JP2018036504A - 感光性樹脂組成物、パターン硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに電子デバイス - Google Patents

感光性樹脂組成物、パターン硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに電子デバイス Download PDF

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真吾 田原
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Abstract

【課題】微細なパターン形成が可能であり、さらにPCT試験後もシリコン及び銅に対して優れた接着性を有する感光性樹脂組成物、それを用いたパターン硬化膜及びその製造方法、該パターン硬化膜を層間絶縁層又は表面保護層として有する半導体素子、並びに該半導体素子を有する電子デバイスを提供すること。【解決手段】(A)ビスマレイミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤と、を含有する感光性樹脂組成物。【選択図】 図5

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、パターン硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに電子デバイスに関する。
近年、半導体素子の高集積化、小型化に伴い、半導体素子の表面保護層及び層間絶縁層を形成するための感光性樹脂組成物として、微細なパターン形成が可能であるものが求められている。また、感光性樹脂組成物とシリコン基板又は金属配線間での接着性が悪い場合、剥離に由来する断線、あるいはパッケージクラックが起こるため、シリコン基板及び銅等の金属配線との優れた接着性(密着性)を有する材料が求められている。これらの要求を満たすために、例えば特許文献1では、ビスマレイミド化合物をベース樹脂として用いたネガ型の感光性樹脂組成物が提案されている。
特開2013−83958号公報
ところで、半導体素子を有する電子デバイスは過酷な環境で用いられることがあり、この場合には高温高湿下での耐性試験、例えばプレッシャークッカー試験(PCT試験)後にもシリコン基板及び銅に対する優れた接着性が求められる。そこで、従来のビスマレイミド化合物をベース樹脂として用いたネガ型の感光性樹脂組成物についてPCT試験を行い、シリコン及び銅に対する接着性を評価したところ、銅に対しては接着性が良好であったが、シリコンに対しては接着性が低いことが分かった。
そこで本発明は、微細なパターン形成が可能であり、すなわち感度及び解像度が良好であり且つ現像残渣を十分に抑制することが可能であり、さらにPCT試験後もシリコン及び銅に対して優れた接着性を有する感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、該感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜及びその製造方法、該パターン硬化膜を層間絶縁層又は表面保護層として有する半導体素子、並びに該半導体素子を有する電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明は次のものに関する。
<1> (A)ビスマレイミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
<2> <1>に記載の感光性樹脂組成物のパターン硬化膜。
<3> <1>に記載の感光性樹脂組成物を基板の一部又は全面に塗布及び乾燥し樹脂膜を形成する工程と、樹脂膜の一部又は全面を露光する工程と、露光後の樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を形成する工程と、パターン樹脂膜を加熱する工程とを有する、パターン硬化膜の製造方法。
<4> <2>に記載のパターン硬化膜を、層間絶縁層として有する半導体素子。
<5> <2>に記載のパターン硬化膜を、表面保護層として有する半導体素子。
<6> <4>又は<5>に記載の半導体素子を有する電子デバイス。
本発明によれば、微細なパターン形成が可能であり、さらにPCT試験後もシリコン及び銅に対して優れた接着性を有する感光性樹脂組成物を提供することができる。また、該感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜及びその製造方法、該パターン硬化膜を層間絶縁層、表面保護層として有する半導体素子、並びに該半導体素子を有する電子デバイスを提供することができる。
半導体素子の製造工程の一実施形態を説明する(a)概略斜視図及び(b)概略端面図である。 半導体素子の製造工程の一実施形態を説明する(a)概略斜視図及び(b)概略端面図である。 半導体素子の製造工程の一実施形態を説明する(a)概略斜視図及び(b)概略端面図である。 半導体素子の製造工程の一実施形態を説明する(a)概略斜視図及び(b)概略端面図である。 半導体素子の製造工程の一実施形態を説明する(a)概略斜視図及び(b)概略端面図である。 半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。 半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また本明細書において「〜」を用いて数値範囲を表わす場合は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示すものとする。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、
(A)ビスマレイミド化合物と、
(B)光重合開始剤(光によりラジカルを生成する化合物)と、
