JP2018035237A - 電線・ケーブル用樹脂組成物及び電線・ケーブル - Google Patents

電線・ケーブル用樹脂組成物及び電線・ケーブル Download PDF

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関口 洋逸
Yoitsu Sekiguchi
洋逸 関口
田中 康寛
Yasuhiro Tanaka
康寛 田中
弘晃 三宅
Hiroaki Miyake
弘晃 三宅
達雄 高田
Tatsuo Takada
達雄 高田
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Abstract

【課題】抵抗の電界依存性及び温度依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れる電線・ケーブル用樹脂組成物及び電線・ケーブルを提供する。
【解決手段】本発明は、スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体を有する樹脂成分を含有し、上記樹脂成分を構成する全構造単位に対する上記スチレンに由来する構造単位の含有割合が1.1モル%以上40モル%以下である電線・ケーブル用樹脂組成物である。本発明は、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物から形成されている電線・ケーブルを含む。また、本発明は、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体から形成されている電線・ケーブルを含む。
【選択図】図11

Description

本発明は、電線・ケーブル用樹脂組成物及び電線・ケーブルに関する。
電線・ケーブルのように絶縁体が高電界にさらされる製品では、絶縁材料の誘電・絶縁特性は製品の本質的な特徴を決める極めて重要な因子である。かかる絶縁材料には、電気抵抗が大きいことに加え、抵抗の電界依存性や温度依存性が小さいことが要求される。また、絶縁破壊に対する耐性を向上させるべく、絶縁体中に電界の変歪をもたらす空間電荷の蓄積を抑制することができ、空間電荷蓄積抑制性に優れることが要求される。
絶縁材料に対する上記要求に対し、種々の材料が検討されており、エチレンとスチレン系単量体とのランダム共重合体を用いる耐放射線性高圧電力ケーブル(特開平1−132006号公報参照)、1分子中に炭素−炭素二重結合及びベンゼン環を各1個有する芳香族化合物とエチレンとを高圧ラジカル重合して得られたエチレン系重合体から成る電気絶縁材料(特開昭61−91803号公報、特開昭61−206109号公報、特開昭61−206110号公報及び特開昭61−206111号公報参照)、ポリオレフィン高分子とスチレン共重合体を含む組成物(特表2013−536262号公報参照)並びにエチレンと少量のスチレン系モノマーの共重合体を絶縁層とする電力ケーブルの製造方法(特開昭63−301427号公報)が知られている。
特開平1−132006号公報 特開昭61−91803号公報 特開昭61−206109号公報 特開昭61−206110号公報 特開昭61−206111号公報 特表2013−536262号公報 特開昭63−301427号公報
しかし、上記従来の材料では、上記要求を十分に満たすことはできていない。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、抵抗の電界依存性及び温度依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れる電線・ケーブル用樹脂組成物を提供することを目的とする。また、この電線・ケーブル用樹脂組成物を用い、抵抗の電界依存性及び温度依存性並びに絶縁破壊耐性が向上した電線・ケーブルを提供することを目的とする。
本発明者等は、絶縁材料について、樹脂成分を構成する重合体の構造及び組成等について、量子化学計算の理論的考察を行いつつ詳細に検討し、特定の構造を有する共重合体を含み、かつ特定の組成を有する樹脂成分が上記効果を向上できることを見い出した。
その結果得られた上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る電線・ケーブル用樹脂組成物は、スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体を有する樹脂成分を含有し、上記樹脂成分を構成する全構造単位に対する上記スチレンに由来する構造単位の含有割合が1.1モル%以上40モル%以下である電線・ケーブル用樹脂組成物である。
上記課題を解決するためになされた別の本発明の一態様に係る電線・ケーブルは、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物から形成されている電線・ケーブルである。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明の一態様に係る電線・ケーブルは、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体から形成されている電線・ケーブルである。
本発明の電線・ケーブル用樹脂組成物は、抵抗の電界依存性及び温度依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れている。本発明の電線・ケーブルは、抵抗の電界依存性及び温度依存性並びに絶縁破壊耐性が向上している。
