以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1.構成の概要:図1〜図4>
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の下側には、前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が設けられている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作に応じて演出に変化をもたらすための「枠演出ボタン13(手操作手段)」が設けられている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図5参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏するフルカラーLEDを内蔵した装飾ランプ45が複数設けられている。
(1−1.遊技盤:図2)
図2に示す遊技盤3は、発射された遊技球を案内する外内2本のガイドレール5a、5bからなる球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着され、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。この非遊技領域において、化粧板33の前面には左部コーナー飾り体33a、右部コーナー飾り体33bが設けられている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置36(LCD)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48が設けられている。センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長によって、このセンター飾り体48の上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下するようになっている。またセンター飾り体48には、その適所に、光演出効果を奏する盤面装飾LED33cが複数設けられている。
また遊技盤3の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、当り遊技中や図柄変動表示ゲーム中などにおいて所定の動作態様で動作可能に構成され、視覚的演出効果を奏する1または複数種類の可動体役物(図示せず)が配設されている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を左始動口34(第1の特別図柄用)と右始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて、横に並べて構成される第1特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1特別図柄表示手段)と第2特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお、上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また各種機能表示部には、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
センター飾り体48の左側の左流下経路3bには、左始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)が設けられ、その内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a(左始動口センサ34a:図5参照)が形成されている。またセンター飾り体48の右側の右流下経路3cには、下流部に、右始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41が設けられ、その内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ35a(右始動口センサ35a:図5参照)が形成されている。
左始動口34は、特別図柄表示装置38aにおける第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態の場合、遊技領域3a内の落下方向変換部材(遊技くぎ、風車44等)の作用により、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。具体的には、右始動口35を、開放または拡大可能にする開閉蓋47を備え、開閉蓋47が前方に突出した場合に遊技球が入球し易くなる。開閉蓋47は、普通図柄変動表示ゲームに当選した場合に、所定回数、所定時間突出する。
普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38bにおける第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この右始動口35の入賞領域は、開閉蓋47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と(図3A)、その開状態よりも入賞を困難または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される(図3B)。本実施形態では、開閉蓋47が非作動の場合、右始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側等には、一般入賞口43が適数個設けられており、それぞれの内部には遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図5参照)が形成されている。
普通変動入賞装置41(右始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図5参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図5参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、パチンコ遊技機1の奥行き方向を軸方向として回転可能に構成された片羽状部材52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には、右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(SW1)や遊動領域59等が形成されている。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、左始動口34は3個、右始動口35は1個、下大入賞口40は8個、右大入賞口50は15個、一般入賞口43は5個が払い出される。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお本明細書中では、説明の便宜のため、特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出された場合に限らず、入賞口に遊技球が入球した場合を含め「入賞」と称する場合がある。
(1−2.大入賞口内遊動領域:図3A〜3B、図4)
図2に示すように、右大入賞口50内には、遊技球を遊動領域59へと導く誘導路56が開口されており、片羽状部材52bにより開閉される。片羽状部材52bは、右大入賞口50を塞ぐ「閉鎖位置」(図2及び図3A参照)と、右大入賞口50を開放する「開放位置」(図3B参照)とに切り替え制御される。片羽状部材52bは、通常は「閉鎖位置」にあるが、ソレノイドにより駆動されて「開放位置」に回動変位すると、片羽状部材52bにより遊技球が右大入賞口50に入球し、誘導路56に案内され、センサSW1により検出される。
誘導路56はその下流の第1分岐点で2つの遊技球ルートに分岐される。1つは、入球した遊技球を、回転式の第1V抽選役物60(第1回転体役物61、第1ハズレ領域62(第1非特定領域)、第1V領域63(第1特定領域))へと導く第1誘導路56aであり、回転体役物により、第1V領域63を遊技球が通過する「V入賞(第1V入賞)」の可否を動的に判定する「回転体ルート」(Vチャンスルート1)を形成する。また、この「回転体ルート」は、回転体役物61に遊技球を通過させることによりV入賞の可否を時間をかけて判定する、という意味で、「低速ルート」とも称される。他の1つは、入球した遊技球を、固定式の第2V抽選役物64(固定の第2ハズレ領域72(第2非特定領域)、第2V領域73(第2特定領域))へと導く第2誘導路56bであり、固定の第2ハズレ領域72と第2V領域73のいずれを遊技球が通過するか、というだけで、第2V領域73を遊技球が通過する「V入賞(第2V入賞)」の可否を高速に判定する「高速ルート」(Vチャンスルート2)を形成する。また、この第2誘導路56bは、V入賞の可否を回転体役物によらずに静的に判定するという意味で「非回転体ルート」とも称される。
誘導路56の上記第1分岐点には、回転体ルート(Vチャンスルート1)と高速ルート(非回転体ルート:Vチャンスルート2)とを所定の時間間隔パターンで交互に切り替える動作を所定時間長さだけ行う突没式の高低振分け部材57が設けられ、この高低振分け部材57によって、入賞球は第1誘導路56aと第2誘導路56bのいずれかに振り分けられる。上記の高低振分け部材57は、遊技球を、V入賞率が相対的に高いルート(回転体ルート)とV入賞率が相対的に低いルート(非回転体ルート)のいずれかに振り分けることから「高低振分け弁」としても作用する。
この実施形態の場合、高低振分け部材57(第1振分板)は、誘導路56内に挿抜可能に設けられており、主制御部20が司る高低振分け部材用ソレノイドSOL1(図4参照)により駆動される。高低振分け部材57が挿入位置(突出位置)にある場合(図3B参照)は、第2誘導路56bが閉じられて、遊技球を第1誘導路56aへ導く回転体ルート(Vチャンスルート1)が形成される。また、高低振分け部材57が抜出位置(後退位置)にある場合(図3A参照)は、第1誘導路56aが閉じられて第2誘導路56bが開かれ、高速ルート(非回転体ルート:Vチャンスルート2)が形成される。この位置関係が正しく保たれていることを確認可能にするため、高低振分け部材57の現在の切り替え位置が高低振分け部材位置センサSW11(図4参照)により検出され、その切替位置検出信号が演出制御部24に入力される。
まず回転体ルート(Vチャンスルート1)について説明する。第1誘導通路56aに入った遊技球はセンサSW7により検出され、演出の発生に利用される。第1誘導通路56aは、第1誘導上流通路66と、第1誘導下流通路56cと、貯留部58とを備える。貯留部58は、第1誘導上流通路66と第1誘導下流通路56cとの間を遊技盤奥行き方向に接続する流路部分として設けられ(図4参照)、その遊技盤奥行き方向の前方には、貯留部材58aが貯留部材用ソレノイドSOL3により昇降可能に配置されている。この貯留部材58aが上昇位置にある場合、貯留部58において遊技球の流下を阻止して貯留部58に遊技球を1個だけ保留させる閉鎖位置(図3A参照)となり、また下降位置にある場合は、貯留部58からの遊技球の流下を許容する開放位置(図3B参照)となる。貯留部材58aが閉鎖位置にある状態では、第1誘導上流通路66を誘導された遊技球が1個だけ、貯留部58に貯留される。この貯留部材58aの昇降位置は、貯留板位置センサSW13(図4参照)により位置が検出され、演出制御部24に入力される。
貯留部58に遊技球が既に1球貯留されている場合、それ以降に第1誘導上流通路66に誘導された遊技球は、貯留部58に貯留されずに、貯留部58の後側に設けた排出口58b(ハズレとなる非特定領域)(図4参照)に案内される。これにより、第1誘導下流通路56c(第3誘導路)に2個以上の遊技球が送られることはない。排出口58bに送られた遊技球は、この排出口58bを含む第4誘導路56dより排出され、排出口センサSW4(図4参照)により検出される。なお貯留部58は、遊技球が静止しているか動いているかにかかわらず、遊技球を所定位置または所定領域にとどめておく停留または貯留機能を持つものであればよい。
第1誘導通路56aの下端、つまり第1誘導下流通路56cの最下流部分には、クルーン67が配置されている。第1誘導下流通路56cを流下した遊技球は、クルーン67に送られて、クルーン67に形成された開口67aから下方に落下する。
クルーン67の開口67aの下方には、第1V抽選役物60を構成する回転体役物61が配置されている。回転体役物61は、中央に内回転体61aを備え、その周囲を環状に外回転体61bで取り囲んだ構造を有し、内回転体61aと外回転体61bはそれぞれ独立にモータM1、M2(図5参照)により回転される。この回転体役物61の回転位置は回転体位置センサ(エンコーダ)(図5参照)により検出され、その位置検出信号が主制御部20に入力されている。
外回転体61bには、4個の第1ハズレ領域62と、4個の第1V領域63とが設けられている。クルーン67から回転体役物61に落下した遊技球は、所定の確率で、第6誘導路56fの第1ハズレ領域62または第6誘導路56eの第1V領域63を通過する(図5参照)。第1ハズレ領域62を通過した遊技球は、第6誘導路56fに設けた第1ハズレ領域センサSW3(図4参照)により検出され、第1V領域63を通過した遊技球は、第6誘導路56eに設けた第1V領域センサSW2(図4参照)により検出される。本実施形態の場合、4/8の割合で第1ハズレ領域62を通過してハズレとなり、4/8の割合で第1V領域63を通過してV入賞となる(第1V入賞率1/2)。
次に、高速ルート(非回転体ルート:Vチャンスルート2)について説明する。第2誘導通路56bの下流には第7誘導路56gと第8誘導路56hとが分岐されて設けられている(図4参照)。このうち第7誘導路56gの途中には第2V領域73が設けられ、第8誘導路56hの途中には第2ハズレ領域72が設けられている。第2ハズレ領域72と第2V領域73は横並びに設けられており、その第2V領域73の上方には、第7誘導路56gを閉鎖して第8誘導路56hを開放可能に、突没式のVOUT振分け部材65(第2振分板)が設けられている。VOUT振分け部材65は、VOUT振分け部材位置スイッチSW12(図4参照)により位置が検出される。このVOUT振分け部材位置スイッチSW12は、主制御部20に接続されている。
この実施形態の場合、VOUT振分け部材65は、第2誘導通路56b内に挿抜可能に設けられており、主制御部20が司るVOUT振分け部材用ソレノイドSOL2(図4参照)により駆動される。VOUT振分け部材65が挿入位置(突出位置)にある場合(図3B参照)は、VOUT振分け部材65により第2V領域73が閉じられて第2ハズレ領域72が開かれ、遊技球が第2ハズレ領域72を通過する。第2ハズレ領域72を通過した遊技球は、第2ハズレ領域センサSW6(図4参照)により検出される。また、VOUT振分け部材65が抜出位置(後退位置)にある場合(図3A参照)は、第2ハズレ領域72が閉じられて第2V領域73が開かれ、遊技球が第2V領域73を通過する。第2V領域73を通過した遊技球は、第2V領域センサSW5(図4参照)により検出され、V入賞信号として主制御部20に入力される。本実施形態の場合、遊技球は、高低振分け部材57の開放期間中における、片羽状部材52bの開放タイミングおよび開放時間と、VOUT振分け部材65の動作パターンとで振分け制御されて第2V領域73に行くか否かが定まり、全体としてV入賞する確率(第2V入賞率)は約1/8.8となるように設定されている。
(1−3.特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置42、52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、左始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合は、普通変動入賞装置41の開閉蓋47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
右始動口35は、左流下経路3bからの遊技球については、入賞が困難または不可能(本実施形態の場合は入賞不可能)となっている。また右始動口35については、普通変動入賞装置41の開閉蓋47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bからの遊技球の入賞可能となっており、この開閉蓋47は、後述の時短状態下になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。
また左始動口34については、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能(本実施形態の場合は入賞不可能)となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品等の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球について、これを左始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを左始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
したがって本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、現在の遊技状態が通常状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の時短状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。
また、右大入賞口50と下大入賞口40とについては、右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
したがって本実施形態の場合、上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bには、左始動口34および一般入賞口43等の入賞手段が属し、右流下経路3cには、右始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50および下大入賞口40等の入賞手段が属する。
なお各入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するかについては、本発明の効果を奏するものであれば、その変更は自由である。たとえば、下大入賞口40については、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属するもの、つまり左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となるように構成してもよい。また左始動口34、右始動口35、普通図柄始動口37および右大入賞口50の少なくともいずれか一つの入賞手段も同様に、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属するものとして構成してもよい。ただし右始動口35の開閉蓋47は、普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には、普通図柄始動口37が属する流下経路側に属するものといえる。また上述のように、入賞手段を「左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属するもの」として構成した場合、たとえば、一方の左流下経路3bからの遊技球は入賞容易であるが、他方の右流下経路3cからの遊技球については、その入賞が困難なものとなるように形成し、実質的に、当該一方の左流下経路3bに属するものとして構成してもよい。
<2.制御装置:図5>
次に図5を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図5は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御基板)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御基板、液晶制御基板)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図5において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納したROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込コントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ)なども備えている。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、左始動口34への入賞を検出する左始動口センサ34a、右始動口35への入賞を検出する右始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42a、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52a(SW1)、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43a、パチンコ遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ99(振動センサ、磁気センサ)、遊動領域59内の各種センサ(センサSW2〜SW6)が接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、右始動口35の開閉蓋47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41c、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42c、右大入賞口50の片羽状部材52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52c、遊動領域59内の各ソレノイド(ソレノイドSOL1〜SOL3)やV抽選役物60のモータM1、M2等が接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、第1特別図柄表示装置38aと第2特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部集中端子基板21を介して、遊技機外部に設けられたホールコンピュータHCに対し、所定の遊技情報(たとえば、大当り情報、賞球数情報、図柄変動表示ゲームの実行情報等)を送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部20からの遊技情報を監視して、パチンコホールの遊技機の稼働状況を統括的に管理する。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。主制御部20は、払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19の機能が正常か否か(玉詰まりや賞球の払い出し不足などが生じたか否か)を監視している。
また払出制御基板29は、発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、ゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(2−3.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、タイマ割込/割込禁止機能などを備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45を含む演出用LEDの発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMと、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、光演出や音演出や可動体による可動体演出を行うため、装飾ランプ45や適所に配設された演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物を動作させるための可動体役物モータに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御部24は、これら制御部に対し、演出手段に係る制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。また演出制御部24には、高低振分け部材位置センサSW11が接続され、その切替位置検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、遊技に関する処理の進行状態に応じて主制御部20から送られてくる「演出制御コマンド」に基づき、現出すべき演出内容(演出パターン)を決定し、その決定した演出内容に従い、各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示(画像表示演出)、スピーカ46からの音の再生(音演出)、装飾ランプ45や演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)が実現され、種々の演出パターンが時系列的に展開されることにより、目的とする演出を現出させる。なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により、処理状態に関する内容(たとえば、演出を指定するための情報)や機能を定義している。
<3.動作の概説>
次に図5の制御装置を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム:図22、図23)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が左始動口34または右始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、左始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、右始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、左始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、右始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、左始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、右始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」や「小当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りまたは小当りを示す表示態様(たとえば、特別図柄表示装置の7セグが、大当りであれば「7」、小当りであれば「7.(ドット付き‘7’)」等の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」または「小当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて3個の装飾図柄が、大当りであれば「7」「7」「7」、小当りであれば「3」「5」「7」等の表示状態)で停止表示される。
「大当り」または「小当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」または「小当り」の図柄態様が導出表示された後に、特別遊技状態として、今回当選となった大当り種別に対応した大当り遊技、または小当り種別に対応した小当り遊技が実行される。また、小当り遊技中において右大入賞口50に遊技球が入球し、遊動領域59(球遊動空間)内に形成されたV領域63、73を遊技球が通過した場合(「V入賞」が発生した場合)、特別当り(V当り)が発生し、そのV当りに対応した当り遊技(V当り遊技)が実行されるようになっている。なお、各種の大当り、小当り、およびV当りのそれぞれに対応する当り遊技(大当り遊技、小当り遊技、V当り遊技)についての詳細は後述する。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、左始動口34または右始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、左始動口センサ34aまたは右始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(ハズレが1種類の場合は、ハズレ種別の抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果および特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」とに大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(リーチ変動パターン)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(通常変動パターン)などの複数種類の変動パターンが含まれる。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(本実施形態の場合、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、その決定した演出内容に従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を現出制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅とされる。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。以下では、本明細書中では説明の便宜のために、特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と略称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム:図21、図22)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(補助当り図柄)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図6参照)が作動し、これにより開閉蓋47が手前側(遊技者側)に傾倒して右始動口35が開放または拡大されるとともに、開閉蓋47が右始動口35への案内部材として作用して、遊技球が右始動口35に流入し易い‘始動口開状態’となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の開閉蓋47により、右始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、36ms(通常状態時)または1440ms(時短状態時))経過するまでか、または右始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(最大入賞数:本実施形態の場合、1個:図22の「最大入賞数」の欄参照)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に右始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(本実施形態の場合、最大1回:図22の「1回の作動による開放回数」の欄参照)行われるようになっている。
(3−1−3.作動保留球:図21、図23)
ここで、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、左始動口34または右始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち左始動口センサ34aまたは右始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶することができる。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示領域を表示させる。
特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球は、それぞれに定められた最大保留記憶数までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留することができる。なお、作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良いし(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を1個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)、各図柄の全部または一部について保留記憶をしないように構成しても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側は保留記憶せず(保留記憶数0個)、普通図柄側の最大保留記憶数を4個など)。
