JP2018035467A - インクジェット捺染方法、着色布の製造方法、インクジェットインク、インクカートリッジ、及び着色布 - Google Patents

インクジェット捺染方法、着色布の製造方法、インクジェットインク、インクカートリッジ、及び着色布 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な種類の布帛を染色することができ、画像堅牢性に優れたインクジェット捺染方法等を提供すること。【解決手段】工程(A)及び(B)、又は(C)を有し、更に熱処理工程を有するインクジェット捺染方法、着色布の製造方法、上記方法に用いるインクジェットインク、インクカートリッジ、及び着色布。(A)布帛にメラミン誘導体等を含む水性処理液を付与;(B)布帛に、染料ポリマーの水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与;(C)布帛に、メラミン誘導体等と染料ポリマーの水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染方法、着色布の製造方法、インクジェットインク、インクカートリッジ、及び着色布に関する。
従来より、布帛の着色に用いられる着色剤は染料又は顔料のいずれかであり、これらの着色剤を用いて、布帛を工業的に着色する方法として、スクリーン印刷法、ローラー印刷法、転写法、インクジェット法等が行われてきた。特に、インクジェット法は、他の方法に比べて版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成でき、更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、廃液が少ないなどの環境的な利点を有する優れた画像形成方法であるといえる。
たとえば特許文献1には、染料を水に溶解させてインクを調製し、インクジェット法で布帛を染色するインクジェット捺染が記載されている。
染料は分子1つ1つが繊維と相互作用することで繊維の内部まで入り込み繊維と一体化するため、染料で染色された布帛は、風合いが柔軟であり、衣料品として品質的に好まれている。一方で、染料を用いたインクジェット捺染は、にじみ防止(鮮明性向上)のために捺染糊を予め布帛に塗布しておく必要があることに加え、染色後、染料を固着するために着色した布帛をスチーム加熱し、その後、余剰の染料及び捺染糊を水洗又はソーピングなどの工程により洗浄する必要がある。このため、工程が煩雑で装置と手間がかかるし、廃水が生じる。
また、染料による着色では、繊維の種類によって、染料の種類を適切に選択して使用する必要がある。たとえば、綿、麻などのセルロース繊維には反応性染料、又は直接染料、羊毛又は絹などの動物性繊維には酸性染料、ナイロン繊維には酸性染料又は分散染料、ポリエステル繊維には分散染料、アクリル繊維にはカチオン染料などが使用されている。
上記した通常のインクジェット捺染における工程の煩雑さ、装置と手間がかかる問題、廃水の問題を改善した染色方法として、インクジェット昇華転写捺染方式が広く実用化されている(たとえば特許文献2参照)。インクジェット昇華転写捺染方式は、インクジェットプリンタを用いて捺染したい図柄を、分散染料を含有させた樹脂粒子を含むインクにより、転写紙上に印刷した後に、この転写紙とポリエステル布帛を重ね合わせ、加熱処理を行うことで、昇華性の染料を樹脂粒子からポリエステル布帛へと転移させる方式である。
しかしながら、この方式における染色の機構は、染料分子の熱拡散又は熱昇華、あるいは両者が混じり合った現象であるといわれており、その方式に起因して、使用される染料として分散染料の一種である昇華染料を使用するために、主としてポリエステル布帛の染色にしか対応していない。また使用済みの転写紙はリサイクル不能なため、産業廃棄物となる。
一方、顔料を用いたインクジェット法の着色方法も検討されている(たとえば特許文献3参照)。この方法では、顔料と分散剤としての界面活性剤を水中で混合した後、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などと共にアトライター又はミル機等で微分散したものが着色剤として用いられている。そして、この着色剤を、顔料固着用のエマルジョン樹脂を配合したレジューサーにより希釈し、顔料インクを調製し、インクジェット法により繊維に付着させ、加熱ローラーによって樹脂を融着させることで顔料を固着させる。
顔料による着色方法は、染料による着色方法と異なり、繊維種による着色剤の選定を必要とせず、また、複雑なスチーム加熱(蒸し)工程及び水洗工程が不要であり、極めて簡略的に繊維に着色し顔料を固着することができる。
しかしながら、顔料は色素の分子が集まった粒子の形態で繊維に付着する(乗っている)ものであり、着色布(着色した布帛)の洗濯堅牢性、摩擦堅牢性などの堅牢性を保持するために固着剤として大量のエマルジョン樹脂を用いなければならず、着色布の風合いが堅くなり、衣料品としての品質は染料で染色された着色布に劣るものである。また、エマルジョン樹脂が水分の揮発により乾燥してしまい、顔料インクが増粘し、インクジェットプリンタが目詰まりを起こすなどの現象が起こりやすく、作業性に劣る。
また、高分子樹脂と架橋剤を含む前処理剤で処理したポリエステル布帛に、インクジェット法にて分散染料を含むインクを付与することが特許文献4に記載されている。
特開2002−348502号公報 特開平10−58638号公報 特開2010−37700号公報 特開2009−249773号公報
以上のように、染料による着色は、着色布の品質(風合い、堅牢性)は優れているが、繊維種による染料の選定が必要であり、捺染糊の塗布及び水洗が必要であるなどの工程が煩雑である問題、設備が必要となる問題、廃水及び廃材など環境負荷の点で劣るなどの問題がある。一方、顔料による着色は、繊維種による染料の選定が不要で工程も簡便なものであるが、インクの増粘によるインクジェットプリンタの目詰まりなどの作業性等に問題を有しており、着色布の品質(風合い)に劣るものが多いという問題を抱えている。更に、顔料によって着色された着色布は耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性に劣るという問題もある。
また、特許文献4に記載のインクジェット捺染方法を用いた場合においても、ポリエステル布帛の染色にしか対応していないため適用できる繊維種が限られるという問題は依然として解決しない。
すなわち、本発明の課題は、様々な種類の布帛を染色することができ、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、環境負荷が少なく、作業性に問題がなく、得られる画像の鮮明性及び堅牢性(耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性)に優れ、かつ着色布の品質(風合い)に優れた、インクジェット捺染方法、及び着色布の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の課題は、様々な種類の布帛を染色することができ、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、環境負荷が少なく、作業性に問題がなく、鮮明性及び堅牢性(耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性)に優れた画像並びに品質(風合い)に優れた着色布を提供することができるインクジェットインク、インクジェットインクを充填したインクカートリッジ、及び着色布を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ね、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマーの水分散体を用いて、インクジェット法で布帛に印捺する方法により、様々な種類の布帛を染色することができ、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、環境負荷が少なく、作業性に問題がなく、優れた品質の着色布が得られることを見出した。
また、染料ポリマーに加え、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種(「(a)成分」とも呼ぶ)を併用することで、得られる画像の耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性などの堅牢性が著しく改善することを見出した。
上記方法により上記課題が解決できるメカニズムとして、詳細は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマーの水分散体は、染料ポリマーを水溶液ではなく水分散体としているため、顔料粒子と同様ににじみが起こらず、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、水洗工程も不要のため廃水が発生しない。また、布帛に直接印捺することができるため、転写紙などの廃棄物が発生しない。顔料インクのように固着剤としてのエマルジョン樹脂を用いないためインクの増粘がなく作業性に優れる。さらに、繊維種に関係なく繊維の表面を被覆するように染料ポリマーが分子レベルで繊維と一体化すると考えられる。このため、様々な種類の繊維からなる布帛を染色することができ、かつ優れた品質の着色布が得られるものと考えられる。
また、染料ポリマーに加え、(a)成分を併用すると、熱処理を行うことで、布帛の繊維の表面に三次元的に架橋された疎水性被膜が形成され、画像の水等に対する堅牢性が向上するものと考えられる。
なお、本発明において、インクジェットインクを、インクジェット法で布帛に「直接印捺する」とは、転写工程が不要であり、インクジェットインクが直接布帛に印捺されること、及び、捺染糊の塗布が不要でインクジェットインクが直接布帛に印捺されることの両方を指す。
本発明の課題は、具体的には下記の手段によって達成された。
<1>
下記工程(A)、(B)、及び(D)を含むインクジェット捺染方法。
工程(A):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種を含む水性処理液を付与する工程
工程(B):布帛に、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
<2>
下記工程(C)及び(D)を含むインクジェット捺染方法。
工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
<3>
上記工程(A)の上記水性処理液の付与が、コーティング法、パディング法、又はインクジェット法により行われる、<1>に記載のインクジェット捺染方法。
<4>
上記工程(D)の熱処理の温度が50℃以上250℃未満である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<5>
上記水分散体における上記染料ポリマー(P)が粒子状の染料ポリマーであり、上記粒子状の染料ポリマーの平均粒子径が、50〜500nmである<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<6>
上記染料ポリマー(P)の重量平均分子量が3,000〜200,000である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<7>
上記染料ポリマー(P)がメチロール基と反応する基を有する<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<8>
上記水分散体が、更に、メチロール基と反応する基を有する、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を含む<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<9>
上記染料ポリマー(P)が、カルボキシル基を有する<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<10>
上記工程(A)の上記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の含有量が、上記水性処理液全量に対して、0.05〜10質量%である<1>又は<3>に記載のインクジェット捺染方法。
<11>
上記工程(C)の上記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の含有量が、上記インクジェットインク全量に対して、0.05〜10質量%である<2>に記載のインクジェット捺染方法。
<12>
上記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種が、メチロールメラミン又はメチロールメラミン誘導体である<1>〜<11>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<13>
下記工程(A)、(B)、及び(D)を含む着色布の製造方法。
工程(A):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種を含む水性処理液を付与する工程
工程(B):布帛に、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
<14>
下記工程(C)及び(D)を含む着色布の製造方法。
工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
<15>
メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインク。
<16>
捺染用である、<15>に記載のインクジェットインク。
<17>
