JP2018030954A - ポリオレフィン樹脂組成物、およびこれを用いたポリオレフィン樹脂成形体、並びに、これを用いた掃除機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 家電製品用部品として好適に用いられ、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能なポリオレフィン樹脂成形体、並びに、ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。【解決手段】 ポリオレフィン樹脂組成物50は、(A)ポリオレフィン樹脂51と、(B)粒子状の中空部材52と、(C)エラストマー成分53とを含有する。(B)中空部材52の表面は、(A)ポリオレフィン樹脂51に対して非親和性を有する。さらに、ポリオレフィン樹脂組成物50は、(A)ポリオレフィン樹脂51に対する(B)中空部材52の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を含有しない。【選択図】 図1

Description

本発明は、掃除機用部品の樹脂成形体に好適に用いられるポリオレフィン樹脂組成物と、当該ポリオレフィン樹脂組成物を用いて成形され、掃除機用部品として用いられるポリオレフィン樹脂成形体と、当該ポリオレフィン樹脂成形体を掃除機用部品として備える掃除機と、に関する。
ポリプロピレン等を主成分とするポリオレフィン樹脂組成物は、機械的強度および成形加工性に優れるとともに、安価かつ軽量であるため、様々な分野に広く用いられている。特に、家電製品の分野では、軽量化が求められるため、ポリオレフィン樹脂組成物を成形することにより得られる樹脂成形体(ポリオレフィン樹脂成形体)は、家電製品の部品として広く用いられている。
家電製品の分野では、より一層の軽量化の要望があるため、従来では、例えば、ポリオレフィン樹脂成形体の肉厚を低下させて、その重量を低減する等の検討が行われてきた。しかしながら、肉厚が小さくなりすぎると、ポリオレフィン樹脂成形体の剛性または耐衝撃性等が低下するおそれがある。そこで、ポリオレフィン樹脂成形体に対して、さまざまなフィラーを添加して軽量化を図る手法が知られている。中でも、フィラーとして、中空の無機系フィラー(中空フィラー)が好適に用いられる。代表的な中空フィラーとしては、ガラス製のものが挙げられる。
例えば、特許文献1には、マトリクス材(母材)として、好ましくはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を用い、中空フィラーとして、中空部材の表面に、シランカップリング剤を含む第一の層と、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を含み第一の層に結合する第二の層と、を備えるものを用い、この中空フィラーをポリオレフィン樹脂中に分散させた構成の樹脂成形体が開示されている。
特許文献1では、このように、中空フィラーの表面を二層構造とすることで、特に、第二の層である、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂により、当該中空フィラーの破損防止効果の向上を図っている。さらに、特許文献1では、中空フィラーの表面が二層構造を有することで、マトリクス材としてのポリオレフィン樹脂との密着性を向上させ、ポリオレフィン樹脂成形体の強度が改善できることも開示している。
特許第5542733号公報
しかしながら、本願発明者らが鋭意検討した結果、前記従来の技術では、ポリオレフィン樹脂成形体の耐衝撃性を十分に改善できないことが明らかとなった。特に、家電製品が手持ち型のもの、すなわち、使用時にユーザが少なくとも一部(把持部)を把持するものであれば、使用時には、当該家電製品の把持部以外の部分が周囲の物体に衝突するおそれがあり、また、使用状況によっては、ユーザの手から離れて当該家電製品が落下してしまうおそれがある。具体的な一例として、家電製品が掃除機であれば、その吸込具(ノズル)等は、使用中に様々な物体に衝突する可能性がある。
そのため、手持ち型の家電製品のように、他の物体に衝突したり使用時に落下したりする可能性のある家電製品では、その部品には通常よりも高い耐衝撃性が求められる。特許文献1のように、中空フィラーとマトリクス材(ポリオレフィン樹脂)との密着性が高いポリオレフィン樹脂成形体では、例えば、吸込具として求められる耐衝撃性を十分に実現できないおそれがある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、家電製品用部品として好適に用いられ、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能なポリオレフィン樹脂成形体、並びに、このポリオレフィン樹脂成形体の製造に好適に用いることができるポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、前記の課題を解決するために、(A)ポリオレフィン樹脂と、(B)粒子状の中空部材と、(C)エラストマー成分とを含有し、前記(B)中空部材の表面は、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有し、さらに、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対する前記(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を含有しない構成である。
前記構成によれば、マトリクス材(母材)である(A)ポリオレフィン樹脂に対して、(B)中空部材および(C)エラストマー成分が混合されているが、(B)中空部材は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して親和性を示さない状態にある。(B)中空部材の混合によりポリオレフィン樹脂組成物の軽量化が可能になるが、(B)中空部材の表面は(A)ポリオレフィン樹脂に対して固着しない。そのため、このポリオレフィン樹脂組成物により構成される樹脂成形体に衝撃が加えられても、(B)中空部材の界面が滑りやすくなるため(B)中空部材を起点として樹脂成形体が割れる可能性を大幅に低減することができる。
しかも、ポリオレフィン樹脂組成物には(C)エラストマー成分が含まれており、この(C)エラストマー成分は、(B)中空部材と組み合わせることで、耐衝撃性を飛躍的に向上することができる。その結果、このポリオレフィン樹脂組成物を用いた樹脂成形体は、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能となるので、特に耐衝撃性が求められる家電製品用部品として好適に用いることができる。
また、本発明には、前記ポリオレフィン樹脂組成物を少なくとも用いて構成される家電製品用部品である、ポリオレフィン樹脂成形体が含まれる。このようなポリオレフィン樹脂成形体としては、例えば、掃除機の吸込具が挙げられる。
さらに、本発明には、家電製品の代表例として、前記ポリオレフィン樹脂成形体で構成される部品を備える掃除機も含まれる。
本発明では、以上の構成により、家電製品用部品として好適に用いられ、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能なポリオレフィン樹脂成形体、並びに、このポリオレフィン樹脂成形体の製造に好適に用いることができるポリオレフィン樹脂組成物を提供することができる、という効果を奏する。
