JP2018190819A - 光発電素子及びその製造方法 - Google Patents

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史陽 石村
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Abstract

【課題】集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、上記集電極が、上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、このバリア層の外面に積層され、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層と、この金属薄膜層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成されるメッキ層とを有することを特徴とする光発電素子である。上記金属薄膜層が、スパッタリング膜であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、光発電素子及びその製造方法に関する。
CO等の温室効果ガスを発生しないクリーンな発電手段として、あるいは原子力発電に代わる操業安全性の高い発電手段として、太陽電池が近年特に注目されている。太陽電池(光発電素子)としては、外面に透明導電膜が設けられた層構造のセルが広く用いられており、この透明導電膜の外面には、発生した電気を集める集電極が配設されている。
外面に配設される集電極は線状であり、この集電極を細線化することにより光取り込み量を増やすことができる。このような線状の集電極としては、例えば透明導電膜の外面に積層されるバリア層としての銀層と、この銀層の外面に積層される銅層とを有する二層構造のものが採用されている(特開平11−17202号公報及び特開2014−241392号公報参照)。このように銀層を介して銅層が透明導電膜外面に積層された層構造の集電極によれば、アニーリング処理の際の銅の透明導電膜への拡散による導電性の低下を銀層によって抑制することができる。
特開平11−17202号公報 特開2014−241392号公報
上記二層構造の集電極は、通常、スパッタリングにより透明導電膜表面に銀層を積層し、次いで、メッキ処理によりこの銀層の外面に銅層を積層することにより形成される。しかし、銀合金から形成されている銀層上にメッキ処理により銅層を積層する場合、硫酸塩浴などの強酸性の銅メッキ液により、透明導電膜から銀層の剥がれが生じる場合がある。このような銀層の剥がれを抑制するために、低濃度の銅メッキ液を用いてメッキ処理する方法も考えられる。しかしこの場合、処理時間が長くなり、生産性が低下する。
また、上記銀層の剥がれを改善すべく、まず、銀層の外面に強酸性のメッキ液を用いずに形成できる第1のメッキ層を形成し、この第1のメッキ層の外面に銅メッキ液を用いて第2のメッキ層として銅層を形成することが考えられる。上記第1のメッキ層としては、ニッケルメッキ層などが挙げられる。このようにすることで、強酸性の銅メッキ液を用いて銅層を形成する際も、第1のメッキ層で銀層が被覆されているため、銀層の剥離が生じ難くなる。しかし、このような方法を採用した場合、メッキ処理後のアニーリングの際、第1のメッキ層の高い応力によりメッキ剥がれが起こることが確認されている。メッキ剥がれ、すなわち集電極の剥がれは、光発電素子の出力低下を引き起こす。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、上記集電極が、上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、このバリア層の外面に積層され、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層と、この金属薄膜層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成されるメッキ層とを有することを特徴とする光発電素子である。
当該光発電素子においては、銀合金から形成されるバリア層の外面に、金属薄膜層を介して、メッキ層を積層している。このため、強酸性の銅メッキ液を用いてメッキ層を形成する際も、金属薄膜層でバリア層が被覆されているため、バリア層の剥離が生じ難い。また、金属薄膜層は平均厚さが0.01μm以上1μm未満の非常に薄い層であるため、応力が小さく、加熱処理の際の剥がれも抑制される。従って、当該光発電素子は、集電極の剥がれが抑制され、生産性に優れる。
上記金属薄膜層が、スパッタリング膜であることが好ましい。スパッタリングにより形成された膜は、所望する薄さで良好な状態で形成されており、応力が特に小さく、剥がれの発生をより抑制することができる。
上記金属薄膜層の主成分が銅であることが好ましい。金属薄膜層の主成分を銅とすることで、銅又は銅合金から形成されるメッキ層との密着性が高まり、剥がれの発生をさらに抑制することができる。また、金属薄膜層の主成分を銅とすることで、メッキ層を形成する際の強酸性のメッキ液に対する耐性を高めることができる。
上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含むことが好ましい。上記バリア層がこのような合金から形成されていることで、酸化による抵抗上昇が小さく、かつ、拡散を抑制するバリア機能も十分に発現される。従って、集電極の細線化により光の取り込み量を増やしつつ、抵抗の上昇を抑えることを可能とし、これにより変換効率を高めることができる。
