JP2018041753A - 光発電素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜からの集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、上記集電極が、上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、このバリア層の外面に積層され、ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層と、この第1メッキ層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成される第2メッキ層とを有することを特徴とする。上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、光発電素子及びその製造方法に関する。
CO等の温室効果ガスを発生しないクリーンな発電手段として、あるいは原子力発電に代わる操業安全性の高い発電手段として、太陽電池が近年特に注目されている。太陽電池(光発電素子)としては、外面に透明導電膜が設けられた層構造のセルが広く用いられており、この透明導電膜の外面には、発生した電気を集める集電極が配設されている。
外面に配設される集電極は線状であり、この集電極を細線化することにより光取り込み量を増やすことができる。このような線状の集電極としては、例えば透明導電膜の外面に積層される銀層と、この銀層の外面に積層される銅層とを有する二層構造のものが採用されている(特開平11−17202号公報及び特開2014−241392号公報参照)。このように銀層を介して銅層が透明導電膜外面に積層された層構造の集電極によれば、アニーリング処理の際に、銅の透明導電膜への拡散による導電性の低下を抑制することができる。
上記二層構造の集電極は、通常、スパッタリングにより透明導電膜表面に銀層を積層し、次いで、メッキ処理によりこの銀層の外面に銅層を積層することにより形成される。しかし、銀合金から形成されている銀層上にメッキ処理により銅層を積層する場合、硫酸塩浴などの強酸性の銅メッキ液により、透明導電膜から銀層の剥がれが生じる場合がある。このような銀層の剥がれを抑制するために、低濃度の銅メッキ液を用いてメッキ処理する方法も考えられるが、この場合、処理時間が長くなり、生産性が低下する。
特開平11−17202号公報 特開2014−241392号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、透明導電膜からの集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、上記集電極が、上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、このバリア層の外面に積層され、ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層と、この第1メッキ層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成される第2メッキ層とを有することを特徴とする。
当該光発電素子においては、銀合金から形成されるバリア層の外面に、ニッケル等により第1メッキ層が形成され、その外面に銅を主成分とする第2メッキ層が形成されている。ニッケル等のメッキは、強酸性のメッキ液を用いずに行うことができるため、第1メッキ層の形成の際に、バリア層の剥離が生じ難い。また、このような第1メッキ層の外面に、強酸性の銅メッキ液を用いて第2メッキ層を形成する際も、第1メッキ層でバリア層が被覆されているため、バリア層の剥離が生じ難い。従って、当該光発電素子は、透明導電膜からの集電極の剥がれが抑制され、生産性に優れる。
上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含むことが好ましい。上記バリア層がこのような合金から形成されていることで、酸化による抵抗上昇が小さく、かつ、拡散を抑制するバリア機能も十分に発現される。従って、集電極の細線化により光の取り込み量を増やしつつ、抵抗の上昇を抑えることを可能とし、これにより変換効率を高めることができる。
上記第1メッキ層の平均厚さとしては、0.05μm以上5μm以下が好ましい。第1メッキ層の平均厚さを上記範囲とすることにより、バリア層の剥離をより効果的に抑制し、生産性を高めることなどができる。
上記集電極が、上記第2メッキ層の外面に積層される被覆層をさらに有することが好ましい。当該光発電素子がこのような被覆層を有することで、第2メッキ層表面の酸化を抑制し、その結果変換効率の低下を抑制することができる。
上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されていることが好ましい。発明者は、光発電素子がこのような所謂ヘテロ接合型である場合、アニール処理により、キャリアの再結合を抑制する中間層(真性非晶質系半導体層等)のパッシベーション能力が向上し、光発電素子の出力特性が高まることを知見している。一方、当該光発電素子の集電極は、上記バリア層を有するため、アニール処理によっても銅層の酸化や拡散が抑えられ、集電極の接触抵抗の上昇が小さい。従って、当該光発電素子をヘテロ接合型の素子に採用することによって、変換効率等をより高めることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程、上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程、メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層を積層する工程、メッキ処理により、上記第1メッキ層の外面に銅又は銅合金から形成される第2メッキ層を積層する工程、上記レジスト膜を除去する工程、及び上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程を備える光発電素子の製造方法である。
