JP2018028499A - 磁界センサ素子及び磁界センサ装置 - Google Patents

磁界センサ素子及び磁界センサ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の磁性ガーネットに代わる温度特性に優れた新規のファラデー効果磁気光学薄膜を利用して電流値を測定できる、小型でシンプルな光学系の磁界センサ素子及び磁界センサ装置を提供する。【解決手段】光ファイバ20と、光ファイバ20の端面27に設けられた、金属磁性体21を含む光透過膜30と、光透過膜20上に設けられた反射膜40とを有する磁界センサ素子10により上記課題を解決した。光透過膜30については、金属磁性体31からなる薄膜と誘電体膜とを有するようにしてもよいし、金属磁性体の微粒子を誘電体中に含むグラニュラー膜としてもよい。金属磁性体としては、Fe、Co及びNiから選ばれる1又は2以上を含み、Al、Si、B、P、C等のファラデー効果調整元素を含んでいてもよい。また、光ファイバ20は、偏波保持光ファイバであることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、磁界センサ素子及び磁界センサ装置に関し、さらに詳しくは、金属磁性体のファラデー効果を利用して電流値を測定することができる、小型でシンプルな光学系を備える磁界センサ素子及び磁界センサ装置に関する。
ハイブリット自動車や電気自動車では、DC−DCコンバータやインバータ等を備えるパワーコントロールユニットによって、バッテリの充放電管理とモーター制御等が行われている。また、減速時の運動エネルギーを発電機によってバッテリに回生する制御を行っている。なお、運動エネルギーを回生するシステム(Kinetic Energy-Recovery System)は、ブレーキング時のエネルギーを回収・蓄積し、再利用するシステムの総称である。これらの自動車では、そのような複雑な制御を行うために複数な電流センサが用いられている。
パワーコントロールユニットに代表されるパワーエレクトロニクス回路では、パワー半導体のスイッチングによって電力の変換や制御を行うため、直流から高い周波数まで測定可能な電流センサが必要である。電流センサとしては、例えば、(ア)主回路に低抵抗を直列に挿入して電流に比例する電圧を検出するシャント抵抗、(イ)電流配線を貫通させたトロイダル磁気ヨークのエアギャップ内に半導体ホール素子を設置して電流に比例するエアギャップ磁界をホール起電力として検出するホール素子、が広く用いられている。シャント抵抗は、簡便である反面、主回路に直接入るために電力損失が増加する。また、電流に比例するシャント抵抗の両端電圧を主回路から絶縁して制御回路に伝送させる必要があり、主回路の電圧が高い場合はシャント抵抗電圧の絶縁増幅器に高電圧絶縁を考慮した設計が必要になる。一方、ホール素子のような磁界センサによって電流磁界を検出する方法は、主回路から絶縁されて電流が測定されるので、センサ信号を制御回路に直接入力することができる。
パワーエレクトロニクス回路内では、パワー半導体によるスイッチング動作のために電磁ノイズが多く発生する。そのため、各種のセンサには十分なノイズ対策が求められる。特に、自動車や電気鉄道では、安心・安全な運行のためにセンサには高い信頼性と高い電磁ノイズ耐性が求められる。前述したシャント抵抗やホール素子のいずれもセンサ信号は金属導体配線で伝送されるため、伝送途中で混入する電磁ノイズの影響を排除するために十分なノイズシールド対策が必要であるとともに、混入したノイズを抑制するためノイズフィルタを備える等の対策が必要である。
しかしながら、一般に、電子機器のノイズ対策が試行錯誤的に行われるのと同様に、パワーエレクトロニクス回路においても対症療法的に対策しているのが実情であり、電磁ノイズの影響を受けないセンサの実現が要望されている。
電磁ノイズの影響を受けないセンサとして、光信号を用いた方法が提案されている。例えば、非特許文献1には、光ファイバを伝搬する光の偏光面が電流磁界によって回転するファラデー効果を利用した変電施設用大電流センサが提案されている。この大電流センサでは、光ファイバ内のファラデー効果が小さいため、光ファイバを電線に巻き回して偏光面の回転角を大きくしている。また、特許文献1には、磁性ガーネットのファラデー効果を利用した磁気光学効果型磁界センサが提案され、高周波電磁界計測装置として実用化されている。
ファラデー効果以外の現象を利用して電流磁界を検出する光学式電流センサも提案されている。例えば、特許文献2に記載の磁界検出による光プローブ電流センサ装置は、発光部及び受光部と、センサ部と、2つの光ファイバコアと、信号処理部とを備え、センサ部は、面内磁気カー効果を生じる磁性体と、磁性体からの反射光をS偏光成分とP偏光成分とに分岐する偏光子とを含んでいる。そして、一方の光ファイバコアは、分岐されたS偏光成分の光を伝搬し、他方の光ファイバコアは、分岐されたP偏光成分の光を伝搬し、受光部は、それぞれの光信号を第1及び第2電気信号に変換し、信号処理部は、第1電気信号で第2電気信号を除算する第1除算回路と、第2電気信号で第1電気信号を除算する第2除算回路と、第1及び第2除算回路のそれぞれの出力値を差動増幅して出力する差動増幅回路とを含むというものである。
また、改良ファラデー効果型の磁界感応素子も幾つか提案されている。例えば、特許文献3に記載の多層膜磁界感応素子は、磁気光学材料と誘電体材料よりなり、周期的に繰り返し構造を有する多層膜であって、繰り返し周期が多層膜の中心を対称として反転した構造の多層膜ファラデー回転子よりなるものであり、外部から印加される磁界によって透過率または反射率が変化する性能を有するというものである。具体的には、多層膜は、M層をビスマス置換イットリウム鉄ガーネットとし、G層をSiOとし、[MG][2M][GM]のような多層構造であり、その多層膜を、光ファイバよりなる入出力ポートを有する屈折率分布型ロッドレンズに装着し、その多層膜による光の反射率から外部磁界の強度を測定できるというものである。
高橋正雄,他「光ファイバの磁気光学効果を用いた電流センサの受配電機器への適用」,まぐね,Vol.1,No.3,pp.118−122,2006.
