以下、添付図面を参照しながら本発明による光観察装置及びそれに用いる撮像装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
図1は、本発明の一実施形態の光観察装置1の概略構成図である。本実施形態による光観察装置1は、観察対象物Aの観察光を波長成分で分割し、分割された2つの波長成分の光像を撮像して出力する装置である。同図に示すように、光観察装置1は、観察対象物Aを搭載するステージ2と、観察対象物Aに照射する照明光Iを出射する光源3と、光源3から出射された照明光Iを集光するコリメータレンズ4と、照明光Iの照射に応じて観察対象物Aから発生せられる蛍光、反射光等の観察光B1を集光する対物レンズ5と、光源3から照明光Iをステージ2上の観察対象物Aに向けて反射するとともに、観察対象物Aからの観察光B1を透過するビームスプリッタ6と、観察光B1を2つに分割して2つの光像として出力する光分割光学装置7と、光分割光学装置7によって分割された2つの光像の結像位置に配置された撮像装置(撮像素子)8と、撮像装置8の動作を制御する制御部9とを含んで構成される。この光分割光学装置7には、開口絞り10、コリメータレンズ11、光分割光学系12、及び結像レンズ13が内蔵されている。
図2は、光分割光学装置7の構成の一例を示す透視図である。同図に示すように、光分割光学装置7は、筐体22内に、コリメータレンズ11と、結像レンズ13と、前段ダイクロイックミラー25a、後段ダイクロイックミラー25b、前段ミラー26a、後段ミラー26b、及び補正レンズ27を含む光分割光学系12が内蔵されて構成されている。さらに、筐体22の一端側の端面には、円形状の開口を有する開口絞り10が設けられている。この開口絞り10は、その開口の内径が可変に設定できる絞り調整機構15を有している。以下、光分割光学装置7の各構成要素の構成について説明する。
この光分割光学装置7は、ビームスプリッタ6を透過した観察光B1が開口絞り10から内部に入射可能なように配置される。そして、開口絞り10を通過した観察光B1は、コリメータレンズ11により、平行光に変換されてコリメータレンズ11の光軸L1に沿って出力される。
前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bは、筐体22の内部の光軸L1上から着脱可能に配置されている。すなわち、これらのダイクロイックミラー25a,25bは、一体化されて筐体22内の観察光B1の光路上から着脱可能に構成されている。なお、ダイクロイックミラー25a,25bは、後述する前段ミラー26a、後段ミラー26b、及び補正レンズ27とも一体化されて着脱可能にされていてもよい。この前段ダイクロイックミラー25aは、コリメータレンズ11から出力された平行光を分光して、分光された第1の分割光B2を光軸L1に沿った方向に透過させる。同時に、前段ダイクロイックミラー25aは、平行光を分光して、分光された第2の分割光B3を光軸L1に対して垂直な方向に反射させる。
後段ダイクロイックミラー25bは、前段ダイクロイックミラー25aを透過した第1の分割光B2をさらに透過することにより、第1の分割光B2を筐体22の他端側に配置された結像レンズ13に向けて出力する。同時に、後段ダイクロイックミラー25bは、前段ダイクロイックミラー25aで反射された後に前段ミラー26a、補正レンズ27、及び後段ミラー26bを経由した第2の分割光B3を反射して、その第2の分割光B3を結像レンズ13に向けて出力する。
前段ミラー26aは、前段ダイクロイックミラー25aから出力された第2の分割光B3を光軸L1に平行な方向に反射する。後段ミラー26bは、前段ミラー26aを経由した第2の分割光B3を光軸L1に交差する方向に沿って後段ダイクロイックミラー25bの受光面に向けて反射する。補正レンズ27は、前段ミラー26aと後段ミラー26bとの間に配置され、第2の分割光B3の倍率補正や色補正を行う機能を有する。
結像レンズ13は、その光軸L2が光軸L1に平行になるように支持され、光軸L2が光軸L1に対して平行な状態を保ったまま光軸L1に垂直な方向に移動可能に構成されている。結像レンズ13は、ダイクロイックミラー25a,25bを経由して観察光B1から分割された第1及び第2の分割光B2,B3を受けて、それらの分割光B2,B3を、外部に配置されたカメラ装置30内の撮像装置8上に、分離された第1及び第2の光像として結像させる。このとき、開口絞り10の内径と、後段ダイクロイックミラー25b又は後段ミラー26bの角度及び位置と、結像レンズ13の位置とが適切に調整されることにより、第1及び第2の光像を撮像装置8の受光面の二分割された領域で受光させることができる。一方、結像レンズ13は、ダイクロイックミラー25a,25bが取り外された際には、観察光B1をコリメータレンズ11のみを経由して受けて、その観察光B1をカメラ装置30内の撮像装置8上に単一の光像として結像させる。このとき、開口絞り10の内径と結像レンズ13の位置とが適切に調整されることにより、単一の光像を撮像装置8の受光面全体のより広い領域で受光させることができる。