(C)アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤と、
を含有する。
まず、感光性樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
<(A)成分;ビスマレイミド化合物>
本発明で用いるビスマレイミド化合物(ビスマレイミド樹脂)の製造方法は特に限定されない。例えば、酸二無水物とジアミン(例えば、長鎖ジアミン)を縮合してアミン末端化合物を生成した後、過剰の無水マレイン酸又はその誘導体と縮合することにより得られる。
酸二無水物としては、例えば、ポリブタジエン−グラフト−無水マレイン酸、ポリエチレン−グラフト−無水マレイン酸、ポリエチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ポリ無水マレイン酸−1−オクタデセン交互共重合体、ポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、無水ピロメリト酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2.2.2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタリックス無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビスフェノールA ジフタル酸無水物、5−(2,5−ジオキシテトラヒドロ)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン無水物、エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物)、ヒドロキノンジフタル酸無水物、アリルナディック酸無水物(allyl nadic anhydride)、2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,8−ナフタル酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、およびこれらの類似物があげられる。
ジアミンとしては、例えば、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ダイマージアミン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノメンタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、ジアミノマレオニトリル、1,3−ジアミノペンタン、9,10−ジアミノフェナントレン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸、3,7−ジアミノ−2−メトキシフルオレン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノアントラキノン、2,6−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,2−ジアミノアントラキノン、2,4−クメンジアミン、1,3−ビスアミノメチルベンゼン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2−クロロ−1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、4,4’−ジアミノ−2,2’―ビストリフルオロメチルビフェニル、ビス(アミノ−3−クロロフェニ)エタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルジアミノフルオレン、ジアミノ安息香酸、2,3−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノフェノール−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)メタン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、3,3’−ジアミノフェニルスルホン、2,2−ビス(4,(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’―オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−オキシジアニリン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(Bisaniline M)、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(Bisaniline P)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o‐トリジンスルホン、メチレンビス(アントラニル酸)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノベンザニリド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ポリオキシアルキレンジアミン類(たとえば、ハンツマン(Huntsman)社のJeffamineD−230、D400、D−2000およびD−4000)、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ(5.2.1.02,6)デカン、Preamine1074(クローダ社製)、Preamine1075(クローダ社製)、及びこれらの類似物が挙げられる。
無水マレイン酸又はその誘導体は、下記式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
Figure 2018036504
Figure 2018036504