<15>又は<16>に記載のインクジェットインクを充填したインクカートリッジ。
<18>
布帛の少なくとも一部の表面に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の硬化物と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)とを含む画像を有する着色布。
本発明によれば、様々な種類の布帛を染色することができ、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、環境負荷が少なく、作業性に問題がなく、得られる画像の鮮明性及び堅牢性(耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性)に優れ、かつ着色布の品質(風合い)に優れた、インクジェット捺染方法、及び着色布の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、様々な種類の布帛を染色することができ、捺染糊の塗布及び水洗が不要であり、環境負荷が少なく、作業性に問題がなく、鮮明性及び堅牢性(耐洗濯性、耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性)に優れた画像並びに品質(風合い)に優れた着色布を提供することができるインクジェットインク、インクジェットインクを充填したインクカートリッジ、及び着色布を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの少なくとも一種を表す。
〔インクジェット捺染方法〕
本発明のインクジェット捺染方法は、
下記工程(A)、(B)、及び(D)を含むインクジェット捺染方法(第一の態様)、又は、下記工程(C)及び(D)を含むインクジェット捺染方法(第二の態様)である。
[第一の態様]
工程(A):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種を含む水性処理液を付与する工程
工程(B):布帛に、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
[第二の態様]
工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
工程(D):熱処理工程
<工程(A)>
第一の態様の工程(A)は、布帛に、(a)成分を含む水性処理液を付与する工程である。
(a)成分を含む水性処理液の付与方法としては、特に限定されるものではないが、コーティング法、パディング法、インクジェット法、電着塗装法、静電塗装法などが挙げられ、簡便性の観点から、コーティング法、パディング法又はインクジェット法であることが好ましい。
なお、コーティング法とは、刷毛、バーコーター、スプレー、エアレススプレー、ゴムローラーなどを用いて、基材に所望量の処理液を塗布する手法であり、パディング法とは、処理液を含むパディング浴に基材を浸漬させた後、処理液を含んだ基材をローラー等で絞ることで、処理液の付与量を調節する手法である。インクジェット法は、処理液をインクカートリッジに充填し、インクジェット用プリンタを用いて、基材に処理液を付与する手法である。
工程(A)において、(a)成分を含む水性処理液は、(a)成分の固形分として、布帛に対して1〜20g/mの量を付与することが好ましく、2〜15g/mの量を付与することが好ましく、3〜10g/mの量を付与することが特に好ましい。(a)成分の付与量が1g/m以上であると本発明の効果が十分に発揮でき、また20g/m以下であると本発明の効果を十分に発揮しつつ、布帛の風合いが優れるため好ましい。
<工程(B)>
第一の態様の工程(B)は、布帛に、染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程である。
第一の態様において、工程(A)及び工程(B)を行う順番は特に限定されず、工程(A)を先に行い、工程(B)を後に行ってもよいし、工程(B)を先に行い、工程(A)を後に行ってもよいし、工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。
<工程(C)>
第二の態様の工程(C)は、布帛に、(a)成分と、染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程である。
第一の態様の工程(A)又は工程(B)の後、第二の態様の工程(C)の後に、必要により布帛の乾燥工程を設けてもよい。乾燥温度は10〜100℃が好ましく、15〜80℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。乾燥時間として好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは2〜18時間であり、特に好ましくは2〜12時間である。乾燥工程を設けることによって印刷画像の鮮鋭性(シャープネス)に優れるために好ましい。
<工程(D)>
第一の態様及び第二の態様の工程(D)は熱処理工程である。第一の態様の工程(A)及び工程(B)の後、第二の態様の工程(C)の後に、工程(D)を行うことが好ましい。
工程(D)における熱処理の温度としては、50℃以上250℃未満であることが好ましく、60〜200℃であることがより好ましく、80〜180℃であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、本発明の効果を十分に発揮しやすくなる。また、熱処理の時間としては、15〜360秒が好ましく、30〜180秒がより好ましい。この範囲にすることで、本発明の効果を十分にかつ安定に発揮できる。熱処理時間が360秒以下であれば布帛へのダメージが少なく、布帛の風合いが良好になり、熱処理時間が15秒以上であれば十分に(a)成分が反応することで本発明の効果を発揮しやすい。
工程(D)により、(a)成分のメチロール基が反応し、(a)成分を介して、布帛の繊維と染料ポリマー(P)、又は染料ポリマー(P)同士が架橋する。これによって、印捺された着色画像が硬膜化し、疎水性の被膜が形成され、染料ポリマー(P)が繊維とより一体化し、風合いを損ねることなく、布帛に付された画像の耐洗濯性、耐摩擦性、耐汗性、耐ドライクリーニング性などを更に付与できるという効果を奏する。
<後処理>
第一の態様及び第二の態様のインクジェット捺染方法により着色した布帛(着色布)は、風合いの柔軟性及び堅牢性に優れるが、必要に応じて、着色布に後処理剤を全面にパディング処理することで、風合いの柔軟性及び堅牢性(特に耐摩擦性)が、更に向上した着色布を得ることができる。柔軟化を目的とした後処理剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、ジメチルシリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、ヒドロキシ変性シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸アマイド、鉱物油、植物油、動物油、可塑剤などが挙げられる。
また、着色布表面のスベリ性を向上させる目的の後処理剤としては、金属石鹸、パラフィンワックス、カルナバワックス、マイクロスタリンワックス、ジメチルシリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、ヒドロキシ変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
パディング処理は、これらの後処理剤を水溶媒にミキサー攪拌により乳化、熱乳化、又は分散したものに、着色布を浸漬しマングル等で絞り乾燥、熱処理を加えて処理する。
また、後処理剤中に固着剤として樹脂エマルジョンを少量配合することにより、着色布の耐摩擦性を向上させることができる。後処理剤に対しての配合量は5%未満が好ましく、これにより着色布の風合いの柔らかさが損なわれにくいため好ましい。
後処理剤に固着剤として配合する樹脂エマルジョンとしては、特に限定するものではないが、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)エマルジョン、シリコーン/アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョンなどを用いることができ、着色布の風合いを柔らかくするために、これ等の樹脂エマルジョンのガラス転移点が0℃以下であることが好ましい。
インクジェット捺染方法としては、インク経時安定性の観点から、第一の態様が特に好ましい。
以下、本発明に用いる各成分について詳しく説明する。
<(a)成分:メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種>
(a)成分は分子内にメチロール基を有することが好ましく、熱処理により硬化することが好ましい。
(a)成分は低分子化合物であっても、高分子化合物(樹脂)であってもよい。
≪メラミン誘導体≫
メラミン誘導体は、特に限定されないが、1種以上のアルデヒドと1回〜6回縮合され、そして少なくとも1種の脂肪族アルコールでエーテル化されたメラミン誘導体が好ましい。少なくとも1種のアルデヒドは、炭素数6〜14のアリールアルデヒド、例えば、2−ナフトアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、及び特にベンズアルデヒド、並びに下記の脂肪族アルデヒドから一般に選択される。
脂肪族アルデヒドの例としては、炭素数1〜10のアルキルアルデヒド[但し、炭素数1〜10のアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、から選択される]を挙げることができ、ホルムアルデヒドが最も好ましい。
脂肪族アルコールは、炭素数1〜10のアルカノール、特に1級の炭素数1〜10アルカノールであり、メタノール及びエタノールが最も好ましい。有用な脂肪族アルコールとして、さらに、多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、1分子当たり平均で(数平均)5〜50個のエチレンオキシドを有するポリエチレングリコール、1分子当たり平均で(数平均)4〜50個のプロピレンオキシドを有するポリプロピレングリコール、1分子当たり平均で(数平均)2〜50個のアルキレンオキシド(アルキレンオキシドはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選択される)を有するエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(ランダム、交互又はブロック状の構造を有していても良い)、及び分子量Mが150〜2500g/mol、好ましくは200〜300g/molのポリテトラヒドロフランを挙げることができる。
メラミン誘導体としては、例えば下記の一般式(a−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018035467
一般式(a−1)中、R11〜R16は各々独立に、水素原子、−(CHR18−O)17、−CH(OR17、又は、−CH−N(R17を表す。zは1〜10の数を表す。R17は水素原子、炭素数1〜12の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基、ヒドロキシアルキレン基、又はヒドロキシアルコキシアルキレン基を表す。R17が複数存在する場合、複数のR17はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R18は水素原子、炭素数6〜14のアリール基、又は炭素数1〜10の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基を表す。R18が複数存在する場合、複数のR18はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。なお、メラミン誘導体としてはR11〜R16のすべてが水素原子である場合はない。
17で表される炭素数1〜12の分岐状又は直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソへプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル及びn−ドデシルである。
17は、好ましくは炭素数1〜6の分岐状又は直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル又はsec−ヘキシルである。
17は、さらに好ましくは炭素数1〜4の分岐状又は直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルである。
17で表されるヒドロキシアルキレン基又はヒドロキシアルコキシアルキレン基は、例えば、下記一般式で表される。
Figure 2018035467
但し、上記一般式中、mは1〜20を表し、1〜10であることが好ましく、1〜5の整数であることが特に好ましい。
18は、水素原子、炭素数が6〜14のアリール基、又は炭素数が1〜10の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基を表し、R18が複数存在する場合、複数のR18はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
18で表される炭素数6〜14のアリール基としては、特にフェニル基であることが好ましい。
18で表される炭素数1〜10の分岐状又は直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、又はn−デシルである。
18は、好ましくは、水素原子又は炭素数が1〜6の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、又はsec−ヘキシルである。
