、傾斜センサ13から入力する検知信号に基づいて、筐体3の設置状態を判定し、動作スイッチ部73を制御する。これにより、動作スイッチ部73は、筐体3の設置状態を検知し、乾燥装置1の動作の停止や継続を実行する。
マイコン11には、サーミスタ81,621(詳細は後述)が接続されている。マイコン11は、サーミスタ81,621の抵抗値を検知する。サーミスタ81,621は筐体3内の所定箇所に設けられている。マイコン11は、サーミスタ81,621の抵抗値が所定値を上回るとヒータ611の動作を停止するための所定信号を制御部71に出力する。また、マイコン11は、サーミスタ81,621の抵抗値がこの所定値を上回った後にこの所定値よりも小さい値の他の所定値を下回るとヒータ611の動作を再開するための所定信号を制御部71に出力するようになっている。制御部71は、マイコン11からのこれらの所定信号が入力すると、リレー732,733を制御してヒータ611への電力供給を制御する。
図6に示すように、抵抗値測定回路を構成する抵抗17は、AC/DCコンバータ75の所定の出力端子に一方の端子が接続され、他方の端子がマイコン及びサーミスタ81の一方の端子に接続されている。また、抵抗値測定回路を構成する抵抗19は、AC/DCコンバータ75の他の所定の出力端子に一方の端子が接続され、他方の端子がマイコン及びサーミスタ621の一方の端子に接続されている。サーミスタ81,621の他方の端子は接地されている。抵抗値測定回路は、乾燥装置1に電源が投入された後にサーミスタ81,621の抵抗値を例えば所定の時間間隔で測定し、測定した抵抗値を電圧に変換した信号をマイコン11に出力するようになっている。例えば抵抗17の一方の端子に5Vの電圧が印加されている場合に、サーミスタ81が開放状態となってオープン不良が発生すると、抵抗17の他方の端子の電圧は5Vとなるため、マイコン11には5Vの電圧信号が入力される。また、サーミスタ81が短絡状態となってショート不良が発生すると、抵抗17の他方の端子の電圧は0Vとなるため、マイコン11には0Vの電圧信号が入力される。同様に、例えば抵抗19の一方の端子に5Vの電圧が印加されている場合に、サーミスタ621が開放状態となってオープン不良が発生すると、抵抗19の他方の端子の電圧は5Vとなるため、マイコン11には5Vの電圧信号が入力される。また、サーミスタ621が短絡状態となってショート不良が発生すると、抵抗19の他方の端子の電圧は0Vとなるため、マイコン11には0Vの電圧信号が入力される。マイコン11は、0V又は5Vの電圧信号が抵抗17,19から入力されると、サーミスタ81,621が不良状態であると判定し、乾燥装置1を動作しないように制御部71を介して制御する。より具体的には、マイコン11は、ヒータ611への電力供給を停止してホース5から温風が吐出されるのを停止するようになっている。これにより、乾燥装置1は、異常動作を検知したら自動的に停止できるようになっている。また、抵抗値測定回路は、電源コード差込時、すなわち電源投入時のサーミスタ81,621の抵抗値を測定するように構成されている。このため、乾燥装置1は、動作開始直前の異常を検知することができるので異常動作を予防できる。
図4に戻って、LED回路基板340は複数(本例では3つ)のLEDを有している。LED回路基板340は、このLEDの発光を制御してホース5から吐出される空気の温度を使用者に報知するようになっている。例えば、LED回路基板340は、赤色に発光するLEDと、黄色に発光するLEDと、青色に発光するLEDとを有している。LED回路基板340は、赤色のLEDを発光することにより高温の空気(温風)が吐出されていることを報知し、黄色のLEDを発光することにより低温の空気(温風)が吐出されていることを報知し、青色のLEDを発光することにより送風のみであることを報知する。LED回路基板340の前面(正面パネル32側)には、拡散材を含有した光透過性材料で形成された保護部材326と、正面パネル32との間に所定の間隙を設けるためのスペーサ部材324とが配置されている。保護部材326を用いることにより、面的に均一に発光する。また、LED回路基板340の背面側(本体部31側)には固定部材325が配置されている。LED回路基板340は、固定部材325を正面パネル32の裏面側にねじ止めすることにより、収容空間300内で正面パネル32に固定されるようになっている。LED回路基板340に実装されたLEDの発光状態がLED表示窓322を介して確認できるように、LED回路基板340はLED表示窓322にLEDを向けた状態で正面パネル32に固定される。
ホース5に設けられたホース取付部材52は、吐出口317側の端部が吐出口317の開口面積よりも広がる矩形状領域522を有している。ホース取付部材52は、筐体3の収容空間300側から吐出口317に挿入して外部に押し出すことにより、矩形状領域522が上面部31dの裏面側に引っ掛かるようになっている。この矩形状領域の角部のうちの背面部31c側の2つの角部には、矩形状領域522に直交する方向に伸びる突出部523が設けられている。突出部523には貫通穴が設けられている。ホース取付部材52は、突出部523をねじ及びナット(いずれも不図示)によって本体部31に固定して筐体に取り付けられている。
屈曲部材51は、ホース取付部材52側の端部に設けられた円筒形状の筒部512と、ホース先端部材53側の端部に設けられた円筒形状の筒部513とを有している。筒部512,513は、屈曲できないように構成されている。屈曲部材51は、筒部512をホース取付部材52に挿入してホース取付部材52に取り付けられている。また、屈曲部材51は、筒部513をホース先端部材53に挿入してホース先端部材53に取り付けられている。筒部512には、フィルタ56が取り付けられている。筒部513と、ホース先端部材53との間には、接続部材57が配置されている。接続部材57は、対向する一対の挟み部57aを有している。筒部513は、一対の挟み部57aで挟まれた状態でホース先端部材53に取り付けられる。ホース先端部材53と一対の挟み部57aとは固定されている。一対の挟み部57aは筒部513を挟んでいるだけなので、ホース先端部材53は、一対の挟み部57aとともに筒部513に対して回転自在に取り付けられる。
