JP2018033416A - 発酵乳の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特段の原料を追加することなく、冷蔵保存中における乳酸菌の生残率を向上させた発酵乳を製造できる発酵乳の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る発酵乳の製造方法では、原料乳を調製し、必要に応じて均質化した後に、原料乳を殺菌してから、発酵温度の近くまで冷却し、原料乳に乳酸菌スターターを接種して、原料乳を発酵させ、発酵乳を得る。そして、この発酵乳を48〜52℃、1分間以上で保持した後に、20〜30℃、5分間以上で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却する。【選択図】図1
Description
本発明は、発酵乳の製造方法に関し、特に、ブルガリア菌およびサーモフィルス菌を含む発酵乳の製造方法に関する。
ヨーグルトは、原料乳に乳酸菌スターター加えて発酵させることにより製造される。乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(ラクトバチルス・ブルガリクス)とサーモフィルス菌(ストレプトコッカス・サーモフィルス)が併用されることが多く、これらに加えて、ビフィズス菌等が添加される場合もある。なお、ブルガリア菌とサーモフィルス菌を混合接種(添加)すると、サーモフィルス菌がブルガリア菌の生育に必要な蟻酸を生成し、ブルガリア菌がサーモフィルス菌の増殖を促進するアミノ酸やペプチドを生成するため、これらの共生作用により、乳酸発酵を短時間で進行させることができる。
発酵後のヨーグルトは冷蔵保存されるが、一般的にブルガリア菌に代表されるように、低温耐性が高くない乳酸菌が存在するため、ヨーグルトの冷蔵保存中において、乳酸菌の生菌数が減少することがある。これに対して、ヨーグルトの冷蔵保存中において、乳酸菌の生菌数が減少しにくいことが要求されることがあり、乳酸菌の生残率を向上させる方法が種々で検討されている。
例えば、特許文献1には、乳酸菌による発酵前または発酵後にオレイン酸またはその塩若しくはそのエステルを添加することによって、保存後においても生菌数の減少が少ない低脂肪ヨーグルトを製造できることが記載されている。また、特許文献2には、発酵食品の製造段階においてグァバ葉エキスを添加した培地で乳酸菌を培養することにより、乳酸菌の増殖活性を向上させ、製品化後の生菌数を維持し得ることが記載されている。
しかしながら、特許文献1および2のように、通常の発酵乳の製造には使用しない特定の原料を添加することにより、乳酸菌の生残率を向上させる方法では、実際に添加する原料自体に特有の風味や物性があると、発酵乳の風味や物性の調整が困難であり、また、実際に添加する原料の分だけ、製造費が上昇してしまうという問題がある。
それ故に、本発明は、特段の原料を追加(添加)することなく、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させた発酵乳を製造できる発酵乳の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る発酵乳の製造方法は、原料乳に乳酸菌スターターを接種して、所定の発酵温度、所定の発酵時間で発酵させて得た発酵乳を、48〜52℃、1分間以上で保持した後に、20〜30℃、5分間以上で保持してから、所定の冷蔵(保存)温度まで冷却することを特徴とするものである。
本発明によれば、特段の原料を追加することなく、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させた発酵乳を製造できる発酵乳の製造方法を提供できる。
図1は、実施形態に係る発酵乳の製造方法の一例を示す図である。図1に示す製造方法は、乳酸菌スターターを接種した原料乳を容器に充填して密封してから発酵させるものであり、ハード(セット)タイプ(固形状)やプレーンタイプの発酵乳(ヨーグルト)の製造に適している。
まず、撹拌機能とジャケット付のタンク等を用いて、生乳、脱脂乳、クリーム、水等の原料を混合して、原料乳(ヨーグルトミックス)を調製(調合)する(ステップS1)。生乳および脱脂乳では、これらの両方を使用しても良いし、これらの何れかのみを使用しても良い。ここで、脱脂乳とは、生乳からクリーム成分(乳脂肪分)を分離した脱脂乳そのものの形態と、脱脂乳そのものから水分を除去して濃縮させた脱脂濃縮乳の形態と、脱脂乳そのものから水分を除去して濃縮・乾燥させた脱脂粉乳の形態とを含むものとする。そして、脱脂乳、脱脂濃縮乳および脱脂粉乳では、これらの全部を使用しても良いし、これらの一部や何れかのみを使用しても良い。また、脱脂乳、脱脂濃縮乳および脱脂粉乳では、通常の脱脂乳、脱脂濃縮乳および脱脂粉乳の他に、ナトリウムやカリウム等のミネラル類を低減した脱塩脱脂乳、脱塩脱脂濃縮乳および脱塩脱脂粉乳を使用しても良い。なお、クリームでは、例えば、発酵乳に滑らかさを付与するため、原料乳に配合され、生クリームの他に、コンパウンドクリーム等を使用しても良い。
次に、ホモミキサーやホモジナイザー等を用いて、原料乳を均質化する(ステップS2)。このステップでは、生乳やクリームに含まれる乳脂肪分の分離や浮上を防止や抑制するため、脂肪球を細かく砕いて微粒化させ、原料乳に分散させる。ただし、生乳やクリームを配合しない場合には、このステップを省略してもよい。
次に、間接加熱装置や直接加熱装置や通電加熱装置等を用いて、原料乳を所定の殺菌温度まで加熱し、所定の殺菌時間で保持して、原料乳を殺菌する(ステップS3)。ここで、必要に応じて、間接加熱装置やタンク等を用いて、原料乳を所定の予熱温度まで加熱し、所定の予熱時間で保持してから、原料乳を殺菌する。このステップでは、原料乳を殺菌する前に、必要に応じて、原料乳のpHを調整しても良い。そして、原料乳を殺菌した後には、例えば、原料乳を発酵温度の近くまで冷却する(ステップS4)。
