JP2018040944A - 画像形成装置、および印刷紙 - Google Patents

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瑞記 杉野
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Abstract

【課題】静電吸着専用のシートを利用することなく、静電吸着特性が付与された印刷物を提供できる。【解決手段】本発明は、シート材111の第一面(表面)に、テキストおよびイメージからなる描画情報からの画像であるYMCK印字面112が形成され、シート材111の第二面(裏面)に、静電吸着用トナーで形成される吸着用トナー層113が形成されており、吸着用トナー層113が静電気を維持した状態で、ガラスや金属ロッカーなどの被貼付け面121の表面に貼付けられる。【選択図】図4

Description

本発明は,画像形成装置、および印刷紙に関する。
接着剤や粘着テープを使用せずにポスター、広告などを掲示する方法として、静電気力による貼り付けを可能とした吸着方式のフィルムが提案されている。例えば、特許文献1では、吸着力の持続性が高く、吸着力が湿度に影響され難く、インクの密着が良好であり、印刷工程でのトラブルが発生しない静電吸着シートを提供するために、特定の構造を有する積層フィルムを作成することによって、所期の特性を有する静電吸着シートを提供している。
特許第5436035号公報
印刷物を壁面に接着させる方法として吸着や接着型があるが、貼り付け面を汚すことがない静電気の力を利用した静電吸着型のシートも検討されている。しかしながら、これらシートへの印字には、例えば静電方式のレーザープリンタなどを使用することができず、また、静電吸着機能が付与された専用のシートでないと実現することができない。
本発明によれば、静電吸着専用のシートを利用することなく、静電吸着特性が付与された印刷物を提供できる。
請求項1に記載された発明は、テキストおよびイメージの一方または両方からなる描画情報を取得する取得手段と、取得した前記描画情報からシート材に画像を形成する第1の画像形成手段と、静電気により前記シート材を対象面に吸着させる静電吸着機能を当該シート材に付加するための静電吸着トナー像を当該シート材に形成する第2の画像形成手段とを有する画像形成装置である。
請求項2に記載された発明は、前記第2の画像形成手段は、前記第1の画像形成手段が画像を形成する前記シート材の面の裏面に前記静電吸着トナー像を形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載された発明は、前記シート材に付加されている前記静電吸着トナー像を帯電して静電吸着機能を強化させる強化手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載された発明は、シート材にトナー像を形成する画像形成部と、静電気を用いて対象面に吸着させる静電吸着機能を前記シート材に付加する吸着モードを、ユーザにより指定可能とするユーザインタフェースと、前記ユーザインタフェースを介したユーザからの前記吸着モードの指定を受けて、前記画像形成部により前記シート材に静電吸着トナー像を形成するように制御する制御部とを有する画像形成装置である。
請求項5に記載された発明は、前記吸着モードは、テキストおよびイメージの一方または両方からなる画像の形成と同時に前記静電吸着トナー像を形成する静電吸着同時プリントモード、および当該画像の形成とは別個に当該静電吸着トナー像を形成する静電吸着付加プリントモード、の一方または両方を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
請求項6に記載された発明は、前記吸着モードは、どちらの面から貼り付けたいか、を選択可能であり、前記制御部は、貼り付けたい面によって制御を変えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
請求項7に記載された発明は、情報が形成されるシート本体と、前記シート本体の、対象物に貼り付けたい面に形成され、静電気により当該シート本体を対象物に吸着させる静電吸着トナー像とを有する印刷紙である。
請求項8に記載された発明は、前記シート本体の情報は、当該シート本体の表面に、テキストおよびイメージの一方または両方からなるトナー画像で形成され、前記静電吸着トナー像が形成される前記対象物に貼り付けたい面は、前記シート本体の裏面であることを特徴とする請求項7記載の印刷紙である。
請求項9に記載された発明は、前記静電吸着トナー像は、静電吸着機能が低下した際、再帯電されることで静電吸着機能が強化されることを特徴とする請求項7記載の印刷紙である。
