以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[第1実施形態]
1.構成
本発明の第1実施形態に係るモータ1の構成について、図1を用い説明する。図1は、モータ1の構成を示す模式展開図である。
図1に示すように、モータ1は、ステータユニット10と、ロータユニット11と、モータケース12,13と、を備える。
ステータユニット10は、リング状をしており、外周面から上方に向けて突出する冷却液供給口10aと、外周面から下方に向けて突出する冷却液排出口10bと、が設けられている。また、ステータユニット10には、スロット単位で独立した12個のコアコイルセット100が周方向に配列されている。コアコイルセット100の詳しい構成については、後述する。
ロータユニット11は、X方向に間隔をあけて配置された2つのロータ(第1ロータ110、第2ロータ111)を有する。ロータユニット11には、X方向の両側に向けて突出する回転軸11aが設けられている。ロータユニット11では、回転軸11aを含む全体が一体として、回転軸11aの軸心回りに回転する。
モータケース12,13のそれぞれは、リング状をした周壁12c、13cと、円板状をした端壁12d,13dと、が一体形成され、全体として円形浅皿状をしている。モータケース12,13における端壁12d,13dの中央部分には、挿通孔12a,13aが開けられている。この挿通孔12a,13aは、ロータユニット11における回転軸11aを外部に挿通させるための孔である。モータケース12,13は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料から形成されている。
また、モータケース12,13の内面側には、外縁部分に複数の凹部溝13bが設けられている。なお、モータケース12の凹部溝については、図示を省略している。モータケース12,13の凹部溝13bは、ステータユニット10においてX方向両側に突出しているコアコイルセット100の各一部の嵌入を受け入れるための溝である。即ち、モータケース12,13の組み付けにより、ステータユニット10における複数のコアコイルセット100の正確な位置決めと確実な固定がなされる。
図1に示すように、モータ1では、ステータユニット10の径方向中央部の空間に対してロータユニット11が回転自在の状態で挿入され、X方向両側からモータケース12,13によりカバーされる。なお、ステータユニット10における外周面は、モータケース12とモータケース13との端辺同士の間で挟まれた状態で外部に露出する。
ここで、本実施形態に係るモータ1では、一例として、ラジアルギャップ型の12スロット・8極モータを採用している。しかし、スロット数及び磁極数については、適宜の変更が可能である。
2.ステータユニット10の構成
次に、モータ1におけるステータユニット10の構成について、図2及び図3を用い説明する。図2は、ステータユニット10の構成を示す模式展開図であり、図3は、コアコイルセット100の周辺構成を示す模式断面図である。
図2に示すように、ステータユニット10は、12個のコアコイルセット100と、外周リング101と、内周リング102と、一対の内径側固定プレート103,104と、一対の外径側固定プレート105,106と、を備えている。
コアコイルセット100は、外周リング101と内周リング102との間において、周方向に互いに間隔をあけた状態で配置されている。コアコイルセット100は、径方向において外周リング101及び内周リング102の双方に対して間隔をあけた状態で配置されている。
外周リング101には、Z方向上向きに突出する冷却液供給口10aと、Z方向下向きに突出する冷却液排出口10bと、が設けられている。冷却液供給口10a及び冷却液排出口10bは、ともに筒状をしており、内孔(図示を省略。)が外周リング101の内外を挿通している。
内径側固定プレート103,104のそれぞれは、リング状の円環部103a,104aと、当該円環部103a,104aから径方向外向きに突出した複数の歯部103b,104bとが一体形成されてなるものである。内径側固定プレート103,104における歯部103b,104bの数は、12本である。これは、各歯部103b,104bが周方向に隣接するコアコイルセット100間に挿入されるためである。そして、円環部103a,104aの外周辺及び歯部103b,104bの側辺は、コアコイルセット100におけるステータコアに対して液密状態で密着する。
外径側固定プレート105,106のそれぞれは、リング状の円環部105a,106aと、当該円環部105a,106aから径方向内向きに突出した複数の歯部105b,106bとが一体形成されてなるものである。外径側固定プレート105,106における歯部105b,106bの数についても、12本である。上記同様に、外径側固定プレート105,106においても、各歯部105b,106bが周方向に隣接するコアコイルセット100間に挿入される。そして、円環部105a,106aの内周辺及び歯部105b,106bの側辺は、コアコイルセット100におけるステータコアに対して液密状態で密着する。
ここで、内径側固定プレート103,104の各歯部103b,104bの先端部分には、片胴付状に板厚が一部薄い部分(片胴付部104c)が設けられている。なお、図示を省略しているが、内径側固定プレート103においても、歯部103bの先端部分に片胴付部が設けられている。
同様に、外径側固定プレート105,106の各歯部105b,106bの先端部分には、片胴付状に板厚が一部薄い部分(片胴付部106b)が設けられている。なお、図示を省略しているが、外径側固定プレート105においても、歯部105bの先端部分に片胴付部が設けられている。
図3に示すように、内径側固定プレート103の各片胴付部と外径側固定プレート105の各片胴付部とは、相欠き状態で係合し,同様に、内径側固定プレート104の各片胴付部104c(図2を参照。)と外径側固定プレート106の各片胴付部106c(図2を参照。)とは、相欠き状態で係合している。これより、環状固定部の管内の液密状態が実現される。
続いて、図3に示すように、コアコイルセット100は、ステータコア1000と、支持部材1001と、ボビン1002と、コイル1003と、から構成されている。コアコイルセット100の詳細構成については、後述する。