(A)は、本開示の実施の形態に係るポリオレフィン樹脂組成物の模式的構成を示す模式的断面図であり、(B)は、従来のポリオレフィン樹脂組成物の模式的構成を示す模式的断面図である。 本開示の実施の形態に係るポリオレフィン樹脂成形体を吸込具として備える、紙パック式掃除機の構成の一例を示す模式的斜視図である。 本開示の実施の形態に係るポリオレフィン樹脂成形体を吸込具として備える、サイクロン式掃除機の構成の一例を示す模式的斜視図ある。 図2または3に示す掃除機が備える吸込具の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂と、(B)粒子状の中空部材と、(C)エラストマー成分とを含有し、前記(B)中空部材の表面は、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有し、さらに、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対する前記(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を含有しない構成である。
前記構成によれば、マトリクス材(母材)である(A)ポリオレフィン樹脂に対して、(B)中空部材および(C)エラストマー成分が混合されているが、(B)中空部材は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して親和性を示さない状態にある。(B)中空部材の混合によりポリオレフィン樹脂組成物の軽量化が可能になるが、(B)中空部材の表面は(A)ポリオレフィン樹脂に対して固着しない。そのため、このポリオレフィン樹脂組成物により構成される樹脂成形体に衝撃が加えられても、(B)中空部材の界面が滑りやすくなるため(B)中空部材を起点として樹脂成形体が割れる可能性を大幅に低減することができる。
しかも、ポリオレフィン樹脂組成物には(C)エラストマー成分が含まれており、この(C)エラストマー成分は、(B)中空部材と組み合わせることで、耐衝撃性を飛躍的に向上することができる。その結果、このポリオレフィン樹脂組成物を用いた樹脂成形体は、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能となるので、特に耐衝撃性が求められる家電製品用部品として好適に用いることができる。
前記構成のポリオレフィン樹脂組成物においては、前記(B)中空部材、前記(A)ポリオレフィン樹脂、および(C)エラストマー成分の全重量を100重量%としたときに、前記(B)中空部材の含有量は、1〜50重量%の範囲内であるとともに、前記(C)エラストマー成分の含有量は、1〜30重量%の範囲内である構成であってもよい。
また、前記構成のポリオレフィン樹脂組成物においては、前記(A)ポリオレフィン樹脂は、少なくともポリプロピレンであり、前記(B)中空部材は、ガラス製であり、前記(C)エラストマー成分は、スチレン系エラストマー、スチレン系ゴム、オレフィン系エラストマー、およびオレフィン系ゴムの少なくともいずれかである構成であってもよい。
また、前記構成のポリオレフィン樹脂組成物においては、前記(C)エラストマー成分が、SEBS,SEPS,SBS,SEBからなる群より選択される少なくとも1種のスチレン系エラストマーである構成であってもよい。
また、前記構成のポリオレフィン樹脂組成物においては、前記(A)ポリオレフィン樹脂は、水の接触角θが85〜100°の範囲内であるもので構成され、前記(B)中空部材の表面は、水の接触角θが0〜10°の範囲内である構成であってもよい。
本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、前記構成のポリオレフィン樹脂組成物を少なくとも用いて構成される家電製品用部品であればよい。前記家電製品用部品としては掃除機の吸込具を挙げることができる。
また、本発明には、前記構成のポリオレフィン樹脂成形体で構成される部品を備える掃除機も含まれる。
以下、本開示の代表的な実施の形態について説明する。本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、家電製品用部品を構成する樹脂成形体に用いられ、(A)ポリオレフィン樹脂と、(B)粒子状の中空部材と、(C)エラストマー成分とを含有する。(B)中空部材の表面は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有する。さらに、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を含有しない構成となっている。
[(A)ポリオレフィン樹脂]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物に含まれる(A)ポリオレフィン樹脂は、少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合させたポリマーであればよいが、代表的には、エチレン、プロピレン(プロペン)、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンを少なくとも1種重合させて得られるポリマーであればよい。
具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE,ULDPE)等のポリエチレン類;ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン類;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・ビニルシラン化合物共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸系化合物共重合体等のエチレン共重合体;等を挙げることができる。これら(A)ポリオレフィン樹脂は1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が適宜組み合わせて用いられてもよい。また、これらの中でもポリプロピレン類が特に好ましい。
ポリプロピレン類のうち、ランダムポリプロピレンまたはブロックポリプロピレンに含まれるポリプロピレン以外のモノマーの種類は特に限定されず、エチレン等のα−オレフィンであってもよいし、前記エチレン共重合体で例示したようなα−オレフィン以外の重合性化合物であってもよい。また、前記エチレン共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
(A)ポリオレフィン樹脂のより具体的な物性、例えば、分子量(数平均分子量Mnまたは重量平均分子量Mw等)、立体規則性(側鎖を有する場合)あるいは(非)結晶性、密度(比重)、ガラス転移点(Tg)等については特に限定されず、成形対象となる家電製品用部品の種類に応じて適宜設定することができる。なお、家電製品用部品をできるだけ軽量化したい場合には、他の物性との兼ね合いもあるが、なるべく密度(比重)が小さいものであると好ましい。
[(B)中空部材]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物に含まれる(B)中空部材は、粒子状で内部が中空になっているものであれば特に限定されない。(B)中空部材の材料は特に限定されないが、代表的には、ガラス、セラミック等の無機系材料を挙げることができる。より具体的な(B)中空部材としては、例えば、グラスバブルス等のガラス製の中空フィラー(中空ガラス)を挙げることができる。中空ガラスは、(A)ポリオレフィン樹脂に対する親和性が低い(非親和性を有する)ため、特に本開示で好適に用いることができる。
(B)中空部材の具体的な物性、例えば、平均粒径、耐圧強度、真密度、熱安定性等については特に限定されず、成形対象となる家電製品用部品の種類に応じて適宜設定することができる。