図3に示すように、第2側壁31bにおける本体部31の開口端には、2つの爪部318が設けられている。また、本体部31の把持部330を構成する領域には、ほぼ中央部に形成された貫通穴330aと、貫通穴330aの両側に形成された係止部330bとが設けられている。正面パネル32には、正面パネル32を本体部31に重ね合わせたときに2つの爪部318に対応する位置に形成されて爪部318が係止される係止部(不図示)と、貫通穴330aに対応する位置に形成されて本体部31側に向かって突出する突出部320aと、2つの係止部330bに対応する位置に形成された爪部320bとが設けられている。正面パネル32を本体部31に重ね合わせて本体部31側に向かって押し込むと、2つの爪部318は正面パネル32に形成された係止部に係止され、突出部320aが貫通穴330aに挿入され、2つの爪部320bは対向する係止部330bに係止される。
図4に戻って、正面パネル32には、長辺側の側壁32b近傍で本体部31側に向かって突出して形成された突出部320cと、把持部330が設けられていない側の角部近傍と長辺側側壁32bの近傍で本体部31側に向かって突出して形成された3つのボス320dとが設けられている。突出部320cの頂部近傍には、短辺側の側壁32bの伸びる方向と平行な方向に形成されたねじ穴が設けられている。本体部31と正面パネル32と重ね合わせて爪部318などを係止したときに、このねじ穴に対応する第1及び第2側壁31a、31bの位置に貫通穴311b(図3参照)が形成されている。
また、本体部31と正面パネル32と重ね合わせて爪部318などを係止すると、ボス320dの先端は本体部31の裏面(正面パネル32に対面する面)に当接するようになっている。ボス320dが当接する本体部31の位置には、貫通穴311aが形成されている。ボス320dの先端には、ボス320dの伸びる方向にねじが切られている。このため、貫通穴311bに挿入したねじ(不図示)を突出部320cのねじ穴にねじ止めし、貫通穴311aに挿入したねじ(不図示)をボス320dにねじ止めする。さらに、把持部330に設けられた貫通穴にねじを挿入してナットで固定する。これにより、正面パネル32は本体部31に固定される。
次に、筐体3内の各部材の配置関係や各部材の詳細な構成について図1から図4を参照しつつ図7から図16を用いて説明する。図7は、乾燥装置1に備えられた正面パネル32及びホース5を取り除いた状態の斜視図である。図7(a)は、左正面上方から見た乾燥装置1の外観を示す斜視図であり、図7(b)は、右正面下方から見た乾燥装置1の外観を示す斜視図である。図8は、乾燥装置1に備えられた正面パネル32及びホース5を取り除いた状態の正面図である。図8(a)は、主回路基板350を取り付けた状態の乾燥装置1を示し、図8(b)は、主回路基板350を取り外した状態の乾燥装置1を示している。
図7及び図8に示すように、モータ91は、吸気口312が設けられた筺体3の第1側壁31a側に配置されている。ファン92b(図4参照)を収納するファンケース92aは、モータ91を挟んで吸気口312と対向して配置されている。ファン92bは、吸気口312とモータ91とを結ぶ延長線上に配置されている。コード収納部314は、第1側壁31aに形成された開口部314aからファンケース92a側に向かって形成され、モータ91と並んで配置されている。コード収納部314は、モータ91よりも筐体3の背面部31c側に配置されている。図7(b)に示すように、コード収納部314の開口部314aは、第1側壁31aにおいて吸気口312と並んで配置されている。コード収納部314は、背面部31c側に配置され、吸気口312は、正面パネル32(図7及び図8では不図示)側に配置されている。詳細は後述するが、乾燥装置1は、吸気口が形成されていない第2側壁31bとファンケース92aとを隙間を設けて配置することにより、筐体3の収容空間300内に所定の流路を発生させる。これにより、乾燥装置1は、筐体3の収容空間300に空気がが滞留し、収容空間300で温度上昇が発生するのを防止するようになっている。
図8(a)に示すように、主回路基板350は、モータ91とコード収納部314(図7参照)とが重なる方向(すなわち、本体部31の開口端を含む平面に直交する方向)に見て、モータ91及びファンケース92aと重ならないように配置されている。また、主回路基板350は、第1及び第2側壁31a,31bの長手方向の一辺側から第1及び第2側壁31a,31bに平行な方向に見て、モータ91及びファンケース92aと重ならないように配置されている。ここで、第1及び第2側壁31a,31bの長手方向の一辺は、第1及び第2側壁31a,31bの端辺のうち本体部3の開口端を構成する端辺である。主回路基板350は、コード収納部314の斜め上方に隣接して設けられている。このため、乾燥機1は、電源コードを筐体3内に引き回さずに、コード収納部314から主回路基板350に接続できるようになっている。
図8(a)及び図8(b)に示すように、通風路62には、加熱部61を制御するためのサーミスタ(第2温度センサの一例)621が設けられている。サーミスタ621は、送風路6におけるヒータ611よりも下流側であってヒータ611の直後に配置されている。サーミスタ621は、乾燥装置1の動作時にヒータ611の温度が設定値となっているか否かを検出するために設けられている。
図8(b)に示すように、ホース収容部8の筺体3内側には、サーミスタ(第1温度センサの一例)81が設けられている。乾燥装置1は、温度センサとして2つのサーミスタ81,621を有している。サーミスタ81は、ホース収容部8にホース5を配置したときに、上面部31dを挟んでノズル54と対向する位置に配置されている。より具体的に、サーミスタ81は、主回路基板350(図8(b)では不図示)よりも背面部31c側であってホース収容部8の下方に位置する筐体3の収容空間300内に配置されている。サーミスタ81は、加熱部61を制御するために設けられている。ホース先端部材53がホース収容部8に配置された状態で誤って乾燥装置1に電源が投入されると、加熱部61で生成された温風がホース先端部材53から外部に吐出される。そうすると、ホース収容部8は、ホース先端部材53から吐出された温風によって加熱され温度が上昇する。サーミスタ81は、ホース収容部8周囲の温度を検知して検知信号を主回路基板350に出力する。主回路基板350に設けられた制御部71は、マイコン11を介してサーミスタ81から入力する検知信号に基づいてホース収容部8周囲の温度が所定の閾値を超えたと判定したら、加熱部61の動作を停止する。このように、乾燥装置1は、異常動作を検知して自動的に停止できるようになっている。