次に、原料乳に乳酸菌スターターを接種して攪拌(混合)する(ステップS5)。乳酸菌スターターでは、何れの乳酸菌を含むものを使用しても良いが、好ましくは、ブルガリア菌を含むものを使用し、より好ましくは、ブルガリア菌およびサーモフィルス菌を含むものを使用する。なお、これらの乳酸菌に加えて、例えば、ガゼリ菌、カゼイ菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌、プロピオン酸菌等を追加して使用しても良い。
次に、原料乳を容器に充填し、この容器を蓋等で密封する(ステップS6)。なお、原料乳を容器に充填する前に、タンク(回分式)や配管(インライン式)等を用いて、副原料(糖液、果肉、野菜、果汁、野菜汁、ソース、プレパレーション等)を発酵乳に追加(混合)しても良いし、原料乳を容器に充填する際に、個々の容器で、副原料を発酵乳に追加しても良い。その後、恒温室等を用いて、原料乳を所定の発酵温度、所定の発酵時間で発酵させる(ステップS7)。ここで、乳酸菌スターターの種類にもよるが、発酵温度では、例えば32〜45℃であり、好ましくは35〜45℃であり、より好ましくは37〜43℃であり、さらに好ましくは40〜43℃である。そして、発酵時間では、例えば1〜36時間であり、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは2〜12時間であり、さらに好ましくは2〜8時間であり、さらに好ましくは3〜6時間であり、さらに好ましくは3〜4時間である。また、発酵を終了する時の酸度(乳酸酸度)では、無脂乳固形分が9〜10重量%の原料乳(ヨーグルトミックス)の場合に、例えば0.6%であり、好ましくは0.65%であり、より好ましくは0.67%であり、さらに好ましくは0.7%であり、さらに好ましくは0.72%である。
発酵を終了した後には、恒温室等を用いて、発酵乳を48〜52℃まで加温し、48〜52℃、1分間以上で保持する(ステップS8)。このステップでは、発酵乳の保持温度が48℃未満であると、発酵が更に進行して酸度が高くなるため、好ましくは、発酵温度から48℃以上まで短時間で加温する。ここで、発酵乳の保持温度では、例えば48〜52℃であり、好ましくは48〜51℃であり、より好ましくは49〜51℃であり、さらに好ましくは49〜50℃である。そして、発酵乳の保持時間では、例えば1分間以上であり、好ましくは1〜50分間であり、より好ましくは3〜50分間であり、さらに好ましくは5〜50分間であり、さらに好ましくは10〜50分間であり、さらに好ましくは15〜50分間であり、さらに好ましくは20〜50分間であり、さらに好ましくは25〜45分間であり、さらに好ましくは25〜40分間であり、さらに好ましくは30〜40分間であり、さらに好ましくは30〜35分間である。次に、恒温室等を用いて、発酵乳を20〜30℃まで冷却し、20〜30℃、5分間以上で保持する(ステップS9)。このステップでは、発酵乳の保持温度が30℃超であると、発酵が更に進行して酸度が高くなるため、好ましくは、発酵温度から30℃以下まで短時間で冷却(急冷)する。ここで、発酵乳の保持温度では、例えば20〜30℃であり、好ましくは20〜28℃であり、より好ましくは20〜26℃であり、さらに好ましくは22〜26℃である。そして、発酵乳の保持時間では、例えば5分間以上であり、好ましくは5分間〜5時間であり、より好ましくは10分間〜5時間であり、さらに好ましくは20分間〜5時間であり、さらに好ましくは0.5〜5時間であり、さらに好ましくは1〜5時間であり、さらに好ましくは1.5〜4時間であり、さらに好ましくは1.5〜3.5時間であり、さらに好ましくは1.7〜3.5時間であり、さらに好ましくは1.7〜3時間である。その後、冷蔵室等を用いて、発酵乳を冷蔵(保存)温度まで短時間で冷却して保管する(ステップS10)。ここで、発酵乳の冷蔵(保存)温度では、例えば1〜10℃であり、好ましくは1〜8℃であり、より好ましくは3〜8℃であり、3〜5℃である。なお、短時間とは、例えば1〜20分間であり、好ましくは1〜15分間であり、より好ましくは2〜10分間であり、さらに好ましくは2〜5分間である。
また、発酵を終了した後には、恒温室等を用いて、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて2〜10℃の何れかの高い温度差に加温し、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて2〜10℃の何れかの高い温度差、1分間以上で保持する(ステップS8)。ここで、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて加温する温度差では、例えば2〜10℃であり、好ましくは2〜8℃であり、より好ましくは2〜7℃であり、さらに好ましくは2〜6℃である。そして、発酵乳の保持時間では、例えば1分間以上であり、好ましくは1〜50分間であり、より好ましくは3〜50分間であり、さらに好ましくは5〜50分間であり、さらに好ましくは10〜50分間であり、さらに好ましくは20〜50分間であり、さらに好ましくは25〜45分間であり、さらに好ましくは25〜40分間であり、さらに好ましくは30〜40分間であり、さらに好ましくは30〜35分間である。次に、恒温室等を用いて、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて10〜25℃の何れかの低い温度差に冷却し、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて10〜25℃の何れかの高い温度差、1分間以上で保持する(ステップS8)。ここで、それぞれの発酵乳の至適の発酵温度に比べて冷却する温度差では、例えば10〜23℃であり、好ましくは10〜20℃であり、より好ましくは10〜18℃であり、さらに好ましくは10〜15℃である。そして、発酵乳の保持時間では、例えば5分間以上であり、好ましくは5分間〜5時間であり、より好ましくは10分間〜5時間であり、さらに好ましくは20分間〜5時間であり、さらに好ましくは0.5〜5時間であり、さらに好ましくは1〜5時間であり、さらに好ましくは1.5〜4時間であり、さらに好ましくは1.5〜3.5時間であり、さらに好ましくは1.7〜3.5時間であり、さらに好ましくは1.7〜3時間である。
