JP2018034090A - γ―バレロラクトンの水素化触媒、およびその触媒を用いてγ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】γ—バレロラクトン(GVL)から、高い反応選択率と反応収率で1,4−ペンタンジオール(1,4−PDO)を得ることができる安価な触媒を提供すること。【解決手段】酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体を含む水素化触媒。γ—バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法は、以下のステップを含む。(a)反応装置を用意し、該装置中に水素化触媒を仕込むステップ、(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、(c)γ—バレロラクトンを用意するステップ、(d)水素ガスを用意するステップ、(e)γ—バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ—バレロラクトンの水素化を行うステップ。【選択図】なし
Description
本発明はγ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオール類を製造するための酸化銅と酸化亜鉛の複合体から形成される触媒、およびそれを用いてγ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオール類を製造する方法に関する。
近年、地球温暖化や石油資源枯渇問題から樹木などの植物性バイオマスを出発原料として、有用な化学原料を製造する技術に対する関心が高まってきている。そのため、バイオマスからバイオマス由来の化学物質を得るための研究が、近年数多くなされてきている。
その例として、例えばセルロースを硫酸などの強酸触媒により加水分解しレブリン酸を得る方法、及びセルロースをメタノール等のアルコール溶媒中で加溶媒分解してレブリン酸エステルを得る方法が知られている。前者が製造装置に耐腐食性の金属の使用、生成物から強酸を分離除去する煩雑な工程を有するなどのデメリットがあるのに対して、後者にはそのようなデメリットが少ない。そのために得られたレブリン酸エステルを化学原料として利用するプロセスに強い関心がもたれている。その利用プロセスの一つがレブリン酸エステル(以下、LEと略)を原料として、NiPt触媒によりγ―バレロラクトン(以下、GVLと略)を得るプロセスであり、特許文献1(例1の実験6)に具体例が示されている。
得られるGVLからは、機能性化学品、燃料添加剤などを誘導できる。またGVLを水素添加、開環して得られる1,4−ペンタンジオール(以下、1,4−PDOと略)(式3)も、ポリエステルなどの樹脂原料、メチルテトラヒドロフランなどの原料として期待されている。この1,4−PDOを工業的に安価に製造することが出来ると、樹脂製造のみならず、バイオマス化学産業全体の拡大にも大きく貢献することができる。
均一系分子触媒によりGVLから1,4−PDOを得る方法については、幾つかの研究がなされている。最大収率を得たのはSteinらの研究で、[Ru(Triphos)(TMM)]錯体触媒を用いて140℃、水素圧50バール、ジオキサン溶媒の条件で16時間反応させることにより、GVLから1,4−PDOを得ている(収率99%)(非特許文献1の表2)。この系は、使用している触媒が貴金属のRuを使用している点で高価であり、また溶媒中での反応のために、生成物の分離工程が煩雑であり、更に反応系から使用後の錯体触媒を分離除去するために複雑な処理を必要とする。更に平衡を生成系に移動させるために高圧水素を使用しており、そのために製造装置が高価となる欠点を有する。そのために、それらの欠点を改良した触媒反応系が求められてきた。
特許文献1には、レブリン酸エステルを水素添加、脱アルコール化してGVLを得る方法と共に、同じ貴金属触媒を使用して、更にGVLを水素化、開環するプロセスが示されている。しかしながらGVLを水素化する実施例(例えば例3の実験12)中の生成物はペンタン酸もしくはペンタン酸エステルであって、本願の目的物質である1,4−ペンタンジオールの生成は示されていない。
ラクトン環に固体触媒を使用して水素添加してジオールを得る方法としては、特許文献2にその例が示されている。この場合、7員環ラクトンのε―カプロラクトンを、銅、鉄、アルミニウムの複合酸化物触媒を使用して水素化、開環して、1,6−へキサンジオールを得る方法が示されている。しかしながら、特許文献2には、7員環ラクトンの開環の記述はあっても、5員環ラクトンの開環など他の反応は示されていない。
以上のような背景から、安価な不均一触媒を使用して、GVLから1,4−PDOを効率よく製造する方法が求められている。もしもGVLを効率よく水素化、開環し、1,4−PDOを得ることのできる不均一触媒が存在すれば、高圧反応装置を用いた複雑な処理を行わずに、経済的に1,4−PDOを得ることが可能と考えられる。しかしながらいまだそのような方法の提案も、またその提案を実現できる触媒は見出されておらず、今後の開発に期待が持たれている。
以上述べた如く、不均一固体触媒反応を使用して、GVLから1,4−PDOを効率よく得る方法は知られていない。そこで本発明では、水素化能を有する安価な不均一固体触媒を用いて、GVLの水素化を行い1,4−PDOを高収率で得ることを目的とした。
Thorsten vom Stein, et al. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 13217−13225
本発明の目的は、γ―バレロラクトン(GVL)から、高い反応選択率と反応収率で1,4−ペンタンジオール(1,4−PDO)を得ることができる安価な触媒を提供することである。
本発明の別の目的は、反応系から使用後の触媒の分離・除去が容易であって、GVLから1,4−PDOを、製造可能とする触媒を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、連続的に、GVLから1,4−PDOを、製造可能とする触媒を提供することにある。
本発明者等は、こうした実状に鑑み、従来技術の欠点を解決すべく鋭意研究した結果、本発明の課題を解決するための指針として次のような指針を得た。
(1)7員環ラクトン(ε―カプロラクトン)の水素化・開環の触媒として知られる銅鉄アルミニウム複合触媒(特許文献2)に着目し、その活性中心が銅にあると推察し、その改良を検討した。
