以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態を含む材料加工システムの一例である材料加工システム10を示す概略構成図である。材料加工システム10は、図1に示すように、素材形状決定システム11と、数値制御プログラム生成システム12と、機械加工装置13と、を含む。
素材形状決定システム11は、制御部11cを備える。制御部11cは、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に素材形状の決定方法を実行させるための素材形状の決定プログラム15を記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された素材形状の決定プログラム15を読み出して処理することで、素材形状の決定方法を実行する。素材形状決定システム11は、コンピュータが例示される。
素材形状の決定プログラム15は、CAD(Computer Aided Design)及びCADに組み込まれたマクロ機能が例示される。CADに組み込まれたマクロ機能は、CATIA(登録商標、Computer graphics Aided Three dimensional Interactive Application)のマクロ機能が例示される。
数値制御プログラム生成システム12は、制御部12cを備える。制御部12cは、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に数値制御プログラムの生成方法を実行させるための数値制御プログラムの生成プログラム16を記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された数値制御プログラムの生成プログラム16を読み出して処理することで、数値制御プログラムの生成方法を実行して、数値制御プログラム(Numerical Control Program、NCプログラム)19を生成する。数値制御プログラム生成システム12は、コンピュータが例示される。
数値制御プログラムの生成プログラム16は、コンピュータ支援設計プログラム17と、コンピュータ支援製造プログラム18とを含む。コンピュータ支援設計プログラム17は、CAD(Computer Aided Design)及びCADに組み込まれたマクロ機能が例示される。CADに組み込まれたマクロ機能は、CATIA(登録商標、Computer graphics Aided Three dimensional Interactive Application)のマクロ機能が例示される。コンピュータ支援製造プログラム18は、CAM(Computer Aided Manufacturing)が例示される。数値制御プログラム19は、材料に対して行われる機械加工の加工動作を制御するためのプログラムである。
制御部12cは、一体のものに限定されず、例えば、コンピュータ支援設計プログラム17を記憶及び処理する第1制御部と、コンピュータ支援製造プログラム18を記憶及び処理する第2制御部と、を有していても良い。すなわち、数値制御プログラムの生成プログラム16は、複数の制御部にまたがって分離して記憶及び実行されてもよい。
機械加工装置13は、制御部13cを備える。制御部13cは、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に、材料に対して行われる機械加工の加工動作である加工方法を実行させるための数値制御プログラム19を記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された数値制御プログラム19を読み出して処理することで、加工方法を実行して、材料を加工する。機械加工装置13は、切削加工装置が例示される。
材料加工システム10の加工で得られる材料について、例示して以下に説明する。図2は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料20を示す側面図である。材料20は、図2に示すように、主板部20wを有する。主板部20wは、板状であり軸方向Aに沿って延びて形成され、材料20において最長の2点間の距離の直線を含む面要素を含む部分である。主板部20wは、広く伸びる形状から、ウェブとも称される。
主板部20wにおいて、最大面要素に沿う面内における高さ、すなわち軸方向Aに直交する方向の高さは、hwである。主板部20wにおいて、最大面要素に沿う面内における長さ、すなわち軸方向Aに沿う方向の長さは、lwである。主板部20wにおいて、最大面要素と直交する方向の板厚は、twである。
材料20全体の高さ、すなわち主板部20wの高さの方向に沿う材料20全体の大きさは、hである。材料20の場合、材料20全体の高さhは、主板部20wの高さhwと等しい。材料20全体の長さ、すなわち主板部20wの長さの方向に沿う材料20全体の大きさは、lである。材料20の場合、材料20全体の長さlは、主板部20wの長さlwと等しい。材料20全体の幅、すなわち主板部20wの板厚の方向に沿う材料20全体の大きさは、wである。材料20の場合、材料20全体の幅wは、主板部20wの板厚twと等しい。
材料20は、フランジを有さない。材料20は、軸方向Aと直交する方向から見た側面の形状がアルファベットのIに類似するため、I型と称される。材料20に例示されるI型の材料は、材料加工システム10の加工で得られる材料の基準となる形状である。
なお、図2に示す材料20の他、以下において挙げられる全ての材料において、材料において最長の2点間の距離の直線を含む面要素を、最大面要素と称する。同様に、板状であり軸方向に沿って延びて形成され、その材料において最大面要素を含む部分を、主板部と称する。同様に、主板部において、最大面要素に沿う面内における高さ、すなわち軸方向に直交する方向の高さのことを、主板部の高さと称する。同様に、主板部において、最大面要素に沿う面内における長さ、すなわち軸方向に沿う方向の長さのことを、主板部の長さと称する。同様に、主板部において、最大面要素と直交する方向の板厚のことを、主板部の板厚と称する。同様に、主板部の高さの方向に沿う材料全体の大きさのことを、材料全体の高さと称する。同様に、主板部の長さの方向に沿う材料全体の大きさのことを、材料全体の長さと称する。同様に、主板部の板厚の方向に沿う材料全体の大きさのことを、材料全体の幅と称する。同様に、主板部は、広く伸びる形状から、ウェブとも称される。
図3は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料22を示す側面図である。材料22は、図3に示すように、主板部22wと、フランジ22fと、交錯部22mと、を有する。材料22における軸方向は、図3の紙面と直交する方向に沿っている。フランジ22fは、軸方向に延びて形成され、主板部22wから最大面要素に対して交差する方向に延びて設けられた部分である。交錯部22mは、主板部22wとフランジ22fとが交差している部分であり、軸方向と直交する側面図において円弧状となっている部分を含む。
材料22における主板部22wの高さ、主板部22wの長さ及び主板部22wの板厚は、それぞれ、材料20と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。なお、主板部22wの長さlwについては、図3では省略されている。
フランジ22fにおいて、フランジ22fの面方向に沿って、かつ、軸方向と直交する方向に沿って延びる距離、すなわち主板部22wからフランジ22fの先端部までの距離であるフランジ22fの高さは、hfである。フランジ22fにおいて、フランジ22fの面方向に沿って、かつ、軸方向に沿って延びる距離であるフランジ22fの長さは、lfである。lfは、主板部22wの長さlと対応し、概ね共通するため、図3では省略されている。フランジ22fにおいて、フランジ22fの面方向と直交する方向に沿う距離であるフランジ22fの板厚は、tfである。
フランジ22fは、主板部22wとの間で所定の面間の角度を形成して設けられている。フランジ22fと主板部22wとの間で形成するこの所定の面間の角度を、フランジ22fのフランジ角度と称する。フランジ22fは、主板部22wと直交して設けられている。すなわち、フランジ22fのフランジ角度は、90度である。また、フランジ22fは、主板部22wの一方の面側、具体的には、図3の紙面の右側に設けられている。
フランジ22fは、主板部22wのいずれか一方の端部、具体的には、図3の紙面の上側の端部に設けられている。すなわち、フランジ22fの主板部22wにおける位置であるフランジ位置は、端部である。材料22におけるフランジ位置は、具体的には、主板部22wにおけるフランジ22fの板厚tfの方向の中心の位置であり、フランジ22fが端部にあり、フランジ角度が90度である場合、フランジ22fを有さない側の主板部22wの端部、すなわち図3の紙面の下側の端部を原点として、主板部22wの高さhwから、フランジ22fの板厚tfの半分を差し引いた値で算出される。
材料22は、以上のような構成を有するため、材料22全体の高さhは、主板部22wの高さhwと等しい。また、材料22全体の長さlは、主板部22wの長さlwとフランジ22fの長さlfとのうち長い方と等しい。また、材料22全体の幅wは、主板部22wの板厚twの半分と、フランジ22fの高さhfとの和と等しい。
材料22は、主板部22wの一方の端部の一方の面側に、フランジ角度が90度のフランジ22fを有する。そのため、材料22は、軸方向と直交する方向から見た側面の形状がアルファベットのLに類似するため、L型と称される。また、フランジ22fは、L型フランジと称される。
なお、図3に示す材料22の他、以下において挙げられる全ての材料において、軸方向に延びて形成され、主板部から最大面要素に対して交差する方向に延びて設けられた部分を、フランジと称する。同様に、主板部とフランジとが交差している部分であり、軸方向と直交する側面図において円弧状となっている部分を含む部分を、交錯部と称する。同様に、フランジにおいて、フランジの面方向に沿って、かつ、軸方向と直交する方向に沿って延びる距離、すなわち主板部からフランジの先端部までの距離のことを、フランジの高さと称する。同様に、フランジにおいて、フランジの面方向に沿って、かつ、軸方向に沿って延びる距離のことを、フランジの長さと称する。同様に、フランジにおいて、フランジの面方向と直交する方向に沿う距離のことを、フランジの板厚と称する。同様に、フランジと主板部との間で形成する所定の面間の角度のことを、フランジ角度と称する。同様に、主板部におけるフランジの板厚の方向の中心の位置のことを、フランジ位置と称する。
図4は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料24を示す側面図である。材料24は、図4に示すように、主板部24wと、フランジ24fと、交錯部24mと、を有する。材料24における軸方向は、図4の紙面と直交する方向に沿っている。材料24における主板部24wの高さ、主板部24wの長さ及び主板部24wの板厚は、それぞれ、材料20及び材料22と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料24におけるフランジ24fの高さ、フランジ24fの長さ及びフランジ24fの板厚は、それぞれ、材料22と同じ符号が付されており、hf、lf及びtfである。なお、主板部24wの長さlwと、フランジ24fの長さlfとについては、図4では省略されている。
材料24におけるフランジ24fのフランジ角度は、(90+θ)度である。ただし、θは、0度より大きく、90度未満の値である。また、フランジ24fは、主板部24wの一方の面側、具体的には、図4の紙面の右側に設けられている。フランジ24fは、主板部24wのいずれか一方の端部、具体的には、図4の紙面の上側の端部に設けられている。すなわち、フランジ24fのフランジ位置は、フランジ24fを有さない側の主板部24wの端部、すなわち図4の紙面の下側の端部を原点として、主板部24wの高さhwから、フランジ24fの板厚tfの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積を差し引いた値で算出される。
材料24は、以上のような構成を有するため、材料24全体の高さhは、主板部24wの高さhwと、フランジ24fの高さhf及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、の和に等しい。また、材料24全体の長さlは、主板部24wの長さlwとフランジ24fの長さlfとのうち長い方と等しい。また、材料24全体の幅wは、主板部24wの板厚twの半分と、フランジ24fの高さhf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積hfcosθと、フランジ24fの板厚tfの半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、の和に等しい。
材料24は、材料22に対してフランジ角度を90度から(90+θ)度に変更したものであり、材料22と同様にL型に分類される。また、フランジ24fは、L型フランジに分類される。
図5は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料26を示す側面図である。材料26は、図5に示すように、主板部26wと、フランジ26f1と、フランジ26f2と、交錯部26mと、を有する。材料26における軸方向は、図5の紙面と直交する方向に沿っている。材料26における主板部26wの高さ、主板部26wの長さ及び主板部26wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22及び材料24と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料26におけるフランジ26f1の高さ、フランジ26f1の長さ及びフランジ26f1の板厚は、それぞれ、hf1、lf1及びtf1である。材料26におけるフランジ26f2の高さ、フランジ26f2の長さ及びフランジ26f2の板厚は、それぞれ、hf2、lf2及びtf2である。なお、主板部26wの長さlwと、フランジ26f1の長さlf1と、フランジ26f2の長さlf2と、については、図5では省略されている。
材料26におけるフランジ26f1のフランジ角度は、90度である。また、材料26におけるフランジ26f2のフランジ角度は、90度である。また、フランジ26f1は、主板部26wの一方の面側、具体的には、図5の紙面の右側に設けられている。また、フランジ26f2は、主板部26wの他方の面側、具体的には、図5の紙面の左側に設けられている。すなわち、材料26においてフランジ26f1及びフランジ26f2を一体としてみた場合、フランジ26f1及びフランジ26f2は、主板部26wの両方の面側に設けられている。
フランジ26f1及びフランジ26f2は、ともに、主板部26wのいずれか一方の端部、具体的には、図5の紙面の上側の端部に設けられている。すなわち、フランジ26f1のフランジ位置は、フランジ26f1及びフランジ26f2を有さない側の主板部26wの端部、すなわち図5の紙面の下側の端部を原点として、主板部26wの高さhwから、フランジ26f1の板厚tf1の半分を差し引いた値で算出される。また、フランジ26f2のフランジ位置は、フランジ26f1及びフランジ26f2を有さない側の主板部26wの端部、すなわち図5の紙面の下側の端部を原点として、主板部26wの高さhwから、フランジ26f2の板厚tf2の半分を差し引いた値で算出される。フランジ26f1の板厚tf1と、フランジ26f2の板厚tf2とが等しい場合、フランジ26f1のフランジ位置と、フランジ26f2のフランジ位置とは、同じとなる。
材料26は、以上のような構成を有するため、材料26全体の高さhは、主板部26wの高さhwに等しい。また、材料26全体の長さlは、主板部26wの長さlwと、フランジ26f1の長さlf1と、フランジ26f2の長さlf2と、のうち最も長いものと等しい。また、材料26全体の幅wは、フランジ26f1の高さhf1と、フランジ26f2の高さhf2との和に等しい。
材料26は、主板部26wの一方の端部の両方の面側に、フランジ角度が90度のフランジ26f1及びフランジ26f2を有する。そのため、材料26は、軸方向と直交する方向から見た側面の形状がアルファベットのTに類似するため、T型と称される。また、フランジ26f1及びフランジ26f2は、合わせてT型フランジと称される。
図6は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料28を示す側面図である。材料28は、図6に示すように、主板部28wと、フランジ28f1と、フランジ28f2と、交錯部28mと、を有する。材料28における軸方向は、図6の紙面と直交する方向に沿っている。材料28における主板部28wの高さ、主板部28wの長さ及び主板部28wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22、材料24及び材料26と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料28におけるフランジ28f1の高さ、フランジ28f1の長さ及びフランジ28f1の板厚は、それぞれ、材料26と同じ符号が付されており、hf1、lf1及びtf1である。材料28におけるフランジ28f2の高さ、フランジ28f2の長さ及びフランジ28f2の板厚は、それぞれ、材料26と同じ符号が付されており、hf2、lf2及びtf2である。なお、主板部28wの長さlwと、フランジ28f1の長さlf1と、フランジ28f2の長さlf2と、については、図6では省略されている。
材料28におけるフランジ28f1のフランジ角度は、(90+θ1)度である。ただし、θ1は、0度より大きく、90度未満の値である。材料28におけるフランジ28f2のフランジ角度は、(90−θ2)度である。ただし、θ2は、0度より大きく、90度未満の値である。また、フランジ28f1は、主板部28wの一方の面側、具体的には、図6の紙面の右側に設けられている。また、フランジ28f2は、主板部28wの他方の面側、具体的には、図6の紙面の左側に設けられている。すなわち、材料28においてフランジ28f1及びフランジ28f2を一体としてみた場合、フランジ28f1及びフランジ28f2は、主板部28wの両方の面側に設けられている。
フランジ28f1及びフランジ28f2は、ともに、主板部28wのいずれか一方の端部、具体的には、図6の紙面の上側の端部に設けられている。すなわち、フランジ28f1のフランジ位置は、フランジ28f1及びフランジ28f2を有さない側の主板部28wの端部、すなわち図6の紙面の下側の端部を原点として、主板部28wの高さhwから、フランジ28f1の板厚tf1の半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積を差し引いた値で算出される。また、フランジ28f2のフランジ位置は、フランジ28f1及びフランジ28f2を有さない側の主板部28wの端部、すなわち図6の紙面の下側の端部を原点として、主板部28wの高さhwから、フランジ28f2の板厚tf2の半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積を差し引いた値で算出される。フランジ28f1の板厚tf1と、フランジ28f2の板厚tf2とが等しい場合、かつ、フランジ28f1のフランジ角度を決めるパラメータであるθ1と、フランジ28f2のフランジ角度を決めるパラメータであるθ2とが等しい場合、フランジ28f1のフランジ位置と、フランジ28f2のフランジ位置とは、同じとなる。
材料28は、以上のような構成を有するため、材料28全体の高さhは、主板部28wの高さhwと、フランジ28f1の高さhf1及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、の和に等しい。また、材料28全体の長さlは、主板部28wの長さlwと、フランジ28f1の長さlf1と、フランジ28f2の長さlf2と、のうち最も長いものと等しい。また、材料28全体の幅wは、フランジ28f1の高さhf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、フランジ28f1の板厚tf1の半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ28f2の高さhf2及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、フランジ28f2の板厚tf2の半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ2の積と、の和に等しい。
材料28は、材料26に対してフランジ角度を90度からそれぞれ(90+θ1)度及び(90−θ2)度に変更したものであり、材料26と同様にT型に分類される。また、フランジ28f1及びフランジ28f2は、合わせてT型フランジに分類される。
図7は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料32を示す側面図である。材料32は、図7に示すように、主板部32wと、フランジ32fと、交錯部32mと、を有する。材料32における軸方向は、図7の紙面と直交する方向に沿っている。材料32における主板部32wの高さ、主板部32wの長さ及び主板部32wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22、材料24、材料26及び材料28と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料32におけるフランジ32fの高さ、フランジ32fの長さ及びフランジ32fの板厚は、それぞれ、材料22及び材料24と同じ符号が付されており、hf、lf及びtfである。なお、主板部32wの長さlwと、フランジ32fの長さlfと、については、図7では省略されている。
材料32におけるフランジ32fのフランジ角度は、90度である。また、フランジ32fは、主板部32wの一方の面側、具体的には、図7の紙面の右側に設けられている。フランジ32fは、主板部32wの端部以外の位置に設けられている。すなわち、フランジ32fのフランジ位置は、フランジ32fから遠い側の主板部32wの端部、すなわち図7の紙面の下側の端部を原点として、主板部32wの高さhwよりも小さい値で算出される。
材料32は、以上のような構成を有するため、材料32全体の高さhは、主板部32wの高さhwに等しい。また、材料32全体の長さlは、主板部32wの長さlwと、フランジ32fの長さlfと、のうち長い方と等しい。また、材料32全体の幅wは、主板部32wの板厚twの半分と、フランジ32fの高さhfとの和に等しい。
材料32は、主板部32wの端部以外の一方の面側に、フランジ角度が90度のフランジ32fを有する。そのため、材料32は、軸方向と直交する方向から見た側面の形状が日本語のカタカナのトに類似するため、ト型と称される。フランジ32fは、ト型フランジと称される。
図8は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料34を示す側面図である。材料34は、図8に示すように、主板部34wと、フランジ34fと、交錯部34mと、を有する。材料34における軸方向は、図8の紙面と直交する方向に沿っている。材料34における主板部34wの高さ、主板部34wの長さ及び主板部34wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22、材料24、材料26、材料28及び材料32と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料34におけるフランジ34fの高さ、フランジ34fの長さ及びフランジ34fの板厚は、それぞれ、材料22、材料24及び材料32と同じ符号が付されており、hf、lf及びtfである。なお、主板部34wの長さlwと、フランジ34fの長さlfと、については、図8では省略されている。
