以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態では、本発明の一例の冷蔵庫を例に挙げて説明する。但し、本発明にかかる冷蔵庫は、この構成に限定はされない。
<冷蔵庫の全体構成>
まず、図1から図3を参照して、本実施の形態に係る冷蔵庫1の全体構成について説明する。なお、図1には、本実施の形態にかかる冷蔵庫1を正面から見た外観構成を示す。図2には、冷蔵庫1の冷蔵室4、小型冷凍室5、および製氷室6の内部の構成を示す。図3には、冷蔵庫1の背面側の下方に配置された冷却室20および機械室30の構成を示す。
冷蔵庫1は、断熱箱体2を含む。断熱箱体2は上部に冷蔵室4を備えている。冷蔵室4の下方に製氷室6および小型冷凍室5が左右に並んで配置されている。製氷室6および小型冷凍室5の下方には大型冷凍室7が配置され、大型冷凍室7の下方には野菜室8が配置されている。なお、これらの部屋の機能は、切換可能であることが好ましい。
冷蔵室4と製氷室6および小型冷凍室5とは断熱壁18(図3参照)によって仕切られている。また、大型冷凍室7と野菜室8とは断熱壁19(図3参照)によって仕切られている。断熱壁18、19の内部には、発泡スチロール等の断熱材が充填される。
冷蔵室4は貯蔵物を冷蔵保存し、前面を左右端でそれぞれ枢支される断熱材から構成される扉4L、4Rにより開閉される。冷蔵室4内には上から順に棚4b、4c、4d、4eが並設されている。棚4eの下方には正面から見て右側にチルド室11、左側に給水タンク12が設けられている。
小型冷凍室5、製氷室6、および大型冷凍室7は内部で連通している。小型冷凍室5および大型冷凍室7は、貯蔵物を冷凍保存する。製氷室6では、給水タンク12から供給された水から氷が製造され、かつ、製造された氷が保存される。小型冷凍室5の前面は、右端で枢支される断熱扉5aにより開閉され、製氷室6の前面は、左端で枢支される断熱扉6aにより開閉される。大型冷凍室7の前面は、引出式の断熱扉7aにより開閉される。
野菜室8は貯蔵物を冷蔵室4よりも高温の冷蔵温度で冷蔵保存し、野菜や果物などを収納する。野菜室8の前面は、引き出し式の断熱扉8aにより開閉される。
以上のように、本実施の形態に係る冷蔵庫1は、断熱箱体2の内部が区分けされて、各貯蔵空間が形成されている。なお、本明細書中では、冷蔵庫1において、各種扉が設けられている面を冷蔵庫1の前面または正面と呼び、該前面と対向している冷蔵庫1の面を背面と呼ぶ。
図3に示すように、小型冷凍室5、製氷室6、および大型冷凍室7の背面には、冷却室20が配置されている。冷却室20には、冷凍サイクルを構成する冷却器21などが配置されている。また、野菜室8の背面側には機械室30が設けられている。機械室30には、冷凍サイクルを構成する圧縮機31などが配されている。
冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機31、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器21が接続されて構成されている。冷凍サイクルの運転は、制御部(図示せず)によって制御される。
すなわち、制御部が圧縮機31を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、冷凍サイクル内を冷媒が流通する。具体的には、圧縮機31により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高温の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器21に送られる。冷却器21に流入する冷媒は冷却室20内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機31に送られる。このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器21と熱交換した気流によって冷気が生成される。
<冷却室内の構成>
冷却室20内には、冷却器21の上方に冷却ファン22が備えられている。冷却ファン22は、冷却室20と各貯蔵室との間で空気を循環させるために設けられている。すなわち、冷却ファン22は、冷凍サイクルの運転時(冷却運転時)などに冷却器21において生成された冷気を、図中矢印で示すように、各流路(例えば、冷気通路41)を経由して各貯蔵室へ送出するとともに、各貯蔵室に供給された冷気を、冷却室20内へ戻す。