当該製造方法は、メッキ処理中などにおける透明導電膜からの集電極の剥がれが抑制され、生産性に優れる。
当該製造方法は、上記レジスト膜積層工程前及び上記バリア層除去工程後に、それぞれ上記層構造体を加熱処理する工程をさらに備えることが好ましい。このように加熱(アニーリング)を行うことで、ヘテロ接合型の光発電素子の性能を高めることができ、また、バリア層の存在により、加熱を行っても第2メッキ層等の酸化や拡散が抑えられているため、出力特性に優れる光発電素子を得ることができる。なお、バリア層の除去後、すなわち集電極をメッキにより形成した後に比較的高温で加熱(アニーリング)を行うと、加熱に伴い集電極に内部応力が発生し、集電極が剥がれやすくなる。そこで、集電極形成前に比較的高温でアニーリングを行い、集電極形成後の加熱は比較的低温で行うことで、集電極の剥がれ発生を抑制することができる。なお、集電極形成後の比較的低温の加熱は、例えば銀ペースト等で配線、プラグ等を形成する際の乾燥のためなどに行われる。
ここで、非晶質系半導体層における「非晶質系」とは、完全な非晶質体のみならず、非晶質中に微結晶が存在するものも含む。また、真性非晶質系半導体層における「真性」とは、不純物が意図的にドープされていないことをいい、原料に本来含まれる不純物や製造過程において非意図的に混入した不純物が存在するものも含む意味である。
本発明によれば、透明導電膜からの集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光発電素子の模式的断面図である。 図2(a)〜(g)は、図1の光発電素子の製造方法を示す模式的断面図である。 図3は、実施例における集電極の接触抵抗を示すグラフである。 図4は、膜厚測定方法を示す模式図である。
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の一実施形態に係る光発電素子及びその製造方法について詳説する。
<光発電素子>
図1の光発電素子10は、光が照射されることにより起電力が生じる層構造体11を備える。層構造体11は、n型結晶半導体基板12と、n型結晶半導体基板12の一方の面側(図1における上側)に以下の順で積層される第1中間層13、p型非晶質系半導体層14及び第1透明導電膜15と、n型結晶半導体基板12の他方の面側(図1における下側)に以下の順で積層される第2中間層16、n型非晶質系半導体層17及び第2透明導電膜18とを有する。すなわち、第1透明導電膜15と第2透明導電膜18とは、層構造体11の最外層である。さらに、光発電素子10は、層構造体11の外面(表面及び裏面)、すなわち第1透明導電膜15の外面及び第2透明導電膜18の外面に配設される複数の線状の集電極19を備える。各面の複数の集電極19は、それぞれ離間して配設されている。なお「外面」とは、n型結晶半導体基板12を中心とし、n型結晶半導体基板12と反対側の面をいう。また、「内面」とは、n型結晶半導体基板12側の面をいう。
n型結晶半導体基板12は、n型結晶半導体から形成されている。n型の基板を用いることで、p型の基板に特有の光劣化現象を回避することができる。n型結晶半導体とは、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる結晶体である。n型結晶半導体基板12を構成する結晶半導体としては、シリコン(Si)の他、SiC、SiGe等を挙げることができるが、生産性等の点からシリコンが好ましい。n型結晶半導体基板12は、単結晶体であってもよいし、多結晶体であってもよい。
n型結晶半導体基板12の両面には、ピラミッド状の微細な凹凸構造が形成されている。このような構造により、光の閉じ込め機能を高めることができる。この凹凸構造(テクスチャー構造)の高さや大きさは不揃いであってよく、隣り合う凹凸の一部が重なっていてもよい。また、頂点や谷部が丸みを帯びていてもよい。この凹凸の高さとしては、数μm〜数十μm程度である。このような凹凸構造は、例えば、約1〜5質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより得ることができる。
n型結晶半導体基板12の平均厚さとしては特に制限されない。この平均厚さの上限としては、例えば300μmであり、200μmが好ましい。また、この下限としては、例えば50μmとすることができる。このようにn型結晶半導体基板12を薄型化することにより、光発電素子10自体の小型化、低コスト化等を図ることができる。
第1中間層13は、n型結晶半導体基板12とp型非晶質系半導体層14との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第1中間層は、真性非晶質系半導体から形成されており、通常、シリコンから形成されている。このような第1中間層13(真性非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第1中間層13の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
p型非晶質系半導体層14は、第1中間層13の外面側に積層されている。p型非晶質系半導体層14は、通常、シリコン等の半導体に微量の3価の元素が添加されてなる非晶質層である。p型非晶質系半導体層14の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第2中間層16は、n型結晶半導体基板12とn型非晶質系半導体層17との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第2中間層16は、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されている。すなわち、第2中間層16は、真性非晶質系半導体層、又はn型非晶質系半導体層17より抵抗率の高い高抵抗n型非晶質系半導体層である。第2中間層16が真性非晶質系半導体層である場合、この層は、通常、シリコン等の半導体から形成されている。第2中間層16が高抵抗n型非晶質系半導体層である場合、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。高抵抗n型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17より、5価の元素の添加量(ドーパント量)が少ないことにより、高抵抗となっている。このような第2中間層16(真性非晶質系半導体層又は高抵抗n型非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第2中間層16の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