国際公開WO2007/000947 特開2014−145719号公報 特開2000−206218号公報
非特許文献1と特許文献1で提案された各センサは、電磁ノイズの影響を受けないパワーエレクトロニクス回路用電流センサとして大きな可能性を持っているが、ハイブリッド自動車や電気自動車への搭載を考えた場合、高い電磁ノイズ耐性に加えて、−40℃〜+150℃の広い温度範囲で動作すること、センサが小型軽量であること、が求められる。電線に光ファイバを巻き回す光ファイバセンサ(非特許文献1)は小型化が難しくて車載応用は困難であり、磁性ガーネットを用いたファラデー効果型センサ(特許文献1)は磁性ガーネット結晶のキュリー温度が200℃〜300℃であるために高温での動作が困難である。このように、光をプローブにした従来型ファラデー効果型電流センサは、高い電磁ノイズ耐性を有するものの、広い温度範囲で動作可能で小型軽量を併せ持つセンサは未だ実現されていない。
特許文献2で提案された光プローブ電流センサ装置は、光Kerr効果を利用した電流センサであり、磁性体に対して斜めに光を入出力する必要がある。そのため、この光プローブ電流センサ装置は、2系統の光学系が必要となり、光学系の構成が複雑になっている。また、この光プローブ電流センサ装置では、光Kerr回転角が数百A時に0.07deg程度しか回転しないため、偏波保持光ファイバを伝送媒体として利用する場合、偏光分離した光が伝搬中にクロストーク内に潜ってしまって検出できない。そのため、磁性体に対して斜めに入射させた光は、磁性体で反射した直後に偏光分離させる必要があり、偏光分離するための光学素子をセンサヘッド近傍に配置することが必要となり、光学系が大型化すると共に部品のアライメント調整が必要になって組み立てコストが増加してしまう。
また、特許文献1や特許文献3で提案されたファラデー効果型磁界感応素子は、キュリー温度が低い磁性ガーネットを利用するため、温度特性に劣る。また、特許文献3の磁界感応素子では、多層膜として、Bi2Fe512からなるビスマス置換イットリウム鉄ガーネットをM層とし、SiOをG層としており、化合物の正確な組成制御が必要である。さらに、この磁界感応素子は、多層膜を屈折率分布型ロッドレンズに成膜し、そのロッドレンズに入力用光ファイバと出力用光ファイバとを光学的に接続しているため、部品数が多く、2系統の光学系が必要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、従来の磁性ガーネットに代わる温度特性に優れた新規のファラデー効果磁気光学薄膜を利用して電流値を測定できる、小型でシンプルな光学系の磁界センサ素子及び磁界センサ装置を提供することにある。
(1)本発明に係る磁界センサ素子は、光ファイバと、前記光ファイバの端面に設けられた、金属磁性体を含む光透過膜と、前記光透過膜上に設けられた反射膜とを有することを特徴とする。
この発明によれば、光ファイバを伝搬した光が光透過膜を透過し、さらに反射膜で反射した後に再度光透過膜を透過するので、磁界の存在下において、光透過膜が含む金属磁性体のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。その結果、存在する磁界をセンシングすることができる。なお、その磁界が導体を流れる電流によって生じている場合には、流れる電流の電流値を測定することができる。さらに、金属磁性体は、従来の磁性ガーネットのような酸化物や化合物ではないのでキュリー温度が高く、温度特性に優れたものとなり、ハイブリッド自動車や電気自動車等のように広い温度範囲で使用されるパワーエレクトロニクス回路用電流センサ等として使用することができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記光透過膜が、前記金属磁性体からなる薄膜と誘電体膜とを有する。
この発明によれば、金属磁性体からなる薄膜(金属磁性体薄膜という。)と誘電体膜とを有する光透過膜内を光が透過することにより、その金属磁性体薄膜のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。なお、前記光透過膜としては、前記薄膜と前記誘電体膜とが交互に積層されている、又は、前記薄膜を挟んで前記誘電体膜が配置されているように構成できる。特に金属磁性体薄膜と誘電体膜とが交互に積層されていることで、複数積層された金属磁性体薄膜のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記誘電体膜の厚さは、前記光透過膜に入射する光の波長の1/4±20%の範囲内であるように構成できる。
この発明によれば、誘電体膜の厚さを上記範囲内にすることにより、ファラデー効果を大きくすることができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記光透過膜が、前記金属磁性体の微粒子を誘電体中に含むグラニュラー膜である。
この発明によれば、光透過膜が金属磁性体の微粒子(金属磁性体微粒子という。)を誘電体中に含むグラニュラー膜であるので、そのグラニュラー膜に含まれる複数の金属磁性体微粒子のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記金属磁性体が、Fe、Co及びNiから選ばれる1又は2以上を含む。この発明によれば、金属磁性体がFe、Co及びNiから選ばれる1又は2以上を含むので、そのファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記金属磁性体が、Al、Si、B、P、C等のファラデー効果調整元素を含む。
この発明によれば、金属磁性体に前記元素を含ませることにより、磁性体の磁気ヒステリシスの影響を小さくし軟磁性を向上できるとともにファラデー効果による光の偏光面の回転角を調整することができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記光透過膜の厚さが、前記入射する光の波長λの1/2である。
この発明によれば、光透過膜の厚さが入射する光の波長λの1/2であるので、ファブリペロー共振させることができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記光ファイバが、偏波保持光ファイバである。
この発明によれば、偏波保持光ファイバとすることより、直線偏光を一定強度に保持した状態で伝搬して光透過膜に入射させ、反射膜で反射して再度光透過膜を透過した戻り光を一定強度に保持した状態で伝搬することができる。
本発明に係る磁界センサ素子において、前記光透過膜は、電流値の測定対象の導体に電流が流れた際に生じる磁界の方向と前記光透過膜の膜面の法線方向とが一致する位置に配置されている。
この発明によれば、そうした位置に配置された光透過膜は、光透過膜の法線方向と生じた磁界方向とが一致するので、光透過膜に含まれる金属磁性体の磁界方向が、磁界によって最大90°回転してファラデー効果を生じさせることができる。
(2)本発明に係る磁界センサ装置は、上記本発明に係る磁界センサ素子と、前記磁界センサ素子が有する光ファイバに直線偏光を導入する発光装置と、前記磁界センサ素子が有する光ファイバから導出された戻り光を受光する受光装置とを有することを特徴とする。
本発明に係る磁界センサ装置において、前記受光装置は、前記戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記S偏光成分及び前記P偏光成分を受光して電気信号に変換する受光素子と、前記電気信号を処理する信号処理部とを有するように構成できる。
本発明に係る磁界センサ装置において、前記発光装置は、発光素子と、該発光素子から発した光を直線偏光にする偏光子とを有するように構成できる。
本発明に係る磁界センサ装置において、1つ又は2つの前記磁界センサ素子からなるセンサヘッドを有する。
本発明に係る磁界センサ装置において、前記センサヘッドを構成する前記磁界センサ素子の前記光透過膜が、電流値の測定対象の導体に電流が流れた際に生じる磁界の方向と前記光透過膜の膜面の法線方向とが一致する位置となるように配置されている。
