JP2018030492A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 3相ブラシレスモータを用いた車両の制動制御装置に適用され、弱め磁束制御が、より効果的に行われ得るものを提供する。【解決手段】 制動制御装置は、車輪の要求制動力に応じた目標押圧力に基づいて、電気モータによって摩擦部材を回転部材に押圧し、車輪に制動力を発生する。制動制御装置は、電気モータを制御するコントローラと、摩擦部材が回転部材に押圧される力である押圧力を検出する押圧力センサと、を備える。コンローラは、目標押圧力に基づいて電気モータの指示電流を演算し、押圧力に基づいて指示電流を調整して目標電流を演算し、目標電流に基づいて、電気モータを制御する。例えば、コンローラは、押圧力が大きいほど、指示電流のd軸成分Idsを減少して目標電流を演算する。また、コンローラは、押圧力が大きいほど、指示電流のq軸成分Iqsを増加して目標電流を演算する。【選択図】 図5

Description

本発明は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、「BBW式ブレーキ装置のアクチュエータの電動モータの体格を大型化することなく、必要時にその回転数を高めて作動応答性を向上させる」ことを目的には、「電気信号に基づいて電動モータ22を駆動源とするモータシリンダ19F、19Rを作動させて車輪を制動するBBW式ブレーキ装置において、モータシリンダ19F、19Rの作動初期に電動モータ22を弱め界磁制御して回転数を高めるので、モータシリンダ19F、19Rを作動させる電気信号が出力されてから実際に制動力が発生するまでのタイムラグを減少させて作動応答性を高めることができる。そして実際に制動力が発生した後には、弱め界磁制御を解除して充分なトルクで必要な制動力を確保することができるので、特別に体格の大きい電動モータ22を用いる必要がなくなり、電動モータ22の小型化と作動応答性の向上とを両立させることができる」旨が記載されている。
さらに、特許文献1には、「ブレーキパッド35、35がブレーキディスク34に接触するまでの領域Aと、ブレーキパッド35、35がブレーキディスク34に接触した後の領域Bとで電動モータ22の制御が異なっている。領域A、Bはパッドクリアランスαに応じて決まるもので、領域Aはホイールシリンダ15、16のピストン37のストロークが増加しても、パッドクリアランスαが存在するために反力が殆ど増加しない領域であり、領域Bはパッドクリアランスαが既に消滅しているために、ピストン37のストロークが増加すると反力が急激に増加する領域である。ホイールシリンダ15、16のパッドクリアランスαが存在する領域Aでは、電動モータ22のd軸方向の電流指令値Id*を負の方向に大きくし、いわゆる弱め界磁制御を行うことで電動モータ22の回転数を増加させ、ホイールシリンダ15、16のピストン37のパッドクリアランスαが消滅する領域Bでは、電動モータ22のd軸方向の電流指令値Id*を0あるいは殆ど0にして電動モータ22のトルクを増加させる」ことが記載されている。
特許文献2には、「電動制動力発生手段を駆動する電動モータを大型化することなく、制動力発生の応答性を高める」ことを目的に、「目標ブレーキ液圧算出手段M1はスレーブシリンダに発生させるべき目標ブレーキ液圧を算出し、微分手段M2は目標ブレーキ液圧を時間微分して目標ブレーキ液圧の変化率を算出し、界磁電流算出手段M3は目標ブレーキ液圧の変化率に基づいてスレーブシリンダを駆動する電動モータの界磁電流指令値を算出し、電動モータ制御手段M4は界磁電流指令値に基づいて電動モータを弱め界磁制御する。目標ブレーキ液圧の変化率が大きいときは制動力を急激に立ち上げる必要がある緊急時であり、このときに界磁電流指令値を増加させて電動モータの弱め界磁量を増加させることで、電動モータの回転数を増加させてスレーブシリンダを速やかに作動させ、制動力発生の応答性を高めることができる」ことが記載されている。
さらに、特許文献2には、「電動モータ52を駆動して、各回転位置に対するキャリパ液圧を検出し、所定のキャリパ液圧Pが得られたときの電動モータ52の回転位置Ang1を記憶する。界磁電流指令値Id*は、電動モータ52の回転位置Ang1、Ang2、Ang3の増加に応じて、つまりピストン38A、38Bの前進位置の増加に応じて負方向に増加し、それに伴って弱め界磁量が増加して電動モータ52の回転数が増加する」ことが記載されている。
特許文献1、2には、電気モータのd軸に負の電流を流すことによる「弱め界磁制御(弱め磁束制御ともいう)」について記載されている。弱め磁束制御が、より効果的には実行されるためには、パッドクリアランス(ブレーキ隙間ともいう)だけでなく、ブレーキキャリパ(単に、キャリパともいう)CP等の剛性(ばね定数)の特性に即したものが必要となる。
このことについて、図6を参照して説明する。図6は、電気モータMTRの回転角Mkaに対する押圧力Fpa(キャリパCP、摩擦部材MS等からの反力)の関係を示す特性図であり、キャリパCPにおける、「変位」に対する「力」の関係である「剛性(ばね定数)」を表している。特性P1は、摩擦部材MSが新品の場合、特性P2は摩擦部材MSが摩耗した場合を示している。回転角Mkaの増加に対して、押圧力Fpaは「下に凸」の非線形特性にて単調増加する。
この非線形特性において、押圧力Fpaが「0」から値fpbまでの領域Raでは、回転角Mkaが変化しても押圧力Fpaの変化は僅かである。領域Raでは、先ず、摩擦部材MSと回転部材KTとの隙間が詰められ、その後、摩擦部材MSの表面にある微小な凹凸が圧縮される。領域Rbでは、摩擦部材MSの剛性とキャリパCPの剛性が、共に影響する。領域Rbでは、摩擦部材MSとキャリパCPとは、直列ばねとして作用する。さらに、回転角Mkaが増加すると、摩擦部材MSは潰れ切り、これ以上は圧縮されなくなる。領域Rcでは、キャリパCPの剛性が支配的であり、摩擦部材MSの剛性の影響は殆どない。
また、特性P1と特性P2とを比較すると、領域Raでは、殆ど相違はないが、領域Rbでは、摩擦部材MSが薄くなる分、特性P2の方が、特性P1よりも剛性(回転角Mkaに対する押圧力Fpaの傾き)が高くなる。しかし、領域Rcでは、キャリパCPの剛性が支配的であるため、回転角Mkaに対する押圧力Fpaの傾きは、略同一である。
以上で説明したように、押圧力Fpaが相対的に小さい領域(領域Ra、Rb)では、押圧力Fpaが増加するためには、回転角Mkaの変化が必要である。即ち、押圧力Fpaが急増されるためには、回転速度dMkが重要となってくる。一方、押圧力Fpaが相対的に大きい領域(領域Rc)では、僅かに回転角Mkaが変化しただけで、押圧力Fpaは大きく変化する。即ち、領域Rcでは、押圧力Fpaの急増において、回転速度dMkは、然程、重要ではない。従って、キャリパCPにおける、このような特性が考慮されて、電気モータMTRの弱め磁束制御が行われることが望ましい。
特開2007−245823号公報 特開2008−184057号公報
本発明の目的は、3相ブラシレスモータを用いた車両の制動制御装置に適用され、弱め磁束制御が、より効果的に行われ得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置は、車両の車輪(WH)に対する要求制動力に応じた目標押圧力(Fpt)に基づいて電気モータ(MTR)を駆動し、前記車輪(WH)に固定される回転部材(KT)に摩擦部材(MS)を押圧して前記車輪(WH)に制動力を発生する。車両の制動制御装置は、前記電気モータ(MTR)を制御するコントローラ(ECU)と、前記摩擦部材(MS)が回転部材(KT)に押圧される力である押圧力(Fpa)を検出する押圧力センサ(FPA)と、を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コンローラ(ECU)は、前記目標押圧力(Fpt)に基づいて前記電気モータ(MTR)の指示電流(Ims)を演算し、前記押圧力(Fpa)に基づいて前記指示電流(Ims)を調整して目標電流(Imt)を演算し、前記目標電流(Imt)に基づいて、前記電気モータ(MTR)を制御する。例えば、前記コンローラ(ECU)は、前記押圧力(Fpa)が大きいほど、前記指示電流(Ims)のd軸成分(Ids)を減少して前記目標電流(Imt)を演算する。また、前記コンローラ(ECU)は、前記押圧力(Fpa)が大きいほど、前記指示電流(Ims)のq軸成分(Iqs、Iqr)を増加して前記目標電流(Imt)を演算する。
