JP2018035243A - 錆転換剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

錆転換剤組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 錆の機械的な除去を必要とせず、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜を形成する水系2液型錆転換剤組成物を提供すること。【解決手段】 主剤成分と硬化剤成分を含む水系2液型錆転換剤組成物であって、主剤成分は、(A)水性エマルジョン樹脂、(B)ポリフェノール誘導体、及び(C)有機酸、からなり、硬化剤成分は、(D)親水性イソシアネート化合物、(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物、又は(E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物、からなることを特徴とする、水系2液型錆転換剤組成物とする。【選択図】図1

Description

本発明は、錆転換剤組成物及びその製造方法に関し、より詳しくは、錆が発生した鉄鋼基材を塗装する際錆除去を行う必要がないため、労力を著しく低減でき、耐久性に優れた上塗り塗装を可能にする技術である錆転換剤組成物及びその製造方法に関する。
従来、鉄鋼基材の錆面を塗装する際、サンドブラスト等の機械的除去によって鉄錆を除去しなければ塗装塗膜の密着性の低下が起こり、鉄面の酸化の進行を抑制できず、塗膜の剥離と鉄鋼基材の劣化を防止することができなかった。
しかし、鉄錆を機械的に全て除去するには多大な労力を要した。
そこで、鉄鋼基材表面の赤錆を黒錆に転換することで、赤錆を全て機械的に除去しなくても鉄面の酸化の進行が抑制でき、塗膜の剥離と鉄鋼基材の劣化を防止できる防錆塗料が開発されている。
例えば、特許文献1には、熔融亜鉛メッキ鋼板の保護皮膜形成方法が開示されている。具体的には、該保護皮膜は水溶性又は水分散性有機高分子化合物の3−10%水溶液、0.1−20%のタンニン又はタンニン酸、及び0.1−1%のチオ尿素、水溶性チタン化合物、水溶性ジルコニウム化合物の1種以上(pH2−6.5)を含むと記載されている。この保護皮膜を使用することで熔融亜鉛メッキ鋼板の耐食性及び塗膜付着性を向上させることができると記載されている。
また、特許文献2には、ウレタン系水性接着剤組成物が開示されている。具体的には、ウレタン系水性接着剤組成物は水分散ウレタンポリマー(100重量部)及びポリタンニン酸化合物(0.5−20重量部)を含み、水分散ウレタンポリマーはポリイソシアネート化合物、水酸基を2個以上有するポリオール化合物、イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上有し、且つカルボキシル基とスルホニル基から選ばれる1種以上の親水基を有する官能性化合物を重合することを特徴とすることが記載されている。これにより、鋼板等の金属製被着体に対する耐水接着性および水性接着剤としての貯蔵安定性に優れ、更に毒性の面でも問題のないウレタン系水性接着剤組成物を提供することができると記載されている。
特許文献3には、錆転換用水系塗料が開示されている。具体的には、該錆転換用水系塗料はアクリル変性複合エマルジョンを100重量部、タンニン酸等のポリフェノール誘導体を2−20重量部、亜リン酸塩を2−20重量部、ステンレス粉末を5−20重量部含むことが記載されている。これにより、浮き錆を簡易に除去する程度の素地調整で鉄被塗物の錆面に塗装可能で、しかも優れた防錆性と耐候性を有する錆転換用水系塗料を提供することができると記載されている。
特許文献4には、鉄錆還元水系防錆塗料の製造方法が開示されている。具体的には、アクリル系樹脂に還元性リン酸系鉱酸とタンニン酸を配合することにより、鋼鉄の赤錆を還元して黒錆に転換し、また鋼鉄基剤とも反応して、防錆性、密着性が優れた塗膜を形成する鉄錆還元水系防錆塗料を提供することが出来ると記載されている。
しかし、上記の特許文献1−4は全て赤錆から黒錆へ転換する速度が遅く、乾燥後の塗膜の基材への密着力が弱いものである。耐水性も不十分で、塗料を塗布して暴露するとすぐに錆が発生し、雨水による塗膜の膨れやはがれが発生するという問題点を有する。
よって、性能が改善された錆転換被膜が強く求められている。
特公昭56−31876号公報 特開平8−92540号公報 特開2009−40929号公報 特開2011−168757号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、水性エマルジョン樹脂(A)、ポリフェノール誘導体(B)及び有機酸(C)からなる主剤成分、及び親水性イソシアネート化合物(D)又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分を含む錆転換剤組成物とすることで、サンドブラスト等機械的な除去を行わなくても、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜を形成する、水系2液型錆転換剤組成物を提供するものである。
請求項1に係る発明は、主剤成分と硬化剤成分を含む水系2液型錆転換剤組成物であって、