上記集電極が、上記メッキ層の外面に積層される被覆層をさらに有することが好ましい。当該光発電素子がこのような被覆層を有することで、メッキ層表面の酸化を抑制し、その結果変換効率の低下を抑制することができる。
上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されていることが好ましい。発明者は、光発電素子がこのような所謂ヘテロ接合型である場合、アニール処理(加熱処理)により、キャリアの再結合を抑制する中間層(真性非晶質系半導体層等)のパッシベーション能力が向上し、光発電素子の出力特性が高まることを知見している。一方、当該光発電素子の集電極は、上記バリア層を有するため、アニール処理によっても銅層の酸化や拡散が抑えられ、集電極の接触抵抗の上昇が小さい。また、当該光発電素子の集電極は、上記金属薄膜層を有するため、アニール処理によっても剥離が生じがたい。従って、当該光発電素子をヘテロ接合型の素子に採用することによって、変換効率等をより高めることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程、上記バリア層の外面に、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層を積層する工程、メッキ処理により、上記金属薄膜層の外面に銅又は銅合金から形成されるメッキ層を積層する工程、及び上記層構造体を加熱処理する工程をこの順に備える光発電素子の製造方法である。
当該製造方法は、メッキ処理や加熱処理中などにおける集電極の剥がれが抑制され、生産性に優れる。
ここで、非晶質系半導体層における「非晶質系」とは、完全な非晶質体のみならず、非晶質中に微結晶が存在するものも含む。真性非晶質系半導体層における「真性」とは、不純物が意図的にドープされていないことをいい、原料に本来含まれる不純物や製造過程において非意図的に混入した不純物が存在するものも含む意味である。また、「主成分」とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。
本発明によれば、集電極の剥がれが抑制され、生産性の高い光発電素子、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光発電素子の模式的断面図である。 図2は、膜厚測定方法を示す模式図である。
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の一実施形態に係る光発電素子及びその製造方法について詳説する。
<光発電素子>
図1の光発電素子10は、光が照射されることにより起電力が生じる層構造体11を備える。層構造体11は、n型結晶半導体基板12と、n型結晶半導体基板12の一方の面側(図1における上側)に以下の順で積層される第1中間層13、p型非晶質系半導体層14及び第1透明導電膜15と、n型結晶半導体基板12の他方の面側(図1における下側)に以下の順で積層される第2中間層16、n型非晶質系半導体層17及び第2透明導電膜18とを有する。すなわち、第1透明導電膜15と第2透明導電膜18とは、層構造体11の最外層である。さらに、光発電素子10は、層構造体11の外面(表面及び裏面)、すなわち第1透明導電膜15の外面及び第2透明導電膜18の外面に配設される複数の線状の集電極19を備える。各面の複数の集電極19は、それぞれ離間して配設されている。なお「外面」とは、n型結晶半導体基板12を中心とし、n型結晶半導体基板12と反対側の面をいう。また、「内面」とは、n型結晶半導体基板12側の面をいう。
n型結晶半導体基板12は、n型結晶半導体から形成されている。n型の基板を用いることで、p型の基板に特有の光劣化現象を回避することができる。n型結晶半導体とは、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる結晶体である。n型結晶半導体基板12を構成する結晶半導体としては、シリコン(Si)の他、SiC、SiGe等を挙げることができるが、生産性等の点からシリコンが好ましい。n型結晶半導体基板12は、単結晶体であってもよいし、多結晶体であってもよい。
n型結晶半導体基板12の両面には、ピラミッド状の微細な凹凸構造が形成されている。このような構造により、光の閉じ込め機能を高めることができる。この凹凸構造(テクスチャー構造)の高さや大きさは不揃いであってよく、隣り合う凹凸の一部が重なっていてもよい。また、頂点や谷部が丸みを帯びていてもよい。この凹凸の高さとしては、数μm〜数十μm程度である。このような凹凸構造は、例えば、約1〜5質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより得ることができる。
n型結晶半導体基板12の平均厚さとしては特に制限されない。この平均厚さの上限としては、例えば300μmであり、200μmが好ましい。また、この下限としては、例えば50μmとすることができる。このようにn型結晶半導体基板12を薄型化することにより、光発電素子10自体の小型化、低コスト化等を図ることができる。
第1中間層13は、n型結晶半導体基板12とp型非晶質系半導体層14との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第1中間層は、真性非晶質系半導体から形成されており、通常、シリコンから形成されている。このような第1中間層13(真性非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第1中間層13の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