なお本実施形態では、特別図柄1側の最大保留記憶数は4個、特別図柄2側の最大保留記憶数は0個(保留記憶しない)、普通図柄側の最大保留記憶数を4個となっている(図21の「保留球の上限」の欄、図23の「保留球の上限」の欄参照)。
(3−2.遊技状態:図21〜図23)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる(図21の「変動パターンの種類(変動時間)」の欄参照)。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の開閉蓋47の開動作期間(開閉蓋47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、開閉蓋47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば、36msから1440msに延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間当りの開閉蓋47の作動率が向上する作動率向上状態となる。ただし本実施形態の場合、開閉蓋47の開閉回数は開放延長機能の作動によらず最大1回となっている(図22の「1回の作動による開放回数」および「作動終了条件」の欄参照)。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄時短機能も作用するため、開閉蓋47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
上記の普通図柄時短機能および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能の少なくともいずれか1つが作動すると、開閉蓋47の作動率が向上する作動率向上状態となり右始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当り抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。本実施形態では、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の開閉蓋47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して右始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄時短機能および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「時短状態」と称し、全機能が作動しない(非作動)状態を「通常状態」と称し、「通常状態」と略す。また条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれる。なお、上記した特別図柄や普通図柄に関する各機能(特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。
<4.当りについて>
次に、図17〜図18を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機の当り種別について説明する。本実施形態における当りには、当り図柄が停止表示することによる当り(1種当り:特図1または特図2に係る大当り抽選の抽選対象となる当り)と、小当り遊技中にV入賞することによる当り(2種当り:V当り)とがある。
(4−1.1種当りの種別:図17、図18)
図17(イ)は、特別図柄1(特図1)側について、抽選対象となる「大当り」の種別(1種当り)と、その当り種別に対応した大当り遊技終了後の移行先遊技状態と、大当り種別に応じて設定される時短回数との関係を示した「特図1側大当り種別移行先遊技状態テーブル」である。同様に、図17(ロ)は、特別図柄2(特図2)側についての「特図2側大当り種別移行先遊技状態テーブル」である。
図18(イ)は、特別図柄1(特図1)側について、抽選対象となる「小当り」の種別と、その小当り遊技中においてV入賞したときのV当り遊技終了後の移行先遊技状態と、小当り種別に応じて設定される時短回数との関係を示した「特図1側小当り種別移行先遊技状態テーブル」である。同様に、図18(ロ)は、特別図柄2(特図2)側についての「特図2側小当り種別移行先遊技状態テーブル」である。
また図17(イ)の左側の「通常状態時の当選」欄は、通常状態時(左打ち有利時)に特図1側の図柄変動表示ゲーム(特別図柄変動表示ゲーム1)で大当りに当選した場合を示しており、通常起こりうるケースである。
これに対し、図17(イ)の右側の「時短状態時の当選」欄は、時短状態時(右打ち有利時)に特図1側の図柄変動表示ゲームで大当りに当選したイレギュラーなケースである。このイレギュラーなケースは、具体的には、通常状態中に少なくとも1つの作動保留球を有した状態で大当り遊技またはV当り遊技となり、その当り遊技が終了して、右打ち有利となる時短状態に移行した後、特図2側の図柄変動表示ゲーム(特別図柄変動表示ゲーム2)が開始される前に、特図1側に保留されていた作動保留球が消化されてしまい(特図2側よりも特図1側の図柄変動表示ゲームが先に開始された状態)、特図1側の大当り抽選に当選してしまった場合を示しており、普通に正しい遊技方法で遊技していても稀に起こりうるケース、または、時短状態時(右打ち有利時)に左始動口34(第1特別図柄始動口)に入賞してしまい、特図1側の図柄変動表示ゲームで大当りに当選した場合を示しており、正しい遊技方法で遊技していれば、普通には起こり得ない稀なイレギュラーなケースである。
図17(ロ)も同様であり、左側の「通常状態時の当選」欄は、通常状態時(左打ち有利時)に右始動口35(第2特別図柄始動口)に入賞してしまい、特図1側の図柄変動表示ゲームで大当りに当選したような場合を示しており、正しい遊技方法で遊技していれば、普通には起こり得ない稀なイレギュラーなケースである。また図17(ロ)の右側の「時短状態時の当選」欄は、時短状態時(右打ち有利時)に特図2側の図柄変動表示ゲームで大当りに当選した場合(通常起こりうるケース)を示している。図18は小当りを扱っている点が異なっているだけで、図18(イ)(ロ)の左欄と右欄の関係は、図17(イ)(ロ)の左欄と右欄の関係と同じである。
(4−1−1.大当り種別と小当り種別)
上記した「大当り」には、複数種類の大当り1〜大当り5が設けられており、「小当り」には、複数種類の小当り1〜小当り7が設けられている(図17、図18参照)。大当り1〜5は、条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、小当り1〜7は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りとして定められている。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定領域(本実施形態のV領域63、73に該当)を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
本実施形態では、特図1側の1種当り抽選対象には、大当り種別として「大当り1、大当り2」があり、小当り種別として「小当り1、小当り2、小当り7」がある(図17(イ)、図18(イ)参照)。また特図2側の大当り抽選対象には、大当り種別として「大当り3〜大当り5」があり、小当り種別として「小当り3〜小当り6」がある(図17(ロ)、図18(ロ)参照)。
(4−1−2.当り遊技について)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。まず、大当りによる大当り遊技について説明する。
(4−1−2A.大当り遊技:図19、図24)
「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後(図26の大当り当選時の確定表示時間経過後)、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図5参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉されるか、または、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図5参照)が作動して片羽状部材52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉されて、通常状態よりも遊技者に有利な「大当り遊技(第1の特別遊技状態)」が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、28.5秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件(ラウンド遊技終了条件)を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される(V当り遊技に係るラウンド遊技についても同様)。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後(オープニング時間が経過した後)、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。大当りに当選した場合の「オープニング演出時間」と「エンディング時間」とについては、図19の「オープニング」および「エンディング」の欄に示すように、大当り種別と当選時の遊技状態とに基づいて異なる時間が設定される。ただし本実施形態の場合、オープニング時間については、大当り種別や当選時の遊技状態にかかわらず、共通の12000msとなっている。
上記した「大当り遊技」は、図19に示すように、大当り1〜5のそれぞれに対応した大当り遊技が実行されるようになっている。大当り遊技は、大当り種別に応じて、ラウンド遊技を10R、11R、15R、16R分実行するものとして規定されるが、ラウンド遊技に係る大入賞口の開放動作に関し、一部のラウンド数目を長開放動作(長開放パターン:図示の「長開放R」)とし、他のラウンド数目を短開放動作(短開放パターン:図示の「短開放R」)とすることにより、実質的に5R、10R、15R等の出玉の異なる大当り種別が作られている。本実施形態では、図19の「開放」の欄に示すように、1回のラウンド遊技における下大入賞口40の最大開放時間に関し、上記「長開放動作」であれば‘長開放時間’の28500msが設定され、「短開放動作」であれば‘短開放時間’の80msが設定されるようになっている。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものであり、「短開放時間」とは、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。すなわち、短開放動作の場合、大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが不可能となるばかりか賞球の獲得自体が困難となる。本実施形態では、ラウンド数に応じて、長開放動作のラウンド遊技と短開放動作のラウンド遊技とを実行することにより、実質的に、出玉獲得可能のラウンド数が5R、10R、15R等とし、これを以って、出玉の異なる大当り遊技を実現している。また、小当り中にV入賞して発生する後述の「V当り遊技」についても同じである。
なお本実施形態では、大当りの場合に下大入賞口40を開閉する大当り遊技を実行するものとして説明したが、本発明はこれに限られない。下大入賞口40を設けない構成とし、大当りの場合に右大入賞口50を開閉する大当り遊技を実行可能に構成してもよい。また、第1の大当りの場合には(たとえば、15Rの大当り3)に下大入賞口40を開閉する大当り遊技を実行し、第2の大当りの場合には(たとえば、5Rの大当り1、2、4、5)、右大入賞口50を開閉する大当り遊技を実行可能に構成してもよい。
(4−1−2B.小当り遊技と2種当りによる当り遊技(V当り遊技):図20、図24)
次に、小当り遊技とV入賞によるV当り遊技とについて説明する。
「小当り」となった場合には、特別変動入賞装置52が備える右大入賞口ソレノイド52cが作動して片羽状部材52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な小当り遊技(第2の特別遊技状態)が発生する。この小当り遊技では、右大入賞口50の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、1.6秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大される。
上記「小当り遊技」は、図20に示すように、小当り1〜小当り7のそれぞれに対応した小当り遊技が実行されるようになっている。小当り遊技も大当り遊技と同じように、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「小当り」の図柄態様が導出表示された後(図26の小当り当選時の確定表示時間経過後)、小当り遊技が開始される。
これら小当り1〜小当り7は、上記条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属するものであり、よって「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし、片羽状部材52bを所定の動作パターンで開閉動作させて右大入賞口50を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、ラウンド遊技が実行されているか如く装うことを可能にしている。
上記小当り遊技が開始すると、最初に小当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後(オープニング時間が経過した後)、特別変動入賞装置52の片羽状部材52bが所定の動作パターンで動作して、右大入賞口50を開閉させる疑似的なラウンド遊技(以下、この疑似的なラウンド遊技を「開閉動作遊技」と称する)が実行される。この疑似的なラウンド遊技である「開閉動作遊技」中に、右大入賞口50に遊技球が入球すると、その遊技球(入賞球)は、球遊動空間内(遊動領域59)を遊動して、最終的に、V領域またはハズレ領域を通過して、遊技機1の外部に排出される。
(4−1−2C:小当り遊技に係る開閉動作遊技態様)
上記「開閉動作遊技」は、小当り種別に応じた動作パターンで実行され、その動作パターン(右大入賞口50の開放パターン)は、具体的には、図20の「役物抽選(右大入賞口)」項目内の「開放パターン」欄に示すように、小当り種別が「小当り1、小当り2」の場合には開放パターン1、「小当り7」の場合には開放パターン2、「小当り3」の場合には開放パターン3、「小当り4〜6」の場合には開放パターン4で実行される。各開放パターンにおける右大入賞口50の開閉動作は、図20の備考欄に示すように、以下の通りになっている。
(1)開放パターン1:1544ms間の閉鎖後に80ms間にわたり開放し、その後、3876ms間の閉鎖後に再び1500ms間にわたり開放。
(2)開放パターン2:1544ms間の閉鎖後に80ms間にわたり開放し、その後、1376ms間の閉鎖後に再び1500ms間にわたり開放。
(3)開放パターン3:640ms間だけ開放。
(4)開放パターン4:1080ms間の閉鎖後に1200ms間にわたり開放。
本実施形態の場合、開閉動作遊技期間が比較的短く、その入賞する遊技球数が最大入賞数(10個)に達することがないため、実際には、当該開閉動作遊技の終了は、入賞球数により規制されるのではなく時間により規制され、開放パターンに応じた開閉動作遊技が終了することになる。また上記「開閉動作遊技」態様(右大入賞口50の開放パターン)は、右大入賞口50への入賞確率や入賞タイミングに強い影響を及ぼすものであり、「V入賞」の可能性にも影響を及ぼす。
(3−1−C.2種当りによる当り遊技(V当り遊技):図20)
遊技球が右大入賞口50に入球し、遊動領域59内のV領域63、73を遊技球が通過した場合、「V入賞」となり、このV入賞を契機として「V当り(2種当り)」が発生する。
上述の「V入賞」が発生すると、所定のインターバル時間(V入賞演出時間)が設定され、その間に、V入賞(V当り)が発生した旨を報知する「V入賞演出」が現出されるようになっている。この「V入賞演出」は、V当りが発生した旨を報知するV当り遊技のオープニング演出としての役割を持つと同時に、今回の小当り遊技が終了した旨を報知するエンディング演出としての役割を持つ。上記V入賞演出時間は、小当り種別に応じて、異なる時間が定められており、具体的には、図20の「役物抽選(右大入賞口)」の「V入賞INT」の欄に示すように、特図1側の「小当り1、2、7」の場合には、21000msが、特図2側の「小当り3〜小当り6」の場合には、17500msが設定される。つまり、小当り種別に応じたV入賞演出が現出されるようになっている(後述の図33〜図35参照)。
そして、V入賞演出を終えた後(V入賞演出時間を経過した後)、つまり今回の小当り遊技が終了した後、「V当り遊技」が開始されるようになっている。この「V当り遊技」は、上記大当り遊技と同様に、下大入賞口40が開放されるラウンド遊技が、あらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。上記「V当り遊技」は、ラウンド遊技を実行するという点で大当り遊技に属するものであり、換言すれば、「V当り」は、上記条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りとなっている。この点で、条件装置の作動しない「小当り」とは区別される。
上述したように、小当り遊技中にV入賞すると、小当り遊技終了後にV当り遊技が開始されるが、そのV当り遊技は、図20に示すように、今回の小当り種別に応じたV当り遊技が開始される。つまり小当り1〜小当り7についてそれぞれ予め定められた「V当り遊技」が開始されるように対応付けがなされている。そこで、各小当り1〜小当り7に対応して実行されるV当り遊技を、それぞれ、V当り1〜V当り7と称する。そして、これら「V当り1」〜「V当り7」の全体を、特に必要のない限り「V当り遊技」と総称する。なお、各小当りによる小当り遊技およびそのV当り遊技の詳細については、図6〜図9D等を用いて後述する。
なお、V入賞(V当り)が発生する場合の小当り遊技の終了タイミングについては、次の2つのケースがある。
(I)第1のケースは、残存球排出時間内に入賞球の排出が確認されたケースであり、この場合の小当り遊技は、残存球排出時間が経過して所定のインターバル時間(V入賞演出時間幅の経過したことを以って終了となる。端的に言えば、「開閉動作遊技時間+残存球排出時間+V入賞演出時間」の経過後に終了する(図20の「役物抽選(右大入賞口)」の「V入賞INT」の欄参照)。上記「残存球排出時間」とは、開閉動作遊技後における右大入賞口50内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1480ms)を指す。なお、上記開閉動作遊技が終了するまでに右大入賞口50への入賞球が確認されない場合には、残存球排出時間を待たずに(1480msを設定せずに排出待ち処理をしない)、エンディング時間が設定される(図20の備考欄参照)。
(II)第2のケースは、残存球排出時間内に入賞球の排出が確認されないケースであり、この場合の小当り遊技は、残存球排出時間が経過し、入賞球の排出が確認された後、所定のインターバル時間(V入賞演出時間幅)の経過したことを以って終了となる。端的に言えば、「開閉動作遊技時間+残存球排出時間+排出待ち確認時間+V入賞演出時間」の経過後に終了する(図20の「役物抽選(右大入賞口)」の「V入賞INT」の欄参照)。
上記V当り遊技において規定ラウンド数が終了すると、V当りが終了される旨を報知するエンディング演出が現出され、これによりV当り遊技が終了する。すなわち、V入賞発生時の小当り遊技は、大別すると、オープニング演出、開閉動作遊技およびエンディング演出としての「V入賞演出」の各遊技期間から構成され、V入賞演出後は、V当り遊技が開始され、このV当り遊技は、大別すると、ラウンド遊技およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、上記「V入賞演出」を‘小当りに係るエンディング演出’として扱うのではなく、‘V当り遊技に係るオープニング演出’として扱ってもよい。V入賞演出は、「V当り遊技開始を報知するもの」と捉えることができるからである。この場合、V当り遊技は、オープニング演出としてのV入賞演出期間、ラウンド遊技およびエンディング演出期間の各遊技期間から構成される。
(3−1−D.非V入賞(Vハズレ)の場合)
一方、V領域63、73を通過しなかった場合、つまりハズレ領域62、72を遊技球が通過して「非V入賞(Vハズレ)」となった場合は、V当り遊技は実行されず、そのまま小当り遊技が終了される。この場合、ハズレ領域への遊技球の検出を契機に、今回の小当りが終了される旨を報知するエンディング演出を行い、その後に小当り遊技を終了させるようになっている(図20の「エンディング」の「非V入賞」対応欄参照)。
非V入賞時は、V入賞時よりもエンディング時間を短時間とし、小当り遊技を終了させる。本実施形態では、遊動領域59内の遊技球が遊技者から視認可能となっており、V入賞であるか非V入賞であるかが視覚的に判別可能となっている。このため、非V入賞時においても、仰々しく、非V入賞である旨を報知すると、遊技者に対して不快感を与える恐れがある。また、非V入賞のときは、余計なエンディング演出を見ることなく、次回の図柄変動表示ゲームの開始を望む遊技者も多い。このため本実施形態では、非V入賞のときは、V入賞よりもエンディング時間を相対的に短い時間とし、小当り遊技の終了を早めている。なお、非V入賞時のエンディング時間(小当り遊技終了時のインターバル時間)を極短時間(たとえば、数十ms程度)またはゼロとし、非V入賞の場合には、エンディング演出を現出することなく、小当り遊技を終了させてもよい。これにより、V当りが発生しなかった場合には、直ちに、次回の図柄変動表示ゲームを実行させることができる。
なお、小当りに当選した場合の小当り遊技に係る「オープニング演出時間」と「エンディング時間(非V入賞時)」、V当り遊技に係る「エンディング時間(V入賞時)」については、図20の「オープニング」および「エンディング」の欄に示すように、小当り種別と当選時の遊技状態とに基づいて設定される。
また本実施形態では、全ての大当り種別(V当りを含む)は、「下大入賞口40(第1の大入賞口)」を開放させる大当り遊技を実行するようになっている(図19参照)。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、ラウンド数に応じて「右大入賞口50」または「下大入賞口40」のいずれかを開放する大当り遊技またはV当り遊技を実行可能に構成してもよい。たとえば、大当り1、2の場合は、1R〜5R目までを右大入賞口50を開放し、6R目以降は下大入賞口40を開放する、という大当り遊技を実行可能に構成することができる。V当り1、2の場合は、2R〜5R目までを右大入賞口50を開放し、6R目以降は下大入賞口40を開放する、という大当り遊技を実行可能に構成することができる。
(3−2.当り遊技終了後の遊技状態:図17、図18)
次に図17および図18を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態(移行先遊技状態)について説明する。
先ず、大当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。大当りした場合の大当り遊技終了後は、図17(イ)(ロ)に示すように、大当り種別と大当り当選時の遊技状態とに応じて「時短状態」に移行されるか、それとも「通常状態」に移行されるか定まるようになっている。具体的には次のとおりである。
(3−2−1.特図1側の大当り当選時の移行先遊技状態:図17(イ))
まず図17(イ)を参照して、特図1側の大当り当選時の移行先遊技状態について説明する。
図17(イ)の左欄は、通常状態時に特図1側で大当りに当選した場合の移行先遊技状態を示しており、大当りの種別に応じて「時短状態」または「通常状態」のいずれに移行するかを定めている(後述の図6のL2、L3)。大当り1、2のうち、「大当り1」は、大当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので(図6のL2)、「時短大当り」に属するものとして区分される。また「大当り2」は、大当り遊技終了後の遊技状態が「通常状態」に移行するもので(図6のL3)、「非時短大当り(通常大当り)」に属するものとして区分される。
以下、時短状態への移行契機となる大当り種別を「時短大当り」を称し、通常状態への移行契機となる大当り種別を「非時短大当り(通常大当り)」と称する。
図17(イ)の右欄は、時短状態時に特図1側で大当りに当選した場合(イレギュラーのケース)の移行先遊技状態を示しており、「大当り1」は、上記「時短大当り」に属するものとして、「大当り2」は、上記「非時短大当り」に属するものとして区分される。
すなわち「大当り1」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、時短状態に移行させる大当りであり、「大当り2」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、通常状態に移行させる大当りとなっている。
(3−2−1A.時短回数:図17、図18)
時短状態は、時短機能および開放延長機能が付加された遊技状態である。この時短状態の継続を管理する情報として「時短回数」が使用される。この時短回数は、時短状態に移行する際に時短回数を監視する所定のカウンタ(図6の時短回数監視カウンタ)に設定され、残り時短回数は、このカウンタにより監視される。当該カウンタには、当り遊技(小当り遊技または大当り遊技)の実行回数である「特電作動回数(特電回数)」をカウントする「特電回数カウンタ」と、図柄変動表示ゲームの実行回数(本実施形態の場合、特別図柄1および特別図柄2の合計変動回数)である「特図変動回数」をカウントする「特図時短回数カウンタ」とが設けられており、当り遊技後(特別図柄の変動表示が終了したとき、当り遊技を開始するときでもよい)に時短回数を指定する値がこれらカウンタに設定される。時短回数監視カウンタの値は、時短状態において、図柄変動表示ゲームが1ゲーム消化される度に特図時短回数カウンタが1減算されるか、また当り遊技が1回実行される度に特電回数カウンタが1減算され、いずれか一方のカウンタ値がゼロになったとき、時短状態終了となり、遊技状態が通常状態に移行されるようになっている。
上記時短状態に移行される場合、時短回数の指定する値として、特電作動回数95回および特図時短回数100回が設定される(図17および図18の「時短回数」の欄参照)。以下、説明の便宜のために、これらの「特電作動回数」と「特図時短回数」とを総称して「時短回数」とし、下記の文章において「時短回数を95回」と称する場合は、「特電作動回数95回、特図変動回数100回」に設定されることを意味する。
なお本実施形態の場合、特別図柄1の作動記憶球が特別図柄2よりも優先的に消化されることと、特図2側の保留記憶が無いこと、1種2種混合機であること等による遊技性に基づいて、時短継続判定条件のパラメータとして「特電作動回数、特図変動回数」の2種類のパラメータを採用しているが、本発明はこれに限らず、当該パラメータとして、特電作動回数および特図変動回数のいずれか一方を採用してもよい。また、時短回数として、当り当選回数、普通図柄の変動回数、普電開放遊技の実行回数、補助当り当選回数でもよい。また時短回数については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(3−2−2.特図2側の大当り当選時の移行先遊技状態:図17(ロ))
次に図17(ロ)を参照して、特図2側の大当り当選時の移行先遊技状態について説明する。
図17(ロ)の左欄は、通常状態時に特図2側で大当りに当選した場合(イレギュラー)の移行先遊技状態を示しており、「大当り3」は、上記「時短大当り」に属するものとして、また「大当り4」と「大当り5」は、上記「非時短大当り」に属するものとして区分される。
また図17(ロ)の右欄は、時短状態時に特図2側で大当りに当選した場合の移行先遊技状態を示しており(図6のL12、L13)、「大当り3」と「大当り4」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を時短状態に移行させる上記「時短大当り」に属する大当りとして、「大当り5」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を通常状態に移行させる上記「非時短大当り」に属するものとして区分される。
すなわち、「大当り3」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、時短状態に移行させる大当りであり、「大当り4」は、その当選時の遊技状態に応じて、時短状態または通常状態に移行させる大当りであり、「大当り5」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、通常状態に移行させる大当りとなっている。
(3−3.小当り遊技後の移行先遊技状態:図18(イ)(ロ))
次に図18を参照して、小当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。
(3−3−1.V入賞しなかった場合について)
先ず、小当り遊技中にV入賞しなかった場合の移行先遊技状態について説明しておく。図18には示されていないが、小当り遊技中にV入賞しなかった場合は(図6のL15)、遊技状態の移行は生じず(遊技状態に関する移行制御処理は行わない)、小当り当選時の遊技状態がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り「大当り」と区別することなく、大当り種別の一態様として同列に扱うことにする。
(3−3−2.小当り中V入賞時の移行先遊技状態:図18(イ)(ロ))
次に、小当り遊技中にV入賞した場合、そのV当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。
(特図1側の小当り当選時に係るV当り遊技後の移行先遊技状態について:図18(イ))
図18(イ)の左欄は、通常状態時に特図1側で小当りに当選した場合のV入賞時の移行先遊技状態を示しており(図6のL4)、小当りの種別に応じて、V当り遊技後の移行先遊技状態が「時短状態」または「通常状態」のいずれに移行するかを定めている。小当り1、小当り2、および小当り7のうち、「小当り1」は、V当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので(図6のL6)、「時短小当り」に属するものとして区分される。残りの「小当り2」と「小当り7」は、V当り遊技終了後の遊技状態が「通常状態」に移行するもので(図6のL7)、「非時短小当り(通常小当り)」に属するものとして区分される。
図18(イ)の右欄は、時短状態時に特図1側で小当りに当選した場合(イレギュラー)のV入賞時の移行先遊技状態を示しており、「小当り1」は、V当り遊技終了後の遊技状態を時短状態に移行させる「時短小当り」に属するものとして、「小当り2、小当り7」は、V当り遊技終了後の遊技状態を通常状態に移行させる「非時短小当り」に属するものとして区分される。
すなわち、「小当り1」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、V入賞時には時短状態に移行させる小当り(時短小当り)であり、「小当り2、小当り7」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、V入賞時には通常状態に移行させる小当り(非時短小当り)となっている。
(特図2側の小当り当選時に係るV当り遊技後の移行先遊技状態について:図18(ロ))
図18(ロ)の左欄は、通常状態時に特図2側で小当りに当選した場合(イレギュラー)のV入賞時の移行先遊技状態を示しており、小当り3〜6小当りのうち、「小当り3、小当り4」は、V当り遊技終了後の遊技状態を時短状態に移行させる「時短小当り」に属するものとして、「小当り5、小当り6」は、V当り遊技終了後の遊技状態を通常状態に移行させる「非時短小当り(通常小当り)」に属するものとして区分される。
また図18(ロ)の右欄は、時短状態時に特図2側で小当りに当選した場合のV入賞時の移行先遊技状態を示しており(図6のL14)、「小当り3〜小当り5」は、V当り遊技終了後の遊技状態を時短状態に移行させる「時短小当り」に属するものとして、「小当り6」は、V当り遊技終了後の遊技状態を通常状態に移行させる「非時短小当り」に属するものとして区分される。
すなわち、「小当り3、4」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、V入賞時には時短状態に移行させる小当りであり、「小当り5」は、その当選時の遊技状態に応じて、V入賞時には時短状態または通常状態に移行させる小当りであり、「小当り6」は、その当選時の遊技状態にかかわらず、V入賞時には通常状態に移行させる小当りとなっている。
(4.基本遊技形態:図6)
