JP2018041787A - 光発電素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な光電出力特性を有し、かつ集電極の密着性に優れる光発電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、最外に存在する透明導電膜を有し、光照射により起電力が生じる層構造体を用意する工程、上記透明導電膜の外面に、金属から形成されるバリア層を積層する工程、上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程、メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にメッキ層を積層する工程、上記レジスト膜を除去する工程、上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程、及び配線形成用の導電性ペーストを上記層構造体に接触させる工程をこの順に備え、上記レジスト膜積層工程前に、上記層構造体を150℃以上250℃以下で加熱する工程、及び上記接触工程後に、上記層構造体を上記導電性ペーストと共に100℃以上150℃未満で加熱する工程をさらに備える光発電素子の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光発電素子の製造方法に関する。
CO等の温室効果ガスを発生しないクリーンな発電手段として、あるいは原子力発電に代わる操業安全性の高い発電手段として、太陽電池が近年特に注目されている。太陽電池(光発電素子)としては、外面に透明導電膜が設けられた層構造のセルが広く用いられており、この透明導電膜の外面には、発生した電気を集める集電極が配設されている。
外面に配設される集電極は線状であり、この集電極を細線化することにより光取り込み量を増やすことができる。このような線状の集電極としては、例えば透明導電膜の外面に積層される銀層と、この銀層の外面に積層される銅層とを有する二層構造のものが採用されている(特開平11−17202号公報及び特開2014−241392号公報参照)。上記二層構造の集電極は、例えば、スパッタリングにより透明導電膜表面に銀層を積層し、次いで、メッキ処理によりこの銀層の外面に銅層を積層することにより形成される。
一方、貫通孔(ビアホール)が形成され、表面側の電極に対応する端子を裏面側に設けた、いわゆるメタルラップスルー(MWT)構造を有する光発電素子が開発されている(特開2014−523129号公報参照)。この光発電素子においては、通常、上記貫通孔に導電性ペーストを充填し、乾燥及び固化させることで、端子となるビア導体が形成される。MWT構造を有する光発電素子においては、モジュール化の際に各光発電素子の表面側にタブ線やワイヤーなどの配線を設ける必要が無くなるため、遮光面積を低減でき、発電効率を向上させることができる。
特開平11−17202号公報 特開2014−241392号公報 特開2014−523129号公報
ここで、発明者らは、光発電素子の製造工程において、透明導電膜等を含む半導体層構造体に対して200℃程度のアニーリング処理を施すことで、光電変換特性が高まることを知見している。一方、上記導電性ペーストの乾燥の際にも加熱が必要となる。従って、透明導電膜等に対するアニーリング処理と導電性ペーストの乾燥とを同時に行うことが効率的である。しかし、線状の集電極がメッキにて形成されている場合、比較的高温で加熱すると、内部応力により集電極の剥がれが生じるという不都合を有する。特に、光の取り込み量を増やすために集電極を細線化するほど、集電極の剥がれは生じやすくなる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、十分な出力特性を有し、かつ集電極の密着性に優れる光発電素子の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、最外に存在する透明導電膜を有し、光照射により起電力が生じる層構造体を用意する工程、上記透明導電膜の外面に、金属から形成されるバリア層を積層する工程、上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程、メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にメッキ層を積層する工程、上記レジスト膜を除去する工程、上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程、及び配線形成用の導電性ペーストを上記層構造体に接触させる工程をこの順に備え、上記レジスト膜積層工程前に、上記層構造体を150℃以上250℃以下で加熱する工程、及び上記導電性ペースト接触工程後に、上記層構造体を上記導電性ペーストと共に100℃以上150℃未満で加熱する工程をさらに備える光発電素子の製造方法である。
当該製造方法においては、上記のように二段階で加熱を行うことで、十分な光電出力特性を有し、かつ集電極の密着性に優れる光発電素子を得ることができる。具体的には、まず、集電極を形成する前の層構造体に対し、比較的高温で加熱(アニーリング)処理をすることで出力特性を高めることができる。その後、メッキ処理により集電極を形成し、配線を形成するための導電性ペーストを塗布等した後に比較的低温で加熱する。このようにすることで、集電極における内部応力の発生を抑えることができ、集電極の剥がれを抑制しつつ、導電性ペーストを乾燥及び固化させることができる。なお、二回目の加熱を100℃以上150℃未満で行うことで導電性ペーストは十分に乾燥するため、良好な出力特性を発揮する光発電素子が得られる。
上記層構造体が、厚さ方向に形成された貫通孔を有し、上記導電性ペースト接触工程において、上記導電性ペーストを上記貫通孔に充填することが好ましい。このようにすることで、導電性ペーストにより層構造体を貫通するビア導体(端子)を形成することができ、発電効率の高いMWT構造を有する光発電素子を得ることができる。
上記バリア層積層工程をスパッタリングにより行い、上記バリア層を銀合金により形成することが好ましい。このようなバリア層を形成することで、集電極を形成する金属成分が加熱に伴って透明導電膜へ拡散することで導電性が低下することを十分に抑制することができる。
上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含むことが好ましい。上記バリア層がこのような合金から形成されていることで、酸化による抵抗上昇が小さく、かつ、拡散を抑制するバリア機能も十分に発現される。従って、集電極の細線化により光の取り込み量を増やしつつ、抵抗の上昇を抑えることを可能とし、これにより得られる光発電素子の変換効率等を高めることができる。