請求項1に記載された発明によれば、静電吸着専用のシートを利用することなく、静電吸着特性が付与された印刷物を提供できる。
請求項2に記載された発明によれば、描画情報が表面に形成されたシートをそのまま目視させて静電的に貼り付けることができる。
請求項3に記載された発明によれば、吸着性能の弱まったシートに対して静電吸着機能を復活させることができる。
請求項4に記載された発明によれば、ユーザの指定により、静電吸着特性が付与された印刷物を提供できる。
請求項5に記載された発明によれば、複数の吸着モードをユーザが選択できる。
請求項6に記載された発明によれば、ユーザの貼付け面の選択に応じた印刷物を提供できる。
請求項7に記載された発明によれば、静電吸着専用のシートを利用することなく、情報が形成された印刷紙を被貼付け面に静電吸着させることができる。
請求項8に記載された発明によれば、描画情報からなるトナー画像を目視させる状態で、印刷紙を被貼付け面に静電吸着させることができる。
請求項9に記載された発明によれば、低下した静電吸着機能を復活させることができる。
本実施の形態が適用される画像形成装置を示した図である。 本実施の形態が適用される画像処理部の構成を示すブロック図である。 静電吸着シート生成に関連するユーザインタフェース(UI)画面の表示例を示している。 (a)〜(d)は、本実施の形態が適用される静電吸着シートのパターン例を示した図である。 (a)〜(d)は、本実施の形態の静電吸着特性を有する印刷紙の帯電状態と貼付けの状態を説明するための図である。 静電吸着機能を評価した実験結果を示した図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔画像形成装置の説明〕
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1を示した図である。この画像形成装置1は、電子写真方式によりトナーを用いてシートに画像を形成する。より具体的には、静電方式の一つとして静電潜像を形成しトナーを用いて画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に対してシートを搬送するとともに、画像形成部10にて画像が形成されたシートを装置外へ排出する搬送部20とを有している。また、例えばクライアントPC2から出力された電子文書の画像データ(描画情報)に対して幾つかの画像処理を施す画像処理部50を有している。また、ユーザへの画像形成装置1の操作情報を表示し、ユーザからの操作を受け付けるユーザインタフェースとしてのコントロールパネル70を有している。画像処理部50は、ユーザインタフェースを介したユーザからの、本実施の形態の特徴的な構成である吸着モードの指定を受けて、画像形成部10によりシートに静電吸着トナー像を形成するように制御している。
画像形成部10は、例えば感光体ドラムからなる感光部11と、感光部11を帯電する帯電部12と、帯電部12により帯電された感光部11を露光する露光部13と、露光部13にて露光され静電潜像が形成された感光部11を現像する現像部14とを有している。また、感光部11に現像部14により現像したトナー像をシートに転写する転写部15と、転写部15によりシートに転写されたトナー像を加熱および加圧してシートに定着させる定着部16とを有している。
現像部14は、イエロー(Y)のトナー像を現像するY現像部14−1、マゼンタ(M)のトナー像を現像するM現像部14−2、シアン(C)のトナー像を現像するC現像部14−3、黒(K)のトナー像を現像するK現像部14−4を有している。また、透明トナー(クリアトナー)像を現像するためのクリアトナー現像部14−5と、白色トナー(ホワイトトナー)像を現像するための白色トナー現像部14−6を有している。
搬送部20は、シートである用紙を供給する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙を繰り出して搬送する搬送ロール22とを有している。また、搬送ロール22を介して搬送された用紙の搬送タイミングを画像形成のタイミングと合わせて、用紙を転写部15へ搬送するレジストロール23を有している。また、定着部16によりトナー像が定着された用紙を機外へ排出する排出ロール24と、排出ロール24により排出された用紙を保持する排紙トレイ25とを有している。
搬送部20は、手差しトレイ31を有している。この手差しトレイ31には、例えばOHPシートなどの透明フィルムシートや、給紙トレイ21からは搬送できない大サイズの用紙、はがき・手紙などの特殊サイズ用紙などが置かれ、この手差しトレイ31から画像形成部10に向けて、これらのシートを搬送することができる。