n型非晶質系半導体層17は、第2中間層16の外面側に積層されている。n型非晶質系半導体層17は、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。n型非晶質系半導体層17の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第1透明導電膜15は、p型非晶質系半導体層14の外面側に積層されている。また、第2透明導電膜18は、n型非晶質系半導体17の外面側に積層されている。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を構成する透明導電性材料としては、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムタングステン酸化物(IWO)、インジウムセリウム酸化物(ICO)等を挙げることができる。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18の平均膜厚としては特に制限されないが、例えばそれぞれ40nm以上200nm以下とすることができる。
各集電極19は、内面側から順にバリア層20、第1メッキ層21、第2メッキ層22及び被覆層23を有する層構造体である。
バリア層20は、透明導電膜(第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18)の外面に積層されている。バリア層20は、銀合金から形成されている。バリア層20を形成する銀合金としては、銀を主成分とする限り特に限定されず、銀以外の成分として、金、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ガリウム、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウム等を含むことができる。このバリア層20により、アニール処理の際の銅の拡散を効果的に防ぐことなどができる。
上記バリア層20を形成する銀合金は、主成分である銀(Ag)に加えて、パラジウム(Pd)及びガリウム(Ga)の少なくとも一種と、銅(Cu)とを含むことが好ましい。このような成分を含むバリア層20が、各メッキ層と透明導電膜との間の良好なバリア性を発揮し、第2メッキ層22中の銅の透明導電膜との接触による酸化を抑えることができる。一方、このような組成を有するバリア層20自体は、酸化による抵抗上昇が小さい。また、このバリア層20は、第2メッキ層22を形成する銅の拡散も抑制することができる。
バリア層20は、上述のように、好ましくはAgを主成分とし、Pd及びGaの少なくとも一種並びにCuが添加されてなるAg−Pd−Cu系又はAg−Ga−Cu系銀合金から形成される。バリア層20におけるAgの含有量としては、例えば90原子%以上99原子%以下とすることができる。バリア層20におけるPdの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるGaの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20はPd及びGaの両方を含有しても良く、Pd及びGaの合計の含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるCuの含有量としては、例えば0.1原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20がこのような組成の銀合金から形成されていることにより、より良好なバリア性等を発揮することができる。なお、実施例で用いたフルヤ金属社のAPC−TRターゲットは上記組成を満たすAg−Pd−Cu系合金である。なお、バリア層20には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分が含有されていてもよい。
バリア層20の平均厚みとしては、特に限定されないが、下限として例えば10nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。一方、この上限としては、300nmが好ましく、150nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。バリア層20の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分なバリア性を発現できない場合がある。逆に、バリア層20の平均厚みが上記上限を超える場合は、製造工程において不要な部分の除去(エッチバック)が容易ではなくなるなど、生産性が低下する。
第1メッキ層21は、バリア層20の外面に積層されている。第1メッキ層21は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銀(Ag)又はこれらの合金から形成されている。第1メッキ層21は、メッキにより形成されている層であるが、単に第1導電層、ニッケル層等と換言することもできる。第1メッキ層21におけるニッケル、クロム、銀又はこれらの組み合わせの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、第1メッキ層21には、上記成分以外の他の成分が含有されていてもよい。なお、経済性や環境問題等の点からは、第1メッキ層21は、ニッケルを主成分として含むことが好ましく、実質的にニッケルのみから形成された層であることが好ましい。