固定部93は、固定部93の一部を切り欠いて背面部31cとほぼ平行となるようにモータ91側に折り曲げた爪部93bを有している。爪部93bには貫通穴が形成されている。固定部93は、この貫通穴に挿入したねじをボス311cに形成されたねじ穴にねじ止めすることにより、爪部93bがボス311cに固定された状態で本体部31に配置される。
次に、送風部9及び送風路6について図1から図8を参照しつつ図9から図12を用いて説明する。図9は、送風部9に送風路6を取り付けた状態での送風部9及び送風路6の正投影図である。図9中上段には、送風部9及び送風路6の平面図が図示されている。図9中中段には、左から送風部9及び送風路6の左側面図、正面図及び右側面図がこの順に図示されている。図9中下段には、送風部9及び送風路6の底面図が図示されている。なお、図9では、送風部9及び送風路6の背面図の図示は省略されている。図10は、送風路6の正投影図である。図10中上段には、送風路6の平面図が図示されている。図10中中段には、左から送風路6の正面図、右側面図及び背面図がこの順に図示されている。図10中下段には、送風路6の底面図が図示されている。なお、図10では、送風路6の左側面図の図示は省略されている。図11は、送風路6の斜視図である。図11(a)は、右背面上方から見た送風路6の斜視図であり、図11(b)は、上方右寄りから見た送風路6の斜視図である。図12は、図2中の正面図に示すA−A線で切断した乾燥装置1の断面図である。
図9に示すように、送風部9は、モータ91とファン92bとを有している。モータ91は、固定部93の一方の面側に固定されている。固定部93には、ほぼ中央に貫通穴93aが形成されている(図4参照)。モータ91は、回転軸91a(図9中の左側面図及び図4参照)を貫通穴93aに挿入した状態で固定部93に固定される。モータ91が固定部93に固定されると、回転軸91aは、固定部93の他方の面側に突出する。また、モータ91は、固定部93に固定されるとともに、仕切板331にも固定されている。図9中の平面図及び底面図に示すように、仕切板331で画定されてモータ91が取り付けられていない側の領域がコード収納部314となる。
ファン92bは、固定部93の他方の面側に配置され、モータ91の回転軸91aに固定される。これにより、ファン92bは、回転軸91aの回転に応じて回転することができる。ファン92bは、ファンケース92a内に回転自在に収納されている。ファンケース92aは、ファン92bの外形に沿う形状に形成されてファン92bが配置されるファン配置部911と、ファン配置部911の側壁の一部から伸びて形成され送風路6に空気を排気する排気部912とを有している。また、ファンケース92aは、固定部93に対面させる面とは反対側でファン配置部911を開口する開口部913を有している。開口部913は、周囲からファンケース92a内に空気を吸気する吸気口のうち主要な吸気口となる。ファンケース92aは、主要な吸気口となる開口部913を吸気口が形成されていない第2側壁31b(図8参照)に向けて配置されている。
ファン92bの回転軸及びモータ91の回転軸91aは、第1側壁31a(図8参照)に直交するように配置されている。ファン92bは例えばシロッコファンである。ファンケース92a内に吸気した空気は、ファン92bの回転軸に対して直角、すなわち遠心方向に流れる。ファンケース92a内には、ファン92bの回転に伴ってファン92bの回転方向に気流が発生する。この気流は、ファン92bとファン配置部911との間に発生しつつ、排気部912を介して送風路6に向かって生じる。
図9中の左側面図に示すように、ファン92b及びモータ91が固定部93に固定された状態でのファン92bの回転軸(すなわちモータ91の回転軸91a)方向からの投影視で、モータ91は、ファンケース92aの外形内に収まるように配置されている。また、コード収納部314も同様に、ファン92b及びモータ91が固定部93に固定された状態でのファン92bのモータ91の回転軸91a方向からの投影視で、ファンケース92aの外形内に略収まるように配置されている。また、ファン92b及びモータ91が固定部93に固定された状態での回転軸91a方向からの投影視で、モータ91及びコード収納部314は、並んで配置されている。ファン92bは、ファン92bの回転軸をモータ91の回転軸91aに一致させた状態でモータ91に取り付けられる。また、モータ91の高さは、ファン92bの直径よりも短くなっている。このため、ファン92bをモータ91に取り付けると、回転軸91a方向からの投影視で、モータ91の下方に空間が生じる。本実施形態では、モータ91の下方に生じるこの空間をコード収納部314として利用している。これにより、乾燥装置1は、筐体3の収容空間300を無駄なく活用できるので、小型化が図られる。
図9に示すように、ファンケース92aの排気部912に隣接して送風路6が配置されている。送風路6は、ファンケース92aの下流側に配置されている。送風路6は、加熱部61と通風路62とを有している。加熱部61はファンケース92aに隣接して設けられている。通風路62は、加熱部61と筐体3に形成された吐出口317(図3参照)との間に配置されている。図9中の平面図に示すように、コード収納部314は、送風路6がファンケース92aの排気部912に取り付けられた線上に配置されていない。乾燥装置1は、送風路6及びファンケース92aの排気部912が並ぶこの線上の隣にコード収納部314を配置することにより、筐体3の外形がこの線上方向に長くなることを防止し、小型化が図られている。
次に、送風路6の構成についてより具体的に説明する。図10及び図11に示すように、加熱部61は、筒形状のヒータケース612と、ヒータケース612の内部空間61a(図11(b)及び図4参照)に配置されたヒータ611とを有している。ヒータケース612の外表面の一部である露出面612aは、筐体3の背面部31cに形成された開口部319(図3参照)に露出する。露出面612aは矩形状の外縁を有し、開口部319も矩形状の外縁を有している。露出面612aは、開口部319より一回り小さく形成されている。このため、露出面612aは、開口部319との間にほとんど隙間なく配置され、外部に露出することができる。
