JP2018028246A - ローラ式水門 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラの回転状態を容易に確認させることが可能なローラ式水門を提供する。
【解決手段】この水門100(ローラ式水門)は、水の流通を開放または遮断するように昇降する水門本体2と、水門本体2の昇降方向に延びる戸当たり12と、水門本体2に設けられ、水門本体2の昇降に伴い、戸当たり12に接触した状態で回転するローラ21と、を備える。また、水門100は、水門本体2の昇降に伴う、ローラ21の回転状態を検出する非接触センサ25を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、ローラ式水門に関し、特に、戸当たりに接触した状態で回転するローラを備えるローラ式水門に関する。
従来、戸当たりに接触した状態で回転するローラを備えるローラ式水門が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、上下方向に延びるガイド溝が設けられた一対の支柱体と、一対の支柱体の間に配置され、水路を開閉するように昇降可能なゲート本体と、戸当たり材と、戸当たり材に当接した状態で回転するガイドローラ(ローラ)と、を備えるローラゲートが開示されている。このローラゲートの戸当たり材は、ガイド溝の内表面に配置され、ガイド溝の延びる昇降方向に沿って形成されている。また、ローラゲートのガイドローラは、ガイド溝内に配置されるように、ゲート本体の両側部に取り付けられている。なお、このローラゲートのガイドローラ(ローラ)は、水面よりも下方に配置される場合が多い。
特開2003−129453号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のローラゲートでは、ガイドローラ(ローラ)がガイド溝内に配置されるため、支柱体とゲート本体とに阻害されることに起因して、ガイドローラを目視または触診などにより直接的に点検することが容易ではない。さらに、ガイドローラが水面よりも下方に配置されている場合には、水路の水に起因して、ガイドローラを直接的に点検することがさらに容易ではなくなる。このため、ガイドローラが固着しているようなガイドローラの回転状態に不具合が生じている場合であっても、ガイドローラの回転状態を容易に確認させることができないため、ガイドローラにおける回転状態の不具合の有無を容易に判断させることができない。したがって、ガイドローラの回転状態を容易に確認させることが可能なローラ式水門が望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ガイドローラの回転状態を容易に確認させることが可能なローラ式水門を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるローラ式水門は、水の流通を開放または遮断するように昇降する水門本体と、水門本体の昇降方向に延びる戸当たりと、水門本体に設けられ、水門本体の昇降に伴い、戸当たりに接触した状態で回転するローラと、水門本体の昇降に伴う、ローラの回転状態を検出する検出部と、を備える。
この発明の一の局面によるローラ式水門では、上記のように、水門本体の昇降に伴う、ローラの回転状態を検出する検出部を設ける。これにより、ローラを目視または触診などにより直接的に点検せずとも、検出部によりローラの回転状態を容易に確認させることができる。この結果、ローラの回転状態に関する不具合の有無を容易に判断させることができる。
上記一の局面によるローラ式水門において、好ましくは、検出部は、ローラの回転状態を非接触で検出する非接触センサを含む。このように構成すれば、ローラの回転状態を接触式センサを用いて検出する場合と異なり、異物が非接触センサに多少付着したとしても、非接触センサによりローラの回転状態を検出し続けることができる。これにより、ローラの周囲環境に起因してローラの回転状態が検出できなくなるのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、非接触センサは、ローラまたは水門本体のいずれか一方に取り付けられた磁性体と、ローラまたは水門本体のいずれか他方に取り付けられ、磁性体の接近を検出可能な磁気センサとを有する。このように構成すれば、ローラの回転による磁性体の接近に基づいて、ローラの回転状態を検出することができる。また、光により非接触で検出する場合と比べて、磁場が異物により遮られにくいので、ローラの周囲環境に起因してローラの回転状態が検出できなくなるのを確実に抑制することができる。
上記一の局面によるローラ式水門において、好ましくは、ローラは、複数設けられており、検出部は、複数のローラの各々に設けられている。このように構成すれば、複数のローラのうちのいずれかにおいて、回転状態に不具合が生じた場合であっても、ローラにおける回転状態の不具合を容易に、かつ、確実に確認させることができる。また、複数のローラの回転状態を比較させることができるので、他のローラの回転状態とローラの回転状態との不一致に基づいて、ローラにおける回転状態の不具合を早期に発見させることができる。
上記一の局面によるローラ式水門において、好ましくは、ローラの水門本体の昇降時における回転状態がローラの許容回転状態と異なる場合に、ユーザに報知する報知部をさらに備える。ここで、「許容回転状態」とは、たとえば、所定時間あたりの回転角度(回転数)が閾値以上である場合、または、回転状態がある程度規則的である場合などのような、実用上問題のない回転状態のことを意味する。そして、「許容回転状態と異なる」とは、たとえば、所定時間あたりの回転角度(回転数)が閾値未満である場合、または、回転状態の規則性がほとんどなくなった場合などのような、実用上問題のある回転状態のことを意味する。このように構成すれば、報知部を介して、ローラの回転状態に不具合が生じていることを即座にユーザに把握させることができる。
本発明によれば、上記のように、ローラの回転状態を容易に確認させることが可能なローラ式水門を提供することができる。