上記メッキ層積層工程が、ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層を積層する工程、及び銅又は銅合金から形成される第2メッキ層を積層する工程をこの順に備えることが好ましい。ニッケル等から形成される第1メッキ層は強酸性のメッキ液を用いずに行うことができるため、第1メッキ層の形成の際にバリア層の剥離が生じがたい。また、このような第1メッキ層の外面に強酸性の銅メッキ液を用いて第2メッキ層を形成する際も、第1メッキ層でバリア層が被覆されているためバリア層の剥離が生じがたい。従って、このような層構造の集電極を形成することで、集電極の剥がれをより抑制することができる。
上記メッキ層積層工程が、第2メッキ層の外面に、錫又は錫合金から形成される第3メッキ層を積層する工程をさらに備えることが好ましい。このように第3メッキ層を形成することで、得られる光発電素子において、第2メッキ層表面の酸化を抑制し、その結果出力特性の低下を抑制することができる。
上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されていることが好ましい。発明者は、光発電素子がこのような所謂ヘテロ接合型である場合、アニール処理により、キャリアの再結合を抑制する中間層(真性非晶質系半導体層等)のパッシベーション能力が向上し、光発電素子の出力特性が高まることを知見している。従って、当該製造方法をヘテロ接合型の素子に採用することによって、変換効率等がより高い光発電素子を得ることができる。
ここで、配線形成用の導電性ペーストにおける「配線」とは、層構造体の表面又は裏面に設けられた配線(バスバー電極等)に加え、層構造体を厚さ方向に貫通するビア導体(端子)等も含む意味である。また、非晶質系半導体層における「非晶質系」とは、完全な非晶質体のみならず、非晶質中に微結晶が存在するものも含む。また、真性非晶質系半導体層における「真性」とは、不純物が意図的にドープされていないことをいい、原料に本来含まれる不純物や製造過程において非意図的に混入した不純物が存在するものも含む意味である。
本発明によれば、十分な光電出力特性を有し、かつ集電極の密着性に優れる光発電素子の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光発電素子の製造方法の工程を示すフロー図である。 図2は、図1の光発電素子の製造方法の用意工程を示す模式的断面図である。 図3(a)〜(g)は、図1の光発電素子の製造方法のバリア層積層工程からバリア層除去工程までを示す模式的平面図である。 図4は、図1の光発電素子の製造方法のペースト接触工程以降を示す模式的断面図である。 図5は、参考例及び比較参考例における集電極の接触抵抗を示すグラフである。 図6は、膜厚測定方法を示す模式図である。
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の一実施形態に係る光発電素子の製造方法について詳説する。
本発明の一実施形態に係る光発電素子の製造方法は、
最外に存在する透明導電膜を有し、光照射により起電力が生じる層構造体を用意する工程(用意工程(a))、
上記透明導電膜の外面に、金属から形成されるバリア層を積層する工程(バリア層積層工程(b))、
上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程(レジスト膜積層工程(c))、
メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にメッキ層を積層する工程(メッキ層積層工程(d))、
上記レジスト膜を除去する工程(レジスト膜除去工程(e))、
上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程(バリア層除去工程(f))、及び
配線形成用の導電性ペーストを上記層構造体に接触させる工程(導電性ペースト接触工程(g))
をこの順に備え、
上記レジスト膜積層工程(c)前に、上記層構造体を150℃以上250℃以下で加熱する工程(第1加熱工程(h−1))、及び
上記導電性ペースト接触工程(g)後に、上記層構造体を上記導電性ペーストと共に100℃以上150℃未満で加熱する工程(第2加熱工程(h−2))
をさらに備える。
上記バリア層積層工程(b)から上記バリア層除去工程(f)までが、集電極を形成する工程である。集電極は、上記方法により層構造体の両面に形成することが好ましい。また、上記導電性ペースト接触工程(g)及び第2加熱工程(h−2)が、導電性ペーストにより配線を形成する工程である。
上記第1加熱工程(h−1)は、用意工程(a)とバリア層積層工程(b)との間に行ってもよく、バリア層積層工程(b)とレジスト膜積層工程(c)との間で行ってもよい。但し、用意工程(a)における透明導電膜等の積層とバリア層積層工程(b)とは、通常、共にスパッタリング等により行われる。このため、用意工程(a)とレジスト膜積層工程(b)とは、連続して行うことが効率的である。従って、上記第1加熱工程(h−1)は、バリア層積層工程(b)とレジスト膜積層工程(c)との間で行うことが好ましい。以下、図1に示すように、第1加熱工程(h−1)を、バリア層積層工程(b)とレジスト膜積層工程(c)との間で行う場合における実施形態について、各工程順に適宜図面を参照に詳説する。
[用意工程(a):STEP(a)]
用意工程(a)においては、表面側及び裏面側の最外層として一対の透明導電膜15、18を有し、厚さ方向に貫通孔19が形成されており、光照射により起電力が生じる層構造体11を用意する(図2参照)。この工程においては、通常、結晶半導体基板12に貫通孔19を形成し、貫通孔19が形成された結晶半導体基板12に対して、所定の各層(透明導電膜15、18等)を積層させる。
結晶半導体基板12に貫通孔19(ビアホール)を形成する方法としては、特に限定されず、レーザー、エッチング、ドリル等を用いて行うことができるが、レーザーによる方法が生産性等の点から好ましい。貫通孔19の開口部分の形状としては、特に限定されないが、通常、円形である。貫通孔19の直径の下限としては、例えば0.05mmとすることができる。一方、この上限としては、3mmとすることができ、1mmとすることもできる。貫通孔19の直径を上記下限以上とすることで、十分な導通性を確保することなどができる。一方、貫通孔19の直径を上記上限以下とすることで、生産性を高めたり、セル特性の低下を抑制することなどができる。