(2)銅酸化物のみを成分とする触媒では、水素還元活性化によりシンタリングしやすいため、他の構造安定化機能がある金属との複合化が必要であり、Al、Cr,Si,Zrなど多くの金属元素との複合化を検討したが、1,4−PDOの高い収率は得られず、結果として亜鉛を銅と複合化することで高い性能を示すことを発見した。
(3)得られた銅亜鉛複合触媒の活性を向上させるためには、触媒表面積を大きくして多孔質とすることが好ましく、更にその多孔質表面上で還元金属銅が多く露出していることが好ましい。
(4)活性の高い還元銅の露出面積を大きくとるために、触媒中の酸化銅の重量組成を30重量%以上とすることが、反応性向上の点で好ましい。
(5)本発明の目的物質である1,4―PDOを高収率で得るためには、触媒とともに、反応装置の構造も重要である。上記非特許文献1に見られるようなバッチ反応は、連続的に1,4−PDOの生産ができず、触媒の分離などの手順が必要となるため、トータルの1,4−PDOの生産効率が悪い点で好ましくない。
(6)そこで溶液反応に代えて、流通反応系を使用すると、生成物に触媒のコンタミネーションが少なく、生成物の回収が容易となり、エネルギー消耗を節約できる。
(7)反応温度は100℃〜330℃、特に130〜200℃が好ましい。下限温度を、生成物(1,4−PDO)の1気圧での沸点(73℃)より十分に高い温度で反応させることにより触媒から1,4−PDOの離脱が容易となり、反応速度が上昇する。
(8)反応温度の上限は、原料であるGVLの沸点(1気圧、207℃)より低い温度が好ましい。その理由は明確ではないが、発熱反応であるため、GVLと1,4−PDOの化学平衡によりそのような温度が好ましいこと、また1気圧での沸点より低くともGVLが水素ガスにより十分に希釈されてミスト状、もしくは気体に近い状態となって、触媒と十分な接触が可能となっていることが、理由として推察された。
(1)7員環ラクトン(ε―カプロラクトン)の水素化・開環の触媒として知られる銅鉄アルミニウム複合触媒(特許文献2)に着目し、その活性中心が銅にあると推察し、その改良を検討した。
(2)銅酸化物のみを成分とする触媒では、水素還元活性化によりシンタリングしやすいため、他の構造安定化機能がある金属との複合化が必要であり、Al、Cr,Si,Zrなど多くの金属元素との複合化を検討したが、1,4−PDOの高い収率は得られず、結果として亜鉛を銅と複合化することで高い性能を示すことを発見した。
(3)得られた銅亜鉛複合触媒の活性を向上させるためには、触媒表面積を大きくして多孔質とすることが好ましく、更にその多孔質表面上で還元金属銅が多く露出していることが好ましい。
(4)活性の高い還元銅の露出面積を大きくとるために、触媒中の酸化銅の重量組成を30重量%以上とすることが、反応性向上の点で好ましい。
(5)本発明の目的物質である1,4―PDOを高収率で得るためには、触媒とともに、反応装置の構造も重要である。上記非特許文献1に見られるようなバッチ反応は、連続的に1,4−PDOの生産ができず、触媒の分離などの手順が必要となるため、トータルの1,4−PDOの生産効率が悪い点で好ましくない。
(6)そこで溶液反応に代えて、流通反応系を使用すると、生成物に触媒のコンタミネーションが少なく、生成物の回収が容易となり、エネルギー消耗を節約できる。
(7)反応温度は100℃〜330℃、特に130〜200℃が好ましい。下限温度を、生成物(1,4−PDO)の1気圧での沸点(73℃)より十分に高い温度で反応させることにより触媒から1,4−PDOの離脱が容易となり、反応速度が上昇する。
(8)反応温度の上限は、原料であるGVLの沸点(1気圧、207℃)より低い温度が好ましい。その理由は明確ではないが、発熱反応であるため、GVLと1,4−PDOの化学平衡によりそのような温度が好ましいこと、また1気圧での沸点より低くともGVLが水素ガスにより十分に希釈されてミスト状、もしくは気体に近い状態となって、触媒と十分な接触が可能となっていることが、理由として推察された。
上記の指針を基に、酸化銅と酸化亜鉛を組み合わせることにより、すなわち銅と亜鉛の酸化物複合体を用いることにより、GVLから1,4−PDOを高選択率、高収率で得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下に関する:
1.以下の化学式(1):
1.以下の化学式(1):
で表されるγ―バレロラクトンから以下の化学式(2)
で表される1,4−ペンタンジオールを製造するための水素化触媒であって、酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体を含む水素化触媒。
2.上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、上記1に記載の触媒。
3.水素還元して活性化された、上記1または2に記載の触媒。
4.上記酸化物複合体が、金属銅をさらに含む、上記3に記載の触媒。
5.銅の含有量が、酸化銅に換算して、上記複合体を基準として30〜95重量%である、上記1〜4のいずれか1つに記載の触媒。
6.亜鉛の含有量が、酸化亜鉛に換算して、上記複合体を基準として5〜70重量%である、上記1〜5のいずれか1つに記載の触媒。
7.触媒表面に金属銅が存在している、上記4〜6のいずれか1つに記載の触媒。
8.比表面積が20〜300m2/gである、上記1〜7のいずれか1つに記載の触媒。
9.以下のステップ:
(a)反応装置を用意し、該装置中に上記1、2、5、6または8のいずれか1つに記載の触媒を仕込むステップ、
(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、
(c)γ―バレロラクトンを用意するステップ、
(d)水素ガスを用意するステップ、
(e)γ―バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、
(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ―バレロラクトンの水素化を行うステップ、
を含む、
γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法。
10.反応装置が流通式反応装置である、上記9に記載の製造方法。
11.γ―バレロラクトンと水素ガスの混合物を、反応装置中の触媒に100〜330℃の温度条件で接触させる、上記9または10に記載の製造方法。
12.反応温度が130〜200℃である、上記11に記載の製造方法。
13.反応装置中の水素ガスの圧力が0.1〜15MPaである上記9〜12のいずれか一つに記載の製造方法。
14.以下のステップ:
(i)銅化合物および亜鉛化合物を塩基性溶液と混合して沈澱させるステップ、
(ii)得られた沈殿物を焼成して、銅と亜鉛の複合酸化物を得るステップ、および
(iii)得られた複合酸化物を水素還元により活性化するステップ、