なお、冷却室20と冷気通路41との間には、冷凍庫送りダンパ23が設けられている。冷凍庫送りダンパ23の開閉は、制御部によって制御される。具体的には、制御部は、各貯蔵室の設定温度および測定温度などに基づいて、冷凍庫送りダンパ23などの各ダンパの開閉を制御して、各貯蔵室内に冷気を供給するか否かを決定する。これにより、各貯蔵室が適切な温度に維持される。
また、冷却室20内には、冷却器21の下方に除霜ヒータ(ヒータ)24が設けられている。除霜ヒータ24の上方、すなわち、除霜ヒータ24と冷却器21との間には、ヒータカバー25が設けられている。除霜ヒータ24は、除霜運転時に電源が入り、冷却器21に付着した霜を溶解する。ヒータカバー25の詳細については、後述する。また、図3では図示を省略しているが、除霜ヒータ24と底面部52との間には、ドレン受トレイ53が配置されている(図4参照)。
さらに、冷却室20の底面部52には、開口部51が形成されている。開口部51は、ドレンパイプ(排出管)54と連結されている。ドレンパイプ54は、冷却室20と機械室30との間の断熱箱体2を貫通するように設けられている。ドレンパイプ54の下方、すなわち、圧縮機31の上方には、ドレン受皿55が配置されている。除霜運転時に生成されたドレン水は、冷却室20の底面部52に設けられた開口部51からドレンパイプ54をつたってドレン受皿55に排出される。
<ドレン水排出機構について>
続いて、除霜運転時に冷却室20内で生成されるドレン水を排出するためのより具体的な構成について説明する。図4には、冷却室20の底面部52周辺のより詳しい構成を示す。
ここでは先ず、冷却運転時に冷却器21に形成される霜について説明する。図4に示すように、冷却器21は、冷却管27と放熱フィン28とを有している。冷却管27は、冷媒配管を介して凝縮器および膨張器と接続されている。冷却管27の内部は、冷媒が通っている。放熱フィン28は、冷却管27の周囲に配置されている。放熱フィン28は、複数の板状の部材で構成されている。放熱フィン28は、熱伝導性の高い素材で形成されており、冷却管27内を通る冷媒の冷熱が放熱フィン28に伝達される。
冷蔵庫1内の冷凍サイクルが冷却運転を行っているときには、冷却管27に流入する冷媒は、冷却室20内を流通する空気との間で熱交換される。これにより、冷却室20内を流通する空気は冷却される。そして、冷却ファン22を運転させて冷却室20と各貯蔵室との間で空気を循環させることによって、各貯蔵室に冷気が送られる。
このようにして冷却室20と各貯蔵室との間で空気が循環されると、冷却室20内には、各貯蔵室から湿気を含んだ空気が入り込む。このような湿気を含んだ空気が冷却器21を通過すると、冷却器21(特に、放熱フィン28の表面)などには、空気中の水分が冷却されて形成される霜が付着する。冷却器21に霜が大量に付着すると、熱交換効率が低下するため望ましくない。
そこで、冷蔵庫1は、冷却室20内の霜および氷などを溶解するための除霜運転の機能を備えている。除霜運転は、例えば所定の周期で(例えば、圧縮機31の運転時間の積算値が10時間になる毎に)実行することができる。除霜運転が開始されると、除霜ヒータ24が稼働する。これにより、冷却室20内の温度が上昇するため、冷却室20内の霜および氷(例えば、冷却器21に付着した霜)などが溶解する。このような霜および氷などから生成される水は、ドレン水と呼ばれる。ドレン水は、冷却室20の底面部52の開口部51からドレンパイプ54を通ってドレン受皿55に導かれる。ドレン受皿55に貯水されたドレン水は圧縮機31の熱によって蒸発する。
以上のように、冷却室20の底面部52には、ドレン水を排出するための開口部51が形成されている。これにより、除霜運転時などに冷却室20内で生成されるドレン水などの液体を、開口部51を通して冷却室20の外へ排出することができる。ただし、このような開口部51が設けられていると、冷却室20内に機械室30などから、より温度の高い空気が流入する可能性がある。冷蔵庫1の冷却効率を高めるためには、通常の冷却運転時には、冷却室20の開口部51は閉じられた状態となっていることが好ましい。
そこで、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、例えば除霜運転時などの特定の期間以外の冷蔵庫1の運転中、冷却室20の開口部51は、ドレン水の一部が凍結して形成された氷(凍結物)Wiによって閉塞された状態となっている(図8参照)。これにより、冷却室20内にドレンパイプ54から暖かい空気が流入することを抑えることができる。