p型非晶質系半導体層14は、第1中間層13の外面側に積層されている。p型非晶質系半導体層14は、通常、シリコン等の半導体に微量の3価の元素が添加されてなる非晶質層である。p型非晶質系半導体層14の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第2中間層16は、n型結晶半導体基板12とn型非晶質系半導体層17との間に介在する層であり、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション層として機能する。第2中間層16は、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されている。すなわち、第2中間層16は、真性非晶質系半導体層、又はn型非晶質系半導体層17より抵抗率の高い高抵抗n型非晶質系半導体層である。第2中間層16が真性非晶質系半導体層である場合、この層は、通常、シリコン等の半導体から形成されている。第2中間層16が高抵抗n型非晶質系半導体層である場合、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。高抵抗n型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17より、5価の元素の添加量(ドーパント量)が少ないことにより、高抵抗となっている。このような第2中間層16(真性非晶質系半導体層又は高抵抗n型非晶質系半導体層)により、キャリアの再結合を抑制し、出力特性を高めることができる。なお、第2中間層16の平均厚さとしては、例えば1nm以上10nm以下とすることができる。
n型非晶質系半導体層17は、第2中間層16の外面側に積層されている。n型非晶質系半導体層17は、通常、シリコン等の半導体に微量の5価の元素が添加されてなる非晶質層である。n型非晶質系半導体層17の平均厚さとしては、例えば1nm以上20nm以下とすることができる。
第1透明導電膜15は、p型非晶質系半導体層14の外面側に積層されている。また、第2透明導電膜18は、n型非晶質系半導体17の外面側に積層されている。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を構成する透明導電性材料としては、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムタングステン酸化物(IWO)、インジウムセリウム酸化物(ICO)等を挙げることができる。第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18の平均膜厚としては特に制限されないが、例えばそれぞれ40nm以上200nm以下とすることができる。
各集電極19は、内面側から順にバリア層20、金属薄膜層21、メッキ層22及び被覆層23を有する層構造体である。
バリア層20は、透明導電膜(第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18)の外面に積層されている。バリア層20は、銀合金から形成されている。バリア層20を形成する銀合金としては、銀を主成分とする限り特に限定されず、銀以外の成分として、金、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ガリウム、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウム等を含むことができる。このバリア層20により、アニール処理の際の銅の拡散を効果的に防ぐことなどができる。
上記バリア層20を形成する銀合金は、主成分である銀(Ag)に加えて、パラジウム(Pd)及びガリウム(Ga)の少なくとも一種と、銅(Cu)とを含むことが好ましい。このような成分を含むバリア層20が、各メッキ層と透明導電膜との間の良好なバリア性を発揮し、第2メッキ層22中の銅の透明導電膜との接触による酸化を抑えることができる。一方、このような組成を有するバリア層20自体は、酸化による抵抗上昇が小さい。また、このバリア層20は、第2メッキ層22を形成する銅の拡散も抑制することができる。
バリア層20は、上述のように、好ましくはAgを主成分とし、Pd及びGaの少なくとも一種並びにCuが添加されてなるAg−Pd−Cu系又はAg−Ga−Cu系銀合金から形成される。バリア層20におけるAgの含有量としては、例えば90原子%以上99.7原子%以下とすることができる。バリア層20におけるPdの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるGaの含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20はPd及びGaの両方を含有しても良く、Pd及びGaの合計の含有量としては、例えば0.2原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20におけるCuの含有量としては、例えば0.1原子%以上5原子%以下とすることができる。バリア層20がこのような組成の銀合金から形成されていることにより、より良好なバリア性等を発揮することができる。なお、実施例で用いたフルヤ金属社のAPC−TRターゲットは上記組成を満たすAg−Pd−Cu系合金である。なお、バリア層20には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分が含有されていてもよい。