主剤成分は、(A)水性エマルジョン樹脂、(B)ポリフェノール誘導体、及び(C)有機酸、からなり、硬化剤成分は、(D)親水性イソシアネート化合物、(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物、又は(E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物からなることを特徴とする、水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項2に係る発明は、硬化剤成分が(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物である場合、(D)親水性イソシアネート化合物を50−99.9質量%、(E)疎水性イソシアネート化合物を0.1−50質量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1記載の水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項3に係る発明は、硬化剤成分が(E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%及び(F)有機溶剤を10−90質量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1記載の水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項4に係る発明は、(A)水性エマルジョン樹脂が、水酸基価10mgKOH/g以下のイソシアネートとは反応しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項5に係る発明は、錆転換黒色被膜の形成方法であって、(1)鉄鋼面上の錆を予め研磨し、あるいは研磨を行わず、(2) 請求項1記載の主剤成分と硬化剤成分を混合した混合物を調製し、(3)前記混合物を、錆面を持つ鉄鋼面上に広く又は全面にわたり塗布し、(4)鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成する、ことからなる、錆転換黒色被膜の形成方法に関する。
請求項1に係る発明によれば、主剤成分が水性エマルジョン樹脂(A)とポリフェノール誘導体(B)と有機酸(C)を含むことにより、有機酸の水溶液中の水性エマルジョン樹脂(A)粒子表面に親和したポリフェノール誘導体(B)が、親水性イソシアネート化合物(D)、又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分と反応硬化して、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間に絡み合い強固な高性能被膜を形成することができる。これは、本発明者らの実験的知得によれば、ポリフェノール誘導体(B)とイソシアネート化合物が架橋反応により相互貫入高分子網目構造(IPN:Interpenetrating Polymer Network)を形成する。これにより、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間の隙間に緻密な網目構造高分子体ができるので、乾燥後に強固な被膜を形成すると考えられている(図1参照)。その結果、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に優れた水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
主剤成分のポリフェノール誘導体(B)は、さらに鉄の酸化物(赤錆)と反応して黒色に転換することができる。
また、主剤成分に有機酸(C)が存在することで錆面を赤錆色から黒色に転換する速度を速めることができる。
硬化剤成分に疎水性イソシアネート化合物(E)を使用する場合、耐溶剤性が著しく向上するという効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、硬化剤成分が(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物である場合、(D)親水性イソシアネート化合物を50−99.9質量%、(E)疎水性イソシアネート化合物を0.1−50質量%の範囲内で含むことで、密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性が著しく優れた水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
疎水性イソシアネート化合物(E)が50質量%を超えて使用すると、主剤成分との相溶性が悪くなり手攪拌だけでは均一に混合できず、塗膜にブツが発生したり光沢が低下する。攪拌機を使用せざるをえないため作業効率が悪くなる。
請求項3に係る発明によれば、硬化剤成分が(E)疎水性イソシアネート化合物及び
(F)有機溶剤の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%及び(F)有機溶剤を10−90質量%の範囲内で含むことで、密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性が著しく優れた水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。有機溶剤(F)が10質量%を下回ると主剤成分との相溶性が悪くなり手攪拌だけでは均一に混合できず、塗膜にブツが発生するかあるいは光沢が低下する。有機溶剤(F)が90質量%を上回ると主剤成分との相溶性は良くなるが、主剤成分との混和安定性が悪くなりゲル化したり、ブツが発生して正常な塗膜が得られない。
