JP6296116B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機に関し、特に、ステータユニットの構成に関する。
電動モータなどの回転電機として、ラジアルギャップ型とアキシャルギャップ型との複合タイプの回転電機が研究開発されている(特許文献1)。特許文献1に開示の回転電機は、ロータを径方向外側から取り囲むように配された複数の第1ステータコアと、ロータの一方の主面に軸方向に対向するように円環状に配された複数の第2ステータコアを備える。各ステータコアには、コイルが巻回されている。そして、ロータには、第1ステータコアの端面に対向する箇所に複数の第1永久磁石を配置し、第2ステータコアの端面に対向する箇所に複数の第2永久磁石を配置している。
特許文献1で開示されている回転電機では、ラジアルギャップ型とアキシャルギャップ型との複合タイプとすることで、高トルクを得ようとしている。
特開平07−161127号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、部品点数が多いため、製造コストの高騰を抑えながら高トルク化を図ることは難しく、また、大型化が避けられないと考えられる。即ち、特許文献1に開示の技術は、板状のステータベースに対し、回転軸を囲む外周部分に複数の第1ステータコアを配置し、その各々にコイルを巻回している。また、ステータベースにおける複数の第1ステータコアで囲繞された領域内側に、複数の第2ステータコアを配置し、その各々にコイルを巻回している。
よって、特許文献1で開示された技術では、ラジアルギャップ用の複数の第1ステータコア及びコイルと、アキシャルギャップ用の複数の第2ステータコア及びコイルと、をそれぞれ別々に備える構成を採用している。このため、部品点数が多くなり、大型化を避けることや、製造コストの高騰を抑えることが難しい。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、製造コストの高騰を抑えるとともに、大型化を避けながら高トルク化を図ることができる回転電機を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る回転電機は、ステータとロータとを備える。
前記ステータは、互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、を有する。
ここで、前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いている。
前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなる。
前記ロータは、回転軸と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第1永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、を有する。
また、前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いている。
さらに、前記ロータは、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第4永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、を更に有する。
本態様に係る回転電機では、ステータコアの第1端面に対してロータの第1永久磁石が対向し、同じステータコアにおける第1腕部の外周面又は内周面に対して第2永久磁石が対向する。即ち、本態様に係る回転電機では、各ステータコアの第1腕部に対して、軸方向及び径方向の2方向から永久磁石が対向している。
なお、このように2方向からロータの永久磁石が対向する構成は、ステータコアを、軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に薄板材を積層してなることで実現されている。即ち、薄板材の積層方向を従来技術とは異なる方向とすることに大きな特徴を有する。
また、本態様に係る回転電機では、ステータコアにおける第2腕部に対しても、ロータの第4永久磁石及び第5永久磁石を対向させることとしている。即ち、本態様では、各ステータコアに対して、更に対向する永久磁石を増やすことができる。よって、本態様では、製造コストの高騰を抑えることができるとともに、大型化を避けながら更に高トルク化を図るのに優位である。
従って、本態様では、上記特許文献1に開示の技術に比べて、ステータコア及びコイルの配置数の増加を抑えることで製造コストの高騰を抑制できるとともに、大型化を避けながら高トルク化を図ることが可能である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記ロータは、複数の第3永久磁石を更に有する。
前記複数の第3永久磁石は、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面及び内周面の他方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる。
本態様に係る回転電機では、各ステータコアの第1腕部に対して、軸方向と、径方向外側及び径方向内側と、の3方向からロータの永久磁石が対向する構成としている。よって、本態様では、ステータコア及びコイルの数を増やすことなく、更に高トルク化を図ることができる。
本発明の一態様に係る回転電機は、ステータとロータとを備える。
前記ステータは、互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、
前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、を有する。
ここで、前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いている。
前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなる。
前記ロータは、回転軸と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第3永久磁石と、を有する。
また、前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いている。
さらに、前記ロータは、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第4永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、を更に有する。
本態様に係る回転電機では、ステータコアにおける第1腕部の外周面に対してロータの第2永久磁石が対向し、同じステータコアにおける第1腕部の内周面に対して第3永久磁石が対向する。即ち、本態様に係る回転電機では、各ステータコアの第1腕部に対して、径方向外側と径方向内側との2方向からロータの永久磁石が対向している。