また、搬送部20は、定着部16を経由したシートの表裏を反転させる反転ロール26を有し、表裏を反転させたシートを画像形成部10に向けて搬送するための反転経路27を有している。更に、搬送部20は、循環経路28を有しており、定着部16を経由したシートの表裏を反転させずに、画像形成部10に向けてシートを搬送する。
更に、搬送部20は、用紙の間に画像が形成されていない白紙を挟み込む、いわゆる合紙を実現するために、合紙用のシートを収容する合紙トレイ32を有している。そして、画像形成されたシートに対する合紙のタイミングに合わせ、合紙トレイ32から合紙経路29を経由して、合紙トレイ32に置かれたシートを排出ロール24に向けて搬送する。
図2は、本実施の形態が適用される画像処理部50の構成を示すブロック図である。画像処理部50は、大きくコントローラ51とエンジン制御部52とを備えている。コントローラ51は、クライアントPC2からネットワーク等を経由して送られてくるPDL(ページ記述言語)をコマンド解釈するとともに、印刷可能なビットマップ形式に変換するRIP(Raster Image Processor)61を有している。また、RIP61によりラスタライズされたデータに階調補正を施す階調補正部62を備える。また、エンジン制御部52は、エッジ処理部63とスクリーン処理部64とを有している。エッジ処理部63は、例えば画素ごとにエッジを検出し、検出したエッジの属性を判定して予め定められたLUT(Look-UP Table)をエッジに適用している。また、スクリーン処理部64は、エッジ処理部63により判定されたエッジの属性に基づいて、予め定められたスクリーンをエッジに適用している。ここで、スクリーン処理とは、面積階調法の一つであるディザ法などの二値化処理であり、メモリ(図示せず)などに予め記憶された閾値マトリクスを用いる。そして、スクリーン処理部64によりスクリーン処理された画像データにパルス幅変調が施され、画像形成部10に出力される。
画像処理部50は、本実施の形態における静電吸着特性をシートに付加させる際の制御部の一つとして機能する。より具体的には、テキストおよびイメージの一方または両方からなる描画情報をクライアントPC2から取得する取得手段の一つとして機能する。また、取得した描画情報からシート材に画像を形成する第1の画像形成手段の一つとして画像形成部10とともに機能する。さらに、電気によりシート材を対象面に吸着させる静電吸着機能をシート材に付加するための静電吸着トナー像をシート材に形成する第2の画像形成手段の一つとして画像形成部10とともに機能する。また、一度、吸着性が失われた印刷物を再利用するために、シート材に付加されている静電吸着トナー像を帯電して静電吸着機能を強化させる強化手段の一つとして画像形成部10とともに機能する。
図3は、コントロールパネル70への静電吸着シート生成に関連するユーザインタフェース(UI)画面の表示例を示している。この図3では、コントロールパネル70のディスプレイに、ドライバUI画面が示されている。このドライバUI画面では、選択される吸着モードの項目として、モード選択71、貼付面選択72、シート選択73、シート透過有無選択74、印字面吸着選択75、トナー種類選択76、吸着領域選択77、および合紙選択78が示されている。何れかの項目が選択された結果、選択の必要性が無くなった項目や、選択に矛盾が生じた項目については、いわゆるグレーアウトで表現し、ユーザの操作の対象から外れてくる。また、図3に示す項目は、全ての項目を同時に一つの画面で選択可能に構成する場合の他、一つの項目を選択させた際に順次、項目を表示したり、複数項目ずつ順に表示するなど、表示は任意な方法を採用できる。
モード選択71では、「静電吸着同時プリント」モードと、「静電吸着付加プリント」のモードがある。また、既に静電吸着トナー像が形成されているシートに対して、静電吸着トナー像を帯電して静電吸着機能を強化させる「機能強化」モードがある。これらの何れかが選択される。
「静電吸着同時プリント」モードは、取得した描画情報からYMCKトナーを用いた通常の印字画像をシートに形成する際に同時に、すなわち通常の印刷画像を出力するプリント動作の一連の流れの中で、静電気によりシートを被貼付け面に吸着させる静電吸着機能を有するシートを出力する。例えば、シートの第一面(表面)に通常のYMCKトナーを用いた印字画像を形成した後、そのシートを反転させ、シートの第二面(裏面)に静電吸着トナー像を形成する。
また、「静電吸着付加プリント」モードは、一度、出力された既存の印刷画像に、その後、静電吸着機能を付加する。他の印刷装置で印刷されたシートに対して静電吸着機能を付加してもよい。