18は、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルである。
18は水素原子であることが最も好ましい。
上記一般式(a−1)中のR11、R13及びR15は、それぞれ異なっていることが好ましい。
また、R11及びR12が水素原子であることが好ましく、R13及びR14がそれぞれCHOHであることが好ましい。更に、R11及びR12が水素原子であって、R13がCHOHであることが最も好ましい。
また、メラミン誘導体としては、メラミンと、脂肪族アルデヒド(例えばプロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド及び特にホルムアルデヒド)との反応により得られる化合物も好ましく挙げられる。メラミンと反応する脂肪族アルデヒドはメラミンに対して1.4〜2.8モル当量であることが好ましく、1.5〜2.6モル当量であることがより好ましい。用いられる脂肪族アルデヒドは1種でも2種以上でもよい。
また、メラミン誘導体として、メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応に続いて、2価以上の脂肪族多価アルコールとのエーテル化反応が行われることで得られる化合物も好ましい。エーテル化反応に用いられる脂肪族多価アルコールはメラミンに対して4.5〜15モル当量であることが好ましく、上限は10モル当量以下であることがより好ましく、6モル当量以下であることが更に好ましい。用いられる脂肪族多価アルコールは1種でも2種以上でもよい。
1種又は2種以上の脂肪族アルデヒドとの反応、或いはそのエーテル化のいずれも、化学量論的単一法で行われる必要はない。
上記メラミン誘導体は、慣用法で製造することができる。
メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応は、一例としては水溶液で行われ、好ましくは7〜10のpH値、さらに好ましくは8〜9のpH値で行われる。また、水を用いず、メラミンとアルデヒド、特にメラミンとパラホルムアルデヒドを混合し、2種の反応剤を相互に反応させることもできる。
メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応を、50〜105℃で行うことができ、好ましくは70〜90℃の温度で行う。
メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応を、大気圧下(1atm)で行うことができる。また、メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応を、1.01〜50バールの範囲、好ましくは10バール以下の圧力で行うこともできる。
1atmは101325Paである。
1バールは100000Paである。
メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応を、少なくとも一種の触媒、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの存在下に行うことができる。
脂肪族多価アルコールによるエーテル化を、水相にて、1〜6、好ましくは5〜5.5のpH値で行うことができる。所望のpH値は、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、硫酸、リン酸又は硝酸を添加することにより設定することができる。
脂肪族多価アルコールによるエーテル化を、20〜100℃、好ましくは30〜70℃の温度にて行うことができる。
脂肪族多価アルコールによるエーテル化を、大気圧下で行うことができる。また、脂肪族多価アルコールによるエーテル化を、1.01〜50バールの範囲の圧力で行うこともできる。
エーテル化が終了後、過剰の脂肪族アルデヒドを留去することができる。また過剰の脂肪族アルデヒドを留去しないで、過剰の脂肪族アルデヒドを、適当な試薬、例えば酸化剤(例、硝酸)を用いて反応平衡状態から除去することもできる。
メラミン誘導体を、メラミンと脂肪族アルデヒドとの反応と、脂肪族多価アルコールとのエーテル化との間において蒸留を行ってもよいし、蒸留を省略することもできる。
メラミン誘導体を単離、例えば使用される溶剤(例えば水)を蒸発させることにより単離することもできる。メラミン誘導体を単離する特に好適な方法は、噴霧乾燥である。
また、メラミン誘導体を単離せずに、懸濁液の形態、好ましくは水性懸濁液の形態で使用することもできる。
≪ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体≫
ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体とは、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素と、例えば、炭素数1〜4のアルカノールとのエーテル化生成物を示す。炭素数1〜4のアルカノールとしては、特に、メタノール又はエタノールが好ましい。また、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体としては、EP0923560に開示された架橋誘導体、及びWO98/29393に記載された混合アルキル化メチロール化4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オンが挙げられる。
ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体としては、例えば、下記の一般式(a−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018035467
一般式(a−2)中、R21〜R24は各々独立に水素原子、炭素数が1〜10の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。なお、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体としてはR21〜R24のすべてが水素原子である場合はない。
炭素数6〜14のアリール基としては、特にフェニル基であることが好ましい。
炭素数1〜10の分岐状又は直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、又はn−デシルである。
21〜R24は、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜6の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、又はsec−ヘキシルである。
21〜R24は、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルである。
<(a)成分を含む水性処理液>
(a)成分を含む水性処理液は、少なくとも上記(a)成分と水とを含むことが好ましい。
水を含むことにより、水性処理液中に含まれる各材料を均一に分散又は溶解することができ、また、水性処理液が付与される布帛の乾燥を速やかに行うことができる。さらに、揮発性有機化合物(VOC)の発生を防止することができるため、環境保全あるいは安全性の観点から有用である。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または、超純水等が挙げられる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、上記水性処理液を保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
水性処理液中の(a)成分の含有量は、水性処理液全量に対して、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。上記範囲とすることによって、(a)成分を含む水性処理液を布帛に付与する工程において、水性処理液を均一に付与できるようになる。
水性処理液中の水の含有量は、水性処理液全量に対して、20〜99.95質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが更に好ましい。
水性処理液は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、水性有機溶剤、保湿剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、還元防止剤、防腐剤および浸透剤等が挙げられる。
水性有機溶剤としては、後述の染料ポリマー(P)の水分散体に含み得る、[B]水性有機溶剤に記載の溶剤を挙げることができる。
保湿剤としては、例えば、ぺパリン、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、ポリグリセリン、尿素等が挙げられこれらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水性処理液が上記その他の成分を含む場合、水性処理液中における上記その他の成分の含有率は、50質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましい。
<染料ポリマー(P)>
本発明に用いられる染料ポリマー(P)は、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマーであり、任意の染料に由来する構造を繰り返し単位として含む色素多量体である。染料に由来する構造としては、カラーインデックスで分類されているような有機色素に由来する構造であり、例えば、アゾ(モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ)、スチルベン、カロテノイド、ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテン、アクリジン、キノリン、メチン、アニリン、インダミン、インドフェノール、アジン、オキサジン、チアジン、アントラキノン、インジゴ、キノフタロン、及びフタロシアニンなどが挙げられる。着色力の観点から、アゾ、スチルベン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテン、インドフェノール、キノフタロン、及びフタロシアニンなどを好ましく用いることができる。
染料ポリマー(P)としては、側鎖に染料に由来する構造を含むポリマーが特に好ましく用いられる。側鎖に染料に由来する構造を含むポリマーにおける主鎖を構成するポリマーとしては特に限定されないが、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、又はスチレンポリマーが好ましく用いられる。
染料ポリマー(P)において、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を導入する方法は任意であり、重合性の染料単量体を重合、又は共重合させて多量体を得てもよく、ポリマーを形成した後に、高分子反応などにより染料に由来する構造を導入してもよい。
染料ポリマー(P)は、染料に由来する構造を含む繰り返し単位として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含んでなる染料ポリマーであることが好ましい。
Figure 2018035467
一般式(1)中、Xは連結基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Dyeは染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。
一般式(1)中、Xは連結基を表す。Xは重合によって形成される連結基であることが好ましく、重合反応で形成される主鎖に相当する部分であることが好ましい。すなわち、Xはポリマー主鎖の部分構造であることが好ましい。Xは、置換もしくは無置換の不飽和エチレン基を重合して形成される連結基、環状エーテルを開環重合して形成される連結基等が挙げられ、好ましくは、不飽和エチレン基を重合して形成される連結基である。具体的には以下に示す連結基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、下記(X−1)〜(X−15)において*で示された部位でLと連結していることを表す。
Figure 2018035467
一般式(1)で表される繰り返し単位は、下記一般式(1−1)〜(1−7)のいずれかで表される繰り返し単位であることが好ましく、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
Figure 2018035467
一般式(1−1)〜(1−7)中、RX1〜RX21はそれぞれ水素原子又は置換基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Dyeは染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。
X1〜RX21が置換基を表す場合の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせてなる基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
X1、RX6、RX13、RX16、及びRX19は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、ヒドロキシメチル基、又はメチルオキシメチル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。