を含む、上記3〜8のいずれか1つに記載の触媒を製造する方法。
15.ステップ(ii)における焼成が、150〜800℃の温度で行われる、上記14に記載の方法。
16.酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体の、γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造するための水素化触媒としての使用。
17.上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、上記16に記載の使用。
2.上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、上記1に記載の触媒。
3.水素還元して活性化された、上記1または2に記載の触媒。
4.上記酸化物複合体が、金属銅をさらに含む、上記3に記載の触媒。
5.銅の含有量が、酸化銅に換算して、上記複合体を基準として30〜95重量%である、上記1〜4のいずれか1つに記載の触媒。
6.亜鉛の含有量が、酸化亜鉛に換算して、上記複合体を基準として5〜70重量%である、上記1〜5のいずれか1つに記載の触媒。
7.触媒表面に金属銅が存在している、上記4〜6のいずれか1つに記載の触媒。
8.比表面積が20〜300m2/gである、上記1〜7のいずれか1つに記載の触媒。
9.以下のステップ:
(a)反応装置を用意し、該装置中に上記1、2、5、6または8のいずれか1つに記載の触媒を仕込むステップ、
(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、
(c)γ―バレロラクトンを用意するステップ、
(d)水素ガスを用意するステップ、
(e)γ―バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、
(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ―バレロラクトンの水素化を行うステップ、
を含む、
γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法。
10.反応装置が流通式反応装置である、上記9に記載の製造方法。
11.γ―バレロラクトンと水素ガスの混合物を、反応装置中の触媒に100〜330℃の温度条件で接触させる、上記9または10に記載の製造方法。
12.反応温度が130〜200℃である、上記11に記載の製造方法。
13.反応装置中の水素ガスの圧力が0.1〜15MPaである上記9〜12のいずれか一つに記載の製造方法。
14.以下のステップ:
(i)銅化合物および亜鉛化合物を塩基性溶液と混合して沈澱させるステップ、
(ii)得られた沈殿物を焼成して、銅と亜鉛の複合酸化物を得るステップ、および
(iii)得られた複合酸化物を水素還元により活性化するステップ、
を含む、上記3〜8のいずれか1つに記載の触媒を製造する方法。
15.ステップ(ii)における焼成が、150〜800℃の温度で行われる、上記14に記載の方法。
16.酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体の、γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造するための水素化触媒としての使用。
17.上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、上記16に記載の使用。
上述したところからわかるように本発明によれば、安価で安全性の高い触媒を用いて、連続的にGVLから1,4−ペンタンジオール類を高選択率、高収率で得ることができる。
本発明で使用されるGVLの起源は特に限定はされないが、本発明の態様の一つでは、前記の化学式(1)で表されるGVLは、草木類などの植物性バイオマス由来のレブリン酸及びエステルから得られるものであり、特に植物性バイオマス中の主成分のリグノセルロースから誘導されるレブリン酸、及びその誘導体であるレブリン酸メチルエステルから得られるGVLであることができる。また、他の態様では糖、でんぷんなど種々の炭水化物から誘導されるGVLも好適に使用できる。
本発明による1,4−ペンタンジオール化合物合成に使用される触媒は、銅と亜鉛の複合触媒、具体的には、酸化銅と酸化亜鉛とを含む酸化物複合体の形態のものである。本発明の1つの実施態様において、上記触媒は固体である。
また、本発明の1つの好ましい実施態様では、上記酸化物複合体は、銅と亜鉛を複合酸化物の形態で含む。ここで、「複合酸化物」とは、同一構造内に酸素以外の原子が2種類以上ある酸化物を意味し、従って、銅と亜鉛の複合酸化物は、同一構造内に銅と亜鉛を有する酸化物である。なお、本明細書では、上記複合酸化物に含まれる銅および亜鉛を、それぞれ酸化銅および酸化亜鉛と呼ぶこともある。
上記酸化物複合体は、水素気流中で還元して最終の活性触媒とすることができる(触媒の活性化)。
このような触媒を使用してGVLの水素化、開環を行うことにより、目的生成物である1,4−ペンタンジオールを得ることができる。
本発明の触媒を構成する金属元素は、銅と亜鉛が主成分である。選択性や転化率を向上するために1種または複数種の他の金属元素を意図的に添加することも場合によっては可能である。また、意図的でなくとも他の金属元素が不純物などとして混入することもありうる。いずれの場合であっても、他の金属元素の量は、全金属量を100質量部として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。本発明の1つの好ましい実施態様では、上記触媒における銅の含有量も、亜鉛の含有量も、他の金属元素(もし含まれている場合)の含有量より高い。
また、本発明の1つの態様において、上記酸化物複合体は、銅および亜鉛以外の金属元素を実質的に含まない。すなわち、この態様において、上記酸化物複合体は、金属元素として実質的に銅および亜鉛のみを含み、例えば銅と亜鉛の複合酸化物のみを実質的に含む。
ここにおいて銅含有量が高い程、反応収率が高いことから、銅原子が露出する表面積が高いほど反応速度は大きくなると考えられる。このことから、開環反応の際に、水素ガスが吸着してGVLの水素化を起こす活性点は、銅金属原子にあると考えられる。また触媒とGVLとの接触面積が大きい程、反応速度にとって好ましく、そのため触媒は多孔質構造を取ることが好ましい。その多孔質構造は、例えば、後述する触媒の製造工程において、金属水酸化物を加熱して酸化物を形成する際に、水やCO2が抜ける際に形成される。
また、本発明の触媒が活性化されると、複合酸化化合物中の酸化銅の少なくとも一部は金属銅に還元される。活性化後の触媒において、このメタルの銅は水素吸着サイトになる。