図2は、実施形態に係る発酵乳の製造方法の他の一例を示す図である。図2に示す製造方法は、乳酸菌スターターを接種した原料乳をタンク等に充填して密封してから発酵させるものであり、ソフトタイプ(糊状)やドリンクタイプ(液状)の発酵乳の製造に適している。
まず、原料を混合して、原料乳を調製し(ステップS1)、原料乳を均質化(ステップS2)してから、原料乳を殺菌する(ステップS3)。そして、原料乳を殺菌した後には、例えば、原料乳を発酵温度の近くまで冷却(ステップS4)してから、乳酸菌スターターを接種して攪拌する(ステップS5)。なお、これらのステップS1〜S5は、図1で説明したものと同じである。
次に、タンク等を用いて、原料乳を所定の発酵温度、所定の発酵時間で発酵させる(ステップS6’)。ここで、発酵温度、発酵時間、発酵を終了する時の酸度等は、図1で説明したものと同じである。
発酵を終了した後には、間接加熱装置やタンク等を用いて、発酵乳を48〜52℃まで加温し、48〜52℃で保持する(ステップS7’)。次に、発酵乳を20〜30℃まで冷却し、20〜30℃で保持する(ステップS8’)。ここで、発酵乳の保持温度、発酵乳の保持時間等は、図1で説明したものと同じである。その後、間接加熱装置やタンク等を用いて、発酵乳を冷蔵温度まで急冷する(ステップS9’)。ここで、発酵乳の冷蔵温度等は、図1で説明したものと同じである。
次に、発酵乳を容器に充填し、この容器を蓋等で密閉する(ステップS10’)。なお、発酵乳を容器に充填する前に、タンク(回分式)や配管(インライン式)等を用いて、副原料(糖液、果肉、野菜、果汁、野菜汁、ソース、プレパレーション等)を発酵乳に追加(混合)しても良いし、発酵乳を容器に充填する際に、個々の容器で、副原料を発酵乳に追加しても良い。
一般的な発酵乳の製造方法では、発酵が終了すると、発酵乳を冷蔵(低温)保存温度まで短時間で(速やかに)冷却(急冷)して保管する。これに対して、本発明に係る発酵乳の製造方法では、発酵が終了してから、発酵乳を冷蔵保存温度まで冷却する間に、発酵乳を発酵温度(32〜45℃)から高温保持温度(48〜52℃)まで加温して、この温度域に1分間以上で保持する工程(図1のステップS8、図2のステップS7’)と、発酵乳を高温保持温度(48〜52℃)から中温保持温度(20〜30℃)まで冷却して、この温度域に5分間以上で保持する工程(図1のステップS9、図2のステップS8’)が設けられる。これらの工程を設けることにより、本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、冷蔵保存中(冷蔵保存後)における等の乳酸菌ブルガリア菌の生残率を向上させることができる。
従来技術(技術常識)では、50℃前後で、乳酸菌の活性が低下し、乳酸菌が増殖しにくく、52℃超で、乳酸菌が死滅しやすく、10℃以下で、乳酸菌の活性が低下し、乳酸菌が増殖しにくいことが知られている。しかしながら、本発明の発明者らは、本発明に係る発酵乳の製造方法のように、発酵を終了した後に、発酵乳を発酵温度(32〜45℃)から高温保持温度(48〜52℃)まで加温して、発酵乳を高温保持温度(48〜52℃)の温度域において、乳酸菌の活性が低下しすぎない程度の時間(期間)で保持して、乳酸菌に適度な加熱ストレス(ヒートショック)を与えてから、発酵乳を高温保持温度(48〜52℃)から中温保持温度(20〜30℃)まで冷却して、発酵乳を中温保持温度(20〜30℃)の温度域において、乳酸菌の活性が低下しすぎない程度の時間で保持して、乳酸菌に適度な冷却ストレス(コールドショック)を与えると、ブルガリア菌等の乳酸菌の低温耐性が発現や向上されることを見出した。また、本発明の発明者らは、一般的な発酵乳の製造方法のように、発酵を終了した後に、発酵温度(40〜45℃)から冷蔵(低温)保存温度(1〜10℃)まで急冷すると、ブルガリア菌等の乳酸菌の低温耐性が十分に発現や向上されていないことを見出した。すなわち、本発明に係る発酵乳の製造方法のように、発酵を終了した後に、発酵乳を発酵温度(32〜45℃)から高温保持温度(48〜52℃)まで加温して、発酵乳を高温保持温度(48〜52℃)の温度域において、乳酸菌の活性が低下しすぎない程度の時間(期間)で保持して、乳酸菌に適度な加熱ストレスを与えてから、発酵乳を高温保持温度(48〜52℃)から中温保持温度(20〜30℃)まで冷却して、発酵乳を中温保持温度(20〜30℃)の温度域において、乳酸菌の活性が低下しすぎない程度の時間で保持して、乳酸菌に適度な冷却ストレスを与えると、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させることができることを見出した。
また、本発明に係る発酵乳の製造方法では、ブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させる目的において、特段の原料を追加(添加)する必要がないので、実際に添加した原料により、風味や物性が損なわれることがなく、また、実際に添加した原料の分だけ、製造費が上昇(増加)することもない。