請求項4に係る発明によれば、水性エマルジョン樹脂は、水酸基価10mgKOH/g以下であってイソシアネートと反応する必要はなく(水酸基をほとんど含有しない、即ちウレタン結合しない)、有機酸(C)の水溶液中の水性エマルジョン樹脂(A)粒子表面に親和したポリフェノール誘導体(B)が、親水性イソシアネート化合物(D)、又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分と反応硬化して、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間に絡み合い強固な高性能被膜を形成するので、その結果優れた密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性を有する水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
請求項5に係る発明によれば、主剤成分と硬化剤成分を混合して水系2液型錆転換剤組成物とし、その水系2液型錆転換剤組成物を錆の上に塗布して鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成することで、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜(錆転換黒色被膜)を形成することができる。
本発明の水系2液型錆転換剤組成物が鉄鋼基材上で強固な錆転換黒色被膜を形成する過程を図示した概略図である。
1.水系2液型錆転換剤組成物に含まれる成分
以下、本発明に係る水系2液型錆転換剤組成物について詳細に説明する。
本発明の目的は、水性エマルジョン樹脂(A)、ポリフェノール誘導体(B)及び有機酸(C)からなる主剤成分、及び親水性イソシアネート化合物(D)又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分を含む錆転換剤組成物とすることで、サンドブラスト等機械的な除去を行わなくても、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜を形成する、水系2液型錆転換剤組成物を提供することにある。
<主剤成分>
主剤成分は、水性エマルジョン樹脂(A)、ポリフェノール誘導体(B)及び有機酸(C)からなる。
(水性エマルジョン樹脂)
水性エマルジョン樹脂(A)として、水酸基価10mgKOH/gのイソシアネートとは反応性のない、即ち水酸基をほとんど含有せず、ウレタン結合しない通常のアクリル樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルジョン、エチレン酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルジョン、シリコン−アクリル樹脂エマルジョン、アクリルニトリル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂エマルジョン、エポキシ−アクリル樹脂エマルジョンを使用することが好ましい。アクリル樹脂エマルジョンが好適に使用できる。
水性エマルジョン樹脂(A)の濃度は、主剤成分全体に対して10−80重量%、好ましくは30−70重量%である。
上記のような水性エマルジョン樹脂(A)を含むことにより、本発明は強固な被膜を形成できる。
(ポリフェノール誘導体)
ポリフェノール誘導体(B)としては、タンニン酸や、加水分解性タンニンでも縮合性タンニンでも良く、タンニンを加水分解して得られる没食子酸又は没食子酸を加熱し、脱炭酸して得られるピロガロールを使用することもできる。
ポリフェノール誘導体(B)の濃度は、主剤成分全体に対して1−8重量%、好ましくは2−7重量%である。
主剤成分がさらにポリフェノール誘導体(B)を含むことで、鉄の酸化物(赤錆)と反応して黒色に転換することができる。また、有機酸(C)の水溶液中の水性エマルジョン樹脂(A)粒子表面に親和したポリフェノール誘導体(B)が、親水性イソシアネート化合物(D)、又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分と反応硬化して、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間に絡み合い強固な高性能被膜を形成することができる。
本発明者らの実験的知得によれば、ポリフェノール誘導体(B)が水性エマルジョン樹脂(A)の粒子表面に親和し、このポリフェノール誘導体(B)と、硬化剤成分に含まれるイソシアネート化合物(親水性イソシアネート化合物(D)であっても、疎水性イソシアネート化合物(E)であっても、その両方であっても良い)が架橋反応により相互貫入高分子網目構造(IPN:Interpenetrating Polymer Network)を形成することで、水性エマルジョン樹脂(A))粒子間の隙間に緻密な網目構造高分子体ができるので互いに密着し合い、強固な被膜となると考えられている(図1参照)。
(有機酸)
有機酸(C)としては、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、ギ酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、マロン酸などが好適に使用できる。
有機酸(C)の濃度は、主剤成分全体に対して1−8重量%、好ましくは2−7重量%である。
pHを1.5−6.0の範囲に調整することにより、錆面を赤錆色から黒色に転換する速度を速め、鉄鋼面への密着性を向上させる。
<硬化剤成分>
硬化剤成分として、親水性イソシアネート化合物(D)のみから構成されていても良く、親水性イソシアネート化合物(D)と疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物であっても良く、疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物であっても良い。