バリア層20の平均厚みとしては、特に限定されないが、下限として例えば10nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。一方、この上限としては、300nmが好ましく、150nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。バリア層20の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分なバリア性を発現できない場合がある。逆に、バリア層20の平均厚みが上記上限を超える場合は、製造工程において不要な部分の除去(エッチバック)が容易ではなくなるなど、生産性が低下する。
金属薄膜層21は、バリア層20の外面に積層されている。金属薄膜層21の主成分は、金属である限り特に限定されず、銅、銀、ニッケル等を挙げることができるが、銅であることが好ましい。金属薄膜層21の主成分を銅とすることで、銅又は銅合金から形成されるメッキ層22との密着性を高め、剥がれの発生をさらに抑制することができる。また、金属薄膜層21の主成分を銅とすることで、メッキ層22を形成する際の強酸性のメッキ液に対する耐性を高めることができる。
金属薄膜層21における銅等、主成分である金属の含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、金属薄膜層21には、上記成分以外の他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、他の金属であってもよく、非金属であってもよい。
金属薄膜層21の平均厚みの下限は、0.01μmであり、0.03μmが好ましく、0.05μmがより好ましい。金属薄膜層21の平均厚みを上記下限以上とすることで、バリア層20を十分に被覆することができ、メッキ処理によってメッキ層22を形成する際に、強酸性の銅メッキ液によるバリア層20の剥がれが十分に抑制される。
また、金属薄膜層21の平均厚みは、1μm未満である。金属薄膜層21の平均厚みの上限は、0.5μmが好ましく、0.3μmがより好ましい。メッキ層21の平均厚みを1μm未満、より好ましくは上記上限以下とすることで、応力を低減し、加熱処理の際の集電極19の剥がれを抑制することができる。
金属薄膜層21は、スパッタリングにより形成されていること、すなわちスパッタリング膜であることが好ましい。スパッタリング膜は、応力が特に小さく、熱処理時等に生じうる剥がれをより抑制することができる。
メッキ層22は、金属薄膜層21の外面に積層されている。メッキ層22は、銅(Cu)又は銅合金から形成されている。メッキ層22は、メッキにより形成されている層であるが、単に銅層等と換言することもできる。メッキ層22におけるCuの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、メッキ層22には、Cu以外の他の成分が含有されていてもよい。
メッキ層22の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下とすることができる。メッキ層22の平均厚みの下限は、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。また、この上限は、30μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。メッキ層22の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な導電性や集電性等を発揮できない場合がある。逆に、メッキ層22の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。また、メッキ層22の平均厚みを上記上限以下とすることで、剥がれをより低減することができる。
被覆層23は、メッキ層22の外面に積層されている。被覆層23によりメッキ層22表面の酸化を防ぐことができる。被覆層23は、通常金属から形成されている。被覆層23を形成する金属としては、特に限定されないが、被覆層23が主成分として錫(Sn)又はニッケル(Ni)を含むことが好ましい。SnやNiは光反射率が高いため、例えば第1透明導電膜15の外面で反射した光が、被覆層23の裏面(内面)で再度反射しやすく、光の取り込み量を増やすことができる。また、Snを被覆層23に用いることで、はんだの濡れ性を高めることなどができる。被覆層23におけるSn又はNiの含有量の下限としては、例えば80質量%であり、95質量%が好ましく、99質量%がより好ましい。この上限は、100質量%であってよい。但し、本発明の効果を阻害しない範囲で、被覆層23には、Sn及びNi以外の他の成分が含有されていてもよい。
被覆層23の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.5μm以上5μm以下とすることができる。被覆層23の平均厚みが上記下限未満の場合は、十分な機能を発現できない場合がある。逆に、被覆層23の平均厚みが上記上限を超える場合は、コスト高や生産性の低下につながるおそれがある。
複数の線状の集電極19は、互いに平行に配設されている。集電極19の線幅の下限としては、例えば5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、この線幅の上限としては、例えば100μmが好ましく、50μmがより好ましい。集電極19の線幅を上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、導電性を確保することができる。