本発明の第1および第2実施形態における遮断状態の水門の状態を一方側の支持体を削除した状態で示した模式図である。 図1の400−400線に沿った断面図である。 本発明の第1および第2実施形態における水門本体の後面図である。 本発明の第1実施形態における水門本体の側面図である。 本発明の第1実施形態における非接触センサ周辺を示した図である。 本発明の第1実施形態におけるローラ周辺を示した図である。 本発明の第1実施形態による水門において、当接状態または非当接状態における水門本体を上昇させるのに要する力Tを説明するための図である。 本発明の第1実施形態による水門において、ローラの回転状態と検出信号モデルとの関係を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による水門における制御部の制御フローを示した図である。 本発明の第1実施形態の変形例における水門本体の後面図である。 図10の410−410線に沿った断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例における非接触センサ周辺を示した図である。 本発明の第2実施形態による水門において、経年劣化の場合の検出信号モデルを示した図である。 本発明の第2実施形態による水門において、突発的な非回転状態の場合の検出信号モデルを示した図である。 本発明の第2実施形態による水門において、突発的な固着の場合の検出信号モデルを示した図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
<水門の構成>
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による水門100について説明する。なお、水門100は、特許請求の範囲の「ローラ式水門」の一例である。
本発明の第1実施形態による水門100は、図1に示すように、ダムおよび堰に設置され、せき止められた水の流通を開放または遮断する機能を有している。
水門100は、支柱体1と、水門本体2と、昇降装置3と、制御盤4とを備えている。支柱体1は、ダムまたは堰の一部を構成し、X方向(図2参照)に所定の間隔を隔てて配置されている。水門本体2は、一対の支柱体1の間に配置されている。昇降装置3は、水門本体2を鉛直方向(Z方向)に昇降させるための動力を供給する機能を有する。制御盤4は、水門本体2の昇降制御などが行われる機器であり、監視室5内に配置されている。監視室5は、支柱体1および水門本体2の近傍に設置されてもよいし、支柱体1および水門本体2から離れた位置に設置されてもよい。また、水門100は、水門本体2の上流側(Y1側)における水の水位を検出する水位検出部6aと、水門本体2の開度(昇降度合)を検出する開度検出部6bと、後述する検出信号を出力するアンプ6cとをさらに備えている。なお、鉛直方向は、特許請求の範囲の「昇降方向」の一例である。
水門100では、鉛直方向の上方(Z1方向)に水門本体2を移動(上昇)させることによって、水の流通が開放される。水門100では、鉛直方向の下方(Z2方向)に水門本体2を移動(降下)させることによって、水の流通が遮断される。なお、水門本体2の上流側(Y1側)の表面を前面とし、水門本体2の下流側(Y2側)の表面を後面とする。つまり、水門本体2には、せき止められた水により、Y2方向に向かって水圧が加えられる。
支柱体1は、Z方向に延びるように形成されている。また、支柱体1の水門本体2側には、ガイド溝11が形成されている。ガイド溝11は、Z方向に沿って延びるように形成されている。また、ガイド溝11は、図2に示すように、水平面(X−Y平面)の断面形状が矩形状である。
支柱体1には、ガイド溝11の内側面に一部が露出するように、一対の戸当たり12が埋め込まれている。一対の戸当たり12は、ガイド溝11のY方向の両側にそれぞれ配置されている。戸当たり12は、水平面における断面形状がH形状である金属材から構成されている。戸当たり12の露出する表面12aは、ガイド溝11の内側面に沿うように露出している。戸当たり12は、ガイド溝11と共にZ方向に延びるように形成されている。これにより、戸当たり12の露出する表面12aは、Z方向に沿って露出している。なお、Y1側の戸当たり12を設けずに、後述するローラ21が主に当接するY2側の戸当たり12のみを設けてもよい。
昇降装置3は、図1に示すように、ワイヤ3aと、ワイヤ3aを巻き上げる巻き上げ機3bと、水門本体2に設けられた滑車部3cとを含んでいる。ワイヤ3aは、Z方向に延びている。ワイヤ3aは、巻き上げ機3bと滑車部3cとを接続している。巻き上げ機3bは、水門本体2の上方(Z1側)に配置され、ワイヤ3aをZ方向に巻き上げることにより、滑車部3cを介して、水門本体2を上昇させる。巻き上げ機3bは、ワイヤ3aをZ方向に送り出すことにより、滑車部3cを介して、水門本体2を下降させる。
水門本体2は、図3に示すように、Y方向から見て略長方形形状で、図2および図4に示すように、水平面における断面形状が台形形状になるように形成されている。水門本体2は、図2に示すように、X方向において、一対の支柱体1間のX方向の長さよりも若干大きくなるように形成されている。これにより、水門本体2のX方向における両側端部(側端部2aおよび2b)は、ガイド溝11の内部に配置されている。
水門本体2には、4個のローラ21(21a〜21d)が取り付けられている。2個のローラ21aおよび21bは、図3および図4に示すように、水門本体2のX2側の側端部2aに取り付けられている。同様に、2個のローラ21cおよび21dは、図3に示すように、水門本体2のX1側の側端部2bに取り付けられている。ローラ21aおよび21cは、Z方向の略同じ高さ位置に取り付けられており、ローラ21bおよび21dは、Z方向の略同じ高さ位置に取り付けられている。なお、ローラ21aおよび21cは、水門本体2のZ方向の中央よりもZ1側に取り付けられており、ローラ21bおよび21dは、水門本体2のZ方向の下端近傍に取り付けられている。
ローラ21は、ローラ軸受22を介して、ローラ軸23に回転可能に軸支されている。ローラ21aおよび21bのローラ軸23は、水門本体2の側端部2aからX2方向に突出している。ローラ21cおよび21dのローラ軸23は、水門本体2の側端部2bからX1方向に突出している。
ローラ21は、X方向の両側が円状の平面である円板形状である。また、ローラ21は、図2に示すように、X方向において、戸当たり12の露出する表面12aにローラ21が当接可能なように取り付けられている。
ローラ21は、X方向の面において、直径Dを有している。ここで、ローラ21の直径Dは、ガイド溝11のY方向の幅Wよりも若干小さい。これにより、ローラ21は、せき止められた水によって水門本体2に作用する押圧力の大きさに応じて、戸当たり12の表面12aにローラ21が当接する状態(当接状態)と、当接しない状態(非当接状態)とに切り替えられるように構成されている。
具体的には、水門本体2に所定の水圧以上の水圧(押圧力)が印加されていない状態においては、ローラ21は、戸当たり12の表面12aに当接しない。この場合、ローラ21の回転状態に拘わらず、昇降装置3により、水門本体2が昇降する。