本発明の1つの実施態様において、上記触媒は、水素還元して活性化されている。また、本発明のさらなる実施態様において、上記触媒は、水素還元により活性化された触媒であり、金属銅を含む。上記金属銅は、好ましくは触媒表面に存在している。
なお、上記の活性化触媒は、銅と亜鉛の複合酸化物の少なくとも一部の還元の結果、金属銅を含む。しかしながら、複合酸化物の多孔質構造はランダムなものであり、複合酸化物の還元は、活性化処理毎に複合酸化物上において必ずしも均一に起こるものではないため、活性化後の触媒における金属酸化物および金属銅の分布状態や物理量を正確に把握することは、出願時点において不可能であるかまたは少なくとも非実際的である。また、還元後の触媒は、不安定なため、空気に触れるだけで着火する危険があるほど、変化しやすい。そのため、還元状態の構造や化学組成を分析するための化学分析は、実際上不可能である。よって、上記活性化触媒の構造や特性を、上記の特定(例えば、「水素還元して活性化された」、「金属銅をさらに含む」および「触媒表面に金属銅が存在している」という文言による特定)以上にさらに具体的に直接特定することは、不可能であるか、または少なくとも非実際的である。
本発明の1つの好ましい態様において、上記活性化触媒における上記酸化物複合体は、銅および亜鉛以外の金属元素を実質的に含まない。この態様において、好ましくは、上記酸化物複合体は、金属元素として実質的に銅および亜鉛のみを含み、例えば、銅と亜鉛の複合酸化物および金属銅のみを実質的に含む。
上記のような多孔質構造を取らせるために銅と組み合わせる酸化物として種々の金属酸化物を探索したところ、性能と経済性の両方を満たし、且つ毒性の低い酸化物として酸化亜鉛が特に好ましいことを見出した。酸化亜鉛が好ましい理由は現在検討中であるが、複合体の多孔質構造や、触媒表面の銅の分散状態が、反応に好ましい状態となっていることが推察され、また水素ガス、GVLガスの吸着が、金属銅のみならず金属酸化物によっても変化し、酸化亜鉛の酸または塩基性がGVLの水素化、もしくは1,4−PDOへの転換をアシストしやすいものと推察される。
本発明の1つの実施態様において、上記金属酸化物複合体における銅の含有量は、酸化銅(CuO)に換算して、上記酸化物複合体100重量%を基準として、20〜95重量%であることができる。銅の含有量が小さすぎると目的の1,4−PDO の収率が低下する傾向があり、銅の含有量が大きすぎても銅の分散状態が悪く、シンタリングしやすいため同様に収率が低下し、また触媒寿命が低下しやすい。このような観点から、銅の含有量は、酸化銅(CuO)に換算して、酸化物複合体100重量%を基準として、好ましくは25〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、例えば40〜60重量%である。本発明の1つの実施態様において、上記の銅含有量は、酸化銅における銅の含有量と金属銅としての銅の含有量の合計であることができる。
また、本発明の1つの実施態様において、上記酸化物複合体における亜鉛の含有量は、酸化亜鉛(ZnO)に換算して、上記酸化物複合体100重量%を基準として、20〜75重量%、より好ましくは30〜70重量%、例えば40〜60重量%である。
さらに、本発明の1つの実施態様において、上記酸化物複合体における、銅と亜鉛のモル比は、例えば1:3〜4:1、より好ましくは1:2.5〜2.5:1、例えば1:1.5〜1.5:1であることができる。収率の低下を防ぎ、触媒の物理的強度も維持する観点から、上記モル比はこれらの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記酸化物複合体における銅および亜鉛の含有量、ならびに上記酸化物複合体における銅と亜鉛とのモル比は、例えば、高周波誘導結合プラズマ発光分析機(ICP)(例えば島津製作所(株)製、型式ICPS−8100)を用いて上記酸化物複合体中の銅と亜鉛の量を測定し、それらを適宜、酸化銅(CuO)や酸化亜鉛(ZnO)に換算するか、あるいはモルに換算することにより、決定することができる。
本発明に使用する触媒の比表面積は、20〜300m2/g(BET法測定)であることが好ましい。比表面積が小さすぎる場合には、反応速度が低下し、また比表面積が大きすぎる場合には、触媒の機械的強度が低下して、高温反応における触媒劣化が進みやすい。より好ましい該銅系触媒のBET比表面積は、20〜200m2/gであり、更に好ましくは20〜150m2/gである。
なお、比表面積は、JIS8830に準じてBET法により測定することができる(液体窒素温度下での窒素ガスの吸着に基づく)。測定には、市販の比表面積測定装置(例えばマウンテック社製 型式Macsorb Model−1210)を用いることができる。前処理として試料を400℃で2時間保持し、前処理後の試料について、以下の測定条件で測定を行うことによりBET比表面積を求めることができる:
・処理ガス:窒素を30体積%、ヘリウムを70体積%含む混合ガス(相対圧P/P0=0.1〜0.3に相当)
・測定方法: 一点法。
・処理ガス:窒素を30体積%、ヘリウムを70体積%含む混合ガス(相対圧P/P0=0.1〜0.3に相当)
・測定方法: 一点法。
本発明の触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分、たとえばタブレット化助剤(例えばグラファイト)や不活性な充填材を含んでいてもよい。本発明の1つの実施態様において、本発明の触媒は、実質的に上記の酸化物複合体、ならびにタブレット化助剤および/または充填剤のみからなることもできる。本発明の他の実施態様において、本発明の触媒は、実質的に上記の酸化物複合体のみからなることもできる。
本発明による触媒は、例えば、以下のようにして製造することができる。
本発明による触媒は、例えば、銅化合物と、亜鉛化合物を、塩基性溶液と混合し、沈殿させ、この沈殿物を、例えばろ過による回収、洗浄および乾燥の後に、焼成することによって得られる。具体的な方法としては、例えば銅化合物と亜鉛化合物を含む溶液に塩基性溶液、例えば炭酸ナトリウム溶液や水酸化ナトリウム溶液、を加えて前記化合物を沈殿させる方法、すなわち共沈法がある。なお、触媒の調製は、例えば、はじめに一成分を含む溶液に塩基性溶液を加えて一成分を沈殿させ、ついで、該沈殿物を含む液中で残りの成分を同様に沈殿させる方法、すなわち逐次沈殿法で行うこともできる。いずれの方法においても、触媒調製の主原料は、銅化合物および亜鉛化合物であり、水、メタノールなどの金属を含まない液体に溶解するものが用いられる。このような化合物としては、例えばそれぞれの元素の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩などが挙げられる。また、いずれの方法であっても、沈澱剤を用いることができる。沈殿剤としては、炭酸ナトリウム、尿素、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性溶液を用いることができる。