ポリエチレンについての量子化学計算の結果を示す図である。 ポリスチレンについての量子化学計算の結果を示す図である。 本発明の一態様に係る電線・ケーブルの断面を示す模式図である。 体積抵抗率の測定装置の概略図である。 実施例の樹脂組成物の体積抵抗率の電界依存性を示すグラフである。 実施例及び比較例の樹脂組成物の体積抵抗率の電界依存性を示すグラフである。 比較例の樹脂組成物の体積抵抗率の電界依存性を示すグラフである。 実施例の樹脂組成物の体積抵抗率の電界依存性を示すグラフである。 実施例の樹脂組成物の体積抵抗率の温度依存性を示すグラフである。 空間電荷蓄積挙動の測定装置を示す概略図である。 空間電荷蓄積挙動の測定結果を示すチャートである。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る電線・ケーブル用樹脂組成物は、スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体を有する樹脂成分を含有し、上記樹脂成分を構成する全構造単位に対する上記スチレンに由来する構造単位の含有割合が1.1モル%以上40モル%以下である電線・ケーブル用樹脂組成物である。
当該電線・ケーブル用樹脂組成物は、抵抗の電界依存性及び温度依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れている。
上記樹脂成分はポリオレフィンをさらに有するとよい。かかるポリオレフィンは、優れた機械的特性を有している。従って、樹脂成分を、スチレンブロックとエチレンブロックとを含む共重合体とポリオレフィンとのブレンドとすることで、抵抗特性及び空間電荷蓄積抑制性を維持しつつ、当該電線・ケーブル用樹脂組成物の機械的特性を向上させることができる。
当該電線・ケーブル用樹脂組成物は、直流送電用に特に好適である。当該電線・ケーブル用樹脂組成物は、上述のように、抵抗の電界依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れるので、直流送電用として用いる場合に特に利益が大きい。
また、別の本発明の一態様に係る電線・ケーブルは、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物から形成されている電線・ケーブルである。さらに別の本発明の一態様に係る電線・ケーブルは、導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、上記絶縁層が、当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体から形成されている電線・ケーブルである。
当該電線・ケーブルは、抵抗の電界依存性及び温度依存性並びに絶縁破壊耐性が向上している。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る電線・ケーブル用樹脂組成物及び電線・ケーブルを、図面を参照しつつ詳説する。
<電線・ケーブル用樹脂組成物>
本発明の実施形態に係る電線・ケーブル用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(X)」という)は、スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体(以下、「[A]共重合体」とい)を有する樹脂成分を含有している。樹脂組成物(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
<樹脂成分>
樹脂成分は、上述のように[A]共重合体を含んでいる。樹脂成分は、この[A]共重合体以外に、他の重合体を含んでいてもよい。
([A]共重合体)
[A]共重合体とは、スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体である。
スチレンブロックはスチレンに由来する構造単位の連鎖構造で構成される部分である。エチレンブロックはエチレンに由来する構造単位の連鎖構造で構成される部分である。
[A]共重合体は、スチレンブロック及びエチレンブロック以外に、スチレン及びエチレン以外の他の単量体に由来する構造単位並びにこの構造単位を含むブロックをさらに有していてもよい。このような他の単量体としては、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等のオレフィン;
ブタジエン、イソプレン等のジエン;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル化合物;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化オレフィンなどが挙げられる。
[A]共重合体は、スチレンブロック及びエチレンブロックをそれぞれ1又は複数含んでいてもよい。また、これらのブロックが複数の場合、これらブロックの配置の順序は特に限定されない。
[A]共重合体としては、例えばスチレン・エチレンブロック共重合体(SE)、スチレン/エチレン・ブチレン/エチレンブロック共重合体(SEBC)又はその水添物、スチレン/エチレン・ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)又はその水添物、スチレン/エチレン・プロピレン/スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン/エチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