疎水性イソシアネート化合物(E)を含むことで耐溶剤性が向上するという効果を奏する。
硬化剤成分として親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物である場合、親水性イソシアネート化合物(D)は疎水性イソシアネート化合物(E)よりも多く含んでいることが望ましく、よって親水性イソシアネート化合物(D)を50−99.9質量%、疎水性イソシアネート化合物(E)を0.1−50質量%の範囲内で含むことが好ましい。また、硬化剤成分として疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%及び(F)有機溶剤を10−90質量%の範囲内で含むことが好ましい。
硬化剤成分の濃度は、主剤100部に対して0.5−30部、好ましくは1−20部である。
(親水性イソシアネート化合物)
親水性イソシアネート化合物(D)として、例えばアクアネート100、アクアネート110、アクアネート200及びアクアネート210(日本ポリウレタン工業社製)、バイヒジュールTPLS−2032、SUV−イソシアネートL801、バイヒジュールVPLS−2319、バイヒジュール3100、VPLS−2336及びVPLS−2150/1(住化バイエルウレタン社製)、タケネートWD−720、タケネートWD−725及びタケネートWD−220(三井武田ケミカル社製)、レザミンD−56(大日精化工業社製)等の1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
(疎水性イソシアネート化合物)
疎水性イソシアネート化合物(E)は通常溶媒系においてハイブリッドタイプとして使用されるものが好ましく、例えばデスモジュールN3400、デスモジュールN3600、デスモジュールVPLS2294(住化バイエルウレタン社製)、タケネートD−170HN(三井武田ケミカル社製)等の1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
(有機溶剤)
有機溶剤(F)は疎水性イソシアネートと反応性がなく、混合して良好に相溶するものであれば、水溶性であっても非水溶性であっても使用できる。これらの有機溶剤の中で25℃の水100gに対する溶解量が50g以下、好ましくは0.1−30gの範囲内にある有機溶剤を使用することにより、主剤成分と硬化剤成分の混和性が良好になり強固な高性能被膜を形成することができる。有機溶剤は1種類でも2種類以上でも、水100gに対する溶解量を調整すればよい。
かかる有機溶剤としては、沸点が100℃以上、好ましくは110−250℃の範囲のものが使用できる。例えばキシレン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルメトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、ニトロプロパン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、オキソヘキシルアセテート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等があげられる。
<その他に含み得る任意の成分>
本発明は、主剤成分及び硬化剤成分の他に、以下の成分を含み得る。
(増粘剤)
主剤成分と硬化剤成分を塗装前に混合して塗装する際、粘度が低すぎると液だれを起こし塗布量が少なくなってしまうため、水性塗料に一般的に使用される増粘剤を使用して高粘度に調製することができる。
増粘剤の濃度は、主剤成分と硬化剤成分の混合物に対して0.5〜5.0重量%含み得る。
増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系増粘剤、ケイ酸アンモニウムマグネシウム、有機ヘクトライト等の天然鉱物系増粘剤、キサンタンガム等の天然植物系増粘剤及びウレタン会合型増粘剤等を使用することができる。
(消泡剤)
主剤成分と硬化剤成分を塗装前に混合する際、泡立ちを起こすと被膜にピンホールが生じ、耐水性、防錆性が低下するため、水性塗料に一般的に使用されるシリコン系消泡剤、鉱物油系消泡剤を配合することができる。
消泡剤の濃度は、主剤成分と硬化剤成分の混合物に対して0.05〜1.5重量%含み得る。
(体質顔料)
本発明では、必要に応じて体質顔料を配合することができる。体質顔料の配合は、より塗膜厚を厚くしたい場合や上塗り塗料との密着性を向上させたい場合に有効である。体質顔料としては、酸性下で安定なものであれば良く、カオリン、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、ウオラストナイト等が例示できる。
配合量は特に限定されないが、組成物中30%以下が好ましい。30%を超えると塗膜強度が悪化する。
(造膜助剤)
本発明では、使用する水性エマルジョン樹脂(A)の造膜温度(MFT)に応じて通常の水性塗料組成物に使用される造膜助剤を配合することができる。造膜助剤としては、ブチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ベンジルアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:テキサノール)等が例示できる。
本発明では、上記成分の他、必要に応じて通常の水性塗料組成物に使用される凍結防止剤、可塑剤、防腐・防カビ剤、レベリング剤、沈降防止剤、タレ防止剤、艶消し剤等を配合することができる。
2.錆転換黒色被膜の形成方法