沈殿物は、調製後、空気中で例えば150〜800℃、好ましくは200〜700℃で、例えば1〜10時間、好ましくは2〜6時間、焼成して酸化物の状態にすることが必要である。このようにすることにより、安定な複合体とすることができる。焼成しないか、150℃未満の温度で焼成するか、あるいは800℃を越える温度で焼成すると性能が低下する。上記のことから、本発明の水素化触媒の製造方法は、一つの態様では、銅化合物と亜鉛化合物を含む溶液に塩基性溶液を加えて金属水酸化化合物または金属塩基性炭酸塩化合物を沈殿させた後、この沈殿物を150〜800℃、好ましくは200〜700℃、例えば350〜650℃、より好ましくは400〜600℃、例えば450〜550℃の温度で焼成して、複合酸化物とすることを含む。
また他の態様として、該触媒の製造には前記の沈殿法の他に、含浸法も使用できる。この方法では、酸化亜鉛に銅化合物を含浸し、または酸化銅に亜鉛化合物を含浸し、次いで焼成を行う。焼成条件は上記と同じである。
なお、銅化合物および亜鉛化合物の量(含浸法の場合には、酸化亜鉛および銅化合物の量、あるいは酸化銅および亜鉛化合物の量)を目的の割合に応じて適宜設定することにより、触媒における銅含有量、亜鉛含有量および銅と亜鉛とのモル比を調節することができる。
本発明の水素化触媒の形状は特に限定はされないが、例えば粉末の形状にすることができる。また、本発明の複合酸化物触媒は、その形状、表面構造、表面積などを安定に維持できるように、造粒などの成形処理を行って使用することも好ましい。そのことによってGVLの反応速度を長時間にわたり安定化させることができる。触媒の成形に用いる方法は、公知の方法を使用できる。成形した後の触媒粒子径や形状は、反応の方式、反応器の形状に応じて任意に選択し得る。例えば、上記触媒の成形体の形状は、例えば粒径が0.1mm〜10mm、より好ましくは0.2〜7mm、さらに好ましくは1〜5mm程度の、顆粒状、ペレット、円筒状、錠剤などの形態であることができる。
本発明の1つの実施態様において、上記複合酸化物は、水素による還元前処理を必要とする。この活性化処理により、複合酸化物中の酸化銅の少なくとも一部が銅に還元される。その処理は、水素の存在下に、上記複合酸化物を、好ましくは温度を120〜380℃、特に好ましくは200〜300℃に加熱することにより行われる。好ましくは、上記加熱は、温度が徐々に上昇するように行われる。
活性化処理に使用する還元水素ガスは、純水素ガスでもよいし、または水素と不活性ガス(例えば窒素、アルゴン)との1〜5倍の希釈ガスであってもよい。例えば、ボンベ入りで供給される通常の水素ガスを使用することが出来る。例えば、水素ガスは、50〜150cm3/分の流量で供給することができる。活性化処理の後、触媒として使用可能になる。活性化処理は、活性化用の反応器の寸法と設計によって異なるが、通常は約0.5〜48時間行われる。
活性化のための装置は特に限定されない。本発明の1つの実施態様において、1,4−PDO製造に使用する反応装置、たとえば、流通式反応装置を活性化のための装置としてもそのまま用いることもできる。例えば、該装置に予め調製された触媒の所定量を入れたのち、水素還元して活性な触媒を調製し、ひき続き、これに原料のGVLと水素ガスを供給して1,4−PDOを製造することができる。
本発明の1つの実施態様において、本発明は、
以下のステップ:
(i)銅化合物および亜鉛化合物を塩基性溶液と混合して沈澱させるステップ、
(ii)得られた沈殿物を焼成して、銅と亜鉛の複合酸化物を得るステップ、および
(iii)得られた複合酸化物を水素還元により活性化するステップ、
を含む、上記触媒を製造する方法に関する。
以下のステップ:
(i)銅化合物および亜鉛化合物を塩基性溶液と混合して沈澱させるステップ、
(ii)得られた沈殿物を焼成して、銅と亜鉛の複合酸化物を得るステップ、および
(iii)得られた複合酸化物を水素還元により活性化するステップ、
を含む、上記触媒を製造する方法に関する。
上記のようにして調製した触媒を使用してGVLの水素化反応を行うことにより、目的生成物である1,4−ペンタンジオールを得ることができる。
GVLの水素化反応は、例えば、上記触媒をGVLに添加し、それらを混合した後にまたは混合しながら、水素の存在下で加熱することによって行うことができる。当該水素化反応の結果、GVLの開環により、所望の目的生成物である1,4−ペンタンジオールを得ることができる。
このようなGVLの水素化反応に当たって、上記触媒の量は、十分な反応速度と良好な転化率の達成や費用対効果等の観点から、GVL100重量部%に対して、例えば1〜60重量%であることができ、好ましくは2〜50重量部%、例えば5〜40重量%、10〜30重量部%、20〜30重量%または25〜30重量%であることができる。
また、水素化反応は、常圧または加圧下で行うことができる。好ましくは、水素化反応は、0.05〜15.0MPa、より好ましくは0.1〜10.0MPaの水素ガス圧力下で行われる。
本発明における水素化反応の反応時間は、短すぎると十分な1,4−ペンタンジオールの収率を達成することができないため、好ましくは15分間以上であり、より好ましくは30分間以上である。ただし、長すぎる場合にはコスト増加や副生成物の発生の増加が懸念される。このような観点から、反応時間は、30分間〜10時間であることが好ましく、1時間〜7時間であることがより好ましい。
本発明では、上記反応は、いわゆるバッチ式で行うことも、または流通式で連続的に行うことも可能である。バッチ式で行った場合でも、本発明の触媒の場合には、反応終了後に目的生成物を触媒から容易に分離・回収することができる。好ましくは、上記反応は、流通式で連続的に行われる。
GVLの水素化反応に使用される水素ガスとしては、前記触媒活性化用のものと同様のものが使用できる。すなわち純水素ガス、または水素と不活性ガス(例えば窒素、アルゴン)との希釈ガスを使用でき、例えば、ボンベ入りで供給される通常の水素ガスを使用することができる。
本発明の1,4−PDO合成に使用する製造装置としては、所定温度下、触媒が収納された容器中で水素と原料(GVL)を接触させながら反応させ、容器から生成した1,4−PDOなどを取り出すことができれば、いずれの構造を有する装置も使用できる。その中でも特に固定床流通式反応装置、それも常圧または加圧方式の装置が特に好ましい。気相流通式反応装置が特に好ましい理由は、密閉式反応装置では生成物が反応時、触媒周辺に滞留しやすいため、反応原料と触媒が接触するのが妨げられ、結果として収率が低下しやすいためである。それに対して気相流通式の場合、生成物である1,4−PDOが触媒周辺からすばやく除去され、反応原料と触媒の接触頻度が高まる。