材料34におけるフランジ34fのフランジ角度は、(90+θ)度である。また、フランジ34fは、主板部34wの一方の面側、具体的には、図8の紙面の右側に設けられている。フランジ34fは、主板部34wの端部以外の位置に設けられている。すなわち、フランジ34fのフランジ位置は、フランジ34fが主板部34wと形成する角度が鈍角となる側の主板部34wの端部、すなわち図8の紙面の下側の端部を原点として、主板部34wの高さhwよりも小さい値で算出される。
材料34は、以上のような構成を有するため、材料34全体の高さhは、主板部34wの高さhwと、フランジ位置にフランジ34fの高さhf及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積並びにフランジ34fの板厚tfの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積を加えた値と、のうち大きい方と等しい。すなわち、材料34全体の高さhは、フランジ34fが主板部34wの一方の端部を高さ方向に突き出していない場合、主板部34wの高さhwと等しく、フランジ34fが主板部34wの一方の端部を高さ方向に突き出している場合、フランジ位置にフランジ34fの高さhf及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積並びにフランジ34fの板厚tfの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積を加えた値と等しい。
材料34全体の長さlは、主板部34wの長さlwと、フランジ34fの長さlfと、のうち長い方と等しい。また、材料34全体の幅wは、主板部34wの板厚twの半分と、フランジ34fの高さhf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積hfcosθと、フランジ34fの板厚tfの半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、の和に等しい。
材料34は、材料32に対してフランジ角度を90度から(90+θ)度に変更したものであり、材料32と同様にト型に分類される。また、フランジ34fは、ト型フランジに分類される。
図9は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料36を示す側面図である。材料36は、図9に示すように、主板部36wと、フランジ36f1と、フランジ36f2と、交錯部36mと、を有する。材料36における軸方向は、図9の紙面と直交する方向に沿っている。材料36における主板部36wの高さ、主板部36wの長さ及び主板部36wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22、材料24、材料26、材料28、材料32及び材料34と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料36におけるフランジ36f1の高さ、フランジ36f1の長さ及びフランジ36f1の板厚は、それぞれ、材料26及び材料28と同じ符号が付されており、hf1、lf1及びtf1である。材料36におけるフランジ36f2の高さ、フランジ36f2の長さ及びフランジ36f2の板厚は、それぞれ、材料26及び材料28と同じ符号が付されており、hf2、lf2及びtf2である。なお、主板部36wの長さlwと、フランジ36f1の長さlf1と、フランジ36f2の長さlf2と、については、図9では省略されている。
材料36におけるフランジ36f1のフランジ角度は、90度である。また、材料36におけるフランジ36f2のフランジ角度は、90度である。また、フランジ36f1は、主板部36wの一方の面側、具体的には、図9の紙面の右側に設けられている。また、フランジ36f2は、主板部36wの他方の面側、具体的には、図9の紙面の左側に設けられている。すなわち、材料36においてフランジ36f1及びフランジ36f2を一体としてみた場合、フランジ36f1及びフランジ36f2は、主板部36wの両方の面側に設けられている。
フランジ36f1及びフランジ36f2は、ともに、主板部36wの端部以外の位置に設けられている。すなわち、フランジ36f1及びフランジ36f2のフランジ位置は、いずれも、フランジ36f1及びフランジ36f2から遠い側の主板部36wの端部、すなわち図9の紙面の下側の端部を原点として、主板部36wの高さhwよりも小さい値で算出される。
材料36は、以上のような構成を有するため、材料36全体の高さhは、主板部36wの高さhwに等しい。また、材料36全体の長さlは、主板部36wの長さlwと、フランジ36f1の長さlf1と、フランジ36f2の長さlf2と、のうち最も長いものと等しい。また、材料36全体の幅wは、フランジ36f1の高さhf1と、フランジ36f2の高さhf2との和に等しい。
材料36は、主板部36wの端部以外の両方の面側に、フランジ角度が90度のフランジ36f1及びフランジ36f2を有する。そのため、材料36は、軸方向と直交する方向から見た側面の形状が演算記号の+に類似するため、+型と称される。また、フランジ36f1及びフランジ36f2は、合わせて+型フランジと称される。
図10は、材料加工システム10の加工で得られる材料の一例である材料38を示す側面図である。材料38は、図10に示すように、主板部38wと、フランジ38f1と、フランジ38f2と、交錯部38mと、を有する。材料38における軸方向は、図8の紙面と直交する方向に沿っている。材料38における主板部38wの高さ、主板部38wの長さ及び主板部38wの板厚は、それぞれ、材料20、材料22、材料24、材料26、材料28、材料32、材料34及び材料36と同じ符号が付されており、hw、lw及びtwである。材料38におけるフランジ38f1の高さ、フランジ38f1の長さ及びフランジ38f1の板厚は、それぞれ、材料26、材料28及び材料36と同じ符号が付されており、hf1、lf1及びtf1である。材料38におけるフランジ38f2の高さ、フランジ38f2の長さ及びフランジ38f2の板厚は、それぞれ、材料26、材料28及び材料36と同じ符号が付されており、hf2、lf2及びtf2である。なお、主板部38wの長さlwと、フランジ38f1の長さlf1と、フランジ38f2の長さlf2と、については、図10では省略されている。
材料38におけるフランジ38f1のフランジ角度は、(90+θ1)度である。ただし、θ1は、0度より大きく、90度未満の値である。材料38におけるフランジ38f2のフランジ角度は、(90−θ2)度である。ただし、θ2は、0度より大きく、90度未満の値である。また、フランジ38f1は、主板部38wの一方の面側、具体的には、図10の紙面の右側に設けられている。また、フランジ38f2は、主板部38wの他方の面側、具体的には、図10の紙面の左側に設けられている。すなわち、材料38においてフランジ38f1及びフランジ38f2を一体としてみた場合、フランジ38f1及びフランジ38f2は、主板部38wの両方の面側に設けられている。
フランジ38f1及びフランジ38f2は、ともに、主板部38wの端部以外の位置に設けられている。すなわち、フランジ38f1及びフランジ38f2のフランジ位置は、いずれも、フランジ38f1及びフランジ38f2から遠い側の主板部38wの端部、すなわち図10の紙面の下側の端部を原点として、主板部38wの高さhwよりも小さい値で算出される。
材料38は、以上のような構成を有するため、材料38全体の高さhは、フランジ38f1が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出しておらず、かつ、フランジ38f2が主板部38wの他方の端部を高さ方向に突き出していない場合、主板部38wの高さhwと等しい。また、材料38全体の高さhは、フランジ38f1が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出しており、かつ、フランジ38f2が主板部38wの他方の端部を高さ方向に突き出していない場合、フランジ38f1が主板部38wと形成する角度が鈍角となる側の主板部38wの端部からのフランジ位置にフランジ38f1の高さhf1及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積並びにフランジ38f1の板厚tf1の半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積を加えた値と等しい。また、材料38全体の高さhは、フランジ38f1が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出しておらず、かつ、フランジ38f2が主板部38wの他方の端部を高さ方向に突き出している場合、フランジ38f2が主板部38wと形成する角度が鈍角となる側の主板部38wの端部からのフランジ位置にフランジ38f2の高さhf2及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ2の積並びにフランジ38f2の板厚tf2の半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積を加えた値と等しい。なお、主板部38wは、最長の2点間の距離の直線を含む面要素を含む部分であるので、フランジ38f1が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出しており、かつ、フランジ38f2が主板部38wの他方の端部を高さ方向に突き出している場合は、存在しない。
また、材料38全体の長さlは、主板部38wの長さlwと、フランジ38f1の長さlf1と、フランジ38f2の長さlf2と、のうち最も長いものと等しい。また、材料38全体の幅wは、フランジ38f1の高さhf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、フランジ38f1の板厚tf1の半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ38f2の高さhf2及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、フランジ38f2の板厚tf2の半分及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ2の積と、の和に等しい。
材料38は、材料36に対してフランジ角度を90度からそれぞれ(90+θ1)度及び(90−θ2)度に変更したものであり、材料36と同様に+型に分類される。また、フランジ38f1及びフランジ38f2は、合わせて+型フランジに分類される。
以上のように、図2から図10を用いて、材料加工システム10の加工で得られる材料の例として材料20、材料22、材料24、材料26、材料28、材料32、材料34、材料36及び材料38を例示して説明したが、材料加工システム10の加工で得られる材料は、これに限定されることはなく、板状であり軸方向に沿って延びて形成され、その材料において最大面要素を含む主板部と、軸方向に延びて形成され、主板部から最大面要素に対して交差する方向に延びて設けられた少なくとも1つ以上のフランジとを有するいかなる材料も含まれる。
図11は、曲面部の一例である曲面部41を示す断面図である。図12は、テーパ部の一例であるテーパ部42を示す断面図である。図13は、段差部の一例である段差部43を示す断面図である。図14は、段差部の一例である段差部44を示す断面図である。曲面部41は、図11に示すように、主板部及びフランジに例示される板に湾曲が形成されている部分である。曲面部41は、湾曲が形成されている部分の最も高い点と最も低い点との差が、t_maxである。テーパ部42は、図12に示すように、主板部及びフランジに例示される板に板厚が徐々に変化する領域が形成されている部分である。テーパ部42は、最も厚い部分の板厚が、t_maxである。段差部43は、図13に示すように、主板部及びフランジに例示される板に板厚が急に変化する領域が形成されている部分である。段差部43は、最も厚い部分の板厚が、t_maxである。段差部44は、図14に示すように、主板部及びフランジに例示される板に急な折り曲げが形成されている部分である。段差部44は、急な折り曲げが形成されている部分の最も高い点と最も低い点との差が、t_maxである。以下において、図11に示す曲面部41、図12に示すテーパ部42、図13に示す段差部43、及び図14に示す段差部44におけるt_maxを、最厚部の厚さと称する。材料加工システム10の加工で得られる材料は、上記に加えて、図11に示す曲面部41、図12に示すテーパ部42、図13に示す段差部43、及び図14に示す段差部44のいずれか又は複数を含んでも良い。材料加工システム10の加工で得られる材料は、他にも、各面について、当該面に垂直な方向の高さの変化を含んでいても良い。
以上に挙げた材料加工システム10の加工で得られる材料は、いずれも、ストリンガー、シアタイ、及びフレーム等に例示される航空機部品に好適に用いられる。
素材形状決定システム11及び素材形状の決定プログラム15の作用について、以下に説明する。図15は、素材形状の決定方法のフローの一例を示すフローチャートである。素材形状の決定方法は、素材形状決定システム11において、制御部11cが素材形状の決定プログラム15を読み出して処理することで実行される処理方法である。素材形状の決定方法について、図15を用いて説明する。素材形状の決定方法は、図15に示すように、材料情報取得ステップS12と、フランジ分類ステップS14と、把持部設定ステップS16と、素材形状算出ステップS18と、を含む。以下においては、材料情報取得ステップS12、フランジ分類ステップS14、把持部設定ステップS16及び素材形状算出ステップS18を適宜、それぞれ単に、ステップS12、ステップS14、ステップS16及びステップS18と称する。
まず、制御部11cは、材料の形状の情報を取得する(ステップS12)。具体的には、制御部11cは、CAD(Computer Aided Design)に例示されるコンピュータ支援設計ソフトウェア等によって、材料について作成された3次元設計モデルの設計モデルの情報を取得する。
次に、制御部11cは、取得した材料の形状の情報に基づいて、フランジの形状を分類する(ステップS14)。具体的には、例えば、制御部11cは、フランジの形状を、上述のL型フランジ、T型フランジ、ト型フランジ、+型フランジに分類する。なお、フランジがない場合は、ステップS14で自動的に材料がI型であると分類される。
フランジ分類ステップS14について、詳細を以下に説明する。図16は、フランジ分類ステップS14の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。フランジ分類ステップS14は、図16に示すように、フランジ位置判別ステップS21と、フランジ設置面側判別ステップS22と、L型フランジ分類ステップS23と、T型フランジ分類ステップS24と、フランジ設置面側判別ステップS26と、ト型フランジ分類ステップS27と、+型フランジ分類ステップS28と、を含む。以下においては、フランジ位置判別ステップS21、フランジ設置面側判別ステップS22、L型フランジ分類ステップS23、T型フランジ分類ステップS24、フランジ設置面側判別ステップS26、ト型フランジ分類ステップS27、+型フランジ分類ステップS28を適宜、それぞれ単に、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS24、ステップS26、ステップS27及びステップS28と称する。
フランジ分類ステップS14において、まず、制御部11cは、取得した材料の形状の情報に含まれる各フランジについて、フランジが端部にあるか否かを判別する(ステップS21)。制御部11cは、分類対象のフランジが端部にある場合(ステップS21でYes)、分類対象のフランジが主板部に対して、主板部の板厚方向の片側のみに設けられているか否かを判別する(ステップS22)。ここで、制御部11cは、ステップS22では、分類対象のフランジの反対側に、フランジ位置が所定の距離以内に接近してフランジが存在する場合、フランジが両側に設けられていると判別し、分類対象のフランジを含むこれらのフランジを1つのフランジとみなして処理をする。一方、制御部11cは、ステップS22では、分類対象のフランジの反対側に、フランジ位置が所定の距離以内に接近してフランジが存在しない場合、分類対象のフランジが片側のみに設けられていると判別して処理をする。
制御部11cは、分類対象のフランジが端部にある場合(ステップS21でYes)、かつ、分類対象のフランジが片側のみに設けられている場合(ステップS22でYes)、この分類対象としているフランジをL型フランジに分類する(ステップS23)。制御部11cは、分類対象のフランジが端部にある場合(ステップS21でYes)、かつ、分類対象のフランジが両側に設けられている場合(ステップS22でNo)、この分類対象としているフランジをT型フランジに分類する(ステップS24)。
制御部11cは、分類対象のフランジが端部にない場合(ステップS21でNo)、分類対象のフランジが片側のみに設けられているか否かを判別する(ステップS26)。ステップS26は、ステップS22と同じ処理である。
制御部11cは、分類対象のフランジが端部にない場合(ステップS21でNo)、かつ、分類対象のフランジが片側のみに設けられている場合(ステップS26でYes)、この分類対象としているフランジをト型フランジに分類する(ステップS27)。制御部11cは、分類対象のフランジが端部にない場合(ステップS21でNo)、かつ、分類対象のフランジが両側に設けられている場合(ステップS26でNo)、この分類対象としているフランジを+型フランジに分類する(ステップS28)。
制御部11cは、取得した材料の形状の情報に含まれるすべてのフランジについて、フランジの形状の分類を終わると、フランジ分類ステップS14を終了する。
なお、図16に示すフランジ分類ステップS14の詳細は、一例であり、その他の分類方法を用いても良い。例えば、T型フランジをL型フランジ2つとみなし、+型フランジをト型フランジ2つとみなして、L型フランジとト型フランジとにのみ分類してもよいし、その他の型のフランジを別途設けて分類してもよい。
次に、制御部11cは、取得した材料の形状の情報及びフランジ分類ステップS14によるフランジの分類情報に基づいて、材料の加工の際に把持する把持部を設定する(ステップS16)。例えば、制御部11cは、把持部を、主板部のいずれか一方の端部に設定する。なお、ステップS14で材料がI型であると分類された場合、ステップS16で、自動的に主板部の一方の端部に把持部が設定される。
把持部設定ステップS16について、詳細を以下に説明する。図17は、把持部設定ステップS16の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。把持部設定ステップS16は、図17に示すように、第1フランジ情報判別ステップS31と、第2フランジ情報判別ステップS32と、第1把持部設定ステップS33と、第2把持部設定ステップS34と、第3フランジ情報判別ステップS36と、第3把持部設定ステップS37と、第4把持部設定ステップS38と、を含む。以下においては、第1フランジ情報判別ステップS31、第2フランジ情報判別ステップS32、第1把持部設定ステップS33、第2把持部設定ステップS34、第3フランジ情報判別ステップS36、第3把持部設定ステップS37及び第4把持部設定ステップS38を適宜、それぞれ単に、ステップS31、ステップS32、ステップS33、ステップS34、ステップS36、ステップS37及びステップS38と称する。
把持部設定ステップS16において、まず、制御部11cは、フランジ分類ステップS14によるフランジの分類情報について、L型フランジ又はT型フランジを有するか否かを判別する(ステップS31)。制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがある場合(ステップS31でYes)、L型フランジ又はT型フランジが主板部の片方の端部のみに設けられているか否かを判別する(ステップS32)。制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがない場合(ステップS31でNo)、+型フランジを有するか否かを判別する(ステップS36)。
制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがある場合(ステップS31でYes)、かつ、L型フランジ又はT型フランジが主板部の片方の端部のみに設けられている場合(ステップS32でYes)、L型フランジ又はT型フランジを有さない側の主板部の端部に把持部を設定して(ステップS33)、把持部設定ステップS16を終了する。制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがある場合(ステップS31でYes)、かつ、L型フランジ又はT型フランジが主板部の両方の端部に設けられている場合(ステップS32でNo)、主板部のいずれか一方の端部に把持部を設定して(ステップS34)、把持部設定ステップS16を終了する。ステップS34では、例えば、それぞれの端部に設けられているL型フランジ又はT型フランジの形状に基づいて、いずれの端部に把持部を設定するかを決めてもよい。
制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがない場合(ステップS31でNo)、かつ、+型フランジがある場合(ステップS36でYes)、+型フランジから遠い側の主板部の端部に把持部を設定して(ステップS37)、把持部設定ステップS16を終了する。制御部11cは、L型フランジ又はT型フランジがない場合(ステップS31でNo)、かつ、+型フランジがない場合(ステップS36でNo)、ト型フランジが主板部と形成する角度が直角又は鈍角となる側の主板部の端部に把持部を設定して(ステップS38)、把持部設定ステップS16を終了する。
次に、制御部11cは、取得した材料の形状の情報、フランジ分類ステップS14によるフランジの分類情報、及び把持部設定ステップS16による把持部の設定情報に基づいて、材料の加工に必要な素材の形状を算出する(ステップS18)。具体的には、制御部11cは、材料の形状に対して、外周加工代である余肉と、把持するための把持部と、材料加工システム10の加工で得られる材料と把持部vとの間を切断するための部分である切断部と、を設定して、素材の形状を決定する。
素材形状算出ステップS18について、詳細を以下に説明する。図18は、素材形状算出ステップS18の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。素材形状算出ステップS18は、図18に示すように、主板部素材高さ算出ステップS41と、主板部素材長さ算出ステップS42と、主板部素材板厚算出ステップS43と、フランジ素材高さ算出ステップS45と、フランジ素材長さ算出ステップS46と、フランジ素材板厚算出ステップS47と、フランジ素材板厚補正ステップS48と、素材高さ算出ステップS51と、素材長さ算出ステップS52と、素材幅算出ステップS53と、補正ステップS55と、を含む。以下においては、主板部素材高さ算出ステップS41、主板部素材長さ算出ステップS42、主板部素材板厚算出ステップS43、フランジ素材高さ算出ステップS45、フランジ素材長さ算出ステップS46、フランジ素材板厚算出ステップS47、フランジ素材板厚補正ステップS48、素材高さ算出ステップS51、素材長さ算出ステップS52、素材幅算出ステップS53及び補正ステップS55を適宜、それぞれ単に、ステップS41、ステップS42、ステップS43、ステップS45、ステップS46、ステップS47、ステップS48、ステップS51、ステップS52、ステップS53及びステップS55と称する。