本発明の理解を容易なものとするために、先ず図6を用いて、パチンコ遊技機1における基本的な遊技形態(遊技性)について説明しておく。図6に、本実施形態のパチンコ遊技機1の遊技形態の概略を示す遊技フロー図を示す。本実施形態では、主に「当り遊技(特別遊技状態)」「通常状態」「時短状態」下にて遊技が制御される。
(4−1.通常状態中の当り→当り遊技)
「通常状態」は、左打ち有利な遊技状態ため、遊技者は、左打ちにより、上始動口34への入賞を狙い、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていく。そして、上始動口34へ入賞すると、特図1での大当り抽選が行われる。なお、特図1側における大当りの当選確率と小当りの当選確率については、図23に示すように、遊技状態によらず、それぞれ、約1/253、約1/45.8である(図23の「大当り確率」「小当り確率」の欄参照)。
(4−1−1.大当り遊技(通常状態中当選時)→時短状態または通常状態)
次に、通常状態中に大当りに当選した場合、その大当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。
特別図柄変動表示ゲーム1で大当りに当選し(図6中のラインL0:特図1大当り)、第1特別図柄表示装置38aに大当り種別に対応した特別停止図柄(大当り図柄:当選図柄の一態様)が停止表示されると、その当選した大当り種別(大当り1、大当り2)に応じた大当り遊技が実行される。
図6中のラインL0(図6の「特図1大当り」のブロック(囲み枠))において、特図1大当り(大当り1または大当り2)による大当り遊技では、下大入賞口40が長開放パターンで開放されるラウンド遊技(長開放ラウンド遊技)が規定ラウンド数の10Rまで繰り返し実行される(図19参照)。
そして大当り遊技が終了すると、当選した大当り種別に応じて、通常状態または時短状態への移行が行われる(本実施形態の場合は、当り種別とその当選時の遊技状態とに応じて移行先遊技状態が決定される)。ここで、図17に示すように、特図1大当りのうち、大当り1の図柄抽選確率は「52/100(52%)」、大当り2の図柄抽選確率は「48/100(48%)」となっている。つまり、特図1大当りの場合には(イレギュラーのケースを除き通常状態時での大当り)、そのうちの52%が時短大当りであって時短状態に移行し(図6中のラインL2)、残りの48%が非時短大当り(通常大当り)であって、再度、元の通常状態に移行されることになる(図6中のラインL3)。ここでイレギュラーでの特図1大当りとは、右打ちが有利である時短状態時において、本来は左打ち時に生起すべき特図1大当りが発生してしまった希なケースである。
(4−1−2.小当り遊技(通常状態中当選時)→V入賞→V当り遊技→時短状態または通常状態)
次に、通常状態中に小当りに当選し、その小当り遊技中にV入賞した場合(V当り遊技後)の移行先遊技状態について説明する。
特別図柄変動表示ゲーム1で小当りに当選し(図6中のラインL1:特図1小当り)、第1特別図柄表示装置38aに小当り種別に対応した特別停止図柄(小当り図柄:当選図柄の一態様)が停止表示されると、その当選した小当り種別(小当り1、小当り2、小当り7)に応じた小当り遊技が実行される。
図6中のラインL1(図6の「特図1小当り」のブロック)において、特図1小当り(小当り1、小当り2、小当り7)による小当り遊技では、既に説明したように、所定の動作パターンで片羽状部材52bの動作が実行され、右大入賞口50が開放される(上記開閉動作遊技:図20)。この右大入賞口50は、遊動領域59への入口となっている。このため、小当りが発生すると、右大入賞口50から遊動領域59へ遊技球が進入するチャンスが生まれる。
図6中のラインL4は、特図1小当りによる小当り遊技中に、右大入賞口50から遊動領域59へ遊技球が進入し、遊技球が第1V抽選役物60または第2V抽選役物64の第1V領域63を通過した場合、つまり「V入賞」したケースを示している。V入賞した場合には、V当りとなり、当選した小当り種別に応じた「V当り遊技(ここでは、V当り1、V当り2、V当り7)」が実行される(図6中のラインL4先の「V当り」のブロック、図20)。
V当り遊技が終了すると、当選した小当り種別に応じて、通常状態または時短状態への移行が行われる。本実施形態では、図18に示すように、特図1小当りのうち、小当り1の図柄抽選確率は9/100(9%)、小当り2の図柄抽選確率は9/100(9%)、小当り7の図柄抽選確率は82/100(82%)となっている。つまり、特図1小当りの場合には(イレギュラーのケースを除き通常状態時での小当り)、そのうちの9%(小当り1)が時短小当りであって時短状態に移行し(図6中のラインL6)、残りの91%(小当り2および小当り7)が非時短小当り(通常小当り)であって、再度、元の通常状態に移行されることになる(図6中のラインL7)。本実施形態の場合、特図1小当りからV当りとなっても、9%しか時短状態に移行しない。ここでイレギュラーでの特図1小当りとは、右打ちが有利である時短状態時において、本来は左打ち時に生起すべき特図1小当りが発生してしまった希なケースである。
(4−1−3.小当り遊技→非V入賞(Vハズレ))
一方、小当り遊技中にV入賞しなかった場合(非V入賞の場合)、遊技状態の移行制御はなく、図6中にラインL5で示すように、当選時の遊技状態、つまり「通常状態」がそのまま継続されることになる。
(4−2.通常状態→時短状態移行)
時短状態に移行する場合(ラインL2のルート、ラインL6のルート)、当り種別に応じた時短回数が上記「時短回数監視カウンタ」に設定される。本実施形態では「大当り」の場合、0回または95回のいずれかの値が設定され(図17)、「小当り」の場合、0回または95回のいずれかの値が時短回数監視カウンタに設定される(図18)。残り時短回数がゼロになると「通常状態」に移行される(図6のラインL8)。
(4−3.時短状態→当り遊技)
「時短状態」は「電サポ有り状態」であるため、下始動口35(第2特別図柄始動口)へ容易に入賞する。そのため時短状態中は、右打ち有利な遊技状態となり、遊技者は下始動口35への入賞を狙い、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2での当選(大当りまたは小当り)を目指し、遊技を進行させていく。そして、下始動口35へ入賞し、特図2での大当り抽選が行われる。この大当り抽選に当選すると(図6のラインL10、L11)、先の述べた通常状態の場合と同じく、その当選種別に応じた大当り遊技または小当り遊技が開始される。なお、特図2側における大当りの当選確率は、特図1側と同一の「約1/253」であるが、小当りの当選確率は大幅に上昇し、その確率は「約1/1.004」となっている(図23の「大当り確率」「小当り確率」の欄参照)。よって、特図2側に関する下始動口35に入賞さえすれば、ほぼ小当りに当選することになる。
(4−3−1.大当り遊技(時短状態中当選時)→時短状態または通常状態)
時短状態中に大当りに当選した場合、その大当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。
図6中のラインL10(図6の「特図2大当り」のブロック(囲み枠))において、時短状態中において、特図2大当り(大当り3〜大当り5)による大当り遊技が終了すると、当選した大当りの種別に応じて、通常状態または時短状態への移行が行われる。ここで、図17に示すように、特図2大当りのうち、大当り3〜5の図柄抽選確率は、それぞれ、「29/100(29%)」、「15/100(15%)」および「56/100(56%)」となっている。つまり、特図2大当りの場合(イレギュラーのケースを除き時短状態時での大当り)は、そのうちの44%(大当り3と大当り4)が時短付きの大当りであって時短状態に移行し(図6中のラインL12)、また残りの56%が時短無しの大当り(大当り5)であって、時短状態から通常状態に転落移行されることになる(図6中のラインL13)。本実施形態では、時短状態が継続される際に、新たな時短回数Nとして95回という時短回数値が設定(再付与)され、通常状態に戻される際に時短回数0回が付与される。ここでイレギュラーでの特図2大当りとは、左打ちが有利である通常状態時において、本来は右打ち時に生起すべき特図2大当りが発生してしまった希なケースである。
(4−3−2.小当り遊技(時短状態中当選時)→V入賞→V当り遊技→時短状態または通常状態)
次に、時短状態中に小当りに当選し、その小当り遊技中にV入賞した場合(V当り遊技後)の移行先遊技状態について説明する。
図6中のラインL11(図6の「特図2小当り」のブロック(囲み枠))において、特図2小当り(小当り3〜6)による小当り遊技では、上記特図1小当り(小当り1、小当り2、小当り7)による小当り遊技と同様に、右大入賞口が開放され(上記開閉動作遊技:図20)、この小当り遊技中にV入賞した場合には(図6中のラインL14)、当選した小当り種別に応じた「V当り遊技(ここでは、V当り3〜V当り6)」が実行される(図6中のラインL14先の「V当り」のブロック、図20)。
そして、V当り遊技が終了すると、当選した小当り種別に応じて、通常状態に転落して時短状態が終了されるか、または時短状態に再度移行されて時短状態の連荘となるかに別れる。本実施形態では、図18に示すように、特図2小当りのうち、「小当り3、小当り5」の図柄抽選確率はそれぞれ「15/100(15%)」、小当り4の図柄抽選確率は「14/100(14%)」、小当り6の図柄抽選確率は「56/100(56%)」となっている。つまり、特図2小当りの場合(イレギュラーのケースを除き時短状態時での小当り)、V当りしても、そのV当りの44%(小当り3、4、5)が時短付きの大当りであって時短状態に移行し(図6中のラインL16)、残りの56%(小当り6)が時短無しの大当りであって、通常状態に転落移行される(図6中のラインL17)。本実施形態の場合、特図2小当りからのV当りすると、特図1大当りのケースよりも時短状態への移行確率が5倍程度高まる。ここでイレギュラーでの特図2小当りとは、左打ちが有利である通常状態時において、本来は右打ち時に生起すべき特図2小当りが発生してしまった希なケースである。
(4−3−3.小当り遊技→非V入賞(Vハズレ))
一方、小当り遊技中にV入賞しなかった場合(図6中のラインL15)、遊技状態の移行制御はない。ただし、この場合は、時短回数が1減算され(N←N−1)、その結果、残り時短回数がゼロでなければ「時短状態」が継続となり、時短回数がゼロであれば、時短状態が終了され、通常状態に移行される(図6中のラインL8)、
(5.具体的遊技形態:図7、図8)
次に図7および図8を用いて、本実施形態における主要な遊技要素である遊技状態移行に関連する特徴的要素(各小当りに対応した小当り遊技態様、V入賞の発生経緯、V入賞率、各小当りに対応するV当り遊技態様(V当り1〜V当り7)等)に触れながら、本実施形態のパチンコ遊技機1の具体的な遊技形態について詳細に説明する。
説明の便宜のために、まず図7および図8の遊技フロー図を用いて、時短状態の移行(継続)に大きく関与する「小当り1〜7」に係る基本的な遊技形態に着目しながら、通常状態および時短状態下における小当り1〜7当選時の遊技状態の遷移について説明する。なお以下の説明において、上記イレギュラーなケース(通常状態時において、本来、時短状態時に生起すべき特図2小当りが発生するケース、または時短状態時において、本来、通常状態時に生起すべき特図1小当りが発生するケース等)についての説明は省略する。
(5−1.通常状態時に小当りした場合の遊技状態遷移:図7)
まず図7を用いて、通常状態において小当りに当選した場合の遊技状態遷移について、詳細に説明する。本実施形態では、図示のように、小当り種別(小当り1、2、7)により遷移する遊技状態が分かれるようになっている。
(5−1−1.小当り1の場合)
「通常状態」において特図1側の大当り抽選(約1/45.8)で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り1」が選択され(選択確率9/100:図7中のラインL20)、第1特別図柄表示装置38aに当選図柄の小当り1図柄が停止表示されると、その「小当り1」に応じた小当り遊技が実行される
「小当り1」による小当り遊技では、開閉動作遊技として、片羽状部材52bが「開放パターン1(1544ms間閉鎖+80ms間開放+3876ms間閉鎖+1500ms間開放)」で動作して右大入賞口50を開閉する「第1開閉動作遊技(短開放1回+長開放1回)」が実行される(図20の備考欄参照)。ここで、小当り遊技が開始されてから所定のオープニング時間(20500ms)にわたり、オープニング演出を現出させる。このオープニング演出は、小当り遊技中は「右打ち」すること、右大入賞口50に入賞させること、V入賞を契機に「V当り遊技」が開始されること等に関する情報を、動画や音声を用いて遊技者に報知する派手な演出内容(小当り遊技が開始されることを明確に報知する演出態様)となっている(後述の小当り2の場合も同様)。
ここで、右大入賞口50への入球は、専ら長開放の「1500ms」間で生起し、短開放の「80ms」では、入球がほぼ望めない(後述の小当り2、7についても同様)。したがって、図7中の小当り1、小当り2、小当り7に関しては、説明の便宜のために、その長開放中において右大入賞口50に入球したケースを中心に説明し、短開放中に入球したイレギュラーなケースについては図9A〜図9Dにて後述する。
右大入賞口50に遊技球が入球した場合には、その遊技球は、高低振分け部材57の動作状態により遊動領域59の2つの遊技球ルートのうちの「回転体ルート(第1誘導路56a)」に誘導されるようになっている(図7中のラインL21)。一方、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合、右大入賞口50が閉鎖して小当り遊技が終了すると、元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL22)。
上記「回転体ルート」に誘導された遊技球は、貯留部材58aにより1球のみが第1V抽選役物60に誘導され(図3A〜図3B参照)、その後、回転体役物61に落下した遊技球は、所定のV入賞率で、第1V領域63または第1ハズレ領域62に振り分けられる。本実施形態の場合、「回転体ルート」におけるV入賞率は、第1V抽選役物60の性能上、その確率は「約1/2」となっている。
第1V領域63に遊技球が通過すると「V入賞」となり、小当り遊技が終了した後、「V当り遊技(V当り1)」が開始される(図7中のラインL23)。そして「V当り遊技」が終了すると、当選した小当りの種別が「小当り1」であることに基づき、時短回数95回の「時短状態」に移行される(図7中のラインL24、図17)。
一方、第1ハズレ領域62に遊技球が通過すると、「非V入賞(Vハズレ)」となり、小当り遊技が終了した後は、元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL25)。
(5−1−2.小当り2の場合)
また「通常状態」において特図1の大当り抽選で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り2」が選択されると(選択確率9/100:図7中のラインL30)、「小当り2」に応じた小当り遊技が実行される。
「小当り2」による小当り遊技では、上記小当り1の場合と同じく「第1開閉動作遊技」にて右大入賞口50が開閉され、その長開放中に右大入賞口50に入球した遊技球は「回転体ルート」に誘導されるようになっている(図7中のラインL31)。一方、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合には、小当り遊技終了後、遊技状態は元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL32)。
上記「回転体ルート」に遊技球が誘導されると、その遊技球は、回転体役物61により第1V領域63または第1ハズレ領域62に振り分けられ、約1/2のV入賞率で「V入賞」となり、「V当り遊技(V当り2)」が開始される(図7中のラインL33)。そして「V当り遊技」が終了すると、当選した小当りの種別が「小当り2」であることに基づき、元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL34、図17)。
一方、ハズレ領域62に遊技球が通過すると、「非V入賞(Vハズレ)」となり、小当り遊技が終了した後は、元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL34)。
(5−1−3.小当り7の場合)
また「通常状態」において特図1の大当り抽選で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り7」が選択されると(選択確率82/100:図7中のラインL40)、「小当り7」に応じた小当り遊技が実行される。
「小当り7」による小当り遊技では、上記小当り1、2の場合とは異なり、片羽状部材52bが「開放パターン2(1544ms間閉鎖+80ms間開放+1376ms間閉鎖+1500ms間開放)」で動作して右大入賞口50を開閉する「第2開閉動作遊技(短開放1回+長開放1回)」が実行される(図20の備考欄参照)。また、オープニング時間も、極短時間の20msとなっている。
小当り7の場合、右大入賞口50に遊技球が入球すると、その遊技球は、高低振分け部材57の動作状態により遊動領域59の2つの遊技球ルートのうちの「高速ルート(第2誘導路56b)」に誘導されるようになっている(図7中のラインL41)。一方、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合、小当り遊技が終了すると、元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL42)。
上記「高速ルート」に誘導された遊技球は第2V抽選役物64に誘導され、VOUT振分け部材65の動作状態により、第2V領域73または第2ハズレ領域72に振り分けられる。ただし、この小当り7の場合、第2V抽選役物64のVOUT振分け部材65は、右大入賞口50が長開放されるタイミング(小当り開始から3020ms経過時:「オープニング時間20ms+1544ms間の閉鎖時間+80ms間の開放時間+1376ms間の閉鎖時間」の経過時)とほぼ同じタイミングで、VOUT振分け部材65が抜出位置(第2V領域開放位置)から挿入位置(第2V領域閉鎖位置)に素早く移動する、といった「V領域規制動作」が実行されて、60msという極短時間だけ第2V領域73が開放され直ちに閉鎖されるようになっている。このため、第2V領域ルートへの遊技球の進入はほぼ阻止されてしまい、遊技球は第2ハズレ領域72を通過することになる。つまり、小当り7の場合、ほぼ100%の確率で「非V入賞(Vハズレ)」となり、小当り遊技が終了すると、遊技状態は元の「通常状態」に戻されることになる(図7中のラインL45)。なお、第2V領域73に遊技球が通過することは殆どないが、第2V領域73に遊技球が通過した場合には、通常通り「V入賞」となり「V当り遊技(V当り7)」が開始される。ただし、この場合も元の「通常状態」に戻される(図7中のラインL43→L44のルート)。
(5−1−3A:朧小当り)
上述のように本実施形態では、「通常状態」において「小当り1、2」の当選を契機とする小当り遊技では、V入賞率が‘約1/2’となっており、「V入賞が容易な小当り遊技(V入賞率が相対的に高い小当り遊技)」であるのに対し、「小当り7」の当選を契機とする小当り遊技は、右大入賞口50への入賞は容易であるが、V入賞率が‘ほぼゼロ’とされる「V入賞が困難または不可能な小当り遊技(V入賞率が相対的に低い小当り遊技)」となっている。この小当り7は、右大入賞口50への入賞は容易であるが、V入賞が極めて困難な小当りであるという点で「朧小当り」と称される。
上記小当り7のような「朧小当り」を敢えて設ける理由は、法的要請の観点から、遊技に対する射幸性(全小当り種別を考慮したV入賞率の合算確率)を抑えるためである。また「小当り7」の場合は、極短時間(20ms)のオープニング時間しか設けられていない。これは、「小当り1、2」の場合のように、派手なオープニング演出を現出して、V入賞率が極めて低い小当り遊技であるにもかかわらず、遊技者のV入賞期待感を無闇に煽ることを防止するためであり、小当り7の当選を出来るだけ秘匿して、遊技者に小当り7が当選した事実を明確には悟られないようにしている。たとえば、小当り7当選時の図柄変動表示ゲーム中は、ハズレを装うような演出(ハズレ時と同じ演出態様)を現出し、小当り遊技中は、右打ち指示表示は行うが(たとえば、液晶画面右上部に小さく表示する)、他の小当りのような小当り中演出を現出させない。なお、上記V入賞率が‘ほぼゼロ’の意は、通常は、V入賞が不可能であるが、球噛み等によるイレギュラーな事象が発生した場合には、V入賞の可能性がある点を考慮したものである。またV入賞率は、ほぼゼロであると説明したが、全小当り種別を考慮したV入賞率の合算確率の関係に応じて、低確率(たとえば、5%〜10%程度)であってもよい。
(5−2.時短状態時に小当りした場合の遊技状態遷移:図8)
次に、図8を用いて、時短状態において小当りに当選した場合の遊技状態の遷移について説明する。図8に示すように、本実施形態では、小当り3〜6により遷移する遊技状態が分かれるようになっている。
(5−2−1.小当り3の場合)
「時短状態」において特図2側の大当り抽選(約1/1.004)で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り3」が選択され(選択確率15/100:図8中のラインL50)、第2特別図柄表示装置38bに当選図柄の「小当り3図柄」が停止表示されると、その「小当り3」に応じた小当り遊技が実行される。
「小当り3」による小当り遊技では、上記小当り1〜3、7の場合とは異なり、片羽状部材52bが「開放パターン3(640ms間開放)」により右大入賞口50が開閉する「第3開閉動作遊技(準中開放1回)」が実行される(図20の備考欄参照)。この640ms中に右大入賞口50に遊技球が入球すると、その遊技球は、高低振分け部材57の動作状態により遊動領域59の2つの遊技球ルートのうちの「回転体ルート(第1誘導路56a)」に誘導されるようになっている(図8中のラインL51)。
上記「回転体ルート」に誘導された遊技球は、上記小当り1、2の場合と同様に、約1/2の確率で「V入賞」となり、V入賞となった場合には「V当り遊技(V当り3)」が開始され(図8中のラインL53)、V当り遊技が終了すると、当選した小当りの種別が「小当り3」であることに基づき、時短回数95回の「時短状態」に移行される(図8中のラインL54)。
しかし「非V入賞(Vハズレ)」となった場合には(図8中のラインL55)、今回の小当り遊技により特別電動役物が1回作動したとして、時短回数が1減算され(ここでは、特電回数が1減算される)、時短回数監視手段により「残り時短回数」が0回であるか否かが判定される(図8中のラインL55:以下、時短回数監視手段による判定処理を「残余時短回数判定処理」と称する)。なお、特図変動回数については、特別図柄変動表示ゲームの実行を契機に1回減算される。
残り時短回数が0回であれば、今回のゲームで時短状態が終了したとして、「通常状態」に移行させ(残り時短回数=0回、図8中のラインL56)、残り時短回数がゼロでなければ「時短状態」を継続させる(残り時短回数>0回、図8中のラインL57)。
一方、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合(図8中のラインL52)、小当り遊技が終了すると上記「残余時短回数判定処理」が実行され、残り時短回数が0回であれば、今回のゲームで時短状態が終了したとして、「通常状態」に移行させ(残り時短回数=0回、図8中のラインL57)、残り時短回数がゼロでなければ「時短状態」を継続させる(残り時短回数>0回、図8中のラインL56)。
(5−2−2.小当り4、5の場合)
「時短状態」において特図2の大当り抽選で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り4」または「小当り5」が選択(選択確率は小当り4が14/100、小当り5が15/100。合算割合29/100)されると(図8中のラインL60)、「小当り4」または「小当り5」に応じた小当り遊技が実行される。「時短状態」における「小当り4」の小当り遊技と「小当り5」の小当り遊技とは、その動作態様を同一とする小当り遊技である。
「小当り4、5」による小当り遊技では、上記小当り1〜3、7の場合とは異なり、片羽状部材52bが「開放パターン4(1080ms間閉鎖+1200ms間開放)」で動作して右大入賞口50を開閉する「第4開閉動作遊技(中開放1回)」が実行される(図20の備考欄参照)。この1200msの開放中に右大入賞口50に遊技球が入球すると、その遊技球は、高低振分け部材57の動作状態により遊動領域59の2つの遊技球ルートのうちの「高速ルート(第2誘導路56b)」に誘導されるようになっている(図8中のラインL61)。
上記「高速ルート」に誘導された遊技球は、上記「小当り7」の場合と同様に、第2V抽選役物64に誘導された後に、VOUT振分け部材65により、第2V領域73または第2ハズレ領域72に振り分けられる。しかしこの「小当り4、5」の場合は上記「小当り7」の場合とは異なり、第2V抽選役物64のVOUT振分け部材65は、右大入賞口50が開放してから所定の振分け時間後に第2V領域73へのルートを閉鎖するため、タイミングよく入球した遊技球であれば、第2V領域73を通過して「V入賞」しうる。
「V入賞」となった場合には「V当り遊技(V当り7)」が開始される(図8中のラインL63)。そして「V当り遊技」が終了すると、当選した小当りの種別が「小当り4または小当り5」であることに基づき、「時短状態」に移行されるとともに、95回という時短回数値が設定(再付与)される(図8中のラインL64)。
一方、第2ハズレ領域72(第2ハズレ領域)を遊技球が通過して「非V入賞(Vハズレ)」となった場合には(図8中のラインL65)、上記「残余時短回数判定処理」が実行され、残り時短回数が0回であれば「通常状態」に移行させ(残り時短回数=0回、図8中のラインL67)、残り時短回数がゼロでなければ(残り時短回数>0回)、「時短状態」を継続させる(図8中のラインL66)。
なお、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合は(図8中のラインL62)、上述の「非V入賞(Vハズレ)」となった場合と同様に、残余時短回数判定処理の判定結果に応じて「通常状態」に移行されるか(残り時短回数=0回、図8中のラインL67)、「時短状態」が継続される(残り時短回数>0回、図8中のラインL66)。
(5−2−3.小当り6の場合)
「時短状態」において特図2側の大当り抽選で小当りに当選し、図柄抽選で「小当り6」が選択(選択確率は56%)されると(図8中のラインL70)、「小当り6」に応じた小当り遊技が実行される。
「小当り6」に応じた小当り遊技では、上記小当り4、5の場合と同じく「第4開閉動作遊技」にて右大入賞口50が開閉され、その開放中の右大入賞口50に入球した遊技球は「高速ルート」に誘導される(図8中のラインL71)。
「高速ルート」に誘導された遊技球は、上記小当り4、5の場合と同様に、約1/8.8の確率で「V入賞」となり、「V入賞」となった場合には「V当り遊技(V当り6)」が開始され(図7中のラインL73)、「V当り遊技」が終了すると、当選した小当りの種別が「小当り6」であることに基づき、「通常状態」に戻される(図8中のラインL74)。約8.7/8.8の確率で「非V入賞(Vハズレ)」となった場合には(図8中のラインL75)、上記「残余時短回数判定処理」が実行され、残り時短回数が0回であれば「通常状態」に移行させ(残り時短回数=0回、図8中のラインL77)、残り時短回数がゼロでなければ(残り時短回数>0回)、「時短状態」を継続させる(図8中のラインL76)。
右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合は(図8中のラインL72)、上述の「非V入賞(Vハズレ)」となった場合と同様に、残余時短回数判定処理の判定結果に応じて「通常状態」に移行されるか(残り時短回数=0回、図8中のラインL77)、「時短状態」が継続される(残り時短回数>0回、図8中のラインL76)。
(5−3.小当り遊技の開閉動作遊技中の遊技経過:図9A〜図9D)
次に図9A〜図9Dを参照して、各小当り種別に応じた開閉動作遊技態様に着目しながら、V入賞の発生経緯について詳細に説明する。図9A〜図9Dは、各小当り種別に応じた開閉動作遊技(上記第1〜第4開閉動作遊技)におけるV入賞の発生経緯を説明するためのタイムチャート図である。
図9A〜図9Dに示すように、オープニング時間が終了し、開閉動作遊技の開始とともに、各振分役物が所定の動作パターンで動作を開始する。具体的には、小当り種別に応じた開放パターン1〜4にて右大入賞口50の開閉動作が開始されるとともに、遊動領域59内に設けられている高低振分け部材57、VOUT振分け部材65および貯留部材58aが所定の動作パターンで振分動作が開始されるようになっている。各部材57、65、58の振分動作は、それぞれに取り付けられたソレノイドSOL1〜SOLのON/OFFで遊技球をコントロールし、それぞれに取り付けられたソレノイドのON/OFFで遊技球をコントロールし、次のようになっている(図25)。
(1)高低振分け部材57の振分動作は、高低振分け部材57位置に到達した遊技球をソレノイドON時に「高速ルート」へ誘導し、ソレノイドOFF時に「回転体ルート」へ誘導する振分け行っている。具体的な開放パターンは時間順に、60ms間ON動作、1068ms間OFF、1872ms間ON、60ms間OFF、2440ms間ON、2500ms間OFF、開閉動作遊技終了までONとなっている。
(2)VOUT振分け部材65の振分動作は、高速ルートを流下してVOUT振分け部材65位置に到達した遊技球をソレノイドON時に、第2V領域73側の「V入賞ルート」へ誘導し、ソレノイドOFF時に、第2ハズレ領域72側の「ハズレルート」へ誘導する振分けを行っている。具体的な開放パターンは時間順に、40ms間ON動作、1504ms間OFF動作、60ms間ON動作、4896ms間OFF動作、60ms間ON動作、18640msOFF動作、1012msON動作、開閉動作遊技終了までONとなっている。
(3)貯留部材58aの振分動作では、回転体ルートを流下して貯留部58の貯留部材58a位置に到達した遊技球をソレノイドON時に1個貯留し、ソレノイドOFF時にその貯留を解除する貯留動作を行っている。具体的な開放パターンは時間順に、4000ms間ON動作、1500msOFF動作、4140msON動作、開閉動作遊技終了までONとなっている。
また、上記各部材57、65、58の各動作は、右大入賞口50への入賞がなく残存球排出時間が経過した場合、または、右大入賞口50に入賞した遊技球の全てが右大入賞口50から排出されたことが確認された場合である(図25の「終了条件」の欄参照)。また、これらの各部材57、65、58についての動作パターンは小当り種別に関係なく、全て同一の動作パターンとなっている。
(5−3−1.小当り1、2当選時の開閉動作遊技態様:図9A)
まず、図9Aを用いて、小当り1、2当選時の開閉動作遊技における遊技経過について説明する。図9Aにおいて、時刻t0は、小当り遊技のオープニング時間が終了し、第1開閉動作遊技(開放パターン1)が開始する時点を示す。小当り1、2の場合、開閉動作遊技の開始後から1544ms間(時刻t3:1544msまで)右大入賞口50は閉鎖状態となっている。また、右大入賞口50内の各役物(高低振分け部材57、VOUT部材65、貯留装置58)についても、開閉動作遊技開始後、それぞれに対応する動作パターンで動作する。具体的には、高低振分け部材57については60msが経過するまで(時刻t1まで)遊技球を高速ルートへ振分け可能な状態で維持され、VOUT振分け部材65については40msが経過するまで(≒時刻t1まで)遊技球をV入賞ルートへ振分け可能な状態で維持され、貯留部材58aについては4000msが経過するまで(時刻t7まで)遊技球を貯留可能な状態で維持される。
時刻t1まで時間が経過すると、高低振分け部材57は1068ms間(時刻t2:1128msまで)遊技球を回転体ルートへ振分け可能な状態で維持され、VOUT振分け部材65は1504ms間(時刻t3:1544msまで)遊技球をハズレルートへ振分け可能な状態で維持される。そして、時刻t2(1128ms)まで時間が経過すると、高低振分け部材57は1872ms間(時刻t5:3000msまで)遊技球を高速ルートへ振分け可能な状態で維持される。
右大入賞口50の閉鎖時間が終了すると(時刻t3:1544ms)、1回目の右大入賞口50の開放が80ms間(時刻4:1624msまで)にわたり行われる。また、同時刻t3において、VOUT振分け部材65が60ms間(≒時刻t4まで)にわたり遊技球をV入賞ルートへ振分け可能な状態に切り替えられ、その60ms間が経過すると4896ms間(時刻t9:6500msまで)にわたり遊技球をハズレルートへ振分け可能な状態に切り替えられる。
