JP2018040098A - エレクトレット繊維シート、およびエアフィルター濾材 - Google Patents

エレクトレット繊維シート、およびエアフィルター濾材 Download PDF

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【課題】本発明は、高温下でのエレクトレット安定性に優れ、高い塵埃捕集特性を有するエレクトレット繊維シートを提供する。【解決手段】本発明の耐熱性エレクトレット繊維シートは、主として非導電性繊維を含んでなるエレクトレット繊維シートであって、特定の一般式で表される化合物を0.05〜1.0質量%含有する、エレクトレット繊維シートである。【選択図】 なし

Description

本発明は、エレクトレット化された繊維シートであるエレクトレット繊維シートに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、高温下でのエレクトレット安定性に優れ、高い塵埃捕集特性を有するエレクトレット繊維シートに関するものである。また、本発明は、かかるエレクトレット繊維シートからなるエアフィルター濾材に関するものである。
従来から、気体中の花粉や塵等を除去するためにエアフィルターが使用されており、そのエアフィルターの濾材として不織布が多く用いられている。不織布の製造法の一つであるメルトブロー法は、エアフィルター製品の濾材や電池セパレータ等々の製造に幅広く使用されている。メルトブロー法は、一般に、紡糸口金から押し出された熱可塑性ポリマーを、熱風噴射することにより繊維状に細化し、得られた繊維の自己融着特性を利用して繊維ウェブとして形成せしめる方法である。このメルトブロー法は、スパンボンド法等の他の不織布の製造法に比べて、複雑な工程を必要とせず、また数10μmから数μm以下の細い繊維が容易に得られるという利点を有するものである。
エアフィルターに要求される性能は、ミクロなダストを多く捕集できる高捕集効率、および、エアフィルター内部を気体が通過する際に抵抗が少ない低圧力損失である。上記の高い捕集効率を有する濾材を得るためには、不織布を構成する単繊維が細繊度であることが適しているが、その一方で、単繊維を細繊度化するとその不織布が潰れやすくなり、繊維密度が増加することにより圧力損失が高くなるという課題がある。
また、圧力損失が低い濾材を得るためには、不織布を構成する単繊維が太繊度であることが適しているが、その一方で、単繊維を太繊度化すると不織布内の繊維表面積が減少してしまい、捕集効率が低下するという課題がある。このように、高捕集効率を有することと、低圧力損失を有することは相反する関係にある。
上記の課題を解決する方法として、不織布をエレクトレット化し、物理的作用に加えて静電気的作用を利用することにより、高捕集効率かつ低圧力損失を同時に満足させる試みがなされている。
例えば、アース電極上に不織布を接触させた状態で、このアース電極と不織布を共に移動させながら、非接触型印加電極で高圧印加を行なって連続的にエレクトレット化する、エレクトレット繊維シートの製造方法が提案されている(特許文献1)。その他に水を繊維に接触させて帯電させる方法として、繊維シートに対して水の噴流もしくは水滴流を不織布内部まで水が浸透するのに十分な圧力で噴霧させてエレクトレット化し、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(特許文献2)や、繊維シートをスリット状のノズル上を通過させ、ノズルで水を吸引することにより繊維シートに水を浸透させて、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(特許文献3)のような、いわゆるハイドロチャージ法が提案されている。
特開昭61−289177号公報 米国特許第6119691号明細書 特開2003−3367号公報
特許文献1〜3に記載の方法のように繊維シートをエレクトレット化することにより捕集性能は向上したものの、例えばフィルターとして使用する際において、繊維シートの成型加工時や保管時におけるエレクトレットの熱安定性についてはまだまだ十分なレベルではなかった。
本発明の目的は、従来のエレクトレット技術の課題に鑑み、高温下でのエレクトレット安定性に優れ、高い塵埃捕集特性を有するエレクトレット繊維シートを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のエレクトレット繊維シートは、主として非導電性繊維を含んでなるエレクトレット繊維シートであって、下記一般式(a)で表される化合物を0.05〜1.0質量%含有する、エレクトレット繊維シートである。
Figure 2018040098
一般式(a)中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、銅、またはこれらの金属の塩構造を表す。nは1または2である。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
本発明によれば、高温下でのエレクトレット安定性に優れ、高い塵埃捕集特性を有するエレクトレット繊維シートが得られる。かかるエレクトレット繊維シートを使用すれば、高温下でも高い塵埃捕集特性を有するエアフィルター濾材を提供することができる。
図1は、捕集効率および圧力損失の測定装置を示す概略側面図である。