コアコイルセット100に対して、外周リング101及び内周リング102と、内径側固定プレート103,104及び外径側固定プレート105,106と、を組み付けたときには、外周リング101とコイル1003との間に間隙10cが構成され、内周リング102とコイル1003との間に間隙10dが構成される。また、図示を省略しているが、周方向に隣接するコイル1003同士の間にも間隙が構成されている。
上記間隙10c,10d及びコイル1003同士間の間隙には、冷却液が流通される。冷却液は、冷却液供給口10aから導入され、冷却液排出口10bから排出される。
このようにコアコイルセット100の冷却を実行することにより、銅損、鉄損、及び機械損などによる熱からコイル1003などを保護することができる。
なお、内径側固定プレート103,104と外径側固定プレート105,106との接合、及びこれらと外周リング101、内周リング102との接合に、接着剤を用いた接合法や溶着(熱、超音波による溶着)を用いた接合法などを採用することもできる。
3.コアコイルセット100の構成
コアコイルセット100の構成について、図4を用い説明する。
図4(a)に示すように、コアコイルセット100は、ステータコア1000と、支持部材1001と、ボビン1002と、コイル1003と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア1000は、Y方向からの側面視において、U字状又はC字状をしている。ステータコア1000の両側の端面1000a,1000bは、それぞれZ方向に中心を有するY−Z面での曲面加工が施されている。これは、第1ロータ110及び第2ロータ111の外周面に沿うようにしたものであって、ステータコア1000の端面1000a,1000bと第1ロータ110及び第2ロータ111の各永久磁石との間隔を狭くするためである。
支持部材1001は、電気的絶縁性を有する材料(例えば、セラミックス材料)から構成されており、ステータコア1000におけるX方向の中央部分(胴部)の上下主面に接合されている。
ボビン1002は、ステータコア1000の胴部に対して、四方の主面を被覆するように形成されている。ボビン1002は、電気的絶縁性材料(例えば、電気絶縁性の樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材1001の端面と略面一の状態で設けられている。
なお、ボビン1002の形成材料としては、放熱性及び機械的強度などを考慮して、ガラス繊維やフィラーを分散させた材料を使用することもできる。
コイル1003は、ボビン1002の周囲を巻回されている。本実施形態においては、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイル1003を採用している。ただし、円断面や長円断面のコイル線を用いたコイルを採用することも適宜可能である。
図4(b)に示すように、ステータコア1000は、アモルファス軟磁性材料からなる複数の薄板材が積層された積層体である。各薄板材の板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。薄板材の積層方向は、胴部(X方向の中央部分)でZ方向となっている。換言すると、薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
そして、ステータコア1000において、胴部の両側の腕部は、Z方向下向きに曲折され、端面1000a,1000bは、Z方向下側を向くように形成されている。
4.コアコイルセット100の形成方法
(1)ステータコア1000の形成方法
ステータコア1000の形成方法について、図5(a)、(b)及び図6(a)を用い説明する。
先ず、図5(a)に示すように、平面視で角丸四角形の巻回型900の外周に対して、帯状の薄板材10000を巻回し、巻回体10001を形成する。ここで、帯状の薄板材10000は、アモルファス軟磁性材料からなり、板厚が0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。
巻回された巻回体10001に対しては、真空含浸接着法を用い薄板材10000同士の間の接着を行う。このように真空含浸接着法を用いることにより、ステータコア1000の機械的強度を高め、高トルクでのモータ回転に十分に耐えるステータコア1000を形成するのに有効である。
次に、図5(b)に示すように、真空含浸接着法を用い固められた巻回体10001に対し、一の切断線に沿って切断して、2つのコア素体10002を形成する。
なお、本実施形態では、巻回体10001から2つのコア素体10002を切り出すこととしたが、1つのコア素体を切り出すこととしてもよいし、3つ以上のコア素体を切り出すこととすることもできる。
次に、図6(a)に示すように、コア素体10002の両端面に対して研削加工を施す。端面に対する研削加工は、Z方向に中心を有する曲率半径Rを有した曲面とするためのものである。曲率半径Rは、対応する第1ロータ110及び第2ロータ111の外径に対応する曲率である。具体的には、曲率半径Rは、第1ロータ110及び第2ロータ111の各半径に対して、互いのギャップを加えた値となる。
以上の研削加工により、端面1000a,1000bが曲面のステータコア1000が完成する。ここで、ステータコア1000については、Y方向からの側面視において、U字状又はC字状の外観形状を有している。
なお、ステータコア1000について、X方向の中央部分のX方向に沿った部分を胴部1000c、胴部1000cのX方向両側であって、側面視弧状の部分を腕部1000d,1000eと呼ぶ。
(2)支持部材1001及びボビン1002の形成方法
完成したステータコア1000への、支持部材1001及びボビン1002の形成方法について、図6(b)及び図7(a)を用い説明する。
図6(b)に示すように、ステータコア1000における胴部1000cに対して、そのZ方向上下面に支持部材1001を貼り付ける。支持部材1001は、電気絶縁性の材料(例えば、セラミックス材料)から構成されている。支持部材1001の貼り付けには、接着剤を用いることができる。なお、支持部材1001については、ステータコア1000における胴部1000cのY方向両側にも貼り付けてもよい。これについては、後述する。