なお、光分割光学装置7には、前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bが着脱されたことを検出して制御部9にその検出信号を出力するスイッチ素子、センサ素子等の検出機構14が設けられていてもよい。また、ダイクロイックミラー25a,25bを経由して観察光B1から分割された第1及び第2の分割光B2,B3の光路上にバンドパスフィルタなどの波長フィルタを配置してもよい。
このような構成の光分割光学装置7は、カメラ装置30によって観察光を単一の光像で観察する観察モード(以下、「シングルビューモード」と言う。)と、カメラ装置30によって観察光を2つの光像に分離して観察する観察モード(以下、「ダブルビューモード」と言う。)との両方に兼用することができる。
次に、図3を参照して、撮像装置8の詳細構成について説明する。同図に示すように、撮像装置8は、その受光面41に沿って2次元状に配列された複数の画素回路42を有している。この画素回路42は、光を電荷に変換するフォトダイオード43と、フォトダイオード43に蓄積された電荷を電気信号に変換するアンプ44と、アンプから出力される電気信号の読み出しタイミングを規定するスイッチ45により構成されている。このような複数の画素回路42は、受光面41に沿って一方向(図3の左右方向)に所定の間隔で所定個で配列されて画素列46を構成する。そして、画素列46は受光面41に沿って一方向に垂直な方向(図3の上下方向)に複数並べられて隣り合う2つの画素列群47a,47bを構成する。すなわち、2つの画素列群47a,47bは、それぞれ、受光面41の中央部を跨って配置された複数の画素列46のうち、受光面41を中央部で二分割した領域48a,48b内の画素列46を含む。この受光面41の領域48a,48bは、それぞれ、光分割光学装置7から出力された第1及び第2の光像の結像位置に対応する。
さらに、撮像装置8は、2つの画素列群47a,47bごとにローリング読み出しが可能な回路構成を別々に有している。具体的には、領域48aに含まれる各画素回路42のアンプ44の出力には、CDSアンプ49aとA/Dコンバータ50aとを含む直列回路が接続され、これらの直列回路は、画素列46における画素回路42の配列数分設けられ、画素列群47aに含まれる複数の画素列46を跨って、画素列46の配列方向に沿って共通に接続される。そして、これらの直列回路には、共通にデジタル信号出力回路(信号読み出し回路)51aが接続されている。このような構成により、画素列群47aに含まれる画素列46を構成する画素回路42によって検出された光像の検出信号は、画素列46毎にデジタル信号としてデジタル信号出力回路51aによって順次読み出される。
同様に、領域48bに含まれる各画素回路42のアンプ44の出力には、CDSアンプ49bとA/Dコンバータ50bとを含む直列回路が接続され、これらの直列回路は、画素列群47bに含まれる複数の画素列46を跨って、画素列46の配列方向に沿って共通に接続される。そして、これらの直列回路には、共通にデジタル信号出力回路(信号読み出し回路)51bが接続されている。このような構成により、画素列群47bに含まれる画素列46を構成する画素回路42によって検出された光像の検出信号は、画素列46毎にデジタル信号としてデジタル信号出力回路51bによって順次読み出される。
また、撮像装置8には、画素回路42における露光タイミング及び信号読み出しタイミングを規定する走査回路52が更に設けられている。この走査回路52は、画素回路42のスイッチ45による電気信号の読み出しタイミングを、画素列46毎に規定する。すなわち、走査回路52は、画素回路42からの電気信号の読み出しを、画素列46毎に受光面41に沿った所定の方向の順番で行う、いわゆる、ローリング読み出しで行うように読出しタイミングを規定する。ここで、走査回路52は、ローリング読み出しを、領域48aに含まれる画素列群47aと領域48bに含まれる画素列群47bとで独立に行うように読出しタイミングを規定する。さらには、走査回路52は、制御部9からの指示信号を受けて、領域48aに含まれる画素列群47aと領域48bに含まれる画素列群47bとで独立に、受光面41に沿ったローリング読み出しの方向を設定可能に構成されている。