本発明に係る車両の制動制御装置は、車両の車輪(WH)に対する要求制動力に応じた目標押圧力(Fpt)に基づいて電気モータ(MTR)を駆動し、前記車輪(WH)に固定される回転部材(KT)に摩擦部材(MS)を押圧して前記車輪(WH)に制動力を発生する。車両の制動制御装置は、前記電気モータ(MTR)を制御するコントローラ(ECU)と、前記電気モータ(MTR)の回転角(Mka)を検出する回転角センサ(MKA)と、を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コンローラ(ECU)は、前記目標押圧力(Fpt)に基づいて前記電気モータ(MTR)の指示電流(Ims)を演算し、前記回転角(Mka)に基づいて前記指示電流(Ims)を調整して目標電流(Imt)を演算し、前記目標電流(Imt)に基づいて、前記電気モータ(MTR)を制御する。例えば、前記コンローラ(ECU)は、前記回転角(Mka)が大きいほど、前記指示電流(Ims)のd軸成分(Ids)を減少して前記目標電流(Imt)を演算する。また、前記コンローラ(ECU)は、前記回転角(Mka)が大きいほど、前記指示電流(Ims)のq軸成分(Iqs、Iqr)を増加して前記目標電流(Imt)を演算する。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コンローラ(ECU)は、前記目標押圧力(Fpt)に基づいて「前記目標押圧力(Fpt)が増加するか、否か」を判定し、「前記目標押圧力(Fpt)が増加すること」が否定される場合には、前記指示電流(Ims)のd軸成分(Ids)を減少して前記目標電流(Imt)を演算する。
電気モータMTRに通電可能な、d軸電流とq軸電流との間にはトレードオフ関係が存在する。キャリパCP等の剛性特性において、押圧力Fpa(回転角Mka)が相対的に小さい領域では、押圧力Fpaが増加されるためには、電気モータMTRが相当量だけ回転する必要がある。一方、押圧力Fpa(回転角Mka)が相対的に大きい領域では、僅かに回転角Mkaが増加されるだけで、押圧力Fpaが大きく増加される。
上記構成によれば、押圧力Fpa(回転角Mka)が小の場合には、q軸電流よりもd軸電流が優先されるよう、d軸指示電流Idsの増加調整、及び、q軸指示電流Iqsの減少調整のうちの少なくとも1つが適用されて、目標電流Imtが決定される。一方、押圧力Fpa(回転角Mka)が大の場合には、d軸電流よりもq軸電流が優先される。従って、d軸指示電流Idsの減少調整、及び、q軸指示電流Iqsの増加調整のうちの少なくとも1つが適用されて、目標電流Imtが決定される。このため、キャリパCP等の特性に即した、高応答、且つ、省電力な電気モータMTRの制御が達成され得る。
加えて、上記構成において、押圧力Fpaが制御変数として採用される場合には、摩擦部材MSの摩耗の影響を受け難い。結果、ロバスト性の高い、電気モータMTRのベクトル制御が達成され得る。
本発明に係る車両の制動制御装置BCSを搭載した車両の全体構成図である。 コントローラECUでの処理を説明するための機能ブロック図である。 スイッチング制御ブロックSWTでの処理を説明するための機能ブロック図である。 3相ブラシレスモータMTR、及び、その駆動回路DRVを説明するための電気回路図である。 目標電流演算ブロックIMTでの処理を説明するための機能ブロック図である。 ブレーキキャリパCP、及び、摩擦部材MSの剛性特性(即ち、回転角Mkaに対する押圧力Fpaの関係)を説明するための特性図である。
<本発明に係る車両の制動制御装置の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置BCSについて説明する。以下の説明で、同一の記号が付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一の機能を発揮するものである。従って、重複説明は、省略されることがある。
制動制御装置BCSを備える車両には、制動操作部材BP、制動操作量センサBPA、コントローラECU、マスタシリンダMC、ストロークシミュレータSSM、シミュレータ遮断弁VSM、加圧ユニットKAU、切替弁VKR、マスタシリンダ配管HMC、ホイールシリンダ配管HWC、及び、加圧シリンダ配管HKCが備えられる。さらに、車両の各々の車輪WHには、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダWC、回転部材KT、及び、摩擦部材MSが備えられている。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHの制動トルクが調整され、車輪WHに制動力が発生される。具体的には、車両の車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定される。回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパCPが配置される。そして、ブレーキキャリパ(単に、キャリパともいう)CPには、ホイールシリンダWCが設けられている。キャリパCPのホイールシリンダWC内の液圧が調整(増加、又は、減少)されることによって、ホイールシリンダWC内のピストンが回転部材KTに対して移動(前進、又は、後退)される。このピストンの移動によって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられ、押圧力が発生する。回転部材KTと車輪WHとは、固定シャフトDSを介して固定されている。このため、上記押圧力にて生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(制動力)が発生される。従って、車輪WHに要求される制動力(要求制動力)は、上記押圧力の目標値に応じて達成される。
制動操作部材BPが操作されていない場合には、ホイールシリンダWC内のカップシールの弾性、回転部材KTの回転振れ等によって、摩擦部材MSと回転部材KTとは、僅かな隙間(「ブレーキ隙間」という)を持った状態で維持されている。このため、制動操作部材BPが操作された初期段階では、先ず、ブレーキ隙間を詰める分だけ、制動液の流量が必要となる。ブレーキ隙間は、カップシール弾性等によって生じているため、該隙間を充填するために必要な制動液の液圧は、極めて低い。さらに、摩擦部材MSが回転部材KTと接触した後に、摩擦部材MSの表面凹凸を均一化するため(即ち、僅かに圧縮変形するため)にも、制動液の流量が必要となる。同様に、圧縮変形に必要とされる液圧も低い。
制動操作量センサ(単に、操作量センサともいう)BPAは、制動操作部材BPに設けられる。操作量センサBPAによって、運転者による制動操作部材BPの操作量Bpaが検出される。具体的には、操作量センサBPAとして、マスタシリンダMCの圧力を検出する液圧センサ、制動操作部材BPの操作変位を検出する操作変位センサ、及び、制動操作部材BPの操作力を検出する操作力センサのうちの少なくとも1つが採用される。即ち、操作量センサBPAは、マスタシリンダ液圧センサ、操作変位センサ、及び、操作力センサについての総称である。従って、制動操作量Bpaは、マスタシリンダMCの液圧、制動操作部材BPの操作変位、及び、制動操作部材BPの操作力のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。操作量Bpaは、コントローラECUに入力される。
コントローラ(電子制御ユニット)ECUは、マイクロプロセッサ等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサにプログラムされた制御アルゴリズムにて構成されている。コントローラECUは、制動操作量Bpaに基づいて、加圧ユニットKAU、遮断弁VSM、及び、切替弁VKRを制御する。具体的には、プログラムされた制御アルゴリズムに基づいて、電気モータMTR、遮断弁VSM、切替弁VKRを制御するための信号(Sux等)が演算され、コントローラECUから出力される。