通常、1つの層構造体11(結晶半導体基板12)には、複数の貫通孔19が形成される。1つの層構造体11あたりに形成される貫通孔19の個数としては、特に限定されないが、例えば10個以上200個以下程度である。
次いで、図2を参照に、層構造体11の層構造について説明する。層構造体11は、n型の結晶半導体基板12と、結晶半導体基板12の一方の面側(図2における上側)に以下の順で積層される第1中間層13、p型非晶質系半導体層14及び第1透明導電膜15と、結晶半導体基板12の他方の面側(図2における下側)に以下の順で積層される第2中間層16、n型非晶質系半導体層17及び第2透明導電膜18とを有する。すなわち、第1透明導電膜15と第2透明導電膜18とが、層構造体11の表面側及び裏面側の最外層である。層構造体11は、光照射により起電力(電圧)が生じる。なお、「外面」とは、結晶半導体基板12を中心とし、結晶半導体基板12と反対側の面をいう。「内面」とは、結晶半導体基板12側の面をいう。
結晶半導体基板12は、n型結晶半導体から形成されている。n型の基板を用いることで、p型の基板に特有の光劣化現象を回避することができる。n型結晶半導体とは、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる結晶体である。結晶半導体基板12を構成する結晶半導体としては、シリコン(Si)の他、SiC、SiGe等を挙げることができるが、生産性等の点からシリコンが好ましい。結晶半導体基板12は、単結晶体であってもよいし、多結晶体であってもよい。
結晶半導体基板12の両面には、ピラミッド状の微細な凹凸構造が形成されている(図示しない)。このような構造により、光の閉じ込め機能を高めることができる。この凹凸構造(テクスチャー構造)の高さや大きさは不揃いであってよく、隣り合う凹凸の一部が重なっていてもよい。また、頂点や谷部が丸みを帯びていてもよい。この凹凸の高さとしては、数μm〜数十μm程度である。このような凹凸構造は、例えば、約1〜5質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより得ることができる。
結晶半導体基板12の平均厚さとしては特に制限されない。この平均厚さの上限としては、例えば300μmであり、200μmが好ましい。また、この下限としては、例えば50μmとすることができる。このように結晶半導体基板12を薄型化することにより、得られる光発電素子自体の小型化、低コスト化等を図ることができる。
第1中間層13は、結晶半導体基板12とn型非晶質系半導体層14との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第1中間層13は、真性非晶質系半導体から形成されており、通常、シリコンから形成されている。このような第1中間層13(真性非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第1中間層13の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
p型非晶質系半導体層14は、第1中間層13の外面側に積層されている。p型非晶質系半導体層14は、通常、シリコン等の半導体に微量の3価の元素が添加されてなる非晶質層である。p型非晶質系半導体層14の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第2中間層16は、結晶半導体基板12とn型非晶質系半導体層17との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第2中間層16は、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層17を形成するn型非晶質系半導体よりもドープ量が少ないn型非晶質系半導体から形成されている。すなわち、第2中間層16は、真性非晶質系半導体層、又はn型非晶質系半導体層17よりドープ量の少ない低ドープn型非晶質系半導体層である。第2中間層16が真性非晶質系半導体層である場合、この層は、通常、シリコン等の半導体から形成されている。第2中間層16が低ドープn型非晶質系半導体層である場合、この層は、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。低ドープn型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17より、5価の元素の添加量(ドーパント量)が少ないことにより、高抵抗となっている。第2中間層16が低ドープn型非晶質系半導体層であることは、ドーパントの密度又は濃度や、電気抵抗率等により確認することができる。ドーパントの電子密度等は、公知の方法により測定することができる。このような第2中間層16(真性非晶質系半導体層又は低ドープn型非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第2中間層16の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
n型非晶質系半導体層17は、第2中間層16の外面側に積層されている。n型非晶質系半導体層17は、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。n型非晶質系半導体層17の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第1透明導電膜15は、p型非晶質系半導体層14の外面側に積層されている。また、第2透明導電膜18は、n型非晶質系半導体層17の外面側に積層されている。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を構成する透明導電性材料としては、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムタングステン酸化物(IWO)、インジウムセリウム酸化物(ICO)等を挙げることができる。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18の平均膜厚としては特に制限されないが、例えばそれぞれ40nm以上200nm以下とすることができる。