X2、RX3、RX4、RX5、RX7、RX8、RX9、RX10、RX11、RX12、RX14、RX15、RX17、RX18、RX20、及びRX21は水素原子又はカルボキシル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(1)、(1−1)〜(1−7)中、Lは単結合又は2価の連結基を表す。Lが2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、本発明の効果を奏しうる範囲であれば何ら限定されないが、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO−、及びこれらを2個以上連結して形成される連結基が好ましく用いられる。特に、下記一般式(2)〜(7)のいずれかで表される連結基が好ましく用いられる。
また、Lが2価の連結基を表す場合、2価の連結基は置換基(たとえば、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基など)を有していてもよい。
Figure 2018035467
一般式(2)、一般式(3)、及び一般式(4)中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは置換基を表す。kは0〜4の整数を表す。kが2以上のときは、Rは同じであっても異なっていてもよい。一般式(5)中、R51及びR52はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。tは1〜10の整数を表す。t個のR51及びR52はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。一般式(6)中、R61、R62、R63及びR64はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。u及びvはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。u個のR61及びR62はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。v個のR63及びR64はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。一般式(7)中、R71、R72及びR73はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。wは1〜10の整数を表す。w個のR71及びR72はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。*1は、一般式(1)におけるX又は一般式(1−1)〜(1−7)におけるポリマー主鎖の炭素原子又は窒素原子と結合する位置を表し、*2は、一般式(1)におけるDyeと結合する位置を表す。
がアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す場合のアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の例としては、後述する置換基群Aに記載されたアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基が挙げられる。
が表す置換基としては、後述する置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。
一般式(1)、(1−1)〜(1−7)中、Dyeは染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。Dyeは本発明の効果を奏する範囲であれば限定されないが、下記一般式(M1)〜(M4)のいずれかで表される染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表すことが更に好ましい。
Figure 2018035467
Figure 2018035467
Figure 2018035467
Figure 2018035467
一般式(M1)中、R101〜R110は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M2)中、R201〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X201は一価の陰イオンを表し、n201は0又は1を表す。
一般式(M3)中、R301〜R317は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X301は一価の陰イオンを表し、n301は0又は1を表す。
一般式(M4)中、R401〜R407は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M1)中のR101〜R110、一般式(M2)中のR201〜R215、一般式(M3)中のR301〜R317、及び一般式(M4)中のR401〜R407が置換基を表す場合の置換基としては、たとえば下記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
(置換基群A)
置換基群Aに含まれる置換基を以下に示す。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、又は環状のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)。
一般式(M1)中のR101〜R110、一般式(M2)中のR201〜R215、一般式(M3)中のR301〜R317、及び一般式(M4)中のR401〜R407が置換基を表す場合、その置換基は、さらに置換可能な基である場合には、置換基をさらに有していてもよく、その置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。また、一般式(M1)中のR101〜R110、一般式(M2)中のR201〜R215、一般式(M3)中のR301〜R317、及び一般式(M4)中のR401〜R407が置換基を表す場合、その置換基のうち少なくとも2つは、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、置換基をさらに有していてもよく、その置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(M1)におけるR101として、好ましくは水素原子、ヒドロキシル基であり、より好ましくはヒドロキシル基である。
一般式(M1)におけるR102として、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はカルボキシル基であり、特に好ましくは水素原子、臭素原子、カルボキシル基である。
一般式(M1)におけるR104として、好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素1〜20のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基である。
一般式(M1)におけるR108として、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、カルボキシル基、置換または無置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。
一般式(M1)におけるR103、R105、及びR106として、好ましくは各々独立に、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M1)におけるR107、R109、及びR110として、好ましくは各々独立に、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換または無置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子である。
一般式(M2)におけるR201、R205、R206、及びR210として、好ましくは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子である。
一般式(M2)におけるR202、及びR209として、好ましくは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基であり、より好ましくは、水素原子、スルホ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M2)におけるR203、R204、R207、及びR208として、好ましくは各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜18のアリール基であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基であり、特に好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数2〜12のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基である。
一般式(M2)におけるR211として、好ましくはカルボキシレート基(−CO )、スルホネート基(−SO )、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のスルファモイル基であり、より好ましくは、スルホネート基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のスルファモイル基であり、特に好ましくはスルホネート基、アルコキシカルボニル基である。
一般式(M2)におけるR212、R213、R214、及びR215として、好ましくは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、カルボキシル基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基、置換または無置換のアミノ基であり、より好ましくは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基、置換または無置換のアミノ基であり、特に好ましくは各々独立に水素原子、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基、置換または無置換のアミノ基である。
一般式(M2)におけるR214とR215は、互いに結合して環を形成することも好ましい。
一般式(M2)におけるX201として、好ましくは塩素イオン、アセテートイオン、トリフラートイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、パークロレートイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであり、より好ましくは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである。
一般式(M2)におけるn201として、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
一般式(M3)におけるR301、R302、R305、R306、R307、R308、R311、R312として、好ましくは各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M3)におけるR303、R304、R309、R310として、好ましくは各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基である。
一般式(M3)におけるR313として、好ましくはカルボキシレート基、スルホネート基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のスルファモイル基であり、より好ましくは、スルホネート基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のスルファモイル基であり、特に好ましくはスルホネート基、アルコキシカルボニル基である。
一般式(M3)におけるR314として、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M3)におけるR315として、好ましくは水素原子、置換または無置換のアミノ基、カルボキシル基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のスルファモイル基であり、特に好ましくは置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のスルファモイル基である。
一般式(M3)におけるR316、R317として、好ましくは各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M3)におけるR316とR317は、互いに結合して環を形成することも好ましい。
一般式(M3)におけるX301として、好ましくは塩素イオン、アセテートイオン、トリフラートイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、パークロレートイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであり、より好ましくは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである。
一般式(M3)におけるn301として、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
