以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、弾球遊技機(パチンコ遊技機)を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1~図4>
〔第1の実施形態〕
図1~図4を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面側の外観斜視図であり、図2~4は遊技盤の正面側の概略構成図である。
図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図5参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が設けられている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能な操作手段として、所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)に応じて演出に変化をもたらすための演出ボタン13が設けられている。演出ボタン13は、特定の予告演出(たとえば、いわゆる「遊技者参加型演出」など)における所定の操作受付有効期間中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことができるようになっている。また、演出ボタン13には、その内部に内蔵ランプ(ボタンLED13b)が設けられており、ボタンLED13bの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(たとえば、所定色で点灯または点滅中)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図5参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏する装飾ランプ45(演出用LED)が複数設けられている。
(1-1.遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。本実施形態に係る遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する外内2本のガイドレール5a、5bからなる球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着され、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。この非遊技領域において、化粧板33の前面には左部コーナー飾り体33a、右部コーナー飾り体33bが配置されている。
この遊技領域3aの略中央部には、画像による演出表示が可能な液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄)の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48(流路振分手段)が設けられている。このセンター飾り体48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長によって、このセンター飾り体48の上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。またセンター飾り体48には、その適所に、光演出効果を奏する盤面装飾LED33c(演出用LED)が複数設けられている。
また遊技盤3の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、当り遊技中や図柄変動表示ゲーム中などにおいて所定の動作態様で動作可能に構成され、視覚的演出効果を奏する1または複数種類の可動体役物(図示せず)が配設されている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を左始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、右始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)に対応させて、横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1の特別図柄表示手段)と、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動表示および停止表示)による‘特別図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。なお、特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する。
また各種機能表示部には、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
また各種機能表示部には、普通図柄表示装置39aに隣接して複数個(この実施形態では、3個)のLEDを配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、3個のLEDの点灯色(赤色、青色)および消灯状態の組合せにより、大当りやV当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り体48の左側の左流下経路3bには、左始動口34(第1の特別図柄始動口)が設けられ、その内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a(左始動口センサ34a:図5参照)が形成されている。またセンター飾り体48の右側の右流下経路3cには、その下流部に、右始動口35(第2の特別図柄始動口)を備える普通変動入賞装置41が設けられ、その内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ35a(右始動口センサ35a:図5参照)が形成されている。
左始動口34は、特別図柄表示装置38aにおける第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口を開放または拡大可能にする‘始動口開閉手段’を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態の場合、遊技領域3a内の落下方向変換部材(遊技くぎ、風車44、センター飾り体48など)の作用により、左始動口34には、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易(可能)な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態の普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段として、ベロ式の開閉蓋47を備え、開閉蓋47が前方に突出動作を行うことで、右始動口35を開放または拡大可能となっている。開閉蓋47は、普通図柄変動表示ゲームに当選した場合に、所定回数、所定時間突出する。
普通変動入賞装置41の右始動口35は、特別図柄表示装置38bにおける第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この右始動口35の入賞領域は、開閉蓋47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態:図3(b)参照)と、その開状態よりも入賞困難または入賞不可能にする閉状態(入賞困難状態:図3(a)参照)とに変換される。本実施形態では、開閉蓋47が非作動の場合、右始動口35への入賞を不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また、普通変動入賞装置41(右始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置(可変入賞手段))が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図5参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(普通図柄始動口:第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図5参照)が形成されている。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41にかけての経路途中には、パチンコ遊技機1の奥行き方向を軸方向として回転可能に構成された片羽状部材52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置(可変入賞手段))が設けられており、その内部には、右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(SW1)や遊動領域59などが形成されている。
また遊技領域3aの下方には、一般入賞口43が適数個設けられており、それぞれの内部には遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図5参照)が形成されている。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、左始動口34は3個、右始動口35は1個、下大入賞口40は15個、右大入賞口50は15個、一般入賞口43は5個が払い出される。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入球すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出された場合に限らず、入賞口に遊技球が入球または通過した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
(1-2.大入賞口内遊動領域:図3、図4)
図2に示すように、右大入賞口50内には、遊技球を遊動領域59へと導く誘導路56が開口されており、片羽状部材52bにより開閉される。片羽状部材52bは、右大入賞口50を塞ぐ「閉鎖位置」(図2及び図3(a)参照)と、右大入賞口50を開放する「開放位置」(図3(b)参照)とに切り替え制御される。片羽状部材52bは、通常は「閉鎖位置」にあるが、ソレノイドにより駆動されて「開放位置」に回動変位すると、片羽状部材52bにより遊技球が右大入賞口50に入球して誘導路56に案内され、センサSW1により検出される。
誘導路56はその下流の第1分岐点で2つの遊技球ルートに分岐される。1つは、入球した遊技球を、回転式の第1V抽選役物60(第1回転体役物61、第1ハズレ領域62(第1非特定領域)、第1V領域63(第1特定領域))へと導く第1誘導路56aであり、回転体役物61により、第1V領域63を遊技球が通過する「V入賞(第1V入賞)」の可否を動的に判定する「回転体ルート」(Vチャンスルート1)を形成する。この「回転体ルート」は、回転体役物61に遊技球を通過させることによりV入賞の可否を、時間をかけて判定する、という意味で、「低速ルート」とも称される。すなわち、「回転体ルート」は、遊技者の関心を遊技球の動きに注目させ、時間をかけて役物抽選を楽しませる、といった遊技ルートとして作用する。
他の1つは、入球した遊技球を、固定式の第2V抽選役物64(固定の第2ハズレ領域72(第2非特定領域)、第2V領域73(第2特定領域))へと導く第2誘導路56bであり、固定の第2ハズレ領域72と第2V領域73のいずれを遊技球が通過するか、というだけで、V入賞の可否を回転体役物によらずに静的に判定する「非回転体ルート」(Vチャンスルート2)を形成する。この「非回転体ルート」は、第2V領域73を遊技球が通過する「V入賞(第2V入賞)」の可否を、時間をかけずに判定する、という意味で「高速ルート」(Vチャンスルート2)とも称される。すなわち、「高速ルート(非回転体ルート)」は、時間をかけずに役物抽選を終わらせ、以って連荘スピードの時間効率を高める、といった遊技ルートとして作用する。したがって、「回転体ルート(低速ルート)」よりも「高速ルート(非回転体ルート)」の方が、V入賞の可否が決定されるまでに要する平均的な抽選時間が短時間とされる。以下では説明の便宜のために、非回転体ルートを主に「高速ルート」と称する。
誘導路56の上記第1分岐点には、回転体ルート(Vチャンスルート1)と高速ルート(非回転体ルート:Vチャンスルート2)とを所定の時間間隔パターンで交互に切り替える動作を所定時間長さだけ行う突没式の高低振分部材57が設けられ、この高低振分部材57によって、入賞球は第1誘導路56aと第2誘導路56bのいずれかに振り分けられる。本実施形態の場合、小当り種別に応じて、第1誘導路56a(回転体ルート)か、第2誘導路56b(高速ルート)のいずれかに振り分けられるようになっている。具体的には、小当り1、2に当選した場合には第1誘導路56a(回転体ルート)側に、小当り3、4に当選した場合には第1誘導路56a(回転体ルート)側に、第2誘導路56b(高速ルート)側に振り分けられるようになっている。なお、小当り1~4に関する詳細は後述する。
この実施形態の場合、高低振分部材57(第1振分板)は、誘導路56内に挿抜可能に設けられており、主制御部20が司る高低振分部材用ソレノイドSOL1(図4参照)により駆動される。高低振分部材57が挿入位置(突出位置)にある場合(図3(b)参照)は、第2誘導路56bが閉じられて、遊技球を第1誘導路56aへ導く回転体ルート(Vチャンスルート1)が形成される。また、高低振分部材57が抜出位置(後退位置)にある場合(図3(a)参照)は、第1誘導路56aが閉じられて第2誘導路56bが開かれ、高速ルート(Vチャンスルート2)が形成される。この位置関係が正しく保たれていることを確認可能にするため、高低振分部材57の現在の切り替え位置が高低振分部材位置センサSW11(図4参照)により検出され、その切替位置検出信号が演出制御部24に入力される。
(回転体ルート(低速ルート)について)
まず、回転体ルート(Vチャンスルート1)について説明する。第1誘導通路56aに入った遊技球はセンサSW7により検出され、特定の演出(たとえば、役物抽選中を報知する役物抽選中演出)の発生に利用される。第1誘導通路56aは、第1誘導上流通路66と、第1誘導下流通路56cと、貯留部58とを備える。
貯留部58は、第1誘導上流通路66と第1誘導下流通路56cとの間を遊技盤奥行き方向に接続する流路部分として設けられ(図4参照)、その遊技盤奥行き方向の前方には、貯留部材58aが貯留部材用ソレノイドSOL3により昇降可能に配置されている。この貯留部材58aが上昇位置にある場合、貯留部58において遊技球の流下を阻止して貯留部58に遊技球を1個だけ保留させる閉鎖位置(図3(a)参照)となり、また下降位置にある場合は、貯留部58からの遊技球の流下を許容する開放位置(図3(b)参照)となる。貯留部材58aが閉鎖位置にある状態では、第1誘導上流通路66を誘導された遊技球が1個または複数個、貯留部58に貯留される。この貯留部材58aの昇降位置は、貯留板位置センサSW13(図4参照)により位置が検出され、演出制御部24に入力される。本実施形態の場合、第1V抽選役物60における遊技球の遊動状態を遊技者に注視させるべく、貯留部58に遊技球が1個だけ貯留される構成を採用している。
貯留部58に遊技球が既に1球貯留されている場合、それ以降に第1誘導上流通路66に誘導された遊技球は、貯留部58に貯留されずに、貯留部58の後側に設けた排出口58b(ハズレとなる非特定領域:図4参照)に案内される。これにより、第1誘導下流通路56c(第3誘導路)に2個以上の遊技球が送られることはない。排出口58bに送られた遊技球は、この排出口58bを含む第4誘導路56dより右第入賞口50内から排出され、排出口センサSW4により検出される。なお貯留部58は、遊技球が静止しているか動いているかにかかわらず、遊技球を所定位置または所定領域にとどめておく停留または貯留機能を持つものであればよい。
第1誘導通路56aの下端、つまり第1誘導下流通路56cの最下流部分には、クルーン67が配置されている。第1誘導下流通路56cを流下した遊技球は、クルーン67に送られて、クルーン67に形成された開口67aから下方に落下する。
クルーン67の開口67aの下方には、第1V抽選役物60を構成する回転体役物61が配置されている。回転体役物61は、中央に内回転体61aを備え、その周囲を環状に外回転体61bで取り囲んだ構造を有し、内回転体61aと外回転体61bはそれぞれ独立にモータM1、M2(図5参照)により回転される。この回転体役物61の回転位置は回転体位置センサ(エンコーダ)により検出され、その位置検出信号が主制御部20に入力されている。
外回転体61bには、4個の第1ハズレ領域62と、4個の第1V領域63とが設けられている。クルーン67から回転体役物61に落下した遊技球は、所定の確率で、第6誘導路56fの第1ハズレ領域62または第5誘導路56eの第1V領域63を通過する(図5参照)。第1ハズレ領域62を通過した遊技球は、第6誘導路56fに設けた第1ハズレ領域センサSW3により検出され、第1V領域63を通過した遊技球は、第5誘導路56eに設けた第1V領域センサSW2により検出される。本実施形態の場合、2/3の割合で第1ハズレ領域62を通過してハズレとなり、1/3の割合で第1V領域63を通過してV入賞となる(第1V入賞率1/3)。
(高速ルート(非回転体ルート)について)
次に、高速ルート(非回転体ルート:Vチャンスルート2)について説明する。第2誘導通路56bの下流には第7誘導路56gと第8誘導路56hとが分岐されて設けられている(図4参照)。このうち第7誘導路56gの途中には第2V領域73が設けられ、第8誘導路56hの途中には第2ハズレ領域72が設けられている。第2ハズレ領域72と第2V領域73は横並びに設けられており、その第2V領域73の上方には、第7誘導路56gを閉鎖して第8誘導路56hを開放可能に、突没式のVOUT振分け部材65(第2振分板)が設けられている。VOUT振分け部材65は、VOUT振分け部材位置スイッチSW12により位置が検出される。このVOUT振分け部材位置スイッチSW12は、主制御部20に接続されている。
この実施形態の場合、VOUT振分け部材65は、第2誘導通路56b内に挿抜可能に設けられており、主制御部20が司るVOUT振分け部材用ソレノイドSOL2(図4参照)により駆動される。VOUT振分け部材65が挿入位置(突出位置)にある場合(図3(b)参照)は、VOUT振分け部材65により第2V領域73が閉じられて第2ハズレ領域72が開かれ、遊技球が第2ハズレ領域72を通過する。第2ハズレ領域72を通過した遊技球は、第2ハズレ領域センサSW6により検出される。また、VOUT振分け部材65が抜出位置(後退位置)にある場合(図3(a)参照)は、第2ハズレ領域72が閉じられて第2V領域73が開かれ、遊技球が第2V領域73を通過する。第2V領域73を通過した遊技球は、第2V領域センサSW5により検出され、V入賞信号として主制御部20に入力される。本実施形態の場合、遊技球は、高低振分部材57の開放期間中における、片羽状部材52bの開放タイミングおよび開放時間と、VOUT振分け部材65の動作パターンとで振分け制御されて第2V領域73に行くか否かが定まり、全体としてV入賞する確率(第2V入賞率)は約1/9となるように設定されている。
(1-3.特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置42、52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、左始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合は、普通変動入賞装置41の開閉蓋47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
左始動口34は、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能(本実施形態の場合は入賞不可能)となっている。一方、右始動口35は、左流下経路3bからの遊技球については、入賞が困難または不可能(本実施形態の場合は入賞不可能)となっている。また右始動口35については、普通変動入賞装置41の開閉蓋47が開いた状態(始動口開状態)であれば、右流下経路3cからの遊技球の入賞可能となっており、この開閉蓋47は、後述の時短状態下になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。また、右大入賞口50と下大入賞口40とについては、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品などの配置は、左流下経路3bあるいは右流下経路3cを流下して来た遊技球について、これを左始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを左始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
したがって本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、現在の遊技状態が通常状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の時短状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。
本実施形態の場合、上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bには、左始動口34および一般入賞口43などの入賞手段が属し、右流下経路3cには、右始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50および下大入賞口40などの入賞手段が属する。なお各入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、あるいは双方の流下経路に属するものとするかについては、本発明の効果を奏するものであれば、その変更は自由である。
<2.制御装置:図5>
次に図5を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図5は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下、「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下、「演出制御部24」と称する)と、遊技球払出装置19による賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図5において電源供給ルートは省略してある。
(2-1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納したROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込みなどの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常を検知してシステムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(主制御基板)20と払出制御基板29とは、電源基板から受ける電圧降下信号を受けることによって、電源遮断に先立ち、必要なバックアップ処理の実行を開始し、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、各RAMの記憶内容を保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、左始動口34への入賞を検出する左始動口センサ34a、右始動口35への入賞を検出する右始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42a、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52a(SW1)、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43a、遊動領域59内の各種センサ(センサSW2~SW6)、パチンコ遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(振動センサ、磁気センサなど:不図示)、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機1から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出するOUT監視スイッチ(不図示)などが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、右始動口35の開閉蓋47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41c、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための下大入賞口ソレノイド42c、右大入賞口50の片羽状部材52bを開閉制御するための右大入賞口ソレノイド52c、遊動領域59内の各ソレノイド(ソレノイドSOL1~SOL3)、V抽選役物60のモータM1、M2が接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部端子基板21を介して、所定の遊技情報を含む信号(外端信号)遊技機の外部に出力可能となっている。この枠用外部端子基板21は、遊技機外部に設けられた、いわゆる「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に接続可能に構成となっており、枠用外部端子基板21から出力された外端信号は、いわゆる「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に送られる。主制御部20は、上記外端信号として、たとえば、当り遊技開始情報、始動口への入賞情報(特別図柄の変動開始情報)、賞球数情報、セキュリティ情報(たとえば、振動センサエラー、電波センサエラー、磁気センサエラー、RAMクリア、設定変更などの発生情報)などを含む1または複数の外端信号を出力可能となっている。なお、データカウンタDTとは、遊技機に関する特定の遊技情報(たとえば、大当り回数、特別図柄の変動開始・停止情報、入賞情報など)を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、ホールコンピュータHCとは、枠用外部端子基板21から出力される外端信号に基づき、遊技機の遊技情報を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する遊技店専用の管理コンピュータである。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対して、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