本発明のエレクトレット繊維シートは、主として非導電性繊維を含んでなるエレクトレット繊維シートであって、下記一般式(a)で表される化合物を0.05〜1.0質量%含有するエレクトレット繊維シートである。
Figure 2018040098
一般式(a)中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、銅、またはこれらの金属の塩構造を表す。nは1または2である。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
本発明のエレクトレット繊維シートは、主として非導電性繊維を含んでなるエレクトレット繊維シートである。繊維シートとして、例えば、合成繊維製の織物、編物および不織布などを挙げることができる。特に、エアフィルター用の場合には、合成繊維からなる不織布が好ましい。
本発明のエレクトレット繊維シートは、メルトブロー不織布からなることが好ましい。メルトブロー不織布からなることにより、複雑な工程を必要とせず、数μmの細繊維が容易に得られ、高い塵埃捕集特性を達成しやすくすることができる。
本発明において、非導電性とは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上であることをいい、1014・Ω・cm以上であることが好ましい態様である。
本発明において、「主として非導電性繊維を含んでなる」とは、エレクトレット繊維シート中に90質量%以上の非導電性繊維を含むことを指す。好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。エレクトレット繊維シート中に非導電性繊維が90質量%未満であると十分なエレクトレット性能が得られないため好ましくない。
本発明に用いられる非導電性繊維の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマーおよびポリウレタンエラストマー等のエラストマー、およびこれらの共重合体または混合物などを挙げることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂は、体積抵抗率が高く、また吸水性が低いため、繊維化したときの帯電性および電荷保持性が強い。そのため、高い捕集効率を達成することができる。
ポリオレフィン系樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリメチルペンテン等のホモポリマーなどが挙げられる。また、これらのホモポリマーに異なる成分を共重合したコポリマーや、異なる2種以上のポリマーブレンド品を用いることもできる。これらの中でも、帯電保持性の観点から、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテンが好ましく用いられる。また、安価に利用できるという観点から、ポリプロピレンがさらに好ましく用いられる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、下記一般式(a)で表される化合物を0.05〜1.0質量%含有する。
Figure 2018040098
一般式(a)中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、銅、またはこれらの金属の塩構造を表す。本発明において、金属の塩構造とは、金属に、塩を形成する原子又は原子団が、当該金属の価数より1以上少ない数結合している構造をいう。例えば、2価の金属であるマグネシウムに水酸化物イオンが一つ結合した構造であるMg−OHや、3価の金属であるアルミニウムに1つ又は2つの塩化物イオンが結合した構造であるAl−Cl又はAl−Clといった構造などが挙げられる。
アルカリ金属の具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の具体例としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。
塩を形成する原子又は原子団としては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン等が挙げられる。
これらのうち、高温下でのエレクトレット安定性の点で好ましいのは、アルミニウムの塩構造であり、より好ましくは、アルミニウムに水酸化物イオンが結合した構造である。
一般式(a)中、nは1または2である。高温下でのエレクトレット安定性の点から、nは2であることが好ましい。
一般式(a)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
一般式(a)で表される化合物の含有量は、エレクトレット繊維シートの質量に対して、0.05〜1.0質量%であり、好ましくは0.1〜0.5質量%である。添加量をこの範囲とすることにより、高温下において、エレクトレット安定性が向上し、優れた塵埃捕集特性を得ることができる。一般式(a)で表される化合物の含有量が0.05質量%未満では高温下での捕集効率が低下する。一方、化合物の含有量が1.0質量%を超えると、紡糸性が悪化したり、コスト的にも不利になる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、上記一般式(a)で表される化合物以外に、結晶核剤を含有してもよい。結晶核剤の具体例としては、ジベンジリデンソルビトール型化合物や、リン酸系核剤、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。ジベンジリデンソルビトール型化合物には、ジベンジリデンソルビトール(DBS)、モノメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(p−MDBS))、ジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4−DMDBS))などが含まれる。