集電極19のピッチ(隣接する集電極19の中心間の距離)としては特に限定されないが、下限として、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、この上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。集電極19のピッチを上記範囲とすることで、光取り込み量を増やしつつ、集電性を確保することができる。
当該光発電素子10において、光入射面は、第1透明導電膜15側であってもよいし、第2透明導電膜18側であってもよい。両面から受光するように使用してもよい。光発電素子10は、通常、複数を直列に接続して使用される。複数の光発電素子10を直列接続して使用することで、発電電圧を高めることができる。
<光発電素子の製造方法>
光発電素子10の製造方法は、層構造体11を得る工程と、集電極19を形成する工程とを備える。
層構造体11は公知の方法により得ることができるが、具体的には、この層構造体11の製造方法は、n型結晶半導体基板12の一方の面側に第1中間層13を積層する工程、さらにp型非晶質系半導体層14を積層する工程、さらに第1透明導電膜15を積層する工程、n型結晶半導体基板12の他方の面側に第2中間層16を積層する工程、さらにn型非晶質系半導体層17を積層する工程、及びさらに第2透明導電膜18を積層する工程を有する。なお、各工程の順は、層構造体11の層構造を得ることができる順である限り特に限定されるものではない。
真性非晶質系半導体層である第1中間層13、及び真性非晶質系半導体層としての第2中間層16を積層する方法としては、例えば化学気相成長法などの公知の方法が挙げられる。化学気相成長法としては、例えばプラズマCVD法や触媒CVD法(別名ホットワイヤCVD法)等が挙げられる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては例えばSiHとHとの混合ガスを用いることができる。
p型非晶質系半導体層14及びn型非晶質系半導体層17を積層する方法としても、真性非晶質系半導体層の積層と同様の、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法による場合、原料ガスとしては、p型非晶質系半導体層14においては、例えばSiHとHとBとの混合ガスを用いることができる。n型非晶質系半導体層17においては、例えばSiHとHとPHとの混合ガスを用いることができる。
高抵抗n型非晶質系半導体層としての第2中間層16も、n型非晶質系半導体層17と同様に、化学気相成長法などの公知の方法により製膜することができる。高抵抗n型非晶質系半導体層は、n型非晶質系半導体層17よりもドーパント量を少なくすることにより形成することができる。例えば、SiHとPHとを含む混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成する場合、SiHを基準としたドーパントとしてのPHの導入量を1000ppm以下として製膜することにより、高抵抗n型非晶質系半導体層を得ることができる。また、この高抵抗n型非晶質系半導体層を製膜する際の上記PHの導入量(濃度)は、n型非晶質系半導体層17を製膜する際の導入量(濃度)の1/100以上1/5以下とすることができる。
第1透明導電膜15及び第2透明導電膜18を積層する方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法(反応性プラズマ蒸着法)等を挙げることができるが、スパッタリング法及びイオンプレーティング法によることが好ましい。スパッタリング法は、膜厚制御性等に優れ、また、イオンプレーティング法等に比べて低コストで行うことができる。一方、イオンプレーティング法によれば、欠陥の発生を抑制した製膜を行うことができる。
集電極19は、例えば以下の工程(a)〜(d)をこの順に経ることにより形成することができる。
層構造体11の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程(a)
上記バリア層の外面に、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層を積層する工程(b)、
メッキ処理により、上記金属薄膜層の外面に銅又は銅合金から形成されるメッキ層を積層する工程(c)、及び
上記層構造体を加熱処理する工程(d)
[工程(a)]
工程(a)においては、層構造体11の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層20を積層する。なお、層構造体11の最外層は、第1透明導電膜15あるいは第2透明導電膜18である。バリア層20を積層するためのスパッタリングは、バリア層20の組成からなるスパッタリングターゲットを用いて行うことができる。また、バリア層20を構成する各元素のスパッタリングターゲットを用い、放電量を制御して同時にスパッタリングすることにより製膜してもよい。
[工程(b)]
工程(b)においては、バリア層20の外面に金属薄膜層21を積層する。この金属薄膜層21の平均厚さは、上述の通り0.01μm以上1μm未満である。
金属薄膜層21の形成方法としては特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、メッキ法等を用いることができるが、スパッタリング法によることが好ましい。スパッタリング法を用いることで、平均厚さが0.01μm以上1μm未満という薄膜を効率的かつ効果的に形成することができる。また、スパッタリング法を用いることで、強酸性のメッキ液にも耐えうる良好な薄膜を形成することができる。さらに、工程(a)及び工程(b)が共にスパッタリング法であることにより、連続的に工程(a)及び工程(b)を行うことができ、生産性を高めることができる。