コントローラECUは、操作量Bpaが所定値bp0以上になった場合に、遮断弁VSMを開位置にする駆動信号Vsmを出力するとともに、切替弁VKRが加圧シリンダ配管HKCとホイールシリンダ配管HWCとを連通状態にする駆動信号Vkrを、各電磁弁VSM、VKRに出力する。この場合、マスタシリンダMCはシミュレータSSMに連通状態にされ、加圧シリンダKCLはホイールシリンダWCと連通状態にされる。
コントローラECUは、操作量Bpa、回転角Mka、及び、押圧力Fpa(例えば、加圧シリンダKCLの液圧)に基づいて、電気モータMTRを駆動するための駆動信号(Sux等)を演算し、駆動回路DRVに出力する。ここで、制動操作量Bpaは制動操作量センサBPA、実回転角Mkaは回転角センサMKA、実押圧力Fpaは押圧力センサFPAによって検出される。電気モータMTRで駆動される加圧ユニットKAUによって、ホイールシリンダWC内の制動液の圧力が制御(維持、増加、又は、減少)される。
マスタシリンダMCは、制動操作部材BPと、ブレーキロッドBRDを介して、機械的に接続されている。マスタシリンダMCによって、制動操作部材BPの操作力(ブレーキペダル踏力)が、制動液の圧力に変換される。マスタシリンダMCには、マスタシリンダ配管HMCが接続され、制動操作部材BPが操作されると、制動液は、マスタシリンダMCからマスタシリンダ配管HMCに排出(圧送)される。マスタシリンダ配管HMCは、マスタシリンダMCと切替弁VKRとを接続する流体路である。
ストロークシミュレータ(単に、シミュレータともいう)SSMが、制動操作部材BPに操作力を発生させるために設けられる。マスタシリンダMC内の液圧室とシミュレータSSMとの間には、シミュレータ遮断弁(単に、遮断弁ともいう)VSMが設けられる。遮断弁VSMは、開位置と閉位置とを有する2位置の電磁弁である。遮断弁VSMが開位置にある場合には、マスタシリンダMCとシミュレータSSMとは連通状態となり、遮断弁VSMが閉位置にある場合には、マスタシリンダMCとシミュレータSSMとは遮断状態(非連通状態)となる。遮断弁VSMは、コントローラECUからの駆動信号Vsmによって制御される。遮断弁VSMとして、常閉型電磁弁(NC弁)が採用され得る。
シミュレータSSMの内部には、ピストン、及び、弾性体(例えば、圧縮ばね)が備えられる。マスタシリンダMCから制動液がシミュレータSSMに移動され、流入する制動液によりピストンが押される。ピストンには、弾性体によって制動液の流入を阻止する方向に力が加えられる。弾性体によって、制動操作部材BPが操作される場合の操作力(例えば、ブレーキペダル踏力)が形成される。
≪加圧ユニットKAU≫
加圧ユニットKAUは、電気モータMTRを動力源として、加圧シリンダ配管HKCに制動液を排出(圧送)する。そして、この圧力によって、加圧ユニットKAUは、摩擦部材MSを回転部材KTに押し付け(押圧)して、車輪WHに制動トルク(制動力)を付与する。換言すれば、加圧ユニットKAUは、回転部材KTに摩擦部材MSを押し付ける力(押圧力)を電気モータMTRによって発生する。
加圧ユニットKAUは、電気モータMTR、駆動回路DRV、動力伝達機構DDK、加圧シャフトKSF、加圧シリンダKCL、加圧ピストンPKC、及び、押圧力センサFPAにて構成される。
電気モータMTRは、加圧シリンダKCLがホイールシリンダWC内の制動液の圧力を調整(加圧、減圧等)するための動力源である。電気モータMTRとして、3相ブラシレスモータが採用される。電気モータMTRは、U相、V相、W相に夫々対応した、3つのコイルCLU、CLV、CLWを有し、駆動回路DRVによって駆動される。電気モータMTRには、電気モータMTRのロータ位置(回転角)Mkaを検出する回転角センサMKAが設けられる。回転角Mkaは、コントローラECUに入力される。
駆動回路DRVは、電気モータMTRを駆動するためのスイッチング素子(パワー半導体デバイス)等が実装された電気回路基板である。具体的には、駆動回路DRVには3相ブリッジ回路が形成され、駆動信号(Sux等)に基づいて、電気モータMTRへの通電状態が制御される。駆動回路DRVには、電気モータMTRへの実際の電流Ima(各相の総称)を検出する電流センサ(例えば、電流センサ)IMAが設けられる。各相の電流(検出値)Imaは、コントローラECUに入力される。
動力伝達機構DDKは、電気モータMTRの回転動力を減速し、且つ、直線動力に変換して加圧シャフトKSFに出力する。具体的には、動力伝達機構DDKには、減速機(図示せず)が設けられ、電気モータMTRからの回転動力が減速されてねじ部材(図示せず)に出力される。そして、ねじ部材によって、回転動力が加圧シャフトKSFの直線動力に変換される。即ち、動力伝達機構DDKは、回転・直動変換機構である。
加圧シャフトKSFには加圧ピストンPKCが固定される。加圧ピストンPKCは、加圧シリンダKCLの内孔に挿入され、ピストンとシリンダとの組み合わせが形成されている。具体的には、加圧ピストンPKCの外周には、シール部材(図示せず)が設けられ、加圧シリンダKCLの内孔(内壁)との間で液密性が確保される。即ち、加圧シリンダKCLと加圧ピストンPKCとによって区画され、制動液が充填された加圧室Rkcが形成される。
加圧シリンダKCL内にて、加圧ピストンPKCが中心軸方向に移動されることによって、加圧室Rkcの体積が変化される。この体積変化によって、制動液は、制動配管(流体路)HKC、HWCを介して、加圧シリンダKCLとホイールシリンダWCとの間で移動される。加圧シリンダKCLからの制動液の出し入れによって、ホイールシリンダWC内の液圧が調整され、その結果、摩擦部材MSが回転部材KTを押圧する力(押圧力)が調整される。
例えば、押圧力センサFPAとして、加圧室Rkcの液圧Fpaを検出する液圧センサが、加圧ユニットKAU(特に、加圧シリンダKCL)に内蔵される。液圧センサ(押圧力センサに相当)FPAは、加圧シリンダKCLに固定され、加圧ユニットKAUとして一体となって構成される。押圧力の検出値Fpa(即ち、加圧室Rkcの液圧)は、コントローラECUに入力される。以上、加圧ユニットKAUについて説明した。
切替弁VKRによって、「ホイールシリンダWCがマスタシリンダMCと接続される状態」と、「ホイールシリンダWCが加圧シリンダKCLと接続される状態」とが、切り替えられる。切替弁VKRは、コントローラECUからの駆動信号Vkrに基づいて制御される。具体的には、制動操作が行われていない場合(「Bpa<bp0」の場合)には、ホイールシリンダ配管HWCは、切替弁VKRを介して、マスタシリンダ配管HMCと連通状態にされ、加圧シリンダ配管HKCとは非連通(遮断)状態にされる。ここで、ホイールシリンダ配管HWCは、ホイールシリンダWCに接続される流体路である。制動操作が行われると(即ち、「Bpa≧bp0」の状態になると)、切替弁VKRが駆動信号Vkrに基づいて励磁され、ホイールシリンダ配管HWCとマスタシリンダ配管HMCとの連通は遮断され、ホイールシリンダ配管HWCと加圧シリンダ配管HKCとが連通状態にされる。
<コントローラECUにおける処理>
図2の機能ブロック図を参照して、コントローラ(電子制御ユニット)ECUでの処理について説明する。なお、上記の如く、同一記号の構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一の機能を発揮する。
コントローラECUでは、制動操作部材BPの操作量Bpaに基づいて、電気モータMTRの駆動、及び、電磁弁VSM、VKRの励磁が行われる。スイッチング素子SUX、SUZ、SVX、SVZ、SWX、SWZ(単に、「SUX〜SWZ」とも表記)によって、駆動回路DRV(3相ブリッジ回路)が形成される。電気モータMTRの駆動は、駆動回路DRVによって実行される。具体的には、コントローラECUによって、スイッチング素子SUX〜SWZを駆動するための信号Sux、Suz、Svx、Svz、Swx、Swz(単に、「Sux〜Swz」とも表記)が演算される。また、コントローラECUによって、電磁弁VSM、VKRを駆動するための信号Vsm、Vkrが決定される。
コントローラECUは、指示押圧力演算ブロックFPS、車輪スリップ制御ブロックFSC、押圧速度演算ブロックDFP、指示電流演算ブロックIMS、押圧力フィードバック制御ブロックFFB、目標電流演算ブロックIMT、スイッチング制御ブロックSWT、及び、電磁弁制御ブロックSLCにて構成される。