本開示では、(B)中空部材の表面は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有するが、ここでいう非親和性は、例えば、(B)中空部材の表面および(A)ポリオレフィン樹脂の表面にそれぞれ水を接触させたときの接触角θ(水の接触角θ)により数値化することができる。より具体的には、(B)中空部材を構成する材料、あるいは、(A)ポリオレフィン樹脂を所定形状のサンプルとした上で、公知の接触角計で接触角θを測定することにより、これらの非親和性を数値化することができる。
本開示において(A)ポリオレフィン樹脂の水の接触角θは、一般的には、85〜100℃の範囲内に入る。代表的なポリオレフィン樹脂であるポリプロピレンは、水の接触角θが95〜98°の範囲内に入ることが知られており、ポリエチレンの水の接触角θは88°程度であることが知られている。そのため、本開示において(A)ポリオレフィン樹脂として用いることが可能なマトリクス材(樹脂)の接触角θは、85〜100°の範囲内であればよい。
これに対して、(B)中空部材の表面の水の接触角θは、10°以下、すなわち0〜10°の範囲内であればよく、5°以下、すなわち0〜5°の範囲内であれば好ましい。水に対する親和性すなわち親水性の有無を接触角θで判断するときには、接触角θが30°を境界値とすることが知られている(30°以下であれば親水性有りと判定する)。また、接触角θが10°以下であれば、その表面は水に対する非常に高い親和性(超親水性)を有していると判定することが知られている。一方、接触角θが90°以上であれば、その表面は、水をはじく性質すなわち撥水性を有していると判定することが知られている。
本開示においては、(A)ポリオレフィン樹脂は、撥水性を発揮する程度に親水性を有していない。これに対して、(B)中空部材の表面は、超親水性を発揮する状態にある。このように、本開示においては、(B)中空部材の表面が(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有することは、接触角θにより数値化することができる。
[(C)エラストマー成分]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物に含まれる(C)エラストマー成分は、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂に混合可能であり、ポリオレフィン樹脂組成物の成分として含まれた状態で、樹脂成形体への成形に実質的な影響を及ぼさないものであればよい。具体的な(C)エラストマー成分としては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;スチレン系ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム等のジエン系ゴム;ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム等の非ジエン系ゴム;等が挙げられる。これらエラストマー成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、スチレン構造を含むエラストマーまたはゴム、もしくは、オレフィン構造を含むエラストマーまたはゴムが好ましく用いられ、スチレン系エラストマーが特に好ましく用いられる。
スチレン構造を含むエラストマーまたはゴムは、スチレン骨格を含み、ゴム弾性を呈するものであればよい。具体的には、スチレン系エラストマーまたはスチレン系ゴムを挙げることができる。
スチレン系エラストマー(TPE−S)は、分子中の主成分であるハードセグメントとしてポリスチレンを、副成分であるソフトセグメントとしてポリブタジエンまたはポリイソプレンなどを含むものであればよい。また、スチレン系ゴムは、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などのスチレン骨格を有するジエン系ゴムであればよい。
これらスチレン系エラストマーまたはスチレン系ゴムとしては、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水添化スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体(SEBC)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック重合体(SEPS)などが挙げられる。これらスチレン系ゴムまたはスチレン系エラストマーは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよいし、スチレン系ゴムまたはスチレン系エラストマー以外のエラストマーを適宜組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、SEBS,SEPS,SBS,SEBからなる群より選択される少なくとも1種のスチレン系エラストマーが特に好ましく用いられる。
ここで、スチレン系エラストマーは、一般的には、(A)ポリオレフィン樹脂の中でも、特に、ポリプロピレンと相溶しにくいことが知られている。そして、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性の表面を有する(B)中空部材を混合している。このように、マトリクス材に対して混合しにくい成分を二種類組み合わせて用いることで、後述するように、得られる樹脂成形体の耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
オレフィン構造を含むエラストマーまたはゴムは、ハードセグメントとしてオレフィン骨格を含み、ソフトセグメントとしてゴムまたはエラストマー成分を含むものであればよい。具体的には、オレフィン系エラストマーまたはオレフィン系ゴムを挙げることができる。
オレフィン系エラストマーは、ポリオレフィンにより構成されるハードセグメントとゴム成分により構成されるソフトセグメントを含むものであればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン等のポリオレフィンに、エチレン−プロピレンゴム等のゴム成分を配合(ブレンド)したもの;ポリオレフィンおよびゴム成分を配合して部分架橋したもの;ポリオレフィンおよびゴム成分を配合して完全架橋したもの;オレフィンモノマーとゴム成分となるモノマーとを共重合したもの;等を挙げることができる。これらオレフィン系エラストマーは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンモノマーまたはプロピレンモノマー等含み、ゴム弾性を有するものであればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPT,EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン酢酸ビニルゴム)等を挙げることができる。
オレフィン系エラストマーまたはオレフィン系ゴムは、オレフィン由来の構造を含むため、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物のマトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂に親和性を有する。それゆえ、(A)および(C)成分の相溶性が向上すると考えられる。これに対して、(B)中空部材は、その表面が(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有するので、(C)エラストマー成分がオレフィン系エラストマーであれば、(C)成分に対しても非親和性を有することになる。これにより(B)中空部材の配合による効果が良好に発揮されると考えられるため、得られる樹脂成形体の耐衝撃性を向上させることができる。