第1メッキ層21の平均厚みとしては特に限定されないが、この下限としては、0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましく、0.2μmがさらに好ましく、0.5μmがよりさらに好ましく、1μmがよりさらに好ましい。一方、この上限としては、5μmが好ましく、3μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。第1メッキ層21の平均厚みが上記下限未満の場合は、第1メッキ層21が十分にバリア層20を被覆することができず、第2メッキ層22の形成の際に、バリア層20の剥離が生じやすくなるおそれがある。一方、第1メッキ層21の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
第2メッキ層22は、第1メッキ層21の外面に積層されている。第2メッキ層22は、銅(Cu)又は銅合金から形成されている。第2メッキ層22は、メッキにより形成されている層であるが、単に第2導電層、銅層等と換言することもできる。第2メッキ層22におけるCuの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、第2メッキ層22には、Cu以外の他の成分が含有されていてもよい。
第2メッキ層22の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下とすることができる。第2メッキ層22の平均厚みの下限は、4μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、15μmがよりさらに好ましい。また、この上限は、30μmがより好ましい。第2メッキ層22の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な導電性や集電性等を発揮できない場合がある。逆に、第2メッキ層22の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
被覆層23は、第2メッキ層22の外面に積層されている。被覆層23により第2メッキ層22表面の酸化を防ぐことができる。被覆層23は、通常金属から形成されている。被覆層23を形成する金属としては、特に限定されないが、被覆層23が主成分として錫(Sn)を含むことが好ましい。Snは光反射率が高いため、例えば第1透明導電膜15の外面で反射した光が、被覆層23の裏面(内面)で再度反射しやすく、光の取り込み量を増やすことができる。また、Snを被覆層23に用いることで、はんだの濡れ性を高めることなどができる。被覆層23におけるSnの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、被覆層23には、Sn以外の他の成分が含有されていてもよい。
被覆層23の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.5μm以上5μm以下とすることができる。被覆層23の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な機能を発現できない場合がある。逆に、被覆層23の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
複数の線状の集電極19は、互いに平行に配設されている。集電極19の線幅の下限としては、例えば5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、この線幅の上限としては、例えば100μmが好ましく、50μmがより好ましい。集電極19の線幅を上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、導電性を確保することができる。
集電極19のピッチ(隣接する集電極19の中心間の距離)としては特に限定されないが、下限として、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、この上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。集電極19のピッチを上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、集電性を確保することができる。
当該光発電素子10において、光入射面は、第1透明導電膜15側であってもよいし、第2透明導電膜18側であってもよい。両面から受光するように使用してもよい。光発電素子10は、通常、複数を直列に接続して使用される。複数の光発電素子10を直列接続して使用することで、発電電圧を高めることができる。
<光発電素子の製造方法>
光発電素子10の製造方法は、層構造体11を得る工程と、集電極19を形成する工程とを備える。
層構造体11は公知の方法により得ることができるが、具体的には、この層構造体11の製造方法は、n型結晶半導体基板12の一方の面側に第1中間層13を積層する工程、さらにp型非晶質系半導体層14を積層する工程、さらに第1透明導電膜15を積層する工程、n型結晶半導体基板12の他方の面側に第2中間層16を積層する工程、さらにn型非晶質系半導体層17を積層する工程、及びさらに第2透明導電膜18を積層する工程を有する。なお、各工程の順は、層構造体11の層構造を得ることができる順である限り特に限定されるものではない。
真性非晶質系半導体層である第1中間層13、及び真性非晶質系半導体層としての第2中間層16を積層する方法としては、例えば化学気相成長法などの公知の方法が挙げられる。化学気相成長法としては、例えばプラズマCVD法や触媒CVD法(別名ホットワイヤCVD法)等が挙げられる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては例えばSiHとHとの混合ガスを用いることができる。