また、本態様に係る回転電機では、ステータコアにおける第2腕部に対しても、ロータの第4永久磁石及び第5永久磁石を対向させることとしている。即ち、本態様では、各ステータコアに対して、更に対向する永久磁石を増やすことができる。よって、本態様では、製造コストの高騰を抑えることができるとともに、大型化を避けながら更に高トルク化を図るのに優位である。
従って、本態様では、上記特許文献1に開示の技術に比べて、ステータコア及びコイルの数の増加を抑えることで製造コストの高騰を抑制できるとともに、大型化を避けながら高トルク化を図ることが可能である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記複数のステータコアの各々では、前記第1腕部における径方向の外周面及び内周面が、前記回転軸を中心とする曲面で構成されている。このように、ステータコアにおける第1腕部の外周面及び内周面を、上記のような形態での曲面で構成することにより、ロータの永久磁石とステータコアとの間隙を狭くすることができる。よって、本態様では、高トルク化を図るのに優位である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記ロータは、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における外周面及び内周面の他方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第6永久磁石を、更に有する。
本態様に係る回転電機では、各ステータコアの第2腕部に対しても、軸方向と、径方向外側及び径方向内側と、の3方向からロータの永久磁石が対向する構成としている。よって、本態様では、ステータコア及びコイルの数の増加を抑えながら、更に高トルク化を図ることができる。
本発明の一態様に係る回転電機は、ステータとロータとを備え、前記ステータは、互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、を有し、前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、前記ロータは、回転軸と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第1永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、を有し、前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いている。
前記ロータは、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第6永久磁石と、を更に有する。
本態様に係る回転電機では、各ステータコアの第2腕部に対して、径方向外側と径方向内側との2方向からロータの永久磁石が対向している。よって、本態様では、上記特許文献1に開示の技術に比べて、ステータコア及びコイルの数の増加を抑えることで製造コストの高騰を抑制できるとともに、大型化を避けながら高トルク化を図ることが可能である。
本発明の一態様に係る回転電機は、ステータとロータとを備え、前記ステータは、互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、を有し、前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、前記ロータは、回転軸と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第3永久磁石と、を有し、前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いており、前記ロータは、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第6永久磁石と、を更に有する。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記複数のステータコアの各々では、前記第2腕部における径方向における外周面及び内周面が、前記回転軸を中心とする曲面で構成されている。このように、ステータコアにおける第2腕部の外周面及び内周面を、上記のような形態での曲面で構成することにより、ロータの永久磁石とステータコアとの間隙を狭くすることができる。よって、本態様では、高トルク化を図るのに優位である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記ステータは、前記回転軸を中心としたリング形状をなすバックヨークを、更に有する。
前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸し、前記バックヨークに接続された接続部を、更に有する。
本態様では、複数のステータコアの各々における接続部をバックヨークに接続することにより、回転電機の大型化を避けながら、磁束の流れを確保することができる。よって、大型化を避けながら高トルク化を図るのに優位である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記複数の薄板材の各々は、アモルファス軟磁性材料からなる。このように、ステータコアを構成する薄板材として、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材を採用することにより、方向性電磁鋼板やケイ素鋼板を用いステータコアを構成する場合に比べて、鉄損(渦損)を大幅に小さくすることができる。よって、本態様では、高トルク化を図るのに優位である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記複数の薄板材の各板厚は、0.05mm以下である。このように、ステータコアを構成する薄板材の板厚を0.05mm以下と極薄にすることで、0.2mmが下限であったケイ素鋼板を用いる従来技術に比べて、渦損の低減を図ることができる。よって、本態様では、高トルク化を図るのに更に優位である。
本発明の別態様に係る回転電機は、上記構成において、前記コイルは、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルである。このように、ステータコアに巻回してなるコイルとして、平角線をエッジワイズ巻きして構成されたコイルを採用することにより、高いコイル占積率を実現することができ、高トルク化を図るのに優位である。