「静電吸着同時プリント」のモードが選択された場合には、例えば印刷されていないフィルムシートを手差しトレイ31に置き、プリント指示を行なうように、ユーザに対して指示を出す。「静電吸着付加プリント」のモードが選択された場合には、既に印刷がなされたフィルムシートを、静電吸着機能を持たせたい面を下側にして手差しトレイ31に置き、プリント指示を行なうように、ユーザに対して指示を出す。「機能強化」モードが選択された場合には、静電吸着用トナーが形成された面について、例えば再帯電がなされるように、静電吸着用トナーが形成された面を下側にして手差しトレイ31に置き、プリント指示を行なうように、ユーザに対して指示を出す。
貼付面選択72では、人の見る側を表面とすると、ガラス面や金属ロッカーなどの被貼付け面の表面に貼る「表面に貼る」の項目と、例えばガラスなどの裏面に貼り、ガラスを透過して表面側から通常の画像を見せる「ガラスの裏面に貼る」の項目がある。
シート選択73では、例えばPETフィルムなど絶縁性の高い素材から形成される透明フィルムを選択する「フィルム用紙」の項目と、坪量64g/m2、紙厚88μmのP紙や、坪量60g/m2、紙厚81μmのSP紙などの市販(一般)用紙を選択する「普通紙」の項目がある。
シート透過有無選択74では、人の見る側を表面とすると、シートの裏面に印字画像を形成してシートを透過させて、YMCKトナーを用いた印字画像を人に見せる「印字画像をシートに透過させる」項目と、印字画像をシートに透過させず、シートの表面に印字画像を形成する「印字画像をシートに透過させない」項目がある。
印字面吸着選択75では、YMCKトナーを用いた印字画像の面(YMCK印字面)に対し、例えば印字画像の上に、または印字画像に加えて、静電吸着トナー像を形成し、印字面で被貼付け面に貼る「印字面で吸着させる」項目がある。また、印字面では吸着させず、例えば、シートの表面にYMCKトナーを用いた印字画像を形成した場合には、そのシートの裏面に静電吸着トナー像を形成する「印字面で吸着させない」項目がある。このように、吸着モードとして、どちらの面から貼り付けたいか、を選択可能であり、貼り付けたい面によって制御が変わる。
トナー種類選択76では、形成する静電吸着トナー像に用いられるトナーとして、「クリアトナー」、「ホワイトトナー」、「YMCK通常トナー」、が選択できる。「クリアトナー」および「ホワイトトナー」は、本実施の形態では、吸着専用トナーとして準備されたものである。「YMCK通常トナー」は、印字画像で用いるYMCKトナーだけを用い、吸着専用トナーを使わずに吸着させるものである。「YMCK通常トナー」が選択されると、例えば色選択ダイアログなどにより任意の色を選択できる。または、描画情報から取得されて画像形成されるYMCK印字面に対し、例えば同じ色でトナーを重ね塗りしてトナー層を厚くし、静電吸着機能を付与させることもできる。
吸着領域選択77では、吸着面の全面に静電吸着用のトナーを形成する「全面トナー」の項目と、部分トナー、すなわち、吸着面の四方の枠部分だけに静電吸着用のトナーを形成する「枠だけトナー」の項目がある。
合紙選択78では、「合紙あり」、「合紙なし」が選択できる。「合紙あり」が選択された場合には、合紙トレイ32に合紙に用いられる用紙を設置するように、コントロールパネル70を介してユーザに促し、ユーザからの操作を待つ。また、合紙を搬送するタイミングは、合紙の対象となる静電吸着シートの貼付け面がシートの表裏のどちらの面であるか、によって、異なってくる。
〔静電吸着シートの説明〕
次に、本実施の形態が適用される印刷紙である静電吸着シートについて説明する。
図4(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される静電吸着シートのパターン例を示した図である。
図4(a)は、シート本体であるシート材111の第一面(表面)に、取得した、テキストおよびイメージの一方または両方からなる描画情報から第1の画像形成手段により形成された画像であるYMCK印字面112が形成されている。また、シート材111の第二面(裏面)に、第2の画像形成手段により形成された画像である静電吸着用トナーで形成される吸着用トナー層113が形成されている。そして、吸着用トナー層113が静電気を維持した状態で、ガラスや金属ロッカーなどの被貼付け面121の表面に貼り付けられる。
図4(b)は、被貼付け面121を透過させてYMCK印字面112を見せる点で、図4(a)に示すパターンとは異なる。図4(a)と同様に、シート材111の第一面(表面)にYMCK印字面112が形成され、第二面(裏面)に吸着用トナー層113が形成されているが、図4(b)では、図の下方から人によって目視される。この図4(b)に示す例では、吸着用トナー層113はクリアトナーで形成される必要があり、また、シート材111は、画像を透過するフィルム用紙が用いられる。図4(b)に示す例は、例えば道路に面したテナントのガラスショーケースの内側から静電吸着シートを貼り付け、ガラスショーケースの外側から人に目視させるような態様に用いられる。そのために、被貼付け面121は透明なガラスが用いられる。YMCK印字面112は、シート材111の裏側から見られる画像を形成する必要があり、左右が反転された反転画像で形成される。