指示押圧力演算ブロックFPSでは、制動操作量Bpa、及び、演算特性(演算マップ)CFpsに基づいて、指示押圧力Fpsが演算される。ここで、指示押圧力Fpsは、加圧ユニットKAUによって発生される液圧(押圧力に相当)の目標値である。具体的には、演算特性CFpsにおいて、制動操作量Bpaがゼロ(制動操作が行われていない場合に対応)以上から所定値bp0未満の範囲では指示押圧力Fpsが「0(ゼロ)」に演算され、操作量Bpaが所定値bp0以上では指示押圧力Fpsが操作量Bpaの増加にしたがって「0」から単調増加するように演算される。ここで、所定値bp0は、制動操作部材BPの「遊び」に相当する値である。
車輪スリップ制御ブロックFSCでは、車輪スリップ制御用の目標値である、調整押圧力Fscが演算される。ここで、「車輪スリップ制御」は、車両の4つの車輪WHのスリップ状態を独立、且つ、別個に制御して、車両の安定性を向上するものである。即ち、車輪スリップ制御は、アンチスキッド制御(Antilock Brake Control)、トラクション制御(Traction Control)、及び、車両安定化制御(Electronic Stability Control)のうちの少なくとも1つである。従って、車輪スリップ制御ブロックFSCでは、アンチスキッド制御、トラクション制御、及び、車両安定化制御のうちの少なくとも1つを実行するための調整押圧力Fscが演算される。
車輪スリップ制御ブロックFSCでは、アンチスキッド制御用の調整押圧力Fscが演算される。具体的には、各車輪WHに設けられる車輪速度センサVWAの取得結果(車輪速度Vwa)に基づいて、車輪ロックを防止するようアンチスキッド制御を実行するための調整押圧力Fscが演算される。例えば、車輪速度Vwaに基づいて、車輪スリップ状態量Slp(車輪の減速スリップの状態を表す制御変数)が演算される。そして、車輪スリップ状態量Slpに基づいて、調整押圧力Fscが決定される。
同様に、車輪スリップ制御ブロックFSCでは、車輪速度センサVWAの取得結果(車輪速度Vwa)に基づいて、車輪スピン(過回転)を抑制するようトラクション制御を実行するために調整押圧力Fscが演算される。具体的には、車輪スリップ状態量Slp(車輪の加速スリップの状態を表す制御変数)に基づいて、調整押圧力Fscが決定される。
さらに、車輪スリップ制御ブロックFSCでは、操舵角センサSAA、及び、車両挙動センサ(ヨーレイトセンサYRA、横加速センサGYA)の取得結果(操舵角Saa、ヨーレイトYra、横加速度Gya)に基づいて、車両の安定性を維持するよう車両安定化制御の実行するための調整押圧力Fscが演算される。具体的には、操舵角Saa、ヨーレイトYra、横加速度Gya、及び、車両速度Vxaに基づいて、車両の過度なアンダステア、及び、オーバステアのうちの少なくとも一方を抑制するよう、調整押圧力Fscが決定される。
指示押圧力演算ブロックFPSからの指示押圧力Fpsと、車輪スリップ制御ブロックFSCからの調整押圧力Fscが、調整演算(加算演算)によって調整され、目標押圧力Fptが演算される。ここで、目標押圧力Fptは、押圧力の最終的な目標値であり、車輪WHに対する要求制動力に対応している。具体的には、指示押圧力Fpsから調整押圧力Fscが加算されて、目標押圧力Fptが決定される。例えば、車輪スリップ制御ブロックFSCにて、アンチスキッド制御が実行される場合には、車輪ロックを回避するよう、指示押圧力Fpsを減少して調整する調整押圧力Fsc(負の値)が演算される。また、車輪スリップ制御ブロックFSCにて、オーバステアを抑制する車両安定化制御が実行される場合には、車両の旋回外側前輪に対応した押圧力が増加するよう、指示押圧力Fpsを増加して調整する調整押圧力Fsc(正の値)が決定される。
押圧速度演算ブロックDFPにて、車輪WHに対する要求制動力に応じた目標押圧力Fptに基づいて、押圧速度dFpが演算される。具体的には、目標押圧力Fptが、時間微分されて、押圧速度dFpが決定される。従って、押圧速度dFpは、押圧力目標値Fptの時間に対する変化量である。
指示電流演算ブロックIMSでは、目標押圧力Fpt、押圧速度(目標値の時間変化量)dFp、及び、予め設定された演算特性(演算マップ)CIqs、CIdsに基づいて、電気モータMTRの指示電流Imsが演算される。ここで、指示電流Imsは、電気モータMTRを制御するための電流の目標値(dq軸上のベクトル)である。指示電流Imsは、d軸成分(「d軸指示電流」ともいう)Idsと、q軸成分(「q軸指示電流」ともいう)Iqsとで形成される。即ち、指示電流Ims、電気モータMTRのロータ固定座標系である、dq軸において、ベクトルとして演算される。指示電流Imsは、指示電流ベクトル(Ids、Iqs)とも表記される。なお、「d軸」は、磁石の磁極がつくる磁束の方向(即ち、磁界方向)であり、「q軸」は、上記d軸と磁気的に直交する軸(即ち、トルク発生方向)である。
モータ誘導電圧は回転速度dMkの上昇に伴って増加される。このため、電圧飽和後は負のd軸電流を流すことによって、電機子反作用による減磁効果が利用され、d軸方向の磁束が減少される。等価的な弱め界磁制御(即ち、弱め磁束制御)が実現される。
演算特性CIqsは、指示電流Imsのq軸成分(q軸指示電流)Iqsを演算するための特性であり、特に、目標押圧力Fptが増加する場合に対応している。具体的には、演算特性CIqsでは、目標押圧力Fptが「0」から増加するに従って、q軸指示電流Iqsが「0」から単調増加するように、q軸指示電流Iqsが決定される。
演算特性CIdsは、指示電流Imsのd軸成分(d軸指示電流)Idsを演算するための特性である。演算特性CIdsは、特に、目標押圧速度dFpが増加する場合に対応している。具体的には、演算特性CIdsでは、押圧速度dFpが「0」から所定値dfoまでは、d軸指示電流Idsが「0」に決定される。そして、押圧速度dFpが所定値dfoから増加するのに従って、d軸指示電流Idsが「0」から単調減少するように、d軸指示電流Idsが決定される。即ち、d軸指示電流Idsは、磁束を弱めるように、負の値として決定される。なお、弱め磁束制御は、回転速度dMkが大である場合に必要とされる。このため、「dFp≦dfo」の場合には、「Ids=0(即ち、弱め磁束制御の非実行)」にされる。
押圧力フィードバック制御ブロックFFBでは、押圧力の目標値(例えば、目標液圧)Fpt、及び、押圧力の実際値(液圧検出値)Fpaを制御の状態変数として、これらに基づいて、電気モータMTRの補償電流Ifpが演算される。指示電流Imsに基づく制御だけでは、押圧力に誤差が発生するため、押圧力フィードバック制御ブロックFFBでは、この誤差を補償することが行われる。押圧力フィードバック制御ブロックFFBは、比較演算、及び、補償電流演算ブロックIFPにて構成される。
比較演算によって、押圧力の目標値Fpt(車輪WHの要求制動力に対応)と、実際値Fpa(実際に発生されている制動力に対応)とが比較される。ここで、押圧力の実際値Fpaは、押圧力センサFPA(例えば、加圧シリンダKCLの液圧を検出する液圧センサ)によって検出される検出値である。比較演算では、目標押圧力(目標値)Fptと、実押圧力(検出値)Fpaとの偏差(押圧力偏差)eFpが演算される。押圧力偏差eFpは、制御変数として、補償電流演算ブロックIFPに入力される。
補償電流演算ブロックIFPには、比例要素ブロック、微分要素ブロック、及び、積分要素ブロックが含まれる。比例要素ブロックでは、押圧力偏差eFpに比例ゲインKpが乗算されて、押圧力偏差eFpの比例要素が演算される。微分要素ブロックでは、押圧力偏差eFpが微分されて、これに微分ゲインKdが乗算されて、押圧力偏差eFpの微分要素が演算される。積分要素ブロックでは、押圧力偏差eFpが積分されて、これに積分ゲインKiが乗算されて、押圧力偏差eFpの積分要素が演算される。そして、比例要素、微分要素、及び、積分要素が、加算されることによって、補償電流Ifpが演算される。即ち、補償電流演算ブロックIFPでは、指示押圧力Fpsと実押圧力Fpaとの比較結果(押圧力偏差eFp)に基づいて、実押圧力(検出値)Fpaが目標押圧力(目標値)Fptに一致するよう(即ち、偏差eFpが「0(ゼロ)」に近づくよう)、所謂、押圧力に基づくPID制御が実行される。