一方、水門本体2に所定の水圧以上の水圧(押圧力)が印加されている状態においては、戸当たり12の表面12aにローラ21の外周面が当接する。これにより、水門本体2の昇降時に、ローラ21を戸当たり12の表面12aに当接させた状態で、ローラ21を回転させながら水門本体2を昇降させることが可能である。これにより、水門本体2がガイド溝11の内側面に直接当接する場合と比べて、水門本体2と支柱体1との間の摩擦力が小さくなるので、より小さな力で、水門本体2を昇降させることが可能である。
ここで、第1実施形態では、水門100は、図3に示すように、4個のローラ21(21a〜21d)の各々の回転状態を検知する4個の非接触センサ25を備えている。なお、各々のローラ21a〜21dに対応する非接触センサ25の構成は、ローラ21a〜21dで略同一である。また、非接触センサ25は、特許請求の範囲の「検出部」の一例である。
非接触センサ25は、図5に示すように、ローラ21に取り付けられた12個の磁石25a(図6参照)と、磁石25aの接近によりインダクタンスが低下する磁気センサ25bとを有している。つまり、非接触センサ25は、非接触によりローラ21の回転を検出可能な磁気式のセンサである。アンプ6cは、磁気センサ25bのインダクタンスを監視している。また、アンプ6cは、磁気センサ25bに磁石25aが接近することによるインダクタンスの低下が、所定の閾値を超えた際に、検出信号(ONまたはOFF)を制御盤4に出力するように構成されている。なお、磁石25aは、特許請求の範囲の「磁性体」の一例である。
磁石25aは、ローラ21の水門本体2とは反対側の円状の表面に取り付けられている。また、12個の磁石25aは、図6に示すように、ローラ21の表面において、略同心円上に略等角度間隔で取り付けられている。
磁気センサ25bは、図5に示すように、水門本体2の側端部2aまたは2bに固定されたブラケット26により、磁石25aに対して、X方向に対向する位置に配置されている。つまり、磁気センサ25bは、水門本体2に取り付けられている。具体的には、ブラケット26は、水門本体2の側端部2aまたは2bのうち、ローラ21の直上近傍において、X方向に突出するように固定されている。このブラケット26は、ローラ21の水門本体2とは反対側の表面よりも水門本体2とは反対側において、下方(Z2側)に折り曲げられている。そして、ブラケット26の下方に折り曲げられた端部に、磁気センサ25bがX方向に貫通した状態で配置されている。なお、磁石25aと磁気センサ25bとは、磁気センサ25bが十分な検出感度で磁石25aの接近を検出可能な距離Lだけ、X方向に離れて配置されている。
これにより、非接触センサ25では、ローラ21の12個の磁石25aと磁気センサ25bとの位置関係がローラ21の回転によって変化する。これにより、非接触センサ25は、X方向からローラ21の回転状態を検出するように構成されている。
<ローラの固着の説明>
ここで、ローラ21では、経年劣化などに起因して、錆や異物などがローラ21とローラ軸受22との間に位置してしまう。この場合、ローラ21とローラ軸受22とが固着してしまう。この際、ローラ21が正常に回転しないことに起因して、水門本体2の昇降において、昇降装置3に大きな負荷がかかってしまう場合がある。
一例として、水門本体2を上昇させる場合において説明する。図7(a)に示す、水圧(図1参照)が小さく、ローラ21が戸当たり12に当接しない状態(非当接状態)では、ローラ21の回転状態に拘わらず、水門本体2を上昇させるのに要する力T0(N)に、ローラ21と戸当たり12との当接に起因する摩擦力は含まれない。
一方、図7(b)〜(d)に示す、水圧が十分に大きく、ローラ21が戸当たり12に当接する状態(当接状態)では、ローラ21の回転状態に応じて、3つの状態に分けられる。まず、図7(b)に、ローラ21とローラ軸受22との間で固着が発生しておらず、ローラ21が戸当たり12に当接した状態で正常に回転する状態(理想状態)を示す。理想状態では、水門本体2を上昇させるのに要する力T1(N)に、摩擦力として、ローラ21の転がり摩擦力F1a(N)と、ローラ21とローラ軸受22とのすべり摩擦力F2a(N)とが含まれる。ここで、ローラ21の半径をR(=D/2、図2参照)とし、ローラ軸23の半径をr(=d/2、図2参照)とし、水圧によりローラ21が支柱体1(戸当たり12)に押し付けられる押圧力をPとする。また、ローラ21の転がり摩擦係数をμ1aとし、ローラ21とローラ軸受22とのすべり摩擦係数をμ2aとする。この場合、F1aおよびF2aはそれぞれ下記の式(1)および式(2)により算出される。
F1a=μ1a×P/R…(1)
F2a=r×μ2a×P/R…(2)
次に、図7(c)に、経年劣化に起因して、ローラ21とローラ軸受22とが回転可能であるものの固着が進行して回転しにくくなっている状態(固着進行状態)を示す。固着進行状態では、理想状態と比べて、ローラ21とローラ軸受22とのすべり摩擦係数がμ2aからμ2bに大きくなる。このため、ローラ21とローラ軸受22とのすべり摩擦力F2b(N)が、理想状態のすべり摩擦力F2a(N)よりも大きくなり、水門本体2を上昇させるのに要する力T2(N)はT1よりも大きくなる。
次に、図7(d)に示す、さらなる経年劣化に起因して、ローラ21とローラ軸受22とが完全に固着した状態(完全固着状態)を示す。完全固着状態では、理想状態とは異なり、ローラ21とローラ軸受22とのすべりが発生しない。さらに、ローラ21が戸当たり12に対して回転せずに引きずられた状態で、水門本体2が上昇する。この際、ローラ21の接触摩擦係数μ1bは、理想状態のローラ21の転がり摩擦係数μ1aよりも非常に大きくなる。この結果、水門本体2を上昇させるのに要する力T3(N)は、T1およびT2よりも大きくなる。このようにT3が過度に大きくなった場合には、昇降装置3に大きな負荷がかかってしまい、ワイヤ3aの損耗および巻き上げ機3bの不具合などが発生しやすくなってしまう。
そこで、第1実施形態の水門100では、ローラ21の回転状態を検出することによって、水門本体2を上昇させるのに要する力が過度に大きくなる前にローラ21の異常状態(固着状態)を把握して、修繕などを行うことが可能である。さらに、水門100では、ローラ21の回転状態を検出することによって、ローラ21が戸当たり12に対して回転せずに引きずられるのを抑制することができるので、戸当たり12に傷が生じるのも抑制することが可能である。