金属薄膜層21をスパッタリング法によって積層する場合、例えばスパッタリングターゲットとして銅等の金属を用いた公知の方法によって行えばよい。
(レジスト膜積層工程)
工程(b)と工程(c)との間に、金属薄膜層21の外面の一部にレジスト膜を積層する工程を設けることができる。レジスト膜は、マスク、メッキレジスト等とも称されるものであり、レジスト膜が積層されていない部分が、集電極が形成される部分となる。レジスト膜は、フォトレジスト材料やパラフィンろうを用いて形成することができる。
[工程(c)]
工程(c)においては、メッキ処理により、上記金属薄膜層21の外面に銅又は銅合金から形成されるメッキ層22を積層する。このいわゆる銅メッキは、硫酸塩浴等、公知の方法により行うことができる。なお、バリア層20を金属薄膜層21で被覆しているため、強酸性の硫酸塩浴等を行っても、バリア層20の剥離は生じ難い。従って、強酸性(例えばpH1〜2等)の硫酸塩浴等により、短時間で生産性高くメッキ層22を形成することができる。
なお、銅メッキ反応の標準電極電位(+0.34V)は、水素(0V)より貴な電位である。硫酸銅のみの溶液では加水分解が起きやすく、また高い電源電圧が必要となる。そこで、メッキ液の電導性の向上や陽極の溶解促進、加水分解の防止のために高濃度の硫酸が加えられており、銅メッキ液は強酸性を示す。
(被覆層積層工程)
工程(c)と工程(d)との間に、被覆層を積層する工程を設けることができる。この工程においては、メッキ層22の外面に被覆層23を積層する。この被覆層23の積層方法は特に限定されないが、メッキ処理が好適に用いられる。このメッキ処理は、公知の方法により行うことができる。
(レジスト膜除去工程)
上記被覆層積層工程と工程(d)との間に、レジスト膜の除去工程を設けることができる。このレジスト膜31の除去は、酸溶液やアルカリ溶液等を用いて行うことができる。レジスト膜31がパラフィンろうから形成されている場合、例えば水酸化カリウム水溶液により効率的にレジスト膜31を除去することができる。この水酸化カリウム水溶液の濃度としては、例えば1質量%以上5質量%以下程度である。
(エッチング工程)
上記レジスト膜除去工程と工程(d)との間に、レジスト膜が除去された領域、すなわちメッキ層21等が積層されていない領域のバリア層20及び金属薄膜層21を除去(エッチバック)する工程を設けることができる。これにより、線状かつ層構造の集電極19が形成される。バリア層20及び金属薄膜層21の除去(エッチング)は、バリア層20及び金属薄膜層21を溶解可能なエッチング液により行うことができる。バリア層20と金属薄膜層21とは、1種のエッチング液により同時に除去してもよいし、それぞれ別々のエッチング液で順に除去してもよい。金属薄膜層21のエッチング液としては、例えば硫酸系水溶液等を挙げることができる。具体的には、例えば硫酸水溶液に少量の過酸化水素水を添加したものを用いることができる。バリア層20のエッチング液としては、例えばリン酸系水溶液等を挙げることができる。バリア層20のエッチング液としては、リン酸の含有量が50質量%以上70%以下、硝酸の含有量が0.1質量%以上9.9質量%以下、酢酸の含有量が10質量%以上30質量%以下、フッ化アンモニウムの含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下の水溶液が好ましい。
[工程(d)]
工程(d)において、層構造体11を加熱処理する。このとき、層構造体11外面に形成された集電極19も加熱される。このような加熱処理(アニーリング)を行うことで、第1中間層13や第2中間層16のパッシベーション能力、第1透明導電膜15や第2透明導電膜18の特性等が向上し、ヘテロ接合型の光発電素子の出力特性を高めることができる。なお、このアニーリングのための加熱処理は、工程(a)(バリア層積層工程)の前に行うこともできる。アニーリングのための加熱処理を工程(a)の前に行うことで、バリア層20と透明導電膜15、18との密着性の低下をより抑制することができる。
また、当該製造方法は、集電極19を形成後に、配線形成用導電性ペーストを層構造体に接触させる工程を有してもよい。この後、加熱処理工程(d)を行うことで、層構造体11の加熱処理と、導電性ペーストの硬化処理を同時に行うことができる。導電性ペーストの硬化により配線が形成される。この配線は、層構造体11の表裏面に形成されていてもよいし、いわゆるビア、プラグ等として層構造体11を貫通するように形成されていてもよい。表裏面に形成される配線は、例えばフィンガー電極としての集電極19に対して直交するバスバー電極として機能するものとすることができる。なお、層構造体11を貫通するようにビアを形成する場合、層構造体11に予め貫通孔(ビアホール)を形成しておく。上記配線形成用導電性ペーストとしては、公知の銀ペースト等を用いることができる。
工程(d)における加熱処理の条件としては、特に限定されないが、例えば処理温度としては120℃以上250℃以下とすることができ、180℃以上220℃以下が好ましい。また、処理時間としては10分以上1時間以下とすることができる。
<効果等>
このように、当該光発電素子10の集電極19は、銀合金から形成されるバリア層20の外面に、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層21と、その外面に銅又は銅合金により形成されたメッキ層22とを有する構造を有する。集電極19がこのような構造を有することにより、当該光発電素子10は、製造工程中などにおける透明導電膜からの集電極19の剥がれが抑制され、生産性に優れる。この理由は、以下の理由が推察される。