上記の各態様に係る回転電機では、製造コストの高騰を抑えることができるとともに、大型化を避けながら高トルク化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係るモータ1の外観構成を示す模式斜視図である。 モータ1におけるステータユニット2とロータユニット3とを示す模式斜視図である。 ステータユニット2及びロータユニット3の構成を示す模式展開図である。 (a)は、ステータユニット2の一部構成を示す模式斜視図であり、(b)は、ステータユニット2の一部構成を示す模式正面図である。 ステータユニット2の形成過程における一工程を示す模式展開図である。 (a)は、ステータユニット2におけるコアコイルセット20の配置形態を示す模式斜視図であり、(b)は、コアコイルセット20の構成を示す模式斜視図である。 (a)は、コアコイルセット20の構成を示す模式正面図であり、(b)は、ステータコア200の一部構成を示す模式斜視図である。 ステータユニット2の一部構成を示す模式断面図である。 ステータユニット2とロータユニット3との配置形態を示す模式断面図である。 第1ロータ30における永久磁石302,306の配置と、第2ロータ31における永久磁石312の配置と、を示す模式斜視図である。 モータ1の駆動時における磁束MF,MF,MFの流れを説明するための模式図である。 モータ1の駆動時における磁束MF,MFの流れを説明するための模式図である。 モータ1の駆動時における磁束MFの流れを説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態に係るモータにおけるステータユニット7及びロータユニット8の構成を示す模式断面図である。 ステータユニット7の構成を示す模式斜視図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[第1実施形態]
1.構成
本発明の第1実施形態に係るモータ1の構成について、図1から図3を用い説明する。
図1に示すように、モータ1の外観構成は、ステータユニット2の一部と、モータケース4,5と、から構成されている。
ステータユニット2の外周面からは、Z方向上側に向けて冷却液供給口2aが突出され、Z方向下側に向けて冷却液排出口2b突出されている。
モータケース4,5のそれぞれは、リング状をした周壁4bと、円板状をした端壁4cと、が一体形成されてなり、全体として円形皿状をしている。モータケース4,5における端壁4cの中央部分には、挿通孔4aが開けられている。この挿通孔4aは、後述するロータユニットにおける回転軸32を外部に挿通させるための孔である。モータケース4,5は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料から形成されている。
次に、図2は、モータ1において、モータケース4,5を便宜的に取り払った状態の斜視図である。
図2に示すように、ロータユニット3は、2つのロータ30,31と、回転軸32と、を有する。ロータユニット3では、X方向において、第1ロータ30と第2ロータ31とがステータユニット2を挟むように配置されている。
また、ロータユニット3では、第1ロータ30及び第2ロータ31に対して回転軸32が係合されている。これにより、ロータユニット3では、第1ロータ30及び第2ロータ31が、回転軸32と一体として、回転軸32の軸心回りに回転する。
ここで、図2に示すように、ステータユニット2は、第1ロータ30及び第2ロータ31に対して、若干、径方向に大きい。これにより、第1ロータ30及び第2ロータ31を装着した状態でも、ステータユニット2における外周リング21と、固定プレート23,24の各一部と、が径方向外側に露出する状態となっている。
次に、図3に示すように、ステータユニット2には、スロット単位で独立し、周方向に配列された12個のコアコイルセット20を有する。ステータユニット2において、12個のコアコイルセット20は、外周リング21と、内周リング22と、一対の固定プレート23,24と、で固定されている。これらの固定には、例えば、接着剤が用いられている。
第1ロータ30及び第2ロータ31の各々は、ステータユニット2との対向側の外周部に円環状の溝部を有した円筒体である。なお、図3では、便宜上、第1ロータ30におけるステータユニット2との対向側の構成の図示を省略しているが、第2ロータ31と同様の構成を有する。
第1ロータ30及び第2ロータ31の各溝部に対しては、ステータユニット2における12個のコアコイルセット20の各ステータコアのX方向先端部分が挿入される。
第1ロータ30及び第2ロータの各々は、ロータベース310と、バックヨーク311と、複数の永久磁石312と、バックヨーク313と、複数の永久磁石314と、バックヨーク315(図3では、図示を省略。)と、複数の永久磁石316と、を有する。
バックヨーク311は、リング状を有し、ロータベース310における溝部を臨む径方向外側の壁に対して、内径側側面に固定されている。
バックヨーク313は、バックヨーク311よりも小径のリング状を有し、ロータベース310における溝部を臨む径方向内側の壁に対して、外径側側面に固定されている。
複数の永久磁石312は、バックヨーク311の内周面に対して、N極磁石312NとS極磁石312Sとが交互に並んだ状態で固定されている。
複数の永久磁石314は、バックヨーク313の外周面に対して、N極磁石314NとS極磁石314Sとが交互に並んだ状態で固定されている。
複数の永久磁石316は、溝部の底面に対して、バックヨーク315(図3では、図示を省略、)を挟んで、N極磁石316NとS極磁石316Sとが周方向に並んだ状態で固定されている。
なお、複数の永久磁石312と複数の永久磁石314と複数の永久磁石316とは、ロータベース310の所定の回転角に係る位置では磁極が同じとなるように配置されている。
また、第1ロータ30についても同様の構成を有する。
2.ステータユニット2の構成
次に、モータ1におけるステータユニット2の構成について、図4及び図5を用い説明する。図4は、ステータユニット2の一部構成を示す模式斜視図及び模式正面図であり、図5は、ステータユニット2の形成過程の一工程を示す模式展開図である。
図4(a)、(b)に示すように、ステータユニット2は、12個のコアコイルセット20と、外周リング21と、内周リング22と、一対の固定プレート23,24と、を有している。
図4(a)に示すように、12個のコアコイルセット20は、周方向に並ぶ状態で配置されている。12個のコアコイルセット20の各々は、X方向に延伸し、周方向からの側面視でI字状をしたステータコア200と、これに巻回されてなるコイル203と、を有する。
一対の固定プレート23,24の各々は、円環状をした円環部23a,24aと、円環部23a,24aの一方の主面からX方向に突出した12個のブロック部23b,24bと、が一体に形成されてなる。固定プレート23,24は、電気絶縁性の材料、例えば、セラミックス材料から構成されている。
周方向に配された12個のコアコイルセット20は、各コイル203が固定プレート23の円環部23aと固定プレート24の円環部24aとで、X方向に挟み込まれる。
また、12個のコアコイルセット20の各ステータコア200の間に、固定プレート23のブロック部23b及び固定プレート24のブロック部24bが隙間のない状態で挿入される。
このように、12個のコアコイルセット20は、一対の固定プレート23,24により、位置決めされて固定される。