さらに、第1実施形態の水門100では、ローラ21の回転状態を検出することによって、昇降装置3の巻き上げ機3bに加えられる電流値からローラ21の回転状態を間接的に推測する場合と異なり、巻き上げ機3bでの不具合など昇降装置3側の不具合の影響を受けずに、確実に、ローラ21の回転状態を検出することが可能である。
また、図3および図5に示すように、ローラ21a〜21dにそれぞれ対応する非接触センサ25は、それぞれ、ケーブル27a〜27dに接続されている。そして、図3および図4に示すように、ケーブル27aおよび27bは、水門本体2の側端部2aに設けられたジャンクションボックス28aにより、1本の連結ケーブル28bにまとめられる。そして、連結ケーブル28bは、支柱体1に設けられたケーブルリール28cにより水門本体2の昇降に合わせて巻き取りまたは送り出しが行われることによって、弛みが生じるのが抑制される。この結果、弛みに起因して、ケーブル27a、27bおよび連結ケーブル28bが水門本体2に絡むのを抑制することができるので、ケーブル27a、27bおよび連結ケーブル28bが、水門本体2により傷つけられるのを抑制することが可能である。
また、ジャンクションボックス28aとケーブルリール28cとの間には、ケーブルクリップ28dが配置されている。ケーブルクリップ28dは、ケーブル27a、27bおよび連結ケーブル28bに張力が加えられるのを抑制することによって、磁気センサ25bとケーブル27aおよび27bとの接続部分に張力が加えられるのを抑制することが可能である。ケーブルクリップ28dは、水門本体2の上部に配置されている。また、連結ケーブル28bは、アンプ6c(図1参照)を介して、制御盤4(図1参照)に接続されている。
同様に、ケーブル27cおよび27dは、図3に示すように、水門本体2の側端部2bに設けられたジャンクションボックス29aにより、1本の連結ケーブル29bにまとめられる。そして、連結ケーブル29bは、支柱体1に設けられたケーブルリール29c、水門本体2の上部に配置されたケーブルクリップ29dおよびアンプ6cを介して、制御盤4に接続される。
水門本体2の前面(Y1側の面)には、図2に示すように、水密を確保するための水密ゴム2cが取り付けられている。水密ゴム2cは、突出部2dの端部に取り付けられている。水密ゴム2cは、図4に示すように、水門本体2のX方向の両側端部において、水門本体2のZ方向に沿って、Z方向の略全体に亘って形成されているとともに、水門本体2のZ2側の下端部において、X方向の略全体に亘って形成されている。この結果、水密ゴム2cは、水門本体2において、U字状に形成されている。また、水密ゴム2cは、図2に示すように、水門本体2のX方向の両側端部において、ガイド溝11よりもY1側で支柱体1に当接することによって、ガイド溝11およびガイド溝11よりもY2側に水が漏れ出るのを抑制している。これにより、水門本体2によって、水をせき止めることが可能である。
図2および図3に示すように、水門本体2の後面(Y2側の面)には、4個の補助ローラ2eが取り付けられている。4個の補助ローラ2eは、それぞれ、ローラ21a〜21dの近傍からY2方向に突出する突出部2fにそれぞれ取り付けられている。補助ローラ2eは、ガイド溝11よりもY2側において、支柱体1に回転可能に当接することによって、水門本体2のX方向の移動を規制する役割を有している。
制御盤4は、図1に示すように、制御部4aと、記憶部4bと、報知部4c、操作部4dとを含んでいる。制御部4aは、昇降装置3の制御など、水門100の全体の制御を行うように構成されている。記憶部4bは、制御部4aで実行されるプログラムなどが記憶されている。報知部4cは、モニターおよびスピーカなどを有しており、監視室5内の監視員(特許請求の範囲の「ユーザ」の一例)に、水門100に関する情報を報知する機能を有している。操作部4dは、監視室5内の監視員から水門100に関する操作の入力を受け付けるように構成されている。制御盤4は、操作部4dへの入力に基づいて、昇降装置3などの制御を行うように構成されている。
<制御部による制御>
制御盤4の制御部4aでは、ローラ21の回転状態の検出に関する制御が行われるように構成されている。具体的には、制御部4aは、水位検出部6aから取得した水の水位と、開度検出部6bから取得した水門本体2の開度とに基づいて、水門本体2の没水深(水門本体2の所定の位置における水面からの深さ)を算出するように構成されている。そして、制御部4aは、水門本体2の没水深から、水門本体2に作用する水圧を算出することによって、せき止められた水によって水門本体2に作用する押圧力を算出するように構成されている。
そして、制御部4aは、水門本体2に作用する押圧力に基づいて、ガイド溝11のY2側の内側面に露出する戸当たり12の表面12aに、ローラ21が当接する状態(当接状態)であるか、または、当接しない状態(非当接状態)であるかを判断するように構成されている。
そして、第1実施形態では、制御部4aは、当接状態において、非接触センサ25(磁気センサ25b)におけるインダクタンスの低下に応じてアンプ6cから送信される検出信号の切り替わりに基づいて、検出信号モデルを作成するように構成されている。具体的には、竣工または修繕直後の理想状態では、制御部4aにより、図8(a)に示すような検出信号モデルが作成される。この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、検出信号は、同じ時間間隔で12回分検出される。つまり、この検出信号モデルでは、所定の時間C0(回転周期)の間に、ローラ21が1回転することが示される。
固着が若干進行した状態(固着進行状態(初期))では、制御部4aにより、図8(b)に示すような検出信号モデルが作成される。この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、検出信号は、略同じ時間間隔で12回未満(図7(b)では8回分)検出される。つまり、この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、ローラ21が1回転未満の所定の回転角度だけ回転することが示される。この検出信号モデルの形状は、ローラ21が戸当たり12上を、すべりつつ主に回転していることに起因する。なお、すべりによる検出時間間隔への影響は少ない。