素材形状算出ステップS18において、まず、制御部11cは、素材に含まれ、主板部に加工される前の主板素材部において、主板部の高さ方向に沿う大きさである主板部素材高さを算出する(ステップS41)。具体的には、制御部11cは、主板部の高さhwと、余肉の大きさと、把持部の高さと、切断部の高さとに基づいて、主板部素材高さを算出する。例えば、制御部11cは、主板部素材高さを、主板部の高さhwと、余肉の大きさと、把持部の高さと、切断部の高さと、の和で算出する。
制御部11cは、主板素材部において、主板部の長さ方向に沿う大きさである主板部素材長さを算出する(ステップS42)。具体的には、制御部11cは、主板部の長さlwと、余肉の大きさと、に基づいて、主板部素材長さを算出する。例えば、制御部11cは、主板部素材長さを、主板部の長さlwと、主板部の長さ方向の一方に設けられる余肉と、主板部の長さ方向の他方に設けられる余肉と、の和、すなわち、主板部の長さlwと、余肉の大きさの2倍と、の和で算出する。
制御部11cは、主板素材部において、主板部の板厚方向に沿う大きさである主板部素材板厚を算出する(ステップS43)。具体的には、制御部11cは、ステップS41で算出した主板部素材高さと、把持部の高さと、材質に基づくパラメータと、に基づいて、主板部素材板厚を算出する。例えば、制御部11cは、主板部素材板厚を、主板部素材高さから把持部の高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さに算出する。ここで、材質に基づくパラメータは、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた値であり、例えば航空機部品に好適に用いられるアルミニウムであれば、1/5が例示される。
ステップS41、ステップS42及びステップS43は、いずれも主板素材部の大きさを算出する処理である。本実施形態では、ステップS41、ステップS42及びステップS43の順に処理が施されているが、これに限定されることはなく、ステップS42、ステップS41及びステップS43の順に処理が施されてもよく、ステップS41、ステップS43及びステップS42の順に処理が施されても良い。ただし、ステップS43は、ステップS41で算出した主板部素材高さを用いる処理であるため、ステップS41の後に行われる。
制御部11cは、素材に含まれ、フランジに加工される前のフランジ素材部において、フランジの高さ方向に沿う大きさであるフランジ素材高さを算出する(ステップS45)。具体的には、制御部11cは、フランジの高さhfと、余肉の大きさと、フランジ角度とに基づいて、フランジ素材高さを算出する。例えば、制御部11cは、フランジ素材高さを、フランジの高さhfと、余肉の大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積と、の和で算出する。
制御部11cは、フランジ素材部において、フランジの長さ方向に沿う大きさであるフランジ素材長さを算出する(ステップS46)。具体的には、制御部11cは、フランジの長さlfと、余肉の大きさと、に基づいて、フランジ素材長さを算出する。例えば、制御部11cは、フランジ素材長さを、フランジの長さlfと、フランジの長さ方向の一方に設けられる余肉と、フランジの長さ方向の他方に設けられる余肉と、の和、すなわち、フランジの長さlfと、余肉の大きさの2倍と、の和で算出する。
制御部11cは、フランジ素材部において、フランジの板厚方向に沿う大きさであるフランジ素材板厚を算出する(ステップS47)。具体的には、制御部11cは、ステップS45で算出したフランジ素材高さと、ステップS43で算出した主板部素材板厚と、フランジ角度と、材質に基づくパラメータと、に基づいて、フランジ素材板厚を算出する。例えば、制御部11cは、フランジ素材板厚を、ステップS45で算出したフランジ素材高さから、ステップS43で算出した主板部素材板厚の半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さに算出する。
制御部11cは、フランジ素材部において、フランジの板厚方向に沿う大きさであるフランジ素材板厚を補正する(ステップS48)。具体的には、制御部11cは、ステップS23でL型フランジに分類したフランジ、又は、ステップS24でT型フランジに分類したフランジについてフランジ素材部の大きさを算出している場合、フランジ素材部において、主板部の端部側の外周加工代を余肉の大きさに補正して、これに合わせてステップS47で算出したフランジ素材板厚を補正することで、主板部の端部側に余肉を確保する。
ステップS45、ステップS46、ステップS47及びステップS48は、いずれもフランジ素材部の大きさを算出する処理である。本実施形態では、ステップS45、ステップS46、ステップS47及びステップS48の順に処理が施されているが、これに限定されることはなく、ステップS45、ステップS47及びステップS48の順さえ守られていれば、ステップS46はどこの順で処理されても良い。また、ステップS47及びステップS48が上記のステップS43より後に行われれば、ステップS41、ステップS42及びステップS43と適宜処理の順を入れ替えても良い。
また、素材に含まれ、交錯部に加工される前の交錯素材部については、制御部11cにより、算出した主板素材部の大きさ及び形状と、算出したフランジ素材部の大きさ及び形状とに基づいて、主板素材部及びフランジ素材部を滑らかに接続するような大きさ及び形状となるように適宜算出される。
制御部11cは、素材において、主板部の高さ方向に沿う大きさである素材高さを算出する(ステップS51)。具体的には、制御部11cは、ステップS21で判別したフランジ位置と、フランジ角度と、ステップS41で算出した主板部素材高さと、ステップS45で算出したフランジ素材高さと、ステップS47で算出しステップS48で補正したフランジ素材板厚と、に基づいて、素材高さを算出する。例えば、制御部11cは、フランジが主板部の両方の端部を高さ方向に突き出していない場合、素材高さを、主板部素材高さと等しい値に算出する。また、制御部11cは、フランジ素材部が主板素材部のいずれか一方の端部を高さ方向に突き出している場合、素材高さを、フランジ位置と、主板部素材高さ及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ等の積と、フランジ素材板厚及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積と、の和のうち最大となるフランジ、すなわち最も突き出しているフランジについての値に、把持部の高さ及び切断部の高さを加えて算出する。また、制御部11cは、フランジが主板部の両方の端部を高さ方向に突き出している場合、素材高さを、一方の端部側及び他方の端部側に最も突き出している各フランジについて、フランジ位置と、主板部素材高さ及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ等の積と、フランジ素材板厚及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積と、の和を算出し、これらの和から主板部素材高さを差し引き、把持部の高さ及び切断部の高さを加えて算出する。
制御部11cは、素材において、主板部の長さ方向に沿う大きさである素材長さを算出する(ステップS52)。具体的には、制御部11cは、ステップS42で算出した主板部素材長さと、ステップS46で算出したフランジ素材長さと、に基づいて、素材長さを算出する。例えば、制御部11cは、素材長さを、主板部素材長さとフランジ素材長さとのうち大きい方として算出する。
制御部11cは、素材において、主板部の板厚方向に沿う大きさである素材幅を算出する(ステップS53)。具体的には、制御部11cは、フランジ角度と、ステップS43で算出した主板部素材板厚と、ステップS45で算出したフランジ素材高さと、ステップS47で算出しステップS48で補正したフランジ素材板厚と、に基づいて、素材幅を算出する。例えば、制御部11cは、フランジが、主板部に対して、主板部の板厚方向の片側のみに設けられている場合、素材幅を、フランジ素材高さ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積と、フランジ素材板厚及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ等の積と、の和のうち最大となるフランジ、すなわち最も主板部の板厚方向に突き出しているフランジについての値に、主板部素材板厚の半分の値を加えて算出する。また、制御部11cは、フランジが、主板部に対して、主板部の板厚方向の両側に設けられている場合、素材幅を、主板部の板厚方向の一方の側及び他方の側の端部に最も突き出している各フランジについて、フランジ素材高さ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ等の積と、フランジ素材板厚及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ等の積と、の和を算出して、これらの和で算出する。
ステップS51、ステップS52及びステップS53は、いずれも素材の大きさを算出する処理である。本実施形態では、ステップS51、ステップS52及びステップS53の順に処理が施されているが、これに限定されることはなく、これら3つの処理については、いかなる順で処理されても良い。ただし、ステップS51は、ステップS41、ステップS45、ステップS47及びステップS48の後に行われる。また、ステップS52は、ステップS42及びステップS46の後に行われる。また、ステップS53は、ステップS43、ステップS45、ステップS47及びステップS48の後に行われる。
制御部11cは、主板部又はフランジが、図11に示す曲面部41、図12に示すテーパ部42、図13に示す段差部43、及び図14に示す段差部44のいずれか又は複数を含んでいる場合、それに対応する主板部の板厚tw又はフランジの板厚tfを補正し、それに対応する主板素材部の主板部素材板厚又はフランジ素材部のフランジ素材板厚を補正することで、素材の大きさ及び形状を補正する(ステップS55)。具体的には、制御部11cは、曲面部41、テーパ部42、段差部43及び段差部44のいずれか又は複数を含む主板部又はフランジの最厚部の厚さt_maxを、それに対応する主板部の板厚tw又はフランジの板厚tfとして、素材の大きさ及び形状を補正する。ステップS55の処理が施されると、素材形状算出ステップS18が終了し、一連の素材形状の決定方法のフローが終了する。
ステップS55は、本実施形態では素材形状算出ステップS18における最後に行われているが、これに限定されることはなく、主板部素材板厚算出ステップS43又はフランジ素材板厚算出ステップS47において適宜行われてもよいし、素材の大きさ及び形状を算出する際に適宜行われても良い。
本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、制御部11cが、フランジ分類ステップS14と、把持部設定ステップS16と、を実行し、フランジに応じて主板部の端部に把持部を設定する。そのため、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、従来と比較して、材料を加工するために必要な、可能な限り小さい素材形状を提供することができる、すなわち、材料を低コストで加工する素材形状を提供することができる。
また、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、フランジから最も離れた主板部の端部に把持部を設定するので、従来と比較して、材料を加工するために必要な、可能な限り小さい1箇所の把持部を提供することができる。そのため、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材料を加工する際に、材料内に蓄積する残留応力が大幅に低減された、素材形状を提供することができる。よって、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材料を高い精度で加工することを可能にする素材形状を提供することができる。
本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、制御部11cが、フランジ分類ステップS14を実行し、L型フランジ、T型フランジ、ト型フランジ、及び+型フランジに分類する。そのため、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、その後の把持部設定ステップS16で把持部をより正確に設定することができる。よって、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材料を低コストで加工する素材形状を提供することができる。また、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材料を加工する際に、材料内に蓄積する残留応力がより大幅に低減された、素材形状を提供することができ、材料をより高い精度で加工することを可能にする素材形状を提供することができる。
また、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、把持部設定ステップS16を実行し、フランジから最も離れた主板部の端部に把持部を設定する。そのため、素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材料を加工する際に、材料内に蓄積する残留応力がさらに大幅に低減された、素材形状を提供することができるので、材料をさらに高い精度で加工することを可能にする素材形状を提供することができる。
また、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、素材形状算出ステップS18で、主板素材部の大きさを算出し、フランジ素材部の大きさを算出し、素材の大きさを算出する。そのため、材料の加工に好ましい素材形状を精度よく算出することができる。
また、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法は、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータを用いて、主板素材部の板厚及びフランジ素材部の板厚を算出する。そのため、加工の際に把持される把持部が小さい場合でも、材料や素材が安定して加工される素材形状を精度よく提供することができる。
材料20、材料22、材料24、材料26、材料28、材料32、材料34、材料36及び材料38の形状の情報に基づいて、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法によって算出されて決定される素材の形状について、以下に説明する。
図19は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材50を示す側面図である。素材50は、材料20の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材50は、図19に示すように、主板素材部50Wを有する。主板素材部50Wは、主板部20wに加工される部分である。主板素材部50Wの高さHwは、主板部素材高さ算出ステップS41で算出される主板素材部高さであり、主板部20wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和であり、素材高さ算出ステップS51で算出される素材高さHと等しい。主板素材部50Wの長さLwは、主板部素材長さ算出ステップS42で算出される主板部素材長さであり、主板部20wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和であり、素材長さ算出ステップS52で算出される素材長さLと等しい。主板素材部50Wの板厚Twは、主板部素材板厚算出ステップS43で算出される主板部素材板厚であり、主板素材部50Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータとの積以上の長さであり、素材幅算出ステップS53で算出される素材幅Wと等しい。
なお、図19に示す素材50の他、以下において挙げられる全ての素材において、主板素材部の高さHwは、主板部素材高さ算出ステップS41で算出される主板部素材高さであり、主板素材部の長さLwは、主板部素材長さ算出ステップS42で算出される主板部素材長さであり、主板素材部の板厚Twは、主板部素材板厚算出ステップS43で算出される主板部素材板厚である。同様に、素材高さHは、素材高さ算出ステップS51で算出されるものであり、素材長さLは、素材長さ算出ステップS52で算出されるものであり、素材幅Wは、素材幅算出ステップS53で算出されるものである。
図20は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材52を示す側面図である。素材52は、材料22の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材52は、図20に示すように、主板素材部52Wと、フランジ素材部52Fと、交錯素材部52Mと、を有する。主板素材部52Wは、主板部22wに加工される部分である。フランジ素材部52Fは、フランジ22fに加工される部分である。交錯素材部52Mは、交錯部22mに加工される部分である。
主板素材部52Wの高さHwは、主板部22wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部52Wの長さLwは、図20では省略されているが、主板部22wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部52Wの板厚Twは、主板素材部52Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部52Fの高さHfは、フランジ素材高さ算出ステップS45で算出されるフランジ素材高さであり、フランジ22fの高さhfと、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部52Fの長さLfは、フランジ素材長さ算出ステップS46で算出されるフランジ素材長さであり、図20では省略されているが、フランジ22fの長さlfと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部52Fの板厚Tfは、フランジ素材板厚算出ステップS47で算出され、必要に応じてフランジ素材板厚補正ステップS48で補正されたフランジ素材板厚であり、フランジ素材部52Fの高さHfから、主板素材部52Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部52Fの板厚Tfは、フランジ22fが主板部22wの端部に設けられているので、主板部22wの端部側に余肉eが確保されている。
交錯素材部52Mの形状は、主板素材部52Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部52Fの大きさ及び形状とが滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材52の高さHは、フランジ22fが主板部22wの両方の端部を高さ方向に突き出していないので、主板素材部52Wの高さHwと等しい。素材52の長さLは、図20では省略されているが、主板素材部52Wの長さLwとフランジ素材部52Fの長さLfとのうち大きい方である。素材52の幅Wは、フランジ22fが、主板部22wに対して、主板部22wの板厚twの方向の片側のみに設けられているので、フランジ素材部52Fの高さHfと、主板素材部52Wの板厚Twの半分の値との和である。
なお、図20に示す素材52の他、以下において挙げられる全ての素材において、フランジ素材部の高さHfは、フランジ素材高さ算出ステップS45で算出されるフランジ素材高さであり、フランジ素材部の長さLfは、フランジ素材長さ算出ステップS46で算出されるフランジ素材長さであり、フランジ素材部の板厚Tfは、フランジ素材板厚算出ステップS47で算出され、必要に応じてフランジ素材板厚補正ステップS48で補正されたフランジ素材板厚である。
図21は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材54を示す側面図である。素材54は、材料24の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材54は、図21に示すように、主板素材部54Wと、フランジ素材部54Fと、交錯素材部54Mと、を有する。主板素材部54Wは、主板部24wに加工される部分である。フランジ素材部54Fは、フランジ24fに加工される部分である。交錯素材部54Mは、交錯部24mに加工される部分である。
主板素材部54Wの高さHwは、主板部24wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部54Wの長さLwは、図21では省略されているが、主板部24wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部54Wの板厚Twは、主板素材部54Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部54Fの高さHfは、フランジ24fの高さhfと、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、の和である。フランジ素材部54Fの長さLfは、図21では省略されているが、フランジ24fの長さlfと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部54Fの板厚Tfは、フランジ素材部54Fの高さHfから、主板素材部54Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部54Fの板厚Tfは、フランジ24fが主板部24wの端部に設けられているので、主板部24wの端部側に余肉eが確保されている。
交錯素材部54Mの形状は、主板素材部54Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部54Fの大きさ及び形状とが滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材54の高さHは、フランジ24fが主板部24wの一方の端部を高さ方向に突き出しているので、フランジ位置と、主板素材部54Wの高さHw及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、フランジ素材部54Fの板厚Tf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、の和に、把持部vの高さ及び切断部cの高さを加えた値である。素材54の長さLは、図21では省略されているが、主板素材部54Wの長さLwとフランジ素材部54Fの長さLfとのうち大きい方である。素材54の幅Wは、フランジ24fが、主板部24wに対して、主板部24wの板厚twの方向の片側のみに設けられているので、フランジ素材部54Fの高さHf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、フランジ素材部54Fの板厚Tf及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、主板素材部54Wの板厚Twの半分の値と、の和である。
図22は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材56を示す側面図である。素材56は、材料26の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材56は、図22に示すように、主板素材部56Wと、フランジ素材部56F1と、フランジ素材部56F2と、交錯素材部56Mと、を有する。主板素材部56Wは、主板部26wに加工される部分である。フランジ素材部56F1は、フランジ26f1に加工される部分である。フランジ素材部56F2は、フランジ26f2に加工される部分である。交錯素材部56Mは、交錯部26mに加工される部分である。