本発明によれば、従来の磁性ガーネットに代わる温度特性に優れた新規のファラデー効果磁気光学薄膜を利用して電流値を測定できる、小型でシンプルな光学系の磁界センサ素子及び磁界センサ装置を提供することができる。
特に本発明によれば、光透過膜が含む金属磁性体のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。その結果、存在する磁界をセンシングすることができる。さらに、金属磁性体は、従来の磁性ガーネットのような酸化物や化合物ではないのでキュリー温度が高く、温度特性に優れたものとなり、ハイブリッド自動車や電気自動車等のように広い温度範囲で使用されるパワーエレクトロニクス回路用電流センサ等として使用することができる。
本発明に係る磁界センサ素子の一例を示す模式図である。 光透過膜によって偏光回転角が増幅する原理の説明図である。 導体に電流が流れて生じる磁界の方向と磁性膜の磁界の方向との関係を示す説明図である。 金属磁性体薄膜を有する光透過膜の一例を示す断面構成図である。 金属磁性体薄膜を有する光透過膜の他の一例を示す断面構成図である。 グラニュラー膜を有する光透過膜の一例を示す断面構成図である。 グラニュラー膜を有する光透過膜の他の一例を示す断面構成図である。 光ファイバの断面形態を示す説明図であり、(A)はシングルモード光ファイバの例であり、(B)は偏波保持光ファイバの例である。 本発明に係る磁界センサ装置の全体構成図である。 信号処理部のブロック図である。 1つのセンサヘッドを持つ磁界センサ素子の具体例であり、(A)は丸線導体を測定するセンサヘッド形態であり、(B)は矩形導体を測定するセンサヘッド形態である。 1つのセンサヘッドを持つ磁界センサ素子の具体例であり、(A)は丸線導体を測定するセンサヘッド形態であり、(B)は矩形導体を測定するセンサヘッド形態である。 2つのセンサヘッドを持つ磁界センサ素子によって外部磁場等の磁界の影響をキャンセルする原理を示す説明図である。 2つのセンサヘッドを持つ磁界センサ素子の具体例であり、(A)は平面図であり、(B)は矩形導体用測定ヘッドの側面図であり、(C)は丸線導体用測定ヘッドの側面図である。 2つのセンサヘッドを持つ磁界センサ素子で導体を測定する具体例であり、(A)は矩形導体用測定ヘッドで矩形導体を測定した例であり、(B)は丸線導体用測定ヘッドで丸線導体を測定した例である。 磁性膜のファラデー回転角を測定する装置の模式図である。 光の波長に対する磁性膜のポテンシャル透過率の計算結果である。 光の波長に対するファラデー回転角の計算結果である。
本発明に係る磁界センサ素子及び磁界センサ装置について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、その要旨の範囲で以下の説明及び図面に限定されない。
[磁界センサ装置]
本発明に係る磁界センサ装置1は、図9に示すように、磁界センサ素子10と発光装置50と受光装置60とを有する。この磁界センサ装置1において、磁界センサ素子10は、光ファイバ20と、光ファイバ20の端面(先端側の端面)27に設けられた光透過膜30と、光透過膜30上に設けられた反射膜40とを有している。また、発光装置50は、発光素子51と偏光子52とを有している。また、受光装置60は、偏光子62と偏光分離素子64と受光素子66(66S,66P)と信号処理部67とを有している。磁界センサ装置1は、さらに、ハーフミラー53を有し、そのハーフミラー53は、発光装置50からの光を光ファイバ20に導入するとともに、磁界センサ素子10からの戻り光を受光装置60に送るように機能する。
こうして構成された磁界センサ装置1では、光ファイバ20を伝搬した光が光透過膜30を透過し、さらに反射膜40で反射した後に再度光透過膜30を透過するので、磁界の存在下において、光透過膜30が含む金属磁性体31のファラデー効果により光の偏光面の回転角を大きくすることができる。その結果、存在する磁界をセンシングすることができる。なお、その磁界が導体を流れる電流によって生じている場合には、流れる電流の電流値を測定することができる。さらに、金属磁性体31は、従来の磁性ガーネットのような酸化物や化合物ではないのでキュリー温度が高く、温度特性に優れたものとなり、ハイブリッド自動車や電気自動車等のように広い温度範囲で使用されるパワーエレクトロニクス回路用電流センサ等として使用することができる。
以下、磁界センサ素子及び磁界センサ装置の各構成要素を詳しく説明する。
<磁界センサ素子>
磁界センサ素子10は、図1に示すように、光ファイバ20と、光ファイバ20の端面(先端側の端面)27に設けられた、金属磁性体31を含む光透過膜30と、光透過膜30上に設けられた反射膜40とを有している。
この磁界センサ素子10では、(1)直線偏光が光ファイバ20で伝搬され、(2)伝搬された直線偏光が光透過膜30に入射すると、光透過膜30が有する金属磁性体31によるファラデー効果により、偏光面の回転角が大きくなる。(3)大きく回転した光は光ファイバ20に戻り光として伝搬され、その後にP偏光成分とS偏光成分に分離され、受光素子でそれぞれの強度の大きさが求められる。
(光透過膜)
光透過膜30は、図1に示すように、光ファイバ20の先端側の端面27に設けられている。この光透過膜30は、光透過性であるとともに、金属磁性体31を含んでいる。光透過膜30は、平坦に端面加工された光ファイバ20の端部27に設けられていることが好ましい。
(金属磁性体)
金属磁性体31は、図2に示すように、光ファイバ20で伝搬された直線偏光を、ファラデー効果により偏光面の回転角を大きくするように作用する。金属磁性体31は、そうした挙動を生じる性質を有する膜であればよく、その種類は特に限定されないが、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金を挙げることができる。その合金としては、例えば、FeNi合金、FeCo合金、FeNiCo合金、NiCo合金を挙げることができる。ファラデー回転角はベルデ定数で定義されているが、Fe、Co、Niの単位長さあたりの旋光角(ファラデー回転角)は、表1に示すように、従来のファラデー回転子に適用されている磁性ガーネットに比べると、2桁〜3桁近く大きい。したがって、Fe、Co、Niやこれらの合金である金属磁性体31を用いることにより、図2及び図3に示すファラデー効果を生じるので好ましく適用できる(後述の図18の結果も参照。)。なお、表1中、「室温」とは、25℃である。
なお、ファラデー効果は、金属磁性体31の磁界の方向H2と平行な直線偏光を金属磁性体31に透過させたときに、偏光面が回転する現象のことであり、偏光面の回転をファラデー回転という。ファラデー回転による回転角は、光Kerr効果(最大カー回転角は1°以下と小さい。)により生じる回転角の10倍〜100倍程度大きくなる。
上記した金属磁性体31は、いずれもキュリー温度が高い。キュリー温度は強磁性体が常磁性体に変化する転移温度であり、例えば、Fe:1043℃、Co:1388℃、Ni:627℃である。磁性ガーネットを用いる従来のファラデー効果型磁界センサでは、ガーネット材料のキュリー温度が200℃〜300℃程度であり、−40〜150℃の広い温度範囲で動作が要求される自動車用センサの温度範囲に近い。そのため、キュリー温度に近い高温でのセンサ動作が困難になることや、センサ感度が周囲温度に大きく影響されることもある。
金属磁性体31には、さらに、Al、Si、B、P、C等の元素を含んでいてもよい。これらの元素は、金属磁性体31の磁気特性を制御する調整元素として作用し、特に軟磁性を向上させる調整元素として作用する。なかでも、Si、B、Pは良好な軟磁性が期待されるアモルファス合金を得るために含有させることが好ましく、これらの合計含有量は、10質量%〜20質量%程度であることが好ましい。
図3は、導体81に電流が流れて生じる磁界の方向H1と金属磁性体31の磁界の方向H2との関係を示す説明図である。本発明において、光透過膜30は、電流値の測定対象の導体81に電流が流れた際に生じる磁界の方向H1と、光透過膜30の膜面となる金属磁性体31の法線方向Aとが一致する位置に配置されている。こうした位置に配置された光透過膜30は、光透過膜30の膜面の法線方向Aと生じた磁界方向H1とが一致するので、光透過膜30に含まれる金属磁性体31の磁界の方向H2が、磁界(方向H1)によって最大90°回転してファラデー効果を生じさせることができる。