ここで、図5に示すように、一対の固定プレート23,24の各々には、円環部23a,24aにおけるブロック部23b,24bの各間に、コアコイルセット20のステータコア200の挿通を許す窓部23c(固定プレート24の窓部については、図示を省略。)が開けられている。
図5に示すように、ステータユニット2の形成においては、固定プレート24の窓部に対して、コイル203が当接するまでステータコア200を挿入してゆく。そして、外周リング21及び内周リング22(図示を省略。)を固定した後、ステータコア200を窓部23cに差し込んで、固定プレート23を固定する。これにより、ステータユニット2が完成する。
なお、外周リング21及び内周リング22は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料から構成されている。
図4(b)に戻って、12個のコアコイルセット20の各コイル203と、外周リング21及び内周リング22との各間には、間隙2c,2dが設けられる。間隙2c,2dは、冷却液供給口2a及び冷却液排出口2bとも連通している。
3.コアコイルセット20の構成
コアコイルセット20の構成について、図6及び図7を用い説明する。
図6(a)に示すように、隣接するコアコイルセット20同士は、コイル203が近接あるいは当接する状態で、周方向に配されている。
図6(b)に示すように、複数のコアコイルセット20各々は、ステータコア200と、支持部材201と、ボビン202と、コイル203と、を有している。
ステータコア200は、複数の薄板材がY方向に積層されてなる積層体である。換言すると、各ステータコア200は、軸方向(X方向)及び径方向の双方に直交する方向(Y方向)に、複数の薄板材が積層されてなる。
本実施形態において、ステータコア200を構成する薄板材は、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材であり、板厚は、0.05mm以下(例えば、0.025mm)である。これにより、ケイ素鋼板などを積層してなる従来のステータコアに対して、渦損を大幅に低減することができ、モータ1の高トルク化を図ることができる。
図6(b)及び図7(a)に示すように、支持部材201は、ステータコア200の延伸方向(X方向)の中央部である胴部200iに対し、Y方向両側面200h,200gに接合されている。支持部材201は、電気的絶縁性を有する材料(例えば、セラミックス材料)から構成されており、略三角形断面を有する。ステータコア200への支持部材201の接合は、例えば、接着剤を用いなされる。
ボビン202は、電気的絶縁性材料(例えば、電気絶縁性の樹脂材料)から構成されており、ステータコア200の胴部200iの周囲に形成されている。
なお、ボビン202の形成材料としては、放熱性及び機械的強度などを考慮して、ガラス繊維やフィラーを分散させた材料を使用することもできる。
コイル203は、ボビン202の周囲に巻回されてなる。本実施形態においては、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイル203を採用している。ただし、円断面や長円断面のコイル線を用いたコイルを採用することも適宜可能である。
図6(b)に示すように、コアコイルセット20は、ステータコア200の胴部200iにコイル203が巻回されてなり、当該胴部200iのX方向両側からステータコア200の腕部200j,200kが延伸している。
ステータコア200における腕部200j,200kの端面200a,200bは、それぞれ軸方向(X方向)外側を向いている。ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200dは、図6(a)に示す状態において、径方向外側を向いている。ステータコア200における腕部200j,200kの内周面200e,200fは、図6(a)に示す状態において、径方向内側を向いている。
ここで、図6(b)などに示すように、ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200d及び内周面200e,200fは、回転軸を中心とする曲率半径を以って曲面に加工されている。これは、第1ロータ30及び第2ロータ31の外周面及び内周面に沿うようにしたものであって、ステータコア200の外周面200c,200dとロータ30,31の各永久磁石312との間の間隙を狭くし、内周面200e,200fとロータ30,31の各永久磁石314との間の間隙を狭くするためである。これより、モータ1の高トルク化を図ることができる。
図6(b)及び図7(b)に示すように、ステータコア200の腕部200j,200kにおいて、端面200a,200bの積層界面はZ方向に延伸し、外周面200c,200d及び内周面200e,200fの積層界面はX方向に延伸している。これにより、各腕部200j,200kの3方でロータ30,31の永久磁石312,314,316と磁気的な作用を生じさせることができる。
4.コアコイルセット20の固定
上述のように、12個のコアコイルセット20は、一対の固定プレート23,24で周方向の位置決めがなされ、固定される。図8に示すように、固定プレート23,24は、ステータコア200の胴部200iに巻回されたコイル203をX方向に挟み込み、液密状態となるように接合される。ただし、ステータコア200における胴部200iと腕部200j,200kとの境界部分において、固定プレート23,24の窓部の縁との間に接着剤を塗布することもできる。これにより、液密性を高めることができる。
図8に示すように、12個のコアコイルセット20の各コイル203は、固定プレート23,24と外周リング21及び内周リング22とで構成される円環状管体の内部に収納された状態となっている。外周リング21とコイル203との間、及び内周リング22とコイル203との間に形成される間隙2c,2dには、冷却液供給口2aから供給された冷却液が流通され、供給液排出口2bから排出される。これにより、コイル203の冷却がなされるとともに、コイル203を介してステータコア200の冷却もなされる。
5.ステータユニット2とロータユニット3との配置形態
ステータユニット2とロータユニット3との配置形態について、図9を用い説明する。図9は、ステータユニット2の一部構成とロータユニット3の一部構成を示す模式断面図である。
図9に示すように、ロータ30,31の各ロータベース300,310の各々は、側壁部300a,310aと、外周壁部300b,310bと、内周壁部300c,310cと、が一体形成されてなる。
側壁部300a,310aは、X方向に直交する仮想平面に沿った円板状の壁部である。
外周壁部300b,310bは、側壁部300a,310aの各一方の主面における外縁からX方向に延伸するリング状の壁部である。
内周壁部300c,310cは、側壁部300a,310aの各一方の主面における外縁よりも径方向内側の部分から、X方向に延伸する壁部である。