層構造体11は公知の方法により得ることができるが、具体的には、この層構造体11の製造方法は、結晶半導体基板12の一方の面側に第1中間層13を積層する工程、さらにp型非晶質系半導体層14を積層する工程、さらに第1透明導電膜15を積層する工程、結晶半導体基板12の他方の面側に第2中間層16を積層する工程、さらにn型非晶質系半導体層17を積層する工程、及びさらに第2透明導電膜18を積層する工程を有する。なお、各工程の順は、層構造体11の層構造を得ることができる順である限り特に限定されるものではない。
真性非晶質系半導体層である第1中間層13、及び真性非晶質系半導体層としての第2中間層16を積層する方法としては、例えば化学気相成長法などの公知の方法が挙げられる。化学気相成長法としては、例えばプラズマCVD法や触媒CVD法(別名ホットワイヤCVD法)等が挙げられる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては例えばSiHとHとの混合ガスを用いることができる。
p型非晶質系半導体層14及びn型非晶質系半導体層17を積層する方法としても、真性非晶質系半導体層の積層と同様の、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては、p型非晶質系半導体層14においては、例えばSiHとHとBとの混合ガスを用いることができる。n型非晶質系半導体層17においては、例えばSiHとHとPHとの混合ガスを用いることができる。
低ドープn型非晶質系半導体層としての第2中間層16も、n型非晶質系半導体層17と同様に、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。低ドープn型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17よりもドーパント量を少なくすることにより形成することができる。例えば、SiHとPHとを含む混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成する場合、SiHを基準としたドーパントとしてのPHの導入量を1000ppm以下として製膜することにより、低ドープn型非晶質系半導体層を得ることができる。また、この低ドープn型非晶質系半導体層を製膜する際の上記PHの導入量(濃度)は、n型非晶質系半導体層17を製膜する際の導入量(濃度)の1/100以上1/5以下とすることができる。
第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を積層する方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法(反応性プラズマ蒸着法)等を挙げることができるが、スパッタリング法及びイオンプレーティング法によることが好ましい。スパッタリング法は、膜厚制御性等に優れ、また、イオンプレーティング法等に比べて低コストで行うことができる。一方、イオンプレーティング法によれば、欠陥の発生を抑制した製膜を行うことができる。
[バリア層積層工程(b):STEP(b)]
バリア層積層工程(b)においては、層構造体11の外面に、好ましくはスパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層20を積層する(図3(a)参照)。なお、層構造体11の最外層は、第1透明導電膜15あるいは第2透明導電膜18である(図3においては図示しない)。バリア層20を積層するためのスパッタリングは、バリア層20の組成からなるスパッタリングターゲットを用いて行うことができる。また、バリア層20を構成する各元素のスパッタリングターゲットを用い、放電量を制御して同時にスパッタリングすることにより製膜してもよい。
バリア層20は、好ましくは銀合金から形成されている。バリア層20を形成する銀合金としては、銀を主成分とする限り特に限定されず、銀以外の成分として、金、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ガリウム、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウム等を含むことができる。このバリア層20により、加熱処理の際の銅の拡散を効果的に防ぐことなどができる。
上記バリア層20を形成する銀合金は、主成分である銀(Ag)に加えて、パラジウム(Pd)及びガリウム(Ga)の少なくとも一種と、銅(Cu)とを含むことが好ましい。このような成分を含むバリア層20が、各メッキ層と透明導電膜との間の良好なバリア性を発揮し、第2メッキ層23中の銅の透明導電膜との接触による酸化を抑えることができる。一方、このような組成を有するバリア層20自体は、酸化による抵抗上昇が小さい。また、このバリア層20は、第2メッキ層23を形成する銅の拡散も抑制することができる。
バリア層20は、上述のように、好ましくはAgを主成分とし、Pd及びGaの少なくとも一種並びにCuが添加されてなるAg−Pd−Cu系又はAg−Ga−Cu系銀合金から形成される。バリア層20におけるAgの含有量としては、例えば90原子%以上99原子%以下とすることができる。バリア層20におけるPdの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるGaの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20はPd及びGaの両方を含有しても良く、Pd及びGaの合計の含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるCuの含有量としては、例えば0.1原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20がこのような組成の銀合金から形成されていることにより、より良好なバリア性等を発揮することができる。なお、実施例で用いたフルヤ金属社のAPC−TRターゲットは上記組成を満たすAg−Pd−Cu系合金である。なお、バリア層20には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分が含有されていてもよい。
バリア層20の平均厚みとしては、特に限定されないが、下限として例えば10nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。一方、この上限としては、300nmが好ましく、150nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。バリア層20の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分なバリア性を発現できない場合がある。逆に、バリア層20の平均厚みが上記上限を超える場合は、製造工程において不要な部分の除去(エッチバック)が容易ではなくなるなど、生産性が低下する。