また、本発明に係る発酵乳の製造方法では、ブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させることができるため、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌数(生菌数)を所定の数値以上で維持することができる。すなわち、ブルガリア菌等の乳酸菌数を規格値に設けている発酵乳等の商品(特定保健用食品等)では、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌数を所定の数値以上で維持しながら、賞味期限を効果的に延長することができる。このとき、本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、賞味期限の延長時間(延期の日数)が例えば2日間以上であり、好ましくは3日間以上であり、より好ましくは5日間以上であり、さらに好ましくは7日間以上であり、さらに好ましくは10日間以上であり、さらに好ましくは14日間以上である。
また、本発明に係る発酵乳の製造方法では、ブルガリア菌等の乳酸菌の生残率を向上させることができるため、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌数(生菌数)を所定の数値以上で維持することができる。すなわち、ブルガリア菌等の乳酸菌数を規格値に設けている発酵乳等の商品(特定保健用食品等)では、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌数を所定の数値以上で維持しながら、乳酸菌スターターの接種量(添加濃度)を効果的に低減して、製造費も効果的に低減することができる。このとき、本発明に係る発酵乳の製造方法では、一般的な発酵乳の製造方法と比べて、乳酸菌スターターの接種量の低減率(減少分の割合)が例えば10%以上であり、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、冷蔵保存中(冷蔵保存後)におけるブルガリア菌等の乳酸菌のいずれかの生残率が冷蔵保存の16日目において、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.3倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上であり、さらに好ましくは2倍以上であり、さらに好ましくは2.5倍以上であり、さらに好ましくは3倍以上であり、さらに好ましくは3.5倍以上である。また、本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌のいずれかの生残率が冷蔵保存の17日目において、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.3倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上であり、さらに好ましくは2倍以上であり、さらに好ましくは2.5倍以上であり、さらに好ましくは3倍以上であり、さらに好ましくは3.5倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上である。また、本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌のいずれかの生残率が冷蔵保存の25日目において、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.3倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上であり、さらに好ましくは2倍以上であり、さらに好ましくは2.5倍以上であり、さらに好ましくは3倍以上であり、さらに好ましくは3.5倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上である。また、本発明に係る発酵乳の製造方法で製造した発酵乳では、一般的な発酵乳の製造方法で製造した発酵乳と比べて、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌のいずれかの生残率が冷蔵保存の35日目において、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.3倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上であり、さらに好ましくは2倍以上であり、さらに好ましくは2.5倍以上である。なお、生残率では、製造日の乳酸菌数に対する冷蔵保存した後の乳酸菌数の割合(%)として算出した。
一方、本発明は、原料乳に乳酸菌スターターを接種して、所定の発酵温度、所定の発酵時間で発酵させて得た発酵乳を、48〜52℃、1分間以上で保持した後に、20〜30℃、5分間以上で保持してから、所定の冷蔵(保存)温度まで冷却することを特徴とする、冷蔵保存中における乳酸菌数(生菌数)の維持方法でもある。また、本発明は、原料乳に乳酸菌スターターを接種して、所定の発酵温度、所定の発酵時間で発酵させて得た発酵乳を、48〜52℃、1分間以上で保持した後に、20〜30℃、5分間以上で保持してから、所定の冷蔵(保存)温度まで冷却することを特徴とする、冷蔵保存中における乳酸菌の生残率(生残性)の向上方法でもある。このとき、本発明に係る発酵乳の製造方法の操作条件や処理条件等を適宜採用することができる。なお、発酵乳について、製造日の乳酸菌数に対する冷蔵保存した後の乳酸菌数の割合(%)を生残率として定義した。