[A]共重合体は、エチレン、スチレン及び必要に応じて他の単量体を、重合触媒を用いた低圧法により重合させることにより、又は得られた重合体を水素添加することにより製造することができる。
(他の重合体)
樹脂組成物(X)の樹脂成分が含んでもよい[A]共重合体以外の他の重合体としては、例えば
低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリメチルペンテン(TPX)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などのポリオレフィン;
ポリスチレン;
ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル重合体、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン重合体などが挙げられる。
上記他の重合体としては、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましく、LDPEがさらに好ましい。他の重合体として上記重合体を用いることにより、樹脂組成物(X)の可撓性等の機械的特性を向上させることができる。
樹脂成分が上記他の重合体を有する場合、上記他の重合体の含有量の下限としては、[A]共重合体100質量部に対して、10質量部が好ましく、100質量部がより好ましく、500質量部がさらに好ましく、700質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、10,000質量部が好ましく、5,000質量部がより好ましく、3,000質量部がさらに好ましい。上記他の重合体の含有量を上記範囲とすることで、樹脂組成物(X)は、抵抗特性及び空間電荷蓄積抑制性と、機械的特性等とをバランスよく発揮することができる。
上記樹脂成分を構成する全構造単位に対する上記スチレンに由来する構造単位の含有割合(以下、「スチレン含量」という)の下限としては、1.1モル%であり、1.2モル%が好ましく、2モル%がより好ましく、3モル%がさらに好ましく、5モル%が特に好ましい。上記スチレン含量の上限としては、40モル%であり、32モル%が好ましく、28モル%がより好ましく、24モル%がさらに好ましく、20モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、樹脂組成物(X)の抵抗の電界依存性及び温度依存性並びに空間電荷蓄積抑制性をより向上させることができる。
樹脂組成物(X)は、上記他の成分として、必要に応じて、酸化防止剤、加工安定剤、着色剤、重金属不活性化材、発泡剤、多官能性モノマー、有機過酸化物、架橋助剤等を適宜含有することができる。上記他の成分の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。
樹脂組成物(X)は、[A]共重合体、必要に応じて他の重合体及び添加物を、オープンロール、加圧ニーダー、単軸混合機、二軸混合機等の混合機で混合することで調製することができる。
樹脂組成物(X)は、抵抗の電界依存性が小さく、かつ空間電荷の蓄積を抑制することができるので、直流送電用として用いる場合に特に利益が大きく、好適である。
樹脂組成物(X)が、上述の効果を奏する理由としては、例えば以下のように考えられる。すなわち、重合体にスチレン基を導入することにより、電子構造が変化し、上記効果が向上するものと考えられる。
スチレン基の導入による電子構造の変化について、ポリエチレン及びポリスチレンの量子化学計算による評価を行い、検討した。量子化学計算は、プログラムとしてGaussian03 E03を使用し、基底関数に6−31G、DFT:B3LYPを用いた。量子化学計算では、まず、対象となる分子の最適構造を上記プログラムにより決定し、その最適構造における電子構造を求めた。ポリエチレンはエチレンに由来する構造単位12個、ポリスチレンはスチレンに由来する構造単位6個のオリゴマー分子1個として計算を行った。量子化学計算の結果として、図1にポリエチレンの電子構造を、図2にポリスチレンの電子構造を示す。
図1に示すように、ポリエチレンは、HOMO=−7.60eV、LUMO=2.39eVで、計算上のHOMO−LUMOキャップは約10eVである。一方、図2に示すように、ポリスチレンは、HOMO=−6.20eV、LUMO=0.02eVで、計算上のHOMO−LUMOギャップは6.22eVである。図1及び図2では、電子の局在状態(分子軌道)が分かるよう、分子式と電子のエネルギー準位とを対応させている。ポリエチレンでは占有分子軌道、非占有分子軌道ともに分子鎖全体に分布しているのに対し、ポリスチレンではHOMO及びLUMO準位近傍のベンゼン環に集中していることが分かる。ポリスチレンの分子鎖はポリエチレン骨格と同じとみなせるので、ポリスチレンはスチレン基をエチレン単位毎に導入することによりHOMO−LUMOギャップを3.8eV縮小したと見ることができる。また、スチレン基起因のHOMO及びLUMO準位は、ポリスチレン主鎖の軌道から約2eV離れており、一旦この準位に入った電荷は容易に主鎖の軌道準位に移動できない、即ち電荷がトラップされること、課電時に電荷注入が抑制されることが予想される。
スチレン基をポリエチレン骨格に導入する場合、スチレン基の濃度はポリスチレンよりも低くなるが、エチレン単位11個に対してスチレン単位1個を導入する場合でもスチレン基に局在する電子の準位はポリスチレンにおけるスチレン基起因の準位とほぼ同等であり、ポリスチレンの場合と同等の電荷トラップ効果を期待することができる。