開口部51の氷Wiは、除霜運転時などに冷却室20内に付着していた霜などが溶解して生成されたドレン水から形成される。具体的には、氷Wiは、開口部51の外周および上部の少なくとも何れかと、開口部51の上方に位置するドレン受トレイ53との間に溜まったドレン水が、冷却室20内の温度が下がったときに凍結することで形成される。以下では、氷Wiを形成するための構成について説明する。
図4に示すように、冷却室20の下方には、除霜ヒータ24、ヒータカバー25、開口部51、底面部52(冷却室20の一部)、ドレン受トレイ(金属板)53、およびドレンパイプ54などが備えられている。
除霜ヒータ24は、例えば、ガラス管ヒータで構成される。ヒータカバー25は、アルミなどの熱伝導率の比較的高い金属板で形成されている。ヒータカバー25は、除霜運転時に除霜ヒータ24からの熱が伝わり、この熱を上方の冷却器21へ放射熱として伝達させる。ヒータカバー25が備えられていることで、除霜ヒータ24からの光および熱が冷却器21の放熱フィン28に直接当たらず、放熱フィン28を安全に温めることができる。また、ヒータカバー25が備えられていることで、冷却器21に付着した霜が溶解した際に、溶解して得られるドレン水が除霜ヒータ24にかかることを抑制することもできる。
開口部51は、底面部52の略中央部に形成されている。開口部51は、ドレンパイプ54と接続されている。
底面部52は、冷却室20の底面を構成する。底面部52を含む冷却室20の内壁は、樹脂で形成されている。底面部52は、例えば、断熱箱体2の外箱および内箱と同じ素材で形成することができる。図5は、冷却室20の底面部52の構成を示す斜視図である。図5では、開口部51の周辺の構成を主に示す。底面部52は、リブ(側壁部)52a、平坦部52b、および傾斜面52cなどを有している。
リブ52aは、開口部51の周囲に形成されている。リブ52aは、平坦部52b上から略垂直に立設した側壁である。リブ52aが形成されていることで、ドレンパイプ54へ排出されるドレン水の一部をせき止めることができる。これにより、除霜運転時に生成されるドレン水の全てをドレンパイプ54へ排出させずに、少量のドレン水を、開口部51の周辺に残すことができる。
平坦部52bは、開口部51の周囲に設けられた平らな面である。平坦部52bが形成されていることで、ドレン水の一部を開口部51の周囲に溜めやすくなる。なお、本発明の他の態様では、平坦部52bを設けない構成とすることも可能である。
傾斜面52cは、平坦部52bへ向かって下方に傾斜している面である。傾斜面52cが形成されていることで、冷却器21などから落ちたドレン水を、底面部52の中央部(すなわち、平坦部52b)へ向かって流すことができる。
ドレン受トレイ53は、底面部52と除霜ヒータ24との間に配置されている。ドレン受トレイ53は、アルミなどの熱伝導率の比較的高い金属板で形成されている。ドレン受トレイ53は、除霜運転時に除霜ヒータ24からの熱が伝わり、この熱を周囲へ放射熱として伝達させる。底面部52と除霜ヒータ24との間にドレン受トレイ53が備えられていることで、除霜ヒータ24からの光および熱が樹脂製の底面部52に直接当たらず、除霜運転時に底面部52上に形成された霜や氷などを安全に温めることができる。
図6は、ドレン受トレイ53の構成を示す斜視図である。図6では、上蓋部53bの周辺の構成を主に示す。図6に示すように、ドレン受トレイ53は、その中央部に設けられた上蓋部53bと、上蓋部53bの周囲に設けられた傾斜部53cとを有している。上蓋部53bは、平らな形状(すなわち、底面部52の平坦部52bと略平行な形状)となっている。本実施形態では、上蓋部53bは、上面視で(鉛直上方から見た場合に)略円形の形状を有しているが、本発明では、上蓋部53bの形状はこれに限定はされない。傾斜部53cは、上蓋部53bへ向かって下方に傾斜している。傾斜部53cの傾斜角度は、底面部52の傾斜面52cと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、上蓋部53bと傾斜部53cとの間には、排出口53aが形成されている。図6に示すように、本実施形態では、排出口53aは、円形状の上蓋部53bを取り囲むように2個形成されている。しかし、本発明ではこの構成に限定はされない。