図1に戻って、制御部9は、撮像装置8に接続されて、撮像装置8における画素列群47aからのローリング読み出しの方向と、撮像装置8における画素列群47bからのローリング読み出しの方向とを、独立に制御するように指示信号を生成する。この制御部9は、カメラ装置30の外部に接続されたコンピュータ端末等の制御装置であってもよいし、撮像装置8上に搭載される制御回路であってもよい。具体的には、制御部9は、光分割光学装置7がダブルビューモードに設定されている際には、すなわち、前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bを含む光分割光学系12(図2)が観察光B1の光路上に配置されている際には、次のように制御する。具体的には、画素列群47aにおけるローリング読み出しの方向と、画素列群47bにおけるローリング読み出しの方法とが、画素列46の並列方向において同一の方向となるように制御する。図4は、制御部9によって制御される受光面41上の画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向を概念的に示す図である。このように、画素列群47aにおいてはローリング読み出しの方向が領域48aの領域48bに対して反対側の端部から領域48aと領域48bとの境界に向けた方向(図4の下方向)に制御され、画素列群47bにおいてはローリング読み出しの方向が領域48bと領域48aとの境界から領域48bの領域48aに対して反対側の端部に向けた方向(図4の下方向)に制御される。
また、制御部9は、光分割光学装置7がシングルビューモードに設定されている際には、すなわち、前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bを含む光分割光学系12(図2)が観察光B1の光路上から取り外されて離脱している際には、次のように制御する。具体的には、画素列群47aにおけるローリング読み出しの方向と、画素列群47bにおけるローリング読み出しの方法とが、画素列46の並列方向において逆の方向となるように制御する。図5は、制御部9によって制御される受光面41上の画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向を概念的に示す図である。このように、画素列群47aにおいてはローリング読み出しの方向が領域48aと領域48bとの境界から領域48aの領域48bに対して反対側の端部に向けた方向(図4の上方向)に制御され、画素列群47bにおいてはローリング読み出しの方向が領域48bと領域48aとの境界から領域48bの領域48aに対して反対側の端部に向けた方向(図4の下方向)に制御される。
ここで、制御部9は、光分割光学装置7に前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bが着脱されたことを検出する検出機構が設けられている場合には、次のように読み出しモードを切り替えるように制御してもよい。すなわち、制御部9は、前段ダイクロイックミラー25a及び後段ダイクロイックミラー25bを含む光分割光学系12が光路上に配置されたことが検出された際には、図4に示したような画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向が同一方向となる第1の読み出しモードに自動的に切り替えるように制御する。一方、制御部9は、光分割光学系12が光路上から離脱したことが検出された際には、図5に示したような画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向が逆方向となる第2の読み出しモードに自動的に切り替えるように制御する。なお、光分割光学装置7に検出機構が設けられていない場合には、観察者の選択に応じて、制御部9が読み出しモードを切り替えるようにしてもよい。
次に、光観察装置1を用いた本実施形態に係る光観察方法の手順について詳述する。図6は、光観察方法の手順を示すフローチャートである。
観察処理が開始されると、最初に、ローリング読み出し方向を決定するために、観察者は観察モードを選択する(S0)。具体的には、観察者は、制御部9の表示部に表示された選択画面を用いて、シングルビューモードもしくはダブルビューモードを選択する。ダブルビューモードの場合、観察光B1は、光分割光学系12によって第1の分割光B2と第2の分割光B3に分割される(S11)。その後、第1の分割光B2と第2の分割光B3は結像され、第1の分割光B2に対応する第1の光像と第2の分割光B3に対応する第2の光像が形成される(S21)。第1の光像が形成される位置に画素列群47aが、第2の光像が形成される位置に画素列群47bが位置するように撮像装置8が配置されている。ダブルビューモードの場合、画素列群47aと画素列群47bとでローリング読出しの方向が同一となる第1の読み出しモードが選択され、第1の光像および第2の光像は、第1の読み出しモードで撮像される(S31)。得られた画像データを基に、第1の光像に対応する第1の画像と第2の光像に対応する第2の画像とが作成され、制御部9の表示部に表示される(S4)。