次に、本発明の水系2液型錆転換剤組成物を使用した、錆転換黒色被膜の形成方法について説明する。
まず、水系2液型錆転換剤組成物を塗布する鉄鋼面上の錆の量が多い場合、予め錆面を研磨して浮いた錆を除去する。(4種ケレン処理)
研磨する方法は特に限定されず、サンドブラスト等によらず物理的に浮いた錆を取り除く方法であればいずれであっても良い。
予め浮き錆を除去し研磨することで、水系2液型錆転換剤組成物が良く浸透し、錆面をくまなく赤錆色から黒色に転換することができる。錆面の奥まで水系2液型錆転換剤組成物が浸透するため、密着性が向上し錆が再びできにくくなる。
錆の量が少なければ、研磨を行わずに直接水系2液型錆転換剤組成物を錆面に塗布しても良い。
次に、主剤成分と硬化剤成分を均一に混合した混合物(水系2液型錆転換剤組成物)を調製する。
主剤成分は、上記のような水性エマルジョン樹脂(A)、ポリフェノール誘導体(B)及び有機酸(C)からなり、硬化剤成分は、上記のような親水性イソシアネート化合物(D)のみから構成されていても良く、親水性イソシアネート化合物(D)と疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物であっても良く、疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物であっても良い。
混合する方法は特に限定されず、手撹拌であっても、攪拌機による撹拌であっても良い。
主剤成分と硬化剤成分を混合する割合は、主剤成分100部に対して、硬化剤成分を0.5−30部、好ましくは1−20部である。
その後前記混合物(水系2液型錆転換剤組成物)を、錆面を持つ鉄鋼面上に広く又は全面にわたり塗布する。
塗布方法は特に限定されず、スプレーによって塗布しても、刷毛等で直接錆面に塗布しても良い。
前記混合物を錆面に塗布することにより、鉄鋼面上に錆転換黒色被膜が形成される。
上記方法で本発明の水系2液型錆転換剤組成物を調製・使用することにより、赤錆から黒錆への転換速度が速く、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜を得ることができる。
以下、本発明に係る水系2液型錆転換剤組成物に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
水系2液型錆転換剤組成物の製造
(実施例1)
60重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)15部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例1とした。
(実施例2)
60重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)13部及びデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)2部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例2とした。
(実施例3)
60重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)10部及びデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)5部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例3とした。
(実施例4)
60重量%のアクロナールYJ1210DA(アクリル樹脂エマルジョン、BASFジャパン株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%のシュウ酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)10部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例4とした。
(実施例5)
60重量%のアクロナールYJ1210DA(アクリル樹脂エマルジョン、BASFジャパン株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%のシュウ酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)8.5部及びタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)1.5部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例5とした。
(実施例6)
60重量%のアクロナールYJ1210DA(アクリル樹脂エマルジョン、BASFジャパン株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%のシュウ酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)7部及びタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)3部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例6とした。
(実施例7)
60重量%のボンコートCG−8490(スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、6重量%の没食子酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)5部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例7とした。