この払出制御基板29には、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19が接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信である。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bが設けられており、払出制御基板29は、これらセンサからの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29には、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態(上受け皿9の満杯状態)を検出する満杯検出センサ60と、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する扉開放センサ61が接続されている。本実施形態に係る扉開放センサ61は、扉開放検出手段として機能し、たとえば、前枠2が外枠4に対して前側に開放したときにON(開放状態検出)、閉鎖したときにOFF(閉鎖状態検出)となるように構成されている。
また払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bなどからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、上記状態信号として、満杯状態を示す「球詰り信号」、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す「扉開放信号」、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す「補給切れ信号」、賞球の払出不足や賞球数に異常が発生したこと示す「計数エラー信号」、払い出し動作が完了したことを示す「払出完了信号」などの様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7の開放状態であるか否か(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態であるか否か(球詰りエラー)などを監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、払出制御基板29は、発射制御基板28に対して、遊技球の発射動作を制御する発射制御信号を送信可能となっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による発射動作を実現している。
また主制御部20は、段階的に出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率、またはベース値)に変化をもたらす「設定値」を変更可能な設定変更機能を備えている。上記「設定値」とは、主として、大当りの抽選確率を段階別(たとえば、設定1~6の6段階)に規定するもので、設定値が高くなるほど大当りに当選し易くなる、つまり、設定値が高くなるほど、機械割が高くなり(設定値1が最低の機械割、設定値6が最高の機械割)、遊技者に有利に作用するようになっている。なお上記設定値は、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき決定される。
また主制御部20には、上記設定値を表示するための設定表示器97が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下、「性能情報」と称する)を表示する性能表示器99が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態では、性能情報として、通常遊技状態(通常状態)中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の総アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値。以下、「通常時ベース値」と称する)を採用し、これを性能表示器99により所定態様にて表示する。なお、表示値については、小数点第1位を四捨五入した値が表示される。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報や、エラー情報などの各種遊技処理情報を、演出制御コマンドにより、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、外部からのゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(2-2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、時間・日付情報を提供するRTC機能部(Real Time Clock)、演出抽選乱数用のカウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。
演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、演出手段である液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、各種の演出用LED(装飾ランプ45、盤面装飾LED33c、ボタンLED13b、その他の演出用LED)の発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物を動作させるための可動体役物モータに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御部24は、これら制御部に対し、演出手段に係る制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aが接続され、演出制御部24は、演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。また演出制御部24には、高低振分部材位置センサSW11と貯留板位置センサSW13とが接続され、その検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドを受信した場合、そのコマンドに含まれる情報に基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、演出用LEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(たとえば、装飾図柄変動表示動作や予告演出)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
<3.動作の概説>
次に図5の制御装置を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3-1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が左始動口34または右始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、左始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、右始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、左始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、右始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、左始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、右始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、特別図柄表示装置の7セグが、大当りであれば「7」、小当りであれば「7.(ドット付き‘7’)」で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて3個の装飾図柄が、大当りであれば「7」「7」「7」、小当りであれば「3」「5」「7」などの表示態様)で停止表示される。
「大当り」または「小当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」または「小当り」の図柄態様が導出表示された後、今回当選となった当りの種別に対応した大当り遊技または小当り遊技が実行される。また、小当り遊技中において右大入賞口50に遊技球が入球し、遊動領域59(球遊動空間)内に形成されたV領域63、73を遊技球が通過した場合(「V入賞」が発生した場合)、「V当り(特別当り)」が発生し、そのV当りに対応した当り遊技(V当り遊技)が実行されるようになっている。なお、大当り遊技、小当り遊技、V当り遊技についての詳細は後述する。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、左始動口34または右始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、左始動口センサ34aまたは右始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当りまたはハズレが1種類の場合は、図柄抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果や、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄に関する情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、リーチ演出や疑似連演出)の発生の有無などを特定可能な情報を含むことができる。詳しくは、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、特定の予告演出として、たとえばリーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’や、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’などが1または複数種類設けられている。なお、通常変動パターンは、ハズレ時のみ選択される。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(この実施形態のでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を現出制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。以下では、本明細書中では説明の便宜のために、特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と略称する場合がある。
(3-1-2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(補助当り図柄)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図5参照)が作動し、これにより開閉蓋47が手前側(遊技者側)に傾倒して右始動口35が開放または拡大されるとともに、開閉蓋47が右始動口35への案内部材として作用して、遊技球が右始動口35に流入し易い‘始動口開状態’となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の開閉蓋47により、右始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、36ms(通常状態時)または1440ms(時短状態時))経過するまでか、または右始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(最大入賞数:たとえば、3個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に右始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)行われるようになっている。
(3-1-3.作動保留球)
ここで、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、左始動口34または右始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち左始動口センサ34aまたは右始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶することができる。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示領域を表示させる。
特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球は、それぞれに定められた最大保留記憶数までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留することができる。なお、作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数は適宜定めることができる。本実施形態では、特別図柄1側の最大保留記憶数は4個、特別図柄2側の最大保留記憶数は0個(保留記憶しない)、普通図柄側の最大保留記憶数を4個となっている。
(3-2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。開放延長機能は、普通変動入賞装置41の開閉蓋47の開動作期間(開閉蓋47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、開閉蓋47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば、36msから1440msに延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間当りの開閉蓋47の作動率が向上する作動率向上状態となる。ただし本実施形態の場合、開閉蓋47の開閉回数は開放延長機能の作動によらず最大1回となっている。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄時短機能も作用するため、開閉蓋47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄時短機能および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「時短状態」と称し、全機能が作動しない(非作動)状態を「通常状態」と称する。また大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれる。
また上記電チューサポート状態下(以下、「電サポ有り状態」と称する)では、普通変動入賞装置41の開閉蓋47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して右始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(以下「電サポ無し状態」と称する)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」の場合には‘電サポ無し状態’となり、遊技状態が「時短状態」である場合には‘電サポ有り状態’となる。なお、電チューサポート状態の有無の決定に関する各機能(特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」とも称する。
<4.当りについて>
次に、図6を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機の当り種別(当選種別)について説明する。本実施形態における当りには、大別して、特図1または特図2に係る大当り抽選の抽選対象となる当り(1種当り)と、大当り抽選により小当りに当選した後、その小当り遊技中にV入賞することによる特別当り(2種当り:V当り)とがある。
(4-1.1種当りの種別:図6(イ))
図6(イ)特図1、特図2側のそれぞれについて、抽選対象となる大当り種別と、その大当り遊技終了後の移行先遊技状態との関係を示した図である。また図6(ロ)(ハ)は、特図1、特図2側のそれぞれについて、抽選対象となる小当り種別と、その小当り遊技中においてV入賞、非V入賞(役物抽選によるハズレ)したときのV当り遊技終了後の移行先遊技状態との関係を示した図である。
(4-1-1.大当り種別と小当り種別)
本実施形態の当り種別には、図示のように、「大当り」には大当り1~4が設けられており、「小当り」には小当り1~4が設けられている。これら当りのうち、大当り1~4は、条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、小当り1~4は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りとして定められている。これらの当りのうち、「大当り」とは条件装置の作動契機となる当りであり、「小当り」とは条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置(特別電動役物を連続作動させる装置)の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。したがって、小当りの場合は、ラウンド遊技自体は実行されず、大当りによるラウンド遊技と同一または酷似する動作態様、あるいは、大当りによるラウンド遊技とは全く異なる動作態様で大入賞口の開閉動作が制御されるが(疑似的なラウンド遊技)、小当りも大当りと同様に、大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態への移行契機(当り遊技の発生契機)となる当選種別であり、この点で、小当りは単なる「ハズレ」とは性質を異にする。
(4-1-2.当り遊技について:図6)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。まず、大当りによる大当り遊技について説明する。
(大当り遊技:図6(イ))
「大当り」となった場合、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図5参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な「大当り遊技(第1の特別遊技状態)」が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、30秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件(ラウンド遊技終了条件)を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大10ラウンド)繰り返される(後述のV当り時に実行されるラウンド遊技についても同様)。本実施形態の場合、大当り種別に応じて規定ラウンド数が異なり、大当り1、2は7ラウンド(7R)、大当り3、4は、大当り1、2によりも出玉の多い10ラウンド(10R)となっている。
上記ラウンド遊技が開始されて大入賞口が開放された後、上記ラウンド遊技終了条件を満たした場合には大入賞口が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了する。このとき、規定ラウンド数に達していなければ、所定のインターバル時間(以下、インターバル時間を「INT」と略す)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。このラウンド遊技間におけるインターバル時間(ラウンド間INT)は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間(開放前INT)」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指す。また「開放前インターバル時間(開放前INT)」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでのインターバル区間を定めた時間幅を指す。開放前INTは、不正入賞監視期間として設けられており、開放前INT中に入賞を検出してもその入賞は不正入賞として無効なものとして扱われる。本実施形態では、大入賞口の開閉期間とラウンド間INTとを含む期間を1ラウンド遊技の期間として扱う。勿論、開放前INTを設けず「ラウンド間INT=残存球排出時間」としてもよい。
本実施形態では、上記大当り遊技が開始すると、大当り開始インターバル時間(大当り開始INT)を利用して、大当り遊技開始を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後(大当り開始INTが経過した後)、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数が終了すると、大当り終了インターバル時間(大当り終了INT)を利用してエンディング演出が行われ、これにより、大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出期間、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技実行期間、およびエンディング演出期間の各遊技期間から構成される。なお、ラウンド遊技中ではラウンド中演出が現出され、ラウンド遊技間ではラウンド間インターバル演出が現出される(後述のV当り遊技についても同様)。
(小当り遊技、V当り遊技:図6(ロ)(ハ))
次に、小当り遊技とV当り遊技とについて説明する。
(小当り遊技:図(ロ))
「小当り」となった場合、特別変動入賞装置52が備える右大入賞口ソレノイド52cが作動して片羽状部材52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な小当り遊技(第2の特別遊技状態)が発生する。この小当り遊技では、右大入賞口50の開放時間が所定時間経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大される。
上記「小当り遊技」は、図6(ロ)に示すように、小当り1~小当り4のそれぞれに対応した小当り遊技が実行されるようになっている。これら小当り1~小当り4による小当り遊技は、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし、片羽状部材52bにより右大入賞口50を所定のパターンで開閉動作させることにより、疑似的なラウンド遊技(開閉動作遊技)を表現し、見た目上、ラウンド遊技が実行されているかのように装うこができる。本実施形態では、小当り種別に応じて開閉動作遊技態様が異なり、小当り1、2の場合には右大入賞口50の開放回数1回およびその最大開放時間1.8秒とする開閉動作遊技が実行され、小当り3、4の場合には右大入賞口50の開放回数1回およびその最大開放時間を1.2秒とする開閉動作遊技が実行されるようになっている(後述の図9A、図9B、図10A、図10B参照)。