[第1加熱工程(h−1):STEP(h−1)]
第1加熱工程(h−1)においては、バリア層20が積層された層構造体11(図3(a)参照)を150℃以上250℃以下で加熱(アニーリング)する。このようなアニーリングを行うことで、第1中間層13や第2中間層16のパッシベーション能力、第1透明導電膜15や第2透明導電膜18の特性等が向上し、光発電素子、特にヘテロ接合型の光発電素子の出力特性を高めることができる。
第1加熱工程における加熱温度の下限は、180℃が好ましい。一方、この上限は、220℃が好ましい。また、処理時間としては10分以上1時間以下とすることができる。この加熱処理は公知の装置等を用いて行うことができる。
[レジスト膜積層工程(c):STEP(c)]
レジスト膜積層工程(c)においては、バリア層20の外面の一部にレジスト膜21を積層する(図3(b)参照)。レジスト膜21は、マスク、メッキレジスト等とも称されるものであり、レジスト膜21が積層されていない部分が、集電極が形成される部分となる。レジスト膜21は、例えばインクジェット印刷により形成することができる。レジスト膜21を形成する材料としては、特に限定されず、一般的に使用される無機材料や有機材料を用いることができる。レジスト材料としては、インクジェット印刷によりレジスト膜21を形成する場合、パラフィンろうを用いることが好ましい。加熱した溶融状態のパラフィンろうをインクジェット印刷によりバリア層20表面に印刷すると、印刷後パラフィンろうがバリア層20表面で硬化する。これにより、側面が急こう配であるレジスト膜21を効率的に形成することができる。また、パラフィンろうで形成されたレジスト膜21は、除去も容易に行うことができる。なお、レジスト膜21は、その他の例えばフォトレジスト材料等で形成してもよい。
[メッキ層積層工程(d):STEP(d)]
メッキ層積層工程(d)は、メッキ処理により、バリア層20の外面の露出部分にメッキ層を積層する工程である。このメッキ層は、単層であってもよいが、複層であることが好ましく、ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層22、及び銅又は銅合金から形成される第2メッキ層23が、バリア層20に対してこの順に積層されていることが好ましい。さらに、第2メッキ層23の外面に錫又は錫合金から形成される第3メッキ層24が積層されていることがより好ましい。以下、メッキ層がこの三層構造である場合における製造方法について説明する。
[第1メッキ層積層工程(d−1)]
第1メッキ層積層工程(d−1)においては、メッキ処理により、バリア層20の外面の露出部分にニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層22を積層する(図3(c)参照)。これらの金属のメッキは、比較的中性領域でのメッキ浴により行うことができる。この工程(d−1)に用いられるメッキ液のpHは、例えば5以上7以下の弱い酸性領域とすることができる。これにより、バリア層20が剥がれることなく、この外面を第1メッキ層22で被覆することができる。ニッケルメッキは、例えばワット浴等の公知により行うことができる。クロムメッキは、例えば硬質クロムメッキ等の公知の方法により行うことができる。銀メッキは、例えばシアン化銀メッキ浴等の公知の方法により行うことができる。
第1メッキ層22におけるニッケル、クロム、銀又はこれらの組み合わせの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、第1メッキ層22には、上記成分以外の他の成分が含有されていてもよい。なお、経済性や環境問題等の点からは、第1メッキ層22は、ニッケルを主成分として含むことが好ましく、実質的にニッケルのみから形成された層であることが好ましい。
第1メッキ層22の平均厚みとしては特に限定されないが、この下限としては、0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましく、0.2μmがさらに好ましく、0.5μmがよりさらに好ましく、1μmがよりさらに好ましい。一方、この上限としては、5μmが好ましく、3μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。第1メッキ層22の平均厚みが上記下限未満の場合は、第1メッキ層22が十分にバリア層20を被覆することができず、第2メッキ層23の形成の際に、バリア層20の剥離が生じやすくなるおそれがある。一方、第1メッキ層22の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
[第2メッキ層積層工程(d−2)]
第2メッキ層積層工程(d−2)においては、メッキ処理により、上記第1メッキ層22の外面に銅又は銅合金から形成される第2メッキ層23を積層する(図3(d)参照)。このいわゆる銅メッキは、硫酸塩浴等、公知の方法により行うことができる。なお、バリア層20を第1メッキ層22で被覆しているため、強酸性の硫酸塩浴等を行っても、バリア層20の剥離は生じ難い。従って、強酸性(例えばpH1〜2等)の硫酸塩浴等により、短時間で生産性高く第2メッキ層23を形成することができる。
なお、銅メッキ反応の標準電極電位(+0.34V)は、水素(0V)より貴な電位である。硫酸銅のみの溶液では加水分解が起きやすく、また高い電源電圧が必要となる。そこで、メッキ液の電導性の向上や陽極の溶解促進、加水分解の防止のために高濃度の硫酸が加えられており、銅メッキ液は強酸性を示す。一方、水素に比べ卑な標準電極電位(−0.23V)であるニッケルメッキ反応の場合、水の電気分解により水素が発生しやすい。pHは低すぎると水素イオン濃度が高くなり、水素がより発生しやすくなる。これが、ニッケルメッキ液で硫酸銅メッキ液のような強酸性のメッキ液が存在しない理由である。
第2メッキ層23におけるCuの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、第2メッキ層23には、Cu以外の他の成分が含有されていてもよい。