排出口53aが設けられていることにより、除霜運転時などに冷却器21に付着した霜などが溶解して生成されたドレン水は、ドレン受トレイ53の傾斜部53cなどに落ちた後、傾斜部53cの傾斜に沿って中央の方へ流れる。そして、ドレン水は、排出口53aから下方の底面部52へ落ちる。
さらに、本実施形態では、上蓋部53bと排出口53aとの境界に、上蓋部53bから底面部52側へ延びる突起部53dが設けられている。本実施形態では、突起部53dは、2個形成されている。2個の突起部53dは、上蓋部53bの周囲の互いに対向する位置に配置されている。突起部53dは、底面部52と上蓋部53bとの距離を一定に保持するための空間保持部材としての役割を果たす。
ドレンパイプ54は、冷却室20と機械室30との間の断熱箱体2を貫通するように配置されている。ドレンパイプ54は、底面部52と同じ素材の樹脂管であってもよいし、金属管であってもよい。ドレンパイプ54は、底面部52に形成された開口部51と連結されている。
以上の構成により、除霜運転時には、冷却室20内で霜などが溶解して生成されたドレン水は、図4中に破線矢印で示すように、ドレン受トレイ53および底面部52の表面をつたって、開口部51からドレンパイプ54へ排出される。
続いて、冷却室20の底面部52およびドレン受トレイ53の位置関係について説明する。図7は、ドレン受トレイ53の上蓋部53bと、底面部52に形成されたリブ(側壁部)52aおよび開口部51との位置関係を示す模式図である。
図7に示すように、ドレン受トレイ53の上蓋部53bは、上面視において底面部52に形成された開口部51を覆うように配置される。ここで、上面視において開口部51を覆うとは、上蓋部53bの鉛直上方からの投影領域内に、開口部51の全領域が収まるような位置関係および大小関係で、開口部51および上蓋部53bが構成されていることをいう。
さらに、上蓋部53bが上面視において開口部51を覆っているとは、開口部51の内径D1よりも、上蓋部53bの径D2(例えば、一方の突起部53dから他方の突起部53dまでの距離)の方が大きくなっていることを意味する。
このように、上蓋部53bが上面視において開口部51を覆っていることで、底面部52に形成された開口部51の外周および上部の少なくとも何れかと、ドレン受トレイ53(具体的には上蓋部53b)との間に、ドレン水の一部を溜めることができる。
またこのとき、開口部51の周囲にリブ52aが形成されていることで、水(液体)の表面張力を利用して、開口部51の周囲および/または上方を覆うようにドレン水を保持することができる(図8参照)。図8には、図7に示す冷却室20の底面部周辺のA−A線部分の断面構成を示す。
この状態で、除霜運転が終了し、冷凍サイクルが運転を開始する(すなわち、冷却運転を開始する)と、冷却室20内の温度は低下し、例えば0℃を下回る。これにより、開口部51の周囲に保持されたドレン水は、冷却室20内の冷気によって凍結する。すなわち、開口部51の周囲に氷Wiが形成される。そして、開口部51は、氷Wiによって閉塞される。
また、冷却運転をある程度継続すると、冷却室20では、冷蔵庫1内を循環する空気に含まれる水分が冷やされることによって、冷却器21の放熱フィン28などに霜が付着する。そこで、冷蔵庫1内の制御部は、所定の周期で、あるいは、冷却器21に一定量の着霜があった場合などに除霜運転を実行する。上述したように、除霜運転時には除霜ヒータ24の電源が入る。除霜ヒータ24が運転を開始すると、冷却室20内の温度は、約10℃まで上昇する。これにより、冷却器21に付着した霜が溶解され、ドレン水が生成される。
図9には、除霜運転時における冷却室20内の底面部52周辺におけるドレン水Wの流れを破線の矢印で示す。図9は、図7に示す冷却室20の底面部周辺のB−B線部分の断面構成を示す。
放熱フィン28などからドレン受トレイ53へ落ちたドレン水Wは、ドレン受トレイ53の傾斜部53c上を下方に流れる。ドレン受トレイ53の傾斜部53c上を流れるドレン水Wは、排出口53aから底面部52へ落ちる。そして、最終的に、ドレン水Wの大部分は、リブ52aを乗り越えて開口部51からドレンパイプ54へ排出される。
このとき、ドレン水Wの一部は、表面張力によって開口部51の周囲に保持される(図8参照)。この開口部51の周囲に保持されたドレン水Wは、冷凍サイクルの運転によって冷却されて氷Wiとなり、開口部51を塞ぐ。これにより、冷却運転時に、冷却室20の開口部51を閉じた状態にすることができる。そのため、ドレンパイプ54から冷却室20内へ暖かい空気が流入することを抑えることができ、冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑えることができる。
以上のように、本実施形態にかかる底面部52およびドレン受トレイ53の構成によれば、除霜運転時には、冷却室20内で生成されたドレン水を適切に排出することができるとともに、冷却運転時には、開口部51の周囲に保持されるドレン水を凍結させることによって、開口部51を塞ぐことができる。したがって、特許文献1に開示された冷蔵庫における挿入部材のように、他の部品を追加することなく、既存の冷蔵庫に備えらえたドレン受トレイなどの部品を利用して、冷却運転時にドレンパイプ54の開口部を塞ぐことができる。
なお、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、開口部51の周囲にリブ52aが設けられていることで、リブ52aの周辺に溜まるドレン水などの液体の表面張力を高めることができる。これにより、開口部51の周囲にドレン水を保持しやすくなる。そのため、冷却運転時にドレン水を凍結させて得られる凍結物によって、開口部51をより良好に塞ぐことができる。
リブ(側壁部)52aの高さは、開口部51の周囲全体にわたって略一定となっていることが好ましい。これにより、リブ52aの外周側に溜まる水の表面張力を維持しやすくなる。さらに、リブ52aの周囲に平坦部52bが設けられていることで、開口部51の周囲にドレン水をより保持しやすくなる。
なお、本実施形態では、開口部51の形状は略円形となっているが、本発明ではこの構成に限定はされない。なお、開口部51の周囲に形成されるリブ52aは、開口部51の形状に合わせて形成されることが好ましい。これにより、開口部51の周囲にドレン水をより保持しやすくなる。
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、底面部52とドレン受トレイ53との距離を保持するための空間保持部材として、ドレン受トレイ53側に突起部53dが形成されている構成を説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定はされない。そこで、第2の実施形態では、冷却室の底面部側に空間保持部材が設けられている例について説明する。
図10には、第2の実施の形態にかかる冷蔵庫1の冷却室20の底面部152の構成を示す。図10では、開口部51の周辺の構成を主に示す。また、図11には、冷却室20の底面部152上に配置されるドレン受トレイ153の構成を示す。図11では、上蓋部53bの周辺の構成を主に示す。底面部152およびドレン受トレイ153以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できるため、これらの説明は省略する。
底面部152は、リブ(側壁部)52a、平坦部52b、傾斜面52c、および空間保持部材152dなどを有している。リブ(側壁部)52a、平坦部52b、および傾斜面52cについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
空間保持部材152dは、傾斜面52cの表面に配置されている。空間保持部材152dは別部品として取り付けてもよいし、底面部と一体部品としてもよい。空間保持部材152dの数は特に限定されないが、本実施形態では2個設けられている。空間保持部材152dは、傾斜面52cの対向する位置に配置されている。空間保持部材152dの形状は特に限定されないが、本実施形態では直方体形状を有している。
図11に示すように、ドレン受トレイ153は、その中央部に設けられた上蓋部53bと、上蓋部53bの周囲に設けられた傾斜部53cとを有している。また、上蓋部53bと傾斜部53cとの間には、排出口53aが形成されている。排出口53a、上蓋部53b、および傾斜部53cは、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。なお、ドレン受トレイ153には突起部53dが設けられていない点が、第1の実施形態とは異なっている。
空間保持部材152d上にドレン受トレイ153を配置することで、底面部152とドレン受トレイ153との距離を所望とする間隔に保持することができる。なお、底面部152とドレン受トレイ153との距離は、ドレン受トレイ153の上蓋部53bと底面部52の平坦部52bとの間に、表面張力によって適切な量のドレン水を保持することができる程度に設定するのがよい。例えば、空間保持部材152dの高さは、上蓋部53bと平坦部52bとの距離が3mm以上5mm以下となるような高さに設定することができる。