p型非晶質系半導体層14及びn型非晶質系半導体層17を積層する方法としても、真性非晶質系半導体層の積層と同様の、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては、p型非晶質系半導体層14においては、例えばSiHとHとBとの混合ガスを用いることができる。n型非晶質系半導体層17においては、例えばSiHとHとPHとの混合ガスを用いることができる。
高抵抗n型非晶質系半導体層としての第2中間層16も、n型非晶質系半導体層17と同様に、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。高抵抗n型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17よりもドーパント量を少なくすることにより形成することができる。例えば、SiHとPHとを含む混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成する場合、SiHを基準としたドーパントとしてのPHの導入量を1000ppm以下として製膜することにより、高抵抗n型非晶質系半導体層を得ることができる。また、この高抵抗n型非晶質系半導体層を製膜する際の上記PHの導入量(濃度)は、n型非晶質系半導体層17を製膜する際の導入量(濃度)の1/100以上1/5以下とすることができる。
第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を積層する方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法(反応性プラズマ蒸着法)等を挙げることができるが、スパッタリング法及びイオンプレーティング法によることが好ましい。スパッタリング法は、膜厚制御性等に優れ、また、イオンプレーティング法等に比べて低コストで行うことができる。一方、イオンプレーティング法によれば、欠陥の発生を抑制した製膜を行うことができる。
集電極19は、例えば以下の工程(a)〜(g)をこの順に経ることにより形成することができる。
層構造体11の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程(a)
上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程(b)
メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層を積層する工程(c)
メッキ処理により、上記第1メッキ層の外面に銅又は銅合金から形成される第2メッキ層を積層する工程(d)
上記第2メッキ層の外面に被覆層を積層する工程(e)
上記レジスト膜を除去する工程(f)
上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程(g)
以下、図2を参照にしつつ、各工程について説明する。なお、図1に示されるように、層構造体11の表面は、通常、微細な凹凸構造を有するが、図2においては、その凹凸構造を省略している。
[工程(a)]
工程(a)においては、層構造体11の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層20を積層する(図2(a)参照)。なお、層構造体11の最外層は、第1透明導電膜15あるいは第2透明導電膜18である(図2においては図示しない)。バリア層20を積層するためのスパッタリングは、バリア層20の組成からなるスパッタリングターゲットを用いて行うことができる。また、バリア層20を構成する各元素のスパッタリングターゲットを用い、放電量を制御して同時にスパッタリングすることにより製膜してもよい。
[工程(b)]
工程(b)においては、バリア層20の外面の一部にレジスト膜31を積層する(図2(b)参照)。レジスト膜31は、マスク、メッキレジスト等とも称されるものであり、レジスト膜31が積層されていない部分が、集電極19が形成される部分となる。レジスト膜31は、例えばインクジェット印刷により形成することができる。レジスト膜31を形成する材料としては、特に限定されず、一般的に使用される無機材料や有機材料を用いることができる。レジスト材料としては、インクジェット印刷によりレジスト膜31を形成する場合、パラフィンろうを用いることが好ましい。加熱した溶融状態のパラフィンろうをインクジェット印刷によりバリア層20表面に印刷すると、印刷後パラフィンろうがバリア層20表面で硬化する。これにより、側面が急こう配であるレジスト膜31を効率的に形成することができる。また、パラフィンろうで形成されたレジスト膜31は、除去も容易に行うことができる。なお、レジスト膜31は、その他の例えばフォトレジスト材料等で形成してもよい。
[工程(c)]
工程(c)においては、メッキ処理により、バリア層20の外面の露出部分にニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層21を積層する(図2(c)参照)。これらの金属のメッキは、比較的中性領域でのメッキ浴により行うことができる。この工程(c)に用いられるメッキ液のpHは、例えば5以上7以下の弱い酸性領域とすることができる。これにより、バリア層20が剥がれることなく、この外面を第1メッキ層21で被覆することができる。ニッケルメッキは、例えばワット浴等の公知により行うことができる。クロムメッキは、例えば硬質クロムメッキ等の公知の方法により行うことができる。銀メッキは、例えばシアン化銀メッキ浴等の公知の方法により行うことができる。
[工程(d)]
工程(d)においては、メッキ処理により、上記第1メッキ層21の外面に銅又は銅合金から形成される第2メッキ層22を積層する(図2(d)参照)。このいわゆる銅メッキは、硫酸塩浴等、公知の方法により行うことができる。なお、バリア層20を第1メッキ層21で被覆しているため、強酸性の硫酸塩浴等を行っても、バリア層20の剥離は生じ難い。従って、強酸性(例えばpH1〜2等)の硫酸塩浴等により、短時間で生産性高く第2メッキ層22を形成することができる。