具体的には、金属磁性体31は、図3に示すように、導体81に電流が流れた場合に発生する磁界の方向H1が金属磁性体31の法線方向Aになるように、金属磁性体31の辺(金属磁性体薄膜の周縁の辺のこと)が導体81に沿って配置されている。言い換えれば、導体81は、金属磁性体31の辺に沿うとともに金属磁性体31の面内方向の延長上に位置するように配置されている。このように配置された導体81と金属磁性体31において、図3(A)では、電流は導体81中を流れておらず、磁界(印加磁界)は発生していない。光ファイバ20を伝搬した直線偏光は、この金属磁性体31に入射しても、ファラデー効果は起こらず、直線偏光のままである。
一方、図3(B)では、電流が導体81中を流れており、電流によって磁界が発生している。発生した磁界の方向H1は、金属磁性体31の法線方向Aと同じ方向になり、金属磁性体31の磁界の方向H2が磁界の方向H1と同じになる。磁界の大きさは、導体81を流れる電流の量によって変化する。磁界の方向H1と同じ磁界の方向H2の金属磁性体31に直線偏光が入射すると、金属磁性体31を透過する直線偏光は、ファラデー効果が起こって偏光面が回転する。導体81中の電流値が大きくなって磁界が大きくなると、偏光面の回転角が大きくなる。
この磁界センサ素子10では、導体81を流れる電流によって生じた磁界により、光ファイバ20を伝搬した直線偏光は金属磁性体31を透過する間に回転角が大きくなり、その後、反射膜40で反射した光は再び金属磁性体31を透過する間に回転角がさらに大きくなる。偏光回転角の増幅により、その回転分の光強度が大きくなる。その結果、光ファイバ20の特性であるクロストークに潜るおそれがなくなるため、金属磁性体31の近傍に偏波分離のための光学素子を配置しなくてもよくなる。こうして、光ファイバ20と、金属磁性体31を含む光透過膜30と、反射膜40とで構成される磁界センサ素子10のヘッド部は、小型化が可能になる。
金属磁性体31は、図4及び図5に示すような金属磁性体薄膜31aであってもよいし、図5に示すようなグラニュラー膜33であってもよい。金属磁性体31の厚さは、金属磁性体薄膜31aであるかグラニュラー膜33であるかにより異なり、特に限定されない。金属磁性体薄膜31aの場合は、例えば、1nm以上、50nm以下の程度であり、グラニュラー膜33の場合は、例えば、0.5μm以上、50μm以下の程度である。なお、図4では、光ファイバ20を構成するコア21とクラッド22の図示は、図4では記載を省略しているが、図5では記載している。
(金属磁性体薄膜)
金属磁性体薄膜31aは、金属磁性体31で構成された薄膜である。この金属磁性体薄膜31aを有する光透過膜30は、図4及び図5に示すように、金属磁性体薄膜31aと誘電体層32とを積層させて構成されている。具体的には、図4に示すように、金属磁性体薄膜31aと誘電体膜32とが交互に積層されていてもよいし、図5に示すように、金属磁性体薄膜31aを挟んで誘電体膜32a,32bが配置されていてもよい。こうした積層形態とする理由は、金属磁性体薄膜31aとすることにより光透過膜30のトータル厚さを薄くして光の波長の1/2にすることができ、ファブリペロー共振させることができること、さらに、金属磁性体薄膜31aにすることにより光透過率の低下を抑制できること、誘電体膜32は光透過率が良いこと、等である。
図4に示す光透過膜30は、金属磁性体薄膜31aと誘電体膜32との多層膜であり、光ファイバ20の端面27上に、金属磁性体薄膜31a、誘電体膜32、金属磁性体薄膜31a、誘電体膜32、金属磁性体薄膜31a、誘電体膜32の順で6層構成されている例である。金属磁性体薄膜31aの種類は上記したとおりであり、例えばFeやCo等を挙げることができ、誘電体膜32としては、酸化タンタル(Ta)膜等を挙げることができる。誘電体膜32として酸化タンタル(Ta)膜を好ましく適用する理由は、それ自身の光透過性が良いため、磁性膜31aの入射界面での反射を抑制して透過光を増加させるため、である。また、金属磁性体薄膜31aと誘電体膜32とで計6層とした理由は、多数の光学的界面を形成して多重反射によってファラデー効果を大きくするためである。
金属磁性体薄膜31aと誘電体膜32のそれぞれの厚さは、膜の種類や積層数等によって異なるが、金属磁性体薄膜31aをFe又はCoとし、誘電体膜32を酸化タンタルとした計6層の光透過膜30の場合には、一例として、金属磁性体薄膜31aの厚さを10nmとし、誘電体膜32の厚さを94nmとし、合計312nmとすることができる。このときの光透過率は約2%であった。なお、FeやCo等の金属磁性体自体は光を透過しないと考えられているが、数十nm程度の極薄い金属磁性体薄膜31aとすることにより光を透過させることができ、光透過性を維持できる厚さとしては、1nm以上、60nm以下の範囲を挙げることができる。
図5に示す光透過膜30は、金属磁性体薄膜31aを挟んだ両側に多層の誘電体膜32a,32bが配置されている多層膜である。この光透過膜30は、光ファイバ20の端面27上に、第1誘電体膜32a、第2誘電体膜32b、第1誘電体膜32a、第2誘電体膜32b、第1誘電体膜32a、金属磁性体薄膜31a、第1誘電体膜32a、第2誘電体膜32b、第1誘電体膜32a、第2誘電体膜32b、第1誘電体膜32aの順で11層積層されている。このとき、金属磁性体薄膜31aとしてFe、第1誘電体膜32aとしてTa膜、第2誘電体膜32bとしてSiO膜等を挙げることができる。なお、金属磁性体薄膜31aのFeに代えて上記した他の種類の金属磁性体薄膜31a(CoやNiや合金等)を適用してもよい。また、第1誘電体膜32aのTa膜に代えて他の誘電体膜(TiO、Nb、ZrO、HfO等)を適用してもよいし、第2誘電体膜32bのSiO膜に代えて他の誘電体膜(Al、MgF等)を適用してもよい。
なお、誘電体膜32a,32bからなる多層膜は、金属磁性体薄膜31aとファイバコア21との屈折率差によって生じる界面反射を抑制し、金属磁性体薄膜31aへの光透過量を増加させることができるという理由により設けられている。このときの誘電体膜32としては、酸化タンタル(Ta)膜、二酸化ケイ素(SiO)膜、二酸化チタン(TiO)膜、五酸化二ニオビウム(Nb)膜、二酸化ジルコニウム(ZrO)膜、二酸化ハフニウム(HfO)膜、三酸化二アルミニウム(Al)膜、フッ化マグネシウム(MgF)膜等を挙げることができる。
図5に示す光透過膜30において、第1誘電体膜32aとしてTa膜、第2誘電体膜32bとしてSiO膜とし、金属磁性体薄膜31aの両側にそれぞれ5層の誘電体膜32a,32bを設ける理由は、金属磁性体薄膜31aとコア21との間で生じる界面反射を抑制するため、両者のアドミッタンス整合をとるのに最適な組み合わせだからである。
金属磁性体薄膜31aと誘電体膜32のそれぞれの厚さは、膜の種類や積層数等によって異なるが、金属磁性体薄膜31aをFe又はCoとし、誘電体膜32として計6層の酸化タンタル膜とした場合には、一例として、金属磁性体薄膜31aの厚さを65nmとし、誘電体膜32a、32bの厚さを光の波長の1/4の厚さとすることができる。このときの透過率は約20%であった。なお、金属磁性体薄膜31aとなるFeやCo等は光を透過しないと考えられているが、極薄い膜(数十nm)とすることにより光を透過させることができ、その厚さとしては、1nm〜130nmの範囲を挙げることができる。
ここで、誘電体膜32a、32bの厚さを光の波長λの1/4の厚さとしたが、光の波長λの1/4±20%の範囲内としてもよい。特に、意図的に1/4λからずらした厚さにすることにより、ファラデー効果をさらに大きくすることができる。ファラデー効果が大きくなるのは、金属磁性体薄膜31aに弱い光局在化が起こることに由来する。例えば、金属磁性体薄膜31aを挟む誘電体膜32のうち、光ファイバ20側の誘電体膜32の厚さを+10%とし、反射膜40側の誘電体膜32の厚さを−10%とする例を挙げることができる。意図的に厚さをずらす範囲は、使用する光の波長λの1/4の厚さに対して、±1%以上、±20%以下の範囲が効果的である。
(光透過膜の厚さ)