ここで、1回目の右大入賞口50の開放期間中(時刻t3:1544ms〜時刻t4:1624ms)の時刻txにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球した場合について説明する。時刻txに右大入賞口50に入球した遊技球は、高低振分け部材57により高速ルートへ振分けられた後、高速ルートを流下してVOUT振分け部材65に到達する。VOUT振分け部材65に到達するまで、右大入賞口50に入球した遊技球は、右大入賞口50の入口から高低振分け部材57を経由し、ある程度の時間(500ms程度)をかけて流下している。つまり、VOUT振分け部材65は60ms間(1544ms〜1604ms)しかV入賞ルートへの振分けを行っておらず、時刻txに入球した遊技球がある程度の時間をかけてVOUT振分け部材65に到達するころには、VOUT振分け部材65はすでにハズレルートへの振分けに切り替えられている。したがって、1回目の右大入賞口50の短開放期間中に遊技球を入賞させたとしても、V入賞することはまずなく、2回目の右大入賞口50の長開放期間(時刻t8:5500ms〜時刻ta:7000ms)中に入球させた遊技球がV入賞するか否かの期待がもたれる。
2回目の右大入賞口50の開放開始時刻t8(5500ms)になるまで、高低振分け部材57は60ms間(時刻t5:3000ms〜時刻t6:3060msまで)にわたり遊技球を回転体ルートへ振分け可能な状態に切り替えられ、貯留部材58aは1500ms間(時刻t7:4000ms〜時刻t8:5500msまで)にわたり開放状態(貯留解除状態)に切り替えられる。
そして、時刻t8(5500ms)まで時間が経過すると、右大入賞口50の2回目の開放が1500ms間(時刻ta:7000msまで)にわたり行われる。また、同時刻t8において、高低振分け部材57が2440ms間(時刻t11:7940msまで)遊技球を回転体ルートへ振分け可能な状態に切り替えられ、貯留部材58aが4140ms間(時刻t12:9640ms(図示せず))遊技球を貯留可能な状態に切り替えられる。
ここで、2回目の右大入賞口50の開放期間中(時刻t8:5500ms〜時刻ta:7000ms)の時刻tyと時刻tzとにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球した場合について説明する。なお、この開放期間中にVOUT振分け部材57は一時的(時刻t9:6500ms〜時刻t10:6560ms)にV入賞ルートへの振分け状態に切り替えられるが、右大入賞口50に入球する遊技球は2球とも高速ルートへ振分けられないため、今回の場合、VOUT振分け部材57は関係がない。
まず、時刻tyに右大入賞口50に入球した遊技球については、高低振分け部材57により回転体ルートへ振分けられた後、回転体ルートを流下して貯留部材58aに到達する。貯留部材58aまで到達した遊技球は、貯留部材58aが開放状態に切り替えられるまで(時刻t12まで)一時的に貯留される。そして、時刻t12において、貯留部材58aが開放状態に切り替えられると、貯留部材58aから開放された遊技球は、第1V抽選役物60まで流下し、第1V抽選役物60内において、第1V領域63または第1ハズレ領域62を通過する。この結果、第1V領域63を通過した場合には「V当り」が発生し、V当り遊技が開始され、一方、第1ハズレ領域62を通過した場合には「非V入賞(Vハズレ)となり、小当り遊技が終了すると当選時の遊技状態に戻される。
次に、時刻tzに右大入賞口50に入球した遊技球については、高低振分け部材57により回転体ルートへ振分けられた後、回転体ルートを流下して貯留部材58aに到達する。ここで、貯留部材58aには時刻tyに入球した遊技球がすでに貯留されているため、2球目となる時刻tzに入球した遊技球は貯留部材58aに貯留されることなく、排出される。
このように、2回目の右大入賞口50の開放期間中に遊技球を入球させた場合、その遊技球は回転体ルートに誘導され、さらにそのうちの1球が第1V抽選役物に誘導されてV入賞するか否かが決定されることとなる。V入賞した場合、小当り遊技終了後にV当り遊技が開始され、V当り遊技後に小当り種別に応じた遊技状態に移行する。小当り1の場合は、時短状態に移行し、小当り2の場合は、通常状態に移行することとなる。
(5−3−2.小当り7当選時の開閉動作遊技における遊技経過:図9B)
次に、図9Bを用いて、小当り7当選時の開閉動作遊技における遊技経過について説明する。なお、小当り1、2当選時の遊技経過(図9A)と同じ内容、たとえば右大入賞口50内の高低振分け部材57、VOUT振分け部材65、貯留部材58aの動作については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図9Bを参照して、小当り7当選時に係る上記第2開閉動作遊技(開放パターン2:図20)に基づく右大入賞口50の動作は次のようになっている。
右大入賞口50の1回目の開放については、上記小当り1,2当選時の場合と同様の開放期間(時刻t3:1544ms〜時刻t4:1624ms)にわたり開放されており、その開放期間中の時刻txにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球したとしても、上記のようにV入賞することはまずない。
一方、右大入賞口50の2回目の開放(時刻t4から1376ms後)については、上記小当り1,2当選時の場合と異なる開放期間にわたり開放される。この開放期間中(時刻t5:3000ms〜時刻tb:4500ms)の時刻tyと時刻tzとにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球した場合について説明する。
まず、時刻t5〜時刻t6の期間中の時刻tyに右大入賞口50に入球した遊技球については、高低振分け部材57により高速ルートへ振分けられるようになっている。これは、高低振分け部材57が時刻t5〜時刻t6(3000ms〜3060ms)までの60ms間だけ回転体ルートへ振分け可能な状態を維持しているが、右大入賞口50の入口から高低振分け部材57に到達するのに要する時間が60ms以上であるからである(たとえば、約200ms)。そして、高速ルートへ振分けられた遊技球については、VOUT振分け部材65によりハズレルートへ振分けられ、V入賞することはない。
また、時刻t6〜時刻tbの期間中の時刻tzに右大入賞口50に入球した遊技球については、高低振分け部材57が時刻t6から高速ルートへ振分け可能な状態になっていることから、高低振分け部材57により高速ルートへ振分けられるようになっている。また、時刻tyに入球した遊技球と同様に、高速ルートへ振分けられた遊技球については、VOUT振分け部材65によりハズレルートへ振分けられ、V入賞することはない。
このように、小当り7での小当り遊技中に右大入賞口50に遊技球が入球したとしても、入球したほぼ全ての遊技球は高低振分け部材57により高速ルートへ振分けられ、さらに高速ルートへ振分けられた全ての遊技球はVOUT振分け部材65によりハズレルートへ振分けられ、V入賞しないようになっている。
(5−3−3.小当り3当選時の開閉動作遊技における遊技経過:図9C)
次に、図9Cを用いて、小当り3当選時の開閉動作遊技における遊技経過について説明する。なお、上記小当り当選時の遊技経過(図9A、図9B)と同じ内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図9Cを参照して、小当り3当選時に係る上記第3開閉動作遊技(開放パターン3:図20)に基づく右大入賞口50の動作は次のようになっている。第3開閉動作遊技では、開閉動作遊技開始時(時刻t0)から時刻tc(640ms)まで640ms間にわたり、閉鎖時間を設けずに1回だけの開放が行われる。この開放期間中(時刻t0〜時刻tc)における「時刻tx」と「時刻ty」とにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球した場合について説明する。
時刻txと時刻tyとに右大入賞口50に入球した遊技球は、高低振分け部材57によりそれぞれ回転体ルートへ誘導される。なお、高低振分け部材57の動作は、時刻t0(0ms)〜時刻t1(60ms)の間については高速ルートへ振分け可能な状態となっており、時刻t1〜時刻t2(1128ms)の間については高速ルートへ振分け可能な状態となっているが、時刻t0(0ms)に遊技球が右大入賞口50に入球したとしても、高低振分け部材57へ到達するころには回転体ルートに切り替わっている。したがって、右大入賞口50の開放期間中(時刻t0〜時刻tc)に入球する遊技球は全て、高低振分け部材57により回転体ルートへ振分けられることとなる。
そして、回転体ルートを遊動する遊技球は貯留部材58aに到達する。このとき貯留部材58aは、時刻t0〜時刻t7(4000ms)の間、遊技球を1球だけ貯留可能な状態となっている。したがって、最初に辿り着いた遊技球のみが貯留部材58aにより貯留され、2球目以降の遊技球は排出(ハズレルートに誘導)される。
その後、時刻t7まで時間が進行すると、貯留部材58aが貯留可能な状態から開放状態に切り替えられるため、貯留部材58aに貯留されていた遊技球(時刻txに入球した遊技球)は開放されて第1V抽選役物60に遊動することとなる。第1V抽選役物60により、V入賞すればV当り遊技が開始されてV当り遊技後に時短状態に移行され、V入賞しなければ小当り遊技が終了して、当選時の遊技状態に移行される。
このように、小当り3での小当り遊技中に右大入賞口50に入球する全ての遊技球は高低振分け部材57により「回転体ルート」へ振分けられ、そのうちの最初の1球が貯留部材58aに時刻t7まで貯留され、その後第1に誘導されてV入賞するか否かが決定することとなる。
(5−3−4.小当り4〜6当選時の開閉動作遊技における遊技経過:図9D)
次に、図9Dを用いて、小当り4〜6当選時の開閉動作遊技における遊技経過について説明する。なお、上記小当り当選時の遊技経過(図9A〜図9C)と同じ内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図9Dを参照して、小当り4〜6当選時に係る上記第4開閉動作遊技(開放パターン4:図20)に基づく右大入賞口50の動作は次のようになっている。第4開閉動作遊技では、開閉動作遊技開始時(時刻t0)から時刻td(1080ms)まで閉鎖、その後、時刻te(2280ms)まで1200ms間にわたり1回だけの開放が行われる。この開放期間中(時刻td〜時刻te)の時刻txと時刻tyとにおいて、遊技球が右大入賞口50に入球した場合について説明する。
時刻txと時刻tyとに右大入賞口50に入球した遊技球は、高低振分け部材57によりそれぞれ高速ルートへ誘導される。なお、高低振分け部材57の動作は、図示のように、右大入賞口50が開放される前には「回転体ルート」へ振分け可能な状態となっているが(時刻t1〜時刻td)、右大入賞口50が開放され遊技球が入球可能となる時点では、既に「回転体ルート」への振分け状態が終了し、高速ルートへ振分け可能な状態となっている。したがって、右大入賞口50の開放期間中(時刻td〜時刻te)に入球する遊技球は全て、高低振分け部材57により高速ルートへ振分けられることとなる。
まず、時刻txに右大入賞口50に入球した遊技球については、高速ルートへ振分けられた後、VOUT振分け部材65によりV入賞ルートへ振分けられ、V入賞する。VOUT振分け部材65の動作は、時刻t3(1544ms)〜時刻t4(1624ms)の期間中だけV入賞ルートへ振分け可能な状態となっており、それ以外の期間はハズレルートへ振分け可能な状態となっている。したがって、右大入賞口50に入球した遊技球がVOUT振分け部材65に到達するまでに要する時間が500ms程度であるので、時刻txが開放開始時(1080ms)〜1124msの間であれば、VOUT振分け部材65によりV入賞ルートへ振分けられ、その結果V入賞することとなる。一方、1124ms以降である時刻tyに右大入賞口50に入球した場合、VOUT振分け部材65によりハズレルートへ振分けられ、その結果、V入賞することなく、ハズレとなる。なお、V入賞時は、今回当選した小当り種別に対応したV当り遊技(V当り4〜6のいずれか)が実行される。V当り遊技後は、当選時の遊技状態と当選した小当り種別に基づき、時短状態または通常状態に移行される(図18参照)。
このように、小当り4〜6での小当り遊技中に右大入賞口50に遊技球が入球する全ての遊技球は高低振分け部材57により高速体ルートへ振分けられ、そのうちの所定のタイミング(時刻tx(1080ms〜1124ms))に入球した遊技球のみがVOUT振分け部材65によりV入賞ルートに振り分けられてV入賞し、その他のタイミングで入球した遊技球はハズレルートに振り分けられハズレとなる。
以上のように本実施形態の遊技形態を纏めると、遊技状態遷移の点については、次のような特徴を持つ。通常状態においては、特図1側の大当り抽選を受け、約1/259で大当りに当選させ、かつ52/100の割合で「大当り1」に当選させて時短状態に移行させるか、または約1/45.8という大当りよりも高確率であるが、9/100という低い割合で「小当り1」に当選させ、かつV入賞によるV当りを発生させて、時短状態への移行権利を獲得する。そして、時短状態においては、特図2側の大当り抽選を受け、約1/259で大当りに当選させ、かつ44/100の割合で「大当り3または大当り4」に当選させるか、または約1/1.004という超高確率で小当りを発生させ、44/100の割合で「小当り3〜小当り5」のいずれかに当選させ、かつV入賞によるV当りを発生させることで、時短状態が継続していく。また時短状態に移行する際には、小当り当選確率とV入賞率とを考慮して、時短回数が消化されるまでにV当りになる可能性がほぼ100%、つまり次回V当りがほぼ確定的となる「時短回数95回」という回数に設定する。これにより、時短状態に移行した際には、時短状態の連荘は未確定であるが、次回V当りがほぼ確定状態とされる。したがって遊技者においては、通常状態下(左打ち有利)において特図1側の抽選により時短状態に移行させることをじっくりと楽しむ遊技性と、発生した時短状態(右打ち有利)を特図2側の抽選によりスピーディーに継続させていく遊技性とを楽しむことができる。また時短状態に移行した際には、次回V当りがほぼ確定しているため、遊技者は安心して次回V当りを期待できる。しかし、V当りを獲得しても非時短小当り(たとえば、小当り6)の当選可能性があるために、時短状態が終了してしまうかも知れないという緊張感をもってV当りの発生に挑む、という興趣の深い遊技性を作り出している。
また振分役物によるV入賞の発生形態の点ついて、次のような特徴を持つ。第1の特徴として、V入賞に至るルートが1つではなく、役物性能が異なる複数種類のルートが設けられている。詳しくは、次の通りである。
(κ)V入賞に至るルートには、「V入賞」の可否を‘動的’に判定する「回転体ルート(第1V入賞判定ルート)」と、「V入賞」の可否を‘静的’に判定する「高速ルート(第2V入賞判定ルート)」と、が含まれる。
(λ)「高速ルート」と「回転体ルート」とは、遊技球の遊動経路長や抽選役物等の性能の違いにより、V入賞の可否までに要する時間が大きく異なるようになっている。本実施形態の場合、「回転体ルート」の方が「高速ルート」よりもV入賞の可否までに要する時間が長時間である。
(μ)「高速ルート」と「回転体ルート」とは、V入賞率が異なるようになっている。本実施形態の場合、「回転体ルート」の方が「高速ルート」よりもV入賞率が高い。
また第2の特徴として、当選した小当り種別に応じて、振り分け先のルートが定まるようになっている。具体的には、小当り種別に対応する「第1〜第4開閉動作遊技態様(右大入賞口50の開閉パターン1〜4)」と、当該開放動作遊技開始を契機に実行される「高低振分け部材57」の動作態様とに基づいて、いずれのルートに振分けられるのかが定まる。より詳しくは、次の通りである。
(ν)「回転体ルート」は、主に、特図1側の小当り1、2または特図2側の小当り3の当選時に誘導されるルートとなっている。換言すれば、通常状態または時短状態で利用されるルートとなっている。本実施形態の場合、時短状態中、つまり特図2側の抽選において「回転体ルート」に誘導されるのは、小当り3の「時短小当り」に当選したときだけである(図8、図9C参照)。すなわち、時短状態中に遊技球が特定のルート(回転体ルート)に誘導された場合、そのことを以って「時短小当り」に当選したことが確定的となることを意味する。これに対し、通常状態中、つまり特図1側の抽選において「回転体ルート」に遊技球が誘導されるのは、小当り1の「時短小当り」または小当り2の「非時短小当り」である。したがって、通常状態中に遊技球が特定のルートに誘導されても「時短小当り」に当選したことが確定的とはならない(図7、図9A参照)。なお、特図2側の時短小当り種別は1種類だけでなく、複数種類あってもよい。
(ξ)「高速ルート」は、主に、特図1側の小当り7(朧小当り)または特図2側の小当り4〜6の当選時に誘導されるルートとなっている。この「高速ルート」には、特図1側の小当り1、2の当選時にも誘導されるルートとなっているが、この場合は‘第1開閉動作遊技の短開放中(80ms開放中)に右大入賞口50に入賞’という非常に稀なイレギュラーケースであり(図9A参照)、また小当り7は上記「朧小当り」として働くため(図9B参照)、「高速ルート」は、専ら特図2側の小当り種別に当選した場合に利用されるルート、換言すれば、時短状態で利用されるルートとなっている。
本実施形態によれば、「回転体ルート」と「高速ルート」という役物性能が異なる複数ルートの存在により、V入賞に至るまでの遊技球の動きを多彩なものにすることができる。また「回転体ルート」は、「高速ルート」よりも遊技球の遊動時間が長時間となっており、かつV入賞率が高い。このため、「回転体ルート」に誘導された場合には、V入賞の期待度を上昇させるとともに、演出手段による演出と遊動領域内の遊技球の不規則な動きにより、V入賞期待感を時間を掛けてじっくり煽ることができる。なお「回転体ルート」に誘導された場合、V入賞の可否が決定されるまでの間の演出として、後述する図33、図34に示す多彩な演出ルートが設けられており(たとえば、「通常小当り中演出」や「特別小当り中演出」等の演出をなす演出ルート)、当該演出と動的な振分役物(第1V抽選役物60)とが相まって、時短状態への移行期待感を効果的に煽ることができるようになっている。
また本実施形態では、時短状態中の場合、遊技球が「回転体ルート」に誘導された時点で「時短小当り」に当選したことが確定的となる構成となっており(小当り3当選のケース:640msのミドル開放)、「時短小当り」に当選したことが遊技球の物理的な動きによって報知される。したがって時短状態中の場合、遊技者においては、遊技球が「回転体ルート」に誘導されることを望んで遊技に臨み、見事「回転体ルート」に誘導されたときには、V入賞の発生に大きな期待感を寄せて第1抽V選役物60による遊技球の動きに注視するようになる。本実施形態では、役物性能が異なる複数種類のルートの存在と、小当り種別に応じていずれかのルートに誘導される構成とが相まって、振分役物の醍醐味を効果的に発揮させることができる。
また「高速ルート」は「回転体ルート」よりもV入賞の可否が定まるまでの時間が短い。このため、V入賞とならなかった場合にも次の図柄変動表示ゲームまでの時間が無闇に長引いてしまうことがなく、非V入賞が連続して発生した場合にもゲームをテンポよく進行させることができるため、ゲーム消化スピードが速まる「時短状態」への利用は好適である。
(6.技術介入性について)
上記した遊技形態において、遊技者の利益を大きく左右する要素は「時短状態の連荘」である。すなわち、遊技者が大きな利益を獲得するためには「時短状態」をどれだけ継続できるか否かにかかっており、時短状態が継続すればするほど「V当り遊技」を何度も行って、短時間の間に大量の賞球を獲得することができる。このため、遊技者は「時短状態の連荘」に大きな関心を寄せることになる。
そうすると、遊技者の中には、時短状態への移行契機となる「時短小当り」を狙い撃ちし、その小当り遊技中にV入賞を獲得できないかという技術介入が可能かどうかを試行錯誤するものが現れるのが実情である。
このような技術介入性を許容しうる要因としては、たとえば、当り種別を特定可能な特別停止図柄種別あるいは装飾停止図柄種別が時短小当りか非時短小当りかに応じて右大入賞口50への入賞を狙うことが可能である場合、大入賞口50の開放タイミング等の相違により小当り種別の判別が可能である場合、図柄変動表示ゲーム中の予告演出や変動時間等の相違により時短小当りへの当選可能性の高低の推測が可能である状況が発生しうる場合等である。当選した小当り種別が遊技者に悟られてしまうと、「非時短小当り」が当選したときには、右大入賞口50へ遊技球を入球させないようにし、「時短小当り」が当選したときには、右大入賞口50への入賞を狙い撃ちする、という止め打ち技術を駆使した遊技技術、いわゆる「攻略打ち」が実行されてしまう恐れがある。このような攻略打ちが実行可能であれば、技術介入性の問題が生じ、遊技者間に大きな不平等を招来することとなる。そこで本実施形態では、攻略打ち対策として、大別して、次の2つの攻略打ち対策がなされている。
(6−1.第1の攻略打ち対策)
第1の攻略打ち対策は、小当り3による小当り遊技がこれから開始されることを遊技者が確認してから、右大入賞口50を狙い撃ちしたとしても、右大入賞口50に遊技球を入球させない、という特別な遊技仕様としていることである。
具体的には、「小当り3」当選による小当り遊技での右大入賞口50の開放パターン、つまり、開閉動作遊技態様(開放パターン3による第3開閉動作遊技態様)に特殊性を持たせている。「小当り3」の場合、小当り遊技開始時からのオープニング時間を20msという極短時間に設定するとともに、開閉動作遊技として、当該オープニング時間経過後、直ちに右大入賞口50を開放し、640msの開放時間が経過を以って右大入賞口を閉鎖する(図20参照)。
詳しくは後述するが、本実施形態では、開閉動作遊技態様に特殊性を持たせることにより、たとえ、特別図柄表示装置38bに当選図柄の小当り図柄が停止表示されて、その小当り図柄が「小当り3」図柄であることを遊技者が確認してから、右大入賞口50を狙って遊技球を打ち出すという攻略打ちが実行されたとしても、その打ち出した遊技球が右大入賞口50に到達するときには、既に開閉動作遊技は終了している、つまり、遊技球が右大入賞口50に到達するときには、既に右大入賞口50は閉鎖されており、その入賞自体を不可能にする、という攻略打ち対策を擁する遊技形態となっている。なお本実施形態の場合、役物配置構成やゲージ構成等により、打ち出してから最速でも「約2500ms程度」で到達する構成となっている。
(6−2.第2攻略打ち対策)
第2の攻略打ち対策は、遊技者が今回の図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選結果)が「時短小当り」の可能性があると推測ないし予測して、図柄変動表示ゲーム中に右大入賞口50を狙い撃ちすることができない、という攻略打ち対策(第2攻略打ち対策)を擁する遊技形態としていることである。これについても詳しくは追って説明する。
上記した「第1の攻略打ち対策」と「第2の攻略打ち対策」とについて、図27、図28A〜図28Cを用いて説明する。
まず本発明の理解を容易なものとするために、図27を参照して、特別図柄変動表示ゲーム2の実行期間と、小当り遊技中における右大入賞口50の開閉動作遊技態様(特に、右大入賞口50の開放開始タイミングとその閉鎖タイミング:開放期間)について説明する。図27に、小当り当選時における変動パターン(特別図柄の変動時間)と、その変動開始時を基点にした場合の右大入賞口50の開閉動作遊技態様(右大入賞口入賞時に係るV入賞ルート振分種別)との関係を示す。図27(イ)は、「小当り3」に当選したケースを、同図(ロ)は「小当り4〜6」に当選したケースを示している。
図27(イ)(ロ)に示すように、「時短状態」における小当り当選時に選択されうる特図2側の特別図柄の変動パターンとして、全8種類の時短中小当り変動1〜8が定められており、小当り種別応じて、いずれかの変動パターンが抽選により決定される。具体的には、「小当り3」については、‘時短中小当り変動1〜5(変動時間:4520ms、4160ms、3800ms、3440ms、3080ms)’が選択可能となっており、「小当り4〜6」については、‘時短中小当り変動4〜8(変動時間:3440ms、3080ms、2720ms、2360ms、2000ms)’が選択可能となっている。なお、これら変動パターンの選択率については、それぞれ同一の選択率(20%)となっている。またこれら変動パターンの変動時間(ハズレ時の変動パターン(不図示)を含む)は、通常状態時のものよりも相対的に短時間となっている。
特別図柄の変動時間が終了すると、特別図柄が停止表示する。その停止表示期間として確定表示時間が設定される。時短状態中の小当り当選時の確定表示時間は、小当り種別や変動パターン種別によらず、共通の「128ms(図26、図27参照)」となっている。上記確定表示時間が経過すると小当り遊技が開始され、まずオープニング時間が設定される。このオープニング時間も共通の20msとなっている(図27のオープニング時間の欄参照)。
オープニング時間が経過すると、今回当選となった小当りの種別に応じて、右大入賞口50を所定の動作パターンで開閉する開閉動作遊技が実行される。既に説明したように、小当り3の場合は、開放パターン3による開閉動作遊技(第3開閉動作遊技)が実行され、小当り4〜6の場合は、開放パターン4による開閉動作遊技(第4開閉動作遊技)が実行される(図20の備考欄参照)。
以上を踏まえて、各小当り当選時おいて、特別図柄変動表示ゲーム2の変動開始時を基準(変動開始時刻t=0ms)とした場合、開閉動作遊技に係る右大入賞口50の開放開始タイミング(始端)およびその閉鎖タイミング(終端)は、変動パターン種別に応じて異なり、具体的には次のようになっている。なお、図示の「開放期間種別」の名称は、各小当り遊技中に遊技球が入賞した場合、専ら、遊動領域59内の回転体ルートまたは高速ルートのいずれのルートに振り分けられるかに応じて、説明の便宜のために名付けた名称である(図7、図8、図9A〜図9D参照)。
(小当り3当選時の場合)
図27を参照して、小当り3当選時において、たとえば「時短中小当り変動1選択時」の場合、特図2の変動開始から右大入賞口50の開放開始時間(始端)は「変動時間4520ms+確定表示時間128ms+オープニング時間20ms」の‘4668ms後’となり、その閉鎖時間(終端)は、「4668ms+開放パターン3による大入賞口開放期間640ms」の‘5308ms後’となる。同様にして、時短中小当り変動1〜5選択時の右大入賞口50の開放期間(始端時刻〜終端時刻)について纏めると以下のようになる(右大入賞口50の開放期間(始端〜終端)の欄参照)。
(1)時短中小当り変動1:4668〜5308ms(回転体ルートパターンA)
(2)時短中小当り変動2:4308〜4948ms(回転体ルートパターンB)
(3)時短中小当り変動3:3948〜4588ms(回転体ルートパターンC)
(4)時短中小当り変動4:3588〜4228ms(回転体ルートパターンD)
(5)時短中小当り変動5:3228〜3868ms(回転体ルートパターンE)
(小当り4〜6当選時)
他方、「小当り4〜6」当選時の場合は、次のようになる。小当り4の当選時を代表的に説明すれば、たとえば「時短中小当り変動4選択時」の場合、特図2の変動開始から右大入賞口50の開放開始時間(始端)は「変動時間3440ms+確定表示時間128ms+オープニング時間20ms+開放パターン4による大入賞口閉鎖期間1080ms」の‘4668ms後’となり、その閉鎖時間(終端)は、「4668ms+開放パターン4による大入賞口開放期間1200ms」の‘5868ms後’となる。同様にして、時短中小当り変動1〜5選択時の右大入賞口50の開放期間について纏めると以下のようになる。
(1)時短中小当り変動4:4668〜5868ms(高速ルートパターンA)
(2)時短中小当り変動5:4308〜5508ms(高速ルートパターンB)
(3)時短中小当り変動6:3948〜5148ms(高速ルートパターンC)
(4)時短中小当り変動7:3588〜4788ms(高速ルートパターンD)
(5)時短中小当り変動8:3228〜4428ms(高速ルートパターンE)
上述から分かる通り、小当り3当選時または小当り4〜6当選時において選択される変動パターンのうち、「時短中小当り変動1と4」、「時短中小当り変動2と5」、「時短中小当り変動3と6」、「時短中小当り変動4と7」、または「時短中小当り変動5と8」の組は、いずれも右大入賞口50の開放開始タイミング(始端時刻)が同一となるように制御される、という特殊な共通性を有するものとなっている。なお上記した共通性を利用した攻略打ち対策については、「第2の攻略打ち対策」にて後述する。
図28A(イ)(ロ)は、各小当り当選時に選択されうる時短中小当り変動1〜8のうち、代表的に、「時短中小当り変動1」と、「時短中小当り変動4」(上記回転体ルートパターンAと、高速ルートパターンA)の2つの変動パターンを取り上げ、時短中小当り変動1選択時および時短中小当り変動4選択時の右大入賞口の開放期間と、遊技球の打ち出しタイミング(攻略打ち)との関係を示したものである。図28Aにおいて、「時刻t0(0ms)」は、特別図柄の変動表示が開始された時刻(基準時刻)を示す。
先ず、「時短中小当り変動1選択時(回転体ルートパターンA)」について、時刻t0を基点とした右大入賞口50の開放期間について説明する。
図28A(イ)を参照して、特別図柄の変動表示は、時短中小当り変動1に基づく変動時間の時刻t3(4520ms)まで実行され、その後、当選図柄として小当り3に対応した特別図柄が確定表示時間(128ms)わたり時刻t4(4648ms)まで停止表示される。確定表示時間が経過して、小当り3による小当り遊技が開始されると、20ms間のオープニング時間を介して、開放パターン3による第3開閉動作遊技(640ms間開放)が実行される。したがって、本ケースにおける右大入賞口50の開放期間(始端〜終端)は、時刻t5(4668ms後)から時刻t6(5308ms後)までとなる(回転体ルートパターンA)。
(第1の攻略打ち対策について)
ここで、特別停止図柄が「小当り3」であることを遊技者が確認した後、すなわち「時刻tk1(時刻t4から時刻t5の間)」に遊技球を打ち出して、右大入賞口50への入賞を狙い撃ちしたとする。本実施形態の場合、打ち出した遊技球が右大入賞口50に到達するまでの最短到達時間が「約2500ms(説明の便宜上、以下「2500ms」とする)」であることから、たとえ、特別図柄が停止表示した瞬間、つまり確定表示された瞬間に遊技球を打ち出したとしても、その遊技球が右大入賞口50に到達する時刻は、特別図柄の変動開始時刻t0を基点として、下記(イ)のように、
(イ)「時短中小当り変動1の変動時間4520ms+右大入賞口到達時間の2500ms(確定表示した瞬間に打ち出し0ms)」の‘7020ms後’の時刻tk2となる。
したがって、遊技球が右大入賞口50に到達する時刻は、右大入賞口50の開放期間の終端である時刻t6の5308ms後を遥かに超えた約7200ms後となり、右大入賞口50への入賞は不可能となる。なお、この時刻tk2は、小当り遊技が終了する時刻t8(エンディング時間終了時刻)の6808msをも超えた時刻である。
すなわち上記「第1の攻略打ち対策」として、本実施形態では、特別図柄表示装置38bの特別停止図柄の確定表示時間(本例では、時短状態中の確定表示時間)、小当り遊技中の開閉動作遊技態様(右大入賞口開放パターン)、遊技球の打ち出しから右大入賞口50に到達するまでの到達時間(大入賞口到達時間)の三者間の関係について、
(α)「確定表示開始から右大入賞口50の開放終了までの期間」<「大入賞口到達期間」という関係を持たせている。
上述した小当り3が当選した場合を例にとれば、確定表示時間から小当り遊技中に右大入賞口50の開放が終了するまでの時間は「時短状態中の小当り当選時の確定表示時間128ms(図26参照)+小当り遊技開始時のオープニング時間20ms+右大入賞口50の開放時間640ms(図20参照)」の計788msであり、大入賞口到達時間は2500msであり、上記(α)の関係を満たすようになっている。
次に、「時短中小当り変動4選択時(高速ルートパターンA)」の場合について説明する。時短中小当り変動4選択時の場合、図28A(ロ)から理解されるように、時短中小当り変動4の変動時間終了時刻は、時刻t1の3440ms後であり、その後、特別図柄表示装置38bにおいて小当り4または小当り5に対応した特別停止図柄が、時刻t1(3440ms後)〜時刻t4(3568ms後)の128msにわたり確定表示される。そして、この確定表示時間(128ms)が経過した後、小当り4による小当り遊技が開始され、20msのオープニング時間を介して、開放パターン4による第4開閉動作遊技(1080ms間閉鎖+1200ms間開放)が実行される。したがって、右大入賞口50の開放期間は、時刻t5(4668ms後)から時刻t7(5868ms後)までとなっている。
したがって、特別図柄が停止表示した瞬間(時刻t1)に遊技球を打ち出したとしても、右大入賞口50に到達する時刻は、下記(ロ)のように、
(ロ)時短中小当り変動4の変動時間3440ms+右大入賞口到達時間の2500ms(確定表示した瞬間に打ち出し0ms)」の‘5940ms後’となる。つまり右大入賞口50の開放期間は既に終了しており、入賞は不可能とされる。
なお図示はしていないが、他の変動パターンである時短中小当り変動パターン2、3および5〜8についても同じく、遊技者が特別図柄表示装置の特別停止図柄種別を確認してから遊技球を打ち出したとしても、遊技球が右大入賞口50に到達した時点で、既に右大入賞口50の開放期間が終了しており、入賞は不可能とされる。