反応装置として流通式反応装置を使用する場合、原料であるGVLを流通式反応装置に供給する方法は、特に限定されるものではないが、水素ガス中にGVLをミスト状に放散して供給する方式が特に好ましい。GVLの沸点は207℃と比較的高いが、発熱反応なので化学平衡には低温が有利である。
触媒を通過した原料ガスと生成物の混合ガスの一部を、再度触媒容器に導き循環して反応させるとより高い収率を実現することもできる。
GVLの水素化温度が低すぎると転化率が低下し、当該温度が高すぎると反応収率の低下を招くおそれがある。従って、GVLの水素化温度は、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは130〜200℃である。
充填される触媒量や、GVLおよび水素などの反応ガスの流量は、反応装置の大きさ、必要とする収率などのパラメーターを考慮して最適に設計される。
例えば、上記触媒は、0.05〜10gの量で反応装置に充填することができる。
GVLは、例えば0.05〜2g/時、好ましくは0.1〜1g/時の流量で、反応装置に供給することができる。また、水素ガスは、例えば10〜300cm3/分、好ましくは50〜200cm3/分の流量で反応装置に供給することができる。
ここで触媒への水素ガス供給圧力は0.05〜15.0MPaが好ましい。この範囲以下だと周囲の大気圧より著しく低くなるため、反応系に空気が入りやすくなり、この範囲以上だと高圧仕様の製造装置となり、高コストとなりやすい。水素ガス圧力のより好ましい範囲は0.1〜10.0MPaである。
本発明の1つの態様において、本発明は、以下のステップ:
(a)反応装置を用意し、該装置中に上記触媒を仕込むステップ、
(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、
(c)γ―バレロラクトンを用意するステップ、
(d)水素ガスを用意するステップ、
(e)γ―バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、
(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ―バレロラクトンの水素化を行うステップ、
を含む、
γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法に関する。
(a)反応装置を用意し、該装置中に上記触媒を仕込むステップ、
(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、
(c)γ―バレロラクトンを用意するステップ、
(d)水素ガスを用意するステップ、
(e)γ―バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、
(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ―バレロラクトンの水素化を行うステップ、
を含む、
γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法に関する。
この態様において、上記触媒は、反応装置へ仕込む前に予め活性化してもよく、あるいは反応装置内で活性化してもよい。反応装置内で活性化する場合には、γ―バレロラクトンおよび水素ガスの供給前に上記触媒を活性化してもよいし、あるいはγ―バレロラクトンおよび水素ガスの供給後の水素化反応の間に上記水素ガスによって活性化してもよい。後者のように、別途活性化を行わなくとも、水素ガスの存在により、γ―バレロラクトンの水素化反応の実施中に上記触媒は水素還元されるので、それにより上記触媒を活性化することもできる。
また、本発明の別の実施態様において、本発明は、酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体の、γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造するための水素化触媒としての使用に関する。本発明の1つの好ましい態様において、上記酸化物複合体は、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
a)触媒製造
撹拌装置を備える容器中に水1.5lを予め装入し、80℃に加熱する。この沈殿容器中に水2000mlを投入した後、1時間かけてCu(NO3)2・2.5H2Oの731g、およびZn(NO3)2・6H2Oの800gを仕込んだ。この仕込液を攪拌しながら、20質量%の水酸化ナトリウム溶液を、沈殿容器中のpH値が8に達するまで供給した。続いて同じpH値で更に15分間攪拌を継続する。水酸化ナトリウム溶液の全使用量は5.6kgである。生じた懸濁液を濾別した後、水洗を行う。排出される洗浄水がナトリウムをもはや含有しなくなるまで(<25ppm)洗浄を行う。次に、得られたフィルターケーキを120℃で乾燥し、引き続き250℃で5時間焼成する。ここにおいて焼成とは、固体原料を加熱し、熱分解により揮発性成分を脱出させ,安定な生成物を取得する処理をさす。そのように製造された触媒(銅亜鉛触媒1)の酸化物組成はCuOが53.3重量%およびZnOが46.7重量%である.この触媒粉末400gを粒度が1mm以下となるまで破砕した後、グラファイト粉末12gと混合し、錠剤成形機により直径3mmおよび高さ3mmの錠剤に打錠する。
a)触媒製造
撹拌装置を備える容器中に水1.5lを予め装入し、80℃に加熱する。この沈殿容器中に水2000mlを投入した後、1時間かけてCu(NO3)2・2.5H2Oの731g、およびZn(NO3)2・6H2Oの800gを仕込んだ。この仕込液を攪拌しながら、20質量%の水酸化ナトリウム溶液を、沈殿容器中のpH値が8に達するまで供給した。続いて同じpH値で更に15分間攪拌を継続する。水酸化ナトリウム溶液の全使用量は5.6kgである。生じた懸濁液を濾別した後、水洗を行う。排出される洗浄水がナトリウムをもはや含有しなくなるまで(<25ppm)洗浄を行う。次に、得られたフィルターケーキを120℃で乾燥し、引き続き250℃で5時間焼成する。ここにおいて焼成とは、固体原料を加熱し、熱分解により揮発性成分を脱出させ,安定な生成物を取得する処理をさす。そのように製造された触媒(銅亜鉛触媒1)の酸化物組成はCuOが53.3重量%およびZnOが46.7重量%である.この触媒粉末400gを粒度が1mm以下となるまで破砕した後、グラファイト粉末12gと混合し、錠剤成形機により直径3mmおよび高さ3mmの錠剤に打錠する。