固着がかなり進行した状態(固着進行状態(末期))では、制御部4aにより、図8(c)に示すような検出信号モデルが作成される。この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、検出信号は、12回未満検出される。また、検出信号の切り替わりの間隔は不規則になる。つまり、この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、ローラ21が1回転未満の所定の回転角度だけ回転することが示される。この際、固着進行状態の末期における回転角度は、固着進行状態の初期における回転角度よりも小さい。この検出信号モデルの形状は、ローラ21が戸当たり12上を、回転しつつ主にすべっていることに起因する。また、すべりに起因して、検出信号の切り替わりの間隔が不規則になる。
完全に固着した状態(完全固着状態)では、制御部4aにより、図8(d)に示すような検出信号モデルが作成される。この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、検出信号は検出され続けるか、または、全く検出されない。つまり、この検出信号モデルでは、所定の時間C0の間に、ローラ21のローラ21は回転しない。
そして、制御部4aは、ローラ21a〜21dの各々について作成した検出信号モデルを、記憶部4bに記憶させるように構成されている。
また、第1実施形態では、制御部4aは、4個のローラ21a〜21dの各々において、新たに作成されて記憶部4bに記憶された検出信号モデルに基づいて、ローラ21の回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断するように構成されている。この際、制御部4aは、理想状態の検出信号モデルと新たに作成された検出信号モデルとを比較することによって、ローラ21の回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断するように構成されている。たとえば、制御部4aは、所定の時間C0の間のローラの回転角度が、所定の角度以下である場合(つまり、所定の時間C0の間の検出信号の数が所定の数以下の場合)に、ローラ21の回転状態が、許容回転状態でないと判断するように構成されている。なお、この際、用いられる理想状態の検出信号モデルとしては、没水深が十分に大きい場合の検出信号モデルを用いるのが好ましい。
そして、制御部4aは、4個のローラ21a〜21dのいずれかの回転状態が許容回転状態でない場合には、監視員に対して4個のローラ21a〜21d内の所定のローラ21が許容回転状態と異なる回転状態であり、異常である旨を報知するように報知部4cを制御するように構成されている。なお、報知は、報知部4cのモニタに異常である旨の警告が表示されることによって行われてもよいし、報知部4cのスピーカから異常である旨の警告が音声として出力されることによって行われてもよい。この報知により、監視員は、異常のローラ21に対して、修繕または取換が必要であることを、目視または触診などにより直接的に点検せずとも把握することが可能である。
また、制御部4aは、報知部4cのモニタに、ローラ21a〜21dの各々における検出信号モデルが表示させるように構成されている。これにより、監視員は、4個のローラ21a〜21d内の所定のローラ21が許容回転状態であるか否かを、表示された検出信号モデルに基づいて自ら判断することが可能である。
<制御フロー>
次に、図9を参照して、第1実施形態における制御盤4の制御部4aによる、ローラ21の回転状態に関する制御フローについて説明する。なお、この制御は、水門本体2の昇降時において、4個のローラ21a〜21dの各々に対して行われる。
まず、ステップS1において、制御部4aにより、戸当たり12の表面12aにローラ21が当接する状態(当接状態)であるか、または、当接しない状態(非当接状態)であるかが判断される。非当接状態である場合には、制御部4aによる制御が終了される。当接状態である場合には、ステップS2において、制御部4aにより、検出信号モデルが作成されて、記憶部4bに記憶される。
ステップS3において、制御部4aにより、検出信号モデルに基づいて、ローラ21の回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断される。許容回転状態でない場合には、ステップS4において、制御部4aにより、ローラ21の回転状態が異常である旨が、監視員に警告として報知されるとともに、検出信号モデルがモニタに表示される。そして、制御部4aによる制御が終了される。許容回転状態である場合には、ステップS5において、警告が監視員に報知されずに、制御部4aにより、検出信号モデルがモニタに表示される。そして、制御部4aによる制御が終了される。
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、水門本体2の昇降に伴う、ローラ21の回転状態を検出する非接触センサ25を水門100に設ける。これにより、ローラ21を目視または触診などにより直接的に点検せずとも、非接触センサ25によりローラ21の回転状態を容易に確認させることができる。この結果、ローラ21の回転状態に関する不具合の有無を制御部4aに容易に判断させることができる。
また、第1実施形態では、ローラ21の回転状態を非接触で検出する非接触センサ25を水門100に設ける。これにより、ローラ21の回転状態を接触式センサを用いて検出する場合と異なり、異物が非接触センサ25に多少付着したとしても、非接触センサ25によりローラ21の回転状態を検出し続けることができる。この結果、ローラ21の周囲環境に起因してローラ21の回転状態が検出できなくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、非接触センサ25が、ローラ21のローラ21に取り付けられた磁石25aと、水門本体2に取り付けられ、磁石25aの接近を検出可能な磁気センサ25bとを有する。これにより、ローラ21の回転による磁石25aの接近に基づいて、ローラ21の回転状態を検出することができる。また、光により非接触で検出する場合と比べて、磁場が異物により遮られにくいので、ローラ21の周囲環境に起因してローラ21の回転状態が検出できなくなるのを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態では、非接触センサ25を複数のローラ21の各々に設ける。これにより、複数のローラ21a〜21dのうちのいずれかにおいて、回転状態に不具合が生じた場合であっても、ローラ21における回転状態の不具合を容易に、かつ、確実に確認させることができる。
また、第1実施形態では、水門100に、ローラ21の水門本体2の昇降時における回転状態がローラ21の許容回転状態と異なる場合に、ユーザ(監視員)に報知する報知部4cを設ける。これにより、報知部4cを介して、ローラ21の回転状態に不具合が生じていることを即座に監視員に把握させることができる。