一方で、シングルビューモードが選択された場合、観察光B1が結像され光像が形成される(S22)。シングルビューモードの場合、画素列群47aと画素列群47bとでローリング読出しの方向が逆方向となる第2の読み出しモードが選択され、光像は、第2の読み出しモードで撮像される(S32)。撮像によって得られた画像データを基に、光像に対応する画像が作成され、制御部9の表示部に表示される(S4)。
以上説明した光観察装置1、それに用いる撮像装置8、及び光観察方法によれば、光分割光学系12によって観察対象物Aの観察光が第1及び第2の分割光に分割され、分割された第1及び第2の分割光が結像レンズ13によって結像されて第1及び第2の光像が形成され、第1の光像は撮像装置8の領域48aに含まれる画素列群47aによって受光され、第2の光像は撮像装置8の領域48bに含まれる画素列群47bによって受光される。そして、第1及び第2の光像の検出信号は、それぞれ、制御部9の制御によって、画素列群47a,47bから独立にローリング読み出しされ、画素列群47aにおけるローリング読み出しの方向と画素列群47bにおけるローリング読み出しの方向が同一にされる。これにより、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との間で観察対象物Aの同一部位での露光タイミングが揃いやすいので、2つの光像の各部位の露光条件を均一化することができる。その結果、2つの光像の検出像を用いた比較観察を容易にすることができる。
図7(a)には、ダブルビューモードでの使用時に制御部9によって制御される受光面41上のローリング読み出しの方向を概念的に示し、それに対応して、図7(b)には、ダブルビューモードでの使用時における受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。同図に示すように、領域48aと領域48bとでローリング読み出しの方向が同一に設定されることにより、領域48aに含まれる複数の画素列46の露光期間TA1が、領域48aの端部から受光面41の中央部に向けて所定期間だけ順次遅れるように設定され、領域48bに含まれる複数の画素列46の露光期間TB1が、受光面41の中央部から領域48bの端部に向けて所定期間だけ順次遅れるように設定される。その結果、検出像の同じ部位に対応する画素列46の露光期間TA1,TB1が、領域48a,48b間で一致しやすくなる。これにより、観察対象物Aが動く場合や、蛍光試薬の劣化等により観察光が変化する場合に、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像とを正確に比較することができる。
ここで、制御部9は、読み出しモードを第1の読み出しモードと第2の読み出しモードとを切り替え可能にされている。また、デジタル信号出力回路51a,51b及び走査回路52は、制御部9の制御によって、第1の読み出しモードと第2の読み出しモードとのうちから読み出しモードを選択するように動作する。これにより、ダブルビューモードでの使用時の2つの光像の各部位の露光条件を均一化できる。その一方で、シングルビューモードで使用する場合には、単一の光像の検出像における線状の明暗差の発生を防止できる。その結果、シングルビューモードとダブルビューモードで共用する場合であっても、高精度での光像の観察を可能にする。
図8(a)には、シングルビューモードでの使用時に制御部9によって制御される受光面41上のローリング読み出しの方向を概念的に示し、それに対応して、図8(b)には、シングルビューモードでの使用時における受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。同図に示すように、領域48aと領域48bとでローリング読み出しの方向が逆に設定されることにより、領域48aに含まれる複数の画素列46の露光期間TA2が、受光面41の中央部から領域48aの端部に向けて所定期間だけ順次遅れるように設定され、領域48bに含まれる複数の画素列46の露光期間TB2が、受光面41の中央部から領域48bの端部に向けて所定期間だけ順次遅れるように設定される。その結果、検出像に中央部で隣接する画素列46の露光期間TA2,TB2が、領域48a,48b間で一致しやすくなる。これにより、単一の光像の検出像における領域48aと領域48bとの境界における線状の明暗差の発生を防止することができる。