主板素材部56Wの高さHwは、主板部26wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部56Wの長さLwは、図22では省略されているが、主板部26wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部56Wの板厚Twは、主板素材部56Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部56F1の高さHf1は、フランジ26f1の高さhf1と、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部56F1の長さLf1は、図22では省略されているが、フランジ26f1の長さlf1と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部56F1の板厚Tf1は、フランジ素材部56F1の高さHf1から、主板素材部56Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部56F1の板厚Tf1は、フランジ26f1が主板部26wの端部に設けられているので、主板部26wの端部側に余肉eが確保されている。
フランジ素材部56F2の高さHf2は、フランジ26f2の高さhf2と、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部56F2の長さLf2は、図22では省略されているが、フランジ26f2の長さlf2と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部56F2の板厚Tf2は、フランジ素材部56F2の高さHf2から、主板素材部56Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部56F2の板厚Tf2は、フランジ26f2が主板部26wの端部に設けられているので、主板部26wの端部側に余肉eが確保されている。
交錯素材部56Mの形状は、主板素材部56Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部56F1の大きさ及び形状と、フランジ素材部56F2の大きさ及び形状と、が滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材56の高さHは、フランジ26f1及びフランジ26f2が主板部26wの両方の端部を高さ方向に突き出していないので、主板素材部56Wの高さHwと等しい。素材56の長さLは、図22では省略されているが、主板素材部56Wの長さLwと、フランジ素材部56F1の長さLf1と、フランジ素材部56F2の長さLf2と、のうち最大のものである。素材56の幅Wは、フランジ26f1及びフランジ26f2が、主板部22wに対して、主板部22wの板厚twの方向の両側に設けられているので、フランジ素材部56F1の高さHf1と、フランジ素材部56F2の高さHf2と、の和である。
図23は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材58を示す側面図である。素材58は、材料28の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材58は、図23に示すように、主板素材部58Wと、フランジ素材部58F1と、フランジ素材部58F2と、交錯素材部58Mと、を有する。主板素材部58Wは、主板部28wに加工される部分である。フランジ素材部58F1は、フランジ28f1に加工される部分である。フランジ素材部58F2は、フランジ28f2に加工される部分である。交錯素材部58Mは、交錯部28mに加工される部分である。
主板素材部58Wの高さHwは、主板部28wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部58Wの長さLwは、図23では省略されているが、主板部28wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部58Wの板厚Twは、主板素材部58Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部58F1の高さHf1は、フランジ28f1の高さhf1と、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、の和である。フランジ素材部58F1の長さLf1は、図23では省略されているが、フランジ28f1の長さlf1と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部58F1の板厚Tf1は、フランジ素材部58F1の高さHf1から、主板素材部58Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部58F1の板厚Tf1は、フランジ28f1が主板部28wの端部に設けられているので、主板部28wの端部側に余肉eが確保されている。
フランジ素材部58F2の高さHf2は、フランジ28f2の高さhf2と、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、の和である。フランジ素材部58F2の長さLf2は、図23では省略されているが、フランジ28f2の長さlf2と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部58F2の板厚Tf2は、フランジ素材部58F2の高さHf2から、主板素材部58Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。フランジ素材部58F2の板厚Tf2は、フランジ28f2が主板部28wの端部に設けられているので、主板部28wの端部側に余肉eが確保されている。
交錯素材部58Mの形状は、主板素材部58Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部58F1の大きさ及び形状と、フランジ素材部58F2の大きさ及び形状と、が滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材58の高さHは、フランジ28f1が主板部28wの一方の端部を高さ方向に突き出しているので、フランジ28f1のフランジ位置と、主板素材部58Wの高さHw及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ素材部58F1の板厚Tf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、の和に、把持部vの高さ及び切断部cの高さを加えた値である。素材58の長さLは、図23では省略されているが、主板素材部58Wの長さLwと、フランジ素材部58F1の長さLf1と、フランジ素材部58F2の長さLf2と、のうち最大のものである。素材58の幅Wは、フランジ28f1及びフランジ28f2が、主板部28wに対して、主板部28wの板厚twの方向の両側に設けられているので、フランジ素材部58F1の高さHf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、フランジ素材部58F1の板厚Tf1及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ素材部58F2の高さHf2及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、フランジ素材部58F2の板厚Tf2及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ2の積と、の和である。
図24は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材62を示す側面図である。素材62は、材料32の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材62は、図24に示すように、主板素材部62Wと、フランジ素材部62Fと、交錯素材部62Mと、を有する。主板素材部62Wは、主板部32wに加工される部分である。フランジ素材部62Fは、フランジ32fに加工される部分である。交錯素材部62Mは、交錯部32mに加工される部分である。
主板素材部62Wの高さHwは、主板部32wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部62Wの長さLwは、図24では省略されているが、主板部32wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部62Wの板厚Twは、主板素材部62Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部62Fの高さHfは、フランジ32fの高さhfと、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部62Fの長さLfは、図24では省略されているが、フランジ32fの長さlfと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部62Fの板厚Tfは、フランジ素材部62Fの高さHfから、主板素材部62Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
交錯素材部62Mの形状は、主板素材部62Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部62Fの大きさ及び形状とが滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材62の高さHは、フランジ32fが主板部32wの両方の端部を高さ方向に突き出していないので、主板素材部62Wの高さHwと等しい。素材62の長さLは、図24では省略されているが、主板素材部62Wの長さLwとフランジ素材部62Fの長さLfとのうち大きい方である。素材62の幅Wは、フランジ32fが、主板部32wに対して、主板部32wの板厚twの方向の片側のみに設けられているので、フランジ素材部62Fの高さHfと、主板素材部62Wの板厚Twの半分の値との和である。
図25は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材64を示す側面図である。素材64は、材料34の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材64は、図25に示すように、主板素材部64Wと、フランジ素材部64Fと、交錯素材部64Mと、を有する。主板素材部64Wは、主板部34wに加工される部分である。フランジ素材部64Fは、フランジ34fに加工される部分である。交錯素材部64Mは、交錯部34mに加工される部分である。
主板素材部64Wの高さHwは、主板部34wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部64Wの長さLwは、図25では省略されているが、主板部34wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部64Wの板厚Twは、主板素材部64Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部64Fの高さHfは、フランジ34fの高さhfと、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、の和である。フランジ素材部64Fの長さLfは、図25では省略されているが、フランジ34fの長さlfと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部64Fの板厚Tfは、フランジ素材部64Fの高さHfから、主板素材部64Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
交錯素材部64Mの形状は、主板素材部64Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部64Fの大きさ及び形状とが滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材64の高さHは、フランジ34fが主板部34wの両方の端部を高さ方向に突き出しているか否かによって、異なる。具体的には、素材64の高さHは、フランジ34fが主板部34wの両方の端部を高さ方向に突き出していない場合、主板素材部64Wの高さHwと等しい。一方、素材64の高さHは、フランジ34fが主板部34wの一方の端部を高さ方向に突き出している場合、フランジ位置と、主板素材部64Wの高さHw及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、フランジ素材部64Fの板厚Tf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、の和に、把持部vの高さ及び切断部cの高さを加えた値である。
素材64の長さLは、図25では省略されているが、主板素材部64Wの長さLwとフランジ素材部64Fの長さLfとのうち大きい方である。素材64の幅Wは、フランジ34fが、主板部34wに対して、主板部34wの板厚twの方向の片側のみに設けられているので、フランジ素材部64Fの高さHf及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθの積と、フランジ素材部64Fの板厚Tf及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθの積と、主板素材部64Wの板厚Twの半分の値と、の和である。
図26は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材66を示す側面図である。素材66は、材料36の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材66は、図26に示すように、主板素材部66Wと、フランジ素材部66F1と、フランジ素材部66F2と、交錯素材部66Mと、を有する。主板素材部66Wは、主板部36wに加工される部分である。フランジ素材部66F1は、フランジ36f1に加工される部分である。フランジ素材部66F2は、フランジ36f2に加工される部分である。交錯素材部66Mは、交錯部36mに加工される部分である。
主板素材部66Wの高さHwは、主板部36wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部66Wの長さLwは、図26では省略されているが、主板部36wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部66Wの板厚Twは、主板素材部66Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部66F1の高さHf1は、フランジ36f1の高さhf1と、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部66F1の長さLf1は、図26では省略されているが、フランジ36f1の長さlf1と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部66F1の板厚Tf1は、フランジ素材部66F1の高さHf1から、主板素材部66Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部66F2の高さHf2は、フランジ36f2の高さhf2と、余肉eの大きさと、の和である。フランジ素材部66F2の長さLf2は、図26では省略されているが、フランジ36f2の長さlf2と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部66F2の板厚Tf2は、フランジ素材部66F2の高さHf2から、主板素材部66Wの板厚Twの半分を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
交錯素材部66Mの形状は、主板素材部66Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部66F1の大きさ及び形状と、フランジ素材部66F2の大きさ及び形状と、が滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材66の高さHは、フランジ36f1及びフランジ36f2が主板部36wの両方の端部を高さ方向に突き出していないので、主板素材部66Wの高さHwと等しい。素材66の長さLは、図26では省略されているが、主板素材部66Wの長さLwと、フランジ素材部66F1の長さLf1と、フランジ素材部66F2の長さLf2と、のうち最大のものである。素材66の幅Wは、フランジ36f1及びフランジ36f2が、主板部36wに対して、主板部36wの板厚twの方向の両側に設けられているので、フランジ素材部66F1の高さHf1と、フランジ素材部66F2の高さHf2と、の和である。
図27は、素材形状の決定方法で決定される素材の一例である素材68を示す側面図である。素材68は、材料38の形状の情報に基づいて算出されて決定されたものである。素材68は、図27に示すように、主板素材部68Wと、フランジ素材部68F1と、フランジ素材部68F2と、交錯素材部68Mと、を有する。主板素材部68Wは、主板部38wに加工される部分である。フランジ素材部68F1は、フランジ38f1に加工される部分である。フランジ素材部68F2は、フランジ38f2に加工される部分である。交錯素材部68Mは、交錯部38mに加工される部分である。
主板素材部68Wの高さHwは、主板部38wの高さhwと、余肉eの大きさと、把持部vの高さと、切断部cの高さと、の和である。主板素材部68Wの長さLwは、図27では省略されているが、主板部38wの長さlwと、余肉eの大きさの2倍と、の和である。主板素材部68Wの板厚Twは、主板素材部68Wの高さHwから把持部vの高さを減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部68F1の高さHf1は、フランジ38f1の高さhf1と、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、の和である。フランジ素材部68F1の長さLf1は、図27では省略されているが、フランジ38f1の長さlf1と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部68F1の板厚Tf1は、フランジ素材部68F1の高さHf1から、主板素材部68Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
フランジ素材部68F2の高さHf2は、フランジ38f2の高さhf2と、余肉eの大きさ及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、の和である。フランジ素材部68F2の長さLf2は、図27では省略されているが、フランジ38f2の長さlf2と、余肉eの大きさの2倍と、の和である。フランジ素材部68F2の板厚Tf2は、フランジ素材部68F2の高さHf2から、主板素材部68Wの板厚Twの半分及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積を減じた値と、材質に基づくパラメータと、の積以上の長さである。
交錯素材部68Mの形状は、主板素材部68Wの大きさ及び形状と、フランジ素材部68F1の大きさ及び形状と、フランジ素材部68F2の大きさ及び形状と、が滑らかに接続するような大きさ及び形状である。
素材68の高さHは、フランジ38f1及びフランジ38f2が主板部38wの両方の端部を高さ方向に突き出しているか否かによって、異なる。具体的には、素材68の高さHは、フランジ38f1及びフランジ38f2が主板部38wの両方の端部を高さ方向に突き出していない場合、主板素材部68Wの高さHwと等しい。一方、素材68の高さHは、フランジ38f1及びフランジ38f2が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出している場合、例えば図27に示すようにフランジ38f1が主板部38wの一方の端部を高さ方向に突き出している場合、フランジ38f1のフランジ位置と、主板素材部68Wの高さHw及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ素材部68F1の板厚Tf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、の和に、把持部vの高さ及び切断部cの高さを加えた値である。
素材68の長さLは、図27では省略されているが、主板素材部68Wの長さLwと、フランジ素材部68F1の長さLf1と、フランジ素材部68F2の長さLf2と、のうち最大のものである。素材68の幅Wは、フランジ38f1及びフランジ38f2が、主板部38wに対して、主板部38wの板厚twの方向の両側に設けられているので、フランジ素材部68F1の高さHf1及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ1の積と、フランジ素材部68F1の板厚Tf1及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ1の積と、フランジ素材部68F2の高さHf2及びフランジ角度の正弦の成分に相当するcosθ2の積と、フランジ素材部68F2の板厚Tf2及びフランジ角度の余弦の成分に相当するsinθ2の積と、の和である。
数値制御プログラム生成システム12及び数値制御プログラムの生成プログラム16の作用について、以下に説明する。図28は、数値制御プログラムの生成方法のフローの一例を示すフローチャートである。数値制御プログラムの生成方法は、数値制御プログラム生成システム12において、制御部12cが数値制御プログラムの生成プログラム16を読み出して処理することで実行される処理方法である。数値制御プログラムの生成方法について、図28を用いて説明する。数値制御プログラムの生成方法は、図28に示すように、要素作成ステップS62と、要素読み込みステップS64と、ツールパス作成ステップS66と、ツールパス接続ステップS67と、数値制御プログラム検証ステップS69と、を含む。以下においては、要素作成ステップS62、要素読み込みステップS64、ツールパス作成ステップS66、ツールパス接続ステップS67及び数値制御プログラム検証ステップS69を適宜、それぞれ単に、ステップS62、ステップS64、ステップS66、ステップS67及びステップS69と称する。
まず、制御部12cは、材料の形状の情報に基づいて、材料の形状に関する要素を作成する(ステップS62)。材料の形状に関する要素は、加工条件を設定するための要素である加工条件設定用要素と、ツールパスを作成するための要素であるツールパス作成用要素と、を含む。要素は、材料の形状に含まれる面要素ごとに生成される。