図4(c)では、シート材111にYMCK印字面112を形成し、そのYMCK印字面112と同一面にて、例えばYMCK印字面112の上に、吸着用トナー層113を形成している。
図4(d)では、シート材111に、取得した描画情報からYMCK印字面112を形成し、そのYMCK印字面112に更に同じ描画情報によりトナーを重ねるなどして、YMCK印字面112に静電吸着機能を持たせている。YMCK印字面112が被貼付け面121に静電気によって貼り付く。
〔静電吸着機能を有するシートの製造方法〕
次に、静電吸着機能を有する図4(a)〜(d)のシートの各々の製造方法について説明する。
(1)図4(a)に示す印刷紙の製造方法
まず、図4(a)に示す印刷紙を同時プリントで生成する場合について説明する。
図3に示すドライバUI画面にて、まず、モード選択71で「静電吸着同時プリント」のモードが選択され、貼付面選択72にて「表面に貼る」の項目が選択される。また、シート選択73は何れが選択されてもよい。シート透過有無選択74では「印字画像をシートに透過させない」の項目が選択され、印字面吸着選択75では「印字面で吸着させない」の項目が選択される。トナー種類選択76、吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されても構わない。
画像形成装置1の制御部である画像処理部50は、図3に示すドライバUI画面からの上記指定により、以下のように画像形成装置1を制御する。まず、シート材111が普通紙であれば給紙トレイ21から供給し、OHPシートなどのフィルム用紙であれば手差しトレイ31から供給する。そして、画像形成部10にてシート材111の第一面(表面)にYMCK印字面112を形成した後、定着部16を経由したシートを反転経路27を経由させて反転させ、シート材111の第二面(裏面)に、静電吸着用トナー像からなる吸着用トナー層113を形成して、排紙トレイ25に排出する。「合紙あり」が選択されている場合には、シート材111の第二面(裏面)に合わさるように、タイミングを合わせて合紙トレイ32から用紙が搬送されるか、排紙トレイ25に排出されたシートの上に置かれるように用紙が供給される。
なお、図4(a)に示す印刷紙を静電吸着付加プリントで行う場合には、まず、モード選択71で「静電吸着付加プリント」を選択する。そして、シート材111の第二面(裏面)に吸着用トナー層113が形成されるように、第一面(表面)にYMCK印字面112が既に形成されているシートを例えば手差しトレイ31に置く。図1に示す例では、手差しトレイ31に、第二面(裏面)が下方になるようにシートを置く。その後、例えばスタートボタン(図示せず)を押下して、第二面(裏面)に吸着用トナー層113を形成する。
(2)図4(b)に示す印刷紙の製造方法
次に、図4(b)に示す印刷紙を同時プリントで生成する場合について説明する。この図4(b)では、モード選択71で「静電吸着同時プリント」のモードが選択され、貼付面選択72にて「ガラスの裏面に貼る」の項目、シート選択73は「フィルム用紙」が、シート透過有無選択74では「印字画像をシートに透過させる」の項目が選択される。また、印字面吸着選択75では「印字面で吸着させない」の項目、トナー種類選択76では「クリアトナー」が選択される。吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されても構わない。但し、吸着領域選択77にて「枠だけトナー」が選択された際には、描画領域とずれて吸着用トナー層が形成されるのであれば、必ずしも「クリアトナー」を用いなくてもよい。
画像形成装置1の制御部である画像処理部50は、YMCK印字面112の形成に際し、例えばクライアントPC2から出力された描画情報を反転させて、画像形成部10に出力する。他の画像形成動作は、上記(1)と同様である。
また、モード選択71で「静電吸着付加プリント」が選択された際の動きも上記(1)と同様である。
(3)図4(c)に示す印刷紙の製造方法
図4(c)に示す印刷紙を同時プリントで生成する場合について説明する。
図3に示すドライバUI画面にて、まず、モード選択71で「静電吸着同時プリント」のモードが選択される。そして、印字面吸着選択75にて「印字面で吸着させる」の項目が選択された際に、他の項目の選択が制限される。例えば、貼付面選択72にて「表面に貼る」の項目が選択された場合には、図の下方から目視されることとなり、シート材111を選択するシート選択73は「フィルム用紙」だけが用いられ、シート選択73の項目は、ユーザが選択できないようにグレーアウトされる。同様に、印字画像がシート材111を透過させることから、シート透過有無選択74もグレーアウトされる。トナー種類選択76、吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されてもよい。