ヒータ611は、ファン92bの回転軸と直交する方向でファンケース92aに隣接して配置されている。ヒータ611は、ファンケース92a内に吸気された空気が排気されるファンケース92aの排気口に隣接して配置されている。ヒータ611は、ヒータケース612の内部空間61aに配置されている。ヒータ611は、例えば複数(本例では2つ)の第1及び第2ヒータ611a,611b(図5参照)を有している。第1及び第2ヒータ611a,611bは、PTC(Positive Temperature Coefficient(正温度係数))ヒータで構成されている。第1及び第2ヒータ611a,611bは独立して動作することができる。第1及び第2ヒータ611a,611bはヒータケース612の内部空間61aを流通する空気の送風方向に対して直交するように隣接し密着して並んで配置されている。乾燥装置1は、電流を供給する第1及び第2ヒータ611a,611bの個数を変更して、ホース5から吐出する空気の温度を制御するようになっている。例えば、空気の温度を高温に設定する場合には、第1及び第2ヒータ611a,611bの双方に電流を供給し、空気の温度を低温に設定する場合には、第1及び第2ヒータ611a,611bのいずれか一方に電流を供給する。さらに、乾燥装置1は、吸気した空気の温度を上昇させずにそのままホース5から吐出する送風のみの場合には、第1及び第2ヒータ611a,611bのいずれにも電流を供給しない。ヒータ611は、主回路基板350に設けられた制御部71に制御される。操作回路基板323(図4参照)は、操作パネル321(図4参照)を用いて使用者が設定した設定温度に基づく情報を主回路基板350に出力する。主回路基板350に設けられた制御部71(図5参照)は、操作回路基板323から入力する情報に基づいて、第1及び第2ヒータ611a,611bのうち駆動対象のヒータを決定し、ホース5から吐出される空気の温度が設定値となるようにヒータ611を駆動する。
ヒータケース612の内部空間61aは、ファンケース92aから排気された空気を下流側の通風路62に送風する流路となる。ヒータ611は、複数の狭い隙間を有している。ファンケース9から送風された空気は、内部空間61aに進入し、ヒータ611に設けられた複数の狭い隙間を流れ、第1及び第2ヒータ611a,611bの少なくともいずれか一方で温められて温風となり、ヒータ611を通り抜けて通風路62の内部空間62aに進入する。
また、図11(b)に示すように、加熱部61は、露出面612aに直交する一側面側であってヒータケース612内に設けられた温度ヒューズ613及びサーモスタット614を備えている。サーモスタット614は、バイメタルを有し、機械的にオン/オフ制御する。乾燥装置1は、サーミスタ81,621による温度制御の他に、サーモスタット614及び温度ヒューズ613によっても温度制御するようになっている。サーモスタット614は、加熱部61の温度が高温側の所定値以上になると、オフ状態となる。サーモスタット614は、ヒータ611に直列接続されているため(図5参照)、オフ状態となると主回路基板350からヒータ611への電流の供給を遮断する。これにより、乾燥装置1は加熱部61の過熱を防止するようになっている。また、サーモスタット614は、加熱部61の温度が低温側の所定値以下になると、オン状態となり、主回路基板350からヒータ611への電流の供給を再開するようになっている。これにより、乾燥装置1は、ホース5から吐出される温風の温度が必要以上に低下するのを防止するようになっている。
温度ヒューズ613は、加熱部61の温度が所定値以上になると例えば溶断する。温度ヒューズ613は、ヒータ611に直列接続されているため(図5参照)、溶断すると主回路基板350からヒータ611への電流の供給を遮断する。温度ヒューズ613は、溶断した後に加熱部61の温度が所定値よりも低くなっても、溶断したままである。このため、温度ヒューズ613が溶断する温度は、サーモスタット614やサーミスタ81,621における温度比較対象の所定値よりも高く設定されている。温度ヒューズ613は、加熱部61の過熱を防止する最終的な保護手段となる。
図10及び図11に示すように、加熱部61で生成された温風が流入する通風路62は、筒形状を有している。通風路62の内部空間62aは、加熱部61の内部空間61aと連通している。上述のとおり、通風路62の内部空間62aには、サーミスタ621が設けられ、加熱部61から送風される温風の温度を検出するようになっている。通風路62の下流側開口端は、吐出口317の形状とほぼ同一の形状に形成されており、吐出口317に挿入できるようになっている。
図12に示すように、ファンケース92aに加熱部61の上流側端部が接続され、加熱部61の下流側端部に通風路62の上流側端部が接続され、吐出口317に取り付けられたホース5のホース取付部材52の端部に通風路62の下流側端部が接続される。ファンケース92aの排気部912、加熱部61、通風路62及びホース取付部材52は、一直線上に並んで配置される。屈曲部材51をこの一直線上に沿って伸ばすことにより、ファンケース92aの排気部912からノズル54(図2参照)の吐出口まで一直線上に配置される。これにより、ファン92bから送風され吐出口317から吐出する空気は、ホース5の内壁面などに衝突せずにノズル54から外部に流出できる。このため、乾燥装置1は、吐出口317から吐出する空気の風圧の損失を防止できる。ファンケース92a、加熱部61、通風路62及びホース取付部材52が接続されることにより、ファンケース92aの内部空間92cと、加熱部61の内部空間61aと、通風路62の内部空間62aとは連通する。これにより、ファンケース92aから送風される空気は、温風となってホース5の内部に流通できる。
次に、ホース5の構成について図1から図12を参照しつつ図13から図16を用いてより具体的に説明する。図13は、ホース取付部材52を取り除いた状態の乾燥装置1を背面側から見た斜視図である。図14は、乾燥装置1を図2中の正面図に示すB−B線及びC−C線で切断した断面図である。図14(a)は、B−B線で切断した乾燥装置1の断面図であり、図14(b)は、C−C線で切断した乾燥装置1の断面図である。図15は、アロマケース55が挿入された状態のノズル54の正投影図である。図15中上段には、ノズル54の平面図が図示され、図15中中段には、左からノズル54の正面図、右側面図及び背面図がこの順に図示され、図15中下段には、ノズル54の底面図が図示されている。なお、図15では、ノズル54の左側面図の図示は省略されている。また、図15において、温風の吐出側をノズル54の正面としている。図16は、ノズル54に挿入されるアロマケース55の斜視図である。図16(a)は、アロマケース55がノズル54に挿入される状態を示し、図16(b)は、アロマケース55を展開した状態を示している。