上記小当り遊技が開始すると、開閉動作遊技開始前のインターバル時間(作動前インターバル時間:以下「小当り開始INT」と称する)を利用して、小当り遊技開始を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後(小当り開始INTが経過した後)、特別変動入賞装置52の片羽状部材52bが所定の動作パターンで動作して、右大入賞口50を開閉させる「開閉動作遊技」が実行される(後述の図9A~図9B、図36参照)。この「開閉動作遊技」中に、右大入賞口50に遊技球が入球すると、その遊技球(入賞球)は、球遊動空間内(遊動領域59)を遊動して、最終的に、V領域またはハズレ領域を通過して、遊技機1の外部に排出される。本実施形態では、既に説明したように、小当り1、2に当選した場合には第1誘導路56a(回転体ルート)側に、小当り3、4に当選した場合には第1誘導路56a(回転体ルート)側に、第2誘導路56b(高速ルート)側に振り分けられるようになっている。本実施形態に係る上記小当り開始INTは、回転体ルートに誘導される小当り1、2に当選した場合は、たとえば、10秒が設定され、高速ルートに誘導される小当り3、4に当選した場合は、たとえば、0.2秒が設定される。なお、高速ルートに誘導される小当り3、4に当選した場合、小当り開始INTを設けずに、直ちに開閉動作遊技を開始して、右大入賞口50を即時開放してもよい。
(V入賞した場合:図6(ハ))
遊技球が右大入賞口50に入球し、遊動領域59内のV領域63、73を遊技球が通過した場合、「V入賞」となり、このV入賞を契機に「V当り(2種当り)」が発生する。V入賞した場合、条件装置が作動(ON)になり、一連の小当り遊技が終了後、ラウンド遊技を伴うV当り遊技が開始されるようになっている。
V入賞時の小当り遊技の終了タイミングについては、開閉動作遊技終了後の残存球排出時間(たとえば、1500ms)が経過した後、全入賞球の排出(右大入賞口50内残存球の全排出)が確認された場合に終了される。したがって本実施形態では、(A)開閉動作遊技終了後の残存球排出時間が経過するまでに全入賞球の排出が確認された場合には、当該残存球排出時間の経過後に終了されるが、(B)上記残存球排出時間経過しても全入賞球の排出が確認されなかった場合には、全入賞球の排出確認後に終了されるようになっている(後述の図9A、図9B参照)。
上記V当り遊技が開始すると、V入賞開始インターバル時間(V入賞INT(V入賞時演出時間))が設定され、その間に、V当りが発生した旨を報知する「V入賞時演出」が現出される(後述の図36(B)参照)。この「V入賞時演出」は、V当り遊技開始時のオープニング演出として働く。
上記のV入賞INTが経過すると、特別変動入賞装置52の片羽状部材52bが所定の動作パターンで動作して、右大入賞口50を開閉させるラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数が終了すると、V当り終了インターバル時間(V当り終了INT)を利用してエンディング演出が行われ、これにより、V当り遊技が終了する。すなわち、V当り遊技は、上述した大当り遊技と同様に、オープニング演出期間、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技実行期間、およびエンディング演出期間の各遊技期間から構成される。
V当り遊技中において、右大入賞口50に入賞した遊技球は、第1誘導路56a側の回転体ルートに案内されずに、第2誘導路56b側の高速ルートに案内されるようになっている。その理由は、次の通りである。回転体ルートに遊技球が案内されてしまうと、第1V抽選役物60などに遊技球が滞留して、1回のラウンド遊技の消化時間が無闇に遅延したり間延びしたりして、遊技者に不快感を与えてしまう恐れがある。そこで本実施形態では、V当り遊技中の入賞球を高速ルート側に誘導して、1回のラウンド遊技がテンポよく消化されるようになっている。なお、右大入賞口50に入賞した遊技球は、第8誘導路56h側に案内され、第2ハズレ領域72を通過して右大入賞口50内から排出されるようになっている。
このように、小当り遊技中にV入賞が発生すると、小当り遊技終了後にV当り遊技が開始される。このV当り遊技は図6(イ)(ロ)に示すように、当選した小当り種別(小当り1~4)に応じて異なるV当り遊技(V当り1~4)が実行されるようになっている。
(非V入賞(Vハズレ)の場合)
一方、遊技球が右大入賞口50に入球したが、V領域63、73を通過しなかった場合、つまり、遊技球が排出口58bから排出され、または遊技球がハズレ領域62、72を通過して「非V入賞(Vハズレ)」となった場合は、V当り遊技が実行されることなく、一連の小当り遊技が終了される。なお、非V入賞時の小当り遊技の終了タイミングについては、開閉動作遊技終了後の残存球排出時間(たとえば、1500ms)が経過し、全入賞球の排出(右大入賞口50内残存球の全排出)が確認された後、所定の終了インターバル時間(小当り終了INT)を介して終了される。したがって本実施形態では、(C)開閉動作遊技終了後の残存球排出時間が経過するまでに全入賞球の排出が確認された場合には、当該残存球排出時間が経過し、かつ上記小当り終了INT経過した後に終了されるが、(D)上記残存球排出時間経過しても全入賞球の排出が確認されなかった場合には、全入賞球の排出が確認され、かつ上記小当り終了INT経過した後に終了されるようになっている(後述の図9A、図9B参照)。
(3-2.当り遊技終了後の遊技状態について:図6)
次に図6を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態(移行先遊技状態)について説明する。
まず、大当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。図6(イ)を参照して、大当りした場合の大当り遊技終了後は、図6(イ)に示すように、大当り種別と大当り当選時の遊技状態とに応じて、「時短状態」または「通常状態」のいずれかに移行されるようになっている。具体的には、「大当り1、大当り3」の場合には、その当選時の遊技状態によらず「時短状態(時短回数100回)」に移行され、「大当り2、大当り4」の場合には、その当選時の遊技状態によらず、「通常状態」に移行されるようになっている。つまり、大当り1~4のうち、大当り1と大当り3は、大当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので、「時短大当り」に属するものとして区分される。また、大当り2と大当り4は、大当り遊技終了後の遊技状態が「通常状態」に移行するもので、「非時短大当り(通常大当り)」に属するものとして区分される。
次に図6(ロ)(ハ)を参照して、小当り遊技後の移行先遊技状態について説明する。小当り遊技中にV入賞しなかった場合には、遊技状態の移行は生じず(内部遊技状態に関する移行制御処理は行わない)、小当り当選時の遊技状態がそのまま継続されるようになっている(図6(ロ)の移行先遊技状態の「非V入賞時」の欄参照)。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
一方、小当り遊技中にV入賞した場合、小当り種別と小当り当選時の遊技状態とに応じて、「時短状態」または「通常状態」のいずれかに移行されるようになっている。具体的には、「小当り1、小当り3」の場合には、その当選時の遊技状態によらず「時短状態(時短回数100回)」に移行され、「小当り2、小当り4」の場合には、その当選時の遊技状態によらず、「通常状態」に移行されるようになっている(図6(ロ)の移行先遊技状態の「V入賞時」の欄、図6(ハ)の移行先遊技状態の欄参照)。つまり、小当り1、小当り3は、V当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので、「時短小当り」に属するものとして区分される。また、小当り2、小当り4は、V当り遊技終了後の遊技状態が「通常状態」に移行するもので、「非時短小当り(通常小当り)」に属するものとして区分される。
(時短回数について)
時短状態は、時短機能および開放延長機能が付加された遊技状態である。この時短状態の継続を管理する情報として「時短回数」が使用される。この時短回数を指定する値は、時短状態に移行する際(時短大当りによる大当り遊技または時短小当りによるV当り遊技の終了時)に、時短回数を監視する「時短回数カウンタ」に設定され、残り時短回数は、このカウンタにより監視される。本実施形態の場合、時短回数を指定する値として「100回」が設定される。時短回数カウンタの値は、特別図柄変動表示ゲーム(本実施形態の場合、特図1および特図2の変動回数)が1ゲーム消化されるごとに1減算され、時短回数カウンタの値がゼロになったならば、今回の図柄変動表示ゲームを以って時短状態が終了し、現在の遊技状態が、時短状態から通常状態に移行される。
(4.基本遊技形態:図7)
次に図7を参照して、遊技機1における基本的な遊技形態(遊技性)について説明する。図7に、本実施形態のパチンコ遊技機1の遊技形態の概略を示す遊技フロー図を示す。本実施形態では、主に「当り遊技(特別遊技状態)」「通常状態」「時短状態」下にて遊技が制御される。ここでは、通常状態中は左打ち有利な遊技状態ため、遊技者は、左打ちにより、左始動口34への入賞を狙い、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていくものとし、時短状態中は右打ち有利な遊技状態ため、遊技者は、右打ちにより、右始動口35への入賞を狙い、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていくものとして説明する。
(4-1.通常状態中について)
「通常状態」中(ブロック枠(A))は、左打ち有利のため、左始動口34への入賞を狙い、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていく。通常状態中に大当りに当選した場合(ラインL1)、下大入賞口50が開放される大当り遊技が開始される(ブロック枠(B))。大当り遊技中は、大当り種別に応じた大当り中演出が現出される。大当り遊技が終了した場合、今回の大当りが非時短大当り(ここでは、特図1側の大当り2)であれば、再度、通常状態に移行され(ラインL2)、今回の大当りが時短大当り(ここでは、特図1側の大当り1)であれば、時短状態に移行される(ラインL3、ブロック枠(C))。
また、通常状態中に小当りに当選した場合(ラインL4)、右大入賞口52が開放される小当り遊技が開始される。ここでは、特図1側の小当りに当選したケースについて説明しているので、小当り1または小当り2に係る小当り遊技(第1スモールボーナス)が実行される(ブロック枠(D))。
この小当り遊技中(第1スモールボーナス中)において右大入賞口52に遊技球が入賞すると、その遊技球は高低振分部材57(高低振分部材用ソレノイドSOL1)により第1誘導路56a側の「回転体ルート」に案内されて、第1V抽選役物60による役物抽選が実行される(図6(ロ)参照)。このとき、遊技球が第1ハズレ領域62を通過した場合には、非V入賞(ハズレ)となり、再度、通常状態に移行される(ラインL8)。一方、遊技球が第1V領域62を通過した場合には、V入賞が発生し(ラインL5)、V当り遊技が開始される(ブロック枠(E))。また、小当り遊技中は、今回当選した小当り種別に応じた小当り中演出が現出される。たとえば、右大入賞口50内遊技球が入賞した場合には、センサSW1検出契機に「回転体ルート突入演出(入賞演出)」が現出されたり、センサSW7検出契機に「役物抽選中演出」(たとえば、後述の図36(A)参照)が現出される。また、V入賞した場合には、V当り遊技種別に応じた「V当り中演出」(たとえば、後述の図36(B)~(D)参照)がV当り遊技中にわたり現出される。
そして、V当り遊技が終了した場合、今回当選した小当りが非時短小当り(ここでは、特図1側の小当り2)であれば、再度、通常状態に移行され(ラインL7:非時短V当り)、今回の小当りが時短小当り(ここでは、特図1側の小当り1)であれば、時短状態に移行される(ラインL6:時短V当り)。
(4-2.時短状態中について)
「時短状態」中(ブロック枠(C))は、右打ち有利のため、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていく(右始動口35への入賞を狙う)。時短状態中に大当りに当選した場合(ラインL9)、通常状態と同じように、大当り遊技が開始され(ブロック枠(B))、今回の大当りが非時短大当り(ここでは、特図2側の大当り4)であれば、通常状態に移行され(ラインL2)、今回の大当りが時短大当り(ここでは、特図2側の大当り3)であれば、再度、時短状態(ブロック枠(C))に移行される(ラインL3)。
時短状態中も、非時短大当り、時短大当り、非時短小当り、または時短小当り(ここでは、特図2側の大当り4、大当り3、小当り4、または小当り3)に当選した場合は、上述した通常状態のケースと移行先遊技状態は同じであるが(ラインL9、ラインL10)、以下の点が通常状態と異なる。
時短状態中は、通常状態よりも非常に高確率(約1/1.004)で小当りに当選するようになっており、ほぼ毎ゲーム、小当り当選となる。時短状態中に小当りに当選した場合(ラインL10)、右大入賞口52が開放される小当り遊技が開始される。ここでは、特図2側の小当りに当選したケースについて説明しているので、小当り3または小当り4に係る小当り遊技(第2スモールボーナス)が実行される(ブロック枠(F))。
この小当り遊技中において、右大入賞口52に遊技球が入賞すると、その遊技球は高低振分部材57(高低振分部材用ソレノイドSOL1)により第1誘導路56b側の「高速ルート」に案内され、第2V抽選役物64による役物抽選が実行される(図6(ロ)参照)。このとき、遊技球が第2ハズレ領域72を通過した場合には、非V入賞(ハズレ)となり、時短回数がゼロでなければ(残り時短回数>0)、再度、時短状態に移行され(ラインL12)、時短回数がゼロあれば(残り時短回数=0)、時短状態が終了して通常状態に移行される(ラインL13)。一方、遊技球が第2V領域73を通過した場合には、V入賞が発生し(ラインL11)、V当り遊技が開始され(ブロック枠(E))、当選した小当り種別に応じて、時短状態か通常状態に移行されることになる(ラインL6、L7参照)。本例の場合、小当り3(時短小当り)に当選し、かつV入賞(第2V領域73を通過)し続けることにより、V当り遊技の連荘を獲得し、短時間で多くの出玉を増やすことが可能となる。
以上のように本実施形態の遊技形態を纏めると、遊技状態遷移の点については、次のような特徴を持つ。通常状態においては、特図1側の大当り抽選を受け、1/259で大当りに当選させ、かつ50/100の割合で、時短大当りである「大当り1」に当選させて時短状態に移行させるか、または、1/100で小当りに当選させ、かつ50/100の割合で時短小当りである「小当り1」に当選させる。そして、1/3(第1V抽選役物60による抽選)でV入賞による「V当り1」を発生させて、時短状態への移行権利を獲得する。時短状態においては、特図2側の大当り抽選を受け、1/259で大当りに当選させ、かつ50/100の割合で時短大当りである「大当り3」に当選させるか、または1/1.004という超高確率で小当りを発生させ、60/100の割合で時短小当りである「小当り3」に当選させる。そして、1/9(第2V抽選役物64による抽選)で入賞による「V当り3」を発生させることで、時短状態が継続していく。また時短状態に移行する際には、小当り当選確率とV入賞率とを考慮して、時短回数が消化されるまでにV当りになる可能性がほぼ100%、つまり次回V当りがほぼ確定的となる「時短回数100回」という回数に設定する。これにより、時短状態に移行した際には、時短状態の連荘は未確定であるが、次回V当りがほぼ確定状態とされる。したがって遊技者においては、通常状態下(左打ち有利)において特図1側の抽選により時短状態に移行させることをじっくりと楽しむ遊技性と、発生した時短状態(右打ち有利)を特図2側の抽選によりスピーディーに継続させていく遊技性とを楽しむことができる。また時短状態に移行した際には、次回V当りがほぼ確定しているため、遊技者は安心して次回V当りを期待できる一方で、V当りを獲得しても非時短小当り(たとえば、小当り4)の当選可能性があるために、時短状態が終了してしまうかも知れないという緊張感をもってV当りの発生に挑む、という興趣の深い遊技性を作り出すことができる。
また振分役物によるV入賞の発生形態の点ついて、次のような特徴を持つ。第1の特徴として、V入賞に至るルートが1つではなく、役物性能が異なる複数種類のルートが設けられている。詳しくは、次の通りである。
(α)V入賞に至るルートには、「V入賞」の可否を‘動的’に判定する「回転体ルート(第1V入賞判定ルート)」と、「V入賞」の可否を‘静的’に判定する「高速ルート(第2V入賞判定ルート)」と、が含まれる。
(β)「高速ルート」と「回転体ルート」とは、遊技球の遊動経路長や抽選役物などの性能の違いにより、V入賞の可否までに要する時間が大きく異なるようになっている。本実施形態の場合、「回転体ルート」の方が「高速ルート」よりもV入賞の可否までに要する時間が長時間である。
(γ)「高速ルート」と「回転体ルート」とは、V入賞率が異なるようになっている。本実施形態の場合、「回転体ルート」の方が「高速ルート」よりもV入賞率が高い。すなわち、第2誘導路56bに振り分けられた場合にV領域を通過する通過率よりも、第1誘導路56aに振り分けられた場合にV領域を通過する通過率の方が、高い通過率である。
(ε)また第2の特徴として、当選した小当り種別に応じて、振り分け先のルートが定まるようになっている。具体的には、小当り種別と小当り遊技の所定のタイミングを契機に(小当り遊技の開始または開閉動作遊技の開始を契機に)実行される高低振分部材57の動作態様とに基づいて、「回転体ルート(第1誘導路56a)」および「高速ルート(第2誘導路56b)」のいずれのルートに振分けられるのかが定まる。具体的には、第2特定結果(たとえば、小当り3)における小当り遊技よりも、第1特定結果(たとえば、小当り1)における小当り遊技(特定遊技)の方が、遊技球が第1誘導路56a(回転体ルート)に振り分けられる割合が高い。本実施形態の場合、「高速ルート」には、特図1側の小当り1、2の当選時(第1特定結果)には誘導されないまたは誘導困難なルートとなっている。つまり、「高速ルート」は「時短状態で利用されるルートとなっている。また、第1特定結果の場合にV入賞が発生した場合よりも、第2特定結果の場合にV入賞が発生した場合の方が有利度合の高い特典が付与される(図6(ロ)(ハ)参照)。なお本発明はこれに限らず、第1特定結果の場合にV入賞が発生した場合よりも、第2特定結果の場合にV入賞が発生した場合の方が有利度合の高い特典が付与されるように構成してもよい。
本実施形態によれば、「回転体ルート」と「高速ルート」という役物性能が異なる複数ルートの存在により、V入賞に至るまでの遊技球の動きを多彩なものにすることができる。また「回転体ルート」は、「高速ルート」よりも遊技球の遊動時間が長時間となっており、かつV入賞率が高い。このため、「回転体ルート」に誘導された場合には、V入賞の期待度を上昇させるとともに、演出手段による演出と遊動領域内の遊技球の不規則な動きにより、V入賞期待感を時間を掛けてじっくり煽ることができる。
また「高速ルート」は「回転体ルート」よりもV入賞の可否が定まるまでの時間が短い。このため、V入賞とならなかった場合にも次の図柄変動表示ゲームまでの時間が無闇に長引いてしまうことがなく、非V入賞が連続して発生した場合にもゲームをテンポよく進行させることができるため、ゲーム消化スピードが速まる「時短状態」への利用は好適である。
<5.演出について>
(5-1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態に関連する演出をなす複数種類の演出モードが設けられており、遊技状態の移行に対応して、各演出モード間を移行制御可能に構成されている。上記演出モードには、遊技状態が「通常状態」の場合には「通常演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」といった各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、各演出モードのそれぞれにおいて、たとえば、バックグラウンドとしての背景表示が異なるようになっている。
演出制御部24(CPU241)は、所定の移行条件に基づき、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)と、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御および現在の演出状態を管理可能に構成されている。上記特定の演出制御コマンドとは、具体的には、主制御部20側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当し、たとえば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンドなど(たとえば、「大当り開始コマンド」、「大当り終了コマンド」、「小当り開始コマンド」、「小当り終了コマンド」など)、主制御部20側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドがある。
(5-2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、通常演出モードや時短演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば、当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な予告演出を現出制御する機能部(予告演出制御手段)を備える。このような予告演出には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、いわゆる、先読み予告演出や疑似連演出などがあり、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれ、基本的には、図柄変動表示ゲーム中において複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっている。予告演出は、当り種別に当選したか否かの当選期待度を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。
(5-3.演出手段)
なお、演出を現出するための演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮しうる刺激伝達手段であればよく、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<小当り遊技、V当り遊技の具体例:図8~図10B>
次に、図8~図10Bを参照して、本実施形態に係る小当り遊技の動作態様(V入賞時、非V入賞時を含む)について詳細に説明する。図8は従来の小当り遊技の動作態様の説明に供するタイムチャートである。また、図9Aと図9Bは本実施形態における小当り遊技の動作態様の説明に供するタイムチャートであり、図9Aは、‘回転体ルート’に遊技球が誘導されたケース、図9Bは、‘高速ルート’に遊技球が誘導されたケースを例示したものである。また図10Aは図9A、図10Bは図9Bに示す小当り遊技に係る制御処理内容の説明に供する概略説明図である。なお、説明の便宜のために、図8~図10Bにおいて、右大入賞口50に入賞した遊技球は1個として説明する。また、図8~図9Bにおいて、各時間幅の長さは、説明の便宜のために誇張して示してある。
(8.従来例における具体例:図8)
本発明の理解を容易なものとするために、先ず図8を参照して、従来例に係る小当り遊技の動作態様について説明する。この図8では、代表的に、入賞球が「回転体ルート」に誘導されるケースについて説明する。
図8において、特図の変動表示が終了して停止表示して(時刻j1)、所定の確定表示時間(たとえば、500ms)が経過すると(時刻j2)、小当り中フラグがON状態に設定され、小当り遊技が開始される(時刻j2)。
小当り遊技が開始されると、最初に所定の小当り開始INT(時刻j2~時刻j3:この例では、10秒間)が開始され、このインターバル時間を利用して、小当り遊技に係るオープニング演出が現出される。そして、小当り開始INTの経過後に(時刻j3)開閉動作遊技が開始される。本例では、右大入賞口50が所定時間(たとえば、1.8秒間)にわたり開放され、その後、閉鎖されるといった開閉動作遊技が実行される(時刻j3~j4)。この開放期間中に遊技球が右大入賞口50に入賞すると、回転体ルートに誘導され、回転体役物(第1V抽選役物60)による役物抽選が行われる。