一般式(M4)におけるR401として、好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換または無置換のアシル基であり、より好ましくは置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基であり、特に好ましくは置換または無置換の炭素数1〜16のアルキル基である。
一般式(M4)におけるR402として、好ましくは水素原子、置換または無置換のアミノ基であり、より好ましくは置換または無置換のアミノ基であり、特に好ましくは置換または無置換のアシルアミノ基である。
一般式(M4)におけるR403、R406、R407として、好ましくは各々独立に、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、置換または無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(M4)におけるR404、R405として好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、特に好ましくは置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基である。
上記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(M3)及び一般式(M4)で表される染料の具体例を以下に示す。Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、i−Prはイソプロピル基を表す。
Figure 2018035467
Figure 2018035467
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上記一般式(M1)で表される染料、一般式(M2)で表される染料、一般式(M3)で表される染料、及び一般式(M4)で表される染料は従来公知の方法により合成することができる(例えば、特公平7−49583号公報、特公平5−5257号公報、特許5715380号、WO2010/110199、WO2015/016265など)。合成方法は具体的には実施例で例示する。
染料ポリマー(P)は、さらに、メチロール基と反応する基を有することが(a)成分との反応性の観点から好ましい。
メチロール基と反応する基としては、ヒドロキシル基を有する基、又はアミノ基を有する基が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシル基を有する基が好ましく、メチロール基、又はエチロール基がより好ましい。
(染料ポリマー(P)の分子量)
本発明では染料ポリマー(P)を水に分散した状態で用いるため、分散性に関して、染料ポリマー(P)には最適な分子量の範囲があり、その分子量の範囲の上限以下であれば分散体の再凝集が起きにくい。一方、最適な分子量の範囲の下限以上であれば水及び水性有機溶剤へ溶解しにくい。使用する染料ポリマー(P)の種類により異なるが、概ねその重量平均分子量が3,000〜2,000,000のものを用いるのが好ましく、3,000〜1,000,000のものを用いるのがより好ましく、3,000〜200,000のものを用いるのがさらに好ましい。
染料ポリマー(P)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定から算出できる。本明細書において、GPCは、特に断らない限り、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)で測定し、数平均分子量はポリスチレン換算により算出した。キャリアは適宜選定すればよいが、溶解可能であるかぎり、NMP(N−メチルピロリドン)を用いた。
(染料ポリマー(P)の構造)
染料ポリマー(P)は、必須の構造として、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有していればよいが、(a)成分との反応性の観点からメチロール基と反応する基を導入することが好ましい。また、水への分散性の観点から疎水基(電気的に中性の非極性基で水と親和性が低い基)、及びイオン性基(電気的にイオン性の極性基で、水との親和性が高い基)の少なくとも1種を含む繰り返し単位を導入することがより好ましい。染料ポリマー(P)の分子構造は、直鎖又は分岐したものいずれでもよく、ランダム、交互、周期、ブロックのいずれの構造でもよく、幹と枝の構造がデザインされたグラフトポリマーであってもよい。
染料ポリマー(P)の形成方法としては、いわゆる共重合などの方法が、設計の自由度の観点から好ましい。共重合成分としては以下のような疎水基含有単量体、陰イオン性基含有単量体、陽イオン性基含有単量体、その他の機能性単量体が挙げられる。
染料ポリマー(P)における染料に由来する構造を有する繰り返し単位の全繰り返し単位に対する含有率は、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは25〜90質量%であり、特に好ましくは50〜80質量%である。染料に由来する構造を有する繰り返し単位の含有率が10質量%以上であれば、単位質量当たりの着色力が向上し布帛への染色濃度が高くなる。また、90質量%以下であると、染料ポリマー合成時において分子量を適切な範囲に調整しやすい。
染料ポリマー(P)におけるメチロール基と反応する基は、染料に由来する構造を有する繰り返し単位に含まれていても、その他の繰り返し単位に含まれていてもよく、双方の繰り返し単位に含まれていてもよい。
染料ポリマー(P)におけるメチロール基と反応する基を有する繰り返し単位の全繰り返し単位に対する含有率は、0.1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜20質量%である。メチロール基と反応する基を有する繰り返し単位の全繰り返し単位に対する含有率を0.1質量%以上にすることによって、染料ポリマー(P)と(a)成分との相互作用(架橋反応)が十分となり、また、35質量%以下であるとインクの分散安定性が十分となる。
以下に染料ポリマー(P)に導入し得る、染料に由来する構造を有する繰り返し単位以外の繰返し単位について説明する。
〔疎水基含有単量体〕
疎水基含有単量体としては、例えば、スチレン系単量体、フェニル基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、アルキルビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル等のビニル単量体;ポリイソシアネートとポリオール又はポリアミン等から形成されるウレタン基含有ビニル単量体;エピクロルヒドリンとビスフェノール等から形成されるエポキシ基含有ビニル単量体;多価カルボン酸とポリアルコール等を単量体から形成されるエステル基含有ビニル単量体;オルガノポリシロキサン等から形成されるシリコーン基含有ビニル単量体などが挙げられる。
好ましくは、スチレン、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレートである。
次に、イオン性基には、陰イオン性基と陽イオン性基があるが、これらのイオン性基を与える単量体としては、以下のものがある。
〔陰イオン性基含有単量体〕
陰イオン性基含有単量体として、以下の不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体、不飽和リン酸単量体、又はこれらの無水物や塩等を用いることができる。不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル等またはそれらの無水物及び塩などが挙げられる。
好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸である。
不飽和スルホン酸単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルの硫酸エステル等、又はそれらの塩等が挙げられる。
不飽和リン酸単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)の燐酸エステル、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸類等が挙げられる。
好ましくはスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
〔陽イオン性基含有単量体〕
陽イオン性基含有単量体として、以下の、不飽和アミン含有単量体、不飽和アンモニウム塩含有単量体等を用いることができる。不飽和アミン含有単量体としては、例えば,ビニルアミン、アリルアミン、ビニルピリジン、メチルビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノスチレン、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有単量体としては、上記不飽和3級アミン含有単量体を4級化剤で4級化させたもの等が挙げられる。
〔その他の機能性単量体〕
上記の共重合法によるもの以外に、例えば、イオン性基を予め導入したウレタン形成基含有単量体をウレタン重合、又はイオン性基を予め導入したエポキシ形成基含有単量体をエポキシ重合するなどの方法も採用することができる。また、基幹の高分子を重合形成した後、目的のイオン性基を導入することで、本発明の染料ポリマー(P)を得ることもできる。なお、その他の成分を含有していてもよく、例えば、イオン性を伴わない、ヒドロキシル基やアミド基を持つポリエチレンオキサイド、ポリオールやヒドロキシアルキルエステル類含有単量体、アクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリレート、酢酸ビニル、ビニルアルコール、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン等を単量体として共重合させることもできる。
本発明で好ましく用いられる染料ポリマー(P)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。L中の*1はポリマー主鎖の炭素原子との結合位置を、*2はDyeとの結合位置をそれぞれ表し、Dye中の*3はLとの結合位置を表す。Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
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<染料ポリマー(P)の水分散体>
染料ポリマー(P)の水分散体は、少なくとも、水、及び[A]染料ポリマー(P)を含んでおり、好ましくは[B]水性有機溶剤を含有する。また、染料ポリマー(P)の水分散体の製造方法によっては、[C]低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を併用する場合と、併用しない場合(いわゆる自己分散)のいずれの形態であってもよい。
なお、上記[C]を併用する、染料ポリマー(P)の水分散体においては、[A]染料ポリマー(P)、及び[C]低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤のうちの少なくとも一方に、メチロール基と反応する基が存在することが、(a)成分との反応性の観点から好ましい。すなわち、上記水分散体が、メチロール基と反応する基を有する、低分子型界面活性剤若しくは高分子型分散剤を含むこと、又は、染料ポリマー(P)がメチロール基と反応する基を有することが好ましい。
[A]染料ポリマー(P)
本発明では、上述の染料ポリマー(P)を、水に溶解した状態ではなく、水に分散した状態(水分散体)として用いる。
水としては特に限定はなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または、超純水等を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることもできる。水としては超純水を用いることが好ましい。
(1−1)分散性
染料ポリマー(P)は、水分散時において、染料ポリマー(P)自体の性質として、又は併用する低分子型界面活性剤若しくは高分子型分散剤との吸着により、水となじみやすく(濡れやすく)、静電反発(斥力)や立体反発により染料ポリマーの微粒子の再凝集を防止し、沈降生成の抑制の機能を有する。
(1−2)平均粒子径
染料ポリマー(P)は水分散体中で粒子状になっていることが好ましい。染料ポリマー(P)の水分散体における粒子状の染料ポリマーの平均粒子径は50〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが特に好ましい。この範囲内であると、インクジェット法により布帛に直接印捺することができる。
本明細書における平均粒子径は、粒度分布測定装置(ナノトラックUPA EX150、日機装株式会社製、商品名)を用いて測定した値を用いた。
水分散体中の染料ポリマー(P)の含有量として、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは1〜30質量%であり、特に好ましくは3〜25質量%である。この範囲であるとインクジェットインクとしての貯蔵安定性を確保しつつ、印刷において高濃度の染色布を得ることができる。
水分散体中の水の含有量として、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは55〜90質量%であり、特に好ましくは60〜90質量%である。この範囲であると、水分散体の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができる。なお、水分散体の安定性とは沈降などが起こりにくいことを示す。
[B]水性有機溶剤