図13に示すように、ホース5に取り付けられるフィルタ56は、ホース取付部材52側の屈曲部材51の端部に設けられた筒部512に配置されている。フィルタ56は、筒部512の上流側、すなわち温風の流入側に配置されている。フィルタ56は、送風路6からホース5の他端(ホース先端部材53側)との間に備えられている。図13及び図14(a)に示すように、フィルタ56は、複数の細長い部材を交差させたメッシュ状に形成されている。
図14(a)に示すように、ホース取付部材52及びホース先端部材53は筒状に形成されている。また、屈曲部材51も筒状に形成されている。ホース取付部材52の内部空間52aと、屈曲部材51の内部空間51aと、ホース先端部材53の内部空間53aとは、連通している。このため、吐出口317からホース取付部材52に流入した温風は、ホース取付部材52の内部空間52a、屈曲部材51の内部空間51a及びホース取付部材52の内部空間53aを流通してホース先端部材53の端部に設けられたノズル54から吐出される。また、ホース取付部材52には、ホース収容部8側の側面とこの側面に対向する側面に設けられた吐出口521を有している。吐出口521は、複数の長方形状の貫通穴で構成されている(図1及び図2参照)。乾燥装置1は、吐出口317からホース取付部材52に流入した温風の一部を吐出口521から吐出することにより、ホース取付部材52近傍に配置された乾燥対象物に温風を吹きかけて乾燥対象物を乾燥させることができる。
図14(b)に示すように、ホース5は、ホース先端部材53に設けられた磁石531と、ホース先端部材53をホース収容部8に収容した際に、磁石531と対向する筺体3の内側の位置に設けられた強磁性体326とを備えている。乾燥装置1は、磁石531及び強磁性体326という簡単な構成で、ホース先端部材53をホース収容部8に収容した状態を維持できる。なお、乾燥装置1は、ホース先端部材53に設けられた強磁性体と、ホース先端部材53をホース収容部8に収容した際に、この強磁性体と対向する筺体3の内側の位置に設けられた磁石とを備えていてもよい。後述するノズル54の挿入部543は、吐出側から見たときに、ホース5の断面を2等分する位置に設けられている。より具体的には、挿入部543は、吐出側から見たときに、ホース5の一部であるホース先端部材53の断面を2等分する位置に設けられている。
図15に示すように、ホース先端部材53に設けられたノズル54は、芳香剤及び消臭剤のいずれか一方を収納するアロマケース55が挿入される開口部541と、開口部541を備える挿入部543とを有している。ノズル54は、吐出口317(図3参照)から送風された温風の吐出側に開口部541及び挿入部543を有している。ノズル54は、開口部541及び挿入部543を吐出側に向けて設けているため、ノズル54をホース先端部材53から取り外さなくてもアロマケース55を着脱できる。ノズル54は、正面視(すなわち、温風の吐出側から見て)で、ホース先端部材53の開口形状に倣う形状に形成された取付部544を有している。ノズル54は、取付部544によってホース先端部材53の吐出側の端部に取り付けられている。
開口部541は、吐出側からアロマケース55を差し込み可能に開口している。開口部541は、正面視で、ノズル54の中央部での幅が最も狭く両端部で幅広となる形状を有している。挿入部543は、開口部541から取付部544側に向かって設けられている。挿入部543は、開口部541の幅が最も狭くなる中央部を含みアロマケース55の幅とほぼ同じ長さを直径とする円の領域に設けられている。挿入部543は、開口部541のほぼ中央に設けられた第1挟持部材543aと、第1挟持部材543aを挟んで対向して配置た一対の第2挟持部材543bとを有している。第1挟持部材543aは、取付部544側に向かって伸びて形成されたU字形状を有している。第2挟持部材543bは、挿入部543が設けられた円の領域のほぼ円周上に設けられている。第2挟持部材543bは、取付部544側に向かって伸びるU字形状の部材と、このU字形状の部材に隣接する直方体形状の部材とで構成されている。この直方体形状の部材は、取付部544側に向かって伸び、U字形状の部材の間隙とほぼ同じ長さの幅を有し、この間隙に隣接させて配置されている。第2挟持部材543bには、U字形状の部材と直方体形状の部材とで三方を囲まれた溝部が形成される。
第1及び第2挟持部材543a,543bのU字形状の部材の間隙はアロマケース55の厚さよりも短く形成されている。また、第1及び第2挟持部材543a,543bの長さは、アロマケース55の長さより長く形成されている。さらに、第1及び第2挟持部材543a,543bは樹脂で形成されて弾性力を有している。このため、図15に示すように、アロマケース55が挿入部543に挿入されると、アロマケース55の長手方向の中央部は第1挟持部材543aに挟まれ、アロマケース55の長手方向の両端部は第2挟持部材543bの溝部に挿入される。このようにして、アロマケース55は、第1及び第2挟持部材543a,543bに挟持され、一定以上の外力を加えない限り挿入部543内に保持される。また、挿入部543は、ホース5から排気される空気の風圧に抗してアロマケース55を保持できるようになっている。
ノズル54は、挿入部543の両端で対向するノズル54の外周縁部に設けられた切欠き部542を備えている。切欠部542は、開口部541の両端を構成する。切欠き部542の形状は、アロマケース55の挿入方向に向かって徐々に大きくなりその後小さくなる。すなわち、図15中の右側面図に示すように、切欠き部542は円弧形状を有している。切欠き部542は、アロマケース55の着脱時に利用される。例えばアロマケース55をノズル54に装着する場合には、使用者がアロマケース55の両端部を摘まんだ状態でアロマケース55を挿入部543に挿入すると、使用者の指は切欠き部542に位置するため円滑にアロマケース55を挿入部543に挿入できる。図15中の右側面図に示すように、アロマケース55の端部の一部は切欠き部542に露出している。このため、例えばアロマケース55をノズル54から取り出す場合には、使用者は切欠き部542に指を挿入させてアロマケース55の挿入方向に伸びる側面の約1/3の領域でアロマケース55を摘まむことができる。これにより、使用者は、アロマケース55が挿入部543から加えられている力よりも強い力を両端部からアロマケース55に加えることができるので、ノズル54からアロマケース55を容易に取り出すことができる。