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
(実施例1)
実施例1では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃(48〜52℃)、30分間(10分間以上)で保持し、25℃(10〜20℃)、2時間(1時間以上)で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
実施例1では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃(48〜52℃)、30分間(10分間以上)で保持し、25℃(10〜20℃)、2時間(1時間以上)で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
まず、生乳:500g、脱脂粉乳:49.8g、生クリーム:22g、水:398.2gを混合して、原料乳(ヨーグルトミックス)を調製した。原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、43℃に冷却した。次に、乳酸菌スターター(明治ブルガリアヨーグルトLB81(商品名、株式会社 明治)から分離したバルクスターター)を30g(原料乳の合計の3重量%)接種した後に、プラスチック製のカップ容器(容量:100g)へ原料乳(乳酸菌スターターを含む)を充填し、43℃の発酵室に静置して発酵させた。そして、乳酸酸度が0.7%に到達した時点で発酵を終了した。
発酵を終了した後に、カップ容器を温水浴させて、高温保持温度である50℃まで短時間で加温してから、50℃の恒温室を用いて、30分間で保持した。次に、カップ容器を冷水浴させて、中温保持温度である25℃まで短時間で冷却してから、25℃の恒温室を用いて、2時間で保持した。その後、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、実施例1に係るセット(ハード)タイプ(かつプレーンタイプ)の発酵乳(ヨーグルト)を製造した。この製造した後の発酵乳を、5℃の冷蔵室に保管した。
(比較例1)
比較例1では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
比較例1では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
実施例1と同じ原料乳および製造方法で発酵させた。発酵を終了した後に、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、比較例1に係るセット(ハード)タイプ(かつプレーンタイプ)の発酵乳(ヨーグルト)を製造した。この製造した後の発酵乳を、5℃の冷蔵室に保管した。
実施例1に係る発酵乳および比較例1に係る発酵乳について、製造日の乳酸菌数(生菌数)と、製造日から17日間で冷蔵保存(5℃で保管)した後の乳酸菌数を測定した。また、製造日の乳酸菌数に対する冷蔵保存した後の乳酸菌数の割合(%)を生残率として算出した。
表1に、実施例1および比較例1に係る発酵乳の乳酸菌数および生残率を示す。なお、表1に示す乳酸菌数の測定値は、それぞれ3個の試料の測定値の平均値である。
5℃の冷蔵室を用いて、実施例1に係る発酵乳を5℃、17日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、22.0×107cfu/gから13.7×107cfu/gに減少し、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、62.3%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、26.4×108cfu/gから48.7×108cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、184.5%であった。また、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、酸度は、0.91%であった。
一方、5℃の冷蔵室を用いて、比較例1に係る発酵乳を5℃、17日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、16.7×107cfu/gから2.2×107cfu/gに減少し、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、13.2%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、22.7×108cfu/gから42.0×108cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、185.0%であった。また、発酵乳の製造日から17日間で冷蔵保存した後に、酸度は、0.86%であった。
以上より、発酵乳を冷蔵(5℃)にて、所定の期間(製造日から17日間)で保管した場合、実施例1に係る発酵乳では、比較例1に係る発酵乳と比べて、ブルガリア菌の生残率が4.7倍に増加した。なお、実施例1に係る発酵乳では、比較例1に係る発酵乳と比べて、サーモフィルス菌の生残率は同等であったが、サーモフィルス菌の生残率は十分な数値であった。
(実施例2)
実施例2では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃、30分間で保持し、25℃、2時間で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