通常、透明導電膜表面は、結晶半導体基板表面の形状に追従して、凹凸形状を有する。このような凹凸形状の透明導電膜表面にスパッタリングにより銀合金からなる薄膜のバリア層を形成した場合、谷部分など、バリア層に隙間などが生じ、透明導電膜が完全には被覆されない場合がある。このようなバリア層の表面に、直接、強酸性の硫酸塩浴を用いて銅層を形成しようとした場合、メッキ液がバリア層の隙間から浸入し、バリア層と透明導電膜との界面に浸透する。この際、強酸性のメッキ液の作用により、透明導電膜とバリア層との界面において、バリア層中の銀やその他の金属が酸化し、バリア層の剥離が生じる。なお、このような現象は、バリア層が純銀である場合は報告されていないことから、このようなバリア層の剥離は、バリア層に銀合金を用いた場合に生じる特有の現象であるものとも考えられる。このような現象を踏まえ、当該発明においては、バリア層の表面に、まず、金属薄膜層を形成し、その外面に銅を主成分とするメッキ層を形成している。バリア層を金属薄膜層で被覆し、この金属薄膜層の外面に、強酸性の銅メッキ液を用いてメッキ層を形成するため、バリア層の剥離が生じ難い。また、金属薄膜層が薄膜であるため、応力が小さく、加熱処理の際の剥がれも抑制される。
<他の実施形態>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、両面の集電極のうちの裏面側の集電極は、全面積層された金属等で形成されていてもよい。このような金属としては、銀や、Ag−Pd−Cu系合金、Ag−Ga−Cu系合金等を好適に用いることができる。また、層構造体がヘテロ接合型を構成する場合、p型の結晶半導体基板を用いてもよい。さらに、少なくとも入射面側に透明導電膜を形成すればよく、裏面側は透明導電膜が形成されていなくてもよい。但し、裏面側の非晶質系半導体層外面に透明導電膜を積層することにより、欠陥準位の発生を抑制し、変換効率を高めることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第1透明導電膜/p型非晶質系シリコン層/第1真性非晶質系シリコン層/n型結晶シリコン基板/第2真性非晶質系シリコン層/n型非晶質系シリコン層/第2透明導電膜からなる層構造体を作成した。n型結晶シリコン基板は、両面に無数のピラミッド形状を有する微細な凹凸構造(テクスチャー構造)が形成された単結晶基板を用いた。この凹凸構造は、約3質量%の水酸化ナトリウムを含むエッチング液に基板材料を浸漬し、基板材料の(100)面を異方性エッチングすることにより形成した。また、各シリコン層は、プラズマCVD法により積層した。各透明導電膜は、酸化錫を3質量%含有した酸化インジウム(ユミコア社のスパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリングにより積層した。なお、p型非晶質系シリコン層、第1真性非晶質系シリコン層、n型結晶シリコン基板、第2真性非晶質系シリコン層、n型非晶質系シリコン層は、それぞれp型非晶質系半導体層、第1中間層、n型結晶半導体基板、第2中間層、n型非晶質系半導体層に対応する。
次いで、以下の方法により、第1透明導電膜及び第2透明導電膜外面に、複数の線状の集電極(線幅30μm、ピッチ2mm)を形成した。まず、フルヤ金属社のAPC−TRターゲットを用い、層構造体の両面にスパッタリングにより平均厚み50nmの金属膜(バリア層)を形成した。なお、上記ターゲット、すなわち、形成したこの金属膜は、銀を主成分とするAg−Pd−Cu系合金である。次に、金属膜上にスパッタリングにより平均厚み0.1μmの銅層(金属薄膜層)を積層した。次に、ドライフィルムレジストを用いたフォトリソグラフィーにより、銅層上の一部にメッキのためのレジスト膜を形成した。次いで、露出した銅層上に、メッキ処理により平均厚み17μmの銅メッキ層を形成した。なお、このメッキ処理には、pH1のCuメッキ液を用いた。次いで、50℃程度の2.5質量%水酸化ナトリウム溶液に1分間程度浸漬させることにより、レジスト膜を除去した。次いで、硫酸系水溶液及びリン酸系水溶液に順に浸漬させることにより、露出部分の金属薄膜層及び金属膜を順に除去し、集電極を形成した。その後、200℃30分の加熱処理を行った。これにより、実施例1の光発電素子を得た。
<実施例2>
加熱処理を140℃30分で行ったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の光発電素子を得た。
<比較例1>
実施例1と同様の層構造体を作製し、第1透明導電膜及び第2透明導電膜外面に、複数の線状の集電極(線幅30μm、ピッチ2mm)を形成した。まず、フルヤ金属社のAPC−TRターゲットを用い、層構造体の両面にスパッタリングにより平均厚み50nmの金属膜(バリア層)を形成した。次に、ドライフィルムレジストを用いたフォトリソグラフィーにより、銅層上の一部にメッキのためのレジスト膜を形成した。次いで、露出した金属膜上に、メッキ処理により平均厚み1μmのニッケルメッキ層(第1メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH5.5のNiメッキ液を用いた。次いで、ニッケルメッキ層上に、メッキ処理により平均厚み17μmの銅メッキ層(第2メッキ層)を形成した。なお、このメッキ処理には、pH1のCuメッキ液を用いた。次いで、50℃程度の2.5質量%水酸化ナトリウム溶液に1分間程度浸漬させることにより、レジスト膜を除去した。次いで、リン酸系水溶液に浸漬させることにより、露出部分の金属膜を除去した。その後、200℃30分の加熱(アニール)処理を行った。これにより、比較例1の光発電素子を得た。