図16(a)に示すように、アロマケース55は、薄板形状を有している。アロマケース55は、第1箱部551と第1箱部551に対向して配置された第2箱部552とを有している。また、アロマケース55は、短辺の一方に折り曲げ部553を有している。第1及び第2箱部551,552は、折り曲げ部553によって展開可能に形成されている。図16(b)に示すように、アロマケース55は、折り曲げ部553を回転軸として、第1箱部551及び第2箱部554とを開いた状態とすることができる。第1箱部551及び第2箱部554は、互いに対向する側を開口端とする箱形状を有している。このため、第1箱部551及び第2箱部554を閉じた状態とすると、第1箱部551と第2箱部554との間に空間が形成される。アロマケース55は、この空間に揮発性成分含有部材(例えば、芳香剤や消臭剤を染み込ませたシート)を保持するようになっている。第1箱部551及び第2箱部554の表面には、複数の貫通穴554が形成されている。このため、アロマケース55内に保持された揮発性成分含有部材の揮発性成分は、貫通穴554を通って外部に放出される。乾燥装置1は、アロマケース55から放出された揮発性成分をホース5から送風される温風に乗せて乾燥対象物に吹きかける。例えば揮発性成分が芳香剤や消臭剤の成分の場合、乾燥装置1は、乾燥対象物に芳香剤の香りを付加したり乾燥対象物を消臭したりすることができる。
次に、乾燥装置1の動作及び使用態様について図1から図16を参照しつつ図17及び図18を用いて説明する。図17は、乾燥装置1の動作時の空気の流れを説明する図である。なお、乾燥装置1は、動作時にホース5の屈曲部材51を伸ばした状態で使用されるが、図17では、屈曲部材51が屈曲した状態(乾燥装置1の収納状態)が図示されている。図18は、乾燥装置1の使用状態の一例を説明する図である。図18(a)は、乾燥装置1の使用状態の一例の斜視図であり、図18(b)は、乾燥装置1の使用状態の一例を乾燥装置1の第2側壁31b側から見た状態を示す図である。
使用者が操作パネル321を操作して乾燥装置1に電源を投入すると、主回路基板350がモータ91を駆動する。これにより、モータ91が動作してファン92bが回転することにより、吸気口21及び吸気口312と吸気口313とを介して外部から筐体3の収容空間300に空気が吸気される。上述のとおり、ファンケース92aの主要な吸気口である開口部913は、吸気口21及び吸気口312が形成された第1側壁31aや吸気口313が形成された底面部31eではなく、第2側壁31bに対向して配置されている。ファンケース92aは、第2側壁31bとの間に隙間を設けて配置されている。このため、ファンケース92aと第2側壁31bとの間には間隙部310が形成される。第2側壁31bには、吸気口などの貫通穴が形成されておらず、第2側壁31bに形成された唯一の貫通穴311b(図7参照)は、ねじ(不図示)によって塞がれている。このため、第2側壁31bには、筐体3外部と収容空間300とを連通する貫通穴が形成されていないと看做すことができる。したがって、吸気口21及び吸気口312と吸気口313とからそれぞれ筐体3の収容空間300に進入した空気は、間隙部310を通らなければ開口部913からファンケース92a内に進入することはできない。また、間隙部310は、主回路基板350や送風路6などが配置されている空間よりも狭い空間となっている。このため、収容空間300に吸気された空気は、送風路6が配置された空間から流速を増した状態で間隙部310に流れ込む。これにより、ファン92bの回転のみによるファンケース92a内への吸気力と比較し、本実施形態におけるファンケース92a内への吸気力は、ファン92bの回転に加えて間隙部310への流れ込みによる流速の増大分が加わるので、収容空間300に進入した空気をより効率よくファンケース92a内に吸気することができる。
このとき、図17に示すように、収容空間300には、吸気口21,312から筐体3の収容空間300内に進入した空気が主回路基板350、加熱部61及びファン92bの順番に流れる流路P1が形成される。見方を変えると、乾燥装置1は、吸気口21,312から筐体3の収容空間300内に進入した空気が主回路基板350、加熱部61、間隙部310及びファン92bの順番に流れる通風路を備えている。乾燥装置1は、この通風路に間隙部310を備えている。また、筐体3の収容空間300には、吸気口21,312から筐体3の収容空間300に進入した空気が流路P1ではなくモータ91側からファンケース92aに直接流れる流路P2も形成される。さらに、筐体3の収容空間300には、吸気口313から筐体3の収容空間300に進入した空気がファンケース92aの側面から第2側壁31bに向かい間隙部310に流れ込んでファン92bに流れる流路P3も形成される。また、図示は省略するが、筐体3の収容空間300には、吸気口313から筐体3の収容空間300に進入した空気が主回路基板350、加熱部61及びファン92bの順番に流れる流路や、吸気口313から筐体3の収容空間300に進入した空気がモータ91側からファン92bに直接流れる流路も形成される。乾燥装置1は、間隙部310を有することにより、本体部31の開口端側から見て、収容空間300を空気が半回転するような流路が形成され、収容空間300の空気を強制的に撹拌して空気の滞留を防止できる。
このように、乾燥装置1は、主要な吸気口である開口部913を貫通穴を有さない第2側壁31bに対面させた状態で第2側壁31bにファンケース92aを近接して配置している。これにより、乾燥装置1は、筐体3の収容空間300に流路P1を発生させ、収容空間300に空気が滞留するのを防止できる。加熱部61近傍の空気の温度は上昇するものの、流路P1は、加熱部61上の空間を含んで形成されるため、加熱部61近傍の空気は再びファン92bに吸気される。このため、加熱部61近傍の高温の空気は主回路基板350側に流れないので、主回路基板350の温度上昇が防止される。さらに、流路P1は、主回路基板350上の空間を含んで形成されるため、主回路基板350は、流路P1を流れる空気によって冷却されて温度上昇が防止される。