ただし、後述する実施例に示すように、(C)エラストマー成分は、オレフィン系ゴム(実施例7)よりもスチレン系エラストマー(実施例6)の方が良好な耐衝撃性を発揮することが明らかとなっている。それゆえ、(B)中空部材の配合による効果は、(C)エラストマー成分の(A)ポリオレフィン樹脂に対する相溶性が高いよりも、相溶性が低い方が、より一層良好に発揮されると考えられる。
[(D)その他の成分]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物には、(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分以外に、本開示の作用効果を損なわない範囲内で公知の他の成分を含有させることができる。具体的には、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、造核剤、可塑剤、中和剤、着色剤(顔料、染料)、発泡剤、滑剤、難燃剤、銅害防止剤、充填材((B)中空部材を除く)等を挙げることができる。
ただし、(D)その他の成分には、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれない。(B)中空部材の表面が、(A)ポリオレフィン樹脂に対して良好な親和性を呈する場合、(B)中空部材がマトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂に固着する。そのため、樹脂成形体の耐衝撃性が低下し、(B)中空部材を起点として割れやすくなる。
中空部材親和成分は、本開示においては、前記の通り、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を向上させる性質を有する成分として定義される。具体的な中空部材親和成分としては、例えば、表面改質剤、変性樹脂等を挙げることができるが特に限定されない。表面改質剤は、(B)中空部材の表面を改質して(A)ポリオレフィン樹脂に対する表面の親和性を直接的に向上させるものである。表面改質剤としては、例えば、シランカップリング剤(特許文献1参照)等を挙げることができる。変性樹脂は、界面活性剤と同様に、(B)中空部材の表面に親和性を有する部位と(A)ポリオレフィン樹脂に親和性を有する部位とを含み、(B)中空部材および(A)ポリオレフィン樹脂の間に介在することにより間接的に(B)中空部材の表面の親和性を向上させるものである。変性樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(特許文献1および後述する比較例2参照)を挙げることができる。
なお、(B)中空部材の表面が(A)ポリオレフィン樹脂に対して十分な非親和性を有していない場合、もしくは、非親和性をより一層向上させたい(言い換えれば、親和性をできるだけ低下させたい)場合には、中空部材親和成分とは逆の作用を有する成分、すなわち、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を低下(非親和性を向上)させる成分が含まれてもよい。
[ポリオレフィン樹脂組成物]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、前述した(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分を含有しており、必要に応じて(D)その他の成分も含有している。ただし、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、前述した中空部材親和成分は含有しない。
図1(A)は、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50の模式的構成を示しており、図1(B)は、従来のポリオレフィン樹脂組成物60の模式的構成を示している。本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50は、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂51中に、(B)中空部材52が分散した構成である。この点は、従来のポリオレフィン樹脂組成物60と同様である。
ここで、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50では、(B)中空部材52の表面は、(A)ポリオレフィン樹脂51に対して非親和性を有している上に、前述した中空部材親和成分を含まない。そのため、(B)中空部材52は、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂51に密着することがなく、(B)中空部材52の表面と(A)ポリオレフィン樹脂51との間には、図1(A)において点線で模式的に示すように、界面54が形成されると考えられる。そのため、ポリオレフィン樹脂組成物50の成形体に衝撃が加えられても、(B)中空部材52は、界面54により滑りやすくなるため、衝撃の運動エネルギーが分散されやすくなる。
しかも、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50には、(C)エラストマー成分53も含まれている。ポリオレフィン樹脂組成物50の成形体に衝撃が加えられると、図1(A)において模式的に示すように、(B)中空部材52の周囲に存在する(C)エラストマー成分53によって、衝撃の運動エネルギーが吸収されると推測される。(C)エラストマー成分53の種類は特に限定されないものの、例えば、(C)エラストマー成分53がオレフィン系であれば、(A)ポリオレフィン樹脂51への相溶性が高いため、マトリクス材((A)ポリオレフィン樹脂51)の中で(C)エラストマー成分53が良好に分散するため、良好な耐衝撃性が得られると推測される(後述する実施例7参照)。
これに対して、(C)エラストマー成分53がスチレン系であれば、(A)ポリオレフィン樹脂51への相溶性が低い傾向にある。相溶性が低ければ、マトリクス材((A)ポリオレフィン樹脂51)の中で良好に分散できず、耐衝撃性が向上しないのではないか、と推測される。ところが、(C)エラストマー成分53がスチレン系であると、オレフィン系に比べてもより良好な耐衝撃性が得られている(後述する実施例1〜6参照)。これは、マトリクス材((A)ポリオレフィン樹脂51)内で、(A)ポリオレフィン樹脂51の分子に十分に混ざり合うことがないため、(C)エラストマー成分53の分子が良好なゴム弾性を発揮できるのではないか、と推測される。
このように、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50は、(B)中空部材52の表面が、マトリクス材に対する非親和性を有するとともに、(C)エラストマー成分53を含むことで、良好な耐衝撃性を実現することができる。
一方、図1(B)に示すように、従来のポリオレフィン樹脂組成物60には、中空部材親和成分が含まれている。そのため、図1(B)において黒く塗りつぶした領域として模式的に示すように、(B)中空部材52の周囲には、中空部材親和成分の作用によって強固な密着面61が形成される。その結果、ポリオレフィン樹脂組成物60の成形体に衝撃が加えられると、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物50とは異なり、衝撃の運動エネルギーが分散されたり吸収されたりし難く、(B)中空部材52を起点として集中するおそれがある。その結果、従来のポリオレフィン樹脂組成物60では、良好な耐衝撃性を実現できないと考えられる。
(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分の配合量、すなわち、ポリオレフィン樹脂組成物における(A)〜(C)成分の含有量(含有率、配合率)は特に限定されず、成形対象である樹脂成形体の種類、用途、大きさ、使用環境等の諸条件に応じて適宜設定することができる。