図9に示すように、ロータベース300,310における側壁部300a,310aと、外周壁部300b,310bと、内周壁部300c,310cと、で囲まれた溝部に対して、間隙をあけてコアコイルセット20のステータコア200の腕部200j,200kが挿入されている。
バックヨーク301,311は、ロータベース300,310における各外周壁部300b、310bの内径側側面に固定されている。上述のように、バックヨーク301,311は、リング状をしている。
永久磁石302,312は、バックヨーク301,311の内周面に固定されている。永久磁石302,312は、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、各々8極構成となっている。上記のように、ステータコア200の外周面200c,200dは、曲面加工されているので、永久磁石302,312との間の間隙が狭く抑えられている。
バックヨーク303,313は、ロータベース300,310における各内周壁部300c,310cの外径側側面に固定されている。バックヨーク303,313は、バックヨーク301,311よりも小径のリング状をしている。
永久磁石304,314は、バックヨーク303,313の外周面に固定されている。永久磁石304,314も、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、各々8極構成となっている。上記のように、ステータコア200の内周面200e,200fも、曲面加工されているので、永久磁石304,314との間の間隙が狭く抑えられている。
バックヨーク305,315は、ロータベース300,310における各側壁部300a,310aの溝底内面に固定されている。バックヨーク305,315は、ロータベース300,310の溝形状に合致する円環状をしている。
永久磁石306,316は、バックヨーク305,315の外周面に固定されている。永久磁石306,316も、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、各々8極構成となっている。
図9に示すように、本実施形態に係るモータ1では、各ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200dに対して、径方向外側に永久磁石302,312が対向し、内周面200e,200fに対して、径方向内側に永久磁石304,314が対向している。これより、コアコイルセット20のステータコア200とロータユニット3の永久磁石302,304,312,314とが径方向(ラジアル方向)に間隙を有した状態で、磁界による吸引力と反発力とが作用する。
また、本実施形態に係るモータ1では、各コアコイルセット20におけるステータコア200の端面200a,200bに対して、軸方向外側に永久磁石306,316が対向している。これより、コアコイルセット20のステータコア200とロータユニット3の永久磁石306,316とが軸方向(アキシャル方向)に間隙を有した状態で、磁界による吸引力と反発力とが作用する。
6.ロータユニット3における永久磁石の配置形態
ロータユニット3における永久磁石の配置形態について、図10を用い説明する。図10は、ステータユニット2とロータユニット3の各一部構成を抜き出して示す模式斜視図である。
図10に示すように、第1ロータ30において、所定の回転角に係る位置を見るとき、外周部にN極磁石302Nが配され、溝底部にもN極磁石306Nが配されている。なお、図示を省略しているが、該位置では、内周部に配置される永久磁石304もN極磁石である。
また、上記の回転角に係る位置に対し、45°位相がずれた位置では、外周部にS極磁石302Sが配され、溝底部にSよく磁石306Sが配され、内周部にもS極磁石が配されている。
次に、第1ロータ30の永久磁石302,304,306の磁極と、第2ロータ31の永久磁石312,314,316の磁極との関係は、所定の回転角に係る位置において、第1ロータ30の永久磁石302,304,306がN極磁石302N,306Nである場合には、第2ロータ31の永久磁石312,314,316がS極磁石312Sとなるように配置されている。
7.磁束の流れ
上記のような構成を有するモータ1での磁束の流れについて、図11から図13を用い説明する。図11は、周方向からステータユニット2の一部構成とロータユニット3の一部構成とを示す模式図である。図12及び図13は、ステータユニット2の一部構成とロータユニット3の一部構成とを示す模式図である。
(1)磁束MF,MF
図11及び図12に示すように、磁束MFは、ステータコア200(200A)の腕部200jの外周面200cから永久磁石302(302A)を介して、バックヨーク301へと流れる。
磁束MFは、ステータコア200(200A)の腕部200jの内周面200eから永久磁石304(304A)を介して、バックヨーク303へと流れる。
図12に示すように、磁束MFは、バックヨーク301において、周方向の前後に分岐する。分岐した磁束MFの一方は、永久磁石302Bを介して、コアコイルセット20のステータコア200Bへと流れる。
一方、分岐した磁束MFの他方は、永久磁石302Cを介して、コアコイルセット20のステータコア200Cへと流れる。
図12に示すように、磁束MFは、バックヨーク303において、周方向の前後に分岐する。分岐した磁束MFの一方は、永久磁石304Bを介して、コアコイルセット20のステータコア200Bへと流れる。
一方、分岐した磁束MFの他方は、永久磁石304Cを介して、コアコイルセット20のステータ200Cへと流れる。
以上のような磁束MF,MFの流れがコアコイルセット20のコイル203に供給される電流の方向及び位相に基づき、順次変化する。
(2)磁束MF
図11に示すように、磁束MFは、ステータコア200(200A)の端面200aから永久磁石306(306A)を介して、バックヨーク305へと流れる。
図13に示すように、磁束MFは、バックヨーク305において、周方向の前後に分岐する。分岐した磁束MFの一方は、永久磁石306Bを介して、コアコイルセット20のステータコア200Bへと流れる。
一方、分岐した磁束MFの他方は、永久磁石306Cを介して、コアコイルセット20のステータコア200Cへと流れる。
なお、各コアコイルセット20のステータコア200におけるX方向反対側に延伸する腕部200kにおいても、同様の磁束の流れが生じる。
以上のように、本実施形態では、磁束MF,MF,MFによりモータ1の回転駆動がなされる。しかも、周方向に配された12個のコアコイルセット20と、3方向に対向する永久磁石302,304,306,312,314,316と、により磁束MF,MF,MFの流れが形成される。
8.効果