流路P1,P2,P3などからファンケース92aに進入した空気は、ファンケース92a、送風路6及びホース5の順番に流れる流路P4によってホース5に進入する。流路P4は加熱部61を含んでいるため、ホース5に進入する空気は設定値に従った温度の温風となっている。この温風は、ホース先端部材53の端部に設けられたノズル54(図17では不図示)から乾燥装置1の外部に吐出される。ノズル54にアロマケース55が挿入されている場合には、ノズル54から吐出される温風には、アロマケース55に設けられた芳香剤や消臭剤が含まれる。乾燥装置1は、使用者が操作パネル321を操作して設定した乾燥時間だけ温風を乾燥対象物に吐出した後に自動的に停止する。
図18に示すように、例えば布団を乾燥する場合には、乾燥装置1は、被載置面である敷布団500に背面部31cを対面させた状態で敷布団上に載置される。図18(b)に示すように、屈曲部材51を伸ばした状態でホース5を敷布団500上に展開する。ホース先端部材53の外形は円柱形状ではなく角柱形状を有しているため、ホース5を展開した状態で動きにくくなっている。掛布団501は、把持部330とホース5との間に形成された空間部4との間に挟んだ状態で敷布団上に敷く。ホース取付部材52の延伸方向と同方向の把持部330の長さは、ホース取付部材52の同方向の長さよりも短くなっている。このため、乾燥装置1は、掛布団501を空間部4に挿入しやすくなっている。また、空間部4は掛布団501の配置位置の目安となるので、使用者は、操作パネル321やLED表示窓322を露出させた状態で乾燥装置1に掛布団501をセットできる。これにより、使用者は、操作パネル321で容易に温度を設定できたり、乾燥装置1の動作状態をLED表示窓322で確認できたりする。
乾燥装置1は、ファン92bの回転軸、すなわちモータ91の回転軸91aを正面パネル32や背面部31cが広がる面に対して平行に配置しているため、吸気口を正面パネル32や背面部31cではなく第1側壁31aや底面部31eに形成することができる。このため、乾燥装置1は、背面部31cを敷布団500などの載置面に対面させて載置しても吸気口312,313が塞がれないので、円滑に空気を吸気できる。
図18に示す状態で乾燥装置1の動作を開始すると、ホース5の吐出側端部に設けられたノズル54から温風が敷布団500と掛布団501との間に吐出されて敷布団500及び掛布団501の乾燥が開始される。ノズル54から吐出する温風は、掛布団501を若干持ち上げる。これにより、敷布団500と掛布団501との間にはノズル54から吐出する温風が滞留する空間が形成される。この空間に滞留する温風によって敷布団500及び掛布団501が乾燥される。乾燥装置1は、ファンケース92aの配置場所を工夫することにより、ファン92bの吸気口率を向上させているため、ノズル54から吐出する温風の出力の向上が図られている。
背面部31cには、ヒータケース612の露出面612a(図1参照)が露出している。露出面612aは、敷布団500に接触している。ヒータケース612は、ヒータ611の動作に伴って温度が上昇しており、ヒータケース612の一部を構成する露出面612aも同様に温度が上昇している。このため、乾燥装置1は、乾燥装置1の動作中に露出面612aから敷布団500に熱を伝えて乾燥装置1近傍に位置する敷布団500の一定領域を乾燥させることができる。
乾燥装置1の近傍ではホース取付部材52の高さ分だけ敷布団500と掛布団501との間に隙間が生じる。ところで、ホース取付部材52の側面には、この隙間に向かって開口された吐出口521が形成されている。このため、筐体3から排気された温風は、ノズル54の他に吐出口521からも吐出される。吐出口521から吐出する温風は、ホース取付部材52近傍の敷布団500及び掛布団501を乾燥する。また、この温風は、掛布団501の短辺の伸びる方向に向かって吐出される。このため、この温風は、敷布団500と掛布団501との間にホース取付部材52の高さによって形成された隙間に向かって吐出され、敷布団500及び掛布団501の外部と、ノズル54からの温風によって敷布団500と掛布団501との間に形成された空間とが連通するのを防止するエアシャワーとしての機能を発揮する。これにより、乾燥装置1は、敷布団500及び掛布団501の間と、外部とで空気が流出入するのを防止して、乾燥中に敷布団500及び掛布団501の間の温度が低下するのを防止できる。
このように、乾燥装置1は、ノズル54から高出力の温風を敷布団500及び掛布団501の間に吐出することができ、乾燥装置1近傍に位置する敷布団500の一定領域を露出面612aの熱で乾燥させることができ、ホース取付部材52に形成された吐出口521から吐出する温風によっては、ホース取付部材52近傍の敷布団500及び掛布団501を乾燥するとともに、敷布団500及び掛布団501の間と外部との空気の流出入を防止できる。これにより、乾燥装置1は、従来の布団乾燥機に用いられているエアマットを用いなくても、乾燥対象物である敷布団500及び掛布団501を効率よく乾燥することができる。
乾燥対象物が例えば靴や服などの場合には、乾燥装置1を脚部33で立たせた状態で、ノズル54を乾燥対象物に向けてセットし、温風を直接吹きかけて乾燥対象物を乾燥させる。
以上説明したように、本実施形態による乾燥装置1は、第1側壁31aに形成された開口部314aからファンケース92aに向かって形成されモータ91と並んで配置されたコード収納部314を有している。コード収納部314は、ファンケース92aに収納されたファン92bをモータ91に軸支することによって生じる空き領域に設けられている。このため、本実施形態によれば、筐体3の収容空間300が有効に活用されるので、乾燥装置1の小型化を図ることができる。
乾燥装置1は、吸気口などの貫通穴を有さない第2側壁31bとファンケース92aとの間に形成された間隙部310を有している。また、ファンケース92aは主要な吸気口となる開口部913を第2側壁31bに向けて配置されている。これにより、筐体3の収容空間300には、吸気口21,312から筐体3の収容空間300内に進入した空気が主回路基板350、加熱部61及びファン92bの順番に流れる流路P1が形成される。これにより、乾燥装置1は、収容空間300において空気が滞留するのを防止できる。また、加熱部61で生じる熱は、流路P1を流れる空気によってファンケース92aに送られるので、流路P1において加熱部61よりも上流側に配置された主回路基板350には、加熱部61で生じた熱が伝わりにくくなる。また、主回路基板350は、流路P1を流れる空気によって空冷される。これにより、乾燥装置1は、主回路基板350の温度が上昇するのを防止できる。