目標電流演算ブロックIMTでは、指示電流(指示電流ベクトル)Ims、及び、補償電流(押圧力フィードバック制御による補償値)Ifpに基づいて、電流の最終的な目標値である目標電流(目標電流ベクトル)Imtが演算される。目標電流Imtは、dq軸上のベクトルであり、d軸成分(「d軸目標電流」ともいう)Idtと、q軸成分(「q軸目標電流」ともいう)Iqtとで形成される。具体的には、指示電流ベクトルImsが、後述する処理にて調整されて目標電流Imtが決定される。また、指示電流Imsには、q軸成分として補償電流Ifpが加えられ、それらの和が目標電流Imtとして演算される。目標電流Imtは、目標電流ベクトル(Idt、Iqt)とも表記される。
目標電流演算ブロックIMTでは、電気モータMTRの回転すべき方向(即ち、押圧力の増減方向)に基づいて、目標電流Imtの符号(値の正負)が決定される。また、電気モータMTRの出力すべき回転動力(即ち、押圧力の増減量)に基づいて、目標電流Imtの大きさが演算される。具体的には、制動圧力を増加する場合には、目標電流Imtの符号が正符号(Imt>0)に演算され、電気モータMTRが正転方向に駆動される。一方、制動圧力を減少させる場合には、目標電流Imtの符号が負符号(Imt<0)に決定され、電気モータMTRが逆転方向に駆動される。さらに、目標電流Imtの絶対値が大きいほど電気モータMTRの出力トルク(回転動力)が大きくなるように制御され、目標電流Imtの絶対値が小さいほど出力トルクが小さくなるように制御される。
スイッチング制御ブロックSWTでは、目標電流Imt(Idt、Iqt)に基づいて、各スイッチング素子SUX〜SWZについてパルス幅変調を行うための駆動信号Sux〜Swzが演算される。目標電流Imt、及び、回転角Mkaに基づいて、U相、V相、W相の夫々の電圧の目標値Emt(各相の目標電圧Eut、Evt、Ewtの総称)が演算される。各相の目標電圧Emtに基づいて、各相のパルス幅のデューティ比Dtt(各相のデューティ比Dut、Dvt、Dwtの総称)が決定される。ここで、「デューティ比」は、一周期に対するオン時間の割合であり、「100%」がフル通電に相当する。そして、デューティ比(目標値)Dttに基づいて、3相ブリッジ回路を構成する各スイッチング素子SUX〜SWZをオン状態(通電状態)にするか、或いは、オフ状態(非通電状態)にするかの駆動信号Sux〜Swzが演算される。駆動信号Sux〜Swzは、駆動回路DRVに出力される。
6つの駆動信号Sux〜Swzによって、6つのスイッチング素子SUX〜SWZの通電、又は、非通電の状態が、個別に制御される。ここで、デューティ比Dtt(各相の総称)が大きいほど、各スイッチング素子において、単位時間当りの通電時間が長くされ、より大きな電流がコイルに流される。したがって、電気モータMTRの回転動力が大とされる。
駆動回路DRVでは、各相に電流センサIMA(各相の電流センサIUA、IVA、IWAの総称)が備えられ、実際の電流Ima(各相の実電流Iua、Iva、Iwaの総称)が検出される。各相の検出値Ima(総称)は、スイッチング制御ブロックSWTに入力される。そして、各相の検出値Imaが、目標値Imtと一致するよう、所謂、電流フィードバック制御が実行される。具体的には、各相において、実電流Imaと目標電流Imtとの偏差に基づいて、デューティ比Dtt(各相のデューティ比Dut、Dvt、Dwtの総称)が、個別に修正(微調整)される。この電流フィードバック制御によって、高精度なモータ制御が達成され得る。
電磁弁制御ブロックSLCにて、操作量Bpaに基づいて、電磁弁VSM、VKRを制御するための駆動信号Vsm、Vkrが演算される。操作量Bpaが所定量bp0未満の場合(特に、「Bpa=0」の場合)が、非制動操作時に対応し、シミュレータ遮断弁VSMが開位置にされるよう、駆動信号Vsmが決定される(例えば、遮断弁VSMがNC弁である場合には、駆動信号Vsmは非励磁を指示)。同時に、「Bpa<bp0」の場合には、「マスタシリンダMCとホイールシリンダWCとが連通され、加圧シリンダKCLとホイールシリンダWCとが遮断される状態(非励磁状態という)」になるよう、駆動信号Vkrが演算される。
操作量Bpaが増加され、操作量Bpaが所定量bp0以上となった時点以降が、制動操作時に対応し、該時点(制動操作開始時点)で、遮断弁VSMが閉位置から開位置へと変更されるよう、駆動信号Vsmが決定される。遮断弁VSMがNC弁である場合には、制動操作開始時点で、駆動信号Vsmとして、励磁指示が開始される。また、制動操作開始時点にて、「マスタシリンダMCとホイールシリンダWCとが遮断され、加圧シリンダKCLとホイールシリンダWCとが連通される状態(励磁状態という)」になるよう、駆動信号Vkrが決定される。
<スイッチング制御ブロックSWTでの処理>
図3の機能ブロック図を参照して、スイッチング制御ブロックSWTでの処理について説明する。スイッチング制御ブロックSWTでは、目標電流Imt、実電流Ima、及び、回転角Mkaに基づいて、3相ブリッジ回路BRGを構成する、6つのスイッチング素子SUX〜SWZの駆動信号Sux〜Swzが決定される。スイッチング制御ブロックSWTは、第1変換演算ブロックIHA、目標電圧演算ブロックEDQ、第2変換演算ブロックEMT、目標デューティ演算ブロックDTT、及び、駆動信号演算ブロックSDRにて構成される。電気モータMTRは、所謂、ベクトル制御で駆動される。
第1変換演算ブロックIHAにて、実電流Ima、及び、回転角Mkaに基づいて、変換実電流Ihaが演算される。変換実電流Ihaは、実電流Imaが3相−2相変換され、さらに、固定座標から回転座標へ変換されたものである。変換実電流Ihaは、dq軸(ロータ固定座標)におけるベクトルであり、d軸成分(「d軸実電流」ともいう)Ida、及び、q軸成分(「q軸実電流」ともいう)Iqaにて形成される。
先ず、第1変換演算ブロックIHAでは、実電流Imaが、3相−2相変換される。実電流Imaは、ブリッジ回路BRGの各相(U相、V相、W相)の総称であり、具体的には、U相実電流Iua、V相実電流Iva、及び、W相実電流Iwaにて構成される。3つの信号を同時に扱うためには、3次元の空間での計算が必要となる。計算を容易化するため、理想的な3相交流では「Iua+Iva+Iwa=0」が成立することを利用し、3相の実電流Ima(Iua、Iva、Iwa)が、2相の実電流Ina(Iα、Iβ)に変換される。3相から2相への変換は、「クラーク(Clarke)変換、又は、αβ変換」と称呼される。
3相の実電流(検出値)Iua、Iva、Iwaは、クラーク変換によって、2相の実電流Iα、Iβに変換される。即ち、対称3相交流(120度ずつ位相をずらした3相交流)の実電流Iua、Iva、Iwaが、それと等価な2相交流の実電流Iα、Iβに変換される。
さらに、第1変換演算ブロックIHAでは、回転角Mkaに基づいて、固定座標(静止座標)から回転座標への座標変換が行われ、変換実電流Ihaが演算される。変換後の実電流Ihaは、d軸成分(d軸実電流)Ida、及び、q軸成分(q軸実電流)Iqaにて形成される。即ち、クラーク変換された電流値Inaはロータを流れる電流であるため、ロータ固定座標(回転座標であり、dq軸座標)に座標変換される。ここで、固定座標から回転座標への変換が、「パーク(Park)変換」と称呼される。回転角センサMKAからのロータ回転角Mkaに基づいて、固定座標から回転座標(dq軸座標)への変換が実行され、座標変換後の実電流Iha(Ida、Iqa)が決定される。
目標電圧演算ブロックEDQにて、目標電流ベクトルImt(Idt、Iqt)、及び、パーク変換後の実電流Iha(Ida、Iqa)に基づいて、目標電圧ベクトルEdqが演算される。ベクトル制御では、「目標電流のd軸、q軸成分Idt、Iqt」が、「実電流のd軸、q軸成分Ida、Iqa」に一致するように、所謂、電流フィードバック制御が実行される。従って、目標電圧演算ブロックEDQでは、「d軸、q軸目標電流Idt、Iqt」、及び、「d軸、q軸実電流Ida、Iqa」の偏差(電流偏差)に基づいて、PI制御が行われる。PI制御では、P制御(比例制御であり、目標値と実施値との偏差に応じて、該偏差に応じて制御)と、I制御(積分制御であり、該偏差の積分値に応じて制御)とが並列に行われる。