次に、本発明の実施形態に係る電線・ケーブルについて、図面を参照しつつ説明する。
[電線・ケーブル]
図3は、本発明の一態様に係る電線・ケーブルの構成を示す断面図である。当該電線・ケーブルは、導体と絶縁層とを少なくとも含み、図3に示すように、内部半導電層及び外部半導電層をさらに含んでいてもよく、さらに他の層を含むことができる。上記絶縁層は、上述の当該電線・ケーブル用樹脂組成物又は当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体で形成されている。
絶縁層は当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体で形成されることにより、耐熱性をより向上させることができる。当該電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋には、事前にコンパウンディング工程で樹脂組成物と有機過酸化物とを混合し、電線・ケーブル加工工程にて押出成形直後のケーブルを加熱することにより有機過酸化物を熱的に分解してラジカルを発生させ、そのラジカルの転移反応及びラジカル間の再結合反応により樹脂成分の分子鎖間に結合を生成する化学架橋、コンパウンディング工程にて樹脂組成物にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)等の架橋助剤を混合し、電線・ケーブルの形状に成型加工した後に電子線や放射線を照射して行う電子線(放射線)架橋、及びシランカップリング剤を予め樹脂成分の分子鎖にグラフト重合で結合させておき、触媒の存在下にてシランカップリング剤間の脱水反応によりシロキサン結合を生成するシラン架橋がある。有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、α、α’−ジ(タ−シャリーブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。シランカップリング剤として、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を併用してもよい。シラン架橋触媒はグラフト結合したシランカップリング剤の間にシロキサン結合を作って樹脂の分子鎖を架橋するためのシラノール縮合触媒であり、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫ジラウレート等が挙げられる。
導体は、必要な送電容量が確保できるものであればよく、材質・構成は特に限定されない。材質としては、銅線、錫めっき銅線、アルミ線、アルミ合金線、鋼心アルミ線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、銅覆アルミ線等が挙げられる。導体の構成としては、単線及びより線が挙げられるが、一般に複数の素線をより合わせた線構造が好適である。
半導電層、つまり内部半導電層と外部半導電層は、ベース樹脂と導電性フィラーとの混合物で構成することが好ましい。導電性フィラーの混合により、所定の導電率を半導電層に付与することができる。ベース樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニルから選択される少なくとも1種が好ましい。フィラーとしては、カーボンブラックが好適に利用できる。
図3の電線・ケーブルは、導体上に内部半導電層、絶縁層、外部半導電層を順次形成することにより、又は絶縁層と半導電層とを同時押出若しくはタンデム押出することにより製造することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、本実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
<樹脂組成物の調製>
[実施例1〜6及び比較例1〜7]
表1に示す[A]共重合体としてのSE−A〜SE−D及び他の重合体としてのLDPEを用い、表2に示す含有量で配合を行い、各樹脂組成物を調製した。
表1のSE−A〜SE−D及びLDPEとして、以下のものを用いた。
SE−A及びSE−BのSE共重合体:エチレンとスチレンとの低圧法によるブロック共重合体
SE−CのSEBC水添:SEBC(スチレン/エチレン・ブチレン/エチレンのブロック共重合体(低圧法))を水添処理したもの
SE−DのSEBS水添:SEBS(スチレン/エチレン・ブチレン/スチレンのブロック共重合体(低圧法))を水添処理したもの
LDPE:低密度ポリエチレン(高圧法により製造)
SE−A〜SE−D及びLDPEについて、重合体におけるスチレン含量(モル%及び質量%)、引張試験における力(MPa)及び伸び(%)並びに密度(g/cm)を表1に合わせて示す。
表2に示すように、実施例1〜4はSE−A〜SE−Dをそのまま用いて樹脂組成物とした。実施例5及び6並びに比較例2及び3はSE−A〜SE−D10質量部をLDPE90質量部と混合して、すなわち10倍希釈して樹脂組成物とした。比較例4〜7はSE−A〜SE−D1質量部をLDPE99質量部と混合して、すなわち100倍希釈して樹脂組成物とした。比較例1は、LDPEをそのまま用いた。
<評価>
上記調製した樹脂組成物について、体積抵抗率及び空間電荷蓄積抑制性を、下記測定方法により評価した。
[体積抵抗率]