上記「回転体ルート」は、既に説明したように、回転体役物によりV入賞の可否が動的に判定されるため、V入賞の可否が比較的長い時間をかけて判定される。そのため、回転体ルートにおいては、開閉動作遊技が終了した後にV入賞が発生しうる。本例では、1.8秒間の開閉動作遊技が終了しても遊技球は右大入賞口50内を遊動中のケース、つまり、開閉動作遊技が終了した後にV入賞が発生するケースを示してある(後述の図9A(A)についても同様)。
(従来例におけるV入賞の場合:図8(A))
遊技球が第1V領域63を通過した場合(V入賞が発生した場合)、V当り遊技が開始される。V当り遊技では、まずV入賞INTが開始され(時刻j5)、このインターバル時間(この例では、10秒)を利用して、V入賞時演出(オープニング演出)が現出される(時刻j5~時刻j6)。そして、V入賞INTが経過した後、右大入賞口50が開閉されるラウンド遊技が開始される(時刻j6)。今回当選した小当り種別が回転体ルートに誘導される小当り種別(小当り1または小当り2)の場合、規定ラウンド数7RとするV当り遊技が実行されることになる(図6(ロ)(ハ)参照)。
従来例では、V入賞した場合、今回の小当り遊技を1ラウンド目としてカウントし(今回の小当り遊技の開閉動作遊技が、実質的な1R目のラウンド遊技として扱われる)、V当り遊技におけるラウンド遊技を2R目としてカウントするようになっている。V当り遊技は、実質的に大当り遊技と同様のラウンド遊技を複数回実行するものであるが、小当り遊技を経由するため、V入賞時に係る小当り遊技(開閉動作遊技)が最初の1ラウンド目に相当する遊技として扱われる。したがって、ラウンド遊技実行回数(役物連続作動装置作動中に係る特別電動役物の連続作動回数)は、正確には、「規定ラウンド数-1」回となる。したがって、たとえば、規定ラウンド数7RとするV当り遊技であれば、小当り遊技終了後、V当り遊技として、2R~7Rのラウンド遊技(本例では、1回のラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間は、30秒)が実行され、賞球数については、「開閉動作遊技中の入賞球による賞球数+6R分のラウンド遊技中の入賞球による賞球数」が、実際に遊技者が獲得しうる総賞球数(V当り時の出玉数)となる(図8(A)参照)。本例であれば、右大入賞口50の賞球数15個、開閉動作遊技中の入賞球が概ね1個~2個程度(賞球数15個~30個)、1ラウンド中は最大入賞数の10個(賞球数150個)入賞可能であるので、915個~945個程度の賞球数を獲得することができる。
(従来例における非V入賞の場合:図8(B))
一方、遊技球が右大入賞口50に入球したが排出口58bから排出され、または第1V領域63を通過することなく第1ハズレ領域62を遊技球が通過して「非V入賞(Vハズレ)」となった場合は、既に説明したように、V当り遊技が実行されることなく、小当り遊技が終了される。
図8(B)のケースは、時刻j14において開閉動作遊技が終了した後、時刻j14aにおいて第1ハズレ領域62を遊技球が通過したケース、つまり、開閉動作遊技終了後に非V入賞が確定したケースを例示している。ここでは、開閉動作遊技終了後にさらに残存球排出時間が経過した後に第1ハズレ領域62を遊技球が通過したケースを示してある。この場合、第1ハズレ領域62を遊技球が通過して排出が確認された時刻j30において小当り終了INT(この例では、10秒)が開始され(この間、小当り終了用のエンディング演出が現出される)、時刻j31における小当り終了INTの経過を以って、小当り遊技が終了される。なお、作動保留球が存在する場合には、小当り遊技終了後に、新たな図柄変動表示ゲームが開始されることになる(ここでは、特図1の作動保留球が存在するケースを例示してある)。
(7-2.本実施形態における具体例:図9A~図10B)
次に、図9A~図10Bを参照して、本実施形態に係る小当り遊技について説明する。図9Aに、入賞球が「回転体ルート」に誘導されたケースを、また図9Bに入賞球が「高速ルート」に誘導されたケースを示す。なお、上記した従来例(図8)と本実施形態とが大きく異なる点は、V入賞した際のV当り遊技の動作態様であり、その他の点は、基本的には同一の内容である。したがって、以下の図9A~図9Bの説明においては、V入賞以降の遊技動作態様について説明し、その他の点については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
(7-2A.回転体ルートに誘導されたケース:図9A、図10A)
まず図9A、図10Aを参照して、回転体ルートに誘導されたケースについて説明する。
(回転体ルートにおけるV入賞の場合:図9A(A)、図10A(イ))
遊技球が第1V領域63を通過してV入賞が発生した場合(時刻t15)、V入賞INTの経過後、V当り遊技が開始される(時刻t16)。ここでは、今回当選した小当り種別が回転体ルートに誘導される小当り種別(小当り1または小当り2)であるので、規定ラウンド数7RとするV当り遊技が実行されることになる(図6(ロ)(ハ)参照)。
しかし本実施形態の場合、ラウンド遊技が、従来のように「2R目」から開始されるのではなく、「1R目」から開始されるようになっている。この初回のラウンドを1R目としてカウントする点が、従来の遊技機とは大きく異なる。
詳しくは、V入賞が発生した場合に、V入賞する前の小当り遊技期間を初回のラウンド(1R目)の前半期間である「1R前半」と見做し(見做し1R前半)、V当り遊技に係るV入賞INT以降の遊技期間(V入賞INT~初回のラウンド遊技期間)を初回のラウンド(1R目)の後半期間である「1R後半」と見做して(見做し1R後半)、当り遊技を制御する(図9Aの時刻t12~時刻t15、図10Aの時刻t15の欄参照)。換言すれば、V当り遊技を開始する場合には、少なくとも「小当り遊技に係る開閉動作遊技期間(非ラウンド遊技期間)+V当り遊技に係る初回のラウンド遊技期間」を、‘疑似的な1R目(見做し1R目)のラウンド遊技’として扱うV当り遊技が実行されるようになっている。
(1R目のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間、最大入賞数について)
本実施形態では、上記見做し1R目のラウンド遊技を制御する関係上、当該ラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間と最大入賞数とに関し、下記のような特徴を有する。
初回のラウンド遊技(見做し1R後半のラウンド遊技)における大入賞口の最大開放時間Zについては、「1回のラウンド遊技における最大開放時間X」(本実施形態の場合は、30秒)から、「小当り遊技(開閉動作遊技)における大入賞口の最大開放時間Y」(小当り1~2の場合は、Y=1.8秒、小当り3~4の場合は、Y=1.2秒)を減算した時間幅(「Z=X-Y」(秒))となっている。たとえば図9A(A)の場合、30秒から1.8秒を減算した‘28.2秒’が、見做し1R後半のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間として設定される(図10Aの時刻t16の欄参照)。
したがって本実施形態の場合、見做し1R目と、2R目以降の大入賞口の最大開放時間それ自体は、不変的な時間幅となる(見做し1R目‘1.8秒+28.2秒’、2R目以降30秒)。これにより、各ラウンドを通じて、大入賞口の最大開放時間は、一定時間幅の30秒とすることができる。このため、初回のラウンド(見做し1R目)だけ、大入賞口の最大開放時間が延長したり短縮したりする、ということは無く(ラウンド遊技終了条件である最大開放時間は変動しない)、大入賞口の開放期間については、大当り遊技と同様のラウンド遊技動作が実現可能となっている。
本例の場合、右大入賞口50の残り開放時間の推移は、図10Aの「残り開放時間」の欄に示すように、遊技状況に応じて、次のようになる。
(イ)小当り開始INT期間(時刻t12~時刻t13)は、残り開放時間0秒。
(ロ)開閉動作遊技開始時(時刻t13)は、残り開放時間1.8秒。
(ロ)開閉動作遊技終了時(時刻t14)は、残り開放時間0秒。
(ハ)「残存球排出期間→V入賞発生→V入賞INT」(時刻t14~時刻t16)の一連の期間は、残り開放時間0秒。
(二)初回(見做し1R目)のラウンド遊技開始時(右大入賞口開放開始時)(時刻t16)は、残り開放時間28.2秒。
(ホ)初回(見做し1R目)のラウンド遊技終了時(右大入賞口閉鎖時)(時刻t17)は、残り開放時間0秒。
(ヘ)ラウンド間INT期間(時刻t17~時刻t18)は、残り開放時間0秒。
(ト)2R目のラウンド遊技開始時(時刻t18)は、残り開放時間30秒
2R目以降は、最大開放時間30秒に設定される。
また、1回のラウンド遊技に係る大入賞口の最大入賞数は、各ラウンドを通じて固定値(本例では、10個)であり、初回のラウンド(見做し1R目)だけ、最大入賞数が増加したり減少したりするということは無い(ラウンド遊技終了条件である最大入賞数は、各ラウンド遊技おいて変動しない)。
図9A(A)の説明に戻り、大入賞口の開放期間(時刻t16~時刻t17)が終了すると、ラウンド間INTの経過後に2R目のラウンド遊技が開始され(時刻t18)、以後、規定ラウンド数が終了するまで、ラウンド遊技が繰り返し実行される(図9Aの時刻t18、図10Aの時刻t18の欄参照)。なお、2R目以降は、大当り遊技と同様のラウンド遊技が実行される(後述の図9B(C)においても同様)。
以上のように、本実施形態では、初回のラウンド(見做し1R目)と他のラウンド(2R目以降)とで、大入賞口の開閉動作パターンが異なるだけで、大入賞口の最大開放時間および最大入賞数は、それぞれ同一とすることができる。すなわち、従来の場合には1R目が開閉動作遊技の賞球だけに止まるのに対し、本実施形態の場合には、1ラウンド分フルに活用した賞球を付与することができる。
本実施形態によれば、V当り遊技が2R目から開始される従来の構成と比べて賞球数が多く、遊技者に出玉損失感を与えることがない斬新な遊技機を提供することができる。また、V入賞時は1ラウンド分フルに活用することができるため、実質的に大当り遊技と同様の利益(賞球数)を遊技者に付与することができる。図9A(A)の例であれば、概ね、「1ラウンド分の賞球数150個(大入賞口の賞球数15個×最大入賞数10個)×7R分=1050個」の賞球数を付与することができる。
(見做し1R中の当り中演出について:図36)
また本実施形態では、上記見做し1RというV当り遊技が実行されるため、その当り中演出についても特徴ある演出が現出される。これについて、図36を用いて詳述する。
図36に、本実施形態のV入賞した際の演出例を示す。図36(A)は、図9A(A)中の時刻t13~時刻t15の第1V抽選役物60による役物抽選中において現出される役物抽選中演出(見做し1R前半に相当する小当り遊技中に係る演出)の一例を、同図(B)は、図9A(A)中の時刻t15~時刻t16のV入賞INT中において現出されるV入賞時演出(オープニング演出)の一例を、同図(C)~(D)は、図9A(A)中の時刻t16~時刻t17のラウンド遊技中において現出されるラウンド中演出(見做し1R後半に相当するラウンド遊技中に係る演出)の一例を示す図である。
図36(A)を参照して、時刻t13~時刻t15では、小当り遊技中の第1V抽選役物60による役物抽選中の演出として、液晶表示装置36には、V入賞するか否かを煽る「役物抽選中演出」が現出されており、画面右上隅部には、右打ちを促す右打ち報知画像(右打ち報知演出)112が、画面中央部には、戦車画像と乾坤一擲の文字画像を含む役物抽選中演出110が現出されている。
次いで図36(B)を参照して、時刻t15においてV入賞が発生すると、V当り遊技が開始され、まずオープニング演出として、画面中央部に大きく、‘殊V勝’の文字画像を含むV入賞時演出120が、現出される(図36(B))。このV入賞時演出120は、V入賞INTが終了する時刻t16まで現出される。
次いで図36(C)を参照して、V入賞INT経過後の時刻t16において、V当り遊技ラウンド遊技が開始されるとともに、V当り中演出の一環として、ラウンド中演出(ここでは、見做し1R後半に係るラウンド中演出)が現出される(図36(C))。
このラウンド中演出では、現在のラウンド数を報知するラウンド数表示演出132、ストーリー性を有する物語風演出134、1回のラウンド遊技中の入賞数を報知する入賞数報知演出136などが現出される。
物語風演出134は、図示のように、宇宙人を模したキャラクタ画像と「Mission 宇宙人を見つけろ!」メッセージ画像を含む「ミッション提示型」の演出態様となっている。本実施形態の物語風演出134では、最終ラウンドまでに、時短状態に移行するか否かを報知する物語風の演出が展開されるようになっており、たとえば、1~5R目は宇宙人を探索する演出を現出し、6R目において、宇宙人を発見した場合には時短状態への移行が確定的に報知され、宇宙人を発見できなかった場合には通常状態への移行が確定的に報知される。したがって、この段階では(1R後半中)、今回当選した小当り種別(非時短小当りであるか時短小当りであるか)は、演出上、秘匿状態とされている。
入賞数報知演出136では、現在の入賞数を報知するべく、この実施形態の場合、液晶画面の右側に、最大入賞個数(10個)分の白丸印画像が表示され、右大入賞口50内への入賞球を検出するごとに、○印(白丸印)上に‘×印(バツ印)’が付された画像(入賞カウント画像)が表示され、これにより、ラウンド遊技中における現在の入賞数を報知されるようになっている。
この入賞数報知演出136の特徴的な点は、小当り遊技中の入賞数が既にカウントされた状態で報知される点である。その理由は、下記の通りである。
本実施形態では、既に説明したように、各ラウンド遊技において最大入賞数は固定値の10個である。したがって、V入賞が発生した場合には、V入賞前の小当り遊技中(見做し1R前半中)における入賞数と、V入賞後のラウンド遊技中(見做し1R後半中)の入賞数の合計入賞数が、最大入賞数の10個に達したか否かを監視する必要がある。単に、ラウンド遊技中(見做し1R後半中)の入賞数を報知するだけにした場合、たとえば、小当り遊技中(見做し1R前半中)に遊技球が3個入賞した場合には、その後のラウンド遊技中(見做し1R後半中)に遊技球が7個入賞した場合に1R目が終了となるので、遊技者に対して「最大入賞数に達する前に1R目が終了してしまったのではないか?」といった不信感や誤解を与えてしまう恐れがある。
そこで本実施形態では、遊技者に対して現在の入賞数を正しく報知するべく、V当り遊技開始時においては、V入賞前の小当り遊技中(見做し1R前半中)の入賞数分(本例では、V入賞に要した遊技球1個分)が既にカウントされた状態で報知し(図36(C)の入賞カウント画像137参照)、以後、入賞球が発生する度にその入賞数をカウントして、現在の入賞数をカウント表示するようになっている(図36(D)の入賞カウント画像138参照)。斯様な入賞数報知演出136を現出することにより、見做し1R目において、現在の入賞数、換言すれば、最大入賞数に達するまでの残りの入賞数を正しく報知することができる。これにより、遊技者に対して上述した不信感や誤解を与えてしまうことを防止することができる。
また本実施形態では、小当り遊技中(見做し1R前半)における入賞数と、V当り遊技中におけるラウンド遊技中(見做し1R後半中)の入賞数とを明確に報知するべく、小当り遊技中の入賞数を報知する入賞カウント画像137と、ラウンド遊技中の入賞数を報知する入賞カウント画像138とが、異なる演出態様で表示される。たとえば、入賞カウント画像137では、×印の背景画像に相当する○印画像の表示色が赤色に変化し(×印に赤色丸印背景画像)、入賞カウント画像138では、×印の背景画像に相当する○印画像の表示色が青色に変化し(×印に青色丸印背景画像)、×印に赤色丸印画像の表示数が小当り遊技中の入賞数であり、×印に青色丸印画像の表示数がV当り遊技中の入賞数であることが明確に報知される。これにより、小当り遊技中(見做し1R前半)またはラウンド遊技中(見做し1R後半中)において、何個の入賞球があったのかを明確に報知することができるとともに、最大入賞数に達するまでの残りの入賞数も正しく報知することができるようになっている。
(回転体ルートにおける非V入賞の場合:図9A(B)、図10B(ロ))
非V入賞の場合は、V当り遊技が発生せずに、そのまま小当り遊技が終了する。この非V入賞のケースについては、図9A(B)に示す通り、図8(B)で説明した内容と実質的に同じである。よって詳細な説明は、重複記載を避けるために省略する。
なお、非V入賞であった場合には、ラウンド遊技自体が実行されないため、正確には上記「見做し1R目」という遊技状況は発生することはないが、本明細書中では、説明の便宜のために、非V入賞時の小当り遊技期間についても上記「見做し1R前半」と称する場合がある。
(7-2B.高速ルートに誘導されたケース:図9B、図10B)
次に図9B、図10Bを参照して、高速ルートに誘導されたケースについて説明する。この「高速ルート」は、既に説明したように、回転体役物によらずにV入賞の可否が静的に判定されるため、V入賞の可否が時間をかけずに判定される抽選役物ルートである。また本実施形態の場合、右大入賞口50の閉鎖直前に遊技球が入賞したとしても、高速ルートに誘導された入賞球は、球詰まり等の不具合が生じない限り、残存球排出時間の経過前に排出される、つまり、高速ルートは、残存球排出時間の経過前に全入賞球の排出が完了する「V入賞高速判定型の役物構成」となっている。そのため、高速ルートにおいては、図9Aで説明した回転体ルートのケースとは異なり、開閉動作遊技が終了する前にV入賞が発生しうる。そこで、図9Bでは、開閉動作遊技が終了する前にV入賞が発生しうる「高速ルート」を例にとり説明する。なお、図9Bおよび図10Bにおいて、図9Aおよび図10Aで示した内容と実質的に同一の内容は、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
(高速ルートにおけるV入賞の場合:図9B(C)、図10B(イ))
図9B(C)に、開閉動作遊技期間中に、遊技球が第2V領域73を通過してV入賞が発生したケースを示す。
開閉動作遊技中にV入賞が発生した場合、少なくともその開閉動作遊技の終了を待って、V当り遊技(見做し1R後半)を開始させるようになっている。本例の場合、開閉動作遊技中の時刻t54(たとえば、開閉動作遊技開始から1秒後)にV入賞が発生しているが、V当り遊技は、その開閉動作遊技後(残存球排出時間の経過後)の時刻t56から開始させるようになっている。高速ルートに誘導される小当り種別(小当り3または小当り4)であれば、規定ラウンド数10RとするV当り遊技が実行されることになる(図6(ロ)(ハ)参照)。
見做し1R後半に係るラウンド遊技については、「28.8秒」の右大入賞口50の最大開放時間が設定される(図10Bの時刻t56の右大入賞口開放の欄参照)。この「28.8秒」という時間幅は、1回のラウンド遊技における大入賞口最大開放時間30秒から、小当り遊技における大入賞口の最大開放時間1.2秒を減算した時間(30秒-1.2秒=28.8秒)である。
本例の場合、右大入賞口50の残り開放時間の推移は、遊技状況に応じて、次のようになる。
(チ)小当り開始INT期間(時刻t52~時刻t53)は、残り開放時間0秒。
(ロ)開閉動作遊技開始時(時刻t53)は、残り開放時間1.2秒。
(リ)V入賞発生時(開閉動作遊技開始から1秒経過時)(時刻t54)は、残り開放時間0.2秒。
(ヌ)「開閉動作遊技終了(右大入賞口閉鎖)→残存球排出期間→V入賞INT」(時刻t55~時刻t57)」の一連の期間は、残り開放時間0秒。
(ル)初回(見做し1R目)のラウンド遊技開始時(右大入賞口開放開始時)(時刻t57)は、残り開放時間28.8秒。
(ヲ)初回(見做し1R目)のラウンド遊技終了時(右大入賞口閉鎖時)(時刻t58)は、残り開放時間0秒。
(ワ)ラウンド間INT期間(時刻t58~時刻t59)は、残り開放時間0秒。
(カ)2R目のラウンド遊技開始時(時刻t59)は、残り開放時間30秒。
2R目以降は、最大開放時間30秒に設定される。
本実施形態では、開閉動作遊技が終了する前にV入賞が発生するケース(図9B(C))であっても、開閉動作遊技が終了した後にV入賞が発生するケース(図9A(A))であっても、各ラウンドにおける大入賞口の最大開放時間および最大入賞数は、実質的に大当り遊技と同じものとなる。したがって、いずれのケースであっても、V入賞時には、大当り遊技と同等の賞球数を得られることになる。図9B(C)の例であれば、概ね、「賞球数150個(大入賞口の賞球数15個×最大入賞数10個)×10R=1500個」の賞球数を獲得することができる。
(高速ルートにおける非V入賞の場合:図9B(D)、図10B(ロ))
非V入賞の場合は、V当り遊技が実行されることなく(小当り遊技が見做し1ラウンドとして扱われることなく)、そのまま小当り遊技が終了する。非V入賞のケースについては、図8(B)および図9A(B)で説明した内容と基本的には同じである。ただし、図9B(D)のケースは開閉動作遊技が終了する前の時刻t60において第2ハズレ領域72を遊技球が通過したケース、つまり、開閉動作遊技中に非V入賞が確定したケースである。ここでは、時刻t61~時刻t62の残存球排出時間の経過を待って、小当り終了INTが開始され、その後、小当り遊技が終了される。なお、作動保留球が存在する場合には、小当り遊技終了後に、新たな図柄変動表示ゲームが開始されることになる(ここでは、特図2の作動保留球が存在するケースを例示してある)。
(変形例1)
なお、開閉動作遊技が終了する前にV入賞が発生した場合、開閉動作遊技を直ちに終了させ(右大入賞口50を強制閉鎖)、V当り遊技を開始させてもよい。本例であれば、V入賞発生時の時刻t54において、0.2秒の残り開放時間を待たずに、開放中の右大入賞口50を強制的に閉鎖し、V入賞INTを開始し、その後、初回(見做し1R後半)のラウンド遊技を開始してもよい。この場合、初回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間を28.8秒に設定するのではなく、0.2秒の残り開放時間分を加算した29.0秒を設定してもよい。これにより、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間は、各ラウンドを通じて変動することなく、一定時間幅の30秒とすることができる。したがって、開閉動作遊技が終了する前にV入賞が発生した場合であっても、遊技者に対して不利益を与えることがなく、また開閉動作遊技が途中で終了されるため、テンポよくV当り遊技を開始させることができる。
(変形例2)
本実施形態では、V当り遊技において、右大入賞口50を開閉させるラウンド遊技を実行させる、すなわち、V当りとなった場合に、小当り遊技とV当り遊技とを同じ特別変動入賞装置で実行するものとして説明した。しかし本発明はこれに限らず、V当り遊技において、下大入賞口40を開閉させるラウンド遊技を実行する構成としてもよい。この場合、右大入賞口50を開閉する小当り遊技終了後、下大入賞口40を開閉するラウンド遊技を実行する構成とすればよい。つまり、V当りとなった場合に、特定領域(V領域)を備える第1の特別変動入賞装置(第1の可変入賞手段)側とは異なる第2の特別変動入賞装置(第2の可変入賞手段)側にて、V当り遊技(一連のラウンド遊技)を実行する。本変形例2は、後述の第2の実施形態、第3の実施形態についても適用することができる。
(変形例3)
また本実施形態では、V当り遊技において、各ラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間を一律30秒としているが、本発明はこれに限られない。1または複数の特定ラウンド目で、大入賞口最大開放時間を、通常の30秒よりも短時間(たとえば、15秒)とするラウンド遊技(短開放ラウンド遊技)を実行してもよい。たとえば、V当り1(小当り1当選時のV当り)の場合、最大7ラウンドのうち、1~5ラウンドを通常(30秒)のラウンド遊技(長開放ラウンド遊技)とし、6~7ラウンド目を短開放ラウンド遊技とすることができる。また、短開放ラウンド遊技における大入賞口最大開放時間を極短時間(たとえば、1秒未満)とすることができる。この場合、短開放ラウンド遊技を、実質的に賞球を殆ど得ることができないラウンド遊技として機能させることができる。たとえば、V当り1の場合、最大7ラウンドのうち、6~7ラウンド目を短開放ラウンド遊技とすれば、実質5ラウンド分の賞球が得られる当り遊技とすることができる。すなわち、短開放ラウンド遊技は、最大ラウンド数を同一としながらも利益の異なる当り種別を設け、遊技性のバリエーションを豊富にしたり、当り遊技による利益に緩急を付けたりする際に好適である。なお、短開放ラウンド遊技を設けた場合、見做し1R目のラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間Zは、下記の関係を満たすものであることが好ましい。
