JP2018031099A - メタリック調塗工シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明において用いる基材としては、紙やフィルム状の合成樹脂シート、不織布等を用いることができる。より具体的には、紙としては、上質紙、コート紙、キャストコート紙、アート紙、アートポスト紙、合成紙、ラミネート紙などを用いることができ、ラミネート紙であればポリエチレンラミネート紙である場合が特に有利である。また、合成樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートを用いることができる。本発明のメタリック調塗工シートにおいては、高級感を感じさせるために平滑性の高い基材を用いることが好ましい。また、その一方で製造コストの面からは紙を基材とすることが好ましく、これらの理由から、本発明においては基材としてコート紙、キャストコート紙、アート紙またはアートポスト紙といった平滑性の高い紙を用いることが好ましい。
本発明で用いる光輝性顔料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の金属粉末、また、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料等の金属様の色調を有する非金属粉末などが挙げられ、これらの中では、金属光沢の良好なアルミニウムの金属粉末を使用することが好ましい。該光輝性顔料は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、本発明で用いる光輝性顔料は、あらかじめ高濃度のペースト状に分散(光輝性顔料を固形分で50乃至70質量%含有)してあるものを使用すれば、塗工液中に分散することが容易となる。アルミニウムを高濃度のペースト状に分散させた製品としては、例えば、東洋アルミニウム社より市販されている、商品名「SAP 260 PW−HS」がある。
本発明においては、光輝性顔料とバインダーとを含有する塗工液中に、更に着色顔料や着色染料といった着色剤を添加してメタリック調塗工シートの色調を調整することができる。このような着色剤としては特に限定するものではなく、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペルリン系、ピランスロン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ピグメント系、カーボン系、酸化硫黄系、硫酸塩系、炭酸塩系、ケイ酸塩系、クロム酸塩系、アルミン酸塩系、フェロシアン系等の着色剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるバインダーとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合ラテックス、アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のアクリル酸エステル樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、デンプン等のセルロース系樹脂等のバインダーが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。この中では、光沢のある塗工層が得られやすい点からスチレン−ブタジエン共重合ラテックス及び/又はアクリル酸エステル樹脂を使用することが好ましい。
本発明においては、塗工層にポリカルボン酸塩を含有させる。ここで用いるポリカルボン酸塩としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸−ポリエーテル、ポリウレタン変性ポリエーテル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。本発明では、これらの中でも光沢のある塗工面が得られやすい点からポリカルボン酸ナトリウムを使用することが好ましい。
本発明においては、塗工層に成膜助剤を含有させる。ここで用いる成膜助剤としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)、4−ブトキシ−1−エタノール(ブチルセロソルブ)、1−ヒドロキシ−3−ブタノン、2−エチル−1−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノンから選ばれる1種以上を用いることができる。これらの中でも塗工液の塗工安定性が得られやすいことから、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを使用することが好ましい。
本発明においては、光輝性顔料とバインダーとを含有する塗工液に、更に高級アルコール酸化エチレン縮合物を含有させてもよい。塗工液中の高級アルコール酸化エチレン縮合物の添加量は、光輝性顔料100質量部に対して、10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部、更に好ましくは25〜35質量部とする。このような塗工液の組成とすることにより、光輝性顔料の塗工液中での沈降を抑制し、安定した色調のメタリック調塗工シートを得やすくなる。高級アルコール酸化エチレン縮合物の添加量が10質量部未満となると、光輝性顔料の沈降の抑制効果が十分に得られない。逆に、添加量が50質量部を超えると、光輝性顔料の沈降の抑制効果が頭打ちになるばかりか、塗工液の粘度が上がることで泡立ちが生じやすくなり、塗工層表面に塗工の抜け(欠点部)を多く発生させて、安定した色調の発現を損ねるおそれがある。
本発明に用いる塗工液には、前述した資材の他に、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種公知の助剤を適宜使用することができる。助剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、保水剤、増粘剤、潤滑剤、湿潤剤、離型剤、耐水化剤、防腐剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、印刷適性向上剤等が挙げられる。
本発明においては、走行する基材の少なくとも一方の面に、光輝性顔料とバインダーとポリカルボン酸塩と成膜助剤とを含有する塗工液を塗工装置により塗工してメタリック調塗工シートを製造する。本発明において用いる塗工装置としては、特に限定するものではなく、一般の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、チャンプフレックスコーター、リップコーター、ロッドコーターなどの塗工装置を用いることができる。塗工液の液性からはエアナイフコーター、カーテンコーター、ロッドコーターが好ましく、さらに好ましくはエアナイフコーターである。また、いわゆるオフマシンコーターであってもオンマシンコーターであってもよい。基材への塗工液の塗工は、単層塗工であっても多層塗工であってもよい。
<塗工液の調整>
アルミニウムペースト(商品名:SAP260PW−HS、東洋アルミニウム社製)100部を水中に分散して分散液を得た後、更に分散液を攪拌しながら、高級アルコール酸化エチレン縮合物としてポリオキシエチレンオレイン酸エステル(商品名:ノイゲンES−149D、第一工業製薬社製)20部、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部、バインダーとしてスチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)150部、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部、ポリスチレン系顔料(商品名:サイビノールPG−2、サイデン化学社製)10部、黒色顔料(商品名:TB786Black、大日精化社製)0.2部、黄色顔料(商品名:Emacol NS Yellow 4618、山陽色素社製)35部、赤色顔料(商品名:SA RED DKR−5)14部、ポリエチレンワックス(商品名:WAX♯100、御国色素社製)4部、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)3部を順次添加して分散混合し、固形分30.2%の塗工液を得た。