具体的には、目標電圧演算ブロックEDQでは、目標電流Imtと変換実電流Ihaとの偏差に基づいて、該電流偏差が減少するよう(即ち、偏差が「0」に近づくよう)、目標電圧Edqが決定される。目標電圧Edqは、dq軸におけるベクトルであり、d軸成分(「d軸目標電圧」ともいう)Edt、及び、q軸成分(「q軸目標電圧」ともいう)Eqtにて構成されている。
第2変換演算ブロックEMTにて、目標電圧ベクトルEdq、及び、回転角Mkaに基づいて、最終的な目標電圧Emtが演算される。目標電圧Emtは、ブリッジ回路BRGの各相の総称であり、U相目標電圧Eut、V相目標電圧Evt、及び、W相目標電圧Ewtにて構成される。
先ず、第2変換演算ブロックEMTでは、回転角Mkaに基づいて、目標電圧ベクトルEdqが、回転座標から固定座標に逆座標変換されて、2相の目標電圧Eα、Eβが演算される。該変換が、「逆Park(パーク)変換」と称呼される。そして、空間ベクトル変換によって、2相の目標電圧Eα、Eβが、3相の目標電圧Emt(各相の電圧目標値Eut、Evt、Ewt)に逆変換される。
目標デューティ演算ブロックDTTにて、各相の目標電圧Emtに基づいて、各相のデューティ比(目標値)Dttが演算される。デューティ比Dttは、各相の総称であり、U相デューティ比Dut、V相デューティ比Dvt、及び、W相デューティ比Dwtにて構成される。具体的には、演算特性CDttに従って、各相の電圧目標値Emtが「0」から増加するに伴って、デューティ比Dttが「0」から単調増加するように演算される。
駆動信号演算ブロックSDRにて、デューティ比Dttに基づいて、ブリッジ回路BRGの各相を構成する、スイッチング素子SUX〜SWZを駆動するための信号Sux〜Swzが決定される。各駆動信号Sux〜Swzに基づいて、各スイッチング素子SUX〜SWZのオン/オフが切り替えられ、電気モータMTRが駆動される。
<3相ブラシレスモータMTR、及び、その駆動回路DRV>
図4の電気回路図を参照して、3相ブラシレスモータMTR、及び、その駆動回路DRVについて説明する。3相ブラシレスモータMTRは、U相コイルCLU、V相コイルCLV、及び、W相コイルCLWの3つのコイル(巻線)を有する。ブラシレスモータMTRでは、回転子(ロータ)側に磁石が、固定子(ステータ)側に巻線回路(コイル)が配置され、回転子の磁極に合わせたタイミングで、駆動回路によって転流が行われ、回転駆動される。
電気モータMTRには、電気モータMTRの回転角(ロータ位置)Mkaを検出する回転角センサMKAが設けられる。回転角センサMKAとして、ホール素子型のものが採用される。また、回転角センサMKAとして、可変リラクタンス型レゾルバが採用され得る。回転角Mkaは、コントローラECUのスイッチング制御ブロックSWTに入力される。
駆動回路DRVは、3相ブリッジ回路(単に、ブリッジ回路ともいう)BRG、及び、安定化回路LPFにて構成される。駆動回路DRVは、電気モータMTRを駆動する電気回路であり、スイッチング制御ブロックSWTによって制御される。
ブリッジ回路BRGは、6つのスイッチング素子(パワートランジスタ)SUX、SUZ、SVX、SVZ、SWX、SWZ(「SUX〜SWZ」とも表記)にて形成される。駆動回路DRV内のスイッチング制御ブロックSWTからの各相の駆動信号Sux、Suz、Svx、Svz、Swx、Swz(「Sux〜Swz」とも表記)に基づいて、ブリッジ回路BRGが駆動され、電気モータMTRの出力が調整される。
スイッチング制御ブロックSWTでは、目標電流Imtに基づいて、各スイッチング素子についてパルス幅変調を行うための指示値(目標値)が演算される。目標電流Imtの大きさ、及び、予め設定される特性(演算マップ)に基づいて、パルス幅のデューティ比(一周期に対するオン時間の割合)が決定される。併せて、目標電流Imtの符号(正、又は、負)に基づいて、電気モータMTRの回転方向が決定される。例えば、電気モータMTRの回転方向は、正転方向が正(プラス)の値、逆転方向が負(マイナス)の値として設定される。入力電圧(蓄電池BATの電圧)、及び、デューティ比Dttによって最終的な出力電圧が決まるため、電気モータMTRの回転方向と出力トルクが決定される。
さらに、スイッチング制御ブロックSWTでは、デューティ比(目標値)Dttに基づいて、ブリッジ回路BRGを構成する各スイッチング素子をオン状態(通電状態)にするか、或いは、オフ状態(非通電状態)にするかの駆動信号Sux〜Swzが演算される。これらの駆動信号Sux〜Swzによって、スイッチング素子SUX〜SWZの通電、又は、非通電の状態が制御される。具体的には、デューティ比Dttが大きいほど、スイッチング素子において、単位時間当りの通電時間が長くされ、より大きな電流が電気モータMTRに流され、その出力(回転動力)が大とされる。
3相ブリッジ回路(インバータ回路ともいう)BRGの入力側には、安定化回路LPFを介して、蓄電池BATが接続され、ブリッジ回路BRGの出力側には電気モータMTRが接続されている。ブリッジ回路BRGでは、スイッチング素子を直列接続した上下アーム構成の電圧型ブリッジ回路を1つの相として、3つの相(U相、V相、W相)が形成されている。3つの相の上アームは、蓄電池BATの陽極側に接続された電力線PWLと接続される。また、3つの相の下アームは、蓄電池BATの陰極側に接続された電力線PWLと接続される。ブリッジ回路BRGでは、各相の上下アームは、蓄電池BATと並列に電力線PWLに接続されている。
6つのスイッチング素子SUX〜SWZは、電気回路の一部をオン又はオフできる素子である。例えば、スイッチング素子SUX〜SWZとして、MOS−FET、IGBTが採用される。ブラシレスモータMTRでは、回転角(ロータ位置)の検出値Mkaに基づいて、ブリッジ回路BRGを構成するスイッチング素子SUX〜SWZが制御される。そして、3つの各相(U相、V相、W相)のコイルCLU、CLV、CLWの電流の方向(即ち、励磁方向)が、順次切り替えられ、電気モータMTRが回転駆動される。即ち、ブラシレスモータMTRの回転方向(正転方向、或いは、逆転方向)は、ロータと励磁する位置との関係によって決定される。ここで、電気モータMTRの正転方向は、加圧ユニットKAUによる液圧(結果として、押圧力)Fpaの増加に対応する回転方向であり、電気モータMTRの逆転方向は、液圧Fpaの減少に対応する回転方向である。
ブリッジ回路BRGと電気モータMTRとの間の実際の電流Ima(各相の総称)を検出する電流センサIMA(総称)が、3つの各相(U相、V相、W相)に設けられる。具体的には、U相実電流Iuaを検出するU相電流センサIUA、V相実電流Ivaを検出するV相電流センサIVA、及び、W相実電流Iwaを検出するW相電流センサIWAが、各相に設けられる。検出された各相の電流Iua、Iva、Iwaは、スイッチング制御ブロックSWTに、夫々、入力される。
そして、スイッチング制御ブロックSWTにおいて、上述した電流フィードバック制御が実行される。実際の電流Imaと目標電流Imtとの偏差に基づいて、デューティ比Dttが修正(微調整)される。この電流フィードバック制御によって、実際値Imaと目標値Imtとが一致するように(即ち、電流偏差が「0」に近づくように)制御される。結果、高精度なモータ制御が達成され得る。
駆動回路DRVは、電力源(蓄電池BAT、発電機ALT)から電力の供給を受ける。供給された電力(電圧)の変動を低減するために、駆動回路DRVには、安定化回路LPFが設けられる。安定化回路LPFは、少なくとも1つのコンデンサ(キャパシタ)、及び、少なくとも1つのインダクタ(コイル)の組み合わせにて構成され、所謂、LC回路である。
<目標電流演算ブロックIMTでの処理>
図5の機能ブロック図を参照して、目標電流演算ブロックIMTでの処理について説明する。目標電流演算ブロックIMTでは、キャリパCP等の剛性特性が考慮されて、最終的な電流目標である、目標電流Imtが決定される。即ち、目標電流演算ブロックIMTでは、押圧力検出値Fpa等に基づいて、指示電流Imsが調整されて、目標電流Imtが決定される。目標電流演算ブロックIMTは、q軸第1係数演算ブロックKFQ、戻し判定ブロックHNM、q軸第2係数KRQブロック、d軸第1係数演算ブロックKFD、及び、d軸第2係数ブロックKRDにて構成される。
先ず、目標電流Imtのq軸成分(q軸目標電流)Iqtについて説明する。q軸指示電流Iqsに、補償電流Ifpが加算されて、補償後の指示電流Iqrが演算される。補償電流Ifpは、押圧フィードバック制御における補償電流の目標値である。補償後のq軸指示電流Iqrは、押圧力Fpa、及び、押圧速度dFpのうちの少なくとも1つに基づいて調整され、q軸目標電流Iqtが演算される。