[第1実施形態の変形例]
次に、図10〜図12を参照して、本発明の第1実施形態の変形例による水門200について説明する。第1実施形態の変形例による水門200では、第1実施形態における非接触センサの取り付け位置を異ならせている。なお、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付すとともに、説明を省略している。また、水門200は、特許請求の範囲の「ローラ式水門」の一例である。
第1実施形態の変形例では、図10および図11に示すように、水門本体102の後面には、X方向に延びるように形成され、一対のフランジと一対のフランジを接続するウェブとを有するH型鋼102gが配置されている。H型鋼102gのX方向の両端部近傍には、H型鋼102gのウェブを上下方向に貫通する一対の水抜き孔102hが形成されている。
また、図12に示すように、水門本体102には、4個の貫通孔102iが設けられている。4個の貫通孔102iのうちの2個は、X2側の側端部102aに形成されており、残りの2個は、X1側の側端部102bに形成されている。また、貫通孔102iは、Z方向において、ローラ21a〜21dの各々の上端近傍の高さ位置に、それぞれ設けられている。
水門本体102には、ローラ21a〜21dの各々の回転状態を検知する4個の非接触センサ125が設けられている。非接触センサ125は、ローラ21の水門本体102側の表面に取り付けられた12個の磁石125aと、磁気センサ125bとを有している。また、12個の磁石125aは、ローラ21の表面において、略同心円上に略等角度間隔で取り付けられている。磁気センサ125bは、貫通孔202gに挿入された状態で、ブラケット126により、固定されている。なお、磁石125aと磁気センサ125bとは、磁気センサ125bが十分な検出感度で磁石125aの接近を検出可能な距離Lだけ、X方向に離れて配置されている。これにより、非接触センサ125は、X方向からローラ21の回転状態を検出するように構成されている。また、磁石125aは、特許請求の範囲の「磁性体」の一例である。
また、ローラ21a〜21dにそれぞれ対応する非接触センサ125は、それぞれ、ケーブル127a〜127dに接続されている。このケーブル127a〜127dは、水門本体102の側端部102aまたは102bよりも水門本体102側を這わされている。この際、ケーブル127bおよび127dは、H型鋼102gに設けられた水抜き孔102hを貫通するように這わされている。これにより、H型鋼102gのY2側を這わされる場合と比べて、ケーブル127bおよび127dが破損するのを抑制することが可能である。
そして、ケーブル127aおよび127bは、水門本体102の後面に設けられたジャンクションボックス128aにより、1本の連結ケーブル128bにまとめられる。同様に、ケーブル127cおよび127dは、水門本体102の後面に設けられたジャンクションボックス129aにより、1本の連結ケーブル129bにまとめられる。なお、第1実施形態の変形例のその他の構成および効果は、第1実施形態と同様である。
[第2実施形態]
次に、図1、図3および図13〜図15を参照して、本発明の第2実施形態による水門300について説明する。第2実施形態による水門300では、上記第1実施形態とは異なり、制御部204aにより、4個のローラ21a〜21dの回転状態を互いに比較するとともに、ローラ21a〜21dの過去の回転状態と新たな回転状態とを時系列的に比較している。なお、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付すとともに、説明を省略している。また、水門300は、特許請求の範囲の「ローラ式水門」の一例である。
水門300は、図1に示すように、制御部4aを含む第1実施形態の制御盤4の代わりに、制御部204aを含む制御盤204を備えている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
制御部204aは、複数のローラ21の各々に設けられた非接触センサ25(磁気センサ25b)におけるインダクタンスの低下に応じてアンプ6cから送信される検出信号に基づいて、検出信号モデルを作成するように構成されている。そして、制御部204aは、作成された検出信号モデルを用いて、4個のローラ21a〜21dの各々に対応する検出信号モデルを互いに比較するように構成されている。また、制御部204aは、作成された検出信号モデルを用いて、4個のローラ21a〜21dの過去の検出信号モデルと新たな検出信号モデルとを時系列的に比較するように構成されている。これらの比較を行うことによって、制御部204aは、4個のローラ21a〜21dの各々の回転状態を判断するように構成されている。
制御部204aによる具体的な判断を、図13〜図15に示す例を用いて説明する。図13に示す経年劣化の例では、前々回(竣工時)、前回および今回のいずれにおいても、各々のローラ21a〜21dの検出信号モデルは、略同様の検出信号モデルである。また、各々のローラ21a〜21dの前々回、前回および今回のいずれにおいても、各々のローラ21a〜21dの検出信号モデルは、略同様の検出信号モデルである。また、各々のローラ21a〜21dの検出信号モデルを時系列的で比較すると、前々回、前回および今回に従って、徐々に検出信号の切り替わりの間隔の長さが大きくなるとともに、検出信号の切り替わりが不規則になっている。このような場合には、制御部204aは、経年劣化により、ローラ21a〜21dの固着が各々において進行したと判断するように構成されている。この場合、制御部204aにより、今回、すべてのローラ21a〜21dに対して修繕または取換を行うべきであるという報知が、報知部4cを介して行われる。
図14に示す突発的な非回転状態の例では、ローラ21a、21cおよび21dにおいては、前々回、前回および今回のいずれにおいても、検出信号モデルが互いに略同様であり、大幅な固着は観察されていない。一方、ローラ21bでは、前々回は、他のローラ21a、21cおよび21dと同様の検出信号モデルであるものの、前回、他のローラ21a、21cおよび21dと異なり、大幅な固着(完全固着)を示す検出信号モデルが確認された。しかしながら、今回、再度、他のローラ21a、21cおよび21dと同様の検出信号モデルが確認された。このような場合には、制御部204aは、ローラ21bに異物等が挟まり一時的に固着したものの、今回解消して、再度、他のローラ21a、21cおよび21dと同様の回転状態に戻ったと判断するように構成されている。この場合、制御部204aによる、修繕または取換を行うべきであるという報知は行われない。これにより、一時的な非回転状態であるにも拘わらず、ローラ21bが異常であると誤って判断して、修繕または取換等を行ってしまうのを抑制することが可能である。