光透過膜30の厚さは、光ファイバ20で伝搬される光の波長λの1/2であることが好ましい。光透過膜30の厚さが光のλ/2であることにより、ファブリペロー共振器となる。ファブリペロー共振器とは、光が通過する経路の両端に結晶の劈開などで形成した2枚の反射面を対向させた共振器のことであり、本発明では、光ファイバ20の端面27に設けられた光透過膜30上に反射膜40を設けることにより、光透過膜30を透過した光を反射させ、光透過膜30内で光を往復させている。こうした光は光透過膜30内で共振し、定在波ができる。したがって、光透過膜30の厚さは、光透過膜30を構成する各層の種類や透過率を考慮し、さらに光の波長との関係を考慮して任意に設定される。
(グラニュラー膜)
光透過膜30は、グラニュラー膜33を有するものであってもよい。グラニュラー膜33は、図6に示すように、誘電体33aと、その誘電体33a中に分散している金属磁性体微粒子31bとを有している。グラニュラー膜33を有する光透過膜30は、図7(A)に示すように単層のグラニュラー膜33からなる光透過膜30であってもよいし、図7(B)に示すようにグラニュラー膜33と誘電体膜32とが積層してなる光透過膜30であってもよい。グラニュラー膜33はそれ単層で用いてもよいが、誘電体膜32との多層膜とすることで多重反射によって、より大きなファラデー回転角を得ることができる。このとき、使用波長の1/4の厚さで交互積層し、多層膜中心付近のグラニュラー膜の厚さを1/2λや3/4λとすれば(図7(B)を参照)、より効果的である。
グラニュラー膜33を構成する金属磁性体微粒子31bは、上記と同様、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金であればよく、その平均粒径は、10nm以上、50nm以下の範囲内であることが好ましい。金属磁性体微粒子31bは、グラニュラー膜33を透過する光を多重反射することになり、光ファイバ20で伝搬された直線偏光を、その金属磁性体微粒子31bによって多数回の多重反射することになる。その結果、ファラデー効果による偏光面の回転角をより大きくすることができる。なお、平均粒径は、X線回折や透過電子顕微鏡によって測定できる。
グラニュラー膜33は、金属磁性体微粒子31bと誘電体33aとが安定した相分離状態となっており、化学的に安定したMgF等をマトリックスに用いることで金属磁性体微粒子31bとの相分離が容易である。また、グラニュラー膜33は、形状異方性の緩和効果もあり、分散する金属磁性体微粒子31bが球状又はほぼ球状であることにより、反磁界係数が減少するという効果もある。また、透明性の増大とIndex調整の点でも有利であり、金属磁性体微粒子31bのサイズが光の波長よりも小さいため、長波長域でより透明になり易いという利点がある。
グラニュラー膜33は、同時蒸着や同時スパッタリングによって作製することができる。また、グラニュラー膜33は、誘電体膜32中に金属磁性体微粒子31bが光の波長より小さいサイズで存在することによって、透明性が極めて増大する。また、分散される金属磁性体微粒子31bが球状に近づくことによって、光路方向の形状異方性が緩和される効果がある。グラニュラー構造に用いられる誘電体33aは、金属磁性体薄膜31aとともに適用する誘電体膜32と同様、SiOをはじめとする酸化物のほか、MgFのようなフッ化物等を用いることができる。誘電体33aと金属磁性体微粒子31bとの良好な相分離をするためには、フッ化物の方がより好ましい。
(光透過膜の光透過性)
一般に、金属材料は光を透過しないが、10nmオーダーの極薄超薄膜、あるいは、10nmオーダーの微粒子構造を採用することで透過率を上げることができる。また、センサ感度に関係する金属磁性体31の磁気異方性が薄膜形状(金属磁性体薄膜31)、微粒子形状(金属磁性体微粒子31b)に依存する反磁界で決定される。そのため、センサ感度の温度特性は金属磁性体31の磁化の温度特性のみに依存し、キュリー温度の高い磁性膜材料を採用することで広い温度範囲でセンサ感度を一定にできる。
光透過膜30は、光ファイバ20を伝搬した直線偏光を透過するとともに、反射膜40で反射した後の光を再び透過する程度の光透過性を有している。光透過膜30の光透過性は、光透過膜30の形態に関わらず、透過率で1%以上であることが好ましい。透過率が1%未満では、光が減衰して十分な強度の光を透過することができないことがある。透過率は高ければよく、特に上限はないが、通常、上限としては100%程度である。透過率は、分光光度計やスペクトルアナライザによって測定することができる。
(反射膜)
反射膜40は、図1、図4〜図7に示すように、光透過膜30の上に設けられる。反射膜40は、光透過膜30内を透過した光を反射するために設けられており、その種類としては、例えば、Ag膜、Au膜、Al膜、誘電体多層膜ミラー等を挙げることができる。この反射膜40を光透過膜30上に設けることにより、ファラデー効果により偏光回転を大きくすることができる。特に反射率の高いAg膜や耐食性が高いAu膜が成膜上簡便で好ましい。
反射膜40の厚さは、光を反射できる厚さであることが好ましく、膜の種類にもよるが、Ag膜の場合は40nm以上200nm以下であることが好ましい。反射膜40の厚さの下限は、膜の種類ごとに十分な反射率を確保できる厚さであればよく、その反射率としては98%以上となる厚さであることが好ましく、Ag膜の場合は上記50nm以上であることが好ましい。
(光ファイバ)
光ファイバ20は、発光装置50からの直線偏光を光透過膜30まで伝搬し、その光透過膜30を透過して反射膜40で反射した戻り光を受光装置60まで伝搬する。
光ファイバ20としては、図8(A)に示すシングルモード光ファイバであってもよいが、図8(B)に示す偏波保持光ファイバであることが好ましい。図8(B)に示す偏波保持光ファイバ20は、光透過膜30で大きく回転した戻り光を、光ファイバ20の直交する2軸の直線偏光保持軸からズレた位置で伝搬するので、直線偏光が崩れ、直交する2軸の直線偏波保持軸それぞれに一定の割合の光強度を持って伝搬することができる。その結果、その後の偏光分離素子により、P偏光成分とS偏光成分とを容易に光強度分離することができ、受光素子によりその強度の大きさを容易に求めることができる。
偏波保持光ファイバ20としては、図8(B)に示すような一対の応力付与部23(23a,23b)を有するものを挙げることができる。応力付与部23は必ずしも一対である必要はなく、偏波面保持光ファイバであればよい。偏波保持光ファイバ20は、直交する2つの偏波面をもつモードが存在しない光ファイバであり、例えばコア21に非軸対称な応力を与えた一対の応力付与部23a,23bを有しており、2つの偏波モード間に伝搬定数差を生じさせ、それぞれの偏波モードからもう一方の偏波モードへの結合を抑制して偏波保持能力を向上させた光ファイバを例示することができる。
具体的には、偏波保持ファイバ20は、図8(B)に示すように、中心のコア21と、クラッド22と、一対の応力付与部23と、被覆材26とで構成されている。コア21及び応力付与部23はクラッド22に包まれており、被覆材26は例えば樹脂層からなり、クラッド2の外周に設けられている。1対の応力付与部23(23a,23b)は、コア21から離間し、コア21を中心にして互いに対称な位置に対向配置されている。コア21は断面円形であり、クラッド22はコア21の外周上に同心円状に設けられ、応力付与部23はクラッド2内に設けられている。
偏波保持光ファイバ20は、一対の応力付与部23a,23bがそれぞれ断面円形であるパンダ(PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)型である。その断面形態は、図8(B)に示すように、直交する2つの偏波軸、すなわちSlow軸24とFast軸25とを有する。Slow軸24は、一対の応力付与部23a,23bのそれぞれの中心と、コア21の中心とを通る直線で示される。Fast軸25は、Slow軸24に直交し、コア21の中心を通る直線で示される。偏波保持光ファイバ20では、一方の軸に偏光を入光したとき、直交する他方の軸に光が漏れだすことをクロストークといい、漏れ出し量を消光比と呼ぶ。偏波保持光ファイバ20の適用にあたって、偏波保持光ファイバ20のビート長よりも短いコヒーレンス長の光源を使用することにより、光の強度変動を抑制することができ、安定した測定が可能となる。