印字面吸着選択75にて「印字面で吸着させる」の項目、貼付面選択72にて「ガラスの裏面に貼る」の項目が選択された場合には、図の上方から目視されることとなり、「クリアトナー」だけが用いられ、トナー種類選択76の項目は、選択できないようにグレーアウトされる。また、そもそもシート透過はしないので、シート透過有無選択74もグレーアウトされる。シート選択73、吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されてもよい。但し、吸着領域選択77にて「枠だけトナー」が選択された際には、描画領域とずれていれば、必ずしも「クリアトナー」を用いなくてもよい。
画像形成装置1の制御部である画像処理部50は、図3に示すドライバUI画面からの上記指定により、以下のように画像形成装置1を制御する。まず、シート材111が普通紙であれば給紙トレイ21から供給し、OHPシートなどのフィルム用紙であれば手差しトレイ31から供給する。そして、画像形成部10にてシート材111の第一面(表面)にYMCK印字面112を形成した後、定着部16を経由したシートを、循環経路28を経由して再度、画像形成部10に向けて搬送する。これによって、YMCK印字面112と同一面にて、吸着用トナー層113を形成できる。
なお、貼付面選択72にて「表面に貼る」の項目が選択され、図の下方から目視される場合には、シート材111を透過して画像を見せる必要があり、YMCK印字面112の形成に際して、描画情報を反転させた反転画像を画像形成部10に向けて出力する。
また、モード選択71で「静電吸着付加プリント」が選択された際には、シート材111のYMCK印字面112が形成された第一面(表面)が、再度、画像形成部10に向けて搬送されるように、ユーザを誘導する。例えばコントロールパネル70のドライバUI画面を介して、第一面(表面)にYMCK印字面112が既に形成されているシートを例えば手差しトレイ31に置くように指示する。その後、シートを搬送して静電吸着機能をシートに付加させる。
(4)図4(d)に示す印刷紙の製造方法
図4(d)に示す印刷紙を同時プリントで生成する場合について説明する。
図3に示すドライバUI画面にて、まず、モード選択71で「静電吸着同時プリント」のモードが選択される。そして、印字面吸着選択75にて「印字面で吸着させる」の項目が選択され、トナー種類選択76で「YMCK通常トナー」の項目が選択された際に、図4(d)に示す印刷紙のパターンとなる。
なお、同一画像を重ねて印字することは一般的には難しいことから、図4(d)に示す印刷紙のパターンでは、「静電吸着付加プリント」は行なわれない。
貼付面選択72にて「表面に貼る」の項目が選択され、図の下方から目視される場合には、シート材111を選択するシート選択73は「フィルム用紙」だけが用いられることからシート選択73の項目は、ユーザが選択できないようにグレーアウトされる。また同様に、印字画像がシート材111を透過させることから、シート透過有無選択74もグレーアウトされる。吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されてもよい。但し、「枠だけトナー」は一般的にはトナー量が少ないことから、静電吸着トナー像を形成するトナーの量を確保するためには、「枠だけトナー」は一般的には好ましくない。
貼付面選択72にて「ガラスの裏面に貼る」の項目が選択された場合には、図の上方から目視されることとなり、そもそもシート透過はしないので、シート透過有無選択74はグレーアウトされる。シート選択73、吸着領域選択77、合紙選択78は何れが選択されてもよい。
画像形成装置1の制御部である画像処理部50は、図3に示すドライバUI画面からの上記指定により、以下のように画像形成装置1を制御する。まず、シート材111が普通紙であれば給紙トレイ21から供給し、OHPシートなどのフィルム用紙であれば手差しトレイ31から供給する。そして、画像形成部10にてシート材111の第一面(表面)にYMCK印字面112を形成した後、定着部16を経由したシートを、循環経路28を経由して再度、画像形成部10に向けて搬送する。そして、取得している描画データに基づき、2回目のYMCK印字を行い、静電吸着のための機能を強化させて、出力する。
なお、図3に示すドライバUI画面のモード選択71にて「機能強化」モードが選択された場合には、シート材に付加されている静電吸着トナー像を帯電して静電吸着機能を強化させる強化手段として、画像形成装置1が機能する。手差しトレイ31にシートが置かれた後、ユーザがスタートボタン(図示せず)を押すと、画像形成部10の転写部15にて電荷を与え、静電吸着機能を復活させ、強化させる。