[一般式(4)において、Rは、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
Figure 2018036504

[一般式(5)において、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
Figure 2018036504

[一般式(6)において、Rは、プロピレン基又はブチレン基を示す。]
また、市販されているビスマレイミド化合物(ビスマレイミド樹脂)を使用することもできる。市販されているビスマレイミド樹脂の例としてはデジグナーモレキュールズインコーポレイテッド社製のビスマレイミド樹脂が挙げられ、具体的には下記の式(II)で示されるBMI−1500、式(III)で示されるBMI−1700及び式(IV)で示されるBMI−3000、BMI−5000、BMI−9000等が挙げられる。
Figure 2018036504

式(II)中:nは1から10の整数である。
Figure 2018036504

式(III)中:nは1から10の整数である。
Figure 2018036504

式(IV)中:nは1から10の整数である。
式(IV)で示されるBMI−3000を用いる場合、感度及び現像後の開口パターンの形状の観点から、重量平均分子量は1,000〜30,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。
<(B)成分;光重合開始剤>
(B)光重合開始剤としては、使用する露光機の光波長と、機能発現に必要な波長とが合うものを選択すれば、特に制限はないが、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物が挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
これらの中でも、現像後残膜率やパターン形成性の観点から、オキシムエステル化合物が好ましい。オキシムエステル化合物としては、(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]や、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。
<(C)成分;アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤>
(C)成分のシランカップリング剤は、基板や金属配線との接着性を向上させる目的で加える。シリコンとの接着性を向上させるには、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含むシランカップリング剤とする。
さらに、(C)アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基が4個未満であることが好ましく、一分子中にケイ素原子を1つ有するものであることも好ましい。
(C)成分のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等がある。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、シクロペンタノン等の溶剤を用いて現像することが可能である。さらに、上述の本実施形態の感光性樹脂組成物を用いることにより、充分に高い感度及び解像度で、加熱硬化後も低応力で基板のそりが少なく、PCT試験後も良好な密着性及び熱衝撃性を有するパターン硬化膜を形成することが可能となる。
[パターン硬化膜及びパターン硬化膜の製造方法]
本発明のパターン硬化膜は感光性樹脂組成物を加熱することにより得られる。
次に、パターン硬化膜の製造方法について説明する。本実施形態のパターン硬化膜の製造方法は、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板の一部又は全面に塗布及び乾燥し樹脂膜を形成する工程(塗布・乾燥(成膜)工程)と、樹脂膜の一部又は全面を露光する工程(露光工程)と、露光後の樹脂膜を溶剤により現像してパターン樹脂膜を形成する工程(現像工程)と、パターン樹脂膜を加熱する工程(加熱処理工程)とを有する。以下、各工程について説明する。
<塗布・乾燥(成膜)工程>
まず、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して樹脂膜を形成する。この工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えば、TiO、SiO)、窒化ケイ素等の基板上に、本実施形態の感光性樹脂組成物を、スピンナー等を用いて回転塗布し、塗膜を形成する。塗膜の厚さに特に制限はないが、0.1〜40μmであることが好ましい。この塗膜が形成された基板をホットプレート、オーブン等を用いて乾燥する。乾燥温度や乾燥時間に特に制限はないが80〜140℃で、1〜7分行なうことが好ましい。これにより、基板上に感光性樹脂膜が形成される。感光性樹脂膜の厚さに特に制限はないが、0.1〜40μmであることが好ましい。
<露光工程>
次に、露光工程では、基板上に形成した感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。なお、露光後、必要に応じて、パターン形成性を向上させる観点から露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱を行なう場合の温度は70〜140℃、露光後加熱の時間は1〜5分が好ましい。
<現像工程>