次に、図7(a)に示すように、ステータコア1000における胴部1000cに対して、四方を取り囲むようにボビン1002を形成する。ボビン1002の形成材料としては、電気絶縁性の樹脂材料を用いることができ、その形成方法としてインサート成形法を用いることができる。
ここで、インサート成形法によりボビン1002を形成するのに際して、ステータコア1000の他の露出表面に対しても、ボビン1002の形成材料と同じ材料からなる皮膜が被覆されることになる。これにより、モータケース12,13などとの電気的な絶縁を図ることができる。
本実施形態では、ボビン1002の形成にインサート成形法を用いることにより、ステータコア1000に対するボビン1002の接合強度を高めることができる。
(3)コイル1003の形成方法
ステータコア1000に対するコイル1003の形成方法について、図7(b)を用い説明する。
図7(b)に示すように、予め巻回用の金型などを用いコイル状に巻回したコイル線10030を準備する。
次に、コイル線10030の巻回を緩ませながら、ステータコア1000の端面1000aからコイル線10030をボビン1002の外周部分に移してゆき、コイル1003の形成が完了する。
なお、上述のように、本実施形態に係るコイル1003は、平角線をエッジワイズ巻きしてなるコイルである。
ここで、本実施形態では、予め巻回加工を施したコイル線10030を緩ませてステータコア1000に移していったが、これ以外にも、ボビン1002の周りに直に平角線をエッジワイズ巻きしていってもよい。ただし、図7(b)に示すような方法を採用することにより、巻回の際の応力歪を低減することが可能となる。
本実施形態では、平角線をエッジワイズ巻きしてなるコイル1003を用いることにより、コイル占積率を高めることができ、大型化を避けながら、モータ1の高トルク化を図るのに有効である。
以上のようにして、コアコイルセット100が完成する。
5.ロータユニット11の構成
次に、ロータユニット11の構成について、図8を用い説明する。図8は、ロータユニット11の構成を示す模式展開図である。
図8に示すように、ロータユニット11は、第1ロータ110及び第2ロータ111と、スペーサーリング112と、カバープレート113,114と、を有し構成されている。
第1ロータ110及び第2ロータ111のそれぞれは、リング状をしたベースリング1100と、ベースリング1100の外周面に接合されたバックヨーク1101と、バックヨーク1101の外周面に周方向に並んだ状態で接合された8極の永久磁石1102と、を有する。永久磁石1102は、両端部分がクリップ1103により掛止されており、クリップ1103の足先には、X方向外側に向けて突起が形成されている。
なお、図8では、第2ロータ111についての詳細な図示を省略しているが、第1ロータ110と同じ構成を有している。
第1ロータ110と第2ロータ111との間に介挿されるスペーサーリング112は、二点鎖線で囲んだ部分に示すように、リング状の周壁112aと、幅方向の両側から径方向に幅を有する内向きフランジ壁112b,112cとが一体形成されてなる。図示を省略しているが、内向きフランジ壁112b,112cには、第1ロータ110及び第2ロータ111のクリップ1103の突起の挿入を受け入れる孔が開設されている。
カバープレート113,114は、それぞれ円板状をしており、中央部分に回転軸11aの挿通を許す挿通孔113aが開けられている。なお、回転軸11aは、カバープレート113,114、第1ロータ110及び第2ロータ111、スペーサーリング112などと一体に回転する。
図示を省略しているが、カバープレート113,114にも、第1ロータ110及び第2ロータ111のクリップ1103の突起の挿入を受け入れる孔が開設されている。
ここで、ロータユニット11における第1ロータ110と第2ロータ111との回転方向の位相は、永久磁石1102がS極とN極でずれるように設定されている。即ち、第1ロータ110のS極の永久磁石1102が配された箇所に対して、X方向に対応する第2ロータ111の永久磁石1102がN極となるようになっている。
6.磁束の流れ
上記のような構成を有するモータ1での磁束の流れについて、図9及び図10(a)、(b)を用い説明する。図9は、モータ1の構成の内、コアコイルセット100と第1ロータ110及び第2ロータ111とを抜き出して示す模式斜視図であり、図10(a)、(b)は、磁束の流れを示す模式図である。
図9に示すように、モータ1においては、スロット単位で独立した状態で、周方向に12個のコアコイルセット100が配置されている。隣り合う3つのコイル1003には、位相が互いにずれた電力が供給される。
第1ロータ110と第2ロータ111とは、X方向に間隔をあけて(スペーサーリング112の幅に相当する間隔をあけて)並行して配置されている。各ロータ110,111の永久磁石とステータコア1000の端面1000a,1000bとの間にはギャップが存在する。本実施形態では、ラジアル方向にギャップが存在するので、モータ1は、ラジアルギャップ型モータということになる。
次に、図10(a)に示すように、任意のコアコイルセット100をコアコイルセットA100aとし、その2つ隣のコアコイルセット100をコアコイルセットB100bとし、反対側に隣接するコアコイルセット100をコアコイルセットC100cとする。
また、コアコイルセットA100aにおけるステータコア1000の端面1000aに対向する永久磁石1102を永久磁石A1102aとし、コアコイルセットB100bにおけるステータコア1000の端面1000aに対向する永久磁石1102を永久磁石B1102bとし、コアコイルセットC100cにおけるステータコア1000の端面1000aに対向する永久磁石1102を永久磁石C1102cとする。
図10(a)に示すように、コアコイルセットA100aにおけるステータコア1000を起点とする磁束MFは、端面1000aに対向する永久磁石A1102aを通り、バックヨーク1101へと流れる。磁束MFは、バックヨーク1101において、周方向の前後へと分岐する。
分岐した磁束の一方は、永久磁石B1102bからコアコイルセットB100bにおけるステータコア1000に流れ、他方は、永久磁石C1102cからコアコイルセットC100cにおけるステータコア1000に流れる。
磁束の流れをX方向に見ると、図10(b)に示すように、第2ロータ111のバックヨーク1111からの磁束MFは、永久磁石D1112aからコアコイルセットAにおけるステータコア1000を通り、第1ロータ110の永久磁石A1102aを通って、バックヨーク1101へと流れる。
以上のような磁束MFの流れがコイル1003に供給される電流の方向及び位相に基づき、順次変化することにより、モータ1の回転駆動がなされる。
7.効果
本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000として、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材10000の積層体を用いている。このような構成のステータコア1000では、方向性電磁鋼板やケイ素鋼板を用いたステータコアに対して、鉄損(渦損)を大幅に小さくすることができる。
従って、モータ1では、従来技術に係る回転電機に対して、大型化を避けながら高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000を構成する薄板材10000の板厚を、0.05mm以下(例えば、0.025mm)と極薄にしている。これにより、0.2mmが板厚の下限であったケイ素鋼板を用いる従来技術に比べて、渦損の低減を図ることができ、大型化を避けながら高トルク化を図ることができるモータ1を実現可能となる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000の形状を図4(b)などに示す形状とすることで、延伸方向の長さを長くとりながら、モータ全体としてのサイズの大型化を避けることができる。よって、コイル1003の巻回領域を広くとることができるとともに、モータ全体としてのサイズの大型化を避けることが可能となる。
また、本実施形態に係るモータ1では、1つのステータユニット10に対して、2つのロータ110,111を備える構成としている。これにより、磁気飽和の発生を抑制し、ステータコア1000の端面1000a,1000bと、ロータ110,111の永久磁石1102との対向面積を増やすことができる。よって、モータ1において、大型化を避けながら、更なる高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、コアコイルセット100におけるコイル1003は、図7(b)に示すように、ステータコア1000における胴部1000cに巻回形成されている。このような構成を採用することにより、コイル1003とロータ110,111の永久磁石1102との間に腕部1000d,1000eの分だけコイル1003と永久磁石1102との間の距離を離すことができ、良好な磁束MFの流れを形成する上で好適である。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータユニット10におけるコイル1003として、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用した。このように平角線をエッジワイズ巻きして構成されたコイル1003を採用することにより、高いコイル占積率を実現することができ、高トルク化を図るのに好適である。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000の端面1000a,1000bを、曲面で構成することとした。このように、ステータコア1000の端面1000a,1000bを、ロータ110,111に沿うように曲面とすることによって、ステータコア1000の端面1000a,1000bとロータ110,111の永久磁石1102との間のギャップを小さく抑えることができ、モータ1のサイズの大型化を避けながら高トルク化を図るのに好適である。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000の露出表面が、ボビン1002を構成する材料と同じ材料からなる皮膜により被覆されているので、ステータコア1000における薄板材同士の間の接着力を補強することができるとともに、ボビン1002を構成する材料は絶縁材料であるので、ステータコア1000とモータケース12,13などの外部部材との間の電気的な絶縁性を確保することもできる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア1000とコイル1003との間の一部領域に、支持部材1001を挿設することとしたので、ステータコア1000に対してコイル1003を巻回する際にステータコア1000にかかる応力を緩和することができる。
また、本実施形態に係るステータコア1000の形成方法では、帯状の薄板材10000を巻回してから、一部を切り出してステータコア1000を形成しているので、先に短冊状に切り出した薄板材を積層する場合に比べて、板厚の薄い薄板材10000を用いることができる。即ち、従来では製造上の制約などから0.2mmが下限であったケイ素鋼板の板厚に対し、本実施形態に係る形成方法では、0.05mm以下(例えば、0.025mm)の非常に薄い板厚の薄板材10000を用いることも可能である。
このように、非常に板厚の薄い薄板材10000を用いてステータコア1000を形成できるので、大幅な鉄損(渦損)の低減を図ることが可能となり、大型化を避けながら高トルクなモータ1を製造することができる。
[第2実施形態]
1.コアコイルセット200の構成
本発明の第2実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセット200の構成について、図11(a)、(b)を用い説明する。
図11(a)に示すように、コアコイルセット200は、ステータコア2000と、支持部材(図示を省略。)と、ボビン2002と、コイル2003と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア2000は、腕部2000dが弧状をしたJ字状又はL字状をしている。ステータコア2000の一方の端面2000aは、Z方向に中心を有する曲面加工が施されている。これは、ロータ110の外周面に沿うようにしたものであって、ステータコア2000の端面2000aとロータ110の各永久磁石1102との間隔を狭くするためである。
図示を省略しているが、支持部材は、上記第1実施形態に係る支持部材1001と同様の構成を有する。ボビン2002についても、上記第1実施形態に係るボビン1002と同様に、ステータコア2000の胴部2000cに対して、四方の主面を被覆するように形成されている。本実施形態に係るコアコイルセット200においても、ボビン2002は、電気的絶縁性材料(例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材の端面と略面一の状態で設けられている。
コイル2003は、ボビン2002の周囲を巻回されており、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用している。
一方、ステータコア2000のX方向右側端部(接続部)は、バックヨーク2004に接続されている。図11(b)に示すように、バックヨーク2004は、リング状をしており、全てのステータコア2000の一方の端部に接続されている。
バックヨーク2004は、ステータコア1000,2000と同様に、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材を巻回して形成されたものであって、用いる薄板材の板厚などに関しては、ステータコア1000,2000などと同様である。
なお、コアコイルセット200の構成と、対応するロータの数が上記第1実施形態とは異なるが、その他の構成については、上記第1実施形態と略同様である。
2.磁束の流れ
本実施形態に係るモータでの磁束の流れについて、図11(b)、(c)を用い説明する。
図11(b)に示すように、本実施形態に係るモータにおいては、スロット単位で独立した状態で、周方向に12個のコアコイルセット200が配置されている。隣り合う3つのコイル2003には、位相が互いにずれた電力が供給される。
ロータ110は、コアコイルセット200におけるステータコア2000の端面2000aに対して、永久磁石1102がギャップをあけて対向する状態で配置されている。
次に、本実施形態においても、任意のコアコイルセット200をコアコイルセットA200aとし、その隣のコアコイルセット200をコアコイルセットB200bとし、反対側の2つ隣のコアコイルセット200をコアコイルセットC200cとする。
また、コアコイルセットA200aにおけるステータコア2000の端面2000aに対向する永久磁石1102を永久磁石A1102aとし、コアコイルセットB200bにおけるステータコア2000の端面2000aに対向する永久磁石1102を永久磁石B1102bとし、コアコイルセットC200cにおけるステータコア2000の端面2000aに対向する永久磁石1102を永久磁石C1102cとする。
図11(b)に示すように、コアコイルセットA200aにおけるステータコア2000を起点とする磁束MFは、端面2000aに対向する永久磁石A1102aを通り、ロータ110のバックヨーク1101へと流れる。磁束MFは、バックヨーク1101において、周方向の前後へと分岐する。
分岐した磁束の一方は、永久磁石B1102bからコアコイルセットB200bにおけるステータコア2000に流れ、他方は、永久磁石C1102cからコアコイルセットC200cにおけるステータコア2000に流れる。そして、それぞれの磁束MFは、コアコイルセットA200a、コアコイルセットB200b、及びコアコイルセットC200cの各ステータコア2000の一方の端部に接続されたバックヨーク2004を介してループ状に流れる。
磁束の流れをX方向に見ると、図11(c)に示すように、バックヨーク2004からステータコア2000を通った磁束MFは、永久磁石A1102aからロータ110のバックヨーク1101へと流れる。
以上のような磁束MFの流れがコイル2003に供給される電流の方向及び位相に基づき、順次変化することにより、モータの回転駆動がなされる。
3.効果
本実施形態に係るモータでは、ステータコア2000の形状を側面視でJ字状又はL字状とする点において、上記第1実施形態と差異を有する。このような差異により、本実施形態に係るモータでは、更なる小型化を図りながら、上述と同様に、渦損の低減を図ることで高トルク化を実現することができる。
なお、他の構成については、上記第1実施形態と差異はないので、上記第1実施形態に係るモータ1の効果をそのまま得ることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセット300の構成について、図12(a)を用い説明する。
図12(a)に示すように、コアコイルセット300は、ステータコア3000と、支持部材と(図示を省略。)、ボビン3002と、コイル3003と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア3000は、側面視において、X方向中央に設けられた胴部3000cと、その両側から延伸形成された腕部3000d,3000eとが一体形成されてなる。
ステータコア3000における腕部3000d,3000eのそれぞれは、U字状又はC字状に曲折された形状を有する。ステータコア3000の両側の端面3000a,3000bは、互いにX方向に対向するように設けられている。
図示を省略しているが、支持部材は、上記第1実施形態に係る支持部材1001と同様の構成を有する。ボビン3002についても、上記第1実施形態に係るボビン1002と同様に、ステータコア3000の胴部3000cに対して、四方の主面を被覆するように形成されている。本実施形態に係るコアコイルセット300においても、ボビン3002は、電気的絶縁性材料(例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材の端面と略面一の状態で設けられている。コイル3003は、ボビン3002の周囲を巻回されており、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用している。
なお、本実施形態に係るステータコア3000も、アモルファス軟磁性材料からなる複数の薄板材が積層された積層体である。各薄板材の板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。薄板材の積層方向は、胴部(X方向の中央部分)でZ方向となっている。換言すると、薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
次に、本実施形態に係るモータでは、第1ロータのバックヨーク3101がX方向に延伸する中心軸を有するリング状を有し、第2ロータのバックヨーク3111もX方向に延伸する中心軸を有するリング状である。第1ロータの永久磁石3102は、バックヨーク3101のX方向左側主面に接続され、ステータコア3000の端面3000aに対向する。他方、第2ロータの永久磁石3112は、バックヨーク3111のX方向右側主面に接続され、ステータコア3000の端面3000bに対向する。
本実施形態に係るモータは、ステータコア3000の端面3000a,3000bと永久磁石3102,3112とがX方向(軸方向)に対向する、所謂、アキシャルギャップ型のモータである。
なお、本実施形態に係るステータコア3000においても、端面3000a,3000bにおける薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
本実施形態では、アキシャルギャップ型のモータに対して、上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係るステータコア1000,2000と同様の構成を採用することにより、モータの大型化を避けながら、高トルク化を図るのに有効である。理由については、上述と同様である。
なお、本実施形態に係るモータでは、第1ロータ及び第2ロータの各永久磁石3102,3112がX方向に直交する平面上に配列されるため、ステータコア3000の各端面3000a,3000bを曲面とする加工は不要である。これより、製造コストの低減を図ることもできる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセット400の構成について、図12(b)を用い説明する。
図12(b)に示すように、コアコイルセット400は、ステータコア4000と、支持部材と(図示を省略。)、ボビン4002と、コイル4003と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア4000は、側面視において、X方向中央に設けられた胴部4000cと、その一方から延伸形成された腕部4000dと、が一体形成されてなる。
一方、ステータコア4000のX方向右側端部(接続部)は、バックヨーク4004に接続されている。本実施形態に係るバックヨーク4004についても、上記第2実施形態に係るバックヨーク2004と同様に、リング状をしており、全てのステータコア4000の一方の端部に接続されている。
ステータコア4000における腕部4000dは、U字状又はC字状に曲折された形状を有する。ステータコア4000の端面4000aは、X方向右側を向くように配されている。
図12(b)においても図示を省略しているが、支持部材は、上記第1実施形態に係る支持部材1001と同様の構成を有する。ボビン4002についても、上記第1実施形態に係るボビン1002と同様に、ステータコア4000の胴部4000cに対して、四方の主面を被覆するように形成されている。本実施形態に係るコアコイルセット400においても、ボビン4002は、電気的絶縁性材料(例えば、樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材の端面と略面一の状態で設けられている。コイル4003は、ボビン4002の周囲を巻回されており、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用している。
なお、本実施形態に係るステータコア4000も、アモルファス軟磁性材料からなる複数の薄板材が積層された積層体である。各薄板材の板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。薄板材の積層方向は、胴部(X方向の中央部分)でZ方向となっている。換言すると、薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
次に、本実施形態に係るモータでは、ロータのバックヨーク3101がX方向に中心軸を有するリング状を有する。ロータの永久磁石3102は、バックヨーク3101のX方向左側主面に接続され、ステータコア4000の端面4000aに対向する。
本実施形態に係るモータについても、ステータコア4000の端面4000aとロータの永久磁石3102とがX方向(軸方向)に対向する、所謂、アキシャルギャップ型のモータである。
なお、本実施形態に係るステータコア4000においても、端面3000aにおける薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
本実施形態では、アキシャルギャップ型のモータに対して、上記第1実施形態及び上記第2実施形態及び第3実施形態に係るステータコア1000,2000,3000と同様の構成を採用することにより、モータの大型化を避けながら、高トルク化を図るのに有効である。理由については、上述と同様である。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセット500の構成について、図13(a)、(b)を用い説明する。
図13(a)に示すように、コアコイルセット500は、ステータコア5000と、支持部材と(図示を省略。)、ボビン5002と、コイル5003と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア5000は、側面視において、X方向に直線状に延伸形成されている。このため、ステータコア5000の一方の端面5000aは、X方向左側を向き、他方の端面5000bは、X方向右側を向いた状態にある。
図示を省略しているが、支持部材は、上記第1実施形態に係る支持部材1001と同様の構成を有する。ボビン5002についても、上記第1実施形態に係るボビン1002と同様に、ステータコア5000の胴部に対して、四方の主面を被覆するように形成されている。本実施形態に係るコアコイルセット500においても、ボビン5002は、電気的絶縁性材料(例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材の端面と略面一の状態で設けられている。コイル5003は、ボビン5002の周囲を巻回されており、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用している。
なお、図13(b)に示すように、本実施形態に係るステータコア5000も、アモルファス軟磁性材料からなる複数の薄板材が積層された積層体である。各薄板材の板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。薄板材の積層方向は、Z方向となっている。換言すると、薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
次に、本実施形態に係るモータでは、第1ロータのバックヨーク5101がX方向に中心軸を有するリング状を有し、第2ロータのバックヨーク5111もX方向に中心軸を有するリング状である。第1ロータの永久磁石5102は、バックヨーク5101のX方向右側主面に接続され、ステータコア5000の端面5000aに対向する。他方、第2ロータの永久磁石5112は、バックヨーク5111のX方向左側主面に接続され、ステータコア5000の端面5000bに対向する。
本実施形態に係るモータも、ステータコア5000の端面5000a,5000bと永久磁石5102,5112とがX方向(軸方向)に対向する、所謂、アキシャルギャップ型のモータである。
なお、本実施形態に係るステータコア5000においても、端面5000a,5000bにおける薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
本実施形態では、アキシャルギャップ型のモータに対して、上記第1実施形態から上記第4実施形態に係るステータコア1000,2000,3000,4000と同様の構成を採用することにより、モータの大型化を避けながら、高トルク化を図るのに有効である。理由については、上述と同様である。
また、本実施形態では、ステータコア5000を直線形状としているので、余計なスペースを必要とせず、また、ステータコア5000の加工の簡略化を図ることができ、小型化及び低コスト化を図ることができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセット600の構成について、図13(c)を用い説明する。
図13(c)に示すように、コアコイルセット600は、ステータコア6000と、支持部材と(図示を省略。)、ボビン6002と、コイル6003と、バックヨーク6004と、から構成されている。本実施形態に係るステータコア6000は、上記第5実施形態に係るステータコア5000と同様に、側面視において、X方向に直線状に延伸形成されている。このため、ステータコア6000の一方の端面6000aは、X方向左側を向いた状態にある。ステータコア6000のX方向右側端部(接続部)には、リング状をしたバックヨーク6004が接続されている。バックヨーク6004については、上記第2実施形態に係るバックヨーク2004、上記第4実施形態に係るバックヨーク4004などと同様の構成を有する。
図示を省略しているが、支持部材は、上記第1実施形態に係る支持部材1001と同様の構成を有する。ボビン6002についても、上記第1実施形態に係るボビン1002と同様に、ステータコア6000の胴部に対して、四方の主面を被覆するように形成されている。本実施形態に係るコアコイルセット600においても、ボビン6002は、電気的絶縁性材料(例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料)から構成されており、X方向において、支持部材の端面と略面一の状態で設けられている。コイル6003は、ボビン6002の周囲を巻回されており、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用している。
なお、本実施形態に係るステータコア6000も、上記第5実施形態に係るステータコア5000などと同様に、アモルファス軟磁性材料からなる複数の薄板材が積層された積層体である。各薄板材の板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。薄板材の積層方向は、Z方向となっている。換言すると、薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
次に、本実施形態に係るモータでは、ロータのバックヨーク5101がX方向に中心軸を有するリング状を有している。ロータの永久磁石5102は、バックヨーク5101のX方向右側主面に接続され、ステータコア6000の端面6000aに対向する。
本実施形態に係るモータも、ステータコア6000の端面6000aと永久磁石5102とがX方向(軸方向)に対向する、所謂、アキシャルギャップ型のモータである。
なお、本実施形態に係るステータコア6000においても、端面6000aにおける薄板材同士の界面は、紙面に垂直な方向に延伸している。
本実施形態では、アキシャルギャップ型のモータに対して、上記第1実施形態から上記第5実施形態に係るステータコア1000,2000,3000,4000,5000と同様の構成を採用することにより、モータの大型化を避けながら、高トルク化を図るのに有効である。理由については、上述と同様である。
また、本実施形態でも、ステータコア6000を直線形状とし、一方の端部をバックヨーク6004に接続しているので、余計なスペースを必要とせず、また、ステータコア6000の加工の簡略化を図ることができ、小型化及び低コスト化を図ることができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係るモータの構成の内、コアコイルセットの構成の一部について、図14(a)、(b)を用い説明する。図14(a)、(b)では、ステータコア1000と支持部材7001,7005とを抜き出して図示している。
図14(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るステータコア1000に対しては、胴部1000cの四方の主面の全てに支持部材7001,7005が貼り付けられている。支持部材7001,7005は、支持部材1001などと同様に、セラミックス材料などから構成されている。
このように四方の全てに支持部材7001,7005を貼り付けた形態を採用する場合には、上記第1実施形態から上記第6実施形態に比べて、コイルを巻回する際のステータコア1000にかかる応力をさらに緩和することが可能となる。従って、コイル巻回に際しての、ステータコア1000への応力歪をさらに軽減することができる。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態に係るモータの構成の内、ステータユニットの構成について、図15(a)、(b)、(c)を用い説明する。図15(a)、(b)では、ステータユニットの一部構成を抜き出して図示している。
図15(a)、(b)に示すように、コアコイルセット800は、ステータコア8000と、支持部材8001と、ボビン8002と、コイル8003と、を備える。本実施形態では、各コアコイルセット800におけるボビン8002の鍔部がY−Z面方向に大きく形成されている。これにより、隣り合うコアコイルセット800のボビン8002の鍔部同士が液密状態に接合されている。
図15(a)に示すように、本実施形態に係るステータユニットでは、ボビン8002の鍔部と外周リング801及び内周リング802との組み合わせを以って、冷却液の流通経路が形成されている。
図15(c)に示すように、本実施形態に係るボビン8002の鍔部の端辺は、一方が二方胴付状になっており、他方がこれの嵌入を受け入れる臍溝状となっている。このような形態の採用により、液密性が確保された冷却液の流通経路が少ない部品点数で構成できる。よって、製造コストの低減を図りながら、ステータコア8000やコイル8003の温度上昇を抑え、高い品質の維持を図ることができる。また、コアコイルセット800の位置決めに関しても、ボビン8002により確実に行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、上記第1実施形態で採用したような内径側固定プレート103,104や外径側固定プレート105,106の採用は必ずしも必要はないが、更に確実のために採用することも可能である。
なお、ボビン8002の構成を除き、他の構成は、上記第1実施形態から上記第7実施形態などと同様であるので、上記同様に、モータの大型化を避けながら、高トルク化を図ることができる。
ここで、本実施形態において、隣り合うボビン8002の鍔部同士の接合については、接着剤を用いた接合や溶着(熱や超音波による溶着)を用いた接合などを採用することもできる。
[変形例]
上記第1実施形態から上記第8実施形態では、回転電機の一例として、モータを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本発明は、発電機や発電機兼モータに対して適用することも可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態などでは、アウターステータ・インナーロータ型のモータを一例として採用することとしたが、インナーステータ・アウターロータ型のモータを採用することも可能である。この場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
また、上記第1実施形態などでは、ステータコア1000の形成方法の一例として、薄板材10000を巻回して、一部を切り出す方法を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本発明は、予め短冊状に形成された薄板材を厚み方向に積層してなるステータコアを採用することも可能である。
また、上記第1実施形態から上記第8実施形態では、ステータコア1000,2000,3000,4000,5000,6000,8000の横断面形状として正方形又は長方形としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、横断面形状が台形や平行四辺形などのステータコアを採用することもできる。
なお、上記第1実施形態から上記第8実施形態では、ステータコア1000,2000,3000,4000,5000,6000,8000をアモルファス軟磁性材料からなる薄板材を複数積層して形成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、アモルファス状態ではないナノ結晶化させた軟磁性材料からなる薄板材を複数積層してステータコアを構成することとしてもよい。
また、ステータコア1000,2000,3000,4000,5000,6000,8000とボビン1002,2002,3002,4002,5002,6002,8002との間に介挿される支持部材1001,7001,7005,8001の材料としてセラミックスを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、樹脂材料などを採用することもできる。
また、上記第1実施形態から上記第8実施形態では、ロータ110,111の径方向内側は空洞である構成としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ロータの径方向内側にクラッチを内蔵する構成を採用することもできる。このようなクラッチを内蔵する回転電機では、クラッチの断接により、外部からの回転駆動力と、モータからら回転駆動力と、の接続と解除を選択的に行うことが可能となる。このような構成は、例えば、エンジンと駆動用モータとを備えるハイブリッド自動車に用いることができる。