水性有機溶剤としては、25℃における水溶解度として10g/100g−HO以上であるものが好ましく、20g/100g−HOであるものがより好ましく、水と任意の割合で混和するものが特に好ましい。水性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、ニトリル系溶剤が挙げられる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオグルコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニトリルなどが挙げられる。好ましくはトリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテルであり、より好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、エチレングリコールモノブチルエーテルであり、特に好ましくはエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドンである。
水分散体中の水性有機溶剤の含有量として、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、特に好ましくは、10〜30質量%である。この範囲であると、水分散体の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができる。
[C]低分子界面活性剤又は高分子型分散剤
低分子界面活性剤又は高分子型分散剤としては、好ましくは、疎水基とイオン性基を有する低分子界面活性剤又は高分子型分散剤であり、以下の特性を有することが好ましい。
(2−1)分散性
低分子界面活性剤又は高分子型分散剤は、染料ポリマー(P)を分散させる際に添加されることで、低分子界面活性剤又は高分子型分散剤が染料ポリマー表面に吸着し水となじませ(濡れさせる)、機械的作用により摩砕させた染料ポリマー微粒子を静電反発(斥力)や立体反発により微粒子の再凝集を防止し、沈降生成の抑制の機能を有する。
(2−2)分子量
高分子型分散剤の場合には、染料ポリマー(P)に対して、分散効果の最適な分子量があり、その分子量を超えて大きくなると染料ポリマーと染料ポリマーの間での橋渡しを引き起こし染料ポリマーの凝集を招く。一方、最適な分子量よりも小さいと染料ポリマーからの脱着が起こりやすく分散剤としての効果が小さくなる。また、分子量が小さくなると架橋させた後の固着剤としての効果が弱くなる。従って、高分子型分散剤としては、重量平均分子量が2,000〜50,000のものを用いるのがよい。高分子型分散剤の重量平均分子量は染料ポリマーの重量平均分子量と同様の方法で測定される。
(2−3)構造及び形態
低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤は、疎水基(電気的に中性の非極性基で水と親和性が低い基)とイオン性基(電気的にイオン性の極性基で、水との親和性が高い基)を有することが好ましい。その構造は、直鎖又は分岐したものいずれでもよい。高分子型界面活性剤の場合はランダム、交互、周期、ブロックのいずれの構造でもよく、幹と枝の構造がデザインされたグラフトポリマーであってもよい。
上記構造を有する低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤は、更にメチロール基と反応する基を有することも好ましい。低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤中のメチロール基と反応する基は、上記(a)成分と相互作用(架橋反応)を起こし、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を介した、染料ポリマー(P)と(a)成分との相互作用が可能となる。
メチロール基と反応する基としては、ヒドロキシル基、メチロール基、又はアミノ基が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシル基又はメチロール基が好ましく、メチロール基がより好ましい。
低分子界面活性剤、及び高分子型分散剤は、水又は水性有機溶剤に配合した状態が、水溶液、ディスパージョン、エマルジョンのいずれの形態でも用いることができる。
(2−4)形成法及び入手方法
低分子界面活性剤は例えば以下のようなものを用いることができる。
陽イオン性界面活性剤として、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、及びイミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤として、例えば、脂肪酸石鹸(たとえばオレイン酸ナトリウムなど)、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、及びアルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤として、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、及びイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型も好適な例として挙げられる。
非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びアセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好適な例として挙げられる。その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
低分子界面活性剤の含有量は、水分散体の全質量に対して、0.001〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で水分散体の表面張力を任意に調整することが好ましい。
高分子型分散剤は、疎水基含有単量体とイオン性基含有単量体とを共重合させることにより製造できる。なお、それぞれの単量体は一種類のみでも、又は二種類以上用いてもよい。上記の疎水基含有単量体及びイオン性基含有単量体としては、前述の染料ポリマー(P)の共重合成分の単量体と同じである。高分子型分散剤として、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−194N(商品名)、BASF社製のEFKA7422(商品名)などを用いることもできる。
高分子型分散剤の含有量は、水分散体の全質量に対して、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で水分散体の表面張力を任意に調整することが好ましい。
染料ポリマー(P)の水分散体の製造方法は、(A)染料ポリマーの粉体又はペースト、及び必要に応じて低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を、水又は水性有機溶剤中で混合した後に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などとともにアトライターやミル機等で微分散する方法、又は、(B)水又は水性有機溶剤と、水又は水性有機溶剤に難溶な重合性染料モノマーと必要に応じて共重合モノマー、及び乳化剤(界面活性剤)を混合し、そこに水又は水性有機溶剤に溶解可能な重合開始剤(通常ラジカル発生剤)を加えて行う乳化重合を用いる方法があり、これらを好適に用いることができる。
また、これらの分散体には、必要に応じ湿潤剤としてのグリコール溶剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど、及び、尿素、ヒアルロン酸、ショ糖などを添加することができる。その他に、分散助剤として、上述の非イオン性界面活性剤や陰イオン界面活性剤を添加することができるが、これらの界面活性剤は、分散安定性としての性能を低下させないように、少量配合することが好ましい。
<インクジェットインク>
本発明のインクジェット捺染方法の第一の態様における工程(B)では、染料ポリマー(P)の水分散体含むインクジェットインクを用いる。
本発明のインクジェット捺染方法の第二の態様における工程(C)では、(a)成分と、染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクを用いる。
工程(C)のインクジェットインク中の(a)成分の含有量は、インクジェット打滴性の観点から、インクジェットインク全量に対して、0.05〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることが更に好ましい。
なお、本発明は、(a)成分と、染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクにも関するものである。上記インクジェットインクは捺染用であることが好ましい。
本発明で用いられるインクジェットインクは、好ましくは、水又は水性有機溶剤を更に含有する。また、必要に応じて、その他の着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び各種添加剤等の成分を含有していてもよい。
本発明で用いられるインクジェットインクは、染料ポリマー(P)以外の他の着色剤(染料や顔料等)をさらに含んでもよい。他の着色剤を含む場合、染料ポリマー(P)の含有量は、染料ポリマー(P)を含めた着色剤の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、さらには100質量%、すなわち染料ポリマー(P)のみを含有することが好ましい。
着色剤(染料ポリマー(P)、及びこれ以外の着色剤を含む)のインクジェットインク中の含有量としては、良好な染色濃度が得られ、インクジェットインクの保存安定性を考慮すると、インクジェットインクの全質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜12質量%がさらに好ましい。
<有機溶媒>
本発明で用いられるインクジェットインクが含有し得る有機溶媒の例としては、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、及び2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、及びブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びN−エチルモルホリン等)、及びアセトニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるインクジェットインクが含有し得る有機溶媒は、前述の水性有機溶剤であることが好ましい。
インクジェットインク中の有機溶媒の含有量は、インクジェットインクの全質量に対して、1質量%〜60質量%であることが好ましく、2質量%〜50質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤>
本発明で用いられるインクジェットインクは、保存安定性、吐出安定性、及び吐出精度などを高める観点から、各種界面活性剤をさらに用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、及び非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる。
陽イオン性界面活性剤として、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、及びイミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤として、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、及びアルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、及びイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型も好適な例として挙げられる。
非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びアセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるサーフィノール(エアプロダクツ社製、商品名)も好適な例として挙げられる。
その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられるインクジェットインク中の界面活性剤の含有量は、インクジェットインクの全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲でインクジェットインクの表面張力を任意に調整することが好ましい。
<各種添加剤>
本発明で用いられるインクジェットインクは、その他に従来公知の各種添加剤を含有していてもよい。添加剤として、例えば、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、表面張力調整剤、消泡剤、乾燥防止剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、キレート剤、及び架橋剤等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤として、特開昭58−185677号公報、特開昭61−190537号公報、特開平2−782号公報、特開平5−197075号公報、特開平9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、特公昭56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、特開平8−53427号公報、特開平8−239368号公報、特開平10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。インクジェットインクが、紫外線吸収剤を含有することで、画像の保存性を向上させることができる。