<比較例2>
加熱処理を140℃30分で行ったこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の光発電素子を得た。
<比較例3>
金属薄膜層を形成せず、バリア層に直接銅メッキ層を形成したこと以外は実施例1と同様にした。但し、加熱処理前の段階で集電極の剥離が多数生じたため、加熱処理を行わなかった。
上記各実施例1〜2及び比較例1〜3の光発電素子について、加熱処理前及び加熱処理後の集電極の剥がれの様子を目視にて観測した。また、加熱処理後の各光発電素子について、粘着テープ(積水化学工業の包装用オリエンスパットテープ)を集電極表面に貼り、その後粘着テープを剥がしたときの、集電極の剥がれの様子を目視にて観測した。このはがれの状態を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:剥がれ無し
B:僅かに剥がれがあり
C:剥がれが多数あり
Figure 2018190819
表1に示されるように、金属薄膜層を設けず、バリア層に直接銅メッキ層を積層した比較例3では、加熱処理前の段階で既にバリア層の剥がれが生じていた。比較例1、2のように、バリア層にニッケルメッキ層を介して銅メッキ層を積層した場合は、加熱処理前の段階においては集電極が密着しているものの、加熱処理後は密着性が低下し、剥がれが生じた。これに対し、バリア層にスパッタリングで設けた金属薄膜層を介して銅メッキ層を積層した実施例1、2においては、加熱処理後においても密着性が高く、剥がれが生じなかった。
ここで、本明細書における各層又は膜の測定方法について説明する。金属膜等の厚さは、各層又は膜の面に対して垂直方向の厚みをいう。なお、平均厚さとは、任意に選んだ10カ所の厚さの平均値とする。具体的に仮想的な基板50を示した図2により説明する。図2の基板50は、平滑部51と凹凸部52とを両方有する。例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで、層53の基板50(平滑部51)の平面に対して垂直な厚さt、及び基板50(凹凸部52)の斜面に垂直な厚さt’、並びに凹凸部52の斜面の角度αをそれぞれ測定することができる。平滑部51に積層された層53の厚さはtである。凹凸部52に積層された層53の厚さはt’である。三角関数からt’=t×cosαが成り立つ。
本発明の光発電素子は、生産性が高く、太陽光発電に好適に用いることができる。
10 光発電素子
11 層構造体
12 n型結晶半導体基板
13 第1中間層
14 p型非晶質系半導体層
15 第1透明導電膜
16 第2中間層
17 n型非晶質系半導体層
18 第2透明導電膜
19 集電極
20 バリア層
21 金属薄膜層
22 メッキ層
23 被覆層
50 基板
51 平滑部
52 凹凸部
53 層

Claims (7)

  1. 透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体と、上記透明導電膜の外面に配設される線状の集電極とを備える光発電素子であって、
    上記集電極が、
    上記透明導電膜の外面に積層され、銀合金から形成されるバリア層と、
    このバリア層の外面に積層され、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層と、
    この金属薄膜層の外面に積層され、銅又は銅合金から形成されるメッキ層と
    を有することを特徴とする光発電素子。
  2. 上記金属薄膜層が、スパッタリング膜である請求項1に記載の光発電素子。
  3. 上記金属薄膜層の主成分が銅である請求項1又は請求項2に記載の光発電素子。
  4. 上記バリア層を形成する銀合金が、パラジウム及びガリウムのうちの少なくとも一種と、銅とを含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光発電素子。
  5. 上記集電極が、上記メッキ層の外面に積層される被覆層をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光発電素子。
  6. 上記層構造体が、p型又はn型の結晶半導体基板と、この結晶半導体基板の一方の面側に以下の順で積層される第1中間層及びp型非晶質系半導体層と、上記結晶半導体基板の他方の面側に以下の順で積層される第2中間層及びn型非晶質系半導体層とをさらに有し、
    上記第1中間層が、真性非晶質系半導体から形成され、
    上記第2中間層が、真性非晶質系半導体、又は上記n型非晶質系半導体層を形成するn型非晶質系半導体より電気抵抗率の高いn型非晶質系半導体から形成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光発電素子。
  7. 透明導電膜を少なくとも一方の最外層として有し、光照射により起電力が生じる層構造体の外面に、スパッタリングにより、銀合金から形成されるバリア層を積層する工程、
    上記バリア層の外面に、平均厚さが0.01μm以上1μm未満である金属薄膜層を積層する工程、
    メッキ処理により、上記金属薄膜層の外面に銅又は銅合金から形成されるメッキ層を積層する工程、及び
    上記層構造体を加熱処理する工程
    をこの順に備える光発電素子の製造方法。
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