本発明のエレクトレット繊維シートには、上記の結晶核剤の他に、熱安定剤、耐候剤および重合禁止剤等の、一般にエレクトレット繊維シートに使用されている添加剤を添加することができる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、耐候性を向上させ、またエレクトレット性能をより良好にするという観点から、前記の樹脂材料にヒンダードアミン系添加剤または/およびトリアジン系添加剤を少なくとも1種類含有することが好ましい。
上記の2種類の添加剤のうち、ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)144)などが挙げられる。
また、トリアジン系添加剤としては、例えば、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASFジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)1577FF)などを挙げることができる。
これらの中でも、エレクトレット性能をさらに良好にするという点でヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましく、特に、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASFジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)が好ましく用いられる。
上記のヒンダードアミン系添加剤およびトリアジン系添加剤の添加量の合計は、エレクトレット繊維シートの質量に対して、好ましくは0.5〜5質量%であり、より好ましくは0.7〜3質量%である。添加量をこの範囲とすることにより、エレクトレット化した際に優れた塵埃捕集特性が得られやすくなる。
本発明のエレクトレット繊維シートの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、前述のような一般式(a)で表される化合物及び樹脂材料を用意する。次いで、該化合物と樹脂材料とを混練した後に、押し出し機から押し出して、繊維、繊維ウェブ、或いは不織布など、所望の構造に加工する。化合物と樹脂材料とを混練する方法としては、紡糸機の押出機ホッパーにこれらを混合して供給し、押出機内で混練りし、直接口金へ供給する方法や、あらかじめ、化合物と樹脂材料を混練押出機や静止混練機等で混練りしてマスターチップを作製し、これを押出機内で溶融し口金部へ供給する方法等がある。
次いで、繊維を使用して、常法により繊維シートを形成する。例えば、繊維シートが織物又は編物からなる場合には、前記繊維を使用して糸を形成した後、織ったり、編むことによって製造することができる。また、繊維シートが不織布からなる場合には、前記繊維を使用して繊維ウェブを乾式法や湿式法により形成した後に、繊維ウェブを結合して不織布を製造したり、前記繊維ウェブをスパンボンド法やメルトブロー法により形成した後に、繊維ウェブを結合して不織布を製造することができる。また、静電紡糸法や海島繊維の海部分を溶出する方法により、ナノ繊維を主体に構成された不織布を製造することができる。
次いで、この繊維シートに対し、エレクトレット化処理を実施して、エレクトレット繊維シートとする。エレクトレット化処理は繊維シート単層でも、他のシートと積層した積層繊維シートに実施しても構わない。
本発明のエレクトレット繊維シートの製造に用いられるエレクトレット化の方法として、非導電性の繊維シートに水を付与した後に乾燥させることによりエレクトレット化する方法が好ましく用いられる。繊維シートに水を付与する方法としては、水の噴流もしくは水滴流を繊維シート内部まで水が浸透するのに十分な圧力にて噴霧する方法や、水を付与した後もしくは付与しながら繊維シートの片側から吸引して繊維シート内に水を浸透させる方法、およびイソプロピルアルコール、エチルアルコールおよびアセトンなどの水溶性有機溶剤と水との混合溶液に繊維シートを浸漬させて水を繊維シート内部まで浸透させる方法等が挙げられる。
本発明において、エレクトレット化する際に用いられる水としては、液体フィルター等で汚れを除去したものであって、できるだけ清浄なものを使用することが好ましい。特に、イオン交換水、蒸留水および逆浸透膜で透過した濾過水等の純水が好ましく用いられる。また、純水としてのレベルは、導電率で103 μS/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは102 μS/m以下の純水である。また、上記の水には、捕集特性に影響を与えない範囲で、水溶性有機溶剤を混合させることができる。