要素作成ステップS62について、詳細を以下に説明する。図29は、要素作成ステップS62の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。要素作成ステップS62は、図29に示すように、材料形状取得ステップS71と、材料形状識別ステップS72と、材料要素識別ステップS73と、素材形状取得ステップS74と、素材要素識別ステップS75と、加工条件設定用要素抽出ステップS77と、ツールパス作成用要素作成ステップS78と、ツールパス用要素分類ステップS79と、を含む。以下においては、材料形状取得ステップS71、材料形状識別ステップS72、材料要素識別ステップS73、素材形状取得ステップS74、素材要素識別ステップS75、加工条件設定用要素抽出ステップS77、ツールパス作成用要素作成ステップS78及びツールパス用要素分類ステップS79を適宜、それぞれ単に、ステップS71、ステップS72、ステップS73、ステップS74、ステップS75、ステップS77、ステップS78及びステップS79と称する。
図30は、材料形状の一例である材料設計モデル70を示す斜視図である。材料設計モデル70は、材料について作成された3次元設計モデルである。要素作成ステップS62において、まず、制御部12cは、上記のステップS12と同様に、材料の形状の情報を取得する(ステップS71)。具体的には、制御部12cは、コンピュータ支援設計プログラム17を実行して、材料について作成された3次元設計モデル、例えば図30に示す材料設計モデル70のデータを取得する。以下においては、実施形態として、材料設計モデル70を扱う一例を記載する。
図31は、材料設計モデル70の識別条件の一例である識別条件72を示す図である。ステップS71の後、制御部12cは、ステップS71で取得した材料の形状の情報に基づいて、材料の形状を識別する(ステップS72)。具体的には、制御部12cは、図31に示す識別条件72に従って、材料設計モデル70の識別をする。
図32は、90度のフランジ角度の一例であるフランジ角度RAを示す断面図である。図33は、鋭角のフランジ角度の一例であるフランジ角度AAを示す断面図である。図34は、フランジにおける段差部の一例であるフランジ段差部FSを示す斜視図である。図35は、マウスホールの一例であるマウスホールMHを示す斜視図である。識別条件72は、フランジの型、材料の大きさ、フランジ角度、フランジの段差部の有無及びマウスホールの有無を含む。フランジの型は、例えば、上記のステップS14で分類したL型フランジ、T型フランジ、ト型フランジ及び+型フランジの4種類が含まれる。材料の大きさは、例えば、3種類程度が含まれる。フランジ角度は、例えば、図32に示すフランジ角度が90度であるフランジ角度RAと、図33に示すフランジ角度が鋭角又は鈍角であるフランジ角度AAと、の2種類が含まれる。フランジの段差部の有無は、例えば、所定の大きさ、例えば図34に示すR10以下のフランジ段差部FSを有する場合と、フランジ段差部FSを有さない場合と、の2種類が含まれる。フランジの段差部の有無は、板厚変化の有無とみなしてもよい。マウスホールの有無は、例えば、図35に示すマウスホールMHを有する場合と、マウスホールMHを有さない場合と、の2種類が含まれる。これらの場合、識別条件72は、合計で96種類の識別条件を含む。詳細には、制御部12cは、ステップS72で、図30に示す材料設計モデル70を、フランジの型がT型フランジであり、材料サイズが中程度であり、フランジ角度が90度であり、フランジ段差部を有さない場合であり、マウスホールを有さない場合であるという種類に識別する。
ステップS72の後、制御部12cは、材料設計モデル70の要素を識別する(ステップS73)。図36は、既存の材料設計モデルの一例であり、材料形状と最も形状が近い、すなわち材料設計モデル70と同じ種類の類似材料設計モデル74を示す斜視図である。制御部12cは、ステップS73では、本実施形態では、材料設計モデル70の要素を、類似材料設計モデル74の要素と対比し、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との該当する部分同士を互いに対応させて、対応関係を設定することで、識別する。なお、ステップS73はこれに限定されず、類似材料設計モデル74を用いない方法等、その他の方法を用いることもできる。
類似材料設計モデル74を用いて処理される材料要素識別ステップS73について、詳細を以下に説明する。図37は、材料要素識別ステップS73の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。材料要素識別ステップS73は、図37に示すように、自動識別可否判断ステップS81と、自動識別ステップS82と、モデル要素名識別可否判断ステップS84と、モデル要素名識別ステップS85と、半自動識別ステップS87と、を含む。以下においては、自動識別可否判断ステップS81、自動識別ステップS82、モデル要素名識別可否判断ステップS84、モデル要素名識別ステップS85及び半自動識別ステップS87を適宜、それぞれ単に、ステップS81、ステップS82、ステップS84、ステップS85及びステップS87と称する。
材料要素識別ステップS73において、まず、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74に対して自動識別ステップS82の一部分の処理を実行して、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能か否かを判断する(ステップS81)。制御部12cは、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能であると判断した場合(ステップS81でYes)、材料設計モデル70に対して残りの自動識別ステップS82の処理を実行して、自動で材料設計モデル70の要素を識別する(ステップS82)。一方、制御部12cは、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能ではないと判断した場合(ステップS81でNo)、材料設計モデル70に対する自動識別ステップS82の処理を停止して、処理をステップS84に進める。
自動識別ステップS82について、詳細を以下に説明する。図38は、材料設計モデル70の要素を自動で識別する場合の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。自動識別ステップS82は、図38に示すように、面要素抽出ステップS91と、第1基準面設定ステップS92と、第2基準面設定ステップS93と、座標軸作成ステップS94と、面エッジライン自動検出ステップS96と、自動対比検出ステップS98と、を含む。以下においては、面要素抽出ステップS91、第1基準面設定ステップS92、第2基準面設定ステップS93、座標軸作成ステップS94、面エッジライン自動検出ステップS96及び自動対比検出ステップS98を適宜、それぞれ単に、ステップS91、ステップS92、ステップS93、ステップS94、ステップS96及びステップS98と称する。
自動識別ステップS82において、まず、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74の全ての面要素を抽出する(ステップS91)。ステップS91において、1つの面要素とみなすか否かの基準は、例えば、曲面部41、テーパ部42、段差部43及び段差部44、あるいは面に垂直な方向の高さの変化が所定の閾値以下であるか否かである。
ステップS91の処理の後で、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74のそれぞれにおいて、抽出した全ての面要素のうち、最長の2点間の距離の直線を含む面要素を、第1の基準面に設定する(ステップS92)。例えば、制御部12cは、類似材料設計モデル74において、図36に示すように上記の条件を満たす面要素を第1の基準面76に設定する。
ステップS92の処理の後で、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74のそれぞれにおいて、ステップS92で設定した第1の基準面に直交する方向に沿う面要素のうち最長の2点間の距離の直線を含む面要素を、第2の基準面に設定する(ステップS93)。例えば、制御部12cは、類似材料設計モデル74において、図36に示すように上記の条件を満たす面要素を第2の基準面77に設定する。
ステップS93の処理の後で、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74のそれぞれにおいて、ステップS92で設定した第1の基準面とステップS93で設定した第2の基準面との交線をX軸とし、第1の基準面に直交するいずれか1つの直線をZ軸として、座標軸を作成する(ステップS94)。例えば、制御部12cは、類似材料設計モデル74において、図36に示すように、第1の基準面76と第2の基準面77との交線をX軸とし、第1の基準面76に直交するいずれか1つの直線をZ軸として、図36に示すように座標軸78を作成する。
ステップS94の処理の後で、制御部12cは、材料設計モデル70及び類似材料設計モデル74のそれぞれにおいて、面要素及び面要素の境界となるエッジラインを自動検出する(ステップS96)。その際、制御部12cは、面要素及びエッジラインの座標の情報を合わせて検出する。
ステップS96の処理の後で、制御部12cは、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74とを対比し、ステップS96で自動検出した材料設計モデル70の面要素及びエッジラインと類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとの間で対応関係を検出し、設定する(ステップS98)。この際、制御部12cは、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との各座標軸に基づいて、すなわち、座標の情報が近いもの同士が該当する部分同士である可能性が高いとして、対応関係を検出する。
制御部12cは、ステップS91からステップS98まで円滑に処理できて、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との間で対応関係が設定できた場合、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能であると判断し(ステップS81でYes)、識別対象である材料設計モデル70の要素を、面要素ごとに識別することができる(ステップS82)。
制御部12cは、ステップS91からステップS98まで円滑に処理できなかった場合、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能ではないと判断し(ステップS81でNo)、材料設計モデル70に対する自動識別ステップS82の処理を停止して、処理をステップS84に進める。
図39は、モデル要素名から自動識別をする場合の自動識別の様子の一例を示す図である。制御部12cは、ステップS84に進んだ場合、材料設計モデル70における、図39に示すモデル要素名79から材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能であるか否かを判断する(ステップS84)。制御部12cは、材料設計モデル70において使用しているモデル要素名79と、類似材料設計モデル74において使用されているモデル要素名と、が一致する場合、例えば、図39に示す基準座標軸、基準面A、基準要素A、基準要素B等のモデル要素名79が、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74とで共通に使用されている場合、材料設計モデル70におけるモデル要素名79から材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能であると判断する(ステップS84でYes)。制御部12cは、材料設計モデル70におけるモデル要素名79から材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能であると判断した場合(ステップS84でYes)、材料設計モデル70におけるモデル要素名79を、類似材料設計モデル74におけるモデル要素名と対応関係を設定することで、材料設計モデル70の面要素及びエッジラインと類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとの間で対応関係を検出し、設定する(ステップS85)。
制御部12cは、材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能ではない場合、かつ、材料設計モデル70において使用しているモデル要素名79と、類似材料設計モデル74において使用されているモデル要素名と、が一致しない場合、材料設計モデル70におけるモデル要素名79から材料設計モデル70の要素を自動で識別が可能ではないと判断し(ステップS84でNo)、処理をステップS87に進める。
図40は、基準要素選択からの半自動識別をする場合の基準要素選択の様子の一例を示す図である。制御部12cは、処理がステップS87に進んだ場合、材料設計モデル70の要素を自動識別する処理を一旦停止し、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との間の対応関係の入力を受け付ける。図40に示すように、手動で、例えばマウス等で、図40の右側のウインドウで材料設計モデル70の面要素及びエッジラインを選択し、図40の右側を含む全体のウインドウで類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインを選択して、これらの間の対応関係が一部入力されると、制御部12cは、入力された対応関係に基づいて、互いの座標軸及び位置関係等の情報から、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との間の残りの対応関係を自動で検出することができる。これにより、制御部12cは、材料設計モデル70の面要素及びエッジラインと類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとの間で対応関係を検出し、設定する(ステップS87)。
制御部12cは、自動識別ステップS82、モデル要素名識別ステップS85及び半自動識別ステップS87で、材料設計モデル70の面要素及びエッジラインと類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとの間で対応関係を検出し、設定する。すなわち、制御部12cは、自動識別ステップS82、モデル要素名識別ステップS85及び半自動識別ステップS87で、材料設計モデル70を、類似材料設計モデル74に合わせ込む。具体的には、制御部12cは、材料設計モデル70の面要素及びエッジラインと、類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとを対応させた情報、すなわち材料対応情報と、対応させた部分の類似点及び差異点の情報と、を生成する。制御部12cは、この対応させた情報と、対応させた部分の類似点及び差異点の情報から、要素への分割処理を行う。これにより、制御部12cは、材料要素識別ステップS73の処理を終了させて、処理を素材形状取得ステップS74へ進める。
図29に戻って、制御部12cは、対象の材料の形状に基づいて素材形状決定システム11で算出及び決定された素材の形状の情報を取得する(ステップS74)。図41は、素材設計モデルの一例である素材設計モデル80を示す図である。具体的には、制御部12cは、ステップS74で、対象の素材の形状の情報を含む、図41に示すような素材設計モデル80を、素材形状決定システム11から取得する。制御部12cは、これにより、加工処理の開始時点の形状に相当する素材の形状の情報を素材設計モデル80として取得し、加工処理の終了時点の形状に相当する材料の形状の情報を材料設計モデル70として取得している状態となる。
ステップS74の処理の後、制御部12cは、ステップS73で生成した材料対応情報並びに対応させた部分の類似点及び差異点の情報と、ステップS74で取得した素材設計モデル80の情報とに基づいて、素材設計モデル80の要素を識別する(ステップS75)。具体的には、まず、制御部12cは、素材設計モデル80の情報に含まれる材料と素材との間の各要素の対応関係の情報を用いて、素材設計モデル80の要素と、材料設計モデル70の面要素及びエッジラインとの間の対応関係を設定する。次に、制御部12cは、材料対応情報並びに対応させた部分の類似点及び差異点の情報と、を用いて、素材設計モデル80の要素と、類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインとの間の対応関係を設定し、類似材料設計モデル74の面要素及びエッジラインに予め設定された加工条件に関する情報に基づいて、素材設計モデル80の要素を加工条件の種類ごとに識別する。
図42は、素材設計モデルにおける要素分割方法の一例である要素分割方法82を示す図である。素材設計モデル80は、例えば、ステップS75の処理により、図41及び図42に示すように、フランジ端部加工要素E1と、フランジ面加工要素E2と、交錯部加工要素E3と、主板部端部加工要素E4と、主板部面加工要素E5と、切断部加工要素E6と、いくつかの穴あけ加工要素と、に識別される。これらすべての加工要素は、ツールパス作成用要素が作成されるため、図42に示す要素分割方法82において、全ての加工要素におけるツールパス用の欄に「〇」が付されている。フランジ面加工要素E2、交錯部加工要素E3及び主板部面加工要素E5は、加工の際の素材や材料の剛性の影響を受けるので、加工条件設定用要素が作成される必要があるため、要素分割方法82において、これらの加工要素における加工条件設定用の欄に「〇」が付されている。一方、フランジ端部加工要素E1、主板部端部加工要素E4、切断部加工要素E6及びいくつかの穴あけ加工要素は、加工の際の素材や材料の剛性の影響を受けないので、加工条件設定用要素が作成される必要がないため、要素分割方法82において、これらの加工要素における加工条件設定用の欄に「−」が付されている。
図29に戻って、ステップS75の処理の後、制御部12cは、素材設計モデル80に示される素材から材料設計モデル70に示される材料を加工するための加工条件設定用要素を抽出する(ステップS77)。ステップS77では、具体的には、制御部12cは、加工条件を設定するために加工の際の素材又は材料の静剛性を簡易的に算出するために必要な各種の値を抽出する。図43は、加工条件設定用要素の一例を示す図である。制御部12cがステップS77で抽出する加工条件設定用要素は、図43に示される材料設計モデル70における主板部の高さhw及び板厚tw、図43に示される材料設計モデル70におけるフランジの高さhf及び板厚tfに加えて、材料設計モデル70における主板部の長さlw及びフランジの長さlf、素材設計モデル80における主板素材部の高さHw及び板厚Tw、素材設計モデル80におけるフランジ素材部の高さHf及び板厚Tf、素材設計モデル80における主板素材部の長さLw及びフランジ素材部の長さLf、素材及び材料の材質のヤング率E、素材及び材料の材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータ、等が例示される。
図29に戻って、ステップS77の処理の後、制御部12cは、素材設計モデル80に示される素材から材料設計モデル70に示される材料を加工するためのツールパス作成用要素を作成する(ステップS78)。ステップS78の処理では、制御部12cは、ステップS75で識別された要素ごとに、加工動作の道筋をコード化したツールパスを作成するための要素であるツールパス作成用要素を作成する。具体的には、制御部12cは、面要素と、端部要素と、2以上の面要素が交錯する交錯部要素とを設定し、素材又は材料の剛性の影響を受ける一部の面要素と交錯部要素とを、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する要素に設定する。図44は、ツールパス作成用要素の一例を示す図である。例えば、ステップS78で作成されるツールパス作成用要素は、図44に示すように、フランジ外周仕上げ要素EL1と、フランジ面加工要素EL2と、フランジ穴あけ加工要素EL3と、長さ方向端部加工要素EL4と、主板部面加工要素EL5と、主板部穴あけ加工要素EL6と、切断加工要素EL7と、を含む。
この各要素は、加工の順序に関する情報と、加工条件の設定に関する情報とを含む。具体的には、フランジ外周仕上げ要素EL1は、把持部vから最も離れた箇所にあり、フランジの高さ方向に直交する面要素であるため、加工の順序は、軸方向の両端の端面の加工に相当する長さ方向端部加工要素EL4の次に設定されており、面要素や交錯部の加工ではないため、加工条件設定用要素を用いずに1回で加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。フランジ面加工要素EL2は、把持部vから最も離れた箇所にあり、軸方向及びフランジの高さ方向に沿った面要素であるため、加工の順序は、フランジ外周仕上げ要素EL1の次に設定されており、面要素や交錯部の加工であるため、加工条件設定用要素を用いて、荒加工と仕上げ加工とに分けて複数回で加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。フランジ穴あけ加工要素EL3は、穴あけ加工要素であるため、後述するように、加工の順序は、フランジ面加工要素EL2における所定の荒加工の後、フランジ面加工要素EL2における所定の仕上げ加工の前に、設定されており、加工条件設定用要素を用いずに所定の穴あけ加工処理方法に基づいて加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。
荒加工は、比較的、工具の回転数を大きく、工具で加工する深さである加工代を大きく、かつ、工具で加工する領域である加工ピッチを大きくした加工であり、加工の精度並びに加工の際に素材及び材料に与える影響の低減よりも加工の速度が優先された加工である。荒加工は、素材を材料の形状に近づけるための加工、例えば切削加工である。一方、仕上げ加工は、荒加工よりも、工具の回転数を小さく、工具で加工する深さである加工代を小さく、かつ、工具で加工する領域である加工ピッチを小さくした加工であり、加工の速度よりも加工の精度並びに加工の際に素材及び材料に与える影響の低減が優先された加工である。仕上げ加工は、素材を材料の形状に仕上げるための加工、例えば切削加工である。そのため、軸方向の両端の端面の加工及び高さ方向に直交する面要素の加工には、加工の精度をあまり考慮する必要がなく、かつ、加工の際に素材及び材料に与える影響を考慮する必要がないので、荒加工が適している。一方、軸方向及び高さ方向に沿った面要素の加工には、加工の精度を考慮する必要があり、かつ、加工の際に素材及び材料に与える影響を考慮する必要があるので、仕上げ加工が適している。そのため、軸方向及び高さ方向に沿った面要素の加工には、加工の精度並びに加工の際に素材及び材料に与える影響を考慮しなくていい段階まで荒加工を使用し、それ以降の段階で仕上げ加工を使用することが好ましい。
長さ方向端部加工要素EL4は、軸方向の両端の端面の加工であるため、加工の順序は最初に設定されており、面要素や交錯部の加工ではないため、加工条件設定用要素を用いずに1回で加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。主板部面加工要素EL5は、把持部vから近い箇所にあり、軸方向及びフランジの高さ方向に沿った面要素であるため、加工の順序は、フランジ外周仕上げ要素EL1、フランジ面加工要素EL2及びフランジ穴あけ加工要素EL3の後に設定されており、面要素や交錯部の加工であるため、加工条件設定用要素を用いて、荒加工と仕上げ加工とに分けて複数回で加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。主板部穴あけ加工要素EL6は、穴あけ加工要素であるため、後述するように、加工の順序は、主板部面加工要素EL5における所定の荒加工の後、主板部面加工要素EL5における所定の仕上げ加工の前に、設定されており、加工条件設定用要素を用いずに所定の穴あけ加工処理方法に基づいて加工するというツールパスを作成する要素に設定されている。