<塗工液の塗工>
市販のコート紙(商品名:ミューコート、127.9g/m2、北越紀州製紙社製)を基材として用い、塗工速度を115m/分として走行する基材の一方の面に、エアナイフコーターにて塗工量が固形分換算で6g/m2となるように塗工液を塗工した。その後、エアドライヤーで熱風乾燥しメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調製において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から4部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調製において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から105部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から45部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から180部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から20部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)の添加量を3部から5部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)の添加量を3部から1部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部を、ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−20L、東亜合成社製)2部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部を、ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−20L、東亜合成社製)4部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部を、スチレンアクリル系樹脂(商品名:サイビノールEK−81、Tg:40℃、サイデン化学社製)30部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部を、変性スチレンブタジエン系ラテックス(商品名:A−6081、Tg:46℃、旭化成社製)30部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)3部を、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノン(商品名:CS−202、JNC社製)3部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩と、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例9の塗工液の調整において、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例9と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から90部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から50部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から130部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から80部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
光沢度計(機器名:GLOSS METER GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用し、JIS P−8142に準拠して塗工層の表面の75°光沢度を測定した。
メタリック調塗工シートを10cm×5cmに裁断した2枚の試験片を、塗工面と非塗工面とが接触するように重ね合わせ、プレス機(佐川製作所社製)を用いて圧力1.0MPa(ゲージ目盛り)、時間15分の条件でプレスした。プレス後の試験片2枚の剥離強度を測定し、剥離強度が100mN/50mm未満のものを「○」、100〜150mN/50mmのものを「△」、150mN/50mmを上回るものを「×」として三段階で評価し、「○」と「△」を合格とした。剥離強度の測定条件は次の通りである。
<測定条件>
測定機器 : オートグラフ
剥離速度 : 300mm/min
測定巾 : 50mm
剥離角度 : 90℃(T字剥離)
Claims (8)
- 基材の少なくとも一方の面に、光輝性顔料とバインダーとポリカルボン酸塩と成膜助剤とを含有する塗工層を有し、
前記バインダーは、前記光輝性顔料100質量部に対して、150〜200質量部の範囲で含有され、
前記成膜助剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)、4−ブトキシ−1−エタノール(ブチルセロソルブ)、1−ヒドロキシ−3−ブタノン、2−エチル−1−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノンより選ばれる1種以上であることを特徴とするメタリック調塗工シート。 - 前記塗工層には、前記光輝性顔料100質量部に対し、前記ポリカルボン酸塩が1〜5質量部及び前記成膜助剤が1〜5質量部含有されることを特徴とする請求項1に記載のメタリック調塗工シート。
- 前記光輝性顔料がアルミニウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメタリック調塗工シート。
- 前記バインダーが、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス及び/又はアクリル酸エステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタリック調塗工シート。
- 前記ポリカルボン酸塩がポリカルボン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のメタリック調塗工シート。
- 前記塗工層には更に高級アルコール酸化エチレン縮合物が含まれていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のメタリック調塗工シート。
- 光輝性顔料とバインダーとポリカルボン酸塩と成膜助剤とを含有し、
前記バインダーは、前記光輝性顔料100質量部に対して、150〜200質量部の範囲で含有され、
前記成膜助剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)、4−ブトキシ−1−エタノール(ブチルセロソルブ)、1−ヒドロキシ−3−ブタノン、2−エチル−1−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノンより選ばれる1種以上であることを特徴とするメタリック調塗工シート用の塗工液。 - 基材の少なくとも一方の面に、光輝性顔料とバインダーとポリカルボン酸塩と成膜助剤とを含有する塗工液を塗工するメタリック調塗工シートの製造方法であって、
前記塗工液中には、前記光輝性顔料100質量部に対して、前記バインダーが150〜200質量部、前記ポリカルボン酸塩が1〜5質量部、前記成膜助剤が1〜5質量部含まれ、
前記成膜助剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)、4−ブトキシ−1−エタノール(ブチルセロソルブ)、1−ヒドロキシ−3−ブタノン、2−エチル−1−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノンより選ばれる1種以上であることを特徴とするメタリック調塗工シートの製造方法。
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