したがって、特別図柄表示装置の特別停止図柄種別あるいは液晶表示装置の装飾停止図柄種別を確認してから遊技球を如何なるタイミングで打ち出したとしても、右大入賞口50に遊技球が入球することは不可能となる。したがって、時短状態中は、止め打ち等を如何に駆使しようとも時短小当りをピンポイントで狙い撃ちすることは不可能となり、攻略打ちは全く意味のないものになる。その結果、遊技者間の平等を維持することができる。
(第2の攻略打ち対策について)
次に図28Bおよび図28Cを参照しながら、第2の攻略打ち対策について説明する。
攻略打ちの一つとして、遊技者が今回の図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選結果)が「時短小当り」の可能性があると推測ないし予測して、図柄変動表示ゲーム中に右大入賞口50を狙い撃ちして時短状態の意図的に連荘させる、という設計上、想定しない利益を獲得する攻略打ちがある。このような攻略打ちを封じるために、本実施形態では、以下のような対策を講じている。
図28Bおよび図28Cは、図28Aと同様に、小当り3に係る時短中小当り変動1〜5(回転体ルートパターンA〜E)および小当り4〜6に係る時短中小当り変動4〜8(高速ルートパターンA〜E)について、特別図柄変動表示ゲーム2の変動開始時を基準とした右大入賞口50の開放期間についての概略を示すタイムチャートである。
図28Bおよび図28Cにから分かるように、時短小当りである「小当り3」に係る時短中小当り変動1〜5(回転体ルートパターンA〜E)、時短小当りである「小当り4、5」に係る時短中小当り変動4〜8(高速ルートパターンA〜E)、非時短小当りである「小当り6」に係る時短中小当り変動4〜8(高速ルートパターンA〜E)について、特別図柄の変動表示が開始された時刻を基点とした、右大入賞口50の開放時刻(始端)は、既に説明したように、次のような関係を持つ。なお、図中の時刻t0は、図28Aと同様に、特別図柄の変動表示が開始された時刻を示す。
(1)時短中小当り変動選択時1と時短中小当り変動4選択時とは同一時刻に開放
(2)時短中小当り変動選択時2と時短中小当り変動5選択時とは同一時刻に開放
(3)時短中小当り変動選択時3と時短中小当り変動6選択時とは同一時刻に開放
(4)時短中小当り変動選択時4と時短中小当り変動7選択時とは同一時刻に開放
(5)時短中小当り変動選択時5と時短中小当り変動6選択時とは同一時刻に開放
すなわち、図示の遊技開放期間種別で表記すれば、次のようになる。
(1)「回転体ルートパターンAと高速ルートパターンA」とは同一時刻に開放
(2)「回転体ルートパターンBと高速ルートパターンB」とは同一時刻に開放
(3)「回転体ルートパターンCと高速ルートパターンC」とは同一時刻に開放
(4)「回転体ルートパターンDと高速ルートパターンD」とは同一時刻に開放
(5)「回転体ルートパターンEと高速ルートパターンE」とは同一時刻に開放
上記のように、本実施形態では、時短小当りと非時短小当りとで、共通の変動パターンが選択可能であるとともに(図27)、その変動パターン選択時には、変動開始時を基点として同一時刻に右大入賞口50が開放されるようになっている(右大入賞口50の開放開始タイミング(始端)が同一時刻)。また、時短小当りであっても、V当り遊技の利益度合いが相対的に高い小当り(小当り3、4)と、相対的に低い小当り(小当り5)とについても同様に、共通の変動パターンが選択可能、かつ変動開始時を基点として同一時刻に右大入賞口50が開放されるようになっている。
これにより、特別図柄の変動パターンを如何に観察しようとも、時短小当りか非時短小当りのどちらの小当りの開閉動作遊技が生起するのか判明しない。したがって、当選した小当り種別が遊技者に悟られることがなく、遊技者が意図的に時短小当りを狙い打ちすることができないようになっている。また図28Bおよび図28Cに示すように、右大入賞口50の開放期間について、回転体ルートパターンA〜Eの場合は「640ms(小当り3に係る開放期間)」となっており、高速ルートパターンA〜Eの場合は「1500ms(小当り4、5、6に係る開放期間)」となっており、小当り3に係る右大入賞口50の開放期間の全てが、小当り4、5、6に係る開放期間と重複し、かつ双方ともに開放開始タイミングを同一時刻に制御されるため、遊技者が「他の小当りの開放期間を排除して、‘小当り3’の開放期間中のみを狙って入賞させる」ということができず(図示の打ち出し時刻ta1〜td1参照)、以って「時短小当りだけを狙い撃ちする」という攻略打ちを封じている。
このように、図柄変動中において、時短小当り当選時に右大入賞口50への入賞を狙い撃ちして時短状態の連荘を狙ったり、非時短小当り当選時に右大入賞口50への入賞を回避して通常状態への転落を回避する、という攻略打ちを封じ込めることができる。
(他の攻略打ち対策:第3の攻略打ち対策)
なお本実施形態では、変動時間が相対的に長い「時短中小当り変動1〜3」については、時短小当りの小当り3当選時に限り選択され、非時短小当り4〜6の当選時には選択されないようになっている。この点に着目して今回の特別図柄の変動時間をカウントした場合、時短中小当り変動4〜8のうちで最長である「時短中小当り変動4」の‘変動時間3440ms’を超えるケースでは、今回の変動パターンが「小当り3に係る時短中小当り変動1〜3のいずれかである」という小当り種別判別の推測要素となり得る。しかしたとえ、遊技者が上記の「3440ms」を超えた瞬間に遊技球を打ち出したとしても、その遊技球が右大入賞口50に到達する時刻は、2500ms経過後の5940msとなり、今回のゲーム結果が、仮に小当り3だったとしても、遊技球が右大入賞口50に到達したときには、既に右大入賞口50の開放期間が終了してしまっており、その入賞は不可能となる。したがって、本実施形態の場合、「特別図柄の変動時間をカウントして時短小当りを狙い撃ちする」という別の攻略打ちをも封じ込めることができる。
(他の攻略打ち対策:第4の攻略打ち対策)
また上記では、特別図柄表示装置における特別図柄の変動表示態様や、小当り遊技態様(開閉動作遊技態様)に着目した攻略打ち対策について説明した。しかし、より強力な攻略打ち対策として、以下の「第4の攻略打ち対策」をも擁することが好ましい。
本実施形態では、上述したように、時短小当りまたは非時短小当り当選時には、共通した特別図柄の変動パターンを選択可能な構成となっている。そこで、図柄変動表示ゲーム中の演出態様(たとえば、リーチ演出などの予告演出)を、少なくとも当選時の小当り種別によらずに決定するように構成する。このようにすれば、図柄変動表示ゲーム中の演出上から当選した小当り種別を遊技者に悟られないようにすることが可能になる。
しかし、時短中小当り変動パターンは複数種類あり、それぞれ変動時間が異なるものとなっている。このため、それぞれの変動時間に対応した演出を定める必要があり、各変動パターンの演出態様に少なからず違いが生じてしまう。よって、その違いそのものが、小当り種別の推測要素ともなりうる。
そこで、図柄変動表示ゲームの開始から特定の期間(前半期間)までに実行される演出態様を共通化し、当該期間の演出態様を観察しても、いずれの小当りに対応した演出であるかを秘匿するようにする。この「特定の期間」については、大入賞口到達時間(2500ms)を考慮し、特定の期間内に打ち出した遊技球は、すべて右大入賞口50に入賞可能であるが、特定の期間を超えて打ち出した遊技球は右大入賞口50に入賞不可能となる、という時間的条件を満たすことで実現可能である。
(8.球噛み対策:図3A、図3B、図4、図25)
次に、小当り遊技中に右大入賞口50内のいわゆる「球噛み」に対する対策について説明する。
図3A、図3Bおよび図4等で説明したように、遊動領域59内に進入した遊技球は、遊技球の振分動作を実行する様々な機構の振分役物(たとえば、高低振分け部材57、VOUT振分部材65、貯留部材58a、回転体役物61(外回転体61a)等の可動部材)により遊技球の移動する誘導路56a〜56hが変化し、最終的には、V領域63、73またはハズレ領域62、73に導かれる。このような多彩な機構を持つ遊動領域59内では、可動部材の動作タイミングや遊技球の進入タイミング、振分役物の形状や誘導路の形態等の種々の理由により、遊技球がV領域やハズレ領域を通過する前に、振分役物により遊技球の行く手が阻まれる「球噛み(「球詰り」ともいう)」が発生しうる。
上記のような「球噛み」には、たとえば、振分役物と誘導路と壁面との遊技球が挟まれて、遊技球の進行が妨げられるような不具合がある。「球噛み」が発生した場合は、遊技動作に異常が発生したとみなし、エラー報知などのエラー処理が実行される。
(球噛みエラー判定処理)
本実施形態の場合、右大入賞口50に入球した遊技球数(入賞球数)と、右大入賞口50(遊動領域59)から排出される遊技球数(排出球数)とを監視し、残存球排出時間経過後の所定のエラー監視時間が経過しても入賞球数と排出球数とが一致しない場合(入賞球数≠排出球数)、球噛みエラーが発生したとして、所定のエラー処理を実行するようになっている。球噛みエラー判定処理の具体的内容は次の通りである。
主制御部20は、小当り遊技に係る開閉動作遊技開始とともに、エラー監視タイマにエラー監視時間を設定する。このエラー監視時間は、入賞球が排出されるまでの十分な余裕時間を考慮したものであり、たとえば「40000ms」が設定される。このエラー監視時間(40000ms)は、すべての振分役物の最終動作が終了するまでの時間よりも長い時間となっている。主制御部20は、小当り遊技中における右大入賞口50への入賞球数(センサSW1により検出される遊技球)と、右大入賞口50から排出される排出球数(センサSW2〜SW6により検出される遊技球)とをカウントするカウント処理を実行する。主制御部20は、右大入賞口50への入賞球を検出する度に、排出球をカウントする右大入賞口排出カウンタに1加算し(カウンタ+1)、排出球を検出する度に、当該カウンタを1減算し、当該カウンタ値がゼロであるか否かを判定することを以って、全ての入賞球が排出されたか否かを判定している。したがって、カウンタ値がゼロにならない限り、全入賞球が排出されたとは判定されず、エラー監視時間が経過してもカウンタの値がゼロでない場合は、球噛みが発生したとみなして、エラー報知等の所定のエラー処理を実行する。なお本実施形態の場合、遊技機のメイン電源がOFFにされるまで、球詰りのエラー報知が継続されるようになっている。
遊動領域内部における上記のような「球噛み」現象は、遊技者が正規の遊技方法で遊技をしていても発生しうるエラーである。しかし正しい遊技方法を行っているにもかかわらず、球噛みが発生したときに、闇雲にエラーが報知されてしまうと遊技機に対する不信感を招来する。そこで本実施形態では、球噛みが発生した場合であっても、以下に述べる、特徴ある動作(球噛み対策動作)を実行し、遊技機自身で球噛みを解消・防止しうるとともに、その動作の後に、エラー判定処理を実行する構成となっている。
本実施形態に係る振分役物である高低振分け部材57、VOUT振分け部材65、および貯留部材58aの動作に触れながら、上記球噛み対策について説明する。なお、これら振分役物の動作の開始条件および終了条件は図示の通りであるので、その説明は適宜省略する。まず図25を用いて、高速ルートに係る高低振分け部材57とVOUT振分け部材65とについて説明する。
高低振分け部材57は、小当り遊技中の一連の動作として、ソレノイドSOL1のON/OFF制御により、図示の「動作1〜動作7」を行う。本実施形態の場合、動作1〜動作7のうち「動作1、3、5、7」のON動作の場合には、第1誘導路56aが閉じて第2誘導路56bが開放され、遊技球を第2誘導路56bへと導く「高速ルート」を形成し(第2誘導路56b開放状態)、「動作2、4、6」のOFF動作の場合には、第2誘導路56bが閉じて第1誘導路56aが開放され、遊技球を第1誘導路56aへと導く「回転体ルート」を形成し(第2誘導路56b閉鎖状態)、遊技球を「高速ルート」または「回転体ルート」のいずれかに振り分ける(図3A〜図4、図25の「高低振分け部材」欄参照)。
高低振分け部材57の動作に着目すれば、「動作1→動作2、動作3→動作4、または動作5→動作6(ソレノイドON動作からOFF動作切換時)」の実行の際、つまり、第2誘導路56bを開放状態から閉鎖状態へと切り換える際、第2誘導路56bが垂直方向に形成されている関係上、当該誘導路56bへの遊技球の進入タイミングが悪ければ、高低振分け部材57と誘導路56bとの間に遊技球が挟まる「球噛み」が発生する可能性がある。しかし斯様な「球噛み」が発生したとしても、その後に実行される「動作3、動作5、または動作7(最終動作)」により第2誘導路56bが開放状態とされるため、挟まった遊技球が解放されて「球噛み」が解消することができる。また本実施形態の場合、最終動作である「動作7」において、所定の終了条件1、2を満たすまで、第2誘導路56bを‘開放状態としたまま維持する(第1弁開放動作)’ようにし、上記動作7以降に第2誘導路56bを通過する遊技球が球噛みしてしまうことを防止している。
また、振分役物の一つである「VOUT振分け部材65」は、小当り遊技中の一連の動作として、ソレノイドSOL2のON/OFF制御により、図示の「動作1〜動作8」を行う。本実施形態の場合、動作1〜動作8のうち「動作1、3、5、7」のソレノイドON動作の場合には、遊技球を第2V領域73へと導く「V入賞ルート」を形成し(第2V領域73開放状態)、「動作2、4、6、8」のソレノイドOFF動作の場合には、遊技球を第2ハズレ領域72へと導く「ハズレルート」を形成し(第2V領域73閉鎖状態)、遊技球をV領域またはハズレ領域のいずれかに振り分ける(図3A〜図4、図25の「VOUT振分け部材」欄参照)。
ここで本実施形態では、VOUT振分け部材65に係る「動作7」および「動作8」が球噛み対策用の特徴的動作となっている。詳述するに、小当り遊技中のVOUT振分け部材65の一連の動作自体は「動作1〜動作6」となっており、最終の「動作6」を以ってVOUT振分け部材65の動作が終了されて、開閉動作遊技終了後においては、高低振分け部材57により第2誘導路56bが開放状態のまま維持されることに対応して、VOUT振分け部材65については、ハズレルートを開放状態(V入賞ルートを閉鎖状態)としたまま維持し、開閉動作遊技終了以降のイレギュラーなV入賞を防止することが好ましいといえる。
上述したVOUT振分け部材65の「動作1〜動作6」に着目すれば、「動作1→動作2、動作3→動作4、動作5→動作6(ソレノイドON動作からOFF動作切換時)」の実行の際、つまり、V入賞ルートを開放状態から閉鎖状態への切り替える際、V入賞ルートに対する遊技球の進入タイミングが悪いと、VOUT振分け部材65とV入賞ルートの誘導路の間において「球噛み」が発生する可能性がある。斯様な「球噛み」が発生したとしても「動作3、動作5」の実行によりV入賞ルートが開放状態とされるため、挟まった遊技球が解放されて「球噛み」を解消することができる。しかし最終の「動作6」の実行時に「球噛み」が発生した場合には、それ以降、遊技球の解放が望めなくなり、その球噛み状態のままエラー監視時間(40000ms)が経過して、正規な遊技方法で遊技を行っていたにもかかわらず、エラー処理が実行されてしまうことになる。
そこで本実施形態では、上記動作6が実行された後、球噛みが生じているか否かにかかわらず、V入賞ルートを‘一時的に開放状態(1012ms開放)’とする「動作7」(第2弁開放動作)を行い、上記動作6で生じうる球噛みを解消することができるようになっている。そして、球噛み解消動作である「動作7」の終了後は、V入賞ルート閉鎖してハズレルートを所定の終了条件1、2を満たすまで開放状態のまま維持する(動作8)。これにより、第2誘導路56bに通常よりも遅延して進入した遊技球があっても、VOUT振分け部材65による球噛みの発生を防止するとともに、開閉動作遊技終了以降のイレギュラーなV入賞やゴト行為を防止することができる。
上記のように、VOUT振分け部材65については、V入賞ルートを一時的に開放状態とする「動作7」の制御処理が「球噛み解消手段」として働く。本実施形態の場合、「動作7(第2弁開放動作)」を球噛み対策動作としているが、V入賞ルートが開放状態とされてからV入賞ルートが閉鎖状態(ハズレルート開放状態)となる一連の開閉動作を球噛み対策動作として扱ってもよい。たとえば、動作7の終了時、動作7から動作8の一部または全部(所定の終了条件1、2を満たすまで)の一連の動作を球噛み対策動作として扱ってもよい。本例の場合、少なくともV入賞ルートを一時的に開放状態とした後にV入賞ルート閉鎖状態とする動作を含む動作態様をVOUT振分け部材65の最終動作として扱うことができる。
また、球噛み対策動作として、VOUT振分け部材65を1度だけ開動作(ON動作)させる例について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、諸般の事情(誘導路や振分役物(可動部材)の形態、振分役物の動作パターン、球噛みの発生頻度等)を考慮し、上記開動作を連続的または間欠的に複数回実行してもよい。また、その開放時間も適宜定めることができる。
また振分役物の一つである「貯留部材58a」についても上記した高低振分け部材57等と同じように、小当り遊技中の一連の動作として、ソレノイド(SOL3)のON/OFF制御により、図示の「動作1〜4」を行う。本実施形態の場合、「動作1、3」のソレノイドON動作時には、貯留部58に遊技球を1個保留させる閉鎖位置となり、「動作2、4」のソレノイドOFF動作時には、貯留部58からの遊技球の流下を許容する開放位置となり遊技球の流下(第1誘導下流通路56cへの通過)を許容する。流下した遊技球は、クルーン67に送られる(図3A〜図4、図25の「貯留部材」欄参照)。
貯留部58における球噛みについては、第1誘導路56aを移動している遊技球が、貯留部材58aの昇降動作の際、貯留部材58aと第1誘導路56aの壁面との間に挟まれて発生する可能性がある。この貯留部材58aについては、最終の動作4において、貯留部材58aを開放位置に維持して、クルーン67への第1誘導下流通路56cを‘開放状態としたまま維持し(第3弁開放動作)’、貯留部58における球噛みを防止するとともに、貯留部58から遊技球が抜けていくようにして、遅延して流下してくる遊技球が適切に排出されるようにしている(第5誘導路56eまたは第6誘導路56fから排出される)。
以上のように本実施形態では、全ての振分役物について、振分役物に係る球噛み対策動作に係る‘全弁開放動作(第1〜第3弁開放動作)’を実行し、遊技機自身で球噛みを解消・防止しうる構成となっている。また、全ての振分役物の球噛み対策動作が終了した後に、球噛みエラー判定処理が実行される構成となっている。このようにするのは、球噛み対策動作を行った後であっても、未だに全排出球の確認が取れなかった場合に、球噛みエラーが発生したとみなすことが、上記した闇雲にエラー報知の実行してしまうことを抑制する、という点で好適だからである。
上記「全弁開放動作」とは、振分役物の機構や役割等の関係上、必ずしも各振分役物が同一のタイミングで弁開放動作を行うという意味ではない。本実施形態の場合、特に、第1〜第3弁開放動作期間のすべてが重複する期間を持つという点で、全弁開放動作と称している。具体的には、終了条件2を満たしていない場合(全排出球が未確認の場合)において、振分役物のうち、最終動作が最も遅く実行されるVOUT振分け部材65の第2弁開放動作実行期間(動作7の開始から終了までの25200ms〜26012msの期間)が、高低振分け部材57の第1弁開放動作実行期間と貯留部材58aの第3弁開放動作実行期間と重複する期間である。なお、全ての振分役物について全弁開放動作を実行するのではなく、複数の振分役物うち、1または複数の特定の振分役物を対象に弁開放動作を実行してもよい。たとえば、球噛み発生頻度等を考慮し、VOUT振分け部材65だけを対象に球噛み対策動作(第2弁開放動作)を実行してもよい。
また本実施形態の場合、「弁開放動作(第1〜第3弁開放動作)」の開始タイミングが、諸般の事情(たとえば、遊動領域59の構成や振分役物の機構や役割等)により、それぞれ異なるが、勿論、事情が異なる場合には、振分役物のうちの全部または一部同士で、球噛み対策動作(弁開放動作)の開始タイミングを同一のタイミングとすることができる。この場合、球噛み対策動作処理が簡略化され、制御負担を軽減することができる。
また、VOUT振分け部材65の球噛み対策動作である「動作7」については、次のような開始タイミングとすることが好ましい。詳しくは、小当り遊技が開始されて、右大入賞口50の開放期間(片羽状部材52bの開状態期間)や、右大入賞口50へ入球した遊技球が排出されるまでの期間、すなわち、入賞球がV領域またはハズレ領域を通過するまでの排出期間を考慮して、球噛み対策動作タイミングを定めるようにする。たとえば、動作7の開始タイミングを、少なくとも右大入賞口50の開放期間(第1期間)よりも遅いタイミングとすることができる。また、右大入賞口50に入球した遊技球が遊動領域59内を遊動する遊動時間を考慮して、動作7の開始タイミングを、少なくとも右大入賞口50の開放期間(第1期間)と右大入賞口50へ入球した遊技球が排出されるまでの最短時間幅(本実施形態の場合、約1000ms)である最短排出期間(第2期間)とを加算した期間(第3期間)よりも遅いタイミングとすることができる。
上記右大入賞口50の開放期間(第1期間)は、開閉動作遊技における右大入賞口50の開状態全期間を指す。たとえば、開放パターン1であれば、「80msの短開放1回+1500msの長開放1回」の1580msが該当する(図20備考欄参照)。なお、短開放中の遊技球の入球が稀であることを考慮して、上述の開状態全期間とするのではなく、短開放期間を除く長開放期間のみ(開放パターン1の例では、1500ms)としてもよい。また、上記右大入賞口50の開放期間を、右大入賞口50の開閉動作遊技期間(本実施形態の場合、開放パターン1〜4が該当する)としてもよい。
なお、右大入賞口50内には、上記の可動部材57、58、65の他にも回転体役物61の内回転体61aと外回転体61aとが設けられているが、外回転体61aについては、球噛み対策動作として、電源投入後、所定時間回転すると一時的に反対回転する動作を常に繰り返すようになっており、回転体役物61における球噛みは、極めて生じ難く、その発生率はほぼゼロとなっている。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、遊技状態が「通常状態」の場合には「通常演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」、「当り遊技状態」の場合には「当り遊技演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。
演出制御部24(CPU241)は、所定の移行条件に基づき、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)と、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御および現在の演出状態を管理可能に構成されている。上記特定の演出制御コマンドとは、具体的には、主制御部20側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当し、たとえば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(たとえば、「大当り開始コマンド」、「大当り終了コマンド」、「小当り開始コマンド」、「小当り終了コマンド」等)などの、主制御部20側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドがある。
(5−1−1.各演出モード下の演出について)
各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、本実施形態では、バックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景画像演出が現出されるようになっている。また通常演出モードおよび/または「時短演出モード」には、遊技状況に応じて複数種類の演出モードを含むことができる。また、「時短演出モード」では、残余時短回数を報知するために、「時短回数報知演出」が実行される。
また、「当り遊技演出モード」には、大当り遊技に係る「大当り遊技演出モード」、小当り遊技に係る「小当り遊技演出モード」、V当り遊技に係る「V当り遊技演出モード」等が含まれ、「小当り遊技演出モード」では、小当り遊技中に右大入賞口50内の分岐路を通過する遊技球がV入賞するか否かを煽る「V入賞煽り演出」やV入賞した場合に時短状態への移行可能性を示唆する「時短移行煽り演出」等が実行される。また、「大当り遊技演出モード」や「V当り遊技演出モード」では、当り遊技終了後に時短状態に移行するか否かを煽る演出や、時短回数付与の有無あるいはその回数が何回になるかを煽る演出などが実行される。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、通常演出モードや時短演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば、当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な予告演出を現出制御する機能部(予告演出制御手段)を備える。このような予告演出には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、先読み予告演出や疑似連演出などがあり、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれ、基本的には、図柄変動表示ゲーム中において複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっている。予告演出は、当り種別に当選したか否かの当選期待度を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。
(5−2.演出手段)
なお、演出を現出するための演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮しうる刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
(7.当り遊技に係る演出:図29〜図35)
次に、図29〜図35を用いて、当り遊技中に係る演出(当り中演出)について説明する。
当り中演出は、大別して、大当りの場合の大当り中演出は、大当り開始時のオープニング演出、ラウンド遊技中のラウンド演出、最終ラウンド遊技終了後のエンディング演出から構成される。また小当りの場合の小当り中演出は、小当り開始時のオープニング演出、開閉動作遊技中の開閉動作中演出、非V入賞時のエンディング演出、V入賞時のV入賞演出から構成される。またV当りの場合のV当り中演出は、ラウンド遊技中のラウンド演出、最終ラウンド遊技終了後のエンディング演出から構成される。なお、小当り中演出に係るV入賞演出は、V当り中演出のオープニング演出として扱ってもよい。
当り中演出については、当選時の遊技状態(または当選時の演出モード)と当り種別とに基づき、その演出内容(当り中演出シナリオ)が決定される。具体的には、当り遊技の開始を契機に、主制御部20から、演出制御コマンドとして、今回の当り種別情報と当選時の遊技状態情報とを含む「大当り開始コマンド」が演出制御部24に送られる。演出制御部24は、そのコマンドに含まれる情報に基づき、図29または図30の当り中演出テーブル選択テーブルを参照して、当り中演出シナリオを定めた当り中演出テーブルを決定し、これにより、今回の当り遊技で現出すべき当り中演出シナリオが定まるようになっている。この当り中演出シナリオには、当り遊技中で現出する一連の演出態様が含まれる。
図29に、通常状態(通常演出モード)中に当りに当選したときに、当り中演出シナリオを決定するための「通常中用当り中演出テーブル選択テーブル」を、図30に、時短状態(時短演出モード)中に当りに当選したときに、当り中演出シナリオを決定するための「時短中用演出テーブル選択テーブル」を示す。図29および図30中の英数字は、当り中演出シナリオを定めた当り中演出テーブルを示す。
当り中演出シナリオは、複数種類の当り中演出シナリオのうちからいずれかが抽選により決定される。たとえば、図29の「通常中用当り中演出テーブル選択テーブル」を参照して、通常状態中に大当り1が当選した場合、当り中演出テーブルT0および当り中演出テーブルSP1のうちからいずれかの当り中演出テーブルが抽選により決定される。なお、図中のアラビア数字は振分値を示し、たとえば大当り1の場合、当り中演出テーブルT0は「50/100(振分値/抽選領域の大きさ100)」、当り中演出テーブルSP1は「50/100」で選択されるようになっている。他の当り中演出テーブルについても同様である。
次に、図31および図32を参照して、上記当り中演出テーブルに基づく当り中演出の演出内容について説明する。図31は、通常状態中に係る当り中演出テーブルに定められた主要な当り中演出シナリオを示し、図32は、時短状態中に係る当り中演出テーブルに定められた主要な当り中演出シナリオを示す。たとえば、図31を参照すれば、通常状態中に大当り1または大当り3に当選した場合に選択されうる「当り中演出テーブルT01」には、当り中演出シナリオとして、‘時短確定大当り演出’が定められており、大当り1の場合に選択されうる「当り中演出テーブルSP1」には、‘特別挑戦演出’と‘時短突入成功演出’という2種類の演出シナリオが定められている。なお、他の当り中演出テーブル(図示のT02、SP1〜SP13、T11〜T12、T21〜T23、T31〜T33、T41、T42、T52〜T54等)も同様に、各種の演出シナリオが定められている。また時短状態中に選択される当り中演出テーブルには、通常状態中に選択される当り中演出テーブルと共通の演出テーブルが含まれる(図32の備考欄参照)。また、図31および図32に示す当り中演出種別の一部は、図33〜図35に示す各演出の名称に対応し、当り中演出シナリオに対応して現出される当り中演出種別の具体的内容については、図33〜図35を用いて後述する。
次に、図33〜図35を参照しながら、当り遊技の進行状況に応じて展開される当り中演出について説明する。
(7−1.小当り中演出:図33)
図33を参照して、通常状態中に小当りに当選した場合の小当り遊技に係る当り中演出(小当り中演出)について説明する。図33は、本発明と関連性の深い、小当り1または小当り2に当選した場合における当り中演出態様(小当り中演出、V当り中演出)を示す演出フロー図である。
通常状態中は、左打ち有利の状態であり、イレギュラーなケースを除き、大当り抽選対象となる小当り種別は、特図1側の小当り1、2が対象となる。通常状態中に小当り1または小当り2に当選し、右大入賞口50内に遊技球が入球した場合、その遊技球は、専ら第1開閉動作遊技の長開放中の入賞であるので「回転体ルート」に振り分けられる(図7中のラインL21、L31参照)。このとき、小当り1当選時にV入賞すると「時短状態」に移行されるのに対し、小当り2当選時にV入賞したとしても「時短状態」には移行せずに、再び通常状態に戻される(図38、図7参照)。
ところで小当りに当選した場合、その小当り種別が、時短小当りであるのか非時短小当り(通常小当り)であるのかという事実は、V入賞した後のV当り遊技中の特定の演出(たとえば、エンディング演出)により報知してもよいが、本実施形態のように、遊動領域59内の多彩な役物によりV入賞するか否かが定まるような遊技機では、V入賞するか否かが決定される前段階において、当選した小当り種別が時短大当りであること、つまりV入賞すれば時短状態に移行されることを事前に報知することが、遊技を盛り上げる上で好ましい。詳述するに、時短状態に移行されるか否かを、V入賞後のV当り遊技中に報知する場合、少なくともV入賞するまでは、時短という特典が付与されるか否かは定かでない。このため遊技者は、V入賞しても時短が付与されるかどうかは別として、とりあえず、遊技球がV領域を通過してV入賞となるか否かに関心が向くだけで、役物による遊技球の動きに対して、強烈な関心が向くとは言い難く、本来の抽選役物による魅力を最大限に生かし切れているとは言えない。
そこで本実施形態では、V入賞するか否かが定まる前段階において、今回当選した小当り種別が「時短小当り」であること、換言すれば、V入賞により時短が付与されることを事前に報知する‘特別演出(後述の「特別小当り中演出」)’を現出可能となっている。この特別演出により、遊技者は「V入賞したら時短が付与される」ということを事前に知ることになるので、時短付与が不明であるときよりも、V入賞への思いが一層強くなり、抽選役物による遊技球の行く末をじっくりと注目するようになる。このような特別演出は、1種2種混合機において、遊技者に対して時短状態への移行期待感を効果的に煽ることができるとともに、V入賞に至るまでの遊技球の動きに強い関心を向けさせることができるので、本来の抽選役物による魅力を最大限に発揮することができる。本実施形態では、V入賞か否かが決定されるまでに要する時間が長時間である「回転体ルート」を利用し、当選した小当り種別に応じて、V入賞により時短が付与される旨(当選した小当り種別に関する情報)事前に報知する「特別小当り中演出」と、これを事前に報知しない「通常小当り中演出」とを現出させるようになっている。以下に、上記「特別小当り中演出」と「通常小当り中演出」とを含め、小当り1または小当り2に当選した場合における小当り中演出およびV当り遊技中のV当り中演出について詳細に説明する。