代表的には、例えば、(B)中空部材の含有量は、(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分の全重量を100重量%としたときに、1〜50重量%の範囲内であればよく、5〜30重量%の範囲内が好ましい。
(B)中空部材の含有量が1重量%未満であれば、諸条件にもよるが、ポリオレフィン樹脂組成物中における(B)中空部材の重量比率が小さくなるため、軽量化の効果が十分に得られない場合がある。一方、50重量%を超えれば、ポリオレフィン樹脂組成物中における(B)中空部材のかさ密度が相対的に大きくなる。そのため、諸条件にもよるが、ポリオレフィン樹脂組成物の製造に際して、各成分を混練する際の作業性が低下する場合があるとともに、得られるポリオレフィン樹脂組成物の機械特性が低下する場合がある。
また、(C)エラストマー成分の含有量は、(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分の全重量を100重量%としたときに、1〜30重量%の範囲内であればよく、5〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
(C)エラストマー成分の含有量が1重量%未満であれば、諸条件にもよるが、ポリオレフィン樹脂組成物中に含まれる(C)エラストマー成分の「濃度」が高くないため、得られるポリオレフィン樹脂組成物において耐衝撃性の向上が十分に見込めない場合がある。また、(C)エラストマー成分の含有量が30重量%を超えれば、諸条件にもよるが、ポリオレフィン樹脂組成物中に含まれる(C)エラストマー成分の「濃度」が高くなるため、ポリオレフィン樹脂組成物の耐衝撃性は向上するが、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂の比率が低下するため、ポリオレフィン樹脂組成物の強度低下が懸念される。また、(C)エラストマー成分は、他の成分に比較して相対的に高価であるため、(C)エラストマー成分の含有量が30重量%を超えれば、ポリオレフィン樹脂組成物の高コスト化も懸念される。
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物が、(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分からなる場合、すなわち、(A)〜(C)の各成分に分類される成分のみを含み、(D)その他の成分を含まない場合には、(A)ポリオレフィン樹脂の含有量は、(A)〜(C)成分の全重量を100重量%としたときに、20〜98重量%の範囲内であればよく、50〜90重量%の範囲内が好ましい。
(A)ポリオレフィン樹脂の含有量が20重量%未満であれば、諸条件にもよるが、マトリクス材の比率が低下するため、ポリオレフィン樹脂組成物の強度低下が懸念される。また、(A)ポリオレフィン樹脂の含有量が98重量%を超えると、諸条件にもよるが、ポリオレフィン樹脂組成物において、(B)中空部材および(C)エラストマー成分の少なくとも一方を十分な量で含有させることができないおそれがある。
なお、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、前記の通り、(A)〜(C)成分以外の(D)その他の成分(ただし、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を除く)を含有してもよい。このとき、(D)その他の成分の含有量は特に限定されず、(D)その他の成分を添加する目的、あるいは、(D)その他の成分の種類等に応じて、必要量を適宜添加することができる。
[ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法]
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、少なくとも(A)ポリオレフィン樹脂、(B)中空部材、および(C)エラストマー成分、並びに、必要に応じて(D)その他の成分(ただし、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を除く)を任意の順序で、任意の配合量で配合し、公知の混練機で混練し、必要に応じて造粒し、公知の成形機で成形すればよい。
ポリオレフィン樹脂組成物の製造に際して、(A)〜(C)成分(必要に応じて(D)成分)を配合する際の混練機としては、公知のものを好適に用いることができる。具体的には、例えば、一軸押出機、二軸押出機、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の混練機を挙げることができる。これら混練機は造粒可能な構成であってもよい。また、混練機による混練の前に、(A)〜(C)成分(必要に応じて(D)成分)の少なくともいずれかを予備的に混練してもよい。
本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、前記のように(A)〜(C)の各成分を混練することにより得られるか、または混練後に造粒されることにより得られる。このようなポリオレフィン樹脂組成物は、公知の各種の成形機を用いて、ポリオレフィン樹脂成形体として成形することができる。具体的な成形機としては特に限定されないが、例えば、射出成形機、押出成形機、シート成形機、真空成形機等を用いることができる。
本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体は、前述したポリオレフィン樹脂組成物を少なくとも用いて構成されればよいが、ポリオレフィン樹脂組成物以外の材料を含んでもよい。本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体は、良好な耐衝撃性を発揮することができるが、この耐衝撃性の評価方法としては特に限定されない。
本実施の形態では、後述する実施例等で説明するように、ポリオレフィン樹脂組成物を例えば1.6mm厚の板状に成形することにより、ポリオレフィン樹脂成形体の試験片とし、この試験片を−10℃で3時間静置し、その後に試験片に対して250gの重錘を落下させて、当該試験片が破壊されなかった最大高さに基づいて評価することができる。最大高さの数値が大きい程、耐衝撃性が優れていることになる。本開示においては、最大高さは100cmを超えていればよい。最大高さが100cm未満であれば、(B)中空部材により軽量化した従来のポリオレフィン樹脂組成物と同程度かそれ以下の耐衝撃性しか呈することができない。なお、最大高さの上限は特に限定されず、数値が大きい程望ましいが、ポリオレフィン樹脂組成物の組成に応じた物性上の上限は存在する。
[ポリオレフィン樹脂成形体]
本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体の用途は特に限定されないが、代表的な用途としては、家電製品用部品を挙げることができる。具体的な家電製品の種類は特に限定されないが、代表的には、例えば、手持ち型の家電製品を挙げることができる。手持ち型の家電製品は、使用時にユーザが少なくとも一部を把持するものであるため、使用時に周囲の物体に衝突させたり落下させたりするおそれがある。そのため、このような手持ち型の家電製品が備える部品は、良好な耐衝撃性を有することが望ましい。手持ち型の家電製品としては、具体的には、例えば、掃除機、ドライヤー、シェーバー、ハンドミキサー、電気ポット(電気ケトル)等を挙げることができる。