本発明のエレクトレット繊維シートを構成する繊維の平均単繊維径は、0.1〜8.0μmの範囲であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは0.1〜8.0μm、より好ましくは0.3〜7.0μm、さらに好ましくは0.5〜5.0μmとすることにより、通気性と塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートが得られやすくなる。
また、本発明のエレクトレット繊維シートの目付は、3〜100g/mの範囲であることが好ましい。目付を3〜100g/m、好ましくは5〜70g/m、より好ましくは10〜50g/mとすることにより、通気性と塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートが得られやすくなる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、140℃で5分間熱処理した前後の捕集効率維持率が98.5%以上であることが好ましく、より好ましくは99.0%以上である。140℃で5分間熱処理した前後の捕集効率維持率をこの範囲とすることにより、高温下でも高い塵埃捕集特性を有するエアフィルター濾材を得られやすくすることができる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、エアフィルターの濾材として好適に用いることができる。
本発明のエアフィルター濾材は、本発明のエレクトレット繊維シートからなる。本発明のエレクトレット繊維シートから、本発明のエアフィルター濾材を得る方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2004−82109に記載の方法を用いることができる。
本発明のエアフィルター濾材は、エアフィルター全般、中でも空調用フィルター、空気清浄機用フィルター、および自動車キャビンフィルター等の高性能用途に好適であるが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。
(1)目付
タテ×ヨコ=15cm×15cmのエレクトレット繊維シートの質量を1サンプルについて測定した。得られた値を1m当たりの値に換算し、小数点以下第1位を四捨五入して、エレクトレット繊維シートの目付(g/m)を算出した。
(2)平均単繊維径:
平均単繊維径については、エレクトレット繊維シートの任意の場所から、3mm×3mmの測定サンプルを10個採取し、走査型電子顕微鏡で倍率を1000〜3000倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計10枚を撮影した。写真の中の繊維直径(単繊維径)がはっきり確認できる繊維について単繊維径を測定し、平均した値の小数点以下第2位を四捨五入して平均単繊維径とした。
(3)厚み
厚み計(テクロック社製“TECLOCK”(登録商標)SM−114)を使用して、エレクトレット繊維シートの厚みを幅方向等間隔に10点測定し、その平均値から小数点以下第3位を四捨五入し、厚みとした。
(4)捕集性能(捕集効率)
エレクトレット繊維シートの幅方向5カ所で、タテ×ヨコ=15cm×15cmの測定用サンプルを採取し、それぞれのサンプルについて、図1に示す捕集効率測定装置を用いて捕集効率を測定した。この図1の捕集効率測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー1の上流側に、ダスト収納箱2を連結し、下流側に流量計3、流量調整バルブ4およびブロワ5を連結している。また、サンプルホルダー1にパーティクルカウンター6を使用し、切替コック7を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダー1は圧力計8を備え、測定サンプルMの上流と下流での静圧差を読み取ることができる。
捕集効率の測定にあたっては、ポリスチレン0.309U 10%溶液(メーカー:ナカライテスク(株))を蒸留水で200倍まで希釈し、ダスト収納箱2に充填する。次に、測定サンプルMを、サンプルホルダー1にセットし、風量をフィルター通過速度が4.5m/分になるように、流量調整バルブ4で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10−4(0.01ft)の範囲で安定させ、測定サンプルMの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数dをパーティクルカウンター6(リオン社製、KC−01D)で1個の測定サンプル当り3回測定し、JIS K 0901(1991)「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」に基づいて、下記の計算式を用いて、0.3〜0.5μm粒子の捕集効率(%)を求めた。3個の測定サンプルの平均値を、最終的な捕集効率とした。
・捕集効率(%)=〔1−(d/D)〕×100
(ただし、dは下流ダストの3回測定トータル個数を表し、Dは上流のダストの3回測定トータル個数を表す。)
(5)捕集効率維持率(%)
エレクトレット繊維シートをタテ×ヨコ=15cm×15cmにカットし、それぞれのサンプルについて、110℃、120℃、140℃に設定した熱風乾燥機(エスペック(株)TABAI PHH−100)の中に吊り下げた状態で5分間熱処理した。熱処理したサンプルの捕集効率を前記(3)の方法によって測定し、下記の計算式を用いて、熱処理前後の捕集効率維持率を計算し、3個の測定サンプルの平均値を最終的な熱処理前後の捕集効率維持率とした。