切断加工要素EL7は、切断部cで材料と把持部vとを切り離す加工であるため、加工の順序は最後に設定されており、切り離しやすいように、カットアウトの形状に応じた複数のタブ形状の加工をするというツールパスを作成する要素に設定されている。
図29に戻って、ステップS78の処理の後、制御部12cは、ステップS78で作成したツールパス作成用要素を分類する(ステップS79)。具体的には、制御部12cは、ステップS78で作成したツールパス作成用要素ごとに、処理上の階層を分ける。例えば、制御部12cは、ステップS78で作成したツールパス作成用要素ごとに、レイヤーを分け、ディスプレイ等に表示させる色を分ける。これにより、制御部12cは、図28に示す要素作成ステップS62の処理を終了させて、処理を要素読み込みステップS64へ進める。
図28に戻って、制御部12cは、ステップS62で作成した材料の形状に関する要素、すなわち、材料の形状に含まれる面要素ごとに生成され、加工条件設定用要素とツールパス作成用要素とを含む要素を、コンピュータ支援設計プログラム17が実行される領域から、コンピュータ支援製造プログラム18が実行される領域に読み込む処理をする(ステップS64)。ステップS64以降の制御部12cの処理は、コンピュータ支援製造プログラム18を実行して行われる。
制御部12cは、ステップS64の処理の後、ステップS64で読み込んだ要素ごとに、ツールパスを作成する(ステップS66)。加工条件設定用要素を用いることなくツールパスを作成する要素についてツールパスを作成する場合、例えば、上記の例におけるフランジ外周仕上げ要素EL1、フランジ穴あけ加工要素EL3、長さ方向端部加工要素EL4、主板部穴あけ加工要素EL6及び切断加工要素EL7のそれぞれについてツールパスを作成する場合、制御部12cは、これらの要素について設定されたツールパス作成用要素に基づいて、機械加工に用いる工具を選択し、工具のデータベースの値又はコンピュータ支援製造プログラム18で規定された所定の加工条件から作成されたツールパスを適宜選択することで、ツールパスを作成する。
制御部12cは、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する場合でも、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との間で完全に一致する要素については、類似材料設計モデル74に基づいて既に作成されたツールパスをそのまま用いることができる。また、制御部12cは、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する場合、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との間で類似点と差異点を有する要素については、類似材料設計モデル74に基づいて既に作成されたツールパスに対して差異点に応じて変更したツールパスを作成することが好ましい。そのため、本実施形態では、制御部12cは、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する場合のツールパス作成ステップS66について、類似材料設計モデル74に基づいて既に作成されたツールパスを基準として、各ステップの処理を施す。
加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する場合、例えば、上記の例におけるフランジ面加工要素EL2及び主板部面加工要素EL5のそれぞれについてツールパスを作成する場合のツールパス作成ステップS66について、詳細を以下に説明する。図45は、この場合のツールパス作成ステップS66の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。ツールパス作成ステップS66は、図45に示すように、ツールパス作成領域選択ステップS101と、工具選定ステップS102と、工具回転数送り量仮設定ステップS104と、加工時切込み量仮設定ステップS105と、切込み量工具仕様内判断ステップS107と、仮設定切込み量修正ステップS108と、加工領域形状算出ステップS111と、加工領域静剛性算出ステップS112と、工具切削力算出ステップS113と、倒れ量算出ステップS114と、倒れ量閾値内判断ステップS116と、仮設定送り量切込み量修正ステップS117と、動力比算出ステップS121と、動力比閾値内判断ステップS122と、工具仮設定変更ステップS123と、選択領域ツールパス作成ステップS125と、全領域ツールパス作成判断ステップS126と、を含む。以下においては、ツールパス作成領域選択ステップS101、工具選定ステップS102、工具回転数送り量仮設定ステップS104、加工時切込み量仮設定ステップS105、切込み量工具仕様内判断ステップS107、仮設定切込み量修正ステップS108、加工領域形状算出ステップS111、加工領域静剛性算出ステップS112、工具切削力算出ステップS113、倒れ量算出ステップS114、倒れ量閾値内判断ステップS116、仮設定送り量切込み量修正ステップS117、動力比算出ステップS121、動力比閾値内判断ステップS122、工具仮設定変更ステップS123、選択領域ツールパス作成ステップS125及び全領域ツールパス作成判断ステップS126を適宜、それぞれ単に、ステップS101、ステップS102、ステップS104、ステップS105、ステップS107、ステップS108、ステップS111、ステップS112、ステップS113、ステップS114、ステップS116、ステップS117、ステップS121、ステップS122、ステップS123、ステップS125及びステップS126と称する。
加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する場合のツールパス作成ステップS66において、まず、制御部12cは、ツールパスを作成する領域を選択する(ステップS101)。具体的には、制御部12cは、ステップS64で読み込んだ要素のうち、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する要素を1番目から順に1つずつ選択する。
次に、制御部12cは、加工条件設定用要素に含まれる材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状と、材質とに基づいて、機械加工に用いる工具を選定する(ステップS102)。具体的には、制御部12cは、材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状と、材質と、それに好ましい工具との組み合わせのデータベースを用いて、材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状と、材質との組み合わせに好ましい工具を選定する。なお、ステップS102では、同じ要素について行う荒加工と、仕上げ加工とで、同じ工具を用いるように選択することが好ましい。また、ステップS102では、全ての要素について同じ工具を用いるように選択することが好ましい。ステップS102で、同じ工具を用いるように選択した場合、その選択をした部分について、工具の変更を行わなくて済むため、素早い加工処理をすることを可能にする。
好ましい工具との組み合わせのデータベースについて、詳細を以下に説明する。図46は、工具の安定領域の一例を示す図である。曲線LL1は、図46に示すように、加工の際に工具が安定となる領域と不安定となる領域との境界線である。図46に示すように、曲線LL1よりも下側の領域は、加工の際に工具が安定となる領域であり、曲線LL1よりも上側の領域は、加工の際に工具が不安定となる領域である。曲線LL1よりも下側の安定領域は、主軸回転数に応じて軸方向切込み量の上限が大きい安定ポケットと称される領域を有する。曲線LL1は、加工の際の切削力の行列成分と、工具又は素材あるいは材料との伝達関数からなる行列式を解くことで得られる。工具側の伝達関数の測定及び切削力の行列成分の算出は、専用のプログラムを用いることで可能である。一方、素材側あるいは材料側の伝達関数の測定及び切削力の行列成分の算出は、素材側あるいは材料側の形状が複雑である場合、加工中に素材側あるいは材料側の剛性及び重量が変化することにより固有振動数が変化するために困難である。
そこで、本実施形態では、素材側あるいは材料側を簡易的に考慮して、安定して加工できるツールパスを生成するため、主軸回転数に依存しない、無条件安定限界を示す直線LL2を用いる。図46に示すように、直線LL2よりも下側の領域は、主軸回転数に依らず加工の際に工具が安定となる領域であり、直線LL2よりも上の領域は、主軸回転数に依っては加工の際に工具が不安定となる可能性がある領域である。この無条件安定限界の直線LL2の算出は、上記の伝達関数の最大負実部から解析的に求める必要がある。
そのため、本実施形態では、素材側あるいは材料側の静剛性の概算値と、加工条件から算出される工具の切削動力及び切削力を求めて、工具の切削動力と素材側あるいは材料側の静剛性の概算値との比である動力比と、工具の切削力と素材側あるいは材料側の静剛性の概算値との比である倒れ量と、を算出して、動力比及び倒れ量に基づいて加工の際に工具が安定となる条件を設定し、この条件に基づいて加工条件を設定する。
図47は、荒加工の際の工具の主軸回転数及び1刃あたりの送り量の組み合わせの例である荒加工工具条件83を示す図である。図48は、仕上げ加工の際の工具の主軸回転数及び1刃あたりの送り量の組み合わせの例である仕上げ加工工具条件84を示す図である。荒加工工具条件83は、図47に示すように、荒加工の際の工具の種類、条件通し番号n、主軸回転数S(単位;min−1)、1刃あたりの送り量fz(単位;mm/tooth)、軸方向切込み量Ad(単位;mm)、半径方向切込み量Rd(単位;mm)の組み合わせを複数有する。仕上げ加工工具条件84は、図48に示すように、荒加工の際の工具の種類、条件通し番号n、主軸回転数S(単位;min−1)、1刃あたりの送り量fz(単位;mm/tooth)、軸方向切込み量Ad(単位;mm)、半径方向切込み量Rd(単位;mm)の組み合わせを複数有する。
工具の種類は、A,B,・・・等のように、工具に付された記号で、荒加工工具条件83及び仕上げ加工工具条件84の組み合わせに含まれている。条件通し番号nは、1,2,3,4,・・・等のように、各条件に付された通し番号である。条件通し番号nは、同じ工具の種類において、主軸回転数Sが大きい順に付されている。主軸回転数Sは、1分あたりの工具の主軸の回転数である。主軸回転数Sは、加工の安定性の観点から、荒加工工具条件83及び仕上げ加工工具条件84において、安定ポケットを含む規定の値に設定されている。具体的には、主軸回転数Sは、荒加工工具条件83及び仕上げ加工工具条件84において、30000min−1を2以上の整数で割った各値に設定されている。1刃あたりの送り量fzは、1つの刃が素材又は材料と接してから次の刃が素材又は材料と接するまでの工具の半径方向の送り量である。軸方向切込み量Adは、1回の加工における工具の軸方向に沿った方向の加工量(加工長さ)である。半径方向切込み量Rdは、1回の加工における工具の半径方向に沿った方向の加工量(加工長さ)である。
制御部12cは、荒加工時と仕上げ加工時とのそれぞれについて、ステップS102で選定した機械加工に用いる工具の主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzの組み合わせを仮設定する(ステップS104)。具体的には、制御部12cは、ステップS102で工具Aを選定していた場合、例えば、主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzの組み合わせを、条件通し番号nが一番小さい組み合わせに仮設定する。制御部12cは、荒加工工具条件83及び仕上げ加工工具条件84を用いている場合、条件通し番号nが1の組み合わせに、すなわち主軸回転数Sが15000min−1及び1刃あたりの送り量fzが0.1mm/toothの組み合わせに、仮設定する。
ステップS104の処理の後、制御部12cは、加工条件設定用要素に含まれる材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状の情報と、材質の情報とを用いて、荒加工時及び仕上げ加工時における軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdを仮設定する(ステップS105)。具体的な軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdの仮設定の方法について、素材設計モデル80を加工する例を挙げて、詳細を以下に説明する。図49は、素材設計モデル80において、主板素材部の加工の順の一例を示す図である。図50は、素材設計モデル80において、フランジ素材部の加工の順の一例を示す図である。図49及び図50において、図では省略されているが、紙面の下側が把持部vとなっている。制御部12cは、主板素材部の加工について、図49に示す数字が主板素材部の加工順序となるように、把持部vから遠い側から近い側に向かって、すなわち紙面の上側から下側に向かう順に、加工処理が行われるように加工順序を仮設定する。制御部12cは、フランジ素材部の加工について、図50に示す数字がフランジ素材部の加工順序となるように、主板部から遠い側から近い側に向かって、すなわちフランジ素材部の先端側から基端部に向かう順に、加工処理が行われるように加工順序を仮設定する。
詳細には、制御部12cは、素材設計モデル80の主板素材部において、図49の1番及び2番に示すように、荒加工を主板素材部の両面で行ってから、図49の3番、4番、5番及び6番に示すように、仕上げ加工を主板素材部の両面で把持部vから遠い側から近い側に向かって2回ずつに分けて行うように、加工順序を仮設定する。また、制御部12cは、素材設計モデル80の主板素材部において、図49の1番から6番よりも把持部vに近い側についても、図49の1番から6番と同様の条件及び順序で荒加工及び仕上げ加工を行うように、加工順序を仮設定する。制御部12cは、図49に示すように、素材設計モデル80の主板素材部において、荒加工時の軸方向切込み量Adを、主板素材部の高さ方向に沿う方向の高さhwrに設定し、荒加工時の半径方向切込み量Rdを、主板素材部の板厚方向に沿う厚さ((Tw−twr)/2)に仮設定する。制御部12cは、図49に示すように、素材設計モデル80の主板素材部において、仕上げ加工時の軸方向切込み量Adを、主板素材部の高さ方向に沿う方向の高さhwr/2に設定し、仕上げ加工時の半径方向切込み量Rdを、主板素材部の板厚方向に沿う厚さ((twr−tw)/2)に仮設定する。これにより、制御部12cは、素材設計モデル80の主板素材部を加工して、材料設計モデル70の主板部の板厚twと同じにするまでのツールパスを仮設定する。
本実施形態では、制御部12cは、素材設計モデル80の主板素材部の加工を、主板素材部の板厚方向に沿う方向に、図49に示すように荒加工と仕上げ加工との2段階に分離し、荒加工後の主板素材部の板厚を板厚twrに仮設定しているが、これに限定されることなく、3段階以上に分離しても良い。本実施形態のように2段階に分離する場合、制御部12cは、荒加工時の半径方向切込み量Rdである厚さ((Tw−twr)/2)と仕上げ加工時の半径方向切込み量Rdである厚さ((twr−tw)/2)との比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、板厚twrを仮設定することが好ましい。例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tw−twr)/2)と厚さ((twr−tw)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、板厚twrを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
本実施形態では、制御部12cは、素材設計モデル80の主板素材部の加工を、主板素材部に沿う方向に、図49に示すように3段階に分離しているが、これに限定されることなく、分離しなくても良いし、2段階に分離しても良いし、4段階以上に分離しても良い。本実施形態の場合、制御部12cは、荒加工時の加工領域における主板素材部に沿う方向の高さである高さhwrと荒加工後の加工領域における主板素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚twrとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、高さhwr及び板厚twrを仮設定することが好ましい。また、制御部12cは、仕上げ加工時の加工領域における主板素材部に沿う方向高さである高さhwr/2と仕上げ加工時の加工領域における主板素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚twとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、高さhwrを仮設定することが好ましい。この場合においても、例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tw−twr)/2)と厚さ((twr−tw)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、板厚twrを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
あるいは、制御部12cは、仕上げ加工の荒加工に対する主板素材部に沿う方向の分離段階数をXとしたとき、仕上げ加工時の加工領域における主板素材部に沿う方向の高さである高さhwr/Xと仕上げ加工後の加工領域における主板素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚twとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、Xを仮設定することが好ましい。この場合においても、例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tw−twr)/2)と厚さ((twr−tw)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、Xを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
制御部12cは、素材設計モデル80のフランジ素材部において、図50の1番及び2番に示すように、荒加工をフランジ素材部の両面で行ってから、図50の3番、4番、5番及び6番に示すように、仕上げ加工をフランジ素材部の両面で主板素材部から遠い側から近い側に向かって2回ずつに分けて行うように、加工順序を仮設定する。また、制御部12cは、素材設計モデル80のフランジ素材部において、図50の1番から6番よりも主板素材部に近い側、例えば図50の7番から12番についても、図50の1番から6番と同様の条件及び順序で荒加工及び仕上げ加工を行うように、加工順序を仮設定する。制御部12cは、図50に示すように、素材設計モデル80のフランジ素材部において、荒加工時の軸方向切込み量Adを、フランジ素材部の高さ方向に沿う方向の高さhfrに仮設定し、荒加工時の半径方向切込み量Rdを、フランジ素材部の板厚方向に沿う厚さ((Tf−tfr)/2)に仮設定する。制御部12cは、図50に示すように、素材設計モデル80のフランジ素材部において、仕上げ加工時の軸方向切込み量Adを、フランジ素材部の高さ方向に沿う方向の高さhfr/2に仮設定し、仕上げ加工時の半径方向切込み量Rdを、フランジ素材部の板厚方向に沿う厚さ((tfr−tf)/2)に仮設定する。これにより、制御部12cは、素材設計モデル80のフランジ素材部を加工して、材料設計モデル70のフランジの板厚tfと同じにするまでのツールパスを仮設定する。
本実施形態では、制御部12cは、素材設計モデル80のフランジ素材部の加工を、フランジ素材部の板厚方向に沿う方向に、図50に示すように荒加工と仕上げ加工との2段階に分離し、荒加工後のフランジ素材部の板厚を板厚tfrに仮設定しているが、これに限定されることなく、3段階以上に分離しても良い。本実施形態のように2段階に分離する場合、制御部12cは、荒加工時の半径方向切込み量Rdである厚さ((Tf−tfr)/2)と仕上げ加工時の半径方向切込み量Rdである厚さ((tfr−tf)/2)との比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、板厚tfrを仮設定することが好ましい。例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tf−tfr)/2)と厚さ((tfr−tf)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、板厚tfrを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
本実施形態では、制御部12cは、素材設計モデル80のフランジ素材部の加工を、フランジ素材部に沿う方向に、図50に示すように2段階に分離しているが、これに限定されることなく、分離しなくても良いし、3段階以上に分離しても良い。本実施形態の場合、制御部12cは、荒加工時の加工領域におけるフランジ素材部に沿う方向高さである高さhfrと荒加工後の加工領域におけるフランジ素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚tfrとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、高さhfr及び板厚tfrを仮設定することが好ましい。また、制御部12cは、仕上げ加工時の加工領域におけるフランジ素材部に沿う方向高さである高さhfr/2と仕上げ加工時の加工領域におけるフランジ素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚tfとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、高さhfrを仮設定することが好ましい。この場合においても、例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tf−tfr)/2)と厚さ((tfr−tf)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、板厚tfr及びXを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
あるいは、制御部12cは、仕上げ加工の荒加工に対するフランジ素材部に沿う方向の分離段階数をXとしたとき、仕上げ加工時の加工領域におけるフランジ素材部に沿う方向の高さである高さhfr/Xと仕上げ加工後の加工領域におけるフランジ素材部の板厚方向に沿う方向の厚さである板厚tfとの比を、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数にするように、Xを仮設定することが好ましい。この場合においても、例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、厚さ((Tf−tfr)/2)と厚さ((tfr−tf)/2)との比を1/5の逆数である5にするように、Xを仮設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。