q軸第1係数演算ブロックKFQでは、実際の押圧力Fpaに基づいて、q軸第1係数Kfqが演算される。q軸第1係数Kfqは、補償後指示電流Iqrを調整するための係数であり、「0」以上の値である。q軸第1係数Kfqは、演算特性CKfqに基づいて、押圧力Fpaが増加するに従って、増加するように決定される。具体的には、演算特性CKfqでは、押圧力Fpaが、「0」以上、所定値fqa未満の場合には、q軸第1係数Kfqが、所定値kqa(「0」以上、「1」未満の値であり、下限値)に決定される。そして、押圧力Fpaが、所定値fqa以上、所定値fqb未満の場合には、q軸第1係数Kfqが、所定値kqaから単調増加するように決定される。さらに、押圧力Fpaが、所定値fqb以上の場合には、q軸第1係数Kfqが、所定値kqb(所定値kqaよりも大きい値であり、上限値)に制限される。ここで、演算特性CKfqは、キャリパCP・摩擦部材MSの剛性特性を参酌して予め設定されている。従って、各々の所定値fqa、fqb、kqa、kqbは、予め設定された定数である。
q軸第1係数Kfqが補償後指示電流Iqrに乗算され、q軸目標電流Iqtが演算される。即ち、実際の押圧力Fpaの増加に従って、q軸目標電流Iqtが増加するように決定される。
戻し判定ブロックHNMでは、「押圧力Fpaが減少しているか、否か(即ち、戻し状態か、否か)」が判定される。例えば、戻し判定は、「押圧速度dFpが「0」未満であるか、否か」に基づいて行われる。そして、戻し判定ブロックHNMの判定結果に基づいて、q軸第2係数KRQブロックから、q軸第2係数Krqが出力される。q軸第2係数Krqは、q軸第1係数Kfqと同様、補償後指示電流Iqrを調整するための係数であり、「0」以上の値である。q軸第2係数Krqが補償後指示電流Iqrに乗算され、q軸目標電流Iqtが演算される。
実際の押圧力Fpaが増加、又は、一定に維持されていて、戻し判定ブロックHNMにて、判定条件が否定される場合(「NO」の場合)には、q軸第2係数KRQブロックから、「1」が出力される。従って、実際の押圧力Fpaの増加、又は、保持の際には、q軸第2係数Krqによる調整は行われない。
実際の押圧力Fpaが減少されていて、戻し判定ブロックHNMにて、判定条件が肯定される場合(「YES」の場合)には、q軸第2係数KRQブロックから、q軸第2係数Krqとして、q軸補正値kqmが出力される。q軸用の補正値kqmは、予め設定された所定値であり、「1」よりも小さい値である。例えば、q軸補正値kdmとして、「0.7±30%」の値が採用され得る。従って、実際の押圧力Fpaが減少している場合には、押圧力Fpaが増加、又は、保持されている場合に比較して、q軸目標電流Iqtが小さくなるように調整される。
次に、目標電流Imtのd軸成分(d軸目標電流)Idtについて説明する。d軸指示電流Idsが、押圧力Fpa、及び、押圧速度dFpのうちの少なくとも1つに基づいて調整され、d軸目標電流Idtが演算される。
d軸第1係数演算ブロックKFDでは、実際の押圧力Fpaに基づいて、d軸第1係数Kfdが演算される。d軸第1係数Kfdは、d軸指示電流Idsを調整するための係数であり、「0」以上の値である。d軸第1係数Kfdは、演算特性CKfdに基づいて、押圧力Fpaが増加するに従って、減少するように決定される。具体的には、演算特性CKfdでは、押圧力Fpaが、「0」以上、所定値fda未満の場合には、d軸第1係数Kfdが、所定値kda(「1」以上の値であり、上限値)に決定される。そして、押圧力Fpaが、所定値fda以上、所定値fdb未満の場合には、d軸第1係数Kfdが、所定値kdaから単調減少するように決定される。さらに、押圧力Fpaが、所定値fdb以上の場合には、d軸第1係数Kfdが、所定値kdb(「0」以上であり、所定値kdaよりも小さい値であり、下限値)に制限される。ここで、演算特性CKfdは、キャリパCP・摩擦部材MSの剛性特性を参酌して予め設定されている。従って、各々の所定値fda、fdb、kda、kdbは、予め設定された定数である。
q軸指示電流Iqrの場合と同様に、d軸第1係数Kfdがd軸指示電流Idsに乗算され、d軸目標電流Idtが演算される。即ち、実際の押圧力Fpaの増加に従って、d軸目標電流Idtが減少するように決定される。
q軸第2係数ブロックKRQと同様に、戻し判定ブロックHNMの判定結果に基づいて、d軸第2係数ブロックKRDから、d軸第2係数Krdが出力される。d軸第2係数Krdは、d軸第1係数Kfdと同様、d軸指示電流Idsを調整するための係数であり、「0」以上の値である。d軸第2係数Krdがd軸指示電流Idsに乗算され、d軸目標電流Idtが演算される。
実際の押圧力Fpaが増加、又は、一定に維持されていて、戻し判定ブロックHNMにて、判定条件が否定される場合(「NO」の場合)には、d軸第2係数ブロックKRDから、「1」が出力される。従って、実際の押圧力Fpaの増加、又は、保持の際には、d軸第2係数Krdによる調整は行われない。
実際の押圧力Fpaが減少されていて(即ち、戻し状態であって)、戻し判定ブロックHNMにて、判定条件が肯定される場合(「YES」の場合)には、d軸第2係数ブロックKRDから、d軸第2係数Krdとして、d軸補正値kdmが出力される。d軸用の補正値kdmは、予め設定された所定値であり、「1」よりも小さい値である。例えば、d軸補正値kdmとして、「0.5±30%」の値が採用され得る。従って、実際の押圧力Fpaが減少されている場合(戻し状態時)には、押圧力Fpaが増加、又は、保持されている場合に比較して、d軸目標電流Idtが小さくなるように調整される。
目標電流演算ブロックIMTでは、図6を参照して説明した、キャリパCP・摩擦部材MSの剛性(ばね定数)の特性が考慮されて、目標電流Imt(Idt、Iqt)が決定される。即ち、d軸第1係数Kfd、及び、q軸第1係数Kfqのうちの少なくとも1つによって、指示電流Ims(Ids、Iqs)が調整されて、目標電流Imt(Idt、Iqt)が演算される。例えば、実際の押圧力Fpaが大きいほど、指示電流Imsのd軸成分(d軸指示電流)Idsが減少されて、目標電流Imt(特に、d軸目標電流Idt)が演算される。また、押圧力Fpaが大きいほど、指示電流Imsのq軸成分(q軸指示電流)Iqs、Iqrが増加されて、目標電流Imt(特に、q軸目標電流Iqt)が演算される。
実施の押圧力Fpaが相対的に小さい、領域Ra、Rbでは、押圧力Fpaが増加されるためには、電気モータMTRが相当量だけ回転する必要がある。一方、押圧力Fpaが相対的に大きい、領域Rcでは、僅かに回転角Mkaが増加されるだけで、押圧力Fpaが大きく増加される。電気モータMTRに通電可能な、d軸電流とq軸電流との間にはトレードオフの関係が存在する。このため、押圧力Fpaが小の場合には、q軸電流よりもd軸電流が優先されるよう、d軸指示電流Idsの増加調整、及び、q軸指示電流Iqsの減少調整のうちの少なくとも1つが適用されて、目標電流Imtが決定される。一方、押圧力Fpaが大の場合には、d軸電流よりもq軸電流が優先される。従って、d軸指示電流Idsの減少調整、及び、q軸指示電流Iqsの増加調整のうちの少なくとも1つが適用されて、目標電流Imtが決定される。該調整によって、キャリパCP等の特性に応じた、高応答、且つ、無駄のない省電力な電気モータMTRの制御が達成され得る。
加えて、上記領域Ra、Rb、Rcにおいて、実際の押圧力(検出値)Fpaは、摩擦部材MSの摩耗の影響を受け難い。即ち、摩擦部材MSの摩耗によって、回転角Mkaは大きく変化するが、押圧力Fpaは然程変化しない。このため、目標電流Imtの調整(即ち、第1係数Kfd、Kfqの演算)において、押圧力Fpaが採用されることによって、摩擦部材MSの摩耗に影響されない、ロバストな電気モータMTRのベクトル制御が達成され得る。