実施例2では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃、30分間で保持し、25℃、2時間で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
まず、生乳:500g、脱脂粉乳:49.8g、生クリーム:22g、水:398.2gを混合して、原料乳(ヨーグルトミックス)を調製した。原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、43℃に冷却した。次に、乳酸菌スターター(明治十勝ヨーグルト(商品名、株式会社 明治)から分離したバルクスターター)を30g(原料乳の合計の3重量%)接種した後に、プラスチック製のカップ容器(容量:100g)へ原料乳(乳酸菌スターターを含む)を充填し、43℃の発酵室に静置して発酵させた。そして、乳酸酸度が0.7%に到達した時点で発酵を終了した。
発酵を終了した後に、カップ容器を温水浴させて、高温保持温度である50℃まで短時間で加温してから、50℃の恒温室を用いて、30分間で保持した。次に、カップ容器を冷水浴させて、中温保持温度である25℃まで短時間で冷却してから、25℃の恒温室を用いて、2時間で保持した。その後、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、実施例2に係るセット(ハード)タイプの発酵乳(ヨーグルト)を製造した。そして、5℃の冷蔵室を用いて、この製造した後の発酵乳を5℃で保管した。
(比較例2)
比較例2では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
比較例2では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
実施例2と同じ原料乳および製造方法で発酵させた。発酵を終了した後に、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、比較例2に係るセット(ハード)タイプの発酵乳(ヨーグルト)を製造した。そして、5℃の冷蔵室を用いて、この製造した後の発酵乳を5℃で保管した。
実施例2に係る発酵乳および比較例2に係る発酵乳について、製造日の乳酸菌数(生菌数)と、製造日から16日間で冷蔵保存(5℃で保管)した後の乳酸菌数と、製造日から25日間で冷蔵保存(5℃で保管)した後の乳酸菌数と、製造日から35日間で冷蔵保存(5℃で保管)した後の乳酸菌数を測定した。また、製造日の乳酸菌数に対する冷蔵保存した後の乳酸菌数の割合(%)を生残率として算出した。
表2に、実施例2および比較例2に係る発酵乳の乳酸菌数および生残率を示す。なお、表2に示す乳酸菌数の測定値は、それぞれ2個の試料の測定値の平均値である。
5℃の冷蔵室を用いて、実施例2に係る発酵乳を5℃、16日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、13.0×107cfu/gから18.0×107cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、138.5%であった。また、発酵乳の製造日から16日後のサーモフィルス菌の菌数は、10.0×108cfu/gから12.7×108cfu/gに減少し、サーモフィルス菌の生残率は、127.0%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、実施例2に係る発酵乳を5℃、25日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、25.5×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、196.2%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、12.8×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、128.0%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、実施例2に係る発酵乳を5℃、35日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、11.0×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、84.6%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、6.5×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、65.0%であった。
一方、5℃の冷蔵室を用いて、比較例2に係る発酵乳を5℃、16日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、11.5×107cfu/gから4.5×107cfu/gに減少し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、39.1%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、11.8×108cfu/gから12.0×108cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、101.7%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、比較例2に係る発酵乳を5℃、25日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