本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体の代表的な一例としては、掃除機の吸込具を挙げることができる。掃除機の吸込具は、使用中に様々な物体に衝突するため、通常の部品よりも高い耐衝撃性が求められる。それゆえ、本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体(家電製品用部品)の特に好ましい一例として挙げることができる。したがって、本開示には、このような吸込具等のポリオレフィン樹脂成形体を含む掃除機も含まれる。
本開示に係る掃除機の具体的な構成は特に限定されず、さまざまなタイプの掃除機を挙げることができる。代表的には、図2に示すような紙パック方式のキャニスター型掃除機10、あるいは、図3に示すようなサイクロン方式のキャニスター型掃除機20を挙げることができる。
図2に示すように、紙パック方式のキャニスター型掃除機10は、掃除機本体11、ホース12、把持部13、手元操作部14、延長管15、および吸込具30等備えている。掃除機本体11は、内部に図示されない電動送風機および紙パック式の集塵室を内部に備えているとともに、両側部に一対のホイール16を備えている。また、掃除機本体11の後部には、内部に収納可能に図示しない電源コードを備えている。
ホース12の一端は掃除機本体11の前部に着脱自在に接続されるとともに、ホース12の他端は延長管15の一端に着脱自在接続される。また、延長管15の他端には吸込具30が着脱自在に接続される。延長管15は伸縮可能に構成される。ホース12の他端の上面には手元操作部14が設けられており、手元操作部14の近傍には、ホース12の他端を把持する把持部13が設けられている。
掃除機本体11内の電動送風機が動作することで、ホース12の一端から掃除機本体11内に向かって吸引力が発生する。それゆえ、掃除機本体11につながるホース12の内部、延長管15の内部、並びに吸込具30の図示しない吸込口にも吸引力が発生する。また、掃除機本体11は、一対のホイール16により被掃除面上を移動自在となっている。
キャニスター型掃除機10の使用時には、まず、使用者は、図示しない電源コードを掃除機本体11から引き出して先端の電源プラグを電源差込口に差し込み、把持部13を把持して手元操作部14を操作し、掃除機本体11の電源を入れる。これにより、電動送風機が動作して吸込具30の吸込口に吸引力が発生するので、使用者は把持部13を把持して、必要に応じて掃除機本体11も移動させつつ被掃除面上で吸込具30を移動させることで、被掃除面の塵埃を吸い込むことができる。吸込具30から吸い込まれた塵埃は、延長管15、ホース12を介して掃除機本体11内の紙パック式の集塵室に集められることになる。
また、図3に示すように、サイクロン方式のキャニスター型掃除機20は、掃除機本体21、ホース22、把持部23、手元操作部24、延長管25、および吸込具30等備えている。掃除機本体21は、後部に図示しない電動送風機を内蔵し、前部に着脱自在で塵埃を分離捕集する集塵容器27を収納する集塵容器収納部28が設けられている。
ホース22の一端は掃除機本体21の前部に着脱自在に接続されるとともに、ホース22の他端は延長管25の一端に着脱自在接続される。また、延長管25の他端には吸込具30が着脱自在に接続される。延長管25は伸縮可能に構成される。ホース22の他端の上面には手元操作部24が設けられており、手元操作部24の近傍には、ホース22の他端を把持する把持部23が設けられている。
掃除機本体21内の電動送風機が動作することで、ホース22の一端から掃除機本体11内の集塵容器27に向かって吸引力が発生する。それゆえ、掃除機本体21につながるホース22の内部、延長管25の内部、並びに吸込具30の図示しない吸込口にも吸引力が発生する。また、掃除機本体21は、一対のホイール26により被掃除面上を移動自在となっている。
キャニスター型掃除機20の使用時には、まず、使用者は、図示しない電源コードを掃除機本体21から引き出して先端の電源プラグを電源差込口に差し込み、把持部23を把持して手元操作部24を操作し、掃除機本体21の電源を入れる。これにより、電動送風機が動作して吸込具30の吸込口に吸引力が発生するので、使用者は把持部23を把持して、必要に応じて掃除機本体21も移動させつつ被掃除面上で吸込具30を移動させることで、被掃除面の塵埃を吸い込むことができる。吸込具30から吸い込まれた塵埃は、延長管25、ホース22を介して掃除機本体21の前部に位置する集塵容器収納部28内の集塵容器27に集められることになる。
紙パック方式のキャニスター型掃除機10、あるいは、サイクロン方式のキャニスター型掃除機20に用いられる吸込具30は、図4に示すように、略T字状の外形を有しており、吸込具本体31、可動部32、接続管部33等を備えている。吸込具本体31は、略直方体状であり、長手方向の中央後部に可動部32が揺動可能に設けられている。また、吸込具本体31の下面には図示しない吸込口が設けられており、吸込口は、可動部32の内部に連通している。可動部32は、吸込具本体31の長手方向に直交する方向に沿って、上下に揺動する。可動部32の他端は接続管部33となっており、延長管15または25の先端(他端)に着脱自在に接続される。
図4に示すように、吸込具30は、単一の部材で構成されているわけではなく、複数の部材で構成されている。本開示に係るポリオレフィン樹脂成形体としての吸込具30は、当該吸込具30を構成する全ての部材が、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物で構成されてもよいし、例えば、より優れた耐衝撃性が要求される部位のみ、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物で構成されてもよい。例えば、吸込具本体31全体が本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物で構成されてもよい。また、吸込具本体31の前面を構成する部材あるいは吸込具本体31の両側面を構成する部材のように、壁面等に衝突しやすい部位を構成する部材が、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物で構成されてもよい。
なお、図2に示す紙パック方式のキャニスター型掃除機10、あるいは、図3に示すサイクロン方式のキャニスター型掃除機20における具体的な構成、すなわち、掃除機本体11または21、ホース12または22、把持部13または23、手元操作部14または24、延長管15または25等の具体的な構成については特に限定されず、掃除機の分野で公知の各種構成を好適に用いることができる。
このように、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物は、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂に対して、(B)中空部材および(C)エラストマー成分が混合されているが、(B)中空部材は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して親和性を示さない状態にある。(B)中空部材の混合によりポリオレフィン樹脂組成物の軽量化が可能になるが、(B)中空部材の表面は(A)ポリオレフィン樹脂に対して固着しない。そのため、このポリオレフィン樹脂組成物により構成される樹脂成形体に衝撃が加えられても、(B)中空部材の界面が滑りやすくなるため(B)中空部材を起点として樹脂成形体が割れる可能性を大幅に低減することができる。
しかも、本開示に係るポリオレフィン樹脂組成物には(C)エラストマー成分が含まれており、この(C)エラストマー成分は、(B)中空部材と組み合わせることで、耐衝撃性を飛躍的に向上することができる。その結果、このポリオレフィン樹脂組成物を用いた樹脂成形体は、良好な軽量化を実現しつつ、優れた耐衝撃性も実現することが可能となるので、特に耐衝撃性が求められる家電製品用部品、例えば、掃除機の吸込具等として好適に用いることができる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における物性等の測定・評価は次に示すようにして行った。