・捕集効率維持率(%)=(熱処理後の捕集効率/熱処理前の捕集効率)×100
[実施例1]
原料として、下記式(b)で表される“アデカスタブ”(登録商標)NA−21((株)ADEKA製))を0.3質量%およびヒンダードアミン系化合物“キマソーブ”(登録商標)944(BASFジャパン(株)製)を1質量%含むメルトフローレートが850g/10分のポリプロピレンを用いた。
Figure 2018040098
該原料を紡糸機の原料ホッパーへ投入し、直径が0.4mmの吐出孔を一直線上に配置した口金(孔ピッチ:1mm、孔数:151ホール、幅:150mm)を用いて、メルトブロー法により、ポリマー吐出量27g/分、ノズル温度260℃、エア圧力0.10MPaの条件で噴射し、捕集コンベア速度を調整することによって目付が25g/mの不織布シートを得た。続いて、純水が供給される水槽の水面に沿って走行させながら、その表面にスリット状の吸引ノズルを当接させて水を吸引することにより、繊維シート全面に水を浸透させ、水切り後に自然乾燥させることにより、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。
得られたエレクトレット繊維シートを110℃、120℃、140℃の各温度に設定した熱風乾燥機中でそれぞれ5分間熱処理し、熱処理前後の捕集効率を測定し、各温度での捕集効率維持率を算出した。エレクトレット繊維シートの各測定値と算出値を、表1に示す。
[実施例2]原料として、“アデカスタブ”(登録商標)NA−21((株)ADEKA製))を0.1質量%およびヒンダードアミン系化合物“キマソーブ”(登録商標)944(BASFジャパン(株)製)を1質量%含むこと以外は、実施例1と同じ条件でエレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。
得られたエレクトレット繊維シートについて、実施例1と同様の方法により各特性値を測定した。得られた結果を、表1に示す。
[比較例1]
原料として、実施例1で使用したポリプロピレンにNA−21を添加しないこと以外は、実施例1と同じ方法によりエレクトレット繊維シートを得た。
得られたエレクトレット繊維シートについて、実施例1と同様の方法により各特性値を測定した。得られた結果を、表1に示す。
[比較例2]
原料として、“アデカスタブ”(登録商標)NA−21((株)ADEKA製))を0.03質量%およびヒンダードアミン系化合物“キマソーブ”(登録商標)944(BASFジャパン(株)製)を1質量%含むこと以外は、実施例1と同じ条件でエレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。
得られたエレクトレット繊維シートについて、実施例1と同様の方法により各特性値を測定した。得られた結果を、表1に示す。
Figure 2018040098
表1から明らかなように、本発明の実施例1、2は、一般式(a)で表される化合物の一つである式(b)で表される化合物を含むため、高温下でのエレクトレット安定性に優れ、140℃で熱処理したエレクトレット繊維シートの捕集効率維持率が98.5%以上の高い維持率を示した。
これに対し、一般式(a)で表される化合物を含有していない比較例1および一般式(a)で表される化合物を0.03質量%しか含有していない比較例2では、実施例1、2に対して、熱処理前の捕集効率は同程度の性能を示したものの、熱処理後では捕集効率の低下が大きいという結果であった。
以上のように、一般式(a)で表される化合物を含有したエレクトレット繊維シートは、高温下において、エレクトレット安定性に優れ、高い捕集効率を示すものであった。
1:サンプルホルダー
2:ダスト収納箱
3:流量計
4:流量調整バルブ
5:ブロワ
6:パーティクルカウンター
7:切替コック
8:圧力計
M:測定サンプル

Claims (4)

  1. 主として非導電性繊維を含んでなるエレクトレット繊維シートであって、下記一般式(a)で表される化合物を0.05〜1.0質量%含有する、エレクトレット繊維シート。
    Figure 2018040098
    (一般式(a)中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、銅、またはこれらの金属の塩構造を表す。nは1または2である。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
  2. 140℃で5分間熱処理した前後の捕集効率維持率が98.5%以上である、請求項1に記載のエレクトレット繊維シート。
  3. メルトブロー不織布からなる、請求項1または2に記載のエレクトレット繊維シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトレット繊維シートからなるエアフィルター濾材。
JP2017165221A 2016-08-31 2017-08-30 エレクトレット繊維シート、およびエアフィルター濾材 Active JP7052258B2 (ja)

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