、4.0×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、34.8%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、9.2×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、78.0%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、比較例2に係る発酵乳を5℃、35日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、3.5×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、30.4%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、8.0×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、67.8%であった。
以上より、発酵乳を冷蔵(5℃)にて、所定の期間(発酵乳の製造日から16日間、25日間および35日間)で保管した場合、実施例2に係る発酵乳では、比較例2に係る発酵乳と比べて、それぞれのブルガリア菌の生残率が3.5倍(16日間)、5.6倍(25日間)および2.8倍(35日間)に増加した。また、実施例2に係る発酵乳では、比較例2に係る発酵乳と比べて、それぞれのサーモフィルス菌の生残率が1.3倍(16日間)および1.6倍(25日間)に増加し、1.0倍(35日間)と同等であった。なお、実施例2に係る発酵乳では、比較例2に係る発酵乳と比べて、必ずしもサーモフィルス菌の生残率は増加していなかったが、それぞれのサーモフィルス菌の生残率は十分な数値であった。
(実施例3)
実施例3では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃、30分間で保持し、25℃、2時間で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
実施例3では、発酵を終了した後に、発酵乳を50℃、30分間で保持し、25℃、2時間で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却した。
まず、生乳:500g、脱脂粉乳:49.8g、生クリーム:22g、水:398.2gを混合して、原料乳(ヨーグルトミックス)を調製した。原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、43℃に冷却した。次に、乳酸菌スターター(明治プロビオヨーグルトR−1(商品名、株式会社 明治)から分離したバルクスターター)を30g(原料乳の合計の3重量%)接種した後に、プラスチック製のカップ容器(容量:100g)へ原料乳(乳酸菌スターターを含む)を充填し、43℃の発酵室に静置して発酵させた。乳酸酸度が0.7%に到達した時点で発酵終了とした。
発酵を終了した後に、カップ容器を温水浴させて、高温保持温度である50℃まで短時間で加温してから、50℃の恒温室を用いて、30分間で保持した。次に、カップ容器を冷水浴させて、中温保持温度である25℃まで短時間で冷却してから、25℃の恒温室を用いて、2時間で保持した。その後、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、実施例3に係るセット(ハード)タイプの発酵乳(ヨーグルト)を製造した。そして、5℃の冷蔵室を用いて、この製造した後の発酵乳を5℃で保管した。
(比較例3)
比較例3では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
比較例3では、発酵を終了した後に、発酵乳を冷蔵保存温度まで(一気に)冷却した。
実施例3と同じ原料乳および製造方法で発酵させた。発酵を終了した後に、カップ容器を冷水浴させて、冷蔵保存温度である5℃まで短時間で冷却し、比較例3に係るセット(ハード)タイプの発酵乳(ヨーグルト)を製造した。そして、5℃の冷蔵室を用いて、この製造した後の発酵乳を5℃で保管した。
実施例3に係る発酵乳および比較例3に係る発酵乳について、製造日の乳酸菌数(生菌数)と、製造日から16日間で冷蔵保管(5℃で保管)した後の乳酸菌数と、製造日から25日間で冷蔵保管(5℃で保管)した後の乳酸菌数と、製造日から35日間で冷蔵保管(5℃で保管)した後の乳酸菌数を測定した。また、製造日の乳酸菌数に対する冷蔵保存した後の乳酸菌数の割合(%)を生残率として算出した。
表3に、実施例3および比較例3に係る発酵乳の乳酸菌数および生残率を示す。なお、表3に示す乳酸菌数の測定値は、それぞれ2個の試料の測定値の平均値である。
5℃の冷蔵室を用いて、実施例3に係る発酵乳を5℃、16日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、13.9×107cfu/gから16.9×107cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、121.6%であった。