第2メッキ層23の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下とすることができる。第2メッキ層23の平均厚みの下限は、4μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、15μmがよりさらに好ましい。また、この上限は、30μmがより好ましい。第2メッキ層23の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な導電性や集電性等を発揮できない場合がある。逆に、第2メッキ層23の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。また、平均厚みが上記上限を超えると、集電極の剥離が生じやすくなるおそれがある。
[第3メッキ層積層工程(d−3)]
第3メッキ層積層工程(d−3)においては、メッキ処理により、第2メッキ層23の外面に第3メッキ層24(被覆層)を積層する(図3(e)参照)。このメッキ処理は、公知の方法により行うことができ、例えば錫メッキを行う場合、硫酸塩浴などにより行うことができる。
第3メッキ層24(被覆層)により第2メッキ層23表面の酸化を防ぐことができる。第3メッキ層24は、通常金属から形成されている。第3メッキ層24を形成する金属としては、特に限定されないが、第3メッキ層24が主成分として錫(Sn)を含むことが好ましい。Snは光反射率が高いため、例えば第1透明導電膜15の外面で反射した光が、第3メッキ層24の裏面(内面)で再度反射しやすく、光の取り込み量を増やすことができる。また、Snを第3メッキ層24に用いることで、はんだの濡れ性を高めることなどができる。第3メッキ層24におけるSnの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、第3メッキ層24には、Sn以外の他の成分が含有されていてもよい。
第3メッキ層24の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.5μm以上5μm以下とすることができる。第3メッキ層24の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な機能を発現できない場合がある。逆に、第3メッキ層24の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
[レジスト膜除去工程(e):STEP(e)]
レジスト膜除去工程(e)においては、レジスト膜21を除去する(図3(f)参照)。このレジスト膜21の除去は、酸溶液やアルカリ溶液等を用いて行うことができる。レジスト膜21がパラフィンろうから形成されている場合、例えば水酸化カリウム水溶液により効率的にレジスト膜21を除去することができる。この水酸化カリウム水溶液の濃度としては、例えば1質量%以上5質量%以下程度である。
[バリア層除去工程(f):STEP(f)]
バリア層除去工程(f)においては、レジスト膜21が除去された領域、すなわち第1メッキ層22等が積層されていない領域のバリア層20を除去(エッチバック)する(図3(g)参照)。これにより、集電極25が形成される。バリア層20の除去は、バリア層20を溶解可能なエッチング液により行うことができる。このようなエッチング液としては、例えばリン酸系水溶液等を挙げることができる。バリア層20のエッチング液としては、リン酸の含有量が50質量%以上70%以下、硝酸の含有量が0.1質量%以上9.9質量%以下、酢酸の含有量が10質量%以上30質量%以下、フッ化アンモニウムの含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下の水溶液が好ましい。
なお、このような工程によって得られた図3(g)に示す集電極25は、底面よりも上面がやや広く、側面が凹状にやや湾曲した形状となっている。このような形状である場合、透明導電膜外面で反射した光が、集電極25の側面等で再度反射し、透明導電膜内へ入射しやすくなる。これにより、光の取り込み量を増やすことができる。
形成される複数の線状の集電極25は、互いに平行に配設されている。集電極25の線幅の下限としては、例えば5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、この線幅の上限としては、例えば100μmが好ましく、50μmがより好ましい。集電極25の線幅を上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、導電性を確保することができる。
集電極25のピッチ(隣接する集電極25の中心間の距離)としては特に限定されないが、下限として、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、この上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。集電極25のピッチを上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、集電性を確保することができる。
[導電性ペースト接触工程(g):STEP(g)]
導電性ペースト接触工程(g)は、配線形成用の導電性ペーストを層構造体11に接触させる工程である。本実施形態においては、具体的には、導電性ペースト26を貫通孔19に充填する(図4参照)。その他、導電性ペーストを透明導電膜15、18の表面に積層してもよい。この導電性ペーストとしては、特に限定されず、銀ペースト等の公知のものを用いることができる。また、貫通孔19への充填方法としても特に限定されず、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷法などにより行うことができる。
[第2加熱工程(h−2)]
第2加熱工程(h−2)は、層構造体11を導電性ペースト26と共に100℃以上150℃未満で加熱する工程である。この加熱により、貫通孔19に充填された導電性ペーストが乾燥及び固化し、ビア導体29となる。加熱温度が上記下限未満である場合、十分に導電性ペーストを乾燥させることができず、良好な出力特性を有する光発電素子を得ることができない。また、加熱温度が上記上限を超える場合、加熱により集電極25に生じる内部応力が大きくなり、密着性が低下し、集電極25の剥がれが生じやすくなる。この集電極の剥がれは、集電極25が細くかつ高くなるほど生じやすく、また、集電極25を多層にするほど生じやすくなる。従って、出力特性を高めるべく、集電極25を細くし、又は、集電極25を多層にする場合、本発明の利点をより十分に享受することができる。この加熱温度の下限としては、120℃が好ましい。一方、この加熱温度の上限としては140℃が好ましい。また、第2加熱工程における処理時間としては10分以上1時間以下とすることができる。