〔静電吸着特性の説明〕
次に、本実施の形態における静電吸着特性の仕組みについて説明する。
図5(a)〜(d)は、本実施の形態の静電吸着特性を有する印刷紙の帯電状態と貼り付けの状態を説明するための図である。
図5(a)では、シート材111に、静電吸着トナー像による吸着用トナー層113を形成したプリントアウト時の状態を示している。図5(a)に示す例では、吸着用トナー層113にマイナス(−)電荷が保持されている。このプリントアウト時に帯電している理由としては、まず、搬送部20のローラーによる圧着時や、用紙搬送時の接触、摩擦により帯電することが挙げられる。特に、画像形成装置1の機内は高温で乾燥していることから、静電気が起きやすい状況にある。また、吸着用トナー層113には、半溶融の帯電したままのトナーが残留している状況にある。そして、吸着用トナー層113の表面に空孔があると電荷をため込める量が増えて逃げにくい。さらに、トナーに含まれる帯電添加材料によって、極性をそもそも持ちやすいことや、絶縁物質(樹脂)であるため電荷が逃げない、等の理由がある。
図5(b)は、シート材111の吸着用トナー層113が形成された面に、合紙118を置いた状態を示している。合紙118としては、印刷されていない普通紙などが用いられる。シート材111の吸着用トナー層113に合紙118が置かれた状態では、吸着用トナー層113のマイナス(−)電荷が、合紙118のプラス(+)電荷に中和されている。すなわち、帯電したシート材111と同じ力で合紙118側のプラス(+)電荷が引き寄せられて、電気的に安定した状態になろうとする。
図5(c)は、帯電したシート材111に合紙118が貼り付けられた図5(b)の状態から、合紙118を剥離した状態を示した図である。図5(b)の状態では中和されている状態にあるが、この中和されている状態から再び剥離すると、元の極性で帯電した状態へ戻ることとなり、シート材111の帯電状態が復活することになる。
その後、図5(d)に示すように、シート材111を、ガラスや金属からなる被貼付け面121に近づけると、帯電したシート材111の静電吸着機能により、シート材111が被貼付け面121に貼り付けられる。
〔静電吸着機能の評価〕
図6は、静電吸着機能を評価した実験結果を示した図である。ここでは、NO.1〜NO.7の実験結果を挙げている。今回の実験は、全ての実験において、シート(シート材111)として透明フィルムであるOHPシートを用い、合紙として富士ゼロックス社製のプリンタ用紙であるJ紙(坪量82g/m2)を用いた。使用したトナーは白色トナーであり、カバレッジは0〜100%まで選択している。ここで、カバレッジとは、現像トナー像における網点面積率であり、例えば、用紙全体をベタ画像で塗りつぶした場合、トナーのカバレッジは100%となる。また、評価項目としては、印字直後の帯電電圧と、2日後の対象物(被貼付け面121)への貼り付け評価である。なお、ここで用いた対象物は、金属ロッカーである。検討の結果、金属ロッカーであれば、−140V程度であれば何とか吸着するが、それ以下では吸着しないことが実験により明らかになった。また、この実験結果は、画像形成装置1にて除電ブラシを外した状態での結果であるが、除電ブラシの有無にて大きな違いは無かった。
まず、NO.1の実験結果では、静電吸着トナー像を形成せず、カバレッジは「0」である。このときの印字直後の帯電電圧は「−814V」であったが、2日後、対象物に貼り付くことはなく、評価は「×」である。
NO.2では、カバレッジは「95%」で、白色トナーを静電吸着トナー像として形成した。カバレッジが「95%」というのは、画像形成装置1にて、用紙の縁には印字しない、いわゆる縁有り印刷で100%を印刷すると、カバレッジが約「95%」となった。この実験結果では、印字直後の帯電電圧は「−841V」であり、2日後も対象物に貼り付くことから、評価は「○」である。
NO.3〜NO.5では、カバレッジを変えて実験を行った。白色トナーを静電吸着トナー像として形成し、NO.3は縦方向(副走査方向)にて1ラインon2ラインoffとする1on2off縦でカバレッジが「33%」、NO.4は横方向(主走査方向)にて1ラインon2ラインoffとする1on2off横でカバレッジが「33%」とした。印字直後の帯電電圧は、それぞれ「−699V」、「−667V」であったが、2日後の対象物への貼り付け実験では、吸着できず、評価は「×」である。
NO.5はカバレッジを「50%」とする画像を用いて白色トナーによる静電吸着トナー像を形成した。印字直後の帯電電圧は、「−665V」であり、2日後、吸着時間は長くはないものの、一応の吸着が得られたこと、すなわち、「○」の実施例ほどは吸着時間が稼げないが吸着したことから、評価は「△」である。