なお、銅メッキ反応の標準電極電位(+0.34V)は、水素(0V)より貴な電位である。硫酸銅のみの溶液では加水分解が起きやすく、また高い電源電圧が必要となる。そこで、メッキ液の電導性の向上や陽極の溶解促進、加水分解の防止のために高濃度の硫酸が加えられており、銅メッキ液は強酸性を示す。一方、水素に比べ卑な標準電極電位(−0.23V)であるニッケルメッキ反応の場合、水の電気分解により水素が発生しやすい。pHは低すぎると水素イオン濃度が高くなり、水素がより発生しやすくなる。これが、ニッケルメッキ液で硫酸銅メッキ液のような強酸性のメッキ液が存在しない理由である。
[工程(e)]
工程(e)においては、第2メッキ層22の外面に被覆層23を積層する(図2(e)参照)。この被覆層23の積層方法は特に限定されないが、メッキ処理が好適に用いられる。このメッキ処理は、公知の方法により行うことができ、例えば錫メッキを行う場合、硫酸塩浴などにより行うことができる。
[工程(f)]
工程(f)においては、レジスト膜31を除去する(図2(f)参照)。このレジスト膜31の除去は、酸溶液やアルカリ溶液等を用いて行うことができる。レジスト膜31がパラフィンろうから形成されている場合、例えば水酸化カリウム水溶液により効率的にレジスト膜31を除去することができる。この水酸化カリウム水溶液の濃度としては、例えば1質量%以上5質量%以下程度である。
[工程(g)]
工程(g)においては、レジスト膜31が除去された領域、すなわち第1メッキ層21等が積層されていない領域のバリア層20を除去(エッチバック)する(図2(g)参照)。これにより、集電極19が形成される。バリア層20の除去は、バリア層20を溶解可能なエッチング液により行うことができる。このようなエッチング液としては、例えばリン酸系水溶液等を挙げることができる。バリア層20のエッチング液としては、リン酸の含有量が50質量%以上70%以下、硝酸の含有量が0.1質量%以上9.9質量%以下、酢酸の含有量が10質量%以上30質量%以下、フッ化アンモニウムの含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下の水溶液が好ましい。
なお、このような工程によって得られた図2(g)に示す集電極19は、底面よりも上面がやや広く、側面が凹状にやや湾曲した形状となっている。このような形状である場合、透明導電膜外面で反射した光が、集電極19の側面等で再度反射し、透明導電膜内へ入射しやすくなる。これにより、光の取り込み量を増やすことができる。
当該製造方法は、上記レジスト膜積層工程(b)前に、層構造体11を加熱処理する工程(第1加熱工程)をさらに備えることが好ましい。この第1加熱工程は、上記バリア層積層工程(a)とレジスト膜積層工程(b)との間で行ってもよいし、バリア層積層工程(a)の前に行ってもよい。このようなアニーリングを行うことで、第1中間層13や第2中間層16のパッシベーション能力、第1透明導電膜15や第2透明導電膜18の特性等が向上し、ヘテロ接合型の光発電素子の出力特性を高めることができる。
第1加熱工程における加熱処理の条件としては、特に限定されないが、例えば処理温度としては150℃以上250℃以下とすることができ、180℃以上220℃以下が好ましい。また、処理時間としては10分以上1時間以下とすることができる。
また、当該製造方法は、上記バリア層除去工程(g)後に、配線形成用導電性ペーストを層構造体に接触させる工程、及び層構造体11を配線形成用導電性ペーストと共に加熱処理する工程(第2加熱工程)をこの順にさらに備えることが好ましい。これにより、導電性ペーストから配線を形成することができる。この配線は、層構造体11の表裏面に形成されていてもよいし、いわゆるビア、プラグ等として層構造体11を貫通するように形成されていてもよい。表裏面に形成される配線は、例えばフィンガー電極としての集電極19に対して直交するバスバー電極として機能するものとすることができる。なお、層構造体11を貫通するようにビアを形成する場合、層構造体11に予め貫通孔(ビアホール)を形成しておく。上記配線形成用導電性ペーストとしては、公知の銀ペースト等を用いることができる。なお、この第2加熱工程の際に、集電極19も加熱されるが、この加熱を行うことによっても、バリア層20により第2メッキ層22(銅層)の酸化や拡散が抑えられるため、抵抗が大きくは上昇せず、発電効率に優れる光発電素子を得ることができる。
第2加熱工程における処理温度としては、100℃以上150℃未満が好ましく、120℃以上140℃以下がより好ましい。このように比較的低温で行うことで、集電極19における内部応力の発生を抑制し、集電極19の剥がれを抑制することができる。また、100℃以上の加熱により十分な導電性を有する配線を形成することができる。また、第2加熱工程における処理時間としては10分以上1時間以下とすることができる。
<効果等>
このように、当該光発電素子10の集電極19は、銀合金から形成されるバリア層20の外面に、ニッケル等により形成された第1メッキ層21と、その外面に銅又は銅合金により形成された第2メッキ層22とを有する構造を有する。集電極19がこのような構造を有することにより、当該光発電素子10は、製造工程中における透明導電膜からの集電極19の剥がれが抑制され、生産性に優れる。この理由は、以下の理由が推察される。
通常、透明導電膜表面は、結晶半導体基板表面の形状に追従して、凹凸形状を有する。このような凹凸形状の透明導電膜表面にスパッタリングにより銀合金からなる薄膜のバリア層を形成した場合、谷部分など、バリア層に隙間などが生じ、透明導電膜が完全には被覆されない場合がある。このようなバリア層の表面に、直接、強酸性の硫酸塩浴を用いて銅層を形成しようとした場合、メッキ液がバリア層の隙間から浸入し、バリア層と透明導電膜との界面に浸透する。この際、強酸性のメッキ液の作用により、透明導電膜とバリア層との界面において、バリア層中の銀やその他の金属が酸化し、バリア層の剥離が生じる。なお、このような現象は、バリア層が純銀である場合は報告されていないことから、このようなバリア層の剥離は、バリア層に銀合金を用いた場合に生じる特有の現象であるものとも考えられる。このような現象を踏まえ、当該発明においては、バリア層の表面に、まず、ニッケル等により第1メッキ層を形成し、その外面に銅を主成分とする第2メッキ層を形成している。ニッケル等のメッキは、強酸性のメッキ液を用いずに行うことができるため、第1メッキ層の形成の際に、バリア層の剥離が生じ難い。また、このような第1メッキ層の外面に、強酸性の銅メッキ液を用いて第2メッキ層を形成する際も、第1メッキ層でバリア層が被覆されているため、バリア層の剥離が生じ難い。