これに対して、図12には、シングルビューモード使用時に画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向が同一方向となる第1の読み出しモードで設定した場合の受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。このように設定すると、検出像の中央部に対応する隣接する2つの画素列46の露光期間TA3,TB3が、領域48a,48b間で不一致となってしまうため好ましくない。この場合は、単一の光像の検出像において領域48aと領域48bとの境界での線状の明暗差が生じやすくなってしまう。
さらに、図13には、従来のローリング読み出し方式の撮像装置を用いた場合の受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。このような場合は、受光面41全体で一方向にローリング読み出しが実行されることにより、複数の画素列46の露光期間T4が、受光面41の一端部から他端部に向けて所定期間だけ順次遅れるように設定される。その結果、ダブルビューモードで使用した場合に2つの検出像の同じ部位に対応する画素列46の露光期間T4が不一致になりやすい。これにより、観察対象物Aが動く場合や、蛍光試薬の劣化等により観察光が変化する場合に、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との露光条件が異なり、それらを正確に比較することができない。
また、図14には、ダブルビューモード使用時に第2の読み出しモードで設定した場合の受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。この場合は、検出像の同じ部位に対応する画素列46の露光期間TA5,TB5が、領域48a,48b間で不一致となってしまう。これにより、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との露光条件が異なり、それらを正確に比較することができない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、光観察装置1の制御部9が設定する第1及び第2の読み出しモードは以下のように変更することができる。
図9及び図10は、本発明の変形例にかかる制御部9によって制御される受光面41上の画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向を概念的に示す図である。図9に示すように、ダブルビューモード使用時には、画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向がともに、図4に示した方向と逆方向に設定されてもよい。また、図10に示すように、シングルビューモード使用時には、画素列群47a,47bにおけるローリング読み出しの方向がともに、図5に示した方向と逆方向に設定されてもよい。
また、制御部9は、各画素列群47a,47bごとに露光時間を独立に可変可能に構成されていてもよく、各画素列群47a,47bごとに露光時間を異なる時間に制御可能に構成されていてもよい。図11には、本発明の変形例における受光面41上の各画素列46における露光タイミングを示している。同図に示すように、制御部9が、各画素列群47a,47bごとにローリング読み出しの方向を制御するとともに、各画素列群47a,48bの露光期間TA6,TB6の長さを異なる時間に設定可能にされている。この場合、各画素列46の信号読み出しの開始タイミングは各画素列の露光期間TA6,TB6の直後に設定され、信号読み出しの開始タイミングは各領域48a,48b間で同期するように制御される。すなわち、検出像の同一部位に対応する領域48a,48b内の2つの画素列46の信号読み出しのタイミングが、互いに同期するように制御されることになる。
従来のダブルビューモードでの観察光の撮像では、異なる波長領域の光像をそれぞれ撮像するが、それぞれの光像の光強度が大きく違う場合は、それらが同程度になるように減光フィルタ等を通過させている。図11に示す本実施形態では、露光時間を2つの光像間で独立に設定可能にされているので、光強度が大きい方の一方の光像の露光時間を他方よりも短くすることで、減光フィルタを用いなくても検出像として検出される光強度を同程度にすることができる。さらに、2つの領域48a,48b内の2つの画素列46の信号読み出しのタイミングを同期させることで、2つの光像の検出像間で観察対象物の同一部位での露光タイミングを確実に揃えることができ、2つの光像の各部位の露光条件を一層均一化することができる。