小当り遊技(開閉動作遊技)における大入賞口の最大開放時間Y(秒)、長開放ラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間Xa(秒)、短開放ラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間Xb(秒)、見做し1R目のラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間Z(秒)とした場合、少なくとも下記「関係式1」を満たすことが好ましく、より好ましくは下記「関係式1および関係式2」を満たすように定める。
(σ)「Z=Xa-Y」(関係式1)、(τ)「Z>Xb」(関係式2)
<主制御部側の処理:図11~図20>
次に図11~図20を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図11)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図12)とを中心的に構成される。
<6.主制御側メイン処理:図11>
図11を参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。
図11は、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。主制御側メイン処理の開始契機には、停電状態や電源異常などからの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)された場合などがある。いずれの場合でも、主制御側メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、電源投入時処理の一環として、遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
ステップS011の初期設定処理を終えると、次いで、設定値を変更可能な設定変更モード移行状態であるか否かを判定する(ステップS014)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ(不図示)(設定変更モード側に操作)およびRAMクリアスイッチ(不図示)をON操作したまま(設定キースイッチ信号と、RAMクリア信号とが共にON)、遊技機1への電源を投入すると、現在の設定値が設定表示器97に表示され、設定変更操作中であるとして、設定値(1~6段階)の変更操作が可能な設定変更モード移行状態に制御されるようになっている。
設定変更モード移行状態である場合(ステップS014:YES)、設定値(1~6段階)の変更操作を管理する設定変更処理を実行する(ステップS023)。設定変更処理では、まず、RAM203の設定値格納領域をクリアし、設定変更操作に係る設定変更スイッチ(不図示)のON/OFF操作を監視する。設定値の変更は、ホール関係者などが、設定変更スイッチを操作することにより、設定1~6のいずれかの設定値に変更可能となっており、設定キースイッチをOFF操作することにより設定値が確定される。CPU201は、設定値が確定されたことを確認すると、その設定値データをRAM203の設定値格納領域に格納し、設定変更処理を抜けて、後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)を実行する。
一方、設定変更モード移行状態でない場合(ステップS014:NO)、RAMの内容に異常の有無を判定する(ステップS015)。ここでは、上記設定値格納領域に格納されている設定値が正常値であるか否か(設定1~6のいずれかを示す値が格納されているか否か)、バックアップ時のチェックサム値が正常値であるか否かをチェックする。RAMの内容に異常がある場合(ステップS015:YES)、後述の電源再投入待ち処理(ステップS020)を実行する。
RAMの内容に異常がない、つまり正常である場合(ステップS015:NO)、次いで、バックアップフラグBFがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS016)。このバックアップフラグBFは、後述する電源異常チェック処理(図12のステップS081)の処理にて、正常にバックアップ処理が実行された場合に「5AH(正常値)」が領域内RAMのバックアップフラグ格納領域に設定される。したがって、正常時であれば、バックアップフラグBFが5AHのはずである。しかし何らかの不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値(≠5AH)でない場合もありうる。そこで、バックアップフラグBFがON状態でない場合(ステップS016:NO)、電源再投入待ち処理を実行する(ステップS020)。この電源再投入待ち処理は、ステップS015のRAM異常時にも実行される処理となっており(ステップS15:YES)、ここでは、RAMエラー処理として、遊技処理の進行を強制的に停止する制御処理が実行されるようになっている。電源再投入待ち処理ルートが実行された場合、遊技機のメイン電源を再投入して、その再投入時に、上記設定変更移行モード状態に設定して、設定変更処理(ステップS023)が実行されない限り、RAMエラー状態が解消できないようになっている。本実施形態では、上記設定変更処理(ステップS023)と後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)とが実行されることにより、RAM203の全領域(ただし、性能表示に関するRAM領域(領域外RAM領域)は除く)がクリアされるため、RAMエラーが解消されるようになっている。
バックアップフラグBFがON状態である場合(ステップS016:YES)、RAMクリアモード移行状態であるか否かを判定する(ステップS025)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチをOFF操作(設定変更モード側に操作しない)せずに、RAMクリアスイッチをON操作した状態で(設定キースイッチ信号OFF、RAMクリア信号ON)、遊技機1への電源を投入すると、RAMクリア操作中であるとして、RAMクリアモード移行状態に制御されるようになっている。
RAMクリアモード移行状態である場合(ステップS025:YES)、領域内RAMクリア処理を実行する(ステップS031)。領域内RAMクリア処理では、RAM203の記憶領域のうち、少なくとも、上記性能表示に係るRAM領域と、上記設定値格納領域とを除く記憶領域がクリアされる。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグBFの値やチェックサム値などは、本処理において、共にゼロクリアされる。また、RAMクリアされたことを示す「RAMクリアコマンド」を含む、RAMクリア時に必要な各種のコマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がRAMクリアコマンドを受けると、RAMクリアを報知する初期化報知演出を実行し、初期状態の演出モードとして、演出モードを「通常演出モード」に設定する。
ステップS031の領域内RAMクリア処理を終えると、次いで、RAMクリア時の初期設定処理(電源投入時初期データ設定処理)を実行する(ステップS032)。電源投入時初期データ設定処理では、たとえば、RAMクリア信号(セキュリティ信号の一つ)の送信用タイマに30000msをセットし、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別図柄(特図1停止図柄、特図2停止図柄)データとして、ハズレ図柄データを設定する。そして、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
ステップS025の説明に戻り、RAMクリアモード移行状態でない場合(ステップS025:NO)、次いで、設定確認モード移行状態であるか否かを判定する(ステップS026)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチをON操作し、RAMクリアスイッチをOFF操作した状態で(設定キースイッチ信号ON、RAMクリア信号OFF)、遊技機1への電源を投入すると、設定確認操作中であるとして、設定確認モード移行状態に制御されるようになっている。設定確認操作とは、たとえば、ホール関係者などが現在の設定値を確認する場合に行う操作である。
設定確認モード移行状態である場合(ステップS026:YES)、現在の設定値を確認可能な設定確認状態に制御するための設定確認処理(ステップS027)と、電断時にバックアップされたバックアップデータから遊技処理を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS028)とを順次実行する。この設定確認処理では、設定表示器97に、現在の設定値を表示(設定確認表示)させるための処理を行う。この設定値の表示は、設定キースイッチがOFF操作されることで終了される。設定キースイッチがOFF操作された後は、上記バックアップ復帰処理を行い、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
設定確認モード移行状態でない場合(ステップS026:NO)、単に電源を投入した場合には、上記バックアップ復帰処理(ステップS028)を行い、バックアップデータに基づき、バックアップ時の遊技処理を復帰させる。
上記した設定変更処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、設定確認処理(ステップS027)、およびバックアップ復帰処理(ステップS028)のいずれかの処理を実行した後は、CTCの設定処理を実行する(ステップS036)。ここでは、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する。これにより、以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図12に示す主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理)が実行される。
そして、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し、遊技開始コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、発射装置32からの遊技球の発射動作が許容される。また、演出制御部24が上記遊技開始コマンドを受けると、可動体役物に関する初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。ただしイニシャライズ動作中は、液晶表示装置36の画像表示態様、装飾ランプ45の発光態様、スピーカ46からの音出力については変化しない。イニシャライズ動作は、専ら、可動体役物に関する電源投入時の動作チェックである。
そして、上記一連の電源投入時処理を終えると、通常の遊技進行に係るステップS040~S045の無限ループ処理を実行する。これにより、遊技の進行が可能な遊技開始可能状態下に制御される。ループ処理に入ると、まずCPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS040)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS041)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS041)を終えると、次いで、領域外プログラムの性能表示モニタ集計除算処理を実行する(ステップS043)。この性能表示モニタ集計除算処理では、通常時ベース値の算出に要する処理を実行する。なお、性能表示に関する処理プログラムや、そのワーク領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする「領域内メモリ」とは異なる「領域外メモリ」に定められている。
上記性能表示モニタ集計除算処理を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS045)、ステップS040の処理に戻り、以後、ステップS040~S045の処理を繰り返し実行する(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
<12.主制御側タイマ割込処理:図12>
次に図12を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図12は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図12において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、不図示の電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断などの電源異常が生じた場合には、バックアップ処理を実行する。バックアップ処理では、バックアップフラグBFの設定(BF←5AH)、チェックサム値を算出するチェックサム演算(ここでは、領域内RAMを対象とする8ビット加算演算処理)およびその演算結果の記憶処理などを行う。したがって、この電源異常チェック処理は、電源遮断後もRAMの記憶内容を保持するバックアップ手段として働く。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS082)。遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマのタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS083)。遊技機1に設けられた各種のセンサやスイッチ類の検出情報や払出制御基板29からの状態信号の入力情報(ON/OFF信号に関する情報、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ)に関する情報など)に基づき、入力データを作成したり、各種カウンタ(たとえば、各入賞口別に設けられた入賞球カウント用の入賞カウンタ)を更新したりする。
次いで、設定異常チェック処理を実行する(ステップS084)。設定異常チェック処理では、設定値データ(W_SETTEI)が正常であるか否かを判定し、判定結果に基づき、設定値に係るエラー処理を実行する。
次いで、タイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。タイマ割込内乱数管理処理では、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する。具体的には、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値の変更処理を実行する。なお内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されない。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS089)。このエラー管理処理では、各種のスイッチやセンサ類に係る検出情報や、払出制御基板29からの状態信号などに基づき、遊技動作にエラー(異常)が生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。このエラー管理処理には、演出制御部24に対するエラー種別に応じたエラーコマンド(エラー種別情報を含むコマンド)の送信処理、エラーが解除されたときのエラー解除コマンドの送信処理、特定のエラーが生じた場合における遊技動作の強制停止制御処理などの処理が含まれる。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄の変動表示動作)に関して必要な処理を実行する。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普図作動保留球)として、最大保留記憶数(ここでは、4個)まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、所定の変動表示開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を実行する。ここでは、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を実行する。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、開閉蓋47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、大当り抽選、大当り抽選結果の設定、大当り抽選結果に基づく変動パターンの決定など、特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動表示動作)を実行する際に必要な処理を実行する。上記大当り抽選により、大当り1~4、小当り1~4、およびハズレのいずれに当選したか否かは、当選種別を識別する特別図柄判定データにより管理される。この特別図柄判定データは、当り遊技に関する処理や遊技状態移行に関する制御処理(たとえば、特別電動役物管理処理(ステップS095))において利用される。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な処理を実行する。この特別電動役物管理処理の詳細は、図13~図20を用いて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(本実施形態の場合、当り遊技中、時短状態)下である場合には、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、などのLED表示装置に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を実行する。上述した普通図柄管理処理(ステップS091)や特別図柄管理処理(ステップS093)、右打ち報知情報管理処理(ステップS097)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を実行する(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部端子基板21を通して、各種の外端信号を作成して、ホールコンピュータHCなどの外部装置に対して出力制御を実行する。
次いで、ソレノイド管理処理を実行する(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)や特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド42c、52c、SOL1~3などに対して励磁信号の出力制御を実行する。これにより、開閉蓋47、開放扉42b、片羽状部材52bを作動させ、始動口35や大入賞口40、50の開閉動作を実現する。
次いで、全レジスタを退避して、性能表示モニタ処理を実行した後、全レジスタを復帰する(ステップS101~103)。性能表示モニタ処理では、性能表示器99の表示制御に関して必要な処理を実行する。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS104)。これにより、割込みごとにWDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081~ステップS104の処理を終えると、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を実行する。
<13.特別電動役物管理処理:図13>
次に、図12中の特別電動役物管理処理(ステップS095)について説明する。図13は、ステップS095の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。この小当り中フラグとは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。小当り中フラグは、特別図柄管理処理(ステップS093)において、特別図柄の変動表示動作が終了した際、大当り抽選結果が小当りである場合に設定される。小当り中フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行う(ステップS504)。この小当り処理は、小当り遊技の一連の遊技動作を制御する処理である。この小当り処理についての詳細は、図14~図17にて後述する。
上記小当り中フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。この条件装置作動フラグとは、大当り遊技中であるか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。条件装置作動フラグは、特別図柄管理処理(図12のステップS093)において、特別図柄変動表示ゲーム終了時に大当り抽選結果が大当りである場合か、または小当り遊技中にV入賞した場合にON状態(5AH)に設定される(後述の図16のV入賞時設定処理参照)。
条件装置作動フラグがOFF状態であれば(ステップS502:≠5AH)、小当り遊技中ではなく、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。一方、条件装置作動フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、大当り遊技またはV当り遊技中であるとして、特別電動役物動作ステータス(00H~04H)に応じた処理を行う(ステップS503)。「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を指定する値であり、そのステータス値に応じて、当り遊技の実行制御に関するステップS505~S509のいずれかの処理が行われる。具体的には、特別図柄動作ステータスが「開始処理中(00H)(大当り遊技開始前の待機状態を指定)」、「作動開始処理中(01H)(ラウンド遊技開始前の待機状態を指定)」、「作動中(02H)(ラウンド遊技実行中を指定)」、「継続判定中(03H)(ラウンド遊技継続判定中を指定)」、および「終了処理中(04H)(大当り遊技終了処理中を指定)」のいずれであるかに応じて、後述の大当り開始処理(ステップS505)、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)または大当り終了処理(ステップS509)を行う。これらの処理により、特別変動入賞装置52の動作や遊動領域59内の可動役物が制御され、大当り遊技またはV当り遊技が実現される。
<13-1.小当り遊技制御処理:図14~図17>
次に、図14~図17を参照して、本実施形態に係る小当り遊技制御処理について説明する。
(14.小当り処理:図14)
まず図14を参照して、小当り処理(図13のステップS504)について説明する。図14は、小当り処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」、または「継続判定中(03H)」であるか否かを判定する(ステップS601)。特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」かつ「継続判定中(03H)」でない場合には(ステップS601:≠02Hかつ≠03H)、ステップS603の判定処理に進み、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」または「継続判定中(03H)」である場合には(ステップS601:=02Hまたは=03H)、右大入賞口入賞数確認処理を行った後(ステップS602)、ステップS603の判定処理に進む。この右大入賞口入賞数確認処理についての詳細は、図15にて後述する。
ステップS603の処理に進むと、特別図柄役物動作タイマがゼロか否かを判定する(ステップS603)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、処理状態に応じて、小当り開始INT(オープニング演出時間)や小当り終了INT(エンディング演出時間)や開閉動作遊技時間などを管理するタイマ値が設定されている。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS603:NO)、ステップS606の判定処理に進む。一方、特別図柄役物動作タイマがゼロであれば(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理を実行する(ステップS605)。ここでは、特別電動役物動作ステータス値「00H~04H」に応じた処理を行う。
ステップS605の特別電動役物動作ステータス別処理を終えると、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS606)。特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合(ステップS606:≠02H)、何もしないでこの小当り処理を抜ける。