<他の実施形態>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、両面の集電極のうちの裏面側の集電極は、全面積層された金属等で形成されていてもよい。このような金属としては、銀や、Ag−Pd−Cu系合金、Ag−Ga−Cu系合金等を好適に用いることができる。また、層構造体がヘテロ接合型を構成する場合、p型の結晶半導体基板を用いてもよい。さらに、少なくとも入射面側に透明導電膜を形成すればよく、裏面側は透明導電膜が形成されていなくてもよい。但し、裏面側の非晶質系半導体層外面に透明導電膜を積層することにより、欠陥準位の発生を抑制し、変換効率を高めることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第1透明導電膜/p型非晶質系シリコン層/第1真性非晶質系シリコン層/n型結晶シリコン基板/第2真性非晶質系シリコン層/n型非晶質系シリコン層/第2透明導電膜からなる層構造体を作成した。n型結晶シリコン基板は、両面に無数のピラミッド形状を有する微細な凹凸構造(テクスチャー構造)が形成された単結晶基板を用いた。この凹凸構造は、約3質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより形成した。また、各シリコン層は、プラズマCVD法により積層した。各透明導電膜は、酸化錫を3質量%含有した酸化インジウム(ユミコア社のスパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリングにより積層した。なお、p型非晶質系シリコン層、第1真性非晶質系シリコン層、n型結晶シリコン基板、第2真性非晶質系シリコン層、n型非晶質系シリコン層は、それぞれp型非晶質系半導体層、第1中間層、n型結晶半導体基板、第2中間層、n型非晶質系半導体層に対応する。
次いで、以下の方法により、第1透明導電膜及び第2透明導電膜外面に、複数の線状の集電極(線幅30μm、ピッチ2mm)を形成した。まず、フルヤ金属社のAPC−TRターゲットを用い、層構造体の両面にスパッタリングにより平均厚み50nmの金属膜(バリア層)を形成した。なお、上記ターゲット、すなわち、形成したこの金属膜は、銀を主成分とするAg−Pd−Cu系合金である。次に、パラフィンろうを用い、金属膜上にインクジェット印刷によりメッキのためのレジスト膜を形成した。次いで、露出した金属膜上に、メッキ処理により平均厚み1μmのニッケルメッキ層(第1メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH5.5のNiメッキ液を用いた。次いで、ニッケルメッキ層上に、メッキ処理により平均厚み20μmの銅メッキ層(第2メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH1のCuメッキ液を用いた。次いで、銅メッキ層上に、メッキ処理により平均厚み1μmの錫メッキ層(被覆層)を形成した。次いで、25℃の3質量%水酸化カリウム溶液に1分間浸漬させることにより、レジスト膜であるパラフィンろうを除去した。次いで、リン酸系水溶液に10秒浸漬させることにより、露出部分の金属膜を除去した。その後、200℃30分のアニール処理を行った。これにより、実施例1の光発電素子を得た。なお、銅メッキ層(第2メッキ層)の形成の際には、金属膜(バリア層)の剥がれは生じなかった。
<実施例2〜4、比較例1〜2>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)の平均厚さ及び銅メッキ層(第2メッキ層)の平均厚さを表1に記載のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4、比較例1〜2の光発電素子をそれぞれ得た。
上記各実施例1〜4及び比較例1〜2の結果を以下の表にまとめて示す。
Figure 2018041753
比較例1、2のように、第1メッキ層を設けず、バリア層に直接第2メッキ層(Cu層)を積層した場合は、バリア層の剥がれが生じ、第2メッキ層を厚くした場合にこれは顕著になる。幅の狭い配線(線状の集電極)を高く形成する、すなわち厚い銅メッキを施すことにより剥がれやすくなると言える。これに対し、実施例1〜4のように、バリア層に第1メッキ層(Ni層)を設け、この上に第2メッキ層(Cu層)を積層することで、バリア層の剥がれを防ぐことができることがわかる。第1メッキ層によって、バリア層が強酸性であるCuメッキ液から保護されるためであるといえる。
<実施例5、比較例3>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)の平均厚さ及び銅メッキ層(第2メッキ層)の平均厚さを表2に記載のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5、比較例3の光発電素子をそれぞれ得た。各光発電素子を3サンプルずつ作製し、集電極の接触抵抗を測定した。測定結果を表2及び図3に示す。
Figure 2018041753
実施例5と比較例3とは、メッキ層の合計の厚さは同じである。ニッケルの方が銅よりも電気抵抗率が大きいにも拘わらず、Ni層(第1メッキ層)を設けた実施例5の方が接触抵抗が低いことがわかる。これは、第1メッキ層によりバリア層が銅メッキ液から保護され、ダメージが受けにくくなっていることによると考えられる。