また、光観察装置1を構成する光分割光学装置7の構成は図2に示す構成には限定されず、米国特許第5,926,283号公報や米国特許第7,667,761号公報等に記載された光分割光学系、文献「K. Kinosita, Jr. et al., “DualViewMicroscopy with a Single Camera: Real-Time Imaging of Molecular Orientationsand Calcium”, The Journal of Cell Biology, Volume 115, Number 1, October 1991, pp67-73」に記載された光学系等の従来構成のものを用いてもよい。また、光分割光学系12は、ダイクロイックミラーを含む構成に限らない。
本発明の一実施形態にかかる光観察装置は、外部から対象物の観察光を受けて、観察光を第1及び第2の光に分割する光分割光学系と、第1及び第2の光を受けて、第1及び第2の光のそれぞれを結像して第1及び第2の光像を形成する結像レンズと、第1及び第2の光像の結像位置に配置され、複数の画素を含む画素列が複数並んで構成され、第1の光像の結像位置に対応する第1の領域に含まれる複数の画素列のうちの第1の画素列群と、第2の光像の結像位置に対応する第2の領域に含まれる複数の画素列のうちの第2の画素列群とにおいて独立にローリング読み出しが可能な撮像素子と、第1の領域に含まれる第1の画素列群と、第2の領域に含まれる第2の画素列群とにおけるローリング読み出しを制御する制御部と、を備え、制御部は、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において同一となるように制御する。
或いは、本発明の他の実施形態である光観察方法は、複数の画素を含む画素列が複数並んで構成された第1の画素列群と、第1の画素列群に隣り合い、複数の画素を含む画素列が複数並んで構成された第2の画素列群を有し、第1の画素列群と第2の画素列群とをそれぞれローリング読出しをすることが可能な撮像装置を用いた光観察方法において、外部から対象物の観察光を第1及び第2の光に分割し、第1の光を結像して第1の光像を第1の画素列群に入射されるように形成し、第2の光を結像して第2の光像を第2の画素列群に入射されるように形成し、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において同一となるように制御する。
このような光観察装置或いは光観察方法によれば、対象物の観察光が第1及び第2の光に分割され、分割された第1及び第2の光が結像されて第1及び第2の光像が形成され、第1の光像は撮像素子の第1の領域に含まれる第1の画素列群によって受光され、第2の光像は撮像素子の第2の領域に含まれる第2の画素列群によって受光される。そして、第1及び第2の光像の検出信号は、それぞれ、第1及び第2の画素列群から独立にローリング読み出しされ、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向が同一にされる。これにより、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との間で対象物の同一部位での露光タイミングが揃いやすいので、2つの光像の各部位の露光条件を均一化することができる。その結果、2つの光像の検出像を用いた比較観察を容易にすることができる。
ここで、制御部は、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において同一となるような第1の読み出しモードと、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において逆方向となるような第2の読み出しモードとを切り替え可能に制御する、ことが好適である。また、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において同一となるような第1の読み出しモードと、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、複数の画素列の並列方向において逆方向となるような第2の読み出しモードとを選択する、ことが好適である。かかる構成を採れば、撮像素子で同時に2つの光像を撮像する場合には第1の読み出しモードに切り替えることで、2つの光像の各部位の露光条件を均一化できる。その一方で、撮像素子で単一の光像を撮像する場合には第2の読み出しモードに切り替えることで、単一の光像の検出像における線状の明暗差の発生を防止できる。その結果、2つの光像を撮像する観察モードと単一の光像を撮像する観察モードで共用する場合であっても、光像の高精度での観察を可能にする。