(7−1−1.通常状態中の小当り当選→小当り遊技:図33)
図33を参照して、図示の「(A)通常状態」のブロック(囲み枠)は、通常状態中の図柄変動表示ゲームで小当りに当選したケースを示している。ここでは、小当り当選時に係る確定表示演出(装飾図柄の仮停止表示および確定表示に係る演出)として、小当り1および小当り2に共通する「357(チャンス目)」という装飾図柄の組合せが仮停止表示された後、当該図柄の組合せで確定表示され、小当り当選が報知されるケースを示している(図中の(A1)→(A2))。なお、装飾停止図柄が小当り1および小当り2に共通する図柄の組合せであるため、この段階では、当選した小当り種別が何であるかは遊技者には報知されない。
上記確定表示演出(A2)が終了すると、図示の(B)「小当り遊技」のブロック(囲み枠)に進み、小当り遊技が行われる。小当り中演出は、小当り種別(小当り1、2)、右大入賞口50への入賞/非入賞、第1V領域63へのV入賞/非V入賞等に応じて、その演出内容が異なる。具体的には、図示のように、「通常小当り中演出(B1)」が実行される演出ルートか、または「特別小当り中演出(B2)」が実行される演出ルートに分かれる。図33の説明において、前者の演出ルートを「通常演出ルート」と称し、後者の演出ルートを「特別演出ルート」と称する。
(通常演出ルート)
先ず、上記「通常演出ルート」について説明する。「通常演出ルート」は、小当り2に当選した場合か、または小当り1に当選し、かつ図29の演出シナリオ抽選(選択率50/100)で選択された場合の演出ルートとなっている(図29および図31の小当り1または小当り2の欄参照)。この通常演出ルートは、非時短小当り当選時だけでなく、時短小当り当選時にも実行可能となっているため、時短状態に移行されるか否かの情報(当選した小当り種別に関連する情報)を事前に報知するということはせず、V入賞した後のV当り中演出において、時短状態への移行の有無を報知するようになっている。
上記「通常小当り中演出(B1)」は、オープニング演出および開閉動作中演出の一環として実行され、その演出内容として、たとえば、遊技者に対して右大入賞口50への入賞を促す演出、たとえば画面内に「右大入賞口を狙え!」といった文字情報とともに、右向き矢印画像(図示せず)が表示される。なお図示はしていないが、右大入賞口50に遊技球が入賞したことを契機に演出シナリオが次の演出段階に進行するようになっている。具体的には、右大入賞口センサ52a(SW1)が遊技球を検出したことを契機に、図示の「右大入賞口を狙え!」の表示が終了し(入賞前小当り中演出)、たとえば、後述の変形例における図34の「Vチャンス!(B13)」と同じ内容を持つ表示演出(入賞後演出)が実行される。これにより、遊技球が遊動領域59内に進入したことを報知するとともに、V入賞するか否かの期待感を煽るようになっている。
通常演出ルートにおいて、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合(非入賞)、または入球したがV入賞しなかった場合(非V入賞)には、エンディング演出として「小当り終了演出(B3)」が実行される。この「小当り終了演出」は、非V入賞であったことを報知する演出内容となっており、たとえば、画面内に「残念」といった文字情報が表示される。そして、小当り遊技が終了に伴い小当り終了演出が終了し、遊技状態は「通常状態」に戻り、演出モードは「通常演出モード」に移行されることになる。
一方、V入賞した場合には、V当り遊技が開始される前のインターバル時間(V入賞INT)において、V入賞したことを報知する「V入賞演出(B4)」が実行される。ここでの「V入賞演出」は、図示のように、たとえば、「時短突入チャレンジ!」といった文字情報が表示され、少なくとも時短状態に移行されるか否かについて秘匿する演出内容となっている。なお、時短状態に移行される否かについては、この後に実行されるV当り遊技中のV当り中演出において報知される。
上記V入賞演出(B4)が終了すると、小当り遊技が終了し、次いで、V当り遊技が開始される(図中の「(C)V当り遊技」のブロック(囲み枠))。このV当り遊技中の「V当り中演出」は、海戦を模した「バトル演出」となっており、その演出結果により時短状態に移行されるか否かが報知されるようになっている。
本実施形態では、「バトル演出」の一環として、まず「特別挑戦演出(C1)」が実行される。この「特別挑戦演出」には、時短移行期待度が異なる複数種類の特別挑戦演出(たとえば、特別挑戦演出A〜D、期待度の関係「D<C<B<A」)が用意されており、小当り種別に応じて、いずれかの特別挑戦演出が抽選により決定される。たとえば、非時短小当りである「小当り2」の場合は、移行期待度が相対的に低い特別挑戦演出(シナリオC、D)が選択され易く、時短小当りである「小当り1」の場合は、移行期待度が相対的に高い特別挑戦演出(シナリオA、B)が選択され易いように、抽選確率が定められている。たとえば、シナリオA、B、C、D」の選択率が小当り2の場合は「10%、20%、30%、40%」、小当り1の場合は「シナリオA、B、C、D」の選択率が「40%、30%、20%、10%」等である。
上記「特別挑戦演出(C1)」は、時短状態に移行するか否か(当選した小当り種別が時短小当りであるか否か)を煽る演出となっており、たとえば、バトル演出に係る作戦名が表示され、その作戦名の種別により時短移行期待度(本例では、小当り1(時短小当り)である期待度)が示されるようになっている。図示の例では、その一つとして、「敵基地ヲ奇襲セヨ!」という作戦名が表示されるケースを例示している。
「特別挑戦演出(C1)」では、各ラウンド遊技中のラウンド演出を利用して、作戦名に対応したバトル演出が展開される。たとえば、図示の作戦名「敵基地ヲ奇襲セヨ!」の場合は‘空母機動部隊から発艦した多数の海軍航空機が、敵基地に対し奇襲攻撃を仕掛ける’様を表現したバトル演出が展開される。そして、最終ラウンド(11R目)のラウンド演出またはエンディング演出において、バトル演出結果を報知する「決着演出」が実行され、この決着演出において、時短状態に移行するか否かを報知するようになっている。図示の例では、決着演出として、非時短小当りの「小当り2」の場合には、時短状態に移行されない旨(通常状態に移行される旨)を報知する「時短突入失敗演出(C2)」が現出される(たとえば、作戦が失敗したことを示す「作戦失敗」の画像が表示される)。また、時短小当りの「小当り1」の場合には、時短状態に移行される旨を報知する「時短突入成功演出(C3)」が現出される(たとえば、作戦が成功したことを示す「ワレ奇襲ニ成功セリ」の画像が表示される)。これにより、遊技者は、時短状態に移行するのか通常状態に移行するかを知ることができる。そして、V当り遊技が終了した後は、当選した小当り種別に応じた遊技状態に移行され、その移行先の遊技状態に対応した演出モードに移行されることになる(図示の「(A)通常状態」または「(D)時短状態」のブロック)。
(特別演出ルート)
次に、上記「特別演出ルート」について説明する。「特別演出ルート」は、小当り1に当選し、かつ図29の演出シナリオ抽選(選択率50/100)で選択された場合の演出ルートとなっている(図29および図31の小当り1または小当り2の欄参照)。この特別演出ルートは、時短付小当り当選時に限り実行されるものである。
上記「特別小当り中演出(B2)」は、上記「通常小当り中演出(B1)」と同じく、オープニング演出および開閉動作中演出の一環として実行される。ただし「特別小当り中演出(B2)」では、遊技者に対して右大入賞口50への入賞を促す内容と(右打ち指示表示)、V入賞により時短が付与されること、換言すれば、今回の当選した小当り種別が「時短小当り」であることを確定的に報知する内容(V入賞時短有表示)とが重複的に現出されるようになっている。たとえば図示のように、「右大入賞口を狙え!V入賞で時短確定!」という画像表示演出である。この点、V入賞時の時短付与を報知しない上記「通常小当り中演出(B1)」とは異なる。上述の特別小当り中演出(B2)により、V入賞への関心が飛躍的に高まり、遊技者は遊動領域59に進入した遊技球の行く末を注視するようになる。なお本実施形態の場合、上述のV入賞時短有表示は、小当り遊技の開始とともに現出するようになっているが、これに限らず、右大入賞口50に遊技球が入賞したことを契機に現出させてもよい。たとえば、右大入賞口50への入賞前は、V入賞時短有表示をせずに、通常小当り中演出(B1)と同じ右打ち指示表示をし、当該入賞を契機にV入賞時短有表示を開始することができる。V入賞時短有表示は、V入賞期待感を煽るものであるため、右大入賞口50に遊技球が入球したことを確認したことを以って、V入賞時短有表示を現出させることが好ましいからである。
特別演出ルートにおいて、右大入賞口50に遊技球が入球しなかった場合(非入賞)、または入球したがV入賞しなかった場合(非V入賞)には、「小当り終了演出(B6)」が実行される。この「小当り終了演出(B6)」は、既に説明した上記(B3)の「小当り終了演出」と実質的に同じ演出内容である。
一方、V入賞した場合には、「時短確定V入賞演出(B7)」が実行される。この「時短確定V入賞演出」は、V入賞を契機に現出される「V入賞演出」の一態様であるが、その演出内容は、上記(B4)の「V入賞演出」とは異なり、特別小当り中演出(B2)で「V入賞時短有表示」を実行している関係上、時短状態への移行が確定的である旨を報知する演出内容となっている。たとえば、インパクトのある音演出や光演出とともに、陸軍御国旗を背景に中央に「V」を表示した画像が表示される。その後、V当り遊技中のラウンド演出として、時短状態移行確定を祝福する「時短確定V当り中演出(C4)」が実行される。図示の例では、演出の一環として、画面中央に大きく「驕敵殲滅」の文字を表示した祝福画像が表示されるケースを示している。そして、V当り遊技が終了した後は、時短状態に移行され、演出モードは「時短演出モード」に移行されることになる(図示の「(D)時短状態」のブロック)。
(7−1−2.時短状態中の小当り当選→小当り遊技:図34)
次に図34を参照して、時短状態中に小当りに当選した場合における小当り中演出について説明する。なお、図33で説明した通常状態中の小当り中演出と実質的に同一の演出となるブロック(囲み枠)については同一符号を付し、その説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
時短状態中は、右打ち有利の状態であり、イレギュラーなケースを除き、大当り抽選対象となる小当り種別は、特図2側の小当り3〜6が対象となる。時短状態中に小当り3〜6のいずれかに当選し、右大入賞口50内に遊技球が入球した場合、その遊技球は、小当り3の場合には「回転体ルート」に振り分けられ、小当り4〜6の場合には「高速ルート」に振り分けられる(図7中のラインL51、L61、L71参照)。
図34を参照して、図示の「(D)時短状態」のブロック(囲み枠)は、時短状態中の図柄変動表示ゲームで小当りに当選したケースを示している。ここでは、小当り当選時に係る確定表示演出として、小当り3〜6に共通する「357」という装飾図柄の組合せが仮停止表示された後、当該図柄の組合せで確定表示され、小当り当選が報知されるケースを示している((D1)→(D2))。なお、装飾停止図柄が小当り3〜6に共通する図柄の組合せであるため、この段階では、当選した小当り種別が何であるかは遊技者には報知されない。なお本例では、小当り3〜6の装飾停止図柄を小当り1〜2と同様の「357」としているが、大当りのような「図柄揃い」と混同しない停止目であれば、他の装飾停止図柄(たとえば、「456」等)としてもよい。
(時短演出モード中の演出および確定表示演出)
ここで本実施形態の時短演出モードに係る演出ついて説明しておく。時短状態中は、図柄の変動表示時間、小当り当選時の確定表示時間および小当り遊技時間(オープニング時間、エンディング時間)等が通常状態中よりも短縮され、遊技がスピーディーに進行する(図20、図26、図27等参照)。特に時短状態中は、ほぼ毎ゲームが小当り当選ゲームとなり(特図2側の小当り当選確率は、超高確率の約1/1.004)、小当り当選時の確定表示時間は、大当り当選時やハズレ時における確定表示時間と比べて極めて短い時間である128msに設定される。
このような設定にする主な目的は、闇雲に確定表示時間を長くしてしまうと、遊技のリズムやテンポが低下し、遊技がスピーディーに進行するという時短状態の魅力を生かせなくなることを防止するためである。詳述するに、時短状態時は、電サポ有り状態を伴う遊技状態下に置かれ、遊技者が遊技球を打ち出し続けていれば、特図2の保留記憶数がゼロでありながらも右始動口35への入賞は殆ど途切れることなく大当り抽選(内部抽選)を受けることができる。また前述の通り、特図2側の抽選では超高確率(約1/1.004)で小当りに当選するため、ほぼ毎ゲーム、小当り遊技が発生し、これを楽しむことができる。このような場合、確定表示時間が長時間になればなるほど遊技の間延び現象が顕著になり、その結果、遊技進行がスピーディーに進行するという時短状態の魅力を十分に発揮できない。これを防止するために、時短状態時における小当り当選時の確定表示時間を極短時間の128msに設定している。
これに関連して、時短演出モードにおいては、時短継続期待感を煽る予告演出を現出させて時短遊技を盛り上げるべく、装飾図柄だけでなく、時短中のメイン演出として、特定のキャラクタの仕草やアイテムによるアニメーション演出や背景演出等の時短専用演出を現出させるようになっている。また時短状態中は、ほぼ毎ゲームが小当り当選ゲームとなり、また図柄変動時間が相対的に短時間に設定される関係上、一々、装飾図柄の聴牌状態を目立たせて表示したり、派手なリーチ演出(SPリーチ演出等)を現出させてその当選を煽るようなことはせず、専ら、上述のような時短専用の変動中演出により、今回のゲーム結果を予告したり報知したりするようになっている。また小当り遊技(V当り遊技)中は、特有の当り中演出(たとえば、後述の「入賞前小当り中演出(B10)」「通常小当り中演出(B13)」「特別小当り中演出(B14)」「通常挑戦演出(C5)」など)を現出させて、V入賞発生期待感やV当り遊技を大いに盛り上げるようになっている。このため本実施形態では、装飾図柄と時短専用演出(上述の時短専用の変動中演出や当り中演出)とが重ならないように同時的に表示し、かつメインとなる時短中の演出のための広い表示領域を確保するべく、装飾図柄は画面右下部の比較的狭い表示領域にその表示位置を変更して小さく表示される(たとえば、図33の「通常中演出(A1)」、図34の「通常中演出(D1)」参照)。つまり、時短状態中の装飾図柄は、変動表示時においても、また停止表示される際にも、画面の右下に隅に小さく縮小表示される。
上記のように装飾図柄の変動表示領域を狭めて、時短専用演出のための広い表示領域を確保し利用することは、時短状態中の遊技を盛り上げる上で有用である。しかしその代償として、装飾図柄の変動表示演出の視認性が低下してしまうという問題が生じる。この視認性の低下は、次のような問題も招来する。
装飾図柄は、特別図柄の変動表示動作に同調して演出的な変動表示動作を行うため、特別図柄が停止表示(確定表示)すれば装飾図柄も停止表示される。そして次回ゲームが実行されるときや小当り遊技が開始されるときには、新たな演出を現出させる関係上、直ちに、その装飾図柄の停止表示が解除されて、次回ゲームに係る変動表示動作や小当り中演出が開始される。特に時短状態中に小当りに当選した場合は、高確率で「高速ルート」に誘導されるため(小当り4〜6の合算図柄選択率85%)、非V入賞の場合には小当り遊技があっという間に終了して、非V入賞が連続した場合には図柄変動表示ゲームと小当り遊技とが交互にスピーディーに繰り返されることになる。また時短状態中の小当り当選時は、特別図柄の確定表示時間が「128ms」と極めて短く、この極短時間の「128ms」間だけ装飾図柄を停止表示するとすれば、今回のゲームと小当り遊技あるいは次回のゲームとの切れ目や、チャンス目(357)が停止して小当りとなるのか、図柄揃い(777や222等)が停止して大当りとなるのかの判別等が極めて難しくなる。
また昨今の弾球遊技機には、装飾図柄の疑似的な変動表示状態(疑似変動)を伴う所謂「疑似連演出」が多くの機種において実用化されている。「疑似変動」とは、装飾図柄の仮停止状態を1または複数回挟むことにより、1回の図柄変動表示ゲーム中に、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているように表現する変動表示態様をいう。この仮停止状態中は、便宜上、装飾図柄が完全停止ではなく小刻みに装飾図柄が上下(又は左右)方に変動している場合が多い。その中で、今回のように確定表示時間が128msの場合、上下にゆっくり変動させる場合の単なる揺らぎの範囲内(すなわち仮停止)なのか、1変動の終わりを告げる完全停止(すなわち本停止)なのかについて、視認による判断が極めて難しくなる。遊技者において、装飾図柄が停止表示したことや装飾停止図柄種別を認識しうるためには、500ms程度の停止表示時間が必要であると考えられているため、時短状態中の小当りに当選時には、この余裕時間分を持たせて装飾図柄を停止表示させることが好ましい。また遊技者による判断が難しくなるということは、この遊技機が適正な遊技機であるかを判断する国家公安委員会指定機関(一般財団法人保安通信協会)においても、誤認を生じさせる遊技機である(すなわち不適合)と判断されるおそれがあり、遊技機の製造販売に多大な影響を与えてしまうという問題を招来する。
また遊技に慣れた遊技者であるほど、極力無駄となる遊技球(死に球)の発射をしないように努力する。その一例として、比較的長時間となるSPリーチ演出に発展した場合などは、遊技者は遊技球の発射を停止させることが多い。このような背景の中、現在の遊技が図柄変動表示ゲーム中(遊技球の発射を停止しても問題ない期間)であるか、それとも小当り遊技中(遊技球の発射を停止すると不利益となる期間)であるかがわからないとなると、遊技者は常に遊技球を発射しなくてはいけなくなり、ストレスを感じさせてしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、時短状態において小当りに当選した場合、図柄変動表示ゲームにおける確定表示の開始から小当り遊技開始後の所定期間にわたり、少なくとも500ms以上(「確定表示時間(128ms)+小当り遊技中停止表示期間(少なくとも372ms以上)」)、装飾停止図柄を表示し続ける構成とし、これに加えて、その小当り当選時の装飾停止図柄を表示する際には、少なくとも小当り遊技開始後の所定期間にわたり、ハズレまたは大当りの装飾停止図柄の表示態様と異なる表示態様、あるいは装飾図柄の変動表示の際に用いる装飾図柄の画像と異なる表示態様で、装飾図柄を停止表示するようになっている。たとえば、装飾図柄それ自体(全部または一部)あるいはその周縁部を対象に、特殊な描画(画像)処理を施したり、特殊な画像を重複的に表示したりする等のいわゆる「エフェクト(強調表示処理)」を施して、停止表示中の装飾図柄を周囲の背景画像から際立つように強調する「強調表示態様」で表示し、以って装飾停止図柄の視認性を向上させるようになっている。
(エフェクトによる強調表示について:図36)
図36に、本実施形態に係る装飾停止図柄の強調表示態様を示す。図36は、時短状態時において小当り当選し、変動中の特別図柄が確定表示される前後の期間中に、装飾図柄がどのように液晶表示装置36に表示されるかについて例示した図である。
本実施形態では、アラビア数字を表示した3つの装飾停止図柄(左図柄「3」・中図柄「5」・右図柄「7」のチャンス目)を対象に、アラビア数や背景色とは異なる色で縁取りした所定の縁取り画像を表示するという、いわゆる「縁取り」によるエフェクト処理(強調表示処理)により、アラビア数字の輪郭を強調表示したものとなっている。以下、装飾図柄の一連の変動表示動作に触れながら、上記強調表示ついて説明する。
図36を参照して、装飾図柄DL、DS、DRについては、特別図柄が変動パターンに従って変動表示動作を実行している間は、装飾図柄も図35(A)の変動表示状態(図示の「↓↓↓」)にあり、特別図柄が停止表示(確定表示)するときには、装飾図柄も、この図36(A)の状態から図36(B)に示す停止表示(確定表示)の状態に移行する。この特別図柄の確定表示期間に入ると、当該期間中、液晶表示装置36の画面右下部に、小当り図柄に対応した「357」で、装飾図柄が停止表示される。
本実施形態では、上記確定表示期間を終えて小当り遊技が開始された場合に‘直ちに装飾図柄の停止表示状態が解除される’という関係にはなっておらず、小当り遊技か開始された後も、所定の表示終了条件が成立するまでは、引き続き上記「357」を表示し続ける。詳しくは、図柄変動表示ゲームが終了し、装飾図柄が完全停止状態(確定表示)となった後も装飾停止図柄(357)の表示が消去されることなく、またその停止表示位置を変更することなく、上記「357」という装飾図柄の組合せが表示されたまま状態で小当り中演出が開始される。小当り中演出が開始後の装飾図柄の停止表示態様については、縁取り処理によるエフェクトにより、当該停止表示態様を強調表示させる(図36(C))。これにより、装飾図柄の視認性が向上し、遊技者が小当り遊技に突入したという事実を一層認識し易くすることができる。したがって、装飾図柄の停止表示期間は、「確定表示時間(128ms)+小当り遊技中停止表示期間(表示終了契機到来までの期間)」となるが、強調表示期間は、装飾図柄の停止表示期間ではなく、後者の「小当り遊技中停止表示期間」となる。小当り時の確定表示時間は極短時間(128ms)であるので、この期間は、装飾停止図柄を通常の表示態様(エフェクトなしの表示態様)で表示し(図36(B))、その後の小当り遊技中停止表示期間を強調表示態様で表示している。
図36(C)に示すように、装飾図柄を構成するアラビア数字(識別情報)に対する「縁取り処理」は、対象とする数字の外側輪郭(周縁部)、つまり数字が自らを背景から仕切る境界部位を、その数字周囲の背景に対して際立たせるように画像処理することであり、この実施形態の場合、数字の外側輪郭を数字自身および背景とも異なる無彩色または有彩色で彩色し、数字自身とその周囲との間に、色相、彩度および明度の少なくともいずれか1つについて差を付けるものとなっている。
図36(D)は、3つの装飾停止図柄「357」のうち、代表的に、左図柄「3」の強調表示態様を拡大した拡大図である。図示の例では、所定の色(たとえば、黄色)から構成されるアラビア数字(識別情報DL)の「3」の周りに、内側から順次外側に、複数色(たとえば、白色、赤色、桃色の三つの色)の縁取り画像ER1、ER2、ER3を表示する縁取り処理を施して、アラビア数字の輪郭を強調したケースを示している。ここでは、アラビア数字の外側輪郭と背景との境の領域を第1の色(白色)で縁取りした「縁取り画像ER1(第1縁取り部)」と、上記縁取り画像ER1の外側輪郭と背景との境の領域を、当該第1の色とは異なる第2の色(赤色)で縁取りした「縁取り画像ER2(第2縁取り部)」と、上記縁取り画像ER2の外側輪郭と背景との境の領域を、当該第2の色とは異なる第3の色(桜色)で縁取りした「縁取り画像ER3(第3縁取り部)」とを含む強調表示領域(エフェクト領域)ERを形成し、これら複数色の縁取り画像ER1〜3による画像エフェクトにより、アラビア数字「3」がオーラを纏った様を表現した強調表示態様となっている(中図柄「5」、右図柄「7」も同様)。本実施形態では、ハレーション(halation)を防ぐために、強調表示対象たるアラビア数字の周りを、まず「白色」の縁取り画像ER1で縁取りをし、順次外側に、赤色および桜色の縁取り画像ER2、ER3を付して、強調表示対象を際立たせるようになっている。これにより、装飾停止図柄の存在を強調し、視認しにくい小サイズとなる状況下でも識別情報画像が存在することを強調し、ひいては装飾図柄が停止表示していること、つまり装飾停止図柄の組合せが「357」からなる小当り図柄であることを強調することができる。
なお本実施形態では、装飾図柄の識別情報としてアラビア数字の場合を説明したが、識別情報として、アラビア数字以外の他の数字や文字、記号、キャラクタ、アイテムなどを用いた場合は、それらの識別情報についても同様の縁取り処理を施すことができる。また、縁取り処理をする対象、つまり強調表示対象は、装飾図柄に含まれる識別情報に限定せず、装飾図柄全体(装飾図柄の枠)についても同様の縁取り処理を施すことができる。
また「強調表示」をする際は、図36に示す演出例のように、1つ1つの装飾図柄を対象として縁取り処理を施してもよいし、3つの装飾停止図柄「357」全体を1つの纏まりのある表示対象とみなして縁取り処理を施してもよい。図37に、「357」を対象に全体的に縁取り処理を施した例を示す。図36の演出例と大きく異なる点は、縁取り画像ER5が3つの装飾停止図柄「357」の周縁部(本例では、縁取り画像ER1を含む領域)を囲むように縁取りしている点である。このように、装飾停止図柄の組合せを全体的に強調表示することによっても、上述したように、装飾図柄の存在を強調することができる。
また、縁取り部の表示色(色要素)については、対象を強調表示可能なものであれば特に制限はなく、装飾図柄や背景等の配色を考慮し、これらの色と、色相、彩度および明度(色の三要素)のいずれか1つが異なる色を採用することができる。たとえば、装飾図柄を際立たせるために、色相について、装飾図柄の主たる表示色(本例の場合、アラビア数字の主たる表示色(黄色)を基準とする)と色相環における補色関係にある色を採用してもよいし、隣接色相(隣接色相配色)を採用してもよく、その配色パターンは適宜定めることができる。上記色相環は、たとえば、マンセル表色系(Munsell color system)、オストワルト表色系(Ostwald System)、日本色研配色体系(PCCS)等である。また「強調表示対象」と、エフェクトを施した「強調表示領域」との間でハレーションが生じうる場合や表示対象を一層際立たせたい場合には、本実施形態のように、強調表示対象の周縁部に特定色による「線取り部(縁取り画像ER1)」を設け、その外側に1または複数の縁取り部を設けることが好ましい。なお、斯様な「線取り部」については、背景画像の色彩と同じ色彩を付すことができる。たとえば、図36(C)に示すように、白色の背景画像と同一色の縁取り画像ER1を表示してもよい。
(他の強調表示(エフェクト)手段について)
本実施形態では、強調表示態様の例として「縁取り」によるエフェクトを採用した例について説明したが、強調表示のためのエフェクト手段はこれに限られない。たとえば、装飾図柄に対するエフェクトとして、いわゆる、ライトエフェクト(たとえば、グロー効果やシャドウ効果によるエフェクト)、グラデーションによるエフェクト、ブラーによるエフェクト(たとえば、放射状ブラーやモーションブラーによるエフェクト)、ぼかしによるエフェクト、キーイングによるエフェクト(たとえば、クロマキー、カラーキー、ルミナンスキー等によるエフェクト)、エンボスによるエフェクト等、種々のエフェクトを採用することができる。また各エフェクトについては、静止画であってもよいが、視認性の向上という観点からは動画像(アニメーション)であることが好ましい。またエフェクト(図36(C)のように複数色を用いる場合も含む)の色彩については、装飾図柄を強調表示可能なものであれば特に制限はなく、上述した縁取りのケースと同様に、強調表示領域(強調表示部)の色配パターンは適宜定めることができる。また、強調表示をする際には、図36のように、1つ1つの装飾図柄に対してエフェクトを施してもよいし、図37のように、3つの装飾停止図柄「357」全体を1つの纏まりのある表示対象とみなしてエフェクトを施してもよい。また強調表示領域の一部または全部が無彩色であってもよいし、有彩色であってもよい。
(強調表示期間について)
本実施形態の場合、強調表示態様とする「強調表示期間」は、確定表示時間を除く、小当り遊技中停止表示期間を強調表示期間であると説明したが、装飾停止図柄の停止表示期間である「図柄変動表示ゲームの確定表示期間+小当り遊技中停止表示期間」を強調表示期間としてもよい。
(停止表示期間について)
装飾停止図柄の表示期間(停止表示期間)は、上記したように「確定表示時間+小当り遊技中停止表示期間」とし、その時間幅を少なくとも500ms以上としている。ただし本実施形態の場合、小当り当選時は、確定表示時間として固定値の「128ms」が設定されるため(図26参照)、小当り遊技中停止表示期間の時間幅を「372ms」以上の時間幅を設けて、停止表示期間が少なくとも500ms以上確保しうる構成とする。このことを考慮し、小当り遊技中停止表示期間の終端、つまり、装飾停止図柄の表示を終了させるタイミングについては下記の(a)〜(j)のタイミングとすることができる。
(a)小当り遊技開始から所定時間経過時(たとえば、372ms経過時)、
(b)開閉動作遊技終了時(小当り3の場合は開放パターン3、小当り4〜6の場合は開放パターン4終了時)、
(c)最初の右大入賞口50への入賞球の検出時、
(d)V領域またはハズレ領域への遊技球の通過検出時、
(e)残存球排出時間経過時、
(f)全ての入賞球の排出確認時、
(g)V入賞演出の開始時または終了時、
(h)小当り遊技に係るエンディング演出開始時またはV当り遊技に係るエンディング演出(時間)開始時、
(i)小当り遊技に係るエンディング演出(時間)終了時(小当り遊技終了時)、
などが挙げられる。
図34の説明に戻り、「確定表示演出(D2)」が終了すると、小当り遊技が開始される(図示の(B)「小当り遊技」のブロック(囲み枠))。
小当り遊技が開始されると、オープニング演出〜開閉動作中演出の一環として、まず「入賞前小当り中演出(B10)」が実行される。この入賞前小当り中演出は、右大入賞口50への入賞を促す演出内容(図36(C))を含み、この演出は、右大入賞口50への入賞が確認されるまでか、開閉動作遊技終了するまで実行されるようになっている。上記「入賞前小当り中演出」を右大入賞口50への入賞が確認されるまで継続させるのは、右大入賞口50に入賞しなかったにもかかわらず、つまりV入賞の可能性がゼロであるにもかかわらず、闇雲に遊技者のV入賞期待感を煽らないようにするためである。本実施形態の場合、右大入賞口50への入賞するまで、上記入賞前小当り中演出を実行し、当該入賞を確認したことを以って、入賞前小当り中演出を終了させ、後述の「入賞後高速ルート演出(B11)」および「入賞後回転体ルート演出(B12)」を実行し、闇雲に遊技者のV入賞期待感を煽らないようにしている。
また上記「入賞前小当り中演出」は、図柄変動表示ゲーム中の演出態様(たとえば、キャラクタや背景演出等)と共通性を持つ演出態様となっている。入賞前小当り中演出と図柄変動表示ゲーム中の演出態様との間に、共通性を持たせる理由は、次の通りである。
時短状態中は、図柄変動表示ゲームの時間が短縮され、また小当り当選時の特別図柄の確定表示時間が大当り当選時やハズレよりも短時間に設定され、小当り遊技のオープニング時間やエンディング時間も短時間に設定される(図26、図27等参照)。また時短状態中は、小当りに当選した場合、「回転体ルート」に係る小当り3の当選確率が15%と低確率であるため、遊技球が「高速ルート」側に高確率で誘導され易く、また「高速ルート」におけるV入賞率が「約1/8.8」と比較的低確率であるため、非V入賞が連続的に発生する可能性が高い。本実施形態では、非V入賞時の小当り遊技の実行時間が短縮されるようにし、たとえ非V入賞が連続しても、遊技消化スピードを無闇に落とすことなく、図柄変動表示ゲームと小当り遊技とがテンポよく実行されるようになっている。しかし、図柄変動表示ゲームがテンポよく実行されても、図柄変表示ゲームが終了して小当り遊技が実行される際、または小当り遊技が終了して図柄変動表示ゲームが実行される際に、その演出が全く異なる表示態様の演出に切り替わってしまうとすれば、切れ目における演出が騒がしくなり、遊技者が煩わしく感じてしまう。そこで、図柄変動表示ゲーム中の演出と小当り中演出(少なくとも「入賞前小当り中演出」)とに係る演出が、共通性(好ましくは、有機的関連性)を持つ演出内容、たとえば、ストーリー仕立ての物語風演出(バトル演出等)であることが好ましい。代表的な例として、図柄変動表示ゲーム中は自艦と敵艦とが対峙する‘対峙演出’を現出し、小当り中演出に入ると、その対峙演出の延長線上の演出として、対峙中の自艦と敵艦とが砲撃戦を開始して艦隊戦を繰り広げる‘砲撃戦演出’を現出させる、といったようなストーリー仕立てのバトル演出が挙げられる。
本実施形態の入賞前小当り中演出は、演出を多彩にして、時短状態中の遊技興趣を盛り上げるべく、図示のように、複数種類の入賞前小当り中演出(シナリオA〜D)が設けられている。これらシナリオA〜Dは、図柄変動表示ゲーム中と同じキャラクタが登場し、そのキャラクタのアクション等がそれぞれ異なる演出となっており、たとえば、シナリオA〜Dはそれぞれ、キャラクタが艦船搭載の主砲、副砲、高角砲および機銃のうちいずれかを打つという4つの異なるアクションを行う。なお、シナリオA〜Dのうち、いずれのシナリオを現出させるかのシナリオ選択構成については、次のように実施例とすることができる。
(α)第1シナリオ選択構成例として、現在の時短状態の連荘回数(時短小当り時のV入賞回数)に応じて、シナリオA〜Dのいずれかを選択する。たとえば、時短連荘回数1〜3回まではシナリオA、4〜6回まではシナリオB、7回〜9回まではシナリオC、10回以上はシナリオDを選択する。
(β)第2シナリオ選択構成例として、特定のV当り遊技の実行回数に応じて、シナリオA〜Dのいずれかを選択する。たとえば、高利益付与に係るV当り遊技(V当り3、4:図20)が挙げられる。