一方、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合(ステップS606:=02H)、大入賞口開閉動作設定処理を実行する(ステップS607)。この大入賞口開閉動作設定処理では、小当り種別に応じた右大入賞口50(片羽状部材52b)の開閉動作や振分役物の動作を実現するために要するソレノイド用の制御データ(右大入賞口ソレノイド52c、SOL1~3用制御データ)を、処理状態に応じて設定する。この大入賞口開閉動作設定処理で設定されたデータは、図12中のソレノイド管理処理(ステップS100)にて利用される。上記大入賞口開閉動作設定処理を終えると、小当り処理を抜ける。
(15.右大入賞口入賞数確認処理:図15)
次に、右大入賞口入賞数確認処理(図14のステップS602)について説明する。図15は、右大入賞口入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず右大入賞口50において入賞(入賞球)を検出したか否かを、センサSW1により検出したか否かで判定する(ステップS621)。センサSW1による検出がなかった場合(ステップS621:NO)、ステップS629を実行する。
センサSW1(右大入賞口センサ52a)による検出があった場合(ステップS621:YES)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS622)。この通常用入賞コマンド送信処理では、右大入賞口50に入賞したことを指定する入賞コマンドとして「右大入賞口入賞コマンド」を送信する。この右大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、右大入賞口50に遊技球が入賞したことおよび現在の入賞数を把握し、入賞に関連する演出処理を行う(たとえば、図36(C)の入賞数報知演出に係る処理など)。なお、図示はしていないが、右大入賞口50への入賞球が最大入賞数を超えた場合には、オーバー入賞があったとして、上記右大入賞口入賞コマンドに替えて、オーバー入賞用の入賞コマンド(OV入賞用コマンド)が送信されるようになっている(本実施形態では、オーバー入賞ごとに送信される)。演出制御部24は、OV入賞用コマンドを受信すると、オーバー入賞に関連する演出処理を行う。ここで本実施形態では、V当り時における初回のラウンド(見做し1R目)において、図36(C)にて説明した特徴ある入賞数報知演出136が現出されるようになっている。そこで、見做し1R中においてオーバー入賞が発生した場合、他のラウンド(2R目以降)とは異なるオーバー入賞演出を現出させてもよい。たとえば、見做し1R中のオーバー入賞時には、特殊な入賞音(爆発音)を出力したり、特殊なキャラクタ画像を表示したり、特殊な光演出(閃光演出)などのオーバー入賞演出(特殊オーバー入賞演出)を現出させることができる。また、この特殊オーバー入賞演出を、内部的な設定値を示唆する「設定示唆演出」として機能させてもよい。たとえば、低設定(設定1、2)の場合には「爆発音」のみ、中間設定(設定3、4)の場合には「爆発音+閃光演出」、高設定(設定5、6)の場合には「爆発音+特殊キャラクタ画像表示+閃光演出」など、設定値が高くなるに従い、派手な設定示唆演出を現出させることができる。なお、設定示唆演出を現出させる場合、オーバー入賞が発生したことを契機に所定の演出抽選を実行し、この抽選に当選したことを条件に現出させてもよい。この抽選確率は、設定1~6で一律(たとえば、25%)であってもよいし、設定1~6の一部または全部で異なる確率(たとえば、高設定の場合は、中間設定および低設定の場合よりも高確率で当選するなど)としてもよい。
通常用入賞コマンド送信処理を終えると、次いで、カウンタ加算処理を行う(ステップS623)。このカウンタ加算処理では、右大入賞口50の入賞した遊技球(入賞球)を計数するための右大入賞口入賞カウンタと、右大入賞口50内に滞在中の遊技球(残存球)を計数するための右大入賞口排出確認カウンタとを、それぞれ1加算する。
次いで、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS624)。特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合(ステップS624:NO)、ステップS629の処理に進む。一方、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合(ステップS624:YES)、右大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、10個)に達したか否かを判定する(ステップS625)。最大入賞数に達していない場合には(ステップS625:NO)、何もせずにステップS629に進み、最大入賞数に達している場合には(ステップS625:YES)、大入賞口閉鎖条件が成立したとして、特別図柄役物動作タイマをクリアして(ステップS626)、ステップS629の処理に進む。なお、作動中(02H)中にステップS625が実行される場合、ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口動作時間が設定されている。
ステップS629の処理では、V領域に係るセンサSW2またはSW5による検出があったか否か、つまりV入賞の有無を判定する。センサSW2またはSW5による検出がなかった場合(ステップS629:NO)、ステップ630~S632の処理をスキップして、ステップS633の処理に進む。
一方、センサSW2またはSW5による検出があった場合(ステップS629:YES)、V入賞が発生したとして、V入賞用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS630)。このV入賞用入賞コマンド送信処理では、「V入賞コマンド」を演出制御部24に送信する。V入賞コマンドには、少なくとも今回の当り種別情報(小当り1~4(V当り1~4)の別)を含むことができる(たとえば、今回の当り種別と当り当選時の遊技状態情報を含むことができる)。V入賞コマンドを演出制御部24が受けると、V入賞時演出(図36(B)参照)に関する演出処理を行う。
次いで、V入賞(排出球)を検出したとして、右大入賞口排出確認カウンタを1減算し(ステップS631)、V入賞時設定処理を実行する(ステップS632)。このV入賞時設定処理の詳細は図16にて後述する。
ステップS633では、ハズレ領域に係るセンサSW3・SW6、または排出口センサSW4による検出があったか否かを判定する。これらのセンサによる検出がなかった場合(ステップS633:NO)、何もしないで右大入賞口入賞数確認処理を抜ける。一方、これらのセンサSWによる検出があった場合(ステップS633:YES)、つまり、非V入賞である場合、排出用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS634)。この排出用入賞コマンド送信処理では、センサSW3またはSW6を通過した際に「排出コマンド」を演出制御部24に送信する(SW4を通過した場合には送信しない)。演出制御部24は、上記排出コマンドを演出制御部24が受けると、V入賞が発生していないことを条件として、ハズレ演出に関する演出処理を行う。
次いで、右大入賞口排出確認カウンタを1減算する(ステップS635)。右大入賞口50に入賞した遊技球が排出される場合、V入賞した場合はセンサSW2、SW5により検出され、V入賞しなかった場合はセンサSW3、SW4、SW6により検出される。したがって、右大入賞口50に入賞した遊技球が全て排出された場合、ステップS631またはステップS635のいずれかの処理において、右大入賞口排出確認カウンタは0となる。なお、小当り遊技中においては、残存球排出時間の経過している場合、この右大入賞口排出確認カウンタが0となったことを契機に、特別電動役物動作ステータスが04H(終了処理中)にセットされる。
(16.V入賞時設定処理:図16)
次に、小当り遊技中におけるV入賞時設定処理(図15のステップS632)について説明する。図16は、V入賞時設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず条件装置作動フラグの状態がOFF状態(=00H)(≠5AH)であるか否かを判定する(ステップS641)。条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS641:NO)、つまり、既にV入賞による条件装置作動フラグがON状態に設定されている場合、または大当り当選により条件装置作動フラグがON状態に設定されている場合には、何もしないでこのV入賞時設定処理を抜ける。
一方、条件装置作動フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS641:YES)、V入賞発生に係るフラグ設定処理を行う(ステップS642)。このフラグ設定処理では、V当り遊技開始前処理として、条件装置作動フラグをON状態(=5AH)に設定し、V入賞フラグをON状態(=5AH)に設定する。これにより、条件装置が作動状態となり、小当り遊技が終了した後は、図13中のステップS502の判定結果が‘=5AH’となり、大当り遊技に関する制御処理(ステップS505~S509)にて、小当り種別に対応した「V当り遊技」が実行されることになる。また、「V入賞フラグ」は、小当り遊技中にV入賞したことを指定するフラグであり、条件装置作動フラグがON状態に設定された今回の当りが、V入賞によるものであるのか、大当り当選によるものであるのかを識別するためのフラグである。また、この「V入賞フラグ」は、V当り遊技終了時にOFF状態(=00H)に設定される。
次いで、V入賞時に係る遊技状態移行設定処理を行う(ステップS643)。この遊技状態移行設定処理では、今回当選した小当り種別に応じて、V当り遊技終了後に移行される遊技状態(図6参照)を指定するための各種データを、所定のバッファに格納する(状態バッファ設定処理)。バッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図13のステップS509)で読み出され、遊技状態を特定するための各種フラグ領域(時短機能や開放延長機能などの作動状態を指定するフラグ格納領域)に設定される。なお、非V入賞時は遊技状態の移行制御は行わないため、本実施形態では、非V入賞時の遊技状態移行設定処理は設けられていない。
(17.特別電動役物動作ステータス別処理:図17)
次に、図14中の特別電動役物動作ステータス別処理(ステップS605)について説明する。図17は、図14中のステップS605の特別電動役物ステータ別処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、現在の特別電動役物動作ステータスを参照し、ステータス値が00H~04Hのいずれの値であるかに応じて、ステップS612~S616の各処理を実行する(ステップS611)。以下、ステップS612~S616の各処理について説明する。
(17-1.小当り開始処理:ステップS612)
小当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」となっている。したがって、ここでは最初に、ステップS612の小当り開始処理が実行される。この小当り開始処理では、開閉動作遊技実行開始の前処理として、特別図柄役物動作タイマに、開閉動作遊技実行前の開放前インターバル時間として「小当り開始INT(オープニング時間)」を設定し、右大入賞口50への入賞数をカウントする右大入賞口入賞カウンタをクリアし、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新する。なお、時短状態中に特図2側の小当りに当選した場合には、遊技消化スピードを向上させるため、小当り開始INTを0msまたは極短時間(たとえば、数十ms程度)に設定してもよい。
(17-2.小当り特別電動役物作動開始処理:ステップS613)
次に、ステップS613の小当り特別電動役物作動開始処理について説明する。この小当り特別電動役物作動開始処理では、上記小当り開始インターバル時間が経過した後に実行される(図14のステップS603:YES、作動開始処理中(01H)の場合)。ここでは、大入賞口に係る入賞数カウンタ(入賞数カウンタおよび排出確認カウンタ)をクリアし、特別図柄役物動作タイマに、後述の図22(ロ)の「小当り用大入賞口動作時間設定テーブル」に基づく大入賞口開放動作時間(開閉動作遊技に係る右大入賞口50の開閉動作時間)を設定する。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に更新する。なお、図14中のステップS607の大入賞口開閉動作設定処理にて、大入賞口開放動作時間に基づくソレノイド用の励磁信号ON/OFFの設定処理が実行され、これにより開閉動作遊技に係る右大入賞口50の開閉動作が制御される。なお、大入賞口50の開閉動作は、大入賞口開放動作時間(ここでは、開閉動作遊技時間)が経過して特別図柄役物動作タイマがゼロになるか、または、V入賞の発生あるいは最大入賞数に達して特別図柄役物動作タイマが強制的にゼロクリアされるまで制御される(作動中(02H)、ステップS603:NOの処理ルート参照)。
(T21-2.小当り用大入賞口動作時間設定テーブル:図22(ロ))
図22(ロ)に、上記「小当り用大入賞口動作時間設定テーブル」を示す。小当り用大入賞口動作時間設定テーブルには、開閉動作遊技に係る右大入賞口50の開閉動作時間を指定するデータとして、小当り種別に応じた大入賞口動作時間の初期値が定められている。本実施形態の場合、小当り1、2の場合には1800msが、小当り3、4の場合には初期値1200msが定められている。このタイマ値が上述したステップS613の処理において特別図柄役物動作タイマに設定され、図14中のステップS607の大入賞口開閉動作設定処理において、右大入賞口50の開閉動作を実行する際に利用される。
ここで本発明の理解を容易なものとするために、本発明と関係の深い、小当り遊技に係る右大入賞口50の開閉動作(開閉動作遊技)に関する動作制御について、図14中に示すステップS607の大入賞口開閉動作設定処理と、図22(ロ)~図24(ロ)とを用いて詳細に説明する。
CPU201は、上述したステップS613の小当り特別電動役物作動開始処理にて、図22(ロ)の「小当り用大入賞口動作時間設定テーブル」に基づく大入賞口開放動作時間が特別図柄役物動作タイマに設定されて、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」に更新された後、当該特別図柄役物動作タイマがゼロになるまで、上記した大入賞口開閉動作設定処理(図14のステップS607)の処理を実行することになる(ステップS606:YESの処理ルート)。大入賞口開閉動作設定処理では、まず図23(ロ)の小当り用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルに基づき、小当り用大入賞口開閉動作テーブル(OPENTBL-D2またはOPENTBL-D3)取得し、特別図柄役物動作タイマ値に基づいて、右大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データの作成を行い、右大入賞口50の開閉動作パターンを指定する。
(T22-2.小当り用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブル:図23(ロ))
図23(ロ)に、上記「小当り用大入賞口開放動作設定テーブル選択テーブル」を示す。本実施形態の小当り用大入賞口開放動作設定テーブル選択テーブルには、図示のように、当選種別に関連付けられた大入賞口開閉動作設定テーブルが定められている。ここでは、図23(ロ)に示すように、今回当選した小当り種別に応じて、OPENTBL-D2またはOPENTBL-D3のうちいずれかが選択されるようになっている。
(T22-2.小当り用大入賞口開閉動作設定テーブル:図24(ロ))
図24(ロ)に、小当り用大入賞口開閉動作設定テーブルを示す。本実施形態の小当り用大入賞口開閉動作設定テーブルには、図示のように、小当り遊技に係る大入賞口の開放パターンを指定するために必要なデータが定められている。具体的には、右大入賞口開放用フラグに格納するためのデータが定められている。図示のOPENTBL-D2を代表例にとり説明すれば、右大入賞口開放用フラグとは、右大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データを作成するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合にはソレノイド制御用の励磁信号出力(大入賞口開放)を指定し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には当該励磁信号出力停止(大入賞口閉鎖)を指定する。また図示の「タイマ値」とは、特別図柄役物動作タイマのタイマ値を示し、そのタイマ値に対応する「設定値」とは、大入賞口開放用フラグの設定値(ON/OFFデータ)を示している。すなわち、図24の大入賞口開閉動作設定テーブルが参照される場合には、特別図柄役物動作タイマが図示の「タイマ値」となったとき、これに対応する「設定値」が大入賞口開放用フラグに設定されるようになっている。
たとえば「OPENTBL-D2」の場合、特別図柄役物動作タイマ「1800ms」に対応する設定値は「5AH」、「0ms」に対応する設定値は「00H」である。したがって、最初にステップS607の大入賞口開閉動作設定処理が実行されるときは、特別図柄役物動作タイマが「1800ms」であるので、大入賞口開放用フラグに「5AH」が設定され、以後、特別図柄役物動作タイマが「0ms」となるまで大入賞口開放用フラグに「5AH」が設定される(右大入賞口開放)。そして特別図柄役物動作タイマが「0ms」となったならば、大入賞口開放用フラグに「00H」が設定される(右大入賞口閉鎖)。したがって、1800ms間は、右大入賞口50は開放状態となる。
上記の設定値は、ソレノイド制御データとして、図12のソレノイド管理処理(ステップS100)中で確認され、当該設定値に基づいて、大入賞口ソレノイドに対する励磁信号の出力処理/停止処理が行われる。ただし、大入賞口の開放後に最大入賞数に達した場合には、特別図柄役物動作タイマがゼロクリアされ(特別図柄役物動作タイマ←0ms)、設定値が「00H」に設定されるので、大入賞口が最大開放時間経過前であっても強制的に閉鎖されることになる。なお、重複記載を避けるため詳細な説明は省略するが、図24(イ)の大当り用大入賞口開放動作設定テーブルのOPENTBL-D1、または図24(ハ)のV当り用大入賞口開放動作設定テーブルのOPENTBL-D4~D6などの他のOPENTBLが参照される場合についても同様に、タイマ値に対応する大入賞口開放用フラグ(00Hまたは5AH)が設定され、大入賞口の開閉動作が制御されるようになっている。
(17-3.小当り特別電動役物作動中処理:ステップS614)
次に、ステップS614の小当り特別電動役物作動中処理について説明する。この小当り特別電動役物作動中処理は、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」中において特別図柄役物動作タイマがゼロとなった場合、つまり、上述した開閉動作遊技時間の経過、V入賞の発生または最大入賞数による特別図柄役物動作タイマのゼロクリアされた場合に実行される(作動中(02H)、ステップS603:NOの処理ルート参照)。ここでは、開閉動作遊技の終了時の設定処理として、特別図柄役物動作タイマに、残存球排出時間(たとえば、1480ms(ラウンド遊技時))を設定し、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に更新する。
(17-4.小当り継続判定処理:ステップS615)
次に、ステップS615の小当り継続判定処理(ステップS615)について説明する。この小当り継続判定処理は、上記残存球排出時間が経過した後、右大入賞口50に入賞した全入賞球(全残存球)の排出が確認された場合に実行される(継続判定中(03H)、ステップS603:NOの処理ルート参照)。具体的には、残存球排出時間が経過した場合、右大入賞口排出確認カウンタがゼロであるか否か、つまりすべての入賞球の排出が完了か否かを判定し(入賞球排出確認処理(図示せず))、全入賞球の排出が完了された場合に、ステップS615の小当り継続判定処理が実行される。
ここでは、特別図柄役物動作タイマに「小当り終了インターバル時間(小当り終了INT)」を設定し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に更新する。ただし、ここで設定される小当り終了INTは、V入賞した場合には開放前インターバル(開放前INT)が設定され、非V入賞の場合には、エンディング演出の演出時間幅である「エンディング時間」が設定される。ただし、V入賞時の開放前INTは設定せずに、直ちに、上記V入賞INTを開始させてもよい。また、非V入賞時の小当り終了INTは、少なくとも小当り当選時の遊技状態に応じて異なり、当該遊技状態が通常状態の場合は10秒、時短状態中の場合は2.5秒が設定される。
なお図示はしていないが、残存球排出時間が経過した後に、残存球が排出されたか否かが監視され、所定時間内に全入賞球が排出されない場合には、球詰りによるエラーが発生したとみなして、排出エラー処理が実行されるようになっている。
(17-5.小当り終了処理:ステップS616)
次に、ステップS616の小当り終了処理について説明する。この小当り終了処理(ステップS616)は、上記小当り終了INTが経過した後に実行される(終了処理中(04H)、ステップS603:NOの処理ルート参照)。ここでは、小当り終了時の各種設定処理として、小当り中フラグをOFF状態(00H)に設定し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に更新する。この小当り終了処理の終了を以って、小当り遊技に関する一連の制御処理が終了される。
<大当り遊技制御処理(図13のステップS505~S509):図18~図20>
次に、図18~図20を参照して、本実施形態に係る大当り遊技(V当り遊技を含む)制御処理(図13の特別電動役物管理処理中のステップS505~S509)について詳細に説明する。
(18.大当り開始処理:図18)
まず、大当り開始処理(図13のステップS505)について説明する。図18は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合、またはV入賞した場合には、最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。なお、大当り遊技とV当り遊技は、共にラウンド遊技が実行される当り遊技であるので、以下では特に必要のない限り、大当り遊技とV当り遊技とを区別することなく、同じ大当り遊技に係る処理として説明する。
図18において、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511:大当り開始時の設定処理)。ここでは、大当り開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。
連続回数カウンタ(ラウンド数)に設定される値は、大当り抽選により当選した大当り(1種当り)であっても、小当り遊技中にV入賞によって当選したV当り(2種当り)であっても、同じ「1R目」に対応した値(01H)が設定される。これにより、V当り時には、V当り遊技が2R目から開始されるのではなく、1R目から開始されることになる。なお、いずれの当りであるか(当選種別)の識別は、特別図柄判定データ、V入賞フラグにより把握することができる。
次いで、役物連続作動装置作動開始時設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS512)、大当り遊技開始時に必要な設定処理を実行する(ステップS513:特別図柄判定データ別設定処理)。上記「役物連続作動装置作動開始時設定テーブル」には、当り種別に応じた「最大ラウンド数(規定ラウンド数)、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED」が定められている。CPU201は、役物連続作動装置作動開始時設定テーブルを参照して、今回の当り種別に応じて、最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LEDをRAM203の該当領域にそれぞれ格納する。「開始インターバル時間」には、大当りの場合は大当り開始INT(大当り開始インターバル時間)が設定され、V当り時には、V入賞INT(V入賞開始インターバル時間)が設定される。また「ラウンド表示LED番号」とは、最大ラウンド数(規定ラウンド数)を指定するデータであり、CPU201は、ラウンド表示LED番号に応じて、ラウンド数表示装置39bに対して今回の最大ラウンド数を表示させる。