また、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の菌数は、11.7×108cfu/gから11.0×108cfu/gに減少し、サーモフィルス菌の生残率は、94.0%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、実施例3に係る発酵乳を5℃、25日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、12.5×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、89.9%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、8.3×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、70.9%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、実施例3に係る発酵乳を5℃、35日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、9.0×107cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、64.7%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、5.5×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、47.0%であった。
一方、5℃の冷蔵室を用いて、比較例3に係る発酵乳を5℃、16日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、14.7×107cfu/gから0.3×107cfu/gに減少し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、ブルガリア菌の生残率は、2.0%であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、10.2×108cfu/gから8.2×108cfu/gに増加し、発酵乳の製造日から16日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、80.4%であった。
た。
た。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、比較例3に係る発酵乳を5℃、25日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、107cfu/g未満であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、8.9×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から25日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、87.3%であった。
そして、5℃の冷蔵室を用いて、比較例3に係る発酵乳を5℃、35日間で保管したところ、ブルガリア菌の菌数は、107cfu/g未満であった。また、サーモフィルス菌の菌数は、4.6×108cfu/gであり、発酵乳の製造日から35日間で冷蔵保存した後に、サーモフィルス菌の生残率は、45.1%であった。
以上より、発酵乳を冷蔵(5℃)にて、所定の期間(発酵乳の製造日から16日間、25日間および35日間)で保管した場合、実施例3に係る発酵乳では、比較例3に係る発酵乳と比べて、それぞれのブルガリア菌の生残率が60倍以上に増加した。また、実施例3に係る発酵乳では、比較例3に係る発酵乳と比べて、それぞれのサーモフィルス菌の生残率が1.2倍(16日間)に増加し、0.8倍(25日間)に減少した一方で、1.0倍(35日間)と同等であった。なお、実施例3に係る発酵乳では、比較例3に係る発酵乳と比べて、必ずしもサーモフィルス菌の生残率は増加していなかったが、それぞれのサーモフィルス菌の生残率は十分な数値であった。
実施例1〜3および比較例1〜3の結果より、発酵を終了した後に、発酵乳を48〜52℃まで加温して、10分間以上で保持した後に、発酵乳を20〜30℃まで冷却して、1時間以上で保持してから、冷蔵保存温度まで冷却することにより、乳酸菌スターターに含まれるブルガリア菌およびサーモフィルス菌の菌種にかかわらず、冷蔵保存中におけるブルガリア菌やサーモフィルス菌の生残率を有意に向上できることが確認された。
本発明は、冷蔵保存中におけるブルガリア菌等の乳酸菌の生残数が向上した発酵乳の製造方法に利用できる。
Claims (3)
- 原料乳に乳酸菌スターターを接種して発酵させて得た発酵乳を、48〜52℃、1分間以上で保持した後に、20〜30℃、5分間以上で保持してから、1〜10℃に冷却することを特徴とする、発酵乳の製造方法。
- 乳酸菌スターターがブルガリア菌を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
- 乳酸菌スターターがサーモフィルス菌を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の発酵乳の製造方法。
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JP2016171554A JP2018033416A (ja) | 2016-09-02 | 2016-09-02 | 発酵乳の製造方法 |
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JP2018033415A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 株式会社明治 | 発酵乳の製造方法 |
-
2016
- 2016-09-02 JP JP2016171554A patent/JP2018033416A/ja active Pending
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