なお、第1の実施形態と同様に、ドレン受トレイ153の上蓋部53bは、上面視において底面部152に形成された開口部51を覆うように配置される。すなわち、開口部51の内径D1よりも、上蓋部53bの径D2の方が大きくなっている。
このように、上蓋部53bが上面視において開口部51を覆っていることで、底面部152に形成された開口部51の外周および上部の少なくとも何れかと、ドレン受トレイ153(具体的には上蓋部53b)との間に、ドレン水の一部を溜めることができる。
以上のように、本実施形態にかかる底面部152およびドレン受トレイ153の構成によれば、除霜運転時には、冷却室20内で生成されたドレン水を適切に排出することができるとともに、冷却運転時には、開口部51の周囲に保持されるドレン水を凍結させることによって、開口部51を塞ぐことができる。したがって、特許文献1に開示された冷蔵庫のように、冷蔵庫に備えらえたドレン受トレイなどの既存の部品を利用して、冷却運転時にドレンパイプ54の開口部を塞ぐことができる。
また、本実施形態では、空間保持部材152dは、底面部152に形成された開口部51からある程度の距離を有して配置されている。一例では、空間保持部材152dは、平坦部52b上でなく傾斜面52c上に配置されている。これにより、開口部51の周囲に溜まるドレン水の表面張力に与える影響が小さくなる。したがって、リブ52aの外周側に溜まる水の表面張力を維持しやすくなる。なお、本発明の一態様では、本実施形態で説明した空間保持部材152dに加えて、第1の実施形態で説明した、ドレン受トレイ53に設けられた突起部53dをさらに備えていてもよい。
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、底面部52とドレン受トレイ53との距離を保持するための空間保持部材として、ドレン受トレイ53側に突起部53dが形成されている構成を説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定はされない。そこで、第3の実施形態では、内側リブ52aの周囲に、空間保持部材として機能する外側リブ252d(第2の側壁部)が設けられている例について説明する。
図12には、第3の実施の形態にかかる冷蔵庫1の冷却室20の底面部252周辺の断面構成示す。図13には、ドレン受トレイ253の上蓋部253bと、底面部252に形成された内側リブ(側壁部)52a、外側リブ(第2の側壁部)252d、および開口部51との位置関係を示す模式図である。なお、図12は、図13に示す冷却室20の底面部周辺のC−C線部分の断面に相当する。底面部252およびドレン受トレイ253以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できるため、これらの説明は省略する。
底面部252は、内側リブ(側壁部)52a、平坦部52b、傾斜面52c、および外側リブ(第2の側壁部)252dなどを有している。内側リブ(側壁部)52aは、第1の実施形態のリブ52aと同様の構成が適用できる。また、平坦部52b、および傾斜面52cについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
外側リブ252dは、内側リブ52aの外周の一部に配置されている。図13に示すように、外側リブ252dは、内側リブ52aの外側を部分的に囲むように形成されている。本実施形態では、外側リブ252dは、内側リブ52aの外側に2個形成されている。なお、図12などに示すように、外側リブ252dの高さは、内側リブ52aの高さよりも高くなっている。本実施形態では、外側リブ252dは、ドレン受トレイ253の上蓋部253bの底面に達する高さを有している。これにより、内側リブ52aの外周の平坦部52bに一定量のドレン水を保持しやすくなる。そのため、冷却運転時に、開口部51の外周および上部の少なくとも何れかと、開口部51の上方に位置するドレン受トレイ53との間に、開口部51を塞ぐための氷Wiをより作りやすくなる。