乾燥装置1は、筐体3の背面側であってホース5の一端が取り付けられる吐出口317の隣にホース収容部8を有している。乾燥装置1は、ホース5の屈曲部材51の屈曲性を利用し、他端側のホース先端部材53をホース収容部8に収容することにより、一端に設けらホース取付部材52とホース先端部材53とを隣合せた状態で収容できる。これにより、乾燥装置1の収納時の小型化が図れる。また、ホース先端部材53に備えられた磁石をホース収容部8近傍の筐体3内部に備えられた強磁性体にくっつけるだけで、ホース先端部材53をホース収容部8に収容することできる。このように、磁石531と強磁性体326とを磁石531の磁力によりくっつけるという簡単な構成で、乾燥装置1を使用状態から収納状態に変更でき、収納時の作業を簡略化できる。また、乾燥装置1は、収納のために筐体を変形させるような複雑な構造を有していない。これにより、本実施形態によれば、乾燥装置1の軽量化が図れる。
乾燥装置1は、電源コード差込時に温度センサの抵抗値を測定する抵抗値測定回路と、この抵抗値測定回路で測定された抵抗値が所定の閾値を超えると乾燥装置1を動作しないように制御する制御部とを有している。これにより、乾燥装置1は、動作開始直前の異常(例えば、温度センサの故障)を検知することができるので、異常動作を予防できる。
乾燥装置1は、背面部31cにヒータケース612の露出面612aが露出する構成を有している。露出面612aは、乾燥装置1の動作中に温度が上昇する。このため、乾燥装置1は、温風が吐出するホース5のノズル54から相対的に遠くに配置される筐体3近傍に配置される乾燥対象物を露出面612aの温度を利用して乾燥させることができる。
乾燥装置1は、アロマケース55が挿入される開口部541と、開口部541を備える挿入部543とを備えてホース先端部材53に設けられたノズル54を有している。ノズル54は、開口部541及び挿入部543を吐出側に向けて設けている。これにより、本実施形態によれば、ノズル54をホース先端部材53から取り外さなくてもアロマケース55を着脱できるので、アロマケース55の着脱作業が簡便かつ容易となる。
乾燥装置1は、ホース取付部材52の延伸方向と同方向に上面部31dから延出する把持部330と、把持部330とホース取付部材52との間に形成された空間部4とを有している。空間部4は、乾燥対象物の一例である掛布団の配置場所であるとともに、掛布団の配置位置の目安となる。これにより、乾燥装置1は、使用者が誤って掛布団を筐体3にかけた状態で動作させるのを防止できる。
乾燥装置1は、筐体3の設置状態を検知する傾斜センサ13と、筐体3の設置状態によって乾燥装置1の動作を停止又は継続させる動作スイッチ部73とを有している。このため、乾燥装置1は、例えば吸気口312が被載置面に面する状態では動作を停止し、吸気口313が被載置面に面する状態では動作を継続することができる。これにより、乾燥装置1は、筐体3に収容している装置(例えば、モータ91)が過動作となる可能性のある場合に動作を停止して筐体3内の装置のの破損を防止できる。
次に、本実施形態の変形例による乾燥装置1について図19から図21を用いて説明する。本変形例による乾燥装置1は、上記実施形態による乾燥装置1に対し、ホース収容部の形状が異なっている点に特徴を有している。以下、上記実施形態による乾燥装置1と同一の機能・作用を奏する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。図19は、本変形例による乾燥装置1を左背面上方から見た斜視図である。図20は、本変形例による乾燥装置1の背面図である。図21は、本変形例による乾燥装置1に備えられたホース収容部80の近傍を枠α内に示した拡大図である。
図19から図21に示すように、本変形例による乾燥装置1は、ホース5のホース先端部材53(ホースの他端の一例)の先端が対向するホース収容部80の上面80dに形成された突起部801を有している。突起部801は、上面80dから突出して形成されている。突起部801は、ホース収容部80の背面80dからホース収容部80の側面80aに平行に伸びる形状を有している。上面80dは、上面部31dの吐出口317が形成された面に平行な面であり、背面80cは、背面部31cの開口部612aが形成された面に平行な面であり、側面80aは、第1側壁31aに平行な面である。
突起部801は、側面80aに対向する側から第1側面32a側に向かって徐々に高さが低くなる形状を有している。突出部801は、ホース5がホース収容部80に収納されたときに、側面80aとともにノズル54を挟むことができる位置に形成されている。より具体的に、ホース5がホース収容部80に収納されたときに、側面80aはノズル54の取付部544の側面に接触し、突起部801は、ノズル54の開口部541の外側の側面に接触する。突起部801がノズル54に接触する部位は、突起部801の中で最も高さの高い部位となる。突起部801は、側面80aとともにノズル54を挟むことができる。このとき、ホース先端部材53は、磁石531(図19から図21では不図示)が筐体3の収容空間300に設けられた強磁性体326(図19から図21では不図示)にくっついた状態となる。これにより、ホース収容部80は、ホース先端部材53をより安定して保持できる。
突起部801は、図19から図21に示す形状に限られない。突起部801は、ホース収容部80の空間に配置されるホース5の先端と接触できる形状であればよい。例えば、突起部801は、直方体形状であってもよい。また、突起部801は、第1側壁31a側に向かって湾曲する円弧形状であってもよい。また、突起部801は、上面80dに対面するノズル54の先端形状に倣う形状であって、ノズル54を差し込み可能な形状を有していてもよい。また、突起部801は、ホース先端部材53と接触可能な高さを有していてもよい。また、ホース収容部80には、突起部801に加えて、背面80cに対向し、側面80a側から第1側壁31a側に向かって伸びる突起部をさらに有していてもよい。この突起部は、ノズル54に接触し、背面80cとともにノズル54を挟むことができる位置に形成される。この突起部の形状は、突起部801と同じ形状であっても異なる形状であってもよい。この突起部の形状は、突起部801に関する上述の種々の形状とすることができる。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。