現像工程では、露光工程後の樹脂膜の未露光部を現像液で除去することにより、樹脂膜がパターン化され、パターン樹脂膜が得られる。現像液を用いて現像を行なう方法としては、例えば、現像液をシャワー現像、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像等の方法により感光性樹脂膜上に配し、18〜40℃の条件下、30〜360秒間放置する。放置後、スピン乾燥を行うことでパターン樹脂膜を洗浄する。
<加熱処理工程>
次いで、加熱処理工程では、パターン樹脂膜を加熱処理することにより、パターン硬化膜を形成することができる。加熱処理工程における加熱温度は、半導体装置に対する熱によるダメージを充分に防止する点から、250℃以下が好ましく、225℃以下がより好ましく、140〜200℃であることがさらに好ましい。
加熱処理は、例えば、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行うことができる。また、大気中又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することもできるが、窒素下で行う方がパターンの酸化を防ぐことができるので望ましい。上述の好ましい加熱温度の範囲は従来の加熱温度よりも低いため、基板及び半導体装置へのダメージを小さく抑えることができる。従って、本実施形態のパターン硬化膜の製造方法を用いることによって、電子デバイスを歩留まり良く製造することができる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物によれば、感光性ポリイミド等に見られる加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。
加熱処理工程における加熱処理時間は、感光性樹脂組成物が硬化するのに充分な時間であればよいが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下が好ましい。
また、加熱処理は、上述のオーブンの他、マイクロ波硬化装置又は周波数可変マイクロ波硬化装置を用いて行うこともできる。これらの装置を用いることにより、基板及び半導体装置の温度を例えば200℃以下に保ったままで、感光性樹脂膜のみを効果的に加熱することが可能である(J.Photopolym.Sci.Technol.,18,327−332(2005)参照)。
上述の本実施形態のパターン硬化膜の製造方法によれば、充分に高い感度及び解像度で加熱硬化後も低応力で基板のそりが少なく、PCT試験後も密着性及び熱衝撃性にも優れるパターン硬化膜が得られる。
[層間絶縁層、表面保護層]
本実施形態のパターン硬化膜の製造方法により得られたパターン硬化膜は、半導体素子の層間絶縁層又は表面保護層として用いることができる。
[半導体素子]
また、本実施形態の半導体素子は、本実施形態の層間絶縁層又は表面保護層を有する。
本実施形態の半導体素子に特に制限はないが、多層配線構造、再配線構造等を有する、メモリ、パッケージ等のことを指す。
ここで、半導体素子の製造工程の一例を図面に基づいて説明する。図1〜5は、多層配線構造を有する半導体素子の製造工程の一実施形態を示す概略斜視図及び概略端面図である。図1〜5中、(a)は概略斜視図であり、(b)は、それぞれ(a)におけるIb−Ib〜Vb−Vb端面を示す概略端面図である。
まず、図1に示す構造体100を準備する。構造体100は、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1と、回路素子が露出する所定のパターンを有し、半導体基板1を被覆するシリコン酸化膜等の保護膜2と、露出した回路素子上に形成された第1導体層3と、保護膜2及び第1導体層3上にスピンコート法等により成膜されたポリイミド樹脂等からなる層間絶縁層4とを備える。
次に、層間絶縁層4上に窓部6Aを有する感光性樹脂層5を形成することにより、図2に示す構造体200を得る。感光性樹脂層5は、例えば、塩化ゴム系、フェノールノボラック系、ポリヒドロキシスチレン系、ポリアクリル酸エステル系等の感光性樹脂を、スピンコート法により塗布することにより形成される。窓部6Aは、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁層4が露出するように形成される。
層間絶縁層4をエッチングして窓部6Bを形成した後に、感光性樹脂層5を除去し、図3に示す構造体300を得る。層間絶縁層4のエッチングには、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段を用いることができる。このエッチングにより、窓部6Aに対応する部分の層間絶縁層4が選択的に除去され、第1導体層3が露出するように窓部6Bが設けられた層間絶縁層4が得られる。次いで、窓部6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5を除去する。
さらに、窓部6Bに対応する部分に第2導体層7を形成し、図4に示す構造体400を得る。第2導体層7の形成には、公知の写真食刻技術を用いることができる。これにより、第2導体層7と第1導体層3との電気的接続が行われる。
最後に、層間絶縁層4及び第2導体層7上に表面保護層8を形成し、図5に示す半導体素子500を得る。本実施形態では、表面保護層8は次のようにして形成する。まず、上述の感光性樹脂組成物をスピンコート法により層間絶縁層4及び第2導体層7上に塗布し、乾燥して感光性樹脂膜を形成する。次に、所定部分に窓部6Cに対応するパターンを描いたマスクを介して光照射した後、未露光後の樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を形成する。その後、パターン樹脂膜を加熱により硬化することで、表面保護層8として用いられるパターン硬化膜が形成される。この表面保護層8は、第1導体層3及び第2導体層7を外部からの応力、α線等から保護するものであり、本実施形態の表面保護層8を用いた半導体素子500は信頼性に優れる。