上記のように、本実施形態では、外側リブ252dの高さは、比較的高くなっており、外側リブ252dの頭頂部は上蓋部253bと接触している。これにより、底面部252(特に、平坦部52b)と上蓋部253bとの距離を一定に保持することができる。すなわち、外側リブ252dは、空間保持部材としての役割を果たす。また、底面部252と上蓋部253bとの距離を3mm以上5mm以下とすると表面張力が高められ水を保持しやすくなる。外側リブ252dが形成されている領域以外の領域(例えば、図13のD−D線部分など)では、図14および図15に示すように、平坦部52bと上蓋部253bとの間に隙間が形成される。これにより、除霜運転時には、冷却室20内で生成されたドレン水を開口部51から適切に排出することができる。
また、図13に示すように、ドレン受トレイ253は、その中央部に設けられた上蓋部253bと、上蓋部253bの周囲に設けられた傾斜部53cとを有している。上蓋部253bは、平らな形状(すなわち、底面部252の平坦部52bと略平行な形状)となっている。傾斜部53cは、上蓋部253bへ向かって下方に傾斜している。傾斜部53cについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。なお、傾斜部53cと上蓋部253bとの間には隙間が形成されている。この隙間が、ドレン水を底面部252側へ落とすための排出口253aとなっている。
本実施形態では、図13に示すように、上蓋部253bは、上面から見たときに、略「H」字状を有するような形状をしているが、上蓋部253bの形状はこれに限定されない。上蓋部253bは、上面視において底面部252に形成された開口部51を覆うような位置および大きさで構成されていればよい。上蓋部253bは、例えば、排出口253aを形成するために、各傾斜部53cの中央部分に形成された開口部を橋渡しするような構成とすればよい。
図14には、除霜運転時における冷却室20内の底面部252周辺におけるドレン水Wの流れを破線の矢印で示す。図14は、図13に示す冷却室20の底面部周辺のD−D線部分の断面構成を示す。
放熱フィン28などからドレン受トレイ253へ落ちたドレン水Wは、ドレン受トレイ253の傾斜部53c上を下方に流れる。ドレン受トレイ253の傾斜部53c上を流れるドレン水Wは、排出口253aから底面部252へ落ちる。そして、最終的に、ドレン水Wの大部分は、内側リブ52aを乗り越えて開口部51からドレンパイプ54へ排出される。
このとき、ドレン水Wの一部は、表面張力によって開口部51の周囲に保持される(図15参照)。この開口部51の周囲に保持されたドレン水Wは、冷凍サイクルの運転によって冷却されて氷Wiとなり、開口部51を塞ぐ。これにより、冷却運転時に、冷却室20の開口部51を閉じた状態にすることができる。そのため、ドレンパイプ54から冷却室20内へ暖かい空気が流入することを抑えることができ、冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑えることができる。
以上のように、本実施形態にかかる底面部252およびドレン受トレイ253の構成によれば、除霜運転時には、冷却室20内で生成されたドレン水を適切に排出することができるとともに、冷却運転時には、開口部51の周囲に保持されるドレン水を凍結させることによって、開口部51を塞ぐことができる。したがって、特許文献1に開示された冷蔵庫のように、他の部品を追加することなく、冷却運転時にドレンパイプ54の開口部を塞ぐことができる。
なお、本実施形態では、外側リブ252dは、内側リブ52aの外側に2個形成されている。しかし、本発明では、外側リブ252dの個数は2個に限定されない。本発明の一態様では、第2の側壁部は、側壁部(内側リブ)の周囲を部分的に囲むように複数個設けられていることが好ましい。これにより、外側リブ252dの上に載置されるドレン受トレイ253を安定して配置することができる。
また、他の実施形態として、外側リブ252dが、内側リブ52aの外周全体を囲むように円形状に形成された構成も可能である。この場合には、外側リブ252dの高さは、部分的に異ならせてもよい。具体的には、図13に示すC−C線部分の断面では、図12に示すように、外側リブ252dの高さを比較的高くし、外側リブ252dの頭頂部を上蓋部253bと接触させる。これにより、底面部252(特に、平坦部52b)と上蓋部253bとの距離を一定に保持することができる。すなわち、外側リブ252dは、空間保持部材としての役割を果たす。一方、他の箇所では、外側リブ252dの高さを比較的小さくし、上蓋部253bとの間にある程度の隙間を形成することでドレン水の排水経路を確保することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。