偏波保持光ファイバやシングルモード光ファイバ等の光ファイバ20の直径は特に限定されないが、125μmのものが一般的に使用されている。光ファイバ20の長さは、磁界センサ素子10の形態や磁界センサ装置1の形態によって任意に選択することができる。
<磁界センサ装置の全体構成>
磁界センサ装置1は、図9に示すように、磁界センサ素子10と、磁界センサ素子10が有する光ファイバ20に直線偏光を導入する発光装置50と、磁界センサ素子10が有する光ファイバ20から導出された戻り光を受光する受光装置60とで構成されている。
この磁界センサ装置1では、磁界センサ素子10が有する光ファイバ20の後端側の端面28は、発光素子51を含む発光装置50に光学的に接合されているとともに、受光素子66等を含む受光装置60にも光学的に接合されている。この接続形態により、発光装置50では、発光素子51からの光を偏光子53で直線偏光とする。直線偏光は、光ファイバ20を経由して光透過膜30を透過し、反射膜40で反射し、再び光透過膜30を透過して戻り光となる。この戻り光は、光ファイバ20を経由して、受光装置60に入る。受光装置60では、戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離する偏光分離素子64と、S偏光成分及び前記P偏光成分を受光して電気信号に変換する受光素子66と、電気信号を処理する信号処理部70とを有している。
<発光装置>
発光装置50は、磁界センサ素子10が有する光ファイバ20に直線偏光を導入する装置であり、発光素子51と、発光素子51から発した光を直線偏光にする偏光子52とを有している。偏光子52は光を直線偏光し、その直線偏光は、磁界センサ素子10を構成する光ファイバ20に導入される。
発光素子51としては、例えば、半導体レーザ又は発光ダイオード等を適用することができる。具体的には、ファブリペローレーザー、スーパールミネッセンスダイオード等を好ましく用いることができる。
偏光子52は、発光素子51から発した光を直線偏光にするための光学素子であり、その種類は特に限定されず、各種のものを用いることができる。
直線偏光の光ファイバ20への導入は、光カプラ、サーキュレータ、ハーフミラー等によって行われる。図9中の符号53はハーフミラーであり、このハーフミラー53は、偏光子52で偏光された直線偏光を光ファイバ20に導入するとともに、光ファイバ20のコア21を伝搬してきた戻り光を光源側とは別系統に伝搬させる光学素子である。なお、ハーフミラー53に代えて、光ファイバを結合分岐するための光カプラであってもよいし、光を分割するビームスプリッタであってもよいし、光サーキュレータであってもよい。
直線偏光は、光ファイバ20の後端側の端面28からコア21に入射する。光ファイバ20として偏波保持光ファイバを適用した場合は、Slow軸24、Fast軸25のいずれか一方を伝搬する。
<受光装置>
光ファイバ20のコア21を伝搬してきた戻り光は、例えば図9に示すハーフミラー53を経由し、光源とは別経路で伝搬して受光装置60に到達する。
受光装置60は、磁界センサ素子10が有する光ファイバ20から導出された戻り光を受光する装置である。この受光装置60は、図9に示すように、戻り光をS偏光成分65S及びP偏光成分65Pに分離する偏光分離素子64と、S偏光成分65S及びP偏光成分65Pを受光する受光素子66(66S,66P)と、受光した光を電気信号に変換する信号処理部70とを有している。
(1/2λ板)
図9の例では、受光装置60内に1/2λ板(HWP)62が設けられている。この1/2λ板62は、位相差をλ/2(180°)与え、光を回転させて出射させるものであり、複屈折材料等を利用した一般的なものを適用できる。この1/2λ板62は、偏光分離素子64の手前側に設けられていればよい。また、同様の位相差を与えるため、λ/2板の代わりに、λ/4板を磁界センサ素子10に配置しても同様の効果が得られる。このとき、λ/4板は、光透過膜30と反射膜40との間に挿入されることが望ましく、λ/4板の内部を光が往復することで反射型のλ/2板として機能する。
(偏光分離素子)
偏光分離素子64は、戻り光のS偏光成分65S及びP偏光成分65Pをそれぞれ分岐する光学素子である。図9の例では1/2λ板62が偏光分離素子64に導入する前の導入経路に設けられており、戻り光がその1/2λ板62で位相変調され、位相変調された光が、偏光分離素子64でS偏光成分65SとP偏光成分65Pとにそれぞれ分岐されて伝搬する。
偏光分離素子64としては、偏光ビームスプリッタ(PBS)を好ましく挙げることができる。偏光ビームスプリッタは、プリズム型、平面型、ウェッジ基板型、光導波路型等の各種のものを適用することができる。なお、プリズム型は、例えば直角プリズムを2つ貼り合わせ、接合面には誘電体多層膜や金属薄膜のコーティングを施してあるタイプ(キューブビームスプリッター)であり、光導波路型は、例えばガラス基板表層に形成された導波路のコア層上に誘電体交互多層膜を外部クラッド層として積層して偏光分離機能をもたせたY分岐導波路型素子等を挙げることができる。本発明では、光導波路型の偏光分離素子64を用い、受光装置60を構成する他の光学素子も光導波路型とすることにより、部品点数の低減と小型化を実現することができる。
(受光素子)
受光素子66は、偏光分離素子64で分岐したS偏光成分65SとP偏光成分65Pとをそれぞれ受光して光電変換する光学素子であり、PINフォトダイオード等を好ましく挙げることができる。
(信号処理部)
信号処理部70では、光電変換された電気信号から2つの偏光の強度を回路により差分検出し、その数値を電流値に置き換える。すなわち、偏光分離されたP偏光成分65PとS偏光成分65Sは、電気信号1、電気信号2に変換される。信号処理部70は、電気信号1、電気信号2を除算する除算回路72と、電気信号2で電気信号1を除算する除算回路73と、除算回路のそれぞれの出力値を差動増幅回路74で差動増幅して最終的に電流値に変換する。
信号処理部70は種々の形態とすることができるが、図10の例に示すように、フォトダイオード66P,66Sと、増幅器71P,71Sと、除算回路(アナログIC)72,73と、差動増幅回路74とを備える構成とすることができる。
信号処理部70において、光量LpのP偏光成分はフォトダイオード66Pで電気信号Epに変換され、その電気信号Epは増幅器71Pで増幅される。また、光量LsのS偏光成分もフォトダイオード66Sで電気信号Esに変換され、その電気信号Esは増幅器71Sで増幅される。増幅された電気信号Ep,Esは、電気信号Epで電気信号Esを除算する除算回路72の出力値として、差動増幅回路74のマイナス側へ入力される。また、増幅された電気信号Ep,Esは、電気信号Esで電気信号Epを除算する除算回路73の出力値として、差動増幅回路74のプラス側へ入力される。そして、差動増幅回路74の出力値を得る。
以上説明したように、磁界センサ装置1では、光透過膜30に入射した直線偏光は、金属磁性体31によるファラデー効果により偏光面の回転角が大きくなる。その光が戻り光として伝搬するので、従来のように偏光分離した光が伝搬中にクロストーク内に潜って検出できないことがなく、ファラデー効果を利用した電流値の測定を小型でシンプルな光学系で実現することができる。さらに、従来の光Kerr効果を用いた電流センサと比較して小型化することができる。また、測定部であるセンサヘッドから受光装置60までの光路がほぼ導波路内で処理することも可能になることから、光学的なアライメントが不要となり、組み立てコストを抑制することができる。また、光ファイバを用いるため電気的ノイズに強いという効果がある。
磁界センサ素子10及び磁界センサ装置1は、パワーケーブル、航空機、自動車、回路基板、半導体基板等の電子・電気機器用の電流検出用センサとして利用可能である。特に、電気自動車やハイブリッド自動車等において、速度制御やトルク制御で参照される電流を、正確に検出するために用いることもできる。具体的には、電気自動車等のエンジンルーム内に取り付けた場合には、磁界センサ素子10を光ファイバで引き回して所定箇所に設置することができ、配線ケーブルの電流検出に利用することができるとともに、広い温度範囲でセンサ感度が一定となるためセンサ出力の温度補償を必要としない。