(γ)第3シナリオ選択構成例として、開閉動作遊技態様に応じてシナリオA〜Dのいずれかを選択する。たとえば、開放パターン種別や開放開始タイミング(たとえば、図27の開放期間種別)に応じてシナリオA〜Dのいずれかを選択する。
(δ)第4シナリオ選択構成例として、当選した小当り種別に応じてシナリオA〜Dを選択する。たとえば、小当り3はシナリオA、小当り4はシナリオB、小当り5はシナリオC、小当り6はシナリオDを選択する。この場合、入賞前小当り中演出の登場キャラクタのアクションの違いにより、小当り種別を報知することができる。
また小当り種別ごとに定められた選択率でシナリオA〜Dを抽選より決定してもよい。
(δ−1)たとえばシナリオA〜Dの選択率が小当り4〜6の場合は「35%、30%、25%、10%」、小当り3の場合は「10%、25%、30%、35%」等である。
(δ−2)また‘時短小当りであるか非時短小当りであるかに応じて、シナリオA〜Dの抽選確率を異ならせてもよい。たとえば、小当り3〜5の場合は「35%、30%、25%、10%」、小当り6の場合は「10%、25%、30%、35%」等である。上記(δ−1)や(δ−2)の場合、入賞前小当り中演出の登場キャラクタのアクションの違いにより、当選した小当り種別の推測要素を遊技者に与えることができる。
一方、右大入賞口50に入賞することなく開閉動作遊技が終了した場合は、エンディング時間(図39参照)経過後、入賞前小当り中演出を終了させる。そして、時短回数がゼロでない限り、「時短状態(D)」に戻る(図示の非入賞のルート)。
次に、右大入賞口50に遊技球が入球した場合、小当り中演出は、小当り種別(小当り3〜6)、V領域63、73へのV入賞/非V入賞等に応じて、その演出内容が異なる。具体的には、図示のように、「入賞前小当り中演出(B10)」の後、「入賞後高速ルート演出(B11)」が実行される演出ルートか、または「入賞後回転体ルート演出(B12)」が実行される演出ルートに分かれる。図34の説明において、前者の演出ルートを「高速演出ルート」と称し、後者の演出ルートを「回転体演出ルート」と略称する。
(右大入賞口への入賞有り→高速ルート:小当り4〜6)
既に説明した通り、小当り4〜6当選の場合、右大入賞口50に入賞した遊技球は高低振分け部材57により「高速ルート」に誘導され、VOUT振分け部材65によりV入賞ルート(第2V領域73側)またはハズレルート(第2ハズレ領域72側)に振り分けられる。
遊技球がハズレルートに振り分けられて「非V入賞」となった場合、残存球排出時間およびエンディング時間(1480ms+1500ms)において、「短縮終了演出」が実行される。短縮終了演出は、上記「入賞前小当り中演出(B11)」に関連した演出内容となっており、小当り遊技が終了したことを簡潔に報知する演出内容となっている(たとえば、入賞前小当り中演出に登場したキャラクタが小当り遊技の終了を報知するアニメ画像等)。そして、時短回数がゼロでない限り、「時短状態(D)」に戻る。
遊技球がV入賞ルートに振り分けられて「V入賞」となった場合には、「V入賞演出(B4)」が実行される。このV入賞演出は、図33中の「V入賞演出(B4)」と実質的に同じ演出内容であるので、その説明は省略する。
V入賞後のインターバル時間が経過して「V入賞演出(B4)」が終了すると、小当り遊技の終了とともに、V当り遊技が開始される(図中の「(C)V当り遊技」のブロック(囲み枠))。V当り遊技中の「V当り中演出」は、通常状態中と同様の海戦を模した「バトル演出」となっている(図33の(C1)〜(C3)参照)。ただし、その演出内容は、通常状態中のバトル演出とは異なる。時短中のバトル演出では、V当り遊技(ラウンド遊技)が開始されると、まずバトル演出の一環として「通常挑戦演出(C1)」が開始される。「通常挑戦演出(C1)」は、V当り遊技中のラウンド遊技中にわたり実行され、その演出内容として、所定の作戦を成功させることができるか否かにより、時短回数95回が再セットされて時短状態に再移行するか、それとも通常状態へ転落移行するかの緊張感を煽る演出となっている。たとえば、図示のケースでは「敵艦ヲ撃破セヨ!」といった作戦指令が表示され、ラウンド遊技の進行に伴い、自艦が敵艦隊に向けて砲撃戦を展開していく様を表現した「艦隊戦演出」が進行していく。
またV当り4〜6の実質的なラウンド遊技数が、それぞれ15R(長開放2〜16R)、5R(長開放2〜6R)、5Rであることに伴い(図20参照)、上記「通常挑戦演出(C1)」の一環として、V当り種別に応じたラウンド数を報知する「ラウンド数報知演出」も実行されるようになっている。この「ラウンド数報知演出」では、最大ラウンド数が6Rか16Rであるかを煽る演出が、所定のラウンド数目(たとえば、4R目)のラウンド演出に実行される。なお本実施形態の場合、小当り4は、最大ラウンド数が16Rかつ時短小当りであるので、6R目以降は上記「時短確定V当り中演出(C4)」を実行するように構成してもよい。
そして、V当り遊技の終盤(最終ラウンドまたはエンディング演出)に差し掛かると、小当り種別に応じた「決着演出」として、「時短突入失敗演出(C2)」または「時短突入成功演出(C3)」が実行される。図34における「時短突入失敗演出(C2)」と「時短突入成功演出(C3)」の役割は、図33の通常状態中のものと同じである。ただし、その演出内容は異なり、「通常挑戦演出(C1)」に対応した内容の決着演出が現出される。たとえば、非時短小当り(小当り6)の場合は、敵艦を撃破できずに作戦が失敗に終わる内容の演出が現出され(作戦失敗演出)、「時短小当り(小当り4、5)」の場合は、敵艦を撃破轟沈させる内容の演出が現出される(作戦成功演出)。
(右大入賞口への入賞有り→回転体ルート:小当り3)
小当り3に当選した場合、右大入賞口50に入賞した遊技球は、高低振分け部材57により「回転体ルート」に誘導される。既に説明したように、時短状態中においてイレギュラーケースが発生しない限り、小当り3当選の場合には必ず「回転体ルート」に誘導され、その他の小当り4〜6のいずれかに当選の場合には必ず「高速ルート」に誘導される。したがって、遊技球が回転体ルートに誘導された場合、その時点で、今回のゲームで当選した小当り種別が「時短小当り」であることが報知されることになる。
そこで本実施形態では、小当り3に当選した場合に、たとえば上記「V入賞演出(B4)」のような時短状態に移行されるか否かについて秘匿する演出を無闇に現出させないようになっている。
小当り3当選の場合において上記「入賞前小当り中演出(B10)」が終了すると、「特別小当り中演出(B14)」が開始される(図中の実線の演出ルート参照)。この時短状態中の「特別小当り中演出(B14)」は、上記した図33に示す通常状態中の「特別小当り中演出(B2)」と同様に、V入賞により時短が付与される旨を報知する。ただし、演出開始契機とその演出内容については、時短状態中と通常状態中とで異なる。詳しくは、演出開始契機について、時短状態中の「特別小当り中演出(B14)」は、右大入賞口50への入賞を契機に開始するのに対し、通常状態中の「特別小当り中演出(B2)」は、小当り遊技の開始を契機に開始される。演出開始契機が異ならせている理由は、次の通りである。小当り3の場合は、右大入賞口50の開放時間がミドル開放の640msとなっており、小当り1の場合のロング開放の1500msよりも短時間である。よって、小当り1の場合は、基本的には(右打ちし続けていれば)、発射装置32の性能上、ほぼ確実に入賞しうるのに対し、小当り3の場合は、必ずしも入賞するとは限らない。このように、入賞しない可能性が高いにもかかわらず、小当り遊技の開始とともに特別小当り中演出を現出させてV入賞期待感を無闇に煽ることは、遊技者の遊技機に対する不信感を抱く恐れがある。したがって、時短状態中の「特別小当り中演出(B14)」は、右大入賞口50への入賞を確認したことを以って、現出させるようになっている。
また、演出内容について、時短状態中の「特別小当り中演出(B14)」では、通常状態中の「特別小当り中演出(B2)」のように‘右大入賞口50への入賞を促す内容の指示演出’が現出されず、一部共通した演出、たとえば、図示のように、「V入賞すれば、時短確定!」という表示演出が共通して現出されるようになっている。指示演出が現出されないのは、「入賞前小当り中演出(B10)」にて、既に、指示演出の役割が果たされており、再度現出させる必要がないからである。すなわち、通常状態中の「特別小当り中演出(B2)」と時短状態中の「特別小当り中演出(B14)」とは、「V入賞すれば、時短確定!」という表示演出が共通する演出態様(共通表示態様)となっている。
第1V抽選役物60により遊技球が第1ハズレ領域62を通過しV入賞しなかった場合(非V入賞)、「小当り終了演出(B6)」が実行される。この「小当り終了演出(B6)」は、図33中の「小当り終了演出(B3)、(B6)」と実質的に同じ演出内容であるので、その説明は省略する。
一方、遊技球が第1V領域63を通過しV入賞となった場合、「時短確定V入賞演出(B7)」が実行される。その後、時短状態移行獲得を祝福する演出として、「時短確定V当り中演出(C4)」が実行される。そして、V当り終了後は、「時短状態(時短演出モード)(D)」に移行される。なお、上述の「時短確定V入賞演出(B7)」および「時短確定V当り中演出(C4)」は、図33中の「時短確定V入賞演出(B7)」および「時短確定V当り中演出(C4)」と実質的に同じ演出内容であるため、その説明は省略する。
(図34の変形例)
上記図34において、遊技球が「回転体ルート」に誘導された時点で「時短小当り」であることが確定的とされる構成について説明した。しかし本発明はこれに限らず、通常状態中と同じく、時短状態中に「回転体ルート」に誘導されても「時短小当り」であることが確定的とはならない構成とすることができる。たとえば、特図2側の抽選対象として、「非時短小当り」に属する‘小当り(以下「小当りX」と称する)’を新たに設け、この小当りXが当選した場合には、小当り3が当選したときと同様に、必ず「回転体ルート」へと誘導されるように構成する。上記「小当りX」に当選した場合は、演出上の面白さや攻略打ち対策等を考慮し、小当り3が当選した場合との区別を困難または不可能なものとするべく、変動パターンについては小当り3当選時と同様の変動パターン1〜5(図27参照)を選択可能とし、また開閉動作遊技を含む小当り遊技およびV当り遊技も同じ動作態様とすることが好ましい。また、小当りXの図柄抽選による図柄選択率は、他の小当りを考慮して適宜設定することができる。たとえば、小当り3と小当りXとが同じ図柄選択率とすれば、「回転体ルート」に誘導された場合の時短移行期待度を「1/2」としたり、小当りXよりも小当り3の図柄選択率の方が高くしたり(その逆も可)することできる。なお、図柄選択率については後者の方が好ましい。小当りXよりも小当り3の図柄選択率の方が高い場合、「回転体ルート」に誘導されたときの時短移行期待度が高まり、遊技者の緊張感を煽ることができ、遊技興趣を高めることができる。
また本変形例に係る小当り3および小当りXに係る小当り中演出については、次のように構成することができる。
小当りXについては、「通常小当り中演出(B13)」が必ず実行されるように構成する。ここでの「通常小当り中演出(B13)」は、時短小当り種別であることを秘匿する(V入賞すれば時短移行確定となることを秘匿する)演出内容となっており、たとえば図示のように、「Vチャンス!」のといった文字情報を表示して、V入賞への期待感を煽る演出である。「通常小当り中演出(B13)」の後は、V入賞したか否かに対応した演出を実行可能に構成する。詳しくは、図34中の「入賞後回転体ルート演出(B12)」のブロック内の破線の演出ルートを参照して、V入賞した場合には、「通常小当り中演出(B13)」の後、‘「V入賞演出(B4)」→「通常挑戦演出(C1)」→「時短突入失敗演出(C2)」’を実行する。一方、非V入賞であった場合には、「通常小当り中演出(B13)」の後、「小当り終了演出(B6)」を実行する(図中の破線の演出ルート参照)。
小当り3については、「回転体演出ルート」について、上記の‘実線の演出ルート(「特別小当り中演出(B2)」が実行されるルート)’または‘破線の演出ルート(「通常小当り中演出(B13)」が実行されるルート)’のいずれかのルートを選択可能に構成する。いずれの演出ルートに進むかは、たとえば、シナリオ演出抽選(抽選確率1/2等)によって選択可能な構成とすることができる(図30)。
このように、小当り3または小当りXが当選したいずれの場合にも、時短小当りであるか否かを秘匿する「通常小当り中演出(B13)」を現出させることにより、遊技球が「回転体ルート」に誘導されたとしても、時短状態に移行させるか否かについては、演出上から秘匿される。遊技者においては、まずV入賞の発生を望み、V入賞を獲得した後には、V当り中演出(バトル演出)によって、時短移行に期待を寄せながらその演出結果を見守ることになるので、高速ルートよりも長い時間、遊技者の緊張感を持続させることができる。また、時短状態中に係る「回転体演出ルート」の演出の自由度が増し、演出バリエーションを豊富なものとすることができる。
(5−3−3.通常状態→大当り遊技、または通常状態→小当り遊技:図35)
上記図33においては、V当り中演出として「特別挑戦演出(C1)」または「時短確定V当り中演出(C4)」が実行されることを説明した。この「特別挑戦演出(C1)」は、遊技状態が通常状態から時短状態に移行するか否かを煽る演出であり、遊技者はV入賞した場合には、大量の賞球の獲得が見込める時短状態への移行が最大の関心事であり、遊技者にとっては非常に重要な演出であるといえる。本実施形態では、この「特別挑戦演出」を当り種別に関係なく実行可能に構成し、遊技者の時短移行期待感を煽ることができるようになっている。
図35を参照して、通常状態中に大当りまたは小当りに当選した場合おける当り中演出について説明する。ここでは、本発明と関連性の深い「大当り1」、「大当り2」、「小当り1」、または「小当り2」に当選した場合について説明し、他の当り種別に当選した場合の説明については省略する。また、図33で説明した通常状態中の小当り中演出と実質的に同一の演出内容となるブロック(囲み枠)については同一符号を付し、その説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
図示の「(A1)通常状態」のブロック(囲み枠)は、通常状態中に大当りまたは小当りに当選したケースを示している。ここでは、通常演出モード中において当りに当選し、確定表示演出(A3)として、大当り当選の場合には、大当り1〜2に共通する装飾停止図柄が同一図柄「XXX(Xは、たとえば、1〜9の数字が表示された図柄)」で停止表示し、小当り当選の場合には、小当り1〜2に共通する装飾停止図柄が「357(チャンス目)」で停止表示して、当りに当選したことが報知されるケースを示している((A1)→(A3))。なお、装飾停止図柄が小当り1および小当り2に共通する図柄の組合せであるため、この段階では、当選した小当り種別が何であるかは遊技者には報知されない。一方、大当りが当選した場合は、装飾停止図柄種別で、大当り種別が報知可能となっている。具体的には、「7図柄揃い以外(XXX=111〜666、888、999)」は、大当り1または大当り2のいずれの場合にも出現される場合があり、「7図柄揃い(XXX=777)」は、大当り1が当選した場合にしか出現しないようになっている。したがって、7図柄揃いであれば、大当り1、つまり時短大当りであることが報知され、それ以外であれば、確定表示演出(A3)の段階では、大当り種別は不明(時短大当りか非時短大当りであるかが不明)とされる。本実施形態の場合、7図柄揃いは、大当り1当選時の10%で選択されるようになっている。
(大当りの場合)
まず、大当りに当選した場合の大当り中演出について説明する。上記確定表示演出(A2)が終了すると、図示の(C)「大当り遊技、V当り遊技」のブロック(囲み枠)に進み、大当り遊技が行われる。大当り中演出は、装飾停止図柄種別に応じて、その演出の内容が異なる。「7図柄揃い」の場合、大当り1の当選が装飾停止図柄により確定報知される関係上、これに対応した演出内容として、図示の「時短確定大当り中演出(C5)」が実行されるようになっている。この「時短確定大当り中演出(C5)」は、「時短確定V当り中演出(C4)」と同様に、時短状態移行の獲得を祝福する演出となっている。
一方、大当り1または大当り2に当選し、装飾停止図柄種別が「7図柄揃い以外」の場合、バトル演出(C1→C2またはC3)が実行される。ここでの「バトル演出」は遊技状態が通常状態から時短状態に移行するか否かを煽る演出であり、図33において説明した「バトル演出」と同じ演出態様となっている。したがって、7図柄揃い以外が表示された場合には、当選した大当り種別情報、つまり時短状態に移行するか否かは、バトル演出の演出結果により報知されることになり(「時短突入失敗演出(C2)」の場合は通常状態移行報知、「時短突入成功演出(C3)」の場合は時短状態移行報知)遊技者は緊張感を持って、バトル演出の展開を見守るようになる。なお、小当り1、2に当選した場合の小当り中演出は、図33で説明した内容と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、通常状態中に大当りに当選した場合にも、小当り1、2に当選した場合と同じく、共通の「バトル演出(図示のC1〜C3)」を現出させるようになっている。そして、この「バトル演出」は、非時短大当りである大当り2だけでなく、所定の確率で大当り1の場合にも現出される。大当りに当選した場合は、役物抽選で大当り遊技が開始されるわけではないため、遊技球の行く末によりV入賞するか否かを楽しむ、という遊技興趣がなく、遊技が単調となりがちであるが、本実施形態のように、時短大当りおよび非時短大当りのいずれも、バトル演出が展開されるので、大当り遊技中における遊技者の緊張感を持続させ、遊技興趣を向上させることができる。
<主制御部側の処理:図10〜図14B>
次に図10〜図14Bを参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図10)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図11)とを含んで構成される。
<11.主制御側メイン処理:図10>
図10は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図10に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
次いで、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号のON/OFF状態を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店員が操作するRAMクリアスイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
RAMクリア信号がON状態である場合(ステップS012:YES)、RAMの全領域がゼロクリアされ、電源遮断時にバックアップされた遊技情報がすべてクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時に設定されたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなり、また遊技状態は初期状態の通常状態に設定され、作動保留記憶に関する保留データも全てクリアされる。
次いで、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30000msを設定する(ステップS018)。
次いで、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を行う(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに利用される各種乱数を更新する。たとえば、インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している、大当り抽選に利用される乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に利用される乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数)や、特別図柄や普通図柄に係る変動パターンの選択の際に利用する変動パターン用乱数等を更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行して各種のソフト乱数を生成している。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、RAMクリアスイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:NO)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、続いて、チェックサム値を算出するため、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算(チェックサム演算)を実行し、チェックサム値を算出して、電源遮断時のチェックサム値と一致するか否かを判定する(ステップS014)。チェックサム値が一致する場合には(ステップS014:YES)、正常であるとして、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行い(ステップS015)、その後は、ステップS019の処理に進み、ステップS020〜S022の処理を繰り返し実行する。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を行い、遊技機の動作状態を初期状態に戻し、ステップS017以降の処理を実行する。またステップS013の判定処理において、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016のRAMクリア処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻して、ステップS017以降の処理を実行する。
<12.主制御側タイマ割込処理:図11>
次に図11を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図11は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、図10の主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図11において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視して、異常が発生した場合には、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電源遮断時にバックアップ処理等が行われるようになっている。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いるタイマのタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサ類による検出情報の有無を監視し、検出情報に処理を行う。たとえば、各入賞口に係るセンサ(図5参照)が遊技球を検出した場合、その検出情報に基づき、各入賞口別に設けられた入賞カウンタを更新したり、遊動領域59内のV領域センサSW2、SW5やハズレ領域センサSW3、SW6や排出口センサSW4の検出情報に基づき、排出球カウンタを更新したりする。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。
次いで、エラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、上記ステップS053の入力管理処理で得られた検出情報に基づき、遊技動作状態の異常の有無を監視し、生じたエラー種別に応じたエラー処理およびそのエラーが解除された際のエラー解除処理などを行う。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選、補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様の決定、普通図柄を変動表示動作させるためのLED駆動用データの作成等を行う。この普通図柄管理処理は、普通図柄始動口37の入賞を契機に(普通図柄始動口センサ37aが遊技球を検出したことに基づき)、所定の遊技情報を取得する取得手段、上記遊技情報に基づき、補助当りに関する抽選を実行する補助当り抽選手段、普通図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)を制御する普通図柄表示制御手段として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、上記ステップS057の普通図柄管理処理の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用データの生成および設定処理を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のステップS064のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより、開閉蓋47の動作パターンが制御される。この普通電動役物管理処理は、普電開放遊技を実行制御する補助当り遊技制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。詳細は図12にて後述するが、この特別図柄管理処理の主な役割は、作動保留球の記憶処理(入賞を契機に、各種カウンタから取得した大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の保留記憶処理)、大当り抽選(当落抽選、図柄抽選)、大当り抽選に基づく特別図柄の変動パターンの選択および特別図柄の停止表示態様(特別停止図柄)の決定、特別図柄を変動表示動作させるためのLED駆動用データの作成、遊技状態間の移行制御等である。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。詳細は図13にて後述するが、この特別電動役物管理処理の主な役割は、大当り抽選結果に基づく大当り遊技、小当り遊技、V当り遊技の実行制御等である。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「当り遊技」または電サポ有り状態が生起する「時短状態」である場合、つまり「右打ち有利」な遊技状態である場合には、右打ち指示情報を報知する「右打ち報知演出(第1発射位置誘導演出)」を、電サポ無し状態の「通常状態」である場合、つまり「左打ち有利」な遊技状態である場合には、左打ち指示情報を報知する「左打ち報知演出(第2発射位置誘導演出)」を、演出手段により現出させるために必要な処理を行う。この右打ち報知情報管理処理において、「右打ち有利」な遊技状態が開始されたことを契機に、上記右打ち報知演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が、また「右打ち有利」な遊技状態が終了し「左打ち有利」な遊技状態に移行したことを契機に「右打ち終了コマンド」が、演出制御部24に送信され、これらコマンドを受けて、演出制御部24が上記「右打ち報知演出」または「左打ち報知演出」を現出制御可能な構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図12のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理やステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41c、下大入賞口ソレノイド42c、右大入賞口ソレノイド52c、SOL1〜3等に対して対する励磁信号の出力処理を行う。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図12)
次に、図11中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図12は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
(8−1.始動口チェック処理:ステップS301、S302)
図12において、CPU201は、まず特図1側に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特図2側に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。上記第1始動口チェック処理では、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理を行い、上記第2始動口チェック処理では、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理を行う。なお、特図1始動口チェック処理の処理内容と特図2始動口チェック処理の処理内容とは、特図1側の左始動口34に関するものであるか、特図2側の右始動口35に関するものであるかの違いだけでその処理内容は実質的に同じである。したがってここでは、重複記載を避けるために、第1始動口チェック処理を代表的に説明する。
上記第1始動口チェック処理では、左始動口34において入賞を検出した場合、最大保留記憶数未満であれば、特図1側の作動保留球数(特図1作動保留球数)の加算処理を行い、次いで、特別図柄変動表示ゲームに用いる各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数等)を取得し、その取得した乱数値を保留データとして、RAM203の該当保留記憶エリアに保留記憶する。この保留記憶エリアには、上記保留データが特図1の変動表示動作に供されるまで、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されて行き、変動開始時おいて当該保留データが参照される。
ただし本実施形態の場合、特図1に関しては最大保留記憶数の4個まで保留記憶が可能であるのに対し、特図2についての保留記憶はゼロ、つまり保留記憶がされないようになっている(特図2側保留記憶無し)。したがって、作動保留球に関する処理については、特図1始動口チェック処理とは異なり、この特図2始動口チェック処理内にはない。特図2については、取得した乱数値を保留記憶するのではなく、変動開始時に参照される判定用乱数記憶エリアに記憶されるようになっている。
次いで、現在の作動保留球情報(特図1、2の別と作動保留球数)を指定する「保留加算コマンド」を作成し、これを演出制御部24に送信する。以上により、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、右始動口35の入賞に関する特図2始動口チェック処理(ステップS302)を行う。
上記第1および第2始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(5AH)であれば小当り遊技中である旨を示し、OFF状態(00H)であれば小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中またはV当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(5AH)であれば大当り遊技中またはV当り遊技中である旨を示し、OFF状態(00H)であればいずれの当り遊技中ではない旨を示す。
条件装置作動フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄の変動表示動作が実行可能状態(図柄変動表示ゲーム実行可能状態)であるとして、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、ステップS306〜S308の処理を行う。この特別図柄動作ステータスとは、現在の特別図柄の挙動(特別図柄に関する処理状態)を指定する値であり、特別図柄動作ステータス値に応じて、特別図柄の変動表示動作に関するステップS306〜S308のいずれかの処理が行われるようになっている。具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」、「変動中(02H)」、「確認中(03H)」のいずれであるかに応じて、後述の特別図柄変動開始処理(S306)、特別図柄変動中処理(ステップS307)、または特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を行う。
なお、上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中である旨を示す。特別図柄の変動表示を開始する際には、「特別図柄変動開始処理(S306)→特別図柄変動中処理(ステップS307)→特別図柄確認時間中処理(ステップS308)」の流れで処理が行われ、これらの処理により、特別図柄の変動表示動作が実現される。
(8−2.特別図柄変動開始処理:ステップS306)