b)反応設備と触媒活性化
触媒4.0グラムを反応管に設置し、水素ガスを90cm3/分で流しながら、250 ℃に保ちながら1時間触媒活性化処理(還元)を行った。
触媒4.0グラムを反応管に設置し、水素ガスを90cm3/分で流しながら、250 ℃に保ちながら1時間触媒活性化処理(還元)を行った。
c)水素化
GVLを原料供給用のシリンジポンプから0.4g/時の速度で反応装置に供給した。同時に水素ガスボンベからの純水素ガスをバルブ制御しながら90cm3/分の流量で供給し、GVLと水素は反応器上部で混合・加熱される。続いて140℃の銅亜鉛複合酸化物触媒層(触媒4.0g)と接触させて、5時間、水素化反応を行った(水素圧 1.5Mpa)。反応装置から出たガスをガスクロマトグラフ装置でガス成分分析を行いつつ、ドライアイスで冷却した容器に液体生成物を貯留した。液体生成物を分析したところ、それぞれモル基準で、γ―バレロラクトンの転化率が33.6%、1,4−PDOの選択率は90.5%であった。
GVLを原料供給用のシリンジポンプから0.4g/時の速度で反応装置に供給した。同時に水素ガスボンベからの純水素ガスをバルブ制御しながら90cm3/分の流量で供給し、GVLと水素は反応器上部で混合・加熱される。続いて140℃の銅亜鉛複合酸化物触媒層(触媒4.0g)と接触させて、5時間、水素化反応を行った(水素圧 1.5Mpa)。反応装置から出たガスをガスクロマトグラフ装置でガス成分分析を行いつつ、ドライアイスで冷却した容器に液体生成物を貯留した。液体生成物を分析したところ、それぞれモル基準で、γ―バレロラクトンの転化率が33.6%、1,4−PDOの選択率は90.5%であった。
実施例2
触媒の焼成温度は400℃にすること以外、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成温度は400℃にすること以外、実施例1と同様に実施した。
実施例3
触媒の焼成温度は450℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成温度は450℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
実施例4
触媒の焼成温度は500℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成温度は500℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
実施例5
触媒の焼成処理温度は550℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成処理温度は550℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
実施例6
触媒の焼成温度は600℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成温度は600℃にする以外、実施例1と同様に実施した。
実施例7
触媒の焼成温度は700℃にした以外は、実施例1と同様に実施した。
触媒の焼成温度は700℃にした以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例8
CuOの含有量が33%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒1、クラリアント株式会社、製品名T−2130)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
CuOの含有量が33%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒1、クラリアント株式会社、製品名T−2130)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
実施例9
CuOの含有量が42%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒2、クラリアント株式会社、製品名ShiftMax210)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
CuOの含有量が42%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒2、クラリアント株式会社、製品名ShiftMax210)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
実施例10
CuOの含有量が58%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒3、クラリアント株式会社、製品名ShiftMax230)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
CuOの含有量が58%であるCuO/ZnO系触媒(市販触媒3、クラリアント株式会社、製品名ShiftMax230)を使用した以外は、実施例1と同じように水素還元、水素化反応を実施した。
比較例1
CuOの含有量が42%であるCuO/Cr2O3系触媒(市販触媒4、日揮触媒化成, 製品名N201)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
CuOの含有量が42%であるCuO/Cr2O3系触媒(市販触媒4、日揮触媒化成, 製品名N201)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
比較例2
市販CuOの含有量が53%であるCuO/Al2O3系触媒(市販触媒5、日揮触媒化成,製品名 N−242)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
市販CuOの含有量が53%であるCuO/Al2O3系触媒(市販触媒5、日揮触媒化成,製品名 N−242)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
比較例3
市販CuOの含有量が34%であるCuO/SiO2系触媒(市販触媒6、クラリアント株式会社, 製品名G−108B)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
市販CuOの含有量が34%であるCuO/SiO2系触媒(市販触媒6、クラリアント株式会社, 製品名G−108B)を使用した以外は、実施例1と同じように実施した。