(実施例8)
60重量%のボンコートCG−8490(スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、6重量%の没食子酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)4部及びタケネートD−170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)1部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例8とした。
(実施例9)
60重量%のボンコートCG−8490(スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、6重量%の没食子酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)3部及びタケネートD−170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)2部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例9とした。
(実施例10)
60重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してタケネートD−170HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)10部、キシレン(有機溶剤)9部及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(有機溶剤)1部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例10とした。
(実施例11)
60重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、6重量%のタンニン酸、3重量%の酒石酸、31重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してタケネートD−170HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)5部、キシレン(有機溶剤)4.5部及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(有機溶剤)0.5部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを実施例11とした。
(比較例1)
82重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、9重量%のタンニン酸、9重量%のシュウ酸からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)0.4部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを比較例1とした。
(比較例2)
81重量%のポリゾールAP−1350(アクリル樹脂エマルジョン、昭和電工株式会社製)、9重量%の没食子酸、0.5重量%の酒石酸、9.5重量%の水からなる主剤成分と、主剤成分100部に対してバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)2.5部及びデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)10部からなる硬化剤成分を均一に混合した。これを比較例2とした。
(比較例3)
82重量%のアクロナールYJ1210DA(アクリル樹脂エマルジョン、BASFジャパン株式会社製)、9重量%のタンニン酸、9重量%のシュウ酸からなる主剤成分を使用し、硬化剤成分は使用しなかった。これを比較例3とした。
(比較例4)
81重量%のボンコートCG−8490(スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、9重量%の没食子酸、0.5重量%の酒石酸、9.5重量%の水からなる主剤成分を使用し、硬化剤成分は使用しなかった。これを比較例4とした。
(比較例5)
82重量%のボンコートCG−8490(スチレン−アクリル樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、9重量%のタンニン酸、9重量%のシュウ酸からなる主剤成分を使用し、硬化剤成分は使用しなかった。これを比較例5とした。
実施例1−11及び比較例1−5の組成を、以下の表1−3にまとめた。
2.水系2液型錆転換剤組成物の性能試験
次に、水系2液型錆転換剤組成物の性能試験を説明する。
(試験片の作成)
浮き錆を除いた鋼板(4種ケレン処理)に、実施例1−11及び比較例1−5の組成物を塗布量200g/mで塗布し、10日間25℃で乾燥させ、試験片とした。
(耐水密着試験)
実施例1−11及び比較例1−5の試験片を、20℃の温水中に30日間浸漬し、取り出して塗膜の外観の異常の有無を観察するとともに、碁盤目付着性試験を行った。
碁盤目付着性試験においては、試験片に塗膜を貫通して素地面に達する切り傷を100マスの碁盤目状に付け、その上にセロテープ(登録商標)を貼り付けたのちセロテープ(登録商標)を勢いよく引き剥がした時の状態を観察し、付着性を評価した。例えば、100マス全てが剥離せずに付着性が高ければ100/100となり、100マス全てが剥離した場合0/100と評価した。