本実施形態に係るモータ1では、コアコイルセット20のステータコア200の端面200a,200bが、ロータ30,31の永久磁石306,316に対して軸方向に対向し、腕部200j,200kの外周面200c,200dが、ロータ30,31の永久磁石302,312に対して径方向に対向し、腕部200j,200kの内周面200e,200fが、ロータ30,31の永久磁石304,314に対して径方向に対向する。このように、本実施形態に係るモータ1は、コアコイルセット20におけるステータコア200の腕部200j,200kの各々に対して、3方向でロータ30,31の永久磁石302,304,306,312,314,316が対向する。よって、製造コストの高騰を抑制できるとともに、大型化を抑えながら高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア200の各々を、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材の積層体を用いている。このような構成のステータコア200では、方向性電磁鋼板やケイ素鋼板を用いたステータコアに対して、鉄損(渦損)を大幅に小さくすることができる。
従って、モータ1では、従来技術に係る回転電機に対して、大型化を避けながら高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア200の各々を構成する薄板材の板厚を、0.05mm以下(例えば、0.025mm)と極薄にしている。これにより、0.2mmが板厚の下限であったケイ素鋼板を用いる従来技術に比べて、渦損の低減を図ることができ、大型化を避けながら高トルク化を図ることができるモータ1を実現可能となる。
また、本実施形態に係るモータ1では、1つのステータユニット2に対して、2つのロータ30,31が対向する構成としている。これにより、磁気飽和の発生を抑制し、ステータコア200の端面200a,200b及び周面200c,200d,200e,200fと、ロータ30,31の永久磁石302,304,306,312,314,316との対向面積を増やすことができる。よって、モータ1において、大型化を避けながら、更なる高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、コアコイルセット20の各々におけるコイル203として、平角線のエッジワイズ巻きで構成されてなるコイルを採用した。このように平角線をエッジワイズ巻きして構成されたコイル203を採用することにより、高いコイル占積率を実現することができ、高トルク化を図るのに好適である。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200d及び内周面200e,200fを曲面で構成することとした。このように、ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200d及び内周面200e,200fを曲面とすることによって、ステータコア200における腕部200j,200kの外周面200c,200d及び内周面200e,200fとロータ30,31の永久磁石302,304,306,312,314,316との間の間隙を小さく抑えることができ、モータ1のサイズの大型化を避けながら高トルク化を図ることができる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア200の露出表面が、ボビン202を構成する材料と同じ樹脂材料からなる皮膜により被覆されているので、ステータコア200における薄板材同士の間の接着力を補強することができるとともに、ボビン202を構成する材料は絶縁材料であるので、ステータコア200と周辺部材との間の電気的な絶縁性を確保することもできる。
また、本実施形態に係るモータ1では、ステータコア200の側面部200g,200hとコイル203との間の一部領域に、支持部材201を挿設することとしたので、ステータコア200に対してコイル203を巻回する際にステータコア200にかかる応力を緩和することができる。
[第2実施形態]
1.ステータユニット7及びロータユニット8の構成
本発明の第2実施形態に係るモータの構成の内、ステータユニット7及びロータユニット8の構成について、図14及び図15を用い説明する。図14は、本実施形態に係るステータユニット7及びロータユニット8の各一部構成を示す模式断面図である。図15は、ステータユニット7の一部構成を示す模式斜視図である。
図14に示すように、本実施形態に係るステータユニット7は、複数のコアコイルセット70と、バックヨーク75と、を備える。なお、図15に示すように、コアコイルセット70は、周方向に複数個(例えば、12個ずつ)配置されている。コアコイルセット70におけるステータコア700同士は、周方向において、互いに間隔をあけた状態で配置されている。
複数のコアコイルセット70の各々は、ステータコア700と、支持部材(図示を省略。)と、ボビン(図示を省略、)と、コイル703と、から構成されている。
図14に示すように、本実施形態に係るステータコア700は、胴部700iと、当該胴部700iの一方からX方向に延伸された腕部700jと、胴部700iの他方から延伸された接続部700kと、を有する。
なお、ステータコア700の接続部700kは、端部でバックヨーク75の接続されている。
図15に示すように、バックヨーク75は、X方向(軸方向)からの正面視で円環状をしており、複数のステータコア700の全ての接続部700kが接続されている。そして、バックヨーク75は、アモルファス軟磁性材料からなる薄板材を巻回して形成されたものであって、用いる薄板材の板厚などに関しては、上記第1実施形態に係るステータコア200と同様である。
図14に示すように、本実施形態に係るロータユニット8は、ロータ80を有する。ロータ80は、ロータベース800と、バックヨーク801,803,805と、複数の永久磁石802,804,806と、を有する。
ロータ80のロータベース800は、側壁部800aと、外周壁部800bと、内周壁部800cと、が一体形成されてなる。
側壁部800aは、X方向に直交する仮想平面に沿った円板状の壁部である。
外周壁部800bは、側壁部800aの一方の主面(X方向右側の主面)における外縁からX方向右側に向けて延伸するリング状の壁部である。
内周壁部800cは、側壁部800aの一方の主面(X方向右側の主面)における外縁よりも径方向内側の部分から、X方向右側に向けて延伸するリング状の壁部である。
図14に示すように、ロータベース800における側壁部800aと、外周壁部800bと、内周壁部800cと、で囲まれた溝部に対して、コアコイルセット70におけるステータコア700の腕部700jが間隙をあけた状態で挿入されている。
バックヨーク801は、ロータベース800における外周壁部800bの内径側側面に固定されている。バックヨーク801は、リング状をしている。
永久磁石802は、バックヨーク801の内周面に固定されている。永久磁石802は、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、8極構成となっている。上記第1実施形態と同様に、ステータコア700の外周面700cは、曲面加工されている。このため、ステータコア700の腕部700jにおける外周面700cと永久磁石802との間の間隙が狭く抑えられている。