また、当該光発電素子の製造方法によれば、弱酸性のメッキ液を用いてバリア層の表面に直接銅層を形成する場合と比べて、強酸性のメッキ液を用いることで、銅層(第2メッキ層)の積層時間を約10分の1に短縮できることが確認できた。第1メッキ層を積層する工程を考慮しても、弱酸性のメッキ液を用いてバリア層の表面に直接銅層を形成する場合と比べて、全体のメッキ処理時間を約5分の1に短縮できた。
<参考例1〜8>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)、銅メッキ層(第2メッキ層)及び錫メッキ層(被覆層)の平均厚さをそれぞれ表3に記載の通りとし、表3に記載の温度で加熱(アニール)処理したこと以外は実施例1と同様にして、参考例1〜8の光発電素子を得た。加熱処理前後での密着性を以下の方法にて評価した。
粘着テープ(積水化学工業の包装用オリエンスパットテープ)を集電極表面に貼り、その後粘着テープを剥がしたときの、集電極の状態を以下の基準で評価した。評価結果を表3に示す。
A:集電極の剥がれ及び傷つき無し
B:集電極に傷がついた、又は1本の集電極が剥がれた
C:複数の集電極が剥がれた
Figure 2018041753
表3に示されるように、160℃以上で加熱処理すると、集電極が剥がれやすくなる一方、160℃未満の場合は、集電極は十分に密着していることが分かる。
<実施例6>
貫通孔を形成した基板を用いたこと、金属膜(バリア層)形成後レジスト膜形成前に200℃30分で加熱処理したこと、集電極形成後、貫通孔に銀ペーストを充填したこと、及び上記充填後に140℃30分で加熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして光発電素子を得た。得られた光発電素子のI−V測定を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2018041753
表4に示されるように、実施例6の光発電素子は十分な光電変換特性を有することが分かる。すなわち、140℃30分の加熱処理でも、導電性ペーストは十分に乾燥し、良好な出力特性を発揮できることがわかる。
ここで、本明細書における各層又は膜の測定方法について説明する。金属膜等の厚さは、各層又は膜の面に対して垂直方向の厚みをいう。なお、平均厚さとは、任意に選んだ10カ所の厚さの平均値とする。具体的に仮想的な基板50を示した図4により説明する。図3の基板50は、平滑部51と凹凸部52とを両方有する。例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで、層53の基板50(平滑部51)の平面に対して垂直な厚さt、及び基板50(凹凸部52)の斜面に垂直な厚さt’、並びに凹凸部52の斜面の角度αをそれぞれ測定することができる。平滑部51に積層された層53の厚さはtである。凹凸部52に積層された層53の厚さはt’である。三角関数からt’=t×cosαが成り立つ。
本発明の光発電素子は、生産性が高く、太陽光発電に好適に用いることができる。
10 光発電素子
11 層構造体
12 n型結晶半導体基板
13 第1中間層
14 p型非晶質系半導体層
15 第1透明導電膜
16 第2中間層
17 n型非晶質系半導体層
18 第2透明導電膜
19 集電極
20 バリア層
21 第1メッキ層
22 第2メッキ層
23 被覆層
31 レジスト膜
50 基板
51 平滑部
52 凹凸部
53 層

Claims (7)

  1. 透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、
    上記集電極が、
    上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、
    このバリア層の外面に積層され、ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層と、
    この第1メッキ層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成される第2メッキ層と
    を有することを特徴とする光発電素子。
  2. 上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含む請求項1に記載の光発電素子。
  3. 上記第1メッキ層の平均厚さが、0.05μm以上5μm以下である請求項1又は請求項2に記載の光発電素子。
  4. 上記集電極が、上記第2メッキ層の外面に積層される被覆層をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光発電素子。
  5. 上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、
    上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、
    上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光発電素子。
  6. 透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程、
    上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程、
    メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にニッケル、クロム、銀又はこれら合金から形成される第1メッキ層を積層する工程、
    メッキ処理により、上記第1メッキ層の外面に銅又は銅合金から形成される第2メッキ層を積層する工程、
    上記レジスト膜を除去する工程、及び
    上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程
    を備える光発電素子の製造方法。
  7. 上記レジスト膜積層工程前及び上記バリア層除去工程後に、それぞれ
    上記層構造体を加熱処理する工程
    をさらに備える請求項6に記載の光発電素子の製造方法。

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