(退色防止剤)
退色防止剤として、各種の有機系及び金属錯体系の退色防止剤を使用することができる。有機系の退色防止剤として、例えば、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられる。金属錯体として、例えば、ニッケル錯体、及び亜鉛錯体等が挙げられる。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのI項及びJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁、及び米国特許第5356443号明細書に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。インクジェットインクが、退色防止剤を含有することで、画像の保存性を向上させることができる。
(防腐剤及び防黴剤)
本発明で用いられるインクジェットインクは、インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。インクジェットインクが、防腐剤や防黴剤を含有することで、長期での保存安定性を高めることができる。防腐剤及び防黴剤として、例えば、芳香族ハロゲン化合物(例えば、プリベントールCMK;ランクセス社製、商品名)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、プロキセルGXL;アーチケミカルズ社製、商品名)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びその塩等が挙げられる。
防腐剤及び防黴剤は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。インクジェットインクが防腐剤及び防黴剤を含有する場合、防腐剤及び防黴剤の含有量は、インクジェットインクの全質量に対して、0.02質量%〜1.00質量%が好ましい。
(乾燥防止剤)
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水性有機溶剤を好適に用いることができる。インクジェットインクに乾燥防止剤が含有されることで、インクジェット記録用途に使用する場合、インクを吐出する吐出ヘッドのノズルの噴射口において、インクが乾燥することによる目詰まりを防止することができる。
乾燥防止剤の具体的な例として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、及びトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びN−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、及び3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、及びジエタノールアミン等の多官能化合物、並びに尿素誘導体が挙げられる。これらのうち、グリセリン、及びジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。
また、乾燥防止剤は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記のインクジェットインクが乾燥防止剤を含有する場合、乾燥防止剤の含有量は、インクジェットインクの全質量に対して、10質量%〜50質量%が好ましい。
(pH調整剤)
pH調整剤として、例えば、有機塩基、及び無機アルカリ等の中和剤を用いることができる。インクジェットインクを記録に使用する場合、インクジェットインクにpH調整剤が含有されることで、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができる。pH調整剤は、インクジェットインクのpHが5〜12になるように添加することが好ましく、pHが5〜9になるように添加することがより好ましい。
(表面張力調整剤及び消泡剤)
表面張力調整剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の好ましい例は、既述の界面活性剤の欄にて例示したものと同じである。
消泡剤としては、フッ素系、及びシリコーン系化合物が好ましい。
本発明で用いられるインクジェットインクは、その表面張力を、20mN/m〜70mN/mに調整することが好ましく、25mN/m〜60mN/mに調整することがより好ましい。また、インクジェットインクの粘度は、40mPa・s以下に調整することが好ましく、30mPa・s以下に調整することがより好ましく、20mPa・s以下に調整することが特に好ましい。
表面張力及び粘度は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、及び界面活性剤等を添加することによって、調整することができる。
(キレート剤)
キレート剤は、インクジェットインク中における沈殿物等の析出物の発生を防止する目的、また、保存安定性や目詰まり回復性を改良する目的で好適に使用される。インクジェットインクの着色剤として染料を用いると、インク中に含まれる金属(Ca、Mg、Si、及びFe等)が析出物の発生や目詰まり回復性の低下の原因となり得るため、金属イオンを一定量以下に管理する必要があることが知られている。また、銅錯体染料を用いた場合には、金属イオンの量を管理しても、遊離の銅イオンの量も管理しなければ、析出物の発生や目詰まり回復性の低下が認められることが知られている(特開2000-355665号、及び特開2005−126725号公報等参照)。
キレート剤として、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸、ヒドロオキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ウラミルジ酢酸、及びそれらの金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられる。
〔着色布の製造方法〕
本発明は、上記工程(A)、(B)、及び(D)を含む着色布の製造方法、並びに上記工程(C)及び(D)を含む着色布の製造方法にも関する。
<布帛>
本発明のインクジェット捺染方法、及び着色布の製造方法を適用し得る布帛としては、以下のものがある。生地布帛(繊維種)としては、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、綿、絹、毛等の天然繊維、及びこれらの混合繊維、織物、編み物、不織布等が挙げられる。
衣料品としては、Tシャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、スウェットスーツ、ワンピース、ブラウスなどが挙げられる。また、寝具、ハンカチなどにも好適である。
本発明に適用し得る布帛は、上記のように種々の繊維種の布帛が挙げられるが、メチロール基と反応し得る基を有する繊維種であることが好ましい。メチロール基と反応し得る基を有する繊維種の布帛を用いることにより、(a)成分を介して、繊維と染料ポリマー(P)が架橋反応を起こし、染料ポリマー(P)が繊維とより一体化し、布帛に付された画像の堅牢性がさらに向上する。
メチロール基と反応する基としては、ヒドロキシル基、メチロール基、又はアミノ基が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシル基又はメチロール基が好ましく、メチロール基がより好ましい。
本発明のインクジェット捺染方法、又は着色布の製造方法は布帛の繊維種を問わず適用しうるものであり、本発明のインクジェット捺染方法、又は着色布の製造方法で製造した着色布は、風合い、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、捺染作業性の何れの特性においても、優れた効果を奏するので、本発明のインクジェット捺染方法、着色布の製造方法、及びインクジェットインクには高い価値がある。
〔インクカートリッジ〕
本発明は、上記本発明のインクジェットインク、すなわち、(a)成分と染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクを充填したインクカートリッジにも関する。
〔着色布〕
本発明は、布帛の少なくとも一部の表面に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の硬化物と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)とを含む画像を有する着色布にも関する。
(合成例1)
〔染料ポリマー(Y−2−1)の合成〕
例示化合物(Y−2−1)は以下のスキームにより合成した。
Figure 2018035467
100mL三ツ口フラスコにN−メチルピロリドン(NMP)10mLを加え、内温を85℃に昇温した。上記NMPに、重合性モノマーであるYM−1(特許5315267号公報記載の方法で合成)9.0g、重合性モノマーであるメタクリル酸(MAA、和光純薬製)1.0g、V−601(和光純薬製、商品名)0.126g、及び1−ドデカンチオール(和光純薬製)0.443gを13.24gのNMPに溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で1時間反応させて反応液Aを得た。その後、反応液Aに、V−601(0.098g)を添加し、さらに85℃で2時間反応させ、反応液Bを得た。反応液Bを室温まで放冷し、水500mLに注ぎ入れ、結晶を析出させ、ろ過により結晶をろ別した後に、ろ別した結晶を60℃の送風乾燥機で1日間乾燥させ、例示化合物(Y−2−1)の黄色粉末を得た。例示化合物(Y−2−1)の収量は9.8gであった。例示化合物(Y−2−1)のテトラヒドロフラン(THF)希薄溶液での紫外可視吸収スペクトルの吸収極大波長は441nmであった。また、例示化合物(Y−2−1)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定での重量平均分子量(Mw)は10,500(ポリスチレン換算)であった。
他の染料ポリマーも上記合成例1に準じて合成した。
(合成例2)
〔メラミン:ホルムアルデヒド:ジエチレングリコール(1:2.2:5(モル比))から形成されるメラミン誘導体(a1)の合成〕
115.5gのホルムアルデヒド(1.54モル)の40質量%水溶液を、滴下ロート及び撹拌器を備えた1Lの三ツ口フラスコに導入し、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整した。次いで、メラミン(88.2g、0.7モル)を、固体として加え、その後80℃で30分間加熱し、続いてジエチレングリコール(371.3g、3.5モル)を滴下し、その後30質量%の硝酸を用いてpHを5.3に調整した。得られた溶液を60℃で1時間加熱した。次いで、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整した。その後、約80mlの、水及びジエチレングリコールの混合物を、減圧加熱留去し、メラミン誘導体(a1)を得た。固形分42.5%、含水率:3.7質量%、動的粘度η:850mPa・s。
(実施例1)
〔水性処理液の調製〕
以下の成分を混合し、水性処理液(A1)を調製した。
メラミン誘導体(a1) 5g
イオン交換水 95g
<工程(A):布帛への水性処理液の付与>
〔前処理布の作製〕
ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル、色染社製、商品コードA02−01019)に対して、パディング法により水性処理液(A1)を、絞り率60%で処理し、80℃で乾燥させ、前処理布(1)を得た。
なお、絞り率(%)は、水性処理液を含んだ布帛を絞った後の、布帛に対する水性処理液の残存量(質量比率)を表す。
〔染料ポリマーの水分散体の調製〕
染料ポリマーである例示化合物(Y−2−1)0.25g、ジルコニアビーズ(ニッカトー製、商品名YTZボール、直径0.1μm)10g、オレイン酸ナトリウム0.05g、グリセリン0.5g、及び超純水4.2gを加え、遊星型微粒粉砕機(フリッチュ製Pulverlsette7)を用いて、回転数400rpm(rotation per minute)で、10時間分散させた。得られた分散液から、ろ布を用いてジルコニアビーズを除き、染料ポリマー水分散体(1)を得た。
〔捺染用インクジェットインクの調製〕
以下の成分を、20℃で混合し、15分間撹拌したのちに、メンブランフィルター(平均孔径0.8μm)でろ過して、捺染用インクジェットインク(B1)を調製した。
染料ポリマー水分散体(1) 3.0g
トリメチロールプロパン 0.056g
超純水 0.913g
1,2−ヘキサンジオール 0.112g
グリセリン 0.560g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 0.112g
2−ピロリドン 0.168g
プロピレングリコール 0.028g
サーフィノール465(日信化学工業製、商品名) 0.056g
<工程(B):インクジェット捺染>
捺染用インクジェットインク(B1)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、前処理布(1)に画像を印捺した。
<工程(D):熱処理工程>
上記で得られた画像が印捺された前処理布(1)を20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度120℃、圧力0.20N/cm、時間60秒間、熱処理を行うことで、着色布を得た。