<センサヘッドの具体例>
図11は、1センサヘッド型の磁界センサ素子80Aの具体例である。図12は、2センサヘッド型の磁界センサ素子80Bの具体例である。図11(A)及び図12(A)は、丸線導体81aに流れる電流を測定するための1又は2センサヘッド型の磁界センサ素子80の構造形態であり、図11(B)及び図12(B)は、矩形導体81bに流れる電流を測定するための1又は2センサヘッド型の磁界センサ素子80の構造形態である。これらセンサヘッド型の磁界センサ素子80は、磁気ヨークを用いなくても外乱磁界の影響をキャンセルすることができるという利点がある。
なお、図12(A)(B)に示す2センサヘッド型磁界センサ素子80Bでは、一方の磁界センサ素子10Aと他方の磁界センサ素子10Bとは、距離Lだけ離れて配置されている。その距離は、2つの磁界センサ素子10A,10Bの間で測定される導体81の大きさに応じて任意に設計される。2つの磁界センサ素子10A,10Bは、金属磁性体31を含む光透過膜30の距離Lを一定に保持するための保持材82と、光ファイバ20を保護するための保護材83とで一体化されている。なお、符号84は、被覆材であり、一体化された2センサヘッド型磁界センサ素子80Bを必要に応じて被覆している。
保持材82としては、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ガラス等、寸法安定性と強度がある絶縁素材を挙げることができる。保護材83としては、ステンレススチール鋼、プラスチック等、加工が容易な高強度部材等を挙げることができる。被覆材84としては、樹脂コーティング材、ゴム等を挙げることができる。
図13は、2センサヘッド型磁界センサ素子80Bにおいて、外乱磁界の影響をキャンセルする原理を示す説明図である。図13に示すように、矩形導体81bに電流が流れると、磁界が生じて光透過膜30が有する金属磁性体31の法線方向Aが金属磁性体31の磁界の方向H2となる。このとき、様々な磁界(電線が無数に敷設された)が存在する場所のように、外乱磁界が金属磁性体31に加わると、その外乱磁界の方向H3によって金属磁性体31の印加磁界が電流磁界の方向H2からずれることがある。その場合であっても、図13に示すように、矩形導体81bの両側に2つのセンサヘッドを配置し、それぞれのセンサのファラデー効果応答を差動出力する構成によって、同相外乱磁界の影響をキャンセルできる。その結果、様々な外乱磁界H3が存在する測定環境であっても、磁気ヨークを用いなくても外乱磁界H3の影響をキャンセルすることができる。なお、図13中、Pはセンサヘッドの電流磁界H2によるファラデー効果応答であり、Δpは外乱磁界H3による外乱応答である。
図14は、他の2センサヘッド型の磁界センサ素子80Cの例であり、2つの磁界センサ素子10A,10Bが導体を挟持可能に対向配置されたクリップ構造の例である。図14中、(A)は平面図であり、(B)は矩形導体用測定ヘッドの側面図であり、(C)丸線導体用測定ヘッドの側面図である。これら測定ヘッドは、レバー部85(85a,85b)と、クリップ部87(87a,87b),88(88a,88b)とを有する2つのセンサヘッド90A,90Bとを有し、それら2つのセンサヘッド90A,90Bは、スプリング付きの蝶番部86で接続されて開閉可能になっている。
図14(B)に示す矩形導体用のクリップ部87a,87bは、その構造が矩形導体81b(図15(A)参照)の矩形形状と同じ矩形形状になっており、その矩形導体81bの表面に接して電流測定し易くなっている。一方、図14(C)に示す丸線導体用のクリップ部87a,87bも、その構造が丸線導体81a(図15(B)参照)の矩形形状と同じ矩形形状になっており、矩形導体81aの表面に接して電流測定し易くなっている。
図15は、図14に示す2センサヘッド型磁界センサ素子80Cで導体を測定する具体例であり、(A)は矩形導体用の2センサヘッド型磁界センサ素子80Cで矩形導体81bを測定した例であり、(B)は丸線導体用の2センサヘッド型磁界センサ素子80Cで丸線導体81aを測定した例である。
これら2センサヘッド型の磁界センサ素子80a,80bは、光源を含む発光装置50と受光装置60とが別体となる構成であるため、取りまわしの自由度が大きいという利点がある。また、小型であるため、極小部でのピンポイントの電流計測が可能となる。また、センサヘッド90A,90Bは、光透過膜30や光ファイバ20を保護する支持材82や保護材83を有するので、部品構成がシンプルで、例えばSiCを用いたパワー半導体を計測するような耐熱要求があった場合でも、ヘッド部分は有機接着剤を使用した構成ではなく、熱に強い固定方法として例えばAuSnを利用した固定方法が可能となり、種々の要求に対して容易に実現できる。また、光の空間伝搬がほとんどなく、導波路内で処理できることから、光学軸調整が不要のためAssyコストを抑えることができる。
なお、センサヘッド90A,90Bの大きさは特に限定されないが、一例としては、全長30mm〜50mm程度で、太さが10mm程度のスケールとすることができる。
<磁性膜の特性の測定例>
図16は、磁界センサ素子10に用いる金属磁性体31のファラデー回転角を測定する装置100の模式図である。この測定装置100は、光源101から光を発し、その光は、グラントムソン偏光プリズム102と全反射ミラー103を経て測定対象の金属磁性体31を透過する。透過した光は、全反射ミラー104、1/2λ板105、偏光ビームスプリッタ106を経由し、分岐されたP偏光成分とS偏光成分は、それぞれ集光レンズ107a,107bを経てフォトダイオード108a,108bで受光される。このとき、光は金属磁性体31の法線方向Aから入射して透過するが、その法線方向Aと同じ方向の磁界H1を印加できるように電磁石110a,110bを配置した。電磁石110a,110bは、金属磁性体31を挟むように法線方向Aに配置した。したがって、この電磁石間に生じさせる磁界H1を変化させることにより、金属磁性体31のファラデー効果によるファラデー回転角を測定することができる。
試料として、ガラス基板(厚さ約1mm)39上に種々の厚さの金属磁性体31の極薄膜を設け、その上に酸化ケイ素膜(厚さ48nm)を設けたものを準備した。金属磁性体31の種類は、FeとCoの2種とし、その厚さは、30nm、50nm、70nmとした。光源として波長633nmのHe-Neレーザ光を用いた。
図17は、光の波長に対する金属磁性体の極薄膜のポテンシャル透過率の計算結果である。Fe及びCoの光学定数から計算されたポテンシャル透過率は、膜厚が薄いほど高くなり、さらに長波長になるにしたがって高くなる。この結果より、厚さ70nmのFeと厚さ60nmのCoについて、ファラデー回転角の計算を行った。なお、ポテンシャル透過率は、光吸収の強い金属薄膜が最大どれくらいの透過率を持つことができるかを示す指標であり、金属磁性体に隣接する誘電体層によって得られる最大透過率であり、理論計算から求めた。
図18は、金属磁性体31としてFe(厚さ70nm)とCo(厚さ60nm)が磁化飽和したときの、光の波長に対するファラデー回転角を計算した結果である。ファラデー回転角は、約1500nm付近で最大になっており、特にFe(厚さ70nm)では約5°のファラデー回転角が見込める。このことから、光通信で一般的な1550nmの波長を適用し、さらに反射構造にすることでファラデー回転角を10°程度まで向上させることができ、磁界センサ素子として高精度化することが可能となる。
表2及び表3は、光透過膜30を構成する金属磁性体31と誘電体膜32の種類と厚さとを変化させたときのファラデー回転角と透過率と反射率である。ファラデー回転角は、金属磁性体膜の膜面垂直方向に10kOe(800kA/m)の磁界を印加して測定しており、Fe膜の場合で飽和回転角の46%になり、Co膜の場合で飽和回転角の56%になる。表2及び表3中、θdeg.はファラデー回転角(磁界10kOe)の測定値を表し、θ’deg.は表1の単位長さあたりの飽和旋光角データから計算した計算値である。ファラデー回転角の測定は、図16に示す測定装置で行い、上記同様、光源として波長633nmのレーザ光を用いた。