なお、上述の実施形態では2層の配線構造を有する半導体素子の製造方法を示したが、3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上述の工程を繰り返して行い、各層を形成することができる。すなわち、層間絶縁層4を形成する各工程、及び表面保護層8を形成する各工程を繰り返すことによって、多層のパターンを形成することが可能である。また、上記例において、表面保護層8のみでなく、層間絶縁層4も本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成することが可能である。
本実施形態の電子デバイスは、上述のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護層、カバーコート層又は層間絶縁層を有するものに限られず、様々な構造をとることができる。
図6及び7は、再配線構造を有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。本実施形態の感光性樹脂組成物は、応力緩和性、接着性等にも優れるため、近年開発された図6〜7のような再配線構造を有する半導体素子において使用することができる。
図6は、半導体素子の一実施形態としての配線構造を示す概略断面図である。図6に示す半導体素子600は、シリコン基板23と、シリコン基板23の一方面側に設けられた層間絶縁層11と、層間絶縁層11上に形成された、パッド部15を含むパターンを有するAl配線層12と、パッド部15上に開口を形成しながら層間絶縁層11及びAl配線層12上に順次積層された絶縁層13(例えばP−SiN層)及び表面保護層14と、表面保護層14上で開口近傍に配された島状のコア18と、絶縁層13及び表面保護層14の開口内でパッド部15と接するとともにコア18の表面保護層14とは反対側の面に接するように表面保護層14上に延在する再配線層16とを備える。さらに、半導体素子600は、表面保護層14、コア18及び再配線層16を覆って形成され、コア18上の再配線層16の部分に開口が形成されているカバーコート層19と、カバーコート層19の開口においてバリアメタル20を間に挟んで再配線層16と接続された導電性ボール17と、導電性ボールを保持するカラー21と、導電性ボール17周囲のカバーコート層19上に設けられたアンダーフィル22とを備える。導電性ボール17は外部接続端子として用いられ、はんだ、金等から形成される。アンダーフィル22は、半導体素子600を実装する際に応力を緩和するために設けられている。
図7の半導体素子700においては、シリコン基板23上にAl配線層(図示せず)及びAl配線層のパッド部15が形成されており、その上部には絶縁層13が形成され、さらに素子の表面保護層14が形成されている。パッド部15上には、再配線層16が形成され、この再配線層16は、導電性ボール17との接続部24の上部まで伸びている。さらに、表面保護層14の上には、カバーコート層19が形成されている。再配線層16は、バリアメタル20を介して導電性ボール17に接続されている。
図6及び7の半導体素子において、感光性樹脂組成物は、層間絶縁層11及び表面保護層14ばかりではなく、カバーコート層19、コア18、カラー21、アンダーフィル22等を形成するための材料として使用することができる。本実施形態の感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜は、Al配線層12若しくは再配線層16等のメタル層又は封止材等との接着性に優れ、応力緩和効果も高いため、このパターン硬化膜を層間絶縁層11、表面保護層14、カバーコート層19、コア18、はんだ等のカラー21、フリップチップ等で用いられるアンダーフィル22等に用いた半導体素子は、極めて信頼性に優れるものとなる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、図6及び7における再配線層16を有する半導体素子の層間絶縁層11、表面保護層14及び/又はカバーコート層19に用いることが好適である。
層間絶縁層11、表面保護層14及び上記カバーコート層19の膜厚は、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。
[電子デバイス]
本実施形態の電子デバイスは、本実施形態の半導体素子を有する。電子デバイスとは、上述の半導体素子を含むものであり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、パソコン及びハードディスクサスペンションが挙げられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施例で用いた材料について以下に示す。
[(A)成分;ビスマレイミド化合物]
A:式(IV)で示されるBMI−3000(CAS No.921213−77−6)
[(B)成分;光重合開始剤]
B1:(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]
B2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
[(C)成分;シランカップリング剤]
C1:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業株式会社製)
C2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業株式会社製)
C3:ポリマー型多官能エポキシシランカップリング剤(商品名:X−12−984S、信越化学工業株式会社製)