比較例4
CuO含有量は20%にし、硝酸亜鉛の代わりに硝酸ジルコニウムを使って実施例1のようにCuO/ZrO2触媒を調製した。このCuO/ZrO2触媒を使用して、実施例1と同様に水素化反応を実施した。
CuO含有量は20%にし、硝酸亜鉛の代わりに硝酸ジルコニウムを使って実施例1のようにCuO/ZrO2触媒を調製した。このCuO/ZrO2触媒を使用して、実施例1と同様に水素化反応を実施した。
実施例1〜11及び比較例1〜4の結果を表1に纏める。
この表1における生成物の化学構造式は、下記式4で示される。
以上の実施例、比較例から下記の知見が得られた。
(1)流通反応方式を用いて、銅−亜鉛複合酸化物を水素還元することにより、GVLから1,4−PDOを高収率かつ高選択率で得ることができた。
(2)GVLから1,4−PDOへの転化率を向上するには触媒の焼成温度が450〜600℃付近が好ましく、また銅組成比が大きいほど、活性が高い傾向を示した。
(3)亜鉛の代わりに、Cr,Al,Si,Zrなどの金属を用いて複合酸化物とすると、活性が著しく低下する。このことから、CuがZnの酸化物と複合化することにより、特異的に開環反応の活性が向上すると理解された。
(4)従来、銅系複合酸化物触媒により7員環ラクトンの開環反応が進むことは知られていた(特許文献2)。しかしながら、不均一触媒による5員環ラクトン(GVL)からジオールへの開環反応は見出されておらず、本願により初めて確認できた。
(5)水素ガスの水素は金属銅に吸着していると考えられることから、その理由の一つとして複合酸化物上にGVLが配位する際に、酸化亜鉛の酸または塩基性がラクトンの開環に特に好ましいことが考えられた。それ以外のAl,Cr,Si,Zrなどの酸化物を複合化しても、GVLの開環を行わせるほど大きな相互作用を示すことができないものと推察された。
(1)流通反応方式を用いて、銅−亜鉛複合酸化物を水素還元することにより、GVLから1,4−PDOを高収率かつ高選択率で得ることができた。
(2)GVLから1,4−PDOへの転化率を向上するには触媒の焼成温度が450〜600℃付近が好ましく、また銅組成比が大きいほど、活性が高い傾向を示した。
(3)亜鉛の代わりに、Cr,Al,Si,Zrなどの金属を用いて複合酸化物とすると、活性が著しく低下する。このことから、CuがZnの酸化物と複合化することにより、特異的に開環反応の活性が向上すると理解された。
(4)従来、銅系複合酸化物触媒により7員環ラクトンの開環反応が進むことは知られていた(特許文献2)。しかしながら、不均一触媒による5員環ラクトン(GVL)からジオールへの開環反応は見出されておらず、本願により初めて確認できた。
(5)水素ガスの水素は金属銅に吸着していると考えられることから、その理由の一つとして複合酸化物上にGVLが配位する際に、酸化亜鉛の酸または塩基性がラクトンの開環に特に好ましいことが考えられた。それ以外のAl,Cr,Si,Zrなどの酸化物を複合化しても、GVLの開環を行わせるほど大きな相互作用を示すことができないものと推察された。
Claims (16)
- 上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、請求項1に記載の触媒。
- 水素還元して活性化された、請求項1または2に記載の触媒。
- 上記酸化物複合体が、金属銅をさらに含む、請求項3に記載の触媒。
- 銅の含有量が、酸化銅に換算して、上記複合体を基準として30〜95重量%である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の触媒。
- 亜鉛の含有量が、酸化亜鉛に換算して、上記複合体を基準として5〜70重量%である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の触媒。
- 触媒表面に金属銅が存在している、請求項4〜6のいずれか1つに記載の触媒。
- 以下のステップ:
(a)反応装置を用意し、該装置中に請求項1、2、5または6のいずれか1つに記載の触媒を仕込むステップ、
(b)任意選択的に、上記触媒を水素還元により活性化するステップ、
(c)γ―バレロラクトンを用意するステップ、
(d)水素ガスを用意するステップ、
(e)γ―バレロラクトンおよび水素ガスを上記反応装置中に供給し、混合して、混合物を得るステップ、
(f)上記混合物を加熱し、上記触媒と接触させることにより、γ―バレロラクトンの水素化を行うステップ、
を含む、
γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造する方法。 - 反応装置が流通式反応装置である、請求項8に記載の製造方法。
- γ―バレロラクトンと水素ガスの混合物を、反応装置中の触媒に100〜330℃の温度条件で接触させる、請求項8または9に記載の製造方法。
- 反応温度が130〜200℃である、請求項10に記載の製造方法。
- 反応装置中の水素ガスの圧力が0.1〜15MPaである請求項8〜11のいずれか一つに記載の製造方法。
- 以下のステップ:
(i)銅化合物および亜鉛化合物を塩基性溶液と混合して沈澱させるステップ、
(ii)得られた沈殿物を焼成して、銅と亜鉛の複合酸化物を得るステップ、および
(iii)得られた複合酸化物を水素還元により活性化するステップ、
を含む、請求項3〜7のいずれか1つに記載の触媒を製造する方法。 - ステップ(ii)における焼成が、150〜800℃の温度で行われる、請求項13に記載の方法。
- 酸化銅と酸化亜鉛を含む酸化物複合体の、γ―バレロラクトンから1,4−ペンタンジオールを製造するための水素化触媒としての使用。
- 上記酸化物複合体が、酸化銅と酸化亜鉛を、銅と亜鉛の複合酸化物の形態で含む、請求項15に記載の使用。
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Cited By (2)
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CN110256198A (zh) * | 2019-07-12 | 2019-09-20 | 中国科学院兰州化学物理研究所 | 一种1,4-戊二醇的生产方法 |
CN115053021A (zh) * | 2020-01-27 | 2022-09-13 | 国立研究开发法人理化学研究所 | 阴极电极、阴极电极与基材的复合体、及阴极电极与基材的复合体的制造方法 |
-
2016
- 2016-08-30 JP JP2016167696A patent/JP2018034090A/ja active Pending
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