表2は金属磁性体31としてFeを用いた場合である。No.1は、ガラス基板39上に、厚さ10nmのFe膜(金属磁性体31)と厚さ50nmのSiO膜(誘電体膜32)とで構成された光透過膜を設けた例であり、No.2は、ガラス基板39上に、厚さ20nmのFe膜(金属磁性体31)と厚さ50nmのSiO膜(誘電体膜32)とで構成された光透過膜を設けた例であり、No.3は、ガラス基板39上に、厚さ30nmのFe膜(金属磁性体31)と厚さ50nmのSiO膜(誘電体膜32)とで構成された光透過膜を設けた例であり、No.4は、ガラス基板39上に、厚さ10nmのFe膜(金属磁性体31)と厚さ10nmのSiO膜(誘電体膜32)とを3回繰り返して積層して合計6層で構成された光透過膜を設けた例であり、No.5は、ガラス基板39上に、厚さ5nmのFe膜(金属磁性体31)と厚さ5nmのSiO膜(誘電体膜32)とを6回繰り返して積層して合計12層で構成された光透過膜を設けた例である。
一方、表3は金属磁性体31としてCoを用いた場合である。No.6は、ガラス基板39上に、厚さ30nmのCo膜(金属磁性体31)と厚さ50nmのSiO膜(誘電体膜32)とで構成された光透過膜を設けた例であり、No.7は、ガラス基板39上に、厚さ10nmのCo膜(金属磁性体31)と厚さ10nmのSiO膜(誘電体膜32)とを3回繰り返して積層して合計6層で構成された光透過膜を設けた例であり、No.8は、ガラス基板39上に、厚さ10nmのCo膜(金属磁性体31)と厚さ94nmのSiO膜(誘電体膜32)とを3回繰り返して積層して合計6層で構成された光透過膜を設けた例である。
表2の結果より、金属磁性体31としてFeを用いた場合は、最大で1.63deg.までファラデー回転角を大きくすることができた。特に、SiOと積層した場合、Fe/SiO界面での屈折率差によって積層膜内部で多重反射が発生し、ファラデー効果が増強される。例えば、厚さ30nmのFe膜単体に比べて、(厚さ10nmのFe/厚さ10nmのSiO)×3層、(厚さ5nmのFe/厚さ5nmのSiO)×6層の順にファラデー回転角が大きくなる。なお、厚さ10nmのFe単層膜、厚さ20nmのFe単層膜、厚さ30nmのFe単層膜のいずれの場合も、ファラデー回転角の実測値は計算値より大きい。これは、酸化防止層として形成したトップSiO層とFe膜界面での反射と、Fe膜とガラス基板界面での反射とにより、Fe膜で多重ファラデー効果が生じていることが理由である。反射率は、FeとSiOの屈折率差に起因するものであり、No.1〜No.5では透過率とおおよそ逆の傾向になっている。
表3の結果より、金属磁性体31としてCoを用いた場合も、最大で1.57deg.までファラデー回転角を大きくすることができた。Feを用いた場合と同様に、SiOとの積層によってファラデー効果を増強できるだけでなく、SiO膜厚を変えることでもファラデー効果を大きくすることができることを示している。なお、No.7とNo.8とを比較すると、同じ厚さのCo膜を用いたとしても、SiOの厚さを変えることで反射率を大きく低減できることがわかる。
1 磁界センサ装置
10(10A,10B) 磁界センサ素子
20 偏波保持光ファイバ
21 コア
22 クラッド
23(23a,23b) 応力付与部
24 Slow軸
25 Fast軸
26 被覆材
27 端面(先端側の端面)
28 端面(後端側の端面)
30 光透過膜
31 金属磁性体
31a 金属磁性体薄膜
31b 金属磁性体微粒子
32 誘電体膜
32a,32b 2種の誘電体膜
33 グラニュラー膜
33a 誘電体
39 ガラス基板
40 反射膜
50 発光装置
51 発光素子
52 偏光子
53 ハーフミラー
54 光結合部
60 受光装置
62 λ/2板
64 偏光分離素子(偏光分離ビームスプリッタ
65P P偏光成分
65S S偏光成分
66(66P,66S) 受光素子(フォトダイオード)
70 信号処理部
71P,71S 増幅器
72,73 除算回路
74 差動増幅回路
80 センサヘッド型磁界センサ素子
80A 1センサヘッド型磁界センサ素子
80B,80C 2センサヘッド型磁界センサ素子
81 被測定導体
81a 丸線導体
81b 矩形導体
82 保持材
83 保護材
84 被覆材
85(85a,85b) レバー部
86 蝶番部
87(87a,87b) クリップ部
90(90A,90B) センサヘッド
100 磁性膜測定装置
101 光源
102 偏光プリズム
103,104 全反射ミラー
105 λ/2板
106 偏光ビームスプリッタ
107(107a,107b) 集光レンズ
108(108a,108b) フォトダイオード
110(110a,110b) 電磁石
H 磁界(印加磁界)
H1 磁界の方向
H2 磁性膜の磁界方向
H3 外乱磁界の磁界方向
A 金属磁性体の法線方向
L 距離

Claims (14)

  1. 光ファイバと、前記光ファイバの端面に設けられた、金属磁性体を含む光透過膜と、前記光透過膜上に設けられた反射膜とを有する、ことを特徴とする磁界センサ素子。
  2. 前記光透過膜が、前記金属磁性体からなる薄膜と誘電体膜とを有する、請求項1に記載の磁界センサ素子。
  3. 前記誘電体膜の厚さは、前記光透過膜に入射する光の波長の1/4±20%の範囲内である、請求項2に記載の磁界センサ素子。
  4. 前記光透過膜が、前記金属磁性体の微粒子を誘電体中に含むグラニュラー膜である、請求項1に記載の磁界センサ素子。
  5. 前記金属磁性体が、Fe、Co及びNiから選ばれる1又は2以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁界センサ素子。
  6. 前記金属磁性体が、Al、Si、B、P、C等のファラデー効果調整元素を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁界センサ素子。
  7. 前記光透過膜の厚さが、前記入射する光の波長λの1/2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁界センサ素子。
  8. 前記光ファイバが、偏波保持光ファイバである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁界センサ素子。
  9. 前記光透過膜は、電流値の測定対象の導体に電流が流れた際に生じる前記光透過膜上での磁界の方向と、前記光透過膜の膜面の法線方向とが一致する位置に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁界センサ素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁界センサ素子と、前記磁界センサ素子が有する光ファイバに直線偏光を導入する発光装置と、前記磁界センサ素子が有する光ファイバから導出された戻り光を受光する受光装置とを有することを特徴とする磁界センサ装置。
  11. 前記受光装置は、前記戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記S偏光成分及び前記P偏光成分を受光して電気信号に変換する受光素子と、前記電気信号を処理する信号処理部とを有する、請求項10に記載の磁界センサ装置。
  12. 前記発光装置は、発光素子と、該発光素子から発した光を直線偏光にする偏光子と、を有する、請求項10又は11に記載の磁界センサ装置。
  13. 1つ又は2つの前記磁界センサ素子からなるセンサヘッドを有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁界センサ装置。
  14. 前記センサヘッドを構成する前記磁界センサ素子の前記光透過膜が、電流値の測定対象の導体に電流が流れた際に生じる前記光透過膜上での磁界の方向と、前記光透過膜の膜面の法線方向とが一致する位置となるように配置されている、請求項10〜13のいずれか1項に記載の磁界センサ装置。
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