C4:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学工業株式会社製)
C5:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−573、信越化学工業株式会社製)
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
表1に示した配合量の(A)〜(C)成分、溶剤としてテトラリン50質量部を配合し、実施例1〜3及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を調製した。
<感光性樹脂組成物の評価>
実施例1〜3及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物について、以下に示す評価を行った。その結果を表1にまとめて示した。
(残膜率、感度、解像度、現像残渣)
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で4分間加熱し、膜厚11〜13μmの塗膜を形成した。次いで、i線ステッパー(キヤノン株式会社製、商品名「FPA−3000iW」)を用いて、縦1μm、横1μmから縦100μm、横100μmまでの正方形ホールパターンを有するマスクを介してi線(365nm)で縮小投影露光した。露光量は、100〜1380mJ/cmまで20mJ/cmずつ変えながら行った。露光後、シクロペンタノンを用いて現像した。感度は、残膜率が一定になり始める露光量とした。なお、残膜率は、下式により算出した。
残膜率(%)=(現像後の塗膜の膜厚/現像前の塗膜の膜厚)×100
表1の残膜率は表1に記載した感度での残膜率である。
また、開口している正方形ホールパターンのうち最小の開口幅を解像度の指標とした。なお、感度及び解像度は、小さい程良好である。結果を表1に示した。
さらに、現像後のパターンを顕微鏡で観察した際に、パターン開口部の全体もしくは一部分に残渣が見られたものに関しては、現像残渣の項目で×と評価した。残渣が無いものは○とした。
その後、レジストパターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で2時間加熱処理(硬化)した。
(PCT試験後接着性)
実施例1〜3及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物をシリコン基板、銅板上に、それぞれスピンコートして、120℃で4分間加熱し、膜厚約11〜12μmの樹脂膜を形成した。この樹脂膜を、縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用いて、窒素中、温度180℃(昇温時間1.5時間)で2時間、塗膜を加熱処理(硬化)し、膜厚約10μmの硬化膜を得た。その後、得られた硬化膜をウエハごと株式会社平山製作所製プレッシャークッカー試験機に投入して120℃、2気圧、100%RHの高温高湿条件下に置き、96時間後に取り出した。そして硬化膜にクロスカットガイド(コーテック株式会社製)を用いてカミソリで縦10個、横10個の碁盤目の切り込みを入れて、硬化膜を100個の小片に分割した。そこに粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けた後、剥離した。粘着テープを剥離する際に、基板から剥離した小片の有無により、接着性を下記のように評価した。
○:剥離なし
×:剥離あり
Figure 2018036504
比較例1及び2は感光特性が良好で銅に対する接着性も良いが、シリコンに対して接着性が不十分である。比較例3はシリコン及び銅に対する接着性は良いが、現像後、パターン開口部に残渣が見られた。比較例4はシリコン、銅に対する接着性は良いが、現像を行った際に露光部の塗膜が残らず、レジストパターンが得られない。一方、C1を含む実施例1〜3の感光性樹脂組成物は、感光特性が良く、シリコン及び銅のどちらに対しても高い接着性を有する。
1…半導体基板、2…保護膜、3…第1導体層、4…層間絶縁層、5…感光性樹脂層、6A,6B,6C…窓部、7…第2導体層、8…表面保護層、11…層間絶縁層、12…Al配線層、13…絶縁層、14…表面保護層、15…パッド部、16…再配線層、17…導電性ボール、18…コア、19…カバーコート層、20…バリアメタル、21…カラー、22…アンダーフィル、23…シリコン基板、24…接続部、100,200,300,400…構造体、500,600,700…半導体素子。

Claims (6)

  1. (A)ビスマレイミド化合物と、
    (B)光重合開始剤と、
    (C)アクリロイル基又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤と、
    を含有する感光性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物のパターン硬化膜。
  3. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物を基板の一部又は全面に塗布及び乾燥し樹脂膜を形成する工程と、樹脂膜の一部又は全面を露光する工程と、露光後の樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を形成する工程と、パターン樹脂膜を加熱する工程とを有する、パターン硬化膜の製造方法。
  4. 請求項2に記載のパターン硬化膜を、層間絶縁層として有する半導体素子。
  5. 請求項2に記載のパターン硬化膜を、表面保護層として有する半導体素子。
  6. 請求項4又は5に記載の半導体素子を有する電子デバイス。
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