上記ステップS513の処理を終えると、演出制御コマンドとして、オープニング演出の開始を指示する「当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。この「当り開始コマンド」には、今回の当り種別情報(大当り1~4、V当り1~4の別)と当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技・V当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、特別電動役物作動開始処理を抜けて、図12のステップS097の右打ち報知情報管理処理に進む。
(19.特別電動役物作動開始処理:図19)
次に、特別電動役物作動開始処理(図13のステップS506)について説明する。図19は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、図18のステップS513で設定された開始インターバル時間(大当り開始INT、V入賞INT)が監視されるが、1R目終了以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間」(後述の特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)で設定されるインターバル時間(不正監視期間))が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、演出制御コマンドとして、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この「大入賞口開放コマンド(ラウンド開始コマンド)」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブルを取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大当り時には図22(イ)、V当り時には図22(ハ)の大入賞口動作時間設定テーブルを参照して、当選種別と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。
(T21-1.大入賞口動作時間設定テーブル:図22(イ)(ハ))
上記大入賞口動作時間設定テーブルには、当選種別と現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間(大入賞口の最大開放時間)が定められており、当選種別と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間が決定されるようになっている。具体的には、大当り時の場合は、図22(イ)の大入賞口動作時間設定テーブルが参照され、図示のように、大当り1または大当り2の場合には1R~7Rまで30000ms(30秒)が、大当り3または大当り4の場合には1R~10Rまで30000msが設定される(図9A(A)の時刻t18以降参照)。
一方、V当り時の場合には、初回のラウンドが見做し1R目後半として扱うため、大入賞口動作時間は次のように設定される。V当り1またはV当り2の場合(小当り1または小当り2当選時におけるV入賞の場合)には、1R目は28200ms(図9A(A)の時刻t16~時刻t17、図10Aの時刻t16欄参照)が設定され、2R~7Rまで30000msが設定される。また、V当り3またはV当り4の場合(小当り3または小当り4当選時におけるV入賞の場合)には、1R目は28800ms(図9B(C)の時刻t57~時刻t58、図10Bの時刻t57欄参照)が設定され、2R~7Rまで30000msが設定される(図9B(C)の時刻t59以降参照)。
次いで、V入賞フラグがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS525)。
(V入賞フラグがON状態である場合:S525~S527の処理ルート)
V入賞フラグがON状態である場合(ステップS525:YES)、連続回数カウンタ(現在のラウンド数)が「01H」であるか否かを判定する(ステップS526)。連続回数カウンタが01Hでない場合(連続回数カウンタ≠01H)、つまり、現在のラウンド数が2R目以降であれば(ステップS526:YES)、右大入賞口入賞カウンタをクリア(00Hを格納)する(ステップS527)。しかし、連続回数カウンタが01Hである場合(連続回数カウンタ=01H)、つまり現在のラウンド数が1R目(見做し1R目)であれば(ステップS526:NO)、何もしないでステップS529の処理に進む。本実施形態では、ステップS526~S527の処理により、V当り時の1R目において、小当り遊技中(見做し1R前半)に、右大入賞口50に入賞した入賞数をゼロクリアしない。これにより、V当り時は、初回のラウンド(見做し1R目)における小当り遊技中~V当り遊技中に右大入賞口50に入賞した入賞数のすべてをカウントすることができるようになっている。
(V入賞フラグがOFF状態である場合:S525~S527の処理ルート)
V入賞フラグがOFF状態(≠5AH)である場合(ステップS525:NO)、この場合は、大当り遊技中であるので、下大入賞口40の入賞数をカウントする下大入賞口入賞数カウンタをクリアし(00Hを格納)(ステップS528)、ステップS529の処理に進む。
ステップS529の処理に進むと、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS529)。この大入賞口開閉動作設定処理は、既に説明した上記小当り処理時における大入賞口開閉動作設定処理(図14のステップS607)と実質的に同様の処理内容となっている。ここでは、大当りの場合には、図23(イ)の大当り用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルを参照して、大当り種別と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開閉動作設定テーブル(ここでは、OPENTBL-D1)を取得する。V当りの場合には、図23(ハ)のV当り用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルを参照して、V当り種別と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開閉動作設定テーブル(ここでは、OPENTBL-D4~6のいずれか)を取得する。そして、取得した大入賞口開閉動作設定テーブルと、特別図柄役物動作タイマ値に基づいて、下大入賞口40または右大入賞口50の開閉動作パターンを指定する。大入賞口開放用フラグの設定状態については、OPENTBL-D1の場合は図24(イ)、OPENTBL-D4~D6の場合は図24(ハ)に示す通りであり、具体的な開閉パターンは、(α)大当り1、2の場合、1R~7R目まで下大入賞口40を最大30秒間開放、(β)大当り3、4の場合は1R~10R目まで下大入賞口40を最大30秒間開放、(γ)V当り1、2の場合、1R目は右大入賞口50を最大28.2秒間開放(小当り遊技中は1.8秒開放)、2R~7R目まで右大入賞口50を最大30秒間開放、(δ)V当り3、4の場合、1R目は右大入賞口50を最大28.8秒間開放(小当り遊技中は1.2秒開放)、2R~7R目まで右大入賞口50を最大30秒間開放、となる。
ステップS529の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)(ステップS530)、特別電動役物作動開始処理を抜けて、特別電動役物作動開始処理を抜ける。
以上により、この特別電動役物作動開始処理を抜けると、特別電動役物作動開始処理を抜けて、図12のステップS097の右打ち報知情報管理処理に進む。
(20.特別電動役物作動中処理:図20)
次に、特別電動役物作動中処理(図13のステップS507)について説明する。図20は、特別電動役物作動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず下大入賞口入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この下大入賞口入賞数確認処理では、主に、下大入賞口センサ42aによる検出情報に基づき、下大入賞口40の入賞数をカウントし、その入賞数が最大入賞数に達したか否かをチェックする。最大入賞数に達した場合には、ステップS626の処理(図15参照)と同様に、特別図柄役物動作タイマをクリアする。またここでは、下大入賞口40への入賞を確認した場合、下大入賞口40に入賞したことを指定する入賞コマンドとして「下大入賞口入賞コマンド」を送信する。なお、下大入賞口40についても、オーバー入賞時には上記OV入賞用コマンドが送信される。この下大入賞口入賞コマンドやOV用入賞コマンドにより、演出制御部24は、下大入賞口50に遊技球が入賞したことおよび現在の入賞数を把握し、大当り遊技に係る入賞数報知演出などの入賞に関連する演出処理を行う。
次いで、右大入賞口入賞数確認処理を行う(ステップS552)。この右大入賞口入賞数確認処理は、既に説明した、図14中の右大入賞口入賞数確認処理(ステップS602、その詳細を示す図15参照)と同じである。したがって、重複記載を避けるために、その詳細な説明は省略する。
ステップS552の右大入賞口入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS553)。ここでの大入賞口開閉動作設定処理は、既に説明した図19中の特別電動役物作動開始処理中の大入賞口開閉動作設定処理(ステップS529)の仕方と同じであるため、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
次いで、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS554)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記大入賞口開放動作時間が設定されているので、ステップS554の判定処理では、大入賞口開放動作時間がゼロであるか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS554:NO)、何もしないで、特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放動作時間経過)になったならば(ステップS554:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS555)。この「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド間INT中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理を行う(ステップS556)。ここでは、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに、残存球排出時間(たとえば、1480ms)を格納する。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、特別電動役物作動開始処理を抜けて、図12のステップS097の右打ち報知情報管理処理に進む。
(20A.特別電動役物作動継続判定処理:ステップS508)
次に、図13の特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)について説明する。
ここではまず、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間が設定されている(図20中のステップS556参照)。この残存球排出時間が経過していない場合には、上記右大入賞口入賞数確認処理(図14のステップS602)を行い、残存球が排出されたか否かを判定し、残存球排出時間が経過した場合には、右大入賞口排出確認カウンタがゼロ、つまり入賞球がすべて排出されたか否かを判定する。そして、全入賞球が排出を確認したならば、規定ラウンド数(最大ラウンド数)に達したか否かに応じて、以下の処理を行う。
最大ラウンド数に達していない場合、ラウンド継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算し、開放前INT(20ms)を特別図柄役物動作タイマに設定し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新する。一方、規定ラウンド数に達した場合には、ラウンド非継続時の処理として、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に更新するとともに、特別図柄役物動作タイマに終了インターバル時間(大当りの場合は大当り終了INT、V当りの場合にはV当り終了INT)を設定し、演出制御コマンドとして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する。以上により、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
(20B.大当り終了処理:ステップS509)
次に、図13の大当り終了処理(ステップS509)について説明する。この大当り終了処理では、大当り遊技・V当り遊技の終了時に関する処理が実行される。
ここではまず、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマ(終了インターバル時間)がゼロであるか否かを判定する。終了インターバル時間が経過したならば、今回の大当り遊技またはV当り遊技で使用したV入賞フラグを含む各種のデータや上記状態バッファをクリアするとともに、今回の当選種別に応じた移行先遊技状態(図6参照)を指定する遊技状態指定データを設定し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に更新する。この大当り終了処理を以って、大当り遊技またはV当り遊技に関する一連の制御処理が終了される。
<21.演出制御側の処理:図21>
次に、図21を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図21)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図示せず)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
(11-1.演出制御側メイン処理:図21)
図21は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図21に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS071)。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073~S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し実行する。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、不図示の演出制御側タイマ割込処理中の所定の処理(メインループ更新処理)でカウントされる。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新している(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0~31)を循環するカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を実行するようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を実行する(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、演出制御部24側による演出抽選などに利用される。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を実行する(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を実行する。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報、当選種別情報)に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、演出シナリオを作成する(演出シナリオ作成処理)。この演出シナリオデータは、RAM243のシナリオ設定領域に格納される。CPU241は、シナリオデータに基づき、演出の現出制御を実行する。これにより、演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
また他のコマンドを受信した場合も同様に、そのコマンドに対応した演出の現出制御に関する演出処理が実行される。たとえば、V入賞コマンドを受信した場合にはV入賞時演出(たとえば、図36(B)、図37参照)、大入賞口入賞コマンドを受信した場合には入賞数報知演出(たとえば、図36(C)(D)、図37参照)、その他、受信した演出コマンドに応じて、設定示唆演出や当り中演出など、各種演出に関する演出シナリオ作成処理が実行される。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を実行する(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の現出タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。なお、上記演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用され、用途別に応じて1または複数のタイマが設けられている。
シナリオ更新処理では、上記演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データや、画像表示制御用の液晶コマンドなどを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に設定する。液晶コマンドは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において表示制御部に対して送信され(液晶コマンド送信処理)、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させ、これにより演出シナリオに沿った画像演出が実現される。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を実行する(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ45などの演出用LEDのLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成されたLEDデータは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において、当該LEDデータに基づく制御信号が光表示制御部を通じて演出用LEDに対して出力され、これにより演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、サウンド出力処理を実行する(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を実行する(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ(図示せず)の制御データを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成された制御データは、演出制御側タイマ割込処理(不図示)において、当該データに基づく制御信号が駆動制御部(モータ駆動回路)を通じて役物モータに対して出力される。これにより、演出シナリオに沿った可動体演出が実現される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を実行する(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態では、V入賞の有無が未確定であるため、右大入賞口50の開閉動作パターンに関する設定処理を、開放動作遊技開始時、小当り終了INT経過時、V入賞INT経過時などの複数のタイミングにて個別に行う構成について説明した(たとえば図14のステップS607、図19、図22~図24参照)。しかし本発明はこれに限らず、以下のように構成(第2の実施形態)することができる。
この第2の実施形態は、V入賞時を想定した右大入賞口50の開閉動作パターンに関する設定処理を、小当り開始を契機(たとえば、小当り開始INT経過時)に事前設定する、という形態である。具体的には、「見做し1R目の当り遊技(小当り遊技+V当り遊技)」に係る右大入賞口50の開閉動作パターンに関する設定処理を、小当り開始を契機に事前設定し、その後は、V入賞の発生の有無に応じて、右大入賞口50の開閉動作パターンを制御する。
以下、図9Bおよび図25を参照して、本実施形態について詳細に説明する。ここでは、代表的に、高速ルートに本実施形態を適用した形態について説明する。図9Bは、第1の実施形態と同様の高速ルートのタイムチャートであり、図25は、本実施形態の小当り遊技に係る制御処理内容の説明に供する概略説明図である。以下では、第1の実施形態と同じ構成要素、制御内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
(高速ルートにおけるV入賞の場合:図9B(C)、図25(イ))
まず図9B(C)、図25(イ)を参照して、V入賞の場合について説明する。
図9B(C)において、時刻t52~時刻t53の小当り開始INT(ここでは、0.秒)が経過した場合、右大入賞口50の開閉動作パターンに関する設定処理として、まず「小当り遊技(見做し1R前半)+V当り遊技(見做し1R後半)」の一連の開閉動作に関する右大入賞口50の大入賞口動作時間を設定する(以下、必要に応じて、「開始時設定処理」と称する)。具体的には、初期値である「開閉動作遊技の開放時間1.2秒(第1開放期間)+閉鎖INT4秒(閉鎖期間)+V当り遊技の開放時間28.8秒(第2開放期間)」の合計34秒分を、所定のタイマ(以下「開閉動作管理タイマ」と称する)に設定する(後述の図27のステップS812参照)。この「開閉動作管理タイマ」は、特別図柄役物動作タイマとは別に設けられたタイマであり、右大入賞口50の開閉動作制御を管理するタイマとして利用される。したがって、本実施形態に係る小当り処理については、右大入賞口50の開閉動作制御に係る処理以外は、第1の実施形態に係る小当り処理(図14~図17)と基本的に同じであるが、図14中のステップS607の大入賞口開閉動作設定処理において、特別図柄役物動作タイマではなく、上記開閉動作管理タイマに基づき制御(右大入賞口用ソレノイドのON/OFF設定処理)する点、非V入賞時に所定のタイミングにて開閉動作管理タイマをクリアする点などが異なる(これについての詳細は後述する)。また、上記「閉鎖INT」とは、たとえば、高速ルートの場合は「残存球排出期間(たとえば、開閉動作遊技終了時のインターバル時間1.5秒)+V入賞INT期間(たとえば、2.5秒)」の4秒、回転体ルートの場合は「残存球排出期間(1.5秒)+V入賞INT期間(たとえば、10秒)」の11.5秒である(図31(ロ)備考欄参照)である。
本実施形態では、上述した開閉動作管理タイマの値に基づき、右大入賞口50の一連の開閉動作パターンを制御する。この右大入賞口50の開閉制御(右大入賞口用フラグの設定など)については、第1の実施形態と実質的に同じ処理内容である。なお、本実施形態の場合、2R目開始前(小当り開始INT終了時)は、図32(ロ)に示す「開始時設定用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブル」が参照され、2R目以降は図32(ハ)に示す「V当り用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブル」が参照される。また、2R目開始前における右大入賞口開放用フラグの設定値については、図33に示す「開始時設定用大入賞口開閉動作設定テーブル(OPENTBL-D7、D8)」が参照される。これらのテーブルを利用して、図9Aに示す第1の実施形態のケースと同様の開閉動作パターンを実現可能となっている。なお、図31(ハ)および図32(ハ)に示すV当り用のテーブルには、1R目の設定データが除外されているが、これは、小当り開始INT終了時に1R目に関する所要のタイマ値が事前設定されるため、不必要だからである。
図9B(C)の説明に戻り、時刻t54においてV入賞が発生すると、第1の実施形態と同じく、少なくとも開閉動作遊技の終了を待って、V当り遊技(見做し1R後半)を開始させる。本例の場合、右大入賞口50の残り開放時間(図25(イ)の残り開放時間)および右大入賞口50の開閉状態の推移は、遊技状況に応じて下記(ツ)~(ノ)のようになる。