目標電流演算ブロックIMTでは、「実際の押圧力Fpaが減少中か、否か」の判定に基づいて、指示電流Ims(Ids、Iqs)が調整されて、目標電流Imt(Idt、Iqt)が決定される。具体的には、判定結果に基づいて、d軸第2係数Krd、及び、q軸第2係数Krqのうちの少なくとも1つが決定されて、指示電流Imsが修正され、目標電流Imtが演算される。これは、押圧力Fpaが増加、又は、保持される場合には、電気モータMTRは、キャリパCP等によるばね力に対抗する方向の動力を発生させなければならないが、押圧力Fpaが減少される場合には、該ばね力が電気モータMTRを助勢する力として作用することに因る。従って、押圧力Fpaが減少する場合には、押圧力Fpaが増加、又は、保持される場合に比較して、指示電流Imsが小さくなるよう調整されて、目標電流Imtが決定される。結果、キャリパCP等のばね力の方向に応じた、適切な電気モータMTRの制御が達成され得る。
特に、「実際の押圧力Fpaが大きく、且つ、押圧力Fpaが減少される場合」には、キャリパCP・摩擦部材MS等のばね力によって、電気モータMTRの回転速度dMkが加速度的に変化する。このため、「押圧力Fpaが大、且つ、戻し状態である場合」には、d軸第1係数Kfd、及び、d軸第2係数Krd(即ち、d軸補正値kdm)によって、「押圧力Fpaが小さい、又は、押圧力Fpaが増加・維持される場合」に比較して、d軸目標電流Idtが極めて小さくなるように調整される。結果、電気モータMTRへの効率的な通電が行われ得る。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。即ち、キャリパCP等のばね特性に応じた、高応答な電気モータMTRの制御が達成されると共に、キャリパCP等のばね力の作用方向に応じた、適切な電気モータMTRの制御が達成され得る。
上記実施形態では、ディスク型制動装置(ディスクブレーキ)の構成が例示された。この場合、摩擦部材MSはブレーキパッドであり、回転部材KTはブレーキディスクである。ディスク型制動装置に代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)が採用され得る。ドラムブレーキの場合、キャリパCPに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材MSはブレーキシューであり、回転部材KTはブレーキドラムである。
上記実施形態では、加圧ユニットKAUによって、1つの車輪WHに制動力が付与されるものが例示された。しかし、加圧ユニットKAUによって、複数の車輪WHの制動力が発生され得る。この場合、流体路HWCに、複数のホイールシリンダWCが接続される。
さらに、加圧シリンダKCLとして、2つの加圧ピストンによって区画された、2つの液圧室を有するものが採用され得る。即ち、加圧シリンダKCLに、タンデム型の構成が採用される。そして、一方の液圧室に、4つの車輪WHのうちの2つのホイールシリンダWCが接続され、他方の液圧室に、4つの車輪WHのうちの残りの2つのホイールシリンダWCが接続される。これにより、加圧シリンダKCLを液圧源とした、所謂、前後型、又は、ダイアゴナル型の流体構成が形成され得る。
上記実施形態では、電気モータMTRの回転動力が、制動液を介して、ホイールシリンダWCの液圧に変換され、車輪WHに制動力が発生される、液圧式の制動制御装置の構成が例示された。これに代えて、制動液が用いられない、電気機械式の制動制御装置が採用され得る。この場合、KAUは、キャリパCPに搭載される。さらに、押圧力センサFPAとして、液圧センサに代えて、推力センサが採用される。例えば、推力センサは、図1の「(FPA)」にて示すように、動力伝達機構DDKと加圧ピストンPKCとの間に設けられ得る。
さらに、前輪用として、制動液を介した液圧式の加圧ユニットが採用され、後輪用として、電気機械式の加圧ユニットが採用された、複合型の構成が形成され得る。
上記実施形態では、q軸第1係数Kfq、及び、q軸第2係数Krqが、補償後指示電流Iqr(=Iqs+Ifp)に乗算され、最終的なq軸目標電流Iqtが演算された。これに代えて、q軸第1係数Kfq、及び、q軸第2係数Krqが、q軸指示電流Iqsに乗算され、その後、補償電流Ifpが加算され得る。この場合でも、実際の押圧力Fpaの増加に従って、q軸指示電流Iqsが、q軸第1係数Kfqによって調整され、q軸目標電流Iqtが増加するように決定される。また、戻し状態においては、q軸指示電流Iqsが、q軸第2係数Krqによって調整され、q軸目標電流Iqtが減少するように決定される。
上記実施形態では、押圧力Fpaに基づいて、指示電流Imsの調整(増加修正、又は、減少修正)が行われた。回転角Mkaと押圧力Fpaとは所定の関係(図6参照)が存在する。摩擦部材MSの摩耗の観点においては、少々不利ではあるが、押圧力Fpaに代えて、回転角Mkaに基づいて指示電流Imsの調整が行われ得る。この場合、d軸、q軸第1係数演算ブロックKFD、KFQには、押圧力Fpaに代えて、回転角Mkaが入力される。さらに、d軸、q軸第1係数用の演算特性CKfd、CKfqは、押圧力Fpaに代えて、回転角Mkaに基づいて設定されている(以上、図5参照)。そして、d軸第1係数Kfdによって、回転角Mkaが大きいほど、指示電流Imsのd軸成分Idsが減少されて、目標電流Imt(特に、d軸目標電流Idt)が演算される。また、q軸第1係数Kfqによって、回転角Mkaが大きいほど、指示電流Imsのq軸成分Iqs、Iqrが増加されて、目標電流Imt(特に、q軸目標電流Iqt)が演算される。
BP…制動操作部材、MTR…電気モータ(3相ブラシレスモータ)、KAU…加圧ユニット、ECU…コントローラ、DRV…駆動回路、BPA…操作量センサ、FPA…押圧力センサ、MKA…回転角センサ、IMA…電流センサ。


Claims (7)

  1. 車両の車輪に対する要求制動力に応じた目標押圧力に基づいて電気モータを駆動し、前記車輪に固定される回転部材に摩擦部材を押圧して前記車輪に制動力を発生する車両の制動制御装置であって、
    前記電気モータを制御するコントローラと、
    前記摩擦部材が回転部材に押圧される力である押圧力を検出する押圧力センサと、
    を備え、
    前記コンローラは、
    前記目標押圧力に基づいて前記電気モータの指示電流を演算し、
    前記押圧力に基づいて前記指示電流を調整して目標電流を演算し、
    前記目標電流に基づいて、前記電気モータを制御する、車両の制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コンローラは、
    前記押圧力が大きいほど、前記指示電流のd軸成分を減少して前記目標電流を演算する、車両の制動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コンローラは、
    前記押圧力が大きいほど、前記指示電流のq軸成分を増加して前記目標電流を演算する、車両の制動制御装置。
  4. 車両の車輪に対する要求制動力に応じた目標押圧力に基づいて電気モータを駆動し、前記車輪に固定される回転部材に摩擦部材を押圧して前記車輪に制動力を発生する車両の制動制御装置であって、
    前記電気モータを制御するコントローラと、
    前記電気モータの回転角を検出する回転角センサと、
    を備え、
    前記コンローラは、
    前記目標押圧力に基づいて前記電気モータの指示電流を演算し、
    前記回転角に基づいて前記指示電流を調整して目標電流を演算し、
    前記目標電流に基づいて、前記電気モータを制御する、車両の制動制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コンローラは、
    前記回転角が大きいほど、前記指示電流のd軸成分を減少して前記目標電流を演算する、車両の制動制御装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コンローラは、
    前記回転角が大きいほど、前記指示電流のq軸成分を増加して前記目標電流を演算する、車両の制動制御装置。
  7. 請求項1乃至請求項6に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コンローラは、
    前記目標押圧力に基づいて「前記目標押圧力が増加するか、否か」を判定し、
    「前記目標押圧力が増加すること」が否定される場合には、前記指示電流のd軸成分を減少して前記目標電流を演算する、車両の制動制御装置。
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