NO.6では、カバレッジは、「95%」に加えて、縦方向(副走査方向)にて1ラインon2ラインoffとする1on2off縦の、白色トナーによる静電吸着トナー像をカバレッジ「95%」の画像に重ねて形成した。印字直後の帯電電圧は「−660V」であり、2日後も対象物に良好に貼り付くことから、評価は「○」である。
NO.7では、画像形成装置1にて用紙の縁まで印字する、いわゆる縁無し印刷により、カバレッジが「100%」の静電吸着トナー像を、白色トナーを用いて形成した。この実験結果では、印字直後の帯電電圧は「−646V」であり、2日後も対象物に良好に貼り付くことから、評価は「○」である。
このように、2日後の結果から、静電吸着トナー像が存在しないと、発生した帯電電圧を維持できない。また、静電吸着トナー像を形成するトナーの量が多いと2日後も保持できるが、静電吸着トナー像を形成するトナーの量が少ないと電荷保持量も小さいことが理解できた。今回の実験では、静電吸着トナー像を形成するトナーの量としてカバレッジ50%以上が好ましい。
また、今回の実験では、合紙118としてJ紙を用いた。事前の予備実験にてOHPシートを合紙118として用いたが、合紙118による保持性はJ紙の方が優れていた。紙が有する無数の穴が電荷保持に寄与しているものと考察される。
なお、帯電電位が落ちたシートについて、摩擦を施すと帯電が復活する。また、再度、画像形成装置1を通して帯電させると、静電吸着機能が強化され、帯電が復活することも実験により確かめられた。
1…画像形成装置、2…クライアントPC、10…画像形成部、50…画像処理部、70…コントロールパネル、71…モード選択、72…貼付面選択、73…シート選択、74…シート透過有無選択、75…印字面吸着選択、76…トナー種類選択、77…吸着領域選択、78…合紙選択、111…シート材、112…YMCK印字面、113…吸着用トナー層、118…合紙、121…被貼付け面

Claims (9)

  1. テキストおよびイメージの一方または両方からなる描画情報を取得する取得手段と、
    取得した前記描画情報からシート材に画像を形成する第1の画像形成手段と、
    静電気により前記シート材を対象面に吸着させる静電吸着機能を当該シート材に付加するための静電吸着トナー像を当該シート材に形成する第2の画像形成手段と
    を有する画像形成装置。
  2. 前記第2の画像形成手段は、前記第1の画像形成手段が画像を形成する前記シート材の面の裏面に前記静電吸着トナー像を形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記シート材に付加されている前記静電吸着トナー像を帯電して静電吸着機能を強化させる強化手段
    を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. シート材にトナー像を形成する画像形成部と、
    静電気を用いて対象面に吸着させる静電吸着機能を前記シート材に付加する吸着モードを、ユーザにより指定可能とするユーザインタフェースと、
    前記ユーザインタフェースを介したユーザからの前記吸着モードの指定を受けて、前記画像形成部により前記シート材に静電吸着トナー像を形成するように制御する制御部と
    を有する画像形成装置。
  5. 前記吸着モードは、テキストおよびイメージの一方または両方からなる画像の形成と同時に前記静電吸着トナー像を形成する静電吸着同時プリントモード、および当該画像の形成とは別個に当該静電吸着トナー像を形成する静電吸着付加プリントモード、の一方または両方を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 前記吸着モードは、どちらの面から貼り付けたいか、を選択可能であり、
    前記制御部は、貼り付けたい面によって制御を変えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  7. 情報が形成されるシート本体と、
    前記シート本体の、対象物に貼り付けたい面に形成され、静電気により当該シート本体を対象物に吸着させる静電吸着トナー像と
    を有する印刷紙。
  8. 前記シート本体の情報は、当該シート本体の表面に、テキストおよびイメージの一方または両方からなるトナー画像で形成され、
    前記静電吸着トナー像が形成される前記対象物に貼り付けたい面は、前記シート本体の裏面であることを特徴とする請求項7記載の印刷紙。
  9. 前記静電吸着トナー像は、静電吸着機能が低下した際、再帯電されることで静電吸着機能が強化されることを特徴とする請求項7記載の印刷紙。
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