ステップS105の処理の後、制御部12cは、ステップS105で仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdが、ステップS104で仮設定した工具の仕様内であるかどうかを判断する(ステップS107)。具体的には、制御部12cは、ステップS105で仮設定した荒加工時及び仕上げ加工時におけるそれぞれの軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdが、ステップS104で仮設定した工具の主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzと組み合わせられている軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rd以下であるか否かを判断する。制御部12cは、仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdが、工具の仕様内である場合(ステップS107でYes)、処理をステップS111へ進める。一方、制御部12cは、仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdが、工具の仕様を超えている場合(ステップS107でNo)、仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdを工具の仕様内の値に修正し(ステップS108)、処理をステップS111へ進める。制御部12cは、ステップS108の処理を施す場合、加工を分離する段階数を増やすことで、仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdを工具の仕様内の値に修正してもよい。
制御部12cは、ステップS105で仮設定した荒加工のツールパス及び仕上げ加工のツールパスにおいて、加工条件設定用要素に含まれる材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状の情報と、材質の情報とを用いて、各荒加工時及び各仕上げ加工時における加工領域の形状を算出する(ステップS111)。具体的には、制御部12cは、加工領域が主板素材部に含まれる場合、加工領域の先端から把持部vまでの主板素材部に沿う方向の高さを算出する。例えば、制御部12cは、図49に示す1番、2番、3番及び4番のいずれかが加工領域である場合、その高さに該当するHwRを算出する。また、制御部12cは、加工領域がフランジ素材部に含まれる場合、加工領域の先端から主板素材部の加工領域とは反対側の端までのフランジ素材部に沿う方向の高さを算出する。例えば、制御部12cは、図50に示す1番、2番、3番及び4番のいずれかが加工領域である場合、その高さに該当するHfRを算出する。
ステップS111の処理の後、制御部12cは、ステップS111で算出した各荒加工時及び各仕上げ加工時における加工領域の形状に基づいて、加工条件設定用要素に含まれる材料設計モデル70又は素材設計モデル80の形状の情報と、材質の情報とを用いて、各荒加工時及び各仕上げ加工時における静剛性の概算値、すなわち加工領域を加工する時の素材又は材料の静剛性の概算値を算出する(ステップS112)。制御部12cは、ステップS112の処理では、加工領域を加工する時の素材又は材料のうち、加工時に影響を受ける可能性のある要素の静剛性の概算値を算出する。ステップS112の処理における加工領域を加工する時の素材又は材料の静剛性の概算値の算出の方法について、図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する例と、図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する例と、を挙げて、詳細を以下に説明する。
図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、荒加工時の軸方向に関する断面2次モーメントIwrは、材料設計モデル70の主板部の長さlと、素材設計モデル80の主板素材部の板厚Twとを用いて、下記の式1のように求められる。
図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、荒加工時の静剛性の概算値kwrは、素材のヤング率Eと、ステップS111で算出したHwRと、式1で求められる断面2次モーメントIwrとを用いて、下記の式2のように求められる。
図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、仕上げ加工時の軸方向に関する断面2次モーメントIwfは、材料設計モデル70の主板部の長さlと、素材設計モデル80の荒加工後の主板素材部の板厚twrとを用いて、下記の式3のように求められる。
図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、仕上げ加工時の静剛性の概算値kwfは、素材のヤング率Eと、ステップS111で算出したHwRと、ステップS105で設定したhwrと、式1で求められる断面2次モーメントIwrと、式3で求められる断面2次モーメントIwfと、を用いて、下記の式4のように求められる。
図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、荒加工時及び仕上げ加工時の主板素材部の軸方向に関する断面2次モーメントIfwは、材料設計モデル70の主板部の長さlと、素材設計モデル80の主板素材部の板厚Twとを用いて、下記の式5のように求められる。
図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、荒加工時のフランジ素材部の軸方向に関する断面2次モーメントIfrは、材料設計モデル70の主板部の長さlと、素材設計モデル80のフランジ素材部の板厚Tfとを用いて、下記の式6のように求められる。
図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、荒加工時の静剛性の概算値kfrは、素材のヤング率Eと、ステップS111で算出したHwRと、ステップS111で算出したHfRと、式5で求められる断面2次モーメントIfwと、式6で求められる断面2次モーメントIfrとを用いて、下記の式7のように求められる。
図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、仕上げ加工時のフランジ素材部の軸方向に関する断面2次モーメントIffは、材料設計モデル70の主板部の長さlと、素材設計モデル80の荒加工後のフランジ素材部の板厚tfrとを用いて、下記の式8のように求められる。
図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合、仕上げ加工時の静剛性の概算値kffは、素材のヤング率Eと、ステップS111で算出したHwRと、ステップS111で算出したHfRと、ステップS105で設定したhfrと、式5で求められる断面2次モーメントIfwと、式6で求められる断面2次モーメントIfrと、式8で求められる断面2次モーメントIffと、を用いて、下記の式9のように求められる。
以上のように、ステップS112の処理で、制御部12cは、図49に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合の荒加工時の静剛性の概算値kwr及び仕上げ加工時の静剛性の概算値kwfと、図50に示す素材設計モデル80の1番目の加工領域を加工する場合の荒加工時の静剛性の概算値kfr及び仕上げ加工時の静剛性の概算値kffとを、算出することができる。制御部12cは、これと同様の方法を用いて、ステップS112の処理で、ステップS101で選択したツールパスを作成する領域に含まれる全ての加工領域において、荒加工時の静剛性の概算値及び仕上げ加工時の静剛性の概算値を算出する。
ステップS112の処理の後、制御部12cは、ステップS104で仮設定した工具の主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzと、ステップS105又はステップS108で仮設定した軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdとに基づいて、切削力を算出する(ステップS113)。ステップS113の処理における切削力の算出の方法について、詳細を以下に説明する。
切削力Fcの算出に必要な切削動力Pcは、ステップS105又はステップS108で仮設定した軸方向切込み量Adと、ステップS105又はステップS108で仮設定した半径方向切込み量Rdと、工具の送り量Fと、比切削抵抗Kcとを用いて、下記の式10のように求められる。
ここで、工具の送り量Fは、ステップS104で仮設定した工具の主軸回転数Sと、ステップS104で仮設定した工具の1刃あたりの送り量fzと、工具の刃数Nとを用いて、下記の式11のように表される。
図51は、1刃あたりの送り量fzと比切削抵抗Kcとの関係の一例を示す図である。比切削抵抗Kcは、図51に示すように、1刃あたりの送り量fzに応じて減衰する関係を有する。この比切削抵抗Kcと1刃あたりの送り量fzとの関係は、工具と素材又は材料との組み合わせによって決まるものである。また、この比切削抵抗Kcと1刃あたりの送り量fzとの関係は、代表的な関係を用いることができる。本実施形態では、制御部12cは、工具と素材又は材料との組み合わせによって決まる関係のデータを有している場合、その関係を用いて、1刃あたりの送り量fzに基づいて比切削抵抗Kcを算出することができる。また、制御部12cは、工具と素材又は材料との組み合わせによって決まる関係のデータを有していない場合、代表的な関係のうち最も工具と素材又は材料との組み合わせに適切な関係を用いて、1刃あたりの送り量fzに基づいて比切削抵抗Kcを算出することができる。
切削力Fcは、式10で表される切削動力Pcと、切削速度Vcとを用いて、算出される。切削速度Vcは、工具径、すなわち工具の直径Daと、工具の主軸回転数Sとを用いて、下記の式12のように表される。
切削力Fcは、式10で表される切削動力Pcと、式12で表される切削速度Vcとを用いて、下記の式13のように求められる。
以上のように、ステップS113の処理で、制御部12cは、工具の切削力Fcを、算出することができる。
ステップS113の処理の後、制御部12cは、ステップS112で算出した荒加工時及び仕上げ加工時のそれぞれにおける静剛性の概算値と、ステップS113で算出した切削力Fcとに基づいて、倒れ量δを算出する(ステップS114)。具体的には、あらゆる種類の静剛性の概算値をまとめてkと記載すると、制御部12cは、倒れ量δ(単位;μm)を、静剛性の概算値kと、切削力Fcとを用いて、下記の式14を用いて算出する。倒れ量δは、切削力Fcと静剛性の概算値kとの比である。
ステップS114の処理の後、制御部12cは、倒れ量δが閾値内にあるか否かを判断する(ステップS116)。制御部12cは、荒加工時の倒れ量δを判断する場合、荒加工時の倒れ量δが、荒加工時の倒れ量の閾値δr以下であるかどうか判断する。制御部12cは、仕上げ加工時の倒れ量δを判断する場合、仕上げ加工時の倒れ量δが、荒加工時の倒れ量の閾値δrとは異なる仕上げ加工時の倒れ量の閾値δf以下であるかどうか判断する。荒加工時の倒れ量の閾値δrは、仕上げ加工時の倒れ量の閾値δfよりも大きい。制御部12cは、荒加工時の倒れ量の閾値δrと仕上げ加工時の倒れ量の閾値δfとの比は、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数に設定することが好ましい。例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、荒加工時の倒れ量の閾値δrと仕上げ加工時の倒れ量の閾値δfとの比は、1/5の逆数である5に設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。具体的には、荒加工時の倒れ量の閾値δrと仕上げ加工時の倒れ量の閾値δfとは、それぞれ100μmと20μmとが好適に例示される。なお、制御部12cは、ステップS116の処理において、荒加工時と仕上げ加工時とで別々に判断をする。
制御部12cは、倒れ量δが閾値内にある場合(ステップS116でYes)、処理をステップS121へ進める。一方、制御部12cは、倒れ量δが閾値内にない場合(ステップS116でNo)、仮設定した1刃あたりの送り量fz、軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdを減少させる修正をし(ステップS117)、修正した1刃あたりの送り量fz、軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdに基づいて、ステップS111からステップS116までの処理を施す。制御部12cは、荒加工時と仕上げ加工時の一方の倒れ量δのみが閾値内にあり(ステップS116でYes)、他方の倒れ量δのみが閾値内にない(ステップS116でNo)場合、倒れ量δが閾値内にある方についてのみ処理をステップS121へ進め、倒れ量δが閾値内にない方についてのみステップS117の処理及びステップS111からステップS116までの処理を施す。制御部12cは、倒れ量δが閾値内にあると判断するまで、ステップS117の処理及びステップS111からステップS116までの処理を繰り返し施す。
制御部12cは、倒れ量δが閾値内にある場合(ステップS116でYes)、ステップS112で算出した荒加工時及び仕上げ加工時のそれぞれにおける静剛性の概算値と、ステップS113で算出した切削動力Pcとに基づいて、動力比γを算出する(ステップS121)。具体的には、あらゆる種類の静剛性の概算値をまとめてkと記載すると、制御部12cは、動力比γを、静剛性の概算値kと、切削動力Pcとを用いて、下記の式15を用いて算出する。動力比γは、切削動力Pcと静剛性の概算値kとの比である。
ステップS121の処理の後、制御部12cは、動力比γが閾値内にあるか否かを判断する(ステップS122)。制御部12cは、荒加工時の動力比γを判断する場合、荒加工時の動力比γが、荒加工時の動力比の閾値γr以下であるかどうか判断する。制御部12cは、仕上げ加工時の動力比γを判断する場合、仕上げ加工時の動力比γが、荒加工時の動力比の閾値γrとは異なる仕上げ加工時の動力比の閾値γf以下であるかどうか判断する。荒加工時の動力比の閾値γrは、仕上げ加工時の動力比の閾値γfよりも大きい。制御部12cは、荒加工時の動力比の閾値γrと仕上げ加工時の動力比の閾値γfとの比は、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数に設定することが好ましい。例えば、制御部12cは、材質がアルミニウムである場合、荒加工時の動力比の閾値γrと仕上げ加工時の動力比の閾値γfとの比は、1/5の逆数である5に設定することが好ましい。この場合、加工処理の歩留まりを高くすることができ、かつ、加工処理を素早くすることを可能にする。具体的には、荒加工時の動力比の閾値γrと仕上げ加工時の動力比の閾値γfとは、それぞれ0.6と0.12とが好適に例示される。なお、制御部12cは、ステップS122の処理において、荒加工時と仕上げ加工時とで別々に判断をする。
制御部12cは、動力比γが閾値内にある場合(ステップS122でYes)、仮設定された条件に基づいて、ステップS101で選択した領域についてツールパスを作成し(ステップS125)、処理をステップS126へ進める。一方、制御部12cは、動力比γが閾値内にない場合(ステップS122でNo)、選定した工具の主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzの組み合わせに付された条件通し番号nに1を加える修正をし(ステップS123)、修正した主軸回転数S及び1刃あたりの送り量fzの組み合わせに基づいて、ステップS111からステップS122までの処理を施す。制御部12cは、荒加工時と仕上げ加工時の一方の動力比γのみが閾値内にあり(ステップS122でYes)、他方の動力比γのみが閾値内にない(ステップS122でNo)場合、動力比γが閾値内にある方についてのみ処理をステップS125へ進め、動力比γが閾値内にない方についてのみステップS123の処理及びステップS111からステップS122までの処理を施す。制御部12cは、動力比γが閾値内にあると判断するまで、ステップS123の処理及びステップS111からステップS122までの処理を繰り返し施す。
図52は、加工条件の算出例の一例を示す図である。制御部12cは、ステップS101で選択した領域についてツールパスを作成する場合、図52に示すように、荒加工時及び仕上げ加工時のそれぞれについて、軸方向切込み量Ad及び半径方向切込み量Rdを決定し、荒加工前の素材における加工領域の板厚及び高さ、荒加工後かつ仕上げ加工前の加工領域の板厚及び高さ、仕上げ加工後の材料における加工領域の板厚及び高さを、それぞれ決定する。
ステップS125の処理の後、制御部12cは、全領域でツールパスを作成したか否かを判断する(ステップS126)。具体的には、制御部12cは、ステップS64で読み込んだ要素のうち、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する全ての要素について、ツールパスを作成したか否かを判断する。制御部12cは、全領域でツールパスを作成した場合(ステップS126でYes)、ツールパス作成ステップS66の処理を終了させて、処理を図28に示すツールパス接続ステップS67へ進める。一方、制御部12cは、全領域でツールパスを作成していない場合(ステップS126でNo)、処理をステップS101へ進め、ツールパスを作成していない領域を選択し(ステップS101)、新たに選択した領域について、上述のようにステップS102からステップS125までの処理を施し、その後にステップS126の処理を施す。制御部12cは、全領域でツールパスを作成するまで、ステップS101からステップS126までの処理を繰り返す。
図28に戻って、ステップS66の処理の後、制御部12cは、ステップS66で要素ごとに作成したツールパスを繋ぎ合わせて、数値制御プログラム19を作成する(ステップS67)。具体的には、制御部12cは、ステップS78で作成されるツールパス作成用要素に含まれる加工の順序に基づいて、ステップS66で要素ごとに作成したツールパスを繋ぎ合わせて、数値制御プログラム19を作成する。すなわち、制御部12cは、把持部vから遠い要素に対応するツールパスから近い要素に対応するツールパスの順に繋ぎ合わせる。また、制御部12cは、フランジを含む要素に対応するツールパス、交錯部を含む要素に対応するツールパス、主板部を含む要素に対応するツールパスの順に繋ぎ合わせる。また、制御部12cは、軸方向に直交する方向に沿った端面を含む要素に対応するツールパス、軸方向に沿った面を含む要素に対応するツールパスの順に繋ぎ合わせる。なお、制御部13cは、交錯部を含む要素に対応するツールパスと主板部を含む要素に対応するツールパスについては、これらの全体で、把持部vから離れた側から順に、各要素に対応するツールパスの順に繋ぎ合わせても良い。
ステップS67の処理の後、制御部12cは、ステップS67で作成された数値制御プログラム19を機械加工装置13の制御部13cで作動させた場合、素材又は材料と、素材又は材料を把持する把持部材及び素材又は材料を加工する工具とが物理的に干渉するか否かを検証する(ステップS69)。制御部12cは、ステップS69の処理で、物理的に干渉すると判断される場合、物理的に干渉しないように数値制御プログラム19を修正する。制御部12cは、ステップS69の処理で、物理的に干渉しないと判断される場合、数値制御プログラム19を修正せず、物理的に干渉しないことを検証済みの状態とする。制御部12cは、ステップS69の処理の後、数値制御プログラム19に対して、機械加工装置13の制御部13cで作動させることを可能にする処理であるポスト処理を施して、機械加工装置13の制御部13cで作動可能な数値制御プログラム19を取得する。これにより、制御部12cは、一連の数値制御プログラムの生成方法のフローを終了させる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素作成ステップS62で作成した材料の形状に関する要素を、要素読み込みステップS64を介して加工動作の道筋をコード化したツールパスを作成するツールパス作成ステップS66に用いる。そのため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、加工形状に応じた加工条件を設定することができ、加工形状に応じて、加工動作の道筋をコード化したツールパスを作成することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素作成ステップS62で、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74とを対比させ、材料設計モデル70と類似材料設計モデル74との該当する部分同士を互いに対応させることで要素を作成し、要素読み込みステップS64で、要素作成ステップS62で互いに対応させた部分について、類似点と差異点とを読み込み、ツールパス作成ステップS66で、類似点を含む要素に対応するツールパスは、類似材料設計モデル74に基づいて作成されたツールパスを用い、差異点を含む要素に対応するツールパスは、類似材料設計モデル74に基づいて作成されたツールパスに対して差異点に応じて変更したツールパスを作成することができる。そのため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、特に類似の形状が多い材料の加工に関する数値制御プログラム19を精度よく作成することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素作成ステップS62で、材料に用いられる素材、材料設計モデル70の形状の型、大きさ、材料設計モデル70に設けられたフランジの角度、フランジの板厚tfの変化の程度、及びマウスホールMHの有無の少なくともいずれかに基づいて、類似材料設計モデル74を選択することができる。そのため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、類似材料設計モデル74を精度よく選択することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素作成ステップS62で、素材又は材料に含まれる面要素を抽出し、面要素のうち最長の2点間の距離の直線を含む面要素を第1の基準面76に設定し、第1の基準面76に直交する方向に沿う面要素のうち最長の2点間の距離の直線を含む面要素を第2の基準面77に設定し、第1の基準面76と第2の基準面77との交線をX軸とし、第1の基準面76に直交するいずれか1つの直線をZ軸として座標軸78を作成し、作成した座標軸78を基準として、素材又は材料の要素を自動で作成することができる。そのため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、要素を自動的に精度よく作成することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素作成ステップS62で、面要素と、端部要素と、2以上の面要素が交錯する交錯部要素とを設定し、素材又は材料の剛性の影響を受ける一部の面要素と、交錯部要素と、を加工動作の条件を設定するための要素である加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する要素に設定することができる。このため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、加工形状に応じて加工条件の設定が必要な要素にのみ効率よく加工条件を設定することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、要素読み込みステップS64で、加工条件設定用要素を用いてツールパスを作成する要素に設定されているか否かの情報を読み込み、ツールパス作成ステップS66で、加工条件設定用要素に設定されている要素について、加工条件設定用要素に基づいて加工条件を作成し、加工条件を満たすツールパスを作成することができる。このため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、加工形状に応じて加工条件の設定が必要な要素にのみ効率よく加工条件を設定することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、ツールパス作成ステップS66で、機械加工に用いられる工具の切削動力Pcと要素の静剛性の概算値kとの比である動力比γ及び工具の切削力Fcと静剛性の概算値kとの比である倒れ量δに基づいて、加工条件を生成することができる。このため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、加工形状に応じて加工条件の設定が必要な要素にのみ、精度よく加工条件を設定することができる。また、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、歩留まりの高い加工条件を設定することができ、かつ、素早い加工条件を設定することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、ツールパス接続ステップS67で、素材又は材料を加工する際に把持する把持部vから遠い要素に対応するツールパスから近い要素に対応するツールパスの順に繋ぎ合わせることができる。そのため、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、材料の加工の歩留まりが高い数値制御プログラム19を生成することができる。