図15に示す突発的な固着状態の例では、ローラ21a、21cおよび21dにおいては、前々回、前回および今回のいずれにおいても、検出信号モデルが互いに略同様であり、大幅な固着は観察されていない。一方、ローラ21bでは、前々回は、他のローラ21a、21cおよび21dと同様の検出信号モデルであるものの、前回および今回は、他のローラ21a、21cおよび21dと異なり、大幅な固着(完全固着)を示す検出信号モデルが確認された。このような場合には、制御部204aは、連続的に完全固着を示す検出信号モデルが確認されたことに基づいて、ローラ21bだけが復帰不可能な固着状態になったと判断するように構成されている。この場合、制御部204aにより、今回、ローラ21bに対して修繕または取換を行うべきであるという報知が、報知部4cを介して行われる。
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、非接触センサ25を複数のローラ21a〜21dの各々に設ける。これにより、制御部204aにより複数のローラ21a〜21dの回転状態を比較させることができるので、他のローラ21の回転状態とローラ21の回転状態との不一致に基づいて、ローラ21における回転状態の不具合を早期に発見させることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
[変形例]
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、水門本体2(102)が鉛直方向に昇降する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水門本体を、鉛直方向以外の傾斜方向に昇降するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、非接触センサ25(125)の磁気センサとして、磁石25a(125a)の接近によりインダクタンスが低下する磁気センサ25b(125b)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インダクタンスの低下以外の方法により、磁石の接近を検出する磁気センサを用いてもよい。たとえば、磁場の大きさの検出、または、リードスイッチの接触の検出などにより、磁石の接近を検出する磁気センサを用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、非接触によりローラ21の回転を検出可能な磁気式の非接触センサ25(125)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、非接触によりローラの回転を検出可能な非接触センサとして、磁気式以外の、高周波発信式、静電容量式、誘導式、超音波式、または、光電式の非接触センサを用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、特許請求の範囲の「検出部」として、非接触によりローラ21の回転を検出する非接触センサ25(125)を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「検出部」として、非接触ではなく接触によりローラの回転を検出するセンサを用いてもよい。たとえば、ローラレバー式リミットスイッチ、無接点タッチスイッチ、タッチスイッチ、静電容量式タッチセンサ、または、スプリングセンサを用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、非接触センサ25(125)を、X方向(ローラ21の板厚方向)からローラ21の回転状態を検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、非接触センサを、ローラ21の径方向からローラの回転状態を検出するように構成してもよい。この場合、たとえば、ローラ本体の外周面に磁石が配置される構成になる。
また、上記第1および第2実施形態では、非接触センサ25(125)からの検出信号を、磁気センサ25b(125b)に有線接続されたケーブルを介して、制御盤4に送信する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、非接触センサからの検出信号を、無線または機械式により、制御盤に送信するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ケーブルリール28cおよび29cを用いてケーブルを巻き取る例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ケーブルリール以外の型式によりケーブルを巻き取ってもよい。また、本発明では、ケーブルを巻き取らない方式(いわゆる、自然方式)により水門を構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、2本のケーブルを、ジャンクションボックスにより1本の連結ケーブルにまとめた状態で、ケーブルリールにより巻き取る例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2本のケーブルを1本にまとめた状態で、ケーブルリールにより巻き取るのではなく、ケーブルを1本にまとめずに、2本のケーブルの各々をケーブルリールにより巻き取るように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、制御部4a(204a)が、水位検出部6aおよび開度検出部6bとの検出結果に基づいて、水門本体2の没水深を算出し、水門本体2の没水深から水門本体2に作用する押圧力を算出することによって、水門本体2が当接状態であるか、または、非当接状態であるかを判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、昇降装置のワイヤの張力、または、昇降装置の巻き上げ機に加えられる電流値から、水門本体に作用する押圧力を取得してもよいし、ローラ軸の曲がりを検出することによって、水門本体に作用する押圧力を取得してもよい。また、ローラと戸当たりとの当接を、ギャップセンサ、または、カメラを用いて監視することによって、水門本体が当接状態であるか、または、非当接状態であるかを検出してもよい。