このようにして得られるビア導体29の一方の外面は、第1透明導電膜15の外面よりも突出しており、ビア導体29の他方の外面は、第2透明導電膜18の外面よりも突出している。ビア導体29において、第2透明導電膜18側に突出している部分が、表面側集電極の端子28となる。なお、裏面側の第2透明導電膜18には絶縁溝27が形成されており、これによりビア導体29(表面側の集電極の端子28)は、裏面側の集電極25と絶縁された状態となっている。絶縁溝27の形成は任意の方法及び任意のタイミングで行うことができる。また、第1透明導電膜15の外面の複数の線状の集電極25は、ビア導体29と電気的に接触しており、これにより、ビア導体29が表面側の集電極25の端子28として機能する。
このような工程を経て得られる光発電素子30において、光入射面は、第1透明導電膜15側であってもよいし、第2透明導電膜18側であってもよい。両面から受光するように使用してもよい。光発電素子30は、通常、複数を直列に接続して使用される。複数の光発電素子30を直列接続して使用することで、発電電圧を高めることができる。
<他の実施形態>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、ヘテロ接合型の層構造体においては、第1中間層や第2中間層を設けなくてもよく、p型の結晶半導体基板を用いてもよい。また、ヘテロ接合型の光発電素子以外の光発電素子の製造に本発明を適用してもよい。さらには、導電性ペーストを用いて、ビア導体以外の配線を形成することもできる。このような配線としては、例えばバスバー電極などが挙げられる。また、バリア層は、純銀層等、銀合金層以外であってもよいし、メッキ層は、1層、2層、又は4層以上であってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[メッキ処理の際にバリア層が剥がれにくい集電極の層構造の検討]
<参考例1>
第1透明導電膜/p型非晶質系シリコン層/第1真性非晶質系シリコン層/n型結晶シリコン基板/第2真性非晶質系シリコン層/n型非晶質系シリコン層/第2透明導電膜からなる層構造体を作成した。n型結晶シリコン基板は、両面に無数のピラミッド形状を有する微細な凹凸構造(テクスチャー構造)が形成された単結晶基板を用いた。この凹凸構造は、約3質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより形成した。また、各シリコン層は、プラズマCVD法により積層した。各透明導電膜は、酸化錫を3質量%含有した酸化インジウム(ユミコア社のスパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリングにより積層した。なお、p型非晶質系シリコン層、第1真性非晶質系シリコン層、n型結晶シリコン基板、第2真性非晶質系シリコン層、及びn型非晶質系シリコン層は、それぞれp型非晶質系半導体層、第1中間層、n型結晶半導体基板、第2中間層、及びn型非晶質系半導体層に対応する。
次いで、以下の方法により、第1透明導電膜及び第2透明導電膜外面に、複数の線状の集電極(線幅30μm、ピッチ2mm)を形成した。まず、フルヤ金属社のAPC−TRターゲットを用い、層構造体の両面にスパッタリングにより平均厚み50nmの金属膜(バリア層)を形成した。なお、上記ターゲット、すなわち、形成したこの金属膜は、銀を主成分とするAg−Pd−Cu系合金である。次に、パラフィンろうを用い、金属膜上にインクジェット印刷によりメッキのためのレジスト膜を形成した。次いで、露出した金属膜上に、メッキ処理により平均厚み1μmのニッケルメッキ層(第1メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH5.5のNiメッキ液を用いた。次いで、ニッケルメッキ層上に、メッキ処理により平均厚み20μmの銅メッキ層(第2メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH1のCuメッキ液を用いた。次いで、銅メッキ層上に、メッキ処理により平均厚み1μmの錫メッキ層(第3メッキ層:被覆層)を形成した。次いで、25℃の3質量%水酸化カリウム溶液に1分間浸漬させることにより、レジスト膜であるパラフィンろうを除去した。次いで、リン酸系水溶液に10秒浸漬させることにより、露出部分の金属膜を除去した。その後、200℃30分のアニール処理を行った。これにより、参考例1の光発電素子を得た。なお、銅メッキ層(第2メッキ層)の形成の際には、金属膜(バリア層)の剥がれは生じなかった。
<参考例2〜4、比較参考例1〜2>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)の平均厚さ及び銅メッキ層(第2メッキ層)の平均厚さを表1に記載のとおりとしたこと以外は参考例1と同様にして、参考例2〜4、比較参考例1〜2の光発電素子をそれぞれ得た。
上記各参考例1〜4及び比較参考例1〜2の結果を以下の表にまとめて示す。
Figure 2018041787
比較参考例1、2のように、第1メッキ層を設けず、バリア層に直接第2メッキ層(Cu層)を積層した場合は、バリア層の剥がれが生じ、第2メッキ層を厚くした場合にこれは顕著になる。幅の狭い配線(線状の集電極)を高く形成する、すなわち厚い銅メッキを施すことにより剥がれやすくなると言える。これに対し、参考例1〜4のように、バリア層に第1メッキ層(Ni層)を設け、この上に第2メッキ層(Cu層)を積層することで、バリア層の剥がれを防ぐことができることがわかる。第1メッキ層によって、バリア層が強酸性であるCuメッキ液から保護されるためであるといえる。なお、これらは、強酸性のメッキ液を用いた場合の、製造段階でのバリア層の剥がれ難さを検討したものである。例えば、銅メッキを弱酸性のメッキ液を用いて行うことで、ニッケルメッキ層を設けなくとも、バリア層の剥がれを抑えて銅メッキ層を形成することができる。但し、この場合、後述のように積層に時間がかかり、生産性が低下する。
[集電極の接触抵抗の検討]
<参考例5、比較参考例3>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)の平均厚さ及び銅メッキ層(第2メッキ層)の平均厚さを表2に記載のとおりとしたこと以外は参考例1と同様にして、参考例5、比較参考例3の光発電素子をそれぞれ得た。各光発電素子を3サンプルずつ作製し、集電極の接触抵抗を測定した。測定結果を表2及び図5に示す。