(実施例2)
実施例1のポリエステル布帛をコットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例3)
実施例1のポリエステル布帛を、ポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、色染社製、商品コードA02−01030)に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例4)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をジメチロールジヒドロキシエチレン尿素に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例5)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をニカレヂンS−176(水溶性メチロールメラミン、日本カーバイド工業株式会社製、商品名)に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例6)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をニカレヂンS−260(水溶性メチロールメラミン、日本カーバイド工業株式会社製、商品名)に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例7)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をウォーターゾールS−695(水性メラミン樹脂、DIC製、商品名、固形分65質量%)に変更し、メラミン誘導体(a1)の固形分と同じ濃度になるようにイオン交換水の量を変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例8)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をポリフィックスKAM−7(メチロールメラミン、昭和電工製、商品名、固形分80%)に変更し、メラミン誘導体(a1)の固形分と同じ濃度になるように水の量を変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例9)
実施例1の染料ポリマーの種類を例示化合物(Y−1−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例10)
実施例1の染料ポリマーの種類を(Y−2−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例11)
実施例1の染料ポリマーの種類を例示化合物(Y−2−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例12)
実施例1の染料ポリマーの種類を例示化合物(B−2−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例13)
実施例1の水性処理液の調製において、メラミン誘導体(a1)の量を2gに変更し、イオン交換水の量を48gに変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例14)
実施例1の水性処理液の調製において、メラミン誘導体(a1)の量を10gに変更し、イオン交換水の量を40gに変更した以外は、実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例15)
実施例1のメラミン誘導体(a1)をN,N’−ジメチロールグリオキサル尿素(AlfaChemistry社製、試薬)に変更した以外は実施例1と同様にして着色布を得た。
(実施例16)
実施例1の染料ポリマー(Y−2−1)の分散時間を10時間から30分に変えた以外は同様にして、着色布を得た。得られた着色布には、僅かに印画画像欠陥が観測された。
(実施例17)
〔捺染用インクジェットインクの調製〕
以下の成分を20℃で混合し、15分撹拌した後に、メンブランフィルター(平均孔径0.8μm)でろ過して、捺染用インクジェットインク(B17)を調製した。
染料ポリマー水分散体(1) 3.0g
水性処理液(A1) 0.5g
トリメチロールプロパン 0.056g
超純水 0.413g
1,2−ヘキサンジオール 0.112g
グリセリン 0.560g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 0.112g
2−ピロリドン 0.168g
プロピレングリコール 0.028g
サーフィノール465(日信化学工業製、商品名) 0.056g
<工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程>
調製した捺染用インクジェットインク(B17)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル、色染社製、商品コードA02−01019)に画像を記録した。
<工程(D):熱処理工程>
上記で得られた着色布を20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度120℃、圧力0.20N/cm、時間60秒間、熱処理を行うことで、着色布を得た。
(比較例1)
プラスコートZ−760(水系ポリエステル樹脂、互応化学工業製、商品名、固形分25%)10g、メラミン誘導体(a1)8g、SR−4GL(エポキシ架橋剤、阪本薬品工業製、商品名)2g、NBP−211(ブロックイソシアネート架橋剤、明成化学工業製、商品名)2g、セルパールSM−100(グアガム、安達糊料製、商品名、固形分12%)20g、及び水58gを配合した混合液を、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル、色染社製、商品コードA02−01019)に対して、パッド法(10秒浸漬、絞り率70%)にて付与し、120℃で30分乾燥させ、比較用前処理布(1)を作製した。インクジェット捺染インク(昇華染料シアンインク、エプソン製SureColorF−6000用、商品型番SC5C100J)をインクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、比較用前処理布(1)に画像を記録した。20℃で12時間乾燥させた後に、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度185℃、圧力0.10N/cm、時間40秒間、熱処理を行うことで、着色布を得た。
(比較例2)
比較例1のポリエステル布帛をコットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)に変更した以外は比較例1と同様にして着色布を得た。
実施例及び比較例の着色布を以下のようにして評価した。
なお着色布の評価は以下により実施した級数である。級数が高い方が着色堅牢性に優れていることを表す。
・耐洗濯性:日本工業規格(JIS)L0844:2011、洗濯に対する染色堅ろう度試験方法(A−2号試験)
・耐汗性:JIS L0848:2004、汗に対する染色堅ろう度試験方法(酸性、及びアルカリ性)
・耐摩擦性:JIS L0849:2013、摩擦に対する染色堅ろう度試験方法(摩擦試験機II形(学振形)法)
・耐ドライクリーニング性:JIS 0860:2008、ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法(A−2号試験)
Figure 2018035467
上記結果から明らかなように、実施例のインクジェット捺染方法は布帛の繊維種を問わず適用することができ、優れた画像堅牢性を有する着色布を与えることがわかる。また、実施例のインクジェット捺染方法では捺染糊の塗布及び水洗が不要で、廃水、廃材が出ないため環境負荷に優れ、作業性に問題がない。
なお、比較例1の分散染料を用いたインクジェット捺染方法では、ポリエステル以外の布帛では着色が不十分となり、本発明の実施例のような優れた画像堅牢性を有する着色布を得ることはできなかった。これは、分散染料は布帛の繊維内部に浸透することが着色に際して必須であると考えられるため、分散染料の浸透性が低いポリエステル以外の布帛では、比較例1の分散染料を用いたインクジェット捺染方法が適用できなかったためであると推定される。一方、本発明の実施例である染料ポリマーを用いたインクジェット捺染方法では、繊維種に関係なく繊維の表面を被覆するように染料ポリマーが分子レベルで繊維と一体化すると考えられため、様々な種類の繊維からなる布帛を染色することができるためであると考えられる。
また、比較例の分散染料を用いたインクジェット捺染方法では、ポリエステル布帛を用いた場合であっても、本発明の実施例よりも耐汗性、耐摩擦性、及び耐ドライクリーニング性は劣っていた。


Claims (18)

  1. 下記工程(A)、(B)、及び(D)を含むインクジェット捺染方法。
    工程(A):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種を含む水性処理液を付与する工程
    工程(B):布帛に、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
    工程(D):熱処理工程
  2. 下記工程(C)及び(D)を含むインクジェット捺染方法。
    工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
    工程(D):熱処理工程
  3. 前記工程(A)の前記水性処理液の付与が、コーティング法、パディング法、又はインクジェット法により行われる、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
  4. 前記工程(D)の熱処理の温度が50℃以上250℃未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  5. 前記水分散体における前記染料ポリマー(P)が粒子状の染料ポリマーであり、前記粒子状の染料ポリマーの平均粒子径が、50〜500nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  6. 前記染料ポリマー(P)の重量平均分子量が3,000〜200,000である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 前記染料ポリマー(P)がメチロール基と反応する基を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  8. 前記水分散体が、更に、メチロール基と反応する基を有する、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  9. 前記染料ポリマー(P)が、カルボキシル基を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  10. 前記工程(A)の前記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の含有量が、前記水性処理液全量に対して、0.05〜10質量%である請求項1又は3に記載のインクジェット捺染方法。
  11. 前記工程(C)の前記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の含有量が、前記インクジェットインク全量に対して、0.05〜10質量%である請求項2に記載のインクジェット捺染方法。
  12. 前記メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種が、メチロールメラミン又はメチロールメラミン誘導体である請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  13. 下記工程(A)、(B)、及び(D)を含む着色布の製造方法。
    工程(A):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種を含む水性処理液を付与する工程
    工程(B):布帛に、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体を含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
    工程(D):熱処理工程
  14. 下記工程(C)及び(D)を含む着色布の製造方法。
    工程(C):布帛に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインクをインクジェット法で付与する工程
    工程(D):熱処理工程
  15. メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)の水分散体とを含むインクジェットインク。
  16. 捺染用である、請求項15に記載のインクジェットインク。
  17. 請求項15又は16に記載のインクジェットインクを充填したインクカートリッジ。
  18. 布帛の少なくとも一部の表面に、メラミン誘導体、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素の誘導体から選択される少なくとも1種の硬化物と、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有する染料ポリマー(P)とを含む画像を有する着色布。

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