本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法は、制御部12cが、数値制御プログラム検証ステップS69で、ツールパス接続ステップS67の後に、作成された数値制御プログラム19を作動させた場合、素材又は材料と、素材又は材料を把持する把持部材及び素材又は材料を加工する工具とが物理的に干渉するか否かを検証することができる。そのため、素材又は材料の加工に用いる前に数値制御プログラム19が好ましく用いられるかどうかを検証することができる。
本実施形態に係る要素作成ステップS62で実行される要素作成方法は、全ての平面要素を抽出し、平面要素のうち最長の2点間の距離の直線を含む平面要素を第1の基準面76に設定し、第1の基準面76に直交する方向に沿う平面要素のうち最長の2点間の距離の直線を含む平面要素を第2の基準面77に設定し、第1の基準面76と第2の基準面77との交線をX軸とし、第1の基準面76に直交するいずれか1つの直線をZ軸として座標軸78を作成し、作成した座標軸78を基準として、材料の要素を作成することができる。そのため、本実施形態に係る要素作成ステップS62で実行される要素作成方法は、材料の要素を自動的に精度よく作成することができる。
機械加工装置13及び数値制御プログラム19の作用について、以下に説明する。図53は、加工方法のフローの一例を示すフローチャートである。加工方法は、機械加工装置13において、制御部13cが数値制御プログラム19を読み出して処理することで実行される処理方法である。加工方法について、図53を用いて説明する。加工方法は、図53に示すように、把持ステップS131と、切削加工ステップS132と、を含む。以下においては、把持ステップS131及び切削加工ステップS132を適宜、それぞれ単に、ステップS131及びステップS132と称する。
図54は、把持ステップS131の一例である素材50を把持した状態を示す側面図である。図55は、把持ステップS131の一例である素材52を把持した状態を示す側面図である。図56は、把持ステップS131の一例である素材56を把持した状態を示す側面図である。図57は、把持ステップS131の一例である素材62を把持した状態を示す側面図である。図58は、把持ステップS131の一例である素材66を把持した状態を示す側面図である。素材50、素材52、素材56、素材62及び素材66は、それぞれ、図54、図55、図56、図57及び図58に示すように、把持部vで、機械加工装置13の把持部材13vに、主板部の板厚方向に挟み込むように、把持されている。
制御部13cは、素材形状決定システム11において、制御部11cが素材形状の決定プログラム15を読み出して処理することで実行される素材形状の決定方法により決定された素材を、把持部vで、機械加工装置13の把持部材13vに、主板素材部の板厚方向に挟み込むように、把持させる(ステップS131)。これにより、把持部材13vに把持された素材の主板素材部は、把持部vに対して鉛直方向の上側に沿う方向に向けられる。そして、把持部材13vに把持された把持部vは、素材の固定端となり、把持部材13vに把持されていない素材の主板素材部及びフランジ素材部は、素材の自由端となる。そのため、このように把持された素材は、加工処理を受けても、素材内に残留応力が蓄積しないので、加工して得られる材料に蓄積する残留応力が大幅に低減される。
ステップS131の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、機械加工装置13の把持部材13vに把持させた素材を切削加工させる(ステップS132)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、数値制御プログラム19に組み込まれたツールパスの順に、素材を切削加工させる。
切削加工ステップS132について、詳細を以下に説明する。図59は、切削加工ステップS132のフローの詳細の一例を示すフローチャートである。切削加工ステップS132は、図59に示すように、フランジ加工ステップS141と、交錯部加工ステップS142と、主板部加工ステップS143と、を含む。以下においては、フランジ加工ステップS141、交錯部加工ステップS142及び主板部加工ステップS143を適宜、それぞれ単に、ステップS141、ステップS142及びステップS143と称する。
切削加工ステップS132において、まず、制御部13cは、機械加工装置13に対し、素材のフランジ素材部を切削加工させてフランジを形成させる(ステップS141)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、フランジ位置が把持部vから離れたフランジに関するフランジ素材部から順に、切削加工させる。また、制御部13cは、機械加工装置13に対し、フランジ素材部の主板素材部から離れた先端部から順に、切削加工させる。
ステップS141の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、素材の交錯素材部を切削加工させて交錯部を形成させる(ステップS142)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、フランジ位置が把持部vから離れたフランジが交錯する交錯素材部から順に、切削加工させる。また、制御部13cは、機械加工装置13に対し、交錯素材部の主板素材部から離れた側から順に、切削加工させる。
ステップS142の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、素材の主板素材部を切削加工させて主板部を形成させる(ステップS143)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、主板素材部の把持部vから離れた側から順に、切削加工させる。なお、制御部13cは、機械加工装置13に対し、交錯素材部の加工と主板素材部の加工については、これらの全体で、把持部vから離れた側から順に切削加工させても良い。
図60は、切削加工ステップS132のフローの詳細の別の一例を示すフローチャートである。切削加工ステップS132は、図60に示すように、端面切削加工ステップS151と、面切削加工ステップS152と、を含む。以下においては、端面切削加工ステップS151及び面切削加工ステップS152を適宜、それぞれ単に、ステップS151及びステップS152と称する。
切削加工ステップS132において、まず、制御部13cは、機械加工装置13に対し、素材の軸方向の両端の端面を切削加工させる(ステップS151)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、フランジ素材部の軸方向の両端の端面と、交錯素材部の軸方向の両端の端面と、主板素材部の軸方向の両端の端面とを、3度に分けて切削加工させてもよいし、1度に切削加工させても良い。
ステップS151の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、素材の軸方向に沿った面要素等を切削加工させる(ステップS152)。制御部13cは、機械加工装置13に対し、フランジ素材部の軸方向に沿った両側の面要素と、交錯素材部の軸方向に沿った両側の複雑な曲面要素と、主板素材部の軸方向に沿った両端の面要素とを、上記のステップS141、ステップS142及びステップS143の順序に従って切削加工させることができる。
切削加工ステップS132の処理の後、制御部13cは、素材の切断部を、切り離しやすいように、カットアウトの形状に応じた複数のタブ形状に加工してから、材料と把持部vとの間を切断加工する。このようにして、機械加工装置13において、制御部13cが数値制御プログラム19を読み出して処理することで実行される処理方法である加工方法により、素材から材料が加工される。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、本実施形態に係る素材形状決定システム11、素材形状の決定プログラム15、及びそれらによって処理される素材形状の決定方法により決定された素材を加工処理して、材料を得る加工である。また、本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、数値制御プログラム19が、本実施形態に係る数値制御プログラム生成システム12、数値制御プログラムの生成プログラム16、及びそれらによって処理される数値制御プログラムの生成方法で生成されたものである。そのため、本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、加工形状に応じて、可能な限り小さい素材形状から、素材又は材料の内部に蓄積される残留応力を低減した加工をすることができるので、効率よく、精度よく、素早く、かつ歩留まりの高い加工をすることができる。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、フランジ加工ステップS141、交錯部加工ステップS142、主板部加工ステップS143の順で行われるため、把持部vから遠い側から近い側に順に加工されるので、加工領域よりも把持部vに近い側の静剛性の概算値が加工中に減少することがないため、より歩留まりが高い加工をすることができる。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、端面切削加工ステップS151、面切削加工ステップS152の順で行われるため、より効率よく、かつ、より素早い加工をすることができる。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、数値制御プログラム19に組み込まれているように、フランジ加工ステップS141及び交錯部加工ステップS142では、いずれも、加工中において、フランジ素材部又は主板素材部の高さとフランジ素材部又は主板素材部の板厚との比が、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数以下、例えば、材質がアルミニウムである場合にはパラメータ1/5の逆数である5以下にするように加工処理が行われる。そのため、本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、より素早く、かつ、歩留まりの高い加工をすることができる。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、数値制御プログラム19に組み込まれているように、フランジ加工ステップS141、交錯部加工ステップS142、主板部加工ステップS143のいずれにおいても、素材を材料の形状に近づけるための切削加工である荒加工が行われ、荒加工の後に、素材を材料の形状に仕上げるための切削加工である仕上げ加工が行われる。そのため、本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、より効率よく、より素早く、かつ、より精度の高い加工をすることができる。
本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、数値制御プログラム19に組み込まれているように、荒加工の加工代と、仕上げ加工の加工代との比が、材質の剛性に応じてあらかじめ定められた材質に基づくパラメータの逆数以下、例えば、材質がアルミニウムである場合にはパラメータ1/5の逆数である5以下にするように加工処理が行われる。そのため、本実施形態に係る機械加工装置13、数値制御プログラム19、及びそれらによって処理される加工方法は、より効率よく、より素早く、かつ、より精度の高い加工をすることができる。
図44に示されたフランジ穴あけ加工要素EL3及び主板部穴あけ加工要素EL6に例示される穴あけ加工要素を含む場合の加工方法について、以下に説明する。図61は、穴あけステップS163を含む加工方法のフローの詳細の一例を示すフローチャートである。穴あけ加工要素を含む場合の加工方法は、図61に示すように、穴あけ前仕上げ加工ステップS161と、穴あけ領域荒加工ステップS162と、穴あけステップS163と、穴あけ領域仕上げ加工ステップS164と、を含む。以下においては、穴あけ前仕上げ加工ステップS161、穴あけ領域荒加工ステップS162、穴あけステップS163及び穴あけ領域仕上げ加工ステップS164を適宜、それぞれ単に、ステップS161、ステップS162、ステップS163及びステップS164と称する。
図62は、穴あけ加工部位92を含む主板素材部91の加工の順の一例を示す図である。図63は、穴あけ加工部位95を含むフランジ素材部94の加工の順の一例を示す図である。図62及び図63において、図では省略されているが、紙面の下側が把持部vとなっている。制御部13cは、機械加工装置13に対し、図62に示す数字の順に、すなわち、把持部vから遠い側から近い側に向かう順に、紙面の上側から下側に向かう順に、主板素材部91を切削加工させる。制御部13cは、機械加工装置13に対し、図63に示す数字の順に、すなわち、主板部から遠い側から近い側に向かう順に、フランジ素材部94を切削加工させる。
図44に示された主板部穴あけ加工要素EL6に例示される穴あけ加工要素を含む場合の加工方法において、制御部13cは、穴あけ加工部位92よりも把持部vから遠い領域、すなわち図62に示された主板素材部91よりも図62の紙面の上側に加工領域がある場合、機械加工装置13に対し、この加工領域を仕上げ加工させる(ステップS161)。制御部13cは、穴あけ加工部位92よりも把持部vから遠い領域、すなわち図62に図示された主板素材部91よりも図62の紙面の上側に加工領域がない場合、ステップS161の処理を省略しても良い。
ステップS161の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工部位92を含む領域、すなわち図62に示された1番と2番の領域を荒加工させる(ステップS162)。ステップS162の処理の後、制御部13cは、穴あけ加工部位92よりも把持部vから遠い領域、すなわち図62に示された3番と4番の領域がある場合、機械加工装置13に対し、この3番と4番の領域を仕上げ加工させる。その後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工部位92、すなわち図62に示された5番の領域を、穴あけ加工させる(ステップS163)。ステップS163の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工領域を含む領域、すなわち図62に示された6番と7番の領域を、仕上げ加工させる(ステップS164)。ステップS164の処理の後、上述の加工処理と同様に、制御部13cは、機械加工装置13に対し、図62に示された8番から13番までの加工処理をさせる。
図44に示されたフランジ穴あけ加工要素EL3に例示される穴あけ加工要素を含む場合の加工方法において、制御部13cは、穴あけ加工部位95よりも主板部及び把持部vから遠い領域、すなわち図63に示されたフランジ素材部94よりも図63の紙面の右側に加工領域がある場合、機械加工装置13に対し、この加工領域を仕上げ加工させる(ステップS161)。制御部13cは、穴あけ加工部位95よりも主板部及び把持部vから遠い領域、すなわち図63に図示されたフランジ素材部94よりも図63の紙面の右側に加工領域がない場合、ステップS161の処理を省略しても良い。
ステップS161の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工部位95を含む領域、すなわち図63に示された1番と2番の領域を荒加工させる(ステップS162)。ステップS162の処理の後、制御部13cは、穴あけ加工部位95よりも主板部及び把持部vから遠い領域、すなわち図63に示された3番と4番の領域がある場合、機械加工装置13に対し、この3番と4番の領域を仕上げ加工させる。その後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工部位95、すなわち図63に示された5番の領域を、穴あけ加工させる(ステップS163)。ステップS163の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、穴あけ加工領域を含む領域、すなわち図63に示された6番と7番の領域を、仕上げ加工させる(ステップS164)。ステップS164の処理の後、上述の加工処理と同様に、制御部13cは、機械加工装置13に対し、図63に示された8番から13番までの加工処理をさせる。
穴あけ加工要素を含む場合の加工方法では、穴をあける領域の荒加工である穴あけ領域荒加工ステップS162が行われた後で、穴をあける領域の仕上げ加工である穴あけ領域仕上げ加工ステップS164が行われる前に、穴あけステップS163が行われる。そのため、穴あけステップS163で、荒加工領域まで穴あけ加工する必要がなく、かつ、穴あけステップS163で荒れる可能性がある表面を穴あけ領域仕上げ加工ステップS164で所望の形状に仕上げることができる。よって、この穴あけ加工要素を含む場合の加工方法は、素早くかつ精度よく穴あけ加工をすることができる。
穴あけ加工要素を含む場合の加工方法では、穴をあける領域よりも把持部から遠い領域の仕上げ加工である穴あけ前仕上げ加工ステップS161が行われた後で、穴をあける領域の仕上げ加工である穴あけ領域仕上げ加工ステップS164が行われる前に、穴あけステップS163が行われる。そのため、穴あけステップS163で、穴あけ前仕上げ加工ステップS161の際の静剛性が低減することを防止することができる。よって、この穴あけ加工要素を含む場合の加工方法は、穴をあける領域よりも把持部から遠い領域の加工についても、素早くかつ精度よく加工をすることができる。
窪み部形成加工要素を含む場合の加工方法について、以下に説明する。図64は、窪み部形成ステップS174を含む加工方法のフローの詳細の一例を示すフローチャートである。窪み部形成加工要素を含む場合の加工方法は、図64に示すように、窪み部形成前仕上げ加工ステップS171と、窪み部形成領域荒加工ステップS172と、窪み部形成領域仕上げ加工ステップS173と、窪み部形成ステップS174と、を含む。以下においては、窪み部形成前仕上げ加工ステップS171、窪み部形成領域荒加工ステップS172、窪み部形成領域仕上げ加工ステップS173及び窪み部形成ステップS174を適宜、それぞれ単に、ステップS171、ステップS172、ステップS173及びステップS174と称する。
図65は、窪み部形成部位98を含む主板素材部97の加工の順の一例を示す図である。図65において、紙面の下側が把持部vとなっている。制御部13cは、機械加工装置13に対し、図65に示す数字の順に、すなわち、把持部vから遠い側から近い側に向かう順に、紙面の上側から下側に向かう順に、主板素材部97を切削加工させる。
窪み部形成加工要素を含む場合の加工方法において、制御部13cは、窪み部形成部位98よりも把持部vから遠い領域、すなわち図65に示された主板素材部97よりも図65の紙面の上側に加工領域がある場合、機械加工装置13に対し、この加工領域を仕上げ加工させる(ステップS171)。制御部13cは、窪み部形成部位98よりも把持部vから遠い領域、すなわち図65に図示された主板素材部97よりも図65の紙面の上側に加工領域がない場合、ステップS171の処理を省略しても良い。
ステップS171の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98を含む領域の一部、すなわち図65に示された1番と2番の領域を荒加工させる(ステップS172)。ステップS172の処理の後、制御部13cは、窪み部形成部位98よりも把持部vから遠い領域がある場合、機械加工装置13に対し、この領域を仕上げ加工させる。その後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98を含む領域の一部、すなわち図65に示された3番、4番、5番及び6番の領域を、仕上げ加工させる(ステップS173)。ステップS173の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98の一部、すなわち図65に示された7番の領域を、窪み部形成加工させる(ステップS174)。なお、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98の一部、すなわち図65に示された7番の領域を、1段階で窪み部形成加工させる必要はなく、複数の段階に分離して窪み部形成加工させてもよい。
また、ステップS171からステップS174までの一連の処理で、図65に示す7番の領域を窪み部形成加工した後、制御部13cは、再びステップS172に戻って、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98を含む領域の一部、すなわち図65に示された8番と9番の領域を荒加工させる(ステップS172)。このステップS172の処理の後、制御部13cは、窪み部形成部位98よりも把持部vから遠い領域がある場合、機械加工装置13に対し、この領域を仕上げ加工させる。その後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98を含む領域の一部、すなわち図65に示された10番、11番、12番及び13番の領域を、仕上げ加工させる(ステップS173)。このステップS173の処理の後、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98の一部、すなわち図65に示された12番及び15番の領域を、順次、窪み部形成加工させる(ステップS174)。なお、制御部13cは、機械加工装置13に対し、窪み部形成部位98の一部、すなわち図65に示された12番及び15番の領域を、2段階で窪み部形成加工させる必要はなく、3段階以上に分離して窪み部形成加工させてもよい。
窪み部形成加工要素を含む場合の加工方法では、窪み部形成部位98を含む領域の仕上げ加工の加工ピッチ、すなわち図65に示す3番から6番及び10番から14番の加工ピッチに合わせて、窪み部形成領域仕上げ加工ステップS173の後に逐次、窪み部形成ステップS174が行われる。そのため、窪み部形成ステップS174で、窪み部形成前仕上げ加工ステップS171、窪み部形成領域荒加工ステップS172及び窪み部形成領域仕上げ加工ステップS173の際の静剛性が低減することを防止することができる。よって、窪み部形成加工要素を含む場合の加工方法は、窪み部を形成する領域よりも把持部から遠い領域の加工についても、素早くかつ精度よく加工をすることができる。