バックヨーク803は、ロータベース800における内周壁部800cの外径側側面に固定されている。バックヨーク803は、バックヨーク801よりも小径のリング状をしている。
永久磁石804は、バックヨーク803の外周面に固定されている。永久磁石804も、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、8極構成となっている。上記のように、ステータコア700の腕部700jにおける内周面700eについても、曲面加工されている。これより、ステータコア700の腕部700jにおける内周面700eと永久磁石804との間の間隙が狭く抑えられている。
バックヨーク805は、ロータベース800における側壁部800aの溝底内面に固定されている。バックヨーク805は、ロータベース800の溝形状に合致する円環状をしている。
永久磁石806は、バックヨーク805の外周面に固定されている。永久磁石806も、周方向において、N極磁石とS極磁石とが交互に配列され、8極構成となっている。
図14に示すように、本実施形態に係るモータでは、ステータコア700における腕部700jの外周面700cに対して、径方向外側に永久磁石802が対向し、内周面800eに対して、径方向内側に永久磁石804が対向している。これより、コアコイルセット70のステータコア700と永久磁石802,804とが径方向(ラジアル方向)に間隙を有した状態で、磁界による吸引力と反発力とが作用する。
また、本実施形態に係るモータでは、各コアコイルセット70におけるステータコア700の端面700aに対して、軸方向外側に永久磁石806が対向している。これより、コアコイルセット70のステータコア700と永久磁石806とが軸方向(アキシャル方向)に間隙を有した状態で、磁界による吸引力と反発力とが作用する。
なお、本実施形態に係るステータユニット7及びロータユニット8を含むモータについて、特に説明していない構成については、上記第1実施形態と同様の構成を有する。
2.磁束の流れ
本実施形態に係るモータにおいては、上述のように、スロット単位で独立した状態で、周方向に12個のコアコイルセット70が配置されている。隣り合う3つのコイル803には、位相が互いにずれた電力が供給される。
磁束MFは、バックヨーク75からステータコア700へと流れ、永久磁石802を介して、バックヨーク801へと流れる。バックヨーク801へと流れた磁束MFは、上記第1実施形態と同様に、周方向に分岐して、周方向に異なるステータコア700に流れる。そして、バックヨーク75へと戻る。
磁束MFは、バックヨーク75からステータコア700へと流れ、永久磁石804を介して、バックヨーク803へと流れる。バックヨーク803へと流れた磁束MFは、上記第1実施形態と同様に、周方向に分岐して、周方向に異なるステータコア700に流れる。そして、バックヨーク75へと戻る。
磁束MFは、バックヨーク75からステータコア700へと流れ、永久磁石806を介して、バックヨーク805へと流れる。バックヨーク805へと流れた磁束MFは、上記第1実施形態と同様に、周方向に分岐して、周方向に異なるステータコア700に流れる。そして、バックヨーク75へと戻る。
以上のような磁束MF,MF,MFの流れがコイル703に供給される電流の方向及び位相に基づき、順次変化することにより、モータの回転駆動がなされる。
3.効果
本実施形態に係るモータでは、ステータコア700の形状を側面視でJ字状又はL字状とする点において、上記第1実施形態と差異を有する。このような差異により、本実施形態に係るモータでは、更なる小型化を図りながら、上述と同様に、渦損の低減を図ることで高トルク化を実現することができる。
また、本実施形態では、ステータコア700における接続部700kをバックヨーク75に接続することとしており、これにより、モータの大型化を避けながら、良好な磁束MF,MF,MFの流れを形成することができる。
また、本実施形態では、ステータコア700の接続部700kをバックヨーク75に接続しているので、上記第1実施形態と比べて、軸方向(X方向)の長さを短くすることができ、小型化を図ることができる。
なお、他の構成については、上記第1実施形態と差異はないので、上記第1実施形態に係るモータ1の効果をそのまま得ることができる。
[変形例]
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、回転電機の一例として、モータを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本発明は、発電機や発電機兼モータに対して適用することも可能である。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ステータコア200,700の横断面形状として径方向内側が細い多角形としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、横断面形状が長円形や楕円形などとすることもできる。
また、ステータコア200,700とボビン202との間に介挿される支持部材201の材料としてセラミックスを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、樹脂材料などを採用することもできる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、全てのステータコア200,700をアモルファス軟磁性材料からなる薄板材の積層体としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、一部のステータコアについて、ケイ素鋼板を用いることとしてもよい。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ステータコア200,700をアモルファス軟磁性材料からなる薄板材を複数積層して形成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、アモルファス状態ではないナノ結晶化させた軟磁性材料からなる薄板材を複数積層してステータコアを構成することとしてもよい。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、コアコイルセット20,70のそれぞれについて、12個配置することとし、ロータ30,31,80のそれぞれにおける永久磁石を8極としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、6個のコアコイルセットに対して8極の永久磁石を対向させる形態とすることや、18個のコアコイルセットに対して8極の永久磁石を対向させる構成、21個のコアコイルセットに対して8極の永久磁石を対向させる構成、12個のコアコイルセットに対して16極の永久磁石を対向させる構成とすることなど、種々の組み合わせに係る態様を採用することも可能である。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ステータコア200,700の端面200a.200b,700aに対して、ロータユニット3,8の永久磁石306,316,806を対向させる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、図9及び図14に示す形態に対して、バックヨーク305,315,805と永久磁石306,316,806を取り除いた構成を採用することもできる。即ち、本発明は、ラジアルギャップ型とアキシャルギャップ型との複合型の回転電機には限定されない。