(測定・評価方法)
[真密度]
実施例または比較例で得られたサンプルプレートを、真密度計(アルファーミラージュ社製、商品名:MD−300S)を用いて測定した。
[耐衝撃性試験]
実施例または比較例で得られたサンプルプレートを、恒温槽(エスペック社製、商品名:PDR−3KP)内に静置して、−10℃で3時間保持した。その後、恒温槽からサンプルプレートを素早く取り出し、種々の高さから、250gの重錘を落下させたときにサンプルプレートが破壊されなかった最大高さを測定した。
この耐衝撃性試験では、最大高さの数値が大きいほどサンプルプレートの耐衝撃性が高いことを示す。後述する表1および表2では、最大高さの数値を3段階に区分して、数値がいずれの段階に入るかによって耐衝撃性を評価している。最大高さが60cm未満であれば、耐衝撃性が低いとして「×」と評価し、最大高さが60cm以上100cm以下であれば、耐衝撃性がやや低いとして「△」と評価し、最大高さが100cmを超えていれば、耐衝撃性が高いとして「○」と評価した。
(実施例1)
(A)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製、商品名:BC03B)を用い、(B)中空部材として、中空ガラス(住友スリーエム社製、商品名:グラスバブルス iM16K)を用い、(C)エラストマー成分として、SEBS(旭化成社製、商品名:H1062)を用いた。
予め準備した事前混合用の容器に、ポリプロピレン85重量%、中空ガラス10重量%、および、SEBS5重量%の重量比となるように、それぞれの成分を配合して均一に攪拌して、各成分を事前混合した。その後、混合物を二軸押出機に投入し、混合物を加熱しながら混練してペレット(すなわち、実施例1のポリオレフィン樹脂組成物)を造粒した。なお、二軸押出機のシリンダ温度は200℃に設定した。得られたペレットを射出成形機により70mm×60mm×1.6mmのサンプルプレート(実施例1のポリオレフィン樹脂成形体)に成形した。なお、射出成形条件は、成形温度200℃、金型温度40℃とした。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分85重量%、(B)成分10重量%、(C)成分5重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1および表2に示す。
(実施例2)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン、(B)中空部材である中空ガラス、および(C)エラストマー成分であるSEBSの含有量(配合量)の重量比をそれぞれ75重量%、5重量%、および20重量%とした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例2のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分75重量%、(B)成分5重量%、(C)成分20重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン、(B)中空部材である中空ガラス、および(C)エラストマー成分であるSEBSの含有量(配合量)の重量比をそれぞれ90重量%、5重量%、および5重量%とした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例3のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例3のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分90重量%、(B)成分5重量%、(C)成分5重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン、(B)中空部材である中空ガラス、および(C)エラストマー成分であるSEBSの含有量(配合量)の重量比をそれぞれ50重量%、30重量%、および30重量%とした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例4のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分50重量%、(B)成分30重量%、(C)成分30重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例5)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン、(B)中空部材である中空ガラス、および(C)エラストマー成分であるSEBSの含有量(配合量)の重量比をそれぞれ65重量%、30重量%、および5重量%とした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例5のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例5のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分65重量%、(B)成分30重量%、(C)成分5重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレンおよび(B)中空部材である中空ガラスを、それぞれ90重量%および10重量%の重量比となるように配合し、(C)エラストマー成分を配合しなかった以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および比較例1のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分90重量%、(B)成分10重量%、(C)成分0重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレンを87重量%、(B)中空部材である中空ガラスを10重量%、並びに、マレイン酸変性ポリプロピレン(理研ビタミン社製、商品名:MG−400P)を3重量%の重量比となるように、それぞれの成分を配合し、(C)エラストマー成分を配合しなかった以外は、前記実施例1と同様にして、比較例2のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および比較例2のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分90重量%、(B)成分10重量%、(C)成分0重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分として、前記マレイン酸変性ポリプロピレンが含まれている。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2018030954
(実施例1〜5および比較例1,2の対比)
表1の結果から明らかなように、(A)ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレンに対して(B)中空部材である中空ガラスが添加されていれば、実施例および比較例のいずれにおいても、その添加量に応じて密度が減少している。したがって、サンプルプレートの成形時に中空ガラスが破壊されることが回避され、樹脂成形体として軽量化が実現できることが分かる。
ここで、実施例1〜5においては、サンプルプレートはいずれも良好な耐衝撃性を示すが、比較例1では、サンプルプレートの耐衝撃性はやや劣っており、比較例2では、サンプルプレートの耐衝撃性は明らかに低下していた。