上記特別図柄変動開始処理(ステップS306)において、CPU201は、まず特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し、特図1作動保留球数がゼロでない場合には、特図1側の変動表示に供する作動保留球を対象とした特図1に関する変動開始時の処理を行う。特図1作動保留球数がゼロである場合には、特図2に関する乱数が判定用乱数記憶エリアに記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には、特図2に関する変動開始時の処理を行う。したがって、特図1作動保留球の作動保留球数がゼロではない限り、特別図柄変動表示ゲーム1が実行され、特別図柄変動表示ゲーム2は実行されない、という特別図柄変動表示ゲーム2よりも特別図柄変動表示ゲーム1を優先的に実行させる「特図1優先変動」タイプとなっている。
上記変動開始時の処理では、今回変動表示させる特別図柄について、上記始動口チェック処理(ステップS301またはステップS302)にて取得した大当り判定用乱数値に基づき、大当り、小当りおよびハズレの別を抽選する「当落抽選」と、当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とに基づき、その当選種別を抽選する「図柄抽選」とを行う(抽選確率については、図17、図18、図23参照)。この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の場合には「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった‘ハズレ’となり、いずれの判定フラグも「00H」に設定される。また上記図柄抽選により、大当り1〜5、小当り1〜7、ハズレのいずれに当選したのかが決定されるとともに、特別図柄表示装置38a、38bに停止表示させる特別停止図柄種別も決定される。この図柄抽選結果である、当選種別を識別する「特別図柄判定データ」と、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別停止図柄種別を識別する「特別停止図柄番号」は、RAM203の所定領域に格納される。
次いで、変動パターン用乱数を利用した変動パターン抽選処理を行い、少なくとも当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果)に関連付けられた複数種類の変動パターンのうちからのいずれかの変動パターンを抽選により決定し、その決定された変動パターンに対応する変動時間を特別図柄役物動作タイマ(遊技動作を管理するタイマ)に設定する。そして、演出制御コマンドとして、変動パターンに関する情報を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。また図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する。この装飾図柄指定コマンドには、今回の変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお、上記変動パターン指定コマンドには、少なくとも当落結果情報と変動パターン情報とが含まれるので、演出制御部24は、この変動パターン指定コマンドに基づいて、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出態様や装飾停止図柄を決定し、図柄変動表示ゲームを実行させることができる。
またここでは、現在の遊技状態が時短状態である場合に、残り時短回数(特電回数、特図変動回数)に関する情報を含む「残り時短回数コマンド」も演出制御部24に送信される。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握することができる。そして、特別図柄動作ステータスを「変動中(02H)」に切り替え(更新し)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)。これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。
(8−3.特別図柄変動中処理:ステップS307)
次に、上記特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する。変動時間が経過していないならば、そのまま何もせずに本処理を抜ける。変動時間が経過したならば、特別図柄の変動が終了した旨を知らせる「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する。これにより、演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したことを把握する。
次いで、特別図柄の変動停止時に要する処理として、特別図柄役物動作タイマに「確定表示時間」を設定し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に更新する。これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示態様である特別停止図柄、つまり図柄抽選結果が視認可能な時間幅として定めたものである。
上記「確定表示時間」は、図26に示す「確定表示時間テーブル」に基づく値が設定される。確定表示時間テーブルには、変動表示側の特別図柄種別と、当落抽選結果とに対応付けられた確定表示時間が定められている。本実施形態の場合、図26に示す通り、当落抽選で小当りとなった場合には、遊技状態種別や特別図柄種別に関係なく、当該確定表示時間は「128ms」となっており、大当りやハズレの場合よりも相対的に短い時間が設定されるようになっている。その理由は次の通りである。
本実施形態では、図6および図7に示すように、時短状態は特図2側が抽選対象となるため、小当りには超高確率の約1/1.004(約99%)当選し、そのうち、「85/100」の割合で小当り4〜6の当選に振り分けられ、「15/100」の割合で小当り3の当選に振り分けられる。すなわち、時短状態に小当りに当選した場合には「高速ルート」に「85/100」という高確率で振分けられ、「回転体ルート」には、「15/100」という低確率で振り分けられることになる。また「高速ルート」は、約1/8.8の割合でしかV入賞しない。このため、時短状態中は非V入賞が連続発生する可能性が高く、V入賞しなかったときに、次の図柄変動表示ゲームまでの時間が無闇に長引いてしまうと、遊技をスピーディーに進行させることができず、折角の時短状態が台無しになり、遊技者の遊技興趣が低下してしまう。
そこで本実施形態では、次の小当り遊技が開始されるまでの時間をできるだけ短縮して、V入賞せずともゲーム進行速度を向上させるべく、小当り当選の確定表示時間を、大当り当選やハズレの場合よりも短い時間に設定するようになっている。これにより、V入賞しなかった場合であっても、短時間でV入賞へのチャンスが再度、巡ってくることになり、遊技者の遊技興趣が低下することを防止できる。なお本実施形態では、時短状態中のイレギュラーな小当り当選(特図1側の小当り当選)を考慮して、特別図柄種別に関係なく「128ms」に定めているが、時短状態中は専ら特図2側が抽選対象となる点を考慮して、小当り当選時は、特別図柄種別に応じた確定表示時間を設定してもよい。たとえば、特図2側で小当り当選した場合は「128ms」、特図1側で小当りに当選した場合は「600ms」等である。また本実施形態では、遊技状態によらず、「128ms」を設定しているが、遊技状態に応じて確定表示時間を設定してもよい。たとえば、時短状態の場合には「128ms」、通常状態の場合には「600ms」等である。
(8−4.特別図柄確認時間中処理:ステップS308)
次に、上記特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。特別図柄確認時間中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり、確定表示時間が経過したか否かを判定する。確定表示時間が経過していないならば、そのまま何もせずに本処理を抜ける。確定表示時間が経過したならば、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に更新し、次いで今回の当落抽選結果(大当り判定フラグと小当り判定フラグの値)に応じて、以下の処理を行う。
(1)ハズレの場合には、時短状態を管理する「時短状態管理処理」を行う。時短状態管理処理では、時短回数監視カウンタがゼロであるか否かを判定し、ゼロでないならば、時短回数監視カウンタ(ここでは、ハズレの場合であるので、(特電回数カウンタではなく、特図時短回数カウンタのカウンタ値)をデクリメントし、その結果がゼロであれば、時短状態の終了回数に達したとして、時短状態を指定する機能の作動状態をクリアし、時短状態を終了させる。これにより次ゲームから、電サポ無し状態となり、通常状態下に置かれることになる。この場合、時短状態が終了した旨を示す「遊技状態コマンド」を演出制御部24に送信する。
(2)大当りの場合には、大当り遊技開始に必要な処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)として、大当り判定フラグ、時短状態を指定する機能(特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、開放延長機能)の作動状態、時短回数監視カウンタ(特電回数カウンタ、特図時短回数カウンタ)等をそれぞれOFF状態とし(00Hを設定)、条件装置作動フラグをON状態する(5AHを設定)。そして、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。
(3)小当りの場合には、小当り遊技開始に必要な処理(小当り図柄停止時の各種設定処理)として、小当り判定フラグをOFF状態にし(00Hを設定)、小当り中フラグをON状態にする(5AHを設定)。その後、ハズレの場合と同様の上記「時短状態管理処理」を行う。小当りの場合はV当りとならない限り、ハズレの場合と同様に、内部遊技状態の移行は無いからである。したがって、時短状態中に小当りに当選してもV当りとならない限り、時短回数については、今回の図柄変動表示ゲーム分(特電回数1回、特図時短回数1回)が減算されることになる。
これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、ステップS309の「特別図柄表示データ更新処理」を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.2秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、上記特別停止図柄種別(特別停止図柄番号)に対応した停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図11のLED管理処理(ステップS062)で出力される。これにより、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。そして特別図柄管理処理を抜けて、図11のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
なお、小当り遊技中または大当り遊技中である場合(ステップS303:=5AH、ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われず、特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に停止表示された特別停止図柄が保持されている。
(9.特別電動役物管理処理:図13)
次に、図11中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図13は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行う(ステップS504)。この小当り処理は、小当り遊技の一連の遊技動作を制御する処理である。この小当り処理についての詳細は、図14Aおよび図14Bにて後述する。
上記小当り中フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態であれば(ステップS502:≠5AH)、小当り遊技中ではなく、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、大当り遊技またはV当り遊技中であるとして、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503)。「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を指定する値であり、その特別電動役物動作ステータス値に応じて、特別図柄の変動表示動作に関するステップS505〜S509のいずれかの処理が行われるようになっている。具体的には、特別図柄動作ステータスが「開始処理中(00H)(大当り遊技開始前の待機状態を指定)」、「「作動開始処理中(01H)(ラウンド遊技開始前の待機状態を指定)」、「作動中(02H)(ラウンド遊技実行中を指定)」、「継続判定中(03H)(ラウンド遊技継続判定中を指定)」、および「終了処理中(04H)(大当り遊技終了処理中を指定)」のいずれであるかに応じて、後述の大当り開始処理(ステップS505)、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)または大当り終了処理(ステップS509)を行う。これらの処理により、特別変動入賞装置52の動作や遊動領域59内の可動役物が制御され、大当り遊技またはV当り遊技が実現される。以下では特に必要のない限り、大当りとV当りとを区別することなく、大当り遊技に係る処理として説明する。
(9−1.大当り開始処理:ステップS505)
大当りまたはV当りとなった場合は、まず、ステップS505の大当り開始処理が行われる。ここでは、大当り開始時の設定処理として、今回当選した当り種別に対応した値を「連続回数カウンタ」に設定し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新する(大当り開始前のステータス値は「開始処理中(00H)」に設定されている)。上記「連続回数カウンタ」とは、現在のラウンド数をカウントするカウンタであり、この連続回数カウンタに設定される値は、特別図柄が大当り当選を契機とする大当りであるのか、それとも小当り遊技中のV入賞を契機とするV当りであるのかで異なる。大当りの場合には、現在のラウンド数が1R目を示す「01H」が設定され、V当りの場合には、現在のラウンド数が2R目を示す「02H」が設定される。V当り時の場合は、1R目のラウンド遊技が小当り遊技に相当するからである。またここでは、当り種別に対応した開始インターバル時間(オープニング演出時間)を特別図柄役物動作タイマに設定する(図19、図20参照)。なお、V当り時(V入賞フラグON時)には、V入賞演出時間(V入賞INT)が経過した後に、初めて本処理に入るため、ここでは、大当り時のようなオープニング時間は設定されない。
またここでは、演出制御コマンドとして、大当り遊技が開始された旨を指定する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。この「大当り開始コマンド」には、当り種別と当り当選時の遊技状態とに関する情報とが含まれ、演出制御部24側において、当り中演出を決定する際に利用される。以上により、大当り開始処理を抜ける。
(9−2.特別電動役物作動開始処理:ステップS506)
特別電動役物作動開始処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定し、この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、本処理を抜ける。なおここでの特別図柄役物動作タイマには、初回のラウンドでは、上記した開始インターバル時間が、その後のラウンドでは「ラウンド間インターバル時間(図19、図20の「INT」の欄参照)」が設定されている。
特別図柄役物動作タイマがゼロになった場合、ラウンド遊技開始時の設定処理として、今回のラウンド数に対応する「大入賞口開放動作時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、下大入賞口40への入賞数をカウントする「下大入賞口入賞カウンタ」をゼロクリアし、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に更新する。またここでは、ラウンド数に応じた下大入賞口40の開放動作を実現するための大入賞口ソレノイド42cのソレノイド用の制御データの作成・設定処理を行う。この制御データは、図11中のソレノイド管理処理(ステップS064)にて利用される。また演出制御コマンドとして、現在のラウンド数情報を含む「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。これにより、特別電動役物作動開始処理を抜ける。
(9−3.特別電動役物作動中処理:ステップS507)
特別電動役物作動中処理において、CPU201は、まず下大入賞口40への入賞数が最大入賞数に達したか否かを判定する。入賞数が最大入賞数に達した場合、ラウンド遊技終了条件を満たしたとして、特別図柄役物動作タイマをゼロクリアし、開放中の大入賞口を閉鎖する。また最大入賞数に達しなくとも特別図柄役物動作タイマがゼロになった場合には、ラウンド遊技終了条件を満たしたとして、開放中の大入賞口を閉鎖する。そして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に更新し、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(図19、図20の「残排出」の欄参照)を設定し、特別電動役物作動中処理を抜ける。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理:ステップS508)
特別電動役物作動継続判定処理において、CPU201は、まず残存球排出時間が経過したか否かを判定し、残存球排出時間が経過したならば、現在のラウンド数(連続回数カウンタの値)が規定ラウンド数の最大ラウンド数に達したか否かを判定する。
最大ラウンド数に達していない場合、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算し、「ラウンド間インターバル時間(20ms)」を特別図柄役物動作タイマに設定し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新する。
一方、最大ラウンド数に達した場合、ラウンド遊技継続終了時の処理として、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に更新し、演出制御コマンドとして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する。また、当り種別と当選時の遊技状態とに応じて、エンディング演出の演出時間幅である「終了インターバル時間(図19、図20参照)」を特別図柄役物動作タイマに設定する。これにより、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
(9−5.大当り終了処理:ステップS509)
大当り終了処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマ(終了インターバル時間)がゼロであるか否かを判定する。終了インターバル時間が経過したならば、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に更新し、今回の大当り遊技またはV当り遊技が終了したとして、当選した当り種別に応じて、移行先遊技状態を指定する遊技状態指定データを設定する。これにより、大当り遊技またはV当り遊技後の遊技状態が指定される。この大当り終了処理を以って、大当り遊技またはV当り遊技に関する一連の制御処理が終了される。
<小当り処理:図14A、図14B>
次に、図14A、図14Bを参照して、小当り遊技制御処理について説明する。図13Aは、小当り処理の詳細を示すフローチャート、図14Bは、図13A中のステップS605の特別電動役物ステータ別処理の詳細を示すフローチャートである。
(9−6.小当り処理:図14A)
図14Aにおいて、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」、または「継続判定中(03H)」であるか否かを判定する(ステップS601)。特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」かつ「継続判定中(03H)」でない場合には(ステップS601:≠02Hかつ≠03H)、ステップS603の判定処理に進み、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」または「継続判定中(03H)」である場合には(ステップS601:=02Hまたは=03H)、右大入賞口入賞数確認処理を行った後(ステップS602)、ステップS603の判定処理に進む。
上記右大入賞口入賞数確認処理には、各種センサ(センサSW1〜SW6)からの遊技球検出情報に基づき、入賞球数および排出球数をカウントするための「カウント処理」、V領域に遊技球が通過したか否かを監視する「V入賞監視処理」、最大入賞数に達したか否かを監視する「最大入賞数監視処理」等が含まれる。上記「カウント処理」では、入賞球を検出する度に、右大入賞口入賞カウンタおよび右大入賞口排出カウンタに1加算する。また排出球を検出する度に、右大入賞口排出カウンタの値を1減算し、排出カウンタ値に基づき、上記した「球噛み」を監視する。また「V入賞監視処理」では、V領域63、73を遊技球が通過したことを検出した場合、V入賞が発生したとして、V当りである旨を指定する「V入賞フラグ」をON状態(5AH)に設定し、後述の開閉動作遊技時間をクリアする等のV入賞時の設定処理を行う。また「最大入賞数監視処理」では、右大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達したか否かを判定し、最大入賞数に達したならば、後述の開閉動作遊技時間をクリアする。
ステップS603の処理に進むと、特別図柄役物動作タイマがゼロか否かを判定する(ステップS603)。特別図柄役物動作タイマには、処理状態に応じて、オープニング時間やエンディング時間や開閉動作遊技時間等が設定されている。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS603:NO)、ステップS606の判定処理に進み、特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS603:YES)、小当り中コマンド送信処理を行う(ステップS604)。この小当り中コマンド送信処理では、特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)の場合には、小当り遊技開始(おオープニング演出開始)を指定する「小当り開始コマンド」を、継続判定中(03H)の場合には、小当り遊技終了(エンディング演出開始)を指定する「小当り終了コマンド」を送信する。
ステップS604の小当り中コマンド送信処理を終えると、特別電動役物動作ステータス別処理を実行する(ステップS605)。ここでは、特別電動役物動作ステータス値「00H〜04H」に応じた処理を行う。この特別電動役物動作ステータス別処理についての詳細は、図14Bにて後述する。
ステップS605の特別電動役物動作ステータス別処理を終えると、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS606)。特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合には(ステップS606:≠02H)、何もしないでこの小当り処理を抜ける。一方、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合(ステップS606:=02H)、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS607)。この大入賞口開閉動作設定処理では、開閉動作遊技期間中の片羽状部材52bの動作(右大入賞口50の開閉動作)や、各種振分役物(高低振分け部材57、貯留部材58a、VOUT振分け部材65)の動作を制御するに必要な設定処理を行う。具体的には、小当り種別に対応した右大入賞口50の開放動作(開閉動作遊技)および振分役物の振分動作を実現するための、大入賞口ソレノイド52cやSOL1〜3等のソレノイド用の制御データの作成・設定処理を行う。ここでは、開閉動作遊技時間に対応したソレノイド制御データが設定される。この大入賞口開閉動作設定処理で設定されたデータは、図11中のソレノイド管理処理(ステップS064)にて利用される。上記ステップS607の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、小当り処理を抜ける。
(9−6−1.特別電動役物動作ステータス別処理:図14B)
次に、図14A中の特別電動役物動作ステータス別処理(ステップS605)について説明する。この特別電動役物動作ステータス別処理において、CPU201は、現在の特別電動役物動作ステータスに対応する処理を行う(ステップS611、ステップS612〜S616)。
(9−7−1.小当り開始処理:ステップS612)
小当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」となっている。したがって、ここでは最初に、ステップS612の小当り処理が開始される。この小当り開始処理では、特別図柄役物動作タイマに「オープニング時間(作動前インターバル時間)」を設定し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新する等の小当り開始時に必要な設定処理を行う。
(9−7−2.小当り特別電動役物作動開始処理:ステップS613)
小当り特別電動役物作動開始処理(ステップS613)は、上記オープニング時間が経過した後に実行される(特別電動役物動作ステータス=「作動開始処理中(01H)」)。ここでは、入賞数カウンタおよび排出球数カウンタをゼロクリアし(00Hを設定)、特別図柄役物動作タイマに、大入賞口開放動作時間(開閉動作遊技に係る開閉動作遊技時間)を設定し、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に更新する。なお、開閉動作遊技時間がゼロ、つまり開閉動作遊技時間が経過するか、またはV入賞し、あるいは最大入賞数に達して特別図柄役物動作タイマがクリアされるまで(ステップS603:NO)、図14AのステップS607大入賞口開閉動作設定処理が行われ、右大入賞口50や振分役物が実行制御されることになる。
(9−7−3.小当り特別電動役物作動中処理:ステップS614)
小当り特別電動役物作動中処理(ステップS614)は、開閉動作遊技時間の経過した後か、V入賞が発生しまたは最大入賞数に達して開閉動作遊技時間が強制的にクリアされて、上記特別図柄役物動作タイマがゼロとなった場合に実行される(特別電動役物動作ステータス=「作動中(02H)」)。ここでは、開閉動作遊技の終了時の設定処理として、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1480ms)を設定し、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に更新する。
(9−7−4.小当り継続判定処理:ステップS615)
小当り継続判定処理(ステップS615)は、上記残存球排出時間が経過した後に実行される(特別電動役物動作ステータス=「継続判定中(03H)」)。ここでは、まず、右大入賞口50への入賞球が全て排出されたか否かを確認する「入賞球排出確認処理」を行う。入賞球排出確認処理により、全入賞球の排出が確認された場合、特別図柄役物動作タイマに「小当り終了インターバル時間」を設定し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に更新する。上記の「小当り終了インターバル時間」には、V入賞した場合には、V入賞演出の演出時間幅である「V入賞INT時間」が設定され、非V入賞の場合には、エンディング演出の演出時間幅である「エンディング時間」が設定される(図20参照)。なお、残存球排出時間が経過した後は、エラー監視時間(40000ms)が監視され、このエラー監視時間内に全入賞球の排出が確認されない場合は、球噛みによるエラーが発生したとしてエラー処理が実行されることになる。
(9−7−5.小当り終了処理:ステップS616)
小当り終了処理(ステップS616)は、上記小当り終了インターバル時間が経過した後に実行される(特別電動役物動作ステータス=「終了処理中(04H)」)。ここでは、小当り終了時の各種設定処理として、小当り中フラグをOFF状態(00H)にし、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に更新する。またここでは、V入賞フラグがON(5AH)であるか否かをチェックし、ON状態である場合には、V当りが発生したとして、条件装置作動フラグをON状態(5AH)にする(V入賞時設定処理)。これにより、条件装置が作動状態となり、小当り遊技が終了した後は、図13中のステップS502の判定結果がYESとなり、大当り遊技に関する制御処理(ステップS505〜S509)にて、小当り種別に対応した「V当り遊技」が実行されることになる。
一方、V入賞フラグがOFF状態である場合、つまり「V入賞」しなかった場合は、時短回数監視処理を行う。この時短回数監視処理では、当選時の遊技状態をチェックし、当選時の遊技状態が時短状態であった場合は、時短回数監視カウンタを1減算し(特電回数カウンタ−1)、その減算の結果がゼロであれば、時短状態が終了したとして通常状態に移行させ、ゼロでなければ時短状態を継続させる。また当選時の遊技状態が通常状態であった場合には、そのまま内部遊技状態を変更することなく、元の通常状態に移行させる。この小当り終了処理の終了を以って、小当り遊技に関する一連の制御処理が終了される。
<11.演出制御側の処理:図15>
次に、図15を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図15)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図示せず)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
(11−1.演出制御側メイン処理:図15)
図15は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図15に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410(サブCPU)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、不図示の演出制御側タイマ割込処理中の所定の処理(メインループ更新処理)でカウントされる。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新している(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、演出制御部410側による演出抽選等に利用される。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドなどが含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に設定する。液晶コマンドは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において表示制御部(液晶制御基板460の液晶制御CPU)に対して送信され(液晶コマンド送信処理)、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成されたLEDデータは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において、当該LEDデータに基づく制御信号が光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDに対して出力され(演出LED管理処理)、これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ61の制御データを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成されたLEDデータは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において、当該データに基づく制御信号が役物モータに対して出力される。これにより、演出シナリオに沿った可動体演出が実現される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
以上に説明した各実施形態では、パチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。また、遊技機に利用される遊技媒体も特に制限はなく、遊技球や遊技メダルの他、電磁気的記録による遊技媒体を利用可能な遊技機(たとえば、所謂「封入式遊技機」)であってもよい。