(温水浸漬試験)
実施例1−11及び比較例1−5の試験片を、80℃の温水中に2時間浸漬し、取り出して塗膜の外観の異常の有無を観察するとともに、碁盤目付着性試験を行った。
碁盤目付着性試験においては、試験片に塗膜を貫通して素地面に達する切り傷を100マスの碁盤目状に付け、その上にセロテープ(登録商標)を貼り付けたのちセロテープ(登録商標)を勢いよく引き剥がした時の状態を観察し、付着性を評価した。例えば、100マス全てが剥離せずに付着性が高ければ100/100となり、100マス全てが剥離した場合0/100と評価した。
(塩水噴霧試験)
実施例1−11及び比較例1−5の試験片を、35℃中で5%の食塩水を200時間及び500時間噴霧し、錆の発生の有無を観察した。
(耐溶剤試験)
実施例1−11及び比較例1−5の試験片について、キシレンスポット試験を行った。具体的には、キシレン0.1ccをスポイトで上記試験片に滴下し、5分間放置した後、布で軽くふき取り、直ちに表面を指触時のタックの有無を調べた。調べた結果を×(タックあり)、△(タックが少しあり)、及び○(タックが全くない)の三段階で評価した。
(耐候性試験)
実施例1−11及び比較例1−5の試験片について、太陽光による劣化を評価するサンシャインウエザーメーター試験を1000時間行い、その後の塗膜の外観の異常の有無を観察した。
本試験においては、促進倍率は屋外曝露と比較して約8.3倍の条件で試験した。
以上の実施例及び比較例における性能試験の結果を表4−6に示す。
<評価>
上記表4−6の結果は、実施例1−11は浮き錆を簡易に除去する程度の素地調整で鉄錆面に塗装可能で、塗装後は錆転換黒色被膜を形成することを示す。
これに対し、水性エマルジョン樹脂(A)が主剤成分に対して80重量%よりも多く、タンニン酸及び有機酸がそれぞれ主剤成分に対して8重量%よりも多い比較例1は、塩水噴霧試験(200時間)以外の性能試験で異常が見られ、錆転換速度も実施例と比較して遅かった。
硬化剤成分の割合が主剤100部に対して30部以上である比較例2は、全ての性能試験において異常が見られ、錆転換速度も実施例よりも遅かった。
さらに、硬化剤成分を全く含まない比較例3−5も、全ての性能試験において異常が見られ、錆転換速度も実施例よりも遅かった。
上記の実施例及び比較例の性能試験結果の比較は、本発明が以下の条件を満たすことが望ましいことを示す。
・水性エマルジョン樹脂(A)の割合が主剤全体に対して80重量%を超えない。
・ポリフェノール誘導体(B)及び有機酸(C)の割合が主剤全体に対して8重量%を超えない。
・硬化剤の割合を主剤100部に対して0.5−30部とする。
上記の結果から、本発明である実施例1−8の水系2液型錆転換剤組成物は比較例1−5に比べて、いずれも密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に優れていることがわかる。
本発明である水系2液型錆転換剤組成物及び錆転換黒色被膜の形成方法は、建材等様々な用途で使用される鉄鋼面上に塗布される防錆被膜及び/又は錆転換被膜として好適に利用される。
1 水性エマルジョン樹脂
2 ポリフェノール誘導体
3 イソシアネート化合物
請求項に係る発明は、硬化剤成分が(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物である場合、(D)親水性イソシアネート化合物を50−99.9質量%、(E)疎水性イソシアネート化合物を0.1−50質量%の範囲内で含むことを特徴とする水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項に係る発明は、硬化剤成分が(E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%及び(F)有機溶剤を10−90質量%の範囲内で含むことを特徴とする、水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項1に係る発明は、前記水性エマルジョン樹脂(A)は水酸基価が10mgKOH/g以下であって、イソシアネート化合物とはウレタン結合しない水性エマルジョン樹脂である水系2液型錆転換剤組成物に関する。
請求項に係る発明は、錆転換黒色被膜の形成方法であって、(1)鉄鋼面上の錆を予め研磨し、あるいは研磨を行わず、(2)請求項1記載の主剤成分と硬化剤成分を混合した混合物を調製し、(3)前記混合物を、錆面を持つ鉄鋼面上に広く又は全面にわたり塗布し、(4)鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成する、ことからなる、錆転換黒色被膜の形成方法に関する。

請求項に係る発明によれば、硬化剤成分が(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物である場合、(D)親水性イソシアネート化合物を50−99.9質量%、(E)疎水性イソシアネート化合物を0.1−50質量%の範囲内で含むことで、密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性が著しく優れた水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
疎水性イソシアネート化合物(E)が50質量%を超えて使用すると、主剤成分との相溶性が悪くなり手攪拌だけでは均一に混合できず、塗膜にブツが発生したり光沢が低下する。攪拌機を使用せざるをえないため作業効率が悪くなる。
請求項に係る発明によれば、硬化剤成分が(E)疎水性イソシアネート化合物及び