また、光分割光学系は、観察光の光路上から着脱可能に構成されており、制御部は、光分割光学系が光路上に配置されている際には、第1の読み出しモードに切り替え、光分割光学系が光路上から離脱している際には、第2の読み出しモードに切り替えるように制御することも好適である。この場合、光分割光学系の着脱に応じて第1及び第2の読み出しモードを切り替えるように制御されているので、2つの光像を撮像する観察モードと単一の光像を撮像する観察モードで共用する場合に、光像の高精度での観察を容易にする。
さらに、制御部は、第1の画素列群におけるローリング読み出しの露光時間と第2の画素列群におけるローリング読み出しの露光時間とをそれぞれ可変可能に制御する、ことも好適である。こうすれば、第1の光像を撮像する際の感度と第2の光像を撮像する際の感度を自由に設定でき、2つの光像の撮像条件の自由度を高めることができる。
またさらに、制御部は、第1の画素列群におけるローリング読み出しの露光時間と第2の画素列群におけるローリング読み出しの露光時間とを異なる時間に制御する、ことも好適である。こうすれば、第1の光像を撮像する際の感度と第2の光像を撮像する際の感度を異なるように設定でき、2つの光像の撮像条件の自由度を高めることができる。
さらにまた、制御部は、第1の画素列群におけるローリング読み出しの開始タイミングと第2の画素列群におけるローリング読み出しの開始タイミングとが同期するように制御する、ことも好適である。このような構成によれば、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との間で対象物の同一部位での露光タイミングを確実に揃えることができ、2つの光像の各部位の露光条件を一層均一化することができる。
さらに、本発明の一実施形態にかかる撮像装置は、外部から対象物の観察光を第1及び第2の光に分割し、第1及び第2の光を基に生成された第1及び第2の光像を同時に撮像する光観察装置に用いられる撮像装置であって、複数の画素を含む画素列が複数並んで構成された第1の画素列群と、第1の画素列群に隣り合い、複数の画素を含む画素列が複数並んで構成された第2の画素列群と、第1の画素列群からの信号読み出しを処理する第1の信号読み出し回路と、第2の画素列群からの信号読み出しを第1の信号読み出し回路とは独立に処理する第2の信号読み出し回路と、を備え、第1の信号読み出し回路は、第1の画素列群における信号読み出しをローリング読み出しにより処理し、かつ、ローリング読み出しの方向が複数の画素列の並列方向における一方向となるように設定し、第2の信号読み出し回路は、第2の画素列群における信号読み出しをローリング読み出しにより処理し、かつ、ローリング読み出しの方向が複数の画素列の並列方向における一方向となるように設定する。
かかる撮像装置によれば、対象物の観察光から分割された第1の光を基に形成された第1の光像が、撮像装置の第1の領域に含まれる第1の画素列群によって受光可能にされる。それと同時に、対象物の観察光から分割された第2の光を基に形成された第2の光像が、撮像装置の第2の領域に含まれる第2の画素列群によって受光可能にされる。そして、第1及び第2の光像の検出信号は、それぞれ、第1及び第2の信号読み出し回路によって、第1及び第2の画素列群から独立にローリング読み出しされ、第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と第2の画素列におけるローリング読み出しの方向が同一にされる。これにより、第1の光像の検出像と第2の光像の検出像との間で対象物の同一部位での露光タイミングが揃いやすいので、2つの光像の各部位の露光条件を均一化することができる。その結果、2つの光像の検出像を用いた比較観察を容易にすることができる。
ここで、前記第1及び第2の信号読み出し回路は、前記第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、前記第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、前記複数の画素列の並列方向において同一となるような第1の読み出しモードと、前記第1の画素列群におけるローリング読み出しの方向と、前記第2の画素列群におけるローリング読み出しの方向とが、前記複数の画素列の並列方向において逆方向となるような第2の読み出しモードとを切り替える、ことも好適である。かかる構成を採れば、撮像素子で同時に2つの光像を撮像する場合には第1の読み出しモードに切り替えることで、2つの光像の各部位の露光条件を均一化できる。その一方で、撮像素子で単一の光像を撮像する場合には第2の読み出しモードに切り替えることで、単一の光像の検出像における線状の明暗差の発生を防止できる。その結果、2つの光像を撮像する観察モードと単一の光像を撮像する観察モードで共用する場合であっても、光像の高精度での観察を可能にする。