比較例1では、(C)エラストマー成分を含んでいない。それゆえ、本開示においては、(A)ポリオレフィン樹脂および(B)中空部材のみでは、ポリオレフィン樹脂成形体において軽量化を実現することは可能であっても、耐衝撃性を向上することは困難であることが分かる。
また、比較例2では、比較例1と同様に(C)エラストマー成分を含んでいないが、代わりに、中空部材親和成分としてマレイン酸変性ポリプロピレンを含んでいる。それゆえ、(B)中空部材の表面の(A)ポリオレフィン樹脂に対する親和性が向上しているため、マトリクス材である(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の密着性が高くなる(特許文献1参照)。その結果、サンプルプレートに衝撃が加えられたとき、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)中空部材との界面にクラックが生じやすくなり、耐衝撃性が低下していると考えられる。
これに対して、実施例1〜5では、中空部材親和成分を含まず、(C)エラストマー成分を含んでいる。そのため、(A)ポリオレフィン樹脂に対する(B)中空部材の密着性が低くなるとともに、(C)エラストマー成分の配合により、(B)中空部材の運動エネルギーが吸収されると推測される。その結果、サンプルプレートの耐衝撃性が向上していると考えられる。
また、実施例2および3の対比、並びに、実施例4および5の対比から、前述した好ましい範囲内で(C)エラストマー成分の添加量(含有量)を増加させると、耐衝撃性が良好に改善されることが分かる。
(実施例6)
(C)エラストマー成分として、SEPS(クラレ社製、商品名:S2004)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例6のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例6のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分65重量%、(B)成分30重量%、(C)成分5重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例7)
(C)エラストマー成分として、スチレン系ではなくオレフィン系であるエチレンプロピレンゴム(EPR,三井化学社製、商品名:P0280)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例7のポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)および実施例7のポリオレフィン樹脂成形体(サンプルプレート)を得た。
得られたサンプルプレートの組成は、(A)成分65重量%、(B)成分30重量%、EPR(オレフィン系エラストマー)5重量%であり、(A)成分に対する(B)成分の表面の親和性を向上する中空部材親和成分は含まれていない。このサンプルプレートについて、前述したように、真密度を測定するとともに耐衝撃性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2018030954
(実施例1,6,7および比較例2の対比)
表2に示すように、実施例1および6の対比から、(C)エラストマー成分がSEBSであってもSEPSであっても、スチレン系であれば、いずれも良好な耐衝撃性と軽量化とを実現できることが分かる。また、実施例7に示すように、(C)エラストマー成分がスチレン系エラストマーではなく、オレフィン系ゴムであるEPRを添加した場合であっても、良好な耐衝撃性と軽量化とを実現できることが分かる。これに対して、比較例2では、(C)エラストマー成分を含んでおらず、中空部材親和成分としてマレイン酸変性ポリプロピレン(MA−g−PP)を含んでいる。それゆえ、軽量化は可能であっても、実施例1,6,7に比較して耐衝撃性には明らかに劣ることが分かる。
このように、(C)エラストマー成分としては、スチレン系エラストマーまたはスチレン系ゴムに限定されず、その他のエラストマーまたはゴムであっても、(B)中空部材と組み合わせることで、良好な耐衝撃性を実現できることが分かる。ただし、実施例6のサンプルプレートでは、最大高さが200cm程度であるが、実施例7のサンプルプレートでは、最大高さが110cmであった。それゆえ、(C)エラストマー成分としては、オレフィン系よりもスチレン系の方が耐衝撃性を向上できることが分かる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、掃除機の吸込具等のように、耐衝撃性が要求される家電製品の部品の分野に広く好適に用いることができる。
10 紙パック方式のキャニスター型掃除機
11 掃除機本体
12 ホース
13 手元操作部
14 把持部
15 延長管
16 ホイール
20 サイクロン方式のキャニスター型掃除機
21 掃除機本体
22 ホース
23 手元操作部
24 把持部
25 延長管
26 ホイール
30 吸込具
31 吸込具本体
32 可動部
33 接続管部
50 ポリオレフィン樹脂組成物
51 ポリオレフィン樹脂
52 中空部材
53 スチレン系のエラストマー成分
54 界面
60 従来のポリオレフィン樹脂組成物
61 密着面

Claims (8)

  1. (A)ポリオレフィン樹脂と、(B)粒子状の中空部材と、(C)エラストマー成分とを含有し、
    前記(B)中空部材の表面は、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対して非親和性を有し、
    さらに、前記(A)ポリオレフィン樹脂に対する前記(B)中空部材の表面の親和性を向上する中空部材親和成分を含有しないことを特徴とする、
    ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 前記(B)中空部材、前記(A)ポリオレフィン樹脂、および(C)エラストマー成分の全重量を100重量%としたときに、
    前記(B)中空部材の含有量は、1〜50重量%の範囲内であるとともに、前記(C)エラストマー成分の含有量は、1〜30重量%の範囲内であることを特徴とする、
    請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリオレフィン樹脂は、少なくともポリプロピレンであり、
    前記(B)中空部材は、ガラス製であり、
    前記(C)エラストマー成分は、スチレン系エラストマー、スチレン系ゴム、オレフィン系エラストマー、およびオレフィン系ゴムの少なくともいずれかであることを特徴とする、
    請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 前記(C)エラストマー成分が、SEBS,SEPS,SBS,SEBからなる群より選択される少なくとも1種のスチレン系エラストマーであることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリオレフィン樹脂は、水の接触角θが85〜100°の範囲内であるもので構成され、
    前記(B)中空部材の表面は、水の接触角θが0〜10°の範囲内であることを特徴とする、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のポリオレフィン樹脂組成物を少なくとも用いて構成される家電製品用部品であることを特徴とする、
    ポリオレフィン樹脂成形体。
  7. 前記家電製品用部品が掃除機の吸込具であることを特徴とする、
    請求項6に記載のポリオレフィン樹脂成形体。
  8. 請求項6または7に記載のポリオレフィン樹脂成形体で構成される部品を備えることを特徴とする、
    掃除機。
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