(ツ)時刻t52~時刻t53の小当り開始INT期間:
時刻t52~時刻t53の小当り開始INT期間が経過するまでは、開始時設定処理は実行されない。したがって、小当り開始INT中は、右大入賞口は閉鎖状態であり(大入賞口動作時間が未設定(ゼロ))、右大入賞口50の残り開放時間、つまり「第1開放期間」+「第2開放期間」は「0秒+0秒」である。
(ネ)時刻t53の小当り開始INT終了時(開閉動作遊技開始時):
この時刻t53の小当り開始INT終了が到来すると、上記開始時設定処理が実行される。開始時設定処理では、初期値として、「開閉動作遊技の開放時間1.2秒(第1開放期間)+閉鎖INT4秒(閉鎖期間)+V当り遊技の開放時間28.8秒(第2開放期間)」の34秒(図31(ロ)、備考1参照)が開閉動作管理タイマに設定される。図33に示すOPENTBL-D8を参照すれば、タイマ値が34000msのとき、右大入賞口開放用フラグの設定値が5AHであるので、小当り開始INT終了を契機に右大入賞口50の開放が開始される(開閉動作遊技開始)。以後、タイマ値が32800msになるまで、開放状態に制御される。また、残り開放時間(第1開放期間+第2開放期間)は「1.2秒+28.8秒」である。
(ナ)時刻t54のV入賞発生時(右大入賞口開放開始から1秒経過時):
時刻t54では、開閉動作管理タイマは「開閉動作遊技の開放時間0.2秒(1秒経過時残り第1開放期間)+閉鎖INT4秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」の33秒(右大入賞口開放中)であり、残り開放時間は、「0.2秒+28.8秒」となる。
(ラ)時刻t55の開閉動作終了時(残存球排出期間開始時):
この時刻t55が到来すると、開閉動作遊技の開放期間である1.2秒が終了し、開閉動作管理タイマは「開閉動作遊技の開放時間0秒+閉鎖INT4秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」の32.8秒(32800ms)となる。図33を参照すれば、タイマ値が32800msのとき、右大入賞口開放用フラグの設定値が00Hであるので、開放中の右大入賞口50が閉鎖状態に制御される。以後、タイマ値が28800msになるまで、閉鎖状態に制御される。また、残り開放時間は「0秒+28.8秒」となる。
(ム)時刻t56の残存球排出期間終了時(V入賞INT開始時):
時刻t56では、開閉動作管理タイマは「開閉動作遊技の開放時間0秒+閉鎖INT2.5秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」の31.3秒(右大入賞口閉鎖中)、残り開放時間は「0秒+28.8秒」となる。
(ウ)時刻t57のV入賞INT終了時(見做し1R目ラウンド遊技開始時):
時刻t57が到来すると、上記閉鎖INT(残存球排出期間+V入賞INT)が終了し、開閉動作管理タイマが「開閉動作遊技の開放時間0秒+閉鎖INT0秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」の28.8秒(28800ms)となる。図33を参照すれば、タイマ値が28800msのとき、右大入賞口開放用フラグの設定値が5AHであるので、閉鎖中の右大入賞口50が開放状態に制御される。以後、タイマ値がゼロになるまで、開放状態に制御され、見做し1R目におけるラウンド遊技が開始される。また、残り開放時間は「0秒+28.8秒」である。
(ヰ)時刻t58の見做し1R目ラウンド遊技の右大入賞口50閉鎖時:
時刻t58は、見做し1R目後半のラウンド遊技の最大開放時間である28.8秒が経過した時点であり、開閉動作管理タイマは「開閉動作遊技の開放時間0秒+閉鎖INT0秒+V当り遊技の開放時間0秒」のゼロとなる。図33を参照すれば、タイマ値が0のとき、右大入賞口開放用フラグの設定値が00Hであるので、開放中の右大入賞口50が閉鎖状態に制御される。また、残り開放時間は「0秒+0秒」となる。
(ノ)時刻t58~時刻t59のラウンド間INT:
時刻t58の右大入賞口50閉鎖時には、第1の実施形態と同様に、「ラウンド間INT(残存球排出時間+開放前INT)」が開閉動作管理タイマに設定される。そして、ラウンド間INTが経過すると(時刻t59)、1R目(見做し1R目)終了となる。2R目以降は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、上記大入賞口開閉動作時間として「開閉動作遊技の開放時間1.2秒+閉鎖INT4秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」を設定した例について説明したが、本発明はこれに限らず、ラウンド間INT(見做し1R目と2R目のインターバル時間)を含めた動作時間を設定してもよい。具体的には、「開閉動作遊技の開放時間1.2秒(第1開放期間)+閉鎖INT4秒+V当り遊技の開放時間28.8秒(第2開放期間)+ラウンド間INT1.5秒」を設定することができる。
(高速ルートにおける非V入賞の場合:図9B(D)、図25(ロ))
次に、図9B(D)、図25(ロ)を参照して、非V入賞の場合について説明する。
図9B(D)において、非V入賞の場合は、V当り遊技が実行されることなく(小当り遊技が見做し1ラウンドとして扱われることなく)、そのまま小当り遊技が終了する。このため、右大入賞口50の残り開放時間(図25(ロ)の残り開放時間)および右大入賞口50の開閉状態の推移は、遊技状況に応じて下記(ケ)のようになる。なお、図9B(D)における時刻t52~時刻t62の期間については、非V入賞であるかV入賞であるかの違いだけで、図9B(C)における時刻t52~時刻t56(上記(ツ)~(ラ))の内容と実質的に同じ内容である。以下では、時刻t52~時刻t62の期間についての説明は省略し、時刻t62以降に着目して説明する。
(ケ)時刻t62の残存球排出期間終了時(小当り終了INT開始時)
時刻t62では、残存球排出時間が終了して、非V入賞が確定した状態となっている。この時点での開閉動作管理タイマは「開閉動作遊技の開放時間0秒+閉鎖INT2.5秒+V当り遊技の開放時間28.8秒」となっている。しかし、このまま何も処理をしなければ、閉鎖INT(小当り終了INT)の経過後、閉鎖中の右大入賞口50が開放状態に制御されてしまう(図33参照)。そこで本実施形態では、この残存球排出期間が終了したときに、開閉動作管理タイマをクリア(開閉動作管理タイマ←00H)するようになっている。これにより、開閉動作管理タイマはゼロになり、以降、新たな小当りに当選するなどの開放条件を満たさない限り、右大入賞口50の閉鎖状態が維持される(図33のOPENTBL-D8のタイマ値‘0’の欄参照)。そして、時刻t63の小当り終了INTの経過を以って、今回の小当り遊技が終了される。なお、上記クリア処理は、小当り終了INT経過時に行ってもよい。
<26-1.小当り遊技制御処理(第2の実施形態):図26~図28>
次に、図26~図28を参照して、第2の実施形態に係る小当り遊技制御処理について説明する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
(26.小当り処理(第2の実施形態):図26)
まず図26を参照して、本実施形態に係る小当り処理(図13のステップS504)について説明する。図26は、小当り処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態と第1の実施形態の小当り処理(図14)とは、主に、ステップS607の処理が追加されている点と、ステップS607の処理に替えて、ステップS608の処理が設けられている点とが異なっている。以下では、図14のステップS601~S605の処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略し、ステップS607、ステップS608の処理に着目して説明する。
図26において、ステップS603の判定処理を終えると、特別電動役物動作ステータス別大入賞口開閉管理処理(ステップS607)を実行する。
(27.特別電動役物動作ステータス別大入賞口開閉管理処理:図27)
図27を参照して、上記特別電動役物動作ステータス別大入賞口開閉管理処理(図26のステップS607)について説明する。図27は、特別電動役物動作ステータス別大入賞口開閉管理処理を示すフローチャートである。
図27において、CPU201は、現在の特別電動役物動作ステータスを参照し、ステータス値が00H~04Hのいずれの値であるかに応じて、ステップS812~S813の各処理を実行する(ステップS811:特別電動役物動作ステータス分岐処理)。以下、ステップS812~S813の各処理について説明する。
特別電動役物動作ステータスについては、第1の実施形態で既に説明したように(図17参照)、小当り遊技開始時はまず「開始処理中(00H)」から「作動開始処理中(01H)」に更新され(ステップS612)、小当り開始INTが経過した場合に「作動中(02H)」に更新され(ステップS613)、開閉動作遊技に係る右大入賞口50の開閉動作時間が経過した場合に「継続判定処理中(03H)」に更新され(ステップS614)、残存球排出時間が経過し、かつ全入賞球の排出が完了した場合に「終了処理中(04H)」に更新され、小当り終了INTが経過した場合に「開始処理中(00H)」に更新されて、小当り遊技を終える。
上記「特別電動役物動作ステータス別大入賞口開閉管理処理」では、現在の特別電動役物動作ステータスが参照され、特別電動役物動作ステータスが、「開始処理中(01H)」、「作動中(02H)、または「終了処理中(04H)」のいずれかの場合には、何もせずにそのまま本処理を抜ける。
上記「作動開始処理中(01H)」の場合には、開始時設定処理を実行する(ステップS812)。たとえば、図31(ロ)の小当り開始時大入賞口動作時間設定テーブルを参照して、開閉動作管理タイマに、該当する「初期値(V入賞時右大入賞口動作時間)」を設定する。たとえば、小当り1~2(回転体ルート)の場合であれば、41.5秒、小当り3、4(高速ルート)の場合であれば、既に説明したように、34秒が設定される(図31(ロ)参照)。
また上記「継続判定中(03H)」の場合には、継続判定中設定処理を実行する(ステップS813)。上記「継続判定中(03H)」は、残存球排出時間が経過し、かつ全入賞球の排出が確認された場合に「終了処理中(04H)」に更新される(ステップS614~S615参照)。したがって、残存球排出時間が経過しても(継続判定中「03H」中のステップS603のYES)、全入賞球の排出が確認されるまでは、継続判定中「03H」が更新されず、継続判定中設定処理が実行されることになる。
この継続判定中設定処理では、図28に示すように、まず、開閉動作管理タイマのカウント(タイマ減算処理)を待機(中断)させる開閉動作管理タイマ待機処理を実行する(ステップS831)。この待機処理を行う理由は、下記の通りである。
たとえば、回転体ルートの場合、図9Aにて既に説明したように、残存球排出時間の経過前に必ずしもV入賞の可否が決定されない状況が発生する(残存球排出時間の経過前に全入賞球の排出が完了しない場合がある)。したがって、V入賞が発生した場合、V当り遊技の開始タイミング(V入賞INTの開始タイミング)が変動しうる。仮に、残存球排出時間経過時に開閉動作管理タイマのカウントを待機状態としないとすれば、全入賞球の排出が完了するまでに、開閉動作管理タイマのカウントが進んでしまい、右大入賞口50を閉鎖すべき期間であるのに開放されてしまうという不都合が生じてしまう(図33のタイマ値32800ms、28800msの欄参照)。また、V入賞した場合、後述の図29に示す大当り開始処理にて、特別図柄役物動作タイマにV入賞開始INT(1.5秒)が設定されるが、このとき、当該特別図柄役物動作タイマのカウントと同期する形で、開閉動作管理タイマのカウントを正しくカウントする必要があるためである。
ステップS831の待機処理を終えると、次いで、右大入賞口排出確認カウンタがゼロであるか否か、すなわち、全入賞球の排出が完了したか否かを判定する(ステップS832)。全入賞球の排出が完了していない場合(ステップS832:NO)、何もせずに継続判定中設定処理を抜ける。一方、全入賞球の排出が完了した場合(ステップS832:YES)、次いで、V入賞フラグがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS833)。
V入賞フラグがON状態である場合(ステップS833:YES)、何もせずに継続判定中設定処理を抜ける。すなわち、V入賞時には、開閉動作管理タイマのカウントを待機(中断)させたままとする。開閉動作管理タイマは、後述の図29に示す大当り開始処理中のステップS516の処理にて、待機状態(中断状態)が解除されて、カウントが再開されるようになっている。
一方、V入賞フラグがON状態でない場合(ステップS833:NO)、開閉動作管理タイマをゼロクリアする(ステップS835)。ステップS835の処理により、非V入賞時の場合には、全入賞球の排出が完了したときに開閉動作管理タイマがクリア(開閉動作管理タイマ←00H)され、以降、右大入賞口50の閉鎖状態が維持される(図33のOPENTBL-D7、D8のタイマ値‘0’の欄参照)。なお、残存球排出時間内に全入賞球の排出が完了した場合には、既に説明したように、残存球排出時間の経過したときに開閉動作管理タイマがクリアされる(図9B(D)の時刻t62参照)。
図26の小当り処理の説明に戻り、ステップS606の判定処理で、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」の場合には(ステップS606:=作動中(02H))、大入賞口開閉動作設定処理を実行する(ステップS608)。この大入賞口開閉動作設定処理は、図14のステップS607の処理と基本的な処理の仕方は同じである。ただしここでは、図32(ロ)の開始時設定用大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブル、図33の開始時設定用大入賞口開閉動作テーブル(OPENTBL-D7、D8)、および現在の開閉動作管理タイマ値に基づき、右大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データの作成を行い、右大入賞口50の開閉動作パターンを指定する。以後、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」から「継続判定中(03H)」に更新されるまで、つまり、開閉動作遊技期間が終了するまで、右大入賞口50の開閉動作パターンが開放状態に制御される。たとえば、小当り3、4当選時(高速ルート側)であれば、1.2秒が経過するまで、開放状態に制御される(図9Bの時刻t53~t時刻55、ステップS603、図17のステップS613、図33(タイマ値34000ms~32800msの欄)参照)。
<大当り遊技制御処理(第2の実施形態):図29~図30>
次に、図29~図30を参照して、本実施形態に係る大当り遊技(V当り遊技を含む)制御処理について説明する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
(29.大当り開始処理(第2の実施形態):図29)
次に、図29を参照して、本実施形態に係る大当り開始処理(図13のステップS505)について説明する。図29は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態と第1の実施形態の大当り開始処理(図17)とは、主に、ステップS515~S516の処理が追加されている点が異なっている。以下では、図18のステップS511~S514の処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略し、ステップS515~S516の処理に着目して説明する。
図29において、ステップS513の処理を終えると、V入賞フラグがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS515)。V入賞フラグがON状態でない場合(ステップS515:NO)、この場合は大当り遊技に係る当り開始コマンドを送信して(ステップS514)、の大当り開始処理を抜ける。
一方、V入賞フラグがON状態である場合(ステップS515:YES)、この場合はV当り遊技中であるので、上記開閉動作管理タイマ待機処理(図28のステップS835)において待機状態であった開閉動作管理タイマのカウントを再開させる(ステップS516)。これにより、ステップS513の処理において特別図柄役物動作タイマに設定されたV入賞INTと、開閉動作管理タイマのタイマ値(残り閉鎖INT分)が同期してカウントされることになる。そして、開始コマンドを送信して(ステップS514)、この大当り開始処理を抜ける。
(30.特別電動役物作動開始処理(第2の実施形態):図30)
次に本実施形態に係る特別電動役物作動開始処理(図13のステップS506)について説明する。図30は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態と第1の実施形態の特別電動役物作動開始処理(図19)とは、主に、ステップS531の処理が追加されている点が異なっている。以下では、図19のステップS521~S530の処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略し、ステップS531の処理に着目して説明する。
図30において、V入賞フラグがON状態である場合(ステップS525:YES)、連続回数カウンタ(現在のラウンド数)が「01H」であるか否かを判定する(ステップS526)。連続回数カウンタが01Hでない場合(連続回数カウンタ≠01H)、つまり、現在のラウンド数が2R目以降であれば(ステップS526:YES)、ステップS527~S530の処理を実行する。しかし、連続回数カウンタが01Hである場合(現在のラウンド数が1R目(見做し1R目)(ステップS526:NO)、開閉動作管理タイマ値に応じた右大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データの作成を行い、右大入賞口50の開閉動作パターンを指定する(ステップS531)。ここでの開閉動作管理タイマ値は、たとえば、小当り3、4(高速ルート側)であれば、V入賞INT経過後の「28800ms」となっている。これにより、1R目(見做し1R後半)のラウンド遊技が開始されることになる(図33のOPENTBL-D8参照)。その後、開閉動作管理タイマに基づき、右大入賞口50は、最大28.8秒間、開放状態に制御されるが、右大入賞口入賞数確認処理にて(図20のステップS552、その詳細を示す図15)右大入賞口入賞カウンタの値が最大入賞数以上になったと判断された場合(ステップS625:YES)、図示はしていないが、ステップS626の処理にて、特別図柄役物動作タイマとともに、開閉動作管理タイマもクリアされるようになっている。これにより、開閉動作管理タイマがゼロであない場合であっても、最大入賞数に達した場合に右大入賞口50が強制的に閉鎖されることになる。
以上のように本実施形態では、小当り遊技の開始を契機に(この実施形態の場合、開閉動作遊技開始する際(小当り開始INT終了時))に、V入賞時を考慮した右大入賞口50の開閉動作パターンに関する設定処理を行うため、第1の実施形態のように、複数のタイミングにて所定のタイマ値を設定する処理を行う必要がなく、小当り遊技の制御が簡易化され制御負担の軽減に寄与しうる。特に本実施形態は、全入賞球の排出完了を待ってから小当り遊技を終了させたり、V当り遊技を開始させたりするなどの2種的役物構成(いわゆる、羽根物や1種2種混合機など)の大入賞口に係る開閉制御に好適である。また、図36を用いて説明した演出系を本実施形態で現出させることができるのは勿論である。特に、図36(C)に示す入賞数報知演出136を現出させることが好ましい。
〔第3の実施形態〕
上記第1および第2の実施形態では、小当り遊技中の開閉動作遊技中にV入賞が発生した場合、その開閉動作遊技の終了を待って、V当り遊技を開始する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、開閉動作遊技中にV入賞が発生した場合、開閉動作遊技期間の終了を待つことなく、V当り遊技を継続的に開始する形態(第3の実施形態)とすることができる。具体的には、開閉動作遊技中にV入賞が発生した場合には、大入賞口が開閉動作管理タイマ開放中であれば、当該大入賞口を閉鎖することなく、そのままラウンド遊技を開始する(V入賞INTを介さずに開始する)、といった構成とすることができる。以下、この実施形態について、図34および図35用いて説明する。
図34に、本実施形態に係る小当り遊技の動作態様の説明に供するタイムチャートを、図35に、図34に示す小当り遊技に係る制御処理内容の説明に供する概略説明図を示す。ここでは、開閉動作遊技中にV入賞が発生しうる「高速ルート」を例にとり説明する。なお、図9B(A)の高速ルートで説明した内容と同じ内容については、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
(高速ルートにおけるV入賞の場合:図34(E)、図35(イ))
図34(E)は、開閉動作遊技中の右大入賞口開放期間中(時刻t53~時刻t71)の時刻t70(開閉動作遊技開始時から1秒経過時)に、V入賞が発生したケースを示している。本例の場合、時刻t70において、小当り遊技を終了させるが、右大入賞口50は閉鎖されることなく、V当り遊技のラウンド遊技(見做し1R後半)を開始させる。このとき、そのラウンド遊技の最大開放時間を、上記第1の実施形態のように、「1回のラウンド遊技における最大開放時間30秒から、小当り遊技(開閉動作遊技)における大入賞口の最大開放時間1.2秒を減算した‘28.8秒’を設定するのではなく、残り開放時間0.2秒に28.8秒を加算した‘29.0秒’を設定するようになっている。
具体的には、「1回のラウンド遊技における最大開放時間X(30秒)」-「開閉動作遊技における最大開放時間X(1.2秒)」+「V入賞時の開閉動作遊技における残り開放時間Z(0.2秒)」(「X-Y+Z」(秒))を、見做し1R後半のラウンド遊技における最大開放時間として設定する。したがって、見做し1R目の大入賞口開放時間は、結果的に、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間と同じ時間幅(30秒)が保障されるようになっている。また、小当り遊技中からV当り遊技に移行する際、大入賞口が閉鎖されることなく開放状態に制御されたまま移行され、その移行間でINT期間が介在することがなく、V当り時の当り遊技の消化スピードが速まる。本実施形態は、特に、時短状態中の高速ルートのように、連荘スピードを高めたい遊技状態に有用である。なお、完全に開放状態を維持するのではなく、小当り遊技中からV当り遊技に移行する際に、小当り遊技とV当り遊技との境界(切替り)を報知するために、小当り遊技終了後に大入賞口を短時間(たとえば、10ms~20ms程度)だけ閉鎖する動作を行い、その後、V当り遊技を開始してもよい。
なお、図34(F)に示す非V入賞のケースについては、図9B(D)で説明した内容と同じであるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、上記したように、大入賞口が一時的に閉鎖状態となる「V入賞INT」区間は設けていない。このため、図36に示す演出系については、図37に示すような演出態様を現出させることが好ましい。
図37に、本実施形態に係るV入賞した際の演出例を示す。なお図37では、右大入賞口50に遊技球が1個だけ入賞し、その遊技球がV入賞したケースを例示する。
本実施形態では、V入賞INT区間を設けていないため、図36のV入賞時演出120に相当する演出を、見做し1R目のラウンド中演出141として現出させることが好ましい。
詳しくは、図37(A)を参照して、本実施形態の場合、V入賞の発生を契機に、ラウンド中演出141として、少なくとも、ラウンド数表示演出132、V入賞時演出120、および入賞数報知演出136を含む画像表示演出を現出し、V入賞したことおよび現在の入賞数を報知することが好ましい。なお、図示の例では、入賞カウント画像137により、V入賞に要した遊技球1個分が既にカウントされた状態の演出例を示してある。そして、2R目以降に、図36(C)に相当する物語風演出134を現出させる(図37(B))。このような演出を現出させることにより、V入賞発生時には、V入賞したことおよび現在の入賞数が報知され、小当り遊技中からV当り遊技に移行する際にも違和感のない演出を現出させることができる。
以上に説明した各実施形態では、パチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。また、遊技機に利用される遊技媒体も特に制限はなく、遊技球や遊技メダルの他、電磁気的記録による遊技媒体を利用可能な遊技機(たとえば、所謂「封入式遊技機」)であってもよい。