また、制御部により、水門本体が当接状態であるか否かを判断しなくてもよい。つまり、ローラの回転状態のみから、ガイドローラローラの不具合の有無を判断するように制御部を構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、制御部4a(204a)が、当接状態において、新たに作成されて記憶部4bに記憶された検出信号モデルに基づいて、ローラ21の回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水門本体に作用する押圧力の大小に基づいて、当接状態の程度を判断し、当接状態の程度に基づいて、ローラの許容回転状態か否かの基準を異ならせてもよい。たとえば、押圧力(上記式(1)のP)が小さい場合には、ローラを回転させる転がり摩擦力(上記式(1)のF1a)が小さくなるので、ローラが回転しにくくなると考えられる。この場合、ある程度ローラが回転していない状態まで、許容回転状態に含めるように制御部を構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、制御部4aが、ローラ21の回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、ローラの回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかを判断しなくてもよい。つまり、制御部は、報知部のモニタに検出信号モデルを表示する制御までを行い、ローラの回転状態が、許容回転状態であるか、または、許容回転状態でないかの判断は、監視員が行うようにしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、報知部4cのモニタに検出信号モデルを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、報知部のモニタに、所定の時間(たとえば、理想状態の回転周期および1分間など)毎のローラの回転数を表示するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、12個の磁石25a(125a)(磁性体)を、ローラ21に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁性体の数は、特に限定されない。つまり、磁石の数は1個でもよいし、12個以外の複数個であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、12個の磁石25a(125a)(磁性体)を、ローラ21に取り付け、磁気センサ25b(125b)を、水門本体2(102)に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、磁性体を水門本体に取り付け、磁気センサをローラに取り付けてもよい。
また、上記第2実施形態では、制御部204aにより、4個のローラ21a〜21dの回転状態を互いに比較するとともに、ローラ21a〜21dの過去の回転状態と新たな回転状態とを時系列的に比較する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、制御部により、複数のローラの回転状態を互いに比較する制御のみを行ってもよいし、制御部により、複数のローラの過去の回転状態と新たな回転状態とを時系列的に比較する制御のみを行ってもよい。
また、上記第2実施形態では、経年劣化の例、突発的な非回転状態および例突発的な固着状態の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、制御部により、その他の場合に応じて、適切にローラの回転状態を判断してもよい。また、第2実施形態に示した経年劣化の例、突発的な非回転状態および例突発的な固着状態の例は、一例であり、第2実施形態に示した例以外の場合を、制御部により、経年劣化、突発的な非回転状態または突発的な固着状態と判断してもよい。また、制御部を、報知部のモニタに、4個のローラの各々に対応する検出信号モデルを比較可能に表示するとともに、4個のローラの過去の検出信号モデルと新たな検出信号モデルとを時系列的に表示する制御までを行うように構成してもよい。つまり、4個のローラの回転状態の最終的な判断を、監視員が行うように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ローラ式水門がダムおよび堰に設置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、水の流通を開放または遮断することが必要な場所であれば、ダムおよび堰以外の場所(たとえば、港湾またはドックなど)に設けられるローラ式水門にも適用可能である。
2、102 水門本体
12 戸当たり
21、21a、21b、21c、21d ローラ
25、125 非接触センサ(検出部)
25a、125a 磁性体(磁石)
25b、125b 磁気センサ
100、200、300 水門(ローラ式水門)

Claims (5)

  1. 水の流通を開放または遮断するように昇降する水門本体と、
    前記水門本体の昇降方向に延びる戸当たりと、
    前記水門本体に設けられ、前記水門本体の昇降に伴い、前記戸当たりに接触した状態で回転するローラと、
    前記水門本体の昇降に伴う、前記ローラの回転状態を検出する検出部と、を備える、ローラ式水門。
  2. 前記検出部は、前記ローラの回転状態を非接触で検出する非接触センサを含む、請求項1に記載のローラ式水門。
  3. 前記非接触センサは、前記ローラまたは前記水門本体のいずれか一方に取り付けられた磁性体と、前記ローラまたは前記水門本体のいずれか他方に取り付けられ、前記磁性体の接近を検出可能な磁気センサとを有する、請求項2に記載のローラ式水門。
  4. 前記ローラは、複数設けられており、
    前記検出部は、前記複数の前記ローラの各々に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のローラ式水門。
  5. 前記ローラの前記水門本体の昇降時における回転状態が前記ローラの許容回転状態と異なる場合に、ユーザに報知する報知部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のローラ式水門。
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