(F)有機溶剤の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%及び(F)有機溶剤を10−90質量%の範囲内で含むことで、密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性が著しく優れた水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。有機溶剤(F)が10質量%を下回ると主剤成分との相溶性が悪くなり手攪拌だけでは均一に混合できず、塗膜にブツが発生するかあるいは光沢が低下する。有機溶剤(F)が90質量%を上回ると主剤成分との相溶性は良くなるが、主剤成分との混和安定性が悪くなりゲル化したり、ブツが発生して正常な塗膜が得られない。
請求項に係る発明によれば、水性エマルジョン樹脂は、水酸基価10mgKOH/g以下であってイソシアネートと反応する必要はなく(水酸基をほとんど含有しない、即ちウレタン結合しない)、有機酸(C)の水溶液中の水性エマルジョン樹脂(A)粒子表面に親和したポリフェノール誘導体(B)が、親水性イソシアネート化合物(D)、又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分と反応硬化して、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間に絡み合い強固な高性能被膜を形成するので、その結果優れた密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性を有する水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
請求項に係る発明によれば、主剤成分と硬化剤成分を混合して水系2液型錆転換剤組成物とし、その水系2液型錆転換剤組成物を錆の上に塗布して鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成することで、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜(錆転換黒色被膜)を形成することができる。

請求項に係る発明によれば、水性エマルジョン樹脂は、水酸基価10mgKOH/g以下であってイソシアネートと反応する必要はなく(水酸基をほとんど含有しない、即ちウレタン結合しない)、有機酸(C)の水溶液中の水性エマルジョン樹脂(A)粒子表面に親和したポリフェノール誘導体(B)が、親水性イソシアネート化合物(D)、又は親水性イソシアネート化合物(D)及び疎水性イソシアネート化合物(E)の混合物、又は疎水性イソシアネート化合物(E)及び有機溶剤(F)の混合物からなる硬化剤成分と反応硬化して、水性エマルジョン樹脂(A)粒子間に絡み合い強固な高性能被膜を形成するので、その結果優れた密着性、耐水性、防錆性、耐候性に加えて耐溶剤性を有する水系2液型錆転換剤組成物とすることができる。
請求項に係る発明によれば、主剤成分と硬化剤成分を混合して水系2液型錆転換剤組成物とし、その水系2液型錆転換剤組成物を錆の上に塗布して鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成することで、錆びた鉄面の赤錆を黒錆に転換し、密着性、耐水性、耐溶剤性、防錆性、耐候性に格段に優れた被膜(錆転換黒色被膜)を形成することができる。

Claims (5)

  1. 主剤成分と硬化剤成分を含む水系2液型錆転換剤組成物であって、
    主剤成分は、
    (A)水性エマルジョン樹脂、
    (B)ポリフェノール誘導体、及び
    (C)有機酸、からなり、
    硬化剤成分は、
    (D)親水性イソシアネート化合物、
    (D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物、又は
    (E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物、からなることを特徴とする、水系2液型錆転換剤組成物。
  2. 硬化剤成分が(D)親水性イソシアネート化合物及び(E)疎水性イソシアネート化合物の混合物である場合、(D)親水性イソシアネート化合物を50−99.9質量%、(E)疎水性イソシアネート化合物を0.1−50質量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1記載の水系2液型錆転換剤組成物。
  3. 硬化剤成分が(E)疎水性イソシアネート化合物及び(F)有機溶剤の混合物である場合、(E)疎水性イソシアネート化合物を10−90質量%、(F)有機溶剤が10−90質量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1記載の水系2液型錆転換剤組成物。
  4. (A)水性エマルジョン樹脂が、水酸基価10mgKOH/g以下のイソシアネートとは反応しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水系2液型錆転換剤組成物。
  5. 錆転換黒色被膜の形成方法であって、
    鉄鋼面上の錆を予め研磨し、あるいは研磨を行わず、
    請求項1記載の主剤成分と硬化剤成分を混合した混合物を調製し、
    前記混合物を、錆面を持つ鉄鋼面上に広く又は全面にわたり塗布し、
    鉄鋼面上に錆転換黒色被膜を形成する、
    ことからなる、錆転換黒色被膜の形成方法。
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