Figure 2018041787
参考例5と比較参考例3とは、メッキ層の合計の厚さは同じである。ニッケルの方が銅よりも電気抵抗率が大きいにも拘わらず、Ni層(第1メッキ層)を設けた参考例5の方が接触抵抗が低いことがわかる。これは、第1メッキ層によりバリア層が銅メッキ液から保護され、ダメージが受けにくくなっていることによると考えられる。
また、弱酸性のメッキ液を用いてバリア層の表面に直接銅層を形成する場合と比べて、強酸性のメッキ液を用いることで、銅層(第2メッキ層)の積層時間を約10分の1に短縮できることが確認できた。第1メッキ層を積層する工程を考慮しても、弱酸性のメッキ液を用いてバリア層の表面に直接銅層を形成する場合と比べて、全体のメッキ処理時間を約5分の1に短縮できた。
[剥がれにくい加熱温度の検討]
<参考例6〜9、比較参考例4〜7>
ニッケルメッキ層(第1メッキ層)、銅メッキ層(第2メッキ層)及び錫メッキ層(被覆層)の平均厚さをそれぞれ表3に記載の通りとし、集電極形成後、表3に記載の温度で加熱(アニール)処理したこと以外は参考例1と同様にして、参考例6〜9、及び比較参考例4〜7の光発電素子を得た。加熱処理前後での密着性を以下の方法にて評価した。
粘着テープ(積水化学工業の包装用オリエンスパットテープ)を集電極表面に貼り、その後粘着テープを剥がしたときの、集電極の状態を以下の基準で評価した。評価結果を表3に示す。
A:集電極の剥がれ及び傷つき無し
B:集電極に傷がついた、又は1本の集電極が剥がれた
C:複数の集電極が剥がれた
Figure 2018041787
表3に示されるように、160℃以上で加熱処理すると、集電極が剥がれやすくなる一方、160℃未満の場合は、集電極は十分に密着していることが分かる。
<実施例1>
貫通孔を形成した基板を用いたこと、バリア層(金属膜)形成後レジスト膜形成前に200℃30分で加熱処理したこと、集電極形成後、貫通孔に銀ペーストを充填したこと、及び上記充填後に140℃30分で加熱処理を行ったこと以外は参考例1と同様にして光発電素子を得た。得られた光発電素子の短絡電流(ISC)、開放電圧(VOC)、フィルファクター(FF)、変換効率(Eff)、直列抵抗(Rs)及び並列抵抗(Rsh)を計測した。測定結果を表4に示す。
Figure 2018041787
表4に示されるように、実施例1の光発電素子は十分な光電変換特性を有することが分かる。すなわち、140℃30分の加熱処理でも、導電性ペーストは十分に乾燥し、良好な出力特性を発揮できることがわかる。
ここで、本明細書における各層又は膜の測定方法について説明する。金属膜等の厚さは、各層又は膜の面に対して垂直方向の厚みをいう。なお、平均厚さとは、任意に選んだ10カ所の厚さの平均値とする。具体的に仮想的な基板50を示した図6により説明する。図6の基板50は、平滑部51と凹凸部52とを両方有する。例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで、層53の基板50(平滑部51)の平面に対して垂直な厚さt、及び基板50(凹凸部52)の斜面に垂直な厚さt’、並びに凹凸部52の斜面の角度αをそれぞれ測定することができる。平滑部51に積層された層53の厚さはtである。凹凸部52に積層された層53の厚さはt’である。三角関数からt’=t×cosαが成り立つ。
本発明は、太陽光発電装置の製造などに好適に用いることができる。
11 層構造体
12 結晶半導体基板
13 第1中間層
14 p型非晶質系半導体層
15 第1透明導電膜
16 第2中間層
17 n型非晶質系半導体層
18 第2透明導電膜
19 貫通孔
20 バリア層
21 レジスト膜
22 第1メッキ層
23 第2メッキ層
24 第3メッキ層
25 集電極
26 導電性ペースト
27 絶縁溝
28 端子
29 ビア導体
30 光発電素子
50 基板
51 平滑部
52 凹凸部
53 層

Claims (7)

  1. 最外に存在する透明導電膜を有し、光照射により起電力が生じる層構造体を用意する工程、
    上記透明導電膜の外面に、金属から形成されるバリア層を積層する工程、
    上記バリア層の外面の一部にレジスト膜を積層する工程、
    メッキ処理により、上記バリア層の外面の露出部分にメッキ層を積層する工程、
    上記レジスト膜を除去する工程、
    上記レジスト膜が除去された領域の上記バリア層を除去する工程、及び
    配線形成用の導電性ペーストを上記層構造体に接触させる工程
    をこの順に備え、
    上記レジスト膜積層工程前に、上記層構造体を150℃以上250℃以下で加熱する工程、及び
    上記導電性ペースト接触工程後に、上記層構造体を上記導電性ペーストと共に100℃以上150℃未満で加熱する工程
    をさらに備える光発電素子の製造方法。
  2. 上記層構造体が、厚さ方向に形成された貫通孔を有し、
    上記導電性ペースト接触工程において、上記導電性ペーストを上記貫通孔に充填する請求項1に記載の光発電素子の製造方法。
  3. 上記バリア層積層工程をスパッタリングにより行い、上記バリア層を銀合金により形成する請求項1又は請求項2に記載の光発電素子の製造方法。
  4. 上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含む請求項3に記載の光発電素子の製造方法。
  5. 上記メッキ層積層工程が、
    ニッケル、クロム、銀又はこれらの合金から形成される第1メッキ層を積層する工程、及び
    銅又は銅合金から形成される第2メッキ層を積層する工程
    をこの順に備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光発電素子の製造方法。
  6. 上記メッキ層積層工程が、
    第2メッキ層の外面に、錫又は錫合金から形成される第3メッキ層を積層する工程
    をさらに備える請求項5に記載の光発電素子の製造方法。
  7. 上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、
    上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、
    上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光発電素子の製造方法。
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