体積抵抗率の測定に用いた装置の概略を図4に示す。課電ボックス全体を恒温槽中に設置して測定温度を制御した。電源には松定プレシジョン社の「HAR−50P2」、微小電流計として、ADC社の「ADC5450」を使用し、厚み約0.2mmのシート状サンプルを図4に示す電極系に組み込み、サンプルに電界5、10、20kV/mmを印加し、その時の漏れ電流を読み取って体積抵抗率を算出した。測定温度は常温、60℃、80℃とし、測定時間は10分とした。
測定した体積抵抗率について、常温、60℃、80℃における電界依存性を図5〜図7に示す。
図5:実施例1〜4(SE−A〜SE−D)及び比較例1(LDPE)について
参考としてポリスチレンについての測定値を合わせて記載した。図5におけるSE−A等に続く( )中の数値は、各共重合体のスチレン含量(モル%)の値である。
図6:実施例5及び6並びに比較例1〜3について(SE−A〜SE−DをLDPEで10倍希釈したもの及びLDPE)
図7:比較例1(LDPE)及び比較例4〜7(SE−A〜SE−DをLDPEで100倍希釈したもの)
また、体積抵抗率の測定値から、電界係数P及び温度係数αを下記式(1)により算出した。
ρ=ρ×exp(−αT)/E・・・(1)
(ρ:体積抵抗率(Ω・cm)、ρ:温度0℃、電位傾度1kV/mmの時の体積抵抗率(Ω・cm)、α:温度係数、P:電界係数、T:温度(℃))
実施例1〜4(SE−A〜SE−D)及び比較例1(LDPE)についての電界係数Pの25℃、60℃、80℃における値を表3に示す。参考として、ポリスチレン(PS)についての測定値を合わせて記載した。
また、実施例5及び6並びに比較例1〜3(SE−A〜SE−DをLDPEで10倍希釈したもの及びLDPE)についての電界係数Pの25℃、60℃、80℃における値を表4に示す。
測定した体積抵抗率について、電界依存性を図8に、温度依存性を図9に、それぞれ示す。
[空間電荷蓄積抑制性]
空間電荷分布の計測は、パルス静電応力法(Pulsed Electro−acoustic(PEA)法)により行った。装置の概略を図10に示す。PEA法は、直流電圧を印加し、電荷が蓄積した試料に高圧側からパルス電圧を与え、その応答を接地側の圧電素子で検知して電荷の存在によって歪みを受けたパルス波形を解析する手法である。測定は、電界100kV/mmの条件において行った。
空間電荷計測の実施例1(ES−A)、実施例3(ES−C)、実施例5(ES−AをLDPEで10倍希釈したもの)、比較例1(LDPE)、比較例2(ES−CをLDPEで10倍希釈したもの)、比較例4(ES−AをLDPEで100倍希釈したもの)及び比較例6(ES−CをLDPEで100倍希釈したもの)についての測定結果を図11に示す。
表3及び表4並びに図5〜図8で示されるように、スチレンブロック及びエチレンブロックを含む共重合体を有し、樹脂成分におけるスチレン含量が特定範囲である実施例の樹脂組成物は、比較例1のLDPEに比べ、電界に対する体積抵抗率のプロットの傾きが小さく、抵抗の電界依存性が小さくなっている。本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、このように、抵抗の電界依存性が小さく、樹脂組成物中に電荷が注入及び漏洩し難いことが考えられる。
また、図9に示されるように、実施例1〜4の樹脂組成物は、比較例1のLDPEに比べ、体積抵抗率の温度依存性が小さくなっている。
さらに、図11で示されるように、実施例1、3及び5の樹脂組成物は、空間電荷蓄積抑制性に優れるものとなっている。比較例1のLDPEでは、アノードから発生する正極性パケット状電荷やサンプル厚みの中央付近で発生した負電荷が、徐々にカソード側へ移動する様子が見られる。これに対し、実施例1、3及び5の樹脂組成物では、電荷の発生、蓄積及び動きが十分に低減されており、空間電荷蓄積抑制性が大きく向上している。一方、比較例2、4及び6の樹脂組成物は、パケット状電荷の発生及び移動が見られるようになり、比較例1のLDPEと同様の挙動を示した。
本発明の電線・ケーブル用樹脂組成物は、抵抗の電界依存性及び温度依存性が小さく、かつ空間電荷蓄積抑制性に優れている。本発明の電線・ケーブルは、抵抗の電界依存性及び温度依存性並びに絶縁破壊耐性が向上している。

Claims (5)

  1. スチレンに由来する構造単位を含むスチレンブロックと、エチレンに由来する構造単位を含むエチレンブロックとを含む共重合体を有する樹脂成分を含有し、上記樹脂成分を構成する全構造単位に対する上記スチレンに由来する構造単位の含有割合が1.1モル%以上40モル%以下である電線・ケーブル用樹脂組成物。
  2. 上記樹脂成分がポリオレフィンをさらに有する請求項1に記載の電線・ケーブル用樹脂組成物。
  3. 直流送電用である請求項1又は請求項2に記載の電線・ケーブル用樹脂組成物。
  4. 導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、
    上記絶縁層が、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電線・ケーブル用樹脂組成物から形成されている電線・ケーブル。
  5. 導体と絶縁層とを少なくとも含む電線・ケーブルであって、
    上記絶縁層が、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電線・ケーブル用樹脂組成物の架橋体から形成されている電線・ケーブル。
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