また、本発明では、図9及び図14に示す形態に対して、バックヨーク301,311,801と永久磁石302,312,802を取り除いた構成や、バックヨーク303,313,803と永久磁石304,314,804を取り除いた構成などを採用することも可能である。
1 モータ(回転電機)
2,7 ステータユニット
3,8 ロータユニット
20,70 コアコイルセット
30 第1ロータ
31 第2ロータ
32 回転軸
80 ロータ
200,700 ステータコア
200a,200b,700a 端面
200c,200d,700c 外周面
200e,200f,700e 内周面
203,703 コイル
301,303,305,311,313,315,801,803,805 バックヨーク
302,304,306,312,314,316,802,804,806 永久磁石

Claims (4)

  1. ステータとロータとを備え、
    前記ステータは、
    互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、
    前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、
    前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、
    前記ロータは、
    回転軸と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第1永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いており、
    前記ロータは、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第4永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、
    を更に有する、
    ことを特徴とする回転電機。
  2. ステータとロータとを備え、
    前記ステータは、
    互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、
    前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、
    前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、
    前記ロータは、
    回転軸と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第3永久磁石と、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いており、
    前記ロータは、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第4永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、
    を更に有する、
    ことを特徴とする回転電機。
  3. ステータとロータとを備え、
    前記ステータは、
    互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと
    前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、
    前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、
    前記ロータは、
    回転軸と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1端面に対して、軸方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第1永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面及び内周面の一方の面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いており、
    前記ロータは、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第6永久磁石と、
    を更に有する、
    ことを特徴とする回転電機。
  4. ステータとロータとを備え、
    前記ステータは、
    互いに間隔をあけた状態で周方向に配置された複数のステータコアと、
    前記複数のステータコアの各々に巻回されてなる複数のコイルと、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、複数の薄板材が軸方向及び径方向の双方向に直交する方向に積層されてなる積層体であって、これを周方向から側面視するとき、軸方向に沿った胴部と、当該胴部の一方から軸方向に延伸してなる第1腕部と、を有し、前記第1腕部の端面である第1端面が軸方向外側を向いており、
    前記複数のコイルの各々は、前記複数のステータコアの各々における前記胴部に巻回されてなり、
    前記ロータは、
    回転軸と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第2永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第1腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第3永久磁石と、
    を有し、
    前記複数のステータコアの各々は、前記胴部の他方から軸方向に延伸してなる第2腕部を、更に有し、前記第2腕部の端面である第2端面が、前記第1端面とは反対向きの軸方向外側を向いており、
    前記ロータは、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における外周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第5永久磁石と、
    前記回転軸と一体に回転し、前記複数のステータコアの前記第2腕部の径方向における内周面に対して、径方向に間隙をあけた状態で対向配置されてなる複数の第6永久磁石と